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技術 コンタクトレンズ用溶液

出願人 日油株式会社
発明者 川崎寛子岩切規郎櫻井俊輔
出願日 2018年6月22日 (2年6ヶ月経過) 出願番号 2018-119011
公開日 2019年12月26日 (1年0ヶ月経過) 公開番号 2019-219621
状態 未査定
技術分野 メガネ 付加系(共)重合体、後処理、化学変成
主要キーワード 吸着防止効果 コンフォート 潤滑性評価 吸着抑制効果 コンタクトレンズケース 類似用語 評価点数 コンタクトレンズ製品
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年12月26日)のものです。
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課題

解決手段

コンタクトレンズ用溶液は、特定の構造式で表される構成単位を有し、各構成単位モル比率na:nb:ncが100:10〜400:2〜50であり、重量平均分子量が5,000〜5,000,000である共重合体(P)を0.001〜2.0w/v%含有する。

概要

背景

近年の日本国内でのソフトコンタクトレンズ装用者は1000万人を超えるとも言われ、わが国では広く一般に用いられる医療機器となった。また、その手軽さや便利さゆえに、ソフトコンタクトレンズ装用時間は長時間化しており、中でも若年のソフトコンタクトレンズ装用者における一日の平均装用時間は約14時間にもなるとの報告もある(非特許文献1)。一日あたりの平均装用時間が長時間になるにつれて、ソフトコンタクトレンズの良好な装用感が失われることは多く、良好な装用感が持続するソフトコンタクトレンズが依然として市場から求められているのが現状である。
一般に、良好な装用感を有するソフトコンタクトレンズを提供するには、ソフトコンタクトレンズに親水性潤滑性を付与することが重要であるといわれている(非特許文献2〜3)。そのため、ソフトコンタクトレンズを洗浄溶液で処理する際に、ソフトコンタクトレンズに親水性と潤滑性を付与できる洗浄溶液が開発されている(特許文献1)。しかしこれら洗浄溶液にはカチオン性殺菌剤が含まれており、このカチオン性殺菌剤は角膜上皮障害等の眼障害を引き起こす可能性がある。通常、洗浄溶液に含まれるカチオン性殺菌剤の濃度は非常に低いため、眼障害を引き起こす可能性は考えにくいが、利用者がより安心して使用するためには、カチオン性殺菌剤がソフトコンタクトレンズに吸着蓄積することを防止することが必要となる。そのため特許文献2には、カチオン性殺菌剤の吸着を防止するコンタクトレンズ用溶液が開示されている。

概要

コンタクトレンズ表面に対して簡便な処理で耐久性のある表面潤滑性表面親水性、及びカチオン性殺菌剤の吸着抑制効果を付与するコンタクトレンズ用溶液を提供する。コンタクトレンズ用溶液は、特定の構造式で表される構成単位を有し、各構成単位モル比率na:nb:ncが100:10〜400:2〜50であり、重量平均分子量が5,000〜5,000,000である共重合体(P)を0.001〜2.0w/v%含有する。なし

目的

本発明の課題は、コンタクトレンズ表面に対して簡便な処理で耐久性のある表面潤滑性、表面親水性、及びカチオン性殺菌剤の吸着抑制効果を付与するコンタクトレンズ用溶液を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

下記式(a)〜式(c)で表される構成単位を有し、各構成単位モル比率na:nb:ncが100:10〜400:2〜50であり、重量平均分子量が5,000〜5,000,000である共重合体(P)を0.001〜2.0w/v%含有するコンタクトレンズ用溶液。[式(a)中、Xは(a1)に示すいずれかの基を表し、Yは(a2)に示すいずれかの基を表し、Zは(a3)に示すいずれかの基を表す。式(a)〜式(c)中、R1、R2及びR5はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はエチル基であるか、あるいは互いに結合してモルホリノ基を形成しており、R6は炭素数12〜24の炭化水素基である。]

