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技術 精錬用ランス、精錬用ランス装置、及びRH型精錬装置

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 井本健夫
出願日 2018年5月23日 (2年7ヶ月経過) 出願番号 2018-098447
公開日 2019年11月28日 (1年1ヶ月経過) 公開番号 2019-203169
状態 未査定
技術分野 炭素鋼又は鋳鋼の製造 溶融状態での鋼の処理
主要キーワード 内面部位 ガス流量調整装置 アクリル容器 ランスギャップ 噴流角度 膨張条件 制御用ガス 配管圧力
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

ランス交換機械ランス先端可動機構を設けることなく、精錬装置溶鉄表面への粉体吹き付け位置を変更することのできる、精錬用ランス、精錬用ランス装置、及びRH型精錬装置を提供する。

解決手段

ラバール形状の主孔ノズル7と、主孔ノズル7の末広部9に開口する複数の副孔10と、各副孔10にガスを供給する副孔ガス流路12を流れるガス流量を副孔10ごとに独立に制御することのできる副孔ガス流量調整装置とを有し、副孔10は、主孔ノズル7の末広部9の起点から主孔ノズル出口方向にスロート部直径以上の距離に配置されていることを特徴とする精錬用ランス。上記精錬ランスと粉体供給装置を有する精錬用ランス装置。精錬用ランス装置を備えたRH型精錬装置。

概要

背景

溶鉄精錬において、溶鉄に精錬剤を供給し、高温の溶鉄とガス撹拌による滓化に伴う反応性向上によって、脱硫脱燐介在物除去などによる鋼材特性を高めるための有害物除去が実施される。精錬剤の供給手段としては、溶鉄表面への上方添加が容易であり、溶銑予備処理転炉取鍋精錬装置による溶鉄の精錬において、精錬剤ホッパーを用いた精錬剤の溶鉄表面上方添加を行っている。

これらの、精錬剤の添加による効率を高めて、精錬剤の使用量の削減や、処理時間を短縮することは極めて重要である。このため、転炉におけるLD−AC法(火点粉体吹付)や、VODにおける高速ジェットで搬送された生石灰などの粉体精錬剤ブラスティングによる溶鉄内への精錬剤侵入促進などの技術が古くから開発されてきている。

また、特許文献1記載の真空脱炭処理方法では、RH型真空精錬設備(RH型精錬装置、RHともいう)の真空槽内において1本のランス加熱バーナー)を設け、RH処理中に燃料燃焼を行うことができる発明が開示されている。そのランス構造は、同文献の図2に示されるようなランス先端部に設けた別系統燃料供給孔から燃料ガスを供給することができる。

特許文献2には、更に燃料燃焼効率を高めることを目的に、内管外管からなる二重管ランスを用い、内管内部から燃料ガス、外管と内管の間から酸素ガスを供給するに際し、外管内螺旋状のフィンを設けて燃料酸素混合促進効果によって加熱特性を向上させるような技術が記載されている。

RHなどの脱ガス装置の真空槽内の溶鋼は、激しいスプラッシュ撹拌による高い反応領域が形成されている。従って、真空槽内の溶鋼に対して、キャリヤーガスとともに精錬剤粉末を吹き付けることは、有効な精錬手段である。さらにその反応性をより一層高めるためには、真空槽内の溶鋼表面特定位置への精錬剤供給が有効である。

特許文献3では環流下降漬管(単に「下降管」ともいう。)上部の湯面に粉末を吹き付ける発明が開示されている。吹き付けた粉体が溶鋼中に侵入しやすく、下降管から溶鋼流とともに直ちに取鍋内に流入し、取鍋内での精錬剤分散による効果を享受できる。

一方、特許文献4では、RH真空槽内に上吹きランスで脱硫剤を吹き付けるに際し、上吹きランスは水平方向から50度以上90度未満で傾斜するとともに、上昇管に近い部位の環流ガスによる真空槽内溶鋼盛り上がり部位下降流が発生する位置に粉体供給することで反応促進を実施させることができる技術が記載されている。

上述のように、精錬用ランスで特にRH型真空精錬設備に設けられたものに関しては、燃料やアルミ昇熱以外に、粉体吹き付け機能向上を行うための特定位置への吹付を行うことで、精錬特性を高める操業技術が進歩してきた。

ここにおいて、ランスから溶鋼表面への吹きつけ位置については、吹き付けの目的ごとに吹き付け位置が異なる。そのため、ここで問題とされることは、粉体を真空槽内溶鋼表面の一定の部位に集中して吹き付けを行うように設計されたランスでは、同じランスを用いた別の目的で用いるには最適とならないことがある。例えば、粉体吹き込みに最適化したランスにおいて、吹き付け位置が下降管位置、あるいは上昇管付近であった場合、同じランスを用いて酸素によるアルミ燃焼や酸素と燃料の混合ガスによる熱補償を実施しようとすると、酸素ガス吹き付けによる発熱位置が粉体吹き付け位置(上昇管、下降管付近)に近くなることから一部の耐火物内壁のみ過剰に加熱され、耐火物ダメージによって安定的な操業を行うことが極めて困難となる。また、同一、もしくは異なる粉体供給位置を、処理中に変化させることによる高機能な精錬を実施することもできない。仮に、特許文献3に記載のような偏芯方向への粉体吹付構造のランスを回転するなどしても、耐火物ダメージが最も少ない中心位置での発熱を実施することができないといった課題があった。

