図面 (/)

技術 感光性樹脂積層体、感光性樹脂積層体を用いたパターン製造方法及び装置

出願人 旭化成株式会社
発明者 中出誠
出願日 2018年9月26日 (2年1ヶ月経過) 出願番号 2018-180419
公開日 2019年12月12日 (11ヶ月経過) 公開番号 2019-211745
状態 未査定
技術分野 位置入力装置 印刷回路の非金属質の保護被覆
主要キーワード フルコーンタイプ フォースセンサ エアボイド 風乾処理 低透水性 ロジン酸誘導体 タッチセンサ電極 面積重心
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年12月12日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (3)

課題

真空ラミネート真空環境下に長時間置かれた場合に、一部の感光層保護フィルム側へ異常密着し、保護フィルムを剥離する際に保護フィルム側に転写してしまうことが少なく、かつ、経時で発生する感光層中の光重合性化合物の保護フィルムからのブリードアウトを抑制することのできる、感光性樹脂積層体を提供すること。

解決手段

支持体と、感光層と、保護フィルムとをこの順に積層してなる感光性樹脂積層体。上記保護フィルムは、上記感光層と接する面において、面積2,000μm2以上かつ上記保護フィルム表面からの最大高さが1μm以上のフィッシュアイ個数が、5個を超えて20個未満となる縦10m×横0.1mの領域を含む。

概要

背景

近年、電子機器高性能化、多様化及び小型軽量化が進むに伴い、液晶等の表示素子の全面に透明タッチパネルタッチセンサ)を装着した機器が増えてきた。透明タッチパネルを通して表示素子に表示された文字記号絵柄等の視認及び選択を行い、透明タッチパネルの操作によって機器の各機能の切り替えを行うことも増えている。タッチパネルは、パソコンテレビ等の大型電子機器だけでなく、カーナビゲーション携帯電話電子辞書等の小型電子機器及びOAFA機器等の表示機器にも使用されており、タッチパネルには透明導電電極材から成る電極が設けられている。透明導電電極材としては、ITO(Indium−Tin−Oxide)、酸化インジウム及び酸化スズが知られており、これらの材料は、高い可視光透過率を有することから液晶表示素子用基板等の電極材として主に使用されている。

既存のタッチパネルの方式としては、抵抗膜方式光学方式、圧力方式、静電容量方式電磁誘導方式画像認識方式振動検出方式、超音波方式等が挙げられ、各種の方式が実用化されている。近年、静電容量方式タッチパネルの利用が最も進んできている。静電容量方式タッチパネルでは、導電体である指先タッチ入力面に接触すると、指先と導電膜との間で静電容量結合が起こり、コンデンサを形成する。このため、静電容量方式タッチパネルは、指先の接触位置における電荷の変化を捉えることによって、接触位置の座標を検出する。特に、投影型静電容量方式のタッチパネルは、指先の多点検出が可能なため、複雑な指示を行うことができるという良好な操作性を備えるので、携帯電話、携帯型音楽プレーヤ等の小型表示装置を有する機器における表示面上の入力装置として利用が進んでいる。一般に、投影型静電容量方式のタッチパネルでは、X軸とY軸による2次元座標表現するために、複数のX電極と、複数のX電極に直交する複数のY電極とが、2層構造を形成しており、かつ電極材としてはITOが用いられる。

タッチパネルの額縁領域タッチ位置を検出できない領域であるから、その額縁領域の面積を狭くすることが製品価値を向上させるための重要な要素である。額縁領域には、タッチ位置の検出信号を伝えるために、金属配線が必要となるが、額縁面積狭小化を図るためには、金属配線の幅を狭くする必要がある。ITOの導電性は充分に高くないので、一般的には金属配線には銅が使用される。

しかしながら、上述のようなタッチパネルは、指先に接触される際に、水分、塩分等の腐食成分センシング領域から内部に侵入することがある。タッチパネルの内部に腐食成分が侵入すると、金属配線が腐食し、電極と駆動用回路間電気抵抗の増加、又は断線の恐れがあり、これらを防ぐために金属配線上に防錆効果のある保護膜が必要である。一般に、保護膜の透湿度が低いほど、金属配線の防錆効果が高まる傾向がある。

また、検出信号を伝えるための金属配線は、端子部分にて他の部材へと接続するため、導通を確保する必要があり、端子部分は保護膜を除去しなければならない。必要な部位に保護膜を設ける方法として、感光性樹脂組成物から成る感光層を設けてこの感光層を露光現像する方法が開示されている(例えば、特許文献1、2)。通常、感光性樹脂組成物を基板上に塗布するにあたって、感光性樹脂組成物の溶液を基板に塗布して乾燥させる方法、又は、支持体、感光層、及び保護フィルムを順次積層した感光性樹脂積層体を基板に積層する方法のいずれかが使用される。タッチパネルの製造においては、後者の感光性樹脂積層体が使用されることが多い。

上記の感光性樹脂積層体を用いてタッチパネル基板を製造する方法について、以下に一例を述べる。まず感光性樹脂積層体の保護フィルムを感光層から剥離する。次いで、真空ラミネーターを用いて、タッチパネル用基板上に、該基板、感光層、支持体の順序になるよう、感光層及び支持体を積層する。次いで、パターンを有するフォトマスクを介して、該感光層を超高圧水銀灯が発するi線(365nm)等の紫外線で露光することによって、露光部分を重合硬化させる。次いで支持体を剥離する。次いで、弱アルカリ性を有する水溶液等の現像液により感光層の未露光部分を溶解又は分散除去して、基板上に保護膜パターンを得ることができる。更に保護膜パターンは、後露光工程及び、又は加熱工程によって、保護膜耐久性を更に向上することができる。

ここで、感光性樹脂積層体の保護フィルムとしては、一般にポリオレフィンフィルムが用いられるが、ポリオレフィンフィルムにはフィッシュアイと呼ばれる突起上の欠陥構造が見られる。このため、保護フィルムに存在するフィッシュアイと接した感光層の領域が押されて薄くなり、露光後現像すると、該領域にパターンの欠損を生じることがある。この問題を解決するために、フィッシュアイを減少させた保護フィルムとして用いたパターン形成材料などが提案されている(特許文献3、4)。

例えば特許文献3には、保護フィルム中に含まれる直径80μm以上のフィッシュアイ数が5個/m2以下である保護フィルムを用いることによって、基板表面と感光層間エアボイド発生数を低減できることが記載されている。しかしながら、フィッシュアイが極めて少なく、平滑性に優れた保護フィルムは、真空ラミネート真空環境下に長時間置かれることによって、一部の感光層が保護フィルム側へ転写する問題がある。

これらの問題に対し、特許文献4には、保護フィルム中に存在する面積が2,000μm2以上、かつ、フィルム表面からの最大高さが1〜7μmのフィッシュアイ個数が50〜1,000個/m2である保護フィルムを用いることが記載されている。しかしながら、保護フィルムを用いた場合に、フィッシュアイの突起状に由来して、感光層が押し潰される、又は/及び、感光層との接触面積が増大する、ことに伴う局部箇所において、感光層中の光重合性化合物が保護フィルムを通過(以下、ブリードアウトと呼ぶ)し、露光工程において十分な硬化が進まず、防錆性が低下してしまう問題がある。

一方、特許文献5には、保護フィルムが、
(i)ポリプロピレンフィルムであること、及び
(ii)自由体積が0.2nm3未満であること
の少なくとも1つを満たした保護フィルムを用いることによって、感光性樹脂中の光重合性化合物がブリードアウトする現象を抑制できるという効果が記載されているが、保護フィルム中のフィッシュアイの大きさや個数については、何ら開示されていない。

概要

真空ラミネートの真空環境下に長時間置かれた場合に、一部の感光層が保護フィルム側へ異常密着し、保護フィルムを剥離する際に保護フィルム側に転写してしまうことが少なく、かつ、経時で発生する感光層中の光重合性化合物の保護フィルムからのブリードアウトを抑制することのできる、感光性樹脂積層体を提供すること。支持体と、感光層と、保護フィルムとをこの順に積層してなる感光性樹脂積層体。上記保護フィルムは、上記感光層と接する面において、面積2,000μm2以上かつ上記保護フィルム表面からの最大高さが1μm以上のフィッシュアイの個数が、5個を超えて20個未満となる縦10m×横0.1mの領域を含む。

目的

本発明が解決しようとする課題は、真空ラミネートの真空環境下に長時間置かれた場合に、一部の感光層が保護フィルム側へ異常密着し、保護フィルムを剥離する際に保護フィルム側に転写してしまうことが少なく、かつ、経時で発生する感光層中の光重合性化合物の保護フィルムからのブリードアウトを抑制することのできる、感光性樹脂積層体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

支持体と、感光層と、保護フィルムとをこの順に積層してなる感光性樹脂積層体であって、前記保護フィルムは、前記感光層と接する面において、面積2,000μm2以上かつ前記保護フィルム表面からの最大高さが1μm以上のフィッシュアイ個数が、5個を超えて20個未満となる縦10m×横0.1mの領域を含むことを特徴とする、感光性樹脂積層体。

請求項2

前記保護フィルムがポリプロピレンを含む、請求項1に記載の感光性樹脂積層体。

請求項3

前記保護フィルムがポリプロピレンフィルムである、請求項2に記載の感光性樹脂積層体。

請求項4

前記感光層の膜厚が15μm未満である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。

請求項5

前記感光層の硬化前における粘度の最小値が1,000Pa・s以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。

請求項6

前記感光層が、以下の成分:(A)アルカリ可溶性樹脂(B)光重合性化合物、及び(C)光重合性開始剤を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。

請求項7

前記(B)光重合性化合物は、分子量が430以下の化合物を少なくとも含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。

請求項8

金属膜、又は金属酸化物膜のいずれかを保護するために使用される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。

請求項9

タッチパネル用保護膜、又はフォースセンサ用保護膜のいずれかに使用される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。

