図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
電気自動車には走行用のモータと、それを駆動するためのインバータ、及び駆動源である高電圧バッテリが搭載されている。ハイブリッド車両も同様である。
電気自動車のインバータ及び高電圧バッテリから放射される音が、車室内、車室外で耳障りとなることがあり、対策が必要となっている。特に、放射される音に含まれる高周波音は、隙間から漏れやすい性質がある。
インバータは、直流を交流に変化する電気機器であり、通常、スイッチング素子が使用されるため、電流にノイズが乗る。その電流ノイズのため、インバータ内部のコンデンサに振動が発生する。振動しているコンデンサから、又はその振動がケース等の他の部品に伝達することから、放射音(騒音)が発生する。
高電圧バッテリにおいても、インバータと共に使用されることから、電流ノイズにより高電圧バッテリ内部の部品が振動する。振動している内部の部品から、又はその振動がケース等の他の部品に伝達することから、放射音(騒音)が発生する。
これまでインバータや高電圧バッテリに対して防音対策を施した先行技術文献は見当たらない。特許文献1では、車両に設けられるリレー等の電気部品を収納している電気接続箱に対して、箱の内面に発泡樹脂、発泡金属、吸音材、吸音体、消音材又は消音体を設けて、リレーの作動時又は復帰時に生じる動作音を外部に漏れないようにしている。特に、特許文献1の第4の実施の形態では、吸音体又は消音体として箱の内面に凹部と凸部を形成し、発生する動作音を吸収している。
概要
簡単な構成で消音の効果か高い防音カバーを提供する。インバータや高電圧バッテリ等の電気自動車の電気機器の表面を覆う様に装着される防音カバー10であって、電気機器の表面との対向面には複数の突起列14が形成される。突起列14は、装着状態にてそれぞれ電気機器の対向する表面にそれぞれの先端部が接触する高さを有する。
目的
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で消音の効果の高い防音カバーを提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
インバータや高電圧バッテリ等の電気機器の表面を覆って装着されるカバー体であって、前記電気機器の表面との対向面には複数の突起部が形成され、該突起部は、前記装着状態にて、前記電気機器の対向する表面にそれぞれの先端部が接触する高さを有することを特徴とする防音カバー。
請求項2
請求項3
前記枠状突起部の枠内及び/又は枠外には独立した前記突起部が設けられたことを特徴とする請求項2に記載の防音カバー。
請求項4
前記電気機器の表面は、凹凸を有する形態を備え、前記突起部は、それぞれ前記電気機器の対向する位置の表面の凹凸状態に追従して異なる高さを有することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の防音カバー。
請求項5
請求項6
請求項7
前記カバー体は、電気自動車に搭載される電気機器の表面を覆うことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の防音カバー。
技術分野
背景技術
0003
電気自動車のインバータ及び高電圧バッテリから放射される音が、車室内、車室外で耳障りとなることがあり、対策が必要となっている。特に、放射される音に含まれる高周波音は、隙間から漏れやすい性質がある。
0004
インバータは、直流を交流に変化する電気機器であり、通常、スイッチング素子が使用されるため、電流にノイズが乗る。その電流ノイズのため、インバータ内部のコンデンサに振動が発生する。振動しているコンデンサから、又はその振動がケース等の他の部品に伝達することから、放射音(騒音)が発生する。
0005
高電圧バッテリにおいても、インバータと共に使用されることから、電流ノイズにより高電圧バッテリ内部の部品が振動する。振動している内部の部品から、又はその振動がケース等の他の部品に伝達することから、放射音(騒音)が発生する。
0006
これまでインバータや高電圧バッテリに対して防音対策を施した先行技術文献は見当たらない。特許文献1では、車両に設けられるリレー等の電気部品を収納している電気接続箱に対して、箱の内面に発泡樹脂、発泡金属、吸音材、吸音体、消音材又は消音体を設けて、リレーの作動時又は復帰時に生じる動作音を外部に漏れないようにしている。特に、特許文献1の第4の実施の形態では、吸音体又は消音体として箱の内面に凹部と凸部を形成し、発生する動作音を吸収している。
先行技術
0007
特開2005−304162号公報
