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技術 R‐T‐B系焼結磁石

出願人 TDK株式会社
発明者 工藤光三輪将史
出願日 2018年3月23日 (2年11ヶ月経過) 出願番号 2018-056590
公開日 2019年10月3日 (1年4ヶ月経過) 公開番号 2019-169621
状態 未査定
技術分野 コア、コイル、磁石の製造 粉末冶金 硬質磁性材料
主要キーワード DS装置 アークセグメント Cuリッチ相 全希土類元素 磁気共鳴画像装置 rich相 各焼結磁石 軽希土類元素
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この項目の情報は公開日時点(2019年10月3日)のものです。
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図面 (5)

課題

室温で高い保磁力及び残留磁束密度を有し、高温でも高い保磁力を有するR‐T‐B系焼結磁石を提供する。

解決手段

焼結磁石は、希土類元素R(例えばNd及びPr)、遷移金属元素T(例えばFe及びCo)、B、Cu及びGaを含有し、複数の主相粒子4(R2T14Bの結晶粒)と、三つ以上の主相粒子4に囲まれた複数の粒界多重点を備える。複数の粒界多重点は、遷移金属リッチ相6(例えばR6T13Ga)及びRリッチ相8に分類される。Rリッチ相8は、Cuプア相8A及びCuリッチ相8Bに分類され、焼結磁石の断面において下記式1及び2が満たされる。N1は、遷移金属リッチ相6の個数であり、N2はCuプア相8Aの個数であり、N3はCuリッチ相8Bの個数である。0.30≦N1/(N1+N2+N3)≦0.60(1)、0.03≦N3/N2≦0.20(2)

概要

背景

R‐T‐B系焼結磁石は、優れた磁気特性を有することから、ハイブリッド車電気自動車電子機器又は家電製品等に搭載されるモータ又はアクチュエーター等に使用されている。モータ等に使用されるR‐T‐B系焼結磁石には、高温の環境下においても高い保磁力を有することが要求される。

R‐T‐B系焼結磁石の高温での保磁力(HcJ)を向上させる手法として、R2T14B相を構成する軽希土類元素(Nd又はPr)の一部を、Dy又はTb等の重希土類元素置換して、R2T14B相の磁気異方性を向上させることが知られている。近年では、多量の重希土類元素を要する高保磁力型のR‐T‐B系焼結磁石の需要が急速に拡大しつつある。

しかしながら、重希土類元素は、資源として特定の国に偏在しており、その産出量が限られている。したがって、重希土類元素は、軽希土類元素と比較して高価であり、その供給量は安定しない。そのため、重希土類元素の含有量が小さい場合であっても、高温において高い保磁力を有するR‐T‐B系焼結磁石が求められている。

例えば下記特許文献1には、R‐T‐B系焼結磁石におけるBの割合を化学量論比よりも低減してB‐rich相(R1.1Fe4B4)の生成を抑えることにより、残留磁束密度(Br)を向上させ、焼結磁石へのGaの添加により軟磁性相(R2Fe17相)の生成を抑え、保磁力の低下を抑制することが開示されている。

また下記特許文献2には、R‐T‐B系焼結磁石におけるBの割合を化学量論比よりも低減し、且つZr、Ga、Si等の元素を焼結磁石へ添加することによって、Brを向上させ、且つ磁気特性のばらつきを抑制することが開示されている。

概要

室温で高い保磁力及び残留磁束密度を有し、高温でも高い保磁力を有するR‐T‐B系焼結磁石を提供する。焼結磁石は、希土類元素R(例えばNd及びPr)、遷移金属元素T(例えばFe及びCo)、B、Cu及びGaを含有し、複数の主相粒子4(R2T14Bの結晶粒)と、三つ以上の主相粒子4に囲まれた複数の粒界多重点を備える。複数の粒界多重点は、遷移金属リッチ相6(例えばR6T13Ga)及びRリッチ相8に分類される。Rリッチ相8は、Cuプア相8A及びCuリッチ相8Bに分類され、焼結磁石の断面において下記式1及び2が満たされる。N1は、遷移金属リッチ相6の個数であり、N2はCuプア相8Aの個数であり、N3はCuリッチ相8Bの個数である。0.30≦N1/(N1+N2+N3)≦0.60(1)、0.03≦N3/N2≦0.20(2)

目的

本発明は、R‐T‐B系焼結磁石における重希土類元素の含有量が小さい場合であっても、室温において高い保磁力及び残留磁束密度を有し、且つ高温においても高い保磁力を有するR‐T‐B系焼結磁石を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

希土類元素R、遷移金属元素T、B、Cu及びGaを含有するR‐T‐B系焼結磁石であって、前記R‐T‐B系焼結磁石は、Rとして、Nd及びPrのうち少なくとも一種を含有し、前記R‐T‐B系焼結磁石は、Tとして、Fe及びCoのうち少なくともFeを含有し、前記R‐T‐B系焼結磁石は、R2T14Bの結晶を含む複数の主相粒子と、少なくとも三つの前記主相粒子に囲まれた粒界相である複数の粒界多重点と、を備え、複数の前記粒界多重点は、遷移金属リッチ相及びRリッチ相の少なくとも二つの相に分類され、前記Rリッチ相は、Cuプア相及びCuリッチ相の少なくとも二つの相に分類され、前記遷移金属リッチ相は、R、T及びGaを含有し、且つ下記式T1を満たす相であり、前記Rリッチ相は、下記式R1及び式R2を満たす相であり、前記Cuプア相は、下記式C1を満たす相であり、前記Cuリッチ相は、下記式C2を満たす相であり、前記遷移金属リッチ相、前記Cuプア相、及び前記Cuリッチ相は、下記式1を満たし、前記Cuプア相及び前記Cuリッチ相は、下記式2を満たす、R‐T‐B系焼結磁石。1.50≦([Fe]+[Co])/[R]≦3.00(T1)0.00≦([Fe]+[Co])/[R]<1.50(R1)0.00≦[O]/[R]<0.35(R2)0.00≦[Cu]/[R]<0.25(C1)0.25≦[Cu]/[R]≦1.00(C2)[前記式T1及び前記式R1中の[Fe]は、前記粒界多重点におけるFeの濃度であり、前記式T1及び前記式R1中の[Co]は、前記粒界多重点におけるCoの濃度であり、前記式T1、前記式R1、前記式R2、前記式C1及び前記式C2中の[R]は、前記粒界多重点におけるRの濃度であり、前記式R2中の[O]は、前記粒界多重点におけるOの濃度であり、前記式C1及び前記式C2中の[Cu]は、前記粒界多重点におけるCuの濃度であり、[Fe]、[Co]、[R]、[O]及び[Cu]其々の単位は、原子%である。]0.30≦N1/(N1+N2+N3)≦0.60(1)0.03≦N3/N2≦0.20(2)[前記式1中のN1は、前記R‐T‐B系焼結磁石の断面にある前記複数の粒界多重点のうち前記遷移金属リッチ相の個数であり、前記式1及び前記式2中のN2は、前記R‐T‐B系焼結磁石の断面にある前記複数の粒界多重点のうち前記Cuプア相の個数であり、前記式1及び前記式2中のN3は、前記R‐T‐B系焼結磁石の断面にある前記複数の粒界多重点のうち前記Cuリッチ相の個数である。]

請求項2

隣り合う二つの前記主相粒子の間に位置する粒界相である複数の二粒子粒界を備え、少なくとも一部の前記二粒子粒界が、前記遷移金属リッチ相及び前記Rリッチ相のうち少なくともいずれかを含む、請求項1に記載のR‐T‐B系焼結磁石。

