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技術 成形体、微細凹凸構造体及びその製造方法

出願人 三菱ケミカル株式会社国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明者 大谷剛岡本英子魚津吉弘穂積篤浦田千尋
出願日 2018年3月30日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-069509
公開日 2019年10月17日 (8ヶ月経過) 公開番号 2019-178285
状態 未査定
技術分野 高分子組成物 積層体(2) 曲げ・直線化成形、管端部の成形、表面成形
主要キーワード 細孔断面積 内部要因 超分子ポリマー ロータス効果 電子ビームリソグラフィー法 釣鐘状 降雪地域 超撥水性能
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課題

自発的な離漿により着氷雪防止性能発現でき、表面に微細凹凸構造を有する場合に優れた反射防止性能を発現できる成形体微細凹凸構造体及びその製造方法を提供する。

解決手段

湿潤ゲル(Y)からなる成形体であって、前記湿潤ゲル(Y)が、硬化性シリコーン樹脂(A)と化合物(B)を含む硬化性シリコーン樹脂組成物(X)の硬化物であり、前記硬化性シリコーン樹脂(A)のみを硬化させた硬化物のデューロメータ硬さ(タイプA)が68以上であり、前記化合物(B)が、特定の化合物群から選ばれる1種以上である、成形体。基材上11に、湿潤ゲル(Y)からなる前記成形体12を備える、表面に微細凹凸を有する構造体10。

概要

背景

固体表面になどが付着すると、付着した氷や雪によって種々の障害が生じる。例えば、その重さによって風車ブレードの回転が妨げられたり、輸送機燃費が低下したり、家屋破壊に繋がったりする場合がある。また、氷や雪の層によって遮光されたり視界が遮られたりすることから、太陽光発電発電効率、輸送機の窓の視認性、信号機ディスプレイの視認性、照明類の機能などが低下する場合がある。そのため、着氷雪防止を目的とした様々なコーティング剤が開発されてきた。

特許文献1には、滑りやすい表面を有する成形体が開示されている。前記成形体は、一般式PxSyで表される超分子ポリマー及び潤滑液を含む、少なくとも一つの表面を有する。ここで、Pは共有結合架橋されたポリマーであり、Sはポリマーネットワーク内の超分子ブロックであり、x+y=1であり、yは0〜1である。超分子ポリマー及び潤滑液は、潤滑液により膨潤されている超分子ポリマーの表面に潤滑層を形成するのに十分な量で超分子内に吸収されるような親和性を互いに有する。

特許文献2には、微細凹凸構造を表面に有する成形体が開示されている。前記成形体は、表面にモスアイ構造と呼ばれるナノサイズの微細凹凸規則的に配置されている微細凹凸構造を持つ。このモスアイ構造によって連続的に屈折率を変化させ、優れた反射防止性能発現することが知られている。また、モスアイ構造と呼ばれる微細凹凸構造体は、微細な凹凸構造を備えた蓮の葉が示す超撥水性能ロータス効果)と同様の効果を発現することも知られている。微細凹凸構造体は多官能の(メタアクリレートを主成分とし、光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物硬化物からなり、優れた反射防止性能と耐擦傷性防汚性を併せ持つ。

しかしながら、特許文献1の成形体では、潤滑液により膨潤されている超分子ポリマーの表面に滑りやすい潤滑層を形成するため、潤滑液は超分子ポリマーに対する所定の親和性を有する液体に限定される。また、特許文献1の成形体は、氷に対する付着力が高く、難付着性が不十分である。さらに、特許文献1の成形体では、自発的に潤滑層を形成することができないため、潤滑層を拭き取ると、潤滑層は再生されない。
また、特許文献2の成形体では、微細凹凸構造表面に付着した汚れを拭き取る必要があり、自発的に表面の汚れを落とすことができない。

概要

自発的な離漿により着氷雪防止性能を発現でき、表面に微細凹凸構造を有する場合に優れた反射防止性能を発現できる成形体、微細凹凸構造体及びその製造方法を提供する。湿潤ゲル(Y)からなる成形体であって、前記湿潤ゲル(Y)が、硬化性シリコーン樹脂(A)と化合物(B)を含む硬化性シリコーン樹脂組成物(X)の硬化物であり、前記硬化性シリコーン樹脂(A)のみを硬化させた硬化物のデューロメータ硬さ(タイプA)が68以上であり、前記化合物(B)が、特定の化合物群から選ばれる1種以上である、成形体。基材上11に、湿潤ゲル(Y)からなる前記成形体12を備える、表面に微細凹凸を有する構造体10。

目的

本発明は、自発的な離漿により着氷雪防止性能を発現でき、表面に微細凹凸構造を有する場合に優れた反射防止性能を発現できる成形体、微細凹凸構造体及びその製造方法を提供する

効果

実績

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請求項1

湿潤ゲル(Y)からなる成形体であって、前記湿潤ゲル(Y)が、硬化性シリコーン樹脂(A)と化合物(B)を含む硬化性シリコーン樹脂組成物(X)の硬化物であり、前記硬化性シリコーン樹脂(A)のみを硬化させた硬化物のデューロメータ硬さ(タイプA)が68以上であり、前記化合物(B)が、アルカンシリコーンオイルポリメチルフェニルシロキサントルエンテトラアルコキシシランポリアルコキシシロキサントリステアリン、蓮の葉抽出物n−テトラデカンn−ヘキサデカントリクロロオクタデシルシラン、及びフェニルメチルシロキサンジメチルシロキサン共重合体からなる群から選ばれる1種以上である、成形体。

請求項2

前記硬化性シリコーン樹脂組成物(X)において、硬化性シリコーン樹脂(A)100質量部に対し、前記化合物(B)を20〜150質量部含む、請求項1に記載の成形体。

請求項3

前記化合物(B)が、化合物(B−1)及び化合物(B−2)からなり、前記化合物(B−1)が、アルカン、シリコーンオイル、ポリメチルフェニルシロキサン、トルエン、テトラアルコキシシラン、及びポリアルコキシシロキサンからなる群から選ばれる1種以上であり、前記化合物(B−2)が、トリステアリン、蓮の葉抽出物、n−テトラデカン、n−ヘキサデカン、トリクロロオクタデシルシラン、及びフェニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の成形体。

