図面 (/)

技術 フェライト焼結磁石

出願人 TDK株式会社
発明者 森田啓之池田真規村川喜堂村瀬琢
出願日 2018年3月28日 (2年1ヶ月経過) 出願番号 2018-062087
公開日 2019年10月10日 (6ヶ月経過) 公開番号 2019-172502
状態 未査定
技術分野 磁性セラミックス 硬質磁性材料
主要キーワード 微粉砕材 アークセグメント ロッド振動 フェライト永久磁石 XRF法 家電機器用 マグネトロン管 微粉砕粒子
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年10月10日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (7)

課題

高い残留磁束密度を有するフェライト焼結磁石を提供すること。

解決手段

フェライト焼結磁石2は、六方晶構造を有するフェライトを含む複数の主相粒子5を備え、主相粒子5のうち、コア7とコア7を覆うシェル9とを有するコアシェル構造粒子5Aの数が、コアシェル構造粒子5A以外の主相粒子5の数よりも少ない。

概要

背景

酸化物から形成される永久磁石としては、六方晶系のマグネトプランバイト型M型)Srフェライト又はBaフェライト等のフェライト焼結磁石が知られている(下記特許文献1参照)。永久磁石の磁気特性を評価するための指標としては、一般に、残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)が用いられ、Br及びHcJが高いフェライト焼結磁石が求められる。

概要

高い残留磁束密度を有するフェライト焼結磁石を提供すること。フェライト焼結磁石2は、六方晶構造を有するフェライトを含む複数の主相粒子5を備え、主相粒子5のうち、コア7とコア7を覆うシェル9とを有するコアシェル構造粒子5Aの数が、コアシェル構造粒子5A以外の主相粒子5の数よりも少ない。

目的

本発明は、高い残留磁束密度を有するフェライト焼結磁石を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

六方晶構造を有するフェライトを含む複数の主相粒子を備えるフェライト焼結磁石であって、前記主相粒子のうち、コアと前記コアを覆うシェルとを有するコアシェル構造粒子の数が、前記コアシェル構造粒子以外の前記主相粒子の数よりも少ない、フェライト焼結磁石。

請求項2

Srの含有量の単位が、原子%であり、前記コアにおけるSrの含有量が、前記シェルにおけるSrの含有量よりも高い、請求項1に記載のフェライト焼結磁石。

請求項3

Caの含有量の単位が、原子%であり、前記シェルにおけるCaの含有量が、前記コアにおけるCaの含有量よりも高い、請求項1又は2に記載のフェライト焼結磁石。

請求項4

Srの含有量の単位が、原子%であり、Caの含有量の単位が、原子%であり、前記コアにおけるSrの含有量が、前記コアにおけるCaの含有量よりも高い、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフェライト焼結磁石。

請求項5

Srの含有量の単位が、原子%であり、Caの含有量の単位が、原子%であり、前記シェルにおけるCaの含有量が、前記シェルにおけるSrの含有量よりも高い、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフェライト焼結磁石。

請求項6

前記フェライト焼結磁石に含まれる金属成分の少なくとも一部が、下記式(1)で表され、Ca1−w−x−yRwSrxBayFezCom(1)、前記式(1)中のRは、希土類元素及びBiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、Rは少なくともLaを含み、前記式(1)中のw、x、y、z及びmは、下記式(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)及び(9)を満たし、0.25<w<0.5(2)、0.01<x<0.35(3)、0≦y<0.013(4)、y<x(5)、8.5<z<9.9(6)、1.0<w/m<2.1(7)、0.017<m/z<0.055(8)、0<1−w−x−y<1(9)、前記フェライト焼結磁石は、Si成分を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフェライト焼結磁石。

請求項7

前記式(1)中のw、x及びmは、下記式(2a)、(3a)及び(10)を満たし、0.350<w<0.420(2a)0.120<x<0.180(3a)0.200<m<0.280(10)前記フェライト焼結磁石におけるBの含有量が、H3BO3換算で0.037〜0.181質量%である、請求項6に記載のフェライト焼結磁石。

請求項8

前記フェライト焼結磁石におけるAlの含有量が、Al2O3換算で0.05〜0.3質量%である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のフェライト焼結磁石。

技術分野

0001

本発明は、フェライト焼結磁石に関する。

背景技術

0002

酸化物から形成される永久磁石としては、六方晶系のマグネトプランバイト型M型)Srフェライト又はBaフェライト等のフェライト焼結磁石が知られている(下記特許文献1参照)。永久磁石の磁気特性を評価するための指標としては、一般に、残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)が用いられ、Br及びHcJが高いフェライト焼結磁石が求められる。

先行技術

0003

特許第3263694号公報

発明が解決しようとする課題

0004

上記特許文献1には、フェライト焼結磁石を構成する主相粒子中心近傍よりも粒界近傍においてLa又はCoが高濃度で存在することにより、異方性の大きい磁性相が粒界近傍に存在し、フェライト焼結磁石の優れた磁気特性が得られ易いことが開示されている。しかしながら、本発明者らは、結晶粒子中心近傍と粒界近傍の組成が異なる主相粒子がフェライト焼結磁石全体の磁気特性を損ない得ることを発見し、以下の本発明に至った。

0005

本発明は、高い残留磁束密度を有するフェライト焼結磁石を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明の一側面に係るフェライト焼結磁石は、六方晶構造を有するフェライトを含む複数の主相粒子を備えるフェライト焼結磁石であって、主相粒子のうち、コアとコアを覆うシェルとを有するコアシェル構造粒子の数が、コアシェル構造粒子以外の主相粒子の数よりも少ない。

