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技術 低用量のアピキサバンを含む医薬組成物

出願人 株式会社ResearchMind
発明者 原正彦
出願日 2018年5月21日 (2年1ヶ月経過) 出願番号 2018-097051
公開日 2019年11月28日 (7ヶ月経過) 公開番号 2019-202942
状態 特許登録済
技術分野 化合物または医薬の治療活性 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬
主要キーワード 通常容量 標準商品 夕食前 カプセル封入剤 推奨値 トラフ値 RIST ハイリスク群
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年11月28日)のものです。
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図面 (1)

課題

有害な副作用を低減するか又は生じない、アピキサバンを含む医薬組成物を提供する。

解決手段

本発明の医薬組成物は、アピキサバンを含み、1回あたり約0.8 mg〜約1.5 mgのアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物が、患者に対して1日2回又は3回投与されるように用いられることを特徴とする。ここで、該患者は、心房細動を有し、かつ下記基準(1)〜(3)のうち少なくとも2つ以上に該当する: 基準 (1)年齢80以上; (2)体重60 kg以下; (3)血清クレアチニン濃度1.5 mg/dl以上。

概要

背景

アピキサバンは、第Xa因子を標的とする公知の経口抗凝固薬の一つである。現在、アピキサバンは、商品名エリキュース(登録商標)として市販されており、主に、非弁膜症心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症発症抑制剤、並びに静脈血栓塞栓症深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制剤として使用されている。

高用量のアピキサバンの投与は、出血及びそれに伴う合併症などの有害な副作用をもたらすことが知られている。また、我が国では、アピキサバンの適切な中和薬はいまだ存在しない。現在、非弁膜症性心房細胞患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制のために、成人男性に対して5.0 mgのアピキサバンの1日2回投与推奨されている(非特許文献1及び2)。一方で、基準(1)年齢80以上;(2)体重60 kg以下;及び(3)血清クレアチニン濃度1.5 mg/dl以上のうち少なくとも2つ以上に該当する非弁膜症性心房細胞患者(本明細書において、「ハイリスク群」とも呼ぶ)は、出血のリスクが高いため、2.5 mgのアピキサバンの1日2回投与が推奨されている(非特許文献1)。これ以上の用量であれば、有害な副作用をもたらす可能性が高くなり、これ以下の用量であれば、治療的効果がない。

ここで、今回我々は、血中濃度予想外高値となる患者群が存在することを発見した。このような患者群においても、有害な副作用をもたらすことのない、新たなアピキサバンの投与方法が求められる。

概要

有害な副作用を低減するか又は生じない、アピキサバンを含む医薬組成物を提供する。 本発明の医薬組成物は、アピキサバンを含み、1回あたり約0.8 mg〜約1.5 mgのアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物が、患者に対して1日2回又は3回投与されるように用いられることを特徴とする。ここで、該患者は、心房細動を有し、かつ下記基準(1)〜(3)のうち少なくとも2つ以上に該当する: 基準 (1)年齢80歳以上; (2)体重60 kg以下; (3)血清クレアチニン濃度1.5 mg/dl以上。なし

目的

本発明は、心房細動を有し、かつ基準(1)年齢80歳以上;(2)体重60 kg以下;及び(3)血清クレアチニン濃度1.5 mg/dl以上のうち少なくとも2つ以上に該当する患者を対象とし、出血及びそれに伴う合併症などの有害な副作用を低減するか又は生じない、アピキサバンを含む医薬組成物、及びアピキサバンの投与方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

アピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む、患者血液凝固阻害するため、又は血液凝固により生じる疾患若しくは障害治療若しくは予防するための医薬組成物であって、1回あたり約0.8 mg〜約1.5 mgのアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物が、該患者に対して1日2回又は3回投与されるように用いられ、該患者が、心房細動を有し、かつ下記基準(1)〜(3)のうち少なくとも2つ以上に該当する、前記医薬組成物:基準(1)年齢80以上;(2)体重60 kg以下;(3)血清クレアチニン濃度1.5 mg/dl以上。

請求項2

1回あたり約1.25 mgのアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物が、患者に対して1日2回投与されるように用いられる、請求項1記載の医薬組成物。

請求項3

前記患者が、投与後に、約50 ng/mL〜約90 ng/mLのアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物の血中トラフ値を示す、請求項1又は2記載の医薬組成物。

