図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
各種機器(テレビ、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話等)に備え付けられた画像表示装置(液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等)においては、室内照明(蛍光灯等)、太陽光等の外光が表示面に映り込むと、反射像によって視認性が低下する。
そこで、外光の映り込みを抑制するために、画像表示装置用カバーガラスの表面に、防眩処理を施すことが行われている。
近年は、太陽電池用カバーガラスの表面で反射した反射光による光害を防止するために防眩処理を施すことも行われている。
防眩処理は、カバーガラスとして使用される板ガラスのような基材表面に凹凸を設け、該凹凸によって入射光を散乱させることで反射像を不鮮明にする処理である。防眩処理としては、従来、基材の表面をフッ酸等に浸漬して粗面化する方法、サンドブラスト等により粗面化する方法が知られている(特許文献1)。
上述した防眩処理は、処理に要する時間が比較的長くスループットが低いことが難点であり、防眩処理に要する短縮が求められている。
一方、搬送型常圧CVD装置を利用したガラスの表面処理方法が知られている(特許文献2〜6)、これらの表面処理方法では、搬送型常圧CVD装置内を所定速度で搬送される板ガラス若しくはガラスリボンに対し、装置に設けられた原料ガス供給ノズルから、塩化水素(HCl)ガス、フッ化水素(HF)ガス、および、水蒸気を混合して、若しくは、これらのガスを別々に吹き付けてガラスを表面処理する。
しかしながら、これらの表面処理は、板ガラスの高ヘイズ化や板ガラス表面の緻密化を目的としており、搬送型常圧CVD装置を利用して板ガラスに防眩処理を施す試みはなされていない。
概要
板ガラス表面の防眩処理のスループットの向上。 搬送型常圧CVD装置内を搬送される板ガラスの一方の表面に対し、塩化水素(HCl)を含有する第一のガスを接触させる第一の処理、および、フッ化水素(HF)を含有する第二のガスを接触させる第二の処理をこの順に実施することにより、一方の表面が防眩処理された板ガラスを製造する方法であって、前記第二のガスにおける水蒸気(H2O)とHFとの体積比(H2O/HF)が0.5以下であること、前記第一の処理および前記第二の処理実施時の板ガラスの温度が500℃以上であること、および前記板ガラスがアルカリ含有ガラスであることを特徴とする、一方の表面が防眩処理された板ガラスの製造方法。なし
目的
本発明は、板ガラス表面の防眩処理のスループットの向上を目的とする
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
搬送型常圧CVD装置内を搬送される板ガラスの一方の表面に対し、塩化水素(HCl)を含有する第一のガスを接触させる第一の処理、および、フッ化水素(HF)を含有する第二のガスを接触させる第二の処理をこの順に実施することにより、一方の表面が防眩処理された板ガラスを製造する方法であって、前記第二のガスにおける水蒸気(H2O)とHFとの体積比(H2O/HF)が0.5以下であること、前記第一の処理および前記第二の処理実施時の板ガラスの温度が500℃以上であること、および前記板ガラスがアルカリ含有ガラスであることを特徴とする、一方の表面が防眩処理された板ガラスの製造方法。
請求項2
前記第一の処理および前記第二の処理実施時の板ガラスの温度が500〜650℃である、請求項1に記載の一方の表面が防眩処理された板ガラスの製造方法。
請求項3
前記第一のガスはHCl濃度が1〜30vol%である、請求項1または2に記載の一方の表面が防眩処理された板ガラスの製造方法。
請求項4
前記第二のガスはHF濃度が1〜20vol%である、請求項1〜3のいずれかに記載の一方の表面が防眩処理された板ガラスの製造方法。
請求項5
前記第一の処理のガス接触時間が1〜20秒である、請求項1〜4のいずれかに記載の防眩処理された板ガラスの製造方法。
請求項6
前記第二の処理のガス接触時間が5〜50秒である、請求項1〜5のいずれかに記載の一方の表面が防眩処理された板ガラスの製造方法。
請求項7
前記第二の処理の実施後、板ガラスの被処理面を洗浄する第三の処理をさらに実施する、請求項1〜6のいずれかに記載の一方の表面が防眩処理された板ガラスの製造方法。
請求項8
請求項9
技術分野
0001
本発明は、防眩性板ガラスの製造方法に関する。本発明により製造される防眩性板ガラスは、太陽電池用カバーガラス、画像表示装置用カバーガラスとして好適である。
背景技術
0002
