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課題

ペプチドの血中滞留性を増強させる手段を提供する。

解決手段

リンカーを介してグリコサミノグリカンとペプチドを結合させてグリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体を形成することにより、ペプチドの血中滞留性を増強する。

概要

背景

グリコサミノグリカン糖鎖の1種であり、アミノ糖を含む二糖が繰り返し重合した構造を骨格として有する直鎖状多糖である。コンドロイチンヘパロサンは、どちらもグリコサミノグリカンの1種である。コンドロイチンは、グルクロン酸(GlcUA)とN−アセチルガラクトサミン(GalNAc)からなる二糖が繰り返し重合した構造[→4)−β−GlcUA−(1→3)−β−GalNAc−(1→]を骨格とする多糖である。ヘパロサンは、グルクロン酸(GlcUA)とN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)からなる二糖が繰り返し重合した構造[→4)−β−GlcUA−(1→4)−α−GlcNAc−(1→]を骨格とする多糖である。

特許文献1には、「コンドロイチン生産能を有する微生物によって生産されたコンドロイチンおよび/またはコンドロイチン合成酵素によって合成されたコンドロイチンをタンパク質に結合させて複合体を形成させることにより、当該タンパク質の血中滞留性を著しく増強できること」が記載されている。

特許文献2には、「ヘパロサンと薬剤の複合体」が記載されている。当該文献は、「薬剤の薬物動態血中半減期等)を改善する技術を提供すること」を課題としている。ここで当該文献には、「ヘパロサンと薬剤は、リンカーを介して結合していてもよい」と記載されている。また当該文献においては、「リンカーは任意の鎖長であってよい」と記載されている。

特許文献3には、「少なくとも1個のアミノ酸糖鎖付加アミノ酸で置換された糖鎖付加GLP−1ペプチド」が記載されている。当該文献は、「GLP−1と比べて、血中安定性が増大しており、さらに好ましくは、高い血糖値抑制活性を示す、糖鎖付加GLP−1ペプチドを提供すること」を課題としている。ここで当該文献には、「糖鎖とアミノ酸とは、リンカーを介して結合していてもよい」と記載されている。また当該文献においては、「リンカーを介さない場合とリンカーを介する場合とで、糖鎖付加GLP−1ペプチドの血糖値上昇抑制活性に大きな違いはみられない」と記載されている。

特許文献1には、コンドロイチンとタンパク質を結合させるための手段としてリンカーを用いることについての開示や示唆がない。また、特許文献2にはヘパロサンと薬剤を、特許文献3には糖鎖とGLP−1ペプチドを、それぞれ結合させるための手段としてリンカーを用いる態様が開示されているが、リンカーの構造によって血中滞留性が変化し得ることについての開示も示唆もない。

概要

ペプチドの血中滞留性を増強させる手段を提供する。リンカーを介してグリコサミノグリカンとペプチドを結合させてグリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体を形成することにより、ペプチドの血中滞留性を増強する。

目的

当該文献は、「GLP−1と比べて、血中安定性が増大しており、さらに好ましくは、高い血糖値抑制活性を示す、糖鎖付加GLP−1ペプチドを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

リンカーを介してグリコサミノグリカンペプチドを結合させてグリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体を形成させる工程を含む、ペプチドの血中滞留性を増強させる方法。

請求項2

リンカーが、下記一般式(L1)〜(L5)のいずれかに示される構造を有する、請求項1に記載の方法。−A1−(L1)(式中、A1は炭素数1以上のアルキレン基を表す。)−A1−Y1−A2−(L2)(式中、A1及びA2はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、Y1は任意の結合を表す。)−A1−Y1−A2−Y2−A3−(L3)(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立して任意の結合を表す。)−A1−Y1−A2−Ph−A3−(L4)(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、A2及びA3はそれぞれ独立して存在してもしなくてもよく、Y1は任意の結合を表し、Phはフェニレン基を表す。)−A1−Y1−A2−cHex−A3−(L5)(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、A2及びA3はそれぞれ独立して存在してもしなくてもよく、Y1は任意の結合を表し、cHexはシクロヘキシレン基を表す。)

請求項3

リンカーが、下記一般式(L6)〜(L10)のいずれかに示される構造を有する、請求項1に記載の方法。Z1−A1−(L6)(式中、A1は炭素数1以上のアルキレン基を表し、Z1は任意の官能基を表す。)Z1−A1−Y1−A2−(L7)(式中、A1及びA2はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、Y1は任意の結合を表し、Z1は任意の官能基を表す。)Z1−A1−Y1−A2−Y2−A3−(L8)(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立して任意の結合を表し、Z1は任意の官能基を表す。)Z1−A1−Y1−A2−Ph−A3−(L9)(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、A2及びA3はそれぞれ独立して存在してもしなくてもよく、Y1は任意の結合を表し、Z1は任意の官能基を表し、Phはフェニレン基を表す。)Z1−A1−Y1−A2−cHex−A3−(L10)(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、A2及びA3はそれぞれ独立して存在してもしなくてもよく、Y1は任意の結合を表し、Z1は任意の官能基を表し、cHexはシクロヘキシレン基を表す。)

請求項4

リンカーが、下記一般式(L11)〜(L15)のいずれかに示される構造を有する、請求項1に記載の方法。Z1−A1−Z2(L11)(式中、A1は炭素数1以上のアルキレン基を表し、Z1及びZ2はそれぞれ独立して任意の官能基を表す。)Z1−A1−Y1−A2−Z2(L12)(式中、A1及びA2はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、Y1は任意の結合を表し、Z1及びZ2はそれぞれ独立して任意の官能基を表す。)Z1−A1−Y1−A2−Y2−A3−Z2(L13)(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立して任意の結合を表し、Z1及びZ2はそれぞれ独立して任意の官能基を表す。)Z1−A1−Y1−A2−Ph−A3−Z2(L14)(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、A2及びA3はそれぞれ独立して存在してもしなくてもよく、Y1は任意の結合を表し、Z1及びZ2はそれぞれ独立して任意の官能基を表し、Phはフェニレン基を表す。)Z1−A1−Y1−A2−cHex−A3−Z2(L15)(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、A2及びA3はそれぞれ独立して存在してもしなくてもよく、Y1は任意の結合を表し、Z1及びZ2はそれぞれ独立して任意の官能基を表し、cHexはシクロヘキシレン基を表す。)

請求項5

Y1及びY2が、それぞれ独立して下記一般式(Y1)〜(Y12)のいずれかに示される構造を有する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。−N=CH−(Y1)−CH=N−(Y2)−NH−CH2−(Y3)—CH2−NH−(Y4)−NH−CO−(Y5)−CO−NH−(Y6)−S−(Y7)−S−S−(Y8)−CO−CH2−S−(Y9)−S−CH2−CO−(Y10)−Suc−S−(Y11)(式中、Sucは1,3−ピロリジン−2,5−ジオン基を表す。)−S−Suc−(Y12)(式中、Sucは1,3−ピロリジン−2,5−ジオン基を表す。)

請求項6

Z1及びZ2が、それぞれ独立して下記一般式(Z1)〜(Z7)のいずれかに示される構造を有する、請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法。−NH2(Z1)−SH(Z2)−CHO(Z3)−CO−CH2−X(Z4)(式中、Xは任意のハロゲン原子を表す。)−N=C=S(Z5)−Mal(Z6)(式中、MalはN−マレイミド基を表す。)−CO−O−Su(Z7)(式中、SuはN−スクシンイミジル基又は3−スルホ−N−スクシンイミジル基を表す。)

請求項7

ペプチドが、下記(A)〜(D)からなる群より選択されるペプチドである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。(A)下記(a)に示されるGLP−1(7−37)のアミノ酸配列を含むペプチド。(a)HAGTFTSDVSSLEQAKEFIAWLVKGRG(GLP−1(7−37))(B)下記(b1)〜(b3)からなる群より選択されるGLP−1(7−37)のアナログのアミノ酸配列を含むペプチド。(b1)HGEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGRC(GLP−1C)(b2)HGEGTFTSDVSSYLEGQAAREFIAWLVKGRG(GLP−1RK)(b3)HAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGRC(GLP−1oriC)(C)前記(a)および(b1)〜(b3)のいずれかに示されるアミノ酸配列において、1又は数個アミノ酸残基置換欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、血糖抑制作用を有する、ペプチド。(D)前記(a)および(b1)〜(b3)のいずれかに示されるアミノ酸配列に対して80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、血糖抑制作用を有する、ペプチド。

請求項8

ペプチドが、下記(A)に示されるペプチド及び下記(B)に示されるペプチドを含むペプチド多量体であって、血糖抑制作用を有するペプチド多量体である、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。(A)下記(a1)に示されるインスリンA鎖のアミノ酸配列を含むペプチド、又は下記(a2)若しくは(a3)に示されるアミノ酸配列を含むペプチド。(a1)GIVEQCCTSICSLYQLENYCN(a2)前記(a1)に示されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列。(a3)前記(a1)に示されるアミノ酸配列に対して80%以上の同一性を有するアミノ酸配列。(B)下記(b1)に示されるインスリンB鎖のアミノ酸配列を含むペプチド、又は下記(b2)若しくは(b3)に示されるアミノ酸配列を含むペプチド。(b1)FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFTPKT(b2)前記(b1)に示されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列。(b3)前記(b1)に示されるアミノ酸配列に対して80%以上の同一性を有するアミノ酸配列。

請求項9

請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法を行う工程を含む、血中滞留性が増強されたペプチドの製造方法。

請求項10

Z1−L−Gで示される構造を有する、グリコサミノグリカンの誘導体。(式中、Z1は任意の官能基を表し、Lはリンカーを表し、Gはグリコサミノグリカンを表す。)

請求項11

請求項10に記載の誘導体を含有する、ペプチドの血中滞留性を増強するための増強剤

請求項12

P−L−Gで示される構造を有する、グリコサミノグリカンとペプチドの複合体。(式中、Pはペプチドを表し、Lはリンカーを表し、Gはグリコサミノグリカンを表す。)

請求項13

請求項12に記載の複合体を含有する、医薬組成物

請求項14

請求項12に記載の複合体を含有する、ペプチド製剤

請求項15

炭素数が1以上のアルキレン基を含む構造を有するリンカーであって、これを介してグリコサミノグリカンとペプチドを結合させてペプチドの血中滞留性を増強するために用いられるリンカー。

技術分野

0001

本発明は、ペプチドの血中滞留性を増強させる技術に関する。

背景技術

0002

グリコサミノグリカン糖鎖の1種であり、アミノ糖を含む二糖が繰り返し重合した構造を骨格として有する直鎖状多糖である。コンドロイチンヘパロサンは、どちらもグリコサミノグリカンの1種である。コンドロイチンは、グルクロン酸(GlcUA)とN−アセチルガラクトサミン(GalNAc)からなる二糖が繰り返し重合した構造[→4)−β−GlcUA−(1→3)−β−GalNAc−(1→]を骨格とする多糖である。ヘパロサンは、グルクロン酸(GlcUA)とN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)からなる二糖が繰り返し重合した構造[→4)−β−GlcUA−(1→4)−α−GlcNAc−(1→]を骨格とする多糖である。

0003

特許文献1には、「コンドロイチン生産能を有する微生物によって生産されたコンドロイチンおよび/またはコンドロイチン合成酵素によって合成されたコンドロイチンをタンパク質に結合させて複合体を形成させることにより、当該タンパク質の血中滞留性を著しく増強できること」が記載されている。

0004

特許文献2には、「ヘパロサンと薬剤の複合体」が記載されている。当該文献は、「薬剤の薬物動態血中半減期等)を改善する技術を提供すること」を課題としている。ここで当該文献には、「ヘパロサンと薬剤は、リンカーを介して結合していてもよい」と記載されている。また当該文献においては、「リンカーは任意の鎖長であってよい」と記載されている。

0005

特許文献3には、「少なくとも1個のアミノ酸糖鎖付加アミノ酸で置換された糖鎖付加GLP−1ペプチド」が記載されている。当該文献は、「GLP−1と比べて、血中安定性が増大しており、さらに好ましくは、高い血糖値抑制活性を示す、糖鎖付加GLP−1ペプチドを提供すること」を課題としている。ここで当該文献には、「糖鎖とアミノ酸とは、リンカーを介して結合していてもよい」と記載されている。また当該文献においては、「リンカーを介さない場合とリンカーを介する場合とで、糖鎖付加GLP−1ペプチドの血糖値上昇抑制活性に大きな違いはみられない」と記載されている。

0006

特許文献1には、コンドロイチンとタンパク質を結合させるための手段としてリンカーを用いることについての開示や示唆がない。また、特許文献2にはヘパロサンと薬剤を、特許文献3には糖鎖とGLP−1ペプチドを、それぞれ結合させるための手段としてリンカーを用いる態様が開示されているが、リンカーの構造によって血中滞留性が変化し得ることについての開示も示唆もない。

先行技術

0007

国際公開第2015/046602号
米国特許出願公開第2015/0118185号明細書
国際公開第2009/153960号

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、ペプチドの血中滞留性を増強させる技術を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0009

特許文献1〜3より明らかなように、当技術分野においてリンカーは、糖鎖と薬剤(ペプチド等)を結合させるための手段の一つとして使用可能であると認識されるにとどまっていた。すなわち、当業者はグリコサミノグリカンを用いてペプチドの血中滞留性を増強させるためにはリンカーを用いることが好ましいとの着想を有しておらず、当技術分野においては、糖鎖とペプチドを結合するために用いるリンカーの構造がペプチドの血中滞留性に影響するとは認識されていなかった。

0010

本発明者らは、ペプチドの血中滞留性を増強させる手段についての検討を鋭意行った。その結果、本発明者らは、リンカーを介してコンドロイチンやヘパロサン等のグリコサミノグリカンとペプチドを結合させることにより、ペプチドの血中滞留性を増強できることを見出した。また、本発明者らは、特に、特定の構造を有するリンカーを採用することにより、ペプチドの血中滞留性を顕著に増強できることを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。