請求項4

前記患者が、さらに、前記血中トラフ値の約2倍〜約4倍の血中ピーク値を示す、請求項3記載の医薬組成物。

請求項5

前記血液凝固により生じる疾患若しくは障害が、脳卒中又は塞栓症である、請求項1〜4のいずれか一項記載の医薬組成物。

請求項6

前記血液凝固により生じる疾患若しくは障害が、虚血性脳卒中又は全身性塞栓症である、請求項1〜5のいずれか一項記載の医薬組成物。

請求項7

前記患者が、非弁膜症性心房細動を有する、請求項1〜6のいずれか一項記載の医薬組成物。

請求項8

前記投与が、経口投与である、請求項1〜7のいずれか一項記載の医薬組成物。

請求項9

約0.8 mg〜約1.5 mgのアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む、患者の血液凝固を阻害するため、又は血液凝固により生じる疾患若しくは障害を治療若しくは予防するための製剤であって、該製剤が、該患者に対して1日あたり2回又は3回投与され、該患者が心房細動を有し、かつ下記基準(1)〜(3)のうち少なくとも2つ以上に該当する、前記製剤:基準(1)年齢80歳以上;(2)体重60 kg以下;(3)血清クレアチニン濃度1.5 mg/dl以上。

請求項10

1回あたり約1.25 mgのアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物が、患者に対して1日2回投与されるように用いられる、請求項9記載の製剤。

請求項11

投与後の前記患者が、約50 ng/mL〜約90 ng/mLのアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物の血中トラフ値を示す、請求項9又は10記載の製剤。

請求項12

前記患者が、さらに、前記血中トラフ値の約2倍〜約4倍の血中ピーク値を示す、請求項11記載の製剤。

請求項13

前記血液凝固により生じる疾患若しくは障害が、脳卒中又は塞栓症である、請求項9〜12のいずれか一項記載の製剤。

請求項14

前記血液凝固により生じる疾患若しくは障害が、虚血性脳卒中又は全身性塞栓症である、請求項9〜13のいずれか一項記載の製剤。

請求項15

前記患者が、非弁膜症性心房細動を有する、請求項9〜14のいずれか一項記載の製剤。

請求項16

前記投与が、経口投与である、請求項9〜15のいずれか一項記載の製剤。

請求項17

アピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む、患者におけるアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物の血中トラフ値を約50 ng/mL〜約90 ng/mLに維持するための医薬組成物であって、1回あたり約0.8 mg〜約1.5 mgのアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物が、患者に対して1日2回又は3回投与されるように用いられ、該患者が心房細動を有し、かつ下記基準(1)〜(3)のうち少なくとも2つ以上に該当する、前記医薬組成物:基準(1)年齢80歳以上;(2)体重60 kg以下;(3)血清クレアチニン濃度1.5 mg/dl以上。

請求項18

前記患者における血中ピーク値を、前記血中トラフ値の約2倍〜約4倍に維持するための、請求項17記載の医薬組成物。

技術分野

0001

本発明は、低用量のアピキサバンを含む医薬組成物、及びアピキサバンの投与方法に関する。特に、本発明は、心房細動を有し、かつ基準(1)年齢80以上;(2)体重60 kg以下;及び(3)血清クレアチニン濃度1.5 mg/dl以上のうち少なくとも2つ以上に該当する患者を対象とする、低用量のアピキサバンを含む医薬組成物、及びアピキサバンの投与方法に関する。

背景技術

0002

アピキサバンは、第Xa因子を標的とする公知の経口抗凝固薬の一つである。現在、アピキサバンは、商品名エリキュース(登録商標)として市販されており、主に、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症発症抑制剤、並びに静脈血栓塞栓症深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制剤として使用されている。

0003

高用量のアピキサバンの投与は、出血及びそれに伴う合併症などの有害な副作用をもたらすことが知られている。また、我が国では、アピキサバンの適切な中和薬はいまだ存在しない。現在、非弁膜症性心房細胞患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制のために、成人男性に対して5.0 mgのアピキサバンの1日2回投与推奨されている(非特許文献1及び2)。一方で、基準(1)年齢80歳以上;(2)体重60 kg以下;及び(3)血清クレアチニン濃度1.5 mg/dl以上のうち少なくとも2つ以上に該当する非弁膜症性心房細胞患者(本明細書において、「ハイリスク群」とも呼ぶ)は、出血のリスクが高いため、2.5 mgのアピキサバンの1日2回投与が推奨されている(非特許文献1)。これ以上の用量であれば、有害な副作用をもたらす可能性が高くなり、これ以下の用量であれば、治療的効果がない。

0004

ここで、今回我々は、血中濃度予想外高値となる患者群が存在することを発見した。このような患者群においても、有害な副作用をもたらすことのない、新たなアピキサバンの投与方法が求められる。

0005

特許第4249621号公報
特表2013−521226号公報

先行技術

0006

医薬インタビューフォーム、経口FXa阻害剤エリキュース錠2.5mg 5mg、2017年4月改訂(第9版)、日本標準商品分類番号873339、製造販売元ブリストルマイヤーズスクイブ株式会社、販売元ファイザー株式会社、www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/670605_3339004F1029_1_010_1F
Satoshi Ogawa, et al., "Safety and efficacy of the oral direct factor xa inhibitor apixaban in Japanese patients with non-valvular atrial fibrillation. -The ARISTOTLE-J study-.",Circ J. 2011;75(8):1852-9. Epub 2011 Jun 14.