請求項4

前記硬化性シリコーン樹脂(A)100質量部に対し、前記化合物(B−1)を20〜40質量部含む、請求項3に記載の成形体。

請求項5

前記硬化性シリコーン樹脂(A)100質量部に対し、前記化合物(B−2)を30〜60質量部含む、請求項3に記載の成形体。

請求項6

前記成形体の表面に、隣り合う凸部同士の間隔が400nm以下である微細凹凸構造を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の成形体。

請求項7

基材上に、請求項6に記載の成形体を備える、微細凹凸構造体

請求項8

請求項7に記載の微細凹凸構造体を製造する方法であって、前記微細凹凸構造の反転構造が表面に形成されたアルミニウム基材鋳型とし、前記成形体の表面に前記微細凹凸構造を転写する、微細凹凸構造体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、成形体微細凹凸構造体及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

固体表面になどが付着すると、付着した氷や雪によって種々の障害が生じる。例えば、その重さによって風車ブレードの回転が妨げられたり、輸送機燃費が低下したり、家屋破壊に繋がったりする場合がある。また、氷や雪の層によって遮光されたり視界が遮られたりすることから、太陽光発電発電効率、輸送機の窓の視認性、信号機ディスプレイの視認性、照明類の機能などが低下する場合がある。そのため、着氷雪防止を目的とした様々なコーティング剤が開発されてきた。

0003

特許文献1には、滑りやすい表面を有する成形体が開示されている。前記成形体は、一般式PxSyで表される超分子ポリマー及び潤滑液を含む、少なくとも一つの表面を有する。ここで、Pは共有結合架橋されたポリマーであり、Sはポリマーネットワーク内の超分子ブロックであり、x+y=1であり、yは0〜1である。超分子ポリマー及び潤滑液は、潤滑液により膨潤されている超分子ポリマーの表面に潤滑層を形成するのに十分な量で超分子内に吸収されるような親和性を互いに有する。

0004

特許文献2には、微細凹凸構造を表面に有する成形体が開示されている。前記成形体は、表面にモスアイ構造と呼ばれるナノサイズの微細凹凸規則的に配置されている微細凹凸構造を持つ。このモスアイ構造によって連続的に屈折率を変化させ、優れた反射防止性能発現することが知られている。また、モスアイ構造と呼ばれる微細凹凸構造体は、微細な凹凸構造を備えた蓮の葉が示す超撥水性能ロータス効果)と同様の効果を発現することも知られている。微細凹凸構造体は多官能の(メタアクリレートを主成分とし、光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物硬化物からなり、優れた反射防止性能と耐擦傷性防汚性を併せ持つ。

0005

しかしながら、特許文献1の成形体では、潤滑液により膨潤されている超分子ポリマーの表面に滑りやすい潤滑層を形成するため、潤滑液は超分子ポリマーに対する所定の親和性を有する液体に限定される。また、特許文献1の成形体は、氷に対する付着力が高く、難付着性が不十分である。さらに、特許文献1の成形体では、自発的に潤滑層を形成することができないため、潤滑層を拭き取ると、潤滑層は再生されない。
また、特許文献2の成形体では、微細凹凸構造表面に付着した汚れを拭き取る必要があり、自発的に表面の汚れを落とすことができない。

先行技術

0006

国際公開第2014/012080号
特開2013−175733号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、自発的な離漿により着氷雪防止性能を発現でき、表面に微細凹凸構造を有する場合に優れた反射防止性能を発現できる成形体、微細凹凸構造体及びその製造方法を提供することを目的とする。ここで、自発的に離漿するとは、内部要因(例えば、親和性の低下、液体の揮発)により離漿する場合に限定されず、外部刺激(例えば、温度、化学反応)により離漿する場合も含む。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、以下の態様を有する。
[1]湿潤ゲル(Y)からなる成形体であって、前記湿潤ゲル(Y)が、硬化性シリコーン樹脂(A)と化合物(B)を含む硬化性シリコーン樹脂組成物(X)の硬化物であり、前記硬化性シリコーン樹脂(A)のみを硬化させた硬化物のデューロメータ硬さ(タイプA)が68以上であり、前記化合物(B)が、アルカンシリコーンオイルポリメチルフェニルシロキサントルエンテトラアルコキシシランポリアルコキシシロキサントリステアリン、蓮の葉抽出物n−テトラデカンn−ヘキサデカントリクロロオクタデシルシラン、及びフェニルメチルシロキサンジメチルシロキサン共重合体からなる群から選ばれる1種以上である、成形体。
[2]前記硬化性シリコーン樹脂組成物(X)において、硬化性シリコーン樹脂(A)100質量部に対し、前記化合物(B)を20〜150質量部含む、[1]に記載の成形体。
[3]前記化合物(B)が、化合物(B−1)及び化合物(B−2)からなり、前記化合物(B−1)が、アルカン、シリコーンオイル、ポリメチルフェニルシロキサン、トルエン、テトラアルコキシシラン、及びポリアルコキシシロキサンからなる群から選ばれる1種以上であり、前記化合物(B−2)が、トリステアリン、蓮の葉抽出物、n−テトラデカン、n−ヘキサデカン、トリクロロオクタデシルシラン、及びフェニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体からなる群から選ばれる1種以上である、[1]又は[2]に記載の成形体。
[4]前記硬化性シリコーン樹脂(A)100質量部に対し、前記化合物(B−1)を20〜40質量部含む、[3]に記載の成形体。
[5]前記硬化性シリコーン樹脂(A)100質量部に対し、前記化合物(B−2)を30〜60質量部含む、[3]に記載の成形体。
[6]前記成形体の表面に、隣り合う凸部同士の間隔が400nm以下である微細凹凸構造を有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の成形体。
[7]基材上に、[6]に記載の成形体を備える、微細凹凸構造体。
[8][7]に記載の微細凹凸構造体を製造する方法であって、前記微細凹凸構造の反転構造が表面に形成されたアルミニウム基材鋳型とし、前記成形体の表面に前記微細凹凸構造を転写する、微細凹凸構造体の製造方法。

発明の効果

0009

本発明によれば、自発的な離漿により着氷雪防止性能を発現でき、さらに表面に微細凹凸構造を有する場合には着氷雪防止性能と反射防止性両立できる成形体、及び微細凹凸構造体を提供できる。

