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技術 インクジェット吐出方法、部材の製造方法、およびインクジェット吐出装置

出願人 三菱重工業株式会社
発明者 池田航介野原敏勝木村将基
出願日 2018年3月27日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-059220
公開日 2019年10月10日 (8ヶ月経過) 公開番号 2019-171580
状態 未査定
技術分野 インクジェット(インク供給、その他) インクジェット(粒子形成、飛翔制御)
主要キーワード ヘッダ装置 塗装ステップ 代表速度 塗装対象面 ウェーバー数 機体表面 無次元量 表面張力σ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題

粘度が高いインクを用いても、サテライトの発生を防止することが可能なインクジェット吐出方法、インクジェット塗装テップを含む部材の製造方法等を提供すること。

解決手段

液体吐出流路100を通じて吐出するインクジェット吐出方法は、液体の粘度が、80mPa・s以上、350mPa・s以下であるとき、吐出流路100を流れて吐出された液体の速度Vが、6m/s以上であり、かつ、ウェーバー数Weが、14以上、120以下である。

概要

背景

インクジェット技術は、従来、紙や布、基板等への印刷に用いられる他、電子機器ケース等の塗装にも用いられ、近年では、自動車の車体等の塗装にまで利用が拡大されている。
画像データに基づく制御指令により吐出ヘッドから液体吐出し、印刷や塗装の対象に液滴がなすドット(粒状の画素)を形成するインクジェット技術においては、主な液滴から分離したサテライトの発生が、印刷あるいは塗装の品質に影響する。サテライトは、吐出された液滴の前端部(主滴)の後方に連なる部分が主滴から分離することで発生した1以上の小滴である。サテライトが、主滴に遅れ、主滴がなすドットからずれた位置に付着することで、図柄の境界ぼやけや色ムラ等の原因となり得る。

特許文献1では、インクの吐出に伴うサテライトの発生を低減するため、所定のアスペクト比であるスリット状の吐出口を用いることに加えて、スリットの幅と、液の表面張力と、液の密度と、液の吐出速度とから特定されるウェーバー数を10以下とすることが提案されている。この特許文献1は、極少量の液滴による高精細写真等の印刷を想定している。

概要

粘度が高いインクを用いても、サテライトの発生を防止することが可能なインクジェット吐出方法、インクジェット塗装テップを含む部材の製造方法等を提供すること。液体を吐出流路100を通じて吐出するインクジェット吐出方法は、液体の粘度が、80mPa・s以上、350mPa・s以下であるとき、吐出流路100を流れて吐出された液体の速度Vが、6m/s以上であり、かつ、ウェーバー数Weが、14以上、120以下である。

目的

本発明は、粘度が高いインクを使用しても、サテライトの発生を防ぐことが可能なインクジェット吐出方法、インクジェット吐出装置、および塗膜を備えた部材の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

液体吐出流路を通じて吐出するインクジェット吐出方法であって、前記液体の粘度が、80mPa・s以上、350mPa・s以下であるとき、前記吐出流路を流れて吐出された前記液体の速度が、6m/s以上であり、かつ、ウェーバー数が、14以上、120以下である、ことを特徴とするインクジェット吐出方法。

請求項2

前記吐出流路により吐出された前記液体の体積が、0.5×103pl以上、20×103pl以下である、請求項1に記載のインクジェット吐出方法。

請求項3

前記液体が入れられている液体室で前記液体が所定の圧力に加圧されている状態において、前記液体室から前記吐出流路に向けて前記液体が通過可能な弁が開いた状態となる弁開放時間を、前記吐出流路により吐出された前記液体の体積に対応する時間に設定する、請求項1または請求項2に記載のインクジェット吐出方法。

請求項4

前記吐出流路よりも横断面の面積が大きい導入流路に、前記液体が入れられている液体室から前記液体を受け入れて前記吐出流路へと流入させる、請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェット吐出方法。

