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技術 軸受の振動減衰装置

出願人 NTN株式会社
発明者 中村智也林奈央
出願日 2018年3月28日 (2年10ヶ月経過) 出願番号 2018-061825
公開日 2019年10月10日 (1年4ヶ月経過) 公開番号 2019-173840
状態 未査定
技術分野 振動減衰装置 軸受の支持 防振装置
主要キーワード 支持用ばね ガス圧シリンダ 予荷重ばね 宇宙科学 振動摩擦 極低温環境 ダンパ要素 積層圧電アクチュエータ
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図面 (13)

課題

球状粒子ダンパ要素にした軸受振動減衰装置において、使用する場所や状態など対応して、効果的な減衰効果が得られるようにする。

解決手段

回転機械における回転軸2を支持する軸受5の外面に、間隔をあけて配置される機器ハウジング3と、機器ハウジング3の内周面と軸受5の外面との間に隙間をあけて配置された、機器ハウジング3に対して半径方向に変位可能な内筒4と、内筒4の外周面と機器ハウジング3の内周面との間に設けられた、振動摩擦により制振作用を生じる球状粒子6を充填する収容空間7と、収容空間7の軸方向の側方に配置された、収容空間7内に充填された球状粒子6に対して軸方向の予荷重を与える予圧部材13と、予圧部材13に荷重を与えるアクチュエータ14とを備える。

概要

背景

ロケットエンジンターボポンプなどの高速回転軸では、危険速度での強制振動自励振動など、軸振動が問題になることが多い。

ジェットエンジンなどでは、回転軸振動減衰装置として、スクイーズフィルムダンパという、潤滑油粘性を用いて振動減衰効果を得るものが採用されている。

しかしながら、オイルレス機器や、極低温下で運転されるロケットエンジンターボポンプなどでは、潤滑油を用いることができない。

このため、従来、ロケットエンジンターボポンプなどの高速回転軸の振動減衰装置として、回転軸と、機器ハウジングとの間に、リング状のワイヤーメッシュを配置し、回転軸の振動によって生じた力により、リング状のワイヤーメッシュを変形させて、ワイヤー間で生じる摩擦により、振動エネルギー散逸させて、回転軸の振動を減衰させるワイヤーメッシュダンパと呼ばれている振動減衰装置が、特許文献1に開示されている。

この特許文献1に開示されているワイヤーメッシュダンパは、回転軸に減衰力直接作用させることはできるものの、ワイヤーメッシュをリング状に圧縮させて減衰作用を得るため、装置ごとにワイヤーメッシュの配置や形状が異なり易く、減衰性能にばらつきが生じるという問題がある。

また、非特許文献1には、ワイヤーメッシュダンパと同様、極低温下で作動する機器やオイルフリー機器を対象とした振動減衰装置として、球状粒子ダンパ要素にすることが紹介されている。

この非特許文献1に紹介されている球状粒子をダンパ要素にした振動減衰装置は、概ね、図12に示すような構造である。

図12に示す球状粒子20をダンパ要素にした振動減衰装置21は、回転機械における回転軸22を支持する軸受23の外面に、間隔をあけて配置される回転機械の機器ハウジング24と、この機器ハウジング24の内周面と軸受23の外面との間に配置された、機器ハウジング24に対して半径方向に変位可能な内筒25と、この内筒25の外周面と機器ハウジング24の内周面との間に設けられた、振動摩擦により制振作用を生じる球状粒子20を充填した収容空間26と、この収容空間26の軸方向の端部に配置された、収容空間26内に充填された球状粒子20に対して軸方向の予荷重を与える予圧リング27と、予圧リング27に予荷重を与える予荷重ばね28とを備えている。

この球状粒子20をダンパ要素にした振動減衰装置21は、回転機械における回転軸22にラジアル方向の軸振動が発生すると、軸受23を介して内筒25に半径方向の変位が生じ、その変位によって収容空間26内の球状粒子20が流動し、この流動により、球状粒子20どうし、球状粒子20と内筒25との間、球状粒子20と機器ハウジング24との間で摩擦が発生し、この摩擦によって振動エネルギーが散逸し、ダンパとしての役割を果たす。

