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技術 非水系電解液及び非水系二次電池

出願人 旭化成株式会社公益財団法人野口研究所
発明者 松岡直樹加味根丈主小西満月男友国敬三
出願日 2018年5月8日 (3年5ヶ月経過) 出願番号 2018-090213
公開日 2019年11月14日 (1年11ヶ月経過) 公開番号 2019-197632
状態 未査定
技術分野 二次電池(その他の蓄電池) 電池の電極及び活物質
主要キーワード 混合樹脂材料 各幅寸法 フッ素含有無機 シュウ酸基 設計容量値 カシメ機 電極保護用 環状硫黄化合物
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年11月14日)のものです。
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図面 (6)

課題

粘度と比誘電率とのバランスに優れたアセトニトリルと、フッ素含有無機リチウム塩と、を含有する非水系電解液において、遷移金属とアセトニトリルとからなる錯体カチオンの生成を抑制し、優れた負荷特性を発揮するとともに、高温貯蔵時のガス発生を抑制することができる非水系電解液及び非水系二次電池を提供する。

解決手段

アセトニトリルを含む非水系溶媒と、フッ素含有無機リチウム塩と、下記一般式(1)で表される化合物と、を含有する非水系電解液。

概要

背景

リチウムイオン二次電池をはじめとする非水系二次電池は、軽量、高エネルギー及び長寿命であることが大きな特徴であり、各種携帯用電子機器電源として広範囲に用いられている。近年では、電動工具等のパワーツールに代表される産業用電気自動車電動式自転車等における車載用としても広がりを見せている。更には、住宅用蓄電システム等の電力貯蔵分野においても注目されている。

常温作動型のリチウムイオン二次電池の電解液としては、非水系電解液を使用することが実用の見地より望ましい。例えば、環状炭酸エステル等の高誘電率溶媒と、低級鎖状炭酸エステル等の低粘性溶媒と、の組み合わせが、一般的な溶媒として例示される。しかしながら、通常の高誘電率溶媒は、融点が高いことの他、非水系電解液に用いる電解質塩の種類によっては、非水系電解液の負荷特性出力特性)及び低温特性劣化させる要因にもなり得る。

このような問題を克服する溶媒の1つとして、粘度と比誘電率とのバランスに優れたニトリル系溶媒が提案されている。中でもアセトニトリルは、リチウムイオン二次電池の電解液に用いる溶媒として高いポテンシャルを有する。しかしながら、アセトニトリルは、負極で電気化学的に還元分解するという致命的な欠点があるため、実用性能を発揮することができていなかった。この問題に対して、幾つかの改善策が提案されている。これまでに提案されている改善策のうち主なものは、以下の3つに分類される。

(1)特定の電解質塩、添加剤等との組み合わせによって負極を保護し、アセトニトリルの還元分解を抑制する方法
例えば、特許文献1及び2には、溶媒であるアセトニトリルを、特定の電解質塩及び添加剤と組み合わせることによって、アセトニトリルの還元分解の影響を低減した電解液が報告されている。なお、リチウムイオン二次電池の黎明期には、特許文献3のように、アセトニトリルをプロピレンカーボネート及びエチレンカーボネート希釈しただけの溶媒を含む電解液も報告されている。しかしながら、特許文献3では、高温耐久性能について、高温保存後内部抵抗及び電池厚みのみの評価により判定しているため、高温環境下に置かれた場合に、実際に電池として作動するか否かという情報は開示されていない。単純に、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートで希釈するだけの措置によって、アセトニトリルをベースとする溶媒を含む電解液の還元分解を抑制することは、実際には至難の業である。溶媒の還元分解の抑制方法としては、特許文献1及び2のように、複数の電解質塩及び添加剤を組み合わせる方法が現実的である。

(2)アセトニトリルの還元電位よりも貴な電位リチウムイオン吸蔵する負極活物質を用いることによって、アセトニトリルの還元分解を抑制する方法
例えば、特許文献4には、負極に特定の金属化合物を用いることにより、アセトニトリルの還元分解を回避した電池を得ることができると報告されている。ただし、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度重視する用途においては、アセトニトリルの還元電位よりも卑な電位でリチウムイオンを吸蔵する負極活物質を用いる方が、電位差の観点から圧倒的に有利となる。そのため、そのような用途において、特許文献4の改善策を適用すると、使用可能な電圧の範囲が狭くなるため、不利である。

(3)高濃度の電解質塩をアセトニトリルに溶解させて安定な液体状態を維持する方法
例えば、特許文献5には、濃度が4.2mol/Lとなるように、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(SO2CF3)2)をアセトニトリルに溶解させた電解液を用いると、黒鉛電極への可逆的なリチウム挿入脱離が可能であることが記載されている。また、特許文献6には、濃度が4.5mol/Lとなるように、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiN(SO2F)2)をアセトニトリルに溶解させた電解液を用いたセルに対して充放電測定を行った結果、黒鉛へのLi+挿入脱離反応が観察され、更に、ハイレート放電可能であることが報告されている。

概要

粘度と比誘電率とのバランスに優れたアセトニトリルと、フッ素含有無機リチウム塩と、を含有する非水系電解液において、遷移金属とアセトニトリルとからなる錯体カチオンの生成を抑制し、優れた負荷特性を発揮するとともに、高温貯蔵時のガス発生を抑制することができる非水系電解液及び非水系二次電池を提供する。アセトニトリルを含む非水系溶媒と、フッ素含有無機リチウム塩と、下記一般式(1)で表される化合物と、を含有する非水系電解液。なし

目的

本発明は、粘度と比誘電率とのバランスに優れたアセトニトリルと、フッ素含有無機リチウム塩と、を含有する非水系電解液において、遷移金属とアセトニトリルとからなる錯体カチオンの生成を抑制し、優れた負荷特性を発揮するとともに、電池に用いられた際に、高温貯蔵時のガス発生を抑制することができる非水系電解液及び非水系二次電池を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

アセトニトリルを含む非水系溶媒と、フッ素含有無機リチウム塩と、下記一般式(1)で表される化合物と、を含有することを特徴とする非水系電解液

請求項2

前記一般式(1)で表される化合物が、1−メチルピラゾールであることを特徴とする請求項1記載の非水系電解液。

請求項3

前記一般式(1)で表される化合物の含有量が、非水系電解液の全体に対して0.01〜10質量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の非水系電解液。

請求項4

前記アセトニトリルの含有量が、非水系電解液の全体に対して30〜100体積%であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の非水系電解液。

請求項5

前記フッ素含有無機リチウム塩が、LiPF6を含有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の非水系電解液。

請求項6

集電体の片面又は両面に、Ni、Mn、及びCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素を含有する正極活物質層を有する正極、集電体の片面又は両面に負極活物質層を有する負極、並びに、請求項1から5のいずれかに記載の非水系電解液を具備することを特徴とする非水系二次電池

請求項7

85℃4時間保存後での出力試験における容量維持率が、75%以上であることを特徴とする請求項6記載の非水系二次電池。

請求項8

60℃貯蔵試験におけるガス発生量が、電池容量1mAhあたりの換算値として0.0025ml以下であることを特徴とする請求項6又は7に記載の非水系二次電池。

技術分野

0001

本発明は、非水系電解液及び非水系二次電池に関する。

背景技術

0002

リチウムイオン二次電池をはじめとする非水系二次電池は、軽量、高エネルギー及び長寿命であることが大きな特徴であり、各種携帯用電子機器電源として広範囲に用いられている。近年では、電動工具等のパワーツールに代表される産業用電気自動車電動式自転車等における車載用としても広がりを見せている。更には、住宅用蓄電システム等の電力貯蔵分野においても注目されている。

0003

常温作動型のリチウムイオン二次電池の電解液としては、非水系電解液を使用することが実用の見地より望ましい。例えば、環状炭酸エステル等の高誘電率溶媒と、低級鎖状炭酸エステル等の低粘性溶媒と、の組み合わせが、一般的な溶媒として例示される。しかしながら、通常の高誘電率溶媒は、融点が高いことの他、非水系電解液に用いる電解質塩の種類によっては、非水系電解液の負荷特性出力特性)及び低温特性劣化させる要因にもなり得る。

0004

このような問題を克服する溶媒の1つとして、粘度と比誘電率とのバランスに優れたニトリル系溶媒が提案されている。中でもアセトニトリルは、リチウムイオン二次電池の電解液に用いる溶媒として高いポテンシャルを有する。しかしながら、アセトニトリルは、負極で電気化学的に還元分解するという致命的な欠点があるため、実用性能を発揮することができていなかった。この問題に対して、幾つかの改善策が提案されている。これまでに提案されている改善策のうち主なものは、以下の3つに分類される。