図面の簡単な説明

0010

本発明の成形体を備える微細凹凸構造体の一例を示す断面図である。
本発明の成形体を備える微細凹凸構造体の他の例を示す断面図である。
表面に微細凹凸構造を有する成形体の製造に用いるスタンパの製造工程を示す断面図である。

0011

[成形体]
本発明の成形体は、湿潤ゲル(Y)からなる成形体である。
湿潤ゲル(Y)は、硬化性シリコーン樹脂組成物(X)(以下、「樹脂組成物(X)」とも記す。)の硬化物である。
樹脂組成物(X)は、硬化性シリコーン樹脂(A)と化合物(B)を含む。樹脂組成物(X)は、必要に応じて、硬化性シリコーン樹脂(A)及び化合物(B)以外の他の成分(C)を含んでもよい。

0012

(硬化性シリコーン樹脂(A))
硬化性シリコーン樹脂(A)は、湿潤ゲル(Y)のマトリクスとして機能する。
硬化性シリコーン樹脂(A)のみを硬化させた硬化物のデューロメータ硬さ(タイプA)は、68以上であり、75以上が好ましく、82以上が特に好ましい。
樹脂組成物(X)を硬化させて表面に微細凹凸構造を有する成形体を形成する場合、硬化性シリコーン樹脂(A)は高硬度であることで微細凹凸構造が維持されやすくなる。硬化性シリコーン樹脂(A)の硬度が下限値以上であれば、微細凹凸構造を有する成形体としたときに優れた反射防止性能が発現される。また、樹脂組成物(X)に含まれる化合物(B)の含有量をより少なくできるため、原料コストが増大することを抑制できる。

0013

硬化性シリコーン樹脂(A)の化学構造は、熱や活性エネルギー線等によって硬化するシリコーン系樹脂であれば特に限定されない。取り扱いが容易で、かつ材料の選択肢が多い点から、硬化性シリコーン樹脂(A)として、ビニル基を有する化合物及びヒドロシリル基を有する化合物を含み、ヒドロシリル化反応によって架橋、硬化するシリコーン樹脂を用いることが好ましい。

0014

ビニル基を有する化合物としては、例えば、ビニル基を有するシリコーン樹脂、ビニル基を有する金属アルコキシド等が挙げられる。
ビニル基を有するシリコーン樹脂としては、例えば、両末端にビニル基が導入されている変性ポリジメチルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン等が挙げられる。
ビニル基を有する金属アルコキシドとしては、例えば、ビニルトリエトキシシランアリトリエトキシシラン等が挙げられる。

0015

ヒドロシリル基を有する化合物としては、例えば、ヒドロシリル基を有するシリコーン樹脂、ヒドロシリル基を有する金属アルコキシド等が挙げられる。
ヒドロシリル基を有するシリコーン樹脂としては、例えば、ジメチルメチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。
ヒドロシリル基を有する金属アルコキシドとしては、例えば、トリエトキシシラン、トリメトキシシラン等が挙げられる。

0016

硬化性シリコーン樹脂(A)としてビニル基を有する化合物及びヒドロシリル基を有する化合物の混合物を用いてヒドロシリル化反応させる際には、白金系触媒を用いてもよい。
白金系触媒としては、例えば、Karstedt’s catalyst(Pt2[(Me2SiCH=CH2)2O]3)、H2PtCl6等が挙げられる。

0017

硬化性シリコーン樹脂(A)の具体例としては、例えば、MS−1001(デューロメータ硬さ(タイプA)87、東レ・ダウコーニング社製)、MS−1002(デューロメータ硬さ(タイプA)74、東レ・ダウコーニング社製)、MS−2002(デューロメータ硬さ(タイプA)84、東レ・ダウコーニング社製)、等が挙げられる。これらの中でも、透明性と硬さの点でMS−1001が特に好ましい。

0018

(化合物(B))
化合物(B)は、アルカン、シリコーンオイル、ポリメチルフェニルシロキサン、トルエン、テトラアルコキシシラン、ポリアルコキシシロキサン、トリステアリン、蓮の葉抽出物、n−テトラデカン、n−ヘキサデカン、トリクロロオクタデシルシラン、及びフェニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体からなる群から選ばれる1種以上である。化合物(B)としては、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。

0019

化合物(B)は、樹脂組成物(X)を硬化させる際に硬化性シリコーン樹脂(A)とは反応せず、樹脂組成物(X)の硬化物である湿潤ゲル(Y)の分散媒となる。

0020

化合物(B)は、化合物(B−1)及び化合物(B−2)からなることが好ましい。
化合物(B−1)は、アルカン、シリコーンオイル、ポリメチルフェニルシロキサン、トルエン、テトラアルコキシシラン、及びポリアルコキシシロキサンからなる群から選ばれる1種以上である。

0021

化合物(B−1)の具体例としては、例えば、n−デカン、n−ドデカンポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、トルエン、テトラエトキシシランテトラメトキシシラン等が挙げられる。化合物(B−1)としては、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。

0022

化合物(B−2)は、トリステアリン、蓮の葉抽出物、n−テトラデカン、n−ヘキサデカン、トリクロロオクタデシルシラン、及びフェニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体からなる群から選ばれる1種以上である。

0023

化合物(B−2)が固体の場合、化合物(B−2)は化合物(B−1)に溶解可能である。化合物(B−2)が液体の場合、化合物(B−1)と化合物(B−2)は任意の割合で混合して静置しても分離しない。トリステアリン及び蓮の葉抽出物は、固体の化合物(B−2)である。n−テトラデカン、n−ヘキサデカン、トリクロロオクタデシルシラン、及びフェニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体は、液状の化合物(B−2)である。
化合物(B−2)としては、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。

0024

化合物(B−2)が液体の場合、硬化性シリコーン樹脂(A)のみを硬化させた硬化物を化合物(B−2)に浸漬して膨潤させたときの硬化性シリコーン樹脂(A)の膨潤度Sを求める。求めた膨潤度Sは、化合物(B−2)と硬化性シリコーン樹脂(A)の硬化物との親和性を数値化する指標として用いることができる。具体的には、硬化性シリコーン樹脂(A)のみを硬化させた硬化物を室温(23℃)で、AR20(シグマアルドリッチ社製、ポリメチルフェニルシロキサン)に浸漬した時の膨潤度Sを基準とし、その値未満である化合物を化合物(B−2)として用いることが好ましい。

