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技術 車両の制御装置

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 鈴村京平辻田将之武田弘輝亀谷佳祐
出願日 2018年3月22日 (2年9ヶ月経過) 出願番号 2018-055259
公開日 2019年10月3日 (1年2ヶ月経過) 公開番号 2019-168015
状態 未査定
技術分野 伝動装置(歯車、巻掛け、摩擦)の制御
主要キーワード 入力側要素 実施許可 判定実施 キャンセラ室 入力側クラッチ バックテーパ 走行用クラッチ シフトレバ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

シンクロ機構への入力トルクを適切に推定することによりシンクロ機構のハード保護を図ること。

解決手段

エンジン駆動輪との間に、無段変速機ギヤ機構とが並列に配置された動力伝達装置と、ギヤ機構を経由する動力伝達経路に配置されたシンクロ機構と、動力伝達経路上でシンクロ機構の入力側に配置された油圧式入力側クラッチと、入力側クラッチを制御するリニアソレノイドバルブと、を備えた車両の制御装置であって、リニアソレノイドバルブへのソレノイド指示がないと判定した場合(ステップS101:Yes)には、エンジン完爆後から所定時間が経過した場合(ステップS102:Yes)、または入力側クラッチの出力側要素であるドラム回転数所定値以下の場合(ステップS103:Yes)に、シンクロ機構への入力トルクが小さいと判定する(ステップS104)。

概要

背景

特許文献1には、エンジン駆動輪との間に、無段変速機ギヤ機構とが並列に配置された動力伝達装置を備える車両の制御装置において、シンクロ機構解放が完了する前にシンクロ機構の係合要求がある場合、ストロークセンサからの信号に基づいてシンクロ機構の解放完了を検知したことを条件に、シンクロ機構の係合制御を開始することが開示されている。

概要

シンクロ機構への入力トルクを適切に推定することによりシンクロ機構のハード保護をること。エンジンと駆動輪との間に、無段変速機とギヤ機構とが並列に配置された動力伝達装置と、ギヤ機構を経由する動力伝達経路に配置されたシンクロ機構と、動力伝達経路上でシンクロ機構の入力側に配置された油圧式入力側クラッチと、入力側クラッチを制御するリニアソレノイドバルブと、を備えた車両の制御装置であって、リニアソレノイドバルブへのソレノイド指示がないと判定した場合(ステップS101:Yes)には、エンジン完爆後から所定時間が経過した場合(ステップS102:Yes)、または入力側クラッチの出力側要素であるドラム回転数所定値以下の場合(ステップS103:Yes)に、シンクロ機構への入力トルクが小さいと判定する(ステップS104)。

目的

本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであって、シンクロ機構への入力トルクを適切に推定することによりシンクロ機構のハード保護を図ることができる車両の制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

エンジン駆動輪との間に、無段変速機ギヤ機構とが並列に配置された動力伝達装置と、前記ギヤ機構を経由する動力伝達経路に配置されたシンクロ機構と、前記動力伝達経路上で前記シンクロ機構の入力側に配置された油圧式入力側クラッチと、前記入側クラッチを制御するリニアソレノイドバルブと、を備えた車両の制御装置であって、前記リニアソレノイドバルブへのソレノイド指示がないと判定した場合には、エンジン完爆後から所定時間が経過した場合、または前記入力側クラッチの出力側要素回転数所定値以下の場合に、前記シンクロ機構への入力トルクが小さいと判定するトルク推定手段を備えることを特徴とする車両の制御装置。

技術分野

0001

本発明は、車両の制御装置に関する。

背景技術

0002

特許文献1には、エンジン駆動輪との間に、無段変速機ギヤ機構とが並列に配置された動力伝達装置を備える車両の制御装置において、シンクロ機構解放が完了する前にシンクロ機構の係合要求がある場合、ストロークセンサからの信号に基づいてシンクロ機構の解放完了を検知したことを条件に、シンクロ機構の係合制御を開始することが開示されている。