請求項10

前記保護フィルムは、面積2,000μm2以上かつ前記保護フィルム表面からの最大高さが1μm以上のフィッシュアイの平均個数が、前記保護フィルムの前記感光層と接する面の1m2あたり5個を超えて20個未満である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。

請求項11

請求項1〜10のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体の前記保護フィルムを剥して、真空雰囲気下で基材上に前記感光層をラミネートし、露光し、そして現像することによりパターンを作製することを含む、パターン製造方法

請求項12

請求項11に記載のパターン製造方法により製造されたパターンを有するタッチパネル表示装置又はタッチセンサを有する、装置。

技術分野

0001

本発明は、感光性樹脂積層体、及び感光性樹脂積層体を用いたパターン製造方法及び装置に関する。より詳しくは、本発明は、液晶表示装置有機EL表示装置タッチパネル表示装置集積回路素子固体撮像素子半導体素子等の電子部品平坦化膜、保護膜及び層間絶縁膜の形成、又はリジッドプリント配線板フレキシブルプリント配線板ソルダーレジスト、若しくは層間絶縁膜に好適な感光性樹脂積層体、及びそれを用いたパターン製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、電子機器高性能化、多様化及び小型軽量化が進むに伴い、液晶等の表示素子の全面に透明タッチパネルタッチセンサ)を装着した機器が増えてきた。透明タッチパネルを通して表示素子に表示された文字記号絵柄等の視認及び選択を行い、透明タッチパネルの操作によって機器の各機能の切り替えを行うことも増えている。タッチパネルは、パソコンテレビ等の大型電子機器だけでなく、カーナビゲーション携帯電話電子辞書等の小型電子機器及びOAFA機器等の表示機器にも使用されており、タッチパネルには透明導電電極材から成る電極が設けられている。透明導電電極材としては、ITO(Indium−Tin−Oxide)、酸化インジウム及び酸化スズが知られており、これらの材料は、高い可視光透過率を有することから液晶表示素子用基板等の電極材として主に使用されている。

0003

既存のタッチパネルの方式としては、抵抗膜方式光学方式、圧力方式、静電容量方式電磁誘導方式画像認識方式振動検出方式、超音波方式等が挙げられ、各種の方式が実用化されている。近年、静電容量方式タッチパネルの利用が最も進んできている。静電容量方式タッチパネルでは、導電体である指先タッチ入力面に接触すると、指先と導電膜との間で静電容量結合が起こり、コンデンサを形成する。このため、静電容量方式タッチパネルは、指先の接触位置における電荷の変化を捉えることによって、接触位置の座標を検出する。特に、投影型静電容量方式のタッチパネルは、指先の多点検出が可能なため、複雑な指示を行うことができるという良好な操作性を備えるので、携帯電話、携帯型音楽プレーヤ等の小型表示装置を有する機器における表示面上の入力装置として利用が進んでいる。一般に、投影型静電容量方式のタッチパネルでは、X軸とY軸による2次元座標表現するために、複数のX電極と、複数のX電極に直交する複数のY電極とが、2層構造を形成しており、かつ電極材としてはITOが用いられる。

0004

タッチパネルの額縁領域タッチ位置を検出できない領域であるから、その額縁領域の面積を狭くすることが製品価値を向上させるための重要な要素である。額縁領域には、タッチ位置の検出信号を伝えるために、金属配線が必要となるが、額縁面積狭小化を図るためには、金属配線の幅を狭くする必要がある。ITOの導電性は充分に高くないので、一般的には金属配線には銅が使用される。

0005

しかしながら、上述のようなタッチパネルは、指先に接触される際に、水分、塩分等の腐食成分センシング領域から内部に侵入することがある。タッチパネルの内部に腐食成分が侵入すると、金属配線が腐食し、電極と駆動用回路間電気抵抗の増加、又は断線の恐れがあり、これらを防ぐために金属配線上に防錆効果のある保護膜が必要である。一般に、保護膜の透湿度が低いほど、金属配線の防錆効果が高まる傾向がある。

0006

また、検出信号を伝えるための金属配線は、端子部分にて他の部材へと接続するため、導通を確保する必要があり、端子部分は保護膜を除去しなければならない。必要な部位に保護膜を設ける方法として、感光性樹脂組成物から成る感光層を設けてこの感光層を露光現像する方法が開示されている(例えば、特許文献1、2)。通常、感光性樹脂組成物を基板上に塗布するにあたって、感光性樹脂組成物の溶液を基板に塗布して乾燥させる方法、又は、支持体、感光層、及び保護フィルムを順次積層した感光性樹脂積層体を基板に積層する方法のいずれかが使用される。タッチパネルの製造においては、後者の感光性樹脂積層体が使用されることが多い。

0007

上記の感光性樹脂積層体を用いてタッチパネル基板を製造する方法について、以下に一例を述べる。まず感光性樹脂積層体の保護フィルムを感光層から剥離する。次いで、真空ラミネーターを用いて、タッチパネル用基板上に、該基板、感光層、支持体の順序になるよう、感光層及び支持体を積層する。次いで、パターンを有するフォトマスクを介して、該感光層を超高圧水銀灯が発するi線(365nm)等の紫外線で露光することによって、露光部分を重合硬化させる。次いで支持体を剥離する。次いで、弱アルカリ性を有する水溶液等の現像液により感光層の未露光部分を溶解又は分散除去して、基板上に保護膜パターンを得ることができる。更に保護膜パターンは、後露光工程及び、又は加熱工程によって、保護膜耐久性を更に向上することができる。

0008

ここで、感光性樹脂積層体の保護フィルムとしては、一般にポリオレフィンフィルムが用いられるが、ポリオレフィンフィルムにはフィッシュアイと呼ばれる突起上の欠陥構造が見られる。このため、保護フィルムに存在するフィッシュアイと接した感光層の領域が押されて薄くなり、露光後現像すると、該領域にパターンの欠損を生じることがある。この問題を解決するために、フィッシュアイを減少させた保護フィルムとして用いたパターン形成材料などが提案されている(特許文献3、4)。

0009

例えば特許文献3には、保護フィルム中に含まれる直径80μm以上のフィッシュアイ数が5個/m2以下である保護フィルムを用いることによって、基板表面と感光層間エアボイド発生数を低減できることが記載されている。しかしながら、フィッシュアイが極めて少なく、平滑性に優れた保護フィルムは、真空ラミネート真空環境下に長時間置かれることによって、一部の感光層が保護フィルム側へ転写する問題がある。

0010

これらの問題に対し、特許文献4には、保護フィルム中に存在する面積が2,000μm2以上、かつ、フィルム表面からの最大高さが1〜7μmのフィッシュアイ個数が50〜1,000個/m2である保護フィルムを用いることが記載されている。しかしながら、保護フィルムを用いた場合に、フィッシュアイの突起状に由来して、感光層が押し潰される、又は/及び、感光層との接触面積が増大する、ことに伴う局部箇所において、感光層中の光重合性化合物が保護フィルムを通過(以下、ブリードアウトと呼ぶ)し、露光工程において十分な硬化が進まず、防錆性が低下してしまう問題がある。

0011

一方、特許文献5には、保護フィルムが、
(i)ポリプロピレンフィルムであること、及び
(ii)自由体積が0.2nm3未満であること
の少なくとも1つを満たした保護フィルムを用いることによって、感光性樹脂中の光重合性化合物がブリードアウトする現象を抑制できるという効果が記載されているが、保護フィルム中のフィッシュアイの大きさや個数については、何ら開示されていない。

先行技術

0012

国際公開第2013/084872号
特開2013−76821号公報
特開平11−153861号公報
特開2006−72259号公報
特開2011−215366号公報

発明が解決しようとする課題

0013

近年、タッチパネルの金属配線上に形成される保護膜は、更なる防錆性と現像性両立が要求される。これらの両立を付与するには、しばしば低分子量の光重合可能な光重合性化合物が用いられるため、感光層中における該光重合性化合物はいっそうブリードアウトしやすいという問題があった。上述の特許文献のいずれも、当該ブリードアウトの問題を十分に抑制できていなかった。
また、フィッシュアイが極めて少ない平滑性に優れた保護フィルムは、真空ラミネートの真空環境下に長時間置かれることによって、感光層の一部が保護フィルム側に密着して、保護フィルムを剥離する際に感光層の一部が保護フィルム側へ転写するという問題があった。上述の特許文献のいずれも、当該転写の問題を十分に抑制できていなかった。

0014

したがって、本発明が解決しようとする課題は、真空ラミネートの真空環境下に長時間置かれた場合に、一部の感光層が保護フィルム側へ異常密着し、保護フィルムを剥離する際に保護フィルム側に転写してしまうことが少なく、かつ、経時で発生する感光層中の光重合性化合物の保護フィルムからのブリードアウトを抑制することのできる、感光性樹脂積層体を提供することである。

課題を解決するための手段

0015

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、保護フィルムが、感光層と接する面において、面積2,000μm2以上、かつ、保護フィルム表面からの最大高さが1μm以上のフィッシュアイの個数が5個を超えて20個未満となる縦10m×横0.1mの領域を含むことで、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
支持体と、感光層と、保護フィルムとをこの順に積層してなる感光性樹脂積層体であって、上記保護フィルムは、上記感光層と接する面において、面積2,000μm2以上かつ上記保護フィルム表面からの最大高さが1μm以上のフィッシュアイの個数が、5個を超えて20個未満となる縦10m×横0.1mの領域を含むことを特徴とする、感光性樹脂積層体。
[2]
上記保護フィルムがポリプロピレンを含む、項目1に記載の感光性樹脂積層体。
[3]
上記保護フィルムがポリプロピレンフィルムである、項目2に記載の感光性樹脂積層体。
[4]
上記感光層の膜厚が15μm未満である、項目1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
[5]
上記感光層の硬化前における粘度の最小値が1,000Pa・s以下である、項目1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
[6]
上記感光層が、以下の成分:
(A)アルカリ可溶性樹脂
(B)光重合性化合物、及び
(C)光重合性開始剤
を含有する、項目1〜5のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
[7]
上記(B)光重合性化合物は、分子量が430以下の化合物を少なくとも含む、項目1〜6のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
[8]
金属膜、又は金属酸化物膜のいずれかを保護するために使用される、項目1〜7のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
[9]
タッチパネル用保護膜、又はフォースセンサ用保護膜のいずれかに使用される、項目1〜8のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
[10]
上記保護フィルムは、面積2,000μm2以上かつ上記保護フィルム表面からの最大高さが1μm以上のフィッシュアイの平均個数が、上記保護フィルムの上記感光層と接する面の1m2あたり5個を超えて20個未満である、項目1〜9のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
[11]
項目1〜10のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体の上記保護フィルムを剥して、真空雰囲気下で基材上に上記感光層をラミネートし、露光し、そして現像することによりパターンを作製することを含む、パターン製造方法。
[12]
項目11に記載のパターン製造方法により製造されたパターンを有するタッチパネル表示装置又はタッチセンサを有する、装置。