0007

Srの含有量の単位が、原子%であってよく、コアにおけるSrの含有量が、シェルにおけるSrの含有量よりも高くてよい。

0008

Caの含有量の単位が、原子%であってよく、シェルにおけるCaの含有量が、コアにおけるCaの含有量よりも高くてよい。

0009

Srの含有量の単位が、原子%であってよく、Caの含有量の単位が、原子%であってよく、コアにおけるSrの含有量が、コアにおけるCaの含有量よりも高くてよい。

0010

Srの含有量の単位が、原子%であってよく、Caの含有量の単位が、原子%であってよく、シェルにおけるCaの含有量が、シェルにおけるSrの含有量よりも高くてよい。

0011

フェライト焼結磁石に含まれる金属成分の少なくとも一部が、下記式(1)で表されてよく、
Ca1−w−x−yRwSrxBayFezCom (1)、
式(1)中のRは、希土類元素及びBiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であってよく、Rは少なくともLaを含んでよく、
式(1)中のw、x、y、z及びmは、下記式(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)及び(9)を満たしてよく、
0.25<w<0.5 (2)、
0.01<x<0.35 (3)、
0≦y<0.013 (4)、
y<x (5)、
8.5<z<9.9 (6)、
1.0<w/m<2.1 (7)、
0.017<m/z<0.055 (8)、
0<1−w−x−y<1 (9)、
フェライト焼結磁石は、Si成分を含んでよい。

0012

式(1)中のw、x及びmは、下記式(2a)、(3a)及び(10)を満たしてよく、
0.350<w<0.420 (2a)
0.120<x<0.180 (3a)
0.200<m<0.280 (10)
フェライト焼結磁石におけるBの含有量が、H3BO3換算で0.037〜0.181質量%であってよい。

0013

フェライト焼結磁石におけるAlの含有量が、Al2O3換算で0.05〜0.3質量%であってよい。

発明の効果

0014

本発明によれば高い残留磁束密度を有するフェライト焼結磁石が提供される。

図面の簡単な説明

0015

図1中の(a)は、本発明の一実施形態に係るフェライト焼結磁石の模式的な斜視図であり、図1中の(b)は、図1に示されるフェライト焼結磁石の断面の模式図(b−b線方向の矢視図)である。
図2は、図1中の(b)に示されるフェライト焼結磁石の断面の一部(領域II)の模式的な拡大図である。
図3中の(a)は、本発明の実施例1のフェライト焼結磁石の断面の一部の画像(走査型電子顕微鏡撮影された断面)であり、図3中の(b)は、比較例1のフェライト焼結磁石の断面の一部の画像(走査型電子顕微鏡で撮影された断面)である。
図4は、本発明の実施例1のフェライト焼結磁石の断面の一部の画像(透過型電子顕微鏡で撮影された断面)である。
図5は、本発明の実施例2のフェライト焼結磁石の断面の一部の画像(透過型電子顕微鏡で撮影された断面)である。
図6は、本発明の実施例3のフェライト焼結磁石の断面の一部の写真(透過型電子顕微鏡で撮影された断面)である。

0016

以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。図面の説明においては、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明については省略することとする。本発明は下記実施形態に限定されるものではない。

0017

(フェライト焼結磁石)
図1中の(a)は、本実施形態に係る直方体状のフェライト焼結磁石2(フェライト永久磁石)の模式的な斜視図であり、図1中の(b)は、フェライト焼結磁石2の断面2csの模式図であり、図2は、フェライト焼結磁石2の断面2csの一部(領域II)の拡大図である。フェライト焼結磁石2の形状は、直方体に限定されない。例えば、フェライト焼結磁石2の形状は、アークセグメント形、C字形形、平板円柱及び弓形からなる群より選ばれる一種であってよい。

0018

図2に示されるように、フェライト焼結磁石2は、六方晶構造を有するフェライトを含む複数の主相粒子5(結晶粒子)を備える。フェライト焼結磁石2は、複数の主相粒子5と、主相粒子5の間に位置する粒界相と、を含む。フェライト焼結磁石2の磁気特性が向上し易いことから、フェライト焼結磁石2における主相粒子5の体積の割合は、例えば、90体積%以上100体積%未満、又は95体積%以上100体積%未満であってよい。

0019

主相粒子5は、結晶質であってよい。主相粒子5は、主相(フェライト相)として、六方晶構造を有するマグネトプランバイト型(M型)フェライトを含んでよい。フェライト焼結磁石2(主相粒子5)に含まれる金属成分の少なくとも一部は、下記式(1)で表されてよい。換言すれば、マグネトプランバイト型フェライト(主相)を構成する金属成分の少なくとも一部は、下記式(1)で表されてよい。
Ca1−w−x−yRwSrxBayFezCom (1)

0020

式(1)中のRは、希土類元素及びBiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、Rは少なくともLaを含む。希土類元素は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種であればよい。フェライト焼結磁石2がRとしてLaのみを含む場合、フェライト焼結磁石2において異方性磁界が形成され易く、フェライト焼結磁石2の磁気特性が向上し易い。

0021

フェライト焼結磁石2は、上記式(1)で表される金属成分に加えて、Mn、Mg、Ni、Cu及びZnからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含んでよい。フェライト焼結磁石2がMn、Ni及びZnからなる群より選ばれる少なくとも1種とCoとを含む場合、フェライト焼結磁石2の磁気特性がより向上し易い。フェライト焼結磁石2がMとしてCoのみを含む場合、フェライト焼結磁石2において異方性磁界が形成され易く、フェライト焼結磁石2の磁気特性が特に向上し易い。

0022

式(1)中の原子比率モル比)w、x、y、z及びmは、下記式(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)及び(9)を満たしてよい。
0.25<w<0.5 (2)
0.01<x<0.35 (3)
0≦y<0.013 (4)
y<x (5)
8.5<z<9.9 (6)
1.0<w/m<2.1 (7)
0.017<m/z<0.055 (8)
0<1−w−x−y<1 (9)