上記問題を解決するためには、操業中にランスを交換するような、操業時間の大幅延長を必要とする操業の実施や、ランスノズル先端角度を変更できる特殊構造が考えられるが、高温下でスプラッシュやダストが大量に発生する条件で安定的な機械構造は、実用上の問題が大きいため、極く限られた条件でしか実用ができないものと考えられる。

特許文献5には、ラバールノズルスロートノズル出口部との間の末広がり部に、吹錬用酸素ガスとは独立して流量制御の可能な制御用ガスを供給する制御用ガス噴射孔を配置し、精錬中、該制御用ガス噴射孔から噴射するガス流量を変化させることで、ラバールノズルから噴射される酸素ガス噴流噴射角度を変化させる転炉操業方法が開示されている。特許文献6には、ラバールノズルの末広がり部に制御用ガス噴射孔を設け、制御用ガス噴射孔とスロートからの距離とスロート径との関係が所定の範囲に入る上吹きランスが開示されている。

概要

ランス交換や機械的ランス先端可動機構を設けることなく、精錬装置の溶鉄表面への粉体吹き付け位置を変更することのできる、精錬用ランス、精錬用ランス装置、及びRH型精錬装置を提供する。ラバール形状の主孔ノズル7と、主孔ノズル7の末広部9に開口する複数の副孔10と、各副孔10にガスを供給する副孔ガス流路12を流れるガス流量を副孔10ごとに独立に制御することのできる副孔ガス流量調整装置とを有し、副孔10は、主孔ノズル7の末広部9の起点から主孔ノズル出口方向にスロート部直径以上の距離に配置されていることを特徴とする精錬用ランス。上記精錬ランスと粉体供給装置を有する精錬用ランス装置。精錬用ランス装置を備えたRH型精錬装置。

目的

本発明は、粉体吹き付けを伴う精錬用ランスにおいて、ランス交換を伴うことなく、また機械的にランス先端を可動とすることなく、精錬装置の溶鉄表面への粉体吹き付け位置を変更することのできる、精錬用ランス、精錬用ランス装置、及びその精錬用ランス装置を備えたRH型精錬装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

先端に主孔ノズルを有する精錬用ランスであって、前記主孔ノズルはラバール形状であって、スロート部と、スロート部の下流側に順次径が拡大する末広部を有し、前記主孔ノズルに酸素ガスを供給したり、キャリヤーガスとともに粉体を供給したりする主孔ガス流路と、前記主孔ノズルの末広部に開口する複数の副孔と、前記各副孔にガスを供給する副孔ガス流路と、各副孔ガス流路を流れるガス流量を副孔ごとに独立に制御することのできる副孔ガス流量調整装置とを有し、前記副孔は、主孔ノズルの末広部の起点から主孔ノズル出口方向にスロート部直径以上の距離に配置されていることを特徴とする精錬用ランス。

請求項2

請求項1に記載の精錬用ランスを用いた精錬用ランス装置であって、前記主孔ガス流路に非酸化性ガスと酸素ガスとを切り替えて供給することのできる主孔ガス供給装置と、前記主孔ガス流路に粉体を供給する粉体供給装置を有することを特徴とする精錬用ランス装置。

請求項3

請求項2に記載の精錬用ランス装置を備えたRH型精錬装置であって、前記精錬用ランスがRH型精錬装置の真空槽内に配置されていることを特徴とするRH型精錬装置。

技術分野

0001

本発明は、精錬用ランス、精錬用ランス装置、及びその精錬用ランス装置を備えたRH型精錬装置に関するものである。

背景技術

0002

溶鉄精錬において、溶鉄に精錬剤を供給し、高温の溶鉄とガス撹拌による滓化に伴う反応性向上によって、脱硫脱燐介在物除去などによる鋼材特性を高めるための有害物除去が実施される。精錬剤の供給手段としては、溶鉄表面への上方添加が容易であり、溶銑予備処理転炉取鍋精錬装置による溶鉄の精錬において、精錬剤ホッパーを用いた精錬剤の溶鉄表面上方添加を行っている。

0003

これらの、精錬剤の添加による効率を高めて、精錬剤の使用量の削減や、処理時間を短縮することは極めて重要である。このため、転炉におけるLD−AC法(火点粉体吹付)や、VODにおける高速ジェットで搬送された生石灰などの粉体精錬剤ブラスティングによる溶鉄内への精錬剤侵入促進などの技術が古くから開発されてきている。

0004

また、特許文献1記載の真空脱炭処理方法では、RH型真空精錬設備(RH型精錬装置、RHともいう)の真空槽内において1本のランス加熱バーナー)を設け、RH処理中に燃料燃焼を行うことができる発明が開示されている。そのランス構造は、同文献の図2に示されるようなランス先端部に設けた別系統燃料供給孔から燃料ガスを供給することができる。

0005

特許文献2には、更に燃料燃焼効率を高めることを目的に、内管外管からなる二重管ランスを用い、内管内部から燃料ガス、外管と内管の間から酸素ガスを供給するに際し、外管内螺旋状のフィンを設けて燃料酸素混合促進効果によって加熱特性を向上させるような技術が記載されている。