発明の効果

0016

本発明によれば、真空ラミネートの真空環境下に長時間置かれた場合においても、保護フィルムを剥離する際に感光層が保護フィルム側に転写することが少なく、及び経時で発生する感光層中の光重合性化合物の保護フィルムからのブリードアウトを抑制することができる。また、本発明によれば、該感光性樹脂積層体を用いた樹脂パターン製造方法及び硬化膜パターンの製造方法も提供される。

図面の簡単な説明

0017

図1は、本発明の課題の一つである転写の問題を説明するための模式図である。図1(a)は、感光性樹脂積層体から保護フィルムを剥離する工程の模式図であり、図1(b)及び(c)は、図1(a)に便宜的に示す点線枠内の拡大模式図である。
図2は、本発明の課題の一つであるブリードアウトの問題を説明するための模式図である。

0018

以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。

0019

《感光性樹脂積層体》
本実施形態の感光性樹脂積層体は、支持体と、感光層と、保護フィルムとをこの順に積層してなる感光性樹脂積層体である。

0020

〈保護フィルム〉
保護フィルムは、感光層と接する面において、フィルム中に存在する面積が2,000μm2以上、かつ、フィルム表面からの最大高さが1μm以上のフィッシュアイの個数が5個を超えて20個未満となる縦10m×横0.1mの領域を含むことが好ましい。ここで、「縦」は、感光性樹脂積層体の機械方向(MD)を意味し、「横」は、MDに垂直な横断方向(TD)を意味する。
また、保護フィルムは、面積が2,000μm2以上かつフィルム表面からの最大高さが1μm以上のフィッシュアイの平均個数が、保護フィルムの感光層と接する面の1m2あたり5個を超えて20個未満であることが好ましい。

0021

フィッシュアイが5個を超える縦10m×横0.1mの領域を含むと、真空ラミネートの真空環境下に長時間置かれた場合、一部の感光層が保護フィルム側へ転写する問題が抑制される。理論に限定されないが、以下、図1を参照しながらその理由を説明する。感光性樹脂積層体(10)は、典型的には、支持体(1)と、感光層(2)と、保護フィルム(3)とをこの順に積層して芯材(4)の周りに捲回した捲回体である。図1(a)及びその点線枠内の拡大模式図である(b)に示すように、感光性樹脂積層体(10)は、真空ラミネーターチャンバー(20)内の真空環境下で、保護フィルムを感光層から剥離し、感光層を導体付基材等と貼り合せることにより、様々な装置の製造に使用される。真空環境は、典型的には50〜1,000Pa程度である。しかしながら、感光性樹脂積層体が真空環境下に長時間置かれると、保護フィルム(1)と感光層(2)との間の微小エアーが抜けて保護フィルムとのタック性が向上し、保護フィルムと感光層との平滑性が高過ぎると、密着力が異常に高くなることがある。すると、図1(a)及びその点線枠内の拡大模式図である(c)に示すように、感光層が保護フィルムに転写(5)してしまうことがある。特に、芯材付近の感光性樹脂積層体は、製造プロセスにおいてより長時間真空環境下に曝されるため、転写の問題は捲回体の外部よりも内部において顕著である。一方、フィッシュアイが5個を超える縦10m×横0.1mの領域を含むことにより、フィッシュアイの近辺はエアーが抜けにくくなるため、保護フィルムと感光層との剥離が促進され、感光層の保護フィルムへの転写を低減できると考えられる。

0022

また、フィッシュアイが20個未満である縦10m×横0.1mの領域を含むと、上記転写の問題を抑えつつ、ブリードアウトもまた効果的に抑制することができる。理論に限定されないが、以下、図2を参照しながらその理由を説明する。フィッシュアイ(6)の存在する局部箇所では、フィッシュアイの突起に由来して、感光層(2)が押し潰される、及び/又は保護フィルム(3)と感光層(2)との接触面積が増大する。すると、図2中の点線矢印(7)で模式的に示すように、感光層中の光重合性化合物が保護フィルムを通過(ブリードアウト)し、露光工程において十分な硬化が進まず、現像性や防錆性が低下してしまうという問題が生じると考えられる。一方、フィッシュアイが20個未満である縦10m×横0.1mの領域を含むことにより、そのような感光層の局所的な潰れ及び接触面積の増大を抑えることができるので、上記転写及びブリードアウトの問題の両方を効果的に抑制することができると考えられる。

0023

保護フィルムは、感光層と接する面において、フィッシュアイの個数が、例えば、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、12個以上、14個以上、又は16個以上である縦10m×横0.1mの領域を含んでもよい。
保護フィルムは、感光層と接する面において、フィッシュアイの個数が、例えば、19個以下、18個以下、17個以下、16個以下、15個以下、14個以下、13個以下、12個以下、11個以下、10個以下、又は9個以下である、縦10m×横0.1mの領域を含んでもよい。

0024

保護フィルムは、保護フィルムの感光層と接する面積全体で平均したときの、面積2,000μm2以上かつ上記保護フィルム表面からの最大高さが1μm以上のフィッシュアイの個数(平均個数)が、5個/m2を超えて、20個/m2未満であることが好ましい。
保護フィルムの感光層と接する面積全体で平均した場合のフィッシュアイの平均個数は、例えば、6個/m2以上、7個/m2以上、8個/m2以上、9個/m2以上、10個/m2以上、12個/m2以上、14個/m2以上、又は16個/m2以上であってもよい。
また、フィッシュアイの平均個数は、例えば、19個/m2以下、18個/m2以下、17個/m2以下、16個/m2以下、15個/m2以下、14個/m2以下、13個/m2以下、12個/m2以下、11個/m2以下、10個/m2以下、又は9個/m2以下であってもよい。
特に面積が2,000μm2を超える、最大長が80μmを超える、もしくは、最大高さが1μmを超えるフィッシュアイは、重大なブリードアウトを引き起こすため、平均個数が20個/m2未満であることが好ましい。

0025

本発明において、フィッシュアイとは、フィルムに反射光照射したときに、干渉縞ニュートンリング)が観察される光学的に不均一な領域を指す。フィッシュアイは、典型的には該領域内に異物の核を有しているが、有していなくてもよい。該フィッシュアイの面積及び長さは、該干渉縞(ニュートンリング)の最外周で囲まれた領域の面積及び長さを指す。最大長は、該領域の面積重心を通りかつ最外周との交点を両端とする線分のうち、最大の線分の長さを指す。

0026

異物としては、例えば、フィルムの原料樹脂と粘度や分子量が異なる成分、ゲル状物未溶融樹脂酸化劣化樹脂原料包材破片塵埃などが挙げられる。これらがフィルム成形工程において混入することにより、異物を核として、フィルム中に欠陥構造であるフィッシュアイが形成される。
フィッシュアイは、原料配合混練条件、及び溶融条件などを調整することにより、また溶融後に濾過を行うことにより、フィルム中に形成される数や大きさを制御することができる。例えば、濾過によってフィッシュアイとなる異物を全て取り除いた後に、異物となる粒子を添加することによって、フィッシュアイが本実施形態の範囲内である保護フィルムを作製できる。

0027

フィッシュアイの有無は、測定対象の保護フィルムに対して、光学顕微鏡を用いて測定する。測定対象の保護フィルムの感光層と接する面全体のうち、フィッシュアイが5個を超えて20個未満となる縦10m×横0.1mの領域の有無を判定する。フィッシュアイの面積、及び最大長さは、倍率200倍以上にて撮影した画像から測定する。
フィッシュアイの最大高さは、レーザ顕微鏡を用いて倍率50倍の対物レンズを用いて測定する。フィッシュアイの干渉縞が強く、測定が難しい場合は、フィッシュアイを含むサンプルを予め金により蒸着してから測定しても良い。同様の方法で、フィッシュアイの個数を測定対象の保護フィルム全体の面積で平均したフィッシュアイの平均個数を測定することができる。

0028

保護フィルムに含まれる材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリプロピレン樹脂ポリエチレン樹脂エチレンプロピレン共重合樹脂ポリエチレンテレフタレート樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、保護フィルムは、2層以上に積層してなる積層フィルムであってもよく、該積層フィルムとしては、例えば、ポリプロピレン樹脂フィルムとエチレン−プロピレン共重合樹脂フィルムとを積層した積層フィルムが挙げられる。

0029

樹脂中における光重合性化合物やエアーの移動の抑制、感光層に対する適度な接着性、及びフィルム表面の平滑性の観点から、保護フィルムがポリプロピレンを含むことが好ましく、保護フィルムがポリプロピレンフィルムであることがより好ましい。
ここで、「保護フィルムがポリプロピレンを含む」とは、保護フィルムが、モノマーとしてプロピレンから構成されるポリプロピレン樹脂(ホモポリマー)、及び/又はコモノマーの一つとしてプロピレンを含むプロピレン共重合樹脂を、少なくとも1種以上含む、単層、又は積層フィルムであることをいう。「保護フィルムがポリプロピレンフィルムである」とは、保護フィルムが、モノマーとしてプロピレンから構成されるポリプロピレン樹脂(ホモポリマー)、及び/又はコモノマーの一つとしてプロピレンを含むプロピレン共重合樹脂からなる、単層、又は積層フィルムであることをいう。