0023

主相粒子5に含まれるマグネトプランバイト型フェライトは、上記式(1)で表される金属成分の酸化物である。例えば、マグネトプランバイト型フェライトは下記式(1a)で表されてよい。ただし、下記式(1a)におけるOのモル比は19に限定されず、マグネトプランバイト型フェライトの六方晶構造が成り立つ限りにおいて、Oの原子比率(モル比)は19以外の値であってよい。つまり、フェライト焼結磁石2又は主相粒子5の一部分において、Oの原子比率(モル比)が19の近傍でばらついてもよい。
Ca1−w−x−yRwSrxBayFezComO19 (1a)

0024

フェライト焼結磁石2は、上述の主相以外の副成分として、少なくともSi成分を含む。

0025

フェライト焼結磁石2(主相粒子5)に含まれる金属成分が、上記式(1)で表され、且つフェライト焼結磁石2がSi成分を含むことにより、フェライト焼結磁石2のBr及びHcJが増加し易く、フェライト焼結磁石2のHk/HcJが1になり易い。上記式(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)及び(9)其々とフェライト焼結磁石2の磁気特性との関係は、後述される。

0026

図2に示されるように、フェライト焼結磁石2に含まれる複数の主相粒子5のうち、一部の主相粒子5は、コア7と、コア7を覆うシェル9と、を有するコアシェル構造粒子5Aであってよい。コア7の表面の一部分のみが、シェル9で覆われていてよい。換言すれば、コア7の表面の他の一部分は、シェル9で覆われることなく、粒界相と接していてもよい。コア7の全体がシェル9で覆われていてもよい。コアシェル構造粒子5Aが、複数のコア7を内包していてもよい。

0027

コアシェル構造粒子5Aと、コアシェル構造粒子5A以外の主相粒子5とは、走査型電子顕微鏡(SEM)によって撮影されたフェライト焼結磁石2の断面2csの画像において識別することが可能である。例えば、図3中の(a)に示されるように、SEMによって撮影されたフェライト焼結磁石2の断面において、コア7の色は、コア7を囲むシェル9の色よりも濃い。つまり、SEMによって撮影されたコアシェル構造粒子5Aの断面では、色の濃淡によって明確に識別されるコア7とシェル9とが観察される。コア7とシェル9との間の色の濃淡は、コア7とシェル9との間の組成の違いに起因する。一方、コアシェル構造粒子5A以外の主相粒子5の断面の色は、ほぼ一様である。つまりコアシェル構造粒子5A以外の主相粒子5の内部の組成は、ほぼ一様であってよい。コアシェル構造粒子5A以外の主相粒子の内部において、Ca、R、Sr、Ba、Fe及びMからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素の濃度の勾配又はがあってもよい。

0028

フェライト焼結磁石2に含まれる主相粒子5のうち、コアシェル構造粒子5Aの数は、コアシェル構造粒子5A以外の主相粒子5の数よりも少ない。例えば、フェライト焼結磁石2に含まれる全ての主相粒子5のうち、コアシェル構造粒子5Aの総数は、コアシェル構造粒子5A以外の主相粒子5の総数よりも少なくてよい。つまり、フェライト焼結磁石2に含まれる主相粒子5のうち、コアシェル構造粒子5Aの個数の割合は、50%未満である。

0029

従来は、主相粒子中心近傍よりも粒界近傍においてLa又はCoが高濃度で存在することにより、異方性の大きい磁性相が粒界近傍に存在し、フェライト焼結磁石の優れた磁気特性が得られ易いことが知られていた。このような従来の知見に反して、フェライト焼結磁石(主相粒子)に含まれる金属成分が上記式(1)で表される場合には、主相粒子の中心近傍と粒界近傍と間で組成が異なることによってフェライト焼結磁石全体の磁気特性が損なわれ得ることを本発明者らは発見した。そして本発明者らは、コアシェル構造粒子5Aの個数が主相粒子5の総数の50%未満であることにより、粒子内におけるLa、Co及びCa其々の含有量(濃度)がほぼ均一である主相粒子5の割合が高まり、結果として、フェライト焼結磁石2のBr及びHcJが高まり易いことを発見した。

0030

フェライト焼結磁石2のBr及びHcJの両方が高まり易いことから、主相粒子5の総数に対するコアシェル構造粒子5Aの個数の割合は、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%、21.4%以下、20%以下、15%以下、14.3%以下、10%以下、5%、又は1%以下であってよい。主相粒子5の総数に対するコアシェル構造粒子5Aの個数の割合が小さいほど、フェライト焼結磁石2のBr及びHcJの両方が高まり易い傾向がある。コアシェル構造粒子5Aの個数の割合は、0%以上であってよい。フェライト焼結磁石2は、コアシェル構造粒子5Aを含まなくてもよい。

0031

コアシェル構造粒子5Aの個数の割合は、フェライト焼結磁石2の断面から無作為選定された領域(走査型電子顕微鏡の視野領域)内において観察された主相粒子5及びコアシェル構造粒子5A其々の数から算出されてよい。また、コアシェル構造粒子5Aの個数の割合は、無作為に選定された50個以上の主相粒子5を総数として、この中に含まれるコアシェル構造粒子5Aの数から算出されてよい。

0032

コア7は、La、Sr、Co及びCaを含有してよい。シェル9も、La、Sr、Co及びCaを含有してよい。Sr及びCa其々の含有量の単位が、原子%である場合、コア7におけるSrの含有量が、シェル9におけるSrの含有量よりも高い傾向がある。シェル9におけるCaの含有量が、コア7におけるCaの含有量よりも高い傾向もある。コア7におけるSrの含有量が、コア7におけるCaの含有量よりも高い傾向もある。シェル9におけるCaの含有量が、シェル9におけるSrの含有量よりも高い傾向がある。コア7及びシェル9其々におけるSr及びCa其々の含有量が上記の傾向を有するコアシェル構造粒子5Aの個数の割合を低減することにより、フェライト焼結磁石2のBr及びHcJの両方が高まり易い。