0005

(1)特定の電解質塩、添加剤等との組み合わせによって負極を保護し、アセトニトリルの還元分解を抑制する方法
例えば、特許文献1及び2には、溶媒であるアセトニトリルを、特定の電解質塩及び添加剤と組み合わせることによって、アセトニトリルの還元分解の影響を低減した電解液が報告されている。なお、リチウムイオン二次電池の黎明期には、特許文献3のように、アセトニトリルをプロピレンカーボネート及びエチレンカーボネート希釈しただけの溶媒を含む電解液も報告されている。しかしながら、特許文献3では、高温耐久性能について、高温保存後内部抵抗及び電池厚みのみの評価により判定しているため、高温環境下に置かれた場合に、実際に電池として作動するか否かという情報は開示されていない。単純に、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートで希釈するだけの措置によって、アセトニトリルをベースとする溶媒を含む電解液の還元分解を抑制することは、実際には至難の業である。溶媒の還元分解の抑制方法としては、特許文献1及び2のように、複数の電解質塩及び添加剤を組み合わせる方法が現実的である。

0006

(2)アセトニトリルの還元電位よりも貴な電位リチウムイオン吸蔵する負極活物質を用いることによって、アセトニトリルの還元分解を抑制する方法
例えば、特許文献4には、負極に特定の金属化合物を用いることにより、アセトニトリルの還元分解を回避した電池を得ることができると報告されている。ただし、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度重視する用途においては、アセトニトリルの還元電位よりも卑な電位でリチウムイオンを吸蔵する負極活物質を用いる方が、電位差の観点から圧倒的に有利となる。そのため、そのような用途において、特許文献4の改善策を適用すると、使用可能な電圧の範囲が狭くなるため、不利である。

0007

(3)高濃度の電解質塩をアセトニトリルに溶解させて安定な液体状態を維持する方法
例えば、特許文献5には、濃度が4.2mol/Lとなるように、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(SO2CF3)2)をアセトニトリルに溶解させた電解液を用いると、黒鉛電極への可逆的なリチウム挿入脱離が可能であることが記載されている。また、特許文献6には、濃度が4.5mol/Lとなるように、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiN(SO2F)2)をアセトニトリルに溶解させた電解液を用いたセルに対して充放電測定を行った結果、黒鉛へのLi+挿入脱離反応が観察され、更に、ハイレート放電可能であることが報告されている。

先行技術

0008

国際公開第2012/057311号
国際公開第2013/062056号
特開平4−351860号公報
特開2009−21134号公報
国際公開第2013/146714号
特開2014−241198号公報

発明が解決しようとする課題

0009

しかしながら、アセトニトリルを含有する電解液を用いたリチウムイオン二次電池は、カーボネート溶媒を含有する電解液を用いた既存のリチウムイオン二次電池と比較して高温耐久性能に劣っており、市販品レベルに達していないことから、未だ本格的な実用化には至っていない。

0010

各種検証実験の結果から、アセトニトリル系リチウムイオン二次電池が高温耐久性能に劣る理由は、以下のように考察される。

0011

高温環境下において、フッ素含有無機リチウム塩がアセトニトリルのメチル基から水素を引き抜きながら分解し、その分解生成物が正極遷移金属溶出を促進する。この溶出金属に、アセトニトリルが配位した錯体カチオンが負極表面で還元反応することで、電解液の分解抑制として形成しているSEI(Solid Electrolyte Interface:固体電解質界面)に悪影響を及ぼし、ガス発生を誘発させると考えられる。

0012

本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものである。従って本発明は、粘度と比誘電率とのバランスに優れたアセトニトリルと、フッ素含有無機リチウム塩と、を含有する非水系電解液において、遷移金属とアセトニトリルとからなる錯体カチオンの生成を抑制し、優れた負荷特性を発揮するとともに、電池に用いられた際に、高温貯蔵時のガス発生を抑制することができる非水系電解液及び非水系二次電池を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

本発明者らは、上述の課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、非水系溶媒としてアセトニトリルを含有する非水系電解液であっても、更に添加剤として特定のアゾール骨格を持つ化合物を含有する場合に、遷移金属とアセトニトリルとからなる錯体カチオンの生成を抑制し、優れた負荷特性を発揮するとともに、電池に用いられた際に、高温貯蔵時のガス発生を抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。

0014

本発明の非水系電解液は、アセトニトリルを含む非水系溶媒と、フッ素含有無機リチウム塩と、下記一般式(1)で表される化合物と、を含有することを特徴とする。

0015

本発明では、前記一般式(1)で表される化合物が、1−メチルピラゾールであることが好ましい。

0016

本発明では、前記一般式(1)で表される化合物の含有量が、非水系電解液の全体に対して0.01〜10質量%であることが好ましい。

0017

本発明では、前記アセトニトリルの含有量が、非水系電解液の全体に対して30〜100体積%であることが好ましい。

0018

本発明では、前記フッ素含有無機リチウム塩が、LiPF6を含有することが好ましい。

0019

本発明の非水系二次電池は、集電体の片面又は両面に、Ni、Mn、及びCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素を含有する正極活物質層を有する正極、集電体の片面又は両面に負極活物質層を有する負極、並びに、上記に記載の非水系電解液を具備することを特徴とする。

0020

本発明では、85℃4時間保存後での出力試験における容量維持率が、75%以上であることが好ましい。

0021

本発明では、60℃貯蔵試験におけるガス発生量が、電池容量1mAhあたりの換算値として0.0025ml以下であることが好ましい。

発明の効果

0022

本発明によれば、粘度と比誘電率とのバランスに優れたアセトニトリルと、フッ素含有無機リチウム塩と、を含有する非水系電解液において、遷移金属とアセトニトリルとからなる錯体カチオンの生成を抑制し、優れた負荷特性を発揮するとともに、電池に用いられた際に、高温貯蔵時のガス発生を抑制することができる非水系電解液及び非水系二次電池を提供することができる。

図面の簡単な説明

0023

本実施形態の非水系二次電池の一例を概略的に示す平面図である。
図1の非水系二次電池をA−A線に沿って切断し、矢印方向に見た断面図である。
図3Aは、積層電極体における「負極活物質層の非対向部分の幅」を説明するための平面図であり、図3Bは、積層電極体における「負極活物質層の非対向部分の幅」を説明するための平面図である。
捲回電極体における「負極活物質層の非対向部分の幅」を説明するための平面図である。
電池用正極を説明するための模式的な平面図である。
電池用負極を説明するための模式的な平面図である。

0024

以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。本明細書において「〜」を用いて記載される数値範囲は、その前後に記載される数値を含むものである。

0025

本実施形態の非水系電解液(以下、単に「電解液」ともいう。)は、アセトニトリルを含む非水系溶媒と、フッ素含有無機リチウム塩と、下記一般式(1)で表される化合物と、を含有することを特徴とする。

0026

これにより、粘度と比誘電率とのバランスに優れたアセトニトリルと、フッ素含有無機リチウム塩と、を含有する非水系電解液において、遷移金属とアセトニトリルとからなる錯体カチオンの生成を抑制し、優れた負荷特性を発揮するとともに、電池として用いられた際に、高温貯蔵時のガス発生を抑制することができる。

0027

<非水系電解液及び非水系二次電池の詳細>
以下、本実施の形態に係る非水系電解液及び非水系二次電池の各構成について、具体的に説明する。しかし、各構成は、以下に挙げる具体例に限定されるものではない。

0028

<1.非水系二次電池の全体構成>
本実施形態の電解液は、例えば、非水系二次電池に用いることができる。本実施形態の非水系二次電池としては、例えば、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な正極材料を含有する正極と、負極活物質として、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な負極材料、並びに金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の負極材料を含有する負極と、を備えるリチウムイオン二次電池が挙げられる。

0029

本実施形態の非水系二次電池としては、具体的には、図1及び2に図示される非水系二次電池であってもよい。ここで、図1は、非水系二次電池を概略的に表す平面図であり、図2は、図1のA−A線に沿って切断し、矢印方向に見た断面図である。

0030

非水系二次電池1は、2枚のアルミニウムラミネートフィルムで構成した電池外装2内に、正極5及び負極6を、セパレータ7を介して積層して構成した積層電極体と、非水系電解液(図示せず)とを収容している。電池外装2は、その外周部において、上下のアルミニウムラミネートフィルムを熱融着することにより封止されている。正極5、セパレータ7、及び負極6を順に積層した積層体には、非水系電解液が含浸されている。ただし、図2では、図面が煩雑になることを避けるために、電池外装2を構成している各層、並びに、正極5及び負極6の各層を区別して示していない。

0031

電池外装2を構成している、例えば、アルミニウムラミネートフィルムは、アルミニウム箔の両面をポリオレフィン系の樹脂でコートしたものであることが好ましい。

0032

正極5は、電池1内でリード片9を介して正極端子3aと接続している。図示していないが、負極6も、電池1内でリード片を介して負極端子4aと接続している。そして、正極端子3a及び負極端子4aは、それぞれ、外部の機器等と接続可能なように、片端側が電池外装2の外側に引き出されており、それらのアイオノマー部分が、電池外装2の1辺と共に熱融着されている。

0033

図1及び2に図示される非水系二次電池1は、正極5及び負極6が、それぞれ1枚ずつの積層電極体を有しているが、容量設計により正極5及び負極6の積層枚数を適宜増やすことができる。正極5及び負極6をそれぞれ複数枚有する積層電極体の場合には、同一極のタブ同士を溶接等により接合したうえで、夫々、正極リード体3及び負極リード体4に溶接等により接合して電池外部に取り出してもよい。上記同一極のタブとしては、集電体の露出部から構成される態様、集電体の露出部に金属片を溶接して構成される態様等が可能である。

