図面 (/)

技術 リン含有ビニル樹脂を含む低誘電難燃性組成物

出願人 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
発明者 和佐野次俊石原一男川辺正直岩下新一
出願日 2018年3月30日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-068365
公開日 2019年10月17日 (8ヶ月経過) 公開番号 2019-178233
状態 未査定
技術分野 強化プラスチック材料 グラフト、ブロック重合体
主要キーワード 固形状物質 重合性不飽和炭化水素基 溶液濾過 水層分 官能共重合体 下層水 水洗洗浄 耐熱酸化劣化性
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年10月17日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題

解決手段

(A)成分:分子内に反応性不飽和基を複数有し、不飽和基の官能基濃度が0.0010〜0.0070mol/gであるラジカル重合性樹脂、(B)成分:反応性の官能基濃度が0.0020〜0.0050eq/gであるリン含有ビニルベンジル化合物、(C)成分:開始剤を含有する硬化性樹脂組成物であって、(A)成分と(B)成分の合計に対する(B)成分中のリン含有率が1.0%〜4.5%であることを特徴とする硬化性樹脂組成物である。

概要

背景

コンピューター情報機器端末に用いられる電子部品用途、特に多層プリント基板の技術分野では、近年、各種電子機器における信号の高速化、高周波数化が進み、電気信号伝送損失が問題になっており、絶縁層には誘電正接が低い材料が求められている。

また、これら電子部品用途では、難燃性の付与が必須となっており、ハロゲン系難燃剤の添加が一般的であったが、これら難燃剤燃焼生成物には有害な物が多く、ダイオキシン問題をはじめとする環境問題への対応から、近年、ハロゲン系難燃剤を用いることなく、難燃効果を持たせたハロゲンフリー難燃剤への要求が高まっている。そこで、近年、難燃剤として、燃焼時や成形時等においてハロゲン系ガスが発生しにくい非ハロゲン系のもの、例えば、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムなどの金属水和物系難燃剤並びにリン酸エステル系、ホスファゼン系などの添加型リン系難燃剤が多用されるようになっている。

このうち、金属水和物系難燃剤は、高温時に脱水反応により潜熱を奪い、温度を低下させる効果を有するが、難燃性と添加量は比例するため、高度の難燃性を発現するためには多量の添加を必要とし、それに伴って諸機械特性を低下させる等の問題を引き起こす。

一方、前記した添加型リン系難燃剤は、難燃効果を発現するまで添加した場合、表面へのブリードアウト成形加工時の揮発等、難燃化に伴う問題が発生する。

そこで、これらの問題を解決するために、近年、非ハロゲン難燃元素樹脂中に導入し、樹脂自体の難燃化を図った反応型難燃剤が、多層プリント基板絶縁材料用途で使用されている。特許文献1ではリン元素を含有するエポキシ樹脂、更に特許文献2、3には樹脂構造中にリン元素を含有するビニルベンジル化合物が記載されている。しかしながら、特許文献1のリン元素を含有するエポキシ樹脂は、機械物性を損ねることなく、その硬化物に難燃性を付与することができる一方、誘電正接が高いという問題があった。また、特許文献2に記載のビニルベンジル化合物は、不飽和基をその構造中に1つ持つため、耐熱性が低い。更に特許文献3には、多官能リン含有ビニルベンジル化合物および樹脂組成物が開示されているが、該リン化合物と特定のラジカル重合性樹脂とを組み合わせた場合の具体的な特性については何ら検討されていない。

概要

高耐熱性低誘電正接でありながら、ハロゲンフリー難燃性を発現する硬化性樹脂組成物を提供する。 (A)成分:分子内に反応性の不飽和基を複数有し、不飽和基の官能基濃度が0.0010〜0.0070mol/gであるラジカル重合性樹脂、(B)成分:反応性の官能基濃度が0.0020〜0.0050eq/gであるリン含有ビニルベンジル化合物、(C)成分:開始剤を含有する硬化性樹脂組成物であって、(A)成分と(B)成分の合計に対する(B)成分中のリン含有率が1.0%〜4.5%であることを特徴とする硬化性樹脂組成物である。なし

目的

本発明の目的は、高耐熱性、低誘電正接でありながら、ハロゲンフリー難燃性を発現する硬化性樹脂組成物を実現することにある

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

(A)成分:分子内に反応性不飽和基を複数有し、不飽和基の官能基濃度が0.0010〜0.0070mol/gであるラジカル重合性樹脂、(B)成分:一般式(1)で表され、反応性の官能基濃度が0.0020〜0.0050mol/gであるリン含有ビニルベンジル化合物、 (式中、R1, R2は水素又は炭素数1〜12の炭化水素基であり、R1, R2は同一であっても異なっていても良く、リン原子と共にR1, R2が環状構造を形成していても良い。R3、R4は同一であっても異なっていても良く、水素又は下記式(2)で示されるビニルベンジル基であり、R3、R4の少なくとも一つは式(2)のビニルベンジル基である。式中のXは三価ベンゼン環又はナフタレン環含有基を示す。) (C)成分:開始剤を含有する硬化性樹脂組成物であって、(A)成分と(B)成分の合計に対する(B)成分中のリン含有率が1.0%〜4.5%であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。

請求項2

A成分が、数平均分子量が300〜100,000であり、更に、トルエンキシレンテトラヒドロフランジクロロエタン又はクロロホルムに可溶であり、ジビニル芳香族化合物モノビニル芳香族化合物を共重合させて得られる多官能共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。

請求項3

A成分が、ジビニル芳香族化合物に由来する繰り返し単位(a)とモノビニル芳香族化合物に由来する繰り返し単位(b)を含有する多官能共重合体であって、上記繰り返し単位(a)と繰り返し単位(b)の合計を100モル%とするとき、繰り返し単位(a)を2モル%以上、95モル%未満含み、繰り返し単位(b)を5モル%以上、98モル%未満含み、上記繰り返し単位(a)が下記式(3)で表される不飽和基を有する繰り返し単位(a1)を含有し、 (式中、R5は炭素数6〜30の芳香族炭化水素基を表す。)繰り返し単位(a)及び(b)の総和に占める繰り返し単位(a1)のモル分率が、下記数式(1)を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。0.02≦(a1)/[(a)+(b)]≦0.8(1)

請求項4

さらに、(D)硬化性反応樹脂、及び/又は(E)熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜3aのいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。

請求項5

請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を用いることを特徴とするプリプレグ

請求項6

請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物

請求項7

請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を用いることを特徴とする積層板

請求項8

請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を用いることを特徴とするビルドアップフィルム

技術分野

0001

本発明は、その硬化物において優れた難燃性高ガラス転移温度低熱膨張率低誘電正接低吸水率発現し、かつ、溶剤溶解性に優れた性能を有する硬化性樹脂組成物、その硬化物並びに、該熱硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグ回路基板、及びビルドアップフィルムに関する。

背景技術

0002

コンピューター情報機器端末に用いられる電子部品用途、特に多層プリント基板の技術分野では、近年、各種電子機器における信号の高速化、高周波数化が進み、電気信号伝送損失が問題になっており、絶縁層には誘電正接が低い材料が求められている。

0003

また、これら電子部品用途では、難燃性の付与が必須となっており、ハロゲン系難燃剤の添加が一般的であったが、これら難燃剤燃焼生成物には有害な物が多く、ダイオキシン問題をはじめとする環境問題への対応から、近年、ハロゲン系難燃剤を用いることなく、難燃効果を持たせたハロゲンフリー難燃剤への要求が高まっている。そこで、近年、難燃剤として、燃焼時や成形時等においてハロゲン系ガスが発生しにくい非ハロゲン系のもの、例えば、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムなどの金属水和物系難燃剤並びにリン酸エステル系、ホスファゼン系などの添加型リン系難燃剤が多用されるようになっている。