各種機器(テレビ、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話等)に備え付けられた画像表示装置(液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等)においては、室内照明(蛍光灯等)、太陽光等の外光が表示面に映り込むと、反射像によって視認性が低下する。
そこで、外光の映り込みを抑制するために、画像表示装置用カバーガラスの表面に、防眩処理を施すことが行われている。
近年は、太陽電池用カバーガラスの表面で反射した反射光による光害を防止するために防眩処理を施すことも行われている。
防眩処理は、カバーガラスとして使用される板ガラスのような基材表面に凹凸を設け、該凹凸によって入射光を散乱させることで反射像を不鮮明にする処理である。防眩処理としては、従来、基材の表面をフッ酸等に浸漬して粗面化する方法、サンドブラスト等により粗面化する方法が知られている(特許文献1)。
0003
上述した防眩処理は、処理に要する時間が比較的長くスループットが低いことが難点であり、防眩処理に要する短縮が求められている。
0004
一方、搬送型常圧CVD装置を利用したガラスの表面処理方法が知られている(特許文献2〜6)、これらの表面処理方法では、搬送型常圧CVD装置内を所定速度で搬送される板ガラス若しくはガラスリボンに対し、装置に設けられた原料ガス供給ノズルから、塩化水素(HCl)ガス、フッ化水素(HF)ガス、および、水蒸気を混合して、若しくは、これらのガスを別々に吹き付けてガラスを表面処理する。
しかしながら、これらの表面処理は、板ガラスの高ヘイズ化や板ガラス表面の緻密化を目的としており、搬送型常圧CVD装置を利用して板ガラスに防眩処理を施す試みはなされていない。
先行技術
0005
国際公開WO2016/113970号
国際公開WO2015/093029号
国際公開WO2015/115100号
国際公開WO2015/029455号
国際公開WO2015/045405号
国際公開WO2012/141311号
発明が解決しようとする課題
0006
本発明は、板ガラス表面の防眩処理のスループットの向上を目的とする。
課題を解決するための手段
0007
上述した目的を達成するため、本発明は、搬送型常圧CVD装置を用いて、一方の表面が防眩処理された板ガラスを製造する方法であって、搬送型常圧CVD装置内を搬送される板ガラスの一方の表面に対し、塩化水素(HCl)を含有する第一のガスを接触させる第一の処理、および、フッ化水素(HF)を含有する第二のガスを接触させる第二の処理をこの順に実施すること、および、前記第二のガスにおける水蒸気(H2O)とHFとの体積比(H2O/HF)が0.5以下であること、前記第一の処理および前記第二の処理実施時の板ガラスの温度が500℃以上であること、ならびに、前記板ガラスがアルカリ含有ガラスであることを特徴とする、防眩処理された板ガラスの製造方法を提供する。
0008
本発明の防眩処理された板ガラスの製造方法において、前記第一の処理および前記第二の処理実施時の板ガラスの温度が500〜650℃であることが好ましい。
0009
本発明の防眩処理された板ガラスの製造方法において、前記第一のガスはHCl濃度が1〜30vol%であることが好ましい。
0010
本発明の防眩処理された板ガラスの製造方法において、前記第二のガスはHF濃度が1〜20vol%であることが好ましい。
0011
本発明の防眩処理された板ガラスの製造方法において、前記第一の処理のガス接触時間が1〜20秒であることが好ましい。
0012
本発明の防眩処理された板ガラスの製造方法において、前記第二の処理のガス接触時間が5〜50秒であることが好ましい。
0013
本発明の防眩処理された板ガラスの製造方法において、前記第二の処理の実施後、板ガラスの被処理面を洗浄する第三の処理をさらに実施することが好ましい。
発明の効果
0016
本発明では、板ガラスの一方の表面に防眩性を付与するのに搬送型常圧CVD装置を使用するため、フッ酸等に浸漬して板ガラスの表面を粗面化する方法、サンドブラストで板ガラスの表面を粗面化する方法といった従来の防眩性を付与する方法に比べてスループットが高い。
本発明により防眩性が付与された板ガラスは、光沢の指標であるGloss(unit)の数値が低く、太陽電池用カバーガラス、画像表示装置用カバーガラスとして好適である。
本発明により防眩性が付与された板ガラスは、反射防止機能により板ガラスの透過率が高く、かつ表面硬度の指標である鉛筆硬度の数値が大きく、太陽電池用カバーガラス、画像表示装置用カバーガラスとして好適である。
図面の簡単な説明
0018
以下、本発明について、図面を参照して説明する。