0030

保護フィルムの厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5〜100μmが好ましく、8〜50μmがより好ましく、10〜30μmが特に好ましい。

0031

保護フィルムと感光層との接着力は、感光層と該感光層と隣接した保護フィルム以外の層(例えば、支持体)との接着力よりも小さいことが好ましい。保護フィルムは、感光層との接着性を調整するために表面処理してもよい。表面処理は、例えば、保護フィルムの表面に、ポリオルガノシロキサン弗素化ポリオレフィンポリフルオロエチレンポリビニルアルコール等のポリマーからなる下塗層を形成させる。該下塗層の形成は、ポリマーの塗布液を保護フィルムの表面に塗布した後、30〜150℃、好ましくは50〜120℃で1〜30分間乾燥させることにより形成させることができる。また、支持体と感光層との接着力を高めるために、支持体に対して表面処理を行ってもよく、例えば、下塗層の塗設、コロナ放電処理火炎処理紫外線照射処理高周波照射処理、グロー放電照射処理活性プラズマ照射処理レーザ光線照射処理などの方法が挙げられる。

0032

〈支持体〉
支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、記感光層から剥離可能であり、かつ、光の透過性が良好であるものが好ましく、更に表面の平滑性が良好であることがより好ましい。このような支持体としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムポリビニルアルコールフィルムポリ塩化ビニルフィルム塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム塩化ビニリデン重合フィルムポリメタクリル酸メチル共重合体フィルムポリスチレンフィルムポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、及びセルロース誘導体フィルム等が挙げられる。これらのフィルムとしては、必要に応じ延伸されたものも使用可能である。支持体のヘーズは5以下であることが好ましい。支持体の膜厚は、薄い方が画像形成性及び経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要から、10〜30μmのものが好ましく用いられる。

0033

〈感光層〉
感光層は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合性化合物、及び(C)光重合性開始剤を含み、必要に応じて適宜選択した重合禁止剤や、その他の成分を含んでいてもよい。

0034

感光層は、厚みが15μm以下であることが好ましい。感光性樹脂層の膜厚は柔軟性、及びブリードアウト低減の観点から15μm以下が好ましく、配線凹凸追従するという観点、及び防錆性を確保するという観点から、3μm以上が好ましい。また、感光層は、2層以上あってもよい。

0035

感光層は、硬化前における粘度の最小値が1,000Pa・s以下であることが好ましい。粘度の最小値が1,000Pa・s以下であることで、良好な現像性を発揮する。粘度の最小値は、好ましくは500Pa・s以下、より好ましくは300Pa・s以下、更に好ましくは200Pa・s以下である。下限に特に限定はないが、10Pa・s以上であってもよく、30Pa・s以上であってもよく、50Pa・s以上であってもよい。

0036

((A)アルカリ可溶性樹脂)
本発明において用いる(A)アルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を含有する高分子体であれば制限はなく、例えば、(メタアクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等のアクリル系共重合体ポリイミド前駆体カルボキシル基含有ポリイミドカルボキシル基含有ウレタン樹脂酸変性エポキシ(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。

0037

(A)アルカリ可溶性樹脂の酸価(mgKOH/g)は、60以上であり。60〜200であることが好ましい。酸価は、透湿度低減及び導体の防錆性向上の観点から、200以下であることが好ましく、現像性向上の観点から60以上であり、導体の防錆性と低温現像性のバランスの観点から、80〜180であることがより好ましく、90〜160であることが更に好ましい。

0038

酸価の測定は、平産業(株)製の平沼自動滴定装置(COM−555)を使用し、0.1mol/Lの水酸化カリウムを用いて電位差滴定法により行われる。(A)アルカリ可溶性樹脂は主鎖末端や及び/又は側鎖にエチレン性不飽和基を有していてもよい。

0039

(A)アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、塗布性塗膜強度転写フィルムのタック性、及び現像性の観点から、4,000〜500,000である。アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、現像凝集物性状、転写フィルムとして使用した場合のタック性、エッジフューズ性カットチップ性等の未露光膜の性状の観点、及び転写フィルムを下地の導体付基材上に製膜し、硬化させた後の基材との密着性の観点から、好ましくは4,000以上であり、現像性を維持する観点から、好ましくは500,000以下である。ここで、エッジフューズ性とは、転写フィルムとしてロール状に巻き取った場合にロールの端面から感光性樹脂組成物層がはみ出す現象である。カットチップ性とは、未露光膜をカッターで切断した場合にチップが飛ぶ現象のことである。飛散したチップが転写フィルムの上面等に付着すると、後の露光工程等でマスクに転写して不良の原因となる。(A)アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、より好ましくは、5,000〜30,000である。本実施形態に係る重量平均分子量の測定は、以下の条件に設定された日本分光(株)製ゲルパーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)を用いて行う。得られた重量平均分子量はポリスチレン換算値となる。
ポンプ:Gulliver、PU−1580型
カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF−807、KF−806M、KF−806M、KF−802.5)4本直列
移動層溶媒テトラヒドロフラン
検量線ポリスチレン標準サンプルを用いて規定された検量線{ポリスチレン標準サンプル(昭和電工(株)製Shodex STANDARDSM−105)による検量線使用}

0040

(A)アルカリ可溶性樹脂の水酸基価(mgKOH/g)は40以下であることが好ましく、30以下であることがさらに好ましい。水酸基価が40以下であることで、感光性樹脂組成物を露光及び熱キュアした後の硬化物の透湿度を下げることができるため、導体の防錆性が向上する。

0041

(A)アルカリ可溶性樹脂の水酸基価は、次のようにして測定することができる。まず、水酸基価の測定対象である(A)アルカリ可溶性樹脂の溶液をアルミの皿上に入れ、溶液中の溶媒の沸点よりも10℃高い温度で4時間加熱し、溶媒を完全に除去する。こうして得られた(A)アルカリ可溶性樹脂の固形分を1g精し、これに10質量%の無水酢酸ピリジン溶液を10mL加えて均一に溶解し、100℃で1時間加熱する。加熱後、水10mLとピリジン10mLを加えて100℃で10分間加熱する。その後、自動滴定機(平沼産業(株)製「COM−555」)を用いて、0.1mol/Lの水酸化カリウムのエタノール溶液により中和滴定することにより測定する。
なお、水酸基価は次式により算出できる。
水酸基価=(A−B)×f×28.05/試料(g)+酸価
式中、Aは空試験に用いた0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)を示し、Bは滴定に用いた0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)を示し、fはファクターを示す。

0042

((B)光重合性化合物)
本実施形態に係る光重合性化合物は、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、例えば、その構造中にエチレン性不飽和基を有することによって重合性を有する化合物である。エチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、(b1)分子中に重合性基を3つ以上有する化合物を含むことが好ましく、更にかつ/又は、(b2)分子中に重合性基を1つ有する化合物を含むことがより好ましい。また、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、上記以外の化合物を組み合わせて使用することが出来る。

0043

(B)成分が(b1)分子中に重合性基を3つ以上有する化合物を含むことで、保護膜の架橋密度上がり、水分等が透過しにくく難くなり、導体の防錆性を低減することができる。(b1)分子中に重合性基を3つ以上有する化合物としては、中心骨格として分子内にアルキレンオキシド基を付加させることができる基を3モル以上有し、この基にエチレンオキシド基プロピレンオキシド基又はブチレンオキシド基等のアルキレンオキシド基を付加させて得られたアルコールを(メタ)アクリレートに変換することで得られる。また、中心骨格をアルキレンオキシド基で変性せず、中心骨格に直接(メタ)アクリル酸を反応させてもよい。中心骨格になることができる化合物としては、例えば、グリセリントリメチロールプロパンペンタエリスリトールジグリセリンジトリメチロールプロパンジペンタエリスリトールイソシアヌレート環等が挙げられる。導体の防錆性向上の観点から、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、又はジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを含むことがより好ましい。また、感光性樹脂組成物は、(b1)分子中に重合性基を3つ以上有する化合物として、分子量が430以下である化合物を少なくとも含むことがさらに好ましい。(b1)成分の分子量が430以下であることで、感光性樹脂組成物層の現像性が向上する。分子量が430以下である化合物としては、中心骨格として例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等を備える化合物が挙げられる。感光性樹脂組成物層の現像性と導体の防錆性向上の両立という観点から、(B)成分は、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、又はトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。分子量の下限は特に限定はないが、分子量は100以上であってもよく、150以上であってもよい。

0044

(b1)化合物なしで、又は(b1)化合物に加えて、 (b2)分子中に重合性基を1つ有する化合物を更に含むことで、(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物全体の反応率の向上が見られ、導体の防錆性の向上が期待できる。また、感光性樹脂組成物層の現像性の向上も見られる場合がある。(b2)分子中に重合性基を1つ有する化合物としては、ポリアルキレンオキシドの片末端に(メタ)アクリル酸を付加した化合物、片末端に(メタ)アクリル酸を付加し、かつ他方の末端をアルキルエーテル又はアリルエーテル化した化合物、等が挙げられる。例えば、m−フェノキシベンジルアクリレート、o−フェニルフェノキシエチルアクリレート、4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン、EO変性パラクミルフェノールアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、4−ノニルフェニルヘプタエチレングリコールジプロピレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、4−ノルマルオクチルフェノキシペンタプロピレングリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレートが挙げられる。導体の防錆性向上観点から、m−フェノキシベンジルアクリレート、o−フェニルフェノキシエチルアクリレート、4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン、EO変性パラクミルフェノールアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレートを含むことがより好ましい。

0045

また、その他の(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物(b3)としては、例えば、ポリアルキレンオキシド鎖の両末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又はポリエチレンオキシド鎖ポリプロピレンオキシド鎖とがランダム若しくはブロックで結合したアルキレンオキシド鎖の両末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物、ビスフェノールAをアルキレンオキシド変性し、かつ両末端に(メタ)アクリロイル基を有している化合物等も挙げられる。