発明が解決しようとする課題
0008
特許文献1に記載の防音方法では、騒音源はケース内にあり、ケースの内面に凹凸を形成している。したがって、騒音源を取り囲むケースが必要となる。また、騒音をより効果的に吸収するには、凹凸の高さ及び面積は、吸音したい発生周波数に対応させて形成する必要がある。
0009
したがって、インバータ等のように車体に組み込まれ、ハーネス等が接続されている電気機器には適用が難しく、更に効果的に防音するために発生周波数に対応させて凹凸を設計、形成することは容易ではない。
0010
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で消音の効果の高い防音カバーを提供することにある。
課題を解決するための手段
0011
上記目的の達成のため請求項1に記載の防音カバーは、
インバータや高電圧バッテリ等の電気機器の表面を覆って装着されるカバー体であって、前記電気機器の表面との対向面には複数の突起部が形成され、該突起部は前記装着状態にて、前記電気機器の対向する表面にそれぞれの先端部が接触する高さを有することを特徴とする。
0012
この構成により、各突起部の先端部は電気機器の表面に接触するので、電気機器の振動が突起部毎に分散されて該防音カバー側に伝達され、電気機器からの直接の振動音が外部に放射されることが抑制される。したがって、簡単な構成で電気機器からの耳障りな騒音の発生の抑制が図られる。
0013
請求項2に記載の防音カバーは、請求項1に記載の防音カバーにおいて、
前記突起部には、前記電気機器の騒音発生部を含む領域を枠状に囲む状態で前記先端部が前記電気機器の表面に接触する枠状突起部が含まれることを特徴とする。
0014
この構成により、電気機器の騒音発生部を含む領域は、枠状突起部により囲まれ、枠状突起部の先端部は電機機器の表面に接触することにより、枠状突起部の枠内は密閉状態とされる。したがって、騒音、特に隙間から漏れやすい高周波成分も密封され、より効果的に騒音の発生が抑制される。
0015
請求項3に記載の防音カバーは、請求項2に記載の防音カバーにおいて、
前記枠状突起部の枠内及び/又は枠外には独立した前記突起部が設けられたことを特徴とする。
0016
この構成により、枠状突起部の枠内に突起部が設けられれば枠状突起部の密閉の効果に加え、枠内で突起部により騒音の吸収が為され、消音の効果は一層高くなる。枠状突起部の枠外の突起部が設けられれば、枠外での突起部による騒音の吸収が為され。広範囲に亘り消音の効果を奏することとなる。
0017
請求項4に記載の防音カバーは、請求項1〜3の何れか1項に記載の防音カバーにおいて、
前記電気機器の表面は、凹凸を有する形態を備え、前記突起部は、それぞれ前記電気機器の対向する位置の表面の凹凸状態に追従して異なる高さを有することを特徴とする。
0018
この構成により、突起部の高さは、電気機器の表面の凹凸に合わせて様々となるため、広い周波数に対して吸音効果が得られることとなる。したがって、騒音に含まれる広い範囲の周波数成分が吸音され、より効果的に騒音を消音することができる。
0019
請求項5に記載の防音カバーは、請求項1〜4の何れか1項に記載の防音カバーにおいて、
前記複数の突起部は、互いに略平行に伸長する断面略三角形の突起列として構成された突起部を含むことを特徴とする。
0020
この構成により、防音カバーの内部空間は、音響分野における無響室の構成と類似したものとなり、騒音は突起列間で減衰しながら反射を繰り返し最終的に吸音されるので、一層効果的に騒音の発生を抑制することができる。
0022
この構成により、防音カバーの内部空間は、音響分野における無響室の構成と類似したものとなり、電気機器から放射された騒音は、尖状突起間で減衰しながら反射を繰り返し、最終的に騒音は消音されるので、一層効果的に騒音の発生を抑制することができる。
0023
請求項7に記載の防音カバーは、請求項1〜6の何れか1項に記載の防音カバーにおいて、
前記カバー体は、電気自動車に搭載される電気機器の表面を覆うことを特徴とする。
0024
この構成により、電気自動車に搭載される電気機器の振動発生を抑制することにより、騒音の発生を抑制することができる。
発明の効果
0025
本発明の防音カバーによれば、電気機器の表面と対向する対向面に形成された複数の突起部は、その先端部が電気機器の表面に接触するので、電気機器の振動が突起部毎に分散されて該防音カバー側に伝達され、電気機器からの直接の振動音が外部に放射されることが抑制される。したがって、電気機器からの耳障りな騒音の発生の抑制が図られ、騒音を気にすることなく快適で安全なトライブを楽しむことができる。
図面の簡単な説明
0026