0033

コア7におけるSrの含有量の分布は、均一であってよく、勾配を有していてもよい。シェル9におけるSrの含有量の分布は、均一であってよく、勾配を有していてもよい。コア7におけるCaの含有量の分布は、均一であってよく、勾配を有していてもよい。シェル9におけるCaの含有量の分布は、均一であってよく、勾配を有していてもよい。

0034

主相粒子5及びコアシェル構造粒子5A其々の平均粒径は、好ましくは1.5μm以下であり、より好ましくは1.0μm以下であり、さらに好ましくは0.5〜1.0μmである。主相粒子5及びコアシェル構造粒子5A其々が上記の平均粒径を有することで、フェライト焼結磁石2のHcJが高まり易い。主相粒子5及びコアシェル構造粒子5A其々の平均粒径は、フェライト焼結磁石2の断面2csを走査型電子顕微鏡で観察することによって測定されてよい。コアシェル構造粒子5Aのシェル9の厚さは、コアシェル構造粒子5Aの粒径未満である限り、限定されない。コアシェル構造粒子5Aのコア7の最大径は、コアシェル構造粒子5Aの粒径未満である限り、限定されない。

0035

Caの原子比率(1−w−x−y)は、0.05よりも大きく0.59未満であってよい。Caの原子比率が小さすぎると、M型フェライトの結晶構造(六方晶構造)が形成され難い。またCaの原子比率が小さすぎると、フェライト焼結磁石2における非磁性相であるα−Fe2O3の割合が増加し易く、Rが余剰となってオルソフェライト等の非磁性異相が生成し易い。その結果、Caの原子比率が小さすぎると、フェライト焼結磁石2の磁気特性(特にBr及びHcJ)が低下し易い。一方、Caの原子比率が大きすぎると、M型フェライトの結晶構造(六方晶構造)が形成され難い。またCaの原子比率が大きすぎると、フェライト焼結磁石2における非磁性相(CaFeO3−x等)の割合が増加し易く、フェライト焼結磁石2の磁気特性が低下し易い。

0036

Rの原子比率(w)が0.25<w<0.5を満たすことにより、Br及びHcJが増加し易く、Hk/HcJが1になり易い。Hkとは、Brの90%に対応する磁場である。Rの原子比率が小さすぎると、フェライト焼結磁石2においてMが固溶し難く、Br及びHcJが低下する傾向がある。一方、Rの原子比率が大きすぎると、オルソフェライト等の非磁性の異相がフェライト焼結磁石2中に形成され易く、Hk/HcJが低下し易い。

0037

Srの原子比率(x)が0.01<x<0.35を満たすことにより、Br及びHcJが増加し易く、Hk/HcJが1になり易い。Srの原子比率が小さすぎると、Ca及び/又はLaの原子比率が相対的に大きくなり、Hk/HcJが低下し易い。一方、Srの原子比率が大きすぎると、Br及びHcJが低下し易い。

0038

Baの原子比率(y)は0.0002<y<0.011を満たしてもよい。Baの原子比率(y)が0.0002<y<0.011を満たすことにより、Br及びHcJが増加し易く、Hk/HcJが1になり易い。Baの原子比率が小さすぎると、Hk/HcJが1になり難い。ただし、Baの原子比率がゼロであっても本発明の効果は得られる。一方、Baの原子比率が大きすぎると、Br及びHcJが低下し易い。このような観点から、Baの原子比率(y)は、0.0006≦y≦0.010を満たしてもよい。

0039

Srの原子比率(x)及びBaの原子比率(y)は、y<xを満たす。Srの原子比率がBaの原子比率よりも大きいことにより、Brが増加し易く、Hk/HcJが1になり易い。

0040

Feの原子比率(z)が8.5<z<9.9を満たすことにより、Br及びHcJが増加し易く、Hk/HcJが1になり易い。Feの原子比率が小さすぎると、Br及びHcJが低下し易い。Feの原子比率が大きすぎる場合も、Br及びHcJが低下し易い。

0041

w/mが1.0<w/m<2.1を満たし、m/zが0.017<m/z<0.055を満たすことにより、Br及びHcJが増加し易く、Hk/HcJが1になり易い。Mの原子比率(m)が小さすぎる場合、Br及びHcJが低下し易く、特にCoの比率が小さすぎる場合、HcJが低下し易い。一方、Mの比率が大きすぎる場合も、Br及びHcJが低下し易い。これらの観点から、w/mは、1.2≦w/m≦2.0、又は1.5≦w/m≦1.8を満たしてよく、m/zは0.02≦m/z≦0.05、又は0.022≦m/z≦0.04を満たしてもよい。

0042

フェライト焼結磁石2に副成分として含まれるSi成分は、フェライト焼結磁石2の製造過程において、主相粒子5同士の焼結を促進する焼結助剤として機能してよい。つまり、主相粒子5の原料としてSi成分を用いることにより、主相粒子5の製造過程(焼成工程)において主相粒子5同士が焼結し易く、主相粒子5の結晶粒径が適度に調整され、フェライト焼結磁石2の磁気特性が制御され易い。その結果、フェライト焼結磁石2のBr及びHcJが高くなり易く、Hk/HcJが1になり易い。フェライト焼結磁石2におけるSi成分の含有量がSiO2の含有量に換算される場合、Si成分の含有量は、100質量部の主相に対して0.1〜3質量部であってよい。Si成分の含有量が上記の範囲内である場合、フェライト焼結磁石2のHcJが増加し易い。Si成分の組成は、特に限定されない。例えば、Si成分が、SiO2、Na2SiO3又はSiO2・nH2O等としてフェライト焼結磁石2の主相の原料に添加されてよい。

