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技術 形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板

出願人 国立研究開発法人物質・材料研究機構
発明者 石田章
出願日 2019年7月17日 (9ヶ月経過) 出願番号 2019-131573
公開日 2019年11月21日 (5ヶ月経過) 公開番号 2019-199876
状態 未査定
技術分野 特殊原動機 レンズ鏡筒 カメラレンズの調整
主要キーワード 平板ばね 信号処理LSI 温度ヒステリシス 外側突起 内側突起 形状記憶合金薄膜 矩形枠形状 外側角
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年11月21日)のものです。
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図面 (15)

課題

カメラモジュールの低背化を実現するための極薄型で発生力の大きいオートフォーカス駆動アクチュエータを提供する。

解決手段

移動対象物レンズあるいは撮像素子)を保持した略多角形板状の基板可動部102とそれよりも大きい略多角形の基板固定枠103が形状記憶合金薄膜のみで連結され、個々の形状記憶合金薄膜101a、101b、101c、101dは2つの多角形の間の空間で2つの多角形の一辺に沿って延びた直線形状を有している形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。基板可動部102に外部からバイアス力を加えることによって、移動対象物を基板固定枠103に対して垂直方向に移動させることができ(オートフォーカス機能)、また個々の形状記憶合金薄膜を独立して動かすことにより、垂直方向からの傾斜(手振れ補正機能)も可能にする。

概要

背景

現在、流通しているオートフォーカスあるいは手振れ補正駆動機構の主流はVCM(ボイスコイルモーター)や圧電素子であり、携帯電話薄型化を進める上でこれらの駆動機構のさらなる小型、軽量化に対する要望が大きくなっている(特許文献1)。

一方、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)技術を使った形状記憶合金薄膜アクチュエータは小型で強力なアクチュエータとして期待されている。アクチュエータの形態としては、ブリッジ型ダイヤフラム型カンチレバー型があり、ブリッジ型とダイヤフラム型は引っ張り変形モードで使うために力は大きいが、変位量が小さく、また、カンチレバー型は曲げ変形モードで使うために変位量は大きいが、力が弱いことが指摘されている(非特許文献1)。

オートフォーカス機構に上記形状記憶合金薄膜アクチュエータを使った例としては、カンチレバー型が特許文献2、3、4で、ブリッジ型が特許文献5、6、7で知られている。

形状記憶合金薄膜単体形状記憶特性は非特許文献2で調べられており、スパッタリングで作製したTi−Ni−Cu合金薄膜は、市場で流通しているTi−Ni合金よりも優れた特性を示すことが報告されている。

形状記憶合金形状変化電気抵抗を知ることによって直接モニタできることが知られており、電気抵抗を測定しながら通電加熱のための電流を制御して一定の形状を維持するアクチュエータドライバ(特許文献8)も公開されている。そのため、形状記憶合金をカメラの駆動機構に用いた場合、レンズの位置を検知するためのセンサ別途必要としないことが知られている。

概要

カメラモジュールの低背化を実現するための極薄型で発生力の大きいオートフォーカス駆動用アクチュエータを提供する。移動対象物(レンズあるいは撮像素子)を保持した略多角形板状の基板可動部102とそれよりも大きい略多角形の基板固定枠103が形状記憶合金薄膜のみで連結され、個々の形状記憶合金薄膜101a、101b、101c、101dは2つの多角形の間の空間で2つの多角形の一辺に沿って延びた直線形状を有している形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。基板可動部102に外部からバイアス力を加えることによって、移動対象物を基板固定枠103に対して垂直方向に移動させることができ(オートフォーカス機能)、また個々の形状記憶合金薄膜を独立して動かすことにより、垂直方向からの傾斜(手振れ補正機能)も可能にする。

目的

特開2013−254184号公報
特開2011−109853号公報
特開2009−89306号公報
特開2019−28439号公報
特開2009−196060号公報
特開2011−001824号公報
国際公開番号WO2011/001972
特開2007—211754号公報




A. Ishida et al.、 Smart Mater. Struct.、 16(2007)1672.
A. Ishida et al.、 J. Alloys and Compounds、 577S(2013)S184






携帯電話などのカメラモジュールでは低背化が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

移動対象物を保持した略多角形板状の可動部と、前記可動部よりも大きい開口部を有する略多角形形状の固定枠とが、形状記憶合金薄膜のみで連結され、前記形状記憶合金薄膜は、前記可動部及び前記固定枠の2つの多角形の隙間の空間に位置すると共に、前記可動部の多角形の辺及び前記固定枠の多角形の辺に平行な状態で、前記固定枠の多角形の一辺に沿って延びた直線形状を有していることを特徴とする形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板

請求項2

前記固定枠の多角形の一辺に沿って延びた形状記憶合金薄膜は前記一辺に沿って平行に延びた複数の形状記憶合金薄膜で構成される請求項1に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。

請求項3

前記形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板であって、前記形状記憶合金薄膜が前記固定枠に接合される部分から前記可動部に接合される部分に向かう方向を前記形状記憶合金薄膜の向きとするとき、前記固定枠の多角形の頂点共有する隣り合う2つの辺に平行に設置された形状記憶合金薄膜が互いに反対方向の向きを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。

請求項4

前記形状記憶合金薄膜の長さが、前記各辺の長さの1/3以上2/3以下であることを特徴とする請求項3に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。

請求項5

前記一辺に沿って平行に延びた複数の形状記憶合金薄膜は、前記形状記憶合金薄膜が前記固定枠に接合される部分から前記可動部に接合される部分に向かう方向を前記形状記憶合金薄膜の向きとするとき、前記形状記憶合金薄膜の向きと反対方向の向きをもった同数の形状記憶合金薄膜で構成される請求項2に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。

請求項6

前記固定枠の多角形の辺毎に沿って延びた前記形状記憶合金薄膜の両端が前記固定枠の開口部の頂点近傍に設けられた固定枠側接合部に接合され、前記形状記憶合金薄膜の略中央部が前記可動部の多角形の辺毎の略中央に設けられた可動部側接合部に接合された請求項1又は2に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。

請求項7

前記固定枠は矩形枠形状を有し、前記固定枠の開口部に収まる前記可動部は矩形の板の頂点近傍に形状記憶合金薄膜の接合部となる突起がついた形状であって、前記可動部の互いに離れた4箇所以上の接合部で前記形状記憶合金薄膜を介して前記固定枠に連結されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。

請求項8

前記固定枠は六角形の枠形状で前記開口部側の頂点近傍には形状記憶合金薄膜の接合部となる突起部を有しており、前記可動部は六角形の板の頂点近傍に形状記憶合金薄膜の接合部となる突起部がついた形状であって、前記可動部は互いに離れた3箇所以上の接合部で前記形状記憶合金薄膜を介して前記固定枠に連結されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。

請求項9

前記可動部と前記固定枠はSi基板よりなることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。

請求項10

前記可動部と前記固定枠は金属基板よりなることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。

請求項11

前記形状記憶合金薄膜の前記可動部側及び前記固定枠側の接合部において、前記形状記憶合金薄膜と前記可動部及び前記固定枠を形成する基板との間に絶縁あるいは密着性改善のための中間層を設けた請求項1乃至10の何れか1項に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。

請求項12

前記中間層は基板材料酸化物であることを特徴とする請求項11に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。

請求項13

前記形状記憶合金薄膜は、組成元素を、50原子%以上で55原子%以下のTi、10原子%を超えて20原子以下のCu、残部をNiおよび不可避的不純物とする、Ti−Ni−Cu合金薄膜であることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。

請求項14

前記形状記憶合金薄膜は、組成元素を、45原子%以上で50原子%未満のTi、原子%で10+1.6×(50−Tiの原子%)を超えて20+1.6×(50−Tiの原子%)以下のCu、残部をNiおよび不可避的不純物とする、Ti−Ni−Cu合金薄膜であることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。

