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技術 易分散性圧縮成形物の製造方法

出願人 大日精化工業株式会社
発明者 一宮洋介
出願日 2018年6月22日 (3年4ヶ月経過) 出願番号 2018-118841
公開日 2019年12月26日 (1年9ヶ月経過) 公開番号 2019-218321
状態 特許登録済
技術分野 化合物または医薬の治療活性 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 医薬品製剤
主要キーワード 圧縮破断 含水原料 原料キトサン キトサン処理 塩基性多糖類 有機物粉末 圧縮成形物 水中崩壊性
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課題

一定以上の硬度を保ちながらも水を含む親水性溶媒中で素早く分散する、キトサン等の不溶性食物繊維を主成分とする易分散性圧縮成形物の製造方法を提供する。

解決手段

キチン及びキトサンの少なくともいずれかを含む粗体、並びに水を含有する、含水率(1)が15質量%以上である粗体原料粉砕処理して粉末成分を得る工程と、得られた粉末成分の水分量を調整するとともに、運動エネルギーを付与して、含水率(2)が50質量%以下である含水原料を得る工程と、得られた含水原料を乾燥して、含水率(2)が15質量%以下である乾燥粉末を得る工程と、得られた乾燥粉末を10質量%以上含有する成形原料圧縮成形する工程と、を有する易分散性圧縮成形物の製造方法である。

概要

背景

キチン及びキトサンを含む有機物粉末圧縮して得られる成形物硬度は、圧縮時に付与される圧力に依存することが広く知られている。一方、成形物の硬度を一定以上に保ちながらも、特定の条件下では素早く崩壊又は分散するといった、相反する特性を兼ね備えた圧縮成形物(いわゆる、易分散性圧縮成形物)が必要とされる分野もある。

易分散性圧縮成形物の特性を活かせる形態として、錠剤を挙げることができる。有効成分を含む粉末を錠剤成型して得られる錠剤については、輸送時や保管時に包装内割れ欠け摩損等の不具合が生じないように、一定以上の硬度を有することが求められている。さらに、錠剤に対しては、経口摂取後、適切な時間内に消化管内で崩壊する崩壊性を有することも求められている。

成形性の有効成分を錠剤成型する場合には、例えば、賦形剤を配合する。また、難崩壊性の有効成分を錠剤成型する場合には、例えば、崩壊剤を配合する。さらに、バインディングキャッピング等の打錠障害を防止すべく、粒子間の摩擦を低減する効果を有する滑沢剤を配合する場合もある。すなわち、易分散性の圧縮成形物である錠剤は、有効成分の特性等に応じて配合組成を最適化して製造されることが多い。換言すると、有効成分のみを錠剤成型して、種々の要求特性応えることができるケースは稀である。このように、多種類の原料を配合する工程及び造粒工程は、製造工程数の増加及びコストの増大につながるため、簡易な工程で種々の要求特性を満たす錠剤を製造する方法を開発することが要望されている。

キトサン等の多くの食物繊維の形状は繊維状であるために、粉体流動性が悪く、そのままでの状態では錠剤にすることが困難である。また、キトサンは嵩比重が小さいため、キトサンの充填量には限界があるとともに、得られる錠剤は摩損しやすくなる傾向にある。したがって、キトサン等の食物繊維を含有する錠剤を成型するには、通常、タルクステアリン酸マグネシウムショ糖脂肪酸エステルなどの滑沢剤を添加するか、又は結晶乳糖結晶セルロースなどの流動性のよい賦型剤と混合して打錠する。しかし、滑沢剤などの他の成分と混合して成型すれば、食物繊維の含有量が少なくなり、有効成分を十分に摂取するために錠剤を大きくすることが必要となる。しかし、服薬する人のアドアランスを低下させることにつながりかねないため、流動性を高めつつ、錠剤中の食物繊維の量を増加させることが可能な錠剤の開発が望まれている。