先行技術

0003

特開2017−096386号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、シンクロ機構は、入力側クラッチからの伝達トルクが大きい場合に、係合状態解放状態とを切り替えることができないというハード特性を有する。そのため、シンクロ機構の係合状態と解放状態とを切り替える場合には、入力側クラッチからの伝達トルク(シンクロ機構への入力トルク)も考慮する必要がある。

0005

特許文献1に記載の構成では、入力側クラッチからの伝達トルクを直接検出する構成を備えない。そこで、入力側クラッチを制御するリニアソレノイドへのソレノイド指示が所定値以下となる状態が所定時間以上経過した場合に、シンクロ機構への入力トルクが小さいと判断する方法が考えられる。しかしながら、ソレノイド指示がない場合でもクラッチ油室内の遠心油圧により係合力が生じると入力側クラッチはトルクを伝達するため、ソレノイド指示が所定値以下であっても、実際の伝達トルクが、シンクロ機構の係合状態と解放状態との切り替え動作に影響を及ぼす大きさとなる場合がある。そのため、シンクロ機構への入力トルクを考慮せずに、ソレノイド指示のみに基づいてシンクロ機構の係合制御を開始すると、シンクロ機構のハード耐久性に悪影響を与える虞がある。

0006

本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであって、シンクロ機構への入力トルクを適切に推定することによりシンクロ機構のハード保護を図ることができる車両の制御装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明は、エンジンと駆動輪との間に、無段変速機とギヤ機構とが並列に配置された動力伝達装置と、ギヤ機構を経由する動力伝達経路に配置されたシンクロ機構と、動力伝達経路上でシンクロ機構の入力側に配置された油圧式の入力側クラッチと、入力側クラッチを制御するリニアソレノイドバルブと、を備えた車両の制御装置であって、リニアソレノイドバルブへのソレノイド指示がないと判定した場合には、エンジン完爆後から所定時間が経過した場合、または入力側クラッチの出力側要素回転数が所定値以下の場合に、シンクロ機構への入力トルクが小さいと判定するトルク推定手段を備えることを特徴とする。

発明の効果

0008

本発明では、エンジン完爆後から所定時間が経過することで、入力側クラッチではキャンセラ室の機能によりクラッチ油室の遠心油圧が打ち消されていることを判断できる。また、入力側クラッチの出力側要素の回転数が所定値以下となることで、クラッチ油室で遠心油圧が発生していないことを判断できる。そして、入力側クラッチに対するソレノイド指示がないことに加え、エンジン完爆後から所定時間が経過している場合、または入力側クラッチの出力側要素の回転数が所定値以下の場合に、入力側クラッチからの伝達トルクが小さいと判定する。これにより、シンクロ機構への入力トルクを適切に推定でき、シンクロ機構の係合動作時に、入力側クラッチからの伝達トルクによってシンクロ機構が破損することを防止できる。

図面の簡単な説明

0009

図1は、実施形態の動力伝達装置の概略構成を模式的に示す図である。
図2は、実施形態の車両を模式的に示すスケルトン図である。
図3は、シンクロ機構への入力トルクの推定フローを示すフローチャートである。
図4は、シンクロ解放状態でのシンクロ係合過渡制御可否判定フローを示すフローチャートである。
図5は、シンクロ係合状態でのシンクロ解放制御の可否判定フローを示すフローチャートである。
図6は、異常判定実施の可否判定フローを示すフローチャートである。

実施例

0010

以下、図面を参照して、本発明の実施形態における車両の制御装置について具体的に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。

