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技術 ガス吹き用プラグ及びその製造方法

出願人 黒崎播磨株式会社
発明者 大内龍哉山本正樹
出願日 2019年3月12日 (1年11ヶ月経過) 出願番号 2019-044565
公開日 2019年10月10日 (1年4ヶ月経過) 公開番号 2019-173163
状態 未査定
技術分野 酸化物セラミックスの組成1 鋳造前の予備処理と金属の鋳造 鋳造用とりべ セラミック製品3 溶融状態での鋼の処理
主要キーワード 突き込み 断面イメージ 外周側表面 事前成形 ガスバブル アムスラー試験機 截頭円錐形状 焼付く
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年10月10日)のものです。
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図面 (4)

課題

金属板の変形等の問題点を解決しつつ,ガス吹き用プラグ引き抜き時に金属板外周側の緻密質耐火物層の,当該金属板の動きへの追従性を高めること,すなわち緻密質耐火物層を前記金属板と一緒に引き抜くことが可能なガス吹き用プラグを提供すること。

課題手段

耐火物層間の境界部に金属板2を備えるガス吹き用プラグにおいて,金属板2と金属板2の外周側の緻密質耐火物層(外周耐火物層)3との間に,金属板2と外周耐火物層3とを接着する機能を有する接着層4を設けた。

概要

背景

ガス吹き用プラグは,溶鋼容器内の溶鋼中へガスを吹き込み,溶鋼攪拌することで溶鋼温度や成分の均一化,非金属介在物の浮上除去などの精錬処理を実施する機能性耐火物である。
通常,ガス吹き用プラグは繰り返し使用され その寿命は5〜30回であり,その最も重要な特性はガスバブルの安定的な吐出性である。すなわちガス吹き用プラグにおいては,所定のガス吐出領域から所定の大きさ,量のガスバブルを溶鋼中に安定的に吹き込むことが必要である。

このガスバブルの安定的な吐出性を確保するために,ガス吹き用プラグ中心付近通気性耐火物の外周側に金属板を配置して,外周側へのガス漏れを抑制又は防止する構造を有するガス吹き用プラグがある。
ガス吹き用プラグはその使用後に新しいガス吹き用プラグへ交換するところ,このような外周側に金属板を配置したガス吹き用プラグではその金属板が溶鋼容器底部の羽口融着してガス吹き用プラグの引き抜き等取り外しが困難になることがある。
そこで,この金属板の外周側に緻密質耐火物を配置,その緻密質耐火物を最外周面としているものがある。

ガス吹き用プラグの交換作業においては,ガス吹き用プラグの金属板からなるケース(以下「金属ケース」ともいう。)に接続したガス供給用パイプ荷重をかけて溶鋼容器の底部から引き抜く方法が一般的である。
このような方法においては,金属ケースよりガス吹き用プラグの中心側にある耐火物は金属ケースと一緒に引き抜くことができるが,金属板と耐火物との接着力が弱いこともあって,金属ケースの外側の耐火物の少なくとも一部が羽口に焼付く等により,羽口側に残存することがある。
新しいガス吹き用プラグを装着するためにはこの残存物を除去する必要があるが,この除去作業時に羽口に損傷を生じたり,この残存物の除去や羽口の補修作業が加わることにより整備時間が長くなって精錬鋳造工程に支障が生じることがある。

このような最外周の緻密質耐火物とガス吹き用プラグの金属部分との一体性を高めて,最外周の緻密質耐火物が羽口側に残存することを抑制することを目的として,特許文献1には,「ガス吹き用プラグ本体の外周面を包囲する筒状の鉄皮(金属ケースに相当)と,鉄皮の外周面に一体的に固定された補強部材と,耐火物層に接触するように鉄皮の外周面に被覆された筒状のキャスタブル層とで構成され,補強部材はキャスタブル層に埋設されキャスタブル層を補強していることを特徴とする溶湯用吹込ポーラスガス吹き用プラグ」が開示されている。