0004

このうち、金属水和物系難燃剤は、高温時に脱水反応により潜熱を奪い、温度を低下させる効果を有するが、難燃性と添加量は比例するため、高度の難燃性を発現するためには多量の添加を必要とし、それに伴って諸機械特性を低下させる等の問題を引き起こす。

0005

一方、前記した添加型リン系難燃剤は、難燃効果を発現するまで添加した場合、表面へのブリードアウト成形加工時の揮発等、難燃化に伴う問題が発生する。

0006

そこで、これらの問題を解決するために、近年、非ハロゲン難燃元素樹脂中に導入し、樹脂自体の難燃化を図った反応型難燃剤が、多層プリント基板絶縁材料用途で使用されている。特許文献1ではリン元素を含有するエポキシ樹脂、更に特許文献2、3には樹脂構造中にリン元素を含有するビニルベンジル化合物が記載されている。しかしながら、特許文献1のリン元素を含有するエポキシ樹脂は、機械物性を損ねることなく、その硬化物に難燃性を付与することができる一方、誘電正接が高いという問題があった。また、特許文献2に記載のビニルベンジル化合物は、不飽和基をその構造中に1つ持つため、耐熱性が低い。更に特許文献3には、多官能リン含有ビニルベンジル化合物および樹脂組成物が開示されているが、該リン化合物と特定のラジカル重合性樹脂とを組み合わせた場合の具体的な特性については何ら検討されていない。

先行技術

0007

特開2001−288247号公報
特開2004−277322号公報
特開2004−331537号公報

発明が解決しようとする課題

0008

本発明の目的は、高耐熱性、低誘電正接でありながら、ハロゲンフリー難燃性を発現する硬化性樹脂組成物を実現することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、上述の課題を解決すべく研究を重ねた結果、(A)成分:分子内に反応性の不飽和基を複数有し、不飽和基の官能基濃度が0.0010〜0.0070mol/gであるラジカル重合性樹脂、(B)成分:反応性の官能基濃度が0.0020〜0.0050mol/gである特定のリン含有ビニルベンジル化合物、(C)開始剤を所定の割合で含む樹脂組成物からなる成形体が優れた耐熱性、Tanδおよび難燃性を示すことを見出した。すなわち、本発明は以下の態様を含むものである。

0010

(A)成分:分子内に反応性の不飽和基を複数有し、不飽和基の官能基濃度が0.0010〜0.0070mol/gであるラジカル重合性樹脂、
(B)成分:一般式(1)で表され、反応性の官能基濃度が0.0020〜0.0050mol/gであるリン含有ビニルベンジル化合物、




(式中、R1, R2は炭素数1〜12の炭化水素基であり、R1, R2は同一であっても異なっていても良く、リン原子と共にR1, R2が環状構造を形成していても良い。R3、R4は水素又は式(2)で示されるビニルベンジル基であり、R3、R4の少なくとも一つは式(2)のビニルベンジル基である。式中のXは三価ベンゼン環又はナフタレン環含有基を示す。)




(C)成分:開始剤を含有する硬化性樹脂組成物であって、(A)成分と(B)成分の合計に対する(B)成分中のリン含有率が1.0%〜4.5%である事を特徴とする硬化性樹脂組成物である。

0011

A成分が、数平均分子量が300〜100,000であり、更に、トルエンキシレンテトラヒドロフランジクロロエタン又はクロロホルムに可溶であり、ジビニル芳香族化合物モノビニル芳香族化合物を共重合させて得られる多官能共重合体である事を特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物である。

0012

さらにA成分が、ジビニル芳香族化合物に由来する繰り返し単位(a)とモノビニル芳香族化合物に由来する繰り返し単位(b)を含有する多官能共重合体であって、上記繰り返し単位(a)と繰り返し単位(b)の合計を100モル%とするとき、繰り返し単位(a)を2モル%以上、95モル%未満含み、繰り返し単位(b)を5モル%以上、98モル%未満含み、上記繰り返し単位(a)が下記式(3)で表される不飽和基を有する繰り返し単位(a1)を含有し、




(式中、R5は炭素数6〜30の芳香族炭化水素基を表す。)
繰り返し単位(a)及び(b)の総和に占める繰り返し単位(a1)のモル分率が、下記数式(1)を満足することを特徴とする前記硬化性樹脂組成物である。
0.02≦(a1)/[(a)+(b)]≦0.8 (1)

0013

前記硬化性樹脂組成物を用いることを特徴とするプリプレグである。

0014

前記硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物である。

0015

前記硬化性樹脂組成物を用いることを特徴とする積層板である。

0016

前記硬化性樹脂組成物を用いることを特徴とするビルドアップフィルムである。

発明の効果

0017

本発明は、高ガラス転移温度、低熱膨張性、低誘電正接および低吸水率を有するとともに、十分な難燃性を有する硬化物を得ることができる樹脂組成物を提供することができる。更に、本発明の樹脂組成物は、多層プリント配線板の絶縁層の調製に好適な、難燃性を有する硬化性樹脂組成物を提供することができる。

0018

以下、本発明の樹脂組成物について詳細に説明する。本発明の難燃性樹脂組成物は、(A)成分:分子内に反応性の不飽和基を複数有し、不飽和基の官能基濃度が0.0010〜0.0070mol/gであるラジカル重合性樹脂、(B)成分:上記一般式(1)で表され、反応性の官能基濃度が0.0020〜0.0050mol/gであるリン含有ビニルベンジル化合物、(C)成分:開始剤を含有する硬化性樹脂組成物であって、(A)成分と(B)成分の合計に対する(B)成分中のリン含有率が1.0%〜4.5%である事を特徴とする硬化性樹脂組成物である。

0019

成分(A)は、分子内に不飽和基を複数有するラジカル重合性樹脂である。
成分Aのラジカル重合性樹脂を使用することで、本発明の樹脂組成物から調製される硬化物の誘電正接を低下させることができる。本発明で使用され得る(A)成分は、分子内に2つ以上の不飽和基をラジカル重合性基として有するラジカル重合性樹脂であり、その不飽和基の官能基濃度が好ましくは、0.0010〜0.0070mol/gであり、さらに好ましくは0.0025〜0.0050mol/gである。官能基濃度が0.0010mol/g未満では架橋が進まず耐熱性が低下し、更に脆い硬化物になりやすいため好ましくなく、0.0070mol/g以上では、誘電正接の耐熱劣化性が低下するので好ましくない。

0020

官能基濃度は、JIS0070に準じて測定されるヨウ素価から算出される。ヨウ素価とは、測定試料100gと反応しえるハロゲンの量をヨウ素のグラム数で表したもので、ハロゲンとして臭化ヨウ素を用いるハヌス法と塩化ヨウ素を用いるウィイス法とが知られている。ウィイス法は、測定試料中の不飽和結合よりも大過剰の塩化ヨウ素を加えることで、不飽和基1molに対して塩化ヨウ素1molを定量的に反応させ、過剰に残った塩化ヨウ素をチオ硫酸ナトリウム滴定することで求められる。滴定は、ハロゲンと反応後の測定試料に、ヨウ化カリウム、および蒸留水を加えチオ硫酸ナトリウムで滴定し、溶液の色が薄い黄色になったところで、でんぷん溶液を加え、でんぷんの青色が消失するまで行うことで滴定量を求めることができる。また、滴定は平産業株式会社製の自動滴定装置COM−1700の様な装置を使用して行うこともできる。ヨウ素価は、下記の数式(2)により求めることができる。
ヨウ素価=(B−A)×f×1.269 (2)