0006

RHなどの脱ガス装置の真空槽内の溶鋼は、激しいスプラッシュ撹拌による高い反応領域が形成されている。従って、真空槽内の溶鋼に対して、キャリヤーガスとともに精錬剤粉末を吹き付けることは、有効な精錬手段である。さらにその反応性をより一層高めるためには、真空槽内の溶鋼表面特定位置への精錬剤供給が有効である。

0007

特許文献3では環流下降漬管(単に「下降管」ともいう。)上部の湯面に粉末を吹き付ける発明が開示されている。吹き付けた粉体が溶鋼中に侵入しやすく、下降管から溶鋼流とともに直ちに取鍋内に流入し、取鍋内での精錬剤分散による効果を享受できる。

0008

一方、特許文献4では、RH真空槽内に上吹きランスで脱硫剤を吹き付けるに際し、上吹きランスは水平方向から50度以上90度未満で傾斜するとともに、上昇管に近い部位の環流ガスによる真空槽内溶鋼盛り上がり部位下降流が発生する位置に粉体供給することで反応促進を実施させることができる技術が記載されている。

0009

上述のように、精錬用ランスで特にRH型真空精錬設備に設けられたものに関しては、燃料やアルミ昇熱以外に、粉体吹き付け機能向上を行うための特定位置への吹付を行うことで、精錬特性を高める操業技術が進歩してきた。

0010

ここにおいて、ランスから溶鋼表面への吹きつけ位置については、吹き付けの目的ごとに吹き付け位置が異なる。そのため、ここで問題とされることは、粉体を真空槽内溶鋼表面の一定の部位に集中して吹き付けを行うように設計されたランスでは、同じランスを用いた別の目的で用いるには最適とならないことがある。例えば、粉体吹き込みに最適化したランスにおいて、吹き付け位置が下降管位置、あるいは上昇管付近であった場合、同じランスを用いて酸素によるアルミ燃焼や酸素と燃料の混合ガスによる熱補償を実施しようとすると、酸素ガス吹き付けによる発熱位置が粉体吹き付け位置(上昇管、下降管付近)に近くなることから一部の耐火物内壁のみ過剰に加熱され、耐火物ダメージによって安定的な操業を行うことが極めて困難となる。また、同一、もしくは異なる粉体供給位置を、処理中に変化させることによる高機能な精錬を実施することもできない。仮に、特許文献3に記載のような偏芯方向への粉体吹付構造のランスを回転するなどしても、耐火物ダメージが最も少ない中心位置での発熱を実施することができないといった課題があった。

0011

上記問題を解決するためには、操業中にランスを交換するような、操業時間の大幅延長を必要とする操業の実施や、ランスノズル先端角度を変更できる特殊構造が考えられるが、高温下でスプラッシュやダストが大量に発生する条件で安定的な機械構造は、実用上の問題が大きいため、極く限られた条件でしか実用ができないものと考えられる。

0012

特許文献5には、ラバールノズルスロートノズル出口部との間の末広がり部に、吹錬用酸素ガスとは独立して流量制御の可能な制御用ガスを供給する制御用ガス噴射孔を配置し、精錬中、該制御用ガス噴射孔から噴射するガス流量を変化させることで、ラバールノズルから噴射される酸素ガス噴流噴射角度を変化させる転炉操業方法が開示されている。特許文献6には、ラバールノズルの末広がり部に制御用ガス噴射孔を設け、制御用ガス噴射孔とスロートからの距離とスロート径との関係が所定の範囲に入る上吹きランスが開示されている。

先行技術

0013

特開平6−73432号公報
特開平6−220521号公報
特開平5−311231号公報
特開平8−60226号公報
特開2010−47830号公報
特開2012−82491号公報

発明が解決しようとする課題

0014

上記のように、溶鉄の精錬において、粉体吹き付け機能を有する精錬用ランスを用いて粉体精錬剤を溶鉄表面に吹き付けるに際し、吹き付け位置や、ガス吹き付け方向を精錬処理中変更制御することは、溶鉄精錬における操業では極めて有効な手段である。一方、ガス吹き付け方向の変更について、精錬用ランスの交換、精錬用ランス先端の機械的な角度変更を行うのでは、精錬時間の延長、設備負荷の増大を伴うために現実的ではない。

0015

本発明は、粉体吹き付けを伴う精錬用ランスにおいて、ランス交換を伴うことなく、また機械的にランス先端を可動とすることなく、精錬装置の溶鉄表面への粉体吹き付け位置を変更することのできる、精錬用ランス、精錬用ランス装置、及びその精錬用ランス装置を備えたRH型精錬装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0016

上記課題解決のため、ランス構造の検討とその特性調査を実施した結果、優れた構造を見出すことができた。即ち、本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1)先端に主孔ノズルを有する精錬用ランスであって、
前記主孔ノズルはラバール形状であって、スロート部と、スロート部の下流側に順次径が拡大する末広部を有し、
前記主孔ノズルに酸素ガスを供給したり、キャリヤーガスとともに粉体を供給したりする主孔ガス流路と、
前記主孔ノズルの末広部に開口する複数の副孔と、前記各副孔にガスを供給する副孔ガス流路と、各副孔ガス流路を流れるガス流量を副孔ごとに独立に制御することのできる副孔ガス流量調整装置とを有し、前記副孔は、主孔ノズルの末広部の起点から主孔ノズル出口方向にスロート部直径以上の距離に配置されていることを特徴とする精錬用ランス。
(2)上記(1)に記載の精錬用ランスを用いた精錬用ランス装置であって、前記主孔ガス流路に非酸化性ガスと酸素ガスとを切り替えて供給することのできる主孔ガス供給装置と、前記主孔ガス流路に粉体を供給する粉体供給装置を有することを特徴とする精錬用ランス装置。
(3)上記(2)に記載の精錬用ランス装置を備えたRH型精錬装置であって、前記精錬用ランスがRH型精錬装置の真空槽内に配置されていることを特徴とするRH型精錬装置。