請求項15

前記形状記憶合金薄膜は、組成元素を、50原子%以上で55原子%以下のTi、5原子%以上で10原子%以下のCu、残部をNiおよび不可避的不純物とする、Ti−Ni−Cu合金薄膜であることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。

請求項16

前記移動対象物は、レンズ又は撮像素子、あるいはレンズ又は撮像素子を組み込んだ部品であることを特徴とする請求項1乃至15の何れか1項に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。

請求項17

前記移動対象物は、レンズあるいはレンズを組み込んだ部品であり、前記可動部は光路確保のための開口窓を有することを特徴とする請求項16に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。

請求項18

請求項1乃至17の何れか1項に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の前記可動部あるいは前記可動部に保持された前記移動対象物に、前記固定枠の面に対して垂直に変位するバイアスばねが直接あるいはスペーサーを介して当接あるいは接合されており、前記可動部が前記固定枠の面に対して垂直に変位する駆動機構

請求項19

前記バイアスばねが、前記可動部に対して前記形状記憶合金薄膜を成膜した面の反対側に設置されていて、前記可動部が前記形状記憶合金薄膜を成膜した面の反対側から押しつけられる請求項18に記載の駆動機構。

請求項20

前記のバイアスばねが請求項1乃至15の何れか1項に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板であることを特徴とする請求項18又は19に記載の駆動機構。

請求項21

オートフォーカス制御回路からの駆動電流を請求項18乃至20の何れか1項に記載の駆動機構の前記形状記憶合金薄膜に通電することにより、形状記憶合金薄膜の電気抵抗を制御してオートフォーカスを行う機能を付与できるように構成したカメラモジュール

請求項22

請求項21記載のカメラモジュールに内蔵された形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板上の前記形状記憶合金薄膜を含む配線は、前記固定枠の一端から前記可動部を経由して前記固定枠の他端に通電するように構成されたことを特徴とするカメラモジュール。

請求項23

振れ補正制御回路からの駆動電流を請求項18乃至20の何れか1項に記載の駆動機構の前記形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の個々の前記形状記憶合金薄膜に独立して通電することにより、前記可動部を傾斜させることを特徴とするカメラモジュール。

請求項24

請求項21乃至23の何れか1項に記載のカメラモジュールを搭載したことを特徴とするカメラ付き携帯電話あるいは小型カメラ

技術分野

背景技術

0002

現在、流通しているオートフォーカスあるいは手振れ補正の駆動機構の主流はVCM(ボイスコイルモーター)や圧電素子であり、携帯電話薄型化を進める上でこれらの駆動機構のさらなる小型、軽量化に対する要望が大きくなっている(特許文献1)。

0003

一方、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)技術を使った形状記憶合金薄膜アクチュエータは小型で強力なアクチュエータとして期待されている。アクチュエータの形態としては、ブリッジ型ダイヤフラム型カンチレバー型があり、ブリッジ型とダイヤフラム型は引っ張り変形モードで使うために力は大きいが、変位量が小さく、また、カンチレバー型は曲げ変形モードで使うために変位量は大きいが、力が弱いことが指摘されている(非特許文献1)。

0004

オートフォーカス機構に上記形状記憶合金薄膜アクチュエータを使った例としては、カンチレバー型が特許文献2、3、4で、ブリッジ型が特許文献5、6、7で知られている。

0005

形状記憶合金薄膜単体形状記憶特性は非特許文献2で調べられており、スパッタリングで作製したTi−Ni−Cu合金薄膜は、市場で流通しているTi−Ni合金よりも優れた特性を示すことが報告されている。

0006

形状記憶合金形状変化電気抵抗を知ることによって直接モニタできることが知られており、電気抵抗を測定しながら通電加熱のための電流を制御して一定の形状を維持するアクチュエータドライバ(特許文献8)も公開されている。そのため、形状記憶合金をカメラの駆動機構に用いた場合、レンズの位置を検知するためのセンサ別途必要としないことが知られている。

0007

特開2013−254184号公報
特開2011−109853号公報
特開2009−89306号公報
特開2019−28439号公報
特開2009−196060号公報
特開2011−001824号公報
国際公開番号WO2011/001972
特開2007—211754号公報

先行技術

0008

A. Ishida et al.、 Smart Mater. Struct.、 16(2007)1672.
A. Ishida et al.、 J. Alloys and Compounds、 577S(2013)S184

発明が解決しようとする課題

0009

携帯電話などのカメラモジュールでは低背化が望まれている(特許文献1)。しかし、圧電素子あるいはVCM(ボイスコイルモーター)を使った駆動機構を厚さ1mm以下にすることは、構造の複雑さを考えると困難である。
特許文献2、3及び4ではカンチレバー型形状記憶合金薄膜アクチュエータで可動部品を移動させる機構が開示されている。しかし、カンチレバー型アクチュエータは力が弱いことが知られており、大きい発生力を期待することが難しい。
一方、特許文献5では、ブリッジ型形状記憶合金薄膜アクチュエータをオートフォーカス機構に適用した例が報告されているが、ここでは形状記憶合金薄膜アクチュエータが光軸に垂直な方向に伸縮するために、この変位を光軸方向に変えるための複雑な機構を必要としている。

0010

特許文献6では、固定枠の2か所に張り渡した形状記憶合金の略中央にレンズを保持した部品を当接させて移動させる機構が開示されているが、形状記憶合金に薄膜を使おうとすると、直接、部品の突設部先端が薄膜に当たるために破断等の問題がある。また、特許文献7では固定枠の角部から形状記憶合金が伸び、次の角部でレンズを保持して移動する部材と接合された後、L字型屈曲して固定枠の対向する角部に至る形状記憶合金によってレンズを移動させる機構が開示されているが、この場合は可動部を2点で支えるために横に揺れやすく可動部の支持が不安定になることが予想される。

0011

本発明は上述の課題を解決したものであり、極薄型で、高応答性かつ発生力が大きいオートフォーカス機構と手振れ補正機構、及びそれを使ったカメラユニットを提供する。

課題を解決するための手段

0012

上記目的を達成するために、本発明の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板は以下の構成を採用した。
[1]移動対象物を保持した略多角形板状の可動部と、前記可動部よりも大きい開口部を有する略多角形形状の固定枠とが、形状記憶合金薄膜のみで連結され、前記形状記憶合金薄膜は、前記可動部及び前記固定枠の2つの多角形の隙間の空間に位置すると共に、前記可動部の多角形の辺及び前記固定枠の多角形の辺に平行な状態で、前記固定枠の多角形の一辺に沿って延びた直線形状を有していることを特徴とする形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。
[2] 前記固定枠の多角形の一辺に沿って延びた形状記憶合金薄膜は前記一辺に沿って平行に延びた複数の形状記憶合金薄膜で構成される[1]に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。(図2参照)

0013

[3] 前記形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板であって、前記形状記憶合金薄膜が前記固定枠に接合される部分から前記可動部に接合される部分に向かう方向を前記形状記憶合金薄膜の向きとするとき、前記固定枠の多角形の頂点共有する隣り合う2つの辺に平行に設置された形状記憶合金薄膜が互いに反対方向の向きを有することを特徴とする[1]又は[2]に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。(図3参照)
[4] 前記形状記憶合金薄膜の長さが、前記各辺の長さの1/3以上2/3以下であることを特徴とする[3]に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。
[5] 前記一辺に沿って平行に延びた複数の形状記憶合金薄膜は、前記形状記憶合金薄膜が前記固定枠に接合される部分から前記可動部に接合される部分に向かう方向を前記形状記憶合金薄膜の向きとするとき、前記形状記憶合金薄膜の向きと反対方向の向きをもった同数の形状記憶合金薄膜で構成される[2]に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。(図6参照)
[6] 前記固定枠の多角形の辺毎に沿って延びた前記形状記憶合金薄膜の両端が前記固定枠の開口部の頂点近傍に設けられた固定枠側接合部に接合され、前記形状記憶合金薄膜の略中央部が前記可動部の多角形の辺毎の略中央に設けられた可動部側接合部に接合された[1]又は[2]に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。(図5参照)