0043

式(1)中のw、x、z及びmは、下記式(2a)、(3a)、(4a)及び(10)を満たしてよく、フェライト焼結磁石2におけるBの含有量が、H3BO3換算で0.037〜0.181質量%であってよい。
0.350<w<0.420、好ましくは0.360≦w≦0.420 (2a)
0.120<x<0.180、好ましくは0.110≦x≦0.173 (3a)
8.51≦z≦9.71 (4a)
0.200<m<0.280、好ましくは0.208≦m≦0.269 (10)

0044

Rの原子比率(w)が式(2a)を満たし、Srの原子比率(x)が式(3a)を満たし、Feの原子比率(z)が式(4a)を満たし、Coの原子比率(m)が式(10)を満たすことにより、Br及びHcJが増加し易く、Hk/HcJが1になり易い。mが0.200を超える場合、特にHcJが高まり易い。

0045

式(1)中のw、x、z及びmは、式(2a)、(3a)、(4a)及び(10)を満たす場合、フェライト焼結磁石2におけるAlの含有量は、Al2O3換算で0.05〜0.3質量%、又は0.03〜0.3質量%であってよい。Alの含有量が0.05質量%以上又は0.03質量%以上であることにより、フェライト焼結磁石の原料粉末仮焼時において粒成長が抑制され、得られるフェライト焼結磁石2の保磁力が向上し易い。Alの含有量が0.3質量%以下であることにより、Br及びHcJが高まり易い。

0046

式(1)中のw、x、z及びmは、式(2a)、(3a)、(4a)及び(10)を満たす場合、フェライト焼結磁石2におけるBaの含有量は、BaO換算で0.001〜0.077質量%又は0.001〜0.068質量%であってよい。

0047

フェライト焼結磁石2は、さらに、Cr、Ga、Mg、Cu、Mn、Ni、Zn、In、Li、Ti、Zr、Ge、Sn、V、Nb、Ta、Sb、As、W及びMo等を含んでいてもよい。各元素の含有量は酸化物換算で3質量%以下が好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。また、磁気特性低下を避ける観点から、これらの元素の合計含有量は2質量%以下にするのがよい。

0048

フェライト焼結磁石2は、副成分として、アルカリ金属元素(Na、K、Rb等)を含まないことが好ましい。アルカリ金属元素は、フェライト焼結磁石2の飽和磁化を低下させやすい傾向にある。ただし、アルカリ金属元素は、例えば、フェライト焼結磁石2を得るための原料中に含まれている場合もあり、そのように不可避的に含まれる程度であれば、フェライト焼結磁石2中に含まれていてもよい。磁気特性に大きく影響しないアルカリ金属元素の含有量は、3質量%以下である。

0049

上述の副成分は、主相粒子5(主相粒子)及び粒界相のうち少なくとも粒界相に含まれてよい。上述の副成分は、主相粒子5(主相粒子)及び粒界相の両方に含まれてもよい。

0050

フェライト焼結磁石2全体の組成は、例えば、蛍光X線(XRF)分析によって特定されてよい。主相(M型フェライト)の存在及び結晶構造は、X線回折又は電子線回折によって特定されてよい。

0051

(フェライト焼結磁石の製造方法)
本実施形態に係るフェライト焼結磁石の製造方法は、配合工程、仮焼工程、粉砕工程、成形工程及び焼成工程を備えてよい。各工程については以下に説明する。

0052

<配合工程>
配合工程では、フェライト焼結磁石の原料を配合して、原料組成物を得る。まず、フェライト焼結磁石の原料としては、これを構成する元素のうちの1種又は2種以上を含む化合物原料化合物)が挙げられる。原料は、粉末であったほうがよい。原料化合物としては、各元素の酸化物、又は焼成により酸化物となる化合物(炭酸塩水酸化物硝酸塩等)が挙げられる。主相の原料(原料化合物)は、例えば、SrCO3、La(OH)3、Fe2O3、BaCO3、CaCO3、Co3O4、H3BO3、Al2O3、及びSiO2等であってよい。主相の原料には、必要に応じてその他の副成分(元素単体、酸化物等)を配合してもよい。原料化合物の粉末の平均粒径は、例えば、均質な配合を可能とする観点から、0.1〜2.0μm程度であってよい。

0053

配合は、例えば、各原料を、上記式(1)で表される金属成分の組成にほぼ一致するように量される。各原料を混合した後、湿式アトライタボールミル等を用いて0.1〜20時間程度、原料の混合物を更に混合、粉砕してよい。

0054

フェライト焼結磁石に含まれるコアシェル構造粒子の個数を低減するためには、上記式(1)で表される金属成分(主相)を構成するCa、R、Sr、Fe及びM其々を含む原料の全量を仮焼工程前に一括して混合したほうがよい。仮焼工程で得られる仮焼体へ更に主相の原料が添加された場合、焼成工程において、仮焼体と原料とが共に加熱される。その結果、主相粒子の表面近傍と中心部との間で、金属成分を構成する各元素の含有量の差(濃度勾配)が生じ易く、コアシェル構造粒子が形成され易い。

0055

ただし配合工程においては、主相の原料の全てを混合しなくてもよい。フェライト焼結磁石の組成の微調整・制御のために、主相の原料を、仮焼工程で得られる仮焼体へ更に添加してもよい。副成分であるSi成分(例えばSiO2)、主相の構成元素であるLa,Ca,Cо(La(OH)3、CaCO3、Co3O4)は、後述の粉砕工程において仮焼体へ添加されてもよい。添加の時期は、所望の組成や磁気特性が得られ易いように調整すればよい。