0025

膨潤度Sは、例えば、以下の方法で求められる。
硬化性シリコーン樹脂(A)としてMS−1001(東レ・ダウコーニング社製)を100℃で2時間の条件で硬化させ、得られた硬化性シリコーン樹脂(A)の硬化物(架橋シリコーン樹脂)を液体に74時間浸漬する。液体に浸漬する前の架橋シリコーン樹脂の体積をV0、液体に浸漬した後の架橋シリコーン樹脂の体積をV1とし、下記式から膨潤度Sを算出できる。
S=V1/V0

0026

膨潤度Sの測定例を表1に示す。

0027

0028

化合物(B−1)は、硬化性シリコーン樹脂(A)と化学構造や極性SP値溶解パラメータ、Solubility Parameter)が近く、硬化性シリコーン樹脂(A)の硬化物から離漿しにくい。一方、化合物(B−2)は、化合物(B−1)と相溶であり、かつ硬化性シリコーン樹脂(A)の硬化物から離漿しやすい。
化合物(B−1)と化合物(B−2)の種類及び組成比を適宜調整することで、温度応答性を付与できる。温度応答性とは、特定の温度(離漿温度)よりも低温になると化合物(B)が離漿し、離漿温度以上で化合物(B)が湿潤ゲル(Y)の内部に戻る現象である。具体的には、化合物(B)が含む化合物(B−1)の割合が増えると離漿する温度がより低温となり、化合物(B)が含む化合物(B−2)の割合が増えると、離漿する温度がより高温となる。

0029

湿潤ゲル(Y)を冷却して化合物(B)を離漿させる際に、冷却する温度が化合物(B)の融点以下である場合、化合物(B)を固体として析出させることも可能である。また、化合物(B)が含む化合物(B−1)を揮発させることで化合物(B)と硬化性シリコーン樹脂(A)との親和性を低下させ、離漿を促進させることができる。

0030

化合物(B−1)として、テトラアルコキシシランやポリアルコキシシロキサンを用いる場合は、酸や塩基の存在下で、アルコキシ基加水分解し、硬化性シリコーン樹脂(A)の硬化物(架橋シリコーン樹脂)との親和性が低下し、化合物(B−2)のように振る舞うこともある。

0031

樹脂組成物(X)中の化合物(B)の含有量は、硬化性シリコーン樹脂(A)100質量部に対して、20〜150質量部が好ましく、30〜100質量部がより好ましい。化合物(B)の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、成形体の形状が保持されやすく、表面に微細凹凸構造を付与した場合でもその形状を維持することができる。化合物(B)の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、成形体から化合物(B)が離漿する効果によって着氷雪防止性能を発現させやすい。

0032

化合物(B)中の化合物(B−1)の割合は、化合物(B)の総質量に対して、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%が特に好ましい。化合物(B−1)の割合が前記範囲の下限値以上であれば、湿潤ゲル(Y)に温度応答性を付与できる。化合物(B−1)の割合が前記範囲の上限値以下であれば、湿潤ゲル(Y)から離漿する化合物(B)の量を十分に確保しやすく、より優れた着氷雪防止性能が発現する。

0033

化合物(B)中の化合物(B−2)の割合は、化合物(B)の総質量に対して、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%が特に好ましい。化合物(B−2)の割合が前記範囲の下限値以上であれば、湿潤ゲル(Y)から離漿する化合物(B)の量を十分に確保しやすく、より優れた着氷雪防止性能が発現する。化合物(B−2)の割合が前記範囲の上限値以下であれば、湿潤ゲル(Y)に温度応答性を付与できる。

0034

樹脂組成物(X)中の化合物(B−1)の含有量は、硬化性シリコーン樹脂(A)100質量部に対して、20〜40質量部が好ましく、24〜40質量部がより好ましい。化合物(B−1)の含有量が前記範囲内であれば、優れた着氷防止性能及び反射防止性能が得られやすい。

0035

樹脂組成物(X)中の化合物(B−2)の含有量は、硬化性シリコーン樹脂(A)100質量部に対して、30〜60質量部が好ましく、30〜50質量部がより好ましい。化合物(B−2)の含有量が前記範囲内であれば、優れた着氷防止性能及び反射防止性能が得られやすい。

0036

(化合物(C))
樹脂組成物(X)には、必要に応じて、他の成分(C)を加えることができる。他の成分(C)を加えることで、種々の機能性を湿潤ゲル(Y)に付与することができる。
他の成分(C)としては、例えば、シリカ粒子アルミナ粒子銀粒子金粒子白金粒子磁性粒子等が挙げられる。粒子は、ビニル基、ヒドロシリル基等が表面に導入されていてもよい。これにより、粒子を硬化性シリコーン樹脂(A)の硬化物と化学結合させることができる。

0037

本発明の成形体は、低温では化合物(B)の効果によって着氷雪防止性能を発揮できる。
着氷雪防止性能と反射防止性能を両立する点では、成形体の表面に、隣り合う凸部同士の間隔が400nm以下である微細凹凸構造を有する成形体が極めて有効である。

0038

[微細凹凸構造体]
以下、基材上に本発明の成形体を備える微細凹凸構造体の一例について、図面に基づいて説明する。
なお、図1においては、各層を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層ごとに縮尺を異ならせてある。また、図2において、図1と同じ構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する場合がある。

0039

図1は、表面に微細凹凸構造を有する成形体を備える微細凹凸構造体の一例を示す断面図である。
本実施形態の微細凹凸構造体10は、基材11上に、成形体12が積層されたものである。成形体12は、樹脂組成物(X)を硬化させた湿潤ゲル(Y)からなる硬化樹脂層表層)である。成形体12は、表面に微細凹凸構造を有する。

0040

成形体12は、湿潤ゲル(Y)からなり、化合物(B)を含む。成形体12は、低温(冬季)において化合物(B)が離漿することで着氷雪防止性能を発現する。そのため、成形体12の厚さは、樹脂組成物(X)が含む化合物(B)の割合に応じて、着氷雪防止性能が発揮されるために最適な範囲に設定される。

0041

成形体12の厚さは、1μm〜5mmが好ましく、2μm〜2mmがより好ましく、5μm〜1mmが特に好ましい。成形体12の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、冬季において化合物(B)の離漿による着氷雪防止性能が発揮されやすい。成形体12の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、季から季において表面の微細凹凸構造による反射防止性能が発揮されやすく、また成形体12を形成する湿潤ゲル(Y)の原材料費が低く抑えられる。