0014

[7] 前記固定枠は矩形枠形状を有し、前記固定枠の開口部に収まる前記可動部は矩形の板の頂点近傍に形状記憶合金薄膜の接合部となる突起がついた形状であって、前記可動部の互いに離れた4箇所以上の接合部で前記形状記憶合金薄膜を介して前記固定枠に連結されていることを特徴とする[1]乃至[5]の何れか1項に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。(図1参照)
[8] 前記固定枠は六角形の枠形状で前記開口部側の頂点近傍には形状記憶合金薄膜の接合部となる突起部を有しており、前記可動部は六角形の板の頂点近傍に形状記憶合金薄膜の接合部となる突起部がついた形状であって、前記可動部は互いに離れた3箇所以上の接合部で前記形状記憶合金薄膜を介して前記固定枠に連結されていることを特徴とする[1]乃至[5]の何れか1項に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。(図4参照)

0015

[9] 前記可動部と前記固定枠はSi基板よりなることを特徴とする[1]乃至[8]の何れか1項に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。
[10] 前記可動部と前記固定枠は金属基板よりなることを特徴とする[1]乃至[8]の何れか1項に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。
[11] 前記形状記憶合金薄膜の前記可動部側及び前記固定枠側の接合部において、前記形状記憶合金薄膜と前記可動部及び前記固定枠を形成する基板との間に絶縁あるいは密着性改善のための中間層を設けた[1]乃至[10]の何れか1項に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。
[12] 前記中間層は基板材料酸化物であることを特徴とする[11]に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。

0016

[13] 前記形状記憶合金薄膜は、組成元素を、50原子%以上で55原子%以下のTi、10原子%を超えて20原子以下のCu、残部をNiおよび不可避的不純物とする、Ti−Ni−Cu合金薄膜であることを特徴とする[1]乃至[12]の何れか1項に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。
[14] 前記形状記憶合金薄膜は、組成元素を、45原子%以上で50原子%未満のTi、原子%で10+1.6×(50−Tiの原子%)を超えて20+1.6×(50−Tiの原子%)以下のCu、残部をNiおよび不可避的不純物とする、Ti−Ni−Cu合金薄膜であることを特徴とする[1]乃至[12]の何れか1項に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。
[15] 前記形状記憶合金薄膜は、組成元素を、50原子%以上で55原子%以下のTi、5原子%以上で10原子%以下のCu、残部をNiおよび不可避的不純物とする、Ti−Ni−Cu合金薄膜であることを特徴とする[1]乃至[12]の何れか1項に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。

0017

[16] 前記移動対象物は、レンズ又は撮像素子、あるいはレンズ又は撮像素子を組み込んだ部品であることを特徴とする[1]乃至[15]の何れか1項に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。
[17] 前記移動対象物は、レンズあるいはレンズを組み込んだ部品であり、前記可動部は光路確保のための開口窓を有することを特徴とする[16]に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板。

0018

[18] [1]乃至[17]の何れか1項に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の前記可動部あるいは前記可動部に保持された前記移動対象物に、前記固定枠の面に対して垂直に変位するバイアスばねが直接あるいはスペーサーを介して当接あるいは接合されており、前記可動部が前記固定枠の面に対して垂直に変位する駆動機構。
[19] 前記バイアスばねが、前記可動部に対して前記形状記憶合金薄膜を成膜した面の反対側に設置されていて、前記可動部が前記形状記憶合金薄膜を成膜した面の反対側から押しつけられる[18]に記載の駆動機構。
[20] 前記のバイアスばねが[1]乃至[15]の何れか1項に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板であることを特徴とする[18]又は[19]に記載の駆動機構。

0019

[21]オートフォーカス制御回路からの駆動電流を[18]乃至[20]の何れか1項に記載の駆動機構の前記形状記憶合金薄膜に通電することにより、形状記憶合金薄膜の電気抵抗を制御してオートフォーカスを行う機能を付与できるように構成したカメラモジュール。
[22] [21]に記載のカメラモジュールに内蔵された形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板上の前記形状記憶合金薄膜を含む配線は、前記固定枠の一端から前記可動部を経由して前記固定枠の他端に通電するように構成されたことを特徴とするカメラモジュール。
[23] 手振れ補正制御回路からの駆動電流を[18]乃至[20]の何れか1項に記載の駆動機構の前記形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の個々の前記形状記憶合金薄膜に独立して通電することにより、前記可動部を傾斜させることを特徴とするカメラモジュール。
[24] [21]乃至[23]の何れか1項に記載のカメラモジュールを搭載したことを特徴とするカメラ付き携帯電話あるいは小型カメラ

発明の効果

0020

このように構成した発明[1]によれば、形状記憶合金薄膜の長さを多角形の各辺に近い長さまで長くすることができるので、発生力は大きいが変位の小さいブリッジ型形状記憶合金薄膜アクチュエータの短所を補いつつカンチレバー型形状記憶合金薄膜アクチュエータでは得られない大きな発生力を得ることができる。
上記の構成を有する発明[2]によれば、1本の幅の広い形状記憶合金薄膜を複数の幅の狭い形状記憶合金薄膜に分けることによって、冷却速度が速くなり、形状記憶合金薄膜アクチュエータの応答速度を向上させることができる。
上記の構成を有する発明[3]乃至[6]によれば、形状記憶合金薄膜の収縮に伴って内部の可動部が回転するのを防ぐことができる。
上記の構成を有する発明[4]乃至[6]によれば、可動部を4点で支えることができて安定に保持することができる。
上記の構成を有する発明[7]によれば、ウエハをダイシングによってデバイス小分けすることができる。さらに、可動部を4点以上で支えることにより、横揺れのない安定した動きを得ることができる。
上記の構成を有する発明[8]によれば、可動部の3点支持が可能になり、安定した動きを得ることができる。

0021

上記の構成を有する発明[9]によれば、Siの半導体プロセスを利用することができて、[1]乃至[8]に記載の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板を大量生産することができる。
上記の構成を有する発明[10]によれば、Siに比べて安価な銅、アルミニウムチタンクロムなどの金属板を用いることができる。脆性的な機械的特性を示すSiに比べて延性のある金属を使うことにより、基板の破損を防ぐことができる。
上記の構成を有する発明[11]によれば、形状記憶合金薄膜と基板の間絶縁性を向上させて消費電力を低減させることができる。また、基板と形状記憶合金薄膜の間の密着性を改善することができる。
上記の構成を有する発明[12]によれば、基板材料の酸化によって容易に絶縁膜を得ることができる。

0022

上記の構成を有する発明[13]乃至[15]によれば、Ti−Ni合金より変態温度が高くて温度ヒステリシスが小さく、発生力が大きくて応答性に優れた形状記憶合金薄膜を使った形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板が得られる。
上記の構成を有する発明[13]と[14]によれば、Ti−Ni−Cu合金ワイヤよりも発生力が格段に大きく、また特性の組成依存性が小さくて組成制御が難しいスパッタリングにおいても安定した特性(大きい発生力、高い応答性、高い変態温度)を示す形状記憶合金薄膜を使った形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板が得られる。
上記の構成を有する発明[13]によれば、上記の構成を有する発明[14]の薄膜よりも変態温度が高く、信頼性に優れた形状記憶合金薄膜を使った形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板が得られる。