0056

<仮焼工程>
仮焼工程では、配合工程で得られた原料粉末を仮焼する。仮焼工程により、顆粒状又は塊状の仮焼体が得られる。仮焼は、例えば、空気等の酸化性雰囲気中で行うことが好ましい。仮焼の温度は、1100〜1400℃、1100〜1300℃、又は1100〜1250℃であってよい。仮焼の時間は、1秒間〜10時間、又は1秒間〜3時間であってよい。仮焼により得られる仮焼体は、上述したような主相(M相)を70%以上含む。主相の一次粒子径は、10μm以下、又は2μm以下であってよい。

0057

<粉砕工程>
粉砕工程では、仮焼体を粉砕し、再び粉末状にする。これにより、成形工程での成形が容易となる。粉砕工程では、組成の調整・制御のために、主相の原料又は副成分を仮焼体へ添加してもよい(原料の後添加)。粉砕工程は、例えば、仮焼体を粉砕して粗い粉末を得た後、粗い粉末を更に微細に粉砕してよい。つまり、粗粉砕と微粉砕の2段階の粉砕工程で行ってもよい。

0058

粗粉砕では、例えば、振動ミル等を用いてよい。仮焼体の粗粉砕によって得られる粉末(粗粉砕材)の平均粒径は、0.5〜5.0μmであってよい。微粉砕では、粗粉砕材が、さらに湿式アトライタ、ボールミル、ジェットミル等によって粉砕される。微粉砕によって得られる微粉砕材の平均粒径が、0.08〜2.0μm、0.1〜1.0μm、又は0.2〜0.8μm程度であってよい。微粉砕材の比表面積BET比表面積)は、7〜12m2/g程度であってよい。好適な粉砕時間は、粉砕方法によって異なる。例えば湿式アトライタの場合、粉砕時間は30分間〜10時間であってよい。ボールミルによる湿式粉砕の時間は10〜50時間程度であってよい。

0059

微粉砕工程おいて、主相の原料の一部又は副成分を仮焼体へ添加してよい。例えば、Ca成分(CaCO3)、La成分(La(OH)3)、Co成分(Co3O4)又はSi成分(SiO2)等を粗粉砕材へ添加してよい。微粉砕工程前の粗粉砕工程において、原料の一部を仮焼体へ添加してもよい。

0060

微粉砕工程では、焼成後に得られる焼結体磁気的配向度を高めるため、例えば一般式Cn(OH)nHn+2で示される多価アルコールを粗粉砕材へ添加することが好ましい。ここで、多価アルコール一般式中のnは、4〜100、4〜30、4〜20又は4〜12であってよい。多価アルコールとしては、例えばソルビトールが挙げられる。また、2種類以上の多価アルコールを併用してもよい。さらに、多価アルコールに加えて、他の公知の分散剤を併用してもよい。

0061

多価アルコールの添加量は、添加の対象物(例えば粗粉砕材)に対して、0.05〜5.0質量%、0.1〜3.0質量%、又は0.2〜2.0質量%であってよい。なお、微粉砕工程で添加した多価アルコールは、後述する焼成工程で熱分解により除去される。

0062

<成形工程>
成形工程では、粉砕工程で得られた粉砕材(好ましくは微粉砕材)を、磁場中で成形して、成形体を得る。成形は、乾式成形及び湿式成形のいずれの方法でも行うことができる。磁気的配向度を高くする観点からは、湿式成形が好ましい。

0063

湿式成形の場合、例えば上述の微粉砕工程を湿式で行うことでスラリーを得た後、このスラリーを所定の濃度に濃縮して、湿式成形用スラリーを得る。この湿式成形用スラリーを用いて成形を行うことが好ましい。スラリーの濃縮は、遠心分離フィルタープレス等によって行うことができる。湿式成形用スラリーにおける微粉砕材の含有量は30〜80質量%であってよい。スラリーにおいて、微粉砕材を分散する分散媒としては水が好ましい。この場合、スラリーには、グルコン酸グルコン酸塩、ソルビトール等の界面活性剤をスラリーへ添加してもよい。また、分散媒としては非水系溶媒を使用してもよい。非水系溶媒としては、トルエンキシレン等の有機溶媒を使用することができる。この場合には、オレイン酸等の界面活性剤を非水系溶媒へ添加することが好ましい。なお、湿式成形用スラリーは、乾燥された微粉砕材に、分散媒等を添加することによって調製してもよい。

0064

湿式成形用スラリーを磁場中で成形する場合、成形圧力は、9.8〜49MPa(0.1〜0.5ton/cm2)程度であってよく、印加する磁場は398〜1194kA/m(5〜15kOe)程度であってよい。

0065

<焼成工程>
焼成工程では、成形工程で得られた成形体を焼成して、焼結体(フェライト焼結磁石)を得る。焼成工程では、成形体に含まれる主相粒子(粉砕材)が互いに焼結することにより、フェライト焼結磁石が形成される。

0066

焼成は、大気等の酸化性雰囲気中で行うことができる。焼成温度は、1050〜1270℃であると好ましく、1080〜1240℃であるとより好ましい。焼成時間(焼成温度に保持する時間)は、0.5〜3時間程度であると好ましい。焼成雰囲気の温度が焼成温度に達するまでの昇温速度は、0.5〜5℃/分であることが好ましい。焼成工程の完了時に焼成雰囲気の温度が焼成温度から低下する際の降温速度は、5.0〜10.0℃/分であることが好ましい。焼成温度、昇温速度及び降温速度が上記範囲内である場合、主相粒子の総数に占めるコアシェル構造粒子の個数の割合が50%未満に低減され易い。焼成温度が低すぎる場合、主相粒子同士が十分に焼結せず、磁気特性に優れたフェライト焼結磁石が得られ難い。焼成温度が高すぎる場合、異常粒成長が起こり、磁気特性が低下する。昇温速度が低すぎる場合、焼成に時間を要し、生産コストの増加を招くため好ましくない。昇温速度が高すぎる場合、磁気特性の低下をまねく恐れがあるため好ましくない。降温速度が低すぎる場合、磁気特性の低下をまねく恐れがあるため好ましくない。降温速度が高すぎる場合、急激な温度差により焼結体にクラックが形成される恐れがあるため好ましくない。