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、心房細動を有し、かつ基準(1)年齢80歳以上;(2)体重60 kg以下;及び(3)血清クレアチニン濃度1.5 mg/dl以上のうち少なくとも2つ以上に該当する患者を対象とし、出血及びそれに伴う合併症などの有害な副作用を低減するか又は生じない、アピキサバンを含む医薬組成物、及びアピキサバンの投与方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者は、上記問題を解決するため、アピキサバンの血中トラフ値に着目した。健常人とハイリスク群とにおけるアピキサバンの血中トラフ値を比較検討したところ、本発明者は、治療的又は予防的効果を発揮し、かつ有害な副作用を生じない有効な血中トラフ値が、約50 ng/mL〜約90 ng/mL程度であることを見出した。また、ハイリスク群において、この血中トラフ値を維持するためには、1回あたり約0.8 mg〜約1.5 mgのアピキサバンを1日2回又は3回投与する必要があることを見出した。1回あたり2.5mg未満のアピキサバンの投与は、治療的効果がないと考えられていたので、これは全く予想できない意外な結果であった。

0009

したがって、本発明は、アピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む、患者の血液凝固阻害するため、又は血液凝固により生じる疾患若しくは障害を治療若しくは予防するための医薬組成物であって、1回あたり約0.8 mg〜約1.5 mgのアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物が、該患者に対して1日2回又は3回投与されるように用いられ、該患者が、心房細動を有し、かつ下記基準(1)〜(3)のうち少なくとも2つ以上に該当する、前記医薬組成物を提供する:
基準
(1)年齢80歳以上;
(2)体重60 kg以下;
(3)血清クレアチニン濃度1.5 mg/dl以上。

0010

また、本発明は、約0.8 mg〜約1.5 mgのアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む、患者の血液凝固を阻害するため、又は血液凝固により生じる疾患若しくは障害を治療若しくは予防するための製剤であって、該製剤が、該患者に対して1日あたり2回又は3回投与され、該患者が心房細動を有し、かつ下記基準(1)〜(3)のうち少なくとも2つ以上に該当する、前記製剤を提供する:
基準
(1)年齢80歳以上;
(2)体重60 kg以下;
(3)血清クレアチニン濃度1.5 mg/dl以上。

0011

さらに、本発明は、アピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む、患者におけるアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物の血中トラフ値を約50 ng/mL〜約90 ng/mLに維持するための医薬組成物であって、1回あたり約0.8 mg〜約1.5 mgのアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物が、患者に対して1日2回又は3回投与されるように用いられ、該患者が心房細動を有し、かつ下記基準(1)〜(3)のうち少なくとも2つ以上に該当する、前記医薬組成物を提供する:
基準
(1)年齢80歳以上;
(2)体重60 kg以下;
(3)血清クレアチニン濃度1.5 mg/dl以上。

0012

さらにまた、本発明は、患者の血液凝固を阻害するため、又は血液凝固により生じる疾患若しくは障害を治療若しくは予防するための方法であって、1回あたり約0.8 mg〜約1.5 mgのアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を、該患者に対して1日2回又は3回投与する工程を含み、該患者が、心房細動を有し、かつ下記基準(1)〜(3)のうち少なくとも2つ以上に該当する、前記方法を提供する:
基準
(1)年齢80歳以上;
(2)体重60 kg以下;
(3)血清クレアチニン濃度1.5 mg/dl以上。

発明の効果

0013

心房細動を有し、かつ基準(1)年齢80歳以上;(2)体重60 kg以下;及び(3)血清クレアチニン濃度1.5 mg/dl以上のうち少なくとも2つ以上に該当する患者に対して、出血及びそれに伴う合併症などの有害な副作用を低減し又は生じることなく、血液凝固を阻害し、又は血液凝固により生じる疾患若しくは障害を治療若しくは予防することができる。

図面の簡単な説明

0014

健康成人男性(n=6)に2.5、5、及び10 mgのアピキサバンを1日2回投与した際の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータである。

0015

(1.定義)
用語「血中トラフ値」は、当業者に知られている一般的な意味を有し、薬物を反復投与したときの定常状態における最低血中薬物濃度を意味する。一般に、薬物の血中濃度は、吸収後最高濃度となり、平衡状態に達した後、時間の経過とともに代謝及び排泄によって一定の速度で減少する。用語「血中トラフ値を維持」は、薬物を反復投与したとき、定常状態における最低血中薬物濃度が毎回、特定の値、又は特定の値の範囲内になることを意味する。用語「血中トラフ値」は、トラフ値、トラフ濃度、血中トラフ濃度、又は定常状態最低血中濃度などとも呼ばれる。
用語「血中ピーク値」は、薬物の吸収後の血中最高濃度を意味する。血中ピーク値が通常容量で予想される値を超えるような場合は薬物濃度が中毒域にあると考えられ、副作用や致死的合併症の危険が生じるため薬物を投与する際には血中ピーク値が通常容量の投与で予測される値以上の中毒域にならないように投与量をコントロールすることが必須である。
血中トラフ値及び血中ピーク値は、当業者に公知の方法で測定することができる。また、薬物動態として、反復投与により血中濃度の推移が定常状態に落ち着いた際には血中トラフ値と血中ピーク値には強い相関関係が認められることから、通常薬物服薬直前の血中トラフ値をもって血中ピーク値を予測する。これは、血中ピーク値までの到達時間が薬物の吸収に関わる個体差の影響を受けることがあるため、1時点での測定しか行わないような場合にはより高い精度で予測を行うために血中トラフ値の方が信頼度が高いためである。
したがって、血中トラフ値及び血中ピーク値はともに副作用発現指標になり得る。また、薬効発現に一定以上の血中濃度の維持が必要な場合には、血中トラフ値が薬効発現の指標となり得る。血中は、例えば、血清中又は血漿中である。

