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技術 プロリルヒドロキシラーゼ阻害物質としてのベンゾイミダゾール

出願人 ヤンセンファーマシューティカエヌ.ベー.
発明者 フランセス・メレデイス・ホカツトバリー・イーストマン・レオナード,ジユニアヒラリー・エム・ペルテイアービクター・ケイ・フオングマイケル・エイチ・ラビノウイツツマーク・デイ・ローゼンカイル・テイ・タランテイノハリハラン・ベンカテサンルーシー・シウミン・ツアオ
出願日 2019年6月18日 (1年6ヶ月経過) 出願番号 2019-112687
公開日 2019年10月3日 (1年2ヶ月経過) 公開番号 2019-167383
状態 未査定
技術分野 化合物または医薬の治療活性 Nおよび(O又はS)縮合複素環 その他のN系縮合複素環2 複数複素環系化合物 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 窒素含有縮合複素環(3)
主要キーワード 浸潤状態 密閉圧力容器 下つき 解釈的 マルチモ 検出プレート 高地トレーニング 固体状化合物
関連する未来課題
重要な関連分野

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概要

背景

細胞は、細胞生存酸素の供給及び活用血管形成、細胞代謝、血圧の調節、造血、並
びに組織保護に関与する遺伝子の転写活性化することによって、低酸素状態に対応する
低酸素誘導因子(HIF)は、これらの遺伝子の主たる転写制御因子である(Seme
nza et al.,1992,Mol Cell Biol.,12(12):54
47〜54、Wang et al.,1993,J Biol Chem.,268(
29):21513〜18、Wang et al.,1993,Proc Natl
Acad Sci.,90:4304〜08、Wang et al.,1995,J
Biol Chem.,270(3):1230〜37)。HIF−1α、HIF−2α
及びHIF−3αの3種類の形態のHIF−αが記述されている(Scheuerman
n et al.,2007,MethodsEnzymol.,435:3〜24)
。HIFαサブユニットをHIF−1βと組み合わせることにより、機能性のヘテロ二量
タンパク質が形成され、これが次に例えばp300及びCBPなどの他の転写因子を補
充する(Semenza,2001,Trends Mol Med.,7(8):34
5〜50)。

一群の高度に保存された酸素、鉄及び2−オキソグルタレート依存性プロリルヒドロ
キシラーゼ(PHD)酵素は、HIFの翻訳後修飾によって細胞が低酸素状態に対応する
のを媒介する(Ivan et al.,2001,Science,292:464〜
68、Jaakkola et al.,2001,Science,292:468〜
72)。酸素正常状態では、PHDはHIF内に保存されている2つのプロリン残基のヒ
ロキシル化を触媒する。フォンヒッペルリンドウ(VHL)タンパク質は、ヒドロ
キシル化されたHIFに選択的に結合する。VHLの結合により、HIFは、E3ユビキ
チンリガーゼ錯体によるポリユビキチン化、及び26Sプロテアソームによるそれに続く
分解の標的となる(Ke et al.,2006,Mol Pharmacol.70
(5):1469〜80;Semenza,Sci STKE.,2007,407(c
m8):1〜3)。PHDの酸素に対する親和性は酸素の生理学的範囲内にあり、酸素は
反応に必須の補助因子であるため、酸素圧が低下するとPHDは不活性化される。このよ
うにして、HIFは酸素正常状態で急速に分解するが、低酸素状態又はPHDが阻害して
いるときは酸素に蓄積する。

PHDの4つのアイソタイプPHD1、PHD2、PHD3、及びPHD4が記述され
ている(Epstein et al.,2001,Cell,107:43〜54、K
aelin,2005,Annu Rev Biochem.,74:115〜28、S
chmid et al.,2004,J Cell Mol Med.,8:423〜
31)。様々なアイソタイプが遍在して発現するが、異なって調節され、低酸素状態に対
する細胞反応において異なる生理学的役割を有する。この様々なアイソタイプが、3つの
異なるHIFαサブタイプに対して異なる選択性を有するという証拠がある(Epste
in et al.、前出)。細胞の局所化については、PHD1は主に細胞核、PHD
2は主に細胞質、そしてPHD3は細胞質及び細胞核の両方にあると見られる(Metz
en E,et al.2003,J Cell Sci.,116(7):1319〜
26)。PHD2は、酸素正常状態において優性なHIFαプロリルヒドロキシラーゼ
あると見られる(Ivan et al.,2002.Proc Natl Acad
Sci.USA,99(21):13459〜64、Berra et al.,200
3,EMBO J.,22:4082〜90)。この3つのアイソタイプは高いアミノ酸
相同性を有し、酵素の活性部位は高度に保存されている。

このHIF標的遺伝子産物は、赤血球形成、血管形成、エネルギー代謝の調節、血管運
動性機能、及び細胞アポトーシス/増殖を含むがこれらに限定されない、数多くの生理学
的及び病理生理学的プロセスに関与している。HIF標的として記述されている第1の遺
伝子は、エリスロポエチン(EPO)をエンコードするものであった(Wang et
al.,1993、前出)。血液中の酸素輸送能力の低下は腎臓で検知され、腎臓と肝臓
がより多くのEPOを放出し、ホルモン赤血球の増殖及び成熟刺激することが知られ
ている。EPOは非造血細胞種に対して他の数多くの重要な影響をもたらし、主要な組織
保護性サイトカインであることが明らかになっている(Arcasoy,2008,Br
J Haematol.,141:14〜31)。よってEPOは創傷治癒及び血管形
成だけでなく、虚血侵襲に対する組織の反応にも関与している。嫌気性糖分解に関与して
いる酵素のほとんどは、HIF標的遺伝子によってエンコードされ、その結果、低酸素状
態組織中で糖分解が増加する(Shaw,2006,Curr Opin Cell B
iol.,18(6):598〜608)。この経路での既知のHIF標的遺伝子産物に
は、GLUT−1などのグルコース輸送体(Ebert et al.,1995,J
Biol Chem.,270(49):29083〜89)、グルコースからピルビン
酸への分解に関与する酵素(ヘキソキナーゼ及びホスホグリセラートキナーゼ1など)(
Firth et al.,1994,Proc Natl Acad Sci.USA
,91:6496〜6500)、並びに乳酸デヒドロゲナーゼ(Firth et al
.,前出)が挙げられるが、これらに限定されない。HIF標的遺伝子産物はまた、細胞
代謝の調節にも関与している。例えば、ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ−1は標的
HIF遺伝子産物であり、リン酸化反応によってピルビン酸デヒドロゲナーゼの活性を下
げることにより、ピルビン酸クレブス回路への流入を調節する(Kim et al.
,2006,Cell Metab.,3:177〜85、Papandreou et
al.,2006,Cell Metab.,3:187〜197)。HIF標的遺伝
子産物はまた、血管形成にも関与している。例えば、血管内皮成長因子VEGF)(L
iu et al.,1995,Circ Res.,77(3):638〜43)は、
血管形成及び脈管形成の既知の制御因子である。HIF標的遺伝子産物はまた、血管の緊
張状態調節に関して機能し、ヘメオキシゲナーゼ−1を含む(Lee et al.,1
997,J Biol Chem.,272(9):5375〜81)。例えば血小板
成長因子(PDGF)(Yoshida et al.,2006,J Neuroo
ncol.,76(1):13〜21)、血管内皮成長因子(Breen,2007,J
Cell Biochem.,102(6):1358〜67)及びEPO(Arca
soy、前出)などの数多くのHIF調節遺伝子産物は、創傷治癒への協調対応において
も機能する。

分子によるプロリルヒドロキシラーゼ(PHD)酵素活性の標的破壊は、酸素検知
分配障害治療において、潜在的な有用性を有する。その例には、貧血症鎌状赤血球
貧血末梢血管疾患冠状動脈疾患心不全、虚血(心筋虚血心筋梗塞及び脳卒中など
の状態におけるもの)からの組織保護、移植用臓器の保存、組織虚血の治療(血流の調節
及び/若しくは回復酸素供給、並びに/又はエネルギー利用による)、特に糖尿病及び
高齢患者の創傷治癒の促進、火傷の治療、感染症の治療、骨の治癒、及び骨の成長が挙
げられるが、これらに限定されない。加えて、PHDの標的破壊は、糖尿病、肥満潰瘍
大腸炎炎症性腸疾患、及びクローン病などの代謝性疾患の治療に有用性を有すると見
込まれている(Recent Patents on Inflammation&Al
lergy Drug Discovery,2009,3,1〜16)。

HIFは、低酸素状態でエリスロポエチン産生を増加させる主要な転写因子であること
が示されている(Wang et al.,1993、前出)。組換え型ヒトエリスロ
エチンでの治療は、貧血治療の有効な方法として示されているが、小分子介在PHD阻害
は、エリスロポエチンでの治療を上回る利点を提供することが見込まれ得る。具体的には
、他のHIF遺伝子産物の機能は造血(hematopoesis)に必要であり、この因子の調節が
、造血(hematopoesis)の効率を増大させる。造血(hematopoesis)に必須であるHIF
標的遺伝子産物の例としては、トランスフェリン(Rolfs et al.,1997
,J Biol Chem.,272(32):20055〜62)、トランスフェリン
受容体(Lok et al.,1999,J Biol Chem.,274(34)
:24147〜52、Tacchini et al.,1999,J Biol Ch
em.,274(34):24142〜46)及びセルロプラスミン(Mukhopad
hyay et al.,2000,J Biol Chem.,275(28):21
048〜54)が挙げられる。またヘプシジン発現がHIFによって抑制され(Peys
sonnaux et al.,2007,J Clin Invest.,117(7
):1926〜32)、PHDの小分子阻害物質ヘプシジン産生を低下させることが示
されている(Braliou et al.,2008,J Hepatol.,48:
801〜10)。ヘプシジンは、造血(hematopoesis)に必要な鉄の利用可能性に対する
負の制御因子であり、よってヘプシジン産生の低下は、貧血治療に有用であることが見込
まれる。PHD阻害も、鉄補充及び/又は外因性エリスロポエチンを含むその他の貧血治
療と組み合わせて使用した場合、有用であり得る。ヒト母集団において自然に発生するP
HD2における突然変異の研究は、PHD阻害の貧血治療への利用に関する更なる根拠
提供している。2つの最近の報告により、PHD2遺伝子に機能不全の突然変異を有する
患者が、赤血球増多及び血液ヘモグロビン増加を呈することが示されている(Percy
et al.,2007,PNAs,103(3):654〜59、Al−Sheik
h et al.,2008,Blood Cells Mol Dis.,40:16
0〜65)。加えて、小分子PHD阻害物質が、健康なボランティア及び慢性腎臓病を有
する患者において評価されている(U.S.pat.appl.US2006/0276
477,December 7,2006)。血漿中エリスロポエチンは用量依存的に増
加し、血中ヘモグロビン濃度慢性腎臓病患者において上昇した。

代謝的適応及び組織の保全は、虚血によって危機に曝される。PHD阻害物質は、虚血
状態において有用である代謝の変化をもたらす遺伝子発現を増加させる(Semenza
,2007,Biochem J.,405:1〜9)。嫌気性糖分解に関与する酵素を
エンコードしている遺伝子の多くはHIFによって調節され、PHDを阻害することによ
って糖分解が増加する(Shaw、前出)。この経路における既知のHIF標的遺伝子に
は、GLUT−1(Ebert et al.、前出)、ヘキソキナーゼ、ホスホグリ
ラートキナーゼ1、乳酸デヒドロゲナーゼ(Firth et al.、前出)、ピルビ
ン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ−1(Kim et al.、前出、Papandreo
u et al.、前出)が挙げられるが、これらに限定されない。ピルビン酸デヒドロ
ゲナーゼキナーゼ−1は、ピルビン酸がクレブス回路に入るのを抑制する。HIFはミト
コンドリア内の電子伝達に関与するシトクロムの発現の切り替えを媒介する(Fukud
a et al.,2007,Cell,129(1):111〜22)。このシトクロ
組成物における変化が、低酸素状態におけるATP産生の効率を最適化し、例えば過酸
水素及び超酸化物などの有害な酸化的リン酸化副産物の産生を低下させる。低酸素状態
に長時間曝されると、HIFはミトコンドリア自食作用を促進し、ミトコンドリア数の
減少をもたらす(Zhang H et al.,2008,J Biol Chem.
283:10892〜10903)。この慢性的低酸素状態に対する適応では、過酸化水
素及び超酸化物の産生を減らす一方で、細胞はエネルギーを産生するのに糖分解に依存す
るようになる。HIFの上昇によって生じる更なる適応反応は、細胞生存因子上方制御
である。これらの因子には、インスリン様成長因子(IGF)2、IGF結合タンパク質
2及び3が挙げられる(Feldser et al.,1999,Cancer Re
s.59:3915〜18)。低酸素状態におけるHIFの全体的蓄積が、糖分解の適応
的上方制御を支配し、過酸化水素及び超酸化物の産生の低減をもたらす酸化的リン酸化の
低減、虚血性損傷に対して細胞を保護する酸化的リン酸化の最適化が生じる。よって、P
HD阻害物質は、臓器及び組織移植の保全に有用であると見込まれる(Bernhard
t et al.,2007,Methods Enzymol.,435:221〜4
5)。移植用の臓器を採取する前にPHD阻害物質を投与することによって利益が得られ
る可能性があるが、採取後の臓器/組織(保存中(例えば心停止液)又は移植後のいずれ
か)に阻害物質を投与することにより、治療的利益が得られる可能性がある。

PHD阻害物質は、部分的な虚血及び/又は低酸素状態から組織を保護するのに有効で
あると予想される。これには、とりわけ、狭心症、心筋虚血、脳卒中、骨格筋虚血に関連
する虚血/低酸素状態が含まれる。虚血状態の組織を保存するための有用な方法としての
、PHD阻害及びその後のHIF増加の概念を支持する、数多くの実験的証拠が存在する
。最近では、虚血プレコンディショニングが、HIF依存性の現象であることが示されて
いる(Cai et al.,2008,Cardiovasc Res.,77(3)
:463〜70)。虚血プレコンディショニングは、短時間の低酸素状態及び/又は虚血
が、その後のより長い時間の虚血から組織を保護する、という、よく知られた現象である
(Murry et al.,1986,Circulation,1986 74(5
):1124〜36、Das et al.,2008,IUBMB Life,60(
4):199〜203)。虚血プレコンディショニングはヒト並びに実験動物に起こるこ
とが知られている(Darling et al.,2007,Basic Res C
ardiol.,102(3):274〜8;Kojima I et al.,200
7,J Am Soc Nephrol.,18:1218〜26)。プレコンディショ
ニングの概念は心臓保護効果に関してよく知られているが、肝臓、骨格筋、肝臓、
腎臓、腸及び脳を含むがこれらに限定されないその他の組織にも適用される(Pasup
athy et al.,2005,Eur J Vasc Endovasc Sur
g.,29:106〜15、Mallick et al.,2004,Dig Dis
Sci.,49(9):1359〜77)。PHD阻害及びHIF増加の組織保護効果
に関する実験的証拠は、数多くの動物モデルにおいて得られており、これには、虚血侵襲
に対する骨格筋の保護をもたらすPHD1の生殖系列ノックアウト(Aragones
et al.,2008,Nat Genet.,40(2):170〜80)、虚血侵
襲に対して心臓を保護するsiRNAの使用によるPHD2のサイレンシング(Nata
rajan et al.,2006,Circ Res.,98(1):133〜40
)、虚血障害から心筋を保護する、一酸化炭素投与によるPHDの阻害(Chin et
al.,2007,Proc Natl Acad Sci.U.S.A.,104(
12):5109〜14)、虚血に対する耐性を増強した脳の低酸素状態(Bernau
din et al.,2002,J Cereb Blood Flow Metab
.,22(4):393〜403)が挙げられる。加えて、PHDの小分子阻害物質は、
実験脳卒中モデルにおいて脳を保護する(Siddiq et al.,2005,J
Biol Chem.,280(50):41732〜43)。更に、HIF上方制御は
糖尿病マウスの心臓を保護することが示されているが、結果は全般により不良である(
Natarajan et al.,2008,J Cardiovasc Pharm
acol.,51(2):178〜187)。組織保護効果は、バーガー病レイノー病
、及び先端チアノーゼにおいても観察され得る。

ミトコンドリア内のクレブス回路を介する好気性代謝に対する依存性の低下、及びPH
D阻害によって産生された嫌気性糖分解に対する依存性の増加は、酸素正常状態の組織に
おいて有利な効果を有し得る。PHD阻害は酸素正常状態でHIFを高めることも示され
ていることに注意するのが重要である。よって、PHD阻害は、HIFによって開始され
た低酸素反応を伴う擬似低酸素状態を生み出すが、組織酸素化状態は正常のままである。
PHD阻害によってもたらされた代謝の変化も、糖尿病、肥満及び関連疾患(併存疾患
含む)の治療パラダイムを提供することが予想できる。

全体に、PHD阻害によりもたらされた遺伝子発現変化集合は、グルコース単位当た
り発生するエネルギー量を低下させ、エネルギーバランスを維持するために身体がより多
くの脂肪を燃やすよう刺激する。糖分解増加のメカニズムは、上記で検討されている。他
観測結果は、低酸素状態の反応と、糖尿病及び肥満の治療に有益であることが予想され
る効果とを結びつけている。よって、高地トレーニング体脂肪を減らすことがよく知ら
れている(Armellini et al.,1997,Horm Metab Re
s.,29(9):458〜61)。低酸素状態、及びデスフェリオキサミンなどの低酸
模倣物質は、脂肪細胞分化を防ぐことが示されている(Lin et al.,20
06,J Biol Chem.,281(41):30678〜83、Carrier
e et al.,2004,J Biol Chem.,279(39):40462
〜69)。この影響は、酸素正常状態に戻ったときに可逆性である。脂肪形成の初期段階
におけるPHD活性の阻害は、新たな脂肪細胞の形成を阻害する(Floyd et a
l.,2007,J Cell Biochem.,101:1545〜57)。低酸素
状態、塩化コバルト及びデスフェリオキサミンはHIFを増加させ、PPARγ2核ホル
モン受容体転写を阻害した(Yun et al.,2002,Dev Cell.,2
:331〜41)。PPARγ2は脂肪細胞分化の重要な信号であるため、PHD阻害は
、脂肪細胞分化を阻害すると予想され得る。これらの効果は、HIFで制御された遺伝子
DEC1/Stra13によって媒介されることが示されている(Yun et al.
、前出)。

PHDの小分子阻害物質は、糖尿病及び肥満の動物モデルにおいて有益な効果を有する
ことが示されている(国際特許出願公開第WO2004/052284号、2004年6
月24日、同第WO2004/052285号、2004年6月24日)。マウス食事
由来肥満におけるPHD阻害物質について示された効果の中で、db/dbマウス及びZ
ucker fa/faラットモデルでは、血中グルコース濃度腹部及び内臓脂肪層の
両方における脂肪量ヘモグロビンA1c、血漿中トリグリセリド、体重が低下し、並び
アドレノメデュリン及びレプチン濃度増加など、確立された疾患バイオマーカーの変
化をもたらしている。レプチンは既知のHIF標的遺伝子産物である(Grosfeld
et al.,2002,J Biol Chem.,277(45):42953〜
57)。脂肪細胞における代謝に関与する遺伝子産物は、HIF依存型でPHD阻害によ
って制御されることが示されている(国際特許出願公開第WO2004/052285号
、前出)。これらには、アポリポタンパク質A−IV、アシルCoAチオエステラーゼ
カルニチンアセチルトランスフェラーゼ、及びインスリン様成長因子結合タンパク質(I
GFBP)−1が挙げられる。