概要

金属板の変形等の問題点を解決しつつ,ガス吹き用プラグの引き抜き時に金属板外周側の緻密質耐火物層の,当該金属板の動きへの追従性を高めること,すなわち緻密質耐火物層を前記金属板と一緒に引き抜くことが可能なガス吹き用プラグを提供すること。耐火物層間の境界部に金属板2を備えるガス吹き用プラグにおいて,金属板2と金属板2の外周側の緻密質耐火物層(外周耐火物層)3との間に,金属板2と外周耐火物層3とを接着する機能を有する接着層4を設けた。

目的

本発明が解決しようとする課題は,前述の特許文献1に関する問題点を解決しつつ,ガス吹き用プラグの引き抜き時に金属板外周側の緻密質耐火物層の,当該金属板の動きへの追従性を高めること,すなわち緻密質耐火物層を前記金属板と一緒に引き抜くことが可能なガス吹き用プラグを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

耐火物層間の境界部に金属板を備えるガス吹き用プラグにおいて,前記金属板と当該金属板の外周側の緻密質耐火物層(以下「外周耐火物層」という。)との間に,前記金属板と前記外周耐火物層とを接着する機能を有する層(以下「接着層」という。)を備えているガス吹き用プラグ。

請求項2

前記接着層は珪酸塩を含有する,請求項1に記載のガス吹き用プラグ。

請求項3

前記珪酸塩は水ガラス由来である,請求項2に記載のガス吹き用プラグ。

請求項4

前記接着層は,粒度が0.5mm以下のアルミナ系,アルミナ−シリカ系,ジルコン系スピネル系又は珪酸系の少なくとも1種以上の耐火原料粒子を合計で10質量%以下含有する,請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のガス吹き用プラグ。

請求項5

前記接着層は正リン酸又はリン酸塩を含有する,請求項1に記載のガス吹き用プラグ。

請求項6

前記接着層は,粒度が0.5mm以下のアルミナ系,アルミナ−シリカ系,ジルコン系,スピネル系又は珪酸系の少なくとも1種以上の耐火原料粒子を合計で60質量%以上70質量%以下含有する,請求項5に記載のガス吹き用プラグ。

請求項7

前記接着層の最大厚みが0.5mm以上2mm以下である,請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のガス吹き用プラグ。

請求項8

前記接着層の少なくとも一部は,前記外周耐火物層と凹凸接合した部分を備えている,請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のガス吹き用プラグ。

請求項9

請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のガス吹き用プラグの製造方法であって,前記金属板の内周側に通気性耐火物を配置し,前記金属板の外周側に珪酸塩又は正リン酸若しくはリン酸塩を含む材料にて接着層を形成し,前記接着層の形成後に熱処理工程を経ることなく,前記接着層を覆うように外周耐火物層を設置する工程を含む,ガス吹き用プラグの製造方法。

請求項10

前記の珪酸塩を含む材料は水ガラスである,請求項9に記載のガス吹き用プラグの製造方法。

請求項11

前記水ガラスは,SiO2/R2O(R:アルカリ金属)のモル比が2.35以上3.35以下であり,正リン酸はH3PO4のオルトリン酸であり,リン酸塩はAl2O3/P2O5で示すモル比が0.25以上0.40以下である,請求項10に記載のガス吹き用プラグの製造方法。

請求項12

前記の外周耐火物層を設置する工程は,不定形耐火物流し込み,突き込み又は吹き付けのいずれかを含む,請求項9から請求項11のいずれか一項に記載のガス吹き用プラグの製造方法。

技術分野

0001

本発明は,取鍋タンディッシュなどの溶鋼容器の底部に取り付けられるガス吹き用プラグ,及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