球状粒子20をダンパ要素にした場合、その特性に影響を及ぼすと考えられるパラメータは、球状粒子20の粒子直径、内筒25の外径、機器ハウジング24の内径、収容空間26の長さ、予荷重ばね28による予荷重、球状粒子20の粒子材料、球状粒子20どうし、および機器との摩擦係数表面材質で管理)であり、これらは工業的に特性管理が可能であり、ワイヤーメッシュダンパに比べて品質定性の向上が期待できる。

上記した非特許文献1に開示された構造の振動減衰装置は、効果的に高い減衰性能を得るためには、予荷重を大きくすることが必要と考えられる。これは、球状粒子を収容した収容空間内において、球状粒子20に対して軸方向に与える予荷重を大きくすると、球状粒子に密接して圧力がかかり、球状粒子間の摩擦力が大きくなることで、減衰効果を大きくすることができるからである。

概要

球状粒子をダンパ要素にした軸受の振動減衰装置において、使用する場所や状態など対応して、効果的な減衰効果が得られるようにする。回転機械における回転軸2を支持する軸受5の外面に、間隔をあけて配置される機器ハウジング3と、機器ハウジング3の内周面と軸受5の外面との間に隙間をあけて配置された、機器ハウジング3に対して半径方向に変位可能な内筒4と、内筒4の外周面と機器ハウジング3の内周面との間に設けられた、振動摩擦により制振作用を生じる球状粒子6を充填する収容空間7と、収容空間7の軸方向の側方に配置された、収容空間7内に充填された球状粒子6に対して軸方向の予荷重を与える予圧部材13と、予圧部材13に荷重を与えるアクチュエータ14とを備える。

目的

この発明は、球状粒子をダンパ要素にした振動減衰装置において、使用する場所や状態など対応して、効果的な減衰効果が得られるようにすることを課題とする

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

回転機械における回転軸を支持する軸受の外面に、間隔をあけて配置される機器ハウジングと、この機器ハウジングの内周面と軸受の外面との間に隙間をあけて配置された、機器ハウジングに対して半径方向に変位可能な内筒と、この内筒の外周面と機器ハウジングの内周面との間に設けられた、振動摩擦により制振作用を生じる球状粒子充填する収容空間と、この収容空間の軸方向の側方に配置された、収容空間内に充填された球状粒子に対して軸方向の予荷重を与える予圧部材と、この予圧部材に荷重を与えるアクチュエータと、を備えることを特徴とする軸受の振動減衰装置

請求項2

前記球状粒子を充填する収容空間を、周方向に等配に設けた複数の円弧状の凹所とし、各凹所に対応してそれぞれ配され、各凹所内の球状粒子に対して軸方向の予荷重を与える円弧状の予圧部材と、各予圧部材にそれぞれ対応して設けられたアクチュエータとを有し、各予圧部材をアクチュエータでそれぞれ荷重を与えることを特徴とする請求項1に記載の軸受の振動減衰装置。

請求項3

前記球状粒子を充填する収容空間を、環状の凹所とし、前記収容空間内に充填された球状粒子に対して軸方向に予圧を与えるリング状予圧部材を配し、リング状予圧部材に対して周方向に等配に設けた複数のアクチュエータで荷重を与えることを特徴とする請求項1に記載の軸受の振動減衰装置。

請求項4

前記アクチュエータを、積層圧電アクチュエータ又はソレノイド若しくはガス圧シリンダのいずれかで構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の軸受の振動減衰装置。

技術分野

0001

この発明は、ロケットエンジンターボポンプなどの高速回転軸を支持する軸受振動を抑制する軸受の振動減衰装置に関するものである。

背景技術

0002

ロケットエンジンターボポンプなどの高速回転軸では、危険速度での強制振動自励振動など、軸振動が問題になることが多い。

0003

ジェットエンジンなどでは、回転軸の振動減衰装置として、スクイーズフィルムダンパという、潤滑油粘性を用いて振動減衰効果を得るものが採用されている。

0004

しかしながら、オイルレス機器や、極低温下で運転されるロケットエンジンターボポンプなどでは、潤滑油を用いることができない。

0005

このため、従来、ロケットエンジンターボポンプなどの高速回転軸の振動減衰装置として、回転軸と、機器ハウジングとの間に、リング状のワイヤーメッシュを配置し、回転軸の振動によって生じた力により、リング状のワイヤーメッシュを変形させて、ワイヤー間で生じる摩擦により、振動エネルギー散逸させて、回転軸の振動を減衰させるワイヤーメッシュダンパと呼ばれている振動減衰装置が、特許文献1に開示されている。