PHD阻害物質は、脈管形成、血管形成、及び動脈形成刺激物質として治療に有用で
あることが予想される。これらのプロセスは、虚血及び/又は低酸素状態にある組織への
血流及び酸素化を確立又は回復する(Semenza et al.,2007,J C
ell Biochem.,102:840〜47、Semenza,2007,Exp
Physiol.,92(6):988〜91)。身体的エクササイズは実験動物モデ
ル及びヒトにおいてHIF−1及び血管内皮成長因子を増加させ(Gustafsson
et al.2001,Front Biosci.,6:D75〜89)、その結果
として、骨格筋内の血管の数が増えることが示されている。VEGFは、血管形成の主要
推進力である既知のHIF標的遺伝子産物である(Liu et al.、前出)。V
EGF受容体活性化物質の様々な形態の投与が、血管形成の強力な刺激となるが、この可
能性のある治療形態から生じる血管は漏れが多い。これは、酸素供給疾患の治療について
、VEGFの潜在的有用性を制限するものと考えられる。単独の血管由来因子の発現増大
は、機能的な脈管化には十分ではない可能性がある(Semenza,2007、前出)
。PHD阻害物質はこのような他の血管形成治療を上回る潜在的利点を提供するものであ
り、これはHIF依存型での複数の血管由来成長因子の制御された発現を刺激し、これに
胎盤成長因子(PLGF)、アンジオポイエチン−1(ANGPT1)、アンジオポイ
エチン−2(ANGPT2)、血小板由来成長因子β(PDGFB)(Carmelie
t,2004,J Intern Med.,255:538〜61;Kelly et
al.,2003,Circ Res.,93:1074〜81)、及び間質細胞由来
因子1(SDF−1)(Ceradini et al.,2004,Nat Med.
,10(8):858〜64)が挙げられるが、これらに限定されない。血管形成中のア
ンジオポエチン−1の発現は、FEGF単独投与によって生じた血管とは対照的に、漏れ
抵抗性の血管を生成する(Thurston et al.,1999,Science
,286:2511〜14、Thurston et al.,2000,Nat Me
d.,6(4):460〜3;Elson et al.,2001,Genes De
v.,15(19):2520〜32)。間質細胞由来因子1(SDF−1)は、組織損
傷部位に対し内皮前駆細胞を補充するプロセスに必須であることが示されている。SDF
−1発現は、虚血組織に対するCXCR4陽性前駆細胞接着、移動及び循環回帰を増加
させた。更に、虚血組織におけるSDF−1の阻害、又は循環細胞に対するCXCR4の
遮断は、損傷部位への前駆細胞補充を阻む(Ceradini et al.,2004
、前出、Ceradini et al.,2005,TrendsCardiova
sc Med.,15(2):57〜63)。重要なのは、内皮前駆細胞の損傷部位への
補充は、高齢のマウスでは減少し、これは、損傷部位でHIFを高める介入を行うことに
よって修正されることである(Chang et al.,2007,Circulat
ion,116(24):2818〜29)。PHD阻害は、数々の血管形成作用の発現
を増加させるだけでなく、血管形成プロセス全体にわたる発現の協調、及び虚血組織への
内皮前駆細胞の補充を増加させる利点をもたらす。

PHD阻害物質の血管形成促進治療としての有用性の根拠は、以下の観測結果によって
提供されている。アデノウイルス介在のHIF過剰発現は、成体動物の非虚血組織におい
て血管形成を誘発していることが示されており(Kelly et al.,2003,
Circ Res.,93(11):1074〜81)、HIFを高める治療(例えばP
HD阻害など)が、血管形成を誘発することの根拠を提供している。胎盤成長因子(PL
GF)は、HIF標的遺伝子でもあり、虚血組織における血管形成に重要な役割を果たし
ていることが示されている(Carmeliet,2004,J Intern Med
.,255(5):538〜61、Luttun et al.,2002,Ann N
Y Acad Sci.,979:80〜93)。骨格筋において(Pajusola
et al.,2005,FASEB J.,19(10):1365〜7、Vinc
ent et al.,2000,Circulation,102:2255〜61)
、及び心筋において(Shyu et al.,2002,Cardiovasc Re
s.,54:576〜83)、HIF過剰発現を介して、HIFを高める治療の強力な血
管形成促進効果が示されている。HIF標的遺伝子SDF−1による、虚血心筋への内皮
前駆細胞の補充についても示されている(Abbott et al.,2004,Ci
rculation,110(21):3300〜05)。これらの発見は、PHD阻害
物質が組織虚血、特に筋肉虚血の状況において、血管形成を刺激するのに有効となる、と
いう一般概念を支持している。PHD阻害物質によって生じた治療的血管形成は、組織へ
の血流を回復させるのに有用であり、よって、狭心症、心筋虚血及び心筋梗塞、末梢虚血
疾患、跛行胃潰瘍及び十二指腸潰瘍潰瘍性大腸炎、並びに炎症性腸疾患を含むがこれ
らに限定されない疾患の治療に有用であることが予想される。

PHD及びHIFは、損傷及び潰瘍の治療を含む組織修復及び再生において中心的役割
を果たす。最近の研究では、高齢のマウスの損傷部位で、3種類のPHDすべての発現の
増加と、その結果としてHIF蓄積の減少が示されている(Chang et al.、
前出)。ここで、デスフェリオキサミン投与による高齢のマウスでのHIF上昇は、創傷
治療の度合を、若いマウスで観察されるレベルにまで戻って高めた。同様に、糖尿病マウ
スモデルにおいて、HIFの上昇は、非糖尿病同腹仔に比べて抑制されていた(Mac
e et al.,2007,Wound Repair Regen.,15(5):
636〜45)。塩化コバルト(低酸素状態模倣物質)の局所投与、又は酸素依存性分解
範囲を欠いているためHIFの常時活性型を提供するハツカネズミHIFの過剰発現は、
創傷部位におけるHIFの増加、HIF標的遺伝子(VEGF、Nos2、及びHmox
1など)の発現増加、並びに創傷治癒の加速をもたらした。PHD阻害の有益な効果は、
皮膚に限定されず、PHDの小分子阻害物質は最近、大腸炎のマウスモデルに効果をもた
らすことが示されている(Robinson et al.,2008,Gastroe
nterology,134(1):145〜55)。

HIFの蓄積をもたらすPHD阻害は、少なくとも4つのメカニズムによる作用で、創
傷及び火傷の治癒加速及びより完全な治癒に寄与することが予想される:1)低酸素状態
及び/又は虚血により危機に曝された組織の保護、2)適切な血流をその部位に確立又は
回復するための血管形成の刺激、3)内皮前駆細胞の創傷部位への補充、4)特に治癒及
び再生を刺激する成長因子の放出の刺激。

組換え型ヒト血小板由来成長因子(PDGF)はベカプレルミン(Regranex(
商標))として市販されており、米国食品医薬品局によって「皮下組織又はそれより深く
広がり、適切な血液供給を有する、下肢糖尿病性神経障害性潰瘍の治療」に認可され
ている。ベカプレルミンは糖尿病患者における創傷治癒を促進するのに有効であることが
示されている(Steed,2006,Plast Reconstr Surg.,1
17(7 Suppl):143S−149S、Nagai et al.,2002,
Expert Opin Biol Ther.,2(2):211〜8)。PDGFは
HIF遺伝子標的であるため(Schultz et al.,2006,Am J P
hysiol HeartCirc Physiol.,290(6):H2528−
34、Yoshida et al.,2006,J Neurooncol.,76(
1):13〜21)、PHD阻害は、内因性PDGFの発現を増加させ、ベカプレルミン
単独で産生されるのと同様又はより有益な効果を生み出すことが予想される。動物研究で
は、PDGFの局所適用により、損傷DNA、タンパク質、及びヒドロキシプロリンの量
の増加がもたらされ、より厚い肉芽組織及び表皮組織が形成され、創傷部位の細胞再増殖
が増加したことが示された。PDGFは新しい結合組織の形成を強化する局所的効果を発
揮する。PHD阻害の有効性は、HIFによって媒介される追加の組織保護と血管形成促
進効果により、ベカプレルミンによって生成されるよりも大きいことが予想される。

PHDの阻害の有益な効果は、皮膚及び大腸の創傷治癒を促進するだけに留まらず、
腸潰瘍皮膚移植置換、火傷、慢性創傷、及び凍傷などを含むがこれらに限定されないそ
の他の組織損傷の治癒にも拡張されることが予想される。

体内低酸素性適所には幹細胞及び前駆細胞が見出されており、低酸素状態がその分化
及び細胞の運命を制御していることが見出されている(Simon et al.,20
08,Nat Rev Mol Cell Biol.,9:285〜96)。よってP
HD阻害物質は幹細胞及び前駆細胞を多能性状態に維持し、望ましい細胞種へ分化させる
のに有用であり得る。幹細胞は、幹細胞集団の培養及び拡大に有用であり得、細胞を多能
性状態に保持しながら、ホルモン及び他の因子を細胞に投与して分化及び細胞の運命に影
響を与えることができる。

幹細胞及び前駆細胞による治療分野における、PHD阻害物質の更なる使用は、これら
細胞を調整して体内への着床プロセスに耐えるようにし、身体に対する適切な反応を起こ
して、幹細胞及び前駆細胞の着床を生存可能なものにする、というPHD阻害物質の利用
に関連する(Hu et al.,2008,J Thorac Cardiovasc
Surg.,135(4):799〜808)。より具体的には、PHD阻害物質は、
幹細胞の同化を促進し、同化した後の幹細胞を維持するために適切な血液供給を招くこと
ができる。この血管形成は、これらの細胞から身体の他の部分へと放出されるホルモン及
びその他の因子を運ぶ機能も果たす。

PHD阻害物質は、感染症の治療にも有用であり得る(Peyssonnaux et
al.,2005,J Invest Dermatol.,115(7):1806
〜15、Peyssonnaux et al.,2008 J Invest Der
matol.,2008 Aug;128(8):1964〜8)。HIFの増加は、食
細胞及びケラチノサイトにおける感染症に対する内在的免疫反応を高めることが示されて
いる。HIFが増加しているときの食細胞は、殺菌活性の増加、一酸化窒素産生の増加、
及び抗菌ペプチドカテリシジン表現の増加を示す。これらの効果も、火傷による感染症
の治療に有用である可能性がある。

HIFは骨の成長及び治癒にも関与していることが示されており(Pfander D
et al.,2003 J Cell Sci.,116(Pt 9):1819〜
26、Wang et al.,2007 J Clin Invest.,17(6)
:1616〜26)、よって、骨折の治癒又は予防に用いることができる。HIFは糖分
解を刺激してエネルギーを供給することにより、低酸素環境における骨端軟骨細胞の細胞
マトリックスの合成を可能にする。HIFはまた、骨治癒プロセスにおいてVEGFの
放出及び血管形成を推進する役割を果たす。成長中又は治癒中の骨の中に血管を成長させ
るのは、プロセスの律速段階であり得る。

プロリルヒドロキシラーゼ拮抗活性を有する特定の小分子が、文献に記述されている。
これには、特定のイミダゾ[1,2−a]ピリジン誘導体(Warshakoon et
al.,2006,Bioorg Med Chem Lett.,16(21):5
598〜601)、置換ピリジン誘導体(Warshakoon et al.,200
6,Bioorg Med Chem Lett.,16(21):5616〜20)、
特定のピラゾロピリジン(Warshakoon et al.,2006,Bioor
g Med Chem Lett.,16(21):5687〜90)、特定の二環式
芳香族N置換グリシン誘導体(国際特許出願公開第WO2007/103905号、2
007年9月13日)、キノリン系化合物(国際特許出願公開第WO2007/0703
59号、2007年6月21日)、特定のピリミジントリオンN置換グリシン誘導体(国
際特許出願公開第WO2007/150011号、2007年12月27日)、及び置換
アリール又はヘテロアリールアミド化合物(米国特許出願公開第US 2007/029
9086号、2007年12月27日)が挙げられるが、これらに限定されない。

特定のベンゾイミダゾール誘導体が、文献に開示されている。例えば、LeCount
et al.,Journal of the Chemical Society,
Perkin Transactions 1:Organic and Bio−Or
ganic Chemistry(1972〜1999)(1974),(2):297
〜301、Senga et al.,Journal of Heterocycli
c Chemistry(1975),12(5):899〜901、Kandeel
et al.,Polish Journal of Chemistry(1983)
,57(1〜3),327〜31、Povstyanoi et al.,Ukrain
skii Khimicheskii Zhurnal(Russian Editio
n)(1990),56(10):1089〜92、Singh et al.,Ind
ian Journal of Chemistry,Section B:Organ
ic Chemistry Including Medicinal Chemist
ry,(1993)32B(2):262〜5、Lipunova et al.,Me
ndeleev Communications(1996),(1):15〜17、L
ipunova et al.,Russian Journal of Organi
c Chemistry(Translation of Zhurnal Organ
icheskoi,Khimii)(1997),33(10):1476〜86、NH
E−1阻害物質のためのベンゾイミダゾールピラゾール中間体(WO9943663)
向精神薬としてのN−ヘテロアリールイミダゾール(DE3824658)がある。加
えて、1−(1H−ベンゾイミダゾル−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−4
カルボン酸(CAS No.1017666−26−0)、1−(1H−ベンゾイミダ
ゾル−2−イル)−5−ヒドロキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル
(CAS No.1006582−96−2)、1−(1H−ベンゾイミダゾル−2−イ
ル)−5−ピロル−1−イル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(CAS No.10
17666−37−3)、及び1−(1H−ベンゾイミダゾル−2−イル)−5−(2,
5−ジメチル−ピロル−1−イル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(CAS No
.1017666−50−0)が市販されている。

概要

プロリルヒドロキシラーゼ活性が媒介する貧血、低酸素症、虚血、末梢血管疾患、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、肥満、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、創傷、感染症、火傷及び骨折を治療するための化合物の提供。下式で例示されるベンゾイミダゾール化合物、並びにそれらのエナンチオマージアステレオマーラセミ体、及び製薬上許容される塩。なし

目的

組換え型ヒトエリスロポ
エチンでの治療は、貧血治療の有効な方法として示されているが、小分子介在PHD阻害
は、エリスロポエチンでの治療を上回る利点を提供する

効果

実績

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請求項1

式(I):のPHD阻害用の化合物であって、式中、nは、2〜4であり、各R1が、独立して、−C1〜4アルキル、−C3〜8シクロアルキル−C1〜4アルキルスルホニル、−C1〜4アルキルスルフィニル、−C1〜4アルキルスルファニル、−NO2、−NH2、−NH−C1〜4アルキル、−NH−SO2−C3〜8シクロアルキル、−NH−SO2−C1〜4アルキル、−NH−C(O)−C1〜4アルキル、−CN、−CO2H、−OC1〜4アルキル、−NH−(CH2)2−モルホリン、−NH(CO)CH2−モルホリン、−NHC(O)−CH2−ピペリジン、−NHC(O)−CH2−(N−メチルピペラジン)、−NH−C1〜4アルキル−モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、及びモルホリンから選択され、R2及びR3は両方とも、Hであり、各Zは、C、又はZが2つの場合Nであり、これらのエナンチオマージアステレオマーラセミ体、及び製薬上許容される塩を含む、化合物。

請求項2

製薬上許容される賦形剤と、有効量の式(I):のPHD阻害用の化合物と、を含む、製薬組成物であって、式中、nは、2〜4であり、各R1が、独立して、−C1〜4アルキル、−C3〜8シクロアルキル−C1〜4アルキルスルホニル、−C1〜4アルキルスルフィニル、−C1〜4アルキルスルファニル、−NO2、−NH2、−NH−C1〜4アルキル、−NH−SO2−C3〜8シクロアルキル、−NH−SO2−C1〜4アルキル、−NH−C(O)−C1〜4アルキル、−CN、−CO2H、−OC1〜4アルキル、−NH−(CH2)2−モルホリン、−NH(CO)CH2−モルホリン、−NHC(O)−CH2−ピペリジン、−NHC(O)−CH2−(N−メチルピペラジン)、−NH−C1〜4アルキル−モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、及びモルホリンから選択され、R2及びR3は両方とも、Hであり、各Zは、C又は、又はZが2つの場合Nであり、また、これらのエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、及び製薬上許容される塩を含む、製薬組成物。

請求項3

治療的有効量のPHD阻害用の式(I)の化合物を患者投与することにより、貧血低酸素症虚血末梢血管疾患心筋梗塞、脳卒中、糖尿病肥満炎症性腸疾患潰瘍性大腸炎クローン病創傷感染症火傷及び骨折を治療するための、医薬を製造するための式(I)の化合物の使用方法であって、式中、nは、2〜4であり、各R1が、独立して、−C1〜4アルキル、−C3〜8シクロアルキル−C1〜4アルキルスルホニル、−C1〜4アルキルスルフィニル、−C1〜4アルキルスルファニル、−NO2、−NH2、−NH−C1〜4アルキル、−NH−SO2−C3〜8シクロアルキル、−NH−SO2−C1〜4アルキル、−NH−C(O)−C1〜4アルキル、−CN、−CO2H、−OC1〜4アルキル、−NH−(CH2)2−モルホリン、−NH(CO)CH2−モルホリン、−NHC(O)−CH2−ピペリジン、−NHC(O)−CH2−(N−メチルピペラジン)、−NH−C1〜4アルキル−モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、及びモルホリンから選択され、R2及びR3は両方とも、Hであり、各ZはC又は、又はZが2つの場合Nであり、また、これらのエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、及び製薬上許容される塩を含む、方法。

請求項4

治療的有効量のPHD阻害用の式(I)の化合物を患者に投与することにより、低酸素症を治療するための、医薬を製造するための式(I)の化合物の使用方法であって、式中、nは、2〜4であり、各R1が、独立して、−C1〜4アルキル、−C3〜8シクロアルキル−C1〜4アルキルスルホニル、−C1〜4アルキルスルフィニル、−C1〜4アルキルスルファニル、−NO2、−NH2、−NH−C1〜4アルキル、−NH−SO2−C3〜8シクロアルキル、−NH−SO2−C1〜4アルキル、−NH−C(O)−C1〜4アルキル、−CN、−CO2H、−OC1〜4アルキル、−NH−(CH2)2−モルホリン、−NH(CO)CH2−モルホリン、−NHC(O)−CH2−ピペリジン、−NHC(O)−CH2−(N−メチルピペラジン)、−NH−C1〜4アルキル−モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、及びモルホリンから選択され、R2及びR3は両方とも、Hであり、各ZはC又は、又はZが2つの場合Nであり、また、これらのエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、及び製薬上許容される塩を含む、方法。

技術分野

0001

本発明は、特定のベンゾイミダゾール化合物、これらを含有する医薬組成物、及びプロ
リルヒドロキシラーゼ活性が媒介する疾患状態障害及び状態の治療にこれらを用いる方
法に関連する。

背景技術

0002

細胞は、細胞生存酸素の供給及び活用血管形成、細胞代謝、血圧の調節、造血、並
びに組織保護に関与する遺伝子の転写を活性化することによって、低酸素状態に対応する
低酸素誘導因子(HIF)は、これらの遺伝子の主たる転写制御因子である(Seme
nza et al.,1992,Mol Cell Biol.,12(12):54
47〜54、Wang et al.,1993,J Biol Chem.,268(
29):21513〜18、Wang et al.,1993,Proc Natl
Acad Sci.,90:4304〜08、Wang et al.,1995,J
Biol Chem.,270(3):1230〜37)。HIF−1α、HIF−2α
及びHIF−3αの3種類の形態のHIF−αが記述されている(Scheuerman
n et al.,2007,MethodsEnzymol.,435:3〜24)
。HIFαサブユニットをHIF−1βと組み合わせることにより、機能性のヘテロ二量
タンパク質が形成され、これが次に例えばp300及びCBPなどの他の転写因子を補
充する(Semenza,2001,Trends Mol Med.,7(8):34
5〜50)。