0016

用語「ハイリスク患者」は、非弁膜症性心房細動を有し、かつ基準(1)年齢80歳以上;(2)体重60 kg以下;及び(3)血清クレアチニン濃度1.5 mg/dl以上のうち少なくとも2つ以上に該当する患者を意味する。

0017

用語「医薬として許容し得る塩」は、無機酸若しくは無機塩基、又は有機酸若しくは有機塩基を含む、医薬として許容し得る無毒性の酸又は塩基から形成される塩を意味する。医薬として許容し得る塩の例を挙げると、アルミニウムカルシウムリチウムマグネシウムカリウムナトリウム若しくは亜鉛などから形成される金属塩、及びリジン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミンクロプロカインコリンジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミンN-メチルグルカミン)若しくはプロカインなどから形成される有機塩がある。また、医薬として許容し得る塩の例を挙げると、酸付加塩、塩基付加塩アンモニウム塩有機アミン付加塩、及びアミノ酸付加塩などがある。酸付加塩は、例えば、塩酸塩臭化水素酸塩、又はヨウ化水素酸塩などがある。

0018

用語「溶媒和物」は、当業者に知られている一般的な意味を有し、ある化合物に対する1つ又は複数の溶媒分子会合により形成される含溶媒化合物を意味する。溶媒和物は、例えば、一溶媒和物、二溶媒和物、三溶媒和物、及び四溶媒和物を含む。また、溶媒和物は、水和物を含む。用語「水和物」は、非共有結合性分子間力によって拘束された化学量論的又は非化学量論的量の水をさらに含む化合物又はその塩を意味する。水和物は、例えば、一水和物二水和物三水和物、及び四水和物などを含む。

0019

用語「治療」は、当業者に知られている一般的な意味を有し、疾患若しくはその症状を完全に消失させること、又は、疾患若しくはその症状の進行、重症度及び/若しくは持続期間を低減若しくは寛解することを意味する。
用語「予防」は、当業者に知られている一般的な意味を有し、疾患若しくはその症状を発症する危険性を低減若しくは抑制すること、又は疾患若しくはその症状の1つ若しくは複数の再発を低減若しくは抑制することを意味する。

0020

用語「約」は、当業者が許容できる範囲をいい、例えば、0.1〜10%、0.1〜5%、0.1〜1.0%、又は0.1〜0.5%の変化があることをいう。

0021

(2.本発明の医薬組成物)
本発明の医薬組成物は、有効成分として、アピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む。本発明の医薬組成物を用いることにより、患者における出血及びそれに伴う合併症などの有害な副作用の可能性を低減するか、又はそのような副作用を生じさせないことができる。

0022

アピキサバンは、第Xa因子を標的とする公知の経口抗凝固薬の一つであり、下記構造式(1)を有する化合物である:




IUPAC名:1-(4-メトキシフェニル)-7-オキソ-6-[4-(2-オキソピペリジン-1-イル)フェニル]-4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-3-カルボキサミド
アピキサバンは、商業的に入手可能である。また、アピキサバンは、化学合成により製造することもできる。

0023

本発明の医薬組成物は、アピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含み、1回あたり約0.8 mg〜約1.5 mg、約0.9 mg〜約1.5 mg、約0.9 mg〜約1.4 mg、約1.0 mg〜約1.5 mg、約1.0 mg〜約1.4 mg、約1.0 mg〜約1.3 mg、約1.1 mg〜約1.3 mg、約1.2 mg〜約1.3 mg、又は約1.25 mgのアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物が、患者に対して1日2回又は3回投与されるように用いられる。好ましくは、本発明の医薬組成物は、1回あたり約1.0 mg〜約1.3 mgのアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物が、患者に対して1日2回又は3回投与されるように用いられる。より好ましくは、本発明の医薬組成物は、1回あたり約1.25 mgのアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物が、患者に対して1日2回投与されるように用いられる。好ましくは、投与は、経口投与である。