0006

この特許文献1に開示されているワイヤーメッシュダンパは、回転軸に減衰力直接作用させることはできるものの、ワイヤーメッシュをリング状に圧縮させて減衰作用を得るため、装置ごとにワイヤーメッシュの配置や形状が異なり易く、減衰性能にばらつきが生じるという問題がある。

0007

また、非特許文献1には、ワイヤーメッシュダンパと同様、極低温下で作動する機器やオイルフリー機器を対象とした振動減衰装置として、球状粒子ダンパ要素にすることが紹介されている。

0008

この非特許文献1に紹介されている球状粒子をダンパ要素にした振動減衰装置は、概ね、図12に示すような構造である。

0009

図12に示す球状粒子20をダンパ要素にした振動減衰装置21は、回転機械における回転軸22を支持する軸受23の外面に、間隔をあけて配置される回転機械の機器ハウジング24と、この機器ハウジング24の内周面と軸受23の外面との間に配置された、機器ハウジング24に対して半径方向に変位可能な内筒25と、この内筒25の外周面と機器ハウジング24の内周面との間に設けられた、振動摩擦により制振作用を生じる球状粒子20を充填した収容空間26と、この収容空間26の軸方向の端部に配置された、収容空間26内に充填された球状粒子20に対して軸方向の予荷重を与える予圧リング27と、予圧リング27に予荷重を与える予荷重ばね28とを備えている。

0010

この球状粒子20をダンパ要素にした振動減衰装置21は、回転機械における回転軸22にラジアル方向の軸振動が発生すると、軸受23を介して内筒25に半径方向の変位が生じ、その変位によって収容空間26内の球状粒子20が流動し、この流動により、球状粒子20どうし、球状粒子20と内筒25との間、球状粒子20と機器ハウジング24との間で摩擦が発生し、この摩擦によって振動エネルギーが散逸し、ダンパとしての役割を果たす。

0011

球状粒子20をダンパ要素にした場合、その特性に影響を及ぼすと考えられるパラメータは、球状粒子20の粒子直径、内筒25の外径、機器ハウジング24の内径、収容空間26の長さ、予荷重ばね28による予荷重、球状粒子20の粒子材料、球状粒子20どうし、および機器との摩擦係数表面材質で管理)であり、これらは工業的に特性管理が可能であり、ワイヤーメッシュダンパに比べて品質定性の向上が期待できる。

0012

上記した非特許文献1に開示された構造の振動減衰装置は、効果的に高い減衰性能を得るためには、予荷重を大きくすることが必要と考えられる。これは、球状粒子を収容した収容空間内において、球状粒子20に対して軸方向に与える予荷重を大きくすると、球状粒子に密接して圧力がかかり、球状粒子間の摩擦力が大きくなることで、減衰効果を大きくすることができるからである。

0013

特開平3−41211号公報

先行技術

0014

2015年10月07日開催の日本航空宇宙学会における宇宙科学技術連合講演会講演集の「ターボポンプ用粒子ダンパの開発」と題する論文

発明が解決しようとする課題

0015

ところで、非特許文献1で紹介されている球状粒子20をダンパ要素にした振動減衰装置21では、予荷重ばね28の付勢力を用いることで予圧リング27に予荷重を与えている。予荷重ばね28の付勢力は、材料、大きさ等で決まる。

0016

使用する場所や状態などにより、要求される減衰性能は異なるが、上記した予荷重ばね28を用いたものでは、予荷重ばね28の付勢力で予荷重は決まる。このため、予荷重を変える場合には、予荷重ばね28を交換する必要があるなど、減衰性能の調整に手間がかかるなどの問題がある。

0017

そこで、この発明は、球状粒子をダンパ要素にした振動減衰装置において、使用する場所や状態など対応して、効果的な減衰効果が得られるようにすることを課題とするものである。