0023

上記の構成を有する発明[16]によれば、レンズあるいは撮像素子を動かしてオートフォーカスあるいは手振れ補正を行うことができる。
上記構成を有する発明[17]によれば、レンズの光路を確保することができる。
上記の構成を有する発明[18]によれば、形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の固定枠に垂直な変位を有するバイアスばねを形状記憶合金薄膜アクチュエータの可動部に押し当てることにより、可動部に搭載された対象物を形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の固定枠の面に対して垂直な方向に移動させる駆動機構を提供できる。
上記の構成を有する発明[19]によれば、可動部側接合部において形状記憶合金薄膜と基板の対剥離性を向上させることができる。
上記の構成を有する発明[20]によれば、駆動機構のストロークを大きくすることができる。

0024

上記の構成を有する発明[21]によれば、オートフォーカス制御回路を利用してオートフォーカス位置を精密に制御するオートフォーカス機構を提供できる。
上記の構成を有する発明[22]によれば、容易に形状記憶合金薄膜を加熱できて、簡単な構造のオートフォーカス機構を提供できる。
上記の構成を有する発明[23]によれば、可動部側の個々の接合部の高さを独立して変えることで可動部を固定枠の面の垂直方向から傾けることができる手振れ補正機構を提供できる。
上記の構成を有する発明[24]によれば、カメラ付き携帯電話あるいは小型カメラの厚みを薄くすることができる。

図面の簡単な説明

0025

図1は本発明の一実施例を示す形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の模式図で、4個の形状記憶合金薄膜を矩形の辺に沿って配置した形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の平面図を示している。
図2(a)は本発明の一実施例を示す形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の模式図で、図1の各辺に沿った形状記憶合金薄膜を幅の狭い複数の形状記憶合金薄膜に分けて配置した形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の平面図を示している。図2(b)は可動部の回転を抑えるバイアスばねの平面図を示している。
図3(a)は本発明の一実施例を示す形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の模式図で、各辺に沿った形状記憶合金薄膜の向き(固定枠側接合部から可動部側接合部に向かう方向として定義)を隣り合う2辺で交互に変えることによって可動部の回転を抑えた形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の平面図を示している。図3(b)は、図3(a)に記載の形状記憶合金薄膜を個別に作動させることを目的とした形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の平面図を示している。
図4は本発明の一実施例を示す形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の模式図で、固定枠の形状を六角形にした形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の平面図を示している。
図5は本発明の一実施例を示す形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の模式図で、各辺の形状記憶合金薄膜が中央で可動部に接合されている形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の平面図を示している。
図6は本発明の一実施例を示す形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の模式図で、対向する2辺に沿ったそれぞれの形状記憶合金薄膜がお互いに向き(固定枠側接合部から可動部側接合部に向かう方向)の異なる2枚の形状記憶合金薄膜で構成されている形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の平面図を示している。
図7図1乃至図6の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の発生力とストローク(予測値)を示す表である。
図8は形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の作製例を示す図で、(a)はSi基板に形状記憶合金薄膜を成膜して結晶化熱処理、(b)はフォトエッチングによるパターニングを使って形状記憶合金薄膜をエッチング、(c)はSi基板の微細加工、(d)は配線材料の成膜とフォトリソグラフィーによるパターニングの工程を示している。
図9は、図1の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板とバイアスばねを組み合わせて作った駆動機構の側面図で、移動対象物が撮像素子の例を示している。
図10は、図1の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板とバイアスばねを組み合わせて作った駆動機構の側面図で、移動対象物がレンズの例を示している。
図11は、図1の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板とバイアスばねを組み合わせて作った駆動機構の側面図で、移動対象物がレンズを組み込んだ部品の例を示している。
図12は、図1の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板とバイアスばねを組み合わせて作った駆動機構の側面図で、形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板をバイアスばねとしても使用した例を示している。
図13図10の駆動機構を使ったカメラモジュールの例である。図13(a)は模式的な断面組み立て図を示し、図13(b)は信号の流れを示すブロック図である。
図14図13オートフォーカス機能付きカメラモジュールを内部に組み込んだ携帯電話の図である。

実施例

0026

以下に、添付図面の図1乃至14を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、4個の形状記憶合金薄膜101a、101b、101c、101dを矩形の基板可動部102と基板固定枠103の4辺に沿って配置した最も基本的な形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の平面図である。これらの形状記憶合金薄膜は、一端が固定枠側接合部106a、106b、106c、106dにおいて基板固定枠103に、他端が矩形の基板可動部の頂点近傍に突起状に設けられた可動部側接合部107a、107b、107c、107dにおいて基板可動部102に接合されており、いわゆるブリッジ型形状記憶合金薄膜アクチュエータを構成している。基板可動部102と基板固定枠103には、上述の4本の形状記憶合金薄膜を連結するように配線105a、105b、105c、105d、105eが施されている。
レンズ用開口窓104は、基板可動部102の中央部に設けられた円形の窓で、図示しないレンズの光軸と一致するように、レンズ用開口窓104の中心部が位置決めされている。ガイド穴108a、108b、108c、108dは、基板可動部102のレンズ用開口窓104の四隅に設けられたもので、基板可動部102の姿勢を保持している。

0027

形状記憶合金薄膜101aの一端は基板固定枠103上に設けた給電用端子も兼ねる配線105dに接続され、他端は基板可動部102の一辺に設けられた配線105bに接続される。形状記憶合金薄膜101bの一端は配線105bに接続され、他端は基板固定枠の一辺に設けられた配線105aに接続される。形状記憶合金薄膜101cの一端は配線105aに接続され、他端は基板可動部102の反対側に設けられた配線105cに接続される。形状記憶合金薄膜101dの一端は配線105cに接続され、他端は基板固定枠上に給電用端子も兼ねて設置した配線105eに接続される。このように配置された形状記憶合金薄膜と配線は一つの回路を形成し、配線105dと105eの間に電圧をかけると、形状記憶合金薄膜101a、101b、101c、101dが通電によって加熱され、形状が同時に変化する。そこで、図1に示す形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板を図10に示すようなバイアスばね1005a、1005bと組み合わせることにより、図1の基板可動部102のレンズ用開口窓104の位置に固定したレンズ1004を光軸に沿って移動させることができる。

0028

基板可動部102と基板固定枠103の材料には、例えばシリコン基板や銅、アルミニウム、チタン、クロムなどの金属基板、樹脂などを用いることができる。基板可動部102の形状は、例えば6mmx6mmの矩形基板で厚みは0.1mm〜1mmとする。基板固定枠103の形状は、例えば外側10mmx10mm、内側8mm×8mmの矩形で厚みは0.1mm〜1mmとする。なお、基板可動部102と基板固定枠103の材料と形状はこれに限定されるものではなく、当業者に自明の範囲で適宜の設計変更が可能である。

0029

形状記憶合金薄膜101a、101b、101c、101dの材料には、例えば50原子%以上で55原子%以下のTiと10原子%を超えて20原子以下のCuを含むTi−Ni−Cu合金薄膜を用いるのが良いが、これに限定されるものではなく、後で詳細に説明するような組成の形状記憶合金を用いることができる。形状記憶合金薄膜101a、101b、101c、101dの形状は、例えば0.8mmx6mmの矩形で厚みは3〜10μmとするのが良いが、これに限定されるものではなく、後で詳細に説明するような形状を用いることができる。
レンズ用開口窓104の形状は、例えば直径3〜4mmとする。
配線105a、105b、105c、105d、105eの材料は、導電抵抗が低く、かつ基板可動部102や基板固定枠103及び形状記憶合金薄膜101a、101b、101c、101dとの接着性が良いものを用いるのが良く、例えば銅、アルミニウム合金、銀、金等が用いられる。配線105a、105b、105c、105d、105eの厚みは、形状記憶合金薄膜101a、101b、101c、101dの駆動に必要な電流を供給できるものであればよく、例えば1〜10μmとするのが良いが、これに限定されるものではない。