A:空試験に用いた0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の量(mL)
B:測定試料の滴定に用いた0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の量(mL)
f:0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
S:試料の質量
・ 269:ヨウ素の原子量126.9/100
本明細書に記載の官能基濃度とは、ヨウ素価から試料100g中に存在する不飽和基のmol数が定量的に計算できるので、mol/gに換算した数値のことである。

0021

(A)成分として、好ましくは、数平均分子量が300〜100,000であり、更にトルエンに可溶であり、反応性の不飽和基を2つ有するモノマーと1つ有するモノマーを共重合させて得られる多官能共重合体を使用できる。この多官能共重合体は、ジビニル芳香族化合物に由来する繰り返し単位(a)と、モノビニル芳香族化合物に由来する繰り返し単位(b)を含有し、更にジビニル芳香族化合物に由来する繰り返し単位(a)の一部として下記式(3)で表される繰り返し単位(a1)を含有する。式(3)中、R5は炭素数6〜30の芳香族炭化水素基を表す。




繰り返し単位(a)と繰り返し単位(b)の合計を100モル%としたとき、繰り返し単位(a)を2モル%以上、95モル%未満含有し、繰り返し単位(b)を5モル%以上、98モル%未満含有する。そして、繰り返し単位(a)及び(b)の合計を100モル%としたとき、繰り返し単位(a1)を2〜80モル%含有する。

0022

上記多官能共重合体は、数平均分子量Mnが300〜100,000であり、重量平均分子量Mwと数平均分子量の比で表される分子量分布が100.0以下であり、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン又はクロロホルムに可溶である。

0023

上記多官能共重合体としては、限定されるものではないが、例えば下記式(4)で示されるジビニル芳香族化合物に由来する繰り返し単位(a)とモノビニル芳香族化合物に由来する繰り返し単位(b)に由来する構造単位を含有する共重合体などが挙げられる。これらの構造単位は規則的に配列してもよく、ランダムに配列してもよい。




(式中、R6はモノビニル芳香族化合物に由来する炭素数6〜30の芳香族炭化水素基であり、R5はジビニル芳香族化合物に由来する炭素数6〜30の芳香族炭化水素基であり、h〜kは、その合計が2〜20,000であることを条件に、それぞれ独立に0〜200の整数である。)

0024

好適な(A)成分としては、上記式(4)に於いてR5、及びR6が、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいビフェニル基、置換基を有していてもよいナフタレン基、及び置換基を有していてもよいターフェニル基からなる群から選ばれる芳香族炭化水素基である繰り返し単位からなる共重合体が挙げられる。

0025

(A)成分である不飽和基を有するラジカル重合性樹脂は、溶媒可溶性であることを特徴とする。また、本明細書でいう繰り返し単位は、単量体に由来するものであって、共重合体の主鎖中に存在し、繰り返して現れる単位と、末端又は側鎖に存在する単位又は末端基を含む。繰り返し単位を構造単位ともいう。また、本明細書でいう末端基は、上記の単量体に由来するものの他に、後述の連鎖移動剤に由来する末端基も含む。

0026

ジビニル芳香族化合物に由来する構造単位(a)は、ジビニル芳香族化合物、及びモノビニル芳香族化合物に由来する構造単位(b)の総和に対し、2モル%以上95モル%未満含有する。ジビニル芳香族化合物に由来する構造単位(a)は、二つのビニル基が、1つだけが反応したもの、2つが反応したものなど複数の構造になり得るが、このうち上記式(3)で表されるビニル基が1つだけ反応した繰り返し単位を上記総和に対し、2〜80モル%含むことが好ましく、より好ましくは5〜70モル%であり、さらに好ましくは10〜60%であり、特に好ましくは15〜50%である。2〜80モル%とすることで、誘電正接が低く、靱性が高く、耐熱性に優れる硬化物が得られ、組成物として他の樹脂との相溶性に優れる。また、樹脂組成物とした際に、耐湿熱性耐熱酸化劣化性成形加工性に優れる。2モル%未満では、耐熱性が低下する傾向にあり、80モル%超では、積層体としたときの層間ピール強度が低下する傾向にある。

0027

A成分である不飽和基を有するラジカル重合性樹脂は、モノビニル芳香族化合物に由来する構造単位(b)を、上記総和に対し、5モル%以上98モル%未満含有する。好ましくは10モル%以上90モル%未満含有する。さらに好ましくは15モル%以上85モル%未満である。5モル%に満たないと成形加工性が不足し、98モル%を超えると硬化物の耐熱性が不十分である。

0028

ジビニル芳香族化合物に由来する構造単位である上記式(3)や式(4)に存在するビニル基は、架橋成分として作用し、組成物の耐熱性を発現させるのに寄与する。一方、モノビニル芳香族化合物に由来する構造単位(b)は、通常はビニル基の1,2付加反応により重合が進行すると考えられるので、ジビニル芳香族化合物との共重合後において、ビニル基を有さない。つまり、ジビニル芳香族化合物とモノビニル化合物との共重合体であるラジカル重合性樹脂において、モノビニル芳香族化合物に由来する構造単位(b)は、架橋成分として作用しない一方、成形性を発現させるのに寄与する。

0029

モノビニル芳香族化合物としては、スチレンが好ましく挙げられる。また、スチレンと共にスチレン以外のモノビニル芳香族化合物を使用することもできる。
この場合、スチレンに由来する構造単位(b1)及びスチレン以外のモノビニル芳香族化合物に由来する構造単位(b2)の含有量の総和を100モル%としたときに、スチレンに由来する構造単位(b1)の含有量は、99〜20モル%であることがよい。より好ましくは98〜30モル%である。(b1)の含有量が上記範囲であれば、耐熱酸化劣化性と成形性を兼ね備えるため好ましい。構造単位(b1)が99モル%より大きい場合、耐熱性が低下する傾向にあり、構造単位(b2)が80モル%より多い場合、成形性が低下する傾向にある。

0030

不飽和基を有するラジカル重合性樹脂(成分A)の数平均分子量(GPCを用いて測定される標準ポリスチレン換算の数平均分子量)は、好ましくは300〜100,000、より好ましくは400〜50,000、更に好ましくは500〜10,000である。Mnが300未満であると多官能共重合体中に含まれる単官能共重合体成分の量が増えるため、硬化物の耐熱性が低下する傾向にあり、また、Mnが100,000を超えると、ゲルが生成しやすくなり、また、粘度が高くなるため、成形加工性が低下する傾向にある。
また、重量平均分子量(GPCを用いて測定される標準ポリスチレン換算の重量平均分子量)とMnの比で表される分子量分布(Mw/Mn)の値は、100.0以下であり、好ましくは50.0以下、より好ましくは1.5〜30.0、最も好ましくは2.0〜20.0である。Mw/Mnが100.0を超えると、加工特性が悪化する傾向にあり、ゲルが発生する傾向にある。

0031

また、A成分である不飽和基を有するラジカル重合性樹脂は、溶剤としてのトルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン又はクロロホルムに可溶であるが、好ましくは上記溶剤のいずれにも可溶である。溶剤に可溶で多官能な共重合体であるためには、ジビニル芳香族化合物例えばジビニルベンゼンのビニル基の一部は架橋せずに残存し適度な架橋度であることが必要である。ここで、溶剤に可溶とは、上記溶剤100gに対し、5g以上溶解するものであることをいい、より好ましくは30g以上溶解、特に好ましくは50g以上溶解することである。