0011

前記課題は、以下の態様を包含する本発明によって解決される。
[A1]
リンカーを介してグリコサミノグリカンとペプチドを結合させてグリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体を形成させる工程を含む、ペプチドの血中滞留性を増強させる方法。
[A2]
リンカーが、下記一般式(L1)〜(L5)のいずれかに示される構造を有する、前記[A1]に記載の方法。
−A1− (L1)
(式中、A1は炭素数1以上のアルキレン基を表す。)
−A1−Y1−A2− (L2)
(式中、A1及びA2はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、Y1は任意の結合を表す。)
−A1−Y1−A2−Y2−A3− (L3)
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立して任意の結合を表す。)
−A1−Y1−A2−Ph−A3− (L4)
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、A2及びA3はそれぞれ独立して存在してもしなくてもよく、Y1は任意の結合を表し、Phはフェニレン基を表す。)
−A1−Y1−A2−cHex−A3− (L5)
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、A2及びA3はそれぞれ独立して存在してもしなくてもよく、Y1は任意の結合を表し、cHexはシクロヘキシレン基を表す。)
[A3]
リンカーが、下記一般式(L6)〜(L10)のいずれかに示される構造を有する、前記[A1]に記載の方法。
Z1−A1− (L6)
(式中、A1は炭素数1以上のアルキレン基を表し、Z1は任意の官能基を表す。)
Z1−A1−Y1−A2− (L7)
(式中、A1及びA2はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、Y1は任意の結合を表し、Z1は任意の官能基を表す。)
Z1−A1−Y1−A2−Y2−A3− (L8)
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、
Y1及びY2はそれぞれ独立して任意の結合を表し、Z1は任意の官能基を表す。)
Z1−A1−Y1−A2−Ph−A3− (L9)
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、A2及びA3はそれぞれ独立して存在してもしなくてもよく、Y1は任意の結合を表し、Z1は任意の官能基を表し、Phはフェニレン基を表す。)
Z1−A1−Y1−A2−cHex−A3− (L10)
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、A2及びA3はそれぞれ独立して存在してもしなくてもよく、Y1は任意の結合を表し、Z1は任意の官能基を表し、cHexはシクロヘキシレン基を表す。)
[A4]
リンカーが、下記一般式(L11)〜(L15)のいずれかに示される構造を有する、前記[A1]に記載の方法。
Z1−A1−Z2 (L11)
(式中、A1は炭素数1以上のアルキレン基を表し、Z1及びZ2はそれぞれ独立して任意の官能基を表す。)
Z1−A1−Y1−A2−Z2 (L12)
(式中、A1及びA2はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、Y1は任意の結合を表し、Z1及びZ2はそれぞれ独立して任意の官能基を表す。)
Z1−A1−Y1−A2−Y2−A3−Z2 (L13)
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立して任意の結合を表し、Z1及びZ2はそれぞれ独立して任意の官能基を表す。)
Z1−A1−Y1−A2−Ph−A3−Z2 (L14)
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、A2及びA3はそれぞれ独立して存在してもしなくてもよく、Y1は任意の結合を表し、Z1及びZ2はそれぞれ独立して任意の官能基を表し、Phはフェニレン基を表す。)
Z1−A1−Y1−A2−cHex−A3−Z2 (L15)
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、A2及びA3はそれぞれ独立して存在してもしなくてもよく、Y1は任意の結合を表し、Z1及びZ2はそれぞれ独立して任意の官能基を表し、cHexはシクロヘキシレン基を表す。)
[A5]
Y1及びY2が、それぞれ独立して下記一般式(Y1)〜(Y12)のいずれかに示される構造を有する、前記[A2]〜[A4]のいずれかに記載の方法。
−N=CH− (Y1)
−CH=N− (Y2)
−NH−CH2− (Y3)
—CH2−NH− (Y4)
−NH−CO− (Y5)
−CO−NH− (Y6)
−S− (Y7)
−S−S− (Y8)
−CO−CH2−S− (Y9)
−S−CH2−CO− (Y10)
−Suc−S− (Y11)
(式中、Sucは1,3−ピロリジン−2,5−ジオン基を表す。)
−S−Suc− (Y12)
(式中、Sucは1,3−ピロリジン−2,5−ジオン基を表す。)
[A6]
Z1及びZ2が、それぞれ独立して下記一般式(Z1)〜(Z7)のいずれかに示され
る構造を有する、前記[A3]〜[A5]のいずれかに記載の方法。
−NH2 (Z1)
−SH (Z2)
−CHO (Z3)
−CO−CH2−X (Z4)
(式中、Xは任意のハロゲン原子を表す。)
−N=C=S (Z5)
−Mal (Z6)
(式中、MalはN−マレイミド基を表す。)
−CO−O−Su (Z7)
(式中、SuはN−スクシンイミジル基又は3−スルホ−N−スクシンイミジル基を表す。)
[A7]
リンカーとペプチドの結合が、リンカーとペプチドのアミノ酸残基との結合である、前記[A1]〜[A6]のいずれかに記載の方法。
[A8]
リンカーとペプチドの結合が、リンカーとペプチドのリジン残基システイン残基N末端のアミノ酸残基、及び/又はC末端のアミノ酸残基との結合である、前記[A1]〜[A6]のいずれかに記載の方法。
[A9]
リンカーとペプチドのリジン残基との結合が、リンカーとペプチドのリジン残基のε−アミノ基との結合である、前記[A8]に記載の方法。
[A10]
リンカーとペプチドのシステイン残基との結合が、リンカーとペプチドのシステイン残基のチオール基との結合である、前記[A8]に記載の方法。
[A11]
リンカーとペプチドのN末端のアミノ酸残基との結合が、リンカーとペプチドのN末端のアミノ酸残基のα−アミノ基との結合である、前記[A8]に記載の方法。
[A12]
リンカーとペプチドの結合が、リンカーの官能基Z1とペプチドの官能基の反応により形成される結合である、前記[A3]〜[A11]のいずれかに記載の方法。
[A13]
リンカーとグリコサミノグリカンの結合が、リンカーとグリコサミノグリカンの糖残基との結合である、前記[A1]〜[A12]のいずれかに記載の方法。
[A14]
リンカーとグリコサミノグリカンの結合が、リンカーとグリコサミノグリカンの還元末端の糖残基との結合である、前記[A1]〜[A12]のいずれかに記載の方法。
[A15]
リンカーとグリコサミノグリカンの結合が、リンカーとグリコサミノグリカンの還元末端の糖残基の1位の炭素原子との結合である、前記[A1]〜[A12]のいずれかに記載の方法。
[A16]
糖残基が、グルコサミン残基ガラクトサミン残基、又はグルクロン酸残基である、前記[A13]〜[A15]のいずれかに記載の方法。
[A17]
グルコサミン残基が、N−アセチルグルコサミン残基である、前記[A16]に記載の方法。
[A18]
ガラクトサミン残基が、N−アセチルガラクトサミン残基である、前記[A16]に記載の方法。
[A19]
リンカーとグリコサミノグリカンの結合が、リンカーの官能基Z2とグリコサミノグリカンの官能基の反応により形成される結合である、前記[A4]〜[A18]のいずれかに記載の方法。
[A20]
グリコサミノグリカンが、コンドロイチン及び/又はヘパロサンである、前記[A1]〜[A19]のいずれかに記載の方法。
[A21]
リンカーとペプチドの結合およびリンカーとグリコサミノグリカンの結合が、共有結合である、前記[A1]〜[A20]のいずれかに記載の方法。
[B1]
ペプチドが、下記(A)〜(D)からなる群より選択されるペプチドである、前記[A1]〜[A21]のいずれかに記載の方法。
(A)下記(a)に示されるGLP−1(7−37)のアミノ酸配列を含むペプチド。
(a)HAGTFTSDVSSLEQAKEFIAWLVKGRG(GLP−1(7−37))
(B)下記(b1)〜(b3)からなる群より選択されるGLP−1(7−37)のアナログのアミノ酸配列を含むペプチド。
(b1)HGEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGRC(GLP−1C)
(b2)HGEGTFTSDVSSYLEGQAAREFIAWLVKGRG(GLP−1RK)
(b3)HAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGRC(GLP−1oriC)
(C)前記(a)および(b1)〜(b3)のいずれかに示されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、血糖抑制作用を有する、ペプチド。
(D)前記(a)および(b1)〜(b3)のいずれかに示されるアミノ酸配列に対して80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、血糖抑制作用を有する、ペプチド。
[B2]
リンカーが、前記一般式(L1)〜(L15)のいずれかに示される構造を有するリンカーであり、式中、A1が炭素数8、9、10、11、12、13、又は14のアルキレン基である、前記[B1]に記載の方法。
[B3]
リンカーとペプチドの結合が、リンカーと前記[B1]における(A)〜(D)のいずれかに示されるペプチドの26位のリジン残基、34位のリジン残基、37位のシステイン残基、及び/又はC末端のアミノ酸残基との結合である、前記[B1]又は[B2]に記載の方法。
[C1]
ペプチドが、下記(A)に示されるペプチド及び下記(B)に示されるペプチドを含むペプチド多量体であって、血糖抑制作用を有するペプチド多量体である、前記[A1]〜[A21]のいずれかに記載の方法。
(A)下記(a1)に示されるインスリンA鎖のアミノ酸配列を含むペプチド、又は下記(a2)若しくは(a3)に示されるアミノ酸配列を含むペプチド。
(a1)GIVEQCCTSICSLYQLENYCN
(a2)前記(a1)に示されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列。
(a3)前記(a1)に示されるアミノ酸配列に対して80%以上の同一性を有するアミノ酸配列。
(B)下記(b1)に示されるインスリンB鎖のアミノ酸配列を含むペプチド、又は下記
(b2)若しくは(b3)に示されるアミノ酸配列を含むペプチド。
(b1)FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFTPKT
(b2)前記(b1)に示されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列。
(b3)前記(b1)に示されるアミノ酸配列に対して80%以上の同一性を有するアミノ酸配列。
[C2]
リンカーが、前記一般式(L1)〜(L15)のいずれかに示される構造を有するリンカーであり、式中、A1が炭素数1、2、3、4、5、又は6のアルキレン基である、前記[C1]に記載の方法。
[C3]
リンカーとペプチドの結合が、リンカーと前記[C1]における(B)に示されるペプチドの29位のリジン残基、及び/又は前記[C1]における(A)に示されるペプチドのN末端のアミノ酸残基である、前記[C1]又は[C2]に記載の方法。
[C4]
ペプチド多量体が、前記[C1]における(A)に示されるペプチド及び前記[C1]における(B)に示されるペプチドからなるペプチド二量体であって、血糖抑制作用を有するペプチド二量体である、前記[C1]〜[C3]のいずれかに記載の方法。
[D1]
前記[A1]〜[A21]、[B1]〜[B3]、又は[C1]〜[C4]のいずれかに記載の方法を行う工程を含む、血中滞留性が増強されたペプチドの製造方法。
[D2]
前記[B1]〜[B3]のいずれかに記載の方法を行う工程を含む、血中滞留性が増強されたGLP−1誘導体の製造方法。
[D3]
前記[C1]〜[C4]のいずれかに記載の方法を行う工程を含む、血中滞留性が増強されたインスリン誘導体の製造方法。
[E1]
Z1−L−Gで示される構造を有する、グリコサミノグリカンの誘導体。
(式中、Z1は任意の官能基を表し、Lはリンカーを表し、Gはグリコサミノグリカンを表す。)
[E2]
Lが、前記一般式(L1)〜(L5)のいずれかに示される構造を有する、前記[E1]に記載の誘導体。
[E3]
Z1−Lが、前記一般式(L6)〜(L10)のいずれかに示される構造を有する、前記[E1]に記載の誘導体。
[E4]
Z1−L−Gが、下記一般式(L16)〜(L20)のいずれかに示される構造を有する、前記[E1]に記載の誘導体。
Z1−A1−G (L16)
(式中、A1は炭素数1以上のアルキレン基を表し、Z1は任意の官能基を表し、Gはグリコサミノグリカンを表す。)
Z1−A1−Y1−A2−G (L17)
(式中、A1及びA2はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、Y1は任意の結合を表し、Z1は任意の官能基を表し、Gはグリコサミノグリカンを表す。)
Z1−A1−Y1−A2−Y2−A3−G (L18)
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立して任意の結合を表し、Z1は任意の官能基を表し、Gはグリコサミノグリカンを表す。)
Z1−A1−Y1−A2−Ph−A3−G (L19)
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、A2及びA3はそれぞれ独立して存在してもしなくてもよく、Y1は任意の結合を表し、Z1は任意の官能基を表し、Phはフェニレン基を表し、Gはグリコサミノグリカンを表す。)
Z1−A1−Y1−A2−cHex−A3−G (L20)
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、A2及びA3はそれぞれ独立して存在してもしなくてもよく、Y1は任意の結合を表し、Z1は任意の官能基を表し、cHexはシクロヘキシレン基を表し、Gはグリコサミノグリカンを表す。)
[E5]
Y1及びY2が、それぞれ独立して前記一般式(Y1)〜(Y12)のいずれかに示される構造を有する、前記[E2]〜[E4]のいずれかに記載の誘導体。
[E6]
Z1が、前記一般式(Z1)〜(Z7)のいずれかに示される構造を有する、前記[E1]〜[E5]のいずれかに記載の誘導体。
[E7]
リンカーを介してグリコサミノグリカンとペプチドを結合させ、グリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体を形成させて、ペプチドの血中滞留性を増強させるために用いられる、前記[E1]〜[E6]のいずれかに記載の誘導体。
[E8]
リンカーとペプチドの結合が、リンカーとペプチドのアミノ酸残基との結合である、前記[E7]に記載の誘導体。
[E9]
リンカーとペプチドの結合が、リンカーとペプチドのリジン残基、システイン残基、N末端のアミノ酸残基、及び/又はC末端のアミノ酸残基との結合である、前記[E7]に記載の誘導体。
[E10]
リンカーとペプチドのリジン残基との結合が、リンカーとペプチドのリジン残基のε−アミノ基との結合である、前記[E9]に記載の誘導体。
[E11]
リンカーとペプチドのシステイン残基との結合が、リンカーとペプチドのシステイン残基のチオール基との結合である、前記[E9]に記載の誘導体。
[E12]
リンカーとペプチドのN末端のアミノ酸残基との結合が、リンカーとペプチドのN末端のアミノ酸残基のα−アミノ基との結合である、前記[E9]に記載の誘導体。
[E13]
リンカーとペプチドの結合が、リンカーの官能基Z1とペプチドの官能基の反応により形成される結合である、前記[E7]〜[E12]のいずれかに記載の誘導体。
[E14]
リンカーとグリコサミノグリカンの結合が、リンカーとグリコサミノグリカンの糖残基との結合である、前記[E1]〜[E13]のいずれかに記載の誘導体。
[E15]
リンカーとグリコサミノグリカンの結合が、リンカーとグリコサミノグリカンの還元末端の糖残基との結合である、前記[E1]〜[E13]のいずれかに記載の誘導体。
[E16]
リンカーとグリコサミノグリカンの結合が、リンカーとグリコサミノグリカンの還元末端の糖残基の1位の炭素原子との結合である、前記[E1]〜[E13]のいずれかに記載の誘導体。
[E17]
糖残基が、グルコサミン残基、ガラクトサミン残基、又はグルクロン酸残基である、前記[E14]〜[E16]のいずれかに記載の誘導体。
[E18]
グルコサミン残基が、N−アセチルグルコサミン残基である、前記[E17]に記載の誘導体。
[E19]
ガラクトサミン残基が、N−アセチルガラクトサミン残基である、前記[E17]に記載の誘導体。
[E20]
グリコサミノグリカンが、コンドロイチン及び/又はヘパロサンである、前記[E1]〜[E19]のいずれかに記載の誘導体。
[E21]
リンカーとグリコサミノグリカンの結合が、共有結合である、前記[E1]〜[E20]のいずれかに記載のグリコサミノグリカンの誘導体。
[E22]
リンカーとペプチドの結合が、共有結合である、前記[E7]〜[E21]のいずれかに記載のグリコサミノグリカンの誘導体。
[E23]
前記[A1]〜[A21]、[B1]〜[B3]、[C1]〜[C4]、又は[D1]〜[D3]のいずれかに記載の方法を行うために用いられる、前記[E1]〜[E22]のいずれかに記載の誘導体。
[E24]
前記[E1]〜[E23]のいずれかに記載の誘導体を含有する、ペプチドの血中滞留性を増強するための増強剤
[F1]
P−L−Gで示される構造を有する、グリコサミノグリカンとペプチドの複合体。
(式中、Pはペプチドを表し、Lはリンカーを表し、Gはグリコサミノグリカンを表す。)
[F2]
Lが、前記一般式(L1)〜(L5)のいずれかに示される構造を有する、前記[F1]に記載の複合体。
[F3]
P−Lが、下記一般式(L21)〜(L25)のいずれかに示される構造を有する、前記[F1]に記載の複合体。
P−A1− (L21)
(式中、A1は炭素数1以上のアルキレン基を表し、Pはペプチドを表す。)
P−A1−Y1−A2− (L22)
(式中、A1及びA2はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、Y1は任意の結合を表し、Pはペプチドを表す。)
P−A1−Y1−A2−Y2−A3− (L23)
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立して任意の結合を表し、Pはペプチドを表す。)
P−A1−Y1−A2−Ph−A3− (L24)
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、A2及びA3はそれぞれ独立して存在してもしなくてもよく、Y1は任意の結合を表し、Phはフェニレン基を表し、Pはペプチドを表す。)
P−A1−Y1−A2−cHex−A3− (L25)
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、A2及びA3はそれぞれ独立して存在してもしなくてもよく、Y1は任意の結合を表し、cHexはシクロヘキシレン基を表し、Pはペプチドを表す。)
[F4]
P−L−Gが、下記一般式(L26)〜(L30)のいずれかに示される構造を有する、前記[F1]に記載の複合体。
P−A1−G (L26)
(式中、A1は炭素数1以上のアルキレン基を表し、Pはペプチドを表し、Gはグリコサミノグリカンを表す。)
P−A1−Y1−A2−G (L27)
(式中、A1及びA2はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、Y1は任意の結合を表し、Pはペプチドを表し、Gはグリコサミノグリカンを表す。)
P−A1−Y1−A2−Y2−A3−G (L28)
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立して任意の結合を表し、Pはペプチドを表し、Gはグリコサミノグリカンを表す。)
P−A1−Y1−A2−Ph−A3−G (L29)
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、A2及びA3はそれぞれ独立して存在してもしなくてもよく、Y1は任意の結合を表し、Pはペプチドを表し、Phはフェニレン基を表し、Gはグリコサミノグリカンを表す。)
P−A1−Y1−A2−cHex−A3−G (L30)
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立して炭素数1以上のアルキレン基を表し、A2及びA3はそれぞれ独立して存在してもしなくてもよく、Y1は任意の結合を表し、Pはペプチドを表し、cHexはシクロヘキシレン基を表し、Gはグリコサミノグリカンを表す。)
[F5]
Y1及びY2が、それぞれ独立して前記一般式(Y1)〜(Y12)のいずれかに示される構造を有する、前記[F2]〜[F4]のいずれかに記載の複合体。
[F6]
ペプチドそのものと比較して血中滞留性が増強されている、前記[F1]〜[F5]のいずれかに記載の複合体。
[F7]
リンカーとペプチドの結合が、リンカーとペプチドのアミノ酸残基との結合である、前記[F1]〜[F6]
のいずれかに記載の複合体。
[F8]
リンカーとペプチドの結合が、リンカーとペプチドのリジン残基、システイン残基、N末端のアミノ酸残基、及び/又はC末端のアミノ酸残基との結合である、前記[F1]〜[F6]のいずれかに記載の複合体。
[F9]
リンカーとペプチドのリジン残基との結合が、リンカーとペプチドのリジン残基のε−アミノ基との結合である、前記[F8]に記載の複合体。
[F10]
リンカーとペプチドのシステイン残基との結合が、リンカーとペプチドのシステイン残基のチオール基との結合である、前記[F8]に記載の複合体。
[F11]
リンカーとペプチドのN末端のアミノ酸残基との結合が、リンカーとペプチドのN末端のアミノ酸残基のα−アミノ基との結合である、前記[F8]に記載の複合体。
[F12]
リンカーとグリコサミノグリカンの結合が、リンカーとグリコサミノグリカンの糖残基との結合である、前記[F1]〜[F11]のいずれかに記載の複合体。
[F13]
リンカーとグリコサミノグリカンの結合が、リンカーとグリコサミノグリカンの還元
端の糖残基との結合である、前記[F1]〜[F11]のいずれかに記載の複合体。
[F14]
リンカーとグリコサミノグリカンの結合が、リンカーとグリコサミノグリカンの還元末端の糖残基の1位の炭素原子との結合である、前記[F1]〜[F11]のいずれかに記載の複合体。
[F15]
糖残基が、グルコサミン残基、ガラクトサミン残基、又はグルクロン酸残基である、前記[F12]〜[F14]のいずれかに記載の複合体。
[F16]
グルコサミン残基が、N−アセチルグルコサミン残基である、前記[F15]に記載の複合体。
[F17]
ガラクトサミン残基が、N−アセチルガラクトサミン残基である、前記[F15]に記載の複合体。
[F18]
グリコサミノグリカンが、コンドロイチン及び/又はヘパロサンである、前記[F1]〜[F17]のいずれかに記載の複合体。
[F19]
リンカーとペプチドの結合およびリンカーとグリコサミノグリカンの結合が、共有結合である、前記[F1]〜[F18]のいずれかに記載の複合体。
[F20]
グリコサミノグリカンとペプチドの複合体が、前記[D1]〜[D3]のいずれかに記載の方法を行うことにより得られる複合体である、前記[F1]〜[F19]のいずれかに記載の複合体。
[F21]
前記[F1]〜[F20]のいずれかに記載の複合体を含有する、医薬組成物
[F22]
前記[F1]〜[F20]のいずれかに記載の複合体を含有する、ペプチド製剤
[G1]
ペプチドが、前記[B1]における(A)〜(D)からなる群より選択されるペプチドである、前記[F1]〜[F20]のいずれかに記載の複合体。
[G2]
前記一般式(L1)〜(L5)または(L21)〜(L30)のいずれかに示される構造において、A1が炭素数8、9、10、11、12、13、又は14のアルキレン基である、前記[G1]に記載の複合体。
[G3]
リンカーとペプチドの結合が、リンカーと前記[B1]における(A)〜(D)のいずれかに示されるペプチドの26位のリジン残基、34位のリジン残基、37位のシステイン残基、及び/又はC末端のアミノ酸残基との結合である、前記[G1]又は[G2]に記載の複合体。
[G4]
前記[G1]〜[G3]のいずれかに記載の複合体を含有する、医薬組成物。
[G5]
前記[G1]〜[G3]のいずれかに記載の複合体を含有する、ペプチド製剤。
[G6]
前記[G1]〜[G3]のいずれかに記載の複合体を含有する、GLP−1製剤。
[H1]
ペプチドが、前記[C1]における(A)に示されるペプチド及び前記[C1]における(B)に示されるペプチドを含むペプチド多量体であって、血糖抑制作用を有するペプチド多量体である、前記[F1]〜[F20]のいずれかに記載の複合体。
[H2]
リンカーが、前記一般式(L1)〜(L5)または(L21)〜(L30)のいずれかに示される構造を有するリンカーであり、式中、A1が炭素数1、2、3、4、5、又は6のアルキレン基である、前記[H1]に記載の複合体。
[H3]
リンカーとペプチドの結合が、リンカーと前記[C1]における(B)に示されるペプチドの29位のリジン残基、及び/又は前記[C1]における(A)に示されるペプチドのN末端のアミノ酸残基との結合である、前記[H1]又は[H2]に記載の複合体。
[H4]
ペプチド多量体が、前記[C1]における(A)に示されるペプチド及び前記[C1]における(B)に示されるペプチドからなるペプチド二量体であって、血糖抑制作用を有するペプチド二量体である、前記[H1]〜[H3]のいずれかに記載の複合体。
[H5]
前記[H1]〜[H4]のいずれかに記載の複合体を含有する、医薬組成物。
[H6]
前記[H1]〜[H4]のいずれかに記載の複合体を含有する、ペプチド製剤。
[H7]
前記[H1]〜[H4]のいずれかに記載の複合体を含有する、インスリン製剤
[I1]
炭素数が1以上のアルキレン基を含む構造を有するリンカーであって、これを介してグリコサミノグリカンとペプチドを結合させてペプチドの血中滞留性を増強するために用いられるリンカー。
[I2]
リンカーが、前記一般式(L1)〜(L15)のいずれかに示される構造を有するリンカーである、前記[I1]に記載のリンカー。
[I3]
Y1及びY2が、それぞれ独立して前記一般式(Y1)〜(Y12)のいずれかに示される構造を有する、前記[I2]に記載のリンカー。
[I4]
Z1が、前記一般式(Z1)〜(Z7)のいずれかに示される構造を有する、前記[I2]又は[I3]に記載のリンカー。
[I5]
リンカーとペプチドの結合が、リンカーとペプチドのアミノ酸残基との結合である、前記[I1]〜[I4]のいずれかに記載のリンカー。
[I6]
リンカーとペプチドの結合が、リンカーとペプチドのリジン残基、システイン残基、N末端のアミノ酸残基、及び/又はC末端のアミノ酸残基との結合である、前記[I1]〜[I5]のいずれかに記載のリンカー。
[I7]
リンカーとペプチドのリジン残基との結合が、リンカーとペプチドのリジン残基のε−アミノ基との結合である、前記[I1]〜[I6]のいずれかに記載のリンカー。
[I8]
リンカーとペプチドのシステイン残基との結合が、リンカーとペプチドのシステイン残基のチオール基との結合である、前記[I1]〜[I7]のいずれかに記載のリンカー。[I9]
リンカーとペプチドのN末端のアミノ酸残基との結合が、リンカーとペプチドのN末端のアミノ酸残基のα−アミノ基との結合である、前記[I1]〜[I8]のいずれかに記載のリンカー。
[I10]
リンカーとペプチドの結合が、リンカーの官能基Z1とペプチドの官能基の反応により
形成される結合である、前記[I2]〜[I9]のいずれかに記載のリンカー。
[I11]
リンカーとグリコサミノグリカンの結合が、リンカーとグリコサミノグリカンの糖残基との結合である、前記[I1]〜[I10]のいずれかに記載のリンカー。
[I12]
リンカーとグリコサミノグリカンの結合が、リンカーとグリコサミノグリカンの還元末端の糖残基との結合である、前記[I1]〜[I11]のいずれかに記載のリンカー。
[I13]
リンカーとグリコサミノグリカンの結合が、リンカーとグリコサミノグリカンの還元末端の糖残基の1位の炭素原子との結合である、前記[I1]〜[I12]のいずれかに記載のリンカー。
[I14]
糖残基が、グルコサミン残基、ガラクトサミン残基、又はグルクロン酸残基である、前記[I11]〜[I13]のいずれかに記載のリンカー。
[I15]
グルコサミン残基が、N−アセチルグルコサミン残基である、前記[I14]に記載のリンカー。
[I16]
ガラクトサミン残基が、N−アセチルガラクトサミン残基である、前記[I14]に記載のリンカー。
[I17]
グリコサミノグリカンが、コンドロイチン及び/又はヘパロサンである、前記[I1]〜[I16]のいずれかに記載のリンカー。
[I18]
リンカーとペプチドの結合およびリンカーとグリコサミノグリカンの結合が、共有結合である、前記[I1]〜[I17]のいずれかに記載のリンカー。
[I19]
前記[A1]〜[A21]、[B1]〜[B3]、[C1]〜[C4]、又は[D1]〜[D3]のいずれかに記載の方法を行うために用いられる、前記[I1]〜[I18]のいずれかに記載のリンカー。
[I20]
前記[E1]〜[E23]のいずれかに記載の誘導体を製造するために用いられる、前記[I1]〜[I18]のいずれかに記載のリンカー。
[I21]
前記[F1]〜[F20]、[G1]〜[G3]、又は[H1]〜[H4]のいずれかに記載の複合体を製造するために用いられる、前記[I1]〜[I18]のいずれかに記載のリンカー。

発明の効果

0012

本発明によれば、ペプチドの血中滞留性を増強することができる。

図面の簡単な説明

0013

コンドロイチンとGLP−1を含む複合体のマウスにおける血中濃度推移を示す図である。
コンドロイチンとGLP−1を含む複合体のマウスにおける血中濃度の推移を示す図である。
コンドロイチンとGLP−1を含む複合体のマウスにおける薬効持続性を示す図である。
コンドロイチンとGLP−1を含む複合体のマウスにおける薬効持続性を示す図である。
ヘパロサンとGLP−1を含む複合体のマウスにおける血中濃度の推移を示す図である。
ヘパロサンとGLP−1を含む複合体のマウスまたはラットにおける血中濃度の推移の比較を示す図である。
ヘパロサンとGLP−1を含む複合体のマウスにおける薬効持続性を示す図である。
コンドロイチンとインスリンを含む複合体のマウスにおける血中濃度の推移を示す図である。
コンドロイチンとインスリンを含む複合体のマウスにおける血中濃度の推移を示す図である。
コンドロイチンとインスリンを含む複合体のマウスにおける血中濃度の推移を示す図である。
コンドロイチンとインスリンを含む複合体のマウスにおける薬効持続性を示す図である。
ヘパロサンとインスリンを含む複合体のマウスにおける血中濃度の推移を示す図である。
ヘパロサンとインスリンを含む複合体のラットにおける血中濃度の推移を示す図である。
ヘパロサンとインスリンを含む複合体のマウスにおける薬効持続性を示す図である。
ヘパロサンとインスリンを含む複合体のラットにおける薬効持続性を示す図である。