0034

正極5は、正極合剤から作製した正極活物質層と、正極集電体とから構成される。負極6は、負極合剤から作製した負極活物質層と、負極集電体とから構成される。正極5及び負極6は、セパレータ7を介して正極活物質層と負極活物質層とが対向するように配置される。

0035

以下、正極及び負極の総称として「電極」とも略記する。

0036

これらの各部材としては、本実施形態における各要件を満たしていれば、従来のリチウムイオン二次電池に備えられる材料を用いることができ、例えば、後述の材料であってもよい。以下、非水系二次電池の各部材について、詳細に説明する。

0037

<2.電解液>
本実施形態における電解液は、非水系溶媒(以下、単に「溶媒」ともいう。)と、フッ素含有無機リチウム塩と、上記一般式(1)で表される化合物(アゾール骨格を持つ化合物)を少なくとも含む。フッ素含有無機リチウム塩は、イオン伝導度に優れるものの、熱安定性が十分でないうえ、溶媒中の微量水分によって加水分解してフッ化リチウム及びフッ化水素を発生し易い性質を有する。フッ素含有無機リチウム塩が分解すると、該フッ素含有無機リチウム塩を含有する電解液のイオン伝導度が低下するとともに、生成したフッ化リチウム及びフッ化水素が、電極、集電体等の材料を腐食し、或いは溶媒を分解する等の、電池に致命的な悪影響を及ぼす場合がある。

0038

本実施形態における電解液は、水分を含まないことが好ましいが、本発明の課題解決を阻害しない範囲であれば、ごく微量の水分を含有してもよい。そのような水分の含有量は、電解液の全量に対して、好ましくは、0〜100ppmである。

0039

<2−1.非水系溶媒>
アセトニトリルは、イオン伝導性が高く、電池内におけるリチウムイオンの拡散性を高めることができる。そのため、電解液がアセトニトリルを含有する場合には、特に正極活物質層を厚くして正極活物質の充填量を高めた正極においても、高負荷での放電時にはリチウムイオンが到達し難い集電体近傍の領域にまで、リチウムイオンが良好に拡散できるようになる。よって、高負荷放電時にも十分な容量を引き出すことが可能となり、負荷特性に優れた非水系二次電池とすることができる。

0040

非水系電解液の非水系溶媒にアセトニトリルを用いることにより、前記のとおり、非水系電解液のイオン伝導性が向上することから、非水系二次電池の急速充電特性を高めることもできる。非水系二次電池の定電流(CC)−定電圧(CV充電では、CV充電期間における単位時間当たりの充電容量よりも、CC充電期間における単位時間当たりの容量の方が大きい。非水系電解液の非水系溶媒にアセトニトリルを使用した場合には、CC充電できる領域を大きく(CC充電の時間を長く)できる他、充電電流を高めることもできるため、非水系二次電池の充電開始から満充電状態にするまでの時間を大幅に短縮できる。

0041

非水系溶媒としては、アセトニトリルを非水系溶媒の全体量に対して30〜100体積%含んでいれば特に制限はなく、その他の非水系溶媒を含んでもよいし含んでいなくてもよい。

0042

本実施形態でいう「非水系溶媒」とは、電解液中からリチウム塩及びアゾール骨格を持つ化合物を除いた成分をいう。すなわち、電解液中に、溶媒、リチウム塩、及びアゾール骨格を持つ化合物と共に、後述する液系電極保護用添加剤を含んでいる場合には、溶媒と液系電極保護用添加剤とを併せて「非水系溶媒」という。後述するリチウム塩及びアゾール骨格を持つ化合物は、非水系溶媒に含まない。

0043

上記その他の非水系溶媒としては、例えば、メタノールエタノール等のアルコール類非プロトン性溶媒等が挙げられる。中でも、非プロトン性極性溶媒が好ましい。

0044

上記その他の非水系溶媒のうち、非プロトン性溶媒の具体例としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネートトランス−2,3−ブチレンカーボネート、シス−2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、トランス−2,3−ペンチレンカーボネート、シス−2,3−ペンチレンカーボネート、及びビニレンカーボネートに代表される環状カーボネートフルオロエチレンカーボネート、1,2−ジフルオロエチレンカーボネート、及びトリフルオロメチルエチレンカーボネートに代表される環状フッ素化カーボネートγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、及びε−カプロラクトンに代表されるラクトンスルホランジメチルスルホキシド、及びエチレングリコールサルファイトに代表される硫黄化合物テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、及び1,3−ジオキサンに代表される環状エーテルエチルメチルカーボネートジメチルカーボネートジエチルカーボネートメチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、及びメチルトリフルオロエチルカーボネートに代表される鎖状カーボネートトリフルオロジメチルカーボネート、トリフルオロジエチルカーボネート、及びトリフルオロエチルメチルカーボネートに代表される鎖状フッ素化カーボネートプロピオニトリルブチロニトリルバレロニトリルベンゾニトリル、及びアクリロニトリルに代表されるモノニトリルメトキシアセトニトリル及び3−メトキシプロピオニトリルに代表されるアルコキシ基置換ニトリルマロノニトリルスクシノニトリルグルタロニトリルアジポニトリル、1,4−ジシアノヘプタン、1,5−ジシアノペンタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,7−ジシアノヘプタン、2,6−ジシアノヘプタン、1,8−ジシアノオクタン、2,7−ジシアノオクタン、1,9−ジシアノノナン、2,8−ジシアノノナン、1,10−ジシアノデカン、1,6−ジシアノデカン、及び2,4−ジメチルグルタロニトリルに代表されるジニトリル;ベンゾニトリルに代表される環状ニトリル;プロピオン酸メチルに代表される鎖状エステルジメトキシエタンジエチルエーテル、1,3−ジオキソランジグライムトリグライム、及びテトラグライムに代表される鎖状エーテル;Rf4−OR3(Rf4はフッ素を含有するアルキル基、R3はフッ素を含有してもよい有機基)に代表されるフッ素化エーテルアセトンメチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンに代表されるケトン類等の他、これらのフッ素化物に代表されるハロゲン化物が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。

0045

これらその他の非水系溶媒の中でも、環状カーボネート及び鎖状カーボネートのうちの1種以上をアセトニトリルと共に使用することがより好ましい。ここで、環状カーボネート及び鎖状カーボネートとして前記に例示したもののうちの1種のみを選択して使用していてもよく、2種以上(例えば、前記例示の環状カーボネートのうちの2種以上、前記例示の鎖状カーボネートのうちの2種以上、又は前記例示の環状カーボネートのうちの1種以上及び前記例示の鎖状カーボネートのうちの1種以上からなる2種以上)を使用してもよい。これらの中でも、環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、又はフルオロエチレンカーボネートがより好ましく、鎖状カーボネートとしては、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、又はジエチルカーボネートがより好ましい。そして、環状カーボネートを使用することが更に好ましい。

0046

アセトニトリルは、電気化学的に還元分解され易い。そのため、これを、別の溶媒と混合すること、及び、電極への保護皮膜形成のための電極保護用添加剤を添加すること、のうちの少なくとも1つを行うことが好ましい。

0047

非水系二次電池の充放電に寄与するリチウム塩の電離度を高めるために、非水系溶媒は、環状の非プロトン性極性溶媒を1種以上含むことが好ましく、環状カーボネートを1種以上含むことがより好ましい。

0048

アセトニトリルの含有量は、非水系溶媒の全体量に対して、30〜100体積%であり、35体積%以上であることがより好ましく、40体積%以上であることが更に好ましい。アセトニトリルの含有量は、85体積%以下であることがより好ましく、66体積%以下であることが更に好ましい。アセトニトリルの含有量が、30体積%以上である場合、イオン伝導度が増大して高出力特性発現できる傾向にあり、更に、リチウム塩の溶解を促進することができる。非水系溶媒中のアセトニトリルの含有量が、上述の範囲内にある場合、アセトニトリルの優れた性能を維持しながら、貯蔵特性及びその他の電池特性を、一層良好なものとすることができる傾向にある。

0049

<2−2.リチウム塩>
本実施形態におけるリチウム塩は、フッ素含有無機リチウム塩を含むことを特徴としている。「フッ素含有無機リチウム塩」とは、炭素原子アニオンに含まず、フッ素原子をアニオンに含み、アセトニトリルに可溶なリチウム塩をいう。「無機リチウム塩」とは、炭素原子をアニオンに含まず、アセトニトリルに可溶なリチウム塩をいう。「有機リチウム塩」とは、炭素原子をアニオンに含み、アセトニトリルに可溶なリチウム塩をいう。

0050

本実施形態におけるフッ素含有無機リチウム塩は、正極集電体である金属箔の表面に不働態皮膜を形成し、正極集電体の腐食を抑制する。このフッ素含有無機リチウム塩は、溶解性伝導度、及び電離度という観点からも優れている。このため、フッ素含有無機リチウム塩は、リチウム塩として必ず加える必要がある。フッ素含有無機リチウム塩の具体例としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、Li2SiF6、LiSbF6、Li2B12FbH12−b〔bは0〜3の整数、好ましくは1〜3の整数〕、LiN(SO2F)2等が挙げられる。