0011

図1は、実施形態の動力伝達装置1の概略構成を模式的に示す図である。動力伝達装置1は、動力源からのエンジントルクTeがトルクコンバータ(T/C)またはロックアップクラッチ(L/U)を介して出力軸側に伝達されて出力軸トルクToとして出力するように構成されている。動力伝達装置1には、エンジンと駆動輪との間に、無段変速機(CVT)とギヤ機構と並列が配置されている動力伝達経路を有する。ギヤ機構を経由する動力伝達経路には、シンクロ機構S1が配置されている。図1破線で示すように、シンクロ機構S1の入力側には、前進用クラッチC1と後進用ブレーキB1とが配置されている。前進用クラッチC1が係合することによりシンクロ機構S1にトルクが伝達される。入力側クラッチである前進用クラッチC1は、入力側要素と出力側要素とがいずれも回転要素である。また、無段変速機を経由する動力伝達経路には、ベルト走行用クラッチC2が配置されている。

0012

図2は、実施形態の車両Veを模式的に示したスケルトン図である。車両Veに搭載された動力伝達装置1は、動力源であるエンジン2からの動力を駆動輪7L,7Rに向けて伝達するものである。この動力伝達装置1は、トルクコンバータ3、前後進切換装置4、ベルト式無段変速機5、ギヤ機構6、出力軸8、デファレンシャル装置9等を備えている。

0013

動力伝達装置1には、ギヤの噛み合いにより動力伝達を行う第1動力伝達経路と、ベルト式無段変速機5により動力伝達を行う第2動力伝達経路とが並列に設けられている。具体的に、第1動力伝達経路では、エンジン2から出力されたエンジントルクTeがトルクコンバータ3を経由してタービン軸31に入力され、このトルクがタービン軸31から前後進切換装置4およびギヤ機構6を経由して出力軸8に伝達される。一方、第2動力伝達経路では、タービン軸31に入力されたトルクがベルト式無段変速機5を経由して出力軸8に伝達される。そして、車両Veの走行状態に応じて、動力伝達経路を第1動力伝達経路と第2動力伝達経路との間で切り替えるようになっている。

0014

トルクコンバータ3は、エンジン2のクランク軸に連結されたポンプ翼車32と、タービン軸31を介して前後進切換装置4に連結されたタービン翼車33とを備えている。また、ポンプ翼車32およびタービン翼車33の間にはロックアップクラッチ34が設けられている。そして、このロックアップクラッチ34が完全係合することによって、ポンプ翼車32とタービン翼車33とが一体回転する。

0015

前後進切換装置4は、前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1、ダブルピニオン型の遊星歯車装置41を備えている。遊星歯車装置41のキャリヤ42がタービン軸31およびベルト式無段変速機5の入力軸51に一体的に連結される。リングギヤ43は後進用ブレーキB1を介してハウジング11に選択的に連結される。サンギヤ44は小径ギヤ61に連結されている。また、サンギヤ44とキャリヤ42とは前進用クラッチC1を介して選択的に連結される。前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1は油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる油圧式の係合装置である。

0016

ギヤ機構6は、小径ギヤ61と、この小径ギヤ61に噛み合いかつ第1カウンタ軸62に相対回転不能に設けられた大径ギヤ63とを備えている。第1カウンタ軸62と同じ回転軸心まわりには、アイドラギヤ64が第1カウンタ軸62に対して相対回転可能に設けられている。また、第1カウンタ軸62とアイドラギヤ64との間には、これらを選択的に断接するシンクロ機構(シンクロメッシュ機構)S1が設けられている。シンクロ機構S1は、第1カウンタ軸62に形成されている第1ギヤ65と、アイドラギヤ64に形成されている第2ギヤ66と、これら第1ギヤ65および第2ギヤ66と噛合可能なスプライン歯が形成されたハブスリーブ67とを備えている。ハブスリーブ67がこれら第1ギヤ65および第2ギヤ66と嵌合することで、第1カウンタ軸62とアイドラギヤ64とが接続される。