0014

本発明において「或る対象物(例えば、複合体、誘導体、リンカー、官能基、および結合)が或る構成要素(例えば、構造、官能基、および結合)を有する」という表現は、特記しない限り、当該対象物が当該構成要素を含むことを意味し、当該対象物が当該構成要素からなる場合も包含する。

0015

本発明においては、リンカーを介してグリコサミノグリカンとペプチドを結合させることにより、ペプチドの血中滞留性を増強することができる。本発明においては、具体的には、リンカーを介してグリコサミノグリカンとペプチドを結合させてグリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体を形成させることにより、ペプチドの血中滞留性を増強することができる。すなわち、本発明においては、当該複合体を形成させることにより、ペプチドそのもの(当該複合体を形成していないペプチド)と比較して、ペプチドの血中滞留性を増強することができる。言い換えると、当該複合体においては、ペプチドそのもの(当該複合体を形成していないペプチド)と比較して、増強されたペプチドの血中滞留性が得られる。

0016

本発明において「グリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体」は、グリコサミノグリカンと、当該グリコサミノグリカンに結合したリンカーと、当該リンカーに結合したペプチドとを含む複合体を意味する。言い換えると、本発明において「グリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体」は、リンカーを介してグリコサミノグリカンとペプチドが結合した構造を有する複合体を意味する。グリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体は、一態様において、グリコサミノグリカンと、当該グリコサミノグリカンに結合したリンカーと、当該リンカーに結合したペプチドからなる複合体であってよく、言い換えると、リンカーを介してグリコサミノグリカンとペプチドが結合した構造からなる複合体であってよい。また、グリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体は、ペプチドそのもの(当該複合体を形成していないペプチド)と比較して血中滞留性が増強されたペプチドの複合体でもある。グリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体は、具体的には、後述する「
本発明の複合体」であってよい。

0017

本発明において「血中滞留性」は、血中持続性または血中安定性に言い換えることができる。また、本発明において「増強」は、付与、改善、または向上に言い換えることができる。よって、本発明において「血中滞留性の増強」は、血中滞留性の付与、血中滞留性の改善、血中滞留性の向上、血中持続性の増強、血中安定性の増強等に言い換えることができる。また、本発明において「ペプチドの血中滞留性の増強」は、血中におけるペプチドの活性維持等に言い換えることができる。さらに、本発明において「血中滞留性」は、「薬効持続性」または「血中滞留性および薬効持続性」に言い換えることができる。

0018

血中滞留性は、例えば、血中半減期として測定することができる。本発明において「ペプチドの血中滞留性の増強」は、好ましくは、例えば、ペプチドの血中半減期(すなわちグリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体の血中半減期)が1時間以上、3時間以上、6時間以上、9時間以上、12時間以上、15時間以上、18時間以上、24時間以上、または30時間以上となることを意味してよい。本発明において「ペプチドの血中滞留性の増強」は、ペプチドの血中半減期(すなわちグリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体の血中半減期)が、好ましくは15時間以上、18時間以上、24時間以上、または30時間以上、より好ましくは24時間以上または30時間以上、さらに好ましくは30時間以上となることを意味してよい。

0019

本発明において「ペプチドの薬効持続性の増強」は、好ましくは、例えば、ヒト等の動物においてペプチドが薬効を示す期間が12時間以上、1日以上、2日以上、3日以上、4日以上、5日以上、6日以上、または7日以上となることを意味してよい。

0020

本発明においてリンカーを介したグリコサミノグリカンとペプチドの結合は、ペプチドの血中滞留性を増強させるために行われてもよいし、ペプチドの薬効持続性を増強させるために行われてもよいし、ペプチドの血中滞留性および薬効持続性を増強させるために行われてもよい。

0021

<1>本発明の増強方法
本発明の増強方法は、リンカーを介してグリコサミノグリカンとペプチドを結合させる工程を含む、ペプチドの血中滞留性を増強させる方法である。当該工程を「結合工程」ともいう。本発明の増強方法は、具体的には、リンカーを介してグリコサミノグリカンとペプチドを結合させてグリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体を形成させる工程を含む、ペプチドの血中滞留性を増強させる方法である。すなわち、結合工程は、具体的には、リンカーを介してグリコサミノグリカンとペプチドを結合させてグリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体を形成させる工程である。

0022

結合工程の実施態様は、上記複合体の構成要素(例えば、グリコサミノグリカン、リンカー、およびペプチド)の構成等の諸条件に応じて適宜設定できる。結合工程においては、1つの結合(1箇所の結合)のみを形成させてもよく、複数の結合(複数箇所の結合)を形成させてもよい。結合工程において複数の結合を形成させる場合、それら複数の結合の形成は、同時に行われてもよいし、別々に行われてもよい。例えば、結合工程において、グリコサミノグリカン、リンカー、およびペプチドの結合を形成させる場合、それらの結合の形成は同時に行われてもよいし、別々に行われてもよい。これらの構成要素は、予め一部が結合していてもよい。例えば、結合工程に供されるグリコサミノグリカンおよびペプチドは、いずれも、リンカーを有していてもよく、有していなくてもよい。リンカーを有するグリコサミノグリカンおよびリンカーを有するペプチドとしては、それぞれ、予めリンカーを結合させたグリコサミノグリカンおよび予めリンカーを結合させたペプチドが挙げられる。例えば、リンカーを有するグリコサミノグリカンとして、具体的には、後
述する「本発明のグリコサミノグリカン誘導体」が挙げられる。すなわち、例えば、結合工程においては、(A)リンカーを有するグリコサミノグリカンとペプチドを結合させる工程が行われてもよいし、(B)リンカーを有するペプチドとグリコサミノグリカンを結合させる工程が行われてもよい。また、例えば、結合工程においては、(C)リンカーを有するグリコサミノグリカンとリンカーを有するペプチドを結合させる工程が行われてもよい。(C)の場合、リンカー同士の結合(すなわち、グリコサミノグリカンが有するリンカーとペプチドが有するリンカーとの結合)により、完全長のリンカーが形成され得る。よって、(C)の場合、特に、グリコサミノグリカンおよびペプチドがそれぞれ有するリンカーを「リンカーの一部」ともいう。結合工程は、予めグリコサミノグリカンとリンカーを結合させる工程、予めペプチドとリンカーを結合させる工程、またはそれらの工程の両方を含んでいてもよい。すなわち、例えば、結合工程においては、(A1)グリコサミノグリカンとリンカーを結合させる工程が行われた後にペプチドを結合させる工程が行われてもよいし、(B1)リンカーとペプチドを結合させる工程が行われた後にグリコサミノグリカンを結合させる工程が行われてもよい。また、例えば、結合工程においては、(C1)グリコサミノグリカンとペプチドにそれぞれリンカーの一部を結合させる工程が行われた後に、結果物を結合させる(リンカーの一部を結合させたグリコサミノグリカンとリンカーの一部を結合させたペプチドとを結合させる)工程が行われてもよい。

0023

これらの構成要素間の結合は、例えば、これらの構成要素を適当な反応系において共存させることにより形成できる。反応条件は、これらの構成要素間の結合の形成が可能な条件である限り、特に制限されない。反応条件は、これら構成要素の構成やこれら構成要素間の結合様式等の諸条件に応じて適宜設定できる。なお、後述するグリコサミノグリカンまたはペプチドとリンカーとの結合様式についての記載は、リンカーを有するグリコサミノグリカンとリンカーを有するペプチドを結合させる場合のリンカー同士の結合様式にも準用できる。反応条件としては、例えば、結合に用いられる官能基間の公知の反応条件が挙げられる。反応条件として、具体的には、例えば、実施例の反応条件が挙げられる。

0024

形成された複合体は、適宜、回収することができる。すなわち、本発明の増強方法は、さらに、形成された複合体を回収する工程を含んでいてもよい。当該工程を「回収工程」ともいう。複合体の回収は、例えば、化合物の分離精製に用いられる公知の手法により実施することができる。

0025

本発明の増強方法によれば、ペプチドの血中滞留性を増強することができる。

0026

<2>本発明の製造方法
本発明の製造方法は、本発明の増強方法を行う工程を含む(すなわち、本発明の増強方法において行われる工程を含む)、グリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体の製造方法であり、血中滞留性が増強されたペプチドの製造方法である。すなわち、本発明の製造方法は、上述した結合工程を含む。また、本発明の製造方法は、さらに、上述した回収工程を含んでいてもよい。本発明の製造方法によれば、ペプチドそのもの(当該複合体を形成していないペプチド)と比較して血中滞留性が増強されたペプチドを提供することができる。

0027

<3>本発明のグリコサミノグリカン誘導体
本発明のグリコサミノグリカン誘導体は、グリコサミノグリカンと、当該グリコサミノグリカンに結合したリンカーとを含む、グリコサミノグリカンの誘導体である。言い換えると、本発明のグリコサミノグリカン誘導体は、グリコサミノグリカンとリンカーが結合した構造を有する、グリコサミノグリカンの誘導体である。具体的には、本発明のグリコサミノグリカン誘導体は、Z1−L−G(Z1は任意の官能基を表し、Lはリンカーを表し、Gはグリコサミノグリカンを表す。)で示される構造を有する、グリコサミノグリカ
ンの誘導体であってよい。本発明のグリコサミノグリカン誘導体は、一態様において、グリコサミノグリカンとリンカーが結合した構造からなる(例えば、Z1−L−Gで示される構造からなる)グリコサミノグリカンの誘導体であってよい。

0028

本発明のグリコサミノグリカン誘導体において、リンカー(例えば、上記一般式におけるL)としては、前記一般式(L1)〜(L5)のいずれかに示される構造を有するものが例示される。また、本発明のグリコサミノグリカン誘導体において、上記一般式におけるZ1−Lとしては、前記一般式(L6)〜(L10)のいずれかに示される構造を有するものが例示される。本発明のグリコサミノグリカン誘導体(例えば、上記一般式におけるZ1−L−G)としては、具体的には、前記一般式(L16)〜(L20)のいずれかに示される構造を有するものが例示される。前記一般式(L1)〜(L10)および(L16)〜(L20)において、Y1およびY2は、例えば、それぞれ独立して、前記一般式(Y1)〜(Y12)のいずれかに示される構造(すなわち結合)を有するものであってよい。また、前記一般式(L6)〜(L10)および(L16)〜(L20)において、Z1は、例えば、前記一般式(Z1)〜(Z7)のいずれかに示される構造(すなわち官能基)を有するものであってよい。

0029

本発明のグリコサミノグリカン誘導体は、例えば、グリコサミノグリカンとリンカーを結合することにより製造することができる。グリコサミノグリカンとリンカーを結合することは、本発明の増強方法において記載したように行うことができる。

0030

本発明のグリコサミノグリカン誘導体は、例えば、グリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体を製造するために用いることができる。具体的には、本発明のグリコサミノグリカン誘導体は、例えば、本発明の増強方法または本発明の製造方法を実施するために用いることができる。より具体的には、本発明のグリコサミノグリカン誘導体は、例えば、本発明のグリコサミノグリカン誘導体が有するリンカーの官能基(例えば、前記Z1−L−Gで示される一般式においてZ1で示される官能基)とペプチドが有する官能基を結合させてグリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体を形成させるために用いることができる。本発明のグリコサミノグリカン誘導体との結合に用いられるペプチドは、リンカーを有していてもよい。ペプチドがリンカーを有する場合、本発明のグリコサミノグリカン誘導体は、例えば、本発明のグリコサミノグリカン誘導体が有するリンカーの官能基とペプチドが有するリンカーの官能基を結合させてグリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体を形成させるために用いることができる。本発明のグリコサミノグリカン誘導体を用いてグリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体を形成させることにより、当該ペプチドの血中滞留性を増強することができる。

0031

<4>本発明の増強剤
本発明の増強剤は、本発明のグリコサミノグリカン誘導体を有効成分として含有する、ペプチドの血中滞留性の増強剤(ペプチドの血中滞留性を増強するための増強剤)である。本発明の増強剤は、本発明のグリコサミノグリカン誘導体からなるものであってもよく、その他の成分をさらに含有するものであってもよい。「その他の成分」は、本発明の増強剤の利用態様に応じて許容可能なものであれば特に制限されない。「その他の成分」としては、例えば、本発明の効果を損なわず、かつ保存安定性を向上させる成分が挙げられる。また、本発明の増強剤は、任意の剤形で製剤化されていてよい。本発明の増強剤の剤形は、本発明の増強剤の利用態様等の諸条件に応じて適宜選択できる。本発明の増強剤の製剤化は、例えば、公知の手法により行われてよい。

0032

本発明の増強剤における本発明のグリコサミノグリカン誘導体の濃度は、本発明の増強剤を用いてペプチドの血中滞留性を増強することが可能である限り、特に制限されない。本発明の増強剤における本発明のグリコサミノグリカン誘導体の濃度は、本発明の増強剤
剤型、ペプチドの種類、所望する血中滞留性等の諸条件に応じて適宜設定できる。本発明の増強剤における本発明のグリコサミノグリカン誘導体の濃度は、例えば、0.001〜100%(w/w)であってよい。本発明の増強剤は、例えば、そのまま、あるいは適宜、水、生理食塩水緩衝液有機溶媒等の溶媒を用いて希釈、分散、または溶解し、用いられてよい。

0033

本発明の増強剤は、例えば、ペプチドの血中滞留性を増強するために用いることができる。具体的には、本発明の増強剤は、例えば、本発明の増強方法または本発明の製造方法を実施するために用いることができる。より具体的には、本発明の増強剤は、例えば、これに含有される本発明のグリコサミノグリカン誘導体が有するリンカーの官能基(例えば、前記Z1−L−Gで示される一般式においてZ1で示される官能基)とペプチドが有する官能基を結合させてグリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体を形成させるために用いることができる。本発明のグリコサミノグリカン誘導体との結合に用いられるペプチドは、リンカーを有していてもよい。ペプチドがリンカーを有する場合、本発明の増強剤は、例えば、これに含有される本発明のグリコサミノグリカン誘導体が有するリンカーの官能基とペプチドが有するリンカーの官能基を結合させてグリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体を形成させるために用いることができる。本発明の増強剤を用いてグリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体を形成させることにより、当該ペプチドの血中滞留性を増強することができる。

0034

<5>本発明の複合体
本発明の複合体は、グリコサミノグリカンと、当該グリコサミノグリカンに結合したリンカーと、当該リンカーに結合したペプチドとを含む複合体である。言い換えると、本発明の複合体は、リンカーを介してグリコサミノグリカンとペプチドが結合した構造を有する、グリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体である。具体的には、本発明の複合体は、P−L−G(Pはペプチドを表し、Lはリンカーを表し、Gはグリコサミノグリカンを表す。)で示される構造を有する、グリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体であってよい。本発明の複合体は、一態様において、リンカーを介してグリコサミノグリカンとペプチドが結合した構造からなる(例えば、P−L−Gで示される構造からなる)グリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体であってよい。本発明の複合体は、ペプチドそのもの(当該複合体を形成していないペプチド)と比較して血中滞留性が増強されたペプチドの複合体でもある。

0035

本発明の複合体において、上記一般式におけるLとしては、前記一般式(L1)〜(L5)のいずれかに示される構造が例示される。また、本発明の複合体において、上記一般式におけるP−Lとしては、前記一般式(L21)〜(L25)のいずれかに示される構造が例示される。

0036

本発明の複合体としては、具体的には、前記一般式(L26)〜(L30)のいずれかに示される構造が例示される。前記一般式(L1)〜(L5)および(L21)〜(L30)において、Y1およびY2は、例えば、それぞれ独立して前記一般式(Y1)〜(Y12)のいずれかに示される構造(すなわち結合)を有するものであってよい。

0037

本発明の複合体は、例えば、リンカーを介してグリコサミノグリカンとペプチドを結合することにより製造することができる。リンカーを介してグリコサミノグリカンとペプチドを結合することは、本発明の増強方法において記載したように行うことができる。本発明の複合体は、具体的には、例えば、本発明の増強方法または本発明の製造方法により製造することができる。

0038

本発明の複合体は、本発明の複合体そのものとして提供されてもよいし、その他の成分
を含有する態様で提供されてもよい。「その他の成分」は、本発明の複合体の利用態様に応じて許容可能なものであれば特に制限されない。「その他の成分」としては、例えば、本発明の効果を損なわず、かつ薬理学的に許容される成分が挙げられる。また、本発明の複合体は、任意の剤形で製剤化されていてよい。本発明の複合体の剤形は、本発明の複合体の利用態様等の諸条件に応じて適宜選択できる。本発明の複合体の製剤化は、例えば、公知の手法により行われてよい。

0039

本発明の複合体は、例えば、これを含有する医薬組成物(以下、「本発明の医薬」ともいう。)またはペプチド製剤(以下、「本発明の製剤」ともいう。)として提供されてもよい。本発明の医薬または本発明の製剤は、例えば、ヒト等の動物における疾患の治療用であってよい。疾患としては、ペプチドの投与対象となる疾患が挙げられる。疾患としては、生活習慣病が挙げられる。生活習慣病としては、脂質異常症、高血圧糖尿病肥満が挙げられる。生活習慣病としては、特に、糖尿病が挙げられる。本発明の医薬または本発明の製剤における本発明の複合体の濃度は、ヒト等の動物の治療等の用途に応じた有効な量を含有している限り、特に制限されない。本発明の医薬または本発明の製剤における本発明の複合体の濃度は、それらの剤型、ペプチドの種類、治療の対象となる疾患の種類、所望する血中滞留性等の諸条件に応じて適宜設定できる。本発明の医薬または本発明の製剤における本発明の複合体の濃度は、例えば、0.001〜100%(w/w)であってよい。本発明の医薬または本発明の製剤は、例えば、そのまま経口剤注射剤として用いられてもよいし、輸液に混合して用いられてもよい。

0040

<6>本発明におけるリンカー
本発明において「リンカー」は、2つまたはそれ以上の官能基を有する分子クロスリンカー)であって、これを介してグリコサミノグリカンとペプチドを結合させるために用いることが可能な分子を意味する単語として使用される。本発明においてリンカーは、これを介してグリコサミノグリカンとペプチドを結合させてグリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体を形成させることにより、当該ペプチドの血中滞留性を増強させることが可能な分子である限り、特に制限されない。本発明においてリンカーの構造は、これを介してグリコサミノグリカンと結合させるペプチドの種類等の諸条件に応じて適宜設定することができる。

0041

本発明においてリンカーは、例えば、アルキレン基を有するリンカーであってよく、言い換えると、アルキレン基を含む構造を有するリンカーであってよい。本発明においてリンカーは、具体的には、例えば、炭素数が1以上のアルキレン基を含む構造を有するリンカーであって、これを介してグリコサミノグリカンとペプチドを結合させてペプチドの血中滞留性を増強するために用いられるリンカーであってよい。本発明においてリンカーは、アルキレン基を1つのみ有するリンカーであってもよく、2つまたはそれ以上有するリンカーであってもよい。

0042

本発明においてアルキレン基は、特に制限されない。本発明においてアルキレン基は、側鎖を有しない直鎖アルキレン基であってもよく、側鎖を有する直鎖アルキレン基であってもよく、側鎖を有しないシクロアルキレン基であってもよく、側鎖を有するシクロアルキレン基であってもよい。本発明においてアルキレン基は、側鎖を有しない直鎖アルキレン基または側鎖を有しないシクロアルキレン基であることが好ましく、側鎖を有しない直鎖アルキレン基であることがより好ましい。本発明においてアルキレン基は、飽和アルキレン基であってもよく、不飽和アルキレン基であってもよい。本発明においてアルキレン基は、飽和アルキレン基であることが好ましい。

0043

本発明においてアルキレン基は、鎖中にヘテロ原子を有しないアルキレン基であってもよく、鎖中にヘテロ原子を有するアルキレン基であってもよい。本発明において「ヘテロ
原子」は、水素及び炭素以外の原子を意味する。ヘテロ原子としては、窒素酸素硫黄が例示される。「鎖中にヘテロ原子を有するアルキレン基」とは、アルキレン基を構成する炭素原子の少なくとも1つがヘテロ原子で置換された構造からなるアルキレン基を意味する。アルキレン基に含まれるヘテロ原子は、1つであってもよく、2つまたはそれ以上であってもよい。アルキレン基に含まれるヘテロ原子の種類は、1種であってもよく、2種またはそれ以上であってもよい。本発明においてアルキレン基は、鎖中にヘテロ原子を有しないアルキレン基であることが好ましい。

0044

本発明においてアルキレン基は、置換基を有しないアルキレン基であってもよく、置換基を有するアルキレン基であってもよい。本発明において「置換基」は、水素及び炭素以外の原子または原子団を意味する。「置換基を有するアルキレン基」とは、アルキレン基を構成する水素原子の少なくとも1つが置換基で置換された構造からなるアルキレン基を意味する。アルキレン基に含まれる置換基は、1つであってもよく、2つまたはそれ以上であってもよい。アルキレン基に含まれる置換基の種類は、1種であってもよく、2種またはそれ以上であってもよい。本発明においてアルキレン基は、置換基を有しないアルキレン基であることが好ましい。