0046

その他にも、(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物(b3)としては、ジイソシアネート化合物と、一分子中にヒドロキシル基及び(メタ)アクリル基を有する化合物との反応生成物であるウレタン化合物等が挙げられる。

0047

(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物の感光樹脂組成物中の含有量は、解像性、硬化膜の導体密着性及び導体の防錆性の観点から、感光性樹脂組成物の質量を基準として、20質量%〜60質量%であることが好ましく、30質量%〜50質量%であることがより好ましい。

0048

((C)光重合性開始剤)
本実施形態に係る(C)光重合開始剤は、活性光線によりラジカルを発生し、エチレン性不飽和基含有化合物などを重合することができる化合物である。本実施形態に係る(C)光重合開始剤は、活性光線によりラジカルを発生し、エチレン性不飽和基含有化合物等を重合することができる化合物である。(C)光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N,N’,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパノン−1、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等の芳香族ケトンベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾインエチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−3−シクロペンチルプロパン−1,2−ジオン−2−(o−ベンゾイルオキシム)、1,2−プロパンジオン,3−シクロヘキシル−1−[9−エチル−6−(2−フラニルカルボニル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,2−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル化合物ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニルヘプタン等のアクリジン誘導体N−フェニルグリシン等のN−フェニルグリシン誘導体クマリン化合物オキサゾール化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド化合物が挙げられる。光重合開始剤は、単独で、又は2種以上混合して用いることもできる。

0049

これらの中でも、導体の防錆性向上、硬化膜の透湿性低減、及び耐薬品性向上の観点から、オキシムエステル化合物が好ましく、これらの中でも365nmのモル吸光係数が高い化合物がより好ましい。波長365nmにて高い吸光係数を有するオキシム開始剤を用いることで、i線露光によって高感度な保護膜を得ることが出来る。その中でも、防錆性の観点から、オキシムエステル化合物が好ましく、これらの中でも365nmのモル吸光係数が高い化合物がより好ましい。波長365nmにて高い吸光係数を有するオキシム開始剤を用いることで、i線露光によって高感度な保護膜を得ることが出来る。これにより、高い表面硬化性が得られ、前述したような現像工程でのナトリウムイオンの侵入を抑制でき、その結果として導体の高い防錆性が得られると推察される。

0050

具体的なオキシムエステル化合物としては、1,2−オクタンジオン,1−[(4−フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](BASFジャパン(株)製、Irgacure Oxe01、製品名)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(BASFジャパン(株)製、Irgacure Oxe02)、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−3−シクロペンチルプロパン−1,2−ジオン−2−(O−ベンゾイルオキシム)(常州強力電子新材料社製TR−PBG−305、製品名)、及び1,2−プロパンジオン,3−シクロヘキシル−1−[9−エチル−6−(2−フラニルカルボニル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,2−(O−アセチルオキシム)(常州強力電子新材料社製TR−PBG−326、製品名)、(7−ニトロ−9,9−ジプロピル−9H−フルオレン−2−イル)(オルトトリルメタノンO−アセチルオキシム(ダイトーケミックス(株)製DFI−020)、1,8−オクタンジオン,1,8−ビス[9−(2−エチルヘキシル)−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル]−,1,8−ビス(O−アセチルオキシム)、3−シクロヘキシル−1−(6−(2−(ベンゾイルオキシイミノオクタノイル)−9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル)−プロパン−1,2−ジオン−2−(O−ベンゾイルオキシム)(常州強力電子新材料社製TR−PBG−371、製品名)、3−シクロヘキシル−1−(6−(2−(ベンゾイルオキシイミノ)ヘキサノイル)−9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル)−プロパン−1,2−ジオン−2−(O−ベンゾイルオキシム)(常州強力電子新材料社製TR−PBG−391、製品名)等を挙げることができる。

0051

(C)光重合開始剤の、感光性樹脂組成物中の含有量は、感光性樹脂組成物の質量を基準として、0.1質量%〜10質量%であり、感度と解像性の観点から、0.3質量%〜5質量%であることがより好ましい。光重合開始剤の含有量が0.1質量%〜10質量%の範囲内であれば、光感度が充分となるとともに、活性光線を照射する際に組成物の表面での吸収が増大して内部の光硬化が不充分となること、可視光透過率が低下すること等の不具合を抑制することができる。

0052

((D)熱架橋剤
感光性樹脂組成物には、より高い防錆性能発現させるという観点から、(D)熱架橋剤を更に配合することが好ましい。(D)熱架橋剤とは、熱により(A)アルカリ可溶性樹脂、並びに同時に添加する(D)熱架橋剤と付加反応、又は縮合重合反応を起こす化合物を意味する。付加反応又は縮合重合反応を起こす温度としては、100℃〜150℃が好ましい。付加反応又は縮合反応は、現像によりパターン形成をした後の加熱処理の際に生じる。

0053

具体的な熱架橋剤としては、ブロックイソシアネート化合物ジオール化合物エポキシ化合物、及び国際公開第2016/047691号の段落[0054]以降に記載の熱架橋剤が挙げられるが、これらに限定されない。

0054

ブロックイソシアネート化合物とは、分子内に2個以上のイソシアネ−ト基を有するイソシアネ−ト化合物にブロック剤を反応させることにより得られる化合物である。

0055

イソシアネ−ト化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、4,4’−水酸化ジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−ト、1,5−ナフタレンジイソシアネ−ト、4,4−ジフェニルジイソシアネ−ト、1,3—ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−フェニレンジイソシアネ−ト、2,6−フェニレンジイソシアネ−ト、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネ−ト、及び、ヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。

0056

ブロック剤としては、例えば、アルコル類フェノ−ル類、ε−カプロラクタムオキシム類活性メチレン類、メルカプタン類アミン類イミド類、酸アミド類イミダゾ−ル類、尿素類カルバミン酸塩類、イミン類、及び亜硫酸塩類が挙げられる。

0057

ブロックイソシアネート化合物の具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート系ブロックイソシアネート(例えば、旭化成(株)製デュラネートSBN−70D、SBB−70P、SBF−70E、TPA−B80E、17B−60P、MF−B60B、E402−B80B、MF−K60B、及びWM44−L70G、三井化学(株)製タケネートB−882N、Baxenden社製7960、7961、7982、7991、及び7992など)、トリレンジイソシアネート系ブロックイソシアネート(例えば、三井化学(株)製タケネートB−830など)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト系ブロックイソシアネート(例えば、三井化学(株)製タケネートB−815N、大榮産業(株)製ブロネートPMD−OA01、及びPMD−MA01など)、1,3—ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン系ブロックイソシアネート(例えば、三井化学(株)製タケネートB−846N、東ソー(株)製コロネートBI−301、2507、及び2554など)、イソホロンジイソシアネート系ブロックイソシアネート(例えば、Baxenden社製7950、7951、及び7990など)が挙げられる。これらのブロックイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。

0058

ジオール化合物とは、分子鎖一本に対して2つの水酸基を含むものを指す。骨格中には、脂肪族芳香族脂環基等の炭化水素基を含むものが挙げられる。
ジオール化合物の具体例としては、ポリテトラメチレンジオール(例えば、三菱ケミカル(株)製P4TMG650、PTMG850、PTMG1000、PTMG1300、PTMG1500、PTMG1800、PTMG2000、及びPTMG3000など)、ポリブタジエンジオール(例えば、日本曹達(株)製G−1000、G−2000、及びG−3000など)、水添ポリブタジエンジオール(例えば、日本曹達(株)製GI−1000、GI−2000、及びGO−3000など)、ポリカーボネートジオール(例えば、旭化成(株)製デュラノールT5651、デュラノールT5652、デュラノールT4671、デュラノールG4672、デュラノールG3452、及びデュラノールG3450J、並びにクラレ(株)製クラレポリオールC−590、クラレポリオールC−1090、クラレポリオールC−2090、及びクラレポリオールC−3090など)、ポリカプロラクトンジオール(例えば、ダイセル(株)製プラクセル205PL、プラクセル210、プラクセル220、及びプラクセル220PLなど)、ポリエステルジオール(例えば、クラレ(株)製クラレポリオールP−530、クラレポリオールP−2030、及びクラレポリオールP−2050、並びに豊国製油(株)製HS2N−220Sなど)、ビスフェノール類(例えば、三菱ケミカル(株)製ビスフェノールAなど)、及び水添ビスフェノール類(例えば、新日本理化(株)製リカビノールHBなど)が挙げられる。これらのジオール化合物は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。

0059

(D)熱架橋剤は、転写フィルムの保存安定性及び硬化膜の透湿性低減の観点からブロックイソシアネート化合物が好ましく、更に、感光性樹脂組成物層の現像性向上の観点からジオール化合物と併用することがより好ましい。

0060

(D)熱架橋剤の感光性樹脂組成物中の含有量は、感光性樹脂組成物の質量を基準として、0.2質量%〜40質量%であり、現像性と低透水性の観点から、1質量%〜30質量%であることがより好ましく、2質量%〜20質量%であることが更に好ましい。

0061

ブロックイソシアネート化合物は、現像によりパターン形成をした後の加熱処理において(A)アルカリ可溶性樹脂、又は併用したジオール化合物の水酸基と反応するため、硬化膜の透湿度が低くなり、基材、電極等を保護するための防錆性が良好となる。更に、ブロックイソシアネート化合物は、(A)アルカリ可溶性樹脂と架橋することで硬化膜の架橋密度が上がり、水の拡散性が低下するため硬化膜の透湿度が低くなり、導体の防錆性が向上すると考えられる。また、ブロックイソシアネートは、イソシアネート基がブロック剤により封止されているため、室温での(A)アルカリ可溶性樹脂や又はジオール化合物との反応が抑制され、感光性樹脂組成物及び転写フィルムの安定性が保たれる。