発明の効果

0017

本発明によれば、取鍋精錬工程等において溶鋼表面に対するガスや粉体の吹き付け位置を、操業中に適切な位置に制御、変更することが可能であり、更にその効果は、吹付面が狭くなおかつ上昇管と下降管による流れを伴うRH型真空精錬設備での操業効率向上に特に適している。粉体添加時の精錬効果を向上することができるし、また、粉体吹き付けを伴わずに溶鋼を加熱する目的で酸素吹き付けを行う操業時には耐火物ダメージを回避することができる。また、RHなどでの使用時には真空槽待機時のバーナー予熱地金溶流に適した方向にバーナージェット方向を制御することができるので、本発明に係るランスや装置の適用による溶鋼精錬工程における操業改善効果は極めて高いものである。

図面の簡単な説明

0018

本発明の精錬用ランス構造の一例を説明するための図であり、(A)は正面断面図、(B)はB−B矢視平面断面図、(C)はC−C矢視図である。
本発明の精錬用ランス構造の一例を説明するための図であり、(A)は正面断面図、(B)はB−B矢視平面断面図、(C)はC−C矢視図である。
本発明の精錬用ランスを具備したRH型精錬装置の構造の模式図である。
実施例における副孔配置を示す図である。

0019

以下、本発明について、図面を参照しながら説明する。
図1、2は、本発明による精錬用ランス構造の一例を水冷ランスにて構成する場合の図面であり、また、図3図1、2に示した構造のランスを具備したRH型精錬装置による操業形態を示したものである。ここで、本発明は、図1〜3に限られたものではなく、本発明の請求項で規定される範囲にて、適宜その効果を溶鋼精錬プロセスにて発現するものである。ここで、図1(A)は精錬用ランスの縦断面図を示し、図1(B)はB−B矢視平面断面図を示し、図1(C)は下方から見た精錬用ランス先端部を示している。図2も同様である。

0020

本発明の精錬用ランス14は、先端に主孔ノズル7を有し、主孔ノズル7はラバール形状であって、スロート部8と、スロート部8の下流側に順次径が拡大する末広部9を有し、主孔ノズル7に酸素ガスを供給したり、キャリヤーガスとともに粉体を供給したりする主孔ガス流路11と、主孔ノズル7の末広部9に開口する複数の副孔10と、各副孔10にガスを供給する副孔ガス流路12と、各副孔ガス流路12を流れるガス流量を副孔ごとに独立に制御することのできる副孔ガス流量調整装置22とを有し、副孔10は、主孔ノズル7の末広部9の起点から主孔ノズル出口方向にスロート部直径以上の距離に配置されていることを特徴とする。

0021

精錬用ランス14はまず、先端に主孔ノズル7を有し、主孔ノズル7はラバール形状であって、スロート部8と、スロート部8の下流側に順次径が拡大する末広部9を有し、主孔ノズル7に酸素ガスを供給したり、キャリヤーガスとともに粉体を供給したりする主孔ガス流路11を有している。

0022

主孔ノズル7の構造は、配管内およびノズル出口での圧力損失を抑制することができるラバールノズル構造である必要があるが、くびれ部であるスロート部8における圧力が主孔ガス流路11から主孔ノズル出口まででの最大値になる構造であれば、背圧出口圧、スロート部と出口部の断面積比から決定される、ジェット噴流強度が他の条件よりも数割強くなる適正膨張条件には大して関係なく、本発明の効果は発現される。

0023

主孔ノズル7につながる内管4の内部は主孔ガス流路11であり主孔ガス流路11へは、酸素ガスが供給されたり、キャリヤーガスとともに粉体が供給されたりする。キャリヤーガスは、酸素、Ar、窒素等であり、主孔ガス流量調整弁18によって圧力又は流量を制御され、このキャリヤーガスに粉体供給装置17から粉体が供給される。

0024

主孔ノズル7には、末広部9に開口する複数の副孔10を有する。また、各副孔10にガスを供給する副孔ガス流路12と、各副孔ガス流路12を流れるガス流量を副孔ごとに独立に制御することのできる副孔ガス流量調整装置22とを有する。副孔ガス流量調整装置22は副孔ガス流量調整弁20を有し、各副孔へ供給する圧力又はガス流量を調整する。図1に示す例では、副孔10ごとに副孔ガス流路12を設け、副孔ガス流路12は、主孔ガス流路11を構成する内管4の外側に副孔10の数だけ配置されている。図2に示す例では、外管5と内管4との間の空間を分割してa,b,c,dの4系統に分け、それぞれの区画を副孔ガス流路12としている。

