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技術 循環器リスクの評価を支援するシステム、装置およびプログラム

出願人 オムロンヘルスケア株式会社国立大学法人九州大学
発明者 木下広幸間野純平朔啓太砂川賢二
出願日 2019年6月13日 (1年6ヶ月経過) 出願番号 2019-110235
公開日 2019年12月26日 (1年0ヶ月経過) 公開番号 2019-217277
状態 未査定
技術分野 脈拍・心拍・血圧・血流の測定
主要キーワード 押圧レベル 自己回帰移動平均モデル トータル値 電気信号値 ピエゾ抵抗式圧力センサ データ端 回帰移動 RMAモデル
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年12月26日)のものです。
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図面 (20)

課題

日内の血圧変動性を評価する指標を取得するための脈波測定期間短期間にする。

解決手段

ステム(100)は、被測定者測定部位から脈波を検出するセンサ(31)を有した脈波検出装置と、脈波検出装置とデータを遣り取りする装置(30)とを備えるシステムであって、装置は、12時間未満の予め定められた長さの時間においてセンサにより連続して検出された脈波のデータを時系列収集する収集部と、収集された予め定められた長さの時間の時系列の脈波のデータに基づき、日内の血圧変動性を評価するための指標を算出する指標算出部を備える。

概要

背景

従来の高血圧診療では、カフを用いた血圧計等により診察室家庭スポット的に計測した血圧値を基準に、高血圧に関する評価がなされてきた。また、血圧は一拍ごとに変動し、その変動自体も循環器リスク推定できる指標の一つであることが知られている。したがって単回の血圧測定では血圧の変動性を評価できないばかりか、計測した血圧値は血圧変動の影響によりばらつきが生じる(測定頻度が血圧変動頻度よりも遅いために原理的に生じるエリアスと呼ばれるバラツキ)ため、高血圧の診断にはある程度長期間の血圧値を平均して評価する必要がある。つまり、患者日常行動排泄食事喫煙運動会話就寝等)による血圧の変動を考慮した評価が必要とされている。

このような背景のもと、ABPM(Guidelines for the clinical use of 24 hour ambulatory blood pressure monitoring)を用いて日内の行動による血圧変動を評価することが実施されている。ABPMでは、15〜30分に1回の測定で24時間に亘り血圧測定が実施される。ABPMにより測定された日内の血圧値(収縮期血圧拡張期血圧等)の標準偏差SD(standard deviation)または変動係数CV(Coefficient of Variation)から、血圧変動が大きいと評価された場合、心血管イベントのリスクは高いと判断される。

非特許文献1において、発明者らは、生体圧受容器反射(baroreflex)が血圧変動を抑制するように作用することに着目している。すなわち、非特許文献1は、圧受容器反射の感度(baroreflex gain)が強力に作用する周波数帯域が0.01〜0.1Hzでは血圧の変動は、主に循環器のリスクを表すとの知見のもとで、12時間に亘って測定された血圧波形PSDパワースペクトル密度:Power Spectral Density)の0.01〜0.1Hzにおける変位(PSDの傾き)は、圧受容体反射ゲインの算出に用いることができることを開示する。

概要

日内の血圧変動性を評価する指標を取得するための脈波測定期間短期間にする。システム(100)は、被測定者測定部位から脈波を検出するセンサ(31)を有した脈波検出装置と、脈波検出装置とデータを遣り取りする装置(30)とを備えるシステムであって、装置は、12時間未満の予め定められた長さの時間においてセンサにより連続して検出された脈波のデータを時系列収集する収集部と、収集された予め定められた長さの時間の時系列の脈波のデータに基づき、日内の血圧変動性を評価するための指標を算出する指標算出部を備える。

目的

<M.プログラム
上述したフローチャートを用いて説明した処理は、プログラムとして提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

被測定者測定部位から脈波を検出するセンサを有した脈波検出装置と、前記脈波検出装置とデータを遣り取りする装置とを備えるシステムであって、前記装置は、12時間未満の予め定められた長さの時間において前記センサにより連続して検出される脈波のデータを時系列収集する収集部と、収集された前記予め定められた長さの時間の時系列の脈波のデータに基づき、日内の血圧変動性を評価するための指標を算出する指標算出部を備える、システム。

請求項2

前記予め定められた長さの時間は、5分以上60分以下の長さの時間を含む、請求項1に記載のシステム。

請求項3

前記指標算出部は、収集された時系列の脈波のデータから、予め定められた周波数帯域におけるパワースペクトル密度を算出する周波数解析部を含み、前記予め定められた周波数帯域におけるパワースペクトル密度の変位を、前記日内の血圧変動性を評価するための指標として算出する、請求項1または2に記載のシステム。

請求項4

前記指標算出部は、収集された時系列の脈波のデータから、予め定められた周波数帯域におけるパワースペクトル密度を算出する周波数解析部を含み、前記予め定められた周波数帯域におけるパワースペクトル密度の積分値から、前記日内の血圧変動性を評価するための指標を算出する、請求項1から3のいずれか1項に記載のシステム。

請求項5

前記周波数解析部は、自己回帰移動平均モデル演算に従い、収集された前記時系列の脈波のデータから、前記予め定められた周波数帯域のパワースペクトル密度を算出する、請求項3または4に記載のシステム。

請求項6

前記周波数解析部は、収集された前記時系列の脈波のデータから、フーリエ変換により、前記予め定められた周波数帯域のパワースペクトル密度を算出する、請求項3または4に記載のシステム。

請求項7

前記予め定められた周波数帯域は、生体圧受容器反射が血圧変動に作用する周波数帯域に相当する、請求項3から6のいずれか1項に記載のシステム。

請求項8

前記予め定められた周波数帯域は、0.01Hz〜0.1Hzの帯域を含む、請求項3から7のいずれか1項に記載のシステム。

請求項9

前記指標算出部は、前記予め定められた周波数帯域におけるパワースペクトル密度の変位を、前記日内の血圧変動性を評価するための指標として算出し、前記変位は、0.1Hzのパワースペクトル密度と0.01Hzのパワースペクトル密度との比を含む、請求項8に記載のシステム。

請求項10

前記変位は、0.1Hzのパワースペクトル密度と0.01Hzのパワースペクトル密度の両方を結ぶ線の傾きの大きさを含む、請求項8または9に記載のシステム。

請求項11

前記脈波は、前記測定部位で検出される血圧波形または前記測定部位で検出される容積脈波を含む、請求項1から10のいずれか1項に記載のシステム。

請求項12

被測定者の測定部位から脈波を検出するセンサを有した装置であって、12時間未満の予め定められた長さの時間において前記センサにより連続して検出される脈波のデータを時系列に収集する収集部と、収集された前記予め定められた長さの時間の時系列の脈波のデータに基づき、日内の血圧変動性を評価するための指標を算出する指標算出部を備える、装置。

請求項13

プログラムであって、前記プログラムはコンピュータに、12時間未満の予め定められた長さの時間において、測定部位からセンサにより連続して検出される脈波のデータを時系列に収集するステップと、収集された前記予め定められた長さの時間の時系列の脈波のデータに基づき、日内の血圧変動性を評価するための指標を算出するステップを実行させる、プログラム。

技術分野

0001

この開示は、循環器リスクの評価を支援するシステム、装置およびプログラムに関する。

背景技術

0002

従来の高血圧診療では、カフを用いた血圧計等により診察室家庭スポット的に計測した血圧値を基準に、高血圧に関する評価がなされてきた。また、血圧は一拍ごとに変動し、その変動自体も循環器リスクを推定できる指標の一つであることが知られている。したがって単回の血圧測定では血圧の変動性を評価できないばかりか、計測した血圧値は血圧変動の影響によりばらつきが生じる(測定頻度が血圧変動頻度よりも遅いために原理的に生じるエリアスと呼ばれるバラツキ)ため、高血圧の診断にはある程度長期間の血圧値を平均して評価する必要がある。つまり、患者日常行動排泄食事喫煙運動会話就寝等)による血圧の変動を考慮した評価が必要とされている。

