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技術 非侵襲的容量性電気刺激のためのデバイスおよび方法、ならびに患者の頸部の迷走神経刺激のためのそれらの使用

出願人 エレクトロコアリミテッドライアビリティカンパニー
発明者 エリコジョセフピーサイモンブルースラッフルジョンティー
出願日 2019年4月5日 (1年7ヶ月経過) 出願番号 2019-072691
公開日 2019年10月17日 (1年1ヶ月経過) 公開番号 2019-177141
状態 未査定
技術分野 化合物または医薬の治療活性 電気治療装置
主要キーワード 外側エンクロージャ 導電性円板 側方境界 界面要素 タンブール 測定段 窓割り ラプラスの方程式
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

完全に非侵襲的に、選択的に、かつ基本的に痛みを生じさせることなく頸部迷走神経電気的に刺激する装置を提供する。

解決手段

エンクロージャと、患者外皮表面に対して位置付け可能である界面とを備える、手持型デバイスと、エネルギー源と、前記エンクロージャ内に格納され、前記エネルギー源に連結される電極340とを備え、前記エネルギー源は、前記電極340から前記界面を介して、前記外皮表面を通って前記神経に電気インパルス送達するように構成され、前記電気インパルスは、約2パルスから約20パルスのバーストを含み、各バーストは、毎秒約50バーストから毎秒約100バーストの周波数を有し、各パルスは、約50マイクロ秒から約1000マイクロ秒の持続時間を有する、患者の神経を調節するための装置である。

概要

背景

本発明の分野は、治療目的での身体組織へのエネルギーインパルス(および/または場)の送達に関する。より具体的には、非侵襲的デバイスおよび方法の使用、特に、容量性電気的結合を使用する経皮電気神経刺激デバイス、ならびにそのようなデバイスによって送達されるエネルギーを使用して患者を治療する方法に関する。開示された方法およびデバイスは、患者の迷走神経刺激して多くの疾患を治療するために使用され得、そのような疾患としては、片頭痛および群発性頭痛を含む頭痛鼻炎および副鼻腔炎鬱病および不安障害、術後の腸閉塞アルツハイマー病におけるTNF−アルファと関連する機能障害、術後の認知機能障害、術後の譫妄関節リウマチ喘息気管支収縮尿失禁および/または過活動性膀胱、ならびにオッジ括約筋機能障害、が挙げられ、ならびに、神経変性疾患、より一般的には、アルツハイマー病およびその前兆的な軽度認知障害(MCI)、パーキンソン病(パーキンソン病認知症を含む)、および多発性硬化症、が挙げられる。

種々の虚弱質に対する治療は、有益な効果を生じさせるために、他の健常組織破壊を必要とする場合がある。該組織をその正常な機能に修復することを試みるのではなく、有益な結果を生じさせるために、機能不全組織識別し、次いで、損傷させるか、または別様にはそれに障害を生じさせる。集中した損傷部を標的神経組織の中に直接的に生じさせるために、様々な技術および機構が設計されてきたが、副次的損傷は回避不能である。

機能不全組織に対する他の治療は、現実には薬物であり得るが、多くの場合において、患者は、人工的に合成した化学薬品に依存するようになる。多くの場合において、これらの薬物的手法は、未知または非常に顕著である、副作用を有する。残念なことに、手術および薬剤の有益な結果は、しばしば、他の組織の機能を犠牲にして、または副作用の危険性とともに実現される。

病状の治療に対する電気刺激の使用は、約2,000年にわたって当技術分野でよく知られている。脳および/もしくは末梢神経系の電気刺激、ならびに/または機能不全組織の直接刺激は、そのような刺激が、一般に、全体として可逆的かつ非破壊的治療であるので、多くの病気の治療に対してかなり期待できることが認識された。

神経刺激は、活動電位放電を引き起こす、神経膜の脱分極によって、または活動電位の放電を防ぐ、神経膜の過分極によって、直接的または間接的に達成されると考えられる。そのような刺激は、電気エネルギーまたは同様に他の形態のエネルギーが、神経の近くに伝達された後に起こり得る[F.RATTAY.Thebasicmechanism for the electrical stimulation of the nervous system.Neuroscience 89(2,1999):335−346、ThomasHEIMBURG and Andrew D.Jackson.On soliton propagation in biomembranes and nerves.PNAS 102(28,2005):9790−9795]。神経刺激は、神経繊維の活動の増加、減少、もしくは変調として直接測定され得、または神経繊維へのエネルギーの伝達に従う生理的効果から推定され得る。

筋肉と神経との間の電気生理学的関係の現代の理解で最も成功した応用例の1つは、心臓ペースメーカーである。心臓ペースメーカーの起源は、1800年代にさかのぼるが、1950年になってから、最初の実用的な外付け巨大ペースメーカーが開発された。1957年に、最初の実際に機能的で装着可能なペースメーカーが出現し、1960年には、最初の全移植可能なペースメーカーが開発された。

このころ、電気リード線静脈を通して心臓に接続できることも発見され、これは、胸腔を開いてリード線心臓壁に取り付ける必要性を排除した。1975年には、ヨウ化リチウム電池の導入により、ペースメーカーの電池寿命が数ヶ月から10年を超えるまでに延長された。現代のペースメーカーは、心筋における様々な異なる信号伝達病理を治療することができ、また、除細動器としての役割を果たすこともできる(DENOらに対する米国特許第6,738,667号を参照されたい。その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。)。

神経の電気刺激の他の応用例は、脊髄の底部で仙髄神経根を刺激することによって下肢放散痛を治療するものであった(WHITEHURSTらに対する米国特許第6,871,099号を参照されたい。その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。)。

本態性振戦およびパーキンソン病等の運動障害を含む、種々の疾患の治療で使用するための、移植型電極による脳の電気刺激も承認された。これらの手法の基礎を成す原理は、脳の中の特定の部位での多動ニューロン回路伝達の途絶および変調を伴う。脳の異常部分が物理的に破壊される、潜在的に危険な障害を生じさせる処置とは異なり、電気刺激は、これらの部位に電極を移植することによって達成される。電極は、最初に、異常な電気信号を検出するために使用され、次いで、病的ニューロン伝達を局所的に途絶させるために電気パルス送り、それを正常な活動範囲に戻すために使用される。これらの電気刺激処置は、侵襲とともに、一般に、意識のある患者および手術の関係者によって行われる。

しかしながら、脳刺激、および特に脳深部刺激は、何らかの欠点がないわけではない。この処置は、カテーテル形状のリード線等を使用して、頭蓋骨を貫通し、電極を脳物質の中に挿入することを必要とする。患者の状態(振戦活動等)を監視しながら、顕著な治療可能性を達成するように電極の位置を調整する。次に、同じく治療結果を達成するために、周波数周期性電圧電流等の、電気刺激信号の調整を行う。次いで、電極を恒久的に移植し、電極から外科的に移植されたペースメーカーの部位にワイヤ方向付ける。ペースメーカーは、治療効果を維持するために、電気刺激信号を電極に提供する。脳深部刺激の治療結果は有望であるが、周囲組織およびニューロ脈管構造に対する損傷によって誘導される脳卒中を含む、顕著な合併症が移植処置によって生じ得る。

上述した電気刺激の応用例の大部分は、患者の体内での電極の外科的な移植を伴う。これに対して、本発明の実施形態の場合、開示されたデバイスおよび医療処置は、神経および組織にエネルギーを非侵襲的に伝達することによって神経を刺激する。それらは、手術を伴わない代替案を患者に提供し得る。医療処置は、方法の使用を通して皮膚(または創傷床等の他の身体表面)にいかなる切り傷も生じないとき、および体開口部を超えて(例えば、口腔を超えて、または外耳道を超えて)体内腔とのいかなる接触もないときに、非侵襲的であると定義される。そのような非侵襲的処置は、侵襲的処置が物質またはデバイスを皮膚の中へもしくはそれを通して、または体開口部を超えて体内腔の中へ挿入することを伴うという点で、侵襲的処置(最小の侵襲的処置を含む)から区別される。例えば、経皮電気神経刺激(TENS)は、皮膚に切り傷を生じさせることなく、皮膚の表面に電極を取り付けること(または体形に合う導電性衣服を使用すること)を含むので、非侵襲的である。対照的に、神経の経皮的電気刺激は、皮膚の針穿刺を介して皮下に電極を挿入することを伴うので、最小侵襲的である(ERRICOらに対する名称Percutaneous Electrical Treatment of Tissueの本発明の譲受人に譲渡された同時係属の米国特許出願第2010/0241188号を参照されたい。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。

同等の侵襲的処置と比較した、非侵襲的医療方法およびデバイスの潜在的利点は、以下の通りである。患者は、非侵襲的である処置を受けることに対して、より心理的に準備ができ、したがって、より協調的であり得、より良好な結果をもたらす。非侵襲的処置は、出血、感染、皮膚もしくは内蔵損傷、血管損傷、および静脈もしくは血液凝固等の、生物組織の損傷を回避し得る。非侵襲的処置は、一般に、生体適合性に関する問題がより少ない。電極の取り付けを伴う場合において、非侵襲的方法は、リード線が破損する傾向がより少なく、電極は、必要に応じて容易に再配置することができる。非侵襲的方法は、あるときには、痛みを伴わず、または最小の痛みしか伴わず、また、局所麻酔さえ必要とすることなく行われ得る。医療専門家による非侵襲的処置の使用に必要とされる訓練が、より少なくなり得る。普通は、非侵襲的処置と関連する低減された危険を考慮して、いくつかのそのような処置は、自宅での患者もしくは家族による使用、または自宅もしくは職場での初期対応者による使用に好適であり得、同等の侵襲的処置と比較して、非侵襲的処置のコストが低減され得る。

下層の神経を刺激するために使用された電極を含む、非侵襲的に身体の表面に適用される電極には、長い歴史がある[L.A.GEDDES.Historical Evolution ofCircuit Models for the Electrode−Electrolyte Interface.Annals of Biomedical Engineering 25(1997):1−14]。しかしながら、神経の電気刺激は、1965年にMelzackおよびWallによって「痛みのゲート理論」が紹介されるまで、20世紀の中には総じて嫌われていた。この理論は、エレクトロニクスの進歩とともに、神経を刺激して、最初に痛みを制御するために、移植型電極の使用に対する関心を再び喚起した。次いで、電極を移植するための好適な候補を決定するために、スクリーニング処置が開発されたが、この処置は、最初に、可能な移植片の近傍で身体表面に適用される電極によって刺激したときに、患者が応答したかどうかを判定することを伴う。その後、表面刺激が、しばしば、非常に良好に痛みを制御したので、刺激電極を移植する必要がなかったことを発見した[Charles Burton and Donald D.Maurer.Pain Suppression by Transcutaneous Electronic Stimulation.IEEE Transactions on Biomedical Engineering BME−21(2,1974):81−88]。そのような非侵襲的経皮電気神経刺激(TENS)は、次いで、異なる種類の痛みを治療するように開発され、痛みとしては、関節もしくは背部の痛み、癌の痛み、術後の痛み、外傷後の痛み、ならびに陣痛および出産と関連する痛みが挙げられる。[Steven E.ABRAM.Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation,pp1−10 in:Joel B.Myklebust,ed.Neural stimulation(Volume 2).Boca Raton,Fla.CRCPress 1985、WALSDM,Lowe AS,McCormack K.Willer J−C,BaxterGD,Allen JM.Transcutaneous electrical nerve stimulation:effect on peripheral nerve conduction,mechanical pain threshold,and tactile threshold in humans.Arch Phys Med Rehabil 79(1998):1051−1058、J ACAMPBELL.A critical appraisal of the electrical output characteristics of ten transcutaneous nerve stimulators.Clin.phys.Physiol.Meas.3(2,1982):141−150、Maurerに対する名称Transcutaneous stimulator and stimulation methodの米国特許第US3817254号、Greeneらに対する名称Transcutaneous pain control and/or muscle stimulating apparatusの米国特許第US4324253号、Katimsに対する名称Method and apparatus for transcutaneous electrical stimulationの米国特許第US4503863号、Silberstoneらに対する名称High frequency high intensity transcutaneous electrical nerve stimulator and method of treatmentの米国特許第US5052391号、Silverstoneに対する名称Method for inducing electroanesthesia using high frequency,high intensity transcutaneous electrical nerve stimulationの米国特許第US6351674号]。

痛みを治療するためにTENSが開発されていたときに、追加的な治療または診断の目的で、表面電極を使用した非侵襲的電気刺激も同時に開発され、これは、集合的に電気療法として知られている。神経筋電気刺激(NMES)は、正常な(例えば、運動)筋肉または損傷を受けた(例えば、痙攣)筋肉の強さおよび持久性を増強させるために、正常に神経支配された筋肉を刺激する。機能的電気刺激(FES)は、脊髄損傷頭部外傷、脳卒中、および他の神経障害に起因する麻痺によって影響を受ける筋肉、または下垂足および歩行障害によって影響を受ける筋肉を神経支配する神経を活動させるために使用される。FESはまた、矯正器具代用物として筋肉を刺激するために、例えば、装具を置き換える、または脊柱側弯症の管理を支援するために使用される。表面電気刺激の他の応用例は、緊急除細動および心臓ペーシング等の、胸部から背部への組織の刺激である。表面電気刺激はまた、血管拡張を通して循環を増加させることによって、浮腫を制御することによって、創傷治癒させることによって、および骨の成長を誘発することによって、組織を修復するためにも使用されてきた。表面電気刺激はまた、イオン導入法にも使用され、該方法では、通常、炎症および痛み、関節炎、損傷、または傷跡を治療するために、電流が、帯電した薬物または他のイオンを皮膚の中へ送り込む。表面電極による刺激はまた、例えば、反射を導いて生じさせるための運動神経および感覚神経能力を評価する末梢神経刺激(PNS)において、診断の目的で反応を引き起こすためにも使用される。表面電気刺激はまた、精神障害を治療するための電気痙攣療法、例えば歯科学的処置による痛みを防ぐための電気麻酔法、および聴覚障害者のために音声触覚に変換するための電気触覚発話処理にも使用される。上述した表面電極刺激の応用例の全ては、患者に損傷を与えないことが意図されるが、特殊な電極とともにより高い電流が使用される場合には、組織を切断する、凝固させる、乾燥する、または放電治療するための手段として、電気外科が行われ得る[Mark R.Prausnitz.The effects of electric current applied to skin:A review for transdermal drug delivery.Advanced Drug Delivery Reviews 18(1996)395−425]。

その魅力にもかかわらず、神経の非侵襲的電気刺激は、必ずしも使用可能であるとも、実用的であるとも限らない。これは主に、刺激作用が、痛みを起こす神経を含む、対象となる神経以外の神経を意図せずに刺激してしまうため、現在の最高水準の技術では、選択的に、または過剰な痛みを生じさせることなく、深部神経を刺激することができない場合があるからである。このため、特定の種類の痛みの治療には、TENS以外の電気刺激の形態が最適であり得る[Paul F.WHITE,Shitong Li and Jen W.Chiu.Electroanalgesia:Its Role in Acute and Chronic Pain Management.Anesth Analg 92(2001):505−13]。