請求項5

前記吐出流路は円形状の横断面を呈し、前記ウェーバー数は、前記液体の密度をρ、前記吐出流路の前記液体を吐出する吐出口の直径をD、前記吐出口から吐出された前記液体の前記速度をV、前記液体の表面張力をσとすると、(ρDV2)/σにより表される、請求項1から4のいずれか一項に記載のインクジェット吐出方法。

請求項6

部材を製造する方法であって、請求項1から5のいずれか一項に記載のインクジェット吐出方法により、前記部材を塗装するステップを含む、ことを特徴とする部材の製造方法。

請求項7

前記部材は、航空機機体を構成する、請求項6に記載の部材の製造方法。

請求項8

80mPa・s以上、350mPa・s以下の粘度の液体が入れられる液体室と、前記液体室に連通し、前記液体を吐出する吐出流路と、を備え、前記吐出流路を流れて吐出された前記液体の速度が、6m/s以上であり、ウェーバー数が、14以上、120以下である、ことを特徴とするインクジェット吐出装置

請求項9

前記吐出流路により吐出された前記液体の体積が、0.5×103pl以上、20×103pl以下である、請求項8に記載のインクジェット吐出装置。

請求項10

前記吐出流路の容積は、前記液体の前記体積よりも小さい、請求項9に記載のインクジェット吐出装置。

請求項11

前記液体室から前記液体を受け入れて前記吐出流路へと流入させる導入流路をさらに備え、前記吐出流路は、円形状の横断面を呈し、前記導入流路は、円形状の横断面を呈し、前記吐出流路よりも横断面の径が大きく、かつ前記吐出流路と同軸に配置され、前記ウェーバー数は、前記液体の密度をρ、前記吐出流路において前記液体を吐出する吐出口の直径をD、前記吐出口から吐出された前記液体の前記速度をV、前記液体の表面張力をσとすると、(ρDV2)/σにより表される、請求項8から10のいずれか一項に記載のインクジェット吐出装置。

技術分野

0001

本発明は、液体吐出して対象に付着させるインクジェット技術を用いたインクジェット式吐出方法および吐出装置に関する。また、本発明は、塗膜を備えた部材の製造方法にも関する。

背景技術

0002

インクジェット技術は、従来、紙や布、基板等への印刷に用いられる他、電子機器ケース等の塗装にも用いられ、近年では、自動車の車体等の塗装にまで利用が拡大されている。
画像データに基づく制御指令により吐出ヘッドから液体を吐出し、印刷や塗装の対象に液滴がなすドット(粒状の画素)を形成するインクジェット技術においては、主な液滴から分離したサテライトの発生が、印刷あるいは塗装の品質に影響する。サテライトは、吐出された液滴の前端部(主滴)の後方に連なる部分が主滴から分離することで発生した1以上の小滴である。サテライトが、主滴に遅れ、主滴がなすドットからずれた位置に付着することで、図柄の境界ぼやけや色ムラ等の原因となり得る。

0003

特許文献1では、インクの吐出に伴うサテライトの発生を低減するため、所定のアスペクト比であるスリット状の吐出口を用いることに加えて、スリットの幅と、液の表面張力と、液の密度と、液の吐出速度とから特定されるウェーバー数を10以下とすることが提案されている。この特許文献1は、極少量の液滴による高精細写真等の印刷を想定している。

先行技術

0004

特許第4965972号

発明が解決しようとする課題

0005

インクジェット技術の適用対象の拡大から、従来のインクジェット印刷インクジェット塗装に用いられてきたインクとは物性が大きく異なるインクの使用が検討されている。
例えば、航空機機体等、過酷な環境で使用される対象物のインクジェット塗装を行う場合は、使用インク塗料)自体に高い耐候性が要求されるため、インクジェット印刷用のインクや、インクジェット車体塗装用水性インクと比べてインクの粘度が高い。