請求項2

請求項1に記載の共重合体(P)を0.001〜2.0w/v%含有するソフトコンタクトレンズ溶液

技術分野

0001

本発明は特定の構造を有する共重合体を含むコンタクトレンズ用溶液に関する。

背景技術

0002

近年の日本国内でのソフトコンタクトレンズ装用者は1000万人を超えるとも言われ、わが国では広く一般に用いられる医療機器となった。また、その手軽さや便利さゆえに、ソフトコンタクトレンズ装用時間は長時間化しており、中でも若年のソフトコンタクトレンズ装用者における一日の平均装用時間は約14時間にもなるとの報告もある(非特許文献1)。一日あたりの平均装用時間が長時間になるにつれて、ソフトコンタクトレンズの良好な装用感が失われることは多く、良好な装用感が持続するソフトコンタクトレンズが依然として市場から求められているのが現状である。
一般に、良好な装用感を有するソフトコンタクトレンズを提供するには、ソフトコンタクトレンズに親水性潤滑性を付与することが重要であるといわれている(非特許文献2〜3)。そのため、ソフトコンタクトレンズを洗浄溶液で処理する際に、ソフトコンタクトレンズに親水性と潤滑性を付与できる洗浄溶液が開発されている(特許文献1)。しかしこれら洗浄溶液にはカチオン性殺菌剤が含まれており、このカチオン性殺菌剤は角膜上皮障害等の眼障害を引き起こす可能性がある。通常、洗浄溶液に含まれるカチオン性殺菌剤の濃度は非常に低いため、眼障害を引き起こす可能性は考えにくいが、利用者がより安心して使用するためには、カチオン性殺菌剤がソフトコンタクトレンズに吸着蓄積することを防止することが必要となる。そのため特許文献2には、カチオン性殺菌剤の吸着を防止するコンタクトレンズ用溶液が開示されている。

0003

特表2009−516217号公報
特開2009−175543号公報

先行技術

0004

Walline J. J.,2013,Long−term Contact Lens Wear of Children and Teens,Eye&Contact Lens,39,283−289.
Roba,M.,2011,Friction Measurements on Contacct Lenses In Their Operating Environment,Tribol.Lett.,44(3),387−397.
横井則彦,2009,ソフトコンタクトレンズ装用時の眼乾燥感メカニズム,日本コンタクトレンズ学会誌,51,S33−S35.

発明が解決しようとする課題

0005

しかし、特許文献2には、上述したコンタクトレンズの装用感に関する記載が無く、そのため、ソフトコンタクトレンズに良好な装用感を付与でき、さらにカチオン性殺菌剤の吸着防止効果を簡便に付与する方法が求められている。
本発明の課題は、コンタクトレンズ表面に対して簡便な処理で耐久性のある表面潤滑性表面親水性、及びカチオン性殺菌剤の吸着抑制効果を付与するコンタクトレンズ用溶液を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、少なくとも3種の異なる構成単位特定割合で有する共重合体を含むコンタクトレンズ用溶液によって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の[1]〜[2]である。

0007

[1]下記式(a)〜式(c)で表される構成単位を有し、各構成単位モル比率na:nb:ncが100:10〜400:2〜50であり、重量平均分子量が5,000〜5,000,000である共重合体(P)を0.001〜2.0w/v%含有するコンタクトレンズ用溶液。




[式(a)中、Xは(a1)に示すいずれかの基を表し、Yは(a2)に示すいずれかの基を表し、Zは(a3)に示すいずれかの基を表す。式(a)〜式(c)中、R1、R2及びR5はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はエチル基であるか、あるいは互いに結合してモルホリノ基を形成しており、R6は炭素数12〜24の炭化水素基である。]
[2]上記[1]に記載の共重合体(P)を0.001〜2.0w/v%含有するソフトコンタクトレンズ用溶液

発明の効果

0008

本発明のコンタクトレンズ用溶液は、コンタクトレンズ表面に、簡便な処理で耐久性のある表面潤滑性、表面親水性、及びカチオン性殺菌剤の吸着抑制効果を付与することができ、コンタクトレンズ装用時に良好な装用感を付与することが出来る。

0009

以下、本発明を更に詳細に説明する。
[コンタクトレンズ用溶液]
本発明のコンタクトレンズ溶液は、式(a)〜式(c)で表される構成単位を有し、各構成単位のモル比率na:nb:ncが100:10〜400:2〜50であり、重量平均分子量が5,000〜5,000,000である共重合体(P)を0.001〜2.0w/v%含有する。