0032

ジビニル芳香族化合物は、分岐構造を形成し多官能とする役割を果たすと共に、得られた多官能共重合体を熱硬化する際に、耐熱性を発現させるための架橋成分としての役割を果たす。
ジビニル芳香族化合物の例としては、ビニル基を二つ有する芳香族であれば限定されないが、ジビニルベンゼン(各位置異性体又はこれらの混合物を含む)、ジビニルナフタレン(各位置異性体又はこれらの混合物を含む)、ジビニルビフェニル(各位置異性体又はこれらの混合物を含む)が好ましく使用される。また、これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。成形加工性の観点から、より好ましくはジビニルベンゼン(m−体、p−体又はこれらの位置異性体混合物)である。

0033

モノビニル芳香族化合物の例としては、スチレン及びスチレン以外のモノビニル芳香族化合物がある。しかし、スチレンを必須とし、スチレン以外のモノビニル芳香族化合物を併用することが望ましい。

0034

スチレンは、モノマー成分として、(A)成分である不飽和基を有するラジカル重合性樹脂に低誘電特性及び耐熱酸化劣化性を付与する役割を果たすとともに、連鎖移動剤としても機能し、(A)成分の分子量を制御する役割を果たす。
また、スチレン以外のモノビニル芳香族化合物は、溶剤可溶性及び加工性を向上させる。

0035

スチレン以外のモノビニル芳香族化合物の例としては、ビニル基を一つ有するスチレン以外の芳香族であれば限定されないが、ビニルナフタレンビニルビフェニルなどのビニル芳香族化合物;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルビニルベンゼン、m−エチルビニルベンゼン、p−エチルビニルベンゼンなどの核アルキル置換ビニル芳香族化合物;などが挙げられる。好ましくは、ゲル化を防ぎ、溶剤可溶性、加工性の向上効果が高く、コストが低く、入手が容易であることから、エチルビニルベンゼン(各位置異性体又はこれらの混合物を含む)、エチルビニルビフェニル(各位置異性体又はこれらの混合物を含む)、又はエチルビニルナフタレン(各位置異性体又はこれらの混合物を含む)である。より好ましくは、誘電特性とコストの観点から、エチルビニルベンゼン(m−体、p−体又はこれらの位置異性体混合物)である。

0036

また、本発明の効果を損なわない範囲で、ジビニル芳香族化合物、及びモノビニル芳香族化合物の他に、トリビニル芳香族化合物、トリビニル脂肪族化合物、ジビニル脂肪族化合物、モノビニル脂肪族化合物等の他のモノマー成分を1種又は2種以上使用し、これらに由来する構造単位(c)を、ラジカル重合性樹脂(A)である可溶性多官能ビニル芳香族共重合体中に導入することができる。

0037

上記他のモノマー成分としては、例えば、1,3,5−トリビニルベンゼン、1,3,5−トリビニルナフタレン、1,2,4−トリビニルシクロキサンエチレングリコールジアクリレートブタジエン、1,4−ブタンジオールジビニルエーテルシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテルトリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。

0038

他のモノマー成分は、全モノマー成分の総和に対するモル分率が30モル%未満であることが好ましい。つまり、他のモノマー成分に由来する繰り返し単位(c)は、(A)成分である共重合体を構成する全モノマー成分に由来する構造単位(a)、(b)、及び(c)の総和に対するモル分率が30モル%未満であることが好ましい。

0039

(A)成分として使用される不飽和基を有するラジカル重合性樹脂は、ジビニル芳香族化合物とモノビニル芳香族化合物を含むモノマーを、ルイス酸触媒の存在下に重合することにより得られる。
重合の際、使用されるルイス酸触媒としては、金属イオン(酸)と配位子塩基)からなる化合物であって、電子対を受け取ることのできるものであれば特に制限なく使用できる。ルイス酸触媒の中でも、得られる共重合体の耐熱分解性の観点から、金属フッ化物又はその錯体が好ましく、特にB、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Ti、W、Zn、Fe及びV等の2〜6価の金属フッ化物又はその錯体が好ましい。これらの触媒は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。得られる共重合体の分子量及び分子量分布の制御及び重合活性の観点から、三フッ化ホウ素エーテル錯体が最も好ましく使用される。ここで、エーテル錯体のエーテルとしては、ジエチルエーテルジメチルエーテル等がある。さらに、重合時に、分子量をコントロールする目的で、公知の連鎖移動剤(CTR)を添加することもできる。この際、連鎖移動剤は、成長ポリマー鎖の末端をキャッピングすることによって、共重合体の成長を止めて、分子量の増大を抑えることで、分子量制御を可能にする。

0040

また、連鎖移動剤は共重合体の末端を化学変性することになるので、靱性、低誘電性密着性等の機能付与を可能にする末端基を導入する役割を果たす化合物にもなる。このような、連鎖移動剤としての機能を有する化合物としては、アルコール化合物メルカプタン化合物カルボン酸化合物カルボン酸無水物化合物、エーテル化合物チオエーテル化合物エステル化合物、及びチオエステル化合物などを挙げることができる。
また、上記の化合物の他に、単独重合性の低いモノマーを分子量調節剤として使用することもできる。このような単独重合性の低いモノマーとしては、シクロオレフィン化合物を挙げることができる。シクロオレフィン化合物の具体例を挙げると、シクロブテンシクロペンテンシクロオクテンなどの単環の環状オレフィンの他、ノルボルネンジシクロペンタジエンなどのノルボルネン環構造を有する化合物(以下、ノルボルネン化合物と言う。)、インデンアセナフチレンなどの芳香族環縮合したシクロオレフィン化合物などを挙げることができるが、これらの化合物に限定されない。
これらの連鎖移動剤、分子量調節剤は、モノマー成分として計算され、これから生じる構造単位は、共重合体の構造単位として計算される。そして、これらは上記他のモノマー成分として計算される。

0041

その他の(A)成分として複数のビニル基を持つ熱硬化性樹脂として、例えば、ビニルエステル樹脂ポリビニルベンジル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂硬化型ビニル樹脂マレイミド樹脂等分子中に1個以上の重合性不飽和炭化水素基を有する1種以上のビニル化合物類等を挙げることができる。

0042

上記ビニル化合物類としては、末端が(メタアクリル基スチリル基変性された変性ポリフェニレンエーテル、分子中にメタクリル基を2個以上有する多官能メタクリレート化合物、分子中にアクリル基を2個以上有する多官能アクリレート化合物ポリブタジエン等のように分子中にビニル基を2個以上有するビニル化合物(多官能ビニル化合物)、等が挙げられる。また、これらを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0043

次に、(B)成分であるリン含有ビニルベンジル化合物について説明する。本発明に使用されるリン含有ビニル化合物は、下記一般式(1)で表される。




(一般式(1)において、R1, R2は水素又は炭素数1〜12の炭化水素基であり、R1, R2は同一であっても異なっていても良く、リン原子と共にR1, R2が環状構造を形成していても良い。R3、R4は同一であっても異なっていても良く、水素又は一般式(2)の構造で示されるビニルベンジル基であり、R3、R4の少なくとも一つは式(2)のビニルベンジル基である。式中のXは三価のベンゼン環又はナフタレン環含有基を示す。)

0044

上記一般式(1)で表されるビニルベンジル化合物は、反応性の官能基濃度が0.0020〜0.0050eq/gであり、好ましくは0.0035〜0.0050である。官能基濃度が0.0020未満では、反応性が悪く、また耐熱性も低下し、線膨張率も悪化するため好ましくなく、0.0050を超えると硬化物中に未反応の不飽和基が残ることで、耐熱劣化性に劣る硬化物となるため好ましくない。
(A)成分と(B)成分の官能基濃度をある程度揃えることによって、両成分が重合体に組み込まれ、熱膨張率の低減などの各種の物性向上に寄与していると考えられる。