課題を解決するための手段

0018

前記の課題を解決するために、この発明は、回転機械における回転軸を支持する軸受の外面に、間隔をあけて配置される機器ハウジングと、この機器ハウジングの内周面と軸受の外面との間に隙間をあけて配置された、機器ハウジングに対して半径方向に変位可能な内筒と、この内筒の外周面と機器ハウジングの内周面との間に設けられた、振動摩擦により制振作用を生じる球状粒子を充填する収容空間と、この収容空間の軸方向の側方に配置された、収容空間内に充填された球状粒子に対して軸方向の予荷重を与える予圧部材と、この予圧部材に荷重を与えるアクチュエータと、を備えることを特徴とする。

0019

この発明は、アクチュエータの動作を制御することで、予圧部材に与える荷重を調整する。荷重を調整することで、収容空間に充填された球状粒子の予荷重が調整され、ダンパとしての減衰力を調整できる

0020

また、前記球状粒子を充填する収容空間を、周方向に等配に設けた複数の円弧状の凹所とし、各凹所に対応してそれぞれ配され、各凹所内の球状粒子に対して軸方向の予荷重を与える円弧状の予圧部材と、各予圧部材にそれぞれ対応して設けられたアクチュエータとを有し、各予圧部材をアクチュエータでそれぞれ荷重を与えるように構成すればよい、

0021

各アクチュエータの予圧部材に与える荷重の大きさをそれぞれ対応して変化させることにより、回転軸の振動が周方向に異方性が出た場合にも、振動に適した減衰力を与えることができる。

0022

また、前記球状粒子を充填する収容空間を、環状の凹所とし、前記収容空間内に充填された球状粒子に対して軸方向に予荷重を与えるリング状予圧部材を配し、リング状予圧部材に対して周方向に等配に設けた複数のアクチュエータでリング状予圧部材に荷重を負荷するように構成すればよい。

0023

また、前記アクチュエータを、積層圧電アクチュエータ又はソレノイド若しくはガス圧シリンダのいずれかで構成することができる。

0024

前記球状粒子は、SUS440CまたはSi3N4からなるものを使用することができ、すべて同一サイズであるもの、または、異なるサイズのものを組み合わせて使用してもよい。

発明の効果

0025

以上のように、この発明に係る軸受の振動減衰装置では、適正な予荷重をアクチュエータにより与えることで、運転条件毎に.減衰効果を適正に制御することができる。

図面の簡単な説明

0026

この発明に係る球状粒子をダンパ要素にした振動減衰装置の第1の実施形態を示す概略断面図である。
図1の球状粒子を充填した収容空間部分の拡大図である。
図1の振動減衰装置の機器ハウジングと内筒との関係を示す斜視図である。
図1のA−A線で断面した概略断面図である。
この発明の第1の実施形態の振動減衰装置に用いられる予圧部材を示す斜視図である。
この発明の第1の実施形態の振動減衰装置をアクチュエータの方向から見た概略説明図である。
この発明の第1の実施形態の振動減衰装置に用いられるアクチュエータとして積層圧電アクチュエータを用いた場合の構成を示す拡大説明図である。
この発明の第1の実施形態の振動減衰装置に用いられるアクチュエータとしてソレノイドを用いた場合の構成を示す拡大説明図である。
この発明の第1の実施形態の振動減衰装置に用いられるアクチュエータとしてガス圧シリンダを用いた場合の構成を示す拡大説明図である。
この発明の第2の実施形態の振動減衰装置の収納凹所を示す概略説明図である。
この発明の第2の実施形態の振動減衰装置をアクチュエータの方向から見た略説明図である。
非特許文献1に紹介されている球状粒子をダンパ要素にした振動減衰装置の概略図である。

実施例

0027

以下、この発明に係る球状粒子をダンパ要素にした振動減衰装置1の第1の実施形態を添付図面に基づいて説明する。

0028

図1に示すように、この実施形態の回転機械における回転軸2は、円筒形の機器ハウジング3の内周面に、内筒4と軸受5を介して回転可能に支持されている。この実施形態においては、軸受5として、内輪5aと、外輪5bと、内輪5aと外輪5bの間に収容される転動体5cとからなる転がり軸受を使用している。