0045

本発明においてアルキレン基が有する炭素原子の数は、特に制限されない。当該炭素原子の数は、例えば、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上、または12以上であってよい。当該炭素原子の数は、例えば、16以下、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、または3以下であってよい。当該炭素原子の数は、例えば、それらの矛盾しない組み合わせの範囲であってよい。当該炭素原子の数は、例えば、1〜16、1〜12、1〜8、1〜4、1〜3、1〜2、2〜3、2〜4、4〜14、8〜14、8〜13、8〜12、9〜13、9〜12、9〜11、10〜12、または10〜11であってよい。当該炭素原子の数は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16であってよい。当該アルキレン基が鎖中にヘテロ原子を有するアルキレン基である場合、上記例示した炭素原子の数は、炭素原子とヘテロ原子の総数を意味する。

0046

本発明においてリンカーは、具体的には、前記一般式(L1)〜(L5)のいずれかに示される構造を有するリンカーであってよい。本発明においてリンカーは、より具体的には、前記一般式(L6)〜(L10)のいずれかに示される構造を有するリンカーであってよい。本発明におけるリンカーは、さらに具体的には、前記一般式(L11)〜(L15)のいずれかに示される構造を有するリンカーであってよい。本発明においてリンカーは、一態様において、前記一般式(L11)〜(L15)のいずれかに示される構造からなるリンカーであってもよい。

0047

前記一般式(L1)〜(L15)においてA1、A2、及びA3は、それぞれ独立して、上記のようなアルキレン基であってよい。

0048

なお、前記一般式(L1)〜(L15)における各構成要素についての記載は、他の一般式(例えば、前記一般式(L16)〜(L30))におけるそれらに該当する構成要素にも準用できる。以下、前記一般式(L1)〜(L15)に加えて、他の一般式における各構成要素についてもまとめて記載する場合がある。

0049

前記一般式(L4)、(L9)、(L14)、(L19)、(L24)、または(L29)においてフェニレン基は、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基のいずれであってもよいが、1,3−フェニレン基または1,4−フェニレン基であることが好ましく、1,4−フェニレン基であることがより好ましい。

0050

前記一般式(L5)、(L10)、(L15)、(L20)、(L25)、または(L30)においてシクロヘキシレン基は、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基のいずれであってもよいが、1,3−シクロヘキシレン基または1,4−シクロヘキシレン基であることが好ましく、1,4−シクロヘキシレン基であることがより好ましい。当該ヘキシレン基は、シス体であってもよく、トランス体であってもよい。

0051

前記一般式(L1)〜(L30)において、Y1およびY2は、例えば、それぞれ独立して、前記一般式(Y1)〜(Y12)のいずれかに示される構造(すなわち結合)を有するものであってよい。

0052

前記一般式(Y11)に示される結合は、具体的には、下記構造式(Y13)に示される結合である。

0053

0054

前記一般式(Y12)に示される結合は、具体的には、下記構造式(Y14)に示される結合である。

0055

0056

前記一般式(L6)〜(L20)において、Z1及びZ2は、例えば、それぞれ独立して、前記一般式(Z1)〜(Z7)のいずれかに示される構造(すなわち官能基)を有するものであってよい。

0057

前記一般式(Z4)において、Xとしては、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)が例示される。前記一般式(Z4)において、Xは臭素(Br)またはヨウ素(I)であることが好ましく、臭素(Br)であることがより好ましい。

0058

前記一般式(Z6)に示される官能基は、具体的には、下記構造式(Z8)に示される官能基である。

0059

0060

前記一般式(Z7)に示される官能基は、具体的には、下記構造式(Z9)に示される官能基である。

0061

(式中、R1は水素、又はSO3R2を表し、R2は水素、又は任意のアルカリ金属原子を表す。)

0062

上記構造式(Z9)において、アルカリ金属原子としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)が例示される。上記構造式(Z9)において、アルカリ金属原子は、ナトリウム(Na)であることが好ましい。

0063

本発明においてリンカーは、例えば、下記構造式(X1)〜(X26)のいずれかに示されるリンカーあってよい。また、本発明においてリンカーは、例えば、下記構造式(X1)〜(X26)に示される構造の組み合わせからなるリンカーであってもよい。組み合わせは、下記構造式(X1)〜(X26)から選択される単一の構造の2つまたはそれ以上の組み合わせであってもよく、下記構造式(X1)〜(X26)から選択される2種またはそれ以上の構造の組み合わせであってもよく、それらのさらなる組み合わせであってもよい。組み合わせとして、具体的には、例えば、実施例に記載の組み合わせが挙げられる。

0064

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0090

本発明においてリンカーは、3つまたはそれ以上の官能基を有していてもよい。本発明において3つまたはそれ以上の官能基を有するリンカーを用いた場合、例えば、2つまたはそれ以上および/または2種またはそれ以上のグリコサミノグリカンを含む複合体を得ることができる。また、本発明において3つまたはそれ以上の官能基を有するリンカーを用いた場合、例えば、2つまたはそれ以上および/または2種またはそれ以上のペプチドを含む複合体を得ることができる。

0091

上述したリンカーにおける官能基(例えば、Z1、Z2、(Z1)〜(Z9)、およびリンカーの構造式中のそれらに該当する部位)は、グリコサミノグリカンまたはペプチドとの結合(例えば、グリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体の形成)前のリンカーにおける官能基を示す。当該官能基は、グリコサミノグリカンまたはペプチドとの結合に用いられ得る。よって、当該官能基は、グリコサミノグリカンまたはペプチドとの結合後には存在しなくてもよい。すなわち、用いられる構成要素間の結合様式に応じて、当該末端官能基の一部または全部が、形成された結合により置換され得る。

0092

本発明においてリンカーは、完全長のリンカーとして提供され用いられてもよく、そうでなくてもよい。例えば、グリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体の形成の際に、完全長のリンカーが形成されてもよい。具体的には、例えば、リンカーを有するグリコサミノグリカンとリンカーを有するペプチドを結合させる場合、リンカー同士の結合(すなわち、グリコサミノグリカンが有するリンカーとペプチドが有するリンカーとの結合)により、完全長のリンカーが形成され得る。また、例えば、グリコサミノグリカンまたはペプチドが有するリンカーに別のリンカーを逐次結合させる(リンカーを伸長させる)ことにより、完全長のリンカーが形成されてもよい。具体的には、例えば、グリコサミノグリカンまたはペプチドにリンカーの一部を導入し、さらにリンカーの残部が導入されることにより、完全長のリンカーが形成され得る。すなわち、例えば、上述したリンカーにおける結合(例えば、Y1、Y2、(Y1)〜(Y14)、およびリンカーの構造式中のそれらに該当する部位)は、いずれも、グリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体の形成前からリンカー中に存在していてもよく、グリコサミノグリカンとペプチドを含む複合体の形成の際に形成されてもよい。

0093

本発明におけるリンカーとしては、1種のリンカーのみが用いられてもよく、2種またはそれ以上のリンカーが用いられてもよい。

0094

本発明において用いられるリンカーは、例えば、化学合成により製造することができる。化学合成による製造は、公知の方法により行うことができる。また、本発明において用いられるリンカーは、例えば、各種試薬メーカー(Thermo scientific社、東京化成工業
社、同仁化学社等)から市販品として、または合成を委託して入手することができる。

0095

本発明におけるリンカーを介してグリコサミノグリカンとペプチドを結合させることにより、ペプチドの血中滞留性を増強することができる。特に、特定の構造を有するリンカーを採用することにより、当該ペプチドの血中滞留性を顕著に増強することができる。

0096

<7>本発明におけるグリコサミノグリカン
本発明において用いられるグリコサミノグリカンは、ペプチドの血中滞留性を増強させる作用を有するグリコサミノグリカンである限り、特に制限されない。本発明において用いられるグリコサミノグリカンは、具体的には、リンカーを介してペプチドと複合体を形成することによりペプチドの血中滞留性を増強させることが可能なグリコサミノグリカンである限り、特に制限されない。

0097

本発明においてグリコサミノグリカンは、硫酸基を実質的に有しないグリコサミノグリカンであることが好ましく、硫酸基を有しないグリコサミノグリカンであることがより好ましい。また、本発明においてグリコサミノグリカンは、ヒアルロン酸を除くグリコサミノグリカンであることが好ましい。特に、本発明においてグリコサミノグリカンは、コンドロイチンまたはヘパロサンであることが好ましく、コンドロイチンであることがより好ましい。

0098

本発明においてグリコサミノグリカンは、側鎖を有していてもよく、有していなくても
よい。側鎖を有するグリコサミノグリカンは、側鎖(アルキル基等)を導入したグリコサミノグリカンであってよい。側鎖を有しないグリコサミノグリカンは、本来的に側鎖を有しないグリコサミノグリカン(側鎖を有しない形態で生産されたグリコサミノグリカン)であってもよく、側鎖を除去して得られたグリコサミノグリカンであってもよい。側鎖の除去は、例えば、公知の方法により行うことができる。側鎖の除去は、例えば、酸加水分解反応により行うことができる(Lidholt K, Fjelstad M., J Biol Chem. 1997 Jan 31; 272(5): 2682-7.)。本発明においてグリコサミノグリカンは、側鎖を実質的に有しない
グリコサミノグリカンであることが好ましく、側鎖を有しないグリコサミノグリカンであることがより好ましく、本来的に側鎖を有しないグリコサミノグリカンであることがさらに好ましい。

0099

「硫酸基を実質的に有しないグリコサミノグリカン」とは、ペプチドの血中滞留性を増強させる程度が、比較対象を用いた場合と比較して全くあるいはほとんど変化(増加または低下)しない程度の硫酸基しか有しないグリコサミノグリカンを意味し、硫酸基を全く有しないグリコサミノグリカンも包含する。硫酸基を実質的に有しないグリコサミノグリカンについての「比較対象」とは、硫酸基を有しないグリコサミノグリカンであって、硫酸基の有無を除き、当該「硫酸基を実質的に有しないグリコサミノグリカン」と同一の構造からなるグリコサミノグリカンを意味する。また、「側鎖を実質的に有しないグリコサミノグリカン」とは、ペプチドの血中滞留性を増強させる程度が、比較対象を用いた場合と比較して全くあるいはほとんど変化(増加または低下)しない程度の側鎖しか有しないグリコサミノグリカンを意味し、側鎖を全く有しないグリコサミノグリカンも包含する。側鎖を実質的に有しないグリコサミノグリカンについての「比較対象」とは、側鎖を有しないグリコサミノグリカンであって、側鎖の有無を除き、当該「側鎖を実質的に有しないグリコサミノグリカン」と同一の構造からなるグリコサミノグリカンを意味する。

0100

「ペプチドの血中滞留性を増強させる程度がほとんど変化しない」とは、具体的には、同一のリンカーを介して同一のペプチドと複合体を形成した際のペプチドの血中半減期または薬効時間(すなわち当該複合体の血中半減期または薬効時間)で比較した場合に、例えば、20%以下、10%以下、5%以下、2%以下、または1%以下の変化しか起こらないことを意味してよく、全く変化が認められない場合も包含する。すなわち、例えば、硫酸基を実質的に有しないグリコサミノグリカンについての「ペプチドの血中滞留性を増強させる程度がほとんど変化しない」とは、リンカーを介してペプチドと比較対象を結合させて複合体を形成した場合のペプチドの血中半減期または薬効時間がn時間である場合に、同リンカーを介して同ペプチドと硫酸基を実質的に有しないグリコサミノグリカンを結合させて複合体を形成した場合のペプチドの血中半減期または薬効時間が、0.8n時間〜1.2n時間、0.9n時間〜1.1n時間、0.95n時間〜1.05n時間、0.98n時間〜1.02n時間、または0.99n時間〜1.01n時間であることを意味してよい。

0101

「硫酸基を実質的に有しないグリコサミノグリカン」とは、具体的には、硫黄含量が0%〜1%、0%〜0.5%、または0%〜0.1%であるグリコサミノグリカンを意味してよい。硫黄含量は、グリコサミノグリカンが有する硫黄原子の量(グリコサミノグリカンが有する硫黄原子の数と硫黄の原子量を乗じた値)をグリコサミノグリカンの分子量で除して算出される値を百分率換算した値(グリコサミノグリカンを構成する原子の総重量に対する硫黄原子の総重量を重量パーセント濃度(w/w)で示した値)として定義される。硫黄含量は、例えば、公知の手法により測定することができる。硫黄含量は、例えば、酸素フラスコ燃焼法により測定することができる。

0102

「側鎖を実質的に有しないグリコサミノグリカン」とは、具体的には、グリコサミノグリカンの骨格を構成する糖残基の総数に対する側鎖を有する糖残基の総数の比率が0%〜
20%、0%〜10%、0%〜5%、0%〜2%、0%〜1%、0%〜0.5%、または0%〜0.1%であるグリコサミノグリカンを意味してよい。糖残基の総数は、例えば、公知の手法により測定することができる。糖残基の総数は、例えば、グリコサミノグリカンを酸加水分解して得られる単糖オリゴ糖ゲルろ過等のクロマトグラフィーに供して測定することができる。

0103

本発明においてグリコサミノグリカンの分子量は、リンカーを介してペプチドと複合体を形成することによりペプチドの血中滞留性を増強させることが可能である限り、特に制限されない。本発明においてグリコサミノグリカンの分子量は、重量平均分子量として、10kDa(1×104)超であることが好ましい。本発明においてグリコサミノグリカンの分子量は、重量平均分子量として、例えば、1×104超、2×104以上、または3×104以上であってもよく、5×106以下、1×106以下、5×105以下、2×105以下、または1×105以下であってもよく、それらの組み合わせの範囲であってもよい。本発明においてグリコサミノグリカンの分子量は、重量平均分子量として、例えば、1×104超5×106以下、1×104超1×106以下、1×104超5×105以下、1×104超2×105以下、2×104以上2×105以下、3×104以上2×105以下、1×104超1×105以下、2×104以上1×105以下、3×104以上1×105以下であってよい。ここにいう重量平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量を意味する。グリコサミノグリカンの分子量は、例えば、参考例2に記載の方法により測定することができる。

0104

本発明においてグリコサミノグリカンは、微生物によって生産されたグリコサミノグリカン(以下、「微生物由来グリコサミノグリカン」ともいう。)または酵素によって合成されたグリコサミノグリカン(以下、「酵素合成グリコサミノグリカン」ともいう。)であることが好ましい。「微生物由来グリコサミノグリカン」は、具体的には、グリコサミノグリカンを生産する能力を有する微生物により生産されたグリコサミノグリカンである。また、「酵素合成グリコサミノグリカン」は、具体的には、in vitroまたは無細胞系でグリコサミノグリカンの合成酵素によって合成されたグリコサミノグリカンである。グリコサミノグリカンの合成酵素としては、コンドロイチン合成酵素やヘパロサン合成酵素が挙げられる。グリコサミノグリカンの合成酵素としては、1種の酵素のみが用いられてもよく、2種またはそれ以上の酵素が用いられてもよい。

0105

<微生物由来グリコサミノグリカンの製造>
「グリコサミノグリカンを生産する能力」とは、例えば、グリコサミノグリカンそのもの(側鎖を有しないグリコサミノグリカン)を生産する能力であってもよく、側鎖を有するグリコサミノグリカンを生産する能力であってもよい。側鎖としては、フルクトース等の糖残基が挙げられる。側鎖を有するグリコサミノグリカンとしては、具体的には、フルクトース残基を側鎖として有するコンドロイチンであるK4多糖(フルクトシル化コンドロイチン)が挙げられる。K4多糖としては、エシェリヒアコリ(Escherichia coli)K4株が生産するK4多糖が挙げられる。本発明においては、K4多糖をそのままグリコサミノグリカンとして用いてもよいし、フルクトース残基を脱離(脱フルクトシル化)して得られる脱フルクトシル化K4多糖をグリコサミノグリカンとして用いてもよい。

0106

「グリコサミノグリカンを生産する能力を有する微生物」は、例えば、細胞内にグリコサミノグリカンを生産する微生物であってもよく、培地中にグリコサミノグリカンを生産する微生物であってもよく、菌体表層(例えば、細胞膜上や細胞壁上)にグリコサミノグリカンを生産する微生物であってもよい。菌体表層にグリコサミノグリカンを生産する微生物としては、莢膜多糖としてグリコサミノグリカンを生産する微生物が挙げられる。

0107

「グリコサミノグリカンを生産する能力を有する微生物」において、微生物の種類は特
に制限されない。微生物としては、例えば、細菌や酵母が挙げられる。微生物としては、グリコサミノグリカンの生産性や取扱いの容易性などの点から、細菌が好ましい。

0108

細菌の種類は特に限定されない。細菌としては、文献(特表2010−524431号公報)に開示されているグルコノアセトバクター・ハンセニー(Gluconacetobacter hansenii)やグルコノアセトバクター・キシリナス(Gluconacetobacter xylinus)等のグル
ノアセトバクター属細菌リゾビウム・メフロティ(Rhizobium meffloti)等のリゾビウム属細菌、アセトバクターキシリナム(Acetobacter xylinum)等のアセトバクター
属細菌、エルヴィニアアミロボーラ(Erwinia amylovora)等のエルヴィニア属細菌、
チオバチルスフェロシダンス(Thiobacillus ferrooxidans)等のチオバチルス属
菌、ザイレラ・ファスジオーサ(Xylella fastidiosa)等のザイレラ属細菌、シノリゾビウム・メリロティ(Sinorhizobium meliloti)等のシノリゾビウム属細菌、ロドコッカス・ロドクラス(Rhodococcus rhodochrous)等のロドコッカス属細菌クレブシエラ
アエロゲネス(Klebsiella aerogenes)等のクレブシエラ属細菌、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)等のエンテロバクター属細菌、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)等のエシェリヒア属細菌が例示される。また、細菌としては、文献(特表2013−520995号公報)に開示されているシュードモナス(Pseudomonas)属細菌、キサントモナス(Xanthomonas)属細菌、メチロモナス(Methylomonas)属細菌、アシネトバクター(Acinetobacter)属細菌、スフィンゴモナス(Sphingomonas)属
細菌などの非病原性生物も例示できる。また、細菌としては、パスツレラムルトシダ(Pasteurella multocida)も挙げられる。

0109

細菌としては、グリコサミノグリカンの生産性や、汎用性、取扱いの容易性などの点で、エシェリヒア(Escherichia)属に属する細菌が好ましい。なかでも、特に汎用されて
おり取扱いが容易な、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)が好ましい。エシェリヒア・コリとしては、例えば、W3110株(ATCC27325)やMG1655株(ATCC 47076)等のエシ
ェリヒア・コリK-12株;NCDC U1-41株(ATCC 23502)等のエシェリヒア・コリK4株;NCDC Bi 8337-41株(ATCC 23506)等のエシェリヒア・コリK5株BL21株等のエシェリヒ
ア・コリB株;およびそれらの派生株が挙げられる。これらの株は、例えば、American Type Culture Collection(ATCC)(P.O. Box 1549 Manassas, VA 20108 United States of America)やThe International Escherichia and Klebsiella Centre (WHO), Statens Serum Institut(Building 37K, Room 125c Artillerivej 5 DK-2300 Copenhagen S Denmark)のカタログ又はホームページから入手可能である。

0110

「グリコサミノグリカンを生産する能力を有する微生物」は、本来的にグリコサミノグリカンを生産する能力を有する微生物であってもよく、グリコサミノグリカンを生産する能力を有するように改変された微生物であってもよい。

0111

「本来的にグリコサミノグリカンを生産する能力を有する微生物」としては、例えば、コンドロイチンを生産する微生物であるエシェリヒア・コリK4株やパスツレラ・ムルトシダタイプFが挙げられる。エシェリヒア・コリK4株は、フルクトース残基を側鎖として有するコンドロイチン(K4多糖)を生産する。本発明においては、エシェリヒア・コリK4株がそのまま「グリコサミノグリカン(コンドロイチン)を生産する能力を有する微生物」として用いられてもよいし、生産するコンドロイチン(K4多糖)がフルクトース残基を側鎖として有しないように改変されたエシェリヒア・コリK4株が「グリコサミノグリカン(コンドロイチン)を生産する能力を有する微生物」として用いられてもよい。そのようなエシェリヒア・コリK4株の改変株は、例えば、エシェリヒア・コリK4株のkfoE遺伝子を不活性化して得ることができる。エシェリヒア・コリK4株のkfoE遺伝子の不活性化は、例えば、公知の文献(特表2013−531995号公報)に記載された方法を参照して行うことができる。また、「本来的にグリコサミノグリカンを生産する
能力を有する微生物」としては、例えば、ヘパロサンを生産する微生物であるエシェリヒア・コリK5株、エシェリヒア・コリNissle1917株、パスツレラ・ムルトシダ
タイプDも挙げられる。

0112

「グリコサミノグリカンを生産する能力を有するように改変された微生物」は、例えば、上述した細菌等の微生物にグリコサミノグリカンを生産する能力を付与することにより取得できる。「グリコサミノグリカンを生産する能力の付与」は、例えば、グリコサミノグリカンの生産に関与するタンパク質をコードする遺伝子を微生物に発現可能に導入することにより行うことができる。

0113

グリコサミノグリカンが側鎖を有するグリコサミノグリカンである場合、グリコサミノグリカンを生産する能力の付与は、例えば、グリコサミノグリカンの生産に関与するタンパク質をコードする遺伝子を、グリコサミノグリカンに側鎖を付加する能力を有する微生物に発現可能に導入することにより行うことができる。「グリコサミノグリカンに側鎖を付加する能力を有する微生物」は、例えば、グリコサミノグリカンへの側鎖の付加に関与するタンパク質をコードする遺伝子を有する微生物である。「グリコサミノグリカンに側鎖を付加する能力を有する微生物」は、当該遺伝子を本来的に有する微生物であってもよく、当該遺伝子を発現可能に導入した微生物であってもよい。