ガス吹き用プラグは,溶鋼容器内の溶鋼中へガスを吹き込み,溶鋼攪拌することで溶鋼温度や成分の均一化,非金属介在物の浮上除去などの精錬処理を実施する機能性耐火物である。
通常,ガス吹き用プラグは繰り返し使用され その寿命は5〜30回であり,その最も重要な特性はガスバブルの安定的な吐出性である。すなわちガス吹き用プラグにおいては,所定のガス吐出領域から所定の大きさ,量のガスバブルを溶鋼中に安定的に吹き込むことが必要である。

0003

このガスバブルの安定的な吐出性を確保するために,ガス吹き用プラグ中心付近通気性耐火物の外周側に金属板を配置して,外周側へのガス漏れを抑制又は防止する構造を有するガス吹き用プラグがある。
ガス吹き用プラグはその使用後に新しいガス吹き用プラグへ交換するところ,このような外周側に金属板を配置したガス吹き用プラグではその金属板が溶鋼容器底部の羽口融着してガス吹き用プラグの引き抜き等取り外しが困難になることがある。
そこで,この金属板の外周側に緻密質耐火物を配置,その緻密質耐火物を最外周面としているものがある。

0004

ガス吹き用プラグの交換作業においては,ガス吹き用プラグの金属板からなるケース(以下「金属ケース」ともいう。)に接続したガス供給用パイプ荷重をかけて溶鋼容器の底部から引き抜く方法が一般的である。
このような方法においては,金属ケースよりガス吹き用プラグの中心側にある耐火物は金属ケースと一緒に引き抜くことができるが,金属板と耐火物との接着力が弱いこともあって,金属ケースの外側の耐火物の少なくとも一部が羽口に焼付く等により,羽口側に残存することがある。
新しいガス吹き用プラグを装着するためにはこの残存物を除去する必要があるが,この除去作業時に羽口に損傷を生じたり,この残存物の除去や羽口の補修作業が加わることにより整備時間が長くなって精錬鋳造工程に支障が生じることがある。

0005

このような最外周の緻密質耐火物とガス吹き用プラグの金属部分との一体性を高めて,最外周の緻密質耐火物が羽口側に残存することを抑制することを目的として,特許文献1には,「ガス吹き用プラグ本体の外周面を包囲する筒状の鉄皮(金属ケースに相当)と,鉄皮の外周面に一体的に固定された補強部材と,耐火物層に接触するように鉄皮の外周面に被覆された筒状のキャスタブル層とで構成され,補強部材はキャスタブル層に埋設されキャスタブル層を補強していることを特徴とする溶湯用吹込ポーラスガス吹き用プラグ」が開示されている。

先行技術

0006

特開2002−3931号公報

発明が解決しようとする課題

0007

前述の特許文献1のような補強部材を有する構造のガス吹き用プラグでは,ガス吹き用プラグを引き抜く際に,金属ケースの外周側のキャスタブル層を当該金属ケースの動き追従させる効果は得られる。
しかしながら,この構造の場合は,
1.金属ケースに補強部材を設置する際に金属ケースに変形が生じ易く,ガス吹き用プラグ本体(通気性耐火物)との接触部の密着性を損なう虞がある,
2.金属ケースに補強部材を設置すると,キャスタブル耐火物流し込む空間に異物が多数存在することになって,キャスタブル耐火物の施工作業性が低下する,
3.金属ケースに補強部材を設置すると,キャスタブル耐火物を流し込む空間に異物が多数存在することになって,キャスタブル耐火物の流動性充填性が低下して品質不良(脆弱部欠陥等)を生じ易くなる,
4.金属ケースに補強部材を設置するために多大な手間とコストを必要とする,
等の問題点がある。