0017

アイドラギヤ64は、アイドラギヤ64よりも大径の入力ギヤ68と噛み合わされている。この入力ギヤ68は、ベルト式無段変速機5のセカンダリプーリ53の回転軸心と共通の回転軸心上に配置されている出力軸8に対して相対回転不能に設けられている。出力軸8は、回転軸心まわりに回転可能に配置されており、入力ギヤ68および出力ギヤ81が相対回転不能に設けられている。前進用クラッチC1およびシンクロ機構S1が共に係合し、かつベルト走行用クラッチC2が解放することで、エンジン2のトルクが、タービン軸31、前後進切換装置4およびギヤ機構6を経由して出力軸8に伝達される第1動力伝達経路が形成される。

0018

ベルト式無段変速機5は、タービン軸31に連結された入力軸51と出力軸8との間の動力伝達経路上に設けられ、入力軸51に設けられた入力側部材であるプライマリプーリ52と、出力側部材であるセカンダリプーリ53と、プライマリプーリ52とセカンダリプーリ53とに巻き掛けられた無端状の伝動ベルト54とを備えており、プライマリプーリ52およびセカンダリプーリ53と伝動ベルト54との間の摩擦力を介して動力伝達が行われる。この摩擦力はベルト挟圧力によって生じる。

0019

プライマリプーリ52は、入力軸51に固定された固定シーブ52aと、入力軸51に対して軸まわりの相対回転が不能かつ軸方向の移動が可能に設けられた可動シーブ52bと、それらの間のV溝幅を変更するために可動シーブ52bを移動させる推力を発生させるプライマリ側油圧アクチュエータ52cとを備えている。また、セカンダリプーリ53は、固定シーブ53aと、この固定シーブ53aに対して軸まわりの相対回転が不能かつ軸方向の移動が可能に設けられた可動シーブ53bと、それらの間のV溝幅を変更するために可動シーブ53bを移動させる推力を発生させるセカンダリ側油圧アクチュエータ53cとを備えて構成されている。このセカンダリプーリ53で生じる推力は、伝動ベルト54を挟み付ける力(ベルト挟圧力)である。そして、プライマリプーリ52およびセカンダリプーリ53のV溝幅が変化して伝動ベルト54の掛かり径(有効径)が変更されることにより変速比γ(=入力軸回転速度出力軸回転速度)が連続的に変更可能となっている。

0020

また、ベルト式無段変速機5と出力軸8との間には、これらの間を選択的に断接するベルト走行用クラッチC2が設けられている。ベルト走行用クラッチC2は油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる油圧式の係合装置である。ベルト走行用クラッチC2が係合し、かつ前進用クラッチC1が解放することで、エンジントルクTeが、入力軸51およびベルト式無段変速機5を経由して出力軸8に伝達される第2動力伝達経路が形成される。

0021

出力ギヤ81は、第2カウンタ軸91に固定されている大径ギヤ92と噛み合わされている。第2カウンタ軸91には、デファレンシャル装置9のデフリングギヤ93と噛み合う小径ギヤ94が設けられている。

0022

第1動力伝達経路によってトルクが伝達されるギヤモードには、前進走行する場合と、後進走行する場合とが含まれる。ギヤモードで前進走行時においては、前進用クラッチC1およびシンクロ機構S1を係合し、かつベルト走行用クラッチC2および後進用ブレーキB1を解放する。ギヤモードで後進走行時においては、後進用ブレーキB1およびシンクロ機構S1を係合し、かつ前進用クラッチC1およびベルト走行用クラッチC2を解放する。また、第2動力伝達経路によってトルクが伝達されるベルトモード走行時においては、ベルト走行用クラッチC2を係合し、かつ前進用クラッチC1と後進用ブレーキB1とシンクロ機構S1とを解放する。また、ギヤ機構6の変速比は、ベルト式無段変速機5の最大変速比γmaxよりも大きな変速比に設定されている。そのため、ギヤモード走行中(前進走行時、後進走行時)、ベルト式無段変速機5の変速比は最Lowギヤ比である最大変速比γmaxに制御される。さらに、ニュートラル惰行時は、前進用クラッチC1と後進用ブレーキB1とベルト走行用クラッチC2とを解放する。また、車両Veには、運転者前進レンジ(Dレンジ)や後進レンジ(Rレンジ)やニュートラルレンジ(Nレンジ)などの走行レンジシフトポジション)を選択操作可能なシフトレバー10が設けられている。