0003

一群の高度に保存された酸素、鉄及び2−オキソグルタレート依存性プロリルヒドロ
キシラーゼ(PHD)酵素は、HIFの翻訳後修飾によって細胞が低酸素状態に対応する
のを媒介する(Ivan et al.,2001,Science,292:464〜
68、Jaakkola et al.,2001,Science,292:468〜
72)。酸素正常状態では、PHDはHIF内に保存されている2つのプロリン残基のヒ
ロキシル化を触媒する。フォンヒッペルリンドウ(VHL)タンパク質は、ヒドロ
キシル化されたHIFに選択的に結合する。VHLの結合により、HIFは、E3ユビキ
チンリガーゼ錯体によるポリユビキチン化、及び26Sプロテアソームによるそれに続く
分解の標的となる(Ke et al.,2006,Mol Pharmacol.70
(5):1469〜80;Semenza,Sci STKE.,2007,407(c
m8):1〜3)。PHDの酸素に対する親和性は酸素の生理学的範囲内にあり、酸素は
反応に必須の補助因子であるため、酸素圧が低下するとPHDは不活性化される。このよ
うにして、HIFは酸素正常状態で急速に分解するが、低酸素状態又はPHDが阻害して
いるときは酸素に蓄積する。

0004

PHDの4つのアイソタイプPHD1、PHD2、PHD3、及びPHD4が記述され
ている(Epstein et al.,2001,Cell,107:43〜54、K
aelin,2005,Annu Rev Biochem.,74:115〜28、S
chmid et al.,2004,J Cell Mol Med.,8:423〜
31)。様々なアイソタイプが遍在して発現するが、異なって調節され、低酸素状態に対
する細胞反応において異なる生理学的役割を有する。この様々なアイソタイプが、3つの
異なるHIFαサブタイプに対して異なる選択性を有するという証拠がある(Epste
in et al.、前出)。細胞の局所化については、PHD1は主に細胞核、PHD
2は主に細胞質、そしてPHD3は細胞質及び細胞核の両方にあると見られる(Metz
en E,et al.2003,J Cell Sci.,116(7):1319〜
26)。PHD2は、酸素正常状態において優性なHIFαプロリルヒドロキシラーゼ
あると見られる(Ivan et al.,2002.Proc Natl Acad
Sci.USA,99(21):13459〜64、Berra et al.,200
3,EMBO J.,22:4082〜90)。この3つのアイソタイプは高いアミノ酸
相同性を有し、酵素の活性部位は高度に保存されている。

0005

このHIF標的遺伝子産物は、赤血球形成、血管形成、エネルギー代謝の調節、血管運
動性機能、及び細胞アポトーシス/増殖を含むがこれらに限定されない、数多くの生理学
的及び病理生理学的プロセスに関与している。HIF標的として記述されている第1の遺
伝子は、エリスロポエチン(EPO)をエンコードするものであった(Wang et
al.,1993、前出)。血液中の酸素輸送能力の低下は腎臓で検知され、腎臓と肝臓
がより多くのEPOを放出し、ホルモン赤血球の増殖及び成熟刺激することが知られ
ている。EPOは非造血細胞種に対して他の数多くの重要な影響をもたらし、主要な組織
保護性サイトカインであることが明らかになっている(Arcasoy,2008,Br
J Haematol.,141:14〜31)。よってEPOは創傷治癒及び血管形
成だけでなく、虚血侵襲に対する組織の反応にも関与している。嫌気性糖分解に関与して
いる酵素のほとんどは、HIF標的遺伝子によってエンコードされ、その結果、低酸素状
態組織中で糖分解が増加する(Shaw,2006,Curr Opin Cell B
iol.,18(6):598〜608)。この経路での既知のHIF標的遺伝子産物に
は、GLUT−1などのグルコース輸送体(Ebert et al.,1995,J
Biol Chem.,270(49):29083〜89)、グルコースからピルビン
酸への分解に関与する酵素(ヘキソキナーゼ及びホスホグリセラートキナーゼ1など)(
Firth et al.,1994,Proc Natl Acad Sci.USA
,91:6496〜6500)、並びに乳酸デヒドロゲナーゼ(Firth et al
.,前出)が挙げられるが、これらに限定されない。HIF標的遺伝子産物はまた、細胞
代謝の調節にも関与している。例えば、ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ−1は標的
HIF遺伝子産物であり、リン酸化反応によってピルビン酸デヒドロゲナーゼの活性を下
げることにより、ピルビン酸クレブス回路への流入を調節する(Kim et al.
,2006,Cell Metab.,3:177〜85、Papandreou et
al.,2006,Cell Metab.,3:187〜197)。HIF標的遺伝
子産物はまた、血管形成にも関与している。例えば、血管内皮成長因子VEGF)(L
iu et al.,1995,Circ Res.,77(3):638〜43)は、
血管形成及び脈管形成の既知の制御因子である。HIF標的遺伝子産物はまた、血管の緊
張状態調節に関して機能し、ヘメオキシゲナーゼ−1を含む(Lee et al.,1
997,J Biol Chem.,272(9):5375〜81)。例えば血小板
成長因子(PDGF)(Yoshida et al.,2006,J Neuroo
ncol.,76(1):13〜21)、血管内皮成長因子(Breen,2007,J
Cell Biochem.,102(6):1358〜67)及びEPO(Arca
soy、前出)などの数多くのHIF調節遺伝子産物は、創傷治癒への協調対応において
も機能する。

0006

分子によるプロリルヒドロキシラーゼ(PHD)酵素活性の標的破壊は、酸素検知
分配の障害の治療において、潜在的な有用性を有する。その例には、貧血症鎌状赤血球
貧血末梢血管疾患冠状動脈疾患心不全、虚血(心筋虚血心筋梗塞及び脳卒中など
の状態におけるもの)からの組織保護、移植用臓器の保存、組織虚血の治療(血流の調節
及び/若しくは回復酸素供給、並びに/又はエネルギー利用による)、特に糖尿病及び
高齢患者の創傷治癒の促進、火傷の治療、感染症の治療、骨の治癒、及び骨の成長が挙
げられるが、これらに限定されない。加えて、PHDの標的破壊は、糖尿病、肥満潰瘍
大腸炎炎症性腸疾患、及びクローン病などの代謝性疾患の治療に有用性を有すると見
込まれている(Recent Patents on Inflammation&Al
lergy Drug Discovery,2009,3,1〜16)。

0007

HIFは、低酸素状態でエリスロポエチン産生を増加させる主要な転写因子であること
が示されている(Wang et al.,1993、前出)。組換え型ヒトエリスロ
エチンでの治療は、貧血治療の有効な方法として示されているが、小分子介在PHD阻害
は、エリスロポエチンでの治療を上回る利点を提供することが見込まれ得る。具体的には
、他のHIF遺伝子産物の機能は造血(hematopoesis)に必要であり、この因子の調節が
、造血(hematopoesis)の効率を増大させる。造血(hematopoesis)に必須であるHIF
標的遺伝子産物の例としては、トランスフェリン(Rolfs et al.,1997
,J Biol Chem.,272(32):20055〜62)、トランスフェリン
受容体(Lok et al.,1999,J Biol Chem.,274(34)
:24147〜52、Tacchini et al.,1999,J Biol Ch
em.,274(34):24142〜46)及びセルロプラスミン(Mukhopad
hyay et al.,2000,J Biol Chem.,275(28):21
048〜54)が挙げられる。またヘプシジン発現がHIFによって抑制され(Peys
sonnaux et al.,2007,J Clin Invest.,117(7
):1926〜32)、PHDの小分子阻害物質ヘプシジン産生を低下させることが示
されている(Braliou et al.,2008,J Hepatol.,48:
801〜10)。ヘプシジンは、造血(hematopoesis)に必要な鉄の利用可能性に対する
負の制御因子であり、よってヘプシジン産生の低下は、貧血治療に有用であることが見込
まれる。PHD阻害も、鉄補充及び/又は外因性エリスロポエチンを含むその他の貧血治
療と組み合わせて使用した場合、有用であり得る。ヒト母集団において自然に発生するP
HD2における突然変異の研究は、PHD阻害の貧血治療への利用に関する更なる根拠
提供している。2つの最近の報告により、PHD2遺伝子に機能不全の突然変異を有する
患者が、赤血球増多及び血液ヘモグロビン増加を呈することが示されている(Percy
et al.,2007,PNAs,103(3):654〜59、Al−Sheik
h et al.,2008,Blood Cells Mol Dis.,40:16
0〜65)。加えて、小分子PHD阻害物質が、健康なボランティア及び慢性腎臓病を有
する患者において評価されている(U.S.pat.appl.US2006/0276
477,December 7,2006)。血漿中エリスロポエチンは用量依存的に増
加し、血中ヘモグロビン濃度慢性腎臓病患者において上昇した。

0008

代謝的適応及び組織の保全は、虚血によって危機に曝される。PHD阻害物質は、虚血
状態において有用である代謝の変化をもたらす遺伝子発現を増加させる(Semenza
,2007,Biochem J.,405:1〜9)。嫌気性糖分解に関与する酵素を
エンコードしている遺伝子の多くはHIFによって調節され、PHDを阻害することによ
って糖分解が増加する(Shaw、前出)。この経路における既知のHIF標的遺伝子に
は、GLUT−1(Ebert et al.、前出)、ヘキソキナーゼ、ホスホグリ
ラートキナーゼ1、乳酸デヒドロゲナーゼ(Firth et al.、前出)、ピルビ
ン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ−1(Kim et al.、前出、Papandreo
u et al.、前出)が挙げられるが、これらに限定されない。ピルビン酸デヒドロ
ゲナーゼキナーゼ−1は、ピルビン酸がクレブス回路に入るのを抑制する。HIFはミト
コンドリア内の電子伝達に関与するシトクロムの発現の切り替えを媒介する(Fukud
a et al.,2007,Cell,129(1):111〜22)。このシトクロ
組成物における変化が、低酸素状態におけるATP産生の効率を最適化し、例えば過酸
水素及び超酸化物などの有害な酸化的リン酸化副産物の産生を低下させる。低酸素状態
に長時間曝されると、HIFはミトコンドリア自食作用を促進し、ミトコンドリア数の
減少をもたらす(Zhang H et al.,2008,J Biol Chem.
283:10892〜10903)。この慢性的低酸素状態に対する適応では、過酸化水
素及び超酸化物の産生を減らす一方で、細胞はエネルギーを産生するのに糖分解に依存す
るようになる。HIFの上昇によって生じる更なる適応反応は、細胞生存因子上方制御
である。これらの因子には、インスリン様成長因子(IGF)2、IGF結合タンパク質
2及び3が挙げられる(Feldser et al.,1999,Cancer Re
s.59:3915〜18)。低酸素状態におけるHIFの全体的蓄積が、糖分解の適応
的上方制御を支配し、過酸化水素及び超酸化物の産生の低減をもたらす酸化的リン酸化の
低減、虚血性損傷に対して細胞を保護する酸化的リン酸化の最適化が生じる。よって、P
HD阻害物質は、臓器及び組織移植の保全に有用であると見込まれる(Bernhard
t et al.,2007,Methods Enzymol.,435:221〜4
5)。移植用の臓器を採取する前にPHD阻害物質を投与することによって利益が得られ
る可能性があるが、採取後の臓器/組織(保存中(例えば心停止液)又は移植後のいずれ
か)に阻害物質を投与することにより、治療的利益が得られる可能性がある。

0009

PHD阻害物質は、部分的な虚血及び/又は低酸素状態から組織を保護するのに有効で
あると予想される。これには、とりわけ、狭心症、心筋虚血、脳卒中、骨格筋虚血に関連
する虚血/低酸素状態が含まれる。虚血状態の組織を保存するための有用な方法としての
、PHD阻害及びその後のHIF増加の概念を支持する、数多くの実験的証拠が存在する
。最近では、虚血プレコンディショニングが、HIF依存性の現象であることが示されて
いる(Cai et al.,2008,Cardiovasc Res.,77(3)
:463〜70)。虚血プレコンディショニングは、短時間の低酸素状態及び/又は虚血
が、その後のより長い時間の虚血から組織を保護する、という、よく知られた現象である
(Murry et al.,1986,Circulation,1986 74(5
):1124〜36、Das et al.,2008,IUBMB Life,60(
4):199〜203)。虚血プレコンディショニングはヒト並びに実験動物に起こるこ
とが知られている(Darling et al.,2007,Basic Res C
ardiol.,102(3):274〜8;Kojima I et al.,200
7,J Am Soc Nephrol.,18:1218〜26)。プレコンディショ
ニングの概念は心臓保護効果に関してよく知られているが、肝臓、骨格筋、肝臓、
腎臓、腸及び脳を含むがこれらに限定されないその他の組織にも適用される(Pasup
athy et al.,2005,Eur J Vasc Endovasc Sur
g.,29:106〜15、Mallick et al.,2004,Dig Dis
Sci.,49(9):1359〜77)。PHD阻害及びHIF増加の組織保護効果
に関する実験的証拠は、数多くの動物モデルにおいて得られており、これには、虚血侵襲
に対する骨格筋の保護をもたらすPHD1の生殖系列ノックアウト(Aragones
et al.,2008,Nat Genet.,40(2):170〜80)、虚血侵
襲に対して心臓を保護するsiRNAの使用によるPHD2のサイレンシング(Nata
rajan et al.,2006,Circ Res.,98(1):133〜40
)、虚血障害から心筋を保護する、一酸化炭素投与によるPHDの阻害(Chin et
al.,2007,Proc Natl Acad Sci.U.S.A.,104(
12):5109〜14)、虚血に対する耐性を増強した脳の低酸素状態(Bernau
din et al.,2002,J Cereb Blood Flow Metab
.,22(4):393〜403)が挙げられる。加えて、PHDの小分子阻害物質は、
実験脳卒中モデルにおいて脳を保護する(Siddiq et al.,2005,J
Biol Chem.,280(50):41732〜43)。更に、HIF上方制御は
糖尿病マウスの心臓を保護することが示されているが、結果は全般により不良である(
Natarajan et al.,2008,J Cardiovasc Pharm
acol.,51(2):178〜187)。組織保護効果は、バーガー病レイノー病
、及び先端チアノーゼにおいても観察され得る。

0010

ミトコンドリア内のクレブス回路を介する好気性代謝に対する依存性の低下、及びPH
D阻害によって産生された嫌気性糖分解に対する依存性の増加は、酸素正常状態の組織に
おいて有利な効果を有し得る。PHD阻害は酸素正常状態でHIFを高めることも示され
ていることに注意するのが重要である。よって、PHD阻害は、HIFによって開始され
た低酸素反応を伴う擬似低酸素状態を生み出すが、組織酸素化状態は正常のままである。
PHD阻害によってもたらされた代謝の変化も、糖尿病、肥満及び関連疾患(併存疾患
含む)の治療パラダイムを提供することが予想できる。

0011

全体に、PHD阻害によりもたらされた遺伝子発現変化集合は、グルコース単位当た
り発生するエネルギー量を低下させ、エネルギーバランスを維持するために身体がより多
くの脂肪を燃やすよう刺激する。糖分解増加のメカニズムは、上記で検討されている。他
観測結果は、低酸素状態の反応と、糖尿病及び肥満の治療に有益であることが予想され
る効果とを結びつけている。よって、高地トレーニング体脂肪を減らすことがよく知ら
れている(Armellini et al.,1997,Horm Metab Re
s.,29(9):458〜61)。低酸素状態、及びデスフェリオキサミンなどの低酸
模倣物質は、脂肪細胞分化を防ぐことが示されている(Lin et al.,20
06,J Biol Chem.,281(41):30678〜83、Carrier
e et al.,2004,J Biol Chem.,279(39):40462
〜69)。この影響は、酸素正常状態に戻ったときに可逆性である。脂肪形成の初期段階
におけるPHD活性の阻害は、新たな脂肪細胞の形成を阻害する(Floyd et a
l.,2007,J Cell Biochem.,101:1545〜57)。低酸素
状態、塩化コバルト及びデスフェリオキサミンはHIFを増加させ、PPARγ2核ホル
モン受容体転写を阻害した(Yun et al.,2002,Dev Cell.,2
:331〜41)。PPARγ2は脂肪細胞分化の重要な信号であるため、PHD阻害は
、脂肪細胞分化を阻害すると予想され得る。これらの効果は、HIFで制御された遺伝子
DEC1/Stra13によって媒介されることが示されている(Yun et al.
、前出)。

0012

PHDの小分子阻害物質は、糖尿病及び肥満の動物モデルにおいて有益な効果を有する
ことが示されている(国際特許出願公開第WO2004/052284号、2004年6
月24日、同第WO2004/052285号、2004年6月24日)。マウス食事
由来肥満におけるPHD阻害物質について示された効果の中で、db/dbマウス及びZ
ucker fa/faラットモデルでは、血中グルコース濃度腹部及び内臓脂肪層の
両方における脂肪量ヘモグロビンA1c、血漿中トリグリセリド、体重が低下し、並び
アドレノメデュリン及びレプチン濃度増加など、確立された疾患バイオマーカーの変
化をもたらしている。レプチンは既知のHIF標的遺伝子産物である(Grosfeld
et al.,2002,J Biol Chem.,277(45):42953〜
57)。脂肪細胞における代謝に関与する遺伝子産物は、HIF依存型でPHD阻害によ
って制御されることが示されている(国際特許出願公開第WO2004/052285号
、前出)。これらには、アポリポタンパク質A−IV、アシルCoAチオエステラーゼ
カルニチンアセチルトランスフェラーゼ、及びインスリン様成長因子結合タンパク質(I
GFBP)−1が挙げられる。

0013

PHD阻害物質は、脈管形成、血管形成、及び動脈形成刺激物質として治療に有用で
あることが予想される。これらのプロセスは、虚血及び/又は低酸素状態にある組織への
血流及び酸素化を確立又は回復する(Semenza et al.,2007,J C
ell Biochem.,102:840〜47、Semenza,2007,Exp
Physiol.,92(6):988〜91)。身体的エクササイズは実験動物モデ
ル及びヒトにおいてHIF−1及び血管内皮成長因子を増加させ(Gustafsson
et al.2001,Front Biosci.,6:D75〜89)、その結果
として、骨格筋内の血管の数が増えることが示されている。VEGFは、血管形成の主要
推進力である既知のHIF標的遺伝子産物である(Liu et al.、前出)。V
EGF受容体活性化物質の様々な形態の投与が、血管形成の強力な刺激となるが、この可
能性のある治療形態から生じる血管は漏れが多い。これは、酸素供給疾患の治療について
、VEGFの潜在的有用性を制限するものと考えられる。単独の血管由来因子の発現増大
は、機能的な脈管化には十分ではない可能性がある(Semenza,2007、前出)
。PHD阻害物質はこのような他の血管形成治療を上回る潜在的利点を提供するものであ
り、これはHIF依存型での複数の血管由来成長因子の制御された発現を刺激し、これに
胎盤成長因子(PLGF)、アンジオポイエチン−1(ANGPT1)、アンジオポイ
エチン−2(ANGPT2)、血小板由来成長因子β(PDGFB)(Carmelie
t,2004,J Intern Med.,255:538〜61;Kelly et
al.,2003,Circ Res.,93:1074〜81)、及び間質細胞由来
因子1(SDF−1)(Ceradini et al.,2004,Nat Med.
,10(8):858〜64)が挙げられるが、これらに限定されない。血管形成中のア
ンジオポエチン−1の発現は、FEGF単独投与によって生じた血管とは対照的に、漏れ
抵抗性の血管を生成する(Thurston et al.,1999,Science
,286:2511〜14、Thurston et al.,2000,Nat Me
d.,6(4):460〜3;Elson et al.,2001,Genes De
v.,15(19):2520〜32)。間質細胞由来因子1(SDF−1)は、組織損
傷部位に対し内皮前駆細胞を補充するプロセスに必須であることが示されている。SDF
−1発現は、虚血組織に対するCXCR4陽性前駆細胞接着、移動及び循環回帰を増加
させた。更に、虚血組織におけるSDF−1の阻害、又は循環細胞に対するCXCR4の
遮断は、損傷部位への前駆細胞補充を阻む(Ceradini et al.,2004
、前出、Ceradini et al.,2005,TrendsCardiova
sc Med.,15(2):57〜63)。重要なのは、内皮前駆細胞の損傷部位への
補充は、高齢のマウスでは減少し、これは、損傷部位でHIFを高める介入を行うことに
よって修正されることである(Chang et al.,2007,Circulat
ion,116(24):2818〜29)。PHD阻害は、数々の血管形成作用の発現
を増加させるだけでなく、血管形成プロセス全体にわたる発現の協調、及び虚血組織への
内皮前駆細胞の補充を増加させる利点をもたらす。