0067

なお、湿式成形で成形体を得た場合、成形体を充分に乾燥させずに焼成した場合、急激な加熱により、成形体中の分散媒等が激しく揮発して成形体にクラックが発生する可能性がある。クラックを抑制する観点から、成形体を上記の焼成温度で加熱する前に、例えば室温から100℃程度まで、0.5℃/分程度の昇温速度で加熱して成形体を充分に乾燥させてよい。成形体が界面活性剤(分散剤)等を含む場合、例えば、100〜500℃程度の温度範囲において、2.5℃/分程度の昇温速度で成形体を加熱して、界面活性剤(分散剤)等を除去してよい(脱脂処理)。これらの加熱処理は、焼成工程の開始時に実施されてよく、焼成工程よりも前に別工程として実施されてもよい。

0069

以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0070

[実施例1]
(フェライト焼結磁石の製造)
フェライト焼結磁石の主相の原料として、酸化鉄(Fe2O3)、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)、酸化コバルト(Co3O4)、炭酸バリウム(BaCO3)及び水酸化ランタン(La(OH)3)を準備した。フェライト焼結磁石(主相)に含まれる金属成分の組成が下記式(1c)で表される組成になるように、上記の各原料を秤量した。つまり、下記式(1c)中の1−w−x−y、w、x、y、z及びm其々の値が、下記表1に示される値になるように、上記の各原料を秤量した。Si成分(副成分)として酸化ケイ素(SiO2)を準備した。主相の全原料の質量の合計100質量部に対するSiO2の割合(単位:質量部)は、下記表1に示される値に
調整した。上記の原料を湿式アトライタで混合・粉砕した後、原料を乾燥して、原料粉末を得た。
Ca1−w−x−yLawSrxBayFezCom (1c)

0071

<仮焼・粉砕工程>
仮焼工程では、1200℃の大気中で原料粉末を2時間加熱して、仮焼体を得た。粉砕工程では、仮焼体を小型ロッド振動ミルで粉砕して、粗粉砕材を得た。粗粉砕材に含まれる金属成分の組成を、より正確に上記式(1c)で表される組成に調整するために、CaCO3、La(OH)3、Co3O4、SiO2及びFe2O3を粗粉砕材へ添加した。つまり、粉砕工程において主相の原料の後添加を実施した。続いて粗粉砕材を、湿式ボールミルで更に32時間粉砕して、仮焼体からなる微粉砕粒子を含むスラリーを得た。スラリーを遠心分離機脱水して、固形分(仮焼体からなる微粉砕粒子)の濃度を調整することにより、湿式成形用スラリーを得た。

0072

<成形・焼成工程>
成形工程では、湿式磁場成形機を使用して、10kOeの印加磁場中で湿式成形用スラリーを成形して、円柱状の成形体を得た。得られた成形体を、大気中において室温で十分に乾燥した。焼成工程では、大気で満たされた炉内に成形体を設置した。そして炉の内部を加熱して、炉内の温度を室温から下記表2に示される焼成温度まで上げた。炉内の温度が室温から焼成温度に達するまでの昇温速度は、下記表2に示される値に調整した。続いて、下記表2に示される焼成温度で成形体を1時間加熱した。続いて、炉の内部を冷却して、炉内の温度を焼成温度から室温まで下げた。炉内の温度が焼成温度から室温に至るまでの降温速度は、下記表2に示される値に調整した。

0073

以上の工程により、実施例1のフェライト焼結磁石を作製した、

0074

(磁気特性の測定)
円柱状のフェライト焼結磁石の上面及び下面を加工した後、フェライト焼結磁石の残留磁束密度Br(mT)及び保磁力HcJ(kA/m)を測定した。測定には、最大印加磁場が25kOeであるB−Hトレーサを用いた。実施例1のBr及びHcJは下記表2に示される。

0075

(フェライト焼結磁石全体の組成の分析)
XRF法により、フェライト焼結磁石全体の組成を分析した。実施例1のフェライト焼結磁石に含まれる金属成分の組成は、上記式(1c)で表され、1−w−x−y、w、x、y、z及びm其々の値が、下記表1に示される値であることが確認された。つまり、フェライト焼結磁石全体の組成は、下記式(1d)で表されることが確認された。
Ca1−w−x−yLawSrxBayFezComO19 (1d)

0076

(フェライト焼結磁石の断面の分析)
円柱状のフェライト焼結磁石の上面及び下面に対して垂直な方向においてフェライト焼結磁石を切断した。フェライト焼結磁石の断面を走査型電子顕微鏡及び透過型電子顕微鏡で観察した。走査型電子顕微鏡で撮影された実施例1のフェライト焼結磁石の断面の画像は、図3中の(a)に示される。透過型電子顕微鏡で撮影された実施例1のフェライト焼結磁石の断面の画像は、図4に示される。図3中の(a)に示されるように、フェライト焼結磁石は、互いに焼結した多数の主相粒子を含むことも確認された。多数の主相粒子の中には、コア7とコア7を覆うシェルとを有するコアシェル構造粒子5Aが含まれることも確認された。フェライト焼結磁石は、コアシェル構造を有していない主相粒子も含むことも確認された。実施例1のフェライト焼結磁石の断面にある60個の主相粒子を無作為に選んで、60個の主相粒子のうちのコアシェル構造粒子の個数を数えた。主相粒子の総数のうちコアシェル構造粒子の個数の割合R‐CSを算出した。実施例1のR‐CSは、下記表2に示される。