0023

電子制御装置(以下「ECU」という)100は、演算処理を行うCPUや、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAMなどを備え、車両Veを制御する制御装置である。例えば、ECU100は、シフトレバー10により選択された走行レンジに応じて油圧制御装置20などの制御を実施する。具体的には、ECU100は油圧制御装置20を制御する際、走行モードの切り替え制御や、ベルト式無段変速機5の制御などを実施する。このECU100は、シンクロ機構S1の状態を制御するシンクロ制御を実施する制御手段を有する。

0024

油圧制御装置20は、ECU100によってそれぞれ独立に励磁、非励磁や電流が制御されて、油圧指令信号(ソレノイド指示)に応じた油圧調圧する複数のリニアソレノイドバルブを備える。前進用クラッチC1を制御するリニアソレノイドバルブ(SL1)は、ソレノイド指示に応じてモジュレータ圧を第1係合圧に調圧して、前進用クラッチC1の油室に供給する。ベルト走行用クラッチC2を制御するリニアソレノイドバルブ(SL2)は、ソレノイド指示に応じてモジュレータ圧を第2係合圧に調圧して、ベルト走行用クラッチC2の油室に供給する。シンクロ機構S1と後進用ブレーキB1とを制御するリニアソレノイドバルブ(SLG)は、ソレノイド指示に応じてモジュレータ圧を所定の供給油圧に調圧して、シンクロ機構S1と後進用ブレーキB1の油室に供給する。このリニアソレノイドバルブ(SLG)は切替弁を介してシンクロ機構S1と後進用ブレーキB1とに接続されている。この切替弁はシフトレバー10の操作に基づいて機械的あるいは電気的に動作して油路を切り替える。例えば、シフトレバー10が「D」ポジションの場合に、リニアソレノイドバルブ(SLG)からの供給油圧がシンクロ機構S1に供給される。シフトレバー10が「R」ポジションの場合には、リニアソレノイドバルブ(SLG)からの供給油圧がシンクロ機構S1および後進用ブレーキB1に供給される。そして、シフトレバー10が「P」または「N」ポジションの場合、リニアソレノイドバルブ(SLG)からの供給油圧がシンクロ機構S1に供給される。

0025

また、ECU100は、シンクロ機構S1への入力トルクを推定するトルク推定手段を備える。ECU100では、シンクロ機構S1への入力トルクの大きさを考慮して、シンクロ機構S1の状態を切り替える制御を実施する。シンクロ機構S1は、入力トルクが大きい場合には解放できない(バックテーパによる吸い込み力の発生により物理的に抜けない)というハード特性を有する。さらに、シンクロ機構S1は、回転同期要素(コーンクラッチ部)のトルク容量が小さいため、入力トルクが大きい場合には係合できないというハード特性も有する。そこで、本実施形態では、以下に説明する入力トルクの推定フローを実施することにより、シンクロ機構S1への入力トルクを精度よく推定するように構成されている。

0026

図3は、シンクロ機構S1への入力トルクの推定フローを示すフローチャートである。図3に示す制御は、ECU100によって実施される。

0027

シンクロ機構S1の入力側クラッチを制御するリニアソレノイドバルブへのソレノイド指示が無いか否かを判定する(ステップS101)。ステップS101では、前進用クラッチC1を制御するリニアソレノイドバルブへのソレノイド指示が無いか否かと、後進用ブレーキB1を制御するリニアソレノイドバルブへのソレノイド指示が無いか否かが判定される。