0014

PHD阻害物質の血管形成促進治療としての有用性の根拠は、以下の観測結果によって
提供されている。アデノウイルス介在のHIF過剰発現は、成体動物の非虚血組織におい
て血管形成を誘発していることが示されており(Kelly et al.,2003,
Circ Res.,93(11):1074〜81)、HIFを高める治療(例えばP
HD阻害など)が、血管形成を誘発することの根拠を提供している。胎盤成長因子(PL
GF)は、HIF標的遺伝子でもあり、虚血組織における血管形成に重要な役割を果たし
ていることが示されている(Carmeliet,2004,J Intern Med
.,255(5):538〜61、Luttun et al.,2002,Ann N
Y Acad Sci.,979:80〜93)。骨格筋において(Pajusola
et al.,2005,FASEB J.,19(10):1365〜7、Vinc
ent et al.,2000,Circulation,102:2255〜61)
、及び心筋において(Shyu et al.,2002,Cardiovasc Re
s.,54:576〜83)、HIF過剰発現を介して、HIFを高める治療の強力な血
管形成促進効果が示されている。HIF標的遺伝子SDF−1による、虚血心筋への内皮
前駆細胞の補充についても示されている(Abbott et al.,2004,Ci
rculation,110(21):3300〜05)。これらの発見は、PHD阻害
物質が組織虚血、特に筋肉虚血の状況において、血管形成を刺激するのに有効となる、と
いう一般概念を支持している。PHD阻害物質によって生じた治療的血管形成は、組織へ
の血流を回復させるのに有用であり、よって、狭心症、心筋虚血及び心筋梗塞、末梢虚血
疾患、跛行胃潰瘍及び十二指腸潰瘍潰瘍性大腸炎、並びに炎症性腸疾患を含むがこれ
らに限定されない疾患の治療に有用であることが予想される。

0015

PHD及びHIFは、損傷及び潰瘍の治療を含む組織修復及び再生において中心的役割
を果たす。最近の研究では、高齢のマウスの損傷部位で、3種類のPHDすべての発現の
増加と、その結果としてHIF蓄積の減少が示されている(Chang et al.、
前出)。ここで、デスフェリオキサミン投与による高齢のマウスでのHIF上昇は、創傷
治療の度合を、若いマウスで観察されるレベルにまで戻って高めた。同様に、糖尿病マウ
スモデルにおいて、HIFの上昇は、非糖尿病同腹仔に比べて抑制されていた(Mac
e et al.,2007,Wound Repair Regen.,15(5):
636〜45)。塩化コバルト(低酸素状態模倣物質)の局所投与、又は酸素依存性分解
範囲を欠いているためHIFの常時活性型を提供するハツカネズミHIFの過剰発現は、
創傷部位におけるHIFの増加、HIF標的遺伝子(VEGF、Nos2、及びHmox
1など)の発現増加、並びに創傷治癒の加速をもたらした。PHD阻害の有益な効果は、
皮膚に限定されず、PHDの小分子阻害物質は最近、大腸炎のマウスモデルに効果をもた
らすことが示されている(Robinson et al.,2008,Gastroe
nterology,134(1):145〜55)。

0016

HIFの蓄積をもたらすPHD阻害は、少なくとも4つのメカニズムによる作用で、創
傷及び火傷の治癒加速及びより完全な治癒に寄与することが予想される:1)低酸素状態
及び/又は虚血により危機に曝された組織の保護、2)適切な血流をその部位に確立又は
回復するための血管形成の刺激、3)内皮前駆細胞の創傷部位への補充、4)特に治癒及
び再生を刺激する成長因子の放出の刺激。

0017

組換え型ヒト血小板由来成長因子(PDGF)はベカプレルミン(Regranex(
商標))として市販されており、米国食品医薬品局によって「皮下組織又はそれより深く
広がり、適切な血液供給を有する、下肢糖尿病性神経障害性潰瘍の治療」に認可され
ている。ベカプレルミンは糖尿病患者における創傷治癒を促進するのに有効であることが
示されている(Steed,2006,Plast Reconstr Surg.,1
17(7 Suppl):143S−149S、Nagai et al.,2002,
Expert Opin Biol Ther.,2(2):211〜8)。PDGFは
HIF遺伝子標的であるため(Schultz et al.,2006,Am J P
hysiol HeartCirc Physiol.,290(6):H2528−
34、Yoshida et al.,2006,J Neurooncol.,76(
1):13〜21)、PHD阻害は、内因性PDGFの発現を増加させ、ベカプレルミン
単独で産生されるのと同様又はより有益な効果を生み出すことが予想される。動物研究で
は、PDGFの局所適用により、損傷DNA、タンパク質、及びヒドロキシプロリンの量
の増加がもたらされ、より厚い肉芽組織及び表皮組織が形成され、創傷部位の細胞再増殖
が増加したことが示された。PDGFは新しい結合組織の形成を強化する局所的効果を発
揮する。PHD阻害の有効性は、HIFによって媒介される追加の組織保護と血管形成促
進効果により、ベカプレルミンによって生成されるよりも大きいことが予想される。

0018

PHDの阻害の有益な効果は、皮膚及び大腸の創傷治癒を促進するだけに留まらず、
腸潰瘍皮膚移植置換、火傷、慢性創傷、及び凍傷などを含むがこれらに限定されないそ
の他の組織損傷の治癒にも拡張されることが予想される。

0019

体内低酸素性適所には幹細胞及び前駆細胞が見出されており、低酸素状態がその分化
及び細胞の運命を制御していることが見出されている(Simon et al.,20
08,Nat Rev Mol Cell Biol.,9:285〜96)。よってP
HD阻害物質は幹細胞及び前駆細胞を多能性状態に維持し、望ましい細胞種へ分化させる
のに有用であり得る。幹細胞は、幹細胞集団の培養及び拡大に有用であり得、細胞を多能
性状態に保持しながら、ホルモン及び他の因子を細胞に投与して分化及び細胞の運命に影
響を与えることができる。

0020

幹細胞及び前駆細胞による治療分野における、PHD阻害物質の更なる使用は、これら
細胞を調整して体内への着床プロセスに耐えるようにし、身体に対する適切な反応を起こ
して、幹細胞及び前駆細胞の着床を生存可能なものにする、というPHD阻害物質の利用
に関連する(Hu et al.,2008,J Thorac Cardiovasc
Surg.,135(4):799〜808)。より具体的には、PHD阻害物質は、
幹細胞の同化を促進し、同化した後の幹細胞を維持するために適切な血液供給を招くこと
ができる。この血管形成は、これらの細胞から身体の他の部分へと放出されるホルモン及
びその他の因子を運ぶ機能も果たす。

0021

PHD阻害物質は、感染症の治療にも有用であり得る(Peyssonnaux et
al.,2005,J Invest Dermatol.,115(7):1806
〜15、Peyssonnaux et al.,2008 J Invest Der
matol.,2008 Aug;128(8):1964〜8)。HIFの増加は、食
細胞及びケラチノサイトにおける感染症に対する内在的免疫反応を高めることが示されて
いる。HIFが増加しているときの食細胞は、殺菌活性の増加、一酸化窒素産生の増加、
及び抗菌ペプチドカテリシジン表現の増加を示す。これらの効果も、火傷による感染症
の治療に有用である可能性がある。

0022

HIFは骨の成長及び治癒にも関与していることが示されており(Pfander D
et al.,2003 J Cell Sci.,116(Pt 9):1819〜
26、Wang et al.,2007 J Clin Invest.,17(6)
:1616〜26)、よって、骨折の治癒又は予防に用いることができる。HIFは糖分
解を刺激してエネルギーを供給することにより、低酸素環境における骨端軟骨細胞の細胞
マトリックスの合成を可能にする。HIFはまた、骨治癒プロセスにおいてVEGFの
放出及び血管形成を推進する役割を果たす。成長中又は治癒中の骨の中に血管を成長させ
るのは、プロセスの律速段階であり得る。

0023

プロリルヒドロキシラーゼ拮抗活性を有する特定の小分子が、文献に記述されている。
これには、特定のイミダゾ[1,2−a]ピリジン誘導体(Warshakoon et
al.,2006,Bioorg Med Chem Lett.,16(21):5
598〜601)、置換ピリジン誘導体(Warshakoon et al.,200
6,Bioorg Med Chem Lett.,16(21):5616〜20)、
特定のピラゾロピリジン(Warshakoon et al.,2006,Bioor
g Med Chem Lett.,16(21):5687〜90)、特定の二環式
芳香族N置換グリシン誘導体(国際特許出願公開第WO2007/103905号、2
007年9月13日)、キノリン系化合物(国際特許出願公開第WO2007/0703
59号、2007年6月21日)、特定のピリミジントリオンN置換グリシン誘導体(国
際特許出願公開第WO2007/150011号、2007年12月27日)、及び置換
アリール又はヘテロアリールアミド化合物(米国特許出願公開第US 2007/029
9086号、2007年12月27日)が挙げられるが、これらに限定されない。

0024

特定のベンゾイミダゾール誘導体が、文献に開示されている。例えば、LeCount
et al.,Journal of the Chemical Society,
Perkin Transactions 1:Organic and Bio−Or
ganic Chemistry(1972〜1999)(1974),(2):297
〜301、Senga et al.,Journal of Heterocycli
c Chemistry(1975),12(5):899〜901、Kandeel
et al.,Polish Journal of Chemistry(1983)
,57(1〜3),327〜31、Povstyanoi et al.,Ukrain
skii Khimicheskii Zhurnal(Russian Editio
n)(1990),56(10):1089〜92、Singh et al.,Ind
ian Journal of Chemistry,Section B:Organ
ic Chemistry Including Medicinal Chemist
ry,(1993)32B(2):262〜5、Lipunova et al.,Me
ndeleev Communications(1996),(1):15〜17、L
ipunova et al.,Russian Journal of Organi
c Chemistry(Translation of Zhurnal Organ
icheskoi,Khimii)(1997),33(10):1476〜86、NH
E−1阻害物質のためのベンゾイミダゾールピラゾール中間体(WO9943663)
向精神薬としてのN−ヘテロアリールイミダゾール(DE3824658)がある。加
えて、1−(1H−ベンゾイミダゾル−2−イル)−5−メチル−1H−ピラゾール−4
カルボン酸(CAS No.1017666−26−0)、1−(1H−ベンゾイミダ
ゾル−2−イル)−5−ヒドロキシ−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル
(CAS No.1006582−96−2)、1−(1H−ベンゾイミダゾル−2−イ
ル)−5−ピロル−1−イル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(CAS No.10
17666−37−3)、及び1−(1H−ベンゾイミダゾル−2−イル)−5−(2,
5−ジメチル−ピロル−1−イル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(CAS No
.1017666−50−0)が市販されている。

発明が解決しようとする課題

0025

しかしながら、好ましい製薬学的特性を有する効力のあるプロリルヒドロキシラーゼモ
ジュレーターの必要性が依然として存在する。上記にもかかわらず、本発明は、この目的
に有用である新しいベンゾイミダゾール誘導体を目的とする。

課題を解決するための手段

0026

本発明は全般にPHD阻害物質であり次の式(I)で表わされる化合物を目的とする。

0027

式中、
nは、2〜4であり、
R1は、独立して、H、ハロ、−C1〜4アルキル、−C3〜8シクロアルキル−C1〜4ペ
ハロアルキルトリフルオロC1〜4アルコキシ、−OH、−NO2、−CN、CO2H、
−OC1〜4アルキル、−SC1〜4アルキル、−S(C1〜4アルキル)−Rc、−S(O)2
(C1〜4アルキル)−Rc、−S(O)−C1〜4アルキル、−SO2−C1〜4アルキル、−
S−Rc、−S(O)−Rc、−SO2−Rc、−SO2−NH−Rd、−O−Rc、−CH2−
O−Rc、−C(O)NH−Rc、−NRaRb、所望によりRdで置換されたベンジルオキ
シ、所望により1つ以上のRdで置換されたフェニル又は単環式ヘテロアリール、所望に
よりO、S又はNを含む−C3〜8シクロアルキルから選択され、ここで、−C3〜8シクロ
アルキルは所望によりRdで置換される、及び2つの隣接するR1基は結合して、所望によ
り置換されている所望により1つ以上のO、S又はNを含む3〜8員環を形成することが
できる、
Ra及びRbは、それぞれ独立して、H、C1〜4アルキル、−C(O)C1〜4アルキル、
−C(O)−Rc、−C(O)CH2−Re、C1〜4アルキル−Re、−SO2−Rc、−SO
2−C1〜4アルキル、所望によりRdで置換されたフェニル、所望によりRdで置換された
ベンジル又は所望によりRdで置換されている単環式ヘテロアリール環であり、あるいは
Ra及びRbは、それらが付着した窒素一緒に取られて、所望により1つ以上のO、S又
はNを含有する、所望により置換された単環式ヘテロシクロアルキル環を形成し、
Rcは、−C3〜8シクロアルキル、所望によりRdで置換されたフェニル、所望によりR
dで置換されたフェニル、又は所望によりRdで置換された単環式ヘテロアリール環であり

Rdは、独立して、−H、ハロ、−OH、−C1〜4アルキル又は−C1〜4ペルハロアル
キル、トリフルオロC1〜4アルコキシ、−OC1〜4アルキル、−O−フェニル、又は−O
−ベンジルであり、
Reは、所望により1つ以上のO、S又はNを含有する−C3〜8ヘテロシクロアルキル
であり、
R2及びR3は両方とも、H、−CF3、又は−CH3であり、
各Zは、C又はNであり、ただし2つを超えるZが同時にNであることはなく、
これらのエナンチオマージアステレオマーラセミ体、又は製薬上許容される塩を含
む。

0028

式(I)の化合物の異性体形態、及びそれらの製薬上許容される塩は、本発明の範囲内
包含され、そのような異性体形態に対する本明細書での参照は、そのような異性体形態
のうちの少なくとも1つを指すものとする。本発明による化合物は、例えば、単一の異性
体形態で存在し得る一方、他の化合物は位置異性体混合物の形態で存在し得ることが、当
業者には理解されよう。

0029

本発明は、式(I)の化合物の製薬上許容される塩、製薬上許容されるプロドラッグ
及び製薬学的に活性な代謝物にも関する。特定の好適な実施形態では、式(I)の化合物
は、以下の詳細な説明において記載される種から選ばれる化合物である。

0030

更なる一般的な一態様において、本発明は、それぞれが、(a)有効量の、式(I)の
化合物、又は製薬上許容される塩、製薬上許容されるプロドラッグ、若しくは製薬学的に
活性なそれらの代謝産物、及び(b)製薬上許容される賦形剤、を含む、医薬組成物に関
する。

0031

別の一般的な態様において、本発明は、プロリルヒドロキシラーゼ活性によって媒介さ
れる疾患、障害、若しくは医学的状態罹患している、又はそれと診断された被験者を治
療する方法を対象とし、かかる治療を必要とする被験者に、有効量の、式(I)の化合物
、又は製薬上許容される塩、製薬上許容されるプロドラッグ、若しくはそれらの製薬学的
に活性な代謝産物を投与する工程を含む。

0032

本発明の方法の特定の好ましい実施形態において、疾患、障害、又は医学的状態は、貧
血、血管疾患、代謝性疾患、及び創傷治癒から選択される。

0033

以下の詳細な説明及び本発明の実施によって、本発明の追加的実施形態、特徴及び利点
が明らかになるであろう。

0034

本発明は、以下の用語集及び実施例を含む、以下の発明を実施するための形態を参照す
ることによって、より完全に理解されるであろう。簡潔さの目的で、本明細書に示す特許
を包含する出版物の開示は、引用することによって本明細書に組み入れられる。

0035

本明細書で用いる用語「包含」、「含有」及び「含んで成る」は、本明細書では幅広
非限定的意味で用いる。

0036

用語「アルキル」は、鎖中の炭素原子数が1〜12の直鎖又は分枝鎖アルキル基を指す
アルキル基の例としては、メチル(Me、これをまた構造的に「/」記号で表すことも
あり得る)、エチル(Et)、n−プロピルイソプロピルブチルイソブチル、se
c−ブチル、tert−ブチル(tBu)、ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチ
ル、ヘキシルイソヘキシル並びに当業者の見地から及び本明細書に示す教示に照らして
上に示した例のいずれか1つに相当すると見なされるであろう基が挙げられる。

0037

用語「ペルハロアルキル」は、所望により水素がハロゲンで置換されている、鎖中の炭
素原子数が1〜12の直鎖又は分枝鎖アルキル基を指す。ペルハロアルキル基の例として
は、トリフルオロメチル(CF3)、ジフルオロメチル(CF2H)、モノフルオロメチル
(CH2F)、ペンタフルオロエチル(CF2CF3)、テトラフルオロエチル(CHFC
F3)、トリフルオロエチル(CH2CF3)、及び当業者の見地から及び本明細書に示す
教示に照らして上に示した例のいずれか1つに相当すると見なされるであろう基が挙げら
れる。

0038

用語「シクロアルキル」は、炭素環当たりの環原子数が3〜12の飽和若しくは部分飽
和の単環式、縮合多環式又はスピロ多環式炭素環を指す。シクロアルキル基の具体例には
、適切に結合している部分の形態の以下の物質が含まれる。

0039

0040

「ヘテロシクロアルキル」は、炭素原子から選択される環原子を環構造当たり4〜7個
有し、かつ窒素、酸素及び硫黄から選択されるヘテロ原子を2個までの数で有する、飽和
若しくは部分飽和単環式環構造を指す。そのような環構造は、任意に硫黄環員上にオキ
ソ基を2個までの数で含有していてもよい。適切に結合している部分の形態の例となる物
質には以下が含まれる。

0041

0042

用語「ヘテロアリール」は、複素環当たりの環原子数が3〜12の単環式、縮合二環式
又は縮合多環式芳香複素環(炭素原子から選択される環原子を有し、窒素、酸素及び硫黄
から選択されるヘテロ原子を4個までの数で有する環構造)を指す。ヘテロアリール基
具体例には、適切に結合している部分の形態の以下の物質が含まれる。

0043

0044

当業者は、上記に記載又は説明されたシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘ
テロアリール基の種類が包括的ではなく、これらの定義された用語の範囲内で追加的な種
類も選択され得ることを認識するであろう。

0045

用語「ハロゲン」は、塩素フッ素臭素又はヨウ素を表す。用語「ハロ」は、クロロ
フルオロブロモ又はヨードを表す。

0046

用語「置換されている」は、特定の基又は部分が1つ以上の置換基を持つことを意味す
る。用語「置換されていない」は、特定の基が置換基を持たないことを意味する。用語「
所望により置換されている」は、特定の基が置換されていないか、又は1つ以上の置換基
で置換されていることを意味する。用語「置換されている」を構造系の説明で用いる場合
、その置換がその系上の結合価許容するいずれかの位置に起こることを意味する。指定
された部分又は基が、任意に置換されているか、又は任意の指定された置換基で置換され
ていると明確に記載されていない場合、かかる部分又は基は、非置換であることが意図さ
れると理解されたい。

0047

本明細書に示す式は、いずれもその構造式で表される構造を有する化合物ばかりでなく
、特定の変形又は形態も表すことを意図する。特に、本明細書に示すいずれかの式で表さ
れる化合物は不斉中心を持つ可能性があり、したがって、様々なエナンチオマー形態で存
在する可能性がある。一般式で表される化合物の光学異性体及び立体異性体並びにこれら
の混合物の全てが当該式の範囲内であると見なす。このように、本明細書に示す任意の式
は、そのラセミ体、1つ以上のエナンチオマー形態、1つ以上のジアステレオマー形態、
1つ以上のアトロプ異性体形態及びこれらの混合物を表すことを意図する。更に、特定の
構造物は、幾何異性体(即ちシス及びトランス異性体)、互変異性体又はアトロプ異性体
として存在し得る。更に、本明細書に示される任意の式は、かかる化合物の水和物、溶媒
和物、及び多形体、並びにこれらの混合物を包含することが意図される。