0003

このような背景のもと、ABPM(Guidelines for the clinical use of 24 hour ambulatory blood pressure monitoring)を用いて日内の行動による血圧変動を評価することが実施されている。ABPMでは、15〜30分に1回の測定で24時間に亘り血圧測定が実施される。ABPMにより測定された日内の血圧値(収縮期血圧拡張期血圧等)の標準偏差SD(standard deviation)または変動係数CV(Coefficient of Variation)から、血圧変動が大きいと評価された場合、心血管イベントのリスクは高いと判断される。

0004

非特許文献1において、発明者らは、生体圧受容器反射(baroreflex)が血圧変動を抑制するように作用することに着目している。すなわち、非特許文献1は、圧受容器反射の感度(baroreflex gain)が強力に作用する周波数帯域が0.01〜0.1Hzでは血圧の変動は、主に循環器のリスクを表すとの知見のもとで、12時間に亘って測定された血圧波形PSDパワースペクトル密度:Power Spectral Density)の0.01〜0.1Hzにおける変位(PSDの傾き)は、圧受容体反射ゲインの算出に用いることができることを開示する。

先行技術

0005

Hiroshi Mannoji, Keita Saku, Takuya Nishikawa, Takeshi Tohyama, Yasuhiro Oga, Kiyokazu Abe, Takuya Kishi, Hiroyuki Tsutsui, and Kenji Sunagawa “Identification of open-loop baroreflex gain from continuous arterial pressure monitoring”,[Online],1 Apr 2017,Abstract Number:848.11,FASEB Journal, [2018年4月26日検索],インターネット〈URL:https://www.fasebj.org/doi/abs/10.1096/fasebj.31.1_supplement.848.11〉

発明が解決しようとする課題

0006

上記のABPMによる血圧変動性の評価方法および非特許文献1では、いずれも長期(例えば、24時間または12時間)に亘り血圧測定がなされるから、患者を拘束する期間が長い。本開示は、日内の血圧変動性を評価する指標を取得するための脈波測定期間短期間化できることを一つの目的としている。

課題を解決するための手段

0007

本開示の一例に係るシステムは、被測定者測定部位から脈波を検出するセンサを有した脈波検出装置と、脈波検出装置とデータを遣り取りする装置とを備えるシステムであって、装置は、12時間未満の予め定められた長さの時間においてセンサにより連続して検出される脈波のデータを時系列収集する収集部と、収集された予め定められた長さの時間の時系列の脈波のデータに基づき、日内の血圧変動性を評価するための指標を算出する指標算出部を備える。

0008

上述の開示によれば、日内の血圧変動性を得るための脈波の測定期間として、1日(24時間)を必要とすることなく、12時間未満の予め定められた長さの時間に短縮することができる。

0009

上述の開示において、予め定められた長さの時間は、5分以上60分以下の長さの時間を含む。

0010

この開示によれば、日内の血圧変動性を評価する指標を、5分以上60分以下の長さの時間で測定される脈波から取得することができる。

0011

上述の開示において、指標算出部は、収集された時系列の脈波のデータから、予め定められた周波数帯域におけるパワースペクトル密度を算出する周波数解析部を含み、予め定められた周波数帯域におけるパワースペクトル密度の変位を、日内の血圧変動性を評価するための指標として算出する。

0012

この開示によれば、予め定められた周波数帯域におけるパワースペクトル密度の変位を、日内の血圧変動性を評価する指標とすることができる。これにより、全周波数帯域においてパワースペクトル密度の変位を算出する構成に比較して、パワースペクトル密度の演算量を少なくすることができる。

0013

上述の開示において、指標算出部は、収集された時系列の脈波のデータから、予め定められた周波数帯域におけるパワースペクトル密度を算出する周波数解析部を含み、予め定められた周波数帯域におけるパワースペクトル密度の積分値から、日内の血圧変動性を評価するための指標を算出する。

0014

上述の開示において、周波数解析部は、自己回帰移動平均モデルの演算に従い、収集された時系列の脈波のデータから、予め定められた周波数帯域のパワースペクトル密度を算出する。

0015

この開示によれば、収集された前記時系列の脈波のデータから、自己回帰移動平均モデルを用いた演算により、予め定められた周波数帯域のパワースペクトル密度を算出できる。

0016

上述の開示において、収集された前記時系列の脈波のデータから、フーリエ変換により、予め定められた周波数帯域のパワースペクトル密度を算出する。

0017

この開示によれば、フーリエ変換を用いることで、予め定められた周波数帯域におけるパワースペクトル密度を算出することができる。

0018

上述の開示において、予め定められた周波数帯域は、生体の圧受容器反射が血圧変動に作用する周波数帯域に相当する。

0019

この開示によれば、圧受容器反射により血圧変動が制御される周波数帯域のパワースペクトル密度を用いて、血圧変動性を評価する指標を算出することで、循環器機能のリスクを評価することが可能になる。

0020

上述の開示において、予め定められた周波数帯域は、0.01Hz〜0.1Hzの帯域を含む。

0021

この開示によれば、0.01Hz〜0.1Hzの帯域のパワースペクトル密度を用いて、血圧変動性を評価する指標を算出することができる。

0022

上述の開示において、指標算出部は、予め定められた周波数帯域におけるパワースペクトル密度の変位を、日内の血圧変動性を評価するための指標として算出し、変位は、0.1Hzのパワースペクトル密度と0.01Hzのパワースペクトル密度との比を含む。

0023

この開示によれば、変位を、0.1Hzのパワースペクトル密度と0.01Hzのパワースペクトル密度との比として算出できる。

0024

上述の開示において、変位は、0.1Hzのパワースペクトル密度と0.01Hzのパワースペクトル密度の値を結ぶ線の傾きの大きさを含む。

0025

この開示によれば、変位を、0.1Hzのパワースペクトル密度と0.01Hzのパワースペクトル密度の値を結ぶ線の傾きから算出できる。

0026

上述の開示において、脈波は、測定部位で検出される血圧の波形または測定部位で検出される容積脈波を含む。

0027

この開示によれば、血圧変動性を評価する指標を算出するため測定される脈波として、血圧波形または容積脈波を用いることができる。

0028

本開示の一例に係る装置は、12時間未満の予め定められた長さの時間において、測定部位からセンサにより連続して検出される脈波のデータを時系列に収集する収集部と、収集された予め定められた長さの時間の時系列の脈波のデータに基づき、日内の血圧変動性を評価するための指標を算出する指標算出部を備える。

0029

本開示の一例に係るプログラムは、コンピュータに、12時間未満の予め定められた長さの時間において、測定部位からセンサにより連続して検出される脈波のデータを時系列に収集するステップと、収集された予め定められた長さの時間の時系列の脈波のデータに基づき、日内の血圧変動性を評価するための指標を算出するステップを実行させる。

発明の効果

0030

本開示によれば、日内の血圧変動性を得るための脈波の測定期間として、1日(24時間)を必要とすることなく、12時間未満の予め定められた長さの時間に短縮することができる。

図面の簡単な説明

0031

本発明の実施の形態に係るシステムの構成の一例を模式的に示す図である。
本発明の実施の形態に係る血圧計1が左手首90に装着された状態を模式的に示す図である。
本発明の実施の形態に係る血圧計の制御系ハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
本発明の実施の形態に係る脈波計測時の圧力センサに対する押圧レベルの変化の一例を表すグラフである。
本発明の実施の形態に係る血圧変動性の評価に関する発明者らの知見を説明する図である。
本発明の実施の形態に係る血圧変動性の評価に関する発明者らの知見を説明する図である。
本発明の実施の形態に係るに全体的な処理の一例を示すフローチャートである。
本発明の実施の形態に係る算出と評価の処理の一例を示すフローチャートである。
本発明の実施の形態に係る自己回帰移動平均モデルを表す演算式の一例を示す図である。
本発明の実施の形態に係る周波数解析処理の一例を示すフローチャートである。
本発明の実施の形態に係る血圧の波形を拡大して模式的に示す図である。
本発明の実施の形態に係るセグメント分割の一例を模式的に示す図である。
本発明の実施の形態に係る血圧変動性を示す指標の算出の処理の一例を示すフローチャートである。
本発明の実施の形態に係る周波数系列のPSDを模式的に示す図である。
本発明の実施の形態に係るΔPSDとSDの相関性所定長時間の関係性を表す実験結果を示す図である。
本発明の実施の形態に係る心機能健全性を示す指標の算出の処理の一例を示すフローチャートである。
本発明の実施の形態に係る周波数系列のPSDにおける指標HIを模式的に示す図である。
本発明の実施の形態に係る指標の評価基準の一例をテーブル形式で示す図である。
本発明の実施の形態に係る表示画面の一例を模式的に示す図である。
本発明の実施の形態に係る表示画面の他の例を模式的に示す図である。
本発明の実施の形態に係る端末装置10の構成の一例を示す図である。
本発明の実施の形態に係る装置30の構成の一例を示す図である。
本発明の実施の形態に係る装置30が備えるモジュールの一例を模式的に示す図である。
本発明の実施の形態に係る心機能の健全性を示す指標の算出の処理の他の例を示すフローチャートである。
図24の処理における心機能の健全性を示す指標の算出を説明する図である。
本発明の実施の形態に係る血圧変動性の評価に関する発明者らの知見を説明する図である。
本発明の実施の形態に係る算出と評価の処理の他の例を示すフローチャートである。