0008

本発明が解決しようとする課題は,前述の特許文献1に関する問題点を解決しつつ,ガス吹き用プラグの引き抜き時に金属板外周側の緻密質耐火物層の,当該金属板の動きへの追従性を高めること,すなわち緻密質耐火物層を前記金属板と一緒に引き抜くことが可能なガス吹き用プラグを提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明は金属板とその外周側の緻密質耐火物層との接着性を高めることを基本とする。
すなわち本発明の要旨は,次の1から8のガス吹き用プラグ,及び9から12のガス吹き用プラグの製造方法である。
1.
耐火物層間の境界部に金属板を備えるガス吹き用プラグにおいて,前記金属板と当該金属板の外周側の緻密質耐火物層(以下「外周耐火物層」という。)との間に,前記金属板と前記外周耐火物層とを接着する機能を有する層(以下「接着層」という。)を備えているガス吹き用プラグ。
2.
前記接着層は珪酸塩を含有する,前記1に記載のガス吹き用プラグ。
3.
前記珪酸塩は水ガラス由来である,前記2に記載のガス吹き用プラグ。
4.
前記接着層は,粒度が0.5mm以下のアルミナ系,アルミナ−シリカ系,ジルコン系スピネル系又は珪酸系の少なくとも1種以上の耐火原料粒子を合計で10質量%以下含有する,前記1から前記3のいずれか一項に記載のガス吹き用プラグ。
5.
前記接着層は正リン酸又はリン酸塩を含有する,前記1に記載のガス吹き用プラグ
6.
前記接着層は,粒度が0.5mm以下のアルミナ系,アルミナ−シリカ系,ジルコン系,スピネル系又は珪酸系の少なくとも1種以上の耐火原料粒子を合計で60質量%以上70質量%以下含有する,前記5に記載のガス吹き用プラグ。
7.
前記接着層の最大厚みが0.5mm以上2mm以下である,前記1から前記6のいずれか一項に記載のガス吹き用プラグ。
8.
前記接着層の少なくとも一部は,前記外周耐火物層と凹凸接合した部分を備えている,前記1から前記7のいずれかに記載のガス吹き用プラグ。
9.
前記1から前記8のいずれかに記載のガス吹き用プラグの製造方法であって,前記金属板の内周側に通気性耐火物を配置,前記金属板の外周側に珪酸塩又は正リン酸若しくはリン酸塩を含む材料にて接着層を形成し,前記接着層の形成後に熱処理工程を経ることなく,前記接着層を覆うように外周耐火物層を設置する工程を含む,ガス吹き用プラグの製造方法。
10.
前記の珪酸塩を含む材料は水ガラスである,前記9に記載のガス吹き用プラグの製造方法。
11.
前記水ガラスは,SiO2/R2O(R:アルカリ金属)のモル比が2.35以上3.35以下であり,正リン酸はH3PO4のオルトリン酸であり,リン酸塩はAl2O3/P2O5で示すモル比が0.25以上0.40以下である,前記10に記載のガス吹き用プラグの製造方法。
12.
前記の外周耐火物層を設置する工程は,不定形耐火物流し込み,突き込み又は吹き付けのいずれかを含む,前記9から前記11のいずれか一項に記載のガス吹き用プラグの製造方法。

発明の効果

0010

本発明により,ガス吹き用プラグを溶鋼容器の底部(羽口)から引き抜く際に,外周耐火物層が羽口に残存することなく,外周耐火物層をその内側の金属板と一緒に引き抜くことができる。
しかも,特許文献1のように金属ケースに補強部材を設置する必要がないので,金属ケースに補強部材を設置する際の金属ケースの変形が生じることもなく,ガス吹き用プラグ本体(通気性耐火物)との接触部の密着性を損なう虞もなく,キャスタブル耐火物等を施工する場合に作業性が低下することもなく,キャスタブル耐火物の流動性や充填性が低下に起因する品質不良(脆弱部,欠陥等)も生じ難く,補強部材を設置するための多大な手間とコストも不要となる。

図面の簡単な説明

0011

本発明のガス吹き用プラグの一実施形態を示す断面イメージ図。
図1のガス吹き用プラグを羽口から引き抜くときの状態を説明する断面イメージ図。
接着層を備えていないガス吹き用プラグ(比較例)を羽口から引き抜くときの状態を説明する断面イメージ図。