0051

これらのフッ素含有無機リチウム塩は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。フッ素含有無機リチウム塩として、LiFとルイス酸との複塩である化合物が望ましく、中でも、リン原子を有するフッ素含有無機リチウム塩を用いると、遊離のフッ素原子を放出し易くなることからより好ましく、LiPF6が特に好ましい。フッ素含有無機リチウム塩として、ホウ素原子を有するフッ素含有無機リチウム塩を用いると、電池劣化を招くおそれのある過剰な遊離酸成分捕捉し易くなることから好ましく、このような観点からはLiBF4が特に好ましい。LiPF6とLiBF4とを同時に含有していてもよい。

0052

本実施形態の電解液におけるフッ素含有無機リチウム塩の含有量については、特に制限はない。しかしながら、フッ素含有無機リチウム塩の含有量は、非水系溶媒1Lに対して0.2mol以上であることが好ましく、0.5mol以上であることがより好ましく、0.8mol以上であることが更に好ましい。また、フッ素含有無機リチウム塩の含有量は、非水系溶媒1Lに対して15mol以下であることが好ましく、4mol以下であることがより好ましく、2.8mol以下であることが更に好ましい。フッ素含有無機リチウム塩の含有量が上述の範囲内にある場合、イオン伝導度が増大し高出力特性を発現できる傾向にあり、アセトニトリルの優れた性能を維持しながら、貯蔵特性及びその他の電池特性を一層良好なものとすることができる傾向にある。

0053

本実施形態におけるリチウム塩として、フッ素含有無機リチウム塩以外に、一般に非水系二次電池用に用いられているリチウム塩を補助的に添加してもよい。その他のリチウム塩の具体例としては、例えば、LiClO4、LiAlO4、LiAlCl4、LiB10Cl10、クロボランLi等のフッ素原子をアニオンに含まない無機リチウム塩;LiCF3SO3、LiCF3CO2、Li2C2F4(SO3)2、LiC(CF3SO2)3、LiCnF2n+1SO3(n≧2)、低級脂肪族カルボン酸Li、四フェニルホウ酸Li等の有機リチウム塩;LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2等のLiN(SO2CmF2m+1)2〔mは1〜8の整数〕で表される有機リチウム塩;LiPF5(CF3)等のLiPFn(CpF2p+1)6−n〔nは1〜5の整数、pは1〜8の整数〕で表される有機リチウム塩;LiBF3(CF3)等のLiBFq(CsF2s+1)4−q〔qは1〜3の整数、sは1〜8の整数〕で表される有機リチウム塩;LiB(C2O4)2で表されるリチウムビス(オキサラトボレート(LiBOB);ハロゲン化LiBOB;LiBF2(C2O4)で表されるリチウムオキサラトジフルオロボレート(LiODFB);LiB(C3O4H2)2で表されるリチウムビス(マロネート)ボレート(LiBMB);LiPF4(C2O4)で表されるリチウムテトラフルオロオキサラトフォスフェート、LiPF2(C2O4)2で表されるリチウムジフルオロビス(オキサラト)フォスフェート等の有機リチウム塩、多価アニオンと結合されたリチウム塩;下記一般式(2a)、(2b)、及び(2c):
LiC(SO2R4)(SO2R5)(SO2R6) (2a)
LiN(SO2OR7)(SO2OR8) (2b)
LiN(SO2R9)(SO2OR10) (2c)
{式中、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びR10は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を示す。}のそれぞれで表される有機リチウム塩等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を、フッ素含有無機リチウム塩と共に使用することができる。

0054

非水系二次電池の負荷特性改善及び充放電サイクル特性改善のためには、シュウ酸基を有する有機リチウム塩を補助的に添加することが好ましく、LiB(C2O4)2、LiBF2(C2O4)、LiPF4(C2O4)、及びLiPF2(C2O4)2から成る群より選択される1種以上を添加することが特に好ましい。このシュウ酸基を有する有機リチウム塩は、非水系電解液に添加する他、負極(負極活物質層)に含有させてもよい。

0055

前記のシュウ酸基を有する有機リチウム塩の非水系電解液への添加量は、その使用による効果をより良好に確保する観点から、非水系電解液の非水系溶媒1L当たりの量として、0.005モル以上であることが好ましく、0.02モル以上であることがより好ましく、0.05モル以上であることが更に好ましい。ただし、前記のシュウ酸基を有する有機リチウム塩の非水系電解液中の量が多すぎると析出するおそれがある。よって、前記のシュウ酸基を有する有機リチウム塩の非水系電解液への添加量は、非水系電解液の非水系溶媒1L当たりの量で、1.0モル未満であることが好ましく、0.5モル未満であることがより好ましく、0.2モル未満であることが更に好ましい。

0056

<2−3.アゾール骨格を持つ化合物>
本実施形態における電解液は、上記したアセトニトリルを含む非水系溶媒と、フッ素含有無機リチウム塩と、更に、添加剤として下記の一般式(1)で表される化合物を含む。

0057

上記アゾール骨格を持つ化合物の具体例としては、例えば、1−メチルピラゾール、1−1H−テトラゾールが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。N−H基を持たない窒素含有環状化合物とすることで、高温サイクル時の脱水素劣化を防止することができる。また、極性分布の大きな1−メチルピラゾールを用いることが、N原子電子的な機能が向上することからより好ましい。

0058

フッ素含有無機リチウム塩として、LiFとルイス酸との複塩である化合物を用いる場合、アゾール骨格を持つ化合物における窒素原子周辺には立体障害が存在しないことが望ましい。そのため、上記一般式(1)中のR1は、水素原子であることが好ましい。本実施形態の電解液が添加剤として上記一般式(1)で表されるアゾール骨格を持つ化合物を含有することによって、粘度と比誘電率とのバランスに優れたアセトニトリルと、フッ素含有無機リチウム塩と、を含有する非水系電解液において、遷移金属とアセトニトリルとからなる錯体カチオンの生成を抑制し、優れた負荷特性を発揮するとともに、電池として用いられた際に、高温貯蔵時のガス発生を抑制することができる。本実施形態における電解液中のアゾール骨格を持つ化合物の含有量については、特に制限はないが、電解液の全量を基準として、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.02〜5質量%であることがより好ましく、0.1〜1質量%であることが更に好ましい。これにより、遷移金属とアセトニトリルとからなる錯体カチオンの生成を抑制し、高温耐久性を向上させることができる。

0059

本実施形態においては、アゾール骨格を持つ化合物の含有量を上述の範囲内に調整することによって、非水系二次電池としての基本的な機能を損なうことなく、電極表面における反応が抑制できるため、充放電に伴う内部抵抗の増加を低減できる。

0060

上記した組成で電解液を調製することにより、非水系二次電池のサイクル性能低温環境下における高出力性能、及びその他の電池特性のすべてを、一層良好なものとすることができる傾向にある。

0061

<2−4.電極保護用添加剤>
本実施形態における電解液には、アゾール骨格を持つ化合物以外に、電極を保護する添加剤が含まれていてもよい。なお、上述したように、電解液が液系電極保護用添加剤を含む場合、該液系電極保護用添加剤は非水系溶媒に含まれるから、該電解液中には、液系電極保護用添加剤を含む非水系溶媒(上述の非水系溶媒と液系電極保護用添加剤との合計量)に対して30〜100体積%のアセトニトリルが含まれていればよい。

0062

電極保護用添加剤としては、本実施形態による課題解決を阻害しないものであれば特に制限はない。リチウム塩を溶解する溶媒としての役割を担う物質(すなわち上述の非水系溶媒)と実質的に重複してもよい。電極保護用添加剤は、本実施形態における電解液及び非水系二次電池の性能向上に寄与する物質であることが好ましいが、電気化学的な反応には直接関与しない物質をも包含する。

0063

電極保護用添加剤の具体例としては、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、シス−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、トランス−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4,5−トリフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4,5,5−テトラフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、及び4,4,5−トリフルオロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンに代表されるフルオロエチレンカーボネート;ビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、及びビニルエチレンカーボネートに代表される不飽和結合含有環状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、及びε−カプロラクトンに代表されるラクトン;1,4−ジオキサンに代表される環状エーテル;エチレンサルファイトプロピレンサルファイト、ブチレンサルファイト、ペンテンサルファイト、スルホラン、3−メチルスルホラン、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、及びテトラメチレンスルホキシドに代表される環状硫黄化合物が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。

0064

非水系溶媒の一成分であるアセトニトリルは、電気化学的に還元分解され易いため、該アセトニトリルを含む非水系溶媒は、負極への保護皮膜形成のための添加剤として環状の非プロトン性極性溶媒を1種以上含むことが好ましく、不飽和結合含有環状カーボネートを1種以上含むことがより好ましい。

0065

本実施形態における電解液中の電極保護用添加剤の含有量については、特に制限はない。しかし、非水系溶媒の全量に対する電極保護用添加剤の含有量として、0.1〜30体積%であることが好ましく、0.5〜20体積%であることがより好ましく、1〜10体積%であることが更に好ましい。