0006

上記のように粘度の高いインクを用いる場合、本発明の発明者による試験によれば、特許文献1に開示されているようにウェーバー数が10以下であることは、サテライト発生の防止に必ずしも有効ではないことが判明している。

0007

上より、本発明は、粘度が高いインクを使用しても、サテライトの発生を防ぐことが可能なインクジェット吐出方法、インクジェット吐出装置、および塗膜を備えた部材の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、液体を吐出流路を通じて吐出するインクジェット吐出方法であって、液体の粘度が、80mPa・s以上、350mPa・s以下であるとき、吐出流路を流れて吐出された液体の速度が、6m/s以上であり、かつ、ウェーバー数が、14以上、120以下であることを特徴とする。

0009

本発明のインクジェット吐出方法において、吐出流路により吐出された液体の体積が、0.5×103pl以上、20×103pl以下であることが好ましい。

0010

本発明のインクジェット吐出方法では、液体が入れられている液体室で液体が所定の圧力に加圧されている状態において、液体室から吐出流路に向けて液体が通過可能な弁が開いた状態となる弁開放時間を、吐出流路により吐出された液体の体積に対応する時間に設定することが好ましい。

0011

本発明のインクジェット吐出方法において、吐出流路よりも横断面の面積が大きい導入流路に、液体が入れられている液体室から液体を受け入れて吐出流路へと流入させることが好ましい。

0012

本発明のインクジェット吐出方法において、吐出流路は円形状の横断面を呈し、ウェーバー数は、液体の密度をρ、吐出流路の液体を吐出する吐出口の直径をD、吐出口から吐出された液体の速度をV、液体の表面張力をσとすると、(ρDV2)/σ により表されることが好ましい。

0013

また、本発明は、部材を製造する方法であって、上述したインクジェット吐出方法により、部材を塗装するステップを含むことを特徴とする。

0014

本発明の部材の製造方法において、部材は、航空機の機体を構成していることが好ましい。

0015

さらに、本発明は、インクジェット吐出装置であって、80mPa・s以上、350mPa・s以下の粘度の液体が入れられる液体室と、液体室に連通し、液体を吐出する吐出流路と、を備え、吐出流路を流れて吐出された液体の速度が、6m/s以上であり、ウェーバー数が、14以上、120以下であることを特徴とする。

0016

本発明のインクジェット吐出装置において、吐出流路により吐出された液体の体積が、0.5×103pl以上、20×103pl以下であることが好ましい。

0017

本発明のインクジェット吐出装置において、吐出流路の容積は、液体の体積よりも小さいことが好ましい。

0018

本発明のインクジェット吐出装置は、液体室から液体を受け入れて吐出流路へと流入させる導入流路をさらに備え、吐出流路は、円形状の横断面を呈し、導入流路は、円形状の横断面を呈し、吐出流路よりも横断面の径が大きく、かつ吐出流路と同軸に配置され、ウェーバー数は、液体の密度をρ、吐出流路において液体を吐出する吐出口の直径をD、吐出口から吐出された液体の速度をV、液体の表面張力をσとすると、(ρDV2)/σ により表されることが好ましい。

発明の効果

0019

本発明の規定する液体の吐出速度およびウェーバー数によれば、粘度の高いインクや塗料等の液体を使用していても、吐出流路を通じて液体を吐出可能であって、サテライトの発生を防ぐことができる。
本発明により、高粘度の液体を用いて体積が大きい液滴を吐出する場合の吐出不可能を克服できるため、大型の装置のインクジェット塗装の実用化に寄与することができる。