0048

加えて、本明細書に提供される任意の式は、例え各形態が明示的に記載されていなくと
も、水和物、溶媒和物、及びそのような化合物の多形体、並びにそれらの混合物も指すこ
とを意図する。式(I)の特定の化合物、又は式(I)の化合物の製薬上許容される塩は
、溶媒和物として得てもよい。溶媒和物は、溶液で又は固体若しくは結晶の形態で、1つ
以上の溶媒と本発明の化合物との相互作用又は錯化から形成されるものを含む。いくつか
の実施形態では、この溶媒は水であり、その場合、溶媒和物は水和物である。加えて、式
(I)の化合物又は式(I)の化合物の製薬上許容される塩の特定の結晶形態は、共結晶
として得られてもよい。本発明の特定の実施形態では、式(I)の化合物は結晶形態で得
られた。他の実施形態では、式(I)の化合物の結晶形態は本質的に立方体であった。他
の実施形態では、式(I)の化合物の製薬上許容される塩は結晶形態で得られた。更に他
の実施形態では、式(I)の化合物は、いくつかの多型形態のうちの1つで、結晶形態の
混合物として、多型形態として、又は非晶質形態として得られた。他の実施形態では、式
(I)の化合物は、溶液中で、1つ以上の結晶形態及び/又は多型形態の間で変換される

0049

説明をより簡潔にする目的で、本明細書に示す量的表現のいくつかは、用語「約」によ
り制限されない。用語「約」を明確に用いるか否かに拘わらず、本明細書に示す量は全て
が実際の所定値を指すことを意味しかつまた当該技術分野の通常の技術を基にして正当
推測されるであろう前記所定値の近似値(実験及び/又は測定条件による前記所定値の相
当値及び近似値を含む)も指すことを意味すると理解する。収率パーセントとして示す
時にはいつでも、そのような収率は、特定の化学量論的条件下で得ることが可能な物質の
最大量を基準にした収率が得られた時の該物質の質量を指す。パーセントとして示す濃度
は、他に表示されない限り、質量比を指す。

0050

本明細書で化学物質に言及する場合、これは(a)そのような化学物質の実際に示す形
態及び(b)当該化合物を命名する時にそれが存在すると考えられる媒体中で前記化学
質が取る形態のいずれかのうちのいずれか1つに言及することを表す。例えば、本明細書
でR−COOHなどの化合物に言及する場合、これは、例えばR−COOH(s)、R−C
OOH(sol)及びR−COO-(sol)のうちのいずれか1つに言及することを包含する。こ
の例において、R−COOH(s)は固体状化合物を指し、これは例えば錠剤又は他のある
種の固体状製薬学的組成物又は製剤などの中に存在し得、R−COOH(sol)は溶媒中
解離していない形態の化合物を指し、R−COO-(sol)は溶媒中で解離している形態の
化合物、例えばそのような解離がR−COOHに由来するか、これの塩に由来するか又は
媒体中で解離を起こしたと思われる時にR−COO-をもたらす他のいずれかの物質に由
来するかに拘らず水性環境中で解離した形態の化合物を指す。別の例として、「ある物質
を式R−COOHで表される化合物に接触させる」などの表現は、そのような接触を起こ
させる媒体中に存在する形態の化合物R−COOHに前記物質を接触させることを指す。
また別の例として、「ある物質を式R−COOHで表わされる化合物と反応させる」など
の表現は、(a)かかる反応が起こる媒体中において存在する、その化学的に該当する形
態の物質が、(b)かかる反応が起こる媒体中において存在する、化合物R−COOHの
化学的に該当する形態と、反応を起こすことを指す。これに関して、そのような物質が例
えば水性環境中に存在する場合、化合物R−COOHもそのような同じ媒体中に存在する
ことで前記物質がR−COOH(aq)及び/又はR−COO-(aq)(ここで、下つき文字
(aq)」は化学及び生化学における通常の意味に従って「水性」を表す)などの種に曝
されると理解する。このような命名の例としてカルボン酸官能基を選択したが、この選択
は限定を意図するものでなく、単に例示である。同様な例を他の官能基に関しても示すこ
とができると理解し、そのような官能基には、これらに限定するものでないが、ヒドロキ
シル塩基性窒素員、例えばアミン中の窒素員、及び当該化合物を含有する媒体中で公知
の様式に従って相互作用又は変換を起こす他の基のいずれも含まれる。そのような相互作
用及び変換には、これらに限定するものでないが、解離、結合、互変異性加溶媒分解
加水分解を含む)、溶媒和(水和を含む)、プロトン化及び脱プロトンが含まれる。

0051

別の実施形態では、明確に両性イオンの形態で命名されていなくとも、両性イオンを形
成することが知られる化合物は、参照により本明細書にその両性イオン性化合物が包含さ
れる。両性イオン及びその同義語の両性イオン性化合物などの用語は、よく知られ定義さ
れた科学的な名前標準的な集合の一部分である、IUPACにより承認された標準的な
名前である。この点で、両性イオンという名称は、Chemical Entities
of Biological Inerest(ChEBI)により、識別名称HE
BI:27369として指定されている。一般的によく知られているように、両性イオン
又は両性イオン性化合物は正反対の符号の形式的な単位荷電を持つ中性化合物である。時
に、これらの化合物は用語「分子内塩」で言及される。他の情報源は、これらの化合物を
双極イオン」と称しているが、この用語は更に他の情報源からは誤称とみなされている
。具体的な例として、アミノエタン酸(アミノ酸グリシン)は、式H2NCH2COOHを
有し、いくつかの媒体(この場合は中性媒体)中では両性イオンの形態、+H3NCH2C
OO-で存在する。既知の確立した意味における、これらの用語、両性イオン、両性イオ
ン性化合物、分子内塩、及び双極イオンは、本発明の範囲内にあり、いかなる場合におい
ても当該技術分野において当業者によりそのように理解される。当業者により理解される
、ありとあらゆる実施形態を指定する必要性はないため、本発明の化合物に付随する両性
イオン性化合物の構造は明確には本明細書に示されない。しかしながら、それらは本発明
の実施形態の一部である。所与の化合物の様々な形態に導く所与の媒体中での相互作用及
び変換が当業者には周知であるため、この件についての更なる例は本明細書には提供され
ない。

0052

また、本明細書に示す任意の式は、化合物の非標識形態ばかりでなく同位体標識形態も
表すことを意図する。同位体標識化合物は、1つ以上の原子が選択した原子質量又は質量
数を有する原子に置き換わっている以外は本明細書に示す式で表される構造を有する。本
発明の化合物に組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リ
ン、フッ素、及び塩素の同位体、例えばそれぞれ2H、3H、11C、13C、14C、15N、18
O、17O、31P、32P、35S、18F、36Cl、125Iが挙げられる。このような同位体標
識化合物は、代謝研究(好ましくは14Cを用いた)、反応動力学研究(2H又は3Hを用い
た)、検出又は造影技術(陽電子放出断層撮影(PET)又は単光子放出コンピュータ
撮影SPECT)等)(薬剤又は基質組織分布検定を含む)、又は患者の放射線治療
で用いるのに有用である。特に、18F又は11C標識化合物がPET又はSPECT研究に
特に好ましくあり得る。更に、重質同位体、例えば重水素(即ち2H)などによる置換を
行うと代謝安定性がより高くなる、例えば生体内半減期が長くなるか又は必要な投薬量
少なくなることなどで結果として特定の治療的利点が得られる可能性もある。本発明の同
位体標識化合物及びこれらのプロドラッグは、一般に、容易に入手可能な同位体標識試薬
を同位体標識が付いていない試薬の代わりに用いて、本スキーム又は本実施例に開示する
手順及び以下に記述する調製を行うことで調製することができる。

0053

本明細書に示すいずれかの式に言及する場合、指定変項に可能な種のリストからの特定
の部分の選択は、他の場所に現れる変項に関して種を同じく選択することを定義すること
を意図するものでない。言い換えれば、変項が1回より多く現れる場合、指定リストから
の種の選択は、特に明記しない限り、式中の他の場所に位置する同じ変項に関する種の選
択から独立している。

0054

置換基用語に関する第1の例として、置換基S1exampleがS1及びS2のうちの一方であ
り、かつ置換基S2exampleがS3及びS4のうちの一方である場合、そのような割り当ては
S1exampleがS1でありかつS2exampleがS3である;S1exampleがS1でありかつS2exam
pleがS4である;S1exampleがS2でありかつS2exampleがS3である;S1exampleがS2
でありかつS2exampleがS4である;の選択及びそのような選択のうちの各々の相当物に
したがって示す本発明の実施形態を指す。より短い用語「S1exampleがS1及びS2のうち
の1つであり、かつS2exampleがS3及びS4のうちの1つである」を本明細書では簡潔さ
の目的で適宜に用いるが、限定として用いるものでない。上記に一般的表現で記述した置
換基用語に関する第1の例は、本明細書に記述する様々な置換基割り当てを例示すること
を意味する。置換基に関して本明細書で記載される上記の記載慣習は、該当する場合は、
R1、R2、R3、A、X4、X5、X6、X7、Ra、Rb、Rc、Rd、及びRe、などの員、並
びに本明細書に使用されているその他の一般的な置換基記号にも適用される。

0055

更に、任意の員又は置換基に関して1つを超える割り当てを示す場合、本発明の実施形
態は、独立して解釈するリストされた割り当て及びその相当物から作られ得る様々な組分
けを含む。置換基用語に関する第2の例として、置換基SexampleがS1、S2及びS3のう
ちの1つであると本明細書で記述される場合、このリストはSexampleがS1である;Sex
ampleがS2である;SexampleがS3である;SexampleがS1及びS2のうちの1つである
;SexampleがS1及びS3のうちの1つである;SexampleがS2及びS3のうちの1つであ
る;SexampleがS1、S2及びS3のうちの1つである;並びにSexampleがそれらの選択
のうちの各々の相当物のいずれかである;本発明の実施形態を指す。より短い用語「Sex
ampleはS1、S2及びS3のうちの1つである」を、本明細書では簡潔さの目的で適宜に用
いるが、限定として用いるものでない。上記に一般的表現で記述した置換基用語に関する
第2の例は、本明細書に記述する様々な置換基割り当てを例示することを意味する。置換
基に関して本明細書で記載される上記の記載慣習は、該当する場合は、R1、R2、R3、
A、X4、X5、X6、X7、Ra、Rb、Rc、Rd、及びRe、などの員、並びに本明細書に
使用されているその他の一般的な置換基記号にも適用される。

0056

用語「Ci〜j」(ここで、j>i)をある種類の置換基に本明細書で適用する場合、こ
れはi〜j(i及びjを含む)のありとあらゆる炭素員数が独立して実現される本発明の
実施形態を指すことを意味する。例として、用語C1〜3は、独立して1つの炭素員(C1
)を有する実施形態、2つの炭素員(C2)を有する実施形態、及び3つの炭素員(C3)
を有する実施形態を指す。

0057

用語Cn〜mアルキルは、直鎖であるか分枝状であるかに拘わらず、鎖中の炭素員の総数
Nがn≦N≦m(ここで、m>n)を満足させる脂肪鎖を指す。

0058

本明細書における任意の二置換基は、様々な結合可能性のうちの1つを超えるものが許
容される時にそのような様々な可能性を包含することを意味する。例えば、二置換基−A
−B−(ここで、A≠B)への言及は、本明細書では、Aが第1の置換員と結合しており
かつBが第2の置換員と結合しているような二置換を指し、また、Aが第2の置換員と結
合しておりかつBが第1の置換員と結合しているような二置換基も指す。

0059

上述の割り当て及び専門用語に関する解釈的考慮に従い、本明細書である組を明確に言
及する場合、それが化学的に意味がありかつ特に明記しない限り、そのような組の実施形
態に独立して言及し、明確に示した組のサブセットの可能な実施形態のありとあらゆるも
のに言及することを意味すると理解する。

0060

化学的描写は、書かれているような配向を有する化合物部分を描写することが意図され
ている。

0061

本発明は全般に、以下の式(I)の化合物、

0062

0063

式(I)の化合物及びその化合物を含有する医薬組成物の、プロリルヒドロキシラーゼ
酵素の調節に関連した障害を有する患者(ヒト又は他の哺乳類)を治療するために使用す
ることを目的とする。本発明はまた、そのような化合物、その医薬組成物、製薬上許容さ
れる塩、製薬上許容されるプロドラッグ、及び製薬学的に活性な代謝産物の製造方法も含
む。

0064

式(I)の1つの好ましい実施形態では、R2及びR3のそれぞれはHである。

0065

式(I)の別の実施形態では、ZはCである。

0066

式(I)の関連する実施形態では、nは4であり、各R1は、独立して、H、ハロ、ヒ
ドロキシル、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アルキルスルホキシド、アルキルス
ホン、所望により置換されている3〜8員の脂肪族若しくは芳香族若しくは複素環、ア
ミノ、アルキルアミノアルキルスルホンアミドアリールスルホンアミドニトロ、シ
アノ、置換フェノキシベンジルオキシ置換アリールスルホン、置換アリールスルホ
シド、置換アリールスルホニル置換ベンジルスルホン、置換ベンジルスルホキシド、置
ベンジルスルホニル、又は置換フェニルスルファモイルである。

0067

R1はまた、独立して、H、ハロ、直鎖又は分枝鎖C1〜4アルキル、直鎖又は分枝鎖C1
〜4トリフルオロアルコキシ、直鎖又は分枝鎖C1〜4ペルハロアルキル、又は単環式C3〜
8炭素環(飽和又は部分飽和)であってもよい。

0068

別の好ましい実施形態では、2つの隣接するR1基は結合して、所望により置換された
3〜8員の飽和又は不飽和の炭素環又は複素環を形成してもよい。

0069

式(I)の他の好ましい実施形態では、各R1は、独立して、水素、−Cl、−F、−
Br、−I、−C1〜4アルキル、−CF3、−C3〜8シクロアルキル、−SC1〜4アルキ
ル、−S(O)C1〜4アルキル、−S(O)2C1〜4アルキル、−OCF3、−OC1〜4ア
ルキル、−CN、−NO2、−NH2、−NH−C1〜4アルキル、ピロリジノピペリジノ
モルホリノ、−CO2H、−NHS(O)2C1〜4アルキル、及び−NH−C(O)C1
〜4アルキル、フェニル、ベンジル、フェノキシ並びにベンジルオキシからなる群から選
択される。

0070

式(I)の好ましい実施形態では、R1はH、5,6−ジクロロ、5−トリフルオロメ
チル、5−クロロ−6−フルオロ、5,6−ジメチル、5−ブロモ、5−メトキシ、4−
クロロ−6−トリフルオロメチル、5,6−ジメトキシ、4,5−ジメチル、5−トリ
ルオロメトキシ、5−ブロモ、5,6−ジクロロ、5−ブロモ、5,6−ジクロロ、5−
クロロ、5−ブロモ−6,7−ジメチル、4−クロロ、5−クロロ−7−トリフルオロメ
チル、7−ブロモ−5−トリフルオロメトキシ、6−クロロ−5−トリフルオロメチル、
4,5,6−トリフルオロ、4−ブロモ−5,6−ジフルオロ、6−クロロ−4−メチル
、4,6−ジクロロ、4−ブロモ−6−トリフルオロメチル、5,6−ジフルオロ、4−
ブロモ−6−クロロ、6−メタンスルホニル、5−クロロ−6−シアノ、6−クロロ−5
−ニトロ、5−アミノ−6−クロロ、5−フルオロ、6−クロロ−5−ピロリジン−1−
イル、6−クロロ−5−ピペリジン−1−イル、6−クロロ−5−モルホリン−4−イル
、6−クロロ−5−メトキシ、4−カルボキシ、5−ブロモ−7−フルオロ、5−ブロモ
−7−メチル、6−メチルスルファニル−5−トリフルオロメチル、6−プロピルスル
ニル−5−トリフルオロメチル、6−イソプロピルスルファニル−5−トリフルオロメ
チル、5−フルオロ−6−メチルスルファニル、5−クロロ−6−メチルスルファニル、
5−クロロ−6−エチルスルファニル、5−クロロ−6−イソプロピルスルファニル、5
−クロロ−6−プロピルスルファニル、6−メチルスルファニル−5−トリフルオロメト
キシ、6−イソプロピルスルファニル−5−トリフルオロメトキシ、6−プロピルスルフ
ァニル−5−トリフルオロメトキシ、5−クロロ−6−エタンスルフィニル、5−クロロ
−6−エタンスルホニル、6−メタンスルホニル−5−トリフルオロメチル、5−フルオ
ロ−6−メタンスルホニル、5−クロロ−6−メタンスルホニル、6−メタンスルホニル
−5−トリフルオロメトキシ、5−クロロ−6−(プロパン−2−スルホニル)、5−ク
ロロ−6−(プロパン−1−スルホニル)、6−(プロパン−2−スルホニル)−5−ト
リフルオロメチル、6−(プロパン−1−スルホニル)−5−トリフルオロメチル、6−
[(1−ネチルエチル(nethylethyl))スルホニル]−5−(トリフルオロメトキシ、
6−(プロパン−2−スルホニル)−5−トリフルオロメトキシ、6−(メチルスルフィ
ニル)−5−(トリフルオロメチル、6−ブロモ−5−フルオロ、4−フルオロ、4,5
−ジフルオロ、4,6−ジフルオロ、6−クロロ−5−トリフルオロメトキシ、5−フル
オロ−4−メチル、5−ピペリジン−1−イル−6−(トリフルオロメトキシ、5−フル
オロ−6−ピペリジン−1−イル、6−エトキシ−5−フルオロ、4−ブロモ−6−フル
オロ、5,6−ビス−トリフルオロメチル、4,5,6−トリクロロ、4−ブロモ−5,
6−ジクロロ、6−フルオロ−5−トリフルオロメチル、6−クロロ−5−エチルアミノ
、6−クロロ−5−プロピルアミノ、6−クロロ−5−シクロプロパンスルホニルアミノ
、6−クロロ−5−メタンスルホニルアミノ、6−クロロ−5−エタンスルホニルアミノ
、5−アセチルアミノ−6−クロロ、6−クロロ−5−プロピオニルアミノ、5−エチル
スルファニル−6−トリフルオロメチル、5−エチルスルファニル−6−トリフルオロメ
トキシ、5−エチルスルファニル−6−フルオロ、6−フルオロ−5−プロピルスルファ
ニル、6−フルオロ−5−イソプロピルスルファニル、5−エチルスルホニル−6−トリ
フルオロメチル、5−エチルスルホニル−6−トリフルオロメトキシ、5−エチルスルホ
ニル−6−フルオロ、6−フルオロ−5−プロピルスルホニル、及び6−フルオロ−5−
イソプロピルスルホニルである。