請求項3

29.50〜33.00質量%のR、0.70〜0.95質量%のB、0.03〜0.60質量%のAl、0.01〜1.50質量%のCu、0.00〜3.00質量%のCo、0.10〜1.00質量%のGa、0.05〜0.30質量%のC、0.03〜0.40質量%のO、及び残部からなり、前記残部が、Feのみ、又はFe及びその他の元素である、請求項1又は2に記載のR‐T‐B系焼結磁石。

請求項4

重希土類元素含有量の合計が、0.00質量%以上1.00質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のR‐T‐B系焼結磁石。

技術分野

0001

本発明は、少なくとも希土類元素(R)、遷移金属元素(T)及びホウ素(B)を含むR‐T‐B系焼結磁石に関する。

背景技術

0002

R‐T‐B系焼結磁石は、優れた磁気特性を有することから、ハイブリッド車電気自動車電子機器又は家電製品等に搭載されるモータ又はアクチュエーター等に使用されている。モータ等に使用されるR‐T‐B系焼結磁石には、高温の環境下においても高い保磁力を有することが要求される。

0003

R‐T‐B系焼結磁石の高温での保磁力(HcJ)を向上させる手法として、R2T14B相を構成する軽希土類元素(Nd又はPr)の一部を、Dy又はTb等の重希土類元素置換して、R2T14B相の磁気異方性を向上させることが知られている。近年では、多量の重希土類元素を要する高保磁力型のR‐T‐B系焼結磁石の需要が急速に拡大しつつある。

0004

しかしながら、重希土類元素は、資源として特定の国に偏在しており、その産出量が限られている。したがって、重希土類元素は、軽希土類元素と比較して高価であり、その供給量は安定しない。そのため、重希土類元素の含有量が小さい場合であっても、高温において高い保磁力を有するR‐T‐B系焼結磁石が求められている。

0005

例えば下記特許文献1には、R‐T‐B系焼結磁石におけるBの割合を化学量論比よりも低減してB‐rich相(R1.1Fe4B4)の生成を抑えることにより、残留磁束密度(Br)を向上させ、焼結磁石へのGaの添加により軟磁性相(R2Fe17相)の生成を抑え、保磁力の低下を抑制することが開示されている。

0006

また下記特許文献2には、R‐T‐B系焼結磁石におけるBの割合を化学量論比よりも低減し、且つZr、Ga、Si等の元素を焼結磁石へ添加することによって、Brを向上させ、且つ磁気特性のばらつきを抑制することが開示されている。

先行技術

0007

国際公開2004/081954号パンフレット
特開2009‐260338号公報

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、R‐T‐B系焼結磁石における重希土類元素の含有量が小さい場合に、車載用駆動モータ等が曝される高温環境下において十分に高い保磁力を達成することは困難であった。

0009

本発明は、R‐T‐B系焼結磁石における重希土類元素の含有量が小さい場合であっても、室温において高い保磁力及び残留磁束密度を有し、且つ高温においても高い保磁力を有するR‐T‐B系焼結磁石を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明の一側面に係るR‐T‐B系焼結磁石は、希土類元素R、遷移金属元素T、B、Cu及びGaを含有するR‐T‐B系焼結磁石であって、R‐T‐B系焼結磁石は、Rとして、Nd及びPrのうち少なくとも一種を含有し、R‐T‐B系焼結磁石は、Tとして、Fe及びCoのうち少なくともFeを含有し、R‐T‐B系焼結磁石は、R2T14Bの結晶を含む複数の主相粒子と、少なくとも三つの主相粒子に囲まれた粒界相である複数の粒界多重点と、を備え、複数の粒界多重点は、遷移金属リッチ相及びRリッチ相の少なくとも二つの相に分類され、Rリッチ相は、Cuプア相及びCuリッチ相の少なくとも二つの相に分類され、遷移金属リッチ相は、R、T及びGaを含有し、且つ下記式T1を満たす相であり、Rリッチ相は、下記式R1及びR2を満たす相であり、Cuプア相は、下記式C1を満たす相であり、Cuリッチ相は、下記式C2を満たす相であり、遷移金属リッチ相、Cuプア相、及びCuリッチ相は、下記式1を満たし、Cuプア相及びCuリッチ相は、下記式2を満たす。
1.50≦([Fe]+[Co])/[R]≦3.00 (T1)
0.00≦([Fe]+[Co])/[R]<1.50 (R1)
0.00≦[O]/[R]<0.35 (R2)
0.00≦[Cu]/[R]<0.25 (C1)
0.25≦[Cu]/[R]≦1.00 (C2)
[上記式T1及び式R1中の[Fe]は、粒界多重点におけるFeの濃度であり、上記式T1及び式R1中の[Co]は、粒界多重点におけるCoの濃度であり、上記式T1、式R1、式R2、式C1及び式C2中の[R]は、粒界多重点におけるRの濃度であり、上記式R2中の[O]は、粒界多重点におけるOの濃度であり、上記式C1及び式C2中の[Cu]は、粒界多重点におけるCuの濃度であり、[Fe]、[Co]、[R]、[O]及び[Cu]其々の単位は、原子%である。]
0.30≦N1/(N1+N2+N3)≦0.60 (1)
0.03≦N3/N2≦0.20 (2)
[上記式1中のN1は、R‐T‐B系焼結磁石の断面にある複数の粒界多重点のうち遷移金属リッチ相の個数であり、上記式1及び式2中のN2は、R‐T‐B系焼結磁石の断面にある複数の粒界多重点のうちCuプア相の個数であり、上記式1及び式2中のN3は、R‐T‐B系焼結磁石の断面にある複数の粒界多重点のうちCuリッチ相の個数である。]

0011

R‐T‐B系焼結磁石は、隣り合う二つの主相粒子の間に位置する粒界相である複数の二粒子粒界を備えてよく、少なくとも一部の二粒子粒界が、遷移金属リッチ相及びRリッチ相のうち少なくともいずれかを含んでよい。

0012

R‐T‐B系焼結磁石は、29.50〜33.00質量%のR、0.70〜0.95質量%のB、0.03〜0.60質量%のAl、0.01〜1.50質量%のCu、0.00〜3.00質量%のCo、0.10〜1.00質量%のGa、0.05〜0.30質量%のC、0.03〜0.40質量%のO、及び残部からなっていてよく、残部が、Feのみ、又はFe及びその他の元素であってよい。

0013

R‐T‐B系焼結磁石における重希土類元素の含有量の合計は、0.00質量%以上1.00質量%以下であってよい。

発明の効果

0014

本発明によれば、R‐T‐B系焼結磁石における重希土類元素の含有量が小さい場合であっても、室温において高い保磁力及び残留磁束密度を有し、且つ高温においても高い保磁力を有するR‐T‐B系焼結磁石を提供することができる。

図面の簡単な説明

0015

図1中の(a)は、本発明の一実施形態に係るR‐T‐B系焼結磁石の模式的な斜視図であり、図1中の(b)は、図1に示されるR‐T‐B系焼結磁石の断面の模式図(b‐b線方向の矢視図)である。
図2は、図1中の(b)に示されるR‐T‐B系焼結磁石の断面の一部(領域II)の模式的な拡大図である。
図3は、本発明の一実施形態に係るR‐T‐B系焼結磁石の製造方法が備える焼結工程及び時効(aging)処理工程を示す模式図である。
図4は、本発明の実施例2‐3のR‐T‐B系焼結磁石の断面の一部の画像(走査型電子顕微鏡撮影された断面)である。