本発明の方法では、搬送型常圧CVD装置内を搬送される板ガラスの一方の表面に対し以下に述べる手順で防眩処理を施す。
なお、本発明の方法を用いて防眩処理を施す板ガラスは、ソーダライムシリケートガラス、アルミナシリケートガラス、ボロシリケートガラス等のアルカリ含有ガラスである。
0019
図1は、本発明に用いる搬送型常圧CVD装置の一構成例を示した模式図である。
図1に示す搬送型常圧CVD装置は、コンベアベルト10のローラ−12a〜12dにより、矢印y方向に搬送されるガラス基板100上に、ガス供給手段20,30から後述する第一のガス、および、第二のガスを供給する。
図1に示すガス供給手段20,30は、ガス供給部20a,30aに対し、板ガラス100の進行方向で上流側と下流側に排気部20b,30bが設けられている。
ガス供給部20a,30aから板ガラス100上に供給された第一のガス、および、第二のガスは、破線の矢印で示す経路で排気部20b,30bに吸引除去される。
0020
本発明の方法では、第一の処理として、ガス供給手段20のガス供給部20aから塩化水素(HCl)を含有する第一のガスを供給して、板ガラス100の一方の表面に接触させる。
板ガラス100は、アルカリ含有ガラスであるため、第一の処理実施時における板ガラスの温度が500℃以上であることにより、板ガラス100中のアルカリ成分の一部がイオンとして板ガラスの表面に析出する。アルカリ含有ガラスがソーダライムシリケートガラスの場合、板ガラス100中のナトリウムの一部がナトリウムイオンとして板ガラス100の表面に析出する。
第一の処理実施時における板ガラスの温度は、500〜800℃であることが好ましく、500〜650℃であることがより好ましい。650℃以下にすることで第一の処理実施時に板ガラスの反りや歪みを抑制しやすいため好ましい。
0021
この状態でHClを含有する第一のガスを板ガラス100の一方の表面に接触させると、第一のガス中のHClと板ガラス100表面に析出しているアルカリイオン(ソーダライムシリケートガラスの場合はナトリウムイオン)とが反応して、板ガラス100表面にアルカリ塩化物(ソーダライムシリケートガラスの場合はナトリウム塩化物)が析出する。
ガス供給部20aから供給された第一のガスのうち、余剰分は排気部20bに吸引除去される。
0022
ガス供給部20aから供給する第一のガスは、HCl以外にキャリアガスとして、窒素、乾燥空気、希ガスを通常含有する。これらの中でも、窒素、乾燥空気が安価であることから好ましい。
板ガラス100表面におけるアルカリ塩化物の析出を調節する目的で、ガス供給部20aから供給する第一のガスに、HClおよびキャリアガス以外に水蒸気(H2O)を含有させてもよい。
第一のガス中のHCl濃度は1〜30vol%であることが好ましく、2〜15vol%であることがより好ましい。
0023
第一の処理におけるガス接触時間は1〜20秒であることが好ましく、2〜12秒であることがより好ましい。
0024
本発明の方法では、第一の処理の実施前に、板ガラス100表面へのアルカリイオン(ソーダライムシリケートガラスの場合はナトリウムイオン)の析出量を調節するための前処理を実施してもよい。このような前処理の具体例としては、板ガラス100表面に水蒸気を接触させる処理、フッ化水素(HF)を含むガスを接触させる処理が挙げられる。また、前処理として、板ガラス100表面にSiO2膜やTiO2膜を下地膜として形成してもよい。これらの前処理は、図1に示す搬送型常圧CVD装置において、ガス供給手段20よりも板ガラス100の進行方向上流側にさらにガス供給手段を設けて、当該ガス供給手段から所定のガスを供給して、板ガラス100表面に接触させる。板ガラス100表面に水蒸気を接触させる処理の場合、当該ガス共有手段から水蒸気を供給する。板ガラス100表面にフッ化水素(HF)を含むガスを接触させる処理の場合、当該ガス共有手段からフッ化水素(HF)を含むガスを供給する。板ガラス100表面にSiO2膜を下地膜として形成する場合、たとえば、当該ガス共有手段からモノシラン(SiH4)を含むガスと、酸素(O2)を含むガスを供給する。板ガラス100表面にTiO2膜を下地膜として形成する場合、たとえば、当該ガス共有手段から塩化チタン(TiCl4)やチタンテトライソプロピオキシド(TTIP)を供給する。
0025
次に、第二の処理として、ガス供給手段30のガス供給部30aからフッ化水素(HF)を含有する第二のガスを供給して、板ガラス100の一方の表面に接触させる。HFを含有する第二のガスを板ガラス100の一方の表面に接触させると、第二のガス中のHFにより板ガラス100表面がエッチングされる。
但し、第一の処理で板ガラス100表面にアルカリ塩化物が析出した部位は、アルカリ塩化物がマスクとなりエッチングされない。その結果、第二の処理により、板ガラス100表面に凹凸が形成され、板ガラス100表面に防眩処理が施される。