従来、有効成分と、結合剤、崩壊剤、賦形剤などの助剤成分との配合バランスを調整することで、一定以上の硬度と崩壊性を兼ね備えた錠剤を製造することが検討されている。例えば、カルシウム素材成型助剤として配合して硬度を高めた錠剤が提案されている(特許文献1)。また、カルシウム粉末素材及び結晶セルロースを配合し、打錠して得られる、硬度及び崩壊性を改良したキトサン含有錠剤が提案されている(特許文献2)。さらに、炭酸カルシウムセルロース、及びサポニンを所定の比率で配合した、崩壊性に優れたキトサン含有錠剤が提案されている(特許文献3)。さらに、N−アセチルグルコサミンを30〜90質量%含有する口腔内崩壊型の錠剤(特許文献4)や、キトサン、カルシウム素材、及び有機酸を含む錠剤(特許文献5)が提案されている。また、キトサン粉末を大きな打圧で打錠して得られる、胃内で崩壊しうる錠剤が提案されている(特許文献6)。

概要

一定以上の硬度を保ちながらも水を含む親水性溶媒中で素早く分散する、キトサン等の不溶性食物繊維を主成分とする易分散性圧縮成形物の製造方法を提供する。キチン及びキトサンの少なくともいずれかを含む粗体、並びに水を含有する、含水率(1)が15質量%以上である粗体原料を粉砕処理して粉末成分を得る工程と、得られた粉末成分の水分量を調整するとともに、運動エネルギーを付与して、含水率(2)が50質量%以下である含水原料を得る工程と、得られた含水原料を乾燥して、含水率(2)が15質量%以下である乾燥粉末を得る工程と、得られた乾燥粉末を10質量%以上含有する成形原料圧縮成形する工程と、を有する易分散性圧縮成形物の製造方法である。なし

目的

しかし、服薬する人のアドヒアランスを低下させることにつながりかねないため、流動性を高めつつ、錠剤中の食物繊維の量を増加させることが可能な錠剤の開発が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

キチン及びキトサンの少なくともいずれかを含む粗体、並びに水を含有する、下記式(1)で表される含水率(1)が15質量%以上である粗体原料粉砕処理して粉末成分を得る工程と、得られた前記粉末成分の水分量を調整するとともに、運動エネルギーを付与して、下記式(2)で表される含水率(2)が50質量%以下である含水原料を得る工程と、得られた前記含水原料を乾燥して、下記式(2)で表される含水率(2)が15質量%以下である乾燥粉末を得る工程と、得られた前記乾燥粉末を10質量%以上含有する成形原料圧縮成形する工程と、を有する易分散性圧縮成形物の製造方法。含水率(1)(%)={W1/(P1+W1)}×100・・・(1)P1:粗体の量(g)W1:水の量(g)含水率(2)(%)={W2/(P2+W2)}×100・・・(2)P2:粉末成分の量(g)W2:水の量(g)

請求項2

前記粉末成分と水を混合した後、加熱条件下で撹拌して前記含水原料を得る請求項1に記載の易分散性圧縮成形物の製造方法。

請求項3

前記粗体原料を粉砕処理して、目開き180μmのメッシュを通過する粒度である前記粉末成分を得る請求項1又は2に記載の易分散性圧縮成形物の製造方法。

請求項4

せん断力を利用して前記粗体原料を粉砕処理する請求項1〜3のいずれか一項に記載の易分散性圧縮成形物の製造方法。

請求項5

前記粗体の重量平均分子量が、500,000以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の易分散性圧縮成形物の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、一定以上の硬度を保ちながらも水を含む親水性溶媒中で素早く分散しうる易分散性圧縮成形物の製造方法に関する。

背景技術

0002

キチン及びキトサンを含む有機物粉末圧縮して得られる成形物の硬度は、圧縮時に付与される圧力に依存することが広く知られている。一方、成形物の硬度を一定以上に保ちながらも、特定の条件下では素早く崩壊又は分散するといった、相反する特性を兼ね備えた圧縮成形物(いわゆる、易分散性圧縮成形物)が必要とされる分野もある。

0003

易分散性圧縮成形物の特性を活かせる形態として、錠剤を挙げることができる。有効成分を含む粉末を錠剤成型して得られる錠剤については、輸送時や保管時に包装内割れ欠け摩損等の不具合が生じないように、一定以上の硬度を有することが求められている。さらに、錠剤に対しては、経口摂取後、適切な時間内に消化管内で崩壊する崩壊性を有することも求められている。