0071

式(I)の好ましい実施形態では、各R1は、独立して、H、3−(3−クロロ−ベン
ルオキシ)−フェニル、3−(2−クロロ−ベンジルオキシ)−フェニル、3−(4−
クロロ−ベンジルオキシ)−フェニル、3−ベンジルオキシ−フェニル、4−ベンジルオ
キシ−フェニル、3−トリフルオロメチル−フェニル、3,4−ジクロロフェニル、4−
ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシフェニル、3,4−ジクロロ−フェノキシ)−6−
トリフルオロメチル、6−クロロ−5−(4−クロロ−フェノキシ)、(4−クロロ−フ
ェノキシ)−6−トリフルオロメトキシ、5−フェノキシ−6−トリフルオロメトキシ、
4−フルオロ−フェノキシ)−6−トリフルオロメチル、(4−クロロ−フェノキシ)−
6−トリフルオロメチル、5−フェノキシ−6−トリフルオロメチル、6−クロロ−5−
フェノキシ、5−ベンジルオキシ−6−クロロ、6−クロロ−5−m−トリルスルファニ
ル、6−クロロ−5−(4−クロロ−フェニルスルファニル、6−クロロ−5−フェニル
スルファニル、6−クロロ−5−(3,4−ジクロロ−フェニルスルファニル、6−クロ
ロ−5−(3−メトキシ−フェニルスルファニル、6−クロロ−5−(4−メトキシ−フ
ェニルスルファニル)、5−ベンジルスルファニル−6−クロロ、4−tert−ブチル
−ベンジルスルファニル)−6−クロロ、6−クロロ−5−(4−フルオロ−ベンジルス
ファニル、6−クロロ−5−(2−クロロ−ベンジルスルファニル、6−クロロ−5−
フェネチルスルファニル、6−クロロ−5−(トルエン−3−スルホニル、5−ベンゼン
スルホニル−6−クロロ、6−クロロ−5−(4−メトキシ−ベンゼンスルホニル、6−
クロロ−5−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル、6−クロロ−5−(4−トリフルオロ
メトキシ−ベンゼンスルホニル、6−クロロ−5−(3,4−ジクロロ−ベンゼンスルホ
ニル、6−クロロ−5−(3−メトキシ−ベンゼンスルホニル、6−クロロ−5−フェニ
ルメタンスルホニル、6−クロロ−5−(2,4,6−トリメチルフェニルメタンスル
ホニル、6−クロロ−5−(4−メトキシ−フェニルメタンスルホニル、クロロ−5−(
4−フルオロ−フェニルメタンスルホニル、6−クロロ−5−(2−クロロ−フェニルメ
タンスルホニル、6−クロロ−5−(2−フェニル−エタンスルホニル、5−ベンゼンス
ルフィニル−6−クロロ、5−フェニルカルバモイル、5−ベンジルカルバモイル、5−
(モルホリン−4−イルカルバモイル)、5−ベンジルオキシメチル、5−ベンジルアミ
ノ、6−クロロ−5−フェニルアミノ、6−クロロ−5−(2−モルホリン−4−イル−
エチルアミノ)、5−ベンゼンスルホニルアミノ−6−クロロ、5−ベンゾイルアミノ
6−クロロ、6−クロロ−5−(2−モルホリン−4−イル−アセチルアミノ)、6−ク
ロロ−5−(2−ピペリジン−1−イル−アセチルアミノ)、6−クロロ−5−[2−(
4−メチル−ピペラジン−1−イル、6−クロロ−5−(4−メトキシ−フェノキシ)、
6−クロロ−5−(4−クロロ−2−フルオロ−フェノキシ)、6−クロロ−5−(4−
トリフルオロメトキシ−フェノキシ)、6−クロロ−5−(3−クロロ−4−フルオロ−
フェノキシ)、5−フェニルスルファニル−6−トリフルオロメチル、5−(4−メトキ
シ−フェニルスルファニル)−6−トリフルオロメチル、5−ベンゼンスルホニル−6−
トリフルオロメチル、5−(4−メトキシ−ベンゼンスルホニル)−6−トリフルオロメ
チル、6−クロロ−5−(4−クロロ−ベンジルスルファニル、6−クロロ−5−(3−
クロロ−ベンジルスルファニル)、6−クロロ−5−シクロヘキシルメチルスルファニル
、6−クロロ−5−(2−モルホリン−4−イル−エチルスルファニル)、−クロロ−5
−(3,4−ジクロロ−ベンジルスルファニル、6−クロロ−5−(2,6−ジクロロ−
ベンジルスルファニル)、6−クロロ−5−(4−メチル−ベンジルスルファニル)、6
−クロロ−5−(4−トリフルオロメチル−ベンジルスルファニル)、5−(2,4−ビ
ス−トリフルオロメチル−ベンジルスルファニル)−6−クロロ、6−クロロ−5−(2
’−シアノ−ビフェニル−4−イルメチルスルファニル)、6−クロロ−5−(4−クロ
ロ−フェニルメタンスルホニル)、6−クロロ−5−(3−クロロ−フェニルメタンスル
ホニル)、クロロ−5−シクロヘキシルメタンスルホニル、6−クロロ−5−(3,4−
ジクロロ−フェニルメタンスルホニル)、6−クロロ−5−(2,6−ジクロロ−フェニ
ルメタンスルホニル)、クロロ−5−p−トリルメタンスルホニル、6−クロロ−5−(
4−トリフルオロメチル−フェニルメタンスルホニル)、5−(2,4−ビス−トリフル
オロメチル−ベンジルスルファニル)、クロロ−5−(2’−シアノ−ビフェニル−4−
イルメタンスルホニル及び6−クロロ−5−フェニルスルファモイルからなる群から選択
される。

0072

本発明の代表的な化合物を以下の表に記載する。

0073

0074

0075

0076

0077

0078

0079

0080

0081

本発明は、また、式(I)の化合物の製薬上許容される塩、好適にはこの上に記述した
化合物及び本明細書に例示する具体的な化合物の製薬上許容される塩、並びにそのような
塩を用いた治療方法も包含する。

0082

「製薬上許容される塩」は、無毒生物学的に許容されるか又は他の様式で当該被験体
に投与するのに生物学的に適した式(I)で表される化合物の遊離酸若しくは塩基の塩を
意味することを意図する。一般に、G.S.Paulekuhn,et al.,「Tr
endsin Active Pharmaceutical Ingredient
Salt Selection based on Analysis of the
Orange Book Database」,J.Med.Chem.,2007,
50:6665〜72、S.M.Berge,et al.,「Pharmaceuti
cal Salts」,J Pharm Sci.,1977,66:1〜19、及びH
andbook of Pharmaceutical Salts,Properti
es,Selection,and Use,Stahl and Wermuth,E
ds.,Wiley−VCH and VHCA,Zurich,2002を参照のこと
。製薬上許容される塩の例は、薬理学的に効果があり、過度の毒性、刺激又はアレルギー
反応を起こすことなく患者の組織に接触するのに適したものである。式(I)で表される
化合物は充分に酸性の基、充分に塩基性の基又は両方の種類の官能基を持つ可能性があり
、したがって多くの無機若しくは有機塩基並びに無機及び有機酸と反応して製薬上許容さ
れる塩を形成し得る。製薬上許容される塩の例には、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜
硫酸塩、重亜硫酸塩燐酸塩、一水素燐酸塩、二水素燐酸塩、メタ燐酸塩、ピロ燐酸塩
塩化物臭化物ヨウ化物酢酸塩プロピオン酸塩デカン酸塩カプリル酸塩アク
リル酸塩蟻酸塩イソ酪酸塩カプロン酸塩ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、しゅ
う酸塩、マロン酸塩こはく酸塩、スベリン酸塩セバシン酸塩フマル酸塩マレイン
酸塩、ブチン−1,4−二酸塩、ヘキシン−1,6−二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香
酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香
酸、フタル酸塩スルホン酸塩キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロ
オン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩乳酸塩γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール
酸塩、酒石酸塩メタン−スルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩ナフタレン−1−スル
ホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩及びマンデル酸塩が挙げられる。

0083

式(I)の化合物が塩基性窒素を含有する場合、当該技術分野で利用可能な適切な方法
のいずれか、例えば遊離塩基を無機酸、例えば塩酸臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸
硝酸ホウ酸燐酸などで、又は有機酸、例えば酢酸フェニル酢酸プロピオン酸
ステアリン酸乳酸アスコルビン酸マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、イセチオン
酸、こはく酸、吉草酸フマル酸マロン酸、ピルビン酸、しゅう酸グリコール酸、サ
リチル酸、オレイン酸パルミチン酸ラウリン酸ピラノシジル酸、例えばグルクロン
酸若しくはガラクツロン酸など、α−ヒドロキシ酸、例えばマンデル酸クエン酸若しく
酒石酸、アミノ酸、例えばアスパラギン酸グルタル酸若しくはグルタミン酸、芳香族
酸、例えば安息香酸、2−アセトキシ安息香酸ナフトエ酸若しくは桂皮酸スルホン酸
、例えばラウリルスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メタンスルホン酸、エタンスル
ホン酸、本明細書に例として示した酸などの酸の適合し得る任意の混合物並びに当該技術
分野の技術の通常のレベルに照らして相当物又は許容される代替物であると見なされる他
の酸及びこれらの混合物のいずれかで処理する方法などで、所望の製薬学的に許容される
塩を調製することができる。

0084

式(I)の化合物が酸、例えばカルボン酸又はスルホン酸である場合、適切な方法のい
ずれか、例えば遊離酸を無機又は有機塩基、例えばアミン(第一級第二級又は第三級
アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属の水酸化物、本明細書に例として示した
塩基のような塩基の適合し得る任意の混合物並びに当該技術分野の技術の通常のレベルに
照らして相当物又は許容できる代替物であると見なされる他の塩基及びこれらの混合物の
いずれかで処理する方法で、所望の製薬学上許容できる塩を調製することができる。適切
な塩の具体例には、アミノ酸、例えばN−メチル−D−グルカミンリジンコリン、グ
リシン及びアルギニンなど、アンモニア炭酸塩重炭酸塩、第一級、第二級及び第三級
アミン並びに環式アミン、例えばトロメタミンベンジルアミン、ピロリジン、ピペリ
ン、モルホリン及びピペラジンなどから生じさせた有機塩、並びにナトリウムカルシウ
ム、カリウムマグネシウムマンガン、鉄、銅、亜鉛アルミニウム及びリチウムから
生じさせた無機塩が挙げられる。

0085

本発明は、また、式(I)の化合物の製薬上許容されるプロドラッグ及び前記製薬上許
容されるプロドラッグを用いた治療方法にも関する。用語「プロドラッグ」は、被験体に
投与した後に化学的又は生理学的プロセス、例えば生体内で起こる加溶媒分解又は酵素に
よる開裂などで、又は生理学的条件下で当該化合物になる(例えばプロドラッグを生理学
的pHにすると式(I)の化合物に変化する)指定化合物の前駆体を意味する。「製薬上
許容されるプロドラッグ」は、無毒であるか、生物学的に許容されるか、又は他の様式で
当該被験体に投与するのに生物学的に適したプロドラッグである。適切なプロドラッグ誘
導体の選択及び調製の例示的な手順は、例えば、「Design of Prodrug
s」,ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985に説明される。

0086

代表的なプロドラッグには、式(I)の化合物の遊離アミノ、ヒドロキシ又はカルボン
酸基アミド又はエステル結合共有結合した、アミノ酸残基を有する化合物又はアミノ
酸残基が2つ以上(例えば2、3又は4)のポリペプチド鎖を有する化合物が挙げられる
。アミノ酸残基の例には、天然に存在する20種類のアミノ酸(これらは一般に3文字記
号で表される)、並びに4−ヒドロキシプロリンヒドロキシリシンデモシン、イソデ
モシン、3−メチルヒスチジンノルバリンβ−アラニンγ−アミノ酪酸、シトル
ン、ホモシステインホモセリンオルニチン及びメチオニンスルホンが挙げられる。

0087

追加的種類のプロドラッグは、例えば式(I)の構造を有する遊離カルボキシル基をア
ミド又はアルキルエステルとして誘導体化することで製造することができる。アミドの例
には、アンモニア、第一級C1〜6アルキルアミン及び第二級ジ(C1〜6アルキル)アミン
から生じさせたアミドが挙げられる。第二級アミンには、5員若しくは6員のヘテロシク
ロアルキル又はヘテロアリール環部分が挙げられる。アミドの例には、アンモニア、C1
〜3アルキル第一級アミン及びジ(C1〜2アルキル)アミンから生じさせたアミドが挙げ
られる。本発明の典型的なエステルには、C1〜7アルキル、C5〜7シクロアルキル、フェ
ニル及びフェニル(C1〜6アルキル)エステルが挙げられる。好適なエステルにはメチル
エステルが挙げられる。プロドラッグは、にヘミコハク酸塩燐酸エステル、ジメチルア
ミノ酢酸塩及びホスホリルオキシメチルオキシカルボニルを含む基を用いて、Fleis
her et al.,Adv.Drug Delivery Rev.1996,19
,115〜130に概略が示されている手順に従って遊離ヒドロキシ基を誘導体化するこ
とで製造することもできる。ヒドロキシ及びアミノ基のカルバメート誘導体も、プロドラ
ッグをもたらすことができる。また、ヒドロキシ基カーボネート誘導体、スルホン酸エ
テル及び硫酸エステルもプロドラッグをもたらし得る。また、ヒドロキシ基を(アシ
オキシ)メチル及び(アシルオキシエチルエーテル(ここで、アシル基はアルキルエス
テルであってもよく、場合により1つ以上のエーテル、アミン又はカルボン酸官能基で置
換されていてもよいし、あるいはアシル基は上述のようにアミノ酸エステルである)とし
て誘導体化することもプロドラッグをもたらすのに有用である。この種のプロドラッグは
、Greenwald,et al.,J Med Chem.1996,39,10,
1938〜40に記述されているように調製することができる。遊離アミンはまた、アミ
ド、スルホンアミド又はホスホンアミドとして誘導体化することができる。そのようなプ
ドラッグ部分の全てに、エーテル、アミン及びカルボン酸官能基などの基が組み込まれ
ていてもよい。

0088

本発明は、また、本発明の方法で用いることもできる、式(I)の化合物の製薬学的に
活性の代謝産物にも関する。「製薬学的に活性の代謝産物」とは、体内の代謝により生じ
た、式(I)の化合物の薬理学的に活性の生成物又はその塩を意味する。ある化合物のプ
ロドラッグ及び活性の代謝産物の測定は、当該技術分野で公知又は利用可能な常規技術を
用いて実施可能である。例えばBertolini,et al.,J Med Che
m.1997,40,2011〜2016、Shan,et al.,J Pharm
Sci.1997,86(7),765〜767、Bagshawe,Drug Dev
Res.1995,34,220〜230、Bodor,Adv Drug Res.
1984,13,224〜331、Bundgaard,Design of Prod
rugs(Elsevier Press,1985)、及びLarsen,Desig
n and Application of Prodrugs,Drug Desig
n and Development(Krogsgaard−Larsen,et a
l.,eds.,Harwood Academic Publishers,1991
)を参照のこと。

0089

本発明の式(I)の化合物並びにその製薬上許容される塩、製薬上許容されるプロドラ
ッグ、及び製薬学的に活性な代謝産物は、本発明の方法におけるPHDのモジュレーター
として有用である。「モジュレーター」は、阻害物質及び活性化物質の両方を含み、ここ
において「阻害物質」はPHDの発現又は活性を減少、阻止、不活性化、減感、又は下方
調節する化合物を指し、「活性化物質」はPHDの発現又は活性を増加、活性化、促進、
増感、又は上方調節する化合物を指す。

0090

本明細書で用いられる用語「治療」又は「治療する」は、プロリルヒドロキシラーゼの
活性を調節することによって治療的又は予防的な利益をもたらす目的で本発明の活性薬剤
又は組成物を被験体に投与することを指すことを意図する。治療は、PHD活性の調節を
通して媒介される疾患、障害又は状態あるいはそのような疾患、障害又は状態の1つ以上
の症状を逆転すること、改善すること、緩和すること、進行を阻止すること、重症度を軽
減すること、又は予防することを含む。用語「被験体」は、そのような治療を必要として
いる哺乳動物患者、例えばヒトなどを指す。

0091

したがって、本発明は、例えば貧血、血管疾患、代謝性疾患、及び創傷治癒などの、プ
ロリルヒドロキシラーゼによって媒介される疾患、障害、又は状態が診断された、あるい
はそれらに苦しむ被験体を治療するために、本明細書に記述されている化合物を用いる方
法に関連する。症状又は疾患状態は、「病状、障害又は疾患」の範囲内に包含されること
を意図する。

0092

本明細書で使用される用語「低酸素状態」又は「低酸素疾患」は、血中又は組織及び臓
器に供給される酸素量が不十分である状態を指す。低酸素疾患は、様々なメカニズムによ
って起こる可能性があり、これには酸素を運ぶ血液の能力が不十分な場合(即ち貧血)、
心不全又は血管及び/若しくは動脈の遮断によって組織及び/若しくは臓器への血流が不
十分な場合(即ち虚血)、気圧低下がある場合(即ち高標高の場所での高山病)、あるい
は、機能不全細胞が酸素を適切に利用できない場合(即ち組織毒性状態)が挙げられる。
したがって、本発明は、貧血、心不全、冠状動脈疾患、血栓塞栓症、脳卒中、狭心症及び
同様疾患などの様々な低酸素状態の治療に有用であることが、当業者には容易に認識され
るであろう。

0093

好ましい実施形態では、本発明の分子は、慢性腎臓疾患多発性嚢胞腎再生不良性
血、自己免疫性溶血性貧血骨髄移植貧血、チャーグ−ストラウス症候群ダイアモンド
ブラックファン貧血、ファンコニ貧血フェルティ症候群移植片対宿主病造血性
胞移植、溶血性尿毒症症候群骨髄異形成症候群発作性夜間ヘモグロビン尿症、骨骨髄
線維症汎血球減少症真性赤血球無形成症シェーンライン−ヘノッホ紫斑病芽球
加を伴う不応性貧血、関節リウマチ、シュバッハマ症候群鎌状赤血球症重症型サラ
セミア、軽症型サラセミア血小板減少性紫斑病手術を受ける貧血患者若しくは非貧血
患者、外傷を伴う又は外傷に従属して起こる貧血、鉄芽球性貧血、他の治療(HIV治療
のための逆転写酵素抑制剤コルチコステロイドホルモン、環状シスプラチン又は非シス
プラチン含有の化学療法剤ビンカアルカロイド有糸分裂阻害剤トポイソメラーゼ
阻害剤アントラサイクリンアルキル化薬)に従属して起こる貧血、特に炎症、加齢
、及び/若しくは慢性疾患に従属して起こる貧血に関連する貧血状態の治療を含む、貧血
の治療又は予防に有用である。PHD阻害は、慢性疲労蒼白及びめまいを含む、貧血症
状の治療にも用いることができる。

0094

別の好ましい実施形態では、本発明の分子は、糖尿病及び肥満を含むがこれらに限定さ
れない代謝性障害の疾患の治療及び予防に有用である。別の好ましい実施形態では、本発
明の分子は、血管疾患の治療又は予防に有用である。これには、血管形成、脈管形成及び
動脈形成のための血管形成促進効果媒介を必要とする疾患に関連する、低酸素状態又は創
傷治癒が含まれるが、これらに限定されない。

0095

本発明による治療方法では、かかる疾患、障害又は状態に罹患しているか、あるいはそ
うであると診断された被検体に本発明による薬剤の有効量を投与する。「有効量」とは、
対象の疾患、障害又は状態のかかる治療を必要とする患者において、望ましい治療的又は
予防的効果を一般的にもたらすのに十分な量又は十分な投与量を意味する。本発明の化合
物の有効量若しくは用量を、常規方法、例えばモデリング用量漸増試験又は臨床試験
、及び常規要因、例えば投与様式若しくは経路又は薬剤送達等、化合物の薬物動態、疾患
、障害又は状態の重症度及び過程、被験体が以前又は現在受けている治療、被験体の健康
状態及び薬剤に対する反応、並びに治療を施す医者の判断等を考慮に入れることで確定
ることができる。化合物の用量の例は、被験体の体重1kg当たり約0.001〜約20
0mg/日、好適には約0.05〜100mg/kg/日、又は1回又は投薬単位を分割
(例えばBID、TID、QID)して約1〜35mg/kg/日の範囲である。70k
gのヒトの場合の適切な投薬量の例となる範囲は、約0.05〜約7g/日又は約0.2
〜約2.5g/日である。

0096

患者の疾患、障害又は状態の改善が生じたならば用量を予防又は維持治療に適した量に
調整してもよい。例えば、投与の量及び頻度又は両方を症状の関数として所望の治療又は
予防効果が維持される度合にまで少なくしてもよい。もちろん、症状が適切な度合にまで
改善したならば治療を止めてもよい。しかしながら、症状がいくらか再発する時には患者
に長期を基準にした断続的治療を受けさせる必要がある。