0042

低温において成形体12から離漿する化合物(B)が形成する離漿層は、着氷雪防止性能発現のために十分な厚さを有することが好ましい。
成形体12の表面に形成される離漿層の厚さは、100nm〜20μmが好ましく、200nm〜10μmがより好ましく、500nm〜5μmが特に好ましい。離漿層の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、着氷雪防止性能が発現しやすい。離漿層の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、温度応答性が付与されやすい。

0043

微細凹凸構造としては、凸部間の間隔が可視光波長以下であるモスアイ構造が好ましく、硬化物の表面のモスアイ構造は、空気の屈折率から硬化物の屈折率へと連続的に屈折率を増大させることにより、有効な反射防止手段となる。
微細凹凸構造としては、略円錐形状角錐形状等の突起(凸部)が規則的に配列した構造が好ましい。凸部の形状は、垂直面(高さ方向に垂直な方向の断面)の断面積が基材表面から頂部に向かって連続的に減少する形状、すなわち、凸部の高さ方向の断面形状が、三角形台形、釣型等の形状が好ましい。これにより、屈折率を連続的に増大させることができ、波長による反射率の変動(波長依存性)を抑制し、可視光の散乱を抑制して低反射率にできる。

0044

この例の成形体12の表面の微細凹凸構造は、円錐状の凸部13(凹部14)がほぼ等間隔w1で形成されている。凸部13の形状は、垂直面における断面積が基材表面から頂部に向かって連続的に減少する形状である。

0045

凸部(凹部)の間隔w1は、可視光の波長(具体的には、400〜780nm)以下の距離とする。w1が400nm以下であれば、可視光の散乱を抑制でき、反射防止膜として光学用途に好適に使用できる。w1は、50〜250nmが好ましく、80〜200nmが特に好ましい。

0046

凸部の高さ(凹部の深さ)、すなわち、凹部の底点14aと凸部の頂部13aとの垂直距離d1(以下、特に断らない限り「凸部の高さ」又は「d1」という)は、波長により反射率が変動することを抑制できる深さとすることが好ましい。具体的には、d1は、60nm以上が好ましく、90nm以上がより好ましく、150nm以上がさらに好ましく、180nm以上が特に好ましい。d1が150nm近傍では、人が一番認識しやすい550nmの波長域光の反射率を最も低くすることができる。d1が150nm以上になると、d1が高いほど、可視光域における最高反射率最低反射率の差が小さくなる。このため、d1が150nm以上であれば、反射光の波長依存性が小さくなり、目視での色味相違は認識されなくなる。

0047

w1が100nmである場合、凸部の高さd1は、80〜500nmが好ましく、120〜400nmがより好ましく、150〜300nmが特に好ましい。d1が前記範囲の下限値以上であれば、反射率の充分に低減しやすく、波長による反射率の変動、すなわち反射率の波長依存性が少ない。d1が前記範囲の上限値以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。

0048

凸部のアスペクト比(凸部の高さd1/凸部間の平均間隔w1)は、0.3〜6が好ましく、0.5〜4がより好ましく、0.7〜2が特に好ましい。凸部のアスペクト比が前記範囲の下限値以上であれば、反射率が充分に低くなる。凸部のアスペクト比が前記範囲の上限値以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。

0049

凸部の間隔w1及び高さd1は、電界放出走査電子顕微鏡(JSM−7400F:日本電子(株)製)による加速電圧3.00kVの画像における測定により得られる測定値算術平均値を採用できる。間隔w1は、電子顕微鏡画像において、隣接する凸部間の間隔(凸部の中心から隣接する凸部の中心までの距離)を50点測定し、これらの測定値を算術平均して求めた値を採用する。高さd1は、電子顕微鏡の30000倍画像において、凸部の最頂部と、凸部間に存在する凹部の最底部との間の垂直面上における距離を50点測定し、これらの測定値を算術平均した値を採用する。

0050

凸部13は、図2に示すような、凸部の頂部13bが丸みを帯びた釣鐘状であってもよく、その他、垂直面における断面積が、頂点側から基材側に、連続的に増大する形状、例えば円錐台状を採用することができる。

0051

微細凹凸構造は、図1及び図2に示す実施形態には限定されない。微細凹凸構造は、微細凹凸構造体における成形体の表面に形成されていればよく、例えば、基材の片面又は両面、全面又は一部(透明性、超撥水性の必要な個所)に形成された成形体の表面に形成される。

0052

基材としては、微細凹凸構造を有する成形体を支持可能なものであればよい。微細凹凸構造体を太陽光発電パネルディスプレイ部材に適用する場合、基材としては、透明な、すなわち光を透過するものが好ましい。
透明な基材を構成する材料としては、例えば、メチルメタクリレート(共)重合体ポリカーボネートスチレン(共)重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体等の合成高分子セルロースジアセテートセルローストリアセテートセルロースアセテートブチレート等の半合成高分子ポリエチレンテレフタレートポリ乳酸等のポリエステルポリアミドポリイミドポリエーテルスルフォンポリスフォンポリエチレンポリプロピレンポリメチルペンテンポリ塩化ビニルポリビニルアセタールポリエーテルケトンポリウレタン、それら高分子の複合物ポリメチルメタクリレートとポリ乳酸の複合物、ポリメチルメタクリレートとポリ塩化ビニルの複合物等)、ガラスが挙げられる。

0053

成形体と基材の屈折率の差は、0.2以内が好ましく、0.1以内がより好ましく、0.05以内が特に好ましい。屈折率差が0.2以内であれば、成形体と基材との界面における反射を抑制できる。

0054

基材の形状は、特に限定されず、シート状、フィルム状等が挙げられる。
基材としては、射出成形押し出し成形キャスト成形等、いずれの製法により製造されたものでも使用できる。
基材の表面には、密着性帯電防止性、耐擦傷性、耐候性等の特性の改良を目的として、コーティングコロナ処理が施されていてもよい。

0055

本発明の微細凹凸構造体は、成形体の表面に微細凹凸構造を有するため、連続的な屈折率の変化によって優れた反射防止性能を発現でき、かつ低温では化合物(B)の効果によって着氷雪防止性能を発揮できる。そのため、主に降雪地域における太陽光発電パネルの発電効率向上や、輸送機器表示窓視認性向上、信号機の表示機器の視認性向上等の用途に好適に用いられる。