0025

次に、副孔10を設ける目的について説明する。副孔10から副孔ガスを噴出しない場合、主孔ノズル7から噴出する主孔ガスの噴出方向は、主孔ノズル7のノズル軸51方向と一致する。ここにおいて、副孔10から副孔ガスを噴出すると、主孔ガスの噴出方向は、主孔ノズル7のノズル軸51から見て、副孔10の存在位置と反対側に傾いて噴出することとなる。即ち、副孔10を設け、副孔10から副孔ガスを噴出することにより、主孔ガスの噴出方向を変化させるのである。本発明においては、主孔ガス中に粉体精錬剤を供給したりしなかったり選択できることが特徴となっている。

0026

次に、主孔ノズル7の末広部9における副孔10の設置位置について説明する。副孔10は、主孔ノズル7の末広部9の起点から主孔ノズル出口方向にスロート部直径以上の距離に配置されている。以下に、副孔とその設置位置を定めた理由について、コールド試験に基づいて説明を行う。

0027

コールド試験に用いたランスは、後に示す溶鋼精錬実験用製作したものの一つであり、水冷構造を用いた図1に示される形態のランスで、ランスの外形は120mmφの水冷構造で、主孔ガス流路11となる内管4の直径が40mm、断面が円形のスロート部8の直径が20mmφである。主孔ガス流路11には切り替え式で、図3に示す主孔ガス供給装置16から、酸素、窒素ガスを導入可能な構造としている。主孔ノズル7の末広部9には、ノズル軸51に対して相互に90°をなす軸対称に4つの副孔10が設けられ、副孔10に副孔ガスを供給する4系統の副孔ガス流路12、副孔ガス配管21には、酸素、窒素、LPGに切り替えできる構造を採用した。

0028

主孔ノズル7の末広部9の出口内径は90mm、スロート部8から出口までの末広部9の長さはノズル軸方向に130mm、背圧が独立制御される4つの副孔10(a、b、c、d系統)は先端部が8mmφのストレートノズルを、そのノズル軸と主孔ノズル軸とがなす角度が内向き8°になるように配置している。副孔10の主孔ノズル軸方向での設置位置を、スロート部8から15mm(チップA)、25mm(チップB)、100mm(チップC)の3種類のランスチップを用いた実験を行った。

0029

コールド実験は、ランス先端部をOリングシールしたアクリル型円筒容器内上壁に固定して、容器内の圧力を、ドレン解放した常圧と、スチームエジェクターに接続して1kPaに圧力制御した減圧との二水準で実施した。

0030

実験に用いたガスは窒素ガスで、主孔の圧力(以下:絶対圧)を0.3MPaとした。副孔の圧力については、a系統,d系統はともに0.5MPaで同じ圧力とし、b系統、c系統については、b系統:0.9MPa、c系統:0.3MPaにてガス噴出を行った。チップA、チップB、チップCを用いたそれぞれのノズルを用いた場合について、アクリル容器内に設置した移動式ピトー管を用いた流速測定を行い、最大流速となる方向について計測を行った。

0031

その結果、副孔設置をスロート部から25mmに設置したチップB、100mmに設置したチップCでの実験による噴出ガスは、常圧、減圧(1kPa)の条件ともc系統副孔ガス方向に安定的に14°の流体噴出角度45(ノズル軸51方向と噴流46との角度)で噴出された。また、主孔の絶対圧を0.3MPa、副孔のガスを4か所とも0.2MPaとした場合には、安定して0°付近(ノズル軸51方向)に噴出されることが確認できた。

0032

一方、副孔の設置位置をスロート部から15mm(チップA,スロート径の0.75倍)とした場合には、圧力を種々変更しても3°を超える噴出ガス角度は得られず、効果的な噴流角度制御ができないことが確認できた。

0033

更に、上記条件で主孔ガスに50−100μmサイズのカルシムアルミネート系フラックス(生石灰とアルミナ粉を7:3に混合したプレミックス品)を70kg/minで搬送して粉体の着地点をチップBを用いた実験にて調査したところ、粉体の到達範囲は、ほぼ粉体を用いない実験で得られたランス下点から14°の位置付近を中央とした付近に着地することも確認できた。

0034

以上のとおり、ラバールノズルの末広部に副孔を設けて副孔ガスを噴出することにより、主孔ノズルから粉体を含むガスを噴出する場合であっても、粉体を含むガスの噴出方向を変化させられることが明らかとなった。

0035

一方で、ノズルの長手方向において、副孔の設置位置に条件があることが分かった。スロート部から出口方向に向かってスロート部の直径(スロート形状が真円でない場合は、面積から逆算した真円相当直径)長さのポテンシャルコア存在領域においては、スロートでの最大圧力がポテンシャルコア全体で維持され、副孔ガスからの噴出ガスによる角度変更効果が著しく低下することから、副孔ノズルの設置位置は、主孔ノズルのスロート位置を起点として、ノズル出口部方向のスロート直径以上の内面部位に設置する必要がある。スロート部8は末広部9の起点に当たるから、換言すると、主孔ノズルの末広部9の起点から主孔ノズル出口方向に、ノズル軸においてスロート部直径以上の距離に副孔10(副孔10の中心)が配置されている必要がある。ここで、末広部9の起点は、末広部9のうちで最も直径が小さくなる位置を意味する。また、上記コールドテストにおいて、チップAの場合に噴流角度制御ができなかった理由は、チップAの副孔設置位置が、スロート部からスロート部直径以上の下方に設けなかったためであることが分かった。