0004

成形性の有効成分を錠剤成型する場合には、例えば、賦形剤を配合する。また、難崩壊性の有効成分を錠剤成型する場合には、例えば、崩壊剤を配合する。さらに、バインディングキャッピング等の打錠障害を防止すべく、粒子間の摩擦を低減する効果を有する滑沢剤を配合する場合もある。すなわち、易分散性の圧縮成形物である錠剤は、有効成分の特性等に応じて配合組成を最適化して製造されることが多い。換言すると、有効成分のみを錠剤成型して、種々の要求特性応えることができるケースは稀である。このように、多種類の原料を配合する工程及び造粒工程は、製造工程数の増加及びコストの増大につながるため、簡易な工程で種々の要求特性を満たす錠剤を製造する方法を開発することが要望されている。

0005

キトサン等の多くの食物繊維の形状は繊維状であるために、粉体流動性が悪く、そのままでの状態では錠剤にすることが困難である。また、キトサンは嵩比重が小さいため、キトサンの充填量には限界があるとともに、得られる錠剤は摩損しやすくなる傾向にある。したがって、キトサン等の食物繊維を含有する錠剤を成型するには、通常、タルクステアリン酸マグネシウムショ糖脂肪酸エステルなどの滑沢剤を添加するか、又は結晶乳糖結晶セルロースなどの流動性のよい賦型剤と混合して打錠する。しかし、滑沢剤などの他の成分と混合して成型すれば、食物繊維の含有量が少なくなり、有効成分を十分に摂取するために錠剤を大きくすることが必要となる。しかし、服薬する人のアドアランスを低下させることにつながりかねないため、流動性を高めつつ、錠剤中の食物繊維の量を増加させることが可能な錠剤の開発が望まれている。

0006

従来、有効成分と、結合剤、崩壊剤、賦形剤などの助剤成分との配合バランスを調整することで、一定以上の硬度と崩壊性を兼ね備えた錠剤を製造することが検討されている。例えば、カルシウム素材成型助剤として配合して硬度を高めた錠剤が提案されている(特許文献1)。また、カルシウム粉末素材及び結晶セルロースを配合し、打錠して得られる、硬度及び崩壊性を改良したキトサン含有錠剤が提案されている(特許文献2)。さらに、炭酸カルシウムセルロース、及びサポニンを所定の比率で配合した、崩壊性に優れたキトサン含有錠剤が提案されている(特許文献3)。さらに、N−アセチルグルコサミンを30〜90質量%含有する口腔内崩壊型の錠剤(特許文献4)や、キトサン、カルシウム素材、及び有機酸を含む錠剤(特許文献5)が提案されている。また、キトサン粉末を大きな打圧で打錠して得られる、胃内で崩壊しうる錠剤が提案されている(特許文献6)。

先行技術

0007

特許第4132870号公報
特開2004−262860号公報
特許第4824213号公報
特許第4403182号公報
特許第3737881号公報
特許第5969680号公報

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、特許文献1及び2で提案された錠剤は、いずれもある程度の硬度を有するものの、崩壊性が未だ不十分であり、さらなる改良の余地があった。また、これらの錠剤を製造するには有効成分以外の特定の成分を成型助剤として配合する必要があるため、有効成分の含有量が相対的に減少する傾向にあるといった課題もあった。さらに、特許文献3においては、得られる錠剤の硬度については何ら検討されていない。また、特許文献4においては咀嚼時における錠剤の崩壊時間について検討されているが、水中での崩壊性については何ら検討されていない。さらに、特許文献5で提案された錠剤は、有機酸とカルシウム素材をキトサン以外の成分として含むため、キトサンの含有量が少ないものであった。さらに、特許文献6で提案された錠剤は、硬度及び水中での分散性が未だ不十分であり、さらなる改良の余地があった。

0009

本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、一定以上の硬度を保ちながらも水を含む親水性溶媒中で素早く分散する、キトサン等の不溶性食物繊維を主成分とする易分散性圧縮成形物の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