0056

[微細凹凸構造体の製造方法]
微細凹凸構造体の製造方法としては、例えば、以下の方法(1)及び方法(2)が挙げられる。
方法(1)は、微細凹凸構造の反転構造が形成されたスタンパと基材との間に樹脂組成物(X)を配し、加熱や活性エネルギー線の照射により樹脂組成物(X)を硬化して、スタンパの凹凸形状を転写した成形体を形成し、その後スタンパを剥離する方法である。
方法(2)は、基材上の樹脂組成物(X)にスタンパの凹凸形状を転写してからスタンパを剥離し、その後に加熱や活性エネルギー線の照射によって樹脂組成物(X)を硬化して成形体を形成する方法である。

0057

微細凹凸構造体の製造方法としては、微細凹凸構造の転写性表面組成の自由度の点から、方法(1)が特に好ましい。方法(1)は、連続生産が可能なベルト状、ロール状のスタンパを用いる場合に特に好適であり、生産性に優れた方法である。

0058

方法(1)においてスタンパと基材間に樹脂組成物(X)を配置する方法は、特に限定されず、例えば、スタンパと基材間に樹脂組成物(X)を配置した状態でスタンパと基材とを押圧することで、成型キャビティーへ樹脂組成物(X)を注入する方法が挙げられる。

0059

基材とスタンパ間の樹脂組成物(X)を加熱して重合硬化する方法としては、加熱炉を有するロール・ツー・ロールの製造装置を適用することが好ましい。そのような方法では、フィルムモールドをスタンパとして使用し、基材とスタンパ間に樹脂組成物(X)を配設した後、加熱炉で樹脂組成物(X)を硬化させ、表面に微細凹凸構造を有する成形体を基材上に形成する。

0060

活性エネルギー線を照射して樹脂組成物(X)を重合硬化させる方法としては、紫外線照射による重合硬化が好ましい。紫外線を照射するランプとしては、例えば、高圧水銀灯メタルハライドランプ無電極ランプであるフュージョンランプ、UV−LEDを用いることができる。

0061

紫外線の照射量は、重合開始剤吸収波長や含有量に応じて決定すればよい。紫外線照射の積算光量は、400〜4000mJ/cm2が好ましく、400〜2000mJ/cm2がより好ましい。積算光量が前記範囲の下限値以上であれば、樹脂組成物(X)を十分硬化させて硬化不足に因る耐擦傷性低下を抑制できる。積算光量が前記範囲の上限値以下であれば、硬化物の着色や基材の劣化を防止する点で意義が有る。
紫外線の照射強度も特に制限されないが、基材の劣化等を招かない程度の出力に抑えることが好ましい。

0062

このようにして得られる微細凹凸構造体は、成形体の表面にスタンパの微細凹凸構造が鍵と鍵穴の関係で転写されるため、連続的な屈折率の変化によって優れた反射防止性能を発現でき、かつ低温では化合物(B)の効果によって着氷雪防止性能を発揮できる。そのため、主に降雪地域における太陽光発電パネルの発電効率向上や、輸送機器の視認性向上、信号機の表示機器の視認性向上等の用途に好適に用いられる。

0063

スタンパの材料としては、金属(表面に酸化皮膜が形成されたものを含む。)、石英、ガラス、樹脂、セラミックス等が挙げられる。
スタンパの形状としては、ロール状、円管状、平板状、シート状等が挙げられる。特に、ベルト状やロール状にすれば、連続的に微細凹凸構造を転写でき、生産性をより高めることができる。

0064

方法(1)においては、あらかじめフィルム状に成形したモールド(以下、「フィルムモールド」とも記す。)を用いてもよい。フィルムモールドは、微細凹凸構造の反転構造が形成されたスタンパの一種であり、微細凹凸構造を表面に有するフィルムを鋳型として使用し、フィルムモールド形成用樹脂組成物を用いて製造することができる。

0065

スタンパに微細凹凸構造の反転構造を形成する方法は、特に限定されず、その具体例としては、電子ビームリソグラフィー法レーザー光干渉法が挙げられる。例えば、適当な支持基板上に適当なフォトレジスト膜を塗布し、紫外線レーザー電子線、X線等の光で露光し、現像することによって微細凹凸構造を形成した型を得て、この型をそのままスタンパとして使用することもできる。また、フォトレジスト膜を介して支持基板をドライエッチングにより選択的にエッチングして、フォトレジスト膜を除去することで支持基板そのものに直接微細凹凸構造を形成することも可能である。

0066

また、陽極酸化ポーラスアルミナを、スタンパとして利用することも可能である。例えば、アルミニウムシュウ酸硫酸リン酸等を電解液として所定の電圧にて陽極酸化することにより形成される20〜200nmの細孔構造をスタンパとして利用してもよい。この方法によれば、高純度アルミニウムを定電圧で長時間陽極酸化した後、一旦酸化皮膜を除去し、再び陽極酸化することで非常に高規則性の細孔が自己組織化的に形成できる。さらに、二回目に陽極酸化する工程で、陽極酸化処理孔径拡大処理を組み合わせることで、断面が矩形でなく三角形や釣鐘型である微細凹凸構造も形成可能となる。また、陽極酸化処理と孔径拡大処理の時間や条件を適宜調節することで、細孔最奥部の角度を鋭くすることも可能である。
さらに、微細凹凸構造を有する原型から電鋳法等で複製型を作製し、これをスタンパとして使用してもよい。

0067

スタンパは陽極酸化ポーラスアルミナで作製されたものが微細凹凸形成に有用である。その一例として、アルミニウム基材の表面に所定形状の複数の微細細孔を陽極酸化にて形成し、本発明に有用なスタンパを作成する方法を、図3の工程図で説明する。

0068

<工程(a)>
工程(a)は、アルミニウム基材40を、定電圧下、電解液中で陽極酸化してアルミニウム基材の表面に酸化皮膜を形成する工程である。
アルミニウム基材は、純度99%以上のアルミニウムを用いることが好ましく、より好ましくは純度99.5%以上のアルミニウム、さらに好ましくは純度99.8%以上のアルミニウムである。アルミニウムの純度が高いと、陽極酸化したとき、不純物偏析による、可視光を散乱する大きさの凹凸構造が形成されにくい。また、陽極酸化で形成される細孔が規則的に形成される。アルミニウム基材の形状は、ロール状、円管状、平板状、シート状等の所望の形状でよく、微細凹凸構造体を連続的なフィルムやシートとして得る場合はロール状とすることが好ましい。