0016

以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。図面において、同等の構成要素には同等の符号を付す。本発明は下記実施形態に限定されるものではない。以下に記載の「焼結磁石」はいずれも、「R‐T‐B系焼結磁石」を意味する。以下に記載の「濃度」(単位:原子%)は、「含有量」と言い換えられてよい。

0017

(焼結磁石)
本実施形態に係る焼結磁石は、少なくとも希土類元素(R)、遷移金属元素(T)、ホウ素(B)、銅(Cu)及びガリウム(Ga)を含有する。焼結磁石がGaを含有することにより、後述される遷移金属リッチ相が形成される。焼結磁石は、酸素(O)を含有してもよい。

0018

焼結磁石は、希土類元素Rとして、ネオジム(Nd)及びプラセオジム(Pr)のうち少なくとも一種を含有する。焼結磁石は、Nd及びPrの両方を含有してよい。焼結磁石は、Nd又はPrに加えて、さらに他の希土類元素Rを含んでもよい。他の希土類元素Rは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。

0019

焼結磁石は、遷移金属元素Tとして、鉄(Fe)及びコバルト(Co)のうち少なくともFeを含有する。焼結磁石は、Fe及びCoの両方を含有してもよい。

0020

図1中の(a)は、本実施形態に係る直方体状の焼結磁石2の模式的な斜視図であり、図1中の(b)は、焼結磁石2の断面2csの模式図であり、図2は、焼結磁石2の断面2csの一部(領域II)の拡大図である。焼結磁石2の形状は、直方体に限定されない。例えば、焼結磁石2の形状は、アークセグメント形、C字形形、平板円柱及び弓形からなる群より選ばれる一種であってよい。

0021

図2に示されるように、焼結磁石2は、互いに焼結した複数(無数)の主相粒子4を備える。主相粒子4は、R2T14Bの結晶を含む。主相粒子4は、R2T14Bの結晶(単結晶又は多結晶)のみからなっていてよい。主相粒子4は、R、T及びBに加えて他の元素を含んでもよい。主相粒子4内の組成は均一であってよい。主相粒子4内の組成は不均一であってもよい。例えば、主相粒子4におけるR、T及びBそれぞれの濃度分布勾配を有していてもよい。

0022

焼結磁石2は、複数の粒界多重点(6、8)を備える。粒界多重点とは、少なくとも三つの主相粒子4に囲まれた粒界相である。複数の粒界多重点は、遷移金属リッチ相6及びRリッチ相8の少なくとも二つの相に分類される。つまり各粒界多重点は、遷移金属リッチ相6及びRリッチ相8のうちいずれか一方であってよい。

0023

焼結磁石2は、複数の二粒子粒界10も備えてよい。二粒子粒界10は、隣り合う2つの主相粒子4の間に位置する粒界相である。少なくとも一部の二粒子粒界10は、遷移金属リッチ相6を含んでよい。少なくとも一部の二粒子粒界10は、Rリッチ相8を含んでもよい。つまり、少なくとも一部の二粒子粒界10は、後述されるCuプア相及びCuリッチ相のうち少なくともいずれかを含んでもよい。

0024

遷移金属リッチ相6は、R、T及びGaを含有し、且つ下記式T1を満たす相である。遷移金属リッチ相6は、R6T13Gaを含む相であってよい。遷移金属リッチ相6は、R6T13Gaのみからなる相であってもよい。R6T13Gaは、例えば、Nd6Fe13Gaであってよい。焼結磁石2が遷移金属リッチ相6を含むことにより、焼結磁石2の保磁力が向上し易い。
1.50≦([Fe]+[Co])/[R]≦3.00 (T1)
上記式T1中の[Fe]は、粒界多重点におけるFeの濃度であり、上記式T1中の[Co]は、粒界多重点におけるCoの濃度であり、上記式T1中の[R]は、粒界多重点におけるRの濃度であり、[Fe]、[Co]及び[R]其々の単位は、原子%である。

0025

Rリッチ相8は、少なくともRを含み、下記の式R1及び式R2を満たす相である。Rリッチ相8は、遷移金属元素Tとして、Fe及びCoのうちFeのみを含んでよい。Rリッチ相8は、遷移金属元素Tとして、Fe及びCoの両方を含んでもよい。Rリッチ相8は、遷移金属元素Tを含まなくてもよい。Rリッチ相8は、Oを含んでよい。Rリッチ相8は、Oを含まなくてもよい。
0.00≦([Fe]+[Co])/[R]<1.50 (R1)
0.00≦[O]/[R]<0.35 (R2)
上記式R1中の[Fe]は、粒界多重点におけるFeの濃度であり、上記式R1中の[Co]は、粒界多重点におけるCoの濃度であり、上記式R2中の[O]は、粒界多重点におけるOの濃度であり、上記の式R1及び式R2中の[R]は、粒界多重点におけるRの濃度であり、[Fe]、[Co]、[O]及び[R]其々の単位は、原子%である。

0026

一部の粒界多重点は、遷移金属リッチ相6及びRリッチ相8とは異なる他の相であってもよい。他の相は、例えば希土類酸化物相であってよい。希土類酸化物相とは、Rの酸化物を含む相、又はRの酸化物のみならなる相である。希土類酸化物相においては、[O]/[R]が0.35以上である。

0027

遷移金属リッチ相6及びRリッチ相8は、組成の違いに基づいて客観的且つ明確に識別される全く異なる相である。遷移金属リッチ相6及びRリッチ相8は、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影された焼結磁石2の断面2csの画像においても、色のコントラストに基づいて識別される。一つの粒界多重点には、遷移金属リッチ相6、Rリッチ相8及びその他の相のうち一種類の相のみが存在する傾向がある。ただし、一つの粒界多重点において、遷移金属リッチ相6、Rリッチ相8及びその他の相のうち二種類以上の相が存在してもよい。

0028

Rリッチ相8は、Cuプア相8A及びCuリッチ相8Bの少なくとも二つの相に分類される。Rリッチ相8は、Cuプア相8A及びCuリッチ相8Bの少なくとも二つの相のみに分類されてよい。つまり、Cuプア相8Aは、Rリッチ相8の一種であり、Cuリッチ相8Bは、Rリッチ相8の別の一種である。

0029

Cuプア相8Aは、Rリッチ相8のうち、下記式C1又は式C1’を満たす相である。つまり、Cuプア相8Aは、上記の式R1及びR2を満たし、且つ下記式C1を満たす。Cuプア相8Aは、少なくともRを含む。Cuプア相8Aは、Cuを含んでよい。Cuプア相8Aは、Cuを含まなくてもよい。
0.00≦[Cu]/[R]<0.25 (C1)
0.00≦[Cu]/[R]≦0.18 (C1’)
上記式C1中の[Cu]は、粒界多重点におけるCuの濃度であり、上記式C1中の[R]は、粒界多重点におけるRの濃度であり、[Cu]及び[R]其々の単位は、原子%である。

0030

Cuリッチ相8Bは、Rリッチ相8のうち、下記式C2を満たす相である。つまり、Cuリッチ相8Bは、上記の式R1及びR2を満たし、且つ下記式C2を満たす。Cuリッチ相8Bは、少なくともR及びCuを含む。
0.25≦[Cu]/[R]≦1.00 (C2)
上記式C2中の[Cu]は、粒界多重点におけるCuの濃度であり、上記式C2中の[R]は、粒界多重点におけるRの濃度であり、[Cu]及び[R]其々の単位は、原子%である。