すなわち、本発明によれば、以下に示す易分散性圧縮成形物の製造方法が提供される。
[1]キチン及びキトサンの少なくともいずれかを含む粗体、並びに水を含有する、下記式(1)で表される含水率(1)が15質量%以上である粗体原料を粉砕処理して粉末成分を得る工程と、得られた前記粉末成分の水分量を調整するとともに、運動エネルギーを付与して、下記式(2)で表される含水率(2)が50質量%以下である含水原料を得る工程と、得られた前記含水原料を乾燥して、下記式(2)で表される含水率(2)が15質量%以下である乾燥粉末を得る工程と、得られた前記乾燥粉末を10質量%以上含有する成形原料圧縮成形する工程と、を有する易分散性圧縮成形物の製造方法。
含水率(1)(%)={W1/(P1+W1)}×100 ・・・(1)
P1:粗体の量(g)
W1:水の量(g)
含水率(2)(%)={W2/(P2+W2)}×100 ・・・(2)
P2:粉末成分の量(g)
W2:水の量(g)
[2]前記粉末成分と水を混合した後、加熱条件下で撹拌して前記含水原料を得る前記[1]に記載の易分散性圧縮成形物の製造方法。
[3]前記粗体原料を粉砕処理して、目開き180μmのメッシュを通過する粒度である前記粉末成分を得る前記[1]又は[2]に記載の易分散性圧縮成形物の製造方法。
[4]せん断力を利用して前記粗体原料を粉砕処理する前記[1]〜[3]のいずれかに記載の易分散性圧縮成形物の製造方法。
[5]前記粗体の重量平均分子量が、500,000以上である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の易分散性圧縮成形物の製造方法。

発明の効果

0011

本発明によれば、一定以上の硬度を保ちながらも水中で速やかに分散する、キトサン等の不溶性食物繊維を主成分とする易分散性圧縮成形物の製造方法を提供することができる。

0012

<易分散性圧縮成形物の製造方法>
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の易分散性圧縮成形物(以下、単に「圧縮成形物」とも記す)の製造方法は、キチン及びキトサンの少なくともいずれかを含む粗体、並びに水を含有する、含水率(1)が15質量%以上である粗体原料を粉砕処理して粉末成分を得る工程(工程(1))と、得られた粉末成分の水分量を調整するとともに、運動エネルギーを付与して、含水率(2)が50質量%以下である含水原料を得る工程(工程(2))と、得られた含水原料を乾燥して、含水率(2)が15質量%以下である乾燥粉末を得る工程(工程(3))と、得られた乾燥粉末を10質量%以上含有する成形原料を圧縮成形する工程(工程(4))と、を有する。以下、その詳細について説明する。

0013

(工程(1))
工程(1)では、キチン及びキトサンの少なくともいずれかを含む粗体と、水とを含有する、下記式(1)で表される含水率(1)が15質量%以上、好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上である粗体原料を粉砕処理して粉末成分を得る。キトサンはキチンの脱アセチル化物であり、2−アミノ2−デオキシ−D−グルコースグルコサミン)を構成単位とする塩基性多糖類(β−(1→4)−2−アミノ−2−デオキシ−β−D−グルコース)である。キトサンは工業的に生産されており、種々のグレードのものを入手することができる。
含水率(1)(%)={W1/(P1+W1)}×100 ・・・(1)
P1:粗体の量(g)
W1:水の量(g)

0014

キチン及びキトサンは、食物繊維、LDLコレステロール値低減、及び尿酸値低減などの機能を発揮しうる有効成分であり、いわゆる不溶性食物繊維である。粗体(キチン及びキトサン)の重量平均分子量は、500,000以上であることが好ましく、1,000,000以上であることがさらに好ましい。食物繊維、LDLコレステロール値低減、及び尿酸値低減などの機能をより有効に発揮させるには、キチン及びキトサンの分子量は大きい方が好ましい。また、分子量が小さいと、粉砕処理によってキチン及びキトサンが低分子化しやすく、着色しやすい。このため、得られる圧縮成形物が着色して見栄えが低下する場合がある。なお、キチン及びキトサンの重量平均分子量は、5,000,000以下であることが好ましい。

0015

キチン及びキトサンは、通常、腐敗や低分子化を抑制すべく、含水率を概ね10質量%以下の状態として保管・粉砕処理等することが一般的である。これに対して、本発明の製造方法においては、所定の式で表される含水率(1)を15質量%以上に調整した粗体原料を粉砕処理する。これにより、硬度が高く、かつ、水を含む親水性溶媒中で素早く分散する易分散性の圧縮成形物を製造することができる。なお、キチン及びキトサンの低分子化を抑制する観点からは、粗体原料の含水率(1)は50質量%以下とすることが好ましい。