0010

なお、本明細書において、「(メタアクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味し、他の類似用語についても同様である。
また、本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、濃度や重量平均分子量の範囲)を段階的に記載した場合、各下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10〜100、より好ましくは20〜90」という記載において「好ましい下限値:10」と「より好ましい上限値:90」とを組み合わせて、「10〜90」とすることができる。

0011

<共重合体(P)>
本発明のコンタクトレンズ用溶液に用いる共重合体(P)は、下記の式(a)〜(c)で表される少なくとも3つの構成単位を有し、各構成単位のモル比率(構成比)na:nb:ncが100:10〜400:2〜50である。

0012

((1)親水性構成単位
本発明のコンタクトレンズ用溶液に用いる共重合体(P)は、下記式(a)で表される構成単位(以下、「親水性構成単位」と略記する)を有する。

0013

0014

上記の式(a)において、R1は水素原子又はメチル基であり、Xは(a1)に示すいずれかの基を表し、Yは(a2)に示すいずれかの基を表し、Zは(a3)に示すいずれかの基を表す。また、式(a)においてR1は水素原子またはメチル基を示す
共重合体(P)がこのような親水性構成単位を含むことにより、共重合体(P)は親水性を有する。これにより、該共重合体(P)を含むコンタクトレンズ用溶液は、コンタクトレンズ表面に表面潤滑性を付与することができる。

0015

共重合体(P)中の親水性構成単位は、共重合体(P)の重合時に使用される下記式(a’)で表される親水性単量体から得られる。




上記式(a’)においてR1、X、Y、Zはそれぞれ、上記式(a)のR1、X、Y、Zと同じである。
式(a’)で表される親水性単量体として、例えば、N,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリメチル−N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アンモニウムクロライドなどが挙げられる。

0016

((2)アミド構成単位)
本発明のコンタクトレンズ用溶液に用いる共重合体(P)は、下記式(b)で表される構成単位(以下、「アミド構成単位」と略記することがある)を有する。




上記式(b)において、R2は水素原子またはメチル基を示し、R3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、又は、互いに結合してモルホリノ基を示す。
共重合体(P)がアミド構成単位を含むことにより、共重合体(P)を高分子量化することができる。これにより、該共重合体(P)は、コンタクトレンズへの密着性が高まる。
共重合体(P)中のアミド構成単位の割合については、親水性構成単位のモル数naを100としたときのモル数nbについて、nb/na=10/100〜400/100であり、好ましくは30/100〜250/100である。nbが大きすぎる場合にはコンタクトレンズ用溶液を製造する際に必要となる無菌ろ過が困難となるおそれがあり、小さすぎる場合にはコンタクトレンズへの密着性が高められず、潤滑性の向上効果が見込めない。

0017

共重合体(P)中のアミド構成単位は、共重合体(P)の重合時に使用される下記式(b’)で表されるアミド基含有単量体により得られる。




式(b’)におけるR2、R3及びR4は、それぞれ、式(b)におけるR2、R3及びR4と同じである。
上記式(b’)で表されるアミド基含有単量体は、(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリルアミド誘導体であり、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン等が挙げられ、中でもN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドが好ましい。

0018

((3)疎水性構成単位
本発明のコンタクトレンズ用溶液に用いる共重合体(P)は、下記式(c)で表される構成単位(以下、「疎水性構成単位」と略記することがある)を有する。




上記式(c)において、R5は水素原子またはメチル基を示し、R6は炭素数12〜24の一価の炭化水素基を示す。
R6は、直鎖、分岐鎖飽和、不飽和の何れでもよく、例えば、ラウリル基トリデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、イソパルミチル基、ステアリル基、イソステアリル基、オレイル基、オクチルドデシル基、ベヘニル基等が挙げられる。これらの中でも、R6は、ラウリル基、ステアリル基、ベヘニル基が好ましく、ラウリル基、ステアリル基がより好ましい。
共重合体(P)がこのような疎水性構成単位を含むことにより、共重合体(P)のコンタクトレンズへの吸着性を高め、コンタクトレンズの潤滑性が向上する。