他の何らかの電気治療法の応用例についても、神経を侵襲的に刺激する代わりに、その神経を非侵襲的に刺激することが困難であった。本発明に最も関連する治療法は、癲癇、鬱病、および他の病状を治療するために、頸部の迷走神経の電気刺激を含む。これらの治療法の場合、左迷走神経は、普通は、最初に、頸部内のある場所に電極を外科的に移植し、次いで、その電極を電気刺激器に接続することによって、その場所で刺激される[ZABARAに対する名称Neurocybernetic prosthesisの米国特許第US4702254号、OSORIOらに対する名称Vagal nerve stimulation techniques for treatment of epileptic seizuresの米国特許第US6341236号、およびWERNICKEらに対する名称Treatment of neuropsychiatric disorders by nerve stimulationの米国特許第US5299569号、G.C.ALBERT,C.M.Cook,F.S.Prato,A.W.Thomas.Deep brain stimulation,vagal nerve stimulation and transcranial stimulation:An overview of stimulation parameters and neurotransmitter release.Neuroscience and Biobehavioral Reviews 33(2009)1042−1060、GROVES DA,Brown VJ.Vagal nerve stimulation:a review of its applications and potential mechanisms that mediate its clinical effects.Neurosci Biobehav Rev(2005)29:493−500、Reese TERRY,Jr.Vagus nerve stimulation:a proven therapy for treatment of epilepsy strives to improve efficacy and expand applications.Conf ProcIEEE Eng Med Biol Soc.2009;2009:4631−4634、Timothy B.MAPSTONE.Vagus nerve stimulation:current concepts.Neurosurg Focus 25(3,2008):E9,pp.1−4]。

電極の外科的移植を回避することが望ましいときには、迷走神経刺激(VNS)が行われ得、これは、1つ以上の電極を食道気管、または頸静脈位置付けるが、1つの電極を身体表面に位置付けることによって、侵襲性がより少なくなり得る[PUSKASに対する名称Methodsof indirectly stimulating the vagus nerve to achieve controlled asystoleの米国特許第US7340299号、およびSCOTTらに対する名称Non−surgical device and methods for trans−esophageal vagus nerve stimulationの米国特許第US7869884号]。非外科的であるというそれらの利点にもかかわらず、そのような方法は、それでも、侵襲的処置と関連する他の不利な点を呈する。

他の特許では、非侵襲的VNSが開示されているが、頸部以外の他の場所でのものである[例えば、ECKERSONに対する名称Method and apparatus for drug free neurostimulationの米国特許第US4865048号、BARRETTらに対する名称Treatment of obesity by bilateral sub−diaphragmatic nerve stimulationの米国特許第US6609025号、KEDALLに対する名称Transcutaneous nerve stimulation device and method for using sameの米国特許第US5458625号、Chungらに対する名称Electric stimulator for alpha−wave derivationの米国特許第US7386347号、Dietrichらに対する名称Device for applying a transcutaneous stimulus or for transcutaneous measuring of a parameterの米国特許第US7797042号、Dietrichらに対する名称Device and Method for the Transdermal Stimulation of a Nerve of the Human Bodyの米国特許出願第US2010/0057154号、Libbusらに対する名称Stimulator for auricular branch of vagus nerveの米国特許出願第US2006/0122675号、Amurthurらに対する名称Systems and Methodsfor Stimulating Neural Targetsの米国特許出願第US2008/0288016号]。しかしながら、そのような非侵襲的VNSは、頸部以外の場所で起こるので、治療結果が十分に立証されている頸部における侵襲的VNSとは直接比較できない。数ある特許および特許出願の中で、非侵襲的VNSは、あるときには、侵襲的VNS法とともに言及されているが、迷走神経以外の神経、特に痛みを起こす神経の意図的でない刺激といった問題には対処していない[例えば、LESSERらに対する名称System and Method for Treating Nausea and Vomiting by Vagus Nerve Stimulationの米国特許出願第US20080208266号]。他の特許は、頸部の迷走神経の近傍での非侵襲的電気刺激がどのように達成されるのかということに関して漠然としている[例えば、KIEVALらに対する名称External baroreflex activationの米国特許第US7499747号]。

概要

完全に非侵襲的に、選択的に、かつ基本的に痛みを生じさせることなく頸部の迷走神経を電気的に刺激する装置を提供する。エンクロージャと、患者の外皮表面に対して位置付け可能である界面とを備える、手持型デバイスと、エネルギー源と、前記エンクロージャ内に格納され、前記エネルギー源に連結される電極340とを備え、前記エネルギー源は、前記電極340から前記界面を介して、前記外皮表面を通って前記神経に電気インパルスを送達するように構成され、前記電気インパルスは、約2パルスから約20パルスのバーストを含み、各バーストは、毎秒約50バーストから毎秒約100バーストの周波数を有し、各パルスは、約50マイクロ秒から約1000マイクロ秒の持続時間を有する、患者の神経を調節するための装置である。

目的

ペースメーカーは、治療効果を維持するために、電気刺激信号を電極に提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

患者体内の1つ以上の神経を調節するための装置であって、電界を発生させるためのエネルギー源と、前記エネルギー源に連結される、1つ以上の電極と、前記電極に連結され、前記患者の外皮表面に対して位置付け可能である、界面と、前記電極を前記界面と電気的に連結する導電性媒体と、を備え、前記エネルギー源は、前記電極から、前記導電性媒体、前記界面、および前記外皮表面を通して、前記患者内の標的領域の神経に1つ以上の電気インパルス送達するように構成される、装置。

請求項2

前記標的領域は、前記外皮表面を少なくとも1〜2cm超えて位置する神経である、請求項1に記載の装置。

請求項3

前記標的領域は、前記外皮表面を少なくとも2〜5cmを超えて位置する神経である、請求項1に記載の装置。

請求項4

前記導電性媒体は、電解質溶液を含む、請求項1に記載の装置。

請求項5

前記導電性流体は、導電性ゲルを含む、請求項1に記載の装置。

請求項6

前記電極および前記導電性媒体を取り囲む外側エンクロージャを有する筐体をさらに備え、前記外側エンクロージャの少なくとも一部分は、前記界面を構成する、請求項1に記載の装置。

請求項7

前記界面は、荷電粒子が透過できる材料を含む、請求項6に記載の装置。

請求項8

前記界面は、誘電体材料を含む、請求項6に記載の装置。

請求項9

前記界面は、多孔質材料を含む、請求項6に記載の装置。

請求項10

前記界面は、ステンレス鋼を含む、請求項6に記載の装置。

請求項11

前記エネルギー源は、1秒あたり約5〜約100バースト頻度でのパルスのバーストを含む電界を発生するように構成される、請求項1に記載の装置。

請求項12

前記エネルギー源は、各パルスが約50〜1000マイクロ秒持続時間である、1から20パルスのバーストを含む電界を発生するように構成される、請求項1に記載の装置。

請求項13

前記界面は、2つの膜を備え、前記装置はさらに、2つの対応する電極を備え、前記電極は、各膜から、対応する前記膜の直径の約0.25〜4倍離間される、請求項1に記載の装置。

請求項14

患者の体内の1つ以上の神経を調節するためのデバイスであって、内部空間と、患者の外皮表面と接触するように構成される界面とを有するエンクロージャを備える、手持型デバイスと、前記エンクロージャの前記内部空間内に格納される、エネルギー源と、前記エンクロージャ内に格納される、1つ以上の電極と、前記エンクロージャ内にあり、前記電極を前記界面と電気的に連結する、導電性媒体と、を備え、前記エネルギー源は、前記エンクロージャの前記界面を通り、前記患者の外皮表面を経皮的に通って、前記外皮表面下の標的領域の神経に電気インパルスを印加するように構成される、デバイス。

請求項15

前記電気インパルスは、前記標的領域内の神経を調節するのに十分であり、かつ、前記外皮表面の近傍の神経(複数可)を実質的に調節するのに不十分である、請求項14に記載のデバイス。

請求項16

前記エネルギー源は、1秒あたり約5〜約100バーストの頻度でのパルスのバーストを含む電界を発生するように構成される、請求項14に記載のデバイス。

請求項17

前記エネルギー源は、各パルスが約50〜1000マイクロ秒の持続時間である、1から20パルスのバーストを含む電界を発生させるように構成される、請求項14に記載のデバイス。

請求項18

前記界面は、荷電粒子が透過できる素材を含む、請求項14に記載の装置。

請求項19

前記界面は、誘電体材料を含む、請求項14に記載の装置。

請求項20

前記界面は、多孔質素材を含む、請求項14に記載の装置。

請求項21

前記界面は、ステンレス鋼を含む、請求項14に記載の装置。

請求項22

患者の体内の1つ以上の神経を調節するためのデバイスであって、正弦波パルスのバーストを含む電界を発生させるためのエネルギー源と、前記エネルギー源に接続される、1つ以上の電極と、前記電極に連結され、患者の外皮表面に対して位置付け可能である、界面と、を備え、前記エネルギー源は、前記界面を通り、前記外皮表面を経皮的に通って、前記患者の前記体内の標的領域の1つ以上の神経に1つ以上の電気インパルスを印加するように構成される、デバイス。

請求項23

前記エネルギー源は、各パルスが約50〜1000マイクロ秒の持続時間である、約1から20パルスの正弦波パルスのバーストを発生する、請求項22に記載のデバイス。

請求項24

前記正弦波パルスのバーストは、1秒あたり約5〜約100バーストの頻度である、請求項22に記載のデバイス。

請求項25

前記電界は、10V/mを超える振幅を有する、請求項22に記載のデバイス。

請求項26

前記エネルギー源は、約1〜100Hzの期間にわたってそれ自体を繰り返すバースト間沈黙期間がその後に続く、正弦波パルスのバーストを発生する、請求項23に記載のデバイス。

請求項27

前記期間は、10〜35Hzである、請求項26に記載のデバイス。

請求項28

前記期間は、25Hzである、請求項26に記載のデバイス。

請求項29

非侵襲的神経刺激器デバイスと、前記非侵襲的神経刺激器デバイスの使用に関する指示とを備える、キットであって、前記非侵襲的神経刺激器デバイスは、対象の頸部通信して配置される電極と、電源と、インパルス発生器と、を備える、キット。

請求項30

前記非侵襲的神経刺激器デバイスは、可搬式である、請求項29に記載のキット。

請求項31

前記非侵襲的神経刺激器デバイスは、手持型である、請求項29に記載のキット。

請求項32

前記非侵襲的神経刺激器デバイスは、気管支収縮治療するために使用される、請求項29に記載のキット。

請求項33

導電性ゲルをさらに含む、請求項29に記載のキット。

請求項34

前記非侵襲的神経刺激器デバイスの使用に関する指示は、個人の頸部の右側に前記非侵襲的刺激器デバイスを位置付けるための指示と、導電性流体を前記非侵襲的刺激器デバイス上の刺激面に配置するための指示と、電気パルスを皮膚表面から前記個人の頸部内の神経繊維まで通過させるように、前記非侵襲的刺激器デバイスを動作させるための指示と、を含む、請求項29に記載のキット。

請求項35

前記非侵襲的刺激器デバイスを動作させるための前記指示は、前記非侵襲的刺激器をオンにするための指示と、前記非侵襲的刺激器のレベルを治療レベルまで増加させるための指示と、治療期間全体にわたって前記非侵襲的刺激器デバイスを適所に保持するための指示と、を含む、請求項29に記載のキット。

請求項36

個人に病状を治療するように指示するためのシステムであって、対象の頸部と通信して配置されるように構成される、非侵襲的神経刺激器と、前記非侵襲的神経刺激器を使用するための指示シートとを備える、システム。

請求項37

前記病状は、気管支収縮である、請求項36に記載のシステム。

請求項38

患者の気管支収縮を治療するためにデバイスの使用を個人に指示する方法であって、平滑筋拡張を制御または仲介する選択された神経繊維を刺激するよう前記デバイスを位置付けるように、前記個人に指示することを含み、前記刺激は、前記神経繊維を非侵襲的に刺激するために、1つ以上のエネルギーパルスを前記神経繊維に伝達することを含む、方法。

請求項39

前記個人は、電界および/または電流由来するエネルギーを利用して、前記選択された神経繊維を刺激するよう前記デバイスを位置付けるように指示され、前記電界および/または前記電流の前記エネルギーは、電極のリード線を通して、または導電性衣服を通して非侵襲的に伝達される、請求項38に記載の方法。

請求項40

前記個人は、迷走神経と関連する神経繊維を刺激するよう前記デバイスを位置付けるように指示される、請求項38に記載の方法。

請求項41

前記個人は、前記患者の頸部の前記選択された神経繊維を刺激するよう前記デバイスを位置付けるように指示される、請求項38に記載の方法。

請求項42

前記個人は、前記患者の頸動脈鞘内の前記神経繊維を刺激するよう前記デバイスを位置付けるように指示される、請求項38に記載の方法。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本出願は、2011年3月10日に出願された米国特許仮出願第61/451,259号の優先権の利益を主張する、2011年3月30日に出願された米国特許出願第13/075,746号の優先権の利益を主張するものであり、本出願はまた、2011年5月20日に出願された米国特許仮出願第61/488,208号の優先権の利益を主張する、2011年7月15日に出願された米国特許出願第13/183,765号の優先権の利益も主張するものであり、これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

背景技術

0002

本発明の分野は、治療目的での身体組織へのエネルギーインパルス(および/または場)の送達に関する。より具体的には、非侵襲的デバイスおよび方法の使用、特に、容量性電気的結合を使用する経皮電気神経刺激デバイス、ならびにそのようなデバイスによって送達されるエネルギーを使用して患者を治療する方法に関する。開示された方法およびデバイスは、患者の迷走神経刺激して多くの疾患を治療するために使用され得、そのような疾患としては、片頭痛および群発性頭痛を含む頭痛鼻炎および副鼻腔炎鬱病および不安障害、術後の腸閉塞アルツハイマー病におけるTNF−アルファと関連する機能障害、術後の認知機能障害、術後の譫妄関節リウマチ喘息気管支収縮尿失禁および/または過活動性膀胱、ならびにオッジ括約筋機能障害、が挙げられ、ならびに、神経変性疾患、より一般的には、アルツハイマー病およびその前兆的な軽度認知障害(MCI)、パーキンソン病(パーキンソン病認知症を含む)、および多発性硬化症、が挙げられる。

0003

種々の虚弱質に対する治療は、有益な効果を生じさせるために、他の健常組織破壊を必要とする場合がある。該組織をその正常な機能に修復することを試みるのではなく、有益な結果を生じさせるために、機能不全組織識別し、次いで、損傷させるか、または別様にはそれに障害を生じさせる。集中した損傷部を標的神経組織の中に直接的に生じさせるために、様々な技術および機構が設計されてきたが、副次的損傷は回避不能である。

0004

機能不全組織に対する他の治療は、現実には薬物であり得るが、多くの場合において、患者は、人工的に合成した化学薬品に依存するようになる。多くの場合において、これらの薬物的手法は、未知または非常に顕著である、副作用を有する。残念なことに、手術および薬剤の有益な結果は、しばしば、他の組織の機能を犠牲にして、または副作用の危険性とともに実現される。

0005

病状の治療に対する電気刺激の使用は、約2,000年にわたって当技術分野でよく知られている。脳および/もしくは末梢神経系の電気刺激、ならびに/または機能不全組織の直接刺激は、そのような刺激が、一般に、全体として可逆的かつ非破壊的治療であるので、多くの病気の治療に対してかなり期待できることが認識された。

0006

神経刺激は、活動電位放電を引き起こす、神経膜の脱分極によって、または活動電位の放電を防ぐ、神経膜の過分極によって、直接的または間接的に達成されると考えられる。そのような刺激は、電気エネルギーまたは同様に他の形態のエネルギーが、神経の近くに伝達された後に起こり得る[F.RATTAY.Thebasicmechanism for the electrical stimulation of the nervous system.Neuroscience 89(2,1999):335−346、ThomasHEIMBURG and Andrew D.Jackson.On soliton propagation in biomembranes and nerves.PNAS 102(28,2005):9790−9795]。神経刺激は、神経繊維の活動の増加、減少、もしくは変調として直接測定され得、または神経繊維へのエネルギーの伝達に従う生理的効果から推定され得る。