0097

加えて、本発明の薬剤を前記状態の治療で追加的有効成分と組み合わせて用いることも
可能である。式(I)の薬剤とは別に、又は追加的有効成分として本発明による医薬組成
物に含めて、追加の化合物を同時投与することができる。例示的な実施形態において、追
加の活性成分は、PHD酵素によって媒介される状態、障害、若しくは疾患の治療に有効
であることが知られているか見出されているもの、又は別のPHDモジュレータなどの、
特定の状態、障害、若しくは疾患に関連する別の標的に対して有効なものである。そのよ
うな組み合わせを用いると効力が向上する(例えば本発明による化合物が示す効力又は効
果を高める化合物を組み合わせに含めること等で)か、1つ以上の副作用を低下させるか
、あるいは本発明による化合物の必要量を低減することができる。

0098

本発明の化合物を単独で、又は1つ以上の他の有効成分と一緒に用いて、本発明の製薬
学的組成物を処方する。本発明の医薬組成物は、(a)有効量の、式(I)の化合物、又
は製薬上許容される塩、製薬上許容されるプロドラッグ、若しくは製薬学的に活性なそれ
らの代謝産物、及び(b)製薬上許容される賦形剤を含む。

0099

「製薬上許容される賦形剤」は、薬理学的組成物に添加されるか又は他の様式で薬剤の
投与を助長する賦形剤、担体又は希釈剤として用いられかつそれと適合し得る無毒である
か、生物学的に許容されるか、又は他の様式で被験体に投与するのに生物学的に適した物
質、例えば不活性な物質などを指す。賦形剤の例には、炭酸カルシウム燐酸カルシウム
、様々な糖及び様々な種類の澱粉セルロース誘導体ゼラチン植物油並びにポリエチ
レンポリエチレングリコールが含まれる。好適な賦形剤には、酸化防止剤も含まれ得る。
このような酸化防止剤は、医薬組成物で、又は医薬製品貯蔵寿命延長させるための
保存媒体で使用できる。

0100

1つ以上の投与単位の本発明の化合物を含有する医薬組成物の送達形態物の調製は、適
切な医薬賦形剤、及び当業者に現在又は将来公知であるか、あるいは利用可能になるであ
ろう配合技術を用いて実施可能である。本発明の方法では、そのような組成物を経口、非
経口、直腸、局所又は眼経路等で、あるいは吸入によって投与してもよい。

0101

そのような製剤の形態は錠剤、カプセル小袋糖衣錠粉末顆粒ロゼンジ、再構
用粉末液状製剤又は座薬であってもよい。本組成物を静脈内輸液、局所投与又は経口
投与に適するように処方するのが好ましい。本発明の使用の好ましい形態は、PHD阻害
物質の局所投与であり、特に組織が虚血になった又は虚血にされた部位に適用される。こ
れは、専用のカテーテル血管形成バルーン、又はステント配置バルーンを介して達成さ
れ得る。

0102

経口投与の場合、本発明の化合物を錠剤又はカプセルの形態で、あるいは溶液、エマル
ション又は懸濁液として提供してもよい。経口組成物の調製では、本化合物の投薬量が例
えば1日当たり約0.05〜約1000mg/kg、1日当たり約0.05〜約35mg
/kg、又は1日当たり約0.1〜約10mg/kgになるように調製してもよい。

0103

経口錠剤に本発明による化合物を含有させてもよく、製薬上許容される賦形剤、例えば
不活性希釈剤崩壊剤結合剤滑剤甘味剤香味剤着色剤及び防腐剤等と混合して
もよい。適切な不活性充填剤には、炭酸ナトリウム及びカルシウム燐酸ナトリウム及び
カルシウム、ラクトース、澱粉、糖、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグ
ネシウム、マンニトールソルビトールなどが含まれる。典型的な経口用液状賦形剤には
エタノールグリセロール、水などが含まれる。澱粉、ポリビニルピロリドンPV
)、澱粉グリコール酸ナトリウム微結晶性セルロース及びアルギン酸が好適な崩壊剤で
ある。結合剤には、澱粉及びゼラチンが含まれ得る。潤滑剤が存在する場合、これはステ
アリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクであってよい。必要ならば、錠剤は、モ
ステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどの材料をコーティングして
胃腸管内の吸収を遅らせてもよいし、又は腸溶性コーティングでコーティングしてもよい

0104

経口投与用カプセルには、硬質及び軟質ゼラチンカプセルが含まれる。硬質ゼラチンカ
セルの調製は、本発明の化合物を固体、半固体、又は液体希釈剤と混合することで実施
可能である。軟質ゼラチンカプセルの調製は、本発明の化合物を水、油、例えば落花生油
又はオリーブ油液状パラフィン短鎖脂肪酸モノ及びジ−グリセリドの混合物、ポリ
エチレングリコール400又はプロピレングリコールと混合することで実施可能である。

0105

経口投与用の液体は、懸濁液、溶液、エマルション又はシロップの形態であってもよい
し、あるいは使用前に水又は他の適切な媒体でもどす乾燥製品として提供してもよい。そ
のような液状組成物は、所望により、製薬上許容される賦形剤、例えば懸濁剤(例えばソ
ルビトール、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ヒドロキシエチル
ルロース、カルボキシメチルセルロースステアリン酸アルミニウムゲルなど);非水
媒体、例えば油(例えばアーモンド油又は分別ヤシ油)、プロピレングリコール、エチル
アルコール又は水;防腐剤(例えばp−ヒドロキシ安息香酸メチル又はプロピル又はソル
ビン酸);湿潤剤、例えばレシチンなど;及び必要ならば香味又は着色剤を含有してもよ
い。

0106

本発明の活性薬剤を非経口経路で投与することも可能である。例えば、組成物を直腸投
与の目的で座薬として処方してもよい。静脈内、筋肉内、腹腔内又は皮下経路を包含する
非経口用途の場合、本発明の化合物を適切なpH及び等張性緩衝された無菌水溶液
しくは懸濁液又は非経口的に許容される油として提供してもよい。適切な水性媒体には、
リンゲル溶液及び等張性塩化ナトリウムが挙げられる。そのような形態を単位投薬形態
例えばアンプル又は使い捨て可能な注射デバイス複数回使用形態、例えば適量を取り出
すことが可能なバイアル瓶等、又は注射可能製剤を調製する目的で使用可能な固体形態
しくは予濃縮液の形態で提供してもよい。具体的な輸液投薬量は、数分〜数日の範囲の期
間にわたって約1〜1000μg/kg/分の範囲の、製薬学的担体と混ざり合った化合
物であってよい。

0107

局所投与の場合には、本化合物を、媒体に対する薬剤の濃度が約0.1%〜約10%に
なるように医薬担体と混合してもよい。本発明の化合物を投与する別の様式では、経皮
達を行う目的でパッチ製剤を利用してもよい。

0108

本発明の方法では、別法として、本発明の化合物を吸入、又は口経路、例えばスプレ
ー製剤(適切な担体も含有する)等として投与することも可能である。

0109

本明細書で使用される略語及び頭字語は次の通りである。

0110

0111

ここに、本発明の方法に有用な代表的な化合物を、以下の一般的調製及び続く具体的実
施例に例示する合成スキームに言及することで記述する。本明細書に示す様々な化合物を
得るために、最終的に所望の置換基が適宜保護の有り又は無しで反応スキーム全体に渡っ
担持されて所望の生成物がもたらされるように出発材料を適切に選択することができる
ことを、技術者は理解するであろう。あるいは、最終的に必要な置換基の代わりに、反応
スキーム全体に渡って担持されることができ且つ適宜所望の置換基と置き換わり得る適切
な基を用いる必要があるか又はその方が好ましい可能性もある。特に明記しない限り、変
数は、上記で式(I)を言及する時に定義した如くである。反応は、溶媒の融点還流
度との間、好ましくは0℃〜溶媒の還流温度で実施することができる。反応は、溶媒の通
常の還流温度を上回る密閉圧力容器中で実施することもできる。

0112

本明細書に提供されている各スキームで、各式の数字は単に便宜上提示されているもの
である。それぞれのスキームに概して特有ではあるが、これらの参照は制限するものと見
なされるべきではなく、すべての要素を含む各スキームは、本発明の様々な実施形態に広
く適用されるものである。

0113

0114

スキームAを参照し、2−クロロ−1H−ベンゾイミダゾール(II)の保護は、TH
Fなどの溶媒中、NaH又はDIPEAなどの塩基の存在下で、2−メトキシエトキシ
チルクロリドMEMCl)又は2−(トリメチルシリル(trimethysilyl)))−エト
シメチルクロリド(SEMCl)などの好適な保護基試薬を用いることによって達成さ
れ、式(III)の化合物を得る。2−クロロ置換基の、式(IV)の市販のピラゾール
−4−カルボキシレート(ここで、R2及びR3は両方ともH、CF3又はCH3である)で
の置換は、DMF、N,N−ジメチルアセトアミドDMA)、若しくはTHF、又はこ
れらの混合物などの非プロトン性極性溶媒中で、Cs2CO3、K2CO3、Na2CO3、N
aH、又はこれらの混合物などの好適な塩基の存在下で、一般に80℃〜120℃の範囲
高温にて達成される。この後、EtOHなどの好適な溶媒中でHClなどの酸を用いた
PGの脱保護により、式(VIII)の中間体を得る。NaOH水溶液LiOH水溶液
、若しくはKOH水溶液、又はこれらの混合物などの好適な塩基を用いて、THFなどの
溶媒中で鹸化することにより、式(I)の化合物がもたらされる。

0115

0116

スキームBに従って式(VIII)のアリールエーテル及びチオエーテル中間体が調製
され、ここで、各R1はH、−Cl、−F、−CF3、又は−OCF3であり得、ただし少
なくとも1つのR1は−Cl又は−Fである。市販の置換ハロ−ニトロ−フェニルアミン
(VII)は、K2CO3などの塩基の存在下で、DMF及び同様物などの溶媒中、室温と
溶媒の還流温度との間の温度で、置換フェノールチオフェノール、及び置換フェニルア
ルキルチオールと反応し、式(VIII)のニトロ中間体を得る(ここで、Reはアリー
ル、−C1〜4アルキル−アリール、又はヘテロアリール環である)。式(VIII)のア
ルキルエーテル及びチオアルキルエーテル中間体(ここで、ReはC1〜6アルキル(分枝
鎖又は直鎖)である)は、ナトリウムメトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド
び同様物などの塩基の存在下で、MeOHなどの溶媒中、室温と溶媒の還流温度との間の
温度で、所望により置換されたハロ−ニトロ−フェニルアミンとアルコール及びアルキル
チオールとを反応させることにより、調製される。反応は、溶媒の還流温度を上回る温度
で、密閉試験管中で実施することもできる。式(VIII)のチオアルキル中間体は、D
MFなどの溶媒中、80℃〜100℃の範囲の温度で、式(VII)の所望により置換さ
れたハロ−ニトロフェニルアミンと、ナトリウムチオメトキシド、ナトリウムチオエトキ
シド、ナトリウムチオイソプロポキシド及び同等物との反応によっても合成される。

0117

式(X)のアミノ中間体は、スキームBに従って調製され、ここで、R1はH、−Cl
、−F、−CF3、又は−OCF3である。置換されたハロ−ニトロ−フェニルアミン(I
X)と、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルアミンとを、密閉試験管内で、80℃
〜100℃の範囲の温度で加熱し、式(X)のニトロ中間体が得られる。

0118

0119

2−ニトロ−フェニルアミン(XIV)は、スキームCに従って調製される。一般式(
XI)のアニリン(ここで、1つ以上のR1はH、−Cl、−CN、−F及び−CF3であ
る)が、トルエンなどの溶媒中で、DMAPなどの塩基の存在下、室温から溶媒の沸点
での範囲の温度で、無水酢酸と反応し、式(XII)のアセチル化中間体を得る。この後
ニトロ化は、式(XII)の中間体を、KNO3などのニトロ化試薬及び硫酸などの酸
と反応させることにより達成され、式(XIII)のニトロ化中間体を得る。この後、加
熱下における塩酸などの水性酸によるアセチル基の脱保護により、式(XIV)のニトロ
アニリンを得る。

0120

0121

スキームDにより、式(XVI)の2−ハロ−ニトロアニリンが、80℃〜120℃の
範囲の温度で、DMFなどの溶媒中、式(XV)のニトロアニリンを、NCS又はNBS
などの塩素化試薬又は臭素化試薬と反応させることにより調製される。加えて、式(XV
II)のハロ−ニトロベンゼン中間体(ここで、R1は独立して−F及び−Brである)
を、MeOH中7Mのアンモニアと反応させ、従来方法で又は密閉試験管内で50℃〜7
0℃の範囲の温度で加熱し、式(XVIII)のハロ−ニトロアニリンが得られる。

0122

0123

式(XXV)の2−クロロ−1H−ベンゾイミダゾール中間体が、スキームEに示す3
つの方法によって調製される。置換されたニトロフェニルアミン(市販のニトロフェニル
アミン、既知のニトロフェニルアミン、又は提供されているスキームを用いて調製された
ニトロフェニルアミンのいずれか)を、例えば、NH4Clの飽和水溶液の存在下で、ア
セトン及び同様物などの溶媒中、0℃〜室温の範囲の温度で、亜鉛粉末など当業者に既知
還元方法を用いることによって還元し、式(XX)のジアミン中間体が得られる。式(
XX)のジアミン中間体(市販のもの、又は合成によりアクセス可能ジアミン)を、T
HF及び同様物などの溶媒中、0℃〜室温の範囲の温度で、カルボニルジイミダゾール
反応させることにより、式(XXI)の1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾル−2−オン
中間体が供給される。この後、例えば原液オキシ塩化リン(POCl3)を用い加熱す
るなどの、当業者に既知の方法を用いて(XXI)を塩素化することにより、式(XXI
I)の2−クロロ−1H−ベンゾイミダゾールを得る。続く1H−ベンゾイミダゾール(
XXII)の保護は、好適な塩基の存在下、THF又はDMFなどの溶媒中で、ジメチル
スルファモイルクロリド、2−メトキシエトキシメチルクロリド(MEMCl)又は2−
(トリメチルシリル(trimethysilyl))−エトキシメチルクロリド(SEMCl)など
の好適な保護基試薬を用いて達成され、式(XXV)の化合物を得る。

0124

加えて、式(XXIII)のベンゾイミダゾールは、SnCl2・H2O、ジチオン酸
トリウム、及び同様物などの好適な還元剤の存在下、アルデヒド又はアルデヒド同等物(
オルト蟻酸トリメチル及び同様物など)、あるいは酢酸、蟻酸、及び同様物などの酸源
存在下で、80℃〜130℃の範囲の温度にて、従来の加熱か、密閉試験管内での加熱、
又はマイクロ波加熱により、還元的環化を介して、o−ニトロアニリンからワンポット
成で調製される。上記のワンポット還元環化反応に加え、式(XXIII)の1H−ベン
ゾイミダゾールはまた、アルデヒド又はアルデヒド同等物(例えばオルト蟻酸トリメチル
)、及びHClなどの酸の存在下、0℃〜室温の温度範囲で、式(XX)のジアミンを反
応させることによっても合成される。続く1H−ベンゾイミダゾール(XXIII)の保
護は、THFなどの溶媒中、NaH又はDIPEAなどの塩基の存在下で、2−メトキシ
エトキシメチルクロリド(MEMCl)又は2−(トリメチルシリル)−エトキシメチル
クロリド(SEMCl)などの好適な保護基試薬を用いることによって達成され、式(X
XIV)の化合物を得る。THFなどの溶媒中、−80℃〜−40℃の範囲の温度で、ブ
チルリチウム又はリチウムジイソプロピルアミドなどの有機リチウム塩基による保護され
た1H−ベンゾイミダゾール中間体(XXIV)の脱プロトン化の後、N−クロロスク
イミド及び同様物の添加によって、式(XXV)の2−クロロ−1H−ベンゾイミダゾ
ール中間体を得る。

0125

0126

スキームFを参照し、Wが−CO2C1〜4アルキルであり、R1がH、−F、−Cl、−
CF3又は−OCF3である式(III)の化合物が、室温〜溶媒の沸点の範囲の温度で、
THFなどの溶媒中、NaOH水溶液、LiOH水溶液、若しくはKOH水溶液、又はこ
れらの混合物などの好適な塩基で鹸化され、式(XXVI)の化合物を得る。この後、当
業者に既知の方法を用いたアミド結合形成により、式(XXVII)のベンゾイミダゾー
ル中間体を得る。別の方法としては、Wが−CO2Meである式(III)のベンゾイミ
ダゾール中間体が、THFなどの溶媒中、0℃において、水素化リチウムアルミニウム
どの好適な還元剤で還元され、対応する式(XXVIII)のアルコール中間体を得る。
NaHなどの塩基、アルキルハライド及びアリールハライドなどのアルキル化剤を用い、
DMFなどの溶媒中での、中間体(XXVIII)のアルキル化によって、式(XXIX
)のベンゾイミダゾール中間体を得る。

0127

0128

スキームGを参照し、鈴木条件における式(XXX)のベンゾイミダゾール中間体(こ
こで、Wは好適なハロゲン又はトリフラートであり、各R1は独立してH、−Cl、−F
、−CF3又は−OCF3である)を、PdCl2(dppf)などの有機遷移金属触媒
CsFなどの好適な塩基の存在下で、アリールボロン酸と反応させて、式(XXXI)の
ビアリール中間体を得る(ここで、Yは置換又は未置換のアリール又はヘテロアリール環
である)。

0129

スキームGを参照し、Wが−S−C1〜4アルキル又は−S−Ar(ここで、Arは好適
に置換されたフェニル基である)であり、各R1が独立してH、−F、−Cl、−CF3又
は−OCF3である式(XXX)のベンゾイミダゾール中間体を、当業者に既知の方法を
用いて、例えば、ペルオキソ一硫酸カリウム、3−クロロペルオキシ安息香酸、及び同様
物などの酸化剤を用いて酸化し、対応する式(XXXI)のスルホン及びスルホキシド中
間体を得る(ここで、Yは−S(O)−C1〜4アルキル、−S(O)2−C1〜4アルキル
、−S(O)−アリール、又は−S(O)2−アリールである)。

0130

スキームGを参照し、Wが−NO2であり、各R1が独立してH、−Cl、−F、−CF
3又は−OCF3である式(XXX)のベンゾイミダゾール中間体を、当業者に既知の方法
を用いて還元剤と反応させ、式(XXXI)のベンゾイミダゾール中間体を得る(ここで
、Yは−NH2であり、R1は−Cl、−CF3又は−OCF3である)。

0131

スキームGを参照し、Wが−NH2であり、各R1が独立してH、−Cl、−F、−CF
3又は−OCF3である式(XXX)のベンゾイミダゾール中間体を、当業者に既知の方法
を用いた還元的アミノ化条件において、アルキルアルデヒド及び置換アリールアルデヒド
と反応させ、式(XXXI)のアルキル及びベンジル置換アミノ中間体を得る(ここで、
Yは−NH−C1〜4アルキル又は−NH−CH2−アリールである)。

0132

スキームGを参照し、Wが−NH2であり、各R1が独立してH、−Cl、−F、−CF
3又は−OCF3である式(XXX)のベンゾイミダゾール中間体を、アルキル、アリール
、及びシクロアルキルスルホニルクロリド、アシル及びアリールクロリド、2−ブロモア
セチルブロミド、並びに同様物と反応させ、対応する置換スルホンアミド及びアミド中間
体を得る。

0133

スキームGを参照し、Wが−NH2であり、各R1が独立してH、−Cl、−F、−CF
3又は−OCF3である式(XXX)のベンゾイミダゾール中間体を、アミノ化条件下にお
いて、トルエンなどの溶媒中、室温〜溶媒沸点の範囲の温度で、臭化アリール、有機遷移
金属触媒(例えばPd(dba)2)、Q−Phosなどの配位子、ナトリウムtert
−ブトキシドなどの好適な塩基と反応させることにより、式(XXXI)の中間体を得る
(ここで、Yは−NHArである)。