0019

共重合体(P)中の疎水性構成単位の割合については、親水性構成単位のモル数naを100としたときのモル数ncについて、nc/na=2/100〜50/100であり、好ましくは5/100〜25/100である。ncが大きすぎる場合には共重合体(P)の親水性が低下することで水溶液への溶解性が低下し、コンタクトレンズ用溶液を製造するのが困難になるおそれがある。

0020

共重合体(P)中の疎水性構成単位は、共重合体(P)の重合時に使用される下記式(c’)で表される疎水性単量体から得られる。




式(c’)におけるR5及びR6はそれぞれ、式(c)におけるR5及びR6と同じである。式(c’)で表される疎水性単量体としては、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の直鎖アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートがより好ましい。

0021

<その他の構成単位>
本発明に用いる共重合体(P)は、本発明の効果を損なわない範囲において、式(a)〜(c)で表される構成単位以外の他の構成単位を含んでもよい。他の構成単位の量は、本発明の効果に影響を与えない範囲で適宜選択できるが、共重合体(P)において、式(a)で示すnaを100とした場合に、他の構成単位はモル比で50以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。

0022

共重合体(P)の合成に用いることができる他の構成単位は、後述する他の重合性単量体により形成される。共重合体(P)の重合に用いる単量体組成物中における、他の重合性単量体の量は、上記(a’)で示す親水性単量体を100質量部とした場合、50質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
他の重合性単量体としては、例えば、直鎖または分岐鎖のアルキル(メタ)アクリレート、環状アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有(メタ)アクリレート、スチレン系単量体ビニルエーテル単量体ビニルエステル単量体、親水性の水酸基含有(メタ)アクリレートを挙げることができる。

0023

直鎖または分岐鎖のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
環状アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香族含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレンメチルスチレンクロロメチルスチレン等が挙げられる。
ビニルエーテル単量体としては、例えば、メチルビニルエーテルブチルビニルエーテル等が挙げられる。
ビニルエステル単量体としては、例えば、酢酸ビニルプロピオン酸ビニル等が挙げられる。
親水性の水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。

0024

<共重合体(P)の分子量>
本発明に用いる共重合体(P)の重量平均分子量は5,000〜5,000,000であり、好ましくは5,000〜2,000,000であり、より好ましくは100,000〜1,500,000である。重量平均分子量が5,000未満の場合は、共重合体のコンタクトレンズ表面への吸着力が十分でないため潤滑性の向上効果が見込めないおそれがあり、5,000,000を超える場合は、コンタクトレンズ用溶液を製造する際に必要となる無菌ろ過が困難となるおそれがある。
共重合体(P)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による値をいい、実施例に記載の方法で測定できる。

0025

<共重合体(P)の合成方法
本発明に用いる共重合体(P)は、上記各単量体の組成物ラジカル重合することによって得ることができる。共重合体(P)は、例えば、上記各単量体の組成物を、ラジカル重合開始剤の存在下、窒素二酸化炭素アルゴンヘリウム等の不活性ガス置換または雰囲気下においてラジカル重合することにより合成できる。ラジカル重合方法は、例えば、塊状重合懸濁重合乳化重合溶液重合などの公知の方法が挙げられ、精製などの観点から溶液重合が好ましい。共重合体(P)の精製は、再沈殿法透析法限外濾過法等の公知の精製方法により行うことができる。

0026

ラジカル重合開始剤としては、アゾ系ラジカル重合開始剤有機過酸化物過硫酸化物等を挙げることができる。
アゾ系ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロピル)二塩酸塩、2,2−アゾビス(2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イルプロパン)二塩酸塩、4,4−アゾビス−(4−シア吉草酸)、2,2−アゾビスイソブチロニトリルアミド二水和物、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)が挙げられる。

0027

有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルペルオキシネオデカネート、過酸化ベンゾイルジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシジイソブチレート過酸化ラウロイル、t−ブチルペルオキシデカネート、コハク酸ペルオキシド(=サクシニルペルオキシド)等が挙げられる。
過硫酸化物としては、例えば、過硫酸アンモニウム過硫酸カリウム過硫酸ナトリウム等が挙げられる。