0007

筋肉と神経との間の電気生理学的関係の現代の理解で最も成功した応用例の1つは、心臓ペースメーカーである。心臓ペースメーカーの起源は、1800年代にさかのぼるが、1950年になってから、最初の実用的な外付け巨大ペースメーカーが開発された。1957年に、最初の実際に機能的で装着可能なペースメーカーが出現し、1960年には、最初の全移植可能なペースメーカーが開発された。

0008

このころ、電気リード線静脈を通して心臓に接続できることも発見され、これは、胸腔を開いてリード線心臓壁に取り付ける必要性を排除した。1975年には、ヨウ化リチウム電池の導入により、ペースメーカーの電池寿命が数ヶ月から10年を超えるまでに延長された。現代のペースメーカーは、心筋における様々な異なる信号伝達病理を治療することができ、また、除細動器としての役割を果たすこともできる(DENOらに対する米国特許第6,738,667号を参照されたい。その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。)。

0009

神経の電気刺激の他の応用例は、脊髄の底部で仙髄神経根を刺激することによって下肢放散痛を治療するものであった(WHITEHURSTらに対する米国特許第6,871,099号を参照されたい。その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。)。

0010

本態性振戦およびパーキンソン病等の運動障害を含む、種々の疾患の治療で使用するための、移植型電極による脳の電気刺激も承認された。これらの手法の基礎を成す原理は、脳の中の特定の部位での多動ニューロン回路伝達の途絶および変調を伴う。脳の異常部分が物理的に破壊される、潜在的に危険な障害を生じさせる処置とは異なり、電気刺激は、これらの部位に電極を移植することによって達成される。電極は、最初に、異常な電気信号を検出するために使用され、次いで、病的ニューロン伝達を局所的に途絶させるために電気パルス送り、それを正常な活動範囲に戻すために使用される。これらの電気刺激処置は、侵襲とともに、一般に、意識のある患者および手術の関係者によって行われる。

0011

しかしながら、脳刺激、および特に脳深部刺激は、何らかの欠点がないわけではない。この処置は、カテーテル形状のリード線等を使用して、頭蓋骨を貫通し、電極を脳物質の中に挿入することを必要とする。患者の状態(振戦活動等)を監視しながら、顕著な治療可能性を達成するように電極の位置を調整する。次に、同じく治療結果を達成するために、周波数周期性電圧電流等の、電気刺激信号の調整を行う。次いで、電極を恒久的に移植し、電極から外科的に移植されたペースメーカーの部位にワイヤ方向付ける。ペースメーカーは、治療効果を維持するために、電気刺激信号を電極に提供する。脳深部刺激の治療結果は有望であるが、周囲組織およびニューロ脈管構造に対する損傷によって誘導される脳卒中を含む、顕著な合併症が移植処置によって生じ得る。

0012

上述した電気刺激の応用例の大部分は、患者の体内での電極の外科的な移植を伴う。これに対して、本発明の実施形態の場合、開示されたデバイスおよび医療処置は、神経および組織にエネルギーを非侵襲的に伝達することによって神経を刺激する。それらは、手術を伴わない代替案を患者に提供し得る。医療処置は、方法の使用を通して皮膚(または創傷床等の他の身体表面)にいかなる切り傷も生じないとき、および体開口部を超えて(例えば、口腔を超えて、または外耳道を超えて)体内腔とのいかなる接触もないときに、非侵襲的であると定義される。そのような非侵襲的処置は、侵襲的処置が物質またはデバイスを皮膚の中へもしくはそれを通して、または体開口部を超えて体内腔の中へ挿入することを伴うという点で、侵襲的処置(最小の侵襲的処置を含む)から区別される。例えば、経皮電気神経刺激(TENS)は、皮膚に切り傷を生じさせることなく、皮膚の表面に電極を取り付けること(または体形に合う導電性衣服を使用すること)を含むので、非侵襲的である。対照的に、神経の経皮的電気刺激は、皮膚の針穿刺を介して皮下に電極を挿入することを伴うので、最小侵襲的である(ERRICOらに対する名称Percutaneous Electrical Treatment of Tissueの本発明の譲受人に譲渡された同時係属の米国特許出願第2010/0241188号を参照されたい。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。

0013

同等の侵襲的処置と比較した、非侵襲的医療方法およびデバイスの潜在的利点は、以下の通りである。患者は、非侵襲的である処置を受けることに対して、より心理的に準備ができ、したがって、より協調的であり得、より良好な結果をもたらす。非侵襲的処置は、出血、感染、皮膚もしくは内蔵損傷、血管損傷、および静脈もしくは血液凝固等の、生物組織の損傷を回避し得る。非侵襲的処置は、一般に、生体適合性に関する問題がより少ない。電極の取り付けを伴う場合において、非侵襲的方法は、リード線が破損する傾向がより少なく、電極は、必要に応じて容易に再配置することができる。非侵襲的方法は、あるときには、痛みを伴わず、または最小の痛みしか伴わず、また、局所麻酔さえ必要とすることなく行われ得る。医療専門家による非侵襲的処置の使用に必要とされる訓練が、より少なくなり得る。普通は、非侵襲的処置と関連する低減された危険を考慮して、いくつかのそのような処置は、自宅での患者もしくは家族による使用、または自宅もしくは職場での初期対応者による使用に好適であり得、同等の侵襲的処置と比較して、非侵襲的処置のコストが低減され得る。

0014

下層の神経を刺激するために使用された電極を含む、非侵襲的に身体の表面に適用される電極には、長い歴史がある[L.A.GEDDES.Historical Evolution ofCircuit Models for the Electrode−Electrolyte Interface.Annals of Biomedical Engineering 25(1997):1−14]。しかしながら、神経の電気刺激は、1965年にMelzackおよびWallによって「痛みのゲート理論」が紹介されるまで、20世紀の中には総じて嫌われていた。この理論は、エレクトロニクスの進歩とともに、神経を刺激して、最初に痛みを制御するために、移植型電極の使用に対する関心を再び喚起した。次いで、電極を移植するための好適な候補を決定するために、スクリーニング処置が開発されたが、この処置は、最初に、可能な移植片の近傍で身体表面に適用される電極によって刺激したときに、患者が応答したかどうかを判定することを伴う。その後、表面刺激が、しばしば、非常に良好に痛みを制御したので、刺激電極を移植する必要がなかったことを発見した[Charles Burton and Donald D.Maurer.Pain Suppression by Transcutaneous Electronic Stimulation.IEEE Transactions on Biomedical Engineering BME−21(2,1974):81−88]。そのような非侵襲的経皮電気神経刺激(TENS)は、次いで、異なる種類の痛みを治療するように開発され、痛みとしては、関節もしくは背部の痛み、癌の痛み、術後の痛み、外傷後の痛み、ならびに陣痛および出産と関連する痛みが挙げられる。[Steven E.ABRAM.Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation,pp1−10 in:Joel B.Myklebust,ed.Neural stimulation(Volume 2).Boca Raton,Fla.CRCPress 1985、WALSDM,Lowe AS,McCormack K.Willer J−C,BaxterGD,Allen JM.Transcutaneous electrical nerve stimulation:effect on peripheral nerve conduction,mechanical pain threshold,and tactile threshold in humans.Arch Phys Med Rehabil 79(1998):1051−1058、J ACAMPBELL.A critical appraisal of the electrical output characteristics of ten transcutaneous nerve stimulators.Clin.phys.Physiol.Meas.3(2,1982):141−150、Maurerに対する名称Transcutaneous stimulator and stimulation methodの米国特許第US3817254号、Greeneらに対する名称Transcutaneous pain control and/or muscle stimulating apparatusの米国特許第US4324253号、Katimsに対する名称Method and apparatus for transcutaneous electrical stimulationの米国特許第US4503863号、Silberstoneらに対する名称High frequency high intensity transcutaneous electrical nerve stimulator and method of treatmentの米国特許第US5052391号、Silverstoneに対する名称Method for inducing electroanesthesia using high frequency,high intensity transcutaneous electrical nerve stimulationの米国特許第US6351674号]。

0015

痛みを治療するためにTENSが開発されていたときに、追加的な治療または診断の目的で、表面電極を使用した非侵襲的電気刺激も同時に開発され、これは、集合的に電気療法として知られている。神経筋電気刺激(NMES)は、正常な(例えば、運動)筋肉または損傷を受けた(例えば、痙攣)筋肉の強さおよび持久性を増強させるために、正常に神経支配された筋肉を刺激する。機能的電気刺激(FES)は、脊髄損傷頭部外傷、脳卒中、および他の神経障害に起因する麻痺によって影響を受ける筋肉、または下垂足および歩行障害によって影響を受ける筋肉を神経支配する神経を活動させるために使用される。FESはまた、矯正器具代用物として筋肉を刺激するために、例えば、装具を置き換える、または脊柱側弯症の管理を支援するために使用される。表面電気刺激の他の応用例は、緊急除細動および心臓ペーシング等の、胸部から背部への組織の刺激である。表面電気刺激はまた、血管拡張を通して循環を増加させることによって、浮腫を制御することによって、創傷治癒させることによって、および骨の成長を誘発することによって、組織を修復するためにも使用されてきた。表面電気刺激はまた、イオン導入法にも使用され、該方法では、通常、炎症および痛み、関節炎、損傷、または傷跡を治療するために、電流が、帯電した薬物または他のイオンを皮膚の中へ送り込む。表面電極による刺激はまた、例えば、反射を導いて生じさせるための運動神経および感覚神経能力を評価する末梢神経刺激(PNS)において、診断の目的で反応を引き起こすためにも使用される。表面電気刺激はまた、精神障害を治療するための電気痙攣療法、例えば歯科学的処置による痛みを防ぐための電気麻酔法、および聴覚障害者のために音声触覚に変換するための電気触覚発話処理にも使用される。上述した表面電極刺激の応用例の全ては、患者に損傷を与えないことが意図されるが、特殊な電極とともにより高い電流が使用される場合には、組織を切断する、凝固させる、乾燥する、または放電治療するための手段として、電気外科が行われ得る[Mark R.Prausnitz.The effects of electric current applied to skin:A review for transdermal drug delivery.Advanced Drug Delivery Reviews 18(1996)395−425]。

0016

その魅力にもかかわらず、神経の非侵襲的電気刺激は、必ずしも使用可能であるとも、実用的であるとも限らない。これは主に、刺激作用が、痛みを起こす神経を含む、対象となる神経以外の神経を意図せずに刺激してしまうため、現在の最高水準の技術では、選択的に、または過剰な痛みを生じさせることなく、深部神経を刺激することができない場合があるからである。このため、特定の種類の痛みの治療には、TENS以外の電気刺激の形態が最適であり得る[Paul F.WHITE,Shitong Li and Jen W.Chiu.Electroanalgesia:Its Role in Acute and Chronic Pain Management.Anesth Analg 92(2001):505−13]。

0017

他の何らかの電気治療法の応用例についても、神経を侵襲的に刺激する代わりに、その神経を非侵襲的に刺激することが困難であった。本発明に最も関連する治療法は、癲癇、鬱病、および他の病状を治療するために、頸部の迷走神経の電気刺激を含む。これらの治療法の場合、左迷走神経は、普通は、最初に、頸部内のある場所に電極を外科的に移植し、次いで、その電極を電気刺激器に接続することによって、その場所で刺激される[ZABARAに対する名称Neurocybernetic prosthesisの米国特許第US4702254号、OSORIOらに対する名称Vagal nerve stimulation techniques for treatment of epileptic seizuresの米国特許第US6341236号、およびWERNICKEらに対する名称Treatment of neuropsychiatric disorders by nerve stimulationの米国特許第US5299569号、G.C.ALBERT,C.M.Cook,F.S.Prato,A.W.Thomas.Deep brain stimulation,vagal nerve stimulation and transcranial stimulation:An overview of stimulation parameters and neurotransmitter release.Neuroscience and Biobehavioral Reviews 33(2009)1042−1060、GROVES DA,Brown VJ.Vagal nerve stimulation:a review of its applications and potential mechanisms that mediate its clinical effects.Neurosci Biobehav Rev(2005)29:493−500、Reese TERRY,Jr.Vagus nerve stimulation:a proven therapy for treatment of epilepsy strives to improve efficacy and expand applications.Conf ProcIEEE Eng Med Biol Soc.2009;2009:4631−4634、Timothy B.MAPSTONE.Vagus nerve stimulation:current concepts.Neurosurg Focus 25(3,2008):E9,pp.1−4]。

0018

電極の外科的移植を回避することが望ましいときには、迷走神経刺激(VNS)が行われ得、これは、1つ以上の電極を食道気管、または頸静脈位置付けるが、1つの電極を身体表面に位置付けることによって、侵襲性がより少なくなり得る[PUSKASに対する名称Methodsof indirectly stimulating the vagus nerve to achieve controlled asystoleの米国特許第US7340299号、およびSCOTTらに対する名称Non−surgical device and methods for trans−esophageal vagus nerve stimulationの米国特許第US7869884号]。非外科的であるというそれらの利点にもかかわらず、そのような方法は、それでも、侵襲的処置と関連する他の不利な点を呈する。

0019

他の特許では、非侵襲的VNSが開示されているが、頸部以外の他の場所でのものである[例えば、ECKERSONに対する名称Method and apparatus for drug free neurostimulationの米国特許第US4865048号、BARRETTらに対する名称Treatment of obesity by bilateral sub−diaphragmatic nerve stimulationの米国特許第US6609025号、KEDALLに対する名称Transcutaneous nerve stimulation device and method for using sameの米国特許第US5458625号、Chungらに対する名称Electric stimulator for alpha−wave derivationの米国特許第US7386347号、Dietrichらに対する名称Device for applying a transcutaneous stimulus or for transcutaneous measuring of a parameterの米国特許第US7797042号、Dietrichらに対する名称Device and Method for the Transdermal Stimulation of a Nerve of the Human Bodyの米国特許出願第US2010/0057154号、Libbusらに対する名称Stimulator for auricular branch of vagus nerveの米国特許出願第US2006/0122675号、Amurthurらに対する名称Systems and Methodsfor Stimulating Neural Targetsの米国特許出願第US2008/0288016号]。しかしながら、そのような非侵襲的VNSは、頸部以外の場所で起こるので、治療結果が十分に立証されている頸部における侵襲的VNSとは直接比較できない。数ある特許および特許出願の中で、非侵襲的VNSは、あるときには、侵襲的VNS法とともに言及されているが、迷走神経以外の神経、特に痛みを起こす神経の意図的でない刺激といった問題には対処していない[例えば、LESSERらに対する名称System and Method for Treating Nausea and Vomiting by Vagus Nerve Stimulationの米国特許出願第US20080208266号]。他の特許は、頸部の迷走神経の近傍での非侵襲的電気刺激がどのように達成されるのかということに関して漠然としている[例えば、KIEVALらに対する名称External baroreflex activationの米国特許第US7499747号]。