0024

アピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む本発明の医薬組成物を製剤化することができる。したがって、本発明は、有効成分として、アピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む製剤も提供する。本発明の製剤は、好ましくは、経口製剤である。製剤の具体的な例を挙げると、例えば、錠剤丸剤散剤粉末剤顆粒剤、又はカプセル剤などの固体製剤、或いは、滅菌水性溶液滅菌非水性溶液懸濁剤乳剤シロップエマルション又はエリキシルなどの液体製剤がある。

0025

本発明の製剤は、1回分の用量のアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む。1回分の用量は、約0.8 mg〜約1.5 mg、約0.9 mg〜約1.5 mg、約0.9 mg〜約1.4 mg、約1.0 mg〜約1.5 mg、約1.0 mg〜約1.4 mg、約1.0 mg〜約1.3 mg、約1.1 mg〜約1.3 mg、約1.2 mg〜約1.3 mg、又は約1.25 mgである。好ましくは、1回分の用量は、約1.0 mg〜約1.3 mgである。より好ましくは、1回分の用量は、約1.25 mgである。

0026

本発明の製剤は、1回分の用量のアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む1個の製剤であってもよく、或いは、1回分の用量のアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を分割して含む複数個(例えば、2個、3個、4個又は5個)の製剤であってもよい。該複数個の製剤の各々は、1回分の用量のアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物の分割量を含み、該複数個の製剤は、トータルして、1回分の用量のアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む。該複数個の製剤の各々は、同一又は異なっていてもよい。好ましくは、該複数個の製剤の各々は、全て同一形状であり、同一分割用量のアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む。

0027

本発明の製剤は、患者に対して1日2回又は3回投与される。好ましくは、本発明の製剤は、患者に対して1日2回投与される。より好ましくは、1回分の用量のアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む1個の製剤が、患者に対して1日2個又は3個投与される。

0028

さらに、本発明は、1回分の用量のアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む製剤を1セットとして含む、複数のセット(例えば、2、4、6、8、10、14、又は28セット)を提供する。1セットは、1回分の用量のアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む1個の製剤、又は1回分の用量のアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を分割して含む複数の製剤からなる。1回1セットが患者に投与される。1日あたり2セット又は3セットが患者に投与される。

0029

本発明の医薬組成物又は製剤の投与間隔は、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、又は22時間とすることができる。例えば、本発明の医薬組成物又は製剤を1日2回投与する場合、本発明の医薬組成物又は製剤を、午前(例えば前又は後)に投与し、その後、午後(例えば夕食前又は後)に投与することができる。本発明の医薬組成物又は製剤は、基本的に、継続投与が想定されているが、本発明の医薬組成物又は製剤の投与期間を、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、約1週、約2週、約3週、約4週、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約12ヶ月、又はそれ以上とすることができる。投与期間中、休薬期間を設けてもよく、休薬期間は、例えば、観血的処置が必要な場合に設けられる。

0030

本発明の医薬組成物又は製剤が投与される患者は、心房細動、例えば、非弁膜症性心房細動を有し、かつ下記基準(1)〜(3)のうち少なくとも2つ以上に該当する:
基準
(1)年齢80歳以上;
(2)体重60 kg以下;
(3)血清クレアチニン濃度1.5 mg/dl以上。

0031

一実施態様において、患者は、心房細動、例えば、非弁膜症性心房細動を有し、かつ上記基準(1)及び(2)に該当する患者である。他の実施態様において、患者は、心房細動、例えば、非弁膜症性心房細動を有し、かつ上記基準(1)及び(3)に該当する患者である。また他の実施態様において、患者は、心房細動、例えば、非弁膜症性心房細動を有し、かつ上記基準(2)及び(3)に該当する患者である。さらに他の実施態様において、患者は、心房細動、例えば、非弁膜症性心房細動を有し、かつ上記基準(1)〜(3)の全てに該当する患者である。

0032

本発明の医薬組成物又は製剤が投与された患者は、出血及びそれに伴う合併症などの有害な副作用を生じる可能性が低いか又は生じない。本発明の医薬組成物又は製剤が投与された患者は、約50 ng/mL〜約90 ng/mL、約55 ng/mL〜約85 ng/mL、約60 ng/mL〜約80 ng/mL、又は約75 ng/mLのアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物の血中トラフ値を示し得る。血中薬物濃度は、例えば、投与の約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、又は約12時間後に、前記血中トラフ値となり、次の投与まで保たれる。該血中トラフ値は、例えば3日又はそれ以上の服用後に、各投与の直前に測定される。

0033

本発明の医薬組成物又は製剤が投与された患者は、血中トラフ値の約2倍〜約4倍、約2倍〜約3.8倍、約2倍〜約3.6倍、約2倍〜約3.4倍、約2.2倍〜約3.2倍、約2.4倍〜約3.0倍、約2.6倍〜約2.8倍、又は約2.7倍の血中ピーク値を示し得る。該血中ピーク値は、例えば、投与の約4時間〜約10時間、又は約6時間〜約8時間後に達成される。