実施例

0012

図1は,本発明のガス吹き用プラグの一実施形態を示す断面イメージ図である。
同図において,ケース状の金属板2の内周側に通気性耐火物層1が配置され,この金属板2の外周側に接着層4を介して外周耐火物層(緻密質耐火物層)3が配置されている。なお,通気性耐火物層1にはガス導入管5が接続されており,この通気性耐火物層1の上端面からガスが吐出するようになっている。
このように本発明では,金属板2と外周耐火物層3とが接着層4を介して接合されているから,図2に示しているように,ガス吹き用プラグを溶鋼容器底部の羽口6から引き抜く際に,外周耐火物層3が羽口6に残存することなく,外周耐火物層3をその内側の金属板2と一緒に引き抜くことができる。

0013

以下,接着層として金属板に水ガラス又は正リン酸若しくはリン酸塩の一種である第一リン酸アルミニウムを含有する液を塗布して形成したものを用い,外周耐火物層(緻密質耐火物層)としてキャスタブル耐火物を用いる場合を例に挙げて,本発明の実施の形態を詳細に説明する。

0014

なお,ここで「緻密質耐火物」とはガス流通ないし吹き込み部分を成す多孔質の通気性耐火物に比較して,ガス透過性が小さい特性を備えた耐火物をいう。

0015

水ガラスは,一般分子式としてR2O・nSiO2・mH2Oによって表わされ,RはNa,K,Li等のアルカリ金属を表わし,係数nはSiO2のモル数を表わす。工業的にはnが0.5〜4.2の範囲のものが生産されており,一般的にはnが2〜4程度のものが多く使用されている。係数mはH2Oのモル数を表わし,約2.0〜3.5の範囲のものが市販されている。

0016

この水ガラスは,SiO2/R2O(R:アルカリ金属)のモル比が2.35以上3.35以下である2号水ガラス(粘性約200mPa・s)や3号水ガラス(粘性約80mPa・s)を使用することが最も好ましい。
なお,この2号水ガラスのJIS R 2212−1〜5に準拠した1050℃の熱処理後の化学成分は,SiO2が51質量%以上61質量%以下,アルカリ金属酸化物が17質量%以上25質量%以下である。

0017

正リン酸は,H3PO4のオルトリン酸を使用した。
また,第一リン酸アルミニウムは,一般化学式としてAl2O3・3P2O5・6H2Oによって表わされ,工業的にはAl2O3/P2O5で示すモル比が0.25〜0.40のものが市販されている。
本実施形態で使用した第一リン酸アルミニウムは,P2O5=30質量%以上32質量%以下,Al2O3=6.8質量%以上7.8質量%以下で,モル比が0.33,粘性は約25mPa・sのものである。

0018

金属板への塗布作業時には,ガス吹き用プラグの中に設置する場合の塗布対象である金属板は概ね截頭円錐状であることから,その置いた方向に拘わらず,いずれかの面が下方向すなわち重力により下がる方向になる。そのため,水ガラスには塗布作業時に流れ落ちない程度の保形性が必要である。
また,塗布等により水ガラスを金属板の表面全体に薄く設置するためには,その展延性も必要であることから,粘性は低すぎず,高過ぎないことが好ましい。
主としてこれらの理由から,水ガラスとしては2号又は3号が好ましく,そのほかでは正リン酸又は第一リン酸アルミニウムが好ましい。