発明が解決しようとする課題

0020

上述の背景を考慮すれば、長年にわたって未解決であった、完全に非侵襲的に、選択的に、かつ基本的に痛みを生じさせることなく頸部の迷走神経を電気的に刺激することに対する必要性がある。従来のTENS法による非侵襲的刺激を受ける患者が経験したものと比較したときに、本迷走神経刺激器は、所与の刺激の浸透深さに対して比較的に小さい痛みしか生じさせないはずである。または逆に、患者側の所与の痛みまたは不快感の量(例えば、そのような不快感または痛みが始まる閾値)に対して、本発明の目的は、より大きい皮下の刺激の浸透深さを達成することである。さらに、目的は、頸部の迷走神経の近くにある他の神経および筋肉を刺激することではなく、そのような状況であっても、治療結果を達成するために迷走神経を刺激することである。

課題を解決するための手段

0021

本発明の一態様では、神経組織にエネルギーを非侵襲的に伝達するエネルギー源を利用することによって、患者に治療効果を生じさせるためのデバイスおよび方法が説明される。具体的には、開示されたデバイスは、患者の頸部の迷走神経の中の電気生理学的信号を一時的に刺激、遮断、および/または調節するために、その神経に、またはその神経に近接してエネルギーを伝達することができる。本明細書で開示される方法は、特定の刺激波形パラメータで、好ましくは、同じく本明細書で開示される神経刺激器デバイスを使用して、迷走神経を刺激することを含む。

0022

本発明の一態様において、新しい刺激器デバイスは、迷走神経もしくは他の神経または組織の電気的活動を調節するために使用される。刺激器は、電源と、神経軸に関連する深部神経を刺激するように構成される、1つ以上の遠隔電極とを備える。デバイスはまた、電極が接触している、連続的な導電性媒体も備える。導電性媒体は、患者の皮膚との物理的接触を成す、界面要素とも接触している。界面要素は、シート状のマイラー等の電気的絶縁誘電体)材料であり得、その場合、患者に対するデバイスの電気的結合は、容量性である。他の実施形態において、界面要素は、導電性膜または透過性膜等の導電性材料であり、その場合、患者に対するデバイスの電気的結合は、オーミックである。界面要素は、媒体が患者の標的身体表面に適用されたときに、その標的身体表面の輪郭合致する形状を有し得る。

0023

本発明の別の態様において、新しい刺激器デバイスは、迷走神経もしくは他の神経または組織の電気的活動を調節するために使用される。刺激器は、電源と、神経軸に関連する深部神経を刺激するように構成される、1つ以上の電極とを備える。デバイスはまた、電極(複数可)が接触している、連続的な導電性媒体も備える。導電性媒体は、電極(複数可)と患者の組織との間の電気的通信を提供し、よって、電極(複数可)は、組織と直接接触しない。導電性媒体は、好ましくは、媒体が患者の標的身体表面に適用されたときに、その標的身体表面の輪郭に合致する形状を有する。

0024

現在の医療用途の場合、デバイスは、普通は患者の頸部に適用される。本発明の好ましい実施形態において、刺激器は、別々の刺激器頭部内で並列する、2つの電極を備え、該電極は、電気的絶縁材料によって分離される。各電極および患者の皮膚は、刺激器の界面要素から電極まで延在する導電性媒体と連続的に接触する。界面要素はまた、デバイスが動作中であるときにも患者の皮膚に接触する。異なる電極の導電性媒体も、電気的絶縁材料によって分離される。

0025

電源は、電極に電荷パルスを供給し、よって、電極は、患者の体内で電流および/または電界を生じる。刺激器は、神経を脱分極させ、活動電位伝搬の閾値に到達させるために、迷走神経等の神経の近傍で電界を生じさせるのに十分なピークパルス電圧を誘導するように構成される。一例として、神経刺激のための閾値電界は、1000Hzで約8V/mであり得る。例えば、デバイスは、患者の体内で約10〜600V/mの電界を生じ得、かつ、2V/m/mmを超える電界勾配を生じ得る。

0026

電極を通過する電流は、約0〜40mAであり得、電極全体の電圧は、0〜30ボルトである。電流は、パルスのバーストで電極を通過する。バーストあたり0〜30パルス、好ましくは、約4〜10パルス、より好ましくは、5パルスであり得る。バースト内の各パルスは、20〜1000マイクロ秒、好ましくは100〜400マイクロ秒、より好ましくは、約200マイクロ秒の持続時間を有する。バースト間沈黙期間がその後に続くバーストは、1秒あたり1〜5000バースト(bps)、好ましくは、15〜50bpsで繰り返す。各パルスの好ましい形状は、全正弦波である。好適な刺激器は、患者の頸部の迷走神経等の長い神経に平行して配向することができる、細長電界効果を形成する。電流、電圧、パルス幅、バーストあたりのパルス、バースト間隔等の好適なパラメータとともに、神経を刺激するための好適な波形を選択することによって、刺激器は、それに応じて選択する個々の患者の生理学的反応を生じさせる。そのような好適な波形およびパラメータは、標的神経以外の神経および組織を実質的に刺激することを回避するように、特に、痛みを生じさせる神経の刺激を回避するように、同時に選択される。

0027

本発明の教示は、特にその下に迷走神経がある患者の頸部上のある場所で、開示された非侵襲的刺激器がどのように身体表面に対して位置付けられ、使用され得るのかを実証するものである。そのような教示はまた、患者における特定の有益な治療効果の生成も説明する。しかしながら、本方法およびデバイスの適用が、挙げられた実施例に限定されないことを理解されたい。

0028

開示された刺激器または他の非侵襲的刺激デバイスを使用して疾患を治療するための、新しいシステム、デバイス、および方法は、以下の本発明の詳細な説明、それとともに提供される図面の参照、およびそれに添付される特許請求の範囲においてより完全に説明される。他の態様、特徴、利点等は、添付図面と併せて、本明細書において本発明の説明を考慮したときに、当業者に明らかになるであろう。

0029

参照による組み込み
本明細書によって、この明細書に記載される全ての発行済み特許、特許出願公開、および非特許文献は、各個々の発行済み特許、特許出願公開、または非特許文献が、参照により組み込まれたように具体的かつ個別に示される場合と同程度に、全ての目的に対して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

0030

種々の本発明の態様を例示する目的で、図面には、現時点で好ましく、理解されている形態が示されているが、本発明は、示される正確なデータ、方法論、配設、および手段によって、またはそれらに限定されず、むしろ、特許請求の範囲だけによって限定される。

図面の簡単な説明

0031

本発明による、神経または組織を調節するデバイスの概略図であり、該デバイスは、導電性材料が充填された容積と連続的に接触する電極に、制御された電流のパルスを供給する。
本発明の実施形態に従う、神経の1つまたは複数の部分に印加される遮断および/または変調インパルスの例示的な電圧/電流プロファイルを例示する図である。
本発明の実施形態による、二電極刺激器を例示する図であり、該刺激器は、刺
図3で示される二電極刺激器の頭部の好適で代替の実施形態を例示する図である。
図3で示される二電極刺激器の頭部の好適で代替の実施形態を例示する図である。
図3で示される二電極刺激器の頭部の好適で代替の実施形態を例示する図である。
二電極刺激器の代替の実施形態を例示する図である。
患者の頸部の迷走神経を刺激するために電極が使用されるときの、本発明の一実施形態による、二電極刺激器の筐体のおよその位置を例示する図である。
電極が、患者の頸部の迷走神経を刺激するように位置付けられ、識別された解剖学的構造の近傍で頸部の表面に適用されるときの、本発明の一実施形態による、二電極刺激器の筐体を例示する図である。

実施例

0032

本発明において、エネルギーは、非侵襲的に患者に伝達される。本発明は、治療結果を達成するために1つ以上の神経の信号と相互作用する、印加される電気インパルスを生じさせるために特に有用である。具体的には、本開示は、患者の頸部の場所で非侵襲的に迷走神経を刺激するデバイスおよび方法を説明する。

0033

長年にわたって未解決であった、完全に非侵襲的に、選択的に、かつ基本的に痛みを生じさせることなく頸部の迷走神経を電気的に刺激することに対する必要性がある。下で説明するように、これは、研究者らが、他の解剖学的な場所で迷走神経を刺激するために、または非電気的に迷走神経を刺激するために、頸部において非侵襲的に電気刺激するという試みを断念したように、他のものが問題を解決することに失敗したことによって証明され、この問題は、発明によって解決される。Fukui YOSHIHITOに対する名称Vagus Nerve Stimulation Systemの2008年3月26日に出願された日本特許出願第JP2009233024A号は、迷走神経刺激(VNS)が、普通は治療することが意図される癲癇、鬱病、または他の虚弱質ではなく、心拍数を制御するために頸部の表面での迷走神経の刺激に関する。それでも、Yoshihitoによって成される手法は、迷走神経の非侵襲的電気刺激によって遭遇する難点を例示している。Yoshihitoは、頸部の表面での電気刺激が、呼吸の制御と関連する横隔膜神経を共刺激し得るので、患者は、しゃっくりをし、正常に呼吸せず、結果として「患者が違和感および不快感を覚える」ことを強調している。この問題に対するYoshihitoの提案された解決策は、望ましくない呼吸作用が最小化されるような方法で、呼吸段階の関数として、頸部での電気刺激のタイミングおよび強度を調節することである。したがって、Yoshihitoの手法は、迷走神経を選択的に刺激する方法を見出すものではなく、非選択的な神経刺激を補償するためのものである。しかしながら、そのような補償的な変調も、刺激が、普通はVNSで治療される癲癇、鬱病、および他の虚弱質を治療する際に有益な効果を達成することを妨げ得る。さらに、Yoshihitoは、刺激電極の近傍での痛みの問題に対処しない。おそらく、類似の課題が、頸動脈洞神経の可能な共刺激と関連して起こり得る[Ingrid J.M.Scheffers,Abraham A.Kroon,Peter W.de Leeuw.Carotid Baroreflex Activation:Past,Present,and Future.Curr Hypertens Rep 12(2010):61−66]。迷走神経自体によって制御される筋肉の同時活動化による副作用も起こり得、これは、別の種類の非選択的な刺激を例示する[M.Tosato,K.Yoshida,E.Toft and J.J.Struijk.Quasi−trapezoidal pulses to selectively block the activation of intrinsic laryngeal muscles during vagal nerve stimulation.J.Neural Eng.4(2007):205−212]。

0034

本発明が解決する問題の1つの回避策は、皮膚のより近くに神経がある頸部以外の解剖学的な場所で、非侵襲的に迷走神経を刺激することである。好適な代替の場所は、他の場所も提案されているが、耳(耳珠耳道、または耳甲介)の中、またはその周りである[Manuel L.KARELL.TENS in the Treatment of Heroin Dependency.The Western Journal of Medicine 125(5,1976):397−398、Enrique C.G.VENTUREYRA.Transcutaneous vagus nerve stimulation for partial onset seizure therapy.A new concept.Child’s Nerv Syst 16(2000):101−102、T.KRAUS,K.Hosl,O.Kiess,A.Schanze,J.Kornhuber,C.Forster.BOLD fMRIdeactivation of limbic and temporal brain structures and mood enhancing effect by transcutaneous vagus nerve stimulation.J Neural Transm 114(2007):1485−1493、POLAK T,Markulin F,Ehlis AC,LangerJB,Ringel TM,Fallgatter AJ.Far field potentials from brain stem after transcutaneous vagus nerve stimulation:optimization of stimulation and recording parameters.J Neural Transm 116(10,2009):1237−1242、KENDALLに対する名称Transcutaneous nerve stimulation device and method for using sameの米国特許第US5458625号、Dietrichらに対する名称Device for applying a transcutaneous stimulus or for transcutaneous measuring of a parameterの米国特許第US7797042号、Dietrichらに対する名称Device and Method for the Transdermal Stimulation of a Nerve of the Human Bodyの米国特許出願第US2010/0057154号、また、SIMONに対する名称Non−invasive Treatment of Bronchial Constrictionの本発明の譲受人に譲渡された同時継続の米国特許出願第12/859,568号で出願人が開示した非侵襲的方法およびデバイスも参照されたい]。しかしながら、この迷走神経の微小枝における刺激が、普通はVNS電極が移植されてVNS治療処置が十分に立証された結果を生じる、頸部の主たる迷走神経の刺激と同じ効果を有するかどうかは確かではない。

0035

別の問題の回避策は、頸部の迷走神経の電気刺激を他の何らかの形態の刺激と置き換えることである。例えば、頸部での迷走神経の機械刺激が、電気刺激に代わるものとして提案された[Jared M.HUSTON,Margot Gallowitsch−Puerta,Mahendar Ochani,Kanta Ochani,Renqi Yuan,Mauricio Rosas−Ballina,Mala Ashok,Richard S.Goldstein,Sangeeta Chavan,Valentin A.Pavlov,Christine N.Metz,Huan Yang,Christopher J.Czura,Haichao Wang,Kevin J.Tracey.Transcutaneous vagus nerve stimulation reduces serum high mobility group box 1 levels and improves survival in murine sepsis.Crit Care Med 35(12,2007):2762−2768、Artur BAUHOFERand Alexander Torossian.Mechanical vagus nerve stimulation−A new adjunct in sepsis prophylaxis and treatment? Crit Care Med 35(12,2007):2868−2869、Hendrik SCHMIDT,Ursula Muller−Werdan,Karl Werdan.Assessment of vagal activity during transcutaneous vagus nerve stimulation in mice.Crit Care Med 36(6,2008):1990、また、SIMONに対する名称Non−invasive Treatment of Bronchial Constrictionの本発明の譲受人に譲渡された同時継続の米国特許出願第12/859,568号で出願人が開示した非侵襲的方法およびデバイスも参照されたい]。しかしながら、そのような機械VNSは、動物モデルにおいて行われただけであり、また、そのような機械VNSが、電気VNSと機能的に同等であるといういかなる証拠もない。

0036

別の問題の回避策は、単なる頸部の迷走神経の電気刺激ではなく、磁気を使用することである[Q.AZIZら.Magnetic Stimulation of Efferent Neural Pathways to the Human Oesophagus.Gut 33:S53−S70(Poster Session F218)(1992)、AZIZ,Q.,J.C.Rothwell,J.Barlow,A.Hobson,S.Alani,J.Bancewicz,and D.G.Thompson.Esophageal myoelectric responses to magnetic stimulation of the human cortex and the extracranial vagus nerve.Am.J.Physiol.267(Gastrointest.Liver Physiol.30):G827−G835,1994、ShaheenHAMDY,Qasim Aziz,John C.Rothwell,Anthony Hobson,Josephine Barlow,and David G.Thompson.Cranial nerve modulation of human cortical swallowing motor pathways.Am.J.Physiol.272(Gastrointest.Liver Physiol.35):G802−G808,1997、Shaheen HAMDY,John C.Rothwell,Qasim Aziz,Krishna D.Singh,and David G.Thompson.Long−term reorganization of human motor cortex driven by short−term sensory stimulation.Nature Neuroscience 1(issue 1,May 1998):64−68、A.SHAFIK.Functional magnetic stimulation of the vagus nerve enhances colonic transit time in healthy volunteers.Tech Coloproctol(1999)3:123−12、また、SIMONに対する名称Non−invasive Treatment of Bronchial Constrictionの同時継続の米国特許出願第12/859,568号、ならびにSIMONらに対する名称Magnetic Stimulation Devices and Methodsof Therapyの同時継続の米国特許出願第12/964,050号で出願人が開示した非侵襲的方法およびデバイスも参照されたい]。磁気刺激は、電気刺激に機能的に類似し得る。しかしながら、磁気刺激は、普通は複雑で高価な機器を必要とする、および磁気刺激器過熱によって刺激の持続時間が制限され得る、といった不利な点を有する。さらに、一部の場合において、頸部の磁気刺激はまた、横隔神経等の、迷走神経以外の神経も不注意に刺激し得る[SIMILOWSKI,T.,B.Fleury,S.Launois,H.P.Cathala,P.Bouche,and J.P.Derenne.Cervical magnetic stimulation:a new painless method for bilateralphrenic nerve stimulation in conscious humans.J.Appl.Physiol.67(4):1311−1318,1989、Gerrard F.RAFFERTY,Anne Greenough,Terezia Manczur,Michael I.Polkey,M.Lou Harris,Nigel D.Heaton,Mohamed Rela,and John Moxham.Magnetic phrenic nerve stimulation to assess diaphragm function in children following liver transplantation.Pediatr Crit Care Med 2001,2:122−126、W.D−C.MAN,J.Moxham,and M.I.Polkey.Magnetic stimulation for the measurement of respiratory and skeletal muscle function.Eur Respir J 2004;24:846−860]。さらに、磁気刺激は、痛みを生じさせる神経も刺激し得る。磁界を利用する他の刺激器も使用され得るが、それらも複雑かつ高価であり、また、他の不利な点を多くの従来の磁気刺激器と共有し得る[Kishawiらに対する名称Device and method for non−invasive,localized neural stimulation utilizing hall effect phenomenonの米国特許第US7699768号]。