0034

患者の血中トラフ値及び血中ピーク値を、当業者に公知の方法を用いて、常にモニタリングし、結果に応じて、投与量及び投与回数を変更することができる。

0035

本発明の医薬組成物又は製剤は、患者の血液凝固を阻害するために使用することができる。すなわち、本発明の医薬組成物又は製剤は、抗凝固薬として使用することができる。また、本発明の医薬組成物又は製剤は、患者の血液凝固により生じる疾患又は障害を治療又は予防するために使用することができる。血液凝固により生じる疾患又は障害の例を挙げると、血栓症、脳卒中(例えば、虚血性脳卒中)、塞栓症(例えば、全身性塞栓症)、脳梗塞、及び血栓塞栓症、例えば、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症、及び肺血栓塞栓症など)などがある。好ましくは、本発明の医薬組成物又は製剤は、患者の脳卒中(例えば、虚血性脳卒中)又は塞栓症(例えば、全身性塞栓症)を治療又は予防するために使用される。本発明の医薬組成物又は製剤は、出血及びそれに伴う合併症などの有害な副作用を低減させるか、又はなくすことができる。

0036

本発明の医薬組成物又は製剤は、患者におけるアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物の血中トラフ値を約50 ng/mL〜約90 ng/mL、約55 ng/mL〜約85 ng/mL、約60 ng/mL〜約80 ng/mL、又は約75 ng/mLに維持するために用いることができる。また、本発明の医薬組成物又は製剤は、患者におけるアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物の血中ピーク値を、該患者におけるアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物の血中トラフ値の約2倍〜約4倍、約2倍〜約3.8倍、約2倍〜約3.6倍、約2倍〜約3.4倍、約2.2倍〜約3.2倍、約2.4倍〜約3.0倍、約2.6倍〜約2.8倍、又は約2.7倍に維持するために用いることができる。好ましくは、本発明の医薬組成物又は製剤は、患者におけるアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物の血中トラフ値を約50 ng/mL〜約90 ng/mL、約55 ng/mL〜約85 ng/mL、約60 ng/mL〜約80 ng/mL、又は約75 ng/mLに維持し、かつ血中ピーク値を該血中トラフ値の約2倍〜約4倍、約2倍〜約3.8倍、約2倍〜約3.6倍、約2倍〜約3.4倍、約2.2倍〜約3.2倍、約2.4倍〜約3.0倍、約2.6倍〜約2.8倍、又は約2.7倍に維持するために用いることができる。

0037

本発明の医薬組成物又は製剤は、アピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物に加えて、1種以上の医薬として許容し得る担体を含むことができる。医薬として許容し得る担体は、非毒性で不活性固体半固体又は液体物質である。医薬として許容し得る担体は、例えば、当業者に公知の賦形剤安定化剤不活性希釈剤充填剤増量剤崩壊剤崩壊抑制剤懸濁化剤緩衝剤等張化剤キレート剤pH調整剤界面活性剤カプセル封入剤結合剤防腐剤抗酸化剤潤滑剤、保湿剤吸着剤滑沢剤又は任意の他の製剤助剤などがある。医薬として許容し得る担体は、製剤の種類及び使用される化合物の性質などに応じて、適宜選択することができる。

0038

医薬として許容し得る担体の具体的な例を挙げると、制限されないが、水、アルコール類エタノールなど)、塩水(生理食塩水など)、又はこれらの混合溶液塩化ナトリウムなどの無機塩類アルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩グルコースデキストロース)、マンノースガラクトース、又はフルクトースなどの単糖類マンニトールイノシトール、又はキシリトールなどの糖アルコールスクロースラクツロースラクトースマルトース、又はトレハロースなどの二糖類デキストリンデキストランセルロースヒアルロン酸、又はコンドロイチン硫酸などの多糖類トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン類グリシンリシンアスパラギンアルギニングルタミンシステインアスパラギン酸、又はグルタミン酸などのアミノ酸類トラガカントゼラチン滑石カカオバター又はワックス又はミツロウピーナッツ油綿実油ベニバナ油ゴマ油オリーブ油トウモロコシ油ダイズ油、又は硬化油などのオイル類オレイン酸エチル又はラウリン酸エチルなどのエステル類寒天水酸化ナトリウムなどの水酸化塩;アルギン酸等張性塩類溶液リンゲル液リン酸緩衝液などの緩衝液;などである。さらに、医薬として許容し得る担体の具体的な例を挙げると、無水乳糖結晶セルロースクロスカルメロースナトリウムラウリル硫酸ナトリウムステアリン酸マグネシウムヒプロメロース乳糖水和物酸化チタントリアセチン、及び黄色三二酸化鉄などがある。

0039

医薬として許容し得る担体の量は、特に制限はなく、これらは、使用される化合物の活性及び製剤の種類など、様々な要因により決定される。医薬として許容し得る担体の含有量は、例えば、本発明の医薬組成物又は製剤の1〜99重量%の量とすることができる。