0028

シンクロ機構S1の入力側クラッチを制御するリニアソレノイドバルブへのソレノイド指示が無いことによりステップS101で肯定的に判定された場合(ステップS101:Yes)、エンジン完爆後から所定時間が経過しているか否かを判定する(ステップS102)。ステップS102では、エンジン始動から所定時間経過しているか否かが判定される。エンジン完爆後から所定時間が経過することで、油圧式の入力側クラッチについて、キャンセラ室の機能によりクラッチ油室の遠心油圧が打ち消されていることを判断できる。ステップS102を実施することにより、入力側クラッチで遠心油圧による係合力が生じていないことを確認する。

0029

エンジン完爆後から所定時間が経過していないことによりステップS102で否定的に判定された場合(ステップS102:No)、前進用クラッチC1のクラッチドラムの回転数が小さいか否かを判定する(ステップS103)。図2に示すように、前進用クラッチC1のクラッチドラムは出力側要素である。ステップS103では、前進用クラッチC1のクラッチドラムの回転数、すなわち入力側クラッチの出力側要素の回転数が、予め定められた所定値よりも小さいか否かが判定される。前進用クラッチC1のクラッチドラムの回転数(入力側クラッチの出力側要素の回転数)が所定値以下となることで、前進用クラッチC1の油室(クラッチ油室)で遠心油圧が発生していないことを判断できる。ステップS103を実施することにより、入力側クラッチで遠心油圧による係合力が生じていないことを確認する。

0030

前進用クラッチC1のクラッチドラムの回転数が小さいことによりステップS103で肯定的に判定された場合(ステップS103:Yes)、または、エンジン完爆後から所定時間が経過していることによりステップS102で肯定的に判定された場合(ステップS102:Yes)には、シンクロ機構S1への入力トルクが小さいと判定する(ステップS104)。ステップS104を実施する場合、入力側クラッチからの伝達トルクが小さいため、係合動作時にシンクロ機構S1のハード保護が図れると判定し、シンクロ機構S1の制御を可能とする。

0031

一方、前進用クラッチC1のクラッチドラムの回転数が大きいことによりステップS103で否定的に判定された場合(ステップS103:No)、または、シンクロ機構S1の入力側クラッチを制御するリニアソレノイドバルブへのソレノイド指示があることによりステップS101で否定的に判定された場合(ステップS101:No)には、シンクロ機構S1への入力トルクが大きいと判定する(ステップS105)。ステップS105を実施する場合、前進用クラッチC1による引き摺りトルクが大きくなってしまうハード状況であると判定し、シンクロ機構S1の制御を不可とする。

0032

上述した図3に示す制御では、入力側クラッチに対するソレノイド指示がないことに加え、エンジン完爆後から所定時間が経過している場合、または入力側クラッチの出力側要素の回転数が所定値以下の場合に、入力側クラッチからの伝達トルクが小さいと判定する。これにより、シンクロ機構S1への入力トルクを適切に推定することができる。

0033

また、ECU100は、シンクロ機構S1への入力トルクを推定して、シンクロ機構S1の係合制御と解放制御とを実施するか否かを判断するように構成されている。その制御フローの一例が図4図5に示されている。

0034

図4は、シンクロ解放状態でのシンクロ係合過渡制御の可否判定フローを示すフローチャートである。図4に示す制御は、シンクロ機構S1が解放状態であるときに、ECU100によって実施される。

0035

シンクロ解放中に、シンクロ機構S1の入力側クラッチを制御するリニアソレノイドバルブへのソレノイド指示が無いか否かを判定する(ステップS201)。

0036

シンクロ解放中に、シンクロ機構S1の入力側クラッチを制御するリニアソレノイドバルブへのソレノイド指示が無いことによりステップS201で肯定的に判定された場合(ステップS201:Yes)、エンジン完爆後から所定時間が経過しているか否かを判定する(ステップS202)。

0037

シンクロ解放中に、エンジン完爆後から所定時間が経過していないことによりステップS202で否定的に判定された場合(ステップS202:No)、前進用クラッチC1のクラッチドラムの回転数が小さいか否かを判定する(ステップS203)。