0036

本発明は、複数の副孔10を有し、ガス流量を副孔ごとに独立に制御可能であることを特徴とする。以下、この点について説明する。

0037

それぞれの圧力を独立に制御してチップの内管出口周囲に配置された副孔10のガス噴出圧力(図1、2の縦断面中にはb系統、c系統の副孔ガス流路とa系統のガス出口のみを記載)を変更することで、主孔ガスと精錬剤の噴出角度を制御可能にできる構造となっている。

0038

図1に示す例では、副孔を4か所(a、b、c、d)主孔ノズル軸対称に等角度で設けている。主孔ノズル軸51に対して、aとdが対向し、bとcが対向して、独立配管圧力をb>(a=d)>cに制御すると、a=d(圧力)なので、aとdを結ぶ方向には噴出角度は変化しない。一方、cよりbの圧力が高いので、精錬剤を搬送する流体噴出角度45をc系統に連結する副孔の方に偏向している様態を示している。

0039

ガス流量を副孔ごとに独立に制御可能としている理由について説明する。圧力制御が単独系統の場合には、単一の副孔を設けることとすれば、副孔に副孔ガスを流すか流さないかで流体噴出方向を変化させることができる。しかし、副孔に流すパージガスを停止させないと噴流方向を偏心させることなく噴出させることができず、その場合には、パージガスを送らないことに起因する、酸化性ガスや、粉体が副孔を酸化粉体付着などで損傷してランスチップの頻繁な交換などのメンテナンスなしには安定操業ができないこととなる。また、一方で、複数の副孔から同一圧力でガスを流すときには、操業中のランス噴流角度制御ができなくなる。

0040

副孔の設置数については、最低2個とする。2個の場合は、図1におけるbとcの位置、即ちノズル軸に対して対称に設けると良い。これにより、2つの副孔のガス流量を同じとしたときには流体噴出方向をノズル軸方向とし、ガス流量を異ならせたときには流体噴出方向をノズル軸方向から変化させることができる。
また、副孔の設置数を4個とした場合には、図1におけるa系統とd系統のガス流量を操作することで、噴流の方向をc系統の副孔の方に偏向させることに加えて、aとdを結ぶ方向にも偏向させることが可能になる。但し、副孔の数は多くするほど噴流方向の制御は容易になるが、多くするほどランスの構造が複雑になるほか、設備費用も嵩むので、6個程度までが適当といえる。

0041

精錬用ランスは、溶鋼表面に近接してガス吹き付けを行うため、溶鋼からの輻射熱に対応するため、水冷ランス構造とすることが多い。水冷ランスの構造は一般的なもので、図1図2に示すように、冷却水内側通路1(外管5と冷却水循環管2の間の空間)によってランスチップ先端部を冷却水が循環させて冷却水外側通路3(冷却水循環管2と最外管13との間の空間)を上昇して先端部や周囲が高温条件においても長期使用に適したものである。外管5の内側に内管4を設け、内管4の内側が主孔ガス流路11を構成し、酸素ガスの供給やキャリヤーガスによる精錬剤搬送が可能とする。内管4と外管5の間の空間に内管とは独立した圧力制御が可能な副孔ガス流路12が配置される。図2に示す例では、外管5は、外管流路分割板6によって外管に複数の独立した圧力に制御されるガスが供給できる構造になっている。

0042

本発明の精錬用ランス装置は、上記本発明の精錬用ランス14を用い、主孔ガス流路11に非酸化性ガスと酸素ガスとを切り替えて供給することのできる主孔ガス供給装置16と、主孔ガス流路11に粉体を供給する粉体供給装置17を有することを特徴とする。主孔ガス供給装置16の酸素ガス系16aから酸素ガスを供給することにより、主孔ノズル7に酸素ガスを供給することができる。また、主孔ガス供給装置16の非酸化性ガス系16bから非酸化性ガス、例えばアルゴンガスや窒素ガスを供給してキャリヤーガスとし、粉体供給装置から主孔ガス流路11に粉体を供給することにより、主孔ノズル7にキャリヤーガスとともに粉体を供給することができる。酸素ガス系16aから酸素ガスを供給してキャリヤーガスとし、粉体供給装置から主孔ガス流路11に粉体を供給することとしてもよい。

0043

本発明のRH型精錬装置は、上記精錬用ランス装置を備えており、精錬用ランス14がRH型精錬装置の真空槽内に配置されていることを特徴とする。

0044

図3は、取鍋31内に収容した溶鋼42に内部を減圧とした真空槽32が浸漬された状態で上昇管33より環流ガスを吹き込んでおり、精錬用ランス14からは、キャリヤーガスと精錬剤が混合された噴流46が、副孔の圧力制御によって上昇管側に偏心させた状態にて精錬を実施しているものである。