0031

Rリッチ相8は、本発明者らによって恣意的にCuプア相8A及びCuリッチ相8Bに分類されるものではない。Cuプア相8A及びCuリッチ相8Bは、組成の違いに基づいて客観的且つ明確に識別される全く異なる相である。Cuプア相8A及びCuリッチ相8Bは、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影された焼結磁石2の断面2csの画像においても、色のコントラストに基づいて識別され得る。一つの粒界多重点に存在するRリッチ相8は、Cuプア相8A及びCuリッチ相8Bのうち一種類の相のみである傾向がある。ただし、一つの粒界多重点においてCuプア相8A及びCuリッチ相8Bの両方が存在してもよい。

0032

遷移金属リッチ相6、Cuプア相8A、及びCuリッチ相8Bは、下記の式1を満たし、Cuプア相8A及びCuリッチ相8Bは、下記の式2を満たす。
0.30≦N1/(N1+N2+N3)≦0.60 (1)
0.03≦N3/N2≦0.20 (2)
上記式1中のN1は、焼結磁石2の断面2csにある複数の粒界多重点のうち遷移金属リッチ相6の個数である。上記式の1及び式2中のN2は、焼結磁石2の断面2csにある複数の粒界多重点のうちCuプア相8Aの個数である。上記の式1及び式2中のN3は、焼結磁石2の断面2csにある複数の粒界多重点のうちCuリッチ相8Bの個数である。

0033

N1/(N1+N2+N3)が0.30以上であり、且つN3/N2が0.03以上0.20以下であることにより、室温及び高温での焼結磁石2の保磁力(HcJ)が向上する。またN1/(N1+N2+N3)が0.60以下であることにより、焼結磁石2の残留磁束密度(Br)が向上する。つまり上記式1及び2に係る特徴を有する焼結磁石2は、上記式1及び2に係る特徴を有していない従来の焼結磁石と比べて、高い残留磁束密度のみならず、室温及び高温での高い保磁力を有することができる。なお、室温とは、例えば、0℃以上40℃以下であってよい。高温とは、例えば、100℃以上200℃以下であってよい。

0034

焼結磁石2が、高い残留磁束密度と高い保磁力を有し易いことから、遷移金属リッチ相6、Cuプア相8A、及びCuリッチ相8Bは、下記の式1‐1〜1‐14のいずれかを満たしてもよい。
0.30≦N1/(N1+N2+N3)≦0.55 (1‐1)
0.30≦N1/(N1+N2+N3)≦0.50 (1‐2)
0.30≦N1/(N1+N2+N3)≦0.48 (1‐3)
0.30≦N1/(N1+N2+N3)≦0.45 (1‐4)
0.35≦N1/(N1+N2+N3)≦0.60 (1‐5)
0.35≦N1/(N1+N2+N3)≦0.55 (1‐6)
0.35≦N1/(N1+N2+N3)≦0.50 (1‐7)
0.35≦N1/(N1+N2+N3)≦0.48 (1‐8)
0.35≦N1/(N1+N2+N3)≦0.45 (1‐9)
0.36≦N1/(N1+N2+N3)≦0.60 (1‐10)
0.36≦N1/(N1+N2+N3)≦0.55 (1‐11)
0.36≦N1/(N1+N2+N3)≦0.50 (1‐12)
0.36≦N1/(N1+N2+N3)≦0.48 (1‐13)
0.36≦N1/(N1+N2+N3)≦0.45 (1‐14)

0035

焼結磁石2が、高い残留磁束密度と高い保磁力を有し易いことから、Cuプア相8A、及びCuリッチ相8Bは、下記の式2‐1〜2‐11のいずれかを満たしてもよい。
0.03≦N3/N2≦0.18 (2‐1)
0.03≦N3/N2≦0.12 (2‐2)
0.03≦N3/N2≦0.11 (2‐3)
0.04≦N3/N2≦0.20 (2‐4)
0.04≦N3/N2≦0.18 (2‐5)
0.04≦N3/N2≦0.12 (2‐6)
0.04≦N3/N2≦0.11 (2‐7)
0.10≦N3/N2≦0.20 (2‐8)
0.10≦N3/N2≦0.18 (2‐9)
0.10≦N3/N2≦0.12 (2‐10)
0.10≦N3/N2≦0.11 (2‐11)

0036

焼結磁石2が高い残留磁束密度と高い保磁力を有するメカニズムは、以下の通りである。

0037

遷移金属リッチ相6における鉄の濃度は他の粒界相に比べて高いにもかかわらず、遷移金属リッチ相6の磁化は低い。磁化が低い遷移金属リッチ相6が、隣り合う二つ以上の主相粒子4(R2T14Bの結晶粒)の間(粒界多重点及び二粒子粒界10)に存在することにより、主相粒子4同士の磁気的な結合が分断される。つまり、隣り合う二つ以上のR2T14Bの結晶粒が、磁化の低い遷移金属リッチ相6の介在によって、互いに分離される。したがって、焼結磁石2が少なくとも一定量(上記式1で規定される量)の遷移金属リッチ相6を含有することにより、室温及び高温での保磁力が向上する。つまり、焼結磁石2が高い保磁力を有するためには、N1/(N1+N2+N3)が0.30以上であることが必要である。

0038

ただし、遷移金属リッチ相6が多過ぎる場合、焼結磁石2の残留磁束密度が低下する。焼結磁石2の製造過程(焼結工程及び時効処理工程)において、主相粒子4(R2T14B)を構成する遷移金属元素Tが、遷移金属リッチ相6の形成のために消費され、焼結磁石2に占める主相粒子4の体積比率が減少するからである。したがって、焼結磁石2が高い残留磁束密度を有するためには、N1/(N1+N2+N3)が0.60以下であることが必要である。

0039

また焼結磁石2の製造過程(焼結工程及び時効処理工程)において、遷移金属リッチ相6の形成に伴ってRリッチ相8における遷移金属元素T(例えばFe)の濃度が下がるため、Rリッチ相8の磁化も低下する。磁化が低いRリッチ相8が、隣り合う二つ以上の主相粒子4(R2T14Bの結晶粒)の間(粒界多重点及び二粒子粒界10)に存在することにより、主相粒子4同士の磁気的な結合が分断される。つまり、隣り合う二つ以上のR2T14Bの結晶粒が、磁化の低いRリッチ相8の介在によって、互いに分離される。したがって、焼結磁石2がRリッチ相8を含有することにより、室温及び高温での保磁力が向上する。

0040

焼結磁石2が、Rリッチ相8として、少なくとも一定量(上記式2で規定される量)のCuリッチ相8Bを含有する場合、室温での保磁力はほとんど変化しないが、高温での保磁力が向上する。つまり、焼結磁石2が高温での高い保磁力を有するためには、N3/N2が0.03以上であることが必要である。その理由は、はっきりとは分かっていない。Cuリッチ相8Bに関する以下のメカニズムは仮説である。

0041

Cuプア相8AとCuリッチ相8Bは、室温では同等の磁化を有する。しかし、Cuプア相8AとCuリッチ相8Bは、磁化の温度依存性において異なる。したがって、温度の上昇に伴って、隣り合う二つ以上の主相粒子4(R2T14Bの結晶粒)の磁気的な結合の強さが変化する。例えば、温度の上昇に伴ってCuリッチ相8Bの磁化が低下する可能性がある。そして高温では、隣り合う二つ以上の主相粒子4の間(粒界多重点及び二粒子粒界10)に磁化の低いCuリッチ相8Bが存在することにより、主相粒子4同士の磁気的な結合が分断される可能性がある。