0040

本発明の医薬組成物又は製剤は、他の活性薬剤と組み合わせて使用することができる。他の活性薬剤の例を挙げると、ダビガトランリバーロキサバン、エドキサバン、又はワルファリンなどの他の抗凝固薬;トロンビン又はプロトロンビンなどの中和薬;ビタミンK又はプロタミンなどの凝固促進薬;及びトラネキサム酸又はε-アミノカプロン酸などの止血薬などがある。

0041

(3.本発明の投与方法)
本発明は、アピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物の投与方法を提供する。本発明の投与方法により、患者における出血及びそれに伴う合併症などの有害な副作用の可能性を低減するか、又はそのような副作用を生じさせないことができる。

0042

本発明の投与方法は、1回あたり約0.8 mg〜約1.5 mg、約0.9 mg〜約1.5 mg、約0.9 mg〜約1.4 mg、約1.0 mg〜約1.5 mg、約1.0 mg〜約1.4 mg、約1.0 mg〜約1.3 mg、約1.1 mg〜約1.3 mg、約1.2 mg〜約1.3 mg、又は約1.25 mgのアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を、患者に対して1日2回又は3回投与する工程を含む。好ましくは、本発明の投与方法は、1回あたり約1.0 mg〜約1.3 mgのアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を、患者に対して1日2回投与する工程を含む。より好ましくは、本発明の投与方法は、1回あたり約1.25 mgのアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を、患者に対して1日2回投与する工程を含む。好ましくは、投与は、錠剤、丸剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、又はカプセル剤などによる経口投与である。一実施態様において、本発明の投与方法は、本発明の医薬組成物又は製剤を患者に投与する工程を含む。

0043

投与間隔は、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、又は22時間とすることができる。本発明の医薬組成物又は製剤は、基本的に、継続投与が想定されているが、本発明の医薬組成物又は製剤の投与期間を、例えば、投与期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、約1週、約2週、約3週、約4週、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約12ヶ月、又はそれ以上とすることができる。投与期間中、休薬期間を設けてもよく、休薬期間は、例えば、観血的処置が必要な場合に設けられる。

0044

本発明の投与方法において、アピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物が投与される患者は、心房細動、例えば、非弁膜症性心房細動を有し、かつ下記基準(1)〜(3)のうち少なくとも2つ以上に該当する:
基準
(1)年齢80歳以上;
(2)体重60 kg以下;
(3)血清クレアチニン濃度1.5 mg/dl以上。

0045

一実施態様において、患者は、心房細動、例えば、非弁膜症性心房細動を有し、かつ上記基準(1)及び(2)に該当する患者である。他の実施態様において、患者は、心房細動、例えば、非弁膜症性心房細動を有し、かつ上記基準(1)及び(3)に該当する患者である。また他の実施態様において、患者は、心房細動、例えば、非弁膜症性心房細動を有し、かつ上記基準(2)及び(3)に該当する患者である。さらに他の実施態様において、患者は、心房細動、例えば、非弁膜症性心房細動を有し、かつ上記基準(1)〜(3)の全てに該当する患者である。

0046

投与後の患者は、出血及びそれに伴う合併症などの有害な副作用を生じる可能性が低いか又は生じない。好ましくは、投与後の患者は、約50 ng/mL〜約90 ng/mL、約55 ng/mL〜約85 ng/mL、約60 ng/mL〜約80 ng/mL、又は約75 ng/mLのアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物の血中トラフ値を示し得る。血中薬物濃度は、例えば、投与の約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、又は約12時間後に、前記血中トラフ値となり、次の投与まで保たれる。該血中トラフ値は、例えば3日又はそれ以上の服用後に、各投与の直前に測定される。

0047

投与後の患者は、血中トラフ値の約2倍〜約4倍、約2倍〜約3.8倍、約2倍〜約3.6倍、約2倍〜約3.4倍、約2.2倍〜約3.2倍、約2.4倍〜約3.0倍、約2.6倍〜約2.8倍、又は約2.7倍の血中ピーク値を示し得る。該血中ピーク値は、例えば、投与の約4時間〜約10時間、又は約6時間〜約8時間後に達成される。

0048

患者の血中トラフ値及び血中ピーク値を、当業者に公知の方法を用いて、常にモニタリングし、結果に応じて、投与量及び投与回数を変更することができる。

0049

本発明の投与方法を用いて、患者の血液凝固を阻害することができる。また、本発明の投与方法を用いて、患者の血液凝固により生じる疾患又は障害を治療又は予防することができる。血液凝固により生じる疾患の例を挙げると、血栓症、脳卒中(例えば、虚血性脳卒中)、塞栓症(例えば、全身性塞栓症)、脳梗塞、及び血栓塞栓症、例えば、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症、及び肺血栓塞栓症など)などがある。好ましくは、本発明の投与方法を用いて、患者の脳卒中(例えば、虚血性脳卒中)又は塞栓症(例えば、全身性塞栓症)を治療又は予防することができる。本発明の投与方法を用いることにより、出血及びそれに伴う合併症などの有害な副作用を低減させるか、又はなくすことができる。