0045

一般式(1)で表されるリン含有ビニルベンジル化合物は、一般式(5)で示される化合物とビニルベンジルハライドを反応させることで得ることができる。




(式中、R1, R2、Xは式(1)における規定と同義である。)

0046

(B)成分原料としてのビニルベンジルハライド類は、p−ビニルベンジルクロライド、m−ビニルベンジルクロライド、p−ビニルベンジルクロライドとm−ビニルベンジルクロライドとの2種類の混合体、p−ビニルベンジルブロマイド、m−ビニルベンジルブロマイド、p−ビニルベンジルブロマイドとm−ビニルベンジルブロマイドとの混合体等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらを2種類以上混合して使用しても良い。

0047

一般式(5)で表されるリン含有フェノール化合物とビニルベンジルハライドの反応は、ポリフェノール類とビニルベンジルハライドとの反応であり、従来から公知の方法により反応する事ができる。例えばリン含有フェノール化合物とビニルベンジルハライドを適当な不活性溶媒中で、アルカリ金属水酸化物分割投入又は滴下して反応を行い、生成するハロゲン化金属濾過水洗によって分離する方法がある。あるいはリン含有フェノール化合物と、アルカリ金属水酸化物を配合し、ビニルベンジルハライドを分割投入又は滴下して反応を行い、生成するハロゲン化金属を濾過や水洗によって分離する方法もある。リン含有フェノール化合物とビニルベンジルハライドとの反応割合は、リン含有フェノール化合物の活性水素当量に対してビニルベンジルハライドが0.4〜1.5当量であり、好ましくは0.8〜1.2当量である。より好ましくは、0.95〜1.05当量である。リン含有フェノール化合物の活性水素1当量に対してビニルベンジルハライドが0.4当量未満では未反応のリン含有フェノール化合物の残存量が多くなり、ビニル基の官能基濃度が下がり好ましくない。また、1.5当量を越えると、未反応のビニルベンジルハライドの残存量が多くなるか、副反応生成物が多くなりすぎることから好ましくない。

0048

反応に用いる不活性溶媒は特に限定はなくヘキサン、へプタンオクタンデカンジメチルブタンペンテンシクロヘキサンメチルシクロヘキサンベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の各種炭化水素メタノールエタノールプロパノールブタノールアミルアルコールペンタノールヘキサノールメチルアミルアルコールヘプタノールシクロヘキサノールベンジルアルコールフリフリルアルコール等のアルコール類エチルエーテルイソプロピルエーテルブチルエーテルジイソアミルエーテルメチルフェニルエーテルエチルフェニルエーテル、アミルフェニルエーテルエチルベンジルエーテル、ジオキサンメチルフラン、テトラヒドロフラン等のエーテル類アセトンメチルアセトンメチルエチルケトンメチルプロピルケトンメチルブチルケトンメチルアミルケトンジエチルケトンエチルブチルケトンジプロピルケトンシクロヘキサノン等のケトン類等、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテートエチルセロソルブ、セロソルブアセテート、エチレングリコールイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルメチルエチルカルビトールプロピレングリコールモノメチルエーテルジメチルホルムアミドジメチルスルホキシド等が使用できるが、これらに限定されるものではなく、2種類以上混合して使用しても良い。しかし、生成したハロゲン化金属を水洗により除去する場合は水層を分液可能な溶媒を使用する必要がある。好ましい分液可能な溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等があるがこれらに限定されるものではなく、2種類以上混合して使用しても良い。

0049

反応に用いるアルカリ金属水酸化物としては水酸化リチウム水酸化ナトリウム水酸化カリウム等が使用できるがこれらに限定されるものではなく、2種類以上混合して使用しても良い。また、固形で使用しても水溶液等の溶液で使用しても良い。アルカリ金属水酸化物の使用量はビニルベンジルハライド1モルに対して、0.5〜5.0モル、好ましくは1〜3モルである。アルカリ金属水酸化物の使用量が0.5モル未満の場合、反応が十分行われず好ましくない。一方、アルカリ金属水酸化物の使用量が5.0モルを越えると、中和に必要な酸が多量に必要となる等経済的に好ましくない。

0050

反応には必要に応じて触媒を使用することも出来る。使用する触媒の具体例としてはベンジルジメチルアミン等の第3級アミン類テトラメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩類、トリフェニルホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニルホスフィン等のホスフィン類、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム塩類、2メチルイミダゾール、2エチル4メチルイミダゾール等のイミダゾール類等各種触媒が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、2種類以上使用しても良い。

0051

反応は30℃〜150℃、好ましくは50℃〜90℃で反応を行うことが好ましい。反応温度が高いとビニル基の反応により重合してしまい、低すぎると反応が進まず効率が悪い。反応の追跡には各種クロマトグラフィーやIR、UV等を利用することが出来る。例えば、原料のビニルベンジルハライドの残存量や、反応に関わる官能基ピークを測定することで終点を決定することが出来る。

0052

得られた(B)成分のリン含有ビニルベンジルエーテル化合物は、ビニル基の反応性から光照射や加熱により重合することができる。また、保存に際して重合禁止剤を添加しておくことも出来る。重合禁止剤の例としてはキノン類ハイドロキノン類フェノール類、各種銅塩類、アミジン類ヒドラジン類等があり、より具体的にはトルキノンハイドロキノンナフテン銅酸、ヒドラジン塩酸塩などが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、2種類以上使用しても良い。

0053

上記一般式(5)で表される化合物は、リン原子に直結した活性水素を持つ有機リン化合物キノン化合物との反応から、特開昭61−236787号公報、特開平05−331179号公報、特開平05−39345号公報等で示される公知の方法により合成することができる。有機リン化合物の例としては、ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジフェニルホスフィン等、ホスフィンオキサイド類としては、ジメチルホスフィンオキサイド、ジエチルホスフィンオキサイド、ジフェニルホスフィンオキサイドメンチルフェニルホスフィナート、tert-ブチルフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられ、リン酸エステル類としてはジエチルハイドロゲンホスファイトビス(2-エチルヘキシル)ハイドロゲンホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイトジフェニルハイドロゲンホスファイト、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド(HCA 三光製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、2種類以上使用しても良い。キノン化合物の、具体例としては1,4−ベンゾキノン、1,2−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノン等が挙げられる。これらキノン類は単独でも2種類以上混合して使用しても良く、また、これらに限定されるものではない。

0054

また、上記一般式(5)で表される化合物は、市販品を使用することもでき、ジフェニルホスフィニルハイドロキノン(PPQ化学工業製)、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(HCA−HQ 三光製)、10−(2,5−ジヒドロキシナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、1,4−シクロオクチレンホスホニルハイドロキノン、1,5−シクロオクチレンホスホニルハイドロキノン(CPHO−HQ 日本化学工業製)等が購入可能である。

0055

(C)成分の開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイドクメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)パーオキサイド、トリメチルシリルトリフェニルシリルパーオキサイド等の過酸化物があるがこれらに限定されない。また過酸化物ではないが、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンも、ラジカル重合開始剤として使用できる。しかし、これらの例に限定されるものではなく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0056

本発明の硬化性樹脂組成物において、(A)成分及び(B)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、好ましくは(A)成分が20〜70質量部、(B)成分が30〜80質量部である。より好ましくは(A)成分が30〜60質量部、(B)成分が40〜70質量部である。