なお、第二の処理は気相でのエッチング処理であるため、第二の処理実施時における板ガラスの温度は500℃以上であることが求められる。
第二の処理実施時における板ガラスの温度は、500〜800℃であることが好ましく、500〜650℃であることがより好ましい。650℃以下にすることで第二の処理実施時に板ガラスの反りや歪みを抑制しやすいため好ましい。
0026
図2(a)〜(c)は、本発明の第一の処理実施後、および、第二の処理実施後の板ガラス表面を示した模式図である。図2(a)は、第一の処理実施後の板ガラス表面を示した図であり、板ガラス100表面には、アルカリ塩化物200が析出している。図2(b)は、第二の処理実施後の板ガラス表面を示した図であり、アルカリ塩化物200がマスクとなるため、アルカリ塩化物200が存在しない部位のみがエッチングされ、凹部110が形成されている。図2(c)は、板ガラス100の一方の表面に存在するアルカリ塩化物を洗浄により除去した状態を示した図である。図2(c)では、凹部110の存在により、板ガラス100表面に凹凸が形成されている。この凹凸の存在により、板ガラス100表面に防眩処理が施される。
0027
但し、ガス供給部30aから供給される第二のガスが水蒸気(H2O)を含有していると、後述する比較例1〜4に示すように、板ガラス100表面に防眩処理を施すことができない。これは、第二のガスが水蒸気(H2O)を含有していると、板ガラス100表面に析出しているアルカリ塩化物200の形状が変化してしまい、エッチングマスクとして機能できないためと考えられる。
そのため、ガス供給部30aから供給される第二のガスは、H2OとHFとの体積比(H2O/HF)が0.5以下であることが求められる。ガス供給部30aから供給される第二のガスは、H2OとHFとの体積比(H2O/HF)が0.1以下であることが好ましい。
0028
ガス供給部30aから供給する第二のガスは、HF以外にキャリアガスとして、窒素、乾燥空気、希ガスを通常含有する。これらの中でも、窒素、乾燥空気が安価であることから好ましい。
第二のガス中のHF濃度は1〜20vol%であることが好ましく、2〜15vol%であることがより好ましい。
0029
第二の処理におけるガス接触時間は5〜50秒であることが好ましく、10〜30秒であることがより好ましい。
0030
図2(a)〜(c)を用いて説明したように、第一の処理、および、第二の処理の実施後、板ガラス100表面に存在するアルカリ塩化物200を除去することにより、板ガラス100表面に防眩処理が施させる。
そのため、本発明では、第二の処理後、板ガラス100の被処理面を洗浄する第三の処理を実施することが好ましい。第三の処理において、板ガラス100の被処理面を洗浄する方法は特に限定されず、例えば、水洗が挙げられる。水洗が、コストが低く、かつ、処理後の洗浄液を除去する操作が不要である等の理由から好ましい。第三の処理として、板ガラス100の被処理面の水洗を実施した場合、第三の処理後の板ガラス100を乾燥させればよい。
0031
なお、本発明の方法はオンライン処理として実施してもよく、オフライン処理として実施してもよい。本明細書における「オンライン処理」とは、ガラスのフロート成形法においてフロートバス内を移動するガラスリボンに対して本発明の方法を適用する場合や、フロート法やダウンドロー法などで成形されたガラスリボンを徐冷する徐冷過程において、本発明の方法を適用する場合を指す。一方、「オフライン処理」とは、成形され所望の大きさに切断された板ガラスに対して、上述した第一の処理、および、第二の処理を行うことを指す。したがって、本明細書における板ガラスは、成形され所望の大きさにカットされた板ガラスに加えて、フロートバス内を移動するガラスリボン、および、フロート法やダウンドロー法などで成形されたガラスリボンを含む。
なお、フロート法で成形されたガラスリボンに対して、上述した第一の処理、および、第二の処理をオンライン処理で実施する場合、防眩処理が施されるのは、ガラスリボンのトップ面である。
一方、フロート法で成形された板ガラス(フロート板ガラス)に対して、上述した第一の処理、および、第二の処理をオフライン処理で実施する場合、フロート板ガラスのトップ面、または、ボトム面のいずれに防眩処理を施すことも可能である。
防眩処理が施された板ガラスを、画像表示装置用カバーガラスとして使用する場合、フロート板ガラスのボトム面に防眩処理を施すことが好ましい。本発明の方法により防眩処理が施されたフロート板ガラスは、防眩処理が施されていない側の表面のほうが強度が高い。フロート板ガラスのボトム面に防眩処理を施した場合、防眩処理が施されていないトップ面のほうが強度が高い。そのため、フロート板ガラスのボトム面に防眩処理を施した場合、より強度が高いトップ面を、画像表示装置用カバーガラスとして使用する際に、本体のガラスに面する側とすることができ、カバーガラスとして使用時の強度が向上する。