0134

スキームGを参照し、Wが−NC(O)CH2Brであり、各R1が独立してH、−Cl
、−F、−CF3又は−OCF3である式(XXX)のベンゾイミダゾール中間体を、ジク
ロロメタンなどの溶媒中で、0℃〜室温の範囲の温度で、ヘテロシクロアルキルアミン(
例えばモルホリン、N−メチルピペラジン、ピペリジン、及び同様物)と反応させること
により、置換されたアセチルアミノベンゾイミダゾール中間体を得る。

0135

スキームGを参照し、Wが−S−tBuであり、各R1が独立してH、−F、−Cl、−
CF3又は−OCF3である式(XXX)のベンゾイミダゾール中間体を、K2CO3などの
塩基の存在下で2−ニトロベンゼンスルフェニルクロリドで処理することにより、ジスル
フィド中間体を得る。この後、このジスルフィドを、0℃において、水性EtOH中、例
えばNaBH4などの還元剤で還元することにより、チオール中間体を得る(特定の条件
下では、このチオール中間体は、それ自体で二量体化し、ジスルフィド副生成物を生じる
ことがある)。このチオールを、K2CO3などの塩基の存在下で、ベンジル及びアルキル
プロミドでアルキル化することにより、式(XXXI)のチオアルキル化ベンゾイミダゾ
ール中間体を得る(ここで、Yは−S−C1〜4アルキル又は−S−C1〜4アルキル−アリ
ールである)。加えて、上記のジスルフィド副生成物は、アセトニトリルなどの溶媒中、
0℃において、NCS及びHCl水溶液と反応し、クロロスルホニル中間体を得る(A.
Nishiguchi,K.Maeda,S.Miki.Synthesis,2006
,24,4131〜4134)。これは、ピリジンなどの溶媒中で適切なアニリンと反応
することにより、式(XXXI)のアリール−スルファモイル中間体を供給する(ここで
、Yは−SO2−NH−アリールである)。

0136

EtOHなどの好適な溶媒中で、HClなどの酸を用いて中間体−PG(XXXI)の
脱保護を行い、次にTHFなどの溶媒中、室温〜溶媒の還流温度の温度で、NaOH水溶
液、LiOH水溶液、若しくはKOH水溶液、又はこれらの混合物などの好適な塩基を用
いて、ピラゾール環のカルボキシ基の鹸化を行うことにより、式(I)の化合物がもたら
される。

0137

加えて、式(XXXI)の中間体から式(I)の化合物への変換は、80℃〜100℃
の範囲の温度で、酢酸及び塩酸水溶液で一工程で達成される。

0138

0139

式(VI)のベンゾイミダゾールは、スキームHによって調製することもできる。一般
式(XXXII)のブロモアニリンを、トルエンなどの溶媒中、DMPなどの塩基の存在
下で、室温において、ベンゾイルイソチオシアネートで処理することにより、式(XXX
III)の対応するチオ尿素誘導体を得る。ベンゾイル基を、MeOHなどの溶媒中、0
℃において、ナトリウムメトキシドなどの塩基を用いて除去し、式(XXXIV)のチオ
尿素誘導体を得る。式(XXXIV)のチオ尿素を、水酸化カリウムなどの塩基の存在下
で、水などの溶媒中で、80℃〜100℃の範囲の温度において、酢酸鉛(II)三水和
物と反応させることにより、式(XXXV)のシアナミド中間体がもたらされる。この後
、このシアナミド中間体を、HClなどの無水酸の存在下で、ジオキサンなどの溶媒中で
、80℃〜100℃の高温において、1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル
と反応させることにより、式(XXXVI)のグアニジン中間体がもたらされる。このグ
アニジン中間体を、DMFなどの溶媒中で、60℃〜100℃の温度において、Culな
どのカップリング試薬、及びCs2CO3などの塩基で更に処理することにより、式(VI
)のベンゾイミダゾール中間体がもたらされる。

0140

0141

式(XXXIX)のベンゾイミダゾール中間体は、スキームIにより合成される。市販
の1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(IV)を、ジオキサンなどの溶媒
中、ジオキサン中4M HClなどの酸の存在下で、80℃〜100℃の範囲の温度にお
いて、シアナミドと反応させることにより、式(XXXVII)のカルバムイミドイル
ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステルがもたらされる。この後、カルバムイミドイ
ル−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(XXXVII)を、DMF、DMA及
び同様物などの溶媒中で、室温〜溶媒沸点の範囲の温度で、Zが1つ又は2つのNである
式(XXXVIII)の市販の2,3−ジハロ−芳香族中間体と反応させ(例えば2,3
−ジクロロ−キノキサリン)、Cs2CO3などの塩基(CuI及び同様物などの触媒も所
望により使用できる)と反応させることにより、式(XXXIX)のベンゾイミダゾール
中間体がもたらされる。

0142

式(I)の化合物を、当業者に既知の方法を用いて対応する塩に変換させることができ
る。例えば、式(I)の酸は、EtOHなどの溶媒中、室温〜溶媒の還流温度の範囲の温
度で、K2CO3水溶液で処理することにより、対応する塩の形態を提供することができる

0143

上述のスキームに従って調製される化合物は、エナンチオ特異的ジアステレオ特異的
又は位置特異的合成により、あるいは分解により、単一のエナンチオマー、ジアステレオ
マー又は位置異性体として得ることができる。あるいは、上記のスキームに従って調製さ
れる化合物をラセミ(1:1)又は非ラセミ(1:1ではない)混合物として、あるいは
ジアステレオマー又は位置異性体の混合物として得ることも可能である。エナンチオマー
のラセミ及び非ラセミ混合物が得られる場合、当業者に公知の通常の分離方法、例えばキ
ラルクロマトグラフィー再結晶化ジアステレオマー塩生成、ジアステレオマー付加体
を生じさせる誘導体化、生体内変換又は酵素による変換などを用いて単一のエナンチオマ
ーを単離することができる。位置異性体又はジアステレオマー混合物が得られる場合、通
常方法、例えばクロマトグラフィー又は結晶化などを用いて単一の異性体を分離すること
ができる。

0144

立体特異的アミノ酸化学を必要とする出発物質については、そのような材料は好ましい
立体特異的エナンチオマーとして購入され、これは、合成反応を通してその特異性が保持
された。

0145

以下の実施例は、本発明及び様々な好ましい実施形態を更に例示する目的で示すもので
ある。

0146

上述のスキームに従って調製される化合物は、エナンチオ特異的、ジアステレオ特異的
又は位置特異的合成により、あるいは分解により、単一のエナンチオマー、ジアステレオ
マー又は位置異性体として得ることができる。あるいは、上記のスキームに従って調製さ
れる化合物をラセミ(1:1)又は非ラセミ(1:1ではない)混合物として、あるいは
ジアステレオマー又は位置異性体の混合物として得ることも可能である。エナンチオマー
のラセミ及び非ラセミ混合物が得られる場合、当業者に公知の通常の分離方法、例えばキ
ラルクロマトグラフィー、再結晶化、ジアステレオマー塩生成、ジアステレオマー付加体
を生じさせる誘導体化、生体内変換又は酵素による変換などを用いて単一のエナンチオマ
ーを単離することができる。位置異性体又はジアステレオマー混合物が得られる場合、通
常方法、例えばクロマトグラフィー又は結晶化などを用いて単一の異性体を分離すること
ができる。

0147

立体特異的アミノ酸化学を必要とする出発物質については、そのような材料は好ましい
立体特異的エナンチオマーとして購入され、これは、合成反応を通してその特異性が保持
された。

0148

以下の実施例は、本発明及び様々な好ましい実施形態を更に例示する目的で示すもので
ある。

0149

化学:
以下の実施例に記述する化合物及び対応する分析データを得る際、特に明記しない限り
、以下の実験及び分析プロトコルに従った。

0150

特に明記しない限り、反応混合物は室温(rt)で磁気攪拌された。溶液が「乾燥され
る」場合、それらは一般的にNa2SO4又はMgSO4などの乾燥剤上で乾燥された。混
合物、溶液及び抽出液を「濃縮」する場合、それらは典型的にはロータリーエバポレータ
ーを用いて減圧下で濃縮された。

0151

薄層クロマトグラフィーTLC)は、Merckシリカゲル60 F254 2.5c
m×7.5cm 250μm又は5.0cm×10.0cm 250μmコーティング済
シリカゲルプレートを使用して実施された。分取薄層クロマトグラフィーは、EMS
cienceシリカゲル60 F254 20cm×20cm 0.5mmコーティング済
プレートで、濃縮ゾーンが20cm×4cmのものを使用して実施された。

0152

順相フラッシュカラムクロマトグラフィーFCC)は、特に明記しない限り、シリカ
ゲル(SiO2)を用いてMeOH中2MのNH3/DCMで溶離させることで実施した。
逆相HPLCは、Hewlett Packard HPLCシリーズ1100、Phe
nomenex Luna C18(5μm、4.6×150mm)カラムで実施された
。検出はλ=230、254及び280nmで行われた。勾配は、5.0分間、流量1m
L/分で、10〜99%アセトニトリル/水(0.05%トリフルオロ酢酸)であった。
別の方法として、HPLCは、Phenomenex Gemini C18(5μm、
30×100mm)カラムが備わっているDionexAPS2000 LC/MSを
用いて、16.3分間、30mL/分の流量で、5〜100%アセトニトリル/水(20
mM NH4OH)の勾配で実施した。

0153

マススペクトル(MS)は、別途記載のない限り、ESI/APCポジティブ及びネ
ティマルチモードソースが備わったAgilentシリーズ1100 MSDを用い
て得られた。

0154

核磁気共鳴(NMRスペクトルをBrukerモデルDRX分光計を用いて得た。以
下に示す1HNMRデータフォーマットは、テトラメチルシラン標準のダウンフィー
ルド化学シフト(ppm)(見かけ多重度結合定数J(Hz)、積分値)。化学名
は、ChemDraw Version 6.0.2(CambridgeSoft、マ
チューセッツ州ケンブリッジ)又はACD/Name Version 9(Adva
nced Chemistry Development、カナダオンタリオトロン
ト)を用いて生成した。

0155

実施例1:1−(1H−ベンゾイミダゾル−2−イル)−1H−ピラゾール−4−カル
ボン酸。

0156

0157

工程A:2−クロロ−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ベン
ゾイミダゾールの調製。スキームAに従って、NaH(油中60%分散液、0.40g、
9.8mmol)及びTHF(10mL)を0℃に冷却し、次に固体の2−クロロベンゾ
イミダゾール(1.0g、6.5mmol)を10分間かけて部分に分けて加えた。結果
として得られた混合物を0℃で1時間攪拌し、2−(トリメチルシリル)−エトキシメチ
ル塩化物(1.5mL、8.5mmol)を加えた。反応混合物を23℃まで温めて、1
6時間攪拌した。この混合物を注意深く(200g)の上に注ぎ、Et2Oで抽出した
(3×100mL)。合わせた有機抽出物を乾燥させ、濾過し、更に濃縮した。残留物
精製し(FCC)(1:99〜15:85のEtOAc/ヘキサン)、標題化合物を得た
。これは以前に記述されている(国際特許第WO 2005/012296号、Jans
sen Pharmaceutica N.V.、実施例7)。

0158

工程B:1−[1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ベンゾイミ
ダゾル−2−イル]−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル。2−クロロ−
1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ベンゾイミダゾール(0.3
4g、1.2mmol)、エチルピラゾール−4−カルボキシレート(0.24g、1.
7mmol)、炭酸セシウム(0.78g、2.4mmol)、及び無水DMF(2.5
mL)の混合物を100℃で5時間攪拌した。この混合物を23℃まで冷まし、EtOA
cで希釈して、シリカゲルパッドで濾過した。結果として得られた溶液を濃縮した。残留
物を精製し(FCC)(5:95〜40:60のEtOAc/ヘキサン)、標題化合物を
得た(0.36g、77%)。1H NMR(500MHz、CDCl3):8.88(s
,1H),8.18(s,1H),7.77−7.69(m,1H),7.60−7.5
0(m,1H),7.40−7.30(m,2H),6.03(s,2H),4.34(
q,J=7.1Hz,2H),3.57−3.50(m,2H),1.37(t,J=7
.1,Hz,3H),0.87−0.80(m,2H),−0.11(s,9H)。

0159

工程C:1−(1H−ベンゾイミダゾル−2−イル)−1H−ピラゾール−4−カルボ
ン酸エチルエステル塩酸塩。HCl及びジオキサンの溶液(4M、2mL、8mmol)
を、1−[1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ベンゾイミダゾル
−2−イル]−1H−ピロール−3−カルボン酸エチルエステル(0.30g、0.78
mmol)及びEtOH(4mL)の混合物に加えた。この反応混合物を加熱して30分
間還流させてから、23℃まで冷ました。Et2Oを加え(20mL)、混合物を0℃ま
で冷却して10分間置いた。結果として得られた沈殿を濾過により回収し、Et2Oでよ
洗浄して、標題化合物を得た(0.18g、91%)。MS(ESI/CI):C13H
12N4O2の質量計算値、256.3;m/z実測値、257.1[M+H]+。1H NM
R(400MHz、DMSO−d6):8.96(s,1H),8.33(s,1H),
7.56(s,2H),7.28−7.21(m,2H),4.30(q,J=7.1H
z,2H),1.32(t,J=7.1Hz,3H)。

0160

工程D:1−(1H−ベンゾイミダゾル−2−イル)−1H−ピラゾール−4−カルボ
ン酸。LiOH及びH2Oの溶液(1.0M、1.0mL、1.0mmol)を1−(1
H−ベンゾイミダゾル−2−イル)−1H−ピロール−3−カルボン酸エチルエステル塩
酸塩(0.040g、0.16mmol)及びTHF(2.0mL)の混合物に加え、こ
の反応混合物を23℃で16時間攪拌した。このTHFを減圧下で除去し、HCl水溶液
(1.0M、2mL、2mmol)を0℃で加えた。結果として得られた沈殿を回収し、
水で洗浄して、標題化合物を得た(0.033g、90%)。MS(ESI/CI):C
11H8N4O2の質量計算値228.2;m/z実測値229.0[M+H]+。1H NM
R(500MHz、DMSO−d6):13.32(s,1H),13.00−12.8
6(br s,1H),8.90(d,J=0.6Hz,1H),8.28(d,J=0
.6Hz,1H),7.64(d,J=4.6Hz,1H),7.49(d,J=5.5
Hz,1H),7.28−7.20(m,2H)。

0161

実施例2:1−(5,6−ジクロロ−1H−ベンゾイミダゾル−2−イル)−1H−ピ
ラゾール−4−カルボン酸。

0162

0163

方法A:
実施例1と同様の方法で、工程Aにおいて2,5,6−トリクロロ−1H−ベンゾイミ
ダゾールを2−クロロベンゾイミダゾールの代わりに用い、標題化合物を調製した。MS
(ESI/CI):C11H6Cl2N4O2の質量計算値、297.1;m/z実測値、29
6.0[M−H]-。1H NMR(500MHz、DMSO−d6):14.18−12
.52(br s,2H),8.89(d,J 0.5Hz,1H),8.31(d,J
=0.5Hz,1H),7.80(s,2H)。

0164

方法B:
工程A:5,6−ジクロロ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾル−2−オン:乾燥D
MF(200mL)中の4,5−ジクロロ−ベンゼン−1,2−ジアミン(25g、0.
14mol)溶液に、CDI(23g、0.14mol)を固体として加えた。この反応
溶液を室温で1時間攪拌し、次に水(500mL)を加えた。沈殿固形物を濾過により回
収し、水で洗浄し、完全に乾燥させて、標題化合物を得た(26.0g、90%)。この
粗生成物を、更に精製することなく、次の反応に使用した。

0165

工程B:2,5,6−トリクロロ−1H−ベンゾイミダゾール:完全に乾燥させた5,
6−ジクロロ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾル−2−オン(28.4g、0.14
mol)を、POCl3(75mL)中に懸濁させた。この反応溶液を還流温度に3時間
加熱し、室温まで冷ました。この溶液を、十分に攪拌しながら、砕いた氷/水(1.5L
)にゆっくり注いだ。この溶液をNaOHでpH=7.0に中和した。沈殿固形物を濾過
により回収し、水で洗浄し、乾燥させて、標題化合物を得た(27.9g、90%)。こ
の粗生成物を、更に精製することなく、次の反応に使用した。

0166

工程C:1−(5,6−ジクロロ−1−ジメチルスルファモイル−1H−ベンゾイミダ
ゾル−2−イル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル。2,5,6−ト
リクロロ−1H−ベンゾイミダゾール2(27.6g、0.125mol)を乾燥DMF
(200mL)に溶解し、K2CO3(20.7g、0.15mol)及び塩化ジメチルス
ルファモイル(17.9g、0.125mol)を加えた。この反応混合物を室温で16
時間攪拌した。HPLC分析により、2,5,6−トリクロロ−ベンゾイミダゾール−1
−スルホン酸ジメチルアミドの完全な形成が示された。同じ容器に、2,5,6−トリク
ロロ−ベンゾイミダゾール−1−スルホン酸ジメチルアミドを分離することなく、1H−
ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(17.5g、0.125mol)及びK2
CO3(20.7g、0.15mol)を加えた。この反応混合物を70℃で4時間攪拌
し、反応溶液がまだ熱いうちに水(500mL)を加えた。この反応溶液を、室温に冷却
した。沈殿固形物を濾過により回収し、水で洗浄し、乾燥した。この粗生成物を、更に精
製することなく、次の反応に使用した。

0167

工程D:1−(5,6−ジクロロ−1H−ベンゾイミダゾル−2−イル)−1H−ピラ
ゾール−4−カルボン酸。粗1−(5,6−ジクロロ−1−ジメチルスルファモイル−1
H−ベンゾイミダゾル−2−イル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル
を、THF(125mL)中に溶かし、水(250mL)中のLiOH・H2O(21g
、0.5mol)を加えた。この反応混合物を還流温度で2時間攪拌し、室温に冷ました
。濃HClを加えてpHを2.0に調節した。固体の沈殿を濾過により回収し、水で洗浄
し、乾燥した。この固体を熱いEtOAc(1L)中で粉砕した。室温に冷まし、濾過し
た後、純粋な化合物が褐色の固体として得られた(18.5g、50%)。MS[M+H
]+実測値297.0。1H NMR(500MHz、DMSO−d6):13.71(s
,1H),12.99(s,1H),8.90(s,1H),8.32(s,1H),7
.94(s,1H),7.67(s,1H)。1−(5,6−ジクロロ−1H−ベンゾイ
ミダゾル−2−イル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸のカリウム塩の調製は、遊離
酸(55g、1.7mol)をEtOH(1.5L)中に還流温度で懸濁させた後、20
mLの水中のK2CO3(12.79g、0.85mol)を5分間かけて滴下して加える
ことにより行われた。適切な攪拌を確保するため、強力な機械的攪拌が必要であった。こ
の懸濁液を還流温度で8時間攪拌した後、5時間かけて室温に冷ました。沈殿固形物を濾
過により回収し、水(100mL)で迅速に洗い、次いでEtOHで洗った。カリウム塩
白色固体として得られた(38g、65%)。母液を濃縮し、上記のプロセスをもう一
度繰り返して、カリウム塩の第二収量を得た(13g、22%)。MS[M+H]+=2
97.0。1H NMR(500MHz、DMSO−d6):8.65(s,1H),7.
96(s,1H),7.57(s,2H)。

0168

実施例3:1−(5−トリフルオロメチル−1H−ベンゾイミダゾル−2−イル)−1
H−ピラゾール−4−カルボン酸。

0169

0170

実施例1と同様の方法で、工程Aにおいて2−クロロ−5−トリフルオロメチル−1H
−ベンゾイミダゾールを2−クロロベンゾイミダゾールの代わりに用い、標題化合物を調
製した。MS(ESI/CI):C12H7F3N4O2の質量計算値、296.2;m/z実
測値、295.0[M−H]-。1H NMR(500MHz、DMSO−d6):14.
44−12.32(br s,2H),8.94(d,J=0.5Hz,1H),8.3
3(d,J=0.5Hz,1H),7.96−7.83(br.s,1H),7.75(
br d,1H),7.58(dd,J=8.49,1.41Hz,1H)。

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