0045

図3に示される形態にて、キルド鋼の脱硫剤としてカルシウムアルミネート系粉末アルゴンなどの不活性ガスをキャリヤーガスとして、真空槽内では反応性の良い上昇管の上面に向けて噴流を偏心させて吹き付けることで、脱硫効率を向上させる。その後、連続鋳造までに必要な熱補償のためのアルミ昇熱のための酸素吹き付けを、副孔ガスの圧力をそのノズル孔の出口の損耗が無い程度の弱い噴流形成ができる程度に、各ノズル圧力を均一に低くすることで、酸素噴流の湯面衝突位置をアルミ昇熱による発熱が一方の耐火物にダメージを与えないような、RH槽内の中心位置に近づけることができる。ほかにも、上昇管の上面付近に脱硫フラックスを偏心吹付して脱硫効率を向上させた後、溶鋼に合金添加し、その後に、アルミナ系介在物無害化効果を有しているものの、減圧真空槽内では溶鋼の滞在時間内で気化による歩留り低下が大きいCa−Si粉末を、下降管の上面側に向けて吹き付けて早期に取鍋内へ溶鋼と共に排出して、溶鋼全体との混合を図ることで、溶鋼清浄性の向上を図るなどもできる。このように、図1に示した構造の精錬用ランスを具備した図3に示すようなRH型真空精錬設備は溶鋼精錬プロセスへの適用効果が特に大きいため、請求項3として規定した。

0046

本発明では、設備構造が簡便でかつ容易に制御ができることを前提とした、粉体とキャリヤーガスの混合ガス、酸化性ガス、燃料と酸化性ガス混合により形成されるバーナージェット、更に、窒素添加を要する鋼種への窒素供給などの成分調整機能を有し、粉体混合ガスやその他のガス流体の吹付角度をコントロールできる機能を有する精錬用ランス、および、そのランスを具備することで効率的な取鍋精錬効果が著しいRH型精錬装置を提供できることを見出し、その具現化に至ったものである。

0047

本発明の実施例について説明する。ここで記載した条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。

0048

本発明によるランスや装置の実用効果を確認するために、ヒートサイズ290tのRH型真空精錬設備による精錬実験を行い、溶鋼に対する精錬処理効果を確認した。

0049

実験対象は、初期溶鋼温度が1630−1650℃、RH処理前の組成が質量%で、[C]:0.05%,[Si]<0.05%,[Mn]<0.1%、[P]<0.03%、[S]:0.007%の低炭素鋼を対象とした。RH処理中の脱硫処理により、[S]<0.004%以下への極低硫化処理を行うとともに、脱硫処理中に発生する約40℃の温度低下に対して、後工程の連続鋳造に必要なスーパーヒートを確保するため、溶鋼にアルミニウムを添加してから酸素ガスを吹き付ける、いわゆるアルミ昇熱によって、処理後温度を1630℃以上の溶鋼製造を実施した。

0050

溶鋼に対する精錬処理効果の確認実験に用いた精錬用ランス14は、前記コールド試験に用いたものと主要諸元は同じで、副孔10の設置数のみを変えたものである。主孔ノズルの末広部に設けた副孔10の流路出口での設置位置(主孔ノズル軸51方向)は、スロート部8から100mmのものとした。表1に示す本発明1は副孔を4孔(a、b、c、d)有していて、前記コールド試験に用いたランスでチップCを設けたものと同じである。他のランスは、本発明1に用いたランスと副孔の数のみが変わったもので、本発明2、比較例3は副孔を2孔(b、c)有し、いずれもノズル軸に軸対称の位置としている。比較例4は副孔が1孔(c)のみで、比較例1、2は副孔を有していない。本発明1、本発明2は、4系統ないし2系統有する副孔10の圧力を独立に制御できる。比較例3は2系統の副孔を同一の配管に接続しているため、圧力が同一である。主孔ノズル7のノズル軸51方向は、比較例2を除いて鉛直下方であり、比較例2は、ノズル軸51が鉛直下方から14°偏心していて、その偏心方向を真空槽32の上昇管33方向側に向けて用いた。また、副孔を有するランスは、副孔cを真空槽32の上昇管33方向側に向けて用いた。

0051

脱硫処理に用いた脱硫剤は、カルシウムアルミネート(CaO:Al2O3=7:3)プレミックス品で、キャリヤーガスには窒素ガスを使用し、真空度は5kPaにて真空槽内溶鋼表面から2800mmの位置から70kg/分で15分間の吹付(フラックス添加1050kg/ch)による脱硫処理を実施した。その後、キャリヤーガスの窒素を止めて、主孔と副孔の供給ガスを酸素に切り替え、主孔からと副孔からとの合計で2000Nm3/hの酸素を吹き付けてアルミ昇熱を実施し、所定の合金を添加して連続鋳造工程に取鍋を搬送した。

0052

RH型真空精錬設備の真空槽32の内径は2500mmで、浸漬管(上昇管33、下降管34)(内径650mm)中心位置の直上は、真空槽中央より680mmの距離であり、精錬用ランス14は真空槽中央位置に設置されている。そのため、精錬用ランス14からの噴流が上昇管33と下降管34の中心を結ぶ線上に傾く場合には、真空槽内溶鋼からのランスギャップが2800mmのとき、予備実験で得られた14°の傾き角にて浸漬管(上昇管33又は下降管34)中心直上部の溶鋼に噴流中心部が衝突することを、幾何学的計算にて事前評価している。

0053

浸漬管とランスの副孔配置の関係は、上昇管33の中心軸の位置が図1の主孔ノズル軸51に対してc系統の副孔がある方向、同じくb系統の副孔がある方向が下降管34の中心軸のある方向に一致するように設置した。また、図4には副孔を設けて実験した例における、副孔配置位置を模式的に示す。