0057

本発明の硬化性樹脂組成物では、前記(A)成分及び(B)成分の合計を100質量%としたとき、リンを1.0〜4.5質量%含有する。更にこの時、(A)成分の官能基濃度は0.0010〜0.0070mol/gであり、(B)成分の官能基濃度は0.002〜0.005eq/gである。上記(A)成分と(B)成分の官能基濃度が上記組み合わせにあるとき、低熱膨張に優れ、さらに低吸水率の硬化物を与えることができる。この官能基濃度から得られる架橋密度を超えると硬化物中の自由空間が増すことで熱膨張が増加し、この官能基濃度から得られる架橋密度より小さいと硬化物の耐熱性が劣り熱膨張が増加すると考えられる。更にリン濃度が上記範囲内にあるとき、誘電正接特性、低熱膨張、低吸水率が特異的に優れ、難燃性を発現するバランスに優れた硬化性樹脂組成物が得られる。リン濃度が上記範囲以下であれば、難燃性、熱膨張に劣り、上記範囲以上であると吸水率が上昇し、誘電正接の経時変化を引き起こすので好ましくない。

0058

本発明の樹脂組成物には、上述した成分の他、その他の成分として、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂有機充填剤無機充填剤有機溶媒増粘剤消泡剤密着性付与剤着色剤添加剤などを適宜配合することができる。

0059

硬化性反応型樹脂としては、例えば、反応性の官能基濃度が0.0010未満または0.0070mol/gを超えるビニルエステル樹脂、ポリビニルベンジル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、硬化型ビニル樹脂、マレイミド樹脂等のラジカル重合性樹脂およびエポキシ樹脂、ポリシアナート樹脂フェノール樹脂等を挙げることができる。

0060

硬化性反応型樹脂がエポキシ樹脂である場合、1分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂であることが好ましい。かかるエポキシ樹脂としては、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂トリフェニルメタン型エポキシ樹脂ビフェニルエポキシ樹脂ナフタレン型エポキシ樹脂ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このようなエポキシ樹脂を用いることによって、本発明の硬化性樹脂組成物の有する、優れた誘電特性と流動性への影響を最小限に留め、硬化物の耐熱性と密着性を充分に高められると考えられる。

0061

硬化性反応型樹脂として、ビニルエステル樹脂、ポリビニルベンジル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、硬化型ビニル樹脂、マレイミド樹脂等の重合性不飽和炭化水素基を持つ樹脂である場合、その種類は特に限定されないが、これら不飽和基を持つ樹脂からは(A)成分は除かれる。

0062

上記ビニル化合物類としては、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)等のトリアルケニルイソシアヌレート化合物、官能基濃度が0.0010未満0.0070を超える末端が(メタ)アクリル基やスチリル基で変性された変性ポリフェニレンエーテル、分子中にメタクリル基を2個以上有する多官能メタクリレート化合物、分子中にアクリル基を2個以上有する多官能アクリレート化合物、ポリブタジエン等のように分子中にビニル基を2個以上有するビニル化合物(多官能ビニル化合物)、及び分子中にビニルベンジル基を有するスチレン、ジビニルベンゼン等のビニルベンジル化合物等が挙げられる。この中でも、炭素炭素二重結合を分子中に2個以上有するものが好ましい。具体的には、トリアルケニルイソシアヌレート化合物、多官能アクリレート化合物、多官能メタクリレート化合物、多官能ビニル化合物、及びジビニルベンゼン化合物等が挙げられる。これらを用いると、硬化反応により架橋がより好適に形成されると考えられ、硬化性樹脂組成物の硬化物の耐熱性をより高めることができる。また、これらを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に1個有する化合物を併用してもよい。炭素−炭素不飽和二重結合を分子中に1個有する化合物としては、分子中にビニル基を1個有する化合物(モノビニル化合物)等が挙げられる。

0063

熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレンポリフェニレンエーテル樹脂ポリエーテルイミド樹脂ポリエーテルサルホン樹脂PPS樹脂ポリシクロペンタジエン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂等や、既知熱可塑性エラストマー、例えば、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレンブチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン‐イソプレン共重合体水添スチレン−ブタジエン共重合体、水添スチレン−イソプレン共重合体等や、あるいはゴム類、例えばポリブタジエン、ポリイソプレンを挙げることができる。好ましくは、ポリフェニレンエーテル樹脂(未変性)、水添スチレン−ブタジエン共重合体を挙げることができる。

0064

本発明の硬化性樹脂組成物には、充填剤を配合することができる。充填剤としては、硬化性樹脂組成物の硬化物の、耐熱性や難燃性を高めるために添加するもの等が挙げられ、公知の充填剤を使用することができるが、特に限定されない。また、充填剤を含有させることによって、耐熱性、寸法安定性や難燃性等をさらに高めることができる。具体的には、球状シリカ等のシリカアルミナ酸化チタン、及びマイカ等の金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物タルクホウ酸アルミニウム硫酸バリウム、及び炭酸カルシウム等が挙げられる。水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物を用いた場合、難燃助剤として作用し、リン含有率が少なくても難燃性を確保することが出来る。この中でも、シリカ、マイカ、及びタルクが好ましく、球状シリカがより好ましい。また、これらの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0065

充填剤は、そのまま用いてもよいが、エポキシシランタイプ、又はアミノシランタイプ等のシランカップリング剤表面処理したものを用いてもよい。このシランカップリング剤としては、ラジカル重合開始剤との反応性との観点から、ビニルシランタイプ、メタクリロキシシランタイプ、アクリロキシシランタイプ、及びスチリルシランタイプのシランカップリング剤が好ましい。これにより、金属箔との接着強度や樹脂同士の層間接着強度が高まる。また、充填剤に予め表面処理する方法でなく、上記シランカップリング剤をインテグラルブレンド法で添加して用いてもよい。

0066

充填剤の含有量は、充填剤を除く固形分(モノマー等の有機成分と難燃剤を含み、溶剤を除く。)の合計100質量部に対して、10〜200質量部であることが好ましく、30〜150質量部であることが好ましい。

0067

本発明の硬化性樹脂組成物には、上記以外の添加剤をさらに含有してもよい。添加剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤及びアクリル酸エステル系消泡剤等の消泡剤、熱安定剤帯電防止剤紫外線吸収剤染料顔料滑剤湿潤分散剤等の分散剤等が挙げられる。

0068

本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物は、成型物積層物注型物接着剤塗膜フィルムとして使用できる。例えば、半導体封止材料の硬化物は注型物又は成型物であり、かかる用途の硬化物を得る方法としては、硬化性樹脂組成物を注型、或いはトランスファ成形機射出成形機などを用いて成形し、さらに80〜230℃で0.5〜10時間に加熱することにより硬化物を得ることができる。

0069

本発明の硬化性樹脂組成物は、プリプレグとして使用することもできる。プリプレグを製造する際には、プリプレグを形成するための基材繊維質基材)に含浸する目的、あるいは回路基板を形成する回路基板材料とする目的でワニス状に調製して、樹脂ワニスとすることができる。
この樹脂ワニスは、回路基板用に適し、回路基板材料用ワニスとして使用できる。なお、ここでいう回路基板材料の用途は、具体的には、プリント配線基板プリント回路板フレキシブルプリント配線板ビルドアップ配線板等が挙げられる。

0070

上記の樹脂ワニスは、例えば、以下のようにして調製される。
まず、(A)成分、(B)成分や、硬化性反応型樹脂等の有機溶媒に溶解できる各成分を、有機溶媒に投入して溶解させる。この際、必要に応じて、加熱してもよい。その後、必要に応じて、無機充填材等の有機溶媒に溶解しない成分を添加して、ボールミルビーズミルプラネタリーミキサーロールミル等を用いて、分散させることにより、ワニス状の硬化性樹脂組成物が調製される。ここで用いられる有機溶媒としては、(A)成分、(B)成分等を溶解させ、硬化反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル酢酸プロピル酢酸ブチル等のエステル類ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の極性溶剤類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤類等が挙げられ、これらを1種または2種以上を混合して使用することも可能である。誘電特性の観点から、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類が好ましい。