0028

これらのラジカル重合開始剤は、単独で用いることができ、また、2種以上を混合して用いることもできる。重合開始剤の使用量は、共重合体(P)の製造に用いる各単量体の合計100質量部に対して通常0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5.0質量部である。

0029

共重合体(P)の合成は、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、単量体組成物を溶解し、反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に制限されず、例えば、水、アルコール系溶媒ケトン系溶媒エステル系溶媒、直鎖または環状のエーテル系溶媒含窒素系溶媒を挙げることができる。好ましくは、水若しくはアルコール、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノールエタノールn−プロパノールイソプロパノール等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトンメチルエチルケトンジエチルケトン等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル等が挙げられる。
直鎖または環状のエーテル系溶媒としては、例えば、エチルセルソルブテトラヒドロフラン等が挙げられる。
含窒素系溶媒としては、例えば、アセトニトリルニトロメタン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。

0030

<共重合体(P)の濃度>
本発明のコンタクトレンズ用溶液中の共重合体(P)の濃度は0.001〜2.0w/v%であり、好ましくは0.01〜2.0w/v%である。
本発明のコンタクトレンズ用溶液は、共重合体(P)を、溶媒に、0.001〜2.0w/v%、好ましくは0.01〜2.0w/v%となるように溶解させることにより得ることができる。共重合体(P)の濃度が0.001w/v%未満ではコンタクトレンズに潤滑性を付与する効果が十分ではなく、2.0w/v%を超えるとコンタクトレンズ用溶液を製造する際に行う無菌ろ過が困難となるおそれがある。溶媒としては、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコールまたはこれらの混合溶媒を用いることができる。

0031

共重合体(P)をコンタクトレンズ用溶液に用いることにより、コンタクトレンズの潤滑性を向上させることができ、良好な装用感をコンタクトレンズ装用者に付与することができる。また、本発明のコンタクトレンズ用溶液は、ソフトコンタクトレンズ用溶液として使用することが好ましい。すなわち、共重合体(P)を0.001〜2.0w/v%含むソフトコンタクトレンズ用溶液として使用することが好ましい。

0032

<その他の成分>
本発明のコンタクトレンズ用溶液は、共重合体(P)以外にも必要に応じて一般のコンタクトレンズ用溶液などに使用できる、ビタミン類アミノ酸類、糖類、粘稠化剤清涼化剤無機塩類有機酸の塩、酸、塩基酸化防止剤安定化剤防腐剤等のその他の成分を配合することができる。
ビタミン類としては、例えば、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウムシアノコバラミン酢酸レチノールパルミチン酸レチノール塩酸ピリドキシンパンテノールパントテン酸ナトリウムパントテン酸カルシウム等を挙げられる。
アミノ酸類としては、例えば、アスパラギン酸またはその塩、アミノエチルスルホン酸などが挙げられる。
糖類としては、例えば、ブドウ糖マンニトールソルビトールキシリトールトレハロース等が挙げられる。
粘稠化剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロール、ヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられる。
清涼化剤としては、例えば、メントールカンフル等が挙げられる。

0033

無機塩類としては、例えば、塩化ナトリウム塩化カリウムリン酸水素ナトリウム無水リン酸二水素ナトリウム等が挙げられる。
有機酸の塩としては、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
酸としては、例えば、リン酸クエン酸硫酸酢酸塩酸ホウ酸などが挙げられる。
塩基としては、例えば、水酸化カリウム水酸化ナトリウムホウ砂トリスヒドロキシメチルアミノメタンモノエタノールアミン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、酢酸トコフェロールジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、エデト酸ナトリウムグリシン等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウムクロルヘキシジングルコン酸塩ソルビン酸カリウム塩酸ポリヘキサニド等が挙げられる。

0034

<コンタクトレンズ用溶液の製造方法>
本発明のコンタクトレンズ用溶液は、一般的なコンタクトレンズ用溶液の製造方法により製造することができる。例えば、共重合体(P)、必要に応じて溶媒及びその他の成分を混合して攪拌することにより製造できる。なお、得られたコンタクトレンズ用溶液は必要に応じて無菌ろ過等の操作を行ってもよい。