0030

図1に示す装置では、4個の形状記憶合金薄膜が同じ向き(固定枠側接合部106a、106b、106c、106dから可動部側接合部107a、107b、107c、107dに向かう方向を形状記憶合金薄膜の向きとする。)に取り付けられているために、形状記憶合金薄膜が収縮した際、駆動部が反時計方向に回転するようなトルクが発生する。駆動部の回転を防ぐために基板可動部102にはガイド穴108a、108b、108c、108dが設けられている。この穴の部分に図9に記載されているようなガイド906a、906bが刺さり、基板可動部の回転を防ぐ。ガイド穴は、必ずしも基板可動部102にある必要はなく、図11に記載のようにレンズを保持する部品1104に付いていてもよい。図1に示す装置では、基板可動部102は互いに離れた4箇所の可動部側接合部107a、107b、107c、107d(この場合は4隅)でそれぞれ基板固定枠と連結した形状記憶合金薄膜101a、101b、101c、101dにより支えられるので、4点支持で基板可動部を安定して支えることができる。

0031

図2(a)は、図1の各辺に沿う形状記憶合金薄膜を幅の狭い複数の形状記憶合金薄膜に分けて配置した形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の平面図である。図において、基板可動部202、基板固定枠203、レンズ用開口窓204、配線205a、205b、205c、205d、205eは、図1に示す基板可動部102、基板固定枠103、レンズ用開口窓104、配線105a、105b、105c、105d、105eと同様の構成と作用を有する。
また、形状記憶合金薄膜201a1、201a2は、図1に示す形状記憶合金薄膜101aと同様の作用を有するもので、幅が概ね3割から4.5割程度になっている。形状記憶合金薄膜201b1、201b2は、図1に示す形状記憶合金薄膜101bと同様の作用を有するもので、幅が概ね3割から4.5割程度になっている。形状記憶合金薄膜201c1、201c2は、図1に示す形状記憶合金薄膜101cと同様の作用を有するもので、幅が概ね3割から4.5割程度になっている。形状記憶合金薄膜201d1、201d2は、図1に示す形状記憶合金薄膜101dと同様の作用を有するもので、幅が概ね3割から4.5割程度になっている。

0032

このように構成された装置においては、1本の形状記憶合金薄膜を幅の狭い複数の形状記憶合金薄膜に分けることによって冷却が容易になり、基板固定枠203と基板可動部202の間に橋渡しされた形状記憶合金薄膜201a1、201a2、201b1、201b2、201c1、201c2、201d1、201d2の収縮速度が速くなることから、基板可動部202のレンズ開口用窓204に固定したレンズ等の移動対象物を速やかに移動させることができる。なお、図2(a)においては、1本の形状記憶合金薄膜を平行して設けられた幅の狭い2本の形状記憶合金薄膜に分ける場合を示しているが、本発明は2本に限定されるものではなく、3本以上に分離したものであってもよい。

0033

図2(b)はバイアスばねの一例を示す平面図である。バイアスばねは、例えば図10に示すように、図2(a)の基板可動部202、基板固定枠203と共に使用されるもので、例えばリン青銅ステンレス平板ばねを用いる。
バイアスばねは、周辺の矩形のフレーム枠形状をしたバイアスばね固定枠211bと内側のバイアスばね可動部211aで構成され、バイアスばね可動部211aは形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の基板可動部202に接合される。なお、バイアスばねの詳細は、後で図9図10図11を参照して詳細に説明する。
レンズ用開口窓212は、バイアスばね可動部211aの中央部に設けられた円形の窓で、図示しないレンズの光軸と一致するように、レンズ用開口窓212の中心部が位置決めされている。

0034

このように構成された装置においてはバイアスばね可動部211aの水平方向の位置はバイアスばね固定枠211bで規制されており、バイアスばね可動部211aを形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の基板可動部202に接合することによって、図1に記載のガイド穴108a、108b、108c、108dを設けることなく、基板可動部202の回転を抑えることができる。図2(a)に示すようにガイド穴108a、108b、108c、108dを設けない場合には、図9に記載されているようなガイド906a、906bとの係合をとる必要がなくなり、組立調整作業が簡単になる。

0035

図2に示す装置では、形状記憶合金薄膜201a1と201a2、201b1と201b2、201c1と201c2、201d1と201d2の一端は固定枠側接合部206a、206b、206c、206dにおいて基板固定枠203に、他の端は可動部側接合部207a、207b、207c、207dにおいて基板可動部202に接合されており、可動部側接合部は互いに離れた位置にあるために4点支持で基板可動部202を安定して支えることができる。

0036

図3(a)は、図1の4個の形状記憶合金薄膜の向きを隣り合う辺で交互に変えて配置した形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の平面図である。図において、形状記憶合金薄膜301a、301b、301c、301d、基板可動部302、基板固定枠303、レンズ用開口窓304は、図1に示す形状記憶合金薄膜101a、101b、101c、101d、基板可動部102、基板固定枠103、レンズ用開口窓104と同様の構成と作用を有する。

0037

配線305aは、基板固定枠303の四隅の一つに設けられるもので、形状記憶合金薄膜301aと301bの端子を兼ねている。
配線305bは基板可動部上に設けられ、一端を形状記憶合金薄膜301bに、他端を形状記憶合金薄膜301cに接続されている。
同様に、配線305cは基板可動部302上にあって、一端を形状記憶合金薄膜301aに他端を形状記憶合金薄膜301dに接続されている。
配線305dは、基板固定枠303の四隅の一つにあって、配線305aと対角上に設けられるもので、形状記憶合金薄膜301cと301dの端子を兼ねている。

0038

このように構成された装置においては、基板可動部302の回転を防ぐことができる。ただし、形状記憶合金薄膜の長さが辺の長さに近くなると、基板可動部302を2点のみで支えることになって基板可動部302の支持が不安定になる。そのため、形状記憶合金薄膜の長さは辺の2/3程度以下に抑えることが好ましい。形状記憶合金薄膜の長さを2/3以下に抑えることで、形状記憶合金薄膜301a、301b、301c、301dの可動部側接合部307a、307b、307c、307dを互いに離すことができ、基板可動部302を4点で安定して支持することができる。

0039

図3(b)は、図3(a)の各辺に沿った形状記憶合金薄膜を独立して作動できるようにした形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の平面図である。図において、基板可動部322、基板固定枠323、レンズ用開口窓324は、図2(a)に示す基板可動部202、基板固定枠203、レンズ用開口窓204と同様の構成と作用を有する。
形状記憶合金薄膜321a、321b、321c、321dは、大略字形の平行な2本の形状記憶合金薄膜を有しており、U字形の基部は基板可動部322に接合され、U字形の先端は基板固定枠323に接合されて配線325aと325b、325cと325d、325eと325f、及び325gと325hにそれぞれ接続される。

0040

このように構成された装置においては、形状記憶合金薄膜を独立して作動させることによって、4か所ある可動部側接合部の高さを個別に変えることができるために基板可動部322の傾きを変えることができる。このような機構は手振れ補正として使える。

0041

図4は基板の形状を6角形とした形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の平面図である。図において、形状記憶合金薄膜401a、401b、401c、401d、401e、401fは、一端が基板固定枠403の内側縁部に設けた固定枠側接合部406a、406b、406c、406d、406e、406fにおいて基板固定枠403に、他端が基板可動部402の6角形縁部に設けた可動部側接合部407a、407b、407c、407d、407e、407fにおいて基板可動部402に接合されている。
基板可動部402と基板固定枠403は、材料として、例えばシリコン基板を用いる。基板可動部402の形状は、例えば一辺が6mmの6角形基板で厚みは0.1mm〜1mmとする。基板可動部402は、6角形基板の外側角部に突起部が3個設けられており、形状記憶合金薄膜の一方の端が取り付けられる。
基板固定枠403の形状は、例えば外側10mm、内側8mmの6角形基板で厚みは0.1mm〜1mmとする。基板固定枠403は、6角形基板の内側角部に突起部が3個設けられており、形状記憶合金薄膜の他方の端が取り付けられる。基板可動部402の外側突起部と基板固定枠403の内側突起部は、互いに干渉しないように設けられている。
なお、基板可動部402と基板固定枠403の材料と形状はこれに限定されるものではなく、当業者に自明の範囲で適宜の設計変更が可能である。