0029

前記機器ハウジング3の内周面と内筒4の外周面との間には、ダンパ要素である球状粒子6を収容する収容空間7が設けられている。

0030

前記機器ハウジング3および内筒4を形成する材質としては、ニッケル合金、SUS304、SUS304L、SUS316、SUS16L、SUS316LNなどを使用することができる。

0031

内筒4の軸方向の一端には、内筒4を機器ハウジング3に対して半径方向に変位可能に支持し、内筒4を機器ハウジング3の軸に一致させるように弾性支持する内筒支持用ばね8が周方向に等間隔で設けられている。

0032

内筒支持用ばね8は、図1および図3に示すように、機器ハウジング3の軸方向の外方に延びる突出片8aと、この突出片8aの外方端から半径方向の外径側に屈曲する屈曲片8bと、この屈曲片8bの外径端から軸方向に折り返された折返し片8cとからなるコ字形をしており、折返し片8cの端部が機器ハウジング3の外径部に係合している。

0033

機器ハウジング3の内周面の一端には、収容空間7の一方の端面を形成する内向きフランジ3aが形成され、この内向きフランジ3aの内周面と、内筒4の外周面との間には、内筒4の半径方向の変位を可能にする隙間aを設けており、この隙間aはダンパ要素である球状粒子6が漏れ出さない大きさに設定されている。

0034

前記内筒支持用ばね8が係合する機器ハウジング3の外周面と反対側の外周面には、半径方向の外径に向かって突出する固定フランジ3bが形成され、この固定フランジ3bに、前記収容空間7の他方の端面を形成するリング板9がボルト10によって固定されている。

0035

このリング板9は、機器ハウジング3の内周面と内筒4との間に嵌まり込む係合部9aが設けられている。

0036

図1及び図2に示すように、係合部9aの収容空間7側端部と収容空間7との間に、軸方向の予荷重を与える予圧部材13とこの予圧部材13に荷重を与えるアクチュエータ14が配置される。

0037

予圧部材13の内周面と内筒4の外周面、アクチュエータ14の内周側と内筒4の外周面との間には、内筒4の半径方向の変位を可能にする隙間bを設けており、この隙間bはダンパ要素である球状粒子6が漏れ出さない大きさに設定されている。

0038

前記収容空間7には、球状粒子6が充填されている。球状粒子6としては、例えば、粒子直径が1mm程度の鋼球(SUS440C)やセラミック球(Si3N4)などを使用することができる。前記球状粒子6は、すべて同一サイズでもよいし、異なるサイズの組み合わせでもよい。

0039

ところで、ロケットエンジンターボポンプは、燃焼器推進剤を圧送する回転機械であり、推進剤として主に液体酸素および液体水素を使用するため、回転軸2の軸受5の近傍は極低温環境になる。このような、極低温で使用される機器の場合、極低温環境にする前に、球状粒子6を充填した収容空間7内の空気に含まれる水分が凍らないように、収容空間7内の空気を、推進剤のガス(例えば、水素ガス酸素ガス)で置換しておくことが望ましい。

0040

このため、図1に示す形態では、前記収容空間7の内部と外部環境とを繋ぐ空気抜き用流路15を機器ハウジング3とリング板9との間に設置している。

0041

また、前記空気抜き用流路15の出口耐粉塵フィルタを設置することが好ましい。

0042

次に、球状粒子6をダンパ要素にした振動減衰装置の作用について説明する。

0043

図1の矢印X1に示すように、振動によって軸変位が生じた場合、加振力は軸受5を通じて、内筒4を矢印X2に示すように、半径方向に変動させる。この内筒4の変動により、内筒4と機器ハウジング3との間の収容空間7に充填された球状粒子6が流動し、球状粒子6どうし、球状粒子6と内筒4間、球状粒子6と機器ハウジング3との間でそれぞれ摩擦が生じ、この摩擦によって振動エネルギーが散逸し、振動が減衰される。