図面の簡単な説明

0020

(a)は、本発明の実施形態に係るインクジェット装置ヘッダ装置に備わるインク室および吐出ノズルを模式的に示す図である。(b)のIa−Ia線でヘッダ装置を破断している。(b)は、(a)のIb矢印で示す方向から吐出ノズル(流路)を示す模式図である。
(a)〜(c)は、それぞれ、吐出ノズルにより吐出されたインクが対象に着弾するまでの液滴の状態の一例を模式的に示す図である。実施形態に係る(a)に示す例のみ、サテライトが発生しない。比較例に係る(b)および(c)に示す例では、サテライトが発生する。(a)〜(c)のそれぞれにおいて四角形枠線の内側は、インクの液滴が着弾対象になしたドットを示す平面図に相当する。
高粘度のインクを使用し、インクの圧力(0.6MPa/0.4MPa)毎にノズル径を変えて、吐出されたインクの速度およびウェーバー数をプロットした図である。

実施例

0021

以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態では、インクジェット技術により、例えば航空機の機体等の大型の構造物が有する大面積の表面に塗装(あるいは印刷)を施すにあたり適用可能なインクジェット吐出方法およびインクジェット吐出装置について説明する。

0022

本実施形態に係る航空機の機体表面の塗装には、航空機の運行上要求される耐候性に適合する物性を有する液体(インク、塗料)が使用される。以下、本実施形態における塗装に使用する液体のことを「インク」と称するものとする。
かかるインクは、インクジェット印刷あるいはインクジェット塗装に典型的に使用されるインクと比べて粘度が非常に高い。典型的なインクの粘度は、高くても10mPa・s程度に留まるのに対し、本実施形態で使用するインクの粘度は、80〜350mPa・sである。より好ましいインクの粘度は、86〜189mPa・sである。

0023

本実施形態では、色が異なる複数種類のインクを用いてカラー塗装を行う。例えば、シアンマゼンダイエロー、およびブラックの各色に対応するインクを用いて、網点印刷の手法により、濃淡グラデーションを含む任意の図柄を実現可能である。網点印刷は、単色のインクの液滴が物の表面になすドットの単位面積あたりの色の比率に応じて色調を再現する。複数色のインクのそれぞれの粘度はいずれも、上述した粘度の値の範囲内にある。

0024

図1(a)に、本実施形態のインクジェット塗装に使用するインクジェット装置に備わるヘッダ装置10の一部を示す。ヘッダ装置10は、任意のインク色に対応している。ヘッダ装置10は、複数のインク色毎に、同様に構成されている。
このヘッダ装置10は、インクジェット装置に備わる制御部(図示しない)により、画像データに基づいて送られる制御指令により所定の位置まで駆動されて吐出ノズル12からインクを吐出する。ヘッダ装置10は、1色あたり複数のヘッダ装置10を備えている。

0025

本実施形態のインクジェット装置は、塗装の対象である部材に対して相対変位しながら、インクジェット装置と塗装対象との相対変位の方向に対して直交する方向にヘッダ装置10を駆動しつつ、所望のヘッダ装置10の吐出ノズル12からインクを吐出する。かかるインクジェット装置は、各色に対応したヘッダ装置10と、ヘッダ装置10を駆動する機構と、制御部と、各色のインクを貯留する図示しないタンクとを備えている。

0026

図1(a)および(b)を参照し、ヘッダ装置10の構成について簡単に説明する。ヘッダ装置10は、インクが入れられるインク室11と、インク室11に連通し、インクを吐出する吐出ノズル12と、吐出ノズル12の入口121を塞ぐ弁体としてのピン14と、ピン14を駆動するアクチュエータ15とを備えている。
図1(a)には吐出ノズル12を1つだけ示しているが、実際は、1つのヘッダ装置10に複数の吐出ノズル12が備えられている。それらの吐出ノズル12に個別に対応するように、ピン14も、ヘッダ装置10の全体として複数が備えられている。

0027

インク室11は、ヘッダ装置10の内側に形成された空間である。インク室11の内側には、図示しないインク貯留タンクから図示しないインク供給機構により供給流路11Aを通じてインクが供給される。インク供給機構により、インク室11の内部のインクは一定の圧力に加圧されている。本実施形態では、加圧下にあるインクの圧力により、インク室11から弁13を通り吐出ノズル12を流れるインクに、吐出に必要なエネルギーを得ている。