0114

グリコサミノグリカンが側鎖を有しないグリコサミノグリカンである場合、グリコサミノグリカンを生産する能力の付与は、例えば、グリコサミノグリカンの生産に関与するタンパク質をコードする遺伝子を、グリコサミノグリカンに側鎖を付加する能力を有しない微生物に発現可能に導入することにより行うことができる。「グリコサミノグリカンに側鎖を付加する能力を有しない微生物」は、例えば、グリコサミノグリカンへの側鎖の付加に関与するタンパク質をコードする遺伝子を有しない微生物である。「グリコサミノグリカンに側鎖を付加する能力を有しない微生物」は、当該遺伝子を本来的に有しない微生物であってもよく、当該遺伝子を欠失または不活性化させた微生物であってもよい。

0115

「グリコサミノグリカンの生産に関与するタンパク質をコードする遺伝子」としては、例えば、コンドロイチンの生産に関与するタンパク質をコードする遺伝子としてkfoA, kfoB, kfoC, kfoF, kfoG, kpsF, kpsE, kpsD, kpsU, kpsC, kpsS, kpsM, kpsT, pmCS遺伝子が挙げられる。kfoA, kfoB, kfoC, kfoF, kfoG, kpsF, kpsE, kpsD, kpsU, kpsC, kpsS, kpsM, kpsT遺伝子としては、エシェリヒア・コリK4株由来のkfoA, kfoB, kfoC, kfoF, kfoG, kpsF, kpsE, kpsD, kpsU, kpsC, kpsS, kpsM, kpsT遺伝子が挙げられる。pmCS遺伝子としては、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)由来のpmCS遺伝子が挙
げられる。

0116

また、「グリコサミノグリカンの生産に関与するタンパク質をコードする遺伝子」としては、例えば、ヘパロサンの生産に関与するタンパク質をコードする遺伝子としてkfiA, kfiB, kfiC, kfiD, kpsF, kpsE, kpsD, kpsU, kpsC, kpsS, kpsM, kpsT, pmHS遺伝子が挙げられる。kfiA, kfiB, kfiC, kfiD, kpsF, kpsE, kpsD, kpsU, kpsC, kpsS, kpsM, kpsT遺伝子としては、エシェリヒア・コリK5株由来のkfiA, kfiB, kfiC, kfiD, kpsF, kpsE, kpsD, kpsU, kpsC, kpsS, kpsM, kpsT遺伝子が挙げられる。pmHS遺伝子としては、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)由来のpmHS遺伝子が挙げられる。

0117

「グリコサミノグリカンへの側鎖の付加に関与するタンパク質をコードする遺伝子」としては、kfoD, orf3(kfoI), kfoE, orf1(kfoH)遺伝子が挙げられる。kfoD, orf3(kfoI), kfoE, orf1(kfoH)遺伝子としては、エシェリヒア・コリK4株由来のkfoD, orf3(kfoI), kfoE, orf1(kfoH)遺伝子が挙げられる。

0118

上述した遺伝子の塩基配列、及びこれらの遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列は、例えば、NCBI(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)等の公用データベースから取得できる。遺伝子の導入は、例えば、同遺伝子を搭載したベクターを微生物に導入することや、同遺伝子を微生物の染色体上に導入することにより達成できる。遺伝子は、1コピーのみ導入されてもよく、2コピーまたはそれ以上導入されてもよい。本発明においては、1種の遺伝子を導入してもよく、2種またはそれ以上の遺伝子を導入してもよい。

0119

導入する遺伝子は、用いる微生物の種類等に応じて適宜選択できる。例えば、エシェリヒア・コリK5株は、ヘパロサンを生産する能力を有し、コンドロイチンを生産する能力を有しないが、kfoAおよびkfoC遺伝子を導入することにより、エシェリヒア・コリK5株にコンドロイチンを生産する能力を付与することができる。また、例えば、エシェリヒア・コリK-12株は、コンドロイチンを生産する能力を有しないが、kfo遺伝子群(kfoA, kfoB, kfoC, kfoF, kfoG)およびkps遺伝子群(kpsF, kpsE, kpsD, kpsU, kpsC, kpsS, kpsM, kpsT)を導入することにより、エシェリヒア・コリK-12株にコンドロイチンを生産する能力を付与することができる。さらに、例えば、エシェリヒア・コリK-12株は、ヘパロサンを生産する能力を有しないが、kfi遺伝子群(kfiA, kfiB, kfiC, kfiD)およびkps遺伝子群(kpsF, kpsE, kpsD, kpsU, kpsC, kpsS, kpsM, kpsT)を導入することにより、エシェリヒア・コリK-12株にヘパロサンを生産する能力を付与することができる。

0120

これらのグリコサミノグリカンを生産する能力を付与された株により、例えば、グリコサミノグリカンを莢膜多糖として生産させることができる。本発明において使用されるグリコサミノグリカンは、莢膜多糖として生産されたグリコサミノグリカンそのものであってもよく、水酸化ナトリウム等の塩基または塩酸等の酸と接触させて処理した後のグリコサミノグリカンであってもよい。

0121

また、グリコサミノグリカンを生産する能力を有する微生物は、グリコサミノグリカンの生産に関与するタンパク質をコードする遺伝子の内、その微生物が本来的に有するタンパク質をコードする遺伝子の発現が増強されるように改変されていてもよい。例えば、エシェリヒア・コリK4株に、コンドロイチンの生産に関与するタンパク質をコードする遺伝子を導入してもよい。また、例えば、エシェリヒア・コリK5株に、kfoAおよびkfoC遺伝子に加えて、コンドロイチンの生産に関与するタンパク質をコードする他の遺伝子をさらに導入してもよい。さらに、例えば、エシェリヒア・コリK5株に、ヘパロサンの生産に関与するタンパク質をコードする遺伝子を導入してもよい。

0122

なお、「微生物が本来的に有するタンパク質をコードする遺伝子」は、当該微生物由来の遺伝子であってもよく、当該微生物以外の生物由来の遺伝子であってもよい。すなわち、例えば、エシェリヒア・コリK4株に、コンドロイチンの生産に関与するタンパク質をコードするエシェリヒア・コリK4株由来の遺伝子を導入してもよく、コンドロイチンの生産に関与するタンパク質をコードするエシェリヒア・コリK4株以外の生物由来の遺伝子を導入してもよい。また、例えば、エシェリヒア・コリK5株に、ヘパロサンの生産に関与するタンパク質をコードするエシェリヒア・コリK5株由来の遺伝子を導入してもよく、ヘパロサンの生産に関与するタンパク質をコードするエシェリヒア・コリK5株以外の生物由来の遺伝子を導入してもよい。

0123

コンドロイチンを生産する能力を有する微生物としては、例えば、文献(特表2010−524431号公報、または特表2013−520995号公報)に開示されているコンドロイチンを生産する能力を有する細菌が挙げられる。

0124

コンドロイチンを生産する能力を有する微生物としては、文献(特表2010−524431号公報)に記載されている「エシェリヒア・コリK4株由来のkfoA遺伝子とkfoC遺
伝子が共に導入されたエシェリヒア・コリ」を好ましく例示することができる。また、コンドロイチンを生産する能力が側鎖を有しないコンドロイチンを生産する能力である場合は、コンドロイチンを生産する能力を有する微生物としては、「エシェリヒア・コリK4株由来のkfoA遺伝子とkfoC遺伝子が共に導入された、kfoD, orf3(kfoI), kfoE, orf1(kfoH)遺伝子から選択される1〜3または全ての遺伝子を有しないエシェリヒア・コリ」を好ましく例示することができる。そのようなエシェリヒア・コリとしては、エシェリヒア・コリK4株由来のkfoA遺伝子とkfoC遺伝子が共に導入されたエシェリヒア・コリK5株を好ましく例示することができる。エシェリヒア・コリK4株由来のkfoA遺伝子やkfoC遺伝子の導入は、例えば、文献(特表2010−524431号公報)に記載された方法で行うことができる。

0125

また、コンドロイチンを生産する能力を有する微生物としては、文献(特表2013−520995号公報)に記載されている「エシェリヒア・コリK4株由来のkfoA, kfoB, kfoC, kfoF, kfoG, kpsF, kpsE, kpsD, kpsU, kpsC, kpsS, kpsM, kpsT遺伝子及びシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)由来のxylS遺伝子が導入されたエシェリヒア・コリ」も好ましく例示することができる。また、コンドロイチンを生産する能力が側鎖を有しないコンドロイチンを生産する能力である場合は、コンドロイチンを生産する能力を有する微生物としては、「エシェリヒア・コリK4株由来のkfoA, kfoB, kfoC, kfoF, kfoG, kpsF, kpsE, kpsD, kpsU, kpsC, kpsS, kpsM, kpsT遺伝子及びシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)由来のxylS遺伝子が導入された、kfoD, orf3(kfoI), kfoE, orf1(kfoH)遺伝子から選択される1〜3または全ての遺伝子を有しないエシェリヒア・コリ」も好ましく例示することができる。そのようなエシェリヒア・コリとしては、例えば、エシェリヒア・コリK4株由来のkfoA, kfoB, kfoC, kfoF, kfoG遺伝子を各4コピー、エシェリヒア・コリK4株由来のkpsF, kpsE, kpsD, kpsU, kpsC, kpsS, kpsM, kpsT遺伝子を各1コピー、及びシュードモナス・プチダ由来のxylS遺伝子を1コピー導入したエシェリヒア・コリが好ましい。なかでも、これらの遺伝子が導入されたエシェリヒア・コリK-12株が好ましい。エシェリヒア・コリK-12株としては、エシェリヒア・コリK-12 W3110株を好ましく例示することができる。エシェリヒア・コリK-12 W3110株にこれらの遺伝子が導入された細菌株は、文献(特表2013−520995号公報)において「MSC702株」として開示されている。これらの遺伝子の導入は、例えば、文献(特表2013−520995号公報)に記載された方法で行うことができる。

0126

なお、グリコサミノグリカンを生産する能力の付与等のために微生物の改変に使用される遺伝子は、元の機能が維持されたタンパク質をコードする限り、上記に例示したような公知の遺伝子に限られず、例えば、そのバリアントであってもよい。微生物の改変に使用される遺伝子は、例えば、公知の遺伝子の塩基配列全体に対して、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上の相同性を有し、且つ、元の機能が維持されたタンパク質をコードする遺伝子であってもよい。また、微生物の改変に使用される遺伝子は、例えば、公知のタンパク質のアミノ酸配列全体に対して、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上の相同性を有し、且つ、元の機能が維持されたタンパク質をコードする遺伝子であってもよい。なお、「相同性」とは、「同一性」を意味してよい。また、微生物の改変に使用される遺伝子は、例えば、公知のタンパク質のアミノ酸配列において、1箇所にまとまって若しくは数箇所に分散して、1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列を有し、且つ、元の機能が維持されたタンパク質をコードする遺伝子であってもよい。「1又は数個」とは、例えば、1〜30個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個であってよい。

0127

アミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加は、タンパク質の機能が正常に維持され
る保存的変異である。保存的変異の代表的なものは、保存的置換である。保存的置換とは、置換部位が芳香族アミノ酸である場合には、Phe、Trp、Tyr間で、置換部位が疎水性
ミノ酸である場合には、Leu、Ile、Val間で、極性アミノ酸である場合には、Gln、Asn間
で、塩基性アミノ酸である場合には、Lys、Arg、His間で、酸性アミノ酸である場合には
、Asp、Glu間で、ヒドロキシル基を持つアミノ酸である場合には、Ser、Thr間でお互いに置換する変異である。保存的置換とみなされる置換としては、具体的には、AlaからSer又はThrへの置換、ArgからGln、His又はLysへの置換、AsnからGlu、Gln、Lys、His又はAsp
への置換、AspからAsn、Glu又はGlnへの置換、CysからSer又はAlaへの置換、GlnからAsn
、Glu、Lys、His、Asp又はArgへの置換、GluからGly、Asn、Gln、Lys又はAspへの置換、GlyからProへの置換、HisからAsn、Lys、Gln、Arg又はTyrへの置換、IleからLeu、Met、Val又はPheへの置換、LeuからIle、Met、Val又はPheへの置換、LysからAsn、Glu、Gln、His又はArgへの置換、MetからIle、Leu、Val又はPheへの置換、PheからTrp、Tyr、Met、Ile
又はLeuへの置換、SerからThr又はAlaへの置換、ThrからSer又はAlaへの置換、TrpからPhe又はTyrへの置換、TyrからHis、Phe又はTrpへの置換、及び、ValからMet、Ile又はLeuへの置換が挙げられる。

0128

微生物の改変に使用される遺伝子は、任意のコドンをそれと等価のコドン(同じアミノ酸をコードする別のコドン)に置換したものであってもよい。例えば、微生物の改変に使用される遺伝子は、使用する宿主コドン使用頻度(宿主が発現するタンパク質をコードする核酸においてコドンとして使用される頻度)に応じて最適なコドンを有するように改変されていてもよい。

0129

「微生物由来グリコサミノグリカン」は、例えば、上記に例示したようなグリコサミノグリカンを生産する能力を有する微生物を培養することで生産できる。培養条件は、グリコサミノグリカンを生産する能力を有する微生物が生育でき、グリコサミノグリカンの生産が可能な条件ある限り、特に制限されない。グリコサミノグリカンを生産する能力を有する微生物は、例えば、細菌や酵母等の微生物を培養する通常の条件で培養することができる。培養条件としては、例えば、文献(特開2008−295450号公報、特表2010−524431号公報、または特表2013−520995号公報)に記載されている培養条件を参照できる。

0130

微生物由来グリコサミノグリカンは、公知の方法により培養物から単離し精製することができる。微生物由来グリコサミノグリカンは、例えば、エタノール等の溶媒を利用して沈殿させて回収することができる。また、微生物由来グリコサミノグリカンは、この沈殿物を溶解した後に再度沈殿させる操作を繰り返すことや、陰イオン交換その他のクロマトグラフィーに供すること等によってさらに精製してもよい。

0131

<酵素合成グリコサミノグリカンの製造>
「グリコサミノグリカンの合成酵素」とは、グリコサミノグリカンの骨格を構成する二種類の糖残基を糖鎖の非還元末端に交互に付加し、グリコサミノグリカン鎖を伸長する反応を触媒するタンパク質をいう。グリコサミノグリカンの合成酵素は、二種類の糖残基の付加を単独で触媒するタンパク質であってもよく、どちらか一方の糖残基の付加を触媒するタンパク質ともう一方の糖残基の付加を触媒するタンパク質の組み合わせであってもよい。すなわち、グリコサミノグリカンの合成酵素は、ポリメラーゼであってもよく、糖転移酵素であってもよい。ポリメラーゼとしては、コンドロイチンポリメラーゼやヘパロサンポリメラーゼが挙げられる。糖転移酵素としては、N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)転移酵素、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)転移酵素、グルクロン酸(GlcUA)
転移酵素が挙げられる。コンドロイチンポリメラーゼは、GalNAc残基の付加およびGlcUA
残基の付加の両方を単独で触媒するタンパク質である。また、ヘパロサンポリメラーゼは、GlcNAc残基の付加およびGlcUA残基の付加の両方を単独で触媒するタンパク質である。

0132

コンドロイチンポリメラーゼとしては、kfoC遺伝子にコードされるKfoCタンパク質やpmCS遺伝子にコードされるPmCSタンパク質が挙げられる。kfoC遺伝子としては、エシェリヒア・コリK4株由来のkfoC遺伝子が挙げられる。pmCS遺伝子としては、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)由来のpmCS遺伝子が挙げられる。また、ヘパロサンポ
メラーゼとしては、pmHS遺伝子にコードされるPmHSタンパク質が挙げられる。pmHS遺伝子としては、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)由来のpmHS遺伝子が挙
げられる。

0133

GlcNAc転移酵素としては、kfiA遺伝子にコードされるKfiAタンパク質が挙げられる。kfiA遺伝子としては、エシェリヒア・コリK5株由来のkfiA遺伝子が挙げられる。また、GlcUA転移酵素としては、kfiC遺伝子にコードされるKfiCタンパク質が挙げられる。kfiC遺
伝子としては、エシェリヒア・コリK5株由来のkfiC遺伝子が挙げられる。KfiAタンパク質とKfiCタンパク質は、複合体を形成してヘパロサンポリメラーゼとして機能する。

0134

グリコサミノグリカンの合成酵素としては、例えば、微生物由来のグリコサミノグリカンの合成酵素が好ましい。微生物由来のグリコサミノグリカンの合成酵素としては、具体的には、エシェリヒア・コリK4株由来のkfoC遺伝子にコードされるKfoCタンパク質(K4CP)、エシェリヒア・コリK5株由来のkfiA遺伝子にコードされるKfiAタンパク質、エシェリヒア・コリK5株由来のkfiC遺伝子にコードされるKfiCタンパク質、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)のpmCS遺伝子にコードされるPmCSタンパク質、パス
ツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)のpmHS遺伝子にコードされるPmHSタンパ
ク質等の微生物が本来的に有するグリコサミノグリカンの合成酵素が好ましく例示される。これらの中で、グリコサミノグリカンの合成酵素は、KfoCタンパク質(K4CP)、KfiAタンパク質、またはKfiCタンパク質であることが好ましい。

0135

グリコサミノグリカンの合成酵素は、グリコサミノグリカンの合成酵素からなるものであってもよく、その他の成分をさらに含有するものであってもよい。グリコサミノグリカンの合成酵素としては、グリコサミノグリカンの合成酵素を産生する微生物の培養物、当該培養物から分離した培養上清、当該培養物から分離した菌体、当該菌体の処理物、およびそれらから分離したグリコサミノグリカンの合成酵素が挙げられる。グリコサミノグリカンの合成酵素は、所望の程度に精製されていてよい。グリコサミノグリカンの合成酵素を産生する微生物は、本来的にグリコサミノグリカンの合成酵素を産生する微生物であってもよく、グリコサミノグリカンの合成酵素を産生するように改変された微生物であってもよい。グリコサミノグリカンの合成酵素を産生するように改変された微生物は、例えば、グリコサミノグリカンの合成酵素をコードする遺伝子を微生物に発現可能に導入することにより取得できる。遺伝子の導入は、例えば、同遺伝子を搭載したベクターを微生物に導入することや、同遺伝子を微生物の染色体上に導入することにより達成できる。

0136

グリコサミノグリカンの合成酵素をコードする遺伝子は、元の機能が維持されたタンパク質をコードする限り、上記に例示したような公知の遺伝子に限られず、例えば、そのバリアントであってもよい。グリコサミノグリカンの合成酵素をコードする遺伝子のバリアントについては、上述したグリコサミノグリカンを生産する能力の付与等のために微生物の改変に使用される遺伝子のバリアントに関する記載を準用できる。

0137

「酵素合成グリコサミノグリカン」は、例えば、上記に例示したようなグリコサミノグリカンの合成酵素を、糖供与体および糖受容体と、適当な反応系において共存させることにより合成できる。反応条件は、グリコサミノグリカンの合成が可能な条件である限り、特に制限されない。反応条件は、グリコサミノグリカンの合成酵素の由来や態様、グリコサミノグリカンの所望の重合度等の諸条件に応じて適宜設定できる。反応条件としては、
例えば、文献(特許第4101548号公報)または(特許第5081629号公報)に記載の条件を参照できる。

0138

「糖供与体」とは、グリコサミノグリカンの合成酵素によるグリコサミノグリカンの合成反応において糖残基を供与する分子をいう。糖供与体の種類は、グリコサミノグリカンの合成反応に利用可能である限り、特に限定されない。糖供与体としては、アミノ糖の供与体ウロン酸の供与体が挙げられる。糖供与体として、具体的には、GalNAc供与体、GlcNAc供与体、GlcUA供与体が挙げられる。また、糖供与体としては、糖ヌクレオチドが挙
げられる。

0139

「GalNAc供与体」とは、グリコサミノグリカンの合成酵素によるグリコサミノグリカンの合成反応においてGalNAc残基を供給する分子をいう。GalNAc供与体の種類は、グリコサミノグリカンの合成反応に利用可能である限り、特に限定されない。GalNAc供与体としては、GalNAcヌクレオチドが挙げられる。GalNAcヌクレオチドとしては、UDP-GalNAc(ウリジン5’−ジホスホ−N−アセチルガラクトサミン)が挙げられる。

0140

「GlcNAc供与体」とは、グリコサミノグリカンの合成酵素によるグリコサミノグリカンの合成反応においてGlcNAc残基を供給する分子をいう。GlcNAc供与体の種類は、グリコサミノグリカンの合成反応に利用可能である限り、特に限定されない。GlcNAc供与体としては、GlcNAcヌクレオチドが挙げられる。GlcNAcヌクレオチドとしては、UDP-GlcNAc(ウリジン5’−ジホスホ−N−アセチルグルコサミン)が挙げられる。

0141

「GlcUA供与体」とは、グリコサミノグリカンの合成酵素によるグリコサミノグリカン
の合成反応においてGlcUA残基を供給する分子をいう。GlcUA供与体の種類は、グリコサミノグリカンの合成反応に利用可能である限り、特に限定されない。GlcUA供与体としては
、GlcUAヌクレオチドが挙げられる。GlcUAヌクレオチドとしては、UDP-GlcUA(ウリジン
5’−ジホスホ−グルクロン酸)が挙げられる。