0066

本実施形態においては、電極保護用添加剤の含有量が多いほど電解液の劣化が抑えられる。しかし、電極保護用添加剤の含有量が少ないほど非水系二次電池の低温環境下における高出力特性が向上することになる。従って、電極保護用添加剤の含有量を上述の範囲内に調整することによって、非水系二次電池としての基本的な機能を損なうことなく、電解液の高イオン伝導度に基づく優れた性能を最大限に発揮することができる傾向にある。このような組成で電解液を調製することにより、非水系二次電池のサイクル性能、低温環境下における高出力性能及びその他の電池特性の全てを一層良好なものとすることができる傾向にある。

0067

<2−5.その他の任意的添加剤
本実施形態においては、非水系二次電池の充放電サイクル特性の改善、高温貯蔵性、及び安全性の向上(例えば過充電防止等)等の目的で、非水系電解液に、例えば、無水コハク酸無水マレイン酸無水フタル酸に代表される環状酸無水物無水酸、スルホン酸エステルジフェニルジスルフィドシクロヘキシルベンゼンビフェニルフルオロベンゼン、tert−ブチルベンゼンリン酸エステルエチルジエチルホスホノアセテートEDPA):(C2H5O)2(P=O)−CH2(C=O)OC2H5、リン酸トリス(トリフルオロエチル)(TFEP):(CF3CH2O)3P=O、リン酸トリフェニルTPP):(C6H5O)3P=O等〕等、及びこれらの各化合物誘導体等から選択される任意的添加剤を、適宜含有させることもできる。特に前記のリン酸エステルは、貯蔵時の副反応を抑制する作用があり、効果的である。

0068

<3.正極>
正極5は、正極合剤から作製した正極活物質層と、正極集電体とから構成される。正極5は、非水系二次電池の正極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。なお、正極活物質層は、負極6と対向する側(電解液と接触する側)に向けられる。

0069

正極活物質層は、正極活物質を含有し、場合により導電助剤及びバインダーを更に含有する。

0070

正極活物質層は、正極活物質として、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料を含有することが好ましい。正極活物質層は、正極活物質とともに、必要に応じて導電助剤及びバインダーを含有することが好ましい。このような材料を用いる場合、高電圧及び高エネルギー密度を得ることができる傾向にあるので好ましい。

0071

正極活物質としては、例えば、以下の一般式(3a)及び(3b):
LixMO2 (3a)
LiyM2O4 (3b)
{式中、Mは、少なくとも1種の遷移金属元素を含む1種以上の金属元素を示し、xは、0〜1.1の数、yは、0〜2の数を示す。}のそれぞれで表されるリチウム含有化合物、及びその他のリチウム含有化合物が挙げられる。
一般式(3a)及び(3b)のそれぞれで表されるリチウム含有化合物としては、例えば、LiCoO2に代表されるリチウムコバルト酸化物;LiMnO2、LiMn2O4、及びLi2Mn2O4に代表されるリチウムマンガン酸化物;LiNiO2に代表されるリチウムニッケル酸化物;LizMO2(Mは、Ni、Mn、及びCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素を含み、且つ、Ni、Mn、Co、Al、及びMgからなる群より選ばれる2種以上の金属元素を示し、zは、0.9超1.2未満の数を示す)で表されるリチウム含有複合金属酸化物等が挙げられる。

0072

一般式(3a)及び(3b)のそれぞれで表されるリチウム含有化合物以外のリチウム含有化合物としては、リチウムを含有するものであれば特に限定されない。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物、リチウムを有する金属カルコゲン化物、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸金属化合物、及びリチウムと遷移金属元素とを含むケイ酸金属化合物(例えば、LitMuSiO4、Mは一般式(3a)と同義であり、tは、0〜1の数、uは、0〜2の数を示す。)が挙げられる。より高い電圧を得る観点から、リチウム含有化合物としては、特に、リチウムと、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、及びチタン(Ti)からなる群より選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素と、を含む複合酸化物、及びリン酸金属化合物が好ましい。

0073

リチウム含有化合物としてより具体的には、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物又はリチウムと遷移金属元素とを有する金属カルコゲン化物、及びリチウムを有するリン酸金属化合物がより好ましく、例えば、それぞれ以下の一般式(4a)及び(4b):
LivMID2 (4a)
LiwMIIPO4 (4b)
{式中、Dは、酸素又はカルコゲン元素を示し、MI及びMIIは、それぞれ1種以上の遷移金属元素を示し、v及びwの値は、電池の充放電状態によって異なり、vは、0.05〜1.10、wは、0.05〜1.10の数を示す。}のそれぞれで表される化合物が挙げられる。

0074

上述の一般式(4a)で表されるリチウム含有化合物は、層状構造を有し、上述の一般式(4b)で表される化合物は、オリビン構造を有する。これらのリチウム含有化合物は、構造を安定化させる等の目的から、Al、Mg、又はその他の遷移金属元素により遷移金属元素の一部を置換したもの、これらの金属元素を結晶粒界に含ませたもの、酸素原子の一部をフッ素原子等で置換したもの、正極活物質表面の少なくとも一部に他の正極活物質を被覆したもの等であってもよい。

0075

本実施形態における正極活物質としては、上記のようなリチウム含有化合物のみを用いてもよいし、該リチウム含有化合物とともにその他の正極活物質を併用してもよい。

0076

このようなその他の正極活物質としては、例えば、トンネル構造及び層状構造を有する金属酸化物又は金属カルコゲン化物;イオウ導電性高分子等が挙げられる。トンネル構造及び層状構造を有する金属酸化物又は金属カルコゲン化物としては、例えば、MnO2、FeO2、FeS2、V2O5、V6O13、TiO2、TiS2、MoS2、及びNbSe2に代表される、リチウム以外の金属の酸化物硫化物セレン化物等が挙げられる。導電性高分子としては、例えば、ポリアニリンポリチオフェンポリアセチレン、及びポリピロールに代表される導電性高分子を挙げられる。

0077

上述のその他の正極活物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられ、特に制限はない。しかしながら、リチウムイオンを可逆安定的に吸蔵及び放出することが可能であり、且つ、高エネルギー密度を達成できることから、前記正極活物質層が、Ni、Mn、及びCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素を含有することが好ましい。

0078

正極活物質として、リチウム含有化合物とその他の正極活物質とを併用する場合、両者の使用割合としては、正極活物質の全部に対するリチウム含有化合物の使用割合として、80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましい。

0079

導電助剤としては、例えば、グラファイトアセチレンブラック、及びケッチェンブラックに代表されるカーボンブラック、並びに炭素繊維が挙げられる。導電助剤の含有割合は、正極活物質100質量部に対して、10質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは1〜5質量部である。

0080

バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデンPVDF)、ポリテトラフルオロエチレンPTFE)、ポリアクリル酸スチレンブタジエンゴム、及びフッ素ゴムが挙げられる。バインダーの含有割合は、正極活物質100質量部に対して、6質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜4質量部である。

0081

正極活物質層は、正極活物質と、必要に応じて導電助剤及びバインダーとを混合した正極合剤を溶剤に分散した正極合剤含有スラリーを、正極集電体に塗布及び乾燥(溶媒除去)し、必要に応じてプレスすることにより形成される。このような溶剤としては、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。例えば、N—メチル−2−ピロリドンジメチルホルムアミドジメチルアセトアミド、水等が挙げられる。

0082

正極集電体は、例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔ステンレス箔等の金属箔により構成される。正極集電体は、表面にカーボンコートが施されていてもよく、メッシュ状に加工されていてもよい。正極集電体の厚みは、5〜40μmであることが好ましく、7〜35μmであることがより好ましく、9〜30μmであることが更に好ましい。

0083

<4.負極>
負極6は、負極合剤から作製した負極活物質層と、負極集電体とから構成される。負極6は、非水系二次電池の負極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。なお、負極活物質層は、正極5と対向する側(電解液と接触する側)に向けられる。

0084

負極活物質層は、電池電圧を高められるという観点から、負極活物質としてリチウムイオンを0.4V vs.Li/Li+よりも卑な電位で吸蔵することが可能な材料を含有することが好ましい。負極活物質層は、負極活物質とともに、必要に応じて導電助剤及びバインダーを含有することが好ましい。

0085

負極活物質としては、例えば、アモルファスカーボンハードカーボン)、人造黒鉛天然黒鉛、黒鉛、熱分解炭素コークスガラス状炭素有機高分子化合物焼成体メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、グラファイト、炭素コロイド、及びカーボンブラックに代表される炭素材料の他、金属リチウム、金属酸化物、金属窒化物リチウム合金スズ合金シリコン合金金属間化合物有機化合物無機化合物金属錯体、有機高分子化合物等が挙げられる。負極活物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。

0086

導電助剤としては、例えば、グラファイト、アセチレンブラック、及びケッチェンブラックに代表されるカーボンブラック、並びに炭素繊維が挙げられる。導電助剤の含有割合は、負極活物質100質量部に対して、20質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部である。

0087

バインダーとしては、例えば、PVDF、PTFE、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム、及びフッ素ゴムが挙げられる。バインダーの含有割合は、負極活物質100質量部に対して、10質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜6質量部である。