実施例

0032

本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。

0033

<A.適用例>
図1は、本発明の実施の形態に係るシステム100の構成の一例を模式的に示す図である。図1を参照して、本発明が適用される場面の一例について説明する。図1を参照して、システム100は、被測定者の測定部位から脈波を検出する圧力センサ31を有した血圧計1と、血圧計1とデータを遣り取りする端末装置10A,10Bおよび装置30とを備える。装置30は、例えば医家が操作するコンピュータであって、12時間未満の予め定められた長さの時間において圧力センサ31により連続して検出される時系列の脈波のデータを収集し、収集された脈波のデータを処理する。このデータ処理は、予め定められた長さの時間で連続して検出される脈波の時系列のデータに基づき、日内の血圧変動性を評価するための指標を算出する処理を含む。「日内の血圧変動性を評価するための指標」は、後述する血圧変動性を推定できる指標ΔPSDに相当する。

0034

上記の予め定められた長さの時間は、発明者らが、実験に基づき得られた5分以上60分以下の長さの時間を含む。

0035

このように、日内の血圧変動性を推定できる指標を取得するために、従来は24時間に亘って測定される脈波から算出する必要があったが、システム100によれば、12時間未満の予め定められた長さの時間で連続して測定される脈波を用いて当該指標を算出することができる。これにより、脈波測定のために被測定者を長時間拘束する必要がなくなる。5分以上60分以下(例えば30分程度)の期間の連続して検出される脈波を用いることで、従来は少なくとも24時間必要としていた血圧変動性を推定できる指標を、本開示では、短時間の脈波測定で算出(推定)することが可能になる。また、血圧変動の大小が分かると、その変動が大きい程、心血管イベントのリスクが高いと判断(推測)することも可能となる。

0036

データ処理における指標算出では、収集された時系列の脈波のデータから、周波数解析により、予め定められた周波数帯域におけるパワースペクトル密度(PSD)を算出する。そして、予め定められた周波数帯域におけるパワースペクトル密度の変位(ΔPSD)を、日内の血圧変動性を推定できる指標として算出する。

0037

上記の予め定められた周波数は、生体の圧受容器反射が血圧変動に作用する周波数帯域である、0.01〜0.1Hzに相当する。したがって、圧受容器反射が作用する周波数帯域におけるパワースペクトル密度を用いて血圧変動性を推定できる指標を算出することができるから、全ての帯域のパワースペクトル密度を算出する必要はなく、演算量を低減することができる。

0038

上記のシステム100では、医家の装置30が、血圧変動性の指標を算出するデータ処理を実施するが、データ処理は、端末装置10A,10B、または血圧計1により実施してもよい。また、端末装置10A,10Bは、被測定者が携帯するスマートフォン等の端末であってよい。例えば、血圧計1が測定した脈波のデータを、最寄りの端末装置10A,10Bに転送し、端末装置10A,10Bは受信した脈波のデータから、日内の血圧変動性の指標を算出する。これにより、被測定者は、血圧計1で血圧を測定しながら、携帯する端末装置10A,10Bで、リアルタイムに日内の血圧変動性の指標を算出させることができる。

0039

また、上記のシステム100では、被測定者の測定部位から脈波を検出する装置は、血圧計1としているが、血圧波形に同期した脈波を検出する装置であれば、血圧計1に限定されない。例えば、容積脈波を検出する装置、例えば動脈に含まれる酸素飽和度を測定するパルスオキシメーター(pulse oximeter)であってよい。その場合は、脈波として、パルスオキシメーターは光電式で測定する容積脈波であってよい。また、血圧計1は、図1では携帯型であるが、携帯型に限定されず据え置き型であってもよい。

0040

以下、本開示のより具体的な応用例として、本実施の形態に係るシステム100のより詳細な構成および処理について説明する。

0041

<B.システムの構成>
再び図1を参照して、システム100は、被測定者(ユーザともいう)が使用する端末装置10A,10Bと、血圧計1と、装置30と、ネットワーク41,43とを含む。以下では、端末装置10Aと端末装置10Bを「端末装置10」と総称する場合がある。

0042

血圧計1は、携帯型であって、例えば本体とカフ(腕帯)とが一体となった腕時計型で提供されるが、腕時計型に限定されない携帯型であってもよい。本体とカフが別体であってもよい。また、携帯型に限定されず据え置き型であってもよい。

0043

本実施の形態では、血圧計1は、腕時計のように長時間腕に装着して、24時間連続して脈波を1拍ごとに測定する機能や、常時装着して測定開始ボタンを押すだけで測定できる機能などを有する。なお、血圧計1は、血圧とは異なる種類(歩数等)の生体情報を測定する機能を備えてもよい。

0044

端末装置10は、たとえば、タッチパネルを備えるスマートフォンである。以下では、スマートフォンを「端末装置10」の代表例として説明を行なう。ただし、端末装置10は、折り畳み式携帯電話タブレット端末装置、PC(personal computer)、PDA(Personal Data Assistance)などのような他の装置であってもよい。

0045

ネットワーク41は、端末装置10Aと、端末装置10Bと、装置30とを互いに接続するために、インターネット、移動体端末通信網などの各種ネットワークを含む。端末装置10Bと血圧計1とを接続するためのネットワーク43は、典型的にはUSB(Universal Serial Bus)シリアル通信が採用され得るが、ここでは、近距離無線通信方式を採用しており、例えばBLE(Bluetooth(登録商標) low energy)による通信方式を採用する。他の通信方式としては、LAN(Local Area Network)等が採用されてもよい。ネットワーク43は、これらに限らず、各種の有線または無線の通信方式を採用してもよい。

0046

装置30は、端末装置10から送信されるデータを受信し、受信したデータを格納し、また受信したデータを処理する。装置30は、例えば、医家が操作可能なコンピュータに相当する。装置30によるデータ処理の詳細は後述する。

0047

血圧計1は、測定した血圧のデータを、端末装置10を介して、装置30に送信する。血圧計1が装置30と通信する場合、端末装置10は当該通信を中継する中継器に相当する。なお、血圧計1は、端末装置10を介さずに、装置30と直接通信してもよい。

0048

<C.血圧計の構成>
図2は、本発明の実施の形態に係る血圧計1が左手首90に装着された状態(以下、「装着状態」とも称する)を模式的に示す図である。図2では、左手首90の長手方向に対して垂直な断面が模式的に示される。本実施の形態では、左手首90が血圧の測定部位となる。なお、「測定部位」は、動脈が通っている部位であればよい。測定部位は、例えば、手首上腕などの上肢であってもよいし、足首大腿などの下肢であってもよい。

0049

図2を参照して、血圧計1は、本体70とベルト20を備える。ベルト20は、帯状体23と、カフ21とを含む。

0050

カフ21は、帯状体23の内周面に沿って取り付けられる。カフ21は、伸縮可能な2枚のポリウレタンシートからなる流体袋として構成されている。流体袋は、流体を収容可能な袋状の部材であればよい。「流体」は、液体気体の両方を含み、例えば、水、空気などを用いることができる。

0051

本体70は、ベルト20と一体に設けられる。なお、ベルト20と本体70とを別々に形成し、ベルト20に対して本体70を係合部材(例えば、ヒンジ)を介して、一体に取り付ける構成でもよい。本実施の形態では、本体70が配置された部位は、装着状態において左手首90の背側面(手の甲側の面)90bに対応する。図2中には、左手首90内で掌側面(手の平側の面)90a近傍を通る橈骨動脈91が示されている。