0037

経皮電気刺激(ならびに磁気刺激)は、そのような処置を受ける患者の経験において、不快を与えるか、または痛みを伴う可能性がある。刺激によって生じる知覚の質は、電流および周波数に強く依存し、よって、知覚閾値よりも僅かに大きい電流は、一般に、刺痛、痒み、振動唸り、接触、圧力、またはつねりとして表される無痛感覚を生じさせるが、より高い電流は、鋭い、または焼けるような痛みを生じさせる可能性がある。皮下の刺激の浸透深さが(例えば、迷走神経等のより深部の神経まで)増加するにつれて、一般に、何らかの痛みが始まるか、または増加する。痛みを低減する方法としては、刺激部位の近くの皮膚に配置される、またはその中へ注射される麻酔薬の使用、および刺激部位の皮膚上へのフォームパッドの配置[Jeffrey J.BORCKARDT,Arthur R.Smith,Kelby Hutcheson,Kevin Johnson,Ziad Nahas,Berry Anderson,M.Bret Schneider,Scott T.Reeves,and Mark S.George,Reducing Pain and Unpleasantness During Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation.Journal of ECT 2006;22:259−264]、神経遮断の使用[V.HAKKINEN,H.Eskola,A.Yli−Hankala,T.Nurmikko,and S.Kolehmainen.Which structures are sensitive to painful transcranial stimulation? Electromyogr.clin.Neurophysiol.1995,35:377−383]、非常に短い刺激パルスの使用[V.SUIHKO.Modelling the response of scalp sensory receptors to transcranial electrical stimulation.Med.Biol.Eng.Comput.,2002,40,395−401]、電極サイズを増加させることによる電流密度の低減[KristofVERHOEVEN,and J.Gert van Dijk.Decreasing pain in electrical nerve stimulation.Clinical Neurophysiology 117(2006)972−978]、高インピーダンス電極の使用[N.SHA,L.P.J.Kenney,B.W.Heller,A.T.Barker,D.Howard,and W.Wang.The effect of the impedance of a thin hydrogel electrode on sensation during functional electrical stimulation.Medical Engineering&Physics 30(2008):739−746]、および患者の個性に合わせた情報量の患者への提供[Anthony DELITTO,Michael J Strube,Arthur D Shulman,Scott D Minor.A Study of Discomfort with Electrical Stimulation.Phys.Ther.1992;72:410−424]が挙げられる。RIEHLに対する名称Reducing discomfort caused by electrical stimulationの米国特許第US7614996号は、そうしなければ不快感を与える主な刺激を相殺するための第2の刺激の印加を開示している。痛みを低減する他の方法は、侵襲的神経刺激とともに使用されることが意図される。[Ben−Ezraらに対する名称Techniques for reducing pain associated with nerve stimulationの米国特許第US7904176号]。

0038

刺激に起因する痛みに関連するさらなる考察は、以下の通りである。刺激が複数のセッションにわたって繰り返されると、患者は、痛みに適応し、段階的により少ない不快感を呈し得る。患者は、刺激によって起こる痛みに対するそれらの閾値に関して不均一であり得、性別および年齢に関連する不均一性を含む。個人の皮膚の電気的性質は、日毎に変動し、種々の電極ゲルおよびペースト洗浄摩耗、および塗布に影響を受け得る。皮膚の性質も、刺激の持続時間、刺激セッション間回復時間、経皮電圧、電流密度、電力密度の関数として、刺激自体によって影響を及ぼされ得る。複数の電気パルスの印加は、パルスが印加される間隔および速度に応じて、異なる知覚閾値または痛み閾値、および感覚レベルをもたらすことができる。2つの電極の間の分離距離は、電極からの感覚が別々であるか、部分的に重なっているか、または融合しているかどうかを決定する。許容できる感覚の限度は、0.5mA/cm2の電流密度に相当すると言われているが、実際に、痛みと電流密度との間の機能的関係は、非常に複雑である。最大局所電流密度は、痛みを生じることにおいては平均電流密度よりも重要であり得、局所電流密度は、一般に、電極下で変動し、例えば、電極の縁部に沿って、または「ホットスポット」で電流密度がより大きくなる。さらにまた、痛み閾値は、熱成分および/または電気化学的成分、ならびに電流密度成分を有することができる。パルス周波数は、痛みの知覚において重要な役割を果たし、ある周波数では筋収縮を伴い、他の周波数では伴わず、また、痛み感覚の空間的広がりも周波数の関数である。感覚はまた、特にパルスが1ミリ秒未満の持続時間である場合に、波形(方形波、正弦波、台形波等)の関数でもある。[Mark R.PRAUSNITZ.The effects of electric current applied to skin:A review for transdermal drug delivery.Advanced Drug Delivery Reviews 18(1996):395−425]。

0039

非侵襲的電気刺激中の痛みの可能性に影響を与え得る、非常に多くの変数(詳細な刺激波形、周波数、電流密度、電極の種類および幾何学形状、皮膚用調製物等)があることを考慮し、迷走神経の刺激による所望の治療結果を独立して生じさせるために、これらの同じ変数が同時に選択されなければならないことを考慮し、また、迷走神経を選択的に刺激することも望む(例えば、横隔神経を刺激することを回避する)ことを考慮すれば、本開示よりも前に、完全に非侵襲的に、選択的に、かつ基本的に痛みを生じさせることなく頸部の迷走神経を電気的に刺激するためのデバイスおよび方法を誰も開示していないことを理解することができる。

0040

SIMONらに対する名称Magnetic Stimulation Devices and Methodsof Therapyの出願人の本発明の譲受人に譲渡された同時継続の米国特許出願第12/964,050号で開示された磁気刺激デバイスによる実験過程で、出願人は、開示されたデバイスおよび方法を発見した。その刺激器は、磁気コイルを使用し、任意に配向された患者の皮膚と直接接触した安全かつ実用的な導電性媒体の中に埋め込まれたものであり、最近の技術では説明されていなかった[Rafael CARBUNARU,and Dominique M.Durand.Toroidal coil models for transcutaneous magnetic stimulation of nerves.IEEE Transactions on Biomedical Engineering 48(4,2001):434−441、Rafael CarbunaruFAIERSTEIN,Coil Designs for Localized and Efficient Magnetic Stimulation of the Nervous System.Ph.D.Dissertation,Department of Biomedical Engineering,Case Western Reserve,May,1999(UMIMicroform Number:9940153,UMI Company,Ann Arbor MI)]。本明細書で表面電極とともに使用するように適合されるそのような設計は、頸部の迷走神経等の深部神経を選択的に刺激するために使用される電界を形成することを可能にする。さらに、この設計は、現在当技術分野で知られている刺激器デバイスよりも、患者に生じる痛みまたは不快感(該当する場合)が大幅に少ない。その逆に、患者側の所与の量の痛みまたは不快感(例えば、そのような不快感または痛みが始まる閾値)について、この設計は、より大きい皮下の刺激の浸透深さを達成する。

0041

図1は、病状の治療のためにエネルギーのインパルスを神経に送達するための、神経刺激/調節デバイス300の概略図である。示されるように、デバイス300は、インパルス発生器310と、インパルス発生器310に連結される、電源320と、インパルス発生器310と通信し、電源320に連結される、制御ユニット330と、ワイヤ345を介してインパルス発生器310に連結される、電極340と、含み得る。

0042

図1には、1対の電極340が示されているが、実際には、電極はまた、3つ以上の別個電極要素も備え得、該電極のそれぞれは、インパルス発生器310に直列で、または並列で接続される。このように、図1で示される電極340は、集合的にデバイスの全ての電極を表す。

0043

図1において350で表記される品目は、導電性媒体が充填された、電極340に隣接する容積である。好ましい実施形態で示されるように、媒体はまた、身体表面に適用されたときに体形に合うように変形可能である。したがって、導電性媒体350の外面に示される波状または湾曲はまた、媒体および身体表面を隣接させるように、導電性媒体350が適用される身体表面上の波状または湾曲にも対応する。好ましい実施形態と関連して下で説明するように、容積350は、患者の神経または組織の刺激を達成するために必要である、電極340を通過する電流密度を形成するために、標的皮膚表面で患者に電気的に接続される。同じく本発明の例示的な実施形態と関連して下で説明するように、電極340が埋め込まれる導電性媒体は、電極を完全に取り囲む必要はない。

0044

制御ユニット330は、インパルス発生器310を制御して、デバイスの電極のそれぞれの信号を発生させる。信号が電極340を介して標的神経または組織に非侵襲的に印加されたときに、信号は、特定の病状を改善するのに好適であるように選択される。神経刺激/調節デバイス300は、その機能によってパルス発生器と称され得ることに留意されたい。どちらも参照により本明細書に組み込まれ、どちらもSHAFERに対する米国特許出願公開第US2005/0075701号および第US2005/0075702号は、免疫反応減弱させるための交感神経系のニューロンの刺激に関連し、本発明に適用可能であり得るパルス発生器の説明を含む。一例として、パルス発生器300はまた、市販もされており、Agilent 33522A機能/任意波形発生器、Agilent Technologies,Inc.,5301 Stevens Creek Blvd Santa Clara CA 95051等である。

0045

制御ユニット330はまた、1つ以上のCPUを備える汎用コンピュータと、実行可能なコンピュータプログラム(システムのオペレーティングシステムを含む)の記憶ならびにデータの記憶および読み出しのためのコンピュータメモリと、ディスク記憶デバイスと、システムのキーボードおよびコンピュータマウスから外部信号を、ならびに任意の外部供給された生理学的信号を受け取るための通信デバイスシリアルポートおよびUSBポート等)と、外部供給されたアナログ信号デジタル化するためのアナログ−デジタル変換器と、システムの一部を構成するプリンタおよびモデム等の外部デバイスにデータを伝送し、そこからデータを受け取るための通信デバイスと、システムの一部を構成するモニタ上で情報の表示を発生させるためのハードウェアと、上で述べた構成要素を相互接続するためのバスと、を備え得る。したがって、ユーザは、キーボード等のデバイスで制御ユニット330に対する指示を入力することによってシステムを操作し得、システムのコンピュータモニタ等のデバイス上でその結果を閲覧し得、またはその結果をプリンタ、モデムおよび/もしくは記憶ディスクに導き得る。システムの制御は、外部供給された生理学的信号または環境信号から測定されるフィードバックに基づき得る。あるいは、制御ユニット330は、コンパクトで簡単な構造を有し得、例えば、ユーザは、オンオフスイッチおよび出力制御ホイールまたはノブだけを使用して、システムを操作し得る。

0046

神経刺激または組織刺激のパラメータとしては、電力レベル、周波数、およびトレイン持続時間(またはパルス数)が挙げられる。浸透深さ、強度、および選択性等の各パルスの刺激特性は、立ち上がり時間および電極に転送されるピーク電気エネルギー、ならびに電極によって生じる電界の空間分布に依存する。立ち上がり時間およびピークエネルギーは、刺激器および電極の電気特性によって、ならびに患者の体内の電流が流れる領域の解剖学的構造によって支配される。本発明の一実施形態において、パルスパラメータは、刺激されている神経を取り囲む詳細な解剖学的構造を補うような方法等で設定される[BartoszSAWICKI,Robert Szmurto,Przemystaw Ptonecki,Jacek Starzynski,Stanistaw Wincenciak,Andrzej Rysz.Mathematical Modelling of Vagus Nerve Stimulation,pp.92−97 in:Krawczyk,A.Electromagnetic Field,Health and Environment:Proceedings of EHE’07,Amsterdam,IOS Press,2008]。パルスは、単相2相、または多相であり得る。本発明の実施形態は、トレインの中の各パルスが同じ刺激間間隔を有する、固定周波数であるもの、および、トレインの中の各パルス間の間隔を変動させることができる、変調された周波数を有するものを含む。

0047

図2Aは、本発明の実施形態に従って、選択された神経の1つもしくは複数の部分に印加された刺激、遮断、および/または変調インパルスの例示的な電圧/電流プロファイルを例示する。好ましい実施形態について、電圧および電流は、電極によって患者の体内で非侵襲的に生じるものを指す。示されるように、神経の1つもしくは複数の部分に対する遮断および/または変調インパルス410の好適な電圧/電流プロファイル400は、パルス発生器310を使用して達成され得る。好ましい実施形態において、パルス発生器310は、刺激、遮断、および/または変調インパルス410を神経に送達する電極340に対するパルストレイン420を生じさせるために、電源320、および、例えばプロセッサクロックメモリ等を有する、制御ユニット330を使用して実装され得る。神経刺激/変調デバイス300は、外部から電力を供給され得、再充電され得、および/またはそれ自体の電源320を有し得る。周波数、振幅負荷サイクル、パルス幅、パルス形状等の、変調信号400のパラメータは、好ましくは、プログラム可能である。外部通信デバイスは、治療を向上させるように、パルス発生器のプログラム修正し得る。

0048

電極に対する刺激、遮断、および/または変調インパルスの電圧/電流プロファイルを生じさせるための変調ユニットを実装するデバイスに加えて、またはこれに代わるものとして、米国特許公開第US2005/0216062号で開示されているデバイス(その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる)が採用され得る。その特許公開は、広範囲の異なる生物学的および生医学的用途に対する電磁気刺激または他の形態の電気刺激をもたらすための出力信号を得るように適合され、神経を非侵襲的に刺激するために電界パルスを生じさせる、多機能電気刺激(ES)システムを開示している。このシステムは、複数の異なる信号発生器に連結されるセレクタを有するES信号ステージを含み、各発生する信号は、正弦波、方形波、もしくは鋸波等の異なる形状を有する信号、または単純もしくは複雑なパルスを生じ、そのパラメータは、振幅、持続時間、繰り返し率、および他の変数に関して調整可能である。そのようなシステムによって発生し得る信号の例は、LIBOFFによる公報で説明されている[A.R.LIBOFF.Signal shapes in electromagnetic therapies:a primer,pp.17−37 in:Bioelectromagnetic Medicine(Paul J.Rosch and Marko S.Markov,eds.)New York:Marcel Dekker(2004)]。ES段における選択された発生器からの信号は、少なくとも1つの出力段に送給され、そこで、所望の極性高電圧もしくは低電圧または高電流もしくは低電流の出力を生じるように処理され、それによって、出力段は、その意図する用途に適切な電気刺激信号を得ることができる。このシステムにはまた、治療されている物質上で動作する電気刺激信号、ならびにこの物質の中で支配的な状況を感知する種々のセンサの出力を測定および表示する測定段も含まれ、それによって、システムのユーザは、システムを手動で調整するか、フィードバックによってシステムを自動的に調整させて、ユーザが望むどのような電気刺激信号も提供し、ユーザは、次いで、治療されている物質に対するこの信号の効果を観察することができる。