0028

インクに吐出エネルギーを得る方法は、本実施形態のようにインク室11を加圧し、弁13を開閉する方法に限らず、インクを加熱して気泡を発生させる所謂サーマル方式も含めて、適宜な方法をとることができる。

0029

吐出ノズル12は、ヘッダ装置10に備わる壁、あるいは壁に設けられたプレート(図示省略)を貫通する流路に相当する。
吐出流路100の先端に、吐出ノズル12の出口122が位置している。本実施形態において、出口122の径Dは、吐出流路100の断面径と同一である。

0030

吐出ノズル12は、インクを吐出する吐出流路100に加え、吐出流路100よりも横断面の面積(流路断面積)が大きい導入流路101を有することが好ましい。導入流路101は、インク室11からインクを受け入れて吐出流路100に導入する。インク室11から導入流路101を介して吐出流路100へとインクを供給することにより、インク室11から直接吐出流路100へとインクを供給する場合よりもインクの圧力損失を抑えることができる。
インクの圧力損失をより抑えるため、導入流路101の終端部の流路断面積が、吐出流路100の流路断面積にまで漸次縮小するようにしている。

0031

本実施形態の導入流路101および吐出流路100はいずれも、図1(a)および(b)に示すように、円形状の横断面を呈する円筒状の空間である。導入流路101の径は、吐出流路100の径よりも大きい。導入流路101および吐出流路100は、同軸に配置されている。
導入流路101の始端である吐出ノズル12の入口121の周縁部は、ピン14の先端部が突き当てられる弁座に相当する。インク室11から吐出ノズル12へとインクが通過可能な弁13は、弁座としての入口121の周縁部と、弁体としてのピン14とから構成されている。

0032

ピン14は、入口121よりも径が大きい略円柱状に形成されており、アクチュエータ15により軸線方向に沿って駆動される。アクチュエータ15は、ピエゾ素子等を含んで構成されており、制御部から送られる指令に基づいて、ピン14を入口121に対して進退させるように駆動する。

0033

図1実線で示すようにピン14が吐出ノズル12の入口121の周縁部に対して退いている状態は、弁13が開いた状態に相当する。このとき、インク室11のインクがインク室11の内壁とピン14の先端部との間を通り、入口121から導入流路101へ流入する。ピン14の先端部とインク室11の内壁との間にインクがスムーズに流れる流路ができるように、ピン14の先端側の外周部は、軸線方向の入口121側に向かうにつれて次第に径が縮小するように形成されている。
図1に一点鎖線で示すようにピン14が入口121の周縁部に突き当てられて入口121が塞がれると、弁13が閉じた状態となる。

0034

アクチュエータ15によりピン14が入口121に対して退くことで、弁13は、所定の開放時間に亘り開かれる。
弁13が開いている間に、吐出流路100をインクが流れて出口122から吐出される。弁13が開く度に1回ずつ、インクが吐出流路100から吐出される。
弁13の開放時間は、出口122から吐出されたインクの体積(後述)に対応する時間に設定されている。弁13の開放時間は、例えば、100〜200μsに設定することができる。

0035

吐出流路100の容積は、出口122から吐出されたインクの体積よりも小さい。例えば、吐出流路100の容積が100〜300pL程度であるとすると、吐出されたインクの体積は500〜2500pLであって、吐出インクの体積に対して吐出流路100の容積は十分に小さい。そのため、弁13が開いたことで出口122から吐出されて液滴L(図2(a))をなすインクの全量が、吐出流路100を流れる。吐出流路100を流れるインクは、吐出流路100の断面積に応じた速度で、吐出流路100の軸線方向に沿って出口122から吐出される。出口122から吐出されたインクの速度(吐出速度)は、例えば、移動しているインクの液滴をカメラにより撮像したデータを用いた画像処理等により実測可能である。吐出されたインクの速度の実測には、高速度に対応可能なカメラにより撮影された動画を用いることもできる。