0077

図4に示されるように、コアシェル構造粒子を横断する4本の線分(線分1〜4)其々に沿って、コアシェル構造粒子の内部の組成の線分析を行った。線分析には、透過型電子顕微鏡に備わるエネルギー分散型X線分光(EDS)装置を用いた。線分1〜4に沿った線分析のいずれにおいても、以下の特徴1〜5が確認された。
特徴1:コアが、La、Sr、Co及びCaを含有していた。
特徴2:シェルが、La、Sr、Co及びCaを含有していた。
特徴3: コアにおけるSrの含有量(単位:原子%)が、シェルにおけるSrの含有量(単位:原子%)よりも高い傾向があった。
特徴4: シェルにおけるCaの含有量(単位:原子%)が、コアにおけるCaの含有量(単位:原子%)よりも高い傾向もあった。
特徴5: コアにおけるSrの含有量(単位:原子%)が、コアにおけるCaの含有量(単位:原子%)よりも高い傾向があった。
特徴6: シェルにおけるCaの含有量(単位:原子%)が、シェルにおけるSrの含有量(単位:原子%)よりも高い傾向があった。

0078

[実施例2]
実施例2の場合、上記式(1c)中の1−w−x−y、w、x、y、z及びm其々の値が、下記表1に示される値になるように、主相の各原料を秤量した。実施例2の場合、主相の各原料の質量の合計100質量部に対するSiO2の割合(単位:質量部)を、下記表1に示される値に調整した。実施例2の場合、主相の各原料の全量とH3BO3とAl2O3とを仮焼工程前に一括して混合した。つまり実施例2では、主相の原料の仮焼体への添加(後添加)が実施されなかった。実施例2の場合、焼成工程における昇温速度、焼成温度、及び降温速度は、下記表2に示される値に調整した。

0079

以上の事項を除いて実施例1と同様の方法で、実施例2のフェライト焼結磁石を作製した。実施例1と同様の方法で、実施例2のフェライト焼結磁石についての測定及び分析を実施した。実施例2の測定及び分析の結果は、下記表2に示される。実施例2のフェライト焼結磁石に含まれる金属成分の組成は、上記式(1c)で表され、1−w−x−y、w、x、y、z及びm其々の値が、下記表1に示される値であることが確認された。実施例2のフェライト焼結磁石は、コアシェル構造粒子を含むことが確認された。また実施例2のフェライト焼結磁石は、コアシェル構造を有していない多数の主相粒子を含むことも確認された。実施例2のコアシェル構造粒子の内部の組成の線分析は、図5に示される線分1〜4其々に沿って実施された。実施例2の線分析においても、実施例1と同様に、上記の特徴1〜6が確認された。

0080

[実施例3]
実施例3の場合、上記式(1c)中の1−w−x−y、w、x、y、z及びm其々の値が、下記表1に示される値になるように、主相の各原料を秤量した。実施例3の場合、主相の各原料の質量の合計100質量部に対するSiO2の割合(単位:質量部)を、下記表1に示される値に調整した。実施例3の場合、主相の各原料の全量とH3BO3とAl2O3とを仮焼工程前に一括して混合した。つまり実施例3では、主相の原料の仮焼体への添加(後添加)が実施されなかった。実施例3の場合、焼成工程における昇温速度、焼成温度、及び降温速度は、下記表2に示される値に調整した。

0081

以上の事項を除いて実施例1と同様の方法で、実施例3のフェライト焼結磁石を作製した。実施例1と同様の方法で、実施例3のフェライト焼結磁石についての測定及び分析を実施した。実施例3の測定及び分析の結果は、下記表2に示される。実施例3のフェライト焼結磁石に含まれる金属成分の組成は、上記式(1c)で表され、1−w−x−y、w、x、y、z及びm其々の値が、下記表1に示される値であることが確認された。実施例3のフェライト焼結磁石は、コアシェル構造粒子を含むことが確認された。また実施例3のフェライト焼結磁石は、コアシェル構造を有していない多数のコア粒子を含むことも確認された。実施例3のコアシェル構造粒子の内部の組成の線分析は、図6に示される線分1〜4其々に沿って実施された。実施例3の線分析においても、実施例1と同様に、上記の特徴1〜6が確認された。

0082

[比較例1]
比較例1の場合、上記式(1c)中の1−w−x−y、w、x、y、z及びm其々の値が、下記表1に示される値になるように、主相の各原料を秤量した。比較例1の場合、主相の各原料の質量の合計100質量部に対するSiO2の割合(単位:質量部)を、下記表1に示される値に調整した。比較例1の場合、焼成工程における昇温速度、焼成温度、及び降温速度は、下記表2に示される値に調整した。

0083

以上の事項を除いて実施例1と同様の方法で、比較例1のフェライト焼結磁石を作製した。比較例1の場合も、実施例1同様に、粉砕工程において主相の原料の後添加を実施した。実施例1と同様の方法で、比較例1のフェライト焼結磁石についての測定及び分析を実施した。走査型電子顕微鏡で撮影された比較例1のフェライト焼結磁石の断面の画像は、図3中の(b)に示される。比較例1の測定及び分析の結果は、下記表2に示される。比較例1のフェライト焼結磁石に含まれる金属成分の組成は、上記式(1c)で表され、1−w−x−y、w、x、y、z及びm其々の値が、下記表1に示される値であることが確認された。比較例1のフェライト焼結磁石は、コアシェル構造粒子を含むことが確認された。また比較例1のフェライト焼結磁石は、コアシェル構造を有していない多数の主相粒子を含むことも確認された。

0084

実施例

0085

0086

本発明に係るフェライト焼結磁石は、磁気特性に優れるため、モータ等の多様な用途に適している。

0087

2…フェライト焼結磁石、2cs…フェライト焼結磁石の断面、5…主相粒子、5A…コアシェル構造粒子、7…コア、9…シェル。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