0052

本体70の頂面(測定部位から最も遠い側の面)には、後述のディスプレイ50が設けられる。本体70の側面は、ユーザからの指示を入力するための後述の操作部52が設けられる。

0053

帯状体23は、厚さ方向に関して可撓性を有し、周方向(長手方向)に関して非伸縮性を有するプラスチック材料から構成される。

0054

血圧計1(ベルト20)は、全体として略環状に構成されるとともに、本体70の底面とベルト20の端部とが、図示しないバックル等によって図2中の矢印A方向に開閉可能に構成される。

0055

ユーザは、血圧計1を装着する場合、環状のベルト20に左手を通す。装着時は、左手首90の周りのベルト20の角度位置を調節して、左手首90を通る橈骨動脈91上(測定部位)にカフ21の圧力センサ31を位置させる。これにより、圧力センサ31は、左手首90の掌側面90aのうち橈骨動脈91に対応する部分に当接する状態となる。このようにして、ユーザは血圧計1(ベルト20)を左手首90に装着する。

0056

(c1.ハードウェア構成)
図3は、本発明の実施の形態に係る血圧計1の制御系のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図4を参照して、本体70は、血圧計1を制御するためのCPU(Central Processing Unit)100と、ディスプレイ50と、メモリ51と、操作部52と、電池53と、通信I/F(インターフェィスの略)59と、外部の記憶媒体107を読み書きするR/W(Read/Writer)106を含む。また、本体70は、さらに、ポンプ32と、弁33とを含む。

0057

さらに、本体70は、各部に電力を供給する電池53、圧力センサ31からの出力を周波数に変換する発振回路310と、ポンプ32を駆動するポンプ駆動回路320とを含む。圧力センサ31は、カフ21に一体的に備えられる。

0058

ディスプレイ50は、例えば、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで構成され、CPU100からの制御信号に従って、血圧測定結果などの血圧に関する情報、その他の情報を表示する。

0059

操作部52は、例えば、プッシュ式スイッチで構成され、ユーザによる血圧測定開始または停止の指示に応じた操作信号をCPU100に出力する。

0060

メモリ51は、血圧計1を制御するためのプログラム、血圧計1を制御するために用いられるデータ、血圧測定の結果のデータ等を記憶する。また、メモリ51は、プログラムが実行されるときのワークメモリ等として用いられる。

0061

CPU100は、メモリ51に記憶された制御プログラムを実行することにより、例えば、トノメトリ法による血圧測定を実行する場合、CPU100は、操作部52からの血圧測定開始の指示に応じて、圧力センサ31からの信号に基づいて、ポンプ32(および弁33)を駆動する制御を行なう。

0062

CPU100は、トノメトリ法による血圧測定を実行する場合、操作部52からの血圧測定開始の指示に応じて、カフ21内の空気を排出させるために弁33を駆動する制御を行なう。また、CPU100は、圧力センサ31からの信号に基づいて、血圧波形を導出する制御を行なう。

0063

通信I/F59は、ネットワーク43を介して通信するための送受信回路を含む。
ポンプ32および弁33は、エア配管39aを介してカフ21に接続されている。圧力センサ31はカフ21に接続されて、カフ21内の圧力を検出する。

0064

ポンプ32は、例えば、圧電ポンプで構成される。ポンプ32は、カフ21内の圧力(カフ圧)を加圧するために、エア配管39aを通してカフ21に加圧用の流体としての空気を供給する。

0065

弁33は、ポンプ32に搭載され、ポンプ32のオンオフに伴って開閉が制御されるように構成される。具体的には、弁33は、ポンプ32がオンされると閉じて、カフ21内に空気を封入する一方、ポンプ32がオフされると開いて、カフ21の空気をエア配管39aを通して大気中へ排出させる。

0066

弁33は、逆止弁としても動作し、排出されるエアが逆流することはない。ポンプ駆動回路320は、ポンプ32をCPU100から与えられる制御信号に基づいて駆動する。

0067

圧力センサ31は、例えば、ピエゾ抵抗式圧力センサであり、カフ21に接続されている。圧力センサ31は、ベルト20(カフ21)の圧力、例えば、大気圧を基準(ゼロ)とした圧力を検出して時系列の信号として出力する。

0068

発振回路310は、圧力センサ31からのピエゾ抵抗効果による電気抵抗の変化に基づく電気信号値に応じた周波数を有する周波数信号をCPU100に出力する。圧力センサ31の出力は、カフ21内の圧力を制御するため、および、血圧値(収縮期血圧(SYS:Systolic Blood Pressure)と拡張期血圧(DIA:Diastolic Blood Pressure)等を含む。)を算出するために用いられる。

0069

<D.脈波の検出処理
本発明の実施の形態では、血圧測定方法として、例えばトノメトリ法を採用する。トノメトリ法は、血管を皮膚上から圧迫し、圧脈波(以下、脈波という)を非侵襲的に計測できるとのメリットを有する。なお、脈波を検出する方法はトノメトリ法に限定されない。

0070

図4は、本発明の実施の形態に係る脈波計測時の圧力センサ31に対する押圧レベルの変化の一例を表すグラフである。該グラフの縦軸押圧圧力値(単位はmmHg)が採られて、横軸時間経過が採られている。図4を参照して、時間T1にて計測開始されると動脈91直上に設置された圧力センサ31はカフ21の内圧の上昇によって生体に押圧される。カフ21の内圧が徐々に高まるにつれて、圧力センサ31は動脈を橈骨押しつける状態となり、動脈は押しつぶされていく。圧力センサ31が最適圧で生体に押圧されているとき、動脈は扁平した状態(トノメトリ状態)となり、圧力センサ31は動脈内圧の変動に起因した脈波を正確に計測することができる。さらにカフ21による押圧レベルを上げると、動脈はさらに押しつぶされ、最後に閉塞する。以上の過程にておいては圧力センサ31および発振回路310により検出される周波数信号から脈波の波形変化を検出し、検出した波形変化に基づきCPU100が最適圧を判定している。計測では、最適圧以上まで押圧レベルを上昇させたときの時間T2から、押圧レベルは最適圧まで減圧され、CPU100が最適圧にまで達したと判断した時の時間T3以降は、最適圧が保持される。最適圧を保持している間に圧力センサ31により検出される脈波は発振回路310により周波数信号に変換されて、CPU100に出力される。CPU100は、周波数信号を血圧の波形を示す脈波データに変換(校正)しメモリ51に格納する、または脈波データを通信I/F59を介して時系列に装置30に送信する。

0071

<E.知見>
図5図6および図26は、本発明の実施の形態に係る血圧変動性の評価に関する発明者らの知見を説明する図である。発明者らは、実験により、被測定者が安静時の12時間未満の所定長時間で連続して測定される脈波(血圧波形)を、周波数解析して得られる、圧受容器反射(baroreflex)が作用する0.01〜0.1HzのΔPSD(すなわちPSDの変位(傾き)の大きさ)は、被測定者の血圧をABPM等により24時間測定して得られる日内(24時間)の血圧の標準偏差SD(standard deviation)、すなわち日内の血圧変動と、高い相関性を有することを発見した(図5参照)。図5は、発明者らの実験結果を示しており、ΔPSDが大きいほど日内の血圧の標準偏差SD(変動)が大きく、ΔPSDが小さいほど日内の血圧の標準偏差SD(変動)が小さいことを示している。このように、0.01〜0.1HzのΔPSDは、日内の血圧変動性を推定することができる指標として使えるとの知見を得た。

0072

さらに、発明者らは、圧受容器反射が作用する0.1Hz〜0.01Hzの帯域におけるPSDの積分値、すなわち後述する指標HIも、また、日内の血圧変動性を推定することができる指標として使えるとの知見を得た。すなわち、圧受容器反射は、数秒から数日間の周期の血圧変動に対する最も強力な血圧調整機構であり、血圧の日内変動を規定する主要な因子であることが知られている。したがって、発明者らは、12時間未満の所定長時間である比較的短時間の血圧変動に対し、圧受容器反射が作用する帯域において検出される変動成分に着目することで、血圧の日内変動性を推定可能であるとの知見に基づき、圧受容器反射が作用する帯域における変動成分であるPSDの積分値(すなわち指標HI)も、日内の血圧変動性を推定することができる指標として使えるとの知見を得た。