0036

吐出流路100および出口122の断面形状は、必ずしも円形である必要はなく、例えば矩形状などの適宜な形状に定めることができる。

0037

出口122から吐出されたインクの体積は、0.5×103pl〜20×103plであることが好ましい。より好ましくは、1×103pl〜5×103plである。
吐出されたインクの体積は、例えば、吐出されて移動する液滴をカメラにより撮影した画像データに基づいて、液滴を球体仮定して液滴の径から体積を計算することにより、求めることができる。
吐出されたインクの体積は、弁13の1回の開放に対応している。塗装対象面に着弾したインクの液滴により、液滴の体積に応じた大きさのドットが塗装対象面に形成される。ドットの径の大きさは、上記の吐出インクの体積の範囲において、均一であっても、異なっていてもよい。ドットの集合からなる塗膜の厚さは、例えば、25〜75μmである。

0038

本実施形態におけるインク液滴の体積は、インクジェット印刷の典型例におけるインク液滴の体積が数plであり、多くても10pl程度に留まるのに対して格段に大きい。一般に、インクジェット印刷は、極少量の液滴による微細なドットから高精細な印刷品質指向している。それに対して、本実施形態のように大型の部材の大面積の表面を塗装する場合は、塗装の品質もさることながら、現実的な作業速度で塗装を効率よく進めることも指向している。そのため、インクジェット印刷用のノズルと比べて径が大きいノズルから吐出される体積の大きな液滴により、液滴の体積に対応した大きさのドットを塗装対象面に形成する。航空機等の大型の構造物に対して従来行われているスプレーガンによる塗装から、本実施形態に係るインクジェット塗装技術へ代替可能である。

0039

出口122から吐出流路100に沿った方向の前方に向けて吐出されたインクは、図2(a)の(1)に示すように出口122に位置するインクから延びた液柱の状態を経て、(2)に示すように、出口122から離れて液滴Lをなし、出口122から例えば数mm前方の塗装対象面に付着(着弾)する。
図2(a)における四角形の枠線の内側は、液滴Lが着弾したことで塗装対象面に略円形状に形成された1つのドット2を示している。
図2(a)の(1)および(2)に示すように、出口122から吐出されたインクの前端部の形状は、吐出ノズル12の外部空間において安定のため球状に向かう。球状の前端部は、後方に連なる部分とは分離して1つの液滴Lに収束する。

0040

比較例に係る図2(b)および(c)は、液滴L(主滴)から後方に分離し、液滴Lの着弾後に着弾する1以上のサテライト(小滴)が発生した例を示している。図2(b)および(c)のそれぞれの枠線内には、主滴がなすドット2から、塗装対象面に対するヘッダ装置10の移動方向(矢印の向き)にずれた位置に、図示しないサテライトの着弾による小ドット2´が形成された例を示している。塗装対象面における規定の位置に形成されたドット2からずれているドット2´により、塗装の品質が低下する。
その他、図示を省略するが、微小インク滴からなるミスト状のサテライトが発生し、浮遊することで、ヘッダ装置10等が汚損する場合もある。

0041

サテライトが発生する場合は、例えば、出口122から吐出されたインクが図2(b)の(1)に示す液柱の状態を経て、(2)に示すように出口122から離れても、球状の前端部から後方に連なる尾Tが長い状態のままである。図2(c)に示す例では、吐出されたインクが出口122から離れない、あるいは離れるのが遅い。

0042

図2(a)〜(c)に示すような液滴Lの種々の形状や挙動を表す指標として、一般にウェーバー数が用いられる。
但し、本実施形態のように粘度の高いインクを用いる場合に、サテライトが発生しない適切な慣性力をインクに与えようとすると、必ずしもウェーバー数だけで規定することができない。
本実施形態では、吐出流路100を流れて出口122から吐出されたインクの速度を6m/s以上に定め、かつ、ウェーバー数を14〜120に定める。
上記のインクの吐出速度およびウェーバー数は、上述したように粘度が80〜350mPa・sであるインクを使用する場合に適合する。