0019

次に,ガス吹き用プラグの製造方法について説明すると,例えば2号水ガラス(粘性約200mPa・s)又は正リン酸若しくは第一リン酸アルミニウムを含有する液を截頭円錐形状の金属板の外周側表面全体に刷毛塗り,吹き付け,浸漬等の方法により,0.5〜2mmの厚みで塗布する。その後,熱処理工程を経ることなく,当該截頭円錐形状の金属板の外周側に緻密質耐火物からなる外周耐火物層の厚みに相当する空間を形成して,その外側に鋳型を設置し,振動を加えながらキャスタブル耐火物を鋳込む。
このように接着層としての水ガラス層又は正リン酸若しくは第一リン酸アルミニウムを含有する層を熱処理しないで,キャスタブル耐火物を鋳込むことは,この接着層が柔らかい状態を維持している間にキャスタブル耐火物と接触させることを意味する。この柔らかい接着層にキャスタブル耐火物が接することにより接着層にキャスタブル内の粗骨材(例えば最大粒子サイズが5mm)の突起部分が食い込む。
この現象により接着層と外周耐火物層との接触面は凹凸状となり,接着面積が拡大すると共に複雑かつ不規則な形状の粒子面が接着層を固定することになって,いわゆるアンカー効果による接着力が増大する。

0020

接着層の厚さは,外周耐火物層に接着し,又は外周耐火物層と反応して,この外周耐火物層と一体化若しくはその気孔内に吸収される等による変化を考慮すると,最大厚みで約0.5mm以上約2mm以下程度が好ましい。
この変化の程度は,接着層自体の化学組成及び外周耐火物層の化学組成,粒子構成,又は気孔率等の物性等々によっても異なるので,これら組み合わせにおける変化に応じて接着層の厚さを適宜最適化すればよい。

0021

なお,珪酸塩含有の接着層の基本部分となる材料としては,2号水ガラス以外にも,SiO2/R2O比の異なる水ガラス(1号,3号,4号)や,RがNaの他K,Liのものも使用することができる。また,水ガラスの他に粉末珪酸アルカリを水で溶解させることもできる。
また,接着層の基本部分となる材料としては,前述の正リン酸や第一リン酸アルミニウムの適用も可能である。
これら接着層の材料には,粘性,保形性等を高める機能を高めるため,アルミナ,シリカ,ジルコニアなどの無機耐火原料デキストリンセルロース類等の各種有機物や,各種粘土又は無機質若しくは有機質の繊維等を加えることができる。

0022

キャスタブル耐火物の鋳込み終了後,約一日間養生ないし自然乾燥後,ドライヤーにて300℃以上の温度にて熱処理を行う。この熱処理にて 前述の水ガラス層が強固になり,強固な接合状態を得ることができる。

0023

珪酸塩含有の接着層には,この層の強度向上のために,一般的に使用される珪酸アルカリの硬化剤,例えばMg,Ca等の成分を含有する酸化物水酸化物等を添加することができる。
さらに珪酸塩含有の接着層又は正リン酸若しくは第一リン酸アルミニウムを含有する接着層には,これらの層の設置作業時の保形性や展延性改善,強度向上,耐火性耐食性等を向上させるため,設定する接着層の厚さ以下の大きさ以下,好ましくは0.5mm以下の大きさ(粒度)の耐火原料粒子を含有させることができる。また展延性等を維持又は確保するためには,耐火原料粒子の大きさ(粒度)は約0.2mm以下であることがより好ましい。

0024

この耐火原料粒子は,粒子相互,接着層内の主な構成物質(珪酸塩),金属板等との間でも焼結や反応に寄与して接着層及び金属板との接着性を確保し又は高めるためには,酸化物であることが好ましい。

0025

この耐火原料粒子の含有割合が高くなると,展延性や均一性が低下することもあり,接着層に不連続な部位が発生して亀裂が発生することもあるので,珪酸塩含有の接着層の場合,その接着層中に合計で約10質量%以下であることが好ましい。一方,正リン酸又は第一リン酸アルミニウムを含有する接着層の場合,その接着層中に合計で約60質量%以上約70質量%以下であることが好ましい。