0071

樹脂ワニスを作成する際に、使用する有機溶剤の量は、本発明の硬化性樹脂組成物100重量%に対して、好ましくは5〜900重量%、より好ましくは10〜700重量%、特に好ましくは20〜500重量%である。なお、本発明の硬化性樹脂組成物が樹脂ワニス等の有機溶剤溶液である場合、その有機溶剤の量は組成物の計算には含めない。

0072

プリプレグを作成するのに用いられる基材としては、公知の材料が用いられるが、例えば、ガラス繊維カーボン繊維ポリエステル繊維ポリアミド繊維アルミナ繊維、紙などの基材がそれぞれ単独で、あるいは2種以上併せて用いられる。これら基材には、必要に応じて樹脂と基材の界面における接着性を改善する目的でカップリング剤を用いることができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤アルミニウム系カップリング剤ジルコアルミネートカップリング剤など一般のものが使用できる。

0073

本発明のプリプレグを得る方法としては、上記樹脂ワニスを基材に含浸させた後、乾燥する方法が挙げられる。含浸は浸漬(ディッピング)、塗布等によって行われる。含浸は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、またこの際、組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて含浸を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成及び樹脂量に調整することも可能である。含浸後に、100〜180℃で1〜30分加熱乾燥することでプリプレグを得ることができる。ここで、プリプレグ中の樹脂量は、樹脂分30〜80重量%とすることが好ましい

0074

本発明の硬化性樹脂組成物は、積層板としても使用することもできる。プリプレグを用いて積層板を形成する場合は、プリプレグを一又は複数枚積層し、片側又は両側に金属箔を配置して積層物を構成し、この積層物を加熱・加圧して積層一体化する。ここで金属箔としては、銅、アルミニウム真鍮ニッケル等の単独、合金複合の金属箔を用いることができる。積層物を加熱加圧する条件としては、硬化性樹脂組成物が硬化する条件で適宜調整して加熱加圧すればよいが、加圧の圧力があまり低いと、得られる積層板の内部に気泡残留し、電気的特性が低下する場合があるため、成形性を満足する条件で加圧することが好ましい。例えば温度を180〜230℃、圧力を49.0〜490.3N/cm2(5〜50kgf/cm2)、加熱加圧時間を40〜240分間にそれぞれ設定することができる。更にこのようにして得られた単層の積層板を内層材として、多層板を作製することができる。この場合、まず積層板にアディティブ法サブトラクティブ法等にて回路形成を施し、形成された回路表面を酸溶液で処理して黒化処理を施して、内層材を得る。この内層材の、片側又は両側の回路形成面に、樹脂シート樹脂付き金属箔、又はプリプレグにて絶縁層を形成すると共に、絶縁層の表面に導体層を形成して、多層板を形成するものである。

0075

本発明の硬化性組成物からビルドアップフィルムを製造する方法は、例えば、上記樹脂ワニスを、支持フィルム上に塗布、乾燥させてフィルム状の絶縁層を形成する方法が挙げられる。このようにして形成させたフィルム状の絶縁層は、多層プリント配線板用のビルドアップフィルムとして使用できる。

0076

前記乾燥工程は、ビルドアップフィルム樹脂組成物の層中の有機溶剤の含有率が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させることが好ましい。乾燥条件はワニス中の有機溶剤種、有機溶媒量によっても異なるが、50〜160℃で3〜20分程度乾燥させることができる。

0077

支持体上に形成されるビルドアップフィルムの厚さは、通常、導体層の厚さ以上とする。回路基板が有する導体層の厚さは通常5〜70μmの範囲であるので、樹脂組成物層の厚さは10〜100μmの厚みを有するのが好ましい。

0078

なお、本発明にビルドアップフィルムは、保護フィルムで保護されることが、表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる点から好ましい。

0079

前記した支持フィルム及び保護フィルムは、ポリエチレンポリプロピレンポリ塩化ビニル等のポリオレフィンポリエチレンテレフタレートポリエチレンナフタレート等のポリエステルポリカーボネートポリイミド、更には離型紙や銅箔アルミニウム箔等の金属箔などを挙げることができる。なお、支持フィルム及び保護フィルムはマッド処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。

0080

支持フィルムの厚さは特に限定されないが、通常10〜150μmであり、好ましくは25〜50μmの範囲で用いられる。また保護フィルムの厚さは1〜40μmとするのが好ましい。

0081

上記した支持フィルム、回路基板にラミネートした後に、或いは加熱硬化することにより絶縁層を形成した後に、剥離される。接着フィルムを加熱硬化した後に支持フィルムを剥離すれば、硬化工程での酸素による硬化阻害を防ぐことができ、さらにゴミ等の付着を防ぐことができる。硬化後に剥離する場合、通常、支持フィルムには予め離型処理が施される。

0082

次に、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。各例中の部はいずれも重量部である。
なお、合成例、実施例中の物性測定は、以下に示す方法により行った。

0083

(1)ポリマーの分子量及び分子量分布:不飽和基を持つラジカル重合性樹脂の分子量及び分子量分布測定はGPC(東ソー製、HLC−8120GPC)を使用し、溶媒にテトラヒドロフラン、流量1.0ml/min、カラム温度38℃、単分散ポリスチレンによる検量線を用いて行った。
(2)ポリマーの構造:ポリマーの構造は、日本電子製JNM−LA600型核磁気共鳴分光装置を用い、13C−NMR及び1H−NMR分析により測定した。溶媒としてクロロホルム−d1を使用し、テトラメチルシラン共鳴線内部標準として使用した。さらに、13C−NMR及び1H−NMR測定結果に加えて、GC分析より得られる共重合体中に導入された各構造単位の総量に関するデータより、特定の構造単位の導入量を算出し、この末端に導入された特定の構造単位の導入量と上記のGPC測定より得られる数平均分子量とから、多官能ビニル芳香族共重合体中に含まれるペンダントビニル基単位の量を算出した。
(3)溶剤溶解性:多官能ビニル芳香族共重合体100gを、トルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン又はクロロホルム100gに溶解させ、いずれの溶媒に対しても全量が溶解し、ゲルの生成は認められない場合を、〇とした。
(4)官能基濃度:JIS0070に準じてヨウ素価(樹脂100gと反応したヨウ素の量(g))を測定し、ヨウ素価から官能基濃度(mol/g)を算出した。
(5)リン含有率:試料に硫酸塩酸過塩素酸を加え、加熱して湿式灰化し、全てのリン原子をオルトリン酸とした。硫酸酸性溶液中でメタバナジン酸塩及びモリブデン酸塩を反応させ、生じたリンバナードモリブデン酸錯体の420nmにおける吸光度を測定し、予めリン酸二水素カリウムを用いて作成した検量線により、求めたリン原子含有率を%で表した。積層板のリン含有率は、積層板の樹脂成分に対する含有率として表した。
(6)ガラス転移温度:株式会社日立ハイテクサイエンス製、DMS6100にて5℃/分の昇温条件で測定を行った時のTanδのピークで表した。
(7)比誘電率及び誘電正接:IPC−TM−650 2.5.5.9規格に準じてマテリアルアナライザー(AGILENTTechnologies社製)を用い、容量法により周波数GHzにおける誘電率及び誘電正接を求めた。
(8)難燃性:UL94に準じ、垂直法により評価した。評価はV−0、V−1、V−2で記した。
(9)線膨張係数
線膨張係数は、株式会社日立ハイテクサイエンス製TMA6100型熱機械測定装置を用いて、昇温速度10℃/分にて測定した。
(10)吸水率:作成した積層板サンプルを使用して、JIS−K7209に準じて25度の水に浸漬して100時間後の吸水率を測定した。