0038

シンクロ解放中に前進用クラッチC1のクラッチドラムの回転数が小さいことによりステップS203で肯定的に判定された場合(ステップS203:Yes)、または、シンクロ解放中にエンジン完爆後から所定時間が経過していることによりステップS202で肯定的に判定された場合(ステップS202:Yes)には、シンクロ係合過渡制御を許可する(ステップS204)。シンクロ係合過渡制御とは、シンクロ機構S1を解放状態から係合状態に遷移させる制御である。ステップS204では、シンクロ機構S1への入力トルクが小さいと判定し、シンクロ係合過渡制御の実施を許可する。

0039

一方、シンクロ解放中に前進用クラッチC1のクラッチドラムの回転数が大きいことによりステップS203で否定的に判定された場合(ステップS203:No)、または、シンクロ解放中にシンクロ機構S1の入力側クラッチを制御するリニアソレノイドバルブへのソレノイド指示があることによりステップS201で否定的に判定された場合(ステップS201:No)には、シンクロ係合過渡制御を禁止する(ステップS205)。ステップS205では、シンクロ機構S1への入力トルクが大きいと判定し、シンクロ係合過渡制御の実施を禁止する。

0040

上述した図4に示す制御フローのように、シンクロ機構S1が解放状態のときに、シンクロ機構S1への入力トルクを適切に推定することによって、シンクロ係合過渡制御の許可または禁止を判定することができる。

0041

図5は、シンクロ係合状態でのシンクロ解放制御の可否判定フローを示すフローチャートである。図5に示す制御は、シンクロ機構S1が係合状態であるときに、ECU100によって実施される。

0042

シンクロ係合中に、シンクロ機構S1の入力側クラッチを制御するリニアソレノイドバルブへのソレノイド指示が無いか否かを判定する(ステップS301)。

0043

シンクロ係合中に、シンクロ機構S1の入力側クラッチを制御するリニアソレノイドバルブへのソレノイド指示が無いことによりステップS301で肯定的に判定された場合(ステップS301:Yes)、エンジン完爆後から所定時間が経過しているか否かを判定する(ステップS302)。

0044

シンクロ係合中に、エンジン完爆後から所定時間が経過していないことによりステップS302で否定的に判定された場合(ステップS302:No)、前進用クラッチC1のクラッチドラムの回転数が小さいか否かを判定する(ステップS303)。

0045

シンクロ係合中に前進用クラッチC1のクラッチドラムの回転数が小さいことによりステップS303で肯定的に判定された場合(ステップS303:Yes)、または、シンクロ係合中にエンジン完爆後から所定時間が経過していることによりステップS302で肯定的に判定された場合(ステップS302:Yes)には、シンクロ解放制御を許可する(ステップS304)。シンクロ解放制御とは、シンクロ機構S1を係合状態から解放状態に遷移させる制御である。ステップS304では、シンクロ機構S1への入力トルクが小さいと判定し、シンクロ解放制御の実施を許可する。

0046

一方、シンクロ係合中に前進用クラッチC1のクラッチドラムの回転数が大きいことによりステップS303で否定的に判定された場合(ステップS303:No)、または、シンクロ係合中にシンクロ機構S1の入力側クラッチを制御するリニアソレノイドバルブへのソレノイド指示があることによりステップS301で否定的に判定された場合(ステップS301:No)には、シンクロ解放制御を禁止する(ステップS305)。ステップS305では、シンクロ機構S1への入力トルクが大きいと判定し、シンクロ解放制御の実施を禁止する。

0047

上述した図5に示す制御フローのように、シンクロ機構S1が係合状態のときに、シンクロ機構S1への入力トルクを適切に推定することによって、シンクロ解放制御の許可または禁止を判定することができる。