0026

これら耐火原料粒子は,焼結,電融等の人工又は天然にかかわらず,複数種を一又は複数含有させることができる。これら耐火原料粒子の具体例としては,コランダムを主とするアルミナ系,ムライトシリマナイト族,カオリナイトその他の粘土・シャモットロー石陶石等のアルミナ−シリカ系,ジルコン系,スピネル系,石英クリストバライトトリジマイトガラス等の珪酸系等を使用することができる。

0027

外周耐火物層(緻密質耐火物層)はキャスタブル耐火物に限らず,事前成形した耐火物(以下「事前成形体」ともいう。)でもよく,又は吹き込み,突き込み等他の施工形態の不定形耐火物でもよい。事前成形体の場合は,接着層との接触面をできるだけ凹凸状にして接着層との接着強度を高めることが好ましい。

0028

<実施例>
以下,具体的な実施例によって本発明の実施形態の例を説明する。
120×70×1.2mmtの平板状の金属板を金枠底部に置き,その金属板表面に水ガラス,又は水ガラスや正リン酸,第一リン酸アルミニウムに耐火原料粒子を含んだ液刷毛により塗布し,塗布終了後に連続してキャスタブル耐火物を30mmの高さまで加振しながら鋳込んだ。その状態で一日養生(硬化及び自然乾燥)した後,電気炉にて1200℃×1時間にて熱処理し,その後,金属板とキャスタブル耐火物との接合強度調査した。

0029

キャスタブル耐火物は,最大粒子の大きさが5mm,粒度5〜1mmの粒子の割合が約50質量%,Al2O3含有量が約90質量%,CaO含有量が約2質量%,1000℃熱処理後の見掛け気孔率が約16%,1000℃熱処理後の曲げ強度が約4MPaのアルミナ−マグネシア系のものを使用した。

0030

このような水ガラスや正リン酸,第一リン酸アルミニウムに耐火原料粒子を含んだ液を塗布する際の作業性(金属板への塗布作業性)は,展延性の良い場合を○,やや難がある場合を△として評価した。この「やや難がある」場合は,塗布作業自体に力を要する等の塗り難さに加え,少ない作業での均一性を確保し難い場合,すなわちいわゆる塗りムラが生じ易い場合を含む。

0031

接着層と外周耐火物層を模したキャスタブル耐火物との接着の強弱指標として,前述のとおり120×70×1.2mmtの金属板に水ガラス塗布層を介して鋳込んだキャスタブル耐火物の1200℃熱処理後サンプルについて,アムスラー試験機にて縦軸方向に荷重をかけ両者が剥離するまでの剪断強度を測定し,この測定値を「接合強度」として評価した。

0032

実機での確認は,各例のガス吹き用プラグ使用後の交換のため引き抜き時に,外周耐火物層(キャスタブル耐火物層)も一緒に引き抜くことができるか否かを,できる場合を○,不十分な場合を×として評価した。

0033

表1及び表2に各例の構成及び評価結果を示す。

0034

0035

0036

実施例1〜8は2号水ガラスを基本とする例である。
実施例1は2号水ガラス単体での塗布であり,塗布作業性は良好で塗膜の均一性もあり塗膜厚みも約1〜2mmを確保することができた。接合強度は2.1MPaを得,接着層を有しない従来技術である比較例1の<0.1に比較して大幅に向上した。

0037

実施例2〜8は水ガラス2号に酸化物耐火原料粒子を含有させた例である。酸化物耐火原料粒子はいずれも目開き0.212mmのいを通過する大きさのものを使用した。
酸化物耐火原料粒子の含有量が10質量%以下の実施例2〜6ではいずれも,酸化物耐火原料粒子を含有しない場合(実施例1)よりも接合強度が高くなったが,酸化物耐火原料粒子の含有量が10質量%を超えると(実施例7,8),金属板への塗布作業性(展延性等)に劣り始め,塗布面にムラが発生し,このため接合強度が低下傾向となった。このため実施例7,8については実機での確認(引き抜き試験)は実施しなかった。