0049

刺激、遮断、および/または変調インパルス信号410は、好ましくは、治療結果、すなわち、選択された神経の伝達の一部もしくは全てを刺激、遮断、および/または変調することに影響を与えるように選択される、周波数、振幅、負荷サイクル、パルス幅、パルス形状等を有する。例えば、周波数は、約15Hzから50Hz、より好ましくは、約25Hz等の、約1Hz以上であり得る。変調信号は、約20マイクロ秒以上等、約20マイクロ秒〜約1000マイクロ秒等の、治療結果に影響を与えるように選択される、パルス幅を有し得る。例えば、神経の近傍の組織内でデバイスによって誘導される電界は、10〜600V/m、好ましくは、約300V/mである。電界の勾配は、2V/m/mmより大きくなり得る。より一般には、刺激デバイスは、神経を脱分極し、活動電位伝搬の閾値に到達させるのに十分である電界を神経の近傍に生じさせ、この電界は、1000Hzで約8V/mである。

0050

開示された刺激器の目的は、神経繊維選択性および空間選択性の双方を提供することである。空間選択性は、1つには、電極構成の設計を通して達成され得、また、神経繊維選択性は、1つには、刺激波形の設計を通して達成され得るが、これら2種類の選択性は、互いに関連し合っている。これは、例えば、2つの神経が互いの近くにあるかどうかに関わらず、波形が、2つの神経の1つだけを選択的に刺激し得るので、神経の1つだけに刺激信号を集中させる必要がなくなるからである[GRILLW,and Mortimer J T.Stimulus waveforms for selective neural stimulation.IEEE Eng.Med.Biol.14(1995):375−385]。これらの方法は、局所麻酔薬の使用、圧力の印加、虚血の誘導、冷却、超音波の使用、刺激強度の段階的な増加、軸索絶対不応期の利用、および刺激遮断物の適用等の、選択的神経刺激を達成するために使用される他のものを補足するか、またはそれらと部分的に重なる[John E.SWETT,and Charles M.Bourassa.Electrical stimulation of peripheral nerve.In:Electrical Stimulation Research Techniques,Michael M.Patterson and Raymond P.Kesner,eds.Academic Press.(New York,1981)pp.243−295]。

0051

これまでのところ、迷走神経刺激(VNS)のための刺激波形パラメータの選択は、極めて経験的であり、その中では、各患者について改善されたパラメータの組を見出す目的で、いくつかの最初に成功したパラメータの組に関してパラメータを変動させる。刺激パラメータを選択するためのより効率的な手法は、自然に起こる電気波形同調させる目的で、間接的に刺激しようとする脳の領域における電気的活動を模倣する、刺激波形を選択することであり得、THOMASらに対する名称Electrotherapy device using low frequency magnetic pulsesの米国特許第US6234953号、およびGLINERらに対する名称Systems and methodsfor enhancing or affecting neural stimulation efficiency and/or efficacyの米国特許出願第US20090299435号で提案されている。また、最適な設定を求めて、反復的に刺激パラメータを変動させることもできる[Begnaudらに対する名称Threshold optimization for tissue stimulation therapyの米国特許第US7869885号]。しかしながら、本明細書で説明されるもの等のいくつかのVNS刺激波形は、試行錯誤によって発見され、次いで、それに応じて慎重に改善される。

0052

侵襲的迷走神経刺激は、一般的に、方形波パルス信号を使用する。癲癇および鬱病のVNS治療のための標準的な波形パラメータ値は、1から2mAの電流、20〜30Hzの周波数、250〜500マイクロ秒のパルス幅、および10%の負荷サイクル(30秒の信号オン時間、および5分の信号オフ時間)である。出力電流は、0.25mAから最大許容レベル(最大3.5mA)まで段階的に増加され、一般的な治療設定では、1.0〜1.5mAの範囲である。より大きい出力電流は、声の変質締め付け感、および呼吸困難を含む、副作用の増加と関連する。周波数は、一般的に、鬱病では20Hzであり、癲癇では30Hzである。治療は、各患者の治療を個別化するために、段階的で系統的な方法で調整される。片頭痛を治療するために、一般的なVNSパラメータは、0.25〜1mAの電流、30Hzの周波数、500マイクロ秒のパルス幅、および5分毎に30秒の「オン」時間である。片頭痛および癲癇を治療するために、一般的なパラメータは、1.75mA、20Hzの周波数、250マイクロ秒のパルス幅、および7秒の「オン」時間と、それに続く12秒の「オフ」時間である。軽度から中度のアルツハイマー病を治療するために、一般的なVNS波形パラメータは、0.25〜0.5mAの電流、20Hzの周波数、500マイクロ秒のパルス幅、および5分毎に30秒の「オン」時間である[ANDREWS,A.J.,2003.Neuromodulation.I,Techniques−deep brain stimulation,vagus nerve stimulation,and transcranial magnetic stimulation.Ann.N.Y.Acad.Sci.993,1−13、LABINER,D.M.,Ahern,G.L.,2007.Vagus nerve stimulation therapy in depression and epilepsy:therapeutic parameter settings.Acta.Neurol.Scand.115,23−33、G.C.ALBERT,C.M.Cook,F.S.Prato,A.W.Thomas.Deep brain stimulation,vagal nerve stimulation and transcranial stimulation:An overview of stimulation parameters and neurotransmitter release.Neuroscience and Biobehavioral Reviews 33(2009)1042−1060]。出願人は、これらの方形波形が、過剰な痛みを生じさせるため、非侵襲的VNS刺激には理想的でないことを見出した。

0053

プレパルスおよび類似の波形修正が、迷走神経および他の神経の刺激波形の選択性を改善するための方法として提案されてきたが、出願人は、それらが最適であることは見出せなかった[AleksandraVUCKOVIC,Marco Tosato,and Johannes J Struijk.A comparative study of three techniques for diameter selective fiber activation in the vagal nerve:anodal block,depolarizing prepulses and slowly rising pulses.J.Neural Eng.5(2008):275−286、Aleksandra VUCKOVIC,Nico J.M.Rijkhoff,and Johannes J.Struijk.Different Pulse Shapes to Obtain Small Fiber Selective Activation by Anodal Blocking−A Simulation Study.IEEE Transactions on Biomedical Engineering 51(5,2004):698−706、KristianHENNINGS,Selective Electrical Stimulation of Peripheral Nerve Fibers:Accommodation Based Methods.Ph.D.Thesis,Center for Sensory−Motor Interaction,Aalborg University,Aalborg,Denmark,2004]。

0054

出願人はまた、方形パルスのバーストから成る刺激波形が、非侵襲的VNS刺激に理想的でないことも見出した[M.I.JOHNSON,C.H.Ashton,D.R.Bousfield and J.W.Thompson.Analgesic effects of different pulse patterns of transcutaneous electrical nerve stimulation on cold−induced pain in normal subjects.Journal of Psychosomatic Research 35(2/3,1991):313−321、De Ridderに対する名称Stimulation design for neuromodulationの米国特許第US7734340号]。しかしながら、図2Bおよび2Cで示されるように、正弦波パルスのバーストは、好ましい刺激波形である。そこで見られるように、個々の正弦波パルスは、τの期間を有し、バーストは、N個のそのようなパルスから成る。この後には、いかなる信号も伴わない期間(バースト間期間)が続く。バーストの後にバースト間沈黙期間が続くパターンは、Tの周期でそれ自体を繰り返す。例えば、正弦波期間τは、約50μsから約1ms、好ましくは、約100μsから400μs、より好ましくは、約200マイクロ秒であり得、1バーストあたりのパルス数(N)は、約2〜20パルス、好ましくは、約4〜10パルス、より好ましくは、5パルスであり、バースト間沈黙期間がその後に続くバーストの全パターンは、約1〜100Hz、好ましくは、約10〜35Hz、より好ましくは、約25Hz、または40000マイクロ秒の周期(T)を有し得る(バーストを識別できるようにするために、図2Cでは、非常に小さいTの値が示されている)。出願人は、そのような波形が迷走神経刺激で使用されてきたことは知らないが、エリート運動選手筋力を高める手段として筋肉を刺激するために、類似する波形が使用されていた。しかしながら、筋肉強化用途について、使用される電流(200mA)は、非常に痛みを伴い得、VNSについて本明細書で開示される大きさよりも2桁大きくなり得る。

0055

これらの例示的な値がTおよびτに使用されると、波形は、現在実践されているような、経皮神経刺激波形に含まれるフーリエ成分と比較して、より高い周波数(1/200マイクロ秒=5000/sec)でかなりのフーリエ成分を含む。さらに、筋肉強化のために使用される信号は、正弦波以外(例えば、三角波)であり得、パラメータτ、N、およびTも、上で例示される値と異なり得る[A.DELITTO,M.Brown,M.J.Strube,S.J.Rose,and R.C.Lehman.Electrical stimulation of the quadriceps femoris in an elite weight lifter:a single subject experiment.Int J Sports Med 10(1989):187−191、Alex R WARD,Nataliya Shkuratova.Russian Electrical Stimulation:The Early Experiments.Physical Therapy 82(10,2002):1019−1030、Yocheved LAUFERand Michal Elboim.Effect of Burst Frequency and Duration of Kilohertz−Frequency Alternating Currents and of Low−Frequency Pulsed Currents on Strength of Contraction,Muscle Fatigue,and Perceived Discomfort.Physical Therapy 88(10,2008):1167−1176、Alex R WARD.Electrical Stimulation Using Kilohertz−Frequency Alternating Current.Physical Therapy 89(2,2009):181−190、J.PETRFSKY,M.Laymon,M.Prowse,S.Gunda,and J.Batt.The transfer of current through skin and muscle during electrical stimulation with sine,square,Russian and interferential waveforms.Journal of Medical Engineering and Technology 33(2,2009):170−181、KOFSKYらに対する名称Muscle stimulating apparatusの米国特許第US4177819号]。一例として、図2Bおよび2Cで示される電界は、17V/mのEmax値を有し得、これは、迷走神経を刺激するのに十分であるが、周りの筋肉を刺激するために必要な閾値よりも大幅に低い。

0056

既存の電極を有する本明細書で開示される刺激器を、非侵襲的電気刺激のために使用される刺激器と比較するために、最初に、電極によって生じる電界および電流の関連する物理的特性を要約することが有用である。マクスウェルの方程式マクスウェル補正を伴うアンペールの法則)によれば、

0057

であり、式中、Bは、磁界であり、Jは、電流密度であり、Eは、電界であり、εは、誘電率であり、tは、時間である[Richard P.FEYNMAN,Robert B.Leighton,and Matthew Sands.The Feynman Lectures on Physics.Volume II.Addison−Wesley Publ.Co.(Reading MA,1964),page 15−15]。

0058

ファラデーの法則によれば、

0059

である。しかしながら、本目的の場合、磁界Bの変化は無視してもよいので、

0060

となり、したがって、Eは、スカラーポテンシャルΦの勾配から求められ得る

0061

一般に、スカラーポテンシャルΦおよび電界Eは、位置(r)および時間(t)の関数である。

0062

電流密度Jも、位置(r)および時間(t)の関数であり、これは、以下のように、電界および導電率によって決定され、式中、導電率σは、一般に、テンソル量であり、位置(r)の関数である。

0063

0064

なので、マクスウェル補正を伴うアンペールの法則は、次式のように表される。

0065

基本的に非分極性である材料の中を電流が流れる場合(すなわち、誘電体ではないと推定されるのでε=0)、アンペールの法則に関する上式へのJに関する式の代入は、

0066

を与え、この式は、ラプラスの方程式の形態である。デバイス(または患者)自体の材料の導電率が、電界または電位の関数である場合、方程式は、非線形になり、これは、複数解周波数多重化、および他の当該の非線形挙動を呈し得る。方程式は、特別な電極構成に対して解析的に解かれているが、より一般的な電極構成の場合、数値的に解析されなければならない[Petrus J.CILLIERS.Analysis of the current density distribution due to surface electrode stimulation of the human body.Ph.D.Dissertation,Ohio State University,1988.(UMIMicroform Number:8820270,UMI Company,Ann Arbor MI)、Martin REICHEL,Teresa Breyer,Winfried Mayr,and Frank Rattay.Simulation of the Three−Dimensional Electrical Field in the Course of Functional Electrical Stimulation.Artificial Organs 26(3,2002):252−255、Cameron C.McINTYRE and Warren M.Grill.Finite Element Analysis of the Current−Density and Electric Field Generated by Metal Microelectrodes.Annals of Biomedical Engineering 29(2001):227−235、A.PATRICIU,T.P.DeMonte,M.L.G.Joy,J.J.Struijk.Investigation of current densities produced by surface electrodes using finite element modeling and current density imaging.Proceedings of the 23rd AnnualEMBSInternational Conference,October 25−28,2001,Istanbul,Turkey:2403−2406、Yong HU,XB Xie,LY Pang,XH Li KDK Luk.Current Density Distribution Under Surface Electrode on Posterior Tibial Nerve Electrical Stimulation.Proceedings of the 2005IEEE Engineering in Medicine and Biology 27th Annual Conference Shanghai,China,September 1−4,2005:3650−3652]。方程式はまた、異なる電極形状および数を比較するために、数値的にも解析されている[AbhishekDATTA,Maged Elwassif,Fortunato Battaglia and Marom Bikson.Transcranial current stimulation focality using disc and ring electrode configurations:FEM analysis.J.Neural Eng.5(2008)163−174、Jay T.RUBENSTEIN,Francis A.Spelman,Mani Soma and Michael F.Suesserman.Current Density Profiles of Surface Mounted and Recessed Electrodes for Neural Prostheses.IEEE Transactions on Biomedical Engineering BME−34(11,1987):864−875、David A.KSIENSKI.A Minimum Profile Uniform Current Density Electrode.IEEE Transactions on Biomedical Engineering 39(7,1992):682−692、Andreas KUHN,Thierry Keller,Silvestro Micera,Manfred Morari.Array electrode design for transcutaneous electrical stimulation:A simulation study.Medical Engineering&Physics 31(2009)945−951]。計算された電界は、模型を使用した測定値を使用して確認され得る[A.M.SAGI_DOLEV,D.Prutchi and R.H.Nathan.Three−dimensional current density distribution under surface stimulation electrodes.Med.and Biol.Eng.and Comput.33(1995):403−408]。

0067

容量効果を無視することができない場合、JおよびEに関する式をマクスウェルの修正を伴うアンペールの法則のダイバージェンスに代入することによって得られるように、電位の勾配の時間微分を含む追加的な項が、より一般的な式の中に現れる:

0068

誘電率εは、位置(r)の関数であり、一般に、テンソル量である。それは、身体の性質に起因し得、また、電極設計の性質でもあり得る[L.A.GEDDES,M.Hindsand K.S.Foster.Stimulation with capacitor electrodes.Med.and Biol.Eng.and Comput.25(1987):359−360]。そのような項の結果として、体内の複数位置での電位の波形は、一般に、電極(複数可)に印加される電圧信号(複数可)の波形に対して相対的に変化する。さらに、デバイス(または患者)自体の材料の誘電率が、電界または電位の関数である場合、方程式は、非線形になり、これは、複数解、周波数多重化、および他のそのような非線形挙動を呈し得る。この時間依存方程式は、数値的に解かれている[KUHN A,Keller T.A 3D transient model for transcutaneous functional electrical stimulation.Proc.10th Annual Conference of the International FES Society July 2005−Montreal,Canada:pp.1−3、Andreas KUHN,Thierry Keller,Marc Lawrence,Manfred Morari.A model for transcutaneous current stimulation:simulations and experiments.Med Biol Eng Comput 47(2009):279−289、N.FILIPOVIC,M.Nedeljkovic,A.Peulic.Finite Element Modeling of a Transient Functional Electrical Stimulation.Journal of the Serbian Society for Computational Mechanics 1(1,2007):154−163、Todd A.KUIKEN,Nikolay S.Stoykov,Milica Popovic,Madeleine Lowery and Allen Taflove.Finite Element Modeling of Electromagnetic Signal Propagation in a Phantom Arm.IEEE Transactions on Neural Systems and Rehabilitation Engineering 9(4,2001):346−354]。

0069

いずれの場合においても、ディクレ(D)境界条件は、電源を定め、ノイマン(N)境界条件は、皮膚から空中への交差境界線での電界の挙動を表し、次式の通りである。

0070

および

0071

式中、nは、外向き法線ベクトル、すなわち、境界曲線に対して直角のベクトルを示し、V(t)は、電極に印加される電圧を示す。したがって、いかなる導電電流も空気/導体界面を横断して流れることができないので、界面境界条件に従って、空気/導体界面に垂直な任意の電流の成分は、ゼロであるはずである。時間の関数として、Φについて上の微分方程式構築する際には、Jのダイバージェンスを取り、これは、次の連続方程式を満たし

0072

式中、ρは、電荷密度である。電荷保存則は、電荷がシステムに加えられる(注入または受容される)電極の表面以外のどの場所でも、この方程式の両辺がゼロであることを必要とする。

0073

本発明の目的は、頸部の迷走神経等の長い神経に平行に配向することができる、細長い電界効果を形成することである。本明細書で使用される「電界を形成する」という用語は、患者における所与の刺激の深さで一般に半径方向に対称でない電界またはその勾配、特に、細長いまたは指状のものとして特徴付けられる電界、また特に、電流の流れが制限される領域を最高点間の組織が含み得るように、いくつかの方向における電界の大きさが、2つ以上の空間最高点を呈し得る(すなわち、二峰性または多峰性であり得る)電界を作成することを意味する。電界を形成することは、その中に有意な電界がある領域の境界を形成すること、およびそのような領域内の電界の方向を構成することの双方を指す。本発明は、単独または組み合わせて使用され得る以下の例示的な構成(これに限定されない)を含む、上で要約した方程式内に存在する要素を構成することによって成される。

0074

第1に、電極の異なる輪郭または形状は、

0075

に影響を及ぼす。例えば、電極が平面に対して湾曲している場合、またはシステムの中に2つ以上の電極がある場合、電荷は、システムに応じて異なって加えられる(注入または受容される)。

0076

第2に、上の境界条件における電圧V(t)の値が、電界を形成するように操作される。例えば、デバイスが、互いに垂直であるか、または互いに可変角度である、2対の電極を含む場合、一方の対の電極全体にわたる電圧の波形は、第2の対の全体にわたる電圧の波形とは異なり得、よって、それらが生じる重畳された電界は、ビート周波数を呈し、これは、電極に基づく刺激器[REISSらに対する名称Interferential stimulator for applying localized stimulationの米国特許第US5512057号]、および音響刺激器[GREENLEAFらに対する名称Acoustic force generator for detection,imaging and information transmission using the beat signal of multiple intersecting sonic beamsの米国特許第US5903516号]で試みられている。

0077

第3に、上の方程式

0078

におけるスカラーポテンシャルΦは、電界を形成するように操作され得る。例えば、これは、導体/空気(または不導体)界面の境界を変化させ、それによって、異なる境界条件を作成することによって達成される。例えば、導電性材料は、患者の皮膚に接触する前に、絶縁されたメッシュの導電性開口を通過し得、それによって、一連の電界最高点を作成する。別の例として、電極は、導電性材料が充填された長いチューブの端部に配置され得るか、または電極は、導電性材料が充填された湾曲したカップの底部に位置付けられ得る。そのような場合、チューブまたはカップの寸法は、結果として生じる電界および電流に影響を及ぼす。

0079

第4に、(方程式

0080

における)導電率σは、所与の境界条件に対して互いに接触している2つ以上の異なる導電性材料を使用することによって、デバイス内で空間的に変動し得る。導電率はまた、半導体からいくつかの導電性材料を構築することによっても変動し得、これは、電界、特定の波長の光、温度、またはデバイスのユーザが制御を有する他の何らかの環境変数等の、それらの影響を受け易い作用物質に半導体を曝露することによって、空間的および時間的な導電率の調整を可能にする。半導体の導電率をゼロに到達させ得る特別な場合は、前の段落で説明したような界面境界条件の適用に近づく。

0081

第5に、例えば、患者の皮膚に対する容量性電気的連結を可能にするために、マイラー、ネオプレン二酸化チタン、またはチタン酸ストロンチウム等の高い誘電率εを有する誘電体材料が、デバイスで使用され得る。波形V(t)を変化させることとともに、誘電率を変化させることは、電位の時間微分の関数である項に誘電率が現れるので、特に、デバイスの動作に影響を及ぼす。

0082

本発明の構成において、電極は、導電性材料が充填された容器の中に位置する。一実施形態において、容器は、孔を含み、よって、導電性材料(例えば、導電性ゲル)は、その孔を通して患者の皮膚と物理的接触を行うことができる。例えば、図1の導電性媒体350は、電極を取り囲み、ゲル脱臭剤(例えば、Dial Corporation,15501 N.Dial Boulevard,Scottsdale AZ 85260によるRight Guard Clear Gelであり、その1つの組成物は、アルミニウムクロロハイドレートソルビトールプロピレングリコールポリジメチルシロキサンシリコン油シクロメチコンエタノール/SDアルコール40、ジメチコーンコポリオールアルミニウムジルコニウムテトラクロハイドレックスグリシン、および水を含む)に近い粘性および機械的整合性を有する導電性ゲルが充填された、チャンバを備え得る。ゲルは、従来の電極ゲルよりも粘性が少なく、デバイスが患者の皮膚と接触する端部に開口部のメッシュを有するチャンバの中に保持される。ゲルは、漏出することがなく、また、簡単なねじ駆動ピストン分与することができる。

0083

別の実施形態において、容器自体は、導電性エラストマー(例えば、乾燥炭素充填シリコーンエラストマー)で作製され、患者との電気的接触は、エラストマー自体を通して成され、場合により、導電性材料の追加的な外側被覆を通して成される。本発明のいくつかの実施形態において、導電性媒体は、導電性ゲルもしくは導電性粉末が充填されたバルーンであり得、またはバルーンは、変形可能な導電性エラストマーから大規模に構成され得る。バルーンは、皮膚表面に合致し、いかなる空気も除去するので、高いインピーダンス整合、および組織の中への大きい電界の導電を可能にする。

0084

寒天も導電性媒体の一部として使用することができるが、寒天は、時間的に劣化し、皮膚に対する使用に理想的でなく、また、患者が洗浄することが困難であるので好ましくない。導電性媒体として寒天を使用するのではなく、代わりに、電極を、1〜10%のNaCl等の導電性溶液の中で接触させることができ、これも、導電性界面をヒトの組織に接触させる。そのような界面は、電流が電極から組織の中へ流れることを可能にし、導電性媒体を支持するので有用であり、デバイスを完全に密閉することができる。したがって、界面は、導電性媒体と患者の皮膚との間に間置され、導電性媒体(例えば、食塩水)が該界面を通してゆっくりと漏出することを可能にし、電流が皮膚に流れることを可能にする材料である。複数の界面(図1の351)は、以下のように開示される。

0085

ある界面は、The Lubrizol Corporation,29400 Lakeland Boulevard,Wickliffe,Ohio 44092によるTecophlic等の、親水性である導電性材料を含む。この材料は、重量の10〜100%まで吸水し、それを極めて高い導電性にする一方で、最小量の流体の流れだけしか許容しない。

0086

界面として使用され得る別の材料は、標準のEEGEKG、およびTENS電極で使用されるような、ヒドロゲルである[Rylie A GREEN,Sungchul Baek,Laura A Poole−Warren and Penny J Martens.Conducting polymer−hydrogels for medical electrode applications.Sci.Technol.Adv.Mater.11(2010)014107(13pp)]。例えば、Parker Laboratories,Inc.,286 Eldridge Rd.,Fairfield NJ 07004によるSIGNAGEL Electrode Gelといった、低アレルギー性静菌性の電極ゲルであり得る。別の例は、Katecho Inc.,4020 Gannett Ave.,Des Moines IA 50321によるKM10Tヒドロゲルである。

0087

第3の種類の界面は、コンデンサを作製するために使用される材料等の、高誘電率を有する非常に薄い材料から作製され得る。例えば、マイラーは、サブミクロンの厚さで作製することができ、約3の誘電率を有する。したがって、数キロヘルツ以上の刺激周波数で、マイラーは、皮膚自体のインピーダンスと同等のインピーダンスを有するので、それを通して信号を容量結合する。したがって、組織から電極およびその中の導電性溶液を隔離するが、電流は通過することができる。

0088

図1の刺激器340は、2つの並列する同等の電極を示し、電流は、この2つに電極を反対方向に通過する。したがって、電流は、一方の電極から、組織を通り、もう一方の電極を通って戻り、互いに分離される電極の導電性媒体内で回路を完成する。この構成で2つの同等の電極を使用する利点は、この設計が、電極間の電界勾配の大きさを増加させることであり、これは、頸部の迷走神経および他の深部末梢神経等の、長くまっすぐな軸索を励起するために不可欠である。

0089

刺激器の好ましい実施形態は、図3Aで示される。その長軸に沿った刺激器の断面図は、図3Bで示される。示されるように、刺激器(30)は、2つの頭部(31)と、該頭部を接合する本体(32)とを備える。各頭部(31)は、刺激電極を含む。刺激器の本体(32)は、電極を駆動する信号を発生させるために使用される、電子構成要素および電池(図示せず)を含み、これらは、図3Bで示される絶縁板(33)の裏側に位置する。しかしながら、本発明の他の実施形態では、電極に印加される信号を発生させるための電子構成要素は、分離され得るが、ワイヤを使用して電極頭部(31)に接続され得る。さらに、本発明の他の実施形態は、単一のそのような頭部、または2つ以上の頭部を含み得る。

0090

刺激器の頭部(31)は、患者の身体表面に適用され、その間、刺激器は、ストラップまたはフレーム(図示せず)によって適所に保持され得るか、または刺激器は、手によって患者の身体に対して保持され得る。いずれの場合も、刺激電力のレベルは、オン/オフスイッチとしての役割も果たすホイール(34)で調整することができる。電力が刺激器に供給されているときには、照明(35)が点灯する。刺激器の頭部(31)のそれぞれを覆い、使用しないときにデバイスを保護し、偶発的な刺激を防止し、また、頭部内の材料が漏出または乾燥することを防止するために、任意選択キャップが提供され得る。したがって、本発明のこの実施形態において、刺激器の機械および電子構成要素(インパルス発生器、制御装置、および電源)は、コンパクトで、可搬式で、操作し易い。

0091

刺激器頭部の異なる実施形態の構成は、図4でさらに詳細に示される。ここで、図4Aで示される分解図を参照すると、電極頭部は、誘電体膜または導電性膜(42)のタンブールとしての役割を果たすスナップオン式キャップ(41)、窓割りのない円板(43)または代替として窓割りを有する円板(43’)、頭部カップ(44)、およびねじでもある電極(45)から組み立てられる。円板(43)の2つの実施形態が示される。好ましい実施形態(43)は、固体で、普通は均一な導電性の円板(例えば、ステンレス鋼などの金属)であり、いくつかの実施形態では、場合により、可撓性である。導電性界面の材料は、一般に、ステンレス鋼、ゲルマニウムチタン等の、体温で固体のままであり、かつ水または導電性流体に対して化学的に反応しない、任意の生体適合性の導電性材料とすることができる。円板の代替の実施形態(43’)も示されており、これは、電流がその開口を通過することを可能にする、非導電性(例えば、プラスチック製)開口スクリーンである。各刺激器頭部の中に見られる電極(45、また、図1の340)は、その先端部が扁平であるねじの形状を有する。先端部をらせることは、電極をより点源にし、よって、上で述べた電位に関する方程式は、遠方場近似により密接に対応する解を有し得る。電極表面を丸くすること、または電極を別の形状にすることも、同様に境界条件に影響を及ぼす。完成した刺激器頭部のアセンブリは、図4Bで示され、また、頭部が刺激器の本体(47)にどのように取り付けられるのかも示す。

0092

膜(42)は、普通は、図1で351として示される界面としての役割を果たす。例えば、膜(42)は、薄シート状のマイラー(2軸配向されたポリエチレンテレフタレート、BoPETとしても知られている)等の、誘電体(非導電性)材料で作製され得る。他の実施形態において、この膜は、Lubrizol Corporation,29400 Lakeland Boulevard,Wickliffe,Ohio 44092によるTecophlic材料のシート等の、導電性材料で作製され得る。図4Aで示される一実施形態において、代替の円板(43’)の開口は、開口され得るか、または導電性材料、例えばKatecho Inc.,4020 Gannett Ave.,Des Moines IA 50321によるKM10Tヒドロゲルで塞がれ得る。開口がそのように塞がれ、膜(42)が導電性材料で作製される場合、膜は、任意選択になり、プラグは、図1で示される界面351としての役割を果たす。

0093

頭部カップ(44)は、導電性材料(図1の350)、例えばParker Laboratories,Inc.,286 Eldridge Rd.,Fairfield NJ 07004によるSIGNAGEL Electrode Gelが充填される。刺激器のスナップオン式キャップ(41)、開口スクリーン円板(43’)、頭部カップ(44)、および本体は、アクリロニトリルブタジエンスチレン等の非導電性材料で作製される。その上面から電極までの頭部カップの深さは、1から6センチメートルであり得る。頭部カップは、図4で示される湾曲とは異なる湾曲を有し得、またはチューブ状もしくは円錐形であり得、またはノイマン境界条件に影響を及ぼす他の何らかの内面幾何学形状を有し得る。

0094

図4Cで示される刺激器頭部の代替の実施形態はまた、スナップオン式キャップ(41)、誘電体または導電性材料で作製される膜(42)、頭部カップ(44)、およびねじでもある電極(45)も含む。この代替の実施形態は、膜(42)に提供される機械的支持に関して、図4Aおよび4Bで示される実施形態とは異なる。円板(43)または(43’)は、他の実施形態において、機械的支持を膜に提供したのに対して、代替の実施形態では、補強リング(40)が膜に提供される。その補強リングは、頭部カップ(44)の中に配置される非導電性ストラット(49)上に静置され、非導電性ストラットリング(48)は、ストラットを適所で保持するために、ストラット(49)の切り欠き内に配置される。代替の実施形態の利点は、円板(43)または(43’)を伴わず、特に、膜が導電性材料で作成された場合に、膜(42)を通して電流の流れがあまり制限され得ないことである。さらに、この代替の実施形態では、ストラットおよびストラットリングが非導電材料で作製されているが、本設計は、刺激器頭部のより特殊な構成に対して、追加的な電極または他の導電性要素を頭部カップ内に位置付けるように適合され得、これを含むことは、デバイスによって発生する電界に影響を与える。完成された代替の刺激器頭部のアセンブリは、図4Dに示されるが、刺激器の本体へのその取り付けは示されない。実際に、電極(45)の頭部の下にリード線を挿入することができ、また、電極を刺激器の信号発生電子部品に取り付ける多くの他の方法が、当技術分野で知られている。