本発明の防音カバーの第1の実施の形態に係り、防音カバーの概略斜視図である。
図1の防音カバーをインバータに適用した場合の説明図である。
本発明の防音カバーの第2の実施の形態に係り、防音カバーの概略斜視図である。
本発明の防音カバーの第3の実施の形態に係り、高電圧バッテリに適用した場合の説明図である。
図5のA−A断面図である。
実施例
0027
以下、本発明の防音カバーの実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
0028
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の防音カバーの第1の実施の形態に係り、防音カバー10の概略斜視図である。防音カバー10には、複数の断面略三角形の突起列14が形成され、突起列14は、互いに略平行に伸長している。この突起列14の形成された面が、騒音を放射している電気機器の表面と対向して配置される。
0029
防音カバー10の材質は、グラウウールを用いモールド成型により製造した。防音カバー10の材質として、その他、不織布、ウレタン樹脂、発泡スチロール等を適宜用いることができる。防音カバー10は、内部に形成される突起列14と防音カバー10の基部10aは一体として形成される。
0031
インバータ12は、直流を交流に変換する電気機器であり、内部にスイッチング素子、コンデンサ、ハーネス等の電気及び電子部品が集約されている。各部品の大きさは様々であり各部品を接続するハーネス等もあり、インバータ12の表面は、図示したように多数の凹凸が存在する。インバータ12には、スイッチング素子が使用されるため、内部の部品を流れる電流にはノイズが乗る。この電流ノイズのため、インバータ12の内部のコンデンサが振動を発生し、振動しているコンデンサから騒音が放射される。更に、振動しているコンデンサの振動がケース等の他の部品に伝達することで放射音が発生する。
0032
また、インバータ12は、規格により様々な大きさのものがあり車体に取り付けられている。インバータ12には、各部品を冷却するため水冷式のものもある。したがって、インバータ12は取り外して防音カバーで全体を囲むことは難しいため、車体から突出している部分を防音カバー10で覆っている。
0034
このような構成により、各突起列14の先端部はインバータ12の凹凸の存在する表面に接触するので、インバータ12の振動が各突起列14毎に分散されて防音カバー10側に伝達され、インバータ12からの直接の振動音が外部に放射されることが抑制される。
0035
また、突起列14の高さは、インバータ12の表面の凹凸に合わせて様々となり、広い周波数に対して吸音効果が得られることとなる。したがって、騒音に含まれる広い範囲の周波数成分が吸音され、より効果的に騒音を消音することができる。
0036
更に、断面略三角形の突起列14を採用しているので、防音カバー10の内部空間は、音響分野における無響室の構成と類似したものとなり、一層効果的に消音されることとなる。すなわち、騒音は突起列14間で減衰しながら反射を繰り返し最終的に吸音される。
0037
本実施の形態では、突起列14の先端がインバータ12の凹凸面に到達している例について示したが、全ての突起列14が到達していなくても、すなわち一部の突起列14は到達していなくても消音の効果はある。
0038
防音カバー10を装着したインバータ12からは、耳障りな騒音の発生が抑制されるので快適で安全なドライブを楽しむことができる。
0039
なお、防音カバー10は、特に騒音が発生する場所が特定される場合は、その特定の部分のみを防音カバー10で覆っても良い。
0040
また、防音カバー10内部には、空気層16が形成されるため、吸音効果に加えて断熱効果もある。したがって、インバータ12を周辺の排熱から保護する効果もあり、インバータ12が熱により不具合を起こることが防止される。
0041
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の防音カバーの第2の実施の形態に係り、防音カバー22の概略斜視図である。防音カバー22には、枠状突起部24が形成され、その内部及び外部に大きさの異なる尖状突起部26が複数形成されている。材質は、実施の形態1と同様にグラスウールを用いた。
0042
この防音カバー22を、例えば、電気機器の内部に騒音発生部があり騒音発生部を含む領域が特定される場合、枠状突起部24により騒音発生部を含む領域全体が覆われるように装着する。防音カバー22の枠状突起部24の枠内は密閉状態とされるので、騒音、特に隙間から漏れやすい高周波成分も密封され、より効果的に騒音の発生が抑制される。
0043