0050

本発明の投与方法は、患者におけるアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物の血中トラフ値を約50 ng/mL〜約90 ng/mL、約55 ng/mL〜約85 ng/mL、約60 ng/mL〜約80 ng/mL、又は約75 ng/mLに維持するために用いることができる。また、本発明の投与方法は、患者におけるアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物の血中ピーク値を、該患者におけるアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物の血中トラフ値の約2倍〜約4倍、約2倍〜約3.8倍、約2倍〜約3.6倍、約2倍〜約3.4倍、約2.2倍〜約3.2倍、約2.4倍〜約3.0倍、約2.6倍〜約2.8倍、又は約2.7倍に維持するために用いることができる。好ましくは、本発明の投与方法は、患者におけるアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物の血中トラフ値を約50 ng/mL〜約90 ng/mL、約55 ng/mL〜約85 ng/mL、約60 ng/mL〜約80 ng/mL、又は約75 ng/mLに維持し、かつ該患者におけるアピキサバン又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物の血中ピーク値を該血中トラフ値の約2倍〜約4倍、約2倍〜約3.8倍、約2倍〜約3.6倍、約2倍〜約3.4倍、約2.2倍〜約3.2倍、約2.4倍〜約3.0倍、約2.6倍〜約2.8倍、又は約2.7倍に維持するために用いることができる。

0051

本発明の投与方法は、他の活性薬剤の投与と組み合わせることができる。他の活性薬剤の例を挙げると、ダビガトラン、リバーロキサバン、エドキサバン、又はワルファリンなどの他の抗凝固薬;トロンビン又はプロトロンビンなどの中和薬;ビタミンK又はプロタミンなどの凝固促進薬;及びトラネキサム酸又はε-アミノカプロン酸などの止血薬などがある。

0052

(4.実施例)
以下に本発明の実施例を記載する。下記実施例は、本発明の特許請求の範囲に関する理解を深めるために記載しているものであり、本発明の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。

0053

(実施例1)
健常者とハイリスク群とにおける血中トラフ値の比較)
既に公開されているデータとして、健康成人男性(n=6)に2.5、5、及び10 mgのアピキサバンを1日2回投与した際の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータがある(図1、非特許文献1の63頁参照)。このデータから、健康成人において、3日目に薬物濃度がほぼ定常状態となること、及び3日〜7日目の値から、血中トラフ値及び血中ピーク値が下記のようになることを見出した:
10 mg 1日2回投与で血中トラフ値:約130 ng/mL、血中ピーク値:約350 ng/mL
5 mg 1日2回投与で血中トラフ値:約75 ng/mL、血中ピーク値:約200 ng/mL
2.5 mg 1日2回投与で血中トラフ値:約30 ng/mL、血中ピーク値:約80 ng/mL。

0054

また、投与量が倍になれば血中トラフ値がほぼ倍になること、及び血中ピーク値が血中トラフ値の約2.7倍を示すことが分かった。弁膜症性心房細動患者において、5 mg 2回投与が推奨されており(非特許文献1)、したがって、約75 ng/mLの血中トラフ値が、治療的効果のある範囲であることが分かった。ハイリスク群においても、血中トラフ値75 ng/mL程度を維持することが重要であると考えられる。

0055

上記考察に基づき、ハイリスク群の血中トラフ値を測定した。ハイリスク群(n=6)に、2.5 mgのアピキサバンを、1日2回(午前と午後とに1回ずつ)、2週間以上投与し、薬物濃度が定常状態に達した状態で午前の投与直前に採血して、血中トラフ値を測定した。結果を、下記表1に示す。

0056

0057

血中濃度のトラフ値が、200 ng/mLを超える症例(2名)が存在することが確認された。これは、成人男性の5mg 2回投与のピーク値を超えるほど高いものである。また、大半が血中濃度のトラフ値が150ng/mLを超える症例(4名)であった。これは、成人男性の5mg 2回投与のトラフ値である75ng/mLの2倍も高い値であった。ハイリスク群において、2.5 mgのアピキサバンを1日2回投与した場合であっても、血中トラフ値がこのような異常高値を示すことは、全く予測し得なかったことである。

実施例

0058

(実施例2)
(ハイリスク群に低用量のアピキサバンを投与した結果)
ハイリスク群に、1.25 mgのアピキサバンを1日2回投与し、血中トラフ値が推奨値になったことを確認した。ハイリスク群(74歳、男性、体重55 kg、クレアチニン1.6 mg/dL)に対し、2.5 mgのアピキサバンを1日2回、2週間、投与したところ、血中トラフ値が、116 ng/mLとなったが、該患者に対して、1.25 mgのアピキサバンを1日2回、2週間、投与したところ、血中トラフ値が、63 ng/mLとなった。該患者において、虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症は確認されなかった。また、該患者において、出血及びそれに伴う合併症などの副作用は確認されなかった。

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