0088

負極活物質層は、負極活物質と必要に応じて導電助剤及びバインダーとを混合した負極合剤を溶剤に分散した負極合剤含有スラリーを、負極集電体に塗布及び乾燥(溶媒除去)し、必要に応じてプレスすることにより形成される。このような溶剤としては、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。例えば、N—メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、水等が挙げられる。負極集電体は、例えば、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔等の金属箔により構成される。また、負極集電体は、表面にカーボンコートが施されていてもよいし、メッシュ状に加工されていてもよい。負極集電体の厚みは、5〜40μmであることが好ましく、6〜35μmであることがより好ましく、7〜30μmであることが更に好ましい。

0089

<5.セパレータ>
本実施形態における非水系二次電池1は、正極5及び負極6の短絡防止シャットダウン等の安全性付与の観点から、正極5と負極6との間にセパレータ7を備えることが好ましい。セパレータ7としては、公知の非水系二次電池に備えられるものと同様のものを用いてもよく、イオン透過性が大きく、機械的強度に優れる絶縁性薄膜が好ましい。セパレータ7としては、例えば、織布、不織布、合成樹脂微多孔膜等が挙げられ、これらの中でも、合成樹脂製微多孔膜が好ましい。

0090

合成樹脂製微多孔膜としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンを主成分として含有する微多孔膜、或いは、これらのポリオレフィンの双方を含有する微多孔膜等のポリオレフィン系微多孔膜が好適に用いられる。不織布としては、例えば、ガラス製、セラミック製、ポリオレフィン製ポリエステル製、ポリアミド製液晶ポリエステル製、アラミド製等の耐熱樹脂製多孔膜が挙げられる。

0091

セパレータ7は、1種の微多孔膜を単層又は複数積層した構成であってもよく、2種以上の微多孔膜を積層したものであってもよい。セパレータ7は、2種以上の樹脂材料溶融混錬した混合樹脂材料を用いて単層又は複数層に積層した構成であってもよい。

0092

<6.電池外装>
本実施形態における非水系二次電池1の電池外装2の構成は特に限定されないが、例えば、電池缶及びラミネートフィルム外装体のいずれかの電池外装を用いることができる。電池缶としては、例えば、スチール又はアルミニウムからなる金属缶を用いることができる。ラミネートフィルム外装体としては、例えば、熱溶融樹脂金属フィルム/樹脂の3層構成からなるラミネートフィルムを用いることができる。

0093

ラミネートフィルム外装体は、熱溶融樹脂側を内側に向けた状態で2枚重ねて、又は熱溶融樹脂側を内側に向けた状態となるように折り曲げて、端部をヒートシールにより封止した状態で外装体として用いることができる。ラミネートフィルム外装体を用いる場合、正極集電体に正極リード体3(正極リード体3を構成する正極端子3a及び正極端子3aと接続するリードタブ3b)を接続し、負極集電体に負極リード体4(負極リード体4を構成する負極端子4a及び負極端子4aと接続するリードタブ4b)を接続してもよい。この場合、正極端子3a及び負極端子4aの各端部、或いは、正極端子3a及び負極端子4aのそれぞれに接続された各リードタブ3b、4bの端部が外装体の外部に引き出された状態でラミネートフィルム外装体を封止してもよい。

0094

<7.電池の作製方法
本実施形態における非水系二次電池1は、上述の非水系電解液、集電体の片面又は両面に正極活物質層を有する正極5、集電体の片面又は両面に負極活物質層を有する負極6、及び電池外装2、並びに必要に応じてセパレータ7を用いて、公知の方法により作製される。

0095

先ず、正極5及び負極6、並びに必要に応じてセパレータ7からなる積層体を形成する。

0096

例えば、長尺の正極5と負極6とを、正極5と負極6との間に、該長尺のセパレータを介在させた積層状態巻回し巻回構造の積層体を形成する態様;正極5及び負極6を一定の面積と形状とを有する複数枚のシートに切断して得た正極シート負極シートとを、セパレータシートを介して交互に積層した積層構造の積層体を形成する態様;長尺のセパレータをつづら折りにして、該つづら折りになったセパレータ同士の間に交互に正極体シートと負極体シートとを挿入した積層構造の積層体を形成する態様等が可能である。

0097

次いで、電池外装2(電池ケース)内に、上述の積層体を収容して、本実施形態に係る電解液を電池ケース内部に注液し、積層体を電解液に浸漬して封印することによって、本実施形態における非水系二次電池を作製することができる。

0098

或いは、電解液を高分子材料からなる基材に含浸させることによって、ゲル状態電解質膜を予め作製しておき、シート状の正極5、負極6、及び電解質膜、並びに必要に応じてセパレータ7を用いて積層構造の積層体を形成した後、電池外装2内に収容して非水系二次電池1を作製することができる。

0099

本実施形態における非水系二次電池1の形状は、特に限定されず、例えば、円筒形楕円形角筒型、ボタン形コイン形、扁平形ラミネート形等が好適に採用される。

0100

ここで、アセトニトリルを使用した非水系電解液を用いた場合、その高いイオン伝導性に起因して、非水系二次電池の初回充電時に正極から放出されたリチウムイオンが負極の全体に拡散してしまう可能性がある。非水系二次電池では、正極活物質層よりも負極活物質層の面積を大きくすることが一般的である。しかしながら、負極活物質層のうち正極活物質層と対向していない箇所にまでリチウムイオンが拡散して吸蔵されてしまうと、正極活物質層と対向していない箇所でのリチウムイオンが、初回放電時に放出されずに負極に留まることとなる。そのため、該放出されないリチウムイオンの寄与分不可逆容量となってしまう。こうした理由から、アセトニトリルを含有する非水系電解液を用いた非水系二次電池では、初回充放電効率が低くなってしまう場合がある。

0101

一方、負極活物質層よりも正極活物質層の面積が大きいか、或いは同じである場合には、充電時に負極活物質層のエッジ部分で電流の集中が起こり易く、リチウムデンドライトが生成し易くなる。

0102

正極活物質層と負極活物質層とが対向する部分の面積に対する、負極活物質層全体の面積の比(負極活物質層全体の面積/正極活物質層と負極活物質層とが対向する部分の面積)について特に制限はないが、上記の理由により、面積比は、1.0より大きく1.1未満であることが好ましく、1.002より大きく1.09未満であることがより好ましく、1.005より大きく1.08未満であることが更に好ましく、1.01より大きく1.08未満であることが特に好ましい。アセトニトリルを含む非水系電解液を用いた非水系二次電池では、正極活物質層と負極活物質層とが対向する部分の面積に対する、負極活物質層全体の面積の比を小さくすることにより、初回充放電効率を改善できる。

0103

正極活物質層と負極活物質層とが対向する部分の面積に対する、負極活物質層全体の面積の比を小さくするということは、負極活物質層のうち、正極活物質層と対向していない部分の面積の割合を制限することを意味している。これにより、初回充電時に正極から放出されたリチウムイオンのうち、正極活物質層とは対向していない負極活物質層の部分に吸蔵されるリチウムイオンの量(すなわち、初回放電時に負極から放出されずに不可逆容量となるリチウムイオンの量)を可及的に低減することが可能となる。よって、正極活物質層と負極活物質層とが対向する部分の面積に対する、負極活物質層全体の面積の比を上記の範囲に設計することによって、アセトニトリルを使用することによる電池の負荷特性向上を図りつつ、電池の初回充放電効率を高め、更にリチウムデンドライトの生成も抑えることができるのである。

0104

図3A、図3B及び図4には、正極活物質層の全面が負極活物質層と対向する本実施態様の構成における「負極活物質層の非対向部分の幅」を説明するための図面(平面図)を示している。図3A及び図3Bは、正極、負極、及びセパレータで構成される電極体が、積層電極体(これらを重ねて構成しただけの電極体)である場合の説明図である。図3Aは、平面視で円形の正極活物質層50を有する正極と、平面視で円形の負極活物質層60を有する負極とが対向している場合を示す。図3Bは、平面視で四角形の正極活物質層50を有する正極と、平面視で四角形の負極活物質層60を有する負極とが対向している場合を示す。図4は、正極、負極、及びセパレータで構成される電極体が、これらの積層体を渦巻状に巻回して形成した巻回電極体である場合の説明図である。これらの図面では、正極活物質層50と負極活物質層60との位置関係の理解を容易にするために、正極及び負極それぞれの集電体、並びにセパレータは図示していない。図4では、巻回電極体における正極活物質層50と負極活物質層60とが対向している箇所の一部を平面的に示している。

0105

図3A及び図3Bでは、図中手前側(紙面に垂直な方向における上側)が負極活物質層60であり、奥行き側の点線で示したものが正極活物質層50である。積層電極体における「負極活物質層の非対向部分の幅」は、平面視において、負極活物質層60の外周端と、正極活物質層50の外周端との間の距離(図中aの長さ)を意味する。

0106

図4においても、図3A及び図3Bと同様に、図中手前側が負極活物質層60であり、奥行き側の点線で示したものが正極活物質層50である。巻回電極体の形成には、帯状の正極と帯状の負極とが使用される。この「負極活物質層の非対向部分の幅」は、帯状の正極及び帯状の負極の長尺方向に直交する方向における、負極活物質層60の外端と、正極活物質層50の外端との距離(図中bの長さ)を意味する。