0016

粗体原料を粉砕処理して得られる粉末成分の粒度は、目開き180μmのメッシュを通過する粒度であることが好ましく、目開き150μmのメッシュを通過する粒度であることがさらに好ましい。目開き180μmのメッシュを通過しない粒度の粉末成分を用いると、得られる圧縮成形物の硬度がやや低下することがある。なお、の「メッシュ」は、1平方インチ当たりの篩の目の数を意味し、JIS Z 8801:2006に規定されている標準篩によるものである。

0017

粗体原料の粉砕処理は、せん断力を利用して粉砕する方法によって実施することが好ましい。せん断力を利用して粉砕する方法としては、例えば、ジェットミルプロペラミルカッターミルロールミルスタンプミル、らいかい機、ハンマーミル等を用いる方法を挙げることができる。

0018

キトサンの脱アセチル化度は、70%以上であることが好ましく、75〜99%であることがさらに好ましい。脱アセチル化度が70%以上のキトサンを用いると、食物繊維、LDLコレステロール値低減、及び尿酸値低減などの機能をより有効に発揮させることができる。

0019

キトサンの脱アセチル化度は、コロイド滴定を行い、その滴定量から算出することができる。具体的には、指示薬トルイジンブルー溶液を用い、ポリビニル硫酸カリウム水溶液でコロイド滴定することにより、キトサン分子中の遊離アミノ基を定量し、キトサンの脱アセチル化度を求める。脱アセチル化度の測定方法の一例を以下に示す。

0020

(1)滴定試験
0.5質量%酢酸水溶液にキトサン純分濃度が0.5質量%となるようにキトサンを添加し、キトサンを撹拌及び溶解して100gの0.5質量%キトサン/0.5質量%酢酸水溶液を調製する。次に、この溶液10gとイオン交換水90gを撹拌混合して、0.05質量%のキトサン溶液を調製する。さらに、この0.05質量%キトサン溶液10gにイオン交換水50mL、トルイジンブルー溶液約0.2mLを添加して試料溶液を調製し、ポリビニル硫酸カリウム溶液(N/400PVSK)にて滴定する。滴定速度は2〜5ml/分とし、試料溶液が青から赤紫色に変色後、30秒間以上保持する点を終点の滴定量とする。なお、キトサン純分とは、原料キトサン試料中のキトサンの質量を意味する。具体的には、原料キトサン試料を105℃で2時間乾燥して求められる固形分質量である。

0021

(2)空試験
上記の滴定試験に使用した0.5質量%キトサン/0.5質量%酢酸水溶液に代えて、イオン交換水を使用し、同様の滴定試験を行う。

0022

(3)アセチル化度の計算
X=1/400×161×f×(V−B)/1000
=0.4025×f×(V−B)/1000
Y=0.5/100−X
X:キトサン中の遊離アミノ基質量(グルコサミン残基質量に相当)
Y:キトサン中の結合アミノ基質量(N−アセチルグルコサミン残基質量に相当)
f:N/400PVSKの力価
V:試料溶液の滴定量(mL)
B:空試験滴定量(mL)
脱アセチル化度(%)
=(遊離アミノ基)/{(遊離アミノ基)+(結合アミノ基)}×100
=(X/161)/(X/161+Y/203)×100
なお、「161」はグルコサミン残基の分子量、「203」はN−アセチルグルコサミン残基の分子量である。

0023

(工程(2))
工程(2)では、工程(1)で得た粉末成分の水分量を調整するとともに、運動エネルギーを付与して、下記式(2)で表される含水率(2)が50質量%以下である含水原料を得る。粉末成分と水を混合する、又は乾燥等により粉末成分から水を除去することで、粉末成分の水分量を調整することができる。さらに、水を含む粉末成分に撹拌等により運動エネルギーを付与することで、粉末成分(キトサン粒子)の粒子表面を処理することができる。なお、工程(2)や、後述する工程(3)を実施することなく、粗体原料をカッターミルやジェットミル等によって粉砕処理して得た粉末成分をそのまま用いて圧縮成形すると、得られる圧縮成形物が水中で分散しにくくなり、分散時間が長くなる。
含水率(2)(%)={W2/(P2+W2)}×100 ・・・(2)
P2:粉末成分の量(g)
W2:水の量(g)