0054

前に述べた事前のコールド実験で確かめたランスCを用いて、そのときと同じガス流量(ガス圧力)を流した本発明1では、コールド実験の結果通りに流体噴出角度14°なったと考えられる。本発明2、比較例4でも同様のコールド実験を行って、副孔の圧力選定によって噴出角度が14°となる条件になる背圧を確認した上で実験を実施した。一方、比較例3の場合は、複数の副孔の背圧が1系統に接続されているため、ランスガスの噴出角度の制御はできずに、ほぼ噴出角度は0°と考えられる。

0055

実験結果を表1に示す。

0056

0057

本発明1は、上記コールド実験結果に基づき、脱硫処理において、副孔のbとcの圧力に差を設けることにより、上昇管直上にフラックスが到達する条件にて脱硫処理を実施した。その結果、上昇管直上の環流ガスが破泡して強撹拌になる領域にフラックス吹き付けを実施することができたため、脱硫は良好で目標の0.004%以下の極低硫溶鋼の製造ができた。また、脱硫処理に引き続くアルミ昇熱において、主孔ノズル、副孔共にガスを酸素に切り替えて鋼中のアルミ燃焼によるアルミ昇熱を実施するときには、主孔ノズルの背圧を0.6MPaに高め、副孔4か所の副孔の背圧を同じ0.3MPaにそろえることで、ランスからの酸素ジェットの傾きを回避することができたため、真空槽の耐火物に損傷を与えることなく、通常のストレートランスと同じ良好なアルミ昇熱を実施することができた。更に、チャージ間の待機時には、副孔にLPGを同じ圧力にして主孔ノズルから酸素を流して真空槽予熱を実施する場合にも、バーナージェットの偏りなどの問題のない予熱も行うことができた。

0058

比較例1は、副孔のないラバールノズルを用いたランスによる操業結果である。ランスからの噴流は鉛直方向を向いている。このときの、処理後の硫黄濃度は0.0045%と目標の硫黄濃度に到達できなかった。これは、本発明に比較すると、精錬剤の添加が真空槽の中心に添加され、撹拌力が弱い領域での精錬剤の滓化、エマルジョンによる脱硫効果を高めることができなかったため本条件のフラックス添加量では規定濃度の極低硫鋼の製造ができなかったものである。

0059

一方、比較例2は、本発明1と同じ脱硫効果を得ることを目的に、ランスチップの主孔ノズルのノズル軸を14°偏心し、副孔を設けないランスで行った操業結果である。このときには、脱硫効果は目的通り本発明とほぼ同等の良好な結果が得られたが、RH処理後に上昇管付近の耐火物剥離による損傷が激しく、真空槽の補修が必要であった。これは、アルミ昇熱を実施する際にも酸素ガス噴流の方向は上昇管の方向であるため、上昇管付近でアルミ昇熱による発熱が発生して、偏った部位の耐火物損耗が激しくなったためであり、安定的な操業には適用できないことが分かった。

0060

また、本発明2は副孔を2か所設置して独立した背圧系統に接続した条件で実施したものであり、2系統の副孔でも本発明1と同様の優れた効果が得られることが確認できた。

0061

比較例3は、2つの副孔を本発明2と同じ位置に設置しているが、同一系統の配管に接続されているため、2つの副孔の圧力が同一であり、有効な噴流角度の変更が実施できず、比較例1と同様、脱硫が不十分であった。

実施例

0062

更に、比較例4は、一か所の副孔を設置して脱硫処理中の噴流角度を変更させたものである。脱硫処理中は噴流の方向が上昇管付近に向いていたため、脱硫性能は良好であった。一方アルミ昇熱時には、副孔の保護のために必要なパージガス(本条件では絶対圧0.2MPaを維持)が必要であり、その影響でアルミ昇熱時に噴流が上昇管側に偏る不具合によって比較例2と同様の耐火物損耗が発生して安定操業に適さないことが確認された。

0063

本発明によって、取鍋精錬工程において減圧に晒された溶鋼表面に対する粉体吹き付け位置を、操業中に適切な位置に制御、変更することが可能であり、更にその効果は、吹付面が狭くなおかつ上昇管と下降管による流れを伴うRH型真空精錬設備での操業効率を向上させることができ、粉体添加時の精錬効果を発現することができ、また、粉体精錬を実施せず、溶鉄を加熱する目的で酸素吹付を伴う操業時には耐火物ダメージを回避すること、また、RHなどの使用時には真空槽待機時のバーナー予熱や地金溶流に適した方向にバーナージェット方向を制御することができ、本発明による設備の適用による溶鉄精錬工程における操業改善効果は極めて高いものである。

0064

1:冷却水内側通路
2:冷却水循環管
3:冷却水外側通路
4:内管
5:外管
6:外管流路分割板
7:主孔ノズル
8:スロート部
9:末広部
10:副孔
11:主孔ガス流路
12:副孔ガス流路
13:最外管
14:精錬用ランス
16:主孔ガス供給装置
16a:酸素ガス系
16b:非酸化性ガス系
17:粉体供給装置
18:主孔ガス流量調整弁
19:主孔ガス配管
20:副孔ガス流量調整弁
21:副孔ガス配管
22:副孔ガス流量調整装置
31:取鍋
32:真空槽
33:上昇管
34:下降管
42:溶鋼
45:流体噴出角度
46:噴流
51:ノズル軸

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