0035

本発明のコンタクトレンズ用溶液の具体的な製品形態としては、次のようなものを例示することができる。具体的には、コンタクトレンズ用出荷液、コンタクトレンズ用ケア用品、コンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズ用洗浄液、コンタクトレンズ用洗浄保存液などが挙げられる。なお、本明細書において、コンタクトレンズ用出荷液とは、コンタクトレンズ製品の出荷時にコンタクトレンズを浸漬する溶液のことである。

0036

以下、実施例及び比較例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。

0037

<共重合体の分子量測定
下記の合成例1〜5で得られた各共重合体5mgをメタノール/クロロホルム混液(80:20)に溶かし、さらに水で希釈したものを試料溶液とした。分析条件は以下を用いた。
カラムPLgel−mixed−C
標準物質:ポリエチレングリコール
検出器示差屈折計RI−8020(東ソー株式会社製)
重量平均分子量の算出法:分子量計プログラム(SC−8020用GPCプログラム)
流量:毎分1mL
注入量:100μL
カラムオーブン:40℃付近の一定温度

0038

共重合体の重量平均分子量は、ポリエチレングリコールを標準サンプルとしてゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定した重量平均分子量の値である。
得られた共重合体をメタノール/クロロホルム混液に溶かした溶液を、水で希釈して共重合体濃度が0.5質量%になるようにした。この液を0.45μmメンブランフィルターでろ過し、測定した。

0039

<共重合体(P)の合成>
[合成例1]
カチオンモノマー1(ブレンマーQA、日油株式会社製)55.3g、ステアリルメタクリレートSMA、日油株式会社製)20.8gおよびN,N−ジメチルアクリルアミドDMAA、KJケミカルズ株式会社製)7.9gを、4つ口フラスコへ入れ、n−プロパノール116.0gで溶解させ、30分間窒素ガスの吹き込みを行った。この後、重合開始剤(t−ブチルペルオキシネオデカネートであるパーブチル(日本登録商標)ND(PB−ND)、日油株式会社製)0.196gを加えて52℃、8時間重合反応を行った。重合反応後重合液を3リットルジエチルエーテル中にかき混ぜながら滴下し、析出した沈殿をろ過し、48時間室温で真空乾燥を行い、粉末を得た。収量は66.5gであった。これを共重合体1とした。共重合体1のGPC測定に基づく重量平均分子量は970,000であり、共重合体成分のモル比率はカチオンモノマー1 50モル%、DMAA 45モル%、SMA 5モル%である。

0040

[合成例2〜5]
下表の表1に示す種類および量の成分を使用した以外は、合成例1と同様の手順に従って、共重合体2〜5をそれぞれ合成した。併せて、共重合成分のモル比率、収量及び重量平均分子量を表1に示す。

0041

0042

カチオンモノマー1:ブレンマーQA(N,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)アンモニウムクロライド)、日油株式会社製
カチオンモノマー2:ライトエステルDQ−100(N,N,N−トリメチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)アンモニウムクロライド)、共栄社化学株式会社製
DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド、KJケミカルズ株式会社製
LMA:ラウリルメタクリレート、日油株式会社製
SMA:ステアリルメタクリレート、日油株式会社製
エタノール:和光純薬工業株式会社製
n-プロパノール:和光純薬工業株式会社製
PB−ND:t−ブチルペルオキシネオデカネート、日油株式会社製

0043

<共重合体(P)以外の重合体
比較例に用いた重合体(共重合体(P)以外の重合体)は、次の通りである。
ホモポリマー(A):ジメチルアクリルアミドの重合体[数平均分子量:10,000]である、シグマアルドリッチジャパン製品(製品名:Poly(N,N−dimethylacrylamide),DDMAT Terminated)を試験に用いた。
ホモポリマー(B):モノマーとして、ライトエステルDQ−100 84.0gを使用した以外は、合成例1と同様の手順に従って、ホモポリマー(B)を合成した。具体的には、ライトエステルDQ−100 84.0gをn−プロパノール116.0gで溶解させ、30分間窒素ガスの吹き込みを行った。この後、重合開始剤PB−ND 0.196gを加えて52℃、8時間重合反応を行った。重合反応後、重合液を3リットルのジエチルエーテル中にかき混ぜながら滴下し、析出した沈殿をろ過し、48時間室温で真空乾燥を行い、粉末であるホモポリマー(B)を得た。収量は64.9gであり、重量平均分子量は1,500,000であった。
ホモポリマー(C):ラウリルメタクリレートの重合体[重量平均分子量:470,000]である、シグマアルドリッチジャパンの製品(製品名:ポリメタクリル酸ラウリル)を試験に用いた。