0042

レンズ用開口窓404は、基板可動部402の中央部に設けられた円形の窓で、図示しないレンズの光軸と一致するように、レンズ用開口窓404の中心部が位置決めされている。
配線405aは、基板固定枠403の内側突起部の一辺に設けられるもので、形状記憶合金薄膜401bの一端が取り付けられている。配線405bは、基板可動部402の外側突起部に設けられるもので、形状記憶合金薄膜401bの他端と401aの一端が取り付けられている。配線405cは、基板固定枠403の内側突起部に設けられるもので、形状記憶合金薄膜401aの他端と401fの一端が取り付けられている。配線405dは、基板可動部402の外側突起部に設けられるもので、形状記憶合金薄膜401fの他端と401eの一端が取り付けられている。配線405eは、基板固定枠403の内側突起部に設けられるもので、形状記憶合金薄膜401eの他端と401dの一端が取り付けられている。配線405fは、基板可動部402の外側突起部に設けられるもので、形状記憶合金薄膜401dの他端と401cの一端が取り付けられている。配線405gは、基板固定枠403の内側突起部の一辺に設けられるもので、形状記憶合金薄膜401cの他端が取り付けられている。配線405aと配線405gは形状記憶合金薄膜の給電用端子を兼ねるものであり、基板固定枠403の同じ内側突起部の対向する辺に設けられている。

0043

このように構成された装置においては、基板可動部402を3点で支持することになり、基板可動部402を安定して支えることができる。

0044

図5では、基板可動部502と基板固定枠503の各辺に沿って、形状記億合金薄膜501a、501b、501c、501dが設けられている。各形状記億合金薄膜501a、501b、501c、501dの両端は固定枠側接合部506a1と506a2、506b1と506b2、506c1と506c2及び506d1と506d2においてそれぞれ基板固定枠503に接合され、各形状記憶合金薄膜の略中央で可動部側接合部507a、507b、507c、507dにおいて基板可動部502と接合される。配線505a、505b、505c、505dは、基板固定枠503に形成されたもので、505aと505c、あるいは505bと505dの組み合わせで形状記憶合金薄膜の給電用端子も兼ねることができる。

0045

このように構成された装置においては、基板可動部502と基板固定枠503の一辺に沿った形状記憶合金薄膜501a、501b、501c、501dは、実質的にはその長さの略半分のブリッジ型形状記憶合金薄膜アクチュエータ2本で構成されることになり、図1オートフォーカス駆動用形状記憶合金薄膜アクチュエータに比べて変位は略半分になるものの発生力を略2倍にすることができる。さらに、図5に示す装置の場合は形状記憶合金薄膜が収縮した時の基板可動部の回転は起きないという利点がある。さらに可動部側接合部507a、507b、507c、507dはお互いに離れているので、4点支持により基板可動部502を安定して移動させることができる。

0046

図6(a)は、対向する2辺の形状記憶合金薄膜を、それぞれ向きの異なる2本の形状記憶合金薄膜601a1と601a2、および601b1と601b2で構成した形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の平面図である。
形状記憶合金薄膜601a1と601a2、および601b1と601b2は一端がそれぞれ固定枠側接合部606a1、606a2、606b1、606b2において基板固定枠603に、他端が矩形の基板可動部602の頂点近傍に設けられた突起部とその延伸部に設けた可動部側接合部607a1、607a2、607b1、607b2において基板可動部602に接合されている。
配線605aは基板可動部602の縁部と平行に設けた延伸部に形成されたものである。形状記憶合金薄膜601a2は、配線605aと基板可動部602の一辺との間に位置している。また、形状記憶合金薄膜601a1は、配線605aと基板固定枠603の一辺との間に位置している。
配線605bは、基板可動部602の配線605aと反対側の一辺に平行に設けた延伸部に形成されたものである。形状記憶合金薄膜601b2は、配線605bと基板可動部602の反対側の一辺との間に位置している。また、形状記憶合金薄膜601b1は、配線605bと基板固定枠603の反対側の一辺の間に位置している。

0047

このように構成された装置においては、基板可動部602の回転は起きず、また、4点で支えていることから安定した動きが得られる。この場合、図6(b)のような補強材611を基板可動部602に貼り付けて、基板の細くなった部分の補強を行ってもよい。また、図6(a)では、矩形の4辺のうち2辺に形状記憶合金薄膜が設置されているが、4辺に同様な形状記憶合金薄膜が設置されてもよい。

0048

図7は、図1乃至6の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板について、非特許文献1で公開されているブリッジ型形状記憶合金薄膜アクチュエータの性能予測式を用いて推定した各基板の発生力とストロークを示す。Ti−Ni−Cu合金薄膜の物性値K値)を用い、形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の一辺が10mmの場合に表に記載した形状記憶合金薄膜の長さ、厚さ、幅、本数を想定して、基板可動部に一定のバイアス力負荷した時の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の発生力とストロークを予測した。本表に示された数値は一例であり、ブリッジ型形状記憶合金薄膜アクチュエータでは、形状記憶合金薄膜の長さに比例して変位が増加し、幅と厚さに比例して発生力が増加するので、当業者として適宜の設計変更を行うことにより幅広い発生力とストロークが得られる。

0049

図8には形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板の作製例を示す。図8(a)に示す工程では、Siウエハ802上にTi−Ni−Cu合金薄膜801をスパッタリングによって成膜し、その後、500℃以上の高温で結晶化熱処理を行う。図8(b)に示す工程では、フォトリソグラフィー技術を使って、HF/HNO3/H2Oによるウェットエッチングあるいは硫酸メタノールやLiCl/エタノール溶液を使った電解エッチングによって不要な形状記憶合金薄膜を取り除く。図8(c)に示す工程では、SFガスを使った反応性イオンエッチングによりSi基板の微細加工を行う。最後に図8(d)に示す工程において、Cu、Al、Ag、Au等の配線材料803をめっきやスパッタリングなどで成膜し、回路を形成するためにパターニングを行う。ここで図8(d)は図1の形状記憶合金薄膜101aに沿って切断したアクチュエータ基板の断面に対応している。

0050

なお、図8作製方法の一例を示したものであり、例えば基板として銅、アルミニウム、チタン、クロムなどの金属基板や樹脂なども用いることができる。脆性的な機械的特性を有するシリコンに比べて、金属基板を用いることにより基板の破損を防ぐことができる。また、固定枠側接合部804と可動部側接合部805において絶縁性を確保するために、基板と形状記憶合金薄膜の間にSiO2やSi3N4あるいは金属酸化物や樹脂などの中間層を挿入してもよい。Si基板は半導体の特性を示すので、図8に示すように直接、形状記憶合金薄膜を成膜しても大部分の電流は形状記憶合金薄膜を流れるが、Si基板と形状記憶合金薄膜の間に絶縁層を設けることで電流を効率的に形状記憶合金薄膜に流して消費電力を減らすことができる。また、基板に金属を用いる場合は、中間層としての絶縁層は必須である。さらに、Ti−NiあるいはTi−Ni−Cu形状記憶合金薄膜をSi基板に直接、成膜した場合、結晶化熱処理温度が高いと形状記憶合金薄膜中のNiと基板中のSiが界面で反応してNi珪化物を作り、これを起点として形状記憶合金薄膜が基板から剥離しやすくなることが知られている。この問題を解決するためにNiと相互に固溶しないAgなどの薄膜を形状記憶合金薄膜と基板の間に中間層として挟むことで形状記憶合金薄膜の密着性を改善することができる。これらの中間層は図8(a)に示す工程でスパッタリングを行う前に、基板の熱酸化陽極酸化、あるいはCVDやスパッタリングによる成膜やスピンコーティングによる塗布などで形成させることができる。金属基板上に陽極酸化で酸化膜を形成させる場合には、膜厚が薄いと絶縁破壊が起きるので100nm以上の膜厚が好ましい。また、密着性改善を目的として行うAg薄膜の厚さは、消費電力の低減のために1μm以下にすることが望ましい。