0107

上記した面積比の範囲となるように、図3A及び図3Bに示すaの長さや、図4に示すbの長さを規定する。

0108

電極の配置が、負極活物質層の外周端と正極活物質層の外周端とが重なる部分が存在するように、又は負極活物質層の非対向部分に幅が小さすぎる箇所が存在するように設計されている場合、例えば、負極活物質層と正極活物質層の一方の方向の長さ寸法を共に合わせたとき、互いに外周端が重なる。このとき、電池組み立て時に電極の位置ずれが生じることにより、非水系二次電池における充放電サイクル特性が低下するおそれがある。よって、該非水系二次電池に使用する電極体においては、予めポリイミドテープポリフェニレンスルフィドテープPPテープ等のテープ類、又は接着剤等によって、電極の位置を固定しておくことが好ましい。

0109

図5及び図6に電池用正極及び電池用負極の一例を示す。図5は、電池用正極を説明するための模式的な平面図である。図6は、電池用負極を説明するための模式的な平面図である。

0110

図5に示すように、正極10を構成する正極活物質層11は、幅寸法がc、幅寸法cに直交する長さ寸法がdで形成される。正極活物質層11と重なる正極集電体12が設けられ、正極集電体12は一部が突出部を備え、その突出部の周囲がタブ部13とされる。タブ部13の幅寸法は、eで形成される。

0111

図6に示すように、負極20を構成する負極活物質層21は、幅寸法がf、幅寸法fに直交する長さ寸法がgで形成される。負極活物質層21と重なる負極集電体22が設けられ、負極集電体22は一部が突出部を備え、その突出部の周囲がタブ部23とされる。タブ部23の幅寸法は、hで形成される。

0112

図5図6に示す実施形態では、負極活物質層21の幅寸法fが、正極活物質層11の幅寸法cよりも若干大きく形成されており、負極活物質層21の長さ寸法gが、正極活物質層11の長さ寸法dよりも若干大きく形成されている。。正極活物質層(c×d)の面積に対する、負極活物質層21の面積(f×g)の比が、既に記載した面積比範囲となるように、各幅寸法c、f及び各長さ寸法d、gが規制されている。

0113

タブ部13、23の幅寸法e、hは、ほぼ同じ大きさで形成される。図5及び図6のように、タブ部13は、正極活物質層11の図示左寄りに形成され、タブ部23は、負極活物質層21の図示右寄りに形成されている。したがって、正極活物質層11と負極活物質層21とを重ねても、タブ部13、23が重ならない。

0114

本実施形態における非水系二次電池1は、初回充電により電池として機能し得る。初回充電の方法について特に制限はない。しかし、該非水系二次電池1は、初回充電の際に電解液の一部が分解することにより安定化することを考慮し、この安定化効果を有効に発現させるために、初回充電は0.001〜0.3Cで行われることが好ましく、0.002〜0.25Cで行われることがより好ましく、0.003〜0.2Cで行われることが更に好ましい。初回充電が、途中に定電圧充電を経由して行われることも好ましい結果を与える。定格容量を1時間で放電する定電流が1Cである。リチウム塩が電気化学的な反応に関与する電圧範囲を長く設定することによって、SEI(Solid Electrolyte Interface:固体電解質界面)が電極表面に形成され、正極5を含めた内部抵抗の増加を抑制する効果がある。加えて、反応生成物が負極6のみに強固に固定化されることなく、何らかの形で負極6以外の部材(例えば、正極5、セパレータ7等)にも良好な効果を与える。このため、非水系電解液に溶解したリチウム塩の電気化学的な反応を考慮して初回充電を行うことは、非常に有効である。

0115

本実施形態における非水系二次電池1は、複数個の非水系二次電池1を直列又は並列に接続した電池パックとして使用することもできる。電池パックの充放電状態を管理する観点から、1個あたりの使用電圧範囲は、2〜5Vであることが好ましく、2.5〜5Vであることがより好ましく、2.75V〜5Vであることが特に好ましい。

0116

以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。

0117

以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各種評価は以下のようにして実施した。

0118

(1)正極(P1)の作製
正極活物質として数平均粒子径11μmのリチウム、ニッケル、マンガン及びコバルトの複合酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2、密度4.70g/cm3)と、導電助剤として数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末(密度2.26g/cm3)及び数平均粒子径48nmのアセチレンブラック粉末(密度1.95g/cm3)と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF;密度1.75g/cm3)とを、100:4.2:1.8:4.6の質量比で混合し、正極合剤を得た。得られた正極合剤に溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン固形分68質量%となるように投入して更に混合して、正極合剤含有スラリーを調製した。正極集電体となる厚さ20μm、幅200mmのアルミニウム箔の片面に、この正極合剤含有スラリーを、目付量が24.0mg/cm2になるように調節しながらドクターブレード法で塗布し、溶剤を乾燥除去した。その後、ロールプレスで正極活物質層の密度が2.90g/cm3になるように圧延することにより、正極活物質層と正極集電体とからなる正極(P1)を得た。

0119

(2)正極浸漬試験
アルミラミネート袋を2.7cm×6cmに加工し、23mm×17mmに打ち抜いた前述の正極(P1)を封入した後、不活性雰囲気下において、各実施例又は比較例で調製した非水系電解液0.5mLを注液した。このとき、電極面が電解液中に浸漬されていることを確認した。注液後シールし、アルミラミネート袋を縦に立て掛けた状態で60℃に保ち、24時間保存した。保存後、内部の電解液及び正極表面の観察を行った。遷移金属とアセトニトリルとからなる錯体カチオンの塩を主成分とするゲル状物の生成が認められなかった場合を「○」(良好)、前記ゲル状物の生成が認められた場合を「×」(不良)と判定した。

0120

(3)負極(N1)の作製
負極活物質として数平均粒子径12.7μmのグラファイト炭素粉末(密度2.23g/cm3)及び数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末(密度2.27g/cm3)と、バインダーとしてカルボキシメチルセルロース(密度1.60g/cm3)溶液固形分濃度1.83質量%)及びスチレンブタジエンラテックスガラス転移温度:−5℃、乾燥時の数平均粒子径:120nm、密度1.00g/cm3、分散媒:水、固形分濃度40質量%)とを、87.2:9.7:1.4:1.7の固形分質量比で混合し、負極合剤を得た。得られた負極合剤に溶剤として水を固形分45質量%となるように投入して更に混合して、負極合剤含有スラリーを調製した。負極集電体となる厚さ10μm、幅200mmの銅箔の片面に、この負極合剤含有スラリーを、目付量が10.6mg/cm2になるよう調節しながらドクターブレード法で塗布し、溶剤を乾燥除去した。その後、ロールプレスで負極活物質層の密度が1.50g/cm3になるように圧延して、負極活物質層と負極集電体とからなる負極(N1)を得た。

0121

(4)コイン型非水系二次電池の作製
CR2032タイプの電池ケース(SUS304/Alクラッド)にポリプロピレン製ガスケットをセットし、その中央に上述のようにして得られた正極(P1)を直径15.958mmの円盤状に打ち抜いたものを、正極活物質層を上向きにしてセットした。この正極において、正極活物質層の面積は2.00cm2であった。その上からガラス繊維ろ紙(ADVANTEC社製GA−100)を直径16.156mmの円盤状に打ち抜いたものをセットして、電解液を100μL注入した後、上述のようにして得られた負極(N1)を直径16.156mmの円盤状に打ち抜いたものを、負極活物質層を下向きにしてセットした。この負極において、負極活物質層の面積は2.05cm2であった。さらに、スペーサースプリングをセットした後に電池キャップをはめ込み、カシメ機でかしめた。あふれた電解液は、ウエスできれいにふきとった。25℃で24時間保持し、積層体に電解液を十分馴染ませてコイン型非水系二次電池(以下、単に「コイン電池」ともいう)を得た。

0122

(5)コイン型非水系二次電池の評価
上述のようにして得られた評価用電池について、先ず、以下の(5−1)の手順に従って、初回充電処理及び初回充放電容量測定を行った。次に(5−2)及び(5−3)の手順に従ってそれぞれの電池を評価した。充放電は、アスカ電子(株)製の充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製の恒温槽PLM−63S(商品名)を用いて行った。

0123

ここで、1Cとは満充電状態の電池を定電流で放電して1時間で放電終了となることが期待される電流値を意味する。4.2Vの満充電状態から定電流で3.0Vまで放電して1時間で放電終了となることが期待される電流値を意味する。

0124

(5−1)コイン電池の初回充放電処理
コイン電池の周囲温度を25℃に設定し、0.1Cに相当する0.6mAの定電流で充電して電池電圧が4.2Vに到達するまで充電を行った後、4.2Vの定電圧で合計15時間充電を行った。その後、0.3Cに相当する1.8mAの定電流で3.0Vまで放電した。このときの放電容量を初期容量とした。

0125

(5−2)コイン型非水系二次電池の85℃満充電保存試験
上記(5−1)に記載の方法で初回充放電処理を行った電池について、電池の周囲温度を25℃に設定し、1Cに相当する6mAの定電流で充電して4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で3時間充電を行った。次に、この非水系二次電池を85℃の恒温槽に4時間保存した。その後、電池の周囲温度を25℃に戻した。