0062

ジオール化合物は、親水性の水酸基を有するため現像性が良好となる。また、現像によりパターン形成をした後の加熱処理において、ジオール化合物の水酸基はブロックイソシアネート化合物と反応するため、優れた導体の防錆性が保たれる。ジオール化合物の分子量は、現像性の観点から300〜3,000のものが好ましく、特に分子量が500〜2,000のものがより好ましい。一方で、熱硬化後に未反応の水酸基が残存していると硬化膜の透湿度が悪化し、導体の防錆性能を損なう要因となる場合がある。従って、ジオール化合物は、感光性樹脂組成物としての水酸基価が20mgKOH/g以下になるように添加することが好ましく、15mgKOH/g以下になるように添加することがより好ましい。感光性樹脂組成物の水酸基価が20以下であることで、感光性樹脂組成物の硬化物の透湿度を下げることができるため、導体の防錆性が向上する。

0063

((E)ロジンエステル化合物
感光性樹脂組成物には、より低透水性を発現させるという観点から、(E)ロジンエステル化合物を更に配合することが好ましい。本実施形態に係る(E)ロジンエステル化合物とは、松脂不揮発性分である炭素数20の三環ジテルペノイドであるロジン酸、ロジン酸の二量体、ロジン酸の水素添加物、及びロジン酸の不均化物から成る群から選ばれる化合物(以下、総称として「ロジン酸誘導体」と呼ぶ)とヒドロキシル化合物フェノール化合物グリシジル化合物のいずれかを反応させたことによりエステル結合を有する化合物、ロジン酸誘導体をグリシジル化し、カルボキシル化合物、フェノール化合物のいずれかを反応させたことによりエステル結合を有する化合物である。

0064

(E)ロジンエステル化合物の具体例としては、例えば、荒川化学(株)社の製品としては、エステルガムシリーズパイクリスタルシリーズ、スーパーエステルシリーズ、ペンセルシリーズ、ビームセット101等、ハリマ化成(株)社の製品としては、ハリエスターシリーズ、ネオトールシリーズ、ハリタックシリーズが挙げられる。

0065

(E)ロジンエステル化合物は脂環式構造エステル構造を有することで、疎水性が高くなる化合物であるが、感光性樹脂組成物中の(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤との相溶性が良いため、組成物としての現像性を阻害することがなく、そのため、転写フィルムの低温現像性、硬化膜の透湿度、導体の防錆性の各性能バランスに優れる。

0066

導体の防錆性の観点から、(E)ロジンエステル化合物は酸価が20mgKOH/g以下であることがより好ましく、上記、荒川化学(株)社製品、ハリマ化成(株)社の製品では、例えば、パインクリスタルKE−100、エステルガム105、スーパーエステルA−115、スーパーエステルA−125、ペンセルA、ペンセルC、ペンセルD−125、ペンセルD−135、ペンセルD−160、ビームセット101、ハリエスターS、ネオトール125HK、ハリタックF105、ハリタックFK125、ハリタックPCJ等が挙げられる。

0067

さらに硬化膜の透湿度低減の観点から、(E)ロジンエステル化合物は軟化点が100℃以上であることがより好ましく、これらの条件に該当する具体的な化合物としては、例えば、エステルガム105、スーパーエステルA−115、スーパーエステルA−125、ペンセルA、ペンセルC、ペンセルD−125、ペンセルD−135、ペンセルD−160、ネオトール125HK等が挙げられ、軟化点が110℃以上であることが特に好ましく、これらの条件に該当する具体的な化合物としては、スーパーエステルA−115、スーパーエステルA−125、ペンセルA、ペンセルC、ペンセルD−125、ペンセルD−135、ペンセルD−160、ネオトール125HKが挙げられる。(F)ロジンエステル化合物は、単独、又は2種以上混合して用いることもできる。

0068

(E)ロジンエステル化合物の感光性樹脂組成物中の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分100質量%に対し、1質量%〜20質量%であり、透湿度と現像性の観点から、5質量%〜20質量%であることがより好ましく、基材への密着性の観点から、5質量%〜15質量%であることが更に好ましい。(E)ロジンエステル化合物の含有量が1質量%〜20質量%の範囲内であれば、転写フィルムの低温現像性と硬化膜の透湿度の性能バランスが良好である。

0069

((F)防錆剤
本実施形態に係る防錆剤とは、防錆効果を有する化合物をいい、例えば、金属表面に被膜を形成して金属の腐食又は錆を防止する物質等である。

0070

防錆剤としては、本実施形態に係る感光性樹脂組成物への相溶性及び感度の観点から、N、S、O等を含む複素環化合物が好ましく、例えば、テトラゾール及びその誘導体、トリアゾール及びその誘導体、イミダゾール及びその誘導体、インダゾール及びその誘導体、ピラゾール及びその誘導体、イミダゾリン及びその誘導体、オキサゾール及びその誘導体、イソオキサゾール及びその誘導体、オキサジアゾール及びその誘導体、チアゾール及びその誘導体、イソチアゾール及びその誘導体、チアジアゾール及びその誘導体、チオフェン及びその誘導体等が挙げられる。ここで記載した誘導体には、母体となる構造に置換基を導入した化合物が含まれる。例えば、テトラゾール誘導体であれば、テトラゾールに置換基を導入した化合物が含まれる。置換基としては、特に制限はないが、例えば、炭化水素基(飽和でも不飽和でもよく、直鎖型でも分岐型でもよく、構造中に環状構造を含んでもよい)、又はヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基ニトロ基シアノ基チオール基及びハロゲンフッ素塩素臭素ヨウ素など)基等のヘテロ原子を有する官能基を一つ以上含む置換基が挙げられる。

0071

さらに、防錆性の観点から、複素環化合物としては、CとN及び/又はSとで構成される複素環を有し、かつ同一複素環中、N原子数が3以下であるか、S原子数が3以下であるか、又はN原子とS原子の合計数が3以下である化合物が好ましい。より好ましい複素環化合物は、トリアゾール及びその誘導体、イミダゾール及びその誘導体、イミダゾリン及びその誘導体、チアゾール及びその誘導体、イソチアゾール及びその誘導体、チアジアゾール及びその誘導体、並びにチオフェン及びその誘導体等である。防錆性及び現像性の観点から、該化合物として、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、並びにイミダゾール及びその誘導体がさらに好ましい。

0072

CとN及び/又はSとで構成される複素環を有し、かつ、同一複素環中、N原子数が3以下であるか、S原子数が3以下であるか、又はN原子とS原子の合計数が3以下である化合物の具体例を以下に示す:
トリアゾール、例えば、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール等;
トリアゾール誘導体、例えば、3−メルカプトトリアゾール、3−アミノ−5−メルカプトトリアゾール、ベンゾトリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール−1−アセトニトリル、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1−(2−ジ−n−ブチルアミノメチル)−5−カルボキシベンゾトリアゾール、1−(2−ジ−n−ブチルアミノメチル)−6−カルボキシベンゾトリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール−1−メタノール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、5−クロロベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール等;

0073

イミダゾール;イミダゾール誘導体、例えば、ウンデシルイミダゾールベンゾイミダゾール、5−カルボキシベンゾイミダゾール、6−ブロモベンゾイミダゾール、5−クロロベンゾイミダゾール、2−ヒドロキシベンゾイミダゾール、2−(1−ヒドロキシメチル)ベンゾイミダゾール、2−メチルベンゾイミダゾール、5−ニトロベンゾイミダゾール、2−フェニルベンゾイミダゾール、2−アミノベンゾイミダゾール、5−アミノベンゾイミダゾール、5−アミノ−2−メルカプトベンゾイミダゾール等;
イミダゾリン;イミダゾリン誘導体、例えば、2−ウンデシルイミダゾリン、2−プロピル−2−イミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等;
チアゾール;チアゾール誘導体、例えば、2−アミノ−4−メチルチアゾール、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾール、ベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−アミノベンゾチアゾール、2−アミノ−6−メチルベンゾチアゾール、(2−ベンゾチアゾリルチオ酢酸、3−(2−ベンゾチアゾリルチオ)プロピオン酸等;

0074

イソチアゾール;イソチアゾール誘導体、例えば、3−クロロ−1,2−ベンゾイソチアゾール等;
チアジアゾール、例えば、1,2,3−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール等;チアジアゾール誘導体、例えば、4−アミノ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール、5−アミノ−1,2,3−チアジアゾール、2−メルカプト−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール等;
チオフェン;チオフェン誘導体、例えば、2−チオフェンカルボン酸、3−アミノ−2−チオフェンカルボン酸メチル、3−メチルベンゾチオフェン等。

0075

上記防錆剤の中でも、導体の防錆性及び転写フィルムの低温現像性の観点から、ベンゾトリアゾール、5−カルボキシベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、及び5−クロロベンゾトリアゾールが特に好ましい。
一方で、(F)成分として導体の防錆性と硬化膜の基材との密着性の観点から、テトラゾール及びその誘導体、トリアゾール及びその誘導体、インダゾール及びその誘導体並びにチアジアゾール及びその誘導体が好ましい。

0076

テトラゾールの具体例としては、1H−テトラゾールが挙げられる。テトラゾール誘導体の具体例としては、5−アミノ−1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、1−メチル−5−エチル−1H−テトラゾール、1−メチル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、1−(ジメチルアミノエチル)−5−メルカプト−1H−テトラゾール及び5−フェニル−1H−テトラゾール等が挙げられる。

0077

インダゾールの具体例としては、1H−インダゾールが挙げられる。インダゾール誘導体としては、5−アミノインダゾール、6−アミノインダゾール、1−ベンジル−3−ヒドロキシ−1H−インダゾール、5−ブロモインダゾール、6−ブロモインダゾール、6−ヒドロキシインダゾール、3−カルボキシインダゾール及び5−ニトロインダゾール等が挙げられる。

0078

トリアゾール及びその誘導体並びにチアジアゾール及びその誘導体の具体例は、上記で既に説明したとおりである。それらの中でも、導体の防錆性と硬化膜の基材との密着性の観点から、5−アミノ−1H−テトラゾール、5−カルボキシベンゾトリアゾール、5−アミノインダゾール及び5−アミノ−1,2,3−チアジアゾールが特に好ましい。本実施形態では、上記で説明された防錆剤の1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。