0043

ウェーバー数Weは、液体の慣性力と表面張力との比に相当する無次元量であり、次式により定義することができる。
We=(ρDV2)/σ
(ρ:液体の密度、D:吐出口の代表長さ、V:吐出された液体の代表速度、σ:液体の表面張力)
密度ρおよび表面張力σは、使用するインクの物性により定まる。
本実施形態において、Dは、出口122の直径であるものとする。以下では、ノズル径Dと称する。また、Vは、出口122から吐出流路100に沿って直進方向に移動するインクの速度であるものとする。
なお、出口122が矩形状である場合、Dは、出口122の短辺の長さであるものとする。

0044

紙等へのインクジェット印刷用途のインクに関してサテライト低減のために有効と言われるウェーバー数(例えば、10以下)を、本実施形態のように高粘度のインクを用いて、大きな液滴体積に応じたノズル径が設定されるインクジェット塗装に適用すると、インクの粘性抵抗により吐出に必要なエネルギーが不足し、インクが出口122に留まってしまう場合がある。その場合、有効と言われるウェーバー数を実現するように、出口122の径やインク室11のインクの圧力、弁13の開放時間等を定めてはいるものの、弁13が開き、吐出流路100をインクが流動しても、出口122から外側にインクが膨らむだけか、あるいは、出口122付近のインクに挙動が見られない。つまり、インクの吐出が不可能である。

0045

本発明の発明者により、本実施形態のインクとヘッダ装置10の試作品あるいは模型を用いて、出口122から吐出されたインクの速度(吐出速度)を実測する試験を行ったところ、吐出されたインクが出口122から分離し、液滴L(図2(a))として移動する、つまりインクの吐出が可能であるためには、吐出速度で言うと、6m/s以上が必要である。
上述の試験では、インクの吐出に伴うサテライト発生の有無について、塗装面の観察により調べた。そうしたところ、ウェーバー数Weが120以下であれば、サテライトが発生しない。なお、吐出された液滴Lをカメラにより撮像したデータによる画像処理に基づいてサテライト発生有無を調べてもよい。

0046

上述した事項図3に具体例として整理し、ウェーバー数We、吐出速度V、およびノズル径Dについて、サテライト発生の防止と、インクの吐出可否との観点から説明する。
図3グラフ縦軸はウェーバー数Weであり、横軸は出口122から吐出されたインクの速度Vである。

0047

図3には、粘度が92mPa・sのインクを使用した場合のシミュレーションおよび計算の結果より、ノズル径Dを変えてプロットするとともに、上述した試験に基づいてインクの吐出が可能な最低の速度Vである6m/sに相当する吐出可否速度ラインL1と、サテライトが発生しない上限のウェーバー数である120に相当するサテライト有無上限ラインL2と、シミュレーションまたは計算結果からインクの吐出が可能な下限のウェーバー数である14に相当する吐出可能下限ラインL3とを示している。
吐出可否速度ラインL1よりも左側の領域における速度V(6m/s未満)は、シミュレーション上あるいは計算上の値であって、出口122からインクは吐出できない。