0142

糖供与体は、市販品であってもよく、適宜製造して取得したものであってもよい。糖供与体は、例えば、公知の手法により調製することができる。

0143

UDP-GlcUAは、例えば、UDP-Glcデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.22)を用い、UDP-Glc(ウリジン5’−ジホスホ−グルコース)を酸化して得ることができる。よって、例えば、UDP-Glcデヒドロゲナーゼを用いることにより、UDP-GlcをGlcUA供与体として用いることが
できる。UDP-Glcデヒドロゲナーゼとしては、kfoF遺伝子にコードされるKfoFタンパク質
、kfiD遺伝子にコードされるKfiDタンパク質が挙げられる。kfoF遺伝子としては、エシェリヒア・コリK4株由来のkfoF遺伝子が挙げられる。kfiD遺伝子としては、エシェリヒア・コリK5株由来のkfiD遺伝子が挙げられる。

0144

UDP-GalNAcは、例えば、UDP-Glc-4-エピメラーゼ(EC 5.1.3.2)またはUDP-GlcNAc-4-
エピメラーゼ(EC 5.1.3.7)を用い、UDP-GlcNAcを異性化して得ることができる。よって、例えば、UDP-Glc-4-エピメラーゼまたはUDP-GlcNAc-4-エピメラーゼを用いることによ
り、UDP-GlcNAcをGalNAc供与体として用いることができる。UDP-Glc-4-エピメラーゼとしては、kfoA遺伝子にコードされるKfoAタンパク質が挙げられる。kfoA遺伝子としては、エシェリヒア・コリK4株由来のkfoA遺伝子が挙げられる。

0145

UDP-GlcNAcは、例えば、UDP-Gal-4-エピメラーゼ(EC 5.1.3.2)またはUDP-GalNAc-4-
エピメラーゼ(EC 5.1.3.7)を用い、UDP-GalNAcを異性化して得ることができる。よって、例えば、UDP-Gal-4-エピメラーゼまたはUDP-GalNAc-4-エピメラーゼを用いることによ
り、UDP-GalNAcをGlcNAc供与体として用いることができる。UDP-Gal-4-エピメラーゼとし
ては、kfoA遺伝子にコードされるKfoAタンパク質が挙げられる。kfoA遺伝子としては、エシェリヒア・コリK4株由来のkfoA遺伝子が挙げられる。

0146

よって、本発明においては、例えば、UDP-Glc-4-エピメラーゼおよび/もしくはUDP-GlcNAc-4-エピメラーゼならびに/またはUDP-Glcデヒドロゲナーゼを用いることにより、UDP-GlcNAcおよび/またはUDP-GlcをそれぞれGalNAc供与体および/またはGlcUA供与体としてコンドロイチンの合成に用いることができる。また、本発明においては、例えば、UDP-Gal-4-エピメラーゼおよび/もしくはUDP-GalNAc-4-エピメラーゼならびに/またはUDP-Glcデヒドロゲナーゼを用いることにより、UDP-GalNAcおよび/またはUDP-GlcをそれぞれGlcNAc供与体および/またはGlcUA供与体としてヘパロサンの合成に用いることができる。

0147

「糖受容体」とは、グリコサミノグリカンの合成酵素によるグリコサミノグリカンの合成反応において、その非還元末端にGlcUA残基、GalNAc残基、またはGlcNAc残基が付加さ
れることによりグリコサミノグリカン鎖の伸長が開始される糖鎖(アクセプター)をいう。

0148

糖受容体としては、下記一般式(1)、(2)、または(3)で示される糖鎖が挙げられる。
GlcUA−R1 (1)
GalNAc−R2 (2)
GlcNAc−R3 (3)
(各式中、R1、R2、及びR3はそれぞれ任意の基を表す。)

0149

R1、R2、及びR3としては、水酸基や1またはそれ以上の残基数の糖鎖が挙げられる。R1、R2、及びR3がそれぞれ糖鎖である場合、各式中、「−」はグリコシド結合を表す。糖鎖としては、グリコサミノグリカン鎖が挙げられる。グリコサミノグリカン鎖としては、コンドロイチン鎖、ヘパロサン鎖、ヒアルロン酸鎖が挙げられる。コンドロイチン鎖としては、コンドロイチン硫酸脱硫酸化して得られるコンドロイチンや微生物由来コンドロイチンが挙げられる。ヘパロサン鎖としては、微生物由来ヘパロサンが挙げられる。また、糖鎖としては、これら糖鎖の誘導体も挙げられる。「糖鎖の誘導体」とは、原子、官能基、化合物等の構成要素が導入、置換、および/または除去された糖鎖をいう。糖鎖の誘導体としては、硫酸化された糖鎖や任意の糖が付加された糖鎖が挙げられる。すなわち、酵素合成グリコサミノグリカンの糖受容体部分は、本発明におけるグリコサミノグリカンの好適な態様に該当する構造を有していてもよいし、本発明におけるグリコサミノグリカンの好適な態様に該当しない構造を有していてもよい。

0150

一般式(1)において、R1がGalNAcやGlcNAc等の糖残基を含み、非還元末端のGlcUA残基がR1の当該糖残基と結合している場合、その結合はβ−1,3−グリコシド結合またはβ−1,4−グリコシド結合であることが好ましく、β−1,3−グリコシド結合であることがより好ましい。

0151

一般式(2)において、R2がGlcUA等の糖残基を含み、非還元末端のGalNAc残基がR2の当該糖残基と結合している場合、その結合はβ−1,4−グリコシド結合であることが好ましい。

0152

一般式(3)において、R3がGlcUA等の糖残基を含み、非還元末端のGlcNAc残基がR3の当該糖残基と結合している場合、その結合はα−1,4−グリコシド結合、またはβ−1,4−グリコシド結合であることが好ましく、α−1,4−グリコシド結合であることがより好ましい。

0153

糖受容体の糖鎖の残基数(糖受容体の長さ)は、グリコサミノグリカン鎖が伸長される限り、特に制限されない。糖受容体の糖鎖の残基数は、例えば、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、または10以上であってよく、6以上であるのが好ましい。糖受容体の糖鎖の残基数は、例えば、50以下、40以下、30以下、または20以下であってよい。糖受容体の糖鎖の残基数は、例えば、それらの組み合わせの範囲であってよい。

0154

糖受容体としては、コンドロイチン鎖またはヘパロサン鎖が好ましい。コンドロイチン鎖は微生物由来コンドロイチンであることが好ましい。ヘパロサン鎖は微生物由来ヘパロサンであることが好ましい。糖受容体としては、具体的には、例えば、6残基以上のコンドロイチン鎖またはヘパロサン鎖を好適に用いることができる。

0155

糖受容体は、市販品であってもよく、適宜製造して取得したものであってもよい。糖受容体は、例えば、公知の手法により調製することができる。

0156

グリコサミノグリカンの伸長は、溶液中に界面活性剤を共存させた状態で行われてよい。また、グリコサミノグリカンの伸長は、溶液中に有機溶媒を共存させた状態で行われてよい。界面活性剤や有機溶媒としては、文献(特許第5081629号公報)に記載されたものが挙げられる。

0157

酵素合成グリコサミノグリカンの調製時における反応温度は、例えば、10〜50℃、20〜40℃、または25〜37℃であってよい。また、酵素合成グリコサミノグリカンの調製時における反応時間は、例えば、1時間〜7日間、6〜48時間、または12〜24時間であってよい。

0158

上記のように反応を行うことにより、酵素合成グリコサミノグリカンを調製することができる。酵素合成グリコサミノグリカンは、上述した微生物由来グリコサミノグリカンと同様にして、単離および精製することができる。

0159

このようにして得られる「酵素合成グリコサミノグリカン」は、グリコサミノグリカンを生産する能力を有する微生物が細胞内で行う反応を、微生物の培養以外の方法、例えば、in vitroまたは無細胞系で再現して得られるグリコサミノグリカンである。すなわち、「酵素合成グリコサミノグリカン」は「微生物由来グリコサミノグリカン」と実質的に同一の反応を経て得られるグリコサミノグリカンである。よって、両者は血中滞留性等において同質のグリコサミノグリカンである。

0160

グリコサミノグリカンとしては、1種のグリコサミノグリカンのみが用いられてもよく、2種またはそれ以上のグリコサミノグリカンが用いられてもよい。

0161

<8>本発明におけるペプチド
本発明においてペプチドは、血中滞留性の増強を所望するペプチドである限り、特に限定されない。ペプチドは、単量体(monomer)あってもよく、二量体等の多量体(multimer)であってもよい。ペプチドは、医薬として用いられるペプチドであってもよく、試薬
として用いられるペプチドであってもよく、動物試験に用いられるペプチドであってもよい。

0162

本発明においてペプチドの分子量は、リンカーを介してグリコサミノグリカンと複合体を形成することにより血中滞留性が増強されることが可能である限り、特に制限されない。本発明においてペプチドの分子量は、例えば、10kDa(1×104)以下であってよい。本発明においてペプチドの分子量は、例えば、1×104以下、9×103以下、
8×103以下、7×103以下、6×103以下、または5×103以下であってよい。本発明においてペプチドの分子量は、例えば、1×103以上、2×103以上、または3×103以上であってよい。本発明においてペプチドの分子量は、例えば、それらの組み合わせの範囲であってよい。本発明においてペプチドの分子量は、例えば、1×103〜1×104、1×103〜8×103、1×103〜6×103、1×103〜5×103、2×103〜1×104、2×103〜8×103、2×103〜6×103、2×103〜5×103、3×103〜1×104、3×103〜8×103、3×103〜6×103、または3×103〜5×103であってよい。

0163

本発明においてペプチドを構成するアミノ酸残基の数(ペプチドの長さ)は、リンカーを介してグリコサミノグリカンと複合体を形成することにより血中滞留性が増強されることが可能である限り、特に制限されない。本発明においてペプチドを構成するアミノ酸残基の数は、例えば、100残基以下、90残基以下、80残基以下、70残基以下、60残基以下、50残基以下であってよい。本発明においてペプチドを構成するアミノ酸残基の数は、例えば、10残基以上、20残基以上、30残基以上であってよい。本発明においてペプチドを構成するアミノ酸残基の数は、例えば、それらの組み合わせの範囲であってよい。本発明においてペプチドを構成するアミノ酸残基の数は、例えば、10残基〜100残基、10残基〜80残基、10残基〜60残基、10残基〜50残基、20残基〜100残基、20残基〜80残基、20残基〜60残基、20残基〜50残基、30残基〜100残基、30残基〜80残基、30残基〜60残基、または30残基〜50残基であってよい。

0164

本発明においてペプチドは、疾患の治療のために長期に亘って薬効を維持することが重要なペプチドであることが好ましい。そのようなペプチドとしては、生活習慣病の治療のために投与されるペプチドが挙げられる。生活習慣病としては、脂質異常症、高血圧、糖尿病、肥満が挙げられる。本発明におけるペプチドは、糖尿病の治療のために投与されるペプチドであることが好ましい。また、本発明におけるペプチドは、血糖抑制作用を有するペプチドであることが好ましい。本発明におけるペプチドとしては、具体的には、GLP−1、インスリンが挙げられる。

0165

GLP−1としては、GLP−1(7−37)のアミノ酸配列を含むペプチドおよびGLP−1(7−37)のアナログのアミノ酸配列を含むペプチド、並びにそれらのバリアントを例示することができる。

0166

バリアントについては、グリコサミノグリカンを生産する能力の付与等のために微生物の改変に使用される遺伝子のバリアントについての記載を準用できる。すなわち、GLP−1のバリアントは、例えば、GLP−1(7−37)またはGLP−1(7−37)のアナログのアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、血糖抑制作用を有する、ペプチドであってよい。「1又は数個」とは、上述したとおりであるが、特にペプチドについては、例えば、1〜20個、1〜15個、1〜10個、1〜7個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、または1〜2個を意味してもよい。また、GLP−1のバリアントは、例えば、GLP−1(7−37)またはGLP−1(7−37)のアナログのアミノ酸配列に対し、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上の相同性を有するアミノ酸を含み、血糖抑制作用を有する、ペプチドであってもよい。

0167

GLP−1として、具体的には、下記(A)〜(D)に示されるペプチドを例示することができる。すなわち、本発明においてペプチドは、具体的には、例えば、下記(A)〜(D)からなる群より選択されるペプチドであってよい。
(A)下記(a)に示されるGLP−1(7−37)のアミノ酸配列を含むペプチド。
(a)HAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGRG(GLP−1(7−37);配列番号1)
(B)下記(b1)〜(b3)からなる群より選択されるGLP−1(7−37)のアナログのアミノ酸配列を含むペプチド。
(b1)HGEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGRC(GLP−1C;配列番号2)
(b2)HGEGTFTSDVSSYLEGQAAREFIAWLVKGRG(GLP−1RK;配列番号3)
(b3)HAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGRC(GLP−1oriC;配列番号4)
(C)前記(a)および(b1)〜(b3)のいずれかに示されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、血糖抑制作用を有する、ペプチド。
(D)前記(a)および(b1)〜(b3)のいずれかに示されるアミノ酸配列に対して80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、血糖抑制作用を有する、ペプチド。

0168

上記GLP−1のバリアントにおいて、改変(例えば、置換、欠失、挿入、及び/又は付加)されるアミノ酸残基は、リンカーを結合させるアミノ酸残基以外のアミノ酸残基であってよい。

0169

GLP−1アナログのアミノ酸配列としては、上記(b1)〜(b3)に例示したアミノ酸配列に加えて、文献(US8957021)に記載されたアミノ酸配列も例示することができる。

0170

GLP−1等のペプチドに結合させるリンカーについては、上述した通りである。GLP−1(例えば、上記(A)〜(D)のいずれかに示されるペプチド)に結合させるリンカーは、例えば、前記一般式(L1)〜(L15)のいずれかに示される構造を有するリンカーであってよい。式中、A1は、好ましくは、8〜14、8〜13、8〜12、9〜13、9〜12、9〜11、10〜12、または10〜11のアルキレン基であってよい。具体的には、式中、A1は、炭素数8、9、10、11、12、13、または14のアルキレン基であることが好ましく、炭素数9、10、11、または12のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数10または11のアルキレン基であることがさらに好ましく、炭素数11のアルキレン基であることが特に好ましい。

0171

GLP−1等のペプチドとリンカーの結合様式については、後述する通りである。リンカーは、例えば、ペプチドのアミノ酸残基と結合させることができる。GLP−1においてリンカーを結合させるアミノ酸残基は、N末端のアミノ酸残基から好ましくは15残基以上、より好ましくは20残基以上、さらに好ましくは25残基以上、特に好ましくは30残基以上C末端側に存在するアミノ酸残基であってよい。また、GLP−1においてリンカーを結合させるアミノ酸残基は、C末端の近傍に存在するアミノ酸残基であることが好ましく、C末端のアミノ酸残基であることがより好ましい。ここにいう「C末端の近傍に存在するアミノ酸残基」とは、C末端から好ましくは15残基以内、より好ましくは12残基以内、さらに好ましくは8残基以内、特に好ましくは4残基以内に存在するアミノ酸残基である。

0172

GLP−1においてリンカーを結合させるアミノ酸残基は、リジン(K)残基、システイン(C)残基、および/またはC末端のアミノ酸残基であることが好ましい。リンカーを結合させるアミノ酸残基がリジン残基である場合は、リジン残基のε−アミノ基とリンカーを結合させることが好ましい。リンカーを結合させるアミノ酸残基がシステイン残基
である場合は、システイン残基のチオール基とリンカーを結合させることが好ましい。

0173

GLP−1(7−37)において、N末端のアミノ酸残基は7位のヒスチジン残基である。よって、GLP−1(7−37)、GLP−1C、およびGLP−1oriCにおいてリジン残基は26位と34位に存在し、GLP−1RKにおいてリジン残基は34位に存在する。また、GLP−1CおよびGLP−1oriCにおいてシステイン残基は37位に存在する。

0174

GLP−1(GLP−1(7−37)のアミノ酸配列を含むペプチドやGLP−1(7−37)のアナログのアミノ酸配列を含むペプチド等)においてリンカーを結合させるアミノ酸残基は、具体的には、26位のリジン残基、34位のリジン残基、または37位のシステイン残基であることが好ましく、34位のリジン残基または37位のシステイン残基であることがより好ましく、37位のシステイン残基であることがさらに好ましい。なお、ここに記載のアミノ酸残基の位置は、(a)および(b1)〜(b3)のいずれかに示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸残基の位置を基準とした相対的な位置を示す。よって、ここに記載のアミノ酸残基の絶対的な位置は、アミノ酸残基の欠失、挿入、及び/又は付加によって前後し得る。任意のGLP−1のアミノ酸配列におけるここに記載のアミノ酸残基の絶対的な位置は、例えば、当該任意のGLP−1のアミノ酸配列と(a)および(b1)〜(b3)のいずれかに示されるアミノ酸配列とのアラインメントにより同定できる。

0175

GLP−1においてリンカーを結合させるアミノ酸残基の数(グリコサミノグリカンを導入するアミノ酸残基の数)は、1つであってもよく、2つまたはそれ以上であってもよい。GLP−1においてリンカーを結合させるアミノ酸残基の数は、1つであることが好ましい。

0176

インスリンとしては、A鎖及びB鎖を含み、血糖抑制作用を有するペプチド多量体が挙げられる。A鎖としては、インスリンA鎖及びそのバリアントを例示することができる。B鎖としては、インスリンB鎖及びそのバリアントを例示することができる。

0177

バリアントについては、GLP−1のバリアントについての記載を準用できる。すなわち、インスリンA鎖及びB鎖のバリアントは、例えば、それぞれ、インスリンA鎖及びB鎖のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含むペプチドであってよい。また、インスリンA鎖及びB鎖のバリアントは、例えば、それぞれ、インスリンA鎖及びB鎖のアミノ酸配列に対し、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むペプチドであってもよい。

0178

インスリンとして、具体的には、下記(A)に示されるペプチド及び下記(B)に示されるペプチドを含み、血糖抑制作用を有するペプチド多量体を例示することができる。すなわち、本発明においてペプチドは、具体的には、例えば、下記(A)に示されるペプチド及び下記(B)に示されるペプチドを含み、血糖抑制作用を有するペプチド多量体であってよい。
(A)下記(a1)に示されるインスリンA鎖のアミノ酸配列を含むペプチド、又は下記(a2)若しくは(a3)に示されるアミノ酸配列を含むペプチド。
(a1)GIVEQCCTSICSLYQLENYCN(配列番号5)
(a2)前記(a1)に示されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列。
(a3)前記(a1)に示されるアミノ酸配列に対して80%以上の同一性を有するア
ミノ酸配列。
(B)下記(b1)に示されるインスリンB鎖のアミノ酸配列を含むペプチド、又は下記(b2)若しくは(b3)に示されるアミノ酸配列を含むペプチド。
(b1)FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKT(配列番号6)
(b2)前記(b1)に示されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列。
(b3)前記(b1)に示されるアミノ酸配列に対して80%以上の同一性を有するアミノ酸配列。

0179

上記バリアントにおいて、改変(例えば、置換、欠失、挿入、及び/又は付加)されるアミノ酸残基は、リンカーを結合させるアミノ酸残基を除く他のアミノ酸残基であってよい。

0180

インスリン等のペプチドに結合させるリンカーについては、上述した通りである。インスリン(例えば、上記のペプチド多量体)に結合させるリンカーは、例えば、前記一般式(L1)〜(L15)のいずれかに示される構造を有するリンカーであってよい。式中、A1は、好ましくは、1〜6、1〜5、1〜4、1〜3、1〜2、2〜4、または2〜3であってよい。具体的には、式中、A1は、炭素数1、2、3、4、5、または6のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1、2、3、または4のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1または2のアルキレン基であることがさらに好ましく、炭素数2のアルキレン基であることが特に好ましい。

0181

インスリン等のペプチドとリンカーの結合様式については、後述する通りである。リンカーは、例えば、ペプチドのアミノ酸残基と結合させることができる。インスリンにおいてリンカーを結合させるアミノ酸残基は、リジン(K)残基またはN末端のアミノ酸残基であることが好ましい。リンカーを結合させるアミノ酸残基がリジン残基である場合は、リジン残基のε−アミノ基とリンカーを結合させることが好ましい。リンカーを結合させるアミノ酸残基がN末端のアミノ酸残基である場合は、N末端のα−アミノ基とリンカーを結合させることが好ましい。

0182

インスリンにおいてリンカーを結合させるアミノ酸残基は、具体的には、インスリンA鎖(例えば、上記(A)に示されるペプチド)のN末端のアミノ酸残基、インスリンB鎖(例えば、上記(B)に示されるペプチド)のN末端のアミノ酸残基、またはインスリンB鎖の29位のリジン残基であることが好ましく、インスリンA鎖のN末端のアミノ酸残基、またはインスリンB鎖の29位のリジン残基であることがより好ましく、インスリンA鎖のN末端のアミノ酸残基であることがさらに好ましい。なお、「インスリンB鎖の29位のリジン残基」の位置は、(b1)に示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸残基の位置を基準とした相対的な位置を示す。よって、当該アミノ酸残基の絶対的な位置は、アミノ酸残基の欠失、挿入、及び/又は付加によって前後し得る。任意のインスリンB鎖のアミノ酸配列における当該アミノ酸残基の絶対的な位置は、例えば、当該任意のインスリンB鎖のアミノ酸配列と(b1)に示されるアミノ酸配列とのアラインメントにより同定できる。

0183

インスリンは、一態様において、A鎖及びB鎖からなるペプチド二量体(例えば、上記(A)に示されるペプチドおよび上記(B)に示されるペプチドからなるペプチド二量体)であってよい。

0184

インスリンにおいてA鎖は、6位のシステイン残基と11位のシステイン残基がジスルフィド結合を形成していることが好ましい。また、インスリンにおいてA鎖とB鎖は、A
鎖の7位のシステイン残基とB鎖の7位のシステイン残基およびA鎖の20位のシステイン残基とB鎖の19位のシステイン残基がジスルフィド結合を形成していることが好ましい。