0051

形状記憶合金薄膜としては、Ti−Ni、Ti−Ni−Cu、Ti−Ni−Pd、Ti−Ni−Hf、Ti−Ni−Zr、Cu−Al−Ni合金などの形状記憶効果を示す合金の薄膜ならなんでもよいが、とりわけ50原子%以上で55原子%以下のTiと5原子%以上で20原子以下のCuを含むTi−Ni−Cu合金薄膜あるいは45原子%以上で50原子%未満のTiと原子%で10+1.6×(50−Tiの原子%)を超えて20+1.6×(50−Tiの原子%)以下のCuを含むTi−Ni−Cu合金薄膜を用いるのがよい。
このような組成の合金薄膜によれば、通常、使用されているTi−Ni合金よりも変態温度が高くて温度ヒステリシスが小さく、発生力が大きくて応答性に優れた形状記憶合金薄膜を使った形状記憶合金薄膜アクチュエータを作製することができる。

0052

好ましくは、50原子%以上で55原子%以下のTiと10原子%を超えて20原子以下のCuを含むTi−Ni−Cu合金薄膜あるいは45原子%以上で50原子%未満のTiと原子%で10+1.6×(50−Tiの原子%)を超えて20+1.6×(50−Tiの原子%)以下のCuを含むTi−Ni−Cu合金薄膜を用いるのがよい。
このような組成の合金薄膜によれば、Ti−Ni−Cu合金ワイヤよりも格段に発生力が大きく、特性の組成依存性が小さくて組成制御が難しいスパッタリングにおいても安定した特性(大きい力、高い応答性、高い変態温度)を示す形状記憶合金薄膜を使った形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板を安価で大量に製造することができる。

0053

より好ましくは、50原子%以上で55原子%以下のTiと10原子%を超えて20原子%以下のCuを含むTi−Ni−Cu形状記憶合金薄膜を用いることによって、変態温度がより高くて信頼性に優れた形状記憶合金薄膜(非特許文献2)を使った形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板を作製することができる。

0054

形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板とバイアスばねを組み合わせて構成した駆動機構の例を図9乃至図12に示す。実施例としては、図1の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板を使った例を示すが、図1乃至6のいずれの形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板でも同様な構成が可能である。

0055

図9図1の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板とバイアスばねを組み合わせて作った駆動機構の側面図で、移動対象物が撮像素子の例を示している。
形状記憶合金薄膜901a、901bは、図1の形状記憶合金薄膜101a、101cを横から見たもので、基板固定枠903と基板可動部902の間にそれぞれ橋渡しされて、ブリッジ型形状記憶合金薄膜アクチュエータを構成している。
基板固定枠903は図1の基板固定枠103に対応し、基板可動部902は、図1の基板可動部102に対応している。
撮像素子904は、基板可動部102に搭載される移動対象物であって、CMOSセンサCCDセンサ等で構成される。撮像素子904は接着剤等で基板可動部902に固定される。

0056

バイアスばね905a、905bは、直接、基板可動部902に基板固定枠903の面から押し出すような力を与えている。
ガイド906a、906bは樹脂などで形成され、基板可動部902が回転しないように、図1アクチェータ基板のガイド穴108a、108b、108c、108dに通して使用する。但し、図2乃至図6のように構成して、基板可動部が回転しないような工夫がなされるなら、ガイドを省略することができる。ケース907は樹脂などで形成され、撮像素子を適切な位置に配して収納する。

0057

このように構成された装置においては、形状記憶合金薄膜901a、901bが室温で容易に変形して伸びるために、基板可動部902はバイアスばね905a、905bによってケース907と当接した位置に保持される。一方、通電によって形状記憶合金薄膜901a、901bが加熱されると元の形状に収縮するために基板可動部902が基板固定枠903に近い位置に引き戻されるので、移動対象物を移動させることができてオートフォーカス機能を実現することができる。

0058

図10図1の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板とバイアスばねを組み合わせて作った駆動機構の側面図で、移動対象物がレンズの例を示している。
形状記憶合金薄膜1001a、1001bは、図1の形状記憶合金薄膜101a、101cを横から見たもので、基板固定枠1003と基板可動部1002の間にそれぞれ橋渡しされて、ブリッジ型形状記憶合金薄膜アクチュエータを構成している。
基板固定枠1003は図1の基板固定枠103に対応し、基板可動部1002は、図1の基板可動部102に対応している。
レンズ1004は、基板可動部102に搭載する移動対象物であって、接着剤等で基板可動部1002に固定される。レンズの素材としてはフェノール系の樹脂やアクリル系の樹脂等が使われる。

0059

バイアスばね1005a、1005bは、スペーサー1008a、1008bを介して、それぞれ基板可動部1002に基板固定枠1003の面から押し出すような力を与えている。図10においてバイアスばね1005a、1005bを基板可動部1002の形状記憶合金薄膜が成膜された面の側(図10では基板可動部1002から見て反対側)に置いて、バイアス力を負荷してもよいが、この場合は形状記憶合金薄膜1001a、1001bに基板可動部との接合部において基板可動部1002から引きはがすような力が働くので、形状記憶合金薄膜の耐剥離性の観点からみると好ましくない。

0060

バイアスばねとしてはリン青銅やステンレス等の金属製の平板ばねやコイルばねを用いることができる。バイアスばね1005a、1005bが平板ばね(例えば図2(b))の場合にはスペーサー1008a、1008bが必要である。コイルばねや図9に示した曲げ加工を行ったばねをバイアスばねとして用いる場合は、スペーサーを必要としない。また、図12で示すように形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板(1201c、1201d、1202b、1203bで構成)をバイアスばねとして使うこともできる。
ケース1007は樹脂などで形成され、レンズ、アクチュエータ基板、バイアスばねを適切な位置に配して収納する。
ストッパー1009は、樹脂等で形成した凸部で、加熱していない時の基板可動部1002の位置を決めるために用いる。なお、ストッパーを省いて基板可動部をケース1007に直接当てて止めてもよい。

0061

このように構成された装置においては、形状記憶合金薄膜1001a、1001bが室温で容易に変形するために、基板可動部1002はバイアスばね1005a、1005bによってストッパー1009と当接した位置に保持される。一方、通電によって形状記憶合金薄膜1001a、1001bが加熱されると元の形状に収縮するために基板可動部1002が基板固定枠1003に近い位置に引き戻されるので、移動対象物を移動させることができてオートフォーカス機能を実現することができる。

0062

図11は、図1の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板とバイアスばねを組み合わせて作った駆動機構の側面図で、移動対象物がレンズを組み込んだ部品の例を示している。
形状記憶合金薄膜1101a、1101bは、図1の形状記憶合金薄膜101a、101cを横から見たもので、基板固定枠1103と基板可動部1102の間にそれぞれ橋渡しされて、ブリッジ型形状記憶合金薄膜アクチュエータを構成している。
基板固定枠1103は図1の基板固定枠103に対応し、基板可動部1102は、図1の基板可動部102に対応している。
レンズ保持部品1104は、樹脂などで形成されるもので、バイアスばね1105a、1105bによって基板可動部1102に押し当てられる。

0063

バイアスばね1105a、1105bは、レンズ保持部品1104を介して、基板可動部1102に基板固定枠1103の面から押し出すような力を与えている。
ケース1107は樹脂などで形成され、レンズ保持部品、アクチュエータ基板、バイアスばねを適切な位置に配して収納する。
レンズ1109は、レンズ保持部品1104によって保持されている。