0073

図26は、例えば被験者(人)の自由行動のもとで非侵襲に脈波を測定する実験の結果に基づく、指標HIの平方根と日内の血圧の標準偏差SD(変動)との相関関係を表している。図26によれば、指標HIが大きいほど日内の血圧の標準偏差SD(変動)は大きく、指標HIが小さいほど日内の血圧の標準偏差SD(変動)は小さくなり、圧受容器反射が作用する帯域におけるPSDの積分値(指標HI)は、日内の血圧変動性との相関が強いといえる。したがって、圧受容器反射が作用する帯域におけるPSDの積分値(指標HI)から日内の血圧変動性を推定することができる。

0074

さらに、発明者らは、上記の0.01〜0.1HzにおけるPSDから、被測定者の心機能を評価することができるとの知見を得た。すなわち、血圧は心拍出血管抵抗から成る。心機能が低下すると心拍出の変化量は低下し、圧受容器反射に拘わらず、血圧は変動できなくなる。発明者らは、この現象が0.01〜0.1HzにおけるPSDの低下として現れることを発見した(図6参照)。このように発明者らは、血圧の波形(すなわち脈波)を周波数解析して得られるPSDの値は心機能を評価することができる指標として使えるとの知見も得た。

0075

発明者らは、これらの知見に基づき、本明細書で開示する血圧変動性を評価する技術を提案する。

0076

<F.装置の構成>
図21は、本発明の実施の形態に係る端末装置10の構成の一例を示す図である。図22は、本発明の実施の形態に係る装置30の構成の一例を示す図である。図21を参照して、端末装置10は、CPU152、タイマ153、メモリ154、端末装置10に対するユーザの操作を受付ける操作部156、ディスプレイ158、アンテナ162を介した無線のための通信部160、メモリインターフェイス(I/F)164、通信インターフェイス(I/F)166、音声出力のためのスピーカ168および音声入力のためのマイク170を含む。

0077

CPU152は、メモリ154に記憶されたプログラムを実行することにより、各部を制御する。

0078

メモリ154の記憶領域は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、フラッシュメモリハードディスク装置などにより構成される。メモリ154には、CPU152によって実行されるプログラム、またはCPU152によって用いられるデータなどが格納される。

0079

操作部156は、端末装置10に対する操作入力を受付ける。典型的には、操作部156は、タッチパネルを含んで実現される。タッチパネルは、ディスプレイ158上に設けられる。また、操作部156は、スイッチ・ボタンなどを含んでもよい。

0080

通信部160は、アンテナ162を介して移動体通信網に接続し無線通信のための信号を送受信する。これにより、端末装置10は、他の通信装置(たとえば、装置30、他の端末装置10)との通信が可能となる。

0081

メモリインターフェイス164は、外部の記憶媒体165からデータを読出す。CPU152は、メモリインターフェイス164を介して記憶媒体165に格納されているデータを読出して、当該データをメモリ154に格納する。CPU152は、メモリ154からデータを読出して、メモリインターフェイス164を介して当該データを外部の記憶媒体165に格納する。

0082

記憶媒体165は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)メモリカードなどの不揮発的にプログラムまたはデータを格納する媒体を含む。

0083

通信I/F(インターフェイスの略)166は、血圧計1との間でデータをやり取りするための通信インターフェイスであり、アダプタコネクタなどによって実現される。

0084

図22を参照して、装置30は、CPU502を含むコントローラ501、情報を出力するための出力デバイス503、および装置30に対するユーザ操作を受付けるためのボタン・スイッチなどを含む操作デバイス504を備える。装置30は、さらに、ネットワーク41を介して端末装置10などと通信するための通信I/F506、プログラムおよびデータを格納するROM、RAMなどを含む記憶媒体であるストレージ505、データベース510などの各種データを格納するためのHDD(Hard Disc Drive)507、外部の記憶媒体509が脱着自在に装着されるドライバ508を備える。

0085

出力デバイス503は、ディスプレイ511、プリンタ等を含む。ドライバ508は、装着された記憶媒体509からデータまたはプログラムを読出し、また、装着された記憶媒体509にデータを格納する。記憶媒体509から読出されたデータまたはプログラムは、ストレージ505に格納される。記憶媒体509は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)メモリカードなどの不揮発的にプログラムまたはデータを格納する媒体を含む。

0086

<G.機能構成
図23は、本発明の実施の形態に係る装置30が備えるモジュールの一例を模式的に示す図である。図23を参照して、装置30は、血圧計1から受信することにより脈波データを収集する収集部600、血圧の変動を示す指標を算出するために、脈波データから各種指標を算出する指標算出部601、血圧を算出する血圧算出部604、および指標を評価する評価部605を備える。指標算出部601は血圧計1から受信した脈波データを用いた周波数解析を実施する周波数解析部603を含む。

0087

モジュールがプログラムである場合、CPU502がストレージ505または記憶媒体509等からプログラムを読出し、CPU502が読出されたプログラムを実行することにより、収集部600、指標算出部601および評価部605が実現される。なお、収集部600または指標算出部601または評価部605は、プログラムモジュールから構成されるものに限定されず、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific IntegratedCircuit)等の回路モジュールを含んで実現されてもよい。

0088

<H.全体フローチャート>
図7は、本発明の実施の形態に係るに全体的な処理の一例を示すフローチャートである。図7では、血圧計1と端末装置10間の通信および端末装置10と装置30間の通信のシーケンスも示される。図7に示すように、本実施の形態では、血圧計1と装置30との両者間の通信は、端末装置10を中継するとしている。なお、両者は中継器を介さずに直接通信するとしてもよい。

0089

図7を参照して、まず被測定者は血圧計1を測定部位に装着する。血圧計1のCPU100は、操作部52等から血圧測定開始の指示を受付けると、図4に従うカフ圧の変化がなされるように各部を制御する。本実施の形態では、被測定者は、安静状態で血圧測定を実施する。

0090

カフ圧の制御により図4の時間T3以降の最適圧が保持される期間において、CPU100は、測定部位における圧力センサ31により1拍毎に連続して検出される脈波を表す周波数信号を、発振回路310から受付けて、受付けた周波数信号を時系列の脈波データに変換しメモリ51に格納する。本実施の形態では、この周波数信号は、圧力センサ31からの出力を例えば5ミリ秒毎にサンプリングした信号からなる。

0091

CPU100は、上記の最適圧が保持される期間における予め定められた長さの時間(以下、所定長時間という)内において周波数信号を受付けて、周波数信号をデジタルデータに変換することで脈波データを収集する(ステップS1)。CPU100は、脈波データを収集開始してから所定長時間が経過したか否かに基づき、収集が完了したか否かを判断する(ステップS3)。CPU100が、収集は完了していないと判断すると(ステップS3でNO)、ステップS1の処理が継続するが、収集は完了したと判断すると(ステップS3でYES)、送信処理(ステップS4)を実施する。

0092

本実施の形態では、所定長時間は、12時間未満の長さの時間であり、より典型的には、5分以上(例えば、30分等)60分以下の時間を含み得る。

0093

ステップS4では、CPU100は、メモリ51から所定長時間の長さに相当する時系列の脈波データを読出し、通信I/F59を介して、端末装置10を中継して、装置30に送信する(ステップS4およびS5)。装置30の収集部600は、血圧計1から所定長時間の時系列の脈波データを受信することにより、脈波データを収集する(ステップS6)。なお、中継用の端末装置10は血圧計1の最寄りに位置する端末であって、典型的には、被測定者が所持する端末装置10を含む。

0094

本実施の形態では、端末装置10は、所定長時間の脈波データの収集が完了したときに、収集された脈波データを装置30に送信開始するが、送信のタイミングは脈波データの収集完了時に限定されない。例えば、血圧計1は、脈波の測定と、脈波データを装置30に送信する処理とを並行して実施してもよい。

0095

装置30のCPU502は、受信した所定長時間の脈波データをメモリ51等に格納する。CPU502は、所定長時間の脈波データを処理する。具体的には、指標算出部601は、所定長時間の脈波データから、日内(24時間)の血圧変動性を推定できる指標と心機能の健全性を推定できる指標とを算出し、安静時の血圧を算出し、評価部605は指標等を評価する(ステップS7)。