0185

上記のペプチドの説明において、「アミノ酸配列を含む」という表現は、「アミノ酸配列からなる」場合を包含する。

0186

ペプチドとしては、1種のペプチドのみが用いられてもよく、2種またはそれ以上のペプチドが用いられてもよい。

0187

ペプチドは、例えば、化学合成により、当該ペプチドを産生する生物からの回収により、または当該ペプチドをコードする遺伝子の発現により、製造することができる。また、ペプチドは、例えば、各種試薬メーカー(ペプチド研究所社、北海道システムサイエンス社、スクラム社等)から市販品として、または合成を委託して入手することができる。

0188

<9>本発明におけるグリコサミノグリカンとリンカーの結合様式
本発明においてグリコサミノグリカンとリンカーの結合様式は、両者が結合した状態を維持することが可能な様式である限り、特に制限されない。本発明においてグリコサミノグリカンとリンカーを結合させる方法としては、例えば、グリコサミノグリカンにリンカーを導入する公知の方法を用いることができる。本発明においてグリコサミノグリカンとリンカーの結合様式は、結合状態の安定性の点から、共有結合であることが好ましい。

0189

リンカーは、例えば、グリコサミノグリカンの糖残基と結合させることができる。本発明においてリンカーを結合させるグリコサミノグリカンの糖残基は、還元末端の糖残基であることが好ましい。本発明においてリンカーとグリコサミノグリカンの結合は、リンカーとグリコサミノグリカンの還元末端の糖残基の1位の炭素原子との結合であることが好ましい。還元末端の糖残基は、グルコサミン残基、ガラクトサミン残基、またはグルクロン酸残基であることが好ましい。グルコサミン残基は、N−アセチルグルコサミン残基であることが好ましい。ガラクトサミン残基は、N−アセチルガラクトサミン残基であることが好ましい。

0190

本発明においてリンカーとグリコサミノグリカンの結合は、リンカーの官能基とグリコサミノグリカンの官能基の反応により形成される結合であってよい。本発明においてリンカーとグリコサミノグリカンの結合は、前記一般式(L11)〜(L15)のいずれかに示される構造を有するリンカーの官能基Z2とグリコサミノグリカンの官能基の反応により形成される結合であることが好ましい。リンカーは、具体的には、例えば、グリコサミノグリカンのアルデヒド基および/またはアミノ基と結合させることができる。当該グリコサミノグリカンの官能基は、アルデヒド基であることが好ましい。

0191

グリコサミノグリカンとリンカーの結合は、例えば、アルデヒド基とアミノ基の結合により行うことができる。よって、グリコサミノグリカンとリンカーの結合は、具体的には、例えば、グリコサミノグリカンが有するアルデヒド基とリンカーが有するアミノ基の結合、またはグリコサミノグリカンが有するアミノ基とリンカーが有するアルデヒド基との結合により行うことができる。

0192

「グリコサミノグリカンが有するアルデヒド基」は、グリコサミノグリカンが還元末端に本来的に有するアルデヒド基であってもよく、人為的に導入されたアルデヒド基であってもよい。「人為的に導入されたアルデヒド基」とは、グリコサミノグリカンを化学反応に供することで導入されるアルデヒド基であることを意味する。例えば、グリコサミノグリカンを過ハロゲン酸と共存させる処理を行うことにより、還元末端GalNAc残基の
C4−C5結合、還元末端GlcUA残基のC2−C3結合、還元末端GlcUA残基のC5−C6結合、および/または還元末端以外のGlcUA残基のC2−C3結合を切断して、グリコサミノグリカンにアルデヒド基を人為的に導入することができる。ここにいう過ハロゲン酸としては、過ヨウ素酸が挙げられる。「グリコサミノグリカンが有するアルデヒド基」は、グリコサミノグリカンが還元末端に本来的に有するアルデヒド基であることが好ましい。

0193

「グリコサミノグリカンが有するアミノ基」は、グリコサミノグリカンがアミノ糖残基に本来的に有するアミノ基であってもよく、人為的に導入されたアミノ基であってもよい。「本来的に有するアミノ基」とは、グリコサミノグリカンのGalNAc残基またはGlcNAc残基の2位のアミノ基であることを意味する。当該アミノ基がアセチル化されている場合は、例えば、酸もしくは塩基またはヒドラジンと接触させる処理に供して脱アセチル化することにより、当該アミノ基をリンカーとの結合のために用いることができる。また、「人為的に導入されたアミノ基」とは、グリコサミノグリカンを化学反応に供することで導入されるアミノ基であることを意味する。例えば、グリコサミノグリカンをアミンと共存させる処理を行うことにより、グリコサミノグリカンの糖残基のアルデヒド基とのシッフ塩基を形成させて、グリコサミノグリカンにアミノ基を導入することができる。また、「人為的に導入されたアミノ基を有するグリコサミノグリカン」は、このようにして形成されるシッフ塩基を還元したグリコサミノグリカンであってもよい。ここにいうアミンとしては、アンモニアアンモニウム塩塩化アンモニウム酢酸アンモニウム等)、ジアミンエチレンジアミンヘキサメチレンジアミン等のポリメチレンジアミン等)が挙げられる。

0194

リンカーが結合するグリコサミノグリカンの糖残基は、還元末端の糖残基であることが好ましい。また、リンカーが結合するグリコサミノグリカンの部位は、グリコサミノグリカンが還元末端に本来的に有するアルデヒド基であることが好ましい。

0195

本発明において、グリコサミノグリカンとリンカーの結合は、一態様において、下記構造式(G1)〜(G3)のいずれかに示される構造(すなわち結合)を有するものであってよい。

0196

(式中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して水素又は任意の基を表し、L’はリンカーのうちグリコサミノグリカン鎖と結合しているアミノ基を除く残余の部分を表し、G’はグリコサミノグリカン鎖のうち還元末端のガラクトサミン残基を除く残余の部分を表す。)

0197

上記構造式(G1)において、R1は水素、硫酸基、又はアセチル基であることが好ましく、水素又はアセチル基であることがより好ましく、アセチル基であることがさらに好ましい。上記構造式(G1)において、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して水素又は硫酸基であることが好ましく、水素であることがより好ましい。上記構造式(G1)において、G’はコンドロイチン鎖であることが好ましい。

0198

(式中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して水素又は任意の基を表し、L’はリンカーのうちグリコサミノグリカン鎖と結合しているアミノ基を除く残余の部分を表し、G’はグリコサミノグリカン鎖のうち還元末端のグルコサミン残基を除く残余の部分を表す。)

0199

上記構造式(G2)において、R1は水素、硫酸基、又はアセチル基であることが好ましく、水素又はアセチル基であることがより好ましく、アセチル基であることがさらに好ましい。上記構造式(G2)において、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して水素又は硫酸基であることが好ましく、水素であることがより好ましい。上記構造式(G2)において、G’はヘパロサン鎖であることが好ましい。

0200

(式中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して水素又は任意の基を表し、L’はリンカーのうちグリコサミノグリカン鎖と結合しているアミノ基を除く残余の部分を表し、G’はグリコサミノグリカン鎖のうち還元末端のグルクロン酸残基を除く残余の部分を表す。)

0201

上記構造式(G3)において、R1、R2、およびR3は、それぞれ独立して水素又は硫酸基であることが好ましく、水素であることがより好ましい。上記構造式(G3)において、R4は水素、任意のアルカリ金属原子、又は任意のアルカリ土類金属原子であることが好ましく、水素又は任意のアルカリ金属原子であることがより好ましく、任意のアルカリ金属原子であることが好ましい。上記構造式(G3)において、R4としては、ナトリウム原子(Na)やカリウム原子(K)が例示される。上記構造式(G3)において、G’はコンドロイチン鎖またはヘパロサン鎖であることが好ましい。

0202

リンカーとグリコサミノグリカンは、1箇所のみで結合していてもよく、2またはそれ以上の箇所で結合していてもよい。1分子のリンカーに対し、1分子のグリコサミノグリカンのみが結合していてもよく、2分子またはそれ以上および/または2種またはそれ以上のグリコサミノグリカンが結合していてもよい。1分子のグリコサミノグリカンに対し、1分子のリンカーのみが結合していてもよく、2分子またはそれ以上および/または2種またはそれ以上のリンカーが結合していてもよい。

0203

<10>本発明におけるリンカーとペプチドの結合様式
本発明においてリンカーとペプチドの結合様式は、両者が結合した状態を維持することが可能な様式である限り、特に制限されない。本発明においてリンカーとペプチドを結合させる方法としては、例えば、リンカーをペプチドに導入する公知の方法を用いることができる。本発明においてリンカーとペプチドの結合様式は、結合状態の安定性の点から、
共有結合であることが好ましい。

0204

リンカーは、例えば、ペプチドのアミノ酸残基と結合させることができる。本発明においてリンカーを結合させるペプチドのアミノ酸残基は、例えば、アミノ基を有するアミノ酸残基(アルギニン残基アスパラギン残基グルタミン残基、ヒスチジン残基、リジン残基等)、チオール基を有するアミノ酸残基(システイン残基、メチオニン残基ホモシステイン残基等)、C末端のアミノ酸残基、および/またはN末端のアミノ酸残基であってよい。本発明においてリンカーを結合させるペプチドのアミノ酸残基は、リジン(K)残基、システイン(C)残基、C末端のアミノ酸残基、および/またはN末端のアミノ酸残基であることが好ましい。

0205

本発明においてリンカーとペプチドの結合は、リンカーの官能基とペプチドの官能基の反応により形成される結合であってよい。本発明においてリンカーとペプチドの結合は、前記一般式(L6)〜(L20)のいずれかに示される構造を有するリンカーの官能基Z1とペプチドの官能基の反応により形成される結合であることが好ましい。リンカーは、具体的には、例えば、ペプチドのアミノ基および/またはチオール基と結合させることができる。リンカーを結合させるアミノ酸残基がリジン残基である場合は、リジン残基のε−アミノ基とリンカーを結合させることが好ましい。リンカーを結合させるアミノ酸残基がシステイン残基である場合は、システイン残基のチオール基とリンカーを結合させることが好ましい。リンカーを結合させるアミノ酸残基がN末端のアミノ酸残基である場合は、N末端のα−アミノ基とリンカーを結合させることが好ましい。

0206

「リンカーとペプチドの結合」は、例えば、マレイミド基またはハロアセチル基とチオール基の結合により行うことができる。よって、リンカーとペプチドの結合は、具体的には、例えば、リンカーが有するマレイミド基またはハロアセチル基とペプチドが有するチオール基の結合により行うことができる。

0207

「ペプチドが有するチオール基」は、ペプチドが本来的に有するチオール基であってもよく、人為的に導入されたチオール基であってもよい。「人為的に導入されたチオール基」とは、ペプチドを化学反応に供することで導入されるチオール基であることを意味する。「ペプチドが有するチオール基」は、ペプチドが本来的に有するチオール基(システイン、メチオニンホモシステイン等が本来的に有するチオール基)であることが好ましい。

0208

リンカーが結合するペプチドのアミノ酸残基は、本来的にチオール基を有するアミノ酸残基(システイン残基、メチオニン残基、ホモシステイン残基等)であることが好ましい。これらの中でリンカーが結合するペプチドのアミノ酸残基は、システイン(C)残基であることがより好ましい。

0209

また、「リンカーとペプチドの結合」は、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)基またはアルデヒド基とアミノ基の結合により行うことができる。よって、リンカーとペプチドの結合は、具体的には、例えば、リンカーが有するNHS基またはアルデヒド基とペプチドが有するアミノ基の結合により行うことができる。

0210

「ペプチドが有するアミノ基」は、ペプチドが本来的に有するアミノ基であってもよく、人為的に導入されたアミノ基であってもよい。「人為的に導入されたアミノ基」とは、ペプチドを化学反応に供することで導入されるアミノ基であることを意味する。「ペプチドが有するアミノ基」は、ペプチドが本来的に有するアミノ基(アルギニンアスパラギングルタミンヒスチジン、リジン等が本来的に有するε−アミノ基、またはペプチドのN末端に存在するα−アミノ基)であることが好ましい。

0211

リンカーが結合するペプチドのアミノ酸残基は、本来的にアミノ基を有するアミノ酸残基(アルギニン残基、アスパラギン残基、グルタミン残基、ヒスチジン残基、リジン残基等)、および/またはペプチドのN末端のアミノ酸残基であることが好ましい。これらの中でリンカーが結合するペプチドのアミノ酸残基は、リジン(K)および/またはペプチドのN末端のアミノ酸残基であることがより好ましい。

0212

リンカーとペプチドの結合様式は、特に具体的には、本発明におけるペプチド(例えば、GLP−1およびインスリン)に関連して説明した通りであってよい。

0213

本発明において、リンカーとペプチドの結合は、一態様において、下記(P1)〜(P3)のいずれかに示される構造(すなわち結合)を有するものであってよい。

0214

(式中、L’はリンカーのうちシステイン残基等のアミノ酸残基のチオール基と結合しているマレイミド基を除く残余の部分を表し、Pn及びPcは存在しても存在しなくてもよく、但しPn及びPcは同時に存在しないことはなく、Pnはペプチドのうちリンカーが結合したシステイン残基等のアミノ酸残基よりN末端側の残余の部分を表し、Pcはペプチドのうちリンカーが結合したシステイン残基等のアミノ酸残基よりC末端側の残余の部分を表す。)

0215

(式中、L’はリンカーのうちシステイン残基等のアミノ酸残基のチオール基と結合しているハロアセチル基のハロゲン原子を除く残余の部分を表し、Pn及びPcは存在しても存在しなくてもよく、但しPn及びPcは同時に存在しないことはなく、Pnはペプチドのうちリンカーが結合したシステイン残基等のアミノ酸残基よりN末端側の残余の部分を表し、Pcはペプチドのうちリンカーが結合したシステイン残基等のアミノ酸残基よりC末端側の残余の部分を表す。)

0216

(式中、L’はリンカーのうちNHS基を除く残余の部分を表し、Pn及びPcは存在しても存在しなくてもよく、但しPn及びPcは同時に存在しないことはなく、Pnはペプチドのうちリンカーが結合したリジン残基等のアミノ酸残基よりN末端側の残余の部分
を表し、Pcはペプチドのうちリンカーが結合したリジン残基等のアミノ酸残基よりC末端側の残余の部分を表す。)

0217

本発明において、リンカーとペプチドの結合がリンカーとシステイン残基との結合である場合、その結合様式は前記一般式(P1)に示される結合様式であることが好ましい。本発明において、リンカーとペプチドの結合がリンカーとリジン残基との結合である場合、その結合様式は前記一般式(P3)に示される結合様式であることが好ましい。

0218

リンカーとペプチドは、1箇所のみで結合していてもよく、2またはそれ以上の箇所で結合していてもよい。1分子のリンカーに対し、1分子のペプチドのみが結合していてもよく、2分子またはそれ以上および/または2種またはそれ以上のペプチドが結合していてもよい。1分子のペプチドに対し、1分子のリンカーのみが結合していてもよく、2分子またはそれ以上および/または2種またはそれ以上のリンカーが結合していてもよい。例えば、リンカーを結合させるペプチドのアミノ酸残基は、1残基であってもよく、2残基またはそれ以上であってもよい。また、リンカーは、同一のアミノ酸残基に2つまたはそれ以上導入されてもよい。

0219

本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。

0220

以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例の内容のみに限定されるものではない。

0221

<実施例1>コンドロイチンの調製
コンドロイチン(以下、「CH」ともいう。)は、文献(国際公開第2011/109438号)に記載の方法に従ってエシェリヒア・コリMSC702株を培養し、培養上清から精製して調製した。エシェリヒア・コリMSC702株は、同文献に記載の方法に基づき、エシェリヒア・コリK-12 W3110株(ATCC27325)に、エシェリヒア・コリK4株由来のkfoA、kfoB、kfoC、kfoF、kfoG遺伝子を各4コピー、エシェリヒア・コリK4株由来のkpsF、kpsE、kpsD、kpsU、kpsC、kpsS、kpsM、kpsT遺伝子を各1コピー、及びシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)由来のxylS遺伝子を1コピー導入して構築した。

0222

<実施例2>ヘパロサンの調製
ヘパロサン(以下、「HPN」ともいう。)は、公知の文献(特開2004−018840号公報)に記載の方法に従ってエシェリヒア・コリK5株(Serotype O10:K5(L):H4,
ATCC23506)を培養し、培養上清から精製して調製した。

0223

<参考例1>分子量の調整
前記実施例1で得られたコンドロイチンまたは前記実施例2で得られたヘパロサンを1g/Lとなるように蒸留水に溶解した。この溶液に終濃度で0.5Mとなるように塩酸を添加し、60℃で10分間〜5時間撹拌した。この溶液に水酸化ナトリウムを添加して中和し、透析により脱塩した後、凍結乾燥させた。続いて、当該コンドロイチンまたは当該ヘパロサンを12.5mg/mLになるように10%メタノール/50mM炭酸ナトリウムに溶解した後、ヘキソサミン残基(GalNAc残基またはGlcNAc残基)の数に対して4モル当量無水酢酸を添加して室温で1時間撹拌した。この溶液に酢酸ナトリウムを終濃度3%(w/v)となるように添加し、続いて1.6倍容の99.5%(v/v)エタノールと混合した後、室温に一晩静置して得られる沈殿物を回収した。このようにして得られた沈殿物を含水エタノール洗浄し、その後に乾燥させた。このようにして所
望の分子量を有するコンドロイチンおよびヘパロサンを得た。以下、n×103の分子量を有するコンドロイチンおよびヘパロサンを、それぞれ、「CHn」および「HPNn」ともいう。すなわち、例えば、「CH10」とは、分子量10kDaのコンドロイチンを示す。

0224

<参考例2>分子量の測定
本実施例に記載したコンドロイチンまたはヘパロサンの分子量は、以下の条件に従ったゲルろ過クロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量である。

0225

分子量の測定は、カラムとしてUltrahydrogel Linear(内径:7.8mm×長さ:300mm、Waters社製)を用い、カラム温度を40℃に設定して行った。移動相には0.2M NaClを用い、流速は0.6mL/minとした。検出は示差屈折率検出器により行い、1mg/mLに溶解した試料を100μLアプライして得られるピークの保持時間から較正曲線を用いて分子量を算出した。標準物質としてプルラン(昭和電工社製)を用いた測定を行い、マークホーインク補正を行って較正曲線を作成した。マークホーインク補正は、HPLCシステム(島津製作所社製)に付属ソフトウェアを用いて行った。

0226

<実施例3>本実施例で使用するリンカー
本実施例では、前記構造式(X1)〜(X26)に示されるリンカーを使用した。これらのリンカーは、下記の通りに入手した。
(1)AMAS(X1)およびSulfo-SMPB(X24)は、Thermo scientific社から入手した

(2)BMPS(X2)、SBA(X10)、SIA(X12)、SPDP(X14)、HDA(X18)
、BAMB(X22)、およびBAMC(X26)は、東京化成工業社から入手した。
(3)Sulfo-GMBS(X3)、Sulfo-EMCS(X4)、Sulfo-HMCS(X5)、Sulfo-KMUS(X6)、DTBSU(X15)、AHT(X19)、およびAUDT(X20)は、同仁化学研究所から入手した。
(4)Sulfo-LMDS(X7)は、アミノドデカン酸のアミノ基をマレイミド化した後、カルボキシ基に対してsulfo-NHS(N-hydroxysulfosuccinimide)を導入して調製した。
(5)Sulfo-NMTS(X8)は、14−アミノテトラデカン酸のカルボキシ基に対してsulfo-NHSを導入して調製した。14−アミノテトラデカン酸は、フタルイミドと1−ブロモ
−12−ドデカノール光延反応でN−(12−ドデシル)フタルイミドとした後、マロン酸エステルと反応させ、酸加水分解とそれにつづく脱炭酸反応により14−フタルイミドテトラデカン酸とし、フタルイミドを分解して調製した。
(6)Sulfo-OMHS(X9)は、16−ブロモヘキサデカン酸アジ化ナトリウムを反応させて16−アジドヘキサデカン酸とした後、接触還元アジド基をアミノ基に変換して16−アミノヘキサデカン酸とした。その後、カルボキシ基に対してsulfo-NHSを導入して
調製した。
(7)Sulfo-SBAX(X11)は、SBA(X10)のNHS基とアミノドデカン酸のアミノ
基を反応させて12−[(2−ブロモアセチル)アミノ]ドデカン酸を調製した後、カルボキシ基に対してsulfo-NHSを導入して調製した。
(8)SIAX(X13)は、Molecular BioScience社から入手した。
(9)EDA(X16)、AET(X17)、およびDDDA(X21)は、和光純薬工業社から入手した。
(10)Sulfo-MBS(X23)、およびSulfo-SMCC(X25)は、ProtoChem社より入手した。

0227

<実施例4>還元末端にアミノ基を導入したグリコサミノグリカンの調製
グリコサミノグリカン(以下、「GAG」ともいう。)の還元末端へのアミノ基の導入は、ジアミノリンカー(EDA、HDA、DDDA、BAMB、またはBAMC)、アンモニア、またはアン
モニウム塩を用い、還元的アミノ化反応により行った。還元末端にアミノ基を導入したグリコサミノグリカンの誘導体を、以下、総称して「GAG−NH2」ともいう。