0038

実施例9〜14は3号水ガラスを基本とする例である。2号水ガラスを基本とする前述の実施例1〜8と同様の傾向であった。

0039

実施例15〜17は第一リン酸アルミニウムを基本とする例である。この第一リン酸アルミは水ガラスと比べ,粘性が低く(約25mPa・s),このままでは金属板への塗布作業時に下方へダレ落ちする虞があるため粘性向上の目的で,酸化物耐火原料粒子を含有させた。
酸化物耐火原料粒子としては,目開き0.212mmの篩いを通過する大きさのアルミナ微粉末を使用した。実施例15〜17に示すように,このアルミナ微粉末の含有量は60質量%以上70質量%以下において塗布作業性は良好で塗膜の均一性もあり塗膜厚みも約1〜2mmを確保することができた。
このアルミナ微粉末の含有量が70質量%以下の実施例15〜17では,水ガラスを適用した系(実施例1〜14)よりも接合強度が高くなる傾向となったが,アルミナ微粉末等の酸化物耐火原料粒子の含有量が70質量%を超えると粘性が高くなり,金属板への塗布作業性(展延性等)に劣り始め,塗布面にムラが発生し,このため接合強度が低下傾向となる。また,酸化物耐火原料粒子の含有量が60質量%を下回ると粘性が低くなり,金属板への塗布作業性(展延性等)に劣り始め,塗布面にムラが発生し,このため接合強度が低下傾向となる。
よって第一リン酸アルミニウムを適用する場合は酸化物耐火原料粒子の含有量は60質量%以上70質量%以下が望ましい。その結果,第一リン酸アルミニウムの含有量は30質量%以上40質量%以下となる。

0040

次に実施例18〜20は正リン酸を適用した例である。正リン酸も第一リン酸アルミニウムと同レベルの低粘性(約48mPa・s)であるため,このままでは金属板への塗布作業時に下方へダレ落ちする虞があるため粘性向上の目的で,酸化物耐火原料粒子を含有させた。
酸化物耐火原料粒子としては実施例15〜17と同様に,目開き0.212mmの篩いを通過する大きさのアルミナ微粉末を使用した。その結果,このアルミナ微粉末の含有量は60質量%以上70質量%以下において塗布作業性は良好で塗膜の均一性もあり塗膜厚みも約1〜2mmを確保することができた。
このアルミナ微粉末の含有量が70質量%以下の実施例18〜20では,水ガラスを適用した系(実施例1〜14)よりも接合強度が高くなる傾向となったが,第一リン酸アルミニウムの場合と同様に,酸化物耐火原料粒子の含有量が70質量%を超えると粘性が高くなり,金属板への塗布作業性(展延性等)に劣り始め,塗布面にムラが発生し,このため接合強度が低下傾向となる。また,酸化物耐火原料粒子の含有量が60質量%を下回ると粘性が低くなり,金属板への塗布作業性(展延性等)に劣り始め,塗布面にムラが発生し,このため接合強度が低下傾向となる。
よって正リン酸を適用する場合においても酸化物耐火原料粒子の含有量は60質量%以上70質量%以下が望ましい。その結果,正リン酸の含有量は30質量%以上40質量%以下となる。

0041

実機での確認(引き抜き試験)は,接着層を有しない従来技術である比較例1がガス吹き用プラグと一緒に外周耐火物層(キャスタブル耐火物)を引き抜くことができなかったのに対し(概念的には図3参照),実機での確認に供しなかった実施例7,8,13,14を除き,いずれの実施例も,ガス吹き用プラグと一緒に外周耐火物層(キャスタブル耐火物)を引き抜くことができた(概念的には図2参照)。

0042

1通気性耐火物層(多孔質耐火物層
2金属板(金属ケース)
3外周耐火物層(緻密質耐火物層,キャスタブル耐火物層)
4接着層(珪酸塩含有層
5ガス導入管
6 羽口

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