0044

<コンタクトレンズ用出荷液の調製>
以下の実施例1〜7、比較例1〜4に記載する方法で、コンタクトレンズ用出荷液を調製した。

0045

[実施例1]
精製水約80gを量り、これに共重合体1(1g)を加え、攪拌し、溶解させた。この後、これに全量100mLとなるように精製水を加えた(共重合体溶液とする)。この後、この液10mLを取り出し、生理食塩液を用いて全量100mLとし、無菌ろ過を行い、無菌のコンタクトレンズ用出荷液とした。このコンタクトレンズ用出荷液の外観性状を表2に示す。

0046

[実施例2〜実施例7]
表2に示す種類及び量の成分を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って調製し、無菌のコンタクトレンズ用出荷液とした。各実施例の外観・性状を表2に示す。

0047

[比較例1〜比較例4]
表3に示す種類及び量の成分を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って調製し、無菌のコンタクトレンズ用出荷液とした。各比較例の外観・性状を表3に示す。

0048

0049

0050

上記した各実施例及び比較例のコンタクトレンズ用出荷液について、以下に示す各種評価を行い、結果を表4及び5に示した。

0051

<生理食塩液の調製>
文献(ISO 18369−3:2006,Ophthalmic Optics−Contact Lenses Part3:Measurement Methods.)を参考に、生理食塩液を調製した。塩化ナトリウム8.3g、リン酸水素ナトリウム十二水和物5.993g、リン酸二水素ナトリウム二水和物0.528gを量り、水に溶かして1000mLとして、ろ過して生理食塩液とした。

0052

<コンタクトレンズの潤滑性評価
実施例及び比較例のコンタクトレンズ用出荷液において、コンタクトレンズの潤滑性評価は以下の手順に従って行った。なお、コンタクトレンズの潤滑性評価には、コンタクトレンズとしてメダリストフレッシュフィットコンフォートモイスト登録商標)(ボシュロム・ジャパン製)を用いた。
(手順)
1)実施例1のコンタクトレンズ用出荷液を用いた。
2)試験コンタクトレンズをブリスターパックから1枚取り出し、15mL遠心チューブへと入れた。
3)これに生理食塩液10mLを加え、終夜振とうした。
4)この後、生理食塩液を取り除き、1)で準備した溶液10mLを加え、終夜振とうした。
5)振とう後、コンタクトレンズを取り出し、人差し指に乗せて潤滑性評価を行った。該評価を、コンタクトレンズの装用開始を想定した潤滑性評価とした。
6)この後、一度、コンタクトレンズを1)で準備した溶液へと浸漬し、コンタクトレンズ表面の水膜をふき取り、人差し指に乗せて潤滑性評価を行った。該評価を、コンタクトレンズ装用中を想定した潤滑性評価とした。

0053

実施例2〜実施例7及び比較例1〜比較例4のコンタクトレンズ用出荷液についても上記手順に従って評価を行った。
潤滑性評価法は、ブリスターパックから取り出したばかりのメダリストフレッシュフィットコンフォートモイスト(登録商標)を基準(4点)として、潤滑性が向上すれば評価点数を高くなるようにし、潤滑性が低下すれば評価点数が低くなるようにした。なお、評価点数は1〜10点の範囲内で付した。潤滑性評価を表4及び表5に示す。