0096

装置30のCPU502は、ステップS7の処理の結果を、端末装置10を中継し、血圧計1に送信する(ステップS8)。また、CPU502は、ステップS7の処理の結果を、出力デバイス503を介し表示,印字等し、また、被測定者に関連付けてデータベース510に格納する(ステップS13)。

0097

端末装置10のCPU152は、装置30から処理の結果を受信すると、受信データを中継するか否かを判断する(ステップS9)。この判断は、例えばメモリ154に設定されたフラグに基づきなされる。

0098

CPU152は、中継すると判断すると(ステップS9でYES)、装置30からの処理の結果をそのまま血圧計1に送信する。血圧計1のCPU100は、端末装置10から処理の結果を受信すると(ステップS10)、受信した処理の結果を、ディスプレイ50を介して表示し、また、メモリ51に格納する(ステップS12)。

0099

一方、CPU152は、中継しないと判断すると(ステップS9でNO)、装置30から受信した処理の結果を、ディスプレイ158を介し表示し、また、メモリ154等に格納する(ステップS11)。

0100

以上により、血圧計1で所定長時間の脈波が測定された場合、被測定者は、日内の血圧変動性の指標と、指標を用いた評価とが提示される。また、血圧計1が脈波の測定と、脈波データの装置30への送信とを並行して実施する場合には、脈波の測定時に、リアルタイムに上記の指標と評価の算出がなされて、その結果が被測定者に提示される。

0101

上記のステップS9で用いるフラグは、例えば、血圧計1の機種に従い設定され得る。具体的には、機種によっては血圧計1のディスプレイ50の画面サイズが制限される。その場合は、中継を許可しない(中継を実施しない)値をフラグに設定する。これにより、画面サイズがより大きい端末装置10のディスプレイ158に処理の結果を表示させることができる。なお、フラグの設定方法は、血圧計1の機種に基づく方法に限定されない。

0102

<I.指標等の算出>
図8は、本発明の実施の形態に係る算出と評価の処理の一例を示すフローチャートである。図8を参照して、図7のステップS7における算出と評価の処理を説明する。まず、指標算出部601は、所定長時間の脈波データを用いて日内(24時間)の血圧変動性を推定できる指標としてΔPSDと、心機能の健全性を推定できる指標HIとして後述する積分値を算出する(ステップS25、S27、S29)。

0103

(i1.指標の算出)
指標ΔPSDと積分値の算出を説明する。

0104

(i1-1.PSDの算出例)
図9は、本発明の実施の形態に係る自己回帰移動平均モデルを表す演算式の一例を示す図である。図8のステップS25において、周波数解析部603は、ΔPSDを算出するために、所定時間長の脈波データである時系列データを、例えば、図9自己回帰移動平均(ARMA:Autoregressive Moving Average)モデルを用いて解析し、解析によりPSDを算出する。

0105

図9を参照して、自己回帰移動平均モデルF1は、血圧変動の時系列ytを、時点tの値ytが過去のyの値yt-i(i=1,2,・・・p)と過去のホワイトノイズεtを用いた関数として表されるモデルである。また、自己回帰移動平均モデルF1の定数C、およびパラメータγiとパラメータθiは、血圧変動の制御を行なう生体の生理学機構に依存した時定数等の値を示す。

0106

(i1-2.PSDの他の算出例)
PSDの他の算出例を説明する。図10は、本発明の実施の形態に係る周波数解析処理の一例を示すフローチャートである。図11は、本発明の実施の形態に係る血圧の波形を拡大して模式的に示す図である。図12は、本発明の実施の形態に係るセグメント分割の一例を模式的に示す図である。

0107

図8のステップS25において周波数解析部603は、図10の処理に従い、所定時間長の脈波データ(時系列データ)から、フーリエ変換を用いて、各周波数帯域のPSDを算出する。この脈波データは、図11に示すように拍動の大きさに相当する振幅を有した血圧の波形を示す。

0108

図10を参照して、フーリエ変換を適用するために、周波数解析部603は、所定時間長の脈波データ(例えば、図11の血圧波形のデータ)を、予め定められた時間長さのセグメント単位に分割する(ステップT1)。この分割は、例えば図12に示されるように、各セグメントがn分間の長さを有し、且つ隣接するセグメントどうしがm分間の重複許容するようにして実施される。例えば、n分は2分であり、m分は1分である。

0109

周波数解析部603は、各セグメントの脈波データに前処理を施す(ステップT3)。具体的には、周波数解析部603は、各セグメントの脈波データに予め定められた関数を適用することにより、脈波データから、線形トレンドの成分を除去する線形デトレンド処理を実施し、その後、フーリエ変換におけるデータ端での不連続性を回避するため、各セグメントの脈波データに予め定められた窓関数を適用する。このような線形デトレンド処理により、測定された脈波データから、評価対象よりも十分に遅い周波数成分の影響が除去される。

0110

次に、周波数解析部603は、前処理がなされた各セグメントの脈波データに基づきPSDを算出(推定)する(ステップT5)。具体的には、周波数解析部603は、各セグメントに高速フーリエ変換を実施する。これにより、各セグメントの脈波データから、周波数系列のデータを取得する。周波数解析部603は、全てのセグメントの周波数系列のデータを加算し、平均化することにより、PSDを推定(算出)する。

0111

なお、本実施の形態では、PSDの推定の方法として、Welch法やマルチテーパー法などのノンパラメトリック法でもよいし、自己回帰モデルまたはARMAモデルといったパラメトリック法でもよい。

0112

(i1-3.ΔPSDの算出)
図13は、本発明の実施の形態に係る血圧変動性を示す指標の算出の処理の一例を示すフローチャートである。図14は、本発明の実施の形態に係る周波数系列のPSDを模式的に示す図である。図14のグラフでは、横軸の目盛は周波数(Hz)のオーダー(10のべき乗)を取り、縦軸の目盛はPSDのオーダー(10のべき乗)を取る。図15は、本発明の実施の形態に係るΔPSDとSDの相関性と所定長時間の関係性を表す実験結果を示す図である。

0113

図8のステップS27において指標算出部601は、ΔPSDを算出する。具体的には、指標算出部601は、上記の算出された周波数系列のPSD(例えば、図14参照)のうちから、圧受容器反射が作用する周波数帯域0.1Hz〜0.01HzのPSDを抽出する。そして、指標算出部601は、抽出した帯域成分に基づき、0.1HzのPSDに対する0.01HzのPSDの比であるΔPSDを算出する(図13のステップR1)。ΔPSDは、後述の図15に示すように、日内の血圧の標準偏差SDと相関するから、ΔPSDは日内の血圧変動性を推定できる指標として用いることができる。

0114

なお、日内の血圧変動性を推定できる指標は、周波数帯域0.1Hz〜0.01HzのPSDの変位を表す値であればよく、上記のΔPSDに限定されない。例えば、当該変位は、図14に示すような、PSDと周波数に対応のX軸,Y軸で規定される平面上において、0.1Hzのパワースペクトル密度(PSD)と0.01Hzのパワースペクトル密度(PSD)の両方の値を結ぶ直線Lの傾きの大きさであってもよい。

0115

(i1-4.指標HIの算出例)
図16は、本発明の実施の形態に係る心機能の健全性の指標の算出の処理の一例を示すフローチャートである。図17は、本発明の実施の形態に係る周波数系列のPSDにおける積分値を模式的に示す図である。

0116

図8のステップS29において指標算出部601は、心機能の健全性の指標HIを算出する。具体的には、指標算出部601は、上記の算出された周波数系列のPSD(例えば、図17参照)のうちから、圧受容器反射が作用する周波数帯域0.1Hz〜0.01Hzに着目し、0.1Hz〜0.01Hzの帯域のPSDを積分することにより積分値を算出する(図16のステップP1)。