0024

含水原料の含水率(2)が50質量%超であると、粉末成分と水を含む混合物がひと纏まりになりやすい。このため、比較的粒径の大きな粉末成分(例えば、目開き180μmのメッシュを通過しない粉末成分)の割合が多くなり、歩留まりが低下することがある。さらに、得られる圧縮成形物の硬度を高く保つことが困難になる場合がある。

0025

粉末成分と水を混合するには、混合機を用いることができる。混合機の種類は特に限定されないが、例えば、ニーダー円筒型混合機、V型混合機、スクリュー型混合機などを用いることができる。

0026

粉末成分と水を混合した後には、加熱条件下で撹拌して含水原料を得ることが好ましい。粉末成分と水を含む混合物を加熱条件下で撹拌すると、粉末成分の粒子表面をより良好な状態とするまでに要する時間を短くすることが可能である。

0027

(工程(3))
工程(3)では、工程(2)で得た含水原料を乾燥して乾燥粉末を得る。前述の式(2)で表される乾燥粉末の含水率(2)は、15質量%以下、好ましくは10質量%以下とする。含水原料を乾燥して得られる乾燥粉末の含水率(2)が15質量%超であると、長期保管した際に、メイラード反応等による着色及び低分子化反応が起こりやすくなる。

0028

含水原料は、加熱条件下で乾燥してもよく、減圧条件下で乾燥してもよい。なお、含水原料を加熱条件下で乾燥すると、非加熱条件下で乾燥する場合と比べて、乾燥時間を短縮することができる。

0029

(工程(4))
工程(4)では、工程(3)で得た乾燥粉末を10質量%以上含有する成形原料を圧縮成形する。これにより、易分散性圧縮成形物を得ることができる。圧縮成形する際には、工程(3)で得た乾燥粉末のみを成形原料として用いてもよく、乾燥粉末以外のその他の成分を配合した成形原料を用いてもよい。その他の成分としては、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、着色剤着香剤矯味剤矯臭剤乳化剤分散剤防腐剤などの、一般的な錠剤を構成するために用いられる各種成分を挙げることができる。また、圧縮成形物は、打錠機などの一般的な錠剤成型機により成形原料を圧縮することによって製造することができる。

0030

賦形剤としては、例えば、結晶セルロース、プルランブドウ糖グアーガムキサンタンガムソルビトールマンニトール澱粉デキストリン乳糖還元麦芽糖エリスリトールキシリトールアルギン酸ナトリウムメチルセルロースエチルセルロースアラビアガムヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどを挙げることができる。また、水と混合する前のキチン粉砕物やキトサン粉砕物を賦形剤として使用することもできる。キトサン粉砕物等を圧縮成形すると、繊維の絡まりによって硬度が非常に高くなる。このため、そのような特性を生かし、キトサン粉砕物等を賦形剤として利用することができる。具体的には、水と混合した後に乾燥したキトサン処理物等と、水と混合していないキトサン粉砕物等を混合することで、得られる錠剤の硬度と水中崩壊性のバランスを制御することができる。

0031

滑沢剤としては、例えば、卵殻粉末、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウムステアリン酸カルシウム、タルク、ポリビニルピロリドン植物硬化油などを挙げることができる。

0033

また、圧縮成形後にセラック等のコーティング剤を用いてコーティングし、コーティング錠剤としてもよい。コーティング剤の量は特に限定されないが、圧縮成形物に対して0.1〜2.0質量%とすることが好ましい。コーティング方法としては、コーティング剤を圧縮成形物に噴霧して乾燥させる方法や、糖衣機などを使用する方法などがある。

0034

成形原料(圧縮成形物)に含まれる、全固形分に占める乾燥粉末の割合は、10質量%以上、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上とする。全固形分に占める乾燥粉末の割合が10質量%未満であると、圧縮成形物に含まれるキトサン等の有効成分の量が少ない。なお、圧縮成形物中の全固形分に占める乾燥粉末の割合の上限については特に限定されず、100質量%(すなわち、固形分のすべてがキトサン等の乾燥粉末)であってもよい。