0079

感光性樹脂組成物中の防錆剤の含有量は、導体の防錆性又は転写フィルムの低温現像性の観点から、感光性樹脂組成物の質量を基準として、好ましくは0.05質量%〜10質量%、より好ましくは0.1質量%〜5質量%、さらに好ましくは0.2質量%〜3質量%である。

0080

(その他の成分)
本実施形態において、成分(A)〜(F)に加えて、その他の成分(G)として、カルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するオリゴマーニトロソフェニルヒドロキシルアミンが3モル付加したアルミニウム塩等の重合禁止剤、酸化防止剤密着助剤レベリング剤充填剤消泡剤、及び難燃剤等も感光性樹脂組成物に含有させることが出来、これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。

0081

本実施形態における感光性樹脂組成物の水酸基価(mgKOH/g)は20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましい。感光性樹脂組成物の水酸基価が20以下であることで、感光性樹脂組成物の硬化物の透湿度を下げることができるため、導体の防錆性が向上する。

0082

感光性樹脂組成物を溶解する溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)に代表されるケトン類;メタノール、エタノール又はイソプロパノールに代表されるアルコール類等が挙げられる。
溶剤は、支持体上に塗布する感光性樹脂組成物の溶液の粘度が、25℃で3mPa・s〜3,000mPa・sとなるように、感光性樹脂組成物に添加することが好ましい。

0083

塗布方法としては、例えば、ドクターブレードコーティング法マイヤーバーコーティング法、ロールコーティング法、スクリーンコーティング法スピナーコーティング法、インクジェットコーティング法、スプレーコーティング法ディップコーティング法、グラビアコーティング法カーテンコーティング法ダイコーティング法等が挙げられる。塗布液の乾燥条件に特に制限はないが、乾燥温度は、50℃〜130℃であることが好ましく、乾燥時間は、30秒〜30分であることが好ましい。

0084

本実施形態では、転写フィルムは、導体部の保護膜を形成するために使用されることが好ましく、その場合には、導体部は、銅電極ニッケルパラジウム、銀、チタンモリブデン等と銅との合金電極又は透明電極であることがより好ましい。より詳細には、転写フィルムは、タッチパネル(タッチセンサ又はフォースセンサ)の額縁領域における引き出し配線のための保護膜、センシング領域における銅電極のための保護膜として、使用されることができる。

0085

《パターン製造方法》
本実施形態の感光性樹脂積層体を用いたパターンの形成は、以下の工程:
本実施形態の感光性樹脂積層体の保護フィルムを剥して、真空雰囲気下で基材上に感光層をラミネートする工程;露光する工程;及び現像する工程を含む。より詳細には、基材上に、上記で説明された感光性樹脂積層体をラミネートする真空ラミネート工程;該ラミネートされた感光層に露光する露光工程;及び該露光された感光層を現像する現像工程;を含む方法によって、樹脂パターンを製造することができる。更に、樹脂パターンを導体部の保護膜として用いるために、現像工程後に、樹脂パターンを後露光処理及び/又は加熱処理に供して、硬化膜パターンを形成することが好ましい。

0086

以下、具体的な方法の一例を示す。基材としては、銅張積層板銅配線が形成された基材、ガラス基材、透明樹脂基材に透明電極(例えば、ITO、Agナノワイヤー基材等)、又は金属電極(例えば、Cu、Al、Ag、Ni、Mo及びこれらの少なくとも2種の合金等)が形成されたタッチパネル基材又はタッチセンサ基材(例えばフォースセンサー等)等を使用することができる。フレキシブル銅張積層板タッチパネル電極形成用基材、又はタッチセンサ電極形成用基材は、フレキシブルなフィルム上に、銅層若しくは透明電極、又は金属電極の原料となる金属層が形成されて成る基材である。

0087

上記フィルムとしては、例えば、ポリイミドポリエステル(PET、PEN)、シクロオレフィンポリマーCOP)等のフィルム原料から成るフィルムが挙げられる。上記フィルムの厚みは、10μm〜100μmであることが好ましい。また、上記の銅としては、純銅の他に、銅を主成分として含有する合金を使用することができる。ここで「主成分」とは、合金の少なくとも50質量%が銅であることをいう。合金金属としては、例えばニッケル、パラジウム、銀、チタン、モリブデン等と銅との合金を挙げることができる。
銅層の厚みは50nm〜2μmであることが好ましい。銅層の均一性の観点から、銅層の厚みは100nm以上であることがより好ましい。

0088

上記のような基材に対して感光性樹脂積層体を真空ラミネートする工程を行うことにより、基材の銅層上に感光層を形成する。ラミネーターで転写フィルムを基材表面に加熱圧着して積層する。この場合、転写フィルムを基材表面の片面だけに積層してもよいし、両面に積層してもよい。加熱温度は、一般に約40℃〜160℃である。加熱圧着は、二連のロールを備えた二段式ラミネーターを使用して行われてもよいし、転写フィルムと基材とを複数回に亘って繰り返してロールに通すことにより行われてもよい。また、真空ロールラミネーターを用いると、基材上の配線等による凹凸への保護膜の追従性が良好であり、転写フィルムと基材の間にエアーが混入する欠点を防ぐことが出来る。一方で、真空ロールラミネーターを用いた場合、ラジカル重合を抑制する酸素濃度が著しく低いため、光重合開始剤が開裂し、暗反応が進行しやすく易くなる。従って、ロールの温度は、40℃〜100℃が好ましく、40℃〜80℃がさらにより好ましい。

0089

次に、露光機を用いて露光工程を行う。必要ならば支持体を剥離し、フォトマスクを通して活性光により感光層を露光する。露光量は、光源照度及び露光時間により決定される。露光量は、光量計を用いて測定してもよい。露光機としては、超高圧水銀灯を光源とした散乱光露光機、平行度を調整した平行光露光機、マスクとワークの間にギャップを設けるプロキシミティ露光機等を挙げることができる。更に、露光機としては、マスクと画像のサイズ比が1:1の投影型露光機、高照度ステッパー(登録商標)といわれる縮小投影露光機、又はミラープロジェクションアライナ(登録商標)と呼ばれる凹面鏡を利用した露光機を挙げることができる。

0090

また、露光工程においては、直接描画露光方法を用いてもよい。直接描画露光とは、フォトマスクを使用せず、基板上に直接描画して露光する方式である。光源としては、例えば、波長350nm〜410nmの固体レーザ半導体レーザ又は超高圧水銀灯が用いられる。描画パターンコンピューターによって制御される。この場合の露光量は、光源照度と基板の移動速度によって決定される。

0091

次に、現像装置を用いて現像工程を行う。露光後、感光性樹脂層上に支持フィルムがある場合には、必要に応じて支持フィルムを除き、続いてアルカリ水溶液の現像液を用いて未露光部を現像除去して、樹脂パターンを得る。アルカリ水溶液としては、Na2CO3又はK2CO3の水溶液(アルカリ水溶液)を用いることが好ましい。アルカリ水溶液は、感光性樹脂層の特性に合わせて適宜選択されるが、約0.2質量%〜2質量%の濃度、約20℃〜40℃のNa2CO3水溶液が一般的である。現像液の温度が高い場合、臭気対策としての排気等による陰圧環境下では水分が揮発しやすく易くなり、経時で現像液が濃縮され、安定生産性が損なわれる傾向がある。そのため、現像液温度は30℃未満であることが好ましい。また、アルカリ水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。基材への影響を考慮して、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液等のアミン系アルカリ水溶液を用いることもできる。現像速度に応じて、水溶液中のアルカリ化合物の濃度を適宜選択することができる。現像液の臭気が少なく、取扱い性に優れ、かつ、管理及び後処理が簡便であるという観点から、特に1質量%、25℃〜30℃のNa2CO3水溶液が好ましい。現像方法としては、アルカリ水スプレーシャワー揺動浸漬、ブラッシングスクラッピング等の既知の方法が挙げられる。

0092

現像後、樹脂パターンに残存したアルカリ水溶液の塩基を、有機酸無機酸又はこれらの酸水溶液を用いて、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の既知の方法により酸処理中和処理)することができる。更に、酸処理(中和処理)の後、水洗する工程を行うこともできる。

0093

上記の各工程を経て樹脂パターンを得ることができるが、更に後露光工程及び/又は加熱工程を実施してもよい。後露光工程及び/又は加熱工程を実施することにより、更に防錆性が向上する。後露光処理での露光量としては、200mJ/cm2〜1,000mJ/cm2が好ましく、加熱工程では40℃〜200℃での処理を行うことが好ましく、製造プロセスの観点から、加熱処理時間は60分以下が好ましい。加熱処理の方式としては、熱風赤外線遠赤外線等の適宜の方式の加熱炉を用いることができ、加熱処理の雰囲気としては、N2雰囲気下、又はN2/O2雰囲気下が挙げられる。

0094

本実施形態によれば、感光層のタック性、低温ラミネート性、低温現像性及び硬化膜の透湿度及び導体基材との密着性がいずれも良好であり、配線、電極等の導体部の保護に好適な感光性樹脂組成物及び感光性樹脂積層体を提供し得る。このような感光性樹脂積層体は、例えば、タッチパネル、タッチセンサ又はフォースセンサ用途の配線、電極等の保護膜や又はプリント配線板のソルダーレジストとして好適である。

0095

《タッチパネル表示装置、タッチセンサ又はフォースセンサを有する装置》
本実施形態に係る感光性樹脂積層体の硬化膜をタッチパネル用基材に形成することで、感光層の硬化膜を有するタッチパネル表示装置、及び転写フィルムの硬化膜とタッチセンサ及び/又はフォースセンサとを有する装置を提供することができる。
タッチパネル用基材としては、一般に、タッチパネル、タッチセンサ又はフォースセンサのために用いられる基材、例えば、ガラス板プラスチック板プラスチックフィルムセラミック板等が挙げられる。この基材上には、保護膜を形成する対象となるITO、Cu、Al、Ag、Ni、Mo及びこれらの少なくとも2種を含む合金等のタッチパネル用電極又は金属配線が設けられ、基材と電極との間に絶縁層が設けられていてもよい。