更に、枠状突起部24の枠内には、大きさの異なる尖状突起部26が複数形成されているので、騒音に含まれる広い範囲の周波数成分が吸収され、防音の効果は高いものとなる。枠状突起部24の枠外にも大きさの異なる尖状突起部26が複数形成されているので、騒音発生部を含む領域のみならず更に広い範囲に亘って防音効果を奏することが可能である。
0044
(第3の実施の形態)
図4は、本発明の防音カバーの第3の実施の形態に係り、高電圧バッテリ30に適用した場合の概略断面図を示す。
0045
高電圧バッテリ30は、車体から取り出し可能に構成されているので、高電圧バッテリ30は、防音カバー34で囲まれている。図4は、防音カバー34に覆われた高電圧バッテリの概略横断面図であるが、高電圧バッテリ30は概略で示し詳細は省略されている。
0046
高電圧バッテリ30は、走行用モータを駆動する際にインバータと共に使用されることから、インバータで発生した電流ノイズにより、高電圧バッテリ内部の部品が振動する。振動している内部の部品から騒音が放射され、又は振動している内部の部品の振動がケース等の他の部品に伝達することで騒音が放射される。また、高電圧バッテリ30には、走行用モータの回転数に同期した様な周波数を含む騒音が発生する。この騒音は、走行用モータの回転数が上がれば高周波数の音を含むこととなる。
0047
図5は、図4のA−A断面図である。防音カバー34で覆われた高電圧バッテリ30の側部の部分を示したものである。防音カバー34の内面には、大きさの異なる四角柱状の突起部36が複数設けられ、突起部36の先端は高電圧バッテリ30に接触している。なお、図5では、突起部36が4つ示されているが、これは例示であって、実際にはより多くの大きさの異なる四角柱の突起部36が多数形成されている。
0048
高電圧バッテリ30の上部及び下部についても、対向する防音カバー34の天井面及び底面に、大きさの異なる四角柱状の複数の突起部36が形成され、各突起36の先端は高電圧バッテリ30の表面に接触している。
0049
防音カバーの材質は、第1及び第2の実施の形態と同様、グラスウールを用いた。その他、不織布、ウレタン樹脂、発泡スチロール等を用いることができる。防音カバー34は、内部に形成される突起部36も同時に形成される。
0050
このような構成を採用することで、以下の効果を奏する。
騒音を発生する高電圧バッテリ30の表面に対向する対向面には、様々な大きさの四角柱状の突起部36が複数形成され、先端は高電圧バッテリ30に接触している。したがって、高電圧バッテリ30の振動が突起部36毎に分散されて防音カバー34側に伝達され、高電圧バッテリ30からの直接の振動音が外部に放射されることが抑制される。したがって、高電圧バッテリ30からの耳障りな騒音の発生の抑制が図られる。
0051
また、高電圧バッテリ30は、防音カバー34により囲まれているので、防音音カバー34の内部は密閉状態とされる。したがって、騒音、特に隙間から漏れやすい高周波成分も密封され、より効果的に騒音の発生が抑制される。
0052
更に、防音カバー34は、内部に空気層38が形成されるので断熱効果も有する。高電圧バッテリ30が高温環境に晒されると、寿命が短くなること、出力が制限されること等が起こり得る。本実施の形態では、内部に空気層38が形成されることから、高電圧バッテリ30は、雰囲気温度の影響を受け難くなる。すなわち、空気層38があることで、温度境界層が形成され、高温に晒されることが防止される。したがって、出力制限や寿命低下を防止することができる、冬場等の低温時にも、雰囲気温度の影響を受け難くなる。
0053
実施の形態では、高電圧バッテリ30が防音カバー34で全て覆われている例を示したが、騒音の発生する特定の部分のみ防音カバー34で覆っても良い。防音カバー34内に形成する突起部36は、本実施の形態では、大きさの異なる四角柱36としたが、円柱、三角柱、円錐、その他任意の形状のものを使用することができる。また、突起部36は、格子状に繋げても良い。そのように構成することで防音カバー34の強度が大きくなり、高電圧バッテリ30が外力から保護される。
0054
なお、本発明は、上記の実施の形態に示した範囲に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、騒音が発生する電気機器としてインバータと高電圧バッテリを示したが、これに限らない。その他の電気自動車の電気機器、例えば、コンバータ、リレー回路等を内蔵する電気機器等についても適用することができる。
0055
10、22、34防音カバー
12インバータ
14突起列
16、38空気層
24枠状突起部
26尖状突起部
30高電圧バッテリ
36突起部