0228

(1)還元末端にEDAを導入したCH10(CH10−EDA)の調製
200mgのCH10に28.5mLのEDA溶液(32mLの注射用水(WFI)と1mLのEDAを混合した後、5M HClを添加してpH7.3に調整した水溶液、以下同じ)を添加して2時間撹拌した。その後、EDA溶液の1/2容量のNaBH3CN水溶液(18mLのWFIに900mgのNaBH3CNを溶解させた溶液、以下同じ)を混合し、42℃で16時間撹拌した。この溶液に終濃度で3%(w/v)となるように酢酸ナトリウムを添加して30分間撹拌し、終濃度で75%(v/v)となるようにエタノールを添加して30分間撹拌した後、この溶液を遠心して上清を除去した。このようにして得た沈殿物をWFIに溶解した後、陽イオン交換カラム(DiaionPK220(三菱化学社製)、直径:17mm×長さ:170mm)を素通りさせた。回収した溶液をNaOHで中和し、
透析により脱塩した後、凍結乾燥した。このようにして154mgのCH10−EDAを得た。

0229

(2)還元末端にEDAを導入したCH20(CH20−EDA)の調製
82.9mgのCH20に5.2mLのEDA溶液を添加して1.5時間撹拌した。以後、上記(1)と同じ操作を行った。このようにして73.0mgのCH20−EDAを得た。

0230

(3)還元末端にEDAを導入したCH30(CH30−EDA)の調製
82.6mgのCH30に3.5mLのEDA溶液を添加して1.5時間撹拌した。以後、上記(1)と同じ操作を行った。このようにして78.7mgのCH30−EDAを得た。

0231

(4)還元末端にEDAを導入したCH40(CH40−EDA)の調製
200mgのCH40に3.33mLのWFIと6.66mLのEDA希釈液(32mLのWFIと1mLのEDAを混合した溶液、以下同じ)を添加して30分間撹拌した後、472μLの5M HClを添加して30分間撹拌した。以後、上記(1)と同じ操作を行った。このようにして167mgのCH40−EDAを得た。

0232

(5)還元末端にEDAを導入したCH70(CH70−EDA)の調製
1gのCH70に8.35mLのWFIと16.7mLのEDA希釈液を添加して30分間撹拌した後、2.25mLの5M HClを添加して40分間撹拌した。以後、上記(1)と同じ操作を行った。このようにして777mgのCH70−EDAを得た。

0233

(6)還元末端にEDAを導入したCH90(CH90−EDA)の調製
300mgのCH90に1.9mLのWFIと3.8mLのEDA希釈液を添加して30分間撹拌した後、540μLの5M HClを添加して15分間撹拌した。以後、上記(1)と同じ操作を行った。このようにして276mgのCH90−EDAを得た。

0234

(7)還元末端にEDAを導入したCH140(CH140−EDA)の調製
300mgのCH140に1.64mLのWFIと3.28mLのEDA希釈液を添加して40分間撹拌した後、450μLの5M HClを添加して30分間撹拌した。以後、上記(1)と同じ操作を行った。このようにして282mgのCH140−EDAを得た。

0235

(8)還元末端にEDAを導入したHPN50(HPN50−EDA)の調製
30mgのHPN50に0.5mLのWFIと1.0mLのEDA希釈液を添加して3
0分間撹拌した後、71μLの5M HClを添加して30分間撹拌した。以後、上記(1)と同じ操作を行った。このようにして29.5mgのHPN50−EDAを得た。

0236

(9)還元末端にHDAを導入したCH70(CH70−HDA)の調製
302mgのCH70に2.5mLのWFIと5.0mLのHDA溶液(6.55mLのWFIに205mgのHDAを溶解させた後、5M HClを添加してpH8.6に調整した溶液)を添加して1時間撹拌した。その後、HDA溶液の1/2容量のNaBH3CN水溶液を混合し、42℃で16時間撹拌した。以後、上記(1)と同じ操作を行った。このようにして252mgのCH70−HDAを得た。

0237

(10)還元末端にHDAを導入したCH140(CH140−HDA)の調製
305mgのCH140に1.64mLのWFIと3.28mLのHDA水溶液(3.84mLのWFIに120mgのHDAを溶解させた溶液)を添加して40分間撹拌した後、450μLの5M HClを添加して30分間撹拌した。その後、HDA水溶液の1/2容量のNaBH3CN水溶液を混合し、42℃で16時間撹拌した。以後、上記(9)と同じ操作を行った。このようにして276mgのCH140−HDAを得た。

0238

(11)還元末端にDDDAを導入したCH90(CH90−DDDA)の調製
200mgのCH90に1.27mLのWFIと2.54mLのDDDA溶液(5.0mLの50%エタノールに200mgのDDDAを溶解させた溶液)を添加して25分間撹拌した後、360μLの5M HClを添加して75分間撹拌した。その後、DDDA溶液の1/2容量のNaBH3CN水溶液を混合し、42℃で16時間撹拌した。以後、上記(1)と同じ操作を行った。このようにして171mgのCH90−DDDAを得た。

0239

(12)還元末端にBAMBを導入したCH70(CH70−BAMB)の調製
204mgのCH70に1.71mLのWFIと3.41mLのBAMB溶液(4.8mLのWFIに150mgのBAMBを溶解させた後、5M HClを添加してpH8.4に調整した溶液、以下同じ)を添加して40分間撹拌した。その後、BAMB溶液の1/2容量のNaBH3CN水溶液を混合し、42℃で16時間撹拌した。以後、上記(1)と同じ操作を行った。このようにして135mgのCH70−BAMBを得た。

0240

(13)還元末端にBAMBを導入したCH140(CH140−BAMB)の調製
300mgのCH140に1.64mLのWFIと3.27mLのBAMB溶液を添加して60分間撹拌した。以後、上記(12)と同じ操作を行った。このようにして258mgのCH140−BAMBを得た。

0241

(14)還元末端にBAMCを導入したCH70(CH70−BAMC)の調製
303mgのCH70に2.5mLのWFIと5.0mLのBAMC溶液(8.84mLのWFIに276mgのBAMCを溶解させた後、5M HClを添加してpH8.1に調整した溶液、以下同じ)を添加して1時間撹拌した。その後、BAMC溶液の1/2容量のNaBH3CN水溶液を混合し、42℃で16時間撹拌した。以後、上記(1)と同じ操作を行った。このようにして242mgのCH70−BAMCを得た。

0242

(15)還元末端にBAMCを導入したCH140(CH140−BAMC)の調製
300mgのCH140に1.64mLのWFIと3.27mLのBAMC溶液を添加して1時間撹拌した。以後、上記(14)と同じ操作を行った。このようにして259mgのCH140−BAMCを得た。

0243

(16)還元末端にアミノ基を導入したCH70(CH70−NH2)の調製
307mgのCH70に2.5mLのWFIと5.0mLのNH4HCO3水溶液(6.4mLのWFIに400mgのNH4HCO3を溶解させた溶液、以下同じ)を添加して20分間撹拌した後、689μLの5M HClを添加して35分間撹拌した。その後、NH4HCO3水溶液の1/2容量のNaBH3CN水溶液を混合し、42℃で16時間撹拌した。以後、上記(1)と同じ操作を行った。このようにして236mgのCH70−NH2を得た。

0244

(17)還元末端にアミノ基を導入したCH140(CH140−NH2)の調製(1)
20mgのCH140に109μLのWFIと218μLのNH4HCO3水溶液を添加して15分間撹拌した後、30μLの5M HClを添加して20分間撹拌した。以後、上記(16)と同じ操作を行った。このようにして21.1mgのCH140−NH2を得た。

0245

(18)還元末端にアミノ基を導入したCH140(CH140−NH2)の調製(2)
20mgのCH140に109μLのWFIと109μLのアンモニア希釈液(0.3mLのWFIと0.1mLの28%アンモニア水を混合した溶液)を添加して1時間撹拌した後、30μLの5M HClを添加して45分間撹拌した。その後、アンモニア希釈液と等量のNaBH3CN水溶液を混合し、42℃で16時間撹拌した。以後、上記(16)と同じ操作を行った。このようにして21.1mgのCH140−NH2を得た。

0246

<実施例5>還元末端にチオール基を導入したグリコサミノグリカンの調製
グリコサミノグリカンの還元末端へのチオール基の導入は、二価性架橋試薬(AET、AHT、AUDT、SPDP、またはDTBSU)を用いて行った。還元末端にチオール基を導入したグリコ
サミノグリカンの誘導体を、以下、総称して「GAG−SH」ともいう。

0247

(1)還元末端にAETを導入したCH70(CH70−AET)の調製
50mgのCH70に0.42mLのAET溶液(3mLのWFIに117mgのAETを溶解させた溶液、以下同じ)を添加して30分間撹拌した。その後、AET溶液の1/2容量のNaBH3CN水溶液を混合し、42℃で16時間撹拌した。以後、前記実施例4(1)と同じ操作を行った。このようにして38mgのCH70−AETを得た。

0248

(2)還元末端にAETを導入したCH90(CH90−AET)の調製
100mgのCH90に0.84mLのAET溶液を添加して30分間撹拌した。以後、上記(1)と同じ操作を行った。このようにして103mgのCH90−AETを得た。

0249

(3)還元末端にAHTを導入したCH40(CH40−AHT)の調製
513mgのCH40に11.5mLのAHT溶液(12.9mLのWFIに505mgのAHTを溶解させた溶液、以下同じ)を添加して30分間撹拌した。その後、AHT溶液の1/2容量のNaBH3CN水溶液を混合し、42℃で16時間撹拌した。以後、前記実施例4(1)と同じ操作を行った。このようにして447mgのCH40−AHTを得た。

0250

(4)還元末端にAHTを導入したCH70(CH70−AHT)の調製
50mgのCH70に0.42mLのAHT溶液を添加して30分間撹拌した。以後、上記(3)と同じ操作を行った。このようにして30mgのCH70−AHTを得た。

0251

(5)還元末端にAHTを導入したCH90(CH90−AHT)の調製
100mgのCH90に0.84mLのAHT溶液を添加して30分間撹拌した。以後、上記(3)と同じ操作を行った。このようにして93.2mgのCH90−AHTを得
た。

0252

(6)還元末端にAUDTを導入したCH90(CH90−AUDT)の調製
50mgのCH90に0.5mLのAUDT溶液(0.68mLの50%エタノールに37.4mgのAUDTを溶解させた溶液)を添加して30分間撹拌した。その後、AUDT溶液の1/2容量のNaBH3CN水溶液を混合し、42℃で16時間撹拌した。以後、前記実施例4(1)と同じ操作を行った。このようにして50mgのCH90−AUDTを得た。

0253

(7)還元末端にSPDPを導入したグリコサミノグリカンの調製
30mgのGAG−NH2(CH70-NH2、CH30-EDA、CH40-EDA、CH70-EDA、HPN50-EDA、CH70-HDA、CH30-DDDA、CH90-DDDA、CH70-BAMB、またはCH70-BAMC)を50%N,N−ジメ
チルホルムアミドDMF)750μLに溶解した後、0.5M Bicine−NaOH(pH8.3)90μLと20mM SPDP溶液150μLを添加して反応溶液を調製し、遮光して室温で1時間撹拌した。続いて4mgのジチオスレイトール(DTT)を添加して室温で1時間撹拌し、ピリジルジチオ基をチオール基に還元してpropanoyl-SH基(−CO−(CH2)2−SH)を生成させた。その後、反応溶液500μLと0.1Mギ酸アンモニウム1mLを混合した溶液を脱塩カラム(Hi Trap Desalting G-25、GEヘルスケア社製)(35mL)にアプライした。移動相として0.1Mギ酸アンモニウムを用い、グリコサミノグリカンを含む溶出画分を回収した後、凍結乾燥した。このようにして、還元末端にチオール基を導入したグリコサミノグリカン(CH70-NH2-propanoyl-SH、CH30-EDA-propanoyl-SH、CH40-EDA-propanoyl-SH、CH70-EDA-propanoyl-SH、HPN50-EDA-propanoyl-SH、CH70-HDA-propanoyl-SH、CH70-BAMB-propanoyl-SH、CH70-BAMC-propanoyl-SH、CH30-DDDA-propanoyl-SH、およびCH90-DDDA-propanoyl-SH)を得た。

0254

(8)還元末端にDTBSUを導入したCH70の調製
100mgのCH70-EDAを50%N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)2.5mLに溶解した後、0.5M Bicine−NaOH(pH8.3)0.3mLとジチオスレイトール(DTT)29mgを添加して反応溶液を調製し、遮光して室温で1時間撹拌した。続いて7mM DTBSU溶液0.6mLとDMF 2mLを添加して室温で2時間撹拌し、ジチオ基をチオール基に還元してundecanoyl-SH基(−CO−(CH2)10−
SH)を生成させた。その後、反応溶液と蒸留水2mLを混合した溶液を等分し、それぞれ0.1Mギ酸アンモニウム0.75mLと混合した。この溶液を遠心(20,000×g、10分間)し、上清を回収した。回収した上清を脱塩カラム(Hi Trap Desalting G-25)(35mL)にアプライした。移動相として0.1Mギ酸アンモニウムを用い、グリコサミノグリカンを含む溶出画分を回収した後、凍結乾燥した。このようにして、還元末端にチオール基を導入したコンドロイチン(CH70-EDA-undecanoyl-SH)を得た。

0255

<実施例6>還元末端にマレイミド基を導入したグリコサミノグリカンの調製
グリコサミノグリカンの還元末端へのマレイミド基の導入は、二価性架橋試薬(AMAS、BMPS、Sulfo-GMBS、Sulfo-EMCS、Sulfo-HMCS、Sulfo-KMUS、Sulfo-LMDS、Sulfo-NMTS、Sulfo-OMHS、Sulfo-SMCC、Sulfo-MBS、またはSulfo-SMPB)を用いて行った。二価性架橋
薬は、DMFに溶解した溶液(以下「二価性架橋試薬溶液」という。)を用いた。還元末端にマレイミド基を導入したグリコサミノグリカンの誘導体を、以下、総称して「GAG−Mal」ともいう。

0256

20mgのGAG−NH2(CH70-NH2、CH10-EDA、CH20-EDA、CH30-EDA、CH40-EDA、CH70-EDA、CH90-EDA、CH140-EDA、HPN50-EDA、CH70-HDA、CH140-HDA、CH90-DDDA、CH70-BAMB、CH140-BAMB、CH70-BAMC、またはCH140-BAMC)を50%N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)500μLに溶解した後、0.5M Bicine−NaOH(pH8.3)
60μLと10mM二価性架橋試薬溶液120μLを添加して反応溶液を調製し、遮光して室温で1時間撹拌した。その後、反応溶液340μLと0.1Mギ酸アンモニウム1.25mLを混合した溶液を脱塩カラム(Hi Trap Desalting G-25)(35mL)にアプライした。移動相として0.1Mギ酸アンモニウムを用い、グリコサミノグリカンを含む溶出画分を回収した後、凍結乾燥した。このようにして、還元末端にマレイミド基を導入したグリコサミノグリカン(CH70-NH2-BMPS、CH70-NH2-KMUS、CH10-EDA-KMUS、CH20-EDA-KMUS、CH30-EDA-KMUS、CH40-EDA-BMPS、CH40-EDA-KMUS、CH40-EDA-NMTS、CH40-EDA-OMHS、CH70-EDA-AMAS、CH70-EDA-BMPS、CH70-EDA-GMBS、CH70-EDA-EMCS、CH70-EDA-HMCS、CH70-EDA-KMUS、CH70-EDA-LMDS、CH70-EDA-SMCC、CH70-EDA-MBS、CH70-EDA-SMPB、CH90-EDA-KMUS、CH90-EDA-LMDS、CH140-EDA-AMAS、CH140-EDA-GMBS、CH140-EDA-EMCS、CH140-EDA-HMCS、CH140-EDA-KMUS、CH140-EDA-LMDS、HPN50-EDA-BMPS、HPN50-EDA-LMDS、CH70-HDA-GMBS
、CH70-HDA-EMCS、CH70-HDA-HMCS、CH70-HDA-KMUS、CH140-HDA-BMPS、CH140-HDA-KMUS、CH90-DDDA-BMPS、CH90-DDDA-EMCS、CH70-BAMB-AMAS、CH70-BAMB-GMBS、CH70-BAMB-EMCS、CH70-BAMB-HMCS、CH70-BAMB-KMUS、CH70-BAMB-LMDS、CH70-BAMB-SMCC、CH70-BAMB-MBS、CH70-BAMB-SMPB、CH140-BAMB-AMAS、CH140-BAMB-BMPS、CH140-BAMB-EMCS、CH140-BAMB-HMCS、CH140-BAMB-KMUS、CH140-BAMB-LMDS、CH70-BAMC-GMBS、CH70-BAMC-EMCS、CH70-BAMC-HMCS、CH70-BAMC-KMUS、CH70-BAMC-LMDS、CH140-BAMC-BMPS、CH140-BAMC-KMUS、およびCH140-BAMC-LMDS)を得た。

0257

<実施例7>還元末端にハロアセチル基を導入したグリコサミノグリカンの調製
グリコサミノグリカンの還元末端へのハロアセチル基の導入は、二価性架橋試薬(SBA
、Sulfo-SBAX、SIA、SIAX)を用いて行った。還元末端にハロアセチル基を導入したグリ
コサミノグリカンの誘導体を、以下、総称して「GAG−Hal」ともいう。

0258

GAG−NH2としてCH70-NH2、CH70-EDA、CH140-EDA、CH90-DDDA、CH70-BAMB、また
はCH140-BAMCを用い、上記二価性架橋試薬を用いて、前記実施例6と同じ操作を行った。このようにして、還元末端にハロアセチル基を導入したグリコサミノグリカン(CH70-NH2-SBA、CH70-NH2-SBAX、CH70-EDA-SBA、CH70-EDA-SBAX、CH70-EDA-SIA、CH140-EDA-SBA、CH140-EDA-SIAX、CH90-DDDA-SBA、CH90-DDDA-SIAX、CH70-BAMB-SBAX、およびCH140-BAMC-SBA)を得た。

0259

<実施例8>本実施例で使用するペプチド
本実施例では、ペプチドとして、下記のGLP−1ペプチドおよびインスリンを使用した。これらのペプチドは、下記の通りに入手した。
・GLP−1C(配列番号2);北海道システムサイエンス社またはスクラム社から入手した。
・GLP−1RK(配列番号3);スクラム社から入手した。
・GLP−1oriC(配列番号4);スクラム社から入手した。
・インスリン(配列番号5、配列番号6);サーモフィッシャーサイエンティフィック社から入手した。

0260

<実施例9>リジン残基にマレイミド基を有するリンカーを導入したGLP−1RK誘導体の調製
GLP−1RK水溶液(0.6μmol(2mg)のGLP−1RKを0.6mLのWFIに溶解して1mMに調整した溶液)に4.1μLの0.72Nトリエチルアミン、100mM二価性架橋試薬溶液(sulfo-EMCSにおいては12μL(2当量)、BMPS、sulfo-HMCS、およびsulfo-KMUSにおいては15μL(2.5当量)または18μL(3当量)、sulfo-LMDS、SBA、およびSPDPにおいては21μL(3.5当量))を添加して反応溶液
を調製し、室温で1〜2時間撹拌した。その後、この反応溶液と1.2mLの0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)/80%アセトニトリル、4.8mLの0.1% TFAを順
に混合して遠心(20,000×g、10分間)し、上清を逆相カラム(Capcell Pak、
内径:10mm×全長:250mm、資生堂社製)にアプライした。移動相には溶媒A(0.1%
TFA)と溶媒B(0.1% TFA/80% MeCN)を用いた。溶離リニアグラジエントにより行い、分析開始から5分後までの間は溶媒Bの割合を30%で維持し、5分後から30分後までの間に溶媒Bの割合を30%から70%に変化させた。流速は4mL/min、カラム温度は40℃とした。二価性架橋試薬とGLP−1RKの複合体を含む溶出画分を回収した後、凍結乾燥した。このようにして、GLP−1RK誘導体(マレイミド基を有するリンカーをリジン残基に結合させた構造を有する、GLP−1RKの誘導体)を得た。

0261

<実施例10>マレイミド基を有するリンカーを導入したインスリン誘導体の調製
インスリン溶液(インスリンをDMSOに溶解して1mMに調整した溶液)400μLに200μLの4mMトリエチルアミン、10mM二価性架橋試薬溶液(BMPS、EMCS、Sulfo-EMCS、またはKMUSを50%N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた溶液)40〜60μLを添加して反応溶液を調製し、室温で1時間撹拌した。続いて、この溶液と0.1% TFAを混合して全量を8〜10mLとした後に遠心(20,000×g、10分間)し、上清を逆相カラム(Capcell Pak、内径:20mm×全長:250mm、資生堂社製)にアプライした。移動相には溶媒A(0.1% TFA)と溶媒B(0.1% TFA/80% MeCN)を用いた。溶離はリニアグラジエントにより行った。二価性架橋試薬としてBMPSを用いた場合は、分析開始後または1分後からの20分間で溶媒Bの割合を40%から45%に変化させた。二価性架橋試薬としてEMCSまたはSulfo-EMCSを用いた場合は、分析開始後または1分後からの25分間で溶媒Bの割合を42%から48.2%に変化させた。二価性架橋試薬としてKMUSを用いた場合は、分析開始後からの20分間で溶媒Bの割合を40%から80%に変化させた。流速は8mL/min、カラム温度は40℃とした。このようにしてインスリンA鎖のα−アミノ基(N末のアミノ基)にリンカーが導入されたインスリン誘導体、インスリンB鎖のε−アミノ基(リジン残基のアミノ基)にリンカーが導入されたインスリン誘導体、それらの両方にリンカーが導入されたインスリン誘導体をそれぞれ分取して回収した後、凍結乾燥した。このようにして、インスリン誘導体(マレイミド基を有するリンカーを導入した、インスリンの誘導体)を得た。

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