0117

図17の積分値は、被測定者の心機能の健全性を推定できる指標HIとして有効である。具体的には、PSDは、心臓の拍動の大きさを表すから、心臓の血液を送り出すポンプとしての機能が低下するとPSDは小さくなる。また、圧受容器反射が強く作用する周波数帯域(0.1Hz〜0.01Hzの帯域)は、心機能の健全性を把握し易い帯域でもある。したがって、0.1Hz〜0.01Hzの帯域におけるPSDの積分値は、心機能の健全性を推定する指標HIとして有効である。なお、心機能の健全性を推定する指標HIは、0.1Hz〜0.01Hzの帯域におけるPSDの大きさを表す値であればよく、積分値に限定されず、例えば、複数回測定して得られた積分値の平均値中央値等であってもよい。

0118

図27は、本発明の実施の形態に係る算出と評価の処理の他の例を示すフローチャートである。図27のステップS29aでは、指標算出部601は、血圧変動性を推定できる指標および心機能の健全性を推定できる指標として指標HIを算出する。図27の他の処理は、図8の各処理と同様であり、説明は繰り返さない。図27の処理によれば、図26で示された知見に従い、指標算出部601によって、血圧変動性を推定できる指標および心機能の健全性を推定できる指標として指標HIを算出することができる。

0119

なお、図26および図27では、日内の血圧変動性を推定する指標HIは0.1Hz〜0.01Hzの帯域におけるPSDの積分値が使用されたが、積分値に限定されず、0.1Hz〜0.01Hzの帯域におけるPSDの大きさを表す値であればよく、例えば、複数回測定して得られた積分値の平均値、中央値等であってもよい。

0120

(i1-5.指標HIの他の算出例)
図24は、本発明の実施の形態に係る心機能の健全性を示す指標HIの算出の処理の他の例を示すフローチャートである。図25は、図24の処理における心機能の健全性を示す指標HIの算出を説明する図である。図25では、血圧計1により測定される時系列の脈波データ251と、脈波データ251にバンドパスフィルタ処理を施して得られる血圧の波形を示すデータAPを模式的に示す。

0121

図24図25を参照して、指標HIの他の算出例を説明する。指標HIの算出は、上記に述べたPSDの圧受容器反射が作用する周波数帯域(0.1Hz〜0.01Hzの帯域)の積分値を算出する方法に限定されない。例えば、指数算出部601は、図24に示すように、血圧計1から収集した時系列の脈波データ(例えば、図25の脈波データ251)を、バンドパスフィルタ処理を施して、血圧の波形を示すデータAPを抽出する(ステップP2)。このバンドパスフィルタ処理の特性は、圧受容器反射が作用する周波数帯域に相当する脈波データ252のみを通過させるようなカットオフ周波数を有する。

0122

指標算出部601は、データAPが示す血圧のばらつきの大きさ(例えば、分散、標準偏差、2乗平均平方根等)を指標HIとして算出する(ステップP3)。

0123

図24の処理によれば、周波数領域での処理は必要ないので、指標HIを簡単に算出することができる。

0124

(i1-6.安静時血圧の算出)
血圧算出部604は、所定長時間の脈波データが示す血圧波形から、安静時血圧を算出する(図8のステップS31)。この安静時血圧は、絶対的な血圧値を示す。具体的には、血圧算出部604は、所定長時間の脈波データから脈波包絡線のデータを生成し、生成された脈波包絡線データから血圧を算出する。このような血圧の算出は、公知の方法に従うので、説明は繰り返さない。

0125

<J.ΔPSDとSD間の相関性と所定長時間に関する実験>
発明者らは、実験により、ΔPSDとSD間に相関性があることと、相関性と所定長時間との間の関係性を確認した。図15は、ラットカテーテルを挿入し逐次血圧を測定して得られた実験結果を示すグラフである。図15のグラフの縦軸には相関係数Rをとり、横軸には経過時間をとっている。相関係数Rは、実験により所定長時間で収集した血圧波形のデータからARMASモデルF1で算出した血圧変動性を示す指標(ΔPSD)と、実験により測定した24時間(日内)の平均血圧の標準偏差SDとの相関の程度を表す。ただし、相関係数Rは、最大1.0である。

0126

図15の実験結果によれば、血圧変動性の指標として所定長時間を0分から60分の間で変化させた場合に、所定長時間(60分以下)の測定値によるΔPSDは、日内の平均血圧の標準偏差SDと高い相関性を有することが確認できた。さらに、所定長時間は、5分以上であれば、相関の程度を示す係数Rは0.8以上と高い値を示すことも確認できた。このような実験結果から、発明者らは、図7のステップS1において、血圧を測定する所定長時間は、5分以上60分以下であればよいとの知見を得た。

0127

<K.評価>
図18は、本発明の実施の形態に係る指標の評価基準の一例をテーブル形式で示す図である。図18を参照して、テーブル300は、例えば装置30のストレージ505またはHDD507に格納される。テーブル300には、測定結果の組301のそれぞれに関連付けて治療方針を示すデータ302が登録されている。測定結果に組301は、血圧の絶対値BP、ΔPSDおよび指標HIとからなる組を示す。

0128

図8のステップS33において、評価部605は、心機能(心血管)または循環器のリスクを評価する場合に、指標算出部601から出力されるΔPSDおよび指標HI、および血圧算出部604から出力される血圧の絶対値BPの各値を対応の閾値と比較し、比較の結果に基づき当該指標の値を心機能または循環器のリスクの段階のいずれかに分類する。具体的には、血圧の絶対値BPについて「高い」か否か、日内の血圧変動性ΔPSDについて「正常」または「高い」、および心機能の評価の指標HIについて「正常」または「低い」とリスクの段階のいずれかに分類することにより評価する。

0129

また、評価部605は測定結果の組301の評価の組合せ(「高い」、「正常」、「正常」)、(「高い」、「高い」、「正常」)および(「高い」、「高い」、「低い」)に基づき、テーブル300から関連付けされた治療方針のデータ302を読出す。このように、評価部605は、評価結果として、血圧の絶対値BP、日内の血圧変動性ΔPSD、および心機能の評価の指標HIと、治療方針のデータ302を出力する。データ302が示す治療方針は、HHS(Heart Health Score:心臓健康指数)の評価を定期的に受けることを推奨するメッセージを含んでいる。

0130

治療方針のデータ302は、例えば図7のステップS13において、ディスプレイ511に表示される。これにより、医家に対し、治療方針の判断を支援する情報を提供することができる。

0131

<L.表示画面例>
図19は、本発明の実施の形態に係る表示画面の一例を模式的に示す図である。図19の画面は血圧波形の解析によるHHSに関する情報を表示する。図19を参照して、例えば装置30のCPU502はディスプレイ511に、HHS191、個別指標192、被測定者の血圧波形193およびPSDの波形194を表示させる。個別指標192は、血圧の絶対値BP、日内の血圧変動性ΔPSDおよび心機能の評価指標HIを、すなわち心機能または循環器のリスクの大きさを、例えば3段階の色分け(例えば、赤、緑、青)で示される扇状ピクトグラムを含む。HHS191は、個別指標192が示す血圧の絶対値BP、日内の血圧変動性ΔPSDおよび心機能の指標HIが分類された各段階の値のトータル値スコアとして示す。PSDの波形194のうち斜線部分の波形は、圧受容器反射が作用する周波数帯域における波形を示している。

0132

医家は、図19の画面から、直感的に被測定者(患者)の循環器または心機能(心血管)のリスクについての評価を把握することができる。

0133

図20は、本発明の実施の形態に係る表示画面の他の例を模式的に示す図である。図20の画面は血圧波形の情報を表示する。図20を参照して、装置30のCPU502はディスプレイ511に、血圧計1が測定した脈波による時系列の血圧波形201と、血圧波形201を部分的に拡大した波形202を表示させる。血圧計1が脈波の測定に並行して脈波データを装置30に送信する場合は、リアルタイムに血圧波形201(202)が表示される。

0134

なお、図19または図20の情報の表示先は、装置30のディスプレイ511に限定されず、端末装置10のディスプレイ158または血圧計1のディスプレイ50であってもよい。また、図19または図20の情報を、複数枚の画面に分割して表示してもよい。

0135

このように、本実施の形態では、被測定者の血圧を非侵襲的に12時間よりも短い所定長時間において連続測定することで、血圧絶対値BPと血圧変動性ΔPSD(標準偏差SD)を同時に評価することができる。また、それら血圧変動性を評価する指標に心機能の指標HIを加えることで、医家は、診療の効率化とともにこれまでに見逃された心機能のリスクの抽出や心不全にまで進行した高リスク,高血圧の患者の最適な患者管理をすることが期待できる。