0069

アルミニウム基材は、所定の形状に加工する際に用いた油が付着していることがあるため、予め脱脂処理をし、電解研磨処理エッチング処理)により、表面を平滑にしておくことが好ましい。

0070

このような表面処理を施したアルミニウム基材を陽極酸化すると、細孔41を有する酸化皮膜42が形成される。

0071

電解液として、硫酸、シュウ酸、リン酸等を用いる。電解液としてシュウ酸を用いる場合、シュウ酸の濃度が0.8M以下であると、電流値を低く抑え、緻密な組織の酸化皮膜を形成できる。また、化成電圧が30V〜100Vであると、周期100nm〜200nm程度の規則性で細孔が形成された陽極酸化ポーラスアルミナ層が形成される。化成電圧がこの範囲より高くても低くても形成される細孔の規則性が低下する傾向がある。電解液の温度は、60℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましい。電解液の温度が60℃以下であれば、いわゆる「ヤケ」の発生が抑制され、細孔が壊れたり、表面が溶けたりして不規則な細孔が形成されることが抑制される。

0072

また、電解液が硫酸である場合、硫酸の濃度は0.7M以下であると、電流値を低く抑え緻密な組織の酸化皮膜を形成できる。化成電圧が25〜30Vであると、周期が63nm程度の規則性で細孔が形成された陽極酸化ポーラスアルミナ層が形成される。化成電圧がこの範囲より高くても低くても形成される細孔の規則性が低下する傾向がある。電解液の温度は、30℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましい。電解液の温度が30℃以下であれば、いわゆる「ヤケ」の発生が抑制され、細孔が壊れたり、表面が溶けたりして不規則な細孔が形成されることが抑制される。

0073

<工程(b)>
工程(b)は、酸化皮膜42を除去して、工程(a)において酸化皮膜42に形成された細孔41部分のアルミニウム基材40の表面に陽極酸化の細孔発生点を形成する。すなわち、工程(a)で形成された酸化皮膜42を除去すると、細孔41部分のアルミニウム基材に凹部43が形成されている。この凹部43を陽極酸化の細孔発生点にすることにより規則的に配列した細孔を発生させることができる。酸化皮膜42の除去には、アルミニウムを溶解せず、酸化皮膜を選択的に溶解する溶液を用いる。このような溶液としては、例えば、クロム酸/リン酸混合液等がある。

0074

<工程(c)>
工程(c)は、アルミニウム基材40を再度陽極酸化し、細孔発生点に酸化皮膜を形成することにより、細孔を形成する工程である。工程(b)において酸化皮膜42を除去したアルミニウム基材40を再度陽極酸化して、円柱状の細孔44を有する酸化皮膜45を形成する。陽極酸化は、工程(a)と同様の条件で行うことができる。陽極酸化の時間を長くするほど深い細孔を得ることができる。

0075

<工程(d)>
工程(d)は、細孔44の径を拡大させる工程である。細孔44の径を拡大させる処理(以下、「細孔径拡大処理」という)は、酸化皮膜を溶解する溶液に浸漬して陽極酸化で形成された細孔の径を拡大させる。このような溶液として、例えば、5質量%程度のリン酸水溶液等を用いることができる。細孔径拡大処理の時間を長くするほど、細孔44の径を拡大することができるので、目的とする形状に応じて、処理時間を設定する。

0076

<工程(e)>
工程(e)は、細孔径拡大処理後のアルミニウム基材40を再び陽極酸化する工程である。アルミニウム基材40を再び陽極酸化すると、酸化皮膜45が厚くなるのに伴い、細孔44の深さが伸張される。なお、陽極酸化は工程(a)(工程(c))と同様の条件で行うことができる。陽極酸化の時間を長くするほど細孔が深くなる。

0077

<工程(f)>
工程(d)と工程(e)を繰り返し行い、細孔44の径拡大と伸張を反復する工程である。この工程により、直径が開口部から深さ方向に連続的に減少する形状の細孔44を有する酸化皮膜45が形成され、陽極酸化アルミナの凸部がアルミニウム基材40の表面に形成されたスタンパ20を得ることができる。最後は工程(d)で終わることが好ましい。

0078

工程(d)と工程(e)の繰り返し回数は、合計で3回以上が好ましく、5回以上がより好ましい。繰り返し回数が3回以上であれば、連続的に直径が変化する細孔を形成することができ、このようなスタンパにより、反射率を低減させ得るモスアイ構造の表面を有する成形体を形成することができる。

0079

細孔44の形状としては、物品の表面に形成する微細凹凸形状の反転構造であって、具体的には、略円錐形状、角錐形状、円柱形状等が挙げられ、円錐形状、角錐形状等のように、深さ方向と直交する方向の細孔断面積が最表面から深さ方向に連続的に減少する形状が好ましい。

0080

細孔44間の平均間隔は、可視光の波長以下、すなわち400nm以下である。細孔44間の平均間隔は20〜300nmが好ましく、40〜260nmがより好ましく、60〜240nmがさらに好ましく、80〜200nmが特に好ましい。細孔間の平均間隔は、電子顕微鏡画像における隣接する細孔間の間隔(細孔の中心から隣接する細孔の中心までの距離)を10点測定し、これらの値の平均値を採用する。

0081

細孔44の深さは、80〜500nmが好ましく、120〜400nmがより好ましく、150〜300nmがさらに好ましい。細孔の深さは、電子顕微鏡30000倍画像における、細孔の最底部と頂部間の距離を10点測定し、これらの値の平均値を採用する。

0082

細孔44のアスペクト比(深さ/平均間隔)は、0.5〜5.0が好ましく、0.7〜4.0がより好ましく、0.8〜3.0がさらに好ましい。

0083

スタンパの微細凹凸構造が形成された側の表面は、離型剤で処理してもよい。
離型剤としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂フッ素化合物リン酸エステル等が挙げられ、リン酸エステルが特に好ましい。リン酸エステルとしては、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物が好ましく、市販品としては、化学社製の商品名:JP−506H、アクセル社製の商品名:モールドウイズINT−1856、日光ケミカルズ社製の商品名:TDP−10、TDP−8、TDP−6、TDP−2、DDP−10、DDP−8、DDP−6、DDP−4、DDP−2、TLP−4、TCP−5、DLP−10等が挙げられる。