0042

ただし、Cuリッチ相8Bが多過ぎる場合、室温及び高温での焼結磁石2の保磁力が低下する。その理由は、はっきりとは分かっていない。焼結磁石2の製造過程(例えば時効処理工程)において、Cuリッチ相8BはCuプア相8Aよりも粒界多重点に溜まり易い傾向がある。その結果、厚い二粒子粒界10が形成され難く、隣り合う二つ以上の主相粒子4(R2T14Bの結晶粒)の間の磁気分離が十分でない箇所が増加することが推測される。

0043

焼結磁石2が高い残留磁束密度と高い保磁力を有するメカニズムは、上記のメカニズムに限定されるものではない。

0044

主相粒子4の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、1.0μm以上10.0μm以下であってよい。焼結磁石2における主相粒子4の体積の割合の合計値は、特に限定されないが、例えば、75体積%以上100体積%未満であってよい。

0045

上述の技術的特徴を有する焼結磁石2は、重希土類元素を含有しない場合であっても、高温において十分に高い保磁力を有することができる。ただし、高温における焼結磁石2の保磁力を更に高めるために、焼結磁石2が重希土類元素を含有してもよい。ただし、重希土類元素の含有量が多すぎる場合、残留磁束密度が低下する傾向がある。例えば、焼結磁石2における重希土類元素の含有量の合計は、0.00質量%以上1.00質量%以下であってよい。重希土類元素の使用を極力控えることで、重希土類元素を使用することの資源リスクを軽減できる。重希土類元素は、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。

0046

上述された主相粒子4、遷移金属リッチ相6及びRリッチ相8(Cuプア相8A及びCuリッチ相8B)其々の組成は、エネルギー分散X線分光(EDS)器によって焼結磁石2の断面2csを分析することによって特定されてよい。

0047

焼結磁石2の全体の具体的な組成は、以下に説明される。ただし、焼結磁石2の組成の範囲は以下に限定されるものではない。上述した粒界相の組成に起因する本発明の効果が得られる限りにおいて、焼結磁石2の組成は以下の組成の範囲を外れてもよい。

0048

焼結磁石におけるRの含有量は、29.50〜33.00質量%であってよい。焼結磁石がRとして重希土類元素を含む場合、重希土類元素も含め全ての希土類元素の合計の含有量が29.5〜33質量%であってよい。Rの含有量がこの範囲であると、高い残留磁束密度及び保磁力が得られる傾向にある。Rの含有量が小さすぎる場合、主相粒子(R2T14B)が形成され難くなって、軟磁性を有するα‐Fe相が形成され易くなり、その結果保磁力が低下する傾向がある。一方、Rの含有量が大きすぎる場合、主相粒子の体積比率が低くなり、残留磁束密度が低下する傾向がある。主相粒子の体積比率が高くなり、残留磁束密度が高まり易いことから、Rの含有量は、30.00〜32.50質量%であってもよい。残留磁束密度及び保磁力が高まり易いことから、全希土類元素Rに占めるNd及びPrの割合の合計は、80〜100原子%又は95〜100原子%であってよい。

0049

焼結磁石におけるBの含有量は、0.70〜0.95質量%であってよい。Bの含有量が、R2T14Bで表される主相の組成の化学量論比よりも小さいことで、遷移金属リッチ相が形成され易くなり、保磁力が向上し易い。Bの含有量が小さすぎる場合、R2T17相が析出し易く、保磁力が低下する傾向がある。一方、Bの含有量が多すぎる場合も、遷移金属リッチ相が十分に形成されず、保磁力が低下する傾向がある。残留磁束密度及び保磁力が高まり易いことから、Bの含有量は、0.75〜0.90質量%又は0.80〜0.88質量%であってもよい。

0050

焼結磁石は、アルミニウム(Al)を含有してもよい。焼結磁石におけるAlの含有量は、0.03〜0.60質量%、又は0.03〜0.30質量%以下であってよい。Alの含有量が上記範囲であることにより、焼結磁石の保磁力及び耐食性が向上し易い。

0051

焼結磁石におけるCuの含有量は0.01〜1.50質量%、又は0.03〜1.00質量%、又は0.05〜0.50質量%であってよい。Cuの含有量が上記範囲であることにより、焼結磁石の保磁力、耐食性及び温度特性が向上し易い。Cuの含有量が少なすぎる場合、Cuリッチ相が十分に形成されずに、高温での保磁力が低下する傾向がある。一方、Cuの含有量が多すぎる場合、Cuリッチ相が過剰に形成され易く、室温での保磁力が低下する傾向がある。室温での保磁力及び高温での保磁力が高まり易いことから、Cuの含有量は、0.01〜0.50質量%であってもよい。

0052

焼結磁石におけるCoの含有量は、0.00〜3.00質量%であってよい。Coは、Feと同様に、主相粒子(R2T14Bの結晶粒)を構成する遷移金属元素Tであってよい。焼結磁石がCoを含ことにより、焼結磁石のキュリー温度が向上し易い、また焼結磁石がCoを含ことにより、粒界相の耐食性が向上し易く、焼結磁石全体の耐食性が向上し易い。これら効果が得られ易いことから、焼結磁石におけるCoの含有量は、0.30〜2.50質量%であってもよい。

0053

Gaの含有量は、0.10〜1.00質量%、又は0.20〜0.80質量%であってよい。Gaの含有量が小さすぎる場合、遷移金属リッチ相が十分に形成されずに保磁力が低下する傾向がある。Gaの含有量が大きすぎる場合、遷移金属リッチ相が過剰に形成され、主相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する傾向がある。残留磁束密度及び保磁力が高まり易いことから、Gaの含有量は、0.20〜0.80質量%であってもよい。

0054

焼結磁石は、炭素(C)を含有してよい。焼結磁石におけるCの含有量は、0.05〜0.30質量%、または0.10〜0.25質量%であってよい。Cの含有量が小さすぎる場合、R2T17相が析出し易く、保磁力が低下する傾向がある。Cの含有量が大きすぎる場合、遷移金属リッチ相が十分に形成されず、保磁力が低下する傾向がある。保磁力が向上し易いことから、Cの含有量は0.10〜0.25質量%であってよい。

0055

焼結磁石におけるOの含有量は、0.03〜0.40質量%であってよい。Oの含有量が小さすぎる場合、焼結磁石の耐食性が低減する傾向がある、Oの含有量が大き過ぎる場合、保磁力が低下する傾向がある。耐食性及び保磁力が向上し易いことから、Oの含有量は、0.05〜0.30質量%、又は0.05〜0.25質量%であってもよい。

0056

焼結磁石は窒素(N)を含有してもよい。焼結磁石におけるNの含有量は、0.00〜0.15質量%であってよい。Nの含有量が大きすぎる場合、保磁力が低下する傾向にある。

0057

焼結磁石から上述の元素を除いた残部は、Feのみ、又はFe及びその他の元素であってよい。焼結磁石が十分な磁気特性を有するためには、残部のうち、Fe以外の元素の含有量の合計は、焼結磁石の全質量に対して5質量%以下であってよい。

0058

焼結磁石は、残部(その他の元素)として、例えばジルコニウム(Zr)を含有してよい。焼結磁石におけるZrの含有量は、0.00〜1.50質量%、又は0.03〜0.80質量%、又は0.10〜0.60質量%であってよい。Zrは、焼結磁石の製造過程(焼結工程)で、主相粒子(結晶粒)の異常粒成長を抑制し、焼結磁石の組織を均一且つ微細にして、焼結磁石の磁気特性を向上させる。