0095

膜(42)が導電性材料で作製され、図4Aの円板(43)がステンレス鋼等の固体導電性材料で作製された場合、膜は任意選択になり、円板は、図1で示される界面351としての役割を果たす。したがって、膜を伴わない実施形態は、図4Eおよび4Fで示される。このバージョンのデバイスが示される図4Eは、流体を吸収することができない固体の(しかし、いくつかの実施形態では、場合により、可撓性である)導電性円板(43)と、その中またはその上に円板が配置される非導電性刺激器頭部(44)と、ねじでもある電極(45)とを備える。図4Fで明らかなように、これらの品目は、刺激器の本体(47)に取り付けられる、密閉された刺激器頭部になるように組み立てられる。円板(43)は、刺激器頭部(44)の中へねじ込まれ得、接着剤で頭部に取り付けられ得るか、または当技術分野で知られている他の方法によって取り付けられ得る。刺激器頭部カップのチャンバは、導電性ゲル、流体、またはペーストが充填され、円板(43)および電極(45)が刺激器頭部カップ(44)に対して緊密に密閉されるので、刺激器頭部内の導電性材料は、外に漏出することができない。

0096

本発明の好ましい実施形態において、界面(図1の351または図4の42)は、コンデンサを作製するために使用される材料等の、高誘電率を有する非常に薄い材料から作製される。例えば、この界面は、サブミクロンの厚さ(好ましくは、0.5〜1.5ミクロンの範囲)を有するマイラーであり得、約3の誘電率を有する。マイラーの片側が滑らかで、反対側が顕微鏡的に粗いので、本発明は、次の2つの異なる構成を目的とする。すなわち、その構成の1つは、滑らかな側が患者の皮膚に向かって配向され、もう1つは、粗い側が同じように配向されることである。したがって、数キロヘルツ以上の刺激フーリエ周波数で、誘電体界面は、皮膚のインピーダンスと同等のインピーダンスを有するので、それ自体を通して信号を容量結合する。したがって、誘電体界面は、組織から刺激器の電極を隔離するが、それでも電流は通過することができる。本発明の好ましい実施形態において、神経の非侵襲的電気刺激は、基本的に、実質的に容量的に達成され、オーミック刺激の量を低減し、それによって、患者が組織表面感じる感覚を低減する。これは、例えば、神経を刺激するエネルギーの少なくとも30%、好ましくは、少なくとも50%が、オーミック結合ではなく、刺激器界面を通しての容量結合に由来する。換言すれば、電圧降下の実質部分(例えば、50%)は、誘電体界面全体にわたる一方で、残りの部分は組織を通してのものである。

0097

特定の例示的な実施形態において、界面および/またはその下側にある機械的支持は、デバイスの内部空間の実質的または完全な密閉も提供する。これは、ゲル等の導電性材料のデバイスの内部空間からのいかなる漏出も阻止し、また、デバイスへの流体のいかなる侵入も阻止する。加えて、この特徴は、ユーザが、(例えば、イソプロピルアルコールまたは類似する殺菌剤で)誘電体材料の表面を容易に清潔にすることを可能にし、デバイスのその後の使用中の潜在的な汚染を回避する。1つのそのような材料は、上で説明したように、ステンレス鋼円板によって支持される薄シート状のマイラーである。

0098

誘電率に対する材料の選択は、次の少なくとも2つの重要な変数を伴う。すなわち、(1)界面の厚さ、および(2)材料の誘電率である。界面が薄くなるほど、および/または材料の誘電率が高くなるほど、誘電体界面全体の電圧降下が低くなる(したがって、必要とされる駆動電圧がより低くなる)。例えば、マイラーに関して、厚さは、約0.5〜5ミクロン(好ましくは、約1ミクロン)であり、誘電率は約3であり得る。チタン酸バリウムまたはPZTジルコン酸チタン酸鉛)のような圧電材料の場合、誘電率が1000を超えるので、厚さは、約100〜400ミクロン(好ましくは、約200ミクロン、または0.2mm)であり得る。

0099

別の実施形態において、界面は、材料の透過性部分を通して電流が通過することを可能にする、流体透過性材料を含む。この実施形態において、導電性媒体(ゲル等)は、好ましくは、電極(複数可)と透過性界面との間に位置する。導電性媒体は、電子が透過性界面から界面の外面および患者の皮膚へ通過するための導電性経路を提供する。

0100

開示された刺激する非侵襲的容量性刺激器(以下、より一般的に、容量性電極と称される)の新規性の1つは、それが低電圧(一般に100ボルト未満)電源を使用することで生じ、これは、本明細書で開示される波形(図2Bおよび2C)等の好適な刺激波形の使用によって可能となる。加えて、容量性電極は、デバイスの内部空間のより十分な密閉を提供する界面の使用を可能にする。容量性電極は、その外面に少量の導電性材料(例えば、上で説明したような導電性ゲル)を適用することによって使用され得る。いくつかの実施形態において、容量性電極はまた、乾燥した皮膚に接触させることによっても使用され得、それによって、電極ゲル、ペースト、または他の電解材料を患者の皮膚に塗布するといった不便さを回避し、また、電極ペーストおよびゲルの乾燥と関連する問題を回避する。そのような乾燥電極は、特に、電極ゲルが皮膚と接触して配置された後に皮膚炎を呈する患者による使用に好適である。[Ralph J.COSKEY.Contact dermatitis caused byECGelectrode jelly.Arch Dermatol 113(1977):839−840]。容量性電極はまた、電極と皮膚との接触(ここでは、誘電率)をより均一にするために、(例えば、水道水またはより従来の電解質材料で)湿らせた皮膚に接触させるためにも使用され得る。[A LALEXELONESCU,G Barbero,F C M Freire,and R Merletti.Effect of composition on the dielectric properties of hydrogels for biomedical applications.Physiol.Meas.31(2010)S169−S182]。

0101

下で説明するように、容量性生医学的電極は、当技術分野で知られているが、非侵襲的に神経を刺激するために使用されるときに、現在は、刺激を行うために高圧電源が使用される。それ以外の場合、容量性生医学的電極のこれまでの使用は、侵襲的移植型用途、信号の監視または記録を含むが組織の刺激は含まない非侵襲的用途、神経(例えば、腫瘍)以外の何らかの刺激を含む非侵襲的用途、または、電気外科の分散電極としての用途に限定されてきた。

0102

長年にわたって未解決であった必要性の証拠、および本発明(神経の低電圧の非侵襲的容量性刺激)によって解決される課題を他の人が解決することに失敗したという証拠が、KELLERおよびKuhnによって提供された。彼らは、GEDDESらの以前の高電圧容量性刺激電極を再検討し、「容量性刺激は、誘電体材料の高電圧破壊という固有の危険性を取り除くことができれば、筋肉神経および繊維を活動させる好ましい方法である。将来の研究の目的は、高い刺激電圧下げることができるように、改良された超薄型誘電体箔の開発であり得る。」と記している。[L.A.GEDDES,M.Hinds,and K.S.Foster.Stimulation with capacitor electrodes.Medical and Biological Engineering and Computing 25(1987):359−360、Thierry KELLER and Andreas Kuhn.Electrodes for transcutaneous(surface)electrical stimulation.Journal of Automatic Control,University of Belgrade 18(2,2008):35−45,on page 39]。米国において、2005米国電気工事規程によれば、高電圧とは、600Vを超える任意の電圧であることを理解されたい。BARTROWらに対する名称Electro−physiotherapy apparatusの米国特許第US3077884号、およびHICKEYに対する名称Neuromuscular therapy deviceの米国特許第US4144893号も、高電圧容量性電極を説明している。JUOLAらに対する名称Capacitive medical electrodeの米国特許第US7904180号は、1つの意図する用途として経皮神経刺激を含む、容量性電極を説明しているが、その特許は、経皮刺激に使用される刺激電圧または刺激波形、および周波数は説明していない。PALTIに対する名称Electrodes for applying an electric field in−vivo over an extended period of timeの米国特許第US7715921号、およびPALTIに対する名称Treating a tumor or the like with an electric fieldの米国特許第US7805201号も、容量性刺激電極を説明しているが、それらは、腫瘍の治療を意図したものであり、神経を含む使用は開示しておらず、また、50kHz〜約500kHzの範囲の刺激周波数を教示していない。

0103

本発明は、超薄型誘電体箔を開発するよりも、高い刺激電圧を下げるために、すなわち、本明細書で開示される波形(図2Bおよび2C)等の好適な刺激波形を使用するために、異なる方法を使用する。その波形は、現在実践されているような経皮神経刺激に使用される波形よりも、高い周波数でかなりのフーリエ成分を有する。したがって、当業者は、経皮神経刺激が、より低い周波数でのみ、かなりのフーリエ成分を有する波形で行われ、非侵襲的容量性神経刺激が、より高い電圧で行われるので、特許請求の範囲に記載された要素を組み合わせなかった。実際に、組み合わせた要素は、単に、各要素が別々に実行する機能を行うだけではない。誘電体材料は、無ペーストまたは乾燥刺激を行うために、単独で皮膚と接触して配置され得、オーミック刺激と関連する電流密度よりも均一な電流密度であるが、刺激電圧が高い[L.A.GEDDES,M.Hinds,and K.S.Foster.Stimulation with capacitor electrodes.Medical and Biological Engineering and Computing 25(1987):359−360、YongminKIM,H.Gunter Zieber,and Frank A.Yang.Uniformity of current density under stimulating electrodes.Critical Reviews in Biomedical Engineering 17(1990,6):585−619]。波形要素に関しては、非容量性電極および容量性電極の双方について本明細書で開示するように、経皮神経刺激に現在使用されている波形よりも、高い周波数でかなりのフーリエ成分を有する波形が、深部神経を選択的に刺激し、他の神経を刺激することを回避するために使用され得る。しかし、それは、現在実践されているような高い刺激電圧を使用することなく神経を容量的に刺激することを可能にする、2つの要素(誘電体界面および波形)の組み合せである。

0104

金属生医学的電極を覆うための高誘電率材料の使用は、ジアテルミー用途について1940年にPATZOLDらによって明らかに最初に開示された[PATZOLDらに対する名称Electrode meansの米国特許第US2220269号]。1960年代および1970年代前半において、人工装具移植片として侵襲的に使用される他の(非容量性、オーミック)電極が、望ましくない電気化学的分極化を呈するという事実が、容量性電極の開示の動機となった。電極が貴金属で作製された場合、分極化は、刺激エネルギーを浪費し、これは、電極が電池式の移植片(例えば、心臓ペースメーカー)として使用されるときに問題となる。電極が非貴金属で作製された場合は、電解腐食反応も電極の表面で起こり、よって、電極が破壊され得、また、潜在的に毒性の物質が患者の体内に蓄積され得る。さらに、分極性電極の場合、電極と電解質との相互作用の性質は、望ましくない電子非線形性が起こる程度である。侵襲的に刺激するための非分極性Ag/AgCl電極の使用は、銀の毒性のため、これらの課題の解決策ではない[Wilson GREATBATCH,Bernard Piersma,Frederick D.Shannon and Stephen W.Calhoun,Jr.Polarization phenomena relating to physiological electrodes.Annals New York Academy of Science 167(1969,2):722−44]。

0105

上の考慮すべき事柄を考えて、複数の研究者が、容量性電極の移植が体液と接触する場所で中毒性産物を発生させない、容量性電極を説明した。そのような中毒性電解産物は、電極の金属が誘電体材料を絶縁することによって取り囲まれるので、容量性電極で回避される。MAUROは、絶縁ワイヤが食塩水によって取り囲まれ、その結果、該電極が神経または組織に接触する電解液直接通信する、容量性電極を説明している。電解液の通信は、流体のためのプラスチックチューブ類または単一の導管の穴によって提供される。1971年に、SCHALDACHは、酸化タンタルの薄い誘電体層金属電極先端部の表面を覆う、移植型心臓ペーシング電極を説明した。1973年および1974年に、GUYTONおよびHambrechtは、チタン酸バリウムおよび関連するセラミック誘電体テフロン登録商標)、パリレンおよびマイラー、ならびにパリレンC等の有機誘電体材料を含む、移植型刺激電極を被覆するために、他の誘電体材料を使用することを考えた[Alexander MAURO.Capacity electrode for chronic stimulation.Science 132(1960):356、Max SCHALDACH.New pacemaker electodes.Transactionsactions of the American Society for Artificial Internal Organs 17(1971):29−35、David L.GUYTON and F.Terry Hambrecht.Capacitor electrode stimulates nerve or muscle without oxidation−reduction reaction.Science 181(1973,4094):74−76、David L.GUYTON and F.Terry Hambrecht.Theory and design of capacitor electrodes for chronic stimulation.Medical and Biological Engineering 12(1974,5):613−620]。しかしながら、そのような移植型容量性電極の使用は、腐食および中毒生産物の発生に関して、該電極がいくつかの非容量性移植型電極に勝る改善を殆ど提供し得ないので、限定されていた。これは、貴金属電極、特に、プラチナおよびプラチナ−イリジウム合金で作製された電極について、ファラデー反応が表面の単一層に制限されるからであり、よって、これらの電極は、しばしば、貴金属電極界面全体にわたって電子移動が起こるという事実にもかかわらず、擬似容量性として説明される[Stuart F.Cogan.Neural Stimulation and Recording Electrodes.Annu.Rev.Biomed.Eng.10(2008):275−309]。

0106

1970年代前半の間、刺激に対して移植型容量性電極が開発されていたときに、電極ペーストまたはゼリーの使用を回避する目的で、監視または記録するための非侵襲的容量性電極も同時に開発された。そのような無ペースト電極は、外来患者クリティカルケア患者、パイロット、または宇宙飛行士からの生理学的信号の長期的な監視または記録を含む状況に対して所望される。LOPEZおよびRichardson(1969)は、ECGを記録するための容量性電極を説明した。POTTER(1970)は、EMGを記録するための、ピレンワニス誘電体を伴う容量性電極を説明した。POTTERおよびPortnoy(1972)は、統合インピーダンス変成器を伴う容量性電極を説明した。MATSUOら(1973)は、EEGを測定するための容量性電極を説明した。EVERETTら、KAUFMAN、およびFLETCHERらに対して、容量性電極またはシステムに関する特許が発行された。[Alfredo LOPEZ,Jr.and Philip C.Richardson.Capacitive electrocardiographic and bioelectric electrodes.IEEE Trans Biomed Eng.16(1969,1):99、Allan POTTER.Capacitive type of biomedical electrode.IEEE Trans Biomed Eng.17(1970,4):350−351、EVERETTらに対する名称Method and apparatus for sensing bioelectric potentialsの米国特許第US3568662号、R.M.DAVID and W.M.Portnoy.Insulated electrocardiogram electrodes.Med Biol Eng.10(1972,6):742−51、KAUFMANらに対する名称Dry contact electrode with amplifier for physiological signalsの米国特許第US3744482号、MATSUOT,Iinuma K,Esashi M.A barium−titanate−ceramics capacitive−type EEG electrode.IEEE Trans Biomed Eng 20(1973,4):299−300、FLETCHERらに対する名称Insulated electrocardiographic electrodesの米国特許第US3882846号]。

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