0084

以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
評価方法
[1.着氷雪防止性能]
着氷雪防止性能は、低温において成形体の表面に化合物(B)が離漿していることを確認して評価した。
室温(23℃)で成形体の表面をヘキサンで拭き取り、微細凹凸構造を露出させた。次に、成形体を−15℃で1時間保持した後、表面にあぶらとり紙を置いて軽く指で押さえた。そのときに、あぶらとり紙に離漿した化合物(B)が染み込んだことが目視で確認できた場合に、着氷雪防止性能「あり」と判断した。

0085

[2.反射防止性能]
室温(23℃)で黒色アクリル板(三菱ケミカル株式会社製、アクリライトEX502)の上に成形体を載せ、成形体の表面に付着した化合物(B)をヘキサンで拭き取って除去した際に、反射防止性能が目視で確認できた場合に、反射防止性能「あり」と判断した。

0086

[3.スタンパの細孔の測定]
陽極酸化ポーラスアルミナからなるスタンパの一部の縦断面を1分間Pt蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、商品名JSM−7400F)により加速電圧3.00kVで観察し、隣り合う細孔の間隔(周期)及び細孔の深さを測定した。具体的にはそれぞれ10点ずつ測定し、その平均値を測定値とした。

0087

[モスアイ構造転写用スタンパの作製]
純度99.99質量%、厚さ2mm、φ65mmの電解研磨されたアルミニウム円盤をアルミニウム基材として用いた。0.3Mシュウ酸水溶液を15℃に調整し、前記アルミニウム基材を浸漬した。直流安定化装置の電源のON/OFFにより30秒おきに80Vの定電圧を5秒間印加する操作を60回繰り返し、アルミニウム基材に間欠的に電流を流して陽極酸化した。これにより、アルミニウム基材に細孔を有する酸化皮膜を形成した。
次いで、酸化皮膜が形成されたアルミニウム基材を、6質量%のリン酸と1.8質量%クロム酸とを混合した70℃の水溶液中に6時間浸漬し、酸化皮膜を溶解除去した。

0088

酸化皮膜が溶解除去されたアルミニウム基材を、16℃に調整した0.05Mのシュウ酸水溶液に浸漬して、80Vで7秒間陽極酸化を施した。続いて、32℃に調整した5質量%リン酸水溶液中に20分間浸漬して酸化皮膜の細孔を拡大する細孔径拡大処理を施した。このように陽極酸化と細孔径拡大処理とを交互に繰り返し、合計5回ずつ施した。以上の操作により、細孔の平均間隔(周期)が200nm、平均深さが200nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたモスアイ構造転写用スタンパを得た。
得られたモスアイ構造転写用スタンパを、TDP−8(商品名、日光ケミカルズ株式会社製)の0.1質量%水溶液に10分間浸漬した。これを引き上げて一晩風乾することにより、モスアイ構造転写用スタンパに離型処理を施した。

0089

使用原料
実施例、比較例及び参考例で用いた硬化性シリコーン樹脂を表2、化合物(B−1)及び化合物(B−2)を表3に示す。

0090

0091

0092

[実施例1]
硬化性シリコーン樹脂(A−1)(MS−1001、東レ・ダウコーニング社製)100質量部、化合物(B−1)としてAR20(シグマ・アルドリッチ社製)20質量部、及び化合物(B−2)としてTSF47(モメンティブ社製)30質量部を、自転公転ミキサーシンキー社製、製品名ARV−310)を用いて混練脱泡して硬化性シリコーン樹脂組成物(X)を調製した。
得られた硬化性シリコーン樹脂組成物(X)をガラス板とモスアイ構造転写用スタンパで挟持し、0.5mm厚のテフロン登録商標)製シートで作製した3cm角のスペーサーで厚みと大きさを制御した。硬化性シリコーン樹脂組成物(X)を120℃で1時間加熱して硬化させた後に離型し、凸部の平均間隔が200nm、平均高さが200nmの微細凹凸構造を表面に有する、シート状の湿潤ゲル(Y)からなる成形体を形成し、微細凹凸構造体を得た。

0093

[実施例2、3]
硬化性シリコーン樹脂組成物(X)の組成を表4に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして微細凹凸構造体を作製した。

0094

[比較例1、2及び参考例1]
表4に示す硬化性シリコーン樹脂を用い、化合物(B−1)及び化合物(B−2)を用いない以外は、実施例1と同様にして微細凹凸構造体を作製した。

0095

各例の評価結果を表4に示す。

0096

実施例

0097

表4に示すように、実施例1〜3の微細凹凸構造体は、室温で反射防止性能があり、かつ低温にすることで化合物(B)が離漿し、着氷雪防止性能が発現した。
一方、デューロメータ硬さ(タイプA)が68未満で柔らかすぎる硬化性シリコーン樹脂を用いた比較例1、2の微細凹凸構造体では、化合物(B)を含まない状態でも反射防止性能が発現しなかった。また、比較例1、2の微細凹凸構造体では、化合物(B)を含まないため、着氷雪防止性能も劣っていた。
硬化性シリコーン樹脂(A)のみを用い、化合物(B)を用いない参考例1の微細凹凸構造体では、反射防止性能は発現したものの、着氷雪防止性能が発現しなかった。

0098

本発明の湿潤ゲル(Y)からなる成形体は、例えば、建材、信号機、車両、輸送機器、航空機、風車、レンズ太陽電池、窓、画像表示装置ショーウィンドウ反射防止シート、反射防止膜、反射防止フィルム、などとしての用途展開が期待できる。本発明の成形体は、対象となる物品の表面に直接形成してもよく、フィルム状に形成した後に貼付してもよく、前面板として用いてもよい。

0099

10…微細凹凸構造体、11…基材、12…成形体、13…凸部、13a,13b…凸部の頂部、14…凹部、14a…凹部の底点、W1…隣り合う凸部の間隔d1…凹部の底点から凸部の頂点までの垂直距離、40…アルミニウム基材、41,44…細孔、42,45…酸化皮膜、43…凹部。

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