0126

(5−3)コイン型非水系二次電池の出力試験
上記(5−2)に記載の方法で85℃満充電保存試験を行った電池について、電池の周囲温度を25℃に設定し、1Cに相当する6mAの定電流で充電して4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で合計3時間充電を行った。その後、1.5Cに相当する9mAの電流値で3.0Vまで放電を行い、出力試験測定値として、以下の容量維持率を算出した。
容量維持率=(85℃満充電保存試験後1.5C放電時の容量/85℃満充電保存試験前の初期容量)×100[%]

0127

(6)単層ラミネート電池の作製
上述のようにして得られた正極(P1)を、正極活物質層の面積が30mm×50mmで、且つアルミニウム箔の露出部を含むように切断した。そして、アルミニウム箔の露出部に電流を取り出すためのアルミニウム製のリード片を溶接し、120℃で12時間真空乾燥を行うことにより、リード付き正極を得た。上述のようにして得られた負極(N1)を、負極活物質層の面積が32mm×52mmで、且つ銅箔の露出部を含むように切断した。そして、銅箔の露出部に電流を取り出すためのニッケル製のリード片を溶接し、80℃で12時間真空乾燥を行うことにより、リード付き負極を得た。次に、リード付き正極とリード付き負極とを、各極の合剤塗布面が対向するようにポリエチレン製微多孔膜セパレータ(厚み21μm)を介して重ね合わせて積層電極体とした。この積層電極体を、90mm×80mmのアルミニウムラミネートシート外装体内に収容し、水分を除去するために80℃で5時間真空乾燥を行った。続いて、上記した各電解液を外装体内に注入した後、外装体を封止することにより、単層ラミネート型パウチ型)非水系二次電池(以下、単に「単層ラミネート電池」ともいう。)を作製した。この単層ラミネート電池は、設計容量値が23mAh、定格電圧値が4.2Vのものである。

0128

(7)単層ラミネート電池の評価
上述のようにして得られた単層ラミネート電池について、以下の手順に従って初回充放電処理を行った。続いて60℃における4.2V貯蔵特性を評価した。充放電は、アスカ電子(株)製の充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製の恒温槽PLM−73S(商品名)を用いて行った。

0129

ここで、1Cとは満充電状態の電池を、定電流で放電して1時間で放電終了となることが期待される電流値を意味する。下記においては、4.2Vの満充電状態から定電流で3.0Vまで放電して1時間で放電終了となることが期待される電流値を意味する。

0130

(7−1)単層ラミネート電池の初回充放電処理
単層ラミネート電池の周囲温度を25℃に設定し、0.05Cに相当する1.15mAの定電流で充電して電池電圧が4.2Vに到達するまで充電を行った後、4.2Vの定電圧で充電を継続し、3時間の充電を行った。その後、0.3Cに相当する6.9mAの定電流で3.0Vまで放電した。

0131

(7−2)単層ラミネート電池の60℃貯蔵試験
上記初回充放電処理後の単層ラミネート電池について、25℃において、0.3Cの電流値で4.2Vになるまで定電流充電を行った後、4.2Vで1時間の定電圧充電を行った。そして、この充電後の単層ラミネート電池を60℃の恒温槽内で貯蔵した。720時間経過後、単層ラミネート電池を恒温槽から取り出して室温に戻した後に、各ラミネートセルのガス発生量を測定する手法により、単層ラミネート電池のガス発生量を測定した。

0132

(7−3)ガス発生量の測定方法
ガス発生量は、超純水の入った容器に単層ラミネート電池を投入し、その前後での重量変化から単層ラミネート電池の体積を測定するというアルキメデス法を用いた。重量変化から体積を測定する装置としてはアルファーミラージュ社製の比重計MDS−300を用いた。

0133

[実施例1]
不活性雰囲気下、アセトニトリル(AcN)に、1.0molのLiPF6を溶解させた。次に、上記混合溶媒100質量部に対して、添加剤としてアゾール化合物である1−メチルピラゾール0.1質量部を加えて混合することにより、電解液を得た。この電解液について、上述の(2)に記載の方法で正極浸漬試験を行った。

0134

[実施例2〜5、比較例1]
実施例2〜5、比較例1において、添加剤の種類及び添加量を、それぞれ表1に記載の通りとしたこと以外は実施例1と同様にして電解液をそれぞれ得た。これらの電解液について上述の(2)に記載の方法で正極浸漬試験を行った。

0135

実施例1〜実施例5及び比較例1における電解液組成及び評価結果を以下の表1に示す。

0136

0137

表1〜3の非水系溶媒欄における略称は、それぞれ以下の意味である。
AcN:アセトニトリル
DEC:ジエチルカーボネート
EMC:エチルメチルカーボネート
EC:エチレンカーボネート
VC:ビニレンカーボネート
LiPF6:ヘキサフルオロリン酸リチウム
LiFSI:リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiN(SO2F)2)

0138

フッ素含有無機リチウム塩と有意量のアセトニトリルとを含む電解液において、アゾール化合物を含有しない比較例1では、ゲル状物の生成が認められた。このゲル状物は、分析結果から遷移金属とアセトニトリルとからなる錯体カチオンを含むものであることが判明した。一方、フッ素含有無機リチウム塩と有意量のアセトニトリルとを含む電解液において、アゾール化合物を含有する実施例1〜実施例5では、ゲル状物の生成が認められなかった。

0139

これらの結果から、フッ素含有無機リチウム塩と有意量のアセトニトリルとを含む電解液において、アゾール化合物の添加が、高温耐久性に大きく寄与していることが明らかとなった。

0140

なお、実施例1〜実施例5では、アゾール化合物の添加量が、非水系電解液の全体量に対して、0.01〜10質量%の範囲であり、好ましくは、0.02〜5質量%であり、より好ましく、0.05〜3質量%である。また、更に好ましくは、添加量は、0.10〜1.0質量%である。

0141

[実施例6]
上述のようにして作製した正極(P1)及び負極(N1)、並びに表2記載の組成通りに調製した電解液を組み合わせ、上述の(4)に記載の方法に従ってコイン電池を作製した。このコイン電池について上述の(5−1)に記載の方法により初回充放電処理を行い、上述の(5−2)及び(5−3)に記載の方法により85℃満充電保存試験及び出力試験を行った。

0142

[実施例7、実施例8及び比較例2]
実施例7、実施例8及び比較例2において、非水系溶媒の組成、添加剤の種類及び添加量を、それぞれ表2に記載の通りとしたこと以外は、実施例6と同様にしてコイン電池を作製した。このコイン電池について上述の(5−1)に記載の方法により初回充放電処理を行い、上述の(5−2)及び(5−3)に記載の方法により放電容量測定及び保存試験を行った。

0143

実施例6〜8及び比較例2における電解液組成及び評価結果を、以下の表2に示す。

0144

0145

実施例6〜実施例8と比較例2との比較から、アセトニトリルを含む電解液を用いた場合には、アセトニトリル及びアゾール化合物を含まない電解液を用いた場合と比較して出力試験における容量維持率が顕著に向上されることが確認された。

0146

表2に示すように、実施例6〜8では、85℃4時間保存後での出力試験における容量維持率が、75%以上であった。また、実施例6〜8では、該容量維持率を80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上にできることがわかった。

0147

[実施例9]
上述のようにして作製した正極(P1)及び負極(N1)、並びに表3に記載の組成で調製した電解液を組み合わせ、上述の(6)に記載の方法に従って単層ラミネート電池を作製した。この単層ラミネート電池について上述の(7−1)に記載の方法により初回充放電処理を行い、上述の(7−2)及び(7−3)に記載の方法により60℃貯蔵試験及びガス発生量の測定を行った。

0148

[比較例3]
上記実施例9において、1−メチルピラゾールを添加しなかったこと以外は、実施例9と同様にして単層ラミネート電池を作製した。この単層ラミネート電池について上述の(7−1)に記載の方法により初回充放電処理を行い、上述の(7−2)及び(7−3)に記載の方法により60℃貯蔵試験及びガス発生量の測定を行った。実施例9及び比較例3における電解液組成及び評価結果を以下の表3に示す。

0149

0150

実施例9と比較例3との比較から、アゾール化合物である1−メチルピラゾールを含む電解液を用いた場合には、1−メチルピラゾールを含まない電解液を用いた場合と比較してガス発生量が顕著に抑制されることが確認された。

0151

具体的には、実施例では、60℃貯蔵試験におけるガス発生量が、0.06ml以下であるがわかった。また、本実施例では、ガス発生量を好ましくは、0.05ml以下にすることができ、より好ましくは、0.04ml以下にすることができる。

実施例

0152

また、本実施例では、60℃貯蔵試験におけるガス発生量を、電池容量1mAhあたりに換算すると、0.0025ml以下であることがわかった。また、本実施例では、60℃貯蔵試験におけるガス発生量(電池容量1mAhあたりの換算値)を、好ましくは0.002ml以下にできる。

0153

1非水系二次電池
2電池外装
3正極リード体
3a正極端子
3bリードタブ
4負極リード体
4a負極端子
4b リードタブ
5 正極
6 負極
7セパレータ
9リード片
10 正極
11正極活物質層
12正極集電体
13タブ部
20 負極
21負極活物質層
22負極集電体
23 タブ部
50 正極活物質層
60 負極活物質層

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