0064

このように構成された装置においては、形状記憶合金薄膜1101a、1101bが室温で容易に変形するために、基板可動部1102はバイアスばね1105a、1105bによってケース1107と当接した位置に保持される。一方、通電によって形状記憶合金薄膜1101a、1101bが加熱されると元の形状に収縮するために基板可動部1102が基板固定枠1103に近い位置に引き戻されるので、移動対象物を移動させることができてオートフォーカス機能を実現することができる。

0065

図12は、図1の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板とバイアスばねを組み合わせて作った駆動機構の側面図で、形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板をバイアスばねとしても使用した例を示している。
形状記憶合金薄膜1201a、1201b(これらは図1の形状記憶合金薄膜101a、101cを横から見たものである。)は基板固定枠1203aと基板可動部1202aの間にそれぞれ橋渡しされて、ブリッジ型形状記憶合金薄膜アクチュエータを構成している。形状記憶合金薄膜1201c、1201dは、バイアスばねとして用いられる。
基板固定枠1203aは図1の基板固定枠103に対応し、基板可動部1202aは、図1の基板可動部102に対応している。
レンズ1204は、基板可動部102に搭載する移動対象物で、接着剤等で基板可動部1202aに固定される。
ケース1205は樹脂などで形成され、レンズ、アクチュエータ基板、バイアスばねを適切な位置に配して収納する。
スペーサー1206a、1206bは、基板可動部1202aと1202bの間に挟んで使用する。

0066

このように構成された装置においては、形状記憶合金薄膜1201a、1201bが室温で容易に変形するために、基板可動部1202aはバイアスばねとして用いた形状記憶合金薄膜1201c、1201dによって押し出されてケース1205と当接した位置に保持される。一方、通電によって形状記憶合金薄膜1201a、1201bが加熱されると元の形状に収縮するために基板可動部1202aが基板固定枠1203aに近い位置に引き戻されるので、移動対象物を移動させることができてオートフォーカス機能を実現することができる。
図12に示すような形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板をバイアスばねとしても使用する場合は、図9乃至図11に示す通常のバイアスばねに比べて基板可動部1202aのストロークを大きくできる利点がある。

0067

図13には、図10の駆動機構を使ったカメラモジュールの例を示す。図13(a)はカメラモジュールの模式的な側面断面図である。従来のカメラモジュールの構成部品うち、撮像レンズ部1301を図10の駆動機構に置き換えることでオートフォーカス機能に対応したカメラモジュールを作製できる。

0068

図13(b)はカメラモジュールの信号の流れを示すブロック図である。撮像部1321から出力されるオートフォーカス信号はカメラモジュール端子1322を経由してカメラ本体のCPU1323に送られる。一方、この情報に基づいてCPU1323から指示されるレンズの位置情報はアクチェータドライバIC1324に送られる。アクチュエータドライバIC1324から伸びる2本の配線は撮像レンズ部1325(図10の駆動機構)の内部の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板(図1)の2つの端子(図1の105d、105e)に結線されていて、形状記憶合金薄膜の電気抵抗を測定すると同時に、本体CPU1323から指示されたレンズ位置に相当する形状記憶合金薄膜の抵抗値を維持するように形状記憶合金薄膜の通電加熱に必要な電流を制御する。

0069

図13ではアクチュエータドライバICはカメラモジュールの外に配置されているが、図14に示すようにアクチュエータドライバIC1402がカメラモジュール1401の内部に置かれてもよい。図10の駆動機構は従来のレンズ駆動機構に比べて薄くすることができるために図14の携帯電話本体1404の厚さを小さくすることができる。同様な効果は、携帯電話だけでなく、上述のカメラモジュールを搭載した小型カメラにおいても得られ、装置本体の厚さを薄くすることができる。

0070

なお、上記の実施例においては、形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板及びこれを使ったオートフォーカス機構あるいは手振れ補正機構として種々の構成例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、当業者として、適宜の設計変更を行いうることは言うまでもない。

0071

本発明の形状記憶合金薄膜アクチュエータ基板によれば、光軸に垂直な方向にレンズの位置を変えることができる(オートフォーカス機能)。さらに個々のアクチュエータを独立して動かせば、光軸方向から傾ける(手振れ補正機構)こともできる。

0072

101a、101b、101c、101d形状記憶合金薄膜
102基板可動部
103基板固定枠
104レンズ用開口窓
105a、105b、105c、105d、105e配線
106a、106b、106c、106d固定枠側接合部
107a、107b、107c、107d可動部側接合部
108a、108b、108c、108dガイド穴
201a1、201a2、201b1、201b2、201c1、201c2、201d1、201d2 形状記憶合金薄膜
202 基板可動部
203 基板固定枠
204 レンズ用開口窓
205a、205b、205c、205d、205e 配線
206a、206b、206c、206d 固定枠側接合部
207a、207b、207c、207d 可動部側接合部
211aバイアスばね可動部
211b バイアスばね固定枠
212 レンズ用開口窓
301a、301b、301c、301d 形状記憶合金薄膜
302 基板可動部
303 基板固定枠
304 レンズ用開口窓
305a、305b、305c、305d 配線
306a、306b、306c、306d 固定枠側接合部
307a、307b、307c、307d 可動部側接合部
321a、321b、321c、321d 形状記憶合金薄膜
322 基板可動部
323 基板固定枠
324 レンズ用開口窓
325a、325b、325c、325d、325e、325f、325g、325h 配線
401a、401b、401c、401d、401e、401f 形状記憶合金薄膜
402 基板可動部
403 基板固定枠
404 レンズ用開口窓
405a、405b、405c、405d、405e、405f、405g
配線
406a、406b、406c、406d、406e、406f 固定枠側接合部
407a、407b、407c、407d、407e、407f 可動部側接合部
501a、501b、501c、501d 形状記憶合金薄膜
502 基板可動部
503 基板固定枠
504 レンズ用開口窓
505a、505b、505c、505d 配線
506a1、506a2、506b1、506b2、506c1、506c2、506d1、506d2 固定枠側接合部
507a、507b、507c、507d 可動部側接合部
601a1、601a2、601b1、601b2 形状記憶合金薄膜
602 基板可動部
603 基板固定枠
604 レンズ用開口窓
605a、605b 配線
606a1、606a2、606b1、606b2 固定枠側接合部
607a1、607a2、607b1、607b2 可動部側接合部
611補強材
612 レンズ用開口窓
801 Ti−Ni−Cu形状記憶合金薄膜
802Si基板
803配線材料
804 固定枠側接合部
805 可動部側接合部
901a、901b形状記憶合金薄膜
902 基板可動部
903 基板固定枠
904撮像素子
905a、905b バイアスばね
906a、906bガイド
907ケース
1001a、1001b 形状記憶合金薄膜
1002 基板可動部
1003 基板固定枠
1004レンズ
1005a、1005b バイアスばね
1006a、1006b ガイド
1007 ケース
1008a、1008bスペーサー
1009ストッパー
1101a、1101b 形状記憶合金薄膜
1102 基板可動部
1103 基板固定枠
1104レンズ保持部品
1105a、1105b バイアスばね
1106a、1106b ガイド
1107 ケース
1108a、1108b スペーサー
1109 レンズ
1201a、1201b、1201c、1201d 形状記憶合金薄膜
1202a、1202b 基板可動部
1203a、1203b 基板固定枠
1204 レンズ
1205 ケース
1206a、1206b スペーサー
1301撮像レンズ部
1302撮像部
1303フレキシブル基板
1304カメラモジュール端子
1305 レンズ
1306 撮像素子
1307信号処理LSI
1308赤外線カットフィルター
1321 撮像部
1322 カメラモジュール端子
1323 CPU
1324アクチュエータドライバIC
1325 撮像レンズ部
1401 カメラモジュール
1402 アクチュエータドライバIC
1403 CPU
1404携帯電話本体

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