0096

タッチパネル用電極を有するタッチパネル用基材は、例えば、以下の手順で得ることができる。ポリエステル、COPフィルム等のタッチパネル用基材上に、ITO、Cuの順にスパッタ法により金属膜又は金属酸化物膜を形成した後、金属膜又は金属酸化物膜上にエッチング感光性フィルムを貼り付け、所望のレジストパターンを形成し、不要なCuを塩化鉄水溶液等のエッチング液で除去し、更にレジストパターンを剥離・除去する。

0097

タッチパネル用基材上に保護膜としての硬化膜を形成する方法は、本実施形態に係る転写フィルムをタッチパネル用基材上にラミネートする第1工程、保護膜の所定部分を活性光線の照射により硬化させる第2工程、保護膜の所定部分以外(保護膜の活性光線が照射されていない部分)を除去して、パターニングされた保護膜の硬化物を形成する第3工程、及びパターニングされた保護膜を露光及び/又は熱処理する第4工程を、この順に含むことが好ましい。

0098

上述のように感光性樹脂積層体の硬化膜パターンを有するタッチパネル用基材を作製することによって、転写フィルムの硬化膜を有するタッチパネル表示装置、又は転写フィルムの硬化膜とタッチセンサ及び/又はフォースセンサとを有する装置を好適に提供することができる。

0099

以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0100

1.評価用サンプルの作製
実施例1〜4、及び比較例1〜4における感光性樹脂積層体は次のように作製した。

0101

<感光性樹脂捲回体の作製>
以下の表1に示す化合物を用意し、以下の表2に示す組成割合(表中の値は質量部)の
感光性樹脂組成物を、これらを溶解する溶媒であるメチルエチルケトン(MEK)と混ぜ
合わせてよく攪拌し、混合して、均一な溶液の感光性樹脂組成物調合液を得た。支持体としての膜厚16μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、バーコーターを用いて該感光性樹脂組成物調合液を均一に塗布して乾燥し、感光層を形成した。感光層の膜厚は8μmであった。

0102

次いで、感光層の支持体を積層していない側の表面上に、以下の表2に示す保護層フィルムを、張り合わせて感光性樹脂積層体を得た。

0103

次いで、得られた感光性樹脂積層体を3インチBSコアに200m巻き取り、感光性樹脂捲回体を得た。

0104

2.転写性評価
感光性樹脂積層体の転写性は以下のようにして評価した。
まず、作製した感光性樹脂捲回体を真空ラミネーター((株)エム・シー・ケー製)のチャンバー内の巻出し軸にセットした。次いで、真空ポンプを用いてチャンバー内の真空度を50Paまで減圧、1時間維持した。次いで、チャンバー内を大気圧に戻した後、感光性樹脂捲回体から、面積10m×0.1mの感光性樹脂積層体を切り出した。次いで、保護フィルムを100mm/秒のスピードで剥離した後、保護フィルムの表面に感光層が付着しているかどうかを目視で確認した。感光層が付着していた場合は、感光層の面積を測定した。
評価方法
○・・・・剥離した保護フィルム表面に感光層の付着が確認できない。
×・・・・剥離した保護フィルム表面に感光層の付着が有り、付着した感光層の面積が100mm2未満である。
××・・・剥離した保護フィルム表面に感光層の付着が有り、付着した感光層の面積が100mm2以上である。

0105

3.被覆部防錆性評価
試験用基材の作製>
特許第4515123号明細書の実施例2に記載の通りに感光性樹脂積層体を作製して、感光性樹脂積層体を、保護フィルムを剥がしながら、樹脂、ITO、及びスパッタ銅がこの順に積層された大きさ10cm×10cmのフレキシブル基材銅表面に、ホットロールラミネーターにてラミネートした。その際ロール温度100℃、エアー圧力は0.4MPaとし、ラミネート速度は1.5m/分とした。そして30分静置後、支持フィルムの上にPETマスクを置き、PETマスク側から平行光露光機により120mJ/cm2で露光した。PETマスクは、ラインスペース=80μm/80μmパターンのものを使用した。その後、30分以上静置した後、支持フィルムを剥離し、(株)フジ機工製現像装置を用い、フルコーンタイプノズルにて現像スプレー圧0.15MPaで、30℃の1質量%Na2CO3水溶液を最小現像時間の2倍の時間スプレーして、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去した。ここで、最小現像時間とは、感光性樹脂組成物層の未露光部分が完全に溶解除去されるまでに要する最小の時間をいう。その際、水洗工程は、フラットタイプのノズルにて水洗スプレー圧0.15MPaで、現像工程と同時間処理し、エアーブローにより乾燥させ銅上にレジストパターンを形成した。

0106

次いで、レジストパターンを形成した基板を、液温30℃の塩酸濃度2質量%、塩化第二鉄2質量%の水溶液に最少エッチング時間の1.5倍の時間ディップ方式にてエッチングした。その後、水洗、風乾処理を行った。ここで、最小エッチング時間とは、上記の条件下で基板上の銅箔が完全に溶解除去されるのに要する最小の時間をいう。
上記エッチング後、液温50℃の3wt%のNaOH水溶液へ浸漬し、ディップ方式にてレジストの除去を行い、水洗及び風乾処理を行った。これにより、樹脂上にITOが積層され、さらにその上に銅配線パターンが形成された試験用基材を得た。銅配線パターンをより詳細に述べると、長さ8cm、幅80μmの銅ラインが、ライン:スペース=1:1で10本形成されている。

0107

<サンプル作製法
上記手法にて作成した、銅配線が形成された基材の、銅配線が存在する面へ、本発明に記載の感光性樹脂積層体の保護フィルムを剥がしながら、ホットロールラミネーター(大成ラミネーター(株)製、VA−400III )を用いてラミネートした。その際、ロール温度は100℃、エアー圧力は0.4MPa、ラミネート速度は1.0m/分とした。30分静置後、保護膜の支持フィルム側から散乱光露光機によって各組成の最適露光量全面露光した。30分静置後、支持フィルムを剥離し、(株)フジ機工製現像装置を用い、フルコーンタイプのノズルにて現像スプレー圧0.12MPaで、35℃の1質量%Na2CO3水溶液を60秒間所定時間スプレーして現像し、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去した。その際、水洗工程は、フラットタイプのノズルにて水洗スプレー圧0.12MPaで、現像工程と同時間処理し、エアーブローにより乾燥させた。その後、散乱光露光機にて感光層側から350mJ/cm2の露光量で露光し、続いて、熱風循環式オーブンにて150℃で30分間処理しサンプルを作製した。上記最適露光量及び所定時間は現像性評価サンプル作製方法と同様の定義である。

0108

<評価方法>
JIS L0848に記載の酸性人工汗液を、作製したサンプルの銅配線部の直上に位置する保護膜上に滴下した後、85℃、85%RHの恒温恒湿オーブンアドバンテック東洋(株)製、THN050FA)に保管した。所定時間経過したところで、オーブンから取り出し、保護膜面及び保護膜とは逆の面から顕微鏡にて観察し、銅配線の変色又は腐食の有無を確認し、以下のように判定した。
A:85℃、85%RHの環境下で500時間以上経過後に変色が発生
B:85℃、85%RHの環境下で350時間以上500時間未満に変色が発生
C:85℃、85%RHの環境下で200時間以上350時間未満に変色が発生
D:85℃、85%RHの環境下で200時間未満に変色又は腐食が発生
被覆部防錆性においては、Cランク以上がタッチパネル製造プロセスにおいて実用上必要であり、Bランク以上が良好な結果であると考えられる。

0109

4.感光層の硬化前粘度測定
<サンプル作製法>
感光層の厚みが40μmの感光性樹脂積層体を2枚用意し、保護フィルムを剥がした面を合わせてホットロールラミネーター(大成ラミネーター(株)製、VA−400III)を用いてラミネートした。片面側の支持体を剥がした後、厚みが40μmの感光層の保護フィルムを剥がしたものをさらにラミネートすることを二回繰り返し、感光層の厚みが160μmの感光性樹脂積層体を得た。ロール温度は100℃、エアー圧力は0.2MPaとし、ラミネート速度は0.5m/分とした。得られた積層体の両面の支持体を剥がして粘度測定のサンプルとした。作製したサンプルは23℃、RH50%に一日調湿した後、試験を行った。

0110

<評価方法>
上記方法で作製したサンプルを、動的粘弾性測定装置レオメータ)(DHR−2、ティーエイインスツルメント社製)により以下の条件で粘度測定を行い、得られた粘度曲線から、値が減少から増加に変わる点を極小値として読み取った。また、極小値が2つ以上ある場合はそれぞれの値を読み取った。
測定条件
サンプルサイズ:2.5cmφ、厚み160μm
測定温度条件:30〜200℃
昇温速度:5℃/分
周波数:1Hz
荷重:0.2N
ひずみ:1.0%

0111

各実施例および比較例で用いた感光性樹脂積層体の材料、組成(質量部)、保護フィルムの評価結果を表1及び2に示す。

0112

0113

0114

表2に示した結果から、実施例1〜4は本発明で規定された要件を満たすことで、真空環境下における転写性、及び金属配線被覆部防錆性に優れていることが示されている。

0115

一方、比較例1〜4においては、本発明で規定される要件の何れかを満たしていないため、真空環境下における転写性、又は金属配線被覆部防錆性のいずれかが劣ることが示されている。

実施例

0116

以上、本実施形態について説明してきたが、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。

0117

本発明による感光性樹脂積層体を用いることで、防錆性と歩留まりがともに良好である、配線、電極等の導体部の保護に好適なものとなり、タッチパネル、タッチセンサ又はフォースセンサ用途や及びプリント配線板のソルダーレジスト用途などの配線、電極等の保護膜としてとして広く利用することができる。

0118

1支持体
2感光層
3保護フィルム
4芯材
5転写
6フィッシュアイ
7ブリードアウト
10感光性樹脂積層体
20真空ラミネーターチャンバー

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