0032
本発明の方法により防眩処理が施された板ガラスは防眩性が良好である。後述する実施例に記載の手順で測定される反射像拡散性指標値Rが0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましい。
0033
本発明の方法により防眩処理が施された板ガラスは、防眩処理を施す前に比べて光線透過率が変化する。後述する実施例に記載の手順で測定される透過率変化値ΔTが0.4%以上であることが好ましく、1.0%以上であることが好ましい。
0034
本発明の方法により防眩処理が施された板ガラスは光沢度が低い。後述する実施例に記載の手順で測定される光沢度(Gloss Unit(GU))が72未満であることが好ましく、70以下であることがより好ましい。
0035
本発明の方法により防眩処理が施された板ガラスは、表面全体がHFエッチングされた板ガラスに比べて表面硬度が高い。後述する実施例に記載の手順で測定される鉛筆硬度が4H以上であることが好ましく、7H以上であることがより好ましく、8H以上であることがさらに好ましい。
0036
以下に、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1〜12)
以下に示す実施例では、フロート法で成形されたソーダライムシリケートガラス組成の板ガラスを使用し、搬送型常圧CVD装置を用いて、板ガラスのボトム面に対して、本発明の方法の第一の処理、および、第二の処理をこの順に実施した。搬送型常圧CVD装置は図1に示す構成である。第一の処理に関して、第一のガスのHCl濃度、ガラス温度、ガス接触時間、および、第二の処理に関して、第二のガスHF濃度、H2O/HF、ガラス温度、ガス接触時間は下記表に示す通り。なお、第一のガスはHClと窒素の混合ガスである。第二のガスはHFと窒素の混合ガスである。
0037
(比較例1〜5)
比較例1〜5は、第二の処理におけるH2O/HFが0.5超である点を除いて実施例と同様の手順で実施した。
0038
(比較例6〜10)
比較例6〜10は、第一の処理を実施しなかった点を除いて実施例と同様の手順で実施した。
0039
第二の処理後の板ガラスについて、以下の物性評価を実施した。
「透過率T」は、第一の処理および第二の処理でガスを接触させた側の表面にC光源を載置し、反対側の表面に透過してくる光を受光器を用いて測定した。
なお、透過率Tは、JIS K7136:2000(ISO14782:1999)に記載された方法によって測定され、ヘイズメーター(スガ試験機製、HZ−1)を用いて測定した。
「Haze率」は、JIS K7105:1981に記載された方法によって測定し、ヘーズメーター(スガ試験機株式会社製、HZ−1)を用いて測定した。
「GU」は、光沢度(Gloss Unit)であり、JIS Z8741:1997(ISO2813)に記載された方法によって測定し、分光測色計(コニカミノルタ社製、光沢計GM−268Plus)を用いて測定した。測定角度は60°とした。
「R」は、反射像拡散性指標値であり、第一の処理および第二の処理でガスを接触させた側の表面(以下第1の表面とする)側から、ガラス板の厚さに対して45゜の方向に光(可視領域)を照射し、前記第1の表面で反射する正反射光(45゜正反射光という)の輝度を測定し、第1の表面により反射される反射光の受光角度を0゜〜+90°の範囲で変化させ、第1の表面で反射する全反射光の輝度を測定し、以下の式(1)から算定した。
反射像拡散性指標値R=
(全反射光の輝度−45゜正反射光の輝度)/(全反射光の輝度) 式(1)
「鉛筆硬度」は、 JIS K 5400による鉛筆硬度試験で測定した。なお、表中の記載「未」は、鉛筆硬度試験を実施しなかったものである。
0040
実施例
0041
表から明らかなように、本発明の方法の第一の処理、および、第二の処理をこの順に実施した実施例1〜12は、反射像拡散性指標値Rが0.05以上であり防眩性に優れている。また、光沢度(GU)が72未満である。鉛筆硬度が7H以上であり、表面硬度が高い。
一方、第二の処理におけるH2O/HFが0.5超である比較例1〜5は、反射像拡散性指標値Rが0.05未満であり防眩性に劣る。また、光沢度(GU)が72以上である。
第一の処理を実施しなかった比較例6〜10は、反射像拡散性指標値Rが0.05未満であり防眩性に劣る。また、光沢度(GU)が72以上である。また、鉛筆硬度が6H以下である、表面硬度が低い。