0048

インク室11内部のインクの圧力が0.6MPaに対応するプロットを円形で示している。これらのプロットは、図3に示しているように、ノズル径Dが40μmから150μmまでの範囲に亘り、40〜60μmの間は5μmずつ、60〜150μmの間は10μmずつ変化している。円形のプロットおよび菱形のプロットのいずれも、なりのカーブを描いている。
また、インク室11内部のインクの圧力が0.4MPaに対応するプロットを菱形(◆)で示している。これらのプロットは、ノズル径Dが50μmから150μmまでの範囲に亘り、50〜60μmの間は5μmずつ、60〜150μmの間は10μmずつ変化している。
なお、一般的なインクジェット印刷の場合のノズル径は、10〜30μm程度であり、図3に示すプロットのノズル径Dと比べて小さい。
円形のプロットと菱形のプロットから、吐出エネルギーをインクに与える圧力が変化するとインクの速度Vが変化し、速度Vに関するウェーバー数Weも変化する。しかし、圧力や、速度Vが変わっても、ラインL1で示す吐出可能な最低の速度(6m/s)と、ラインL2で示す、サテライトを発生させないウェーバー数Weの上限(120)と、ラインL3で示す、インク吐出が可能なウェーバー数Weの下限(14)の要件がいずれもあてはまる
図3に示すプロットのデータは、吐出可能な速度Vが6〜8.3m/sの範囲に対応している。

0049

本実施形態は、図3において、吐出可否速度ラインL1よりも右側で、かつ、吐出可能下限ラインL3からサテライト有無上限ラインL2までの斜線を付した領域R1における速度Vおよびウェーバー数Weに基づいて、吐出流路100を通じてインクを吐出することを主要な特徴とする。
具体的には、円形のプロットでいうと、ノズル径Dが100μm、55μm、50μm,および45μmの4つのプロットが、領域R1内に存在する。図3に示す例では、ノズル径Dが100μmのプロットがラインL1上でかつラインL2上に位置している。このプロットは、実測された最低限の吐出速度(6m/s)と一致している。このノズル径Dが100μmのプロットから、ノズル径Dを小さくしていくと、吐出可能であっても、サテライトが発生する領域R2を経て、再び、領域R1へ復帰する(55μm、50μm,および45μm)。しかし、ノズル径Dがさらに小さくなると、速度VがラインL1を下回り、領域R3において吐出不可となる(40μm)。
菱形のプロットも、上記と同様の傾向を示す。菱形のプロットでいうと、ノズル径Dが55μm、60μm、70μm、および100μmのプロットが、領域R1内に存在する。
図3に示すプロットのデータは、領域R1内、すなわちウェーバー数Weが14〜120であり吐出速度Vが6m/s以上であって、且つ、We=34.6V−180を表す直線のラインL4よりも上側である領域に対応している。

0050

領域R1においては、高粘度のインクを使用していても、吐出流路100を通じてインクを吐出可能であり、サテライトの発生を防いで塗装品質を確保することができる。
この領域R1は、上述したインク滴の体積の範囲(0.5×103pl〜20×103pl)に対応している。
なお、塗装開始時からの時間経過によるインクの物性変化への対応を考慮すると、塗装開始時における吐出速度Vおよびウェーバー数Weが、適正な領域R1の中で大きいことが好ましい。上記の物性変化への対応は、例えば、インクの粘度上昇に伴う吐出速度の低下を考慮して、インク室11のインク圧力を増加させる等の処理が挙げられる。

0051

以上で説明した実施形態のように、領域R1に規定されている速度Vおよびウェーバー数Weに基づいて、ヘッダ装置10から、大面積に適した体積の大きなインク滴の機体表面に向けた吐出を繰り返す塗装ステップによれば、機体表面を効率よく塗装しつつ、塗装品質を確保することができる。この塗装ステップを経ることにより、航空機の機体を構成する部材を製造することができる。

0052

上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
本発明によれば、特に、航空機や、屋外で使用される他の装置等、高粘度のインクを使用した、体積の大きい液滴による大型の装置のインクジェット塗装の実用化に寄与することができる。

0053

2ドット
10ヘッダ装置
11インク室(液体室)
11A供給流路
12吐出ノズル
13 弁
14ピン
15アクチュエータ
100吐出流路
101導入流路
121 入口
122出口
Dノズル径
L 液滴
L1吐出可否速度ライン
L2サテライト有無上限ライン
L3吐出可能下限ライン
R1〜R3 領域
T 尾

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