0084

〈合成例1〉
ジビニルベンゼン2.25モル(292.9g)、エチルビニルベンゼン1.32モル(172.0g)、スチレン11.43モル(1190.3g)、酢酸n−プロピル15.0モル(1532.0g)を5.0Lの反応器内に投入し、70℃で600ミリモルの三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、4時間反応させた。重合溶液炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた後、純水で3回油層洗浄し、60℃で減圧脱揮し、共重合体を回収した。得られた共重合体を量して、共重合体(A1)860.8gが得られたことを確認した。

0085

得られた共重合体(A1)のMnは2060、Mwは30700、Mw/Mnは14.9であった。13C‐NMR及び1H‐NMR分析を行うことにより、共重合体Aには、各単量体単位に由来する共鳴線が観察された。NMR測定結果、及び、GC分析結果に基づき、共重合体(A1)の構成単位は以下のように算出された。
ジビニルベンゼン由来の構造単位(a):20.9モル%(24.3wt%)、エチルビニルベンゼン由来の構造単位(b2):9.1モル%(10.7wt%)、スチレンに由来する構造単位(b1):70.0モル%(65.0wt%)、ジビニルベンゼン由来の残存ビニル基をもつ構造単位(a1):16.7モル%(18.5wt%)
共重合体(A1)の官能基濃度は、0.0035mol/gであった。
共重合体(A1)の溶剤溶解性は、○であった。
共重合体(A1)は、残存ビニル基をもつ構造単位を含むことから、ラジカル重合性樹脂である。

0086

〈合成例2〉
攪拌装置温度計冷却管酸素ガス導入装置を備えたガラスセパラブルフラスコに、HCA−HQ 162.2部、ジメチルスルホキシド243.3部、クロロメチルスチレン155.7部を加え、75℃で溶解した。テトラメチルアンモニウムクロライド0.33部を水溶液で加えた。48.5%水酸化ナトリウム水溶液148.5部を反応発熱注意しながら滴下して反応を行った。ガスクロマトグラフィーにて残存するクロロメチルスチレンの量を追跡し、十分反応したことを確認して反応を終了した。この時、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し終わってから3時間経過していた。メチルイソブチルケトン651部、トリメチルハイドロキノンを0.3部加え35%塩酸で、pHが5〜6になるまで中和し、下層水層を分離除去した。燐酸水素ナトリウム水溶液でpHが7〜6になる様にしながら、水洗洗浄水層分離除去を3〜5回繰り返した。還流脱水を行い、溶液濾過を行って溶剤回収を行った。得られたリン含有ビニルベンジルエーテル化合物(B1)は暗褐色の固形状物質を得た。リン含有ビニルベンジル化合物(B1)の官能基濃度は0.0038mol/gであり、リン含有量は5.6wt%であった。

0087

〈合成例3〉
合成例2と同様な装置にHCA340部、トルエン660部を仕込み80℃で溶解した。1,4−ナフトキノン245部を反応発熱に注意しながら、分割投入した。反応を続け、温度を110℃に上げて更に反応を行った。3時間後暗褐色結晶析出したスラリー溶液を得た。濾過により結晶を分離し、メタノール500部に結晶を分散した。この操作を3回行った後熱循環オーブンにて乾燥を行った。得られた淡黄色粉末のリン含有フェノール化合物10−(2,5−ジヒドロキシナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドを93.5部、ジメチルスルホキシド140.5部、メチルイソブチルケトン93.5部、CMS−P(AGCセイケミカル製)を77.8部、テトラメチルアンモニウムクロライド0.20部、48.5%水酸化ナトリウム水溶液74.2部、トリメチルハイドロキノンを0.16部とした以外は合成例2と同様な操作を行い、暗褐色固形状のリン含有ビニルベンジルエーテル化合物(B2)を得た。リン含有ビニルベンジル化合物(B2)の官能基濃度は0.0036mol/gであり、リン含有率は5.4wt%であった。

0088

〈比較合成例1〉
合成例2と同様な装置に、HCA 150部、トルエン70部、イソプロピルアルコール20部、CMS−P 120部、テトラメチルアンモニウムクロライド2.7部を仕込み、加熱して溶解した。その後、48.5%水酸化ナトリウム水溶液127部を反応発熱による温度上昇に注意しながら分割投入した。70℃〜80℃に保持して反応を行いガスクロマトグラフィーによりCMS−Pの残存量を追跡した。CMS−Pの残存量が減少し、十分反応したことを確認して、トルエンで希釈した。塩酸により中和を行い、濾過して生成した塩化ナトリウムを除去した。更に水洗を行いイオン性不純物を除去した。加熱減圧により脱水、溶剤除去を行い淡黄色固体状のリン含有ビニルベンジル化合物(C1)を得た。リン含有ビニルベンジル化合物(C1)の官能基濃度は0.0030mol/gであり、リン含有率は9.3wt%であった。

実施例

0089

実施例1〜6、比較例1〜5
実施例1〜6、並びに比較例1〜5について、表1に示す組成を有する樹脂ワニスを調製した。表1において、配合量は、開始剤(phr)を除き、重量%であり、リン含有率は(A)成分及び(B)成分の合計量に対する重量%である。
この樹脂ワニスをガラスクロス(日東紡績製7628タイプ;H258)に含浸させた後、130℃で5分間加熱することにより乾燥し、プリプレグを得た。
得られたプリプレグ8枚と、上下に銅箔(三井金属鉱業製、3EC−III、厚み35μm)を重ね、130℃×15分+190℃×80分の温度条件で2MPaの真空プレスを行い、1.6mm厚の積層板を得た。積層板のガラス転移温度、難燃性の結果を表1に示した。
また、得られたプリプレグをほぐし、で100メッシュパスの粉状のプリプレグパウダーとした。このプリプレグパウダーをフッ素樹脂製の型に入れて、130℃×15分+190℃×80分の温度条件で2MPaの真空プレスを行い、50mm角×2mm厚の試験片を得た。試験片の比誘電率及び誘電正接の結果を表1に示した。
表1中の各成分は、以下の通りである。
・パーブチルP:日油製1,3−ビス(ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン
・SPB−100:大塚化学製ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン、リン濃度13%)
・SA−9000:SABICイノベーティプラスチックス製末端メタクリル基変性ポリフェニレンエーテル(官能基濃度:0.0011mol/g)
・TAIC:日本化成製トリアリルイソシアヌレート(官能基濃度:0.012mol/g)

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • トヨタ自動車株式会社の「 橋架け構造を有するプロトン伝導膜及び燃料電池」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】低湿又は無水の環境下でも高いプロトン伝導性を示すことができるプロトン伝導膜を提供する。【解決手段】プロトン伝導膜であって、共有結合で繋がれている第1の部分及び第2の部分を有するポリマー、並びに... 詳細

  • トヨタ自動車株式会社の「 繊維強化樹脂の製造装置」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】薄い中間基材を形成できる繊維強化樹脂の製造装置を得る。【解決手段】成形品製造装置10では、気密室26内の温度は、中間基材22を形成する合成樹脂材の溶融温度以上とされ、しかも、中間基材22に含ま... 詳細

  • 東レ株式会社の「 難燃性熱可塑性樹脂組成物」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】成形加工性、耐熱性、剛性、高い難燃性を有する難燃性熱可塑性樹脂組成物を提供すること。【解決手段】グラフト共重合体(A)と、ビニル系共重合体(B)と、臭素系難燃剤(C)と、アンチモン化合物(D)... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