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技術 軟磁性金属粉末、圧粉磁心および磁性部品

出願人 TDK株式会社
発明者 森智子松元裕之堀野賢治吉留和宏中野拓真野老誠吾大塚翔太氏家徹森健太郎
出願日 2018年3月9日 (2年0ヶ月経過) 出願番号 2018-043644
公開日 2019年9月19日 (5ヶ月経過) 公開番号 2019-160942
状態 特許登録済
技術分野 軟質磁性材料 粉末冶金 一般用変成器の鉄心 変成器又はリアクトル一般 通信用コイル・変成器
主要キーワード 絶縁コーティング層 ビスマス酸塩 ホウケイ酸塩系ガラス EELSスペクトル 粉体被覆 リン酸塩処理法 軟磁性金属材料 ナノ結晶合金
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

耐電圧性磁気特性とを両立できる圧粉磁心、これを備える磁性部品および当該圧粉磁心に好適な軟磁性金属粉末を提供すること。

解決手段

Feを含む軟磁性金属粒子を複数含む軟磁性金属粉末であって、軟磁性金属粒子の表面は、絶縁性被覆部により覆われており、被覆部は、軟磁性金属微粒子を含むことを特徴とする軟磁性金属粉末である。

概要

背景

種電子機器電源回路に用いられる磁性部品として、トランスチョークコイルインダクタ等が知られている。

このような磁性部品は、所定の磁気特性を発揮する磁心コア)の周囲あるいは内部に、電気伝導体であるコイル巻線)が配置されている構成を有している。

インダクタ等の磁性部品が備える磁心に用いられる磁性材料としては、鉄(Fe)を含む軟磁性金属材料が例示される。磁心は、たとえば、Feを含む軟磁性金属から構成される粒子を含む軟磁性金属粉末圧縮成形することにより、圧粉磁心として得ることができる。

このような圧粉磁心においては、磁気特性を向上させるために、磁性成分の割合(充填率)が高められている。しかしながら、軟磁性金属は絶縁性が低いため、軟磁性金属粒子同士が接触していると、磁性部品への電圧印加時に、接触している粒子間を流れる電流(粒子間渦電流)に起因する損失が大きく、その結果、圧粉磁心のコアロスが大きくなってしまうという問題があった。

そこで、このような渦電流を抑制するために、軟磁性金属粒子の表面には絶縁被膜が形成されている。たとえば、特許文献1は、リン(P)の酸化物を含む粉末ガラス機械的摩擦により軟化させて、Fe系非晶質合金粉末の表面に絶縁コーティング層を形成することを開示している。

概要

耐電圧性と磁気特性とを両立できる圧粉磁心、これを備える磁性部品および当該圧粉磁心に好適な軟磁性金属粉末を提供すること。Feを含む軟磁性金属粒子を複数含む軟磁性金属粉末であって、軟磁性金属粒子の表面は、絶縁性の被覆部により覆われており、被覆部は、軟磁性金属微粒子を含むことを特徴とする軟磁性金属粉末である。

目的

本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、耐電圧性と磁気特性とを両立できる圧粉磁心、これを備える磁性部品および当該圧粉磁心に好適な軟磁性金属粉末を提供する

効果

実績

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請求項1

Feを含む軟磁性金属粒子を複数含む軟磁性金属粉末であって、前記軟磁性金属粒子の表面は、絶縁性被覆部により覆われており、前記被覆部は、軟磁性金属微粒子を含むことを特徴とする軟磁性金属粉末。

請求項2

前記被覆部は、P、Si、BiおよびZnからなる群から選ばれる1つ以上の元素化合物を主成分として含むことを特徴とする請求項1に記載の軟磁性金属粉末。

請求項3

前記軟磁性金属微粒子のアスペクト比が1:2〜1:10000であることを特徴とする請求項1または2に記載の軟磁性金属粉末。

請求項4

前記被覆部の厚みが1nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の軟磁性金属粉末。

請求項5

前記軟磁性金属粒子が結晶質を含み、平均結晶子径が1nm以上50nm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の軟磁性金属粉末。

請求項6

前記軟磁性金属粒子が非晶質であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の軟磁性金属粉末。

請求項7

請求項1から6のいずれかに記載の軟磁性金属粉末から構成される圧粉磁心

請求項8

請求項7に記載の圧粉磁心を備える磁性部品

技術分野

0001

本発明は軟磁性金属粉末圧粉磁心および磁性部品に関する。

背景技術

0002

種電子機器電源回路に用いられる磁性部品として、トランスチョークコイルインダクタ等が知られている。

0003

このような磁性部品は、所定の磁気特性を発揮する磁心コア)の周囲あるいは内部に、電気伝導体であるコイル巻線)が配置されている構成を有している。

0004

インダクタ等の磁性部品が備える磁心に用いられる磁性材料としては、鉄(Fe)を含む軟磁性金属材料が例示される。磁心は、たとえば、Feを含む軟磁性金属から構成される粒子を含む軟磁性金属粉末を圧縮成形することにより、圧粉磁心として得ることができる。

0005

このような圧粉磁心においては、磁気特性を向上させるために、磁性成分の割合(充填率)が高められている。しかしながら、軟磁性金属は絶縁性が低いため、軟磁性金属粒子同士が接触していると、磁性部品への電圧印加時に、接触している