0048

さらに、ECU100は、シンクロ係合過渡制御を実施しているにも拘らずシンクロ機構S1を係合できない状態を異常と判定し、シンクロ解放制御を実施しているにも拘らずシンクロ機構S1を解放できない状態を異常と判定する、異常判定を実施するように構成されている。そして、ECU100は、シンクロ機構S1への入力トルクを推定して、異常判定制御を実施するか否かを判断するように構成されている。その制御フローの一例が図6に示されている。

0049

図6は、異常判定実施の可否判定フローを示すフローチャートである。図6に示す制御は、ECU100によって実施される。

0050

シンクロ機構S1の入力側クラッチを制御するリニアソレノイドバルブへのソレノイド指示が無いか否かを判定する(ステップS401)。

0051

シンクロ機構S1の入力側クラッチを制御するリニアソレノイドバルブへのソレノイド指示が無いことによりステップS401で肯定的に判定された場合(ステップS401:Yes)、エンジン完爆後から所定時間が経過しているか否かを判定する(ステップS402)。

0052

エンジン完爆後から所定時間が経過していないことによりステップS402で否定的に判定された場合(ステップS402:No)、前進用クラッチC1のクラッチドラムの回転数が小さいか否かを判定する(ステップS403)。

0053

前進用クラッチC1のクラッチドラムの回転数が小さいことによりステップS403で肯定的に判定された場合(ステップS403:Yes)、または、エンジン完爆後から所定時間が経過していることによりステップS402で肯定的に判定された場合(ステップS402:Yes)には、異常判定を許可する(ステップS404)。ステップS404では、シンクロ機構S1への入力トルクが小さいと判定し、異常判定時に誤判定が生じることを抑制できる状況であると判定して、異常判定の実施を許可する。

0054

前進用クラッチC1のクラッチドラムの回転数が大きいことによりステップS403で否定的に判定された場合(ステップS403:No)、または、シンクロ機構S1の入力側クラッチを制御するリニアソレノイドバルブへのソレノイド指示があることによりステップS401で否定的に判定された場合(ステップS401:No)には、異常判定を禁止する(ステップS405)。ステップS405では、シンクロ機構S1への入力トルクが大きいと判定し、入力トルクが大きいことにより誤判定を生じる虞がある状況と判定して、異常判定の実施を禁止する。

0055

上述した図6に示す制御フローのように、シンクロ機構S1への入力トルクを適切に推定することによって、異常判定の実施許可と禁止とを判定することができる。これにより、入力トルクが大きいことに起因する誤判定の発生を抑制することができ、異常判定の判定精度が向上する。

0056

以上説明した通り、実施形態では、エンジン完爆後から所定時間経過することで、油圧式の入力側クラッチである前進用クラッチC1について、キャンセラ室の機能によりクラッチ油室の遠心油圧が打ち消されていることを判断できる。また、前進用クラッチC1のクラッチドラムの回転数(入力側クラッチの出力側要素の回転数)が所定値以下となることで、前進用クラッチC1の油室(クラッチ油室)で遠心油圧が発生していないことを判断できる。そして、シンクロ機構S1の入力側クラッチに対するソレノイド指示がないことに加え、エンジン完爆後から所定時間が経過している場合、または前進用クラッチC1のクラッチドラムの回転数が所定値以下の場合に、シンクロ機構S1について、入力側クラッチからの伝達トルクが小さいと判定する。これにより、シンクロ機構S1への入力トルクを適切に推定できるため、シンクロ機構S1の係合動作時に入力側クラッチからの伝達トルクによってシンクロ機構S1が破損することを防止できる。その結果、シンクロ機構S1のハード保護とスムーズな発進両立を実現することができる。

0057

1動力伝達装置
2エンジン
5ベルト式無段変速機
6ギヤ機構
7L,7R駆動輪
10シフトレバー
20油圧制御装置
100電子制御装置(ECU)
C1前進用クラッチ
C2ベルト走行用クラッチ
B1後進用ブレーキ
S1シンクロ機構
Ve 車両

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