0136

<M.プログラム>
上述したフローチャートを用いて説明した処理は、プログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、血圧計1のメモリ51、端末装置10のメモリ154、装置30のストレージ505等の記憶媒体に格納されており、CPUが記憶媒体から当該プログラムを読出し、プログラムの命令コードを実行することにより処理が実現される。

0137

血圧計1の場合、このプログラムは、通信I/F59を介して、通信回線を経由し、外部の情報処理装置(端末装置10など)からメモリ51ダウンロードされることにより供給され得る。または、カードR/W106を介して記憶媒体107からメモリ51にロードされる。

0138

端末装置10の場合、このプログラムは、通信I/F166を介して、通信回線を経由し、外部の情報処理装置(装置30など)からメモリ154にダウンロードされる。または、メモリI/F164を介して記憶媒体165からメモリ154にロードされる。

0139

装置30の場合、このプログラムは、通信I/F506を介して、通信回線を経由し、外部の情報処理装置からストレージ505にダウンロードされる。または、ドライバ508を介して記憶媒体509からストレージ505にロードされる。

0140

<N.変形例>
(n1.変形例1)
血圧変動性を評価する指標ΔPSDを算出するために用いるデータとして、本実施の形態では、血圧の波形データを用いたが、血圧の波形に限定されない。つまり、ΔPSDは相対値であるから、PSDの絶対値は血圧変動性の評価に影響しない。したがって、血圧波形に関連する値であれば、血圧変動性を評価する指標ΔPSDの算出に用いることができる。例えば、血圧計1において血圧の波形に校正する前の波形のデータ、すなわち圧力センサ31から出力されるトノメトリ圧の変化を示す波形データ、または容積脈波の検出波形のデータであってもよい。容積脈波検出器には、例えば光電式脈波センサが含まれる。

0141

(n2.変形例2)
上記の実施の形態では、収集部600、指標算出部601、血圧算出部604および評価部605の全てを装置30に備えたが、これらの少なくとも1つは、血圧計1または端末装置10に備えられても良い。例えば、血圧計1が、収集部600、指標算出部601、血圧算出部604および評価部605を備えても良い。また、血圧計1は血圧算出部604を備えて、端末装置10または装置30が収集部600、指標算出部601または評価部605を備えても良い。

0142

(n3.変形例3)
上記の実施の形態における脈波の測定(検出)方法であるトノメトリ法は、圧力センサ31を経皮的に橈骨動脈91に押し当てるだけであり装着がシンプルである利点がある。なお、脈波の測定方法はトノメトリ法に限定されない。例えば、容積補償法は、容積の動的な制御が必要でありシステムは本実施の形態の血圧計1に比較すると大型化し易いが、脈波の測定方法として、容積補償法を用いてもよい。

0143

(n4.変形例4)
上記の実施の形態では、「時系列の脈波データ」は、脈波(血圧波形)の時間的な変化を、連続的に(または一定間隔をおいて不連続に)測定して得られた脈波のデータの系列(一連の脈波データ)を示す。したがって、本実施の形態では、1拍毎または5ミリ秒毎等を検出の間隔として連続的に脈波を検出(測定)することで時系列の脈波データが取得される。なお、脈波を「連続的」に検出するとの概念は、上記で述べた1拍毎または5ミリ秒毎等の略等間隔で脈波を検出する態様に限定されない。例えば、ノイズが含まれる部分(期間)のカットしながら連続的となるように脈波を検出する態様、また、例えば信頼性がない脈波を除きながら連続的となるように脈波を検出する態様、例えば1拍飛ばし(または2拍以上を飛ばしながら)で連続的となるように脈波を検出する態様等も、脈波を「連続的」に検出するとの概念に含まれ得る。

0144

<O.付記>
上述したような本実施の形態は、以下のような技術思想を含む。

0145

[構成1]
被測定者の測定部位から脈波を検出するセンサを有した脈波検出装置(1)と、脈波検出装置とデータを遣り取りする装置(30)とを備えるシステム(100)であって、
前記装置は、
12時間未満の予め定められた長さの時間において前記センサにより連続して検出される脈波のデータを時系列に収集する収集部(600)と、
収集された前記予め定められた長さの時間の時系列の脈波のデータに基づき、日内の血圧変動性を評価するための指標(ΔPSD)を算出する指標算出部(601)を備える。

0146

[構成2]
前記予め定められた長さの時間は、5分以上60分以下の長さの時間を含む、構成1に記載のシステム。

0147

[構成3]
前記指標算出部は、
収集された時系列の脈波のデータから、予め定められた周波数帯域におけるパワースペクトル密度を算出する周波数解析部(603)を含み、
前記予め定められた周波数帯域におけるパワースペクトル密度の変位を、前記日内の血圧変動性を評価するための指標として算出する、構成1または2に記載のシステム。

0148

[構成4]
前記指標算出部は、
収集された時系列の脈波のデータから、予め定められた周波数帯域におけるパワースペクトル密度を算出する周波数解析部を含み、
前記予め定められた周波数帯域におけるパワースペクトル密度の積分値(HI)から、前記日内の血圧変動性を評価するための指標を算出する、構成1から3のいずれか1に記載のシステム。

0149

[構成5]
前記周波数解析部は、自己回帰移動平均モデルの演算に従い、収集された前記時系列の脈波のデータから、前記予め定められた周波数帯域のパワースペクトル密度を算出する、構成3または4に記載のシステム。

0150

[構成6]
前記周波数解析部は、収集された前記時系列の脈波のデータから、フーリエ変換により、前記予め定められた周波数帯域のパワースペクトル密度を算出する、構成3または4に記載のシステム。

0151

[構成7]
前記予め定められた周波数帯域は、生体の圧受容器反射が血圧変動に作用する周波数帯域に相当する、構成3から6のいずれか1に記載のシステム。

0152

[構成8]
前記予め定められた周波数帯域は、0.01Hz〜0.1Hzの帯域を含む、構成3から7のいずれか1に記載のシステム。

0153

[構成9]
前記指標算出部は、
前記予め定められた周波数帯域におけるパワースペクトル密度の変位を、前記日内の血圧変動性を評価するための指標として算出し、
前記変位は、0.1Hzのパワースペクトル密度と0.01Hzのパワースペクトル密度との比を含む、構成8に記載のシステム。

0154

[構成10]
前記変位は、0.1Hzのパワースペクトル密度と0.01Hzのパワースペクトル密度の値を結ぶ線の傾きの大きさを含む、構成8または9に記載のシステム。

0155

[構成11]
前記脈波は、前記測定部位で検出される血圧の波形または前記測定部位で検出される容積脈波を含む、構成1から10のいずれか1に記載のシステム。

0156

[構成12]
12時間未満の予め定められた長さの時間において、測定部位からセンサ(31)により連続して検出される脈波のデータを時系列に収集する収集部(600)と、
収集された前記予め定められた長さの時間の時系列の脈波のデータに基づき、日内の血圧変動性を評価するための指標を算出する指標算出部(601)を備える、装置(30)。

0157

[構成13]
プログラムであって、前記プログラムはコンピュータ(502)に、
12時間未満の予め定められた長さの時間において、測定部位からセンサ(31)により連続して検出される脈波のデータを時系列に収集するステップと、
収集された前記予め定められた長さの時間の時系列の脈波のデータに基づき、日内の血圧変動性を評価するための指標を算出するステップを実行させる、プログラム。

0158

今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

0159

1血圧計、10,10A,10B端末装置、20ベルト、21カフ、30 装置、31圧力センサ、32ポンプ、33 弁、41,43ネットワーク、50,158,511ディスプレイ、70 本体、90左手首、91橈骨動脈、100 システム、107,165,509記憶媒体、153タイマ、192 個別指標、193,201血圧波形、194,202波形、300 テーブル、310発振回路、320ポンプ駆動回路、501コントローラ、600収集部、601 指標算出部、603周波数解析部、604血圧算出部、605 評価部、BP血圧絶対値、F1自己回帰移動平均モデル、HI 指標、R相関係数、SD標準偏差、PSDパワースペクトル密度、ΔPSD PSDの変位。

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