0035

(圧縮成形物の物性)
乾燥粉末を含有する成形原料を、例えば、圧縮機を用いて2tfの圧縮圧で圧縮成形して得られる、直径8mm、200mgの円柱形状の圧縮成形物の硬度は、好ましくは8kgf以上であり、さらに好ましくは10kgf以上である。すなわち、本発明の製造方法によって製造される圧縮成形物は硬度が十分に高いため、輸送時や保管時に包装内で割れ、欠け、摩損等の不具合が発生しにくい。本明細書における圧縮成形物の硬度は、錠剤硬度計(例えば、商品名「モンサント錠剤硬度計B型」、富士理化工業社製)を使用し、圧縮成形物を水平方向に圧縮破断する際に要した荷重(単位;kgf)である。なお、各処方につき5回測定した平均値を圧縮成形物の硬度とした。

0036

本発明の製造方法によって製造される圧縮成形物の37℃の水中における分散時間は、好ましくは120秒以内であり、さらに好ましくは60秒以内、特に好ましくは30秒以内である。すなわち、本発明の製造方法によって製造される圧縮成形物は、一定以上の硬度を保ちながらも水中で素早く分散しうる、分散性に優れたものである。このため、本発明の製造方法によって製造される成形物は、輸送時や保管時に包装内で割れ、欠け、摩損等の不具合が生じがたいとともに、水中での分散性が良好であるので、例えば、経口用錠剤、口腔内崩壊錠剤チュアブル錠剤分散錠剤、健康食品農業用資材家畜用飼料化粧料凝集剤等として好適である。なお、圧縮成形物の分散時間は、以下に示す手順にしたがって測定される値(単位:秒)である。
[分散時間の測定]
100mLビーカーに37℃の水を約80mL入れ、2cmのマグネットスターラーにて400rpmの回転速度で撹拌しつつ、水面より2cmの高さから圧縮成形物を投入する。圧縮成形物が水と接触してから、膨潤及び分散し、圧縮成形物の原形目視で確認できなくなるまでの時間を5回測定し、その平均値を分散時間(単位:秒)とする。なお、水以外の液媒体(例えば、水を含有する親水性溶媒)を用いる場合であっても、同様の条件で分散時間を測定することができる。

0037

次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下、「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。

0038

<粉末の調製>
(製造例1)
重量平均分子量100万のキトサン粗体(脱アセチル化度86%、含水率(1)20%)をジェットミルで粉砕し、目開き180μmのメッシュを通過する粒度のキトサン粉末を得た。得られたキトサン粉末をニーダーに入れた後、含水率(2)が20%となるように調整した。ニーダーの蓋をした状態で80℃に加熱して1時間撹拌した後、蓋を開けた状態とし、80℃の加熱と撹拌を継続しながら乾燥させて、含水率(2)が7%であるキトサン粉末(乾燥粉末)を得た。

0039

(製造例2〜10)
表1−1及び1−2に示す条件としたこと以外は、製造例1と同様にしてキトサン粉末(乾燥粉末)を得た。

0040

0041

0042

<圧縮成形物の製造>
(実施例1)
打錠機(商品名「HANDTAB−100」、市橋精機社製、臼の直径:8mm)を使用し、製造例1で得たキトサン粉末200mgに2tfの圧縮圧をかけて圧縮成形物を得た。

0043

(実施例2〜8、比較例1〜4)
表2に示す種類及び量のキトサン粉末、結晶セルロース(商品名「Comprecel」(伏見製薬所社製)、食品添加物)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして圧縮成形物を得た。

0044

<評価>
(硬度の測定)
錠剤硬度計(商品名「モンサント錠剤硬度計B型」、富士理化工業社製)を使用し、圧縮成形物を水平方向に圧縮破断する際に要した荷重(単位;kgf)を測定した。各処方につき5回測定した荷重の平均値を硬度とした。結果を表2に示す。

0045

(分散時間の測定)
100mLビーカーに37℃の水を約80mL入れ、2cmのマグネットスターラーを用いて400rpmの回転速度で撹拌した。次いで、水面から2cmの高さから圧縮成形物を投入し、圧縮成形物が水と接触してから、膨潤及び分散して圧縮成形物の原形が目視で確認できなくなるまでの時間を5回測定し、その平均値を分散時間(単位:秒)とした。結果を表2に示す。

実施例

0046

0047

本発明の製造方法によって製造される易分散性圧縮成形物は、例えば、口腔内崩壊錠剤として有用である。

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