0059

焼結磁石は、不可避不純物として、マンガン(Mn)、カルシウム(Ca)、ニッケル(Ni)、ケイ素(Si)、塩素(Cl)、硫黄(S)及びフッ素(F)からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有してよい。焼結磁石における不可避不純物の含有量の合計値は、0.001〜0.50質量%であってよい。

0060

以上の焼結磁石全体の組成は、例えば、蛍光X線(XRF)分析法高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析法、及び不活性ガス融解非分散赤外線吸収(NDIR)法によって特定されてよい。

0061

本実施形態に係る焼結磁石は、モータ又はアクチュエーター等に適用されてよい。例えば、焼結磁石は、ハイブリッド自動車、電気自動車、ハードディスクドライブ磁気共鳴画像装置MRI)、スマートフォンデジタルカメラ薄型TV、スキャナーエアコンヒートポンプ冷蔵庫掃除機洗濯乾燥機エレベーター及び風力発電機等の様々な分野で利用される。

0062

(焼結磁石の製造方法)
以下では、上述の焼結磁石の製造方法が説明される。

0063

上述の焼結磁石を構成する各元素を含む金属(原料金属)から、ストリップキャスティング法等により、原料合金を作製する。原料金属は、例えば、希土類元素の単体金属単体)、希土類元素を含む合金純鉄フェロボロン、又はこれらを含む合金であってよい。これらの原料金属を、所望の焼結磁石の組成に一致するように量する。なお、原料合金として、組成が異なる複数の合金を作製してよい。

0064

上記の原料合金を粉砕して、原料合金粉末を準備する。原料合金を、粗粉砕工程及び微粉砕工程の二段階で粉砕してよい。粗粉砕工程では、例えば、スタンプミルジョークラッシャー、又はブラウンミル等の粉砕方法を用いてよい。粗粉砕工程は、不活性ガス雰囲気中で行ってよい。水素を原料合金へ吸蔵させた後、原料合金を粉砕してよい。つまり、粗粉砕工程として水素吸蔵粉砕を行ってもよい。粗粉砕工程においては、原料合金の粒径が数百μm程度となるまで原料合金を粉砕する。粗粉砕工程に続く微粉砕工程では、粗粉砕工程を経た原料合金を、その平均粒径が3〜5μmとなるまで更に粉砕する。微粉砕工程では、例えば、ジェットミルを用いてよい。

0065

原料合金を、粗粉砕工程と微粉砕工程の2段階で粉砕しなくてもよい。例えば、微粉砕工程のみを行ってもよい。また、複数種の原料合金を用いる場合、各原料合金を別々に粉砕してから、混合してもよい。

0066

上述の方法で得られた原料合金粉末を磁場中で成形して、成形体を得る。例えば、金型内の原料合金粉末に磁場を印加しながら、原料合金粉末を金型加圧することにより、成形体を得る。金型が原料合金粉末に及ぼす圧力は、30〜300MPaであってよい。原料合金粉末に印加される磁場の強さは、950〜1600kA/mであってよい。

0067

本実施形態に係る焼結磁石が備える特徴的な粒界多重点は、以下の通り、焼結工程に続く三段階の時効処理工程を経ることによって形成される。焼結工程及び時効処理工程の温度の経時的なプロファイルは、図3に示される。焼結工程及び時効処理工程の詳細は以下の通りである。

0068

焼結工程では、上述の成形体を、真空又は不活性ガス雰囲気中で焼結させて、焼結体を得る。焼結条件は、目的とする焼結磁石の組成、原料合金の粉砕方法及び粒度等に応じて、適宜設定されてよい。焼結温度Tsは、例えば、1000〜1100℃であってよい。焼結時間は、1〜24時間行なえばよい。

0069

時効処理工程は、第一時効処理と、第一時効処理に続く第二時効処理と、第二時効処理に続く第三時効処理とから構成される。三段階の時効処理工程では、焼結体を、真空又は不活性ガス雰囲気中で加熱する。図3に示されるように、第一時効処理では、焼結体を第一温度T1で加熱する。第二時効処理では、焼結体を第二温度T2で加熱する。第三時効処理では、焼結体を第三温度T3で加熱する。第一温度T1は第二温度T2よりも高く、第二温度T2は第三温度T3よりも高い。第二時効処理では、遷移金属リッチ相とRリッチ相が形成され易く、第三時効処理では、Rリッチ相がCuプア相とCuリッチ相に分離し易い。仮に第一温度T1が第二温度T2よりも低い場合、第一時効処理においてCuリッチ相がCuプア相とCuリッチ相に分離し、第二時効処理においてCuリッチ相が溶融して減少し易い。つまり、第一時効処理においてCuプア相とCuリッチ相に分離したRリッチ相の組成が、第二時効処理において再び均一な組成に戻り易い。その結果、下記式1及び式2が満たされ難い。仮に第二温度T2が第三温度T3よりも低い場合、第二時効処理においてCuリッチ相がCuプア相とCuリッチ相に分離し、第三時効処理においてCuリッチ相が溶融して減少し易い。つまり、第二時効処理においてCuプア相とCuリッチ相に分離したRリッチ相の組成が、第三時効処理において再び均一な組成に戻り易い。その結果、下記式1及び式2が満たされ難い。
0.30≦N1/(N1+N2+N3)≦0.60 (1)
0.03≦N3/N2≦0.20 (2)

0070

第一温度T1は、700〜1000℃であってよい。第一温度T1が700℃未満である場合、第二時効処理において遷移金属リッチ相が十分に分散せず、角形比(Hk/HcJ)が低下する傾向がある。第一温度T1が1000℃を超える場合、希土類酸化物相が十分に分散せず、角形比(Hk/HcJ)が低下する傾向がある。第一時効処理の時間t1(焼結体を第一温度T1で加熱し続ける時間)は、1〜5時間であってよい。t1が1時間未満である場合、第二時効処理において遷移金属リッチ相が十分に分散せず、角形比(Hk/HcJ)が低下する傾向がある。t1が5時間を超える場合、希土類酸化物相が十分に分散せず、角形比(Hk/HcJ)が低下する傾向がある。

0071

第二温度T2は、500〜600℃であってよい。第二温度T2が500℃未満である場合、Cuプア相及びCuリッチ相に比べて遷移金属リッチ相が形成され難く、N1/(N1+N2+N3)が0.30未満になり易い。第二温度T2が600℃を超える場合、Cuプア相及びCuリッチ相に比べて遷移金属リッチ相が過剰に形成され易く、N1/(N1+N2+N3)が0.60を超え易い。第二時効処理の時間t2(焼結体を第二温度T2で加熱し続ける時間)は、1〜5時間であってよい。t2が1時間未満である場合、遷移金属リッチ相が十分に形成されず、N1/(N1+N2+N3)が0.30未満になり易く、保磁力が低下する傾向がある。t2が5時間を超える場合、遷移金属リッチ相が過剰に形成され、N1/(N1+N2+N3)が0.60を超え易く、残留磁束密度が低下する傾向がある。仮に第二時効処理が実施されなかった場合、Cuプア相及びCuリッチ相に比べて遷移金属リッチ相が形成され難く、N1/(N1+N2+N3)が0.30未満になり易い。