0054

<コンタクトレンズの表面親水性評価>
実施例及び比較例において、コンタクトレンズの表面親水性評価は以下の手順に従って行った。なお、親水性評価で用いた生理食塩液は、上記潤滑性評価の場合と同様に調製した。
(1)コンタクトレンズ(メダリストフレッシュフィットコンフォートモイスト(登録商標))をブリスターパックから1枚取り出し、コンタクトレンズケースへ入れた。このとき、ブリスターパック中の出荷液はコンタクトレンズケースに入れなかった。
(2)コンタクトレンズケースに1mLの生理食塩液を入れ、上記コンタクトレンズと生理食塩液とがなじむように十分に浸漬した。
(3)生理食塩液を取り除き、再度、新しい生理食塩液を1mL入れ、コンタクトレンズと生理食塩液とがなじむよう十分に浸漬した。
(4)生理食塩液を取り除き、コンタクトレンズケースに実施例及び比較例の各溶液を1mL入れ、オートクレーブ処理(121℃、20分間)を行った。
(5)コンタクトレンズを取り出し、レンズ表面の水膜が切れるまでの時間(BUT)をストップウォッチ計測した。このBUTを「表面親水性」として表4及び表5に示す。BUTが10秒以上15秒未満のものを「表面親水性に優れる」とし、15秒以上のものを「表面親水性に特に優れる」とした。コンタクトレンズの表面親水性評価を表4及び表
5に示す。

0055

<コンタクトレンズへの殺菌剤吸収抑制効果の評価>
実施例及び比較例において、コンタクトレンズの殺菌剤吸着抑制効果評価は以下の手順に従って行った。
(1)<コンタクトレンズの表面親水性評価>の(1)から(4)と同様な操作を行い、コンタクトレンズを処理した。
(2)1ppmの塩酸ポリヘキサニド(PHMB)溶液に(1)で処理したコンタクトレンズを一晩浸漬した。
(3)翌、コンタクトレンズを取り出した後のPHMB溶液について、吸光光度計237nmにおける吸光度を測定した。
(4)コンタクトレンズ浸漬前のPHMB溶液における237nmの吸光度を測定し、下記式を用いて吸着率を求めた。
コンタクトレンズへのPHMB吸着率(%)=(A−B)/A×100
A:コンタクトレンズ浸漬前PHMB溶液の吸光度
B:コンタクトレンズ浸漬後PHMB溶液の吸光度
コンタクトレンズへの殺菌剤吸着抑制効果評価結果を表4及び表5に示す。

0056

0057

0058

実施例におけるコンタクトレンズの潤滑性評価(装用開始時を想定した評価)では、5.0〜9.2、実施例におけるコンタクトレンズの潤滑性評価(装用中を想定した評価)では、3.9〜6.3であった。一方、比較例におけるコンタクトレンズの潤滑性評価(装用開始時を想定した評価)では、2.2〜2.4、比較例におけるコンタクトレンズの潤滑性評価(装用中を想定した評価)では、2.1〜2.2であった。
また、実施例におけるコンタクトレンズの表面親水性評価(BUT)では、10〜24であり、比較例におけるコンタクトレンズの表面親水性評価(BUT)では、4〜6であった。
更に、実施例におけるコンタクトレンズへのPHMBの吸着率は、14〜23%であり
、比較例におけるPHMBの吸着率は55〜65%であった。
上より、実施例のコンタクトレンズ用出荷液は、比較例と比較して、コンタクトレンズ表面に潤滑性、表面親水性及びカチオン性殺菌剤の吸着防止性を付与する効果に優れることが分かった。

0059

[実施例8〜12]
表6に記載の実施例8〜12の割合で配合して無菌ろ過を行い、本発明の共重合体を配合したコンタクトレンズ用出荷液とした。なお、表6における浸透圧の測定は、第17改正日本薬局方一般試験法 2.47浸透圧測定法オスモル濃度測定法)に従い行った。
実施例8〜12のコンタクトレンズ用出荷液を用いたコンタクトレンズは、潤滑性、表面親水性に優れており、コンタクトレンズの良好な装用感を得ることができ、かつ、カチオン性殺菌剤の吸着抑制効果に優れ、さらにコンタクトレンズの良好な装用感は持続することができる。

実施例

0060

0061

本発明のコンタクトレンズ用溶液は、コンタクトレンズに対して簡便に、親水性向上効果、潤滑性向上効果、及びカチオン性殺菌剤の吸着抑制効果を付与することができる。更に、この良好な装用感は長時間にわたって持続させることができる。

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