0044

この発明は、アクチュエータ14の動作を制御し、予圧部材13に与える荷重を調整する。荷重を調整することで、収容空間7に充填された球状粒子6の予荷重が調整され、ダンパとしての減衰力が調整できる。球状粒子6を収容した収容空間7内において、球状粒子6に対して軸方向に与える予荷重を大きくすると、球状粒子6が密接して圧力がかかり、球状粒子6間の摩擦力が大きくなることで、減衰効果(減衰力)が大きくなる。

0045

この発明では、運転条件毎に、適した減衰効果を得る予荷重を与えるように、アクチュエータ14が予圧部材13に与える荷重の大きさを制御する。

0046

図4に示すように、この第1の実施形態の収容空間7は、周方向に等配に設けた複数の円弧状の凹所71〜74からなる。この実施形態では4個の凹所71、72、73、74を有している。そして、この凹所71、72、73、74にそれぞれ球状粒子6が充填されている。

0047

この第1の実施形態においては、図5に示すような各凹所71、72、73、74の形状に合った円弧状の予圧部材13が用いられる。そして、各凹所71、72、73、74に軸方向の予荷重を与える円弧状の予圧部材13をそれぞれ配する。

0048

図6に示すように、各予圧部材13にそれぞれアクチュエータ14が連結される。各アクチュエータ14は駆動制御装置14aにより制御され、各予圧部材13に独立して荷重を与えることができる。

0049

凹所71に充填された球状粒子6を予圧部材13とアクチュエータ14により、所定の予荷重を与えることにより、減衰力F1が得られる。同様に、凹所72に充填された球状粒子6を予圧部材13とアクチュエータ14により、所定の予荷重を与えることにより、減衰力F2が、凹所73に充填された球状粒子6を予圧部材13とアクチュエータ14により、所定の予荷重を与えることにより、減衰力F3が、凹所74に充填された球状粒子6を予圧部材13とアクチュエータ14により、所定の予荷重を与えることにより、減衰力F4が得られる。

0050

ところで、回転軸2の振動が周方向に異方性が出る場合がある。このような場合には、駆動制御装置140が各アクチュエータ14の予圧部材13に与える荷重の大きさをそれぞれ対応して変化させることにより、振動に適した減衰力を与えることができる。

0051

この実施形態で用いるアクチュエータ14の例につき図7図9を参照して説明する。図7は、アクチュエータ14として、複数の圧電素子を積層した積層圧電アクチュエータ141を用いている。駆動制御装置140は、積層圧電アクチュエータ141に与える電流を制御し、予荷重の大きさを制御する。

0052

図8は、アクチュエータ14として、ソレノイド142を用いている。駆動制御装置140は、ソレノイド142に与える電流を制御し、予荷重の大きさを制御する。

0053

図9は、アクチュエータ14として、ガス圧シリンダ143を用いている。駆動制御装置140は、ガス圧シリンダ143のガス圧を制御し、予荷重の大きさを制御する。

0054

上記したように、この実施形態では、アクチュエータ14として、積層圧電アクチュエータ又はソレノイド若しくはガス圧シリンダのいずれかを用いている。これらの機器を用いれば、オイルレス機器や、極低温下で運転されるロケットエンジンターボポンプなどの用途でも問題なく駆動できる。

0055

次に、この発明の第2の実施形態につき、図10及び図11を参照して説明する。この第2の実施形態は、収容空間7を環状の凹所70に形成している。そして、環状の凹所70内に球状粒子6を充填している。

0056

環状の凹所70一端に軸方向に予荷重を与えるためのリング状の予圧部材13bを配置している。

0057

リング状の予圧部材13bの周方向に等配に、複数のアクチュエータ14、この実施形態では、90度おきに4個のアクチュエータ14を配している。4個のアクチュエータ14を駆動制御装置140で制御する。即ち、運転条件毎に、適した減衰効果を得る予荷重を与えるように、各アクチュエータ14に与える予荷重の大きさを制御する。

0058

以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。

0059

1 :振動減衰装置
2 :回転軸
3 :機器ハウジング
3a :内向きフランジ
4 :内筒
5 :軸受
6 :球状粒子
7 :収容空間
71、72、73、74:凹所
13、13b :予圧部材
14 :アクチュエータ
14a :駆動制御装置

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