0072

第三温度T3は、410〜490℃であってよい。第三温度T3が410℃未満である場合、十分に液相が発生せず、Cuプア相を形成する反応が起こり難く、N3/N2が0.03未満になり易く、高温での保磁力が低下する傾向がある。第三温度T3が490℃を超える場合、遷移金属リッチ相が過剰に形成され易く、N3/N2が0.20を超え易く、残留磁束密度及び保磁力が低下する傾向がある。第三時効処理の時間t3(焼結体を第三温度T3で加熱し続ける時間)は、3〜5時間であってよい。t3が3時間未満である場合、Cuプア相に比べてCuリッチ相が形成され難く、N3/N2が0.03未満になり易い。t3が5時間を超える場合、Cuリッチ相が過剰に形成されるため、N3/N2が0.20を超え易い。仮に第三時効処理が実施されなかった場合、Cuプア相に比べてCuリッチ相が形成され難く、N3/N2が0.03未満になり易い。

0073

図3に示されるように、焼結工程を開始するために、雰囲気の温度をTs未満の温度(例えば室温)からTsまで上げる場合、昇温速度は0.1〜20℃/分であってよい。「雰囲気の温度」とは、焼結体の周りの雰囲気の温度であり、例えば加熱炉内の温度である。焼結工程後、雰囲気の温度をTsからT1未満の温度(例えば室温)まで下げる場合、降温速度は1〜50℃/分であってよい。第一時効処理を開始するために、雰囲気の温度をT1未満の温度(例えば室温)からT1まで上げる場合、昇温速度は0.1〜20℃/分であってよい。第一時効処理後、雰囲気の温度をT1からT2未満の温度(例えば室温)まで下げる場合、降温速度は1〜50℃/分であってよい。第二時効処理を開始するために、雰囲気の温度をT2未満の温度(例えば室温)からT2まで上げる場合、昇温速度は0.1〜50℃/分であってよい。第一時効処理後、雰囲気の温度をT1からT2まで下げて、第一時効処理に連続して第二時効処理を実施してもよい。第二時効処理後、時効処理の雰囲気の温度をT2からT3まで下げる場合、降温速度は1〜50℃/分であってよい。第三時効処理後、時効処理の雰囲気の温度をT3からT3未満の温度(例えば室温)まで下げる場合、降温速度は1〜50℃/分であってよい。焼結工程、第一時効処理、第二時効処理及び第三時効処理其々における昇温速度及び降温速度が上記の範囲内であることにより、上記式1及び式2が満たされ易い。

0074

以上の方法により、本実施形態に係る焼結磁石が得られる。

0075

重希土類元素を含む焼結磁石を製造する場合、重希土類元素又はその化合物(例えば水素化物)を上記の焼結体の表面に付着させた後、焼結体を加熱してもよい。この熱拡散処理により、重希土類元素を焼結体の表面から内部へ拡散させることができる。例えば、焼結工程に続いて熱拡散処理を実施した後、第一時効処理、第二時効処理及び第三時効処理を実施してよい。第一時効処理に続いて熱拡散処理を実施した後、第二時効処理及び第三時効処理を実施してもよい。

0076

以下では実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。

0077

(実施例1‐1)
[焼結磁石の作製]
ストリップキャスティング法により、焼結磁石の原料金属から原料合金を作製した。原料金属の秤量により、原料合金の組成を調整した。原料合金中の各元素の含有量は以下の値に調整された。

0078

Ndの含有量は、24.96質量%であった。Prの含有量は、6.24質量%であった。Bの含有量は、0.86質量%であった。Coの含有量は、2.00質量%であった。Cuの含有量は、0.50質量%であった。Gaの含有量は、1.00質量%であった。Alの含有量は、0.20質量%であった。Zrの含有量は、0.20質量%であった。原料合金から上記元素を除いた残部は、Feと極微量の不可避的不純物(Tb等)であった。Nd、Pr、Fe、Co、Ga、Al、Cu及びZr其々の含有量は、蛍光X線分析により測定した。Bの含有量は、ICP発光分析により測定した。Oの含有量は、不活性ガス融解‐非分散型赤外線吸収法により測定した。

0079

水素を上記の原料合金へ吸蔵させた後、Ar雰囲気中において原料合金を600℃で1時間加熱して脱水素することにより、原料合金粉末を得た。つまり水素粉砕処理を行った。水素粉砕処理から下記の焼結工程までの各工程は、酸素濃度が100ppm未満である非酸化的雰囲気下で実施した。

0080

粉砕助剤としてオレイン酸アミドを原料合金粉末へ添加して、これらを混合した。オレイン酸アミドの添加量の調整により、最終的な焼結磁石中のCの含有量を調整した。続く微粉砕工程では、ジェットミルを用いて、原料合金粉末の平均粒径を4μmに調整した。続く成形工程では、原料合金粉末を金型内に充填した。そして、1200kA/mの磁場を金型内の原料粉末へ印加しながら、原料粉末を120MPaで加圧することにより、成形体を得た。

0081

焼結工程では、真空中において成形体を1060℃(焼結温度Ts)で4時間加熱してから急冷することにより、焼結体を得た。

0082

時効処理工程として、第一時効処理と、第一時効処理に続く第二時効処理と、第二時効処理に続く第三時効処理を実施した。第一時効処理、第二時効処理及び第三時効処理のいずれにおいても、焼結体をAr雰囲気中で加熱した。

0083

第一時効処理では、焼結体を900℃(第一温度T1)で60分加熱した。

0084

第二時効処理では、下記表1に示される第二温度T2で焼結体を加熱した。第二時効処理の時間t2(焼結体を第二温度T2で加熱し続けた時間)は、下記表1に示される。

0085

第三時効処理では、下記表1に示される第三温度T3で焼結体を加熱した。第三時効処理の時間t3(焼結体を第三温度T3で加熱し続けた時間)は、下記表1に示される。

0086

以上の方法により、実施例1‐1の焼結磁石を得た。

0087

[焼結磁石の組成分析
焼結磁石の組成を分析した結果、焼結磁石中の各元素の含有量は次の通りであった。Ndの含有量は、24.80質量%であった。Prの含有量は、6.20質量%であった。Bの含有量は、0.86質量%であった。Coの含有量は、2.00質量%であった。Cuの含有量は、0.50質量%であった。Gaの含有量は、1.00質量%であった。Alの含有量は、0.20質量%であった。Zrの含有量は、0.20質量%であった。酸素の含有量は、0.08質量%であった。原料合金から上記元素を除いた残部は、Feと極微量の不可避的不純物(Tb等)であった。Nd、Pr、Fe、Co、Ga、Al、Cu及びZr其々の含有量は、蛍光X線分析により測定した。Bの含有量は、ICP発光分析により測定した。Oの含有量は、不活性ガス融解‐非分散型赤外線吸収法により測定した。

0088

[磁気特性の測定]
23℃(室温)における焼結磁石の残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)を測定した。また150℃(高温)における焼結磁石のHcJを測定した。Br及びHcJの測定には、B‐Hトレーサーを用いた。磁気特性の測定の結果は、下記表1に示される。

0089

[焼結磁石の断面の分析]
焼結磁石を、その配向方向に対して垂直に切断した。焼結磁石の断面をイオンミリングで削り、断面に形成された酸化物等の不純物を除去した。続いて、焼結磁石の断面の一部の領域を、走査電子顕微鏡(SEM)とエネルギー分散型X線分光(EDS)装置で分析した。分析された領域の寸法は、100μm×100μmであった。分析された領域は、焼結磁石の表面からの深さが300μmを超える領域であった、換言すれば、分析された領域は、焼結磁石の断面のうち、断面の外縁(外周部)からの距離が300μmを超える領域であった。SEMとしては、株式会社日立ハイテクノロジーズ製のショットキー走査電子顕微鏡「SU5000」を用いた。EDS装置としては、株式会社堀場製作所製の「エネルギー分散型X線分析装置EMAX Evolution/EMAX ENERGY(EMAX X−MaxN検出器仕様)」を用いた。測定条件は以下のように設定した。以下に記載される各元素の濃度(単位:原子%)は、EDSによる定量分析に基づく値であり、O,Al,Fe,Co,Cu,Ga,Nd及びPr其々の濃度の合計が100原子%であるときの値である。
加速電圧: 15kV
スポット強度: 30
ワーキングディスタンス: 10mm

0090

分析の結果、実施例1‐1の焼結磁石は以下の特徴を有することが確認された。

0091

焼結磁石は、R2T14Bの結晶を含む複数の主相粒子と、少なくとも三つの主相粒子に囲まれた粒界相である複数の粒界多重点と、を備えていた。Tは、Fe及びCoである。

0092

一部の粒界多重点は、R6T13Gaを含み、且つ下記式T1を満たす遷移金属リッチ相であった。Rは、Nd及びPrである。Tは、Fe及びCoである。

0093

1.50≦([Fe]+[Co])/[R]≦3.00 (T1)
[Fe]は、粒界多重点におけるFeの濃度であり、[Co]は、粒界多重点におけるCoの濃度であり、[R]は、粒界多重点におけるRの濃度であり、[Fe]、[Co]及び[R]其々の単位は、原子%である。

0094

一部の粒界多重点は、下記式R1、R2及びC1を満たすCuプア相であった。一部の粒界多重点は、下記式R1、R2及びC2を満たすCuリッチ相であった。

0095

0.00≦([Fe]+[Co])/[R]<1.50 (R1)
0.00≦[O]/[R]<0.35 (R2)
0.00≦[Cu]/[R]<0.25 (C1)
0.25≦[Cu]/[R]≦1.00 (C2)
[O]は、粒界多重点におけるOの濃度であり、[Cu]は、粒界多重点におけるCuの濃度であり、[O]及び[Cu]其々の単位は、原子%である。

0096

一部の粒界多重点は、遷移金属リッチ相、Cuプア相及びCuリッチ相ではなく、Rの酸化物からなる相(希土類酸化物相)であった。

0097

寸法が1.0μm×1.0μmよりも大きい100か所の粒界多重点を焼結磁石の断面から無作為選出した。選出された各粒界多重点においてEDSによる点分析を行った。ただし、100か所の粒界多重点には、希土類酸化物相は含まれない。EDSによる点分析の結果に基づき、遷移金属リッチ相である粒界多重点の個数N1、Cuプア相である粒界多重点の個数N2、及びCuリッチ相である粒界多重点の個数N3を数えた。N1、N2及びN3の和は100である。続いて、N1/(N1+N2+N3)及びN3/N2其々の値を算出した。実施例1‐1のN1/(N1+N2+N3)及びN3/N2は、下記表1に示される。

0098

(実施例1‐2、1‐3、2‐1〜2‐3)
(比較例1‐1〜1‐5、2‐1〜2‐3、3‐1〜3‐3)
以下の事項を除いて実施例1‐1と同様の方法で、実施例1‐2、1‐3、2‐1〜2‐3及び比較例1‐1〜1‐5、2‐1〜2‐3、3‐1〜3‐3其々の焼結磁石を作製した。

0099

各実施例のT2、t2、T3及びt3は、下記表1に示される値であった。比較例3‐1〜3‐3を除く各比較例のT2及びt2は、下記表1に示される値であった。比較例3‐1〜3‐3其々の時効処理工程では、第二時効処理を実施せず、第一時効処理に続いて第三時効処理を実施した。比較例2‐1を除く各比較例のT3及びt3は、下記表1に示される値であった。比較例2‐1の時効処理工程では、第三時効処理を実施しなかった。

0100

実施例1‐1と同様の方法で、他の実施例及び比較例其々の焼結磁石の磁気特性を測定した。磁気特性の測定の結果は、下記表1に示される。23℃でのBrは13.5kG以上であり、且つ23℃でのHcJは22.5kOe以上であり、且つ150℃でのHcJは7.8kOe以上であることが好ましい。

0101

実施例1‐1と同様の方法で、他の実施例及び比較例其々の焼結磁石の断面を分析した。各焼結磁石の断面の分析の結果は、下記表1に示される。実施例1‐2、1‐3、2‐1〜2‐3其々の焼結磁石は、実施例1‐1と同様に、主相粒子及び粒界多重点に関する上述の特徴を有することが確認された。全ての実施例において、下記式1及び式2を満たされることが確認された。
0.30≦N1/(N1+N2+N3)≦0.60 (1)
0.03≦N3/N2≦0.20 (2)

0102

比較例1‐4、1‐5、2‐1及び2‐2を除く各比較例の焼結磁石は、粒界多重点として、遷移金属リッチ相、Cuプア相及びCuリッチ相を備えることが確認された。比較例2‐1及び2‐2其々の焼結磁石の断面では、遷移金属リッチ相及びCuプア相は検出されたが、Cuリッチ相が検出されなかった。上記式1及び式2の両方が満たされる比較例はなかった。

0103

0104

SEMで撮影された実施例2‐3の焼結磁石の断面の画像は、図4に示される。図4に示される粒界多重点1、2及び3其々における各元素の濃度(単位:原子%)は、下記表2に示される。各元素の濃度は、上述の通り、EDSによる点分析に基づく値である。図4において黒い部分は、主相粒子である。

0105

実施例

0106

表2に示されるように、粒界多重点1は、上記式T1を満たす遷移金属リッチ相であることが確認された。SEM画像において粒界多重点1と同様のコントラストに見られる粒界多重点1A〜1E其々の組成をEDSで測定した。測定結果は表2に示される。粒界多重点1A〜1Eは、上記式T1を満たす遷移金属リッチ相であることが確認された。粒界多重点2は、上記式R1、R2及びC2を満たすCuリッチ相であることが確認された。SEM画像において粒界多重点2と同様のコントラストに見られる粒界多重点2A〜2E其々の組成をEDSで測定した。EDSの測定結果は表2に示される。粒界多重点2A〜2Eは、上記式R1、R2及びC2を満たすCuリッチ相であることが確認された。粒界多重点3は、上記式R1、R2及びC1を満たすCuプア相であることが確認された。SEM画像において粒界多重点3と同様のコントラストに見られる粒界多重点3A〜3E其々の組成をEDSで測定した。測定結果は表2に示される。粒界多重点3A〜3Eは、上記式R1、R2及びC1を満たすCuプア相であることが確認された。図4に示されるように、一部の二粒子粒界には、粒界多重点1と連続する遷移金属リッチ相が形成されていることが確認された。また、一部の二粒子粒界には、粒界多重点2と連続するCuリッチ相が形成されていることが確認された。また、一部の二粒子粒界には、粒界多重点3と連続するCuプア相が形成されていることが確認された。

0107

本発明に係るR‐T‐B系焼結磁石は、磁気特性に優れるため、例えば、ハイブリッド車又は電気自動車に搭載されるモータに適用される。

0108

2…R‐T‐B系焼結磁石、2cs…R‐T‐B系焼結磁石の断面、4…主相粒子、6…遷移金属リッチ相、8…Rリッチ相、8A…Cuプア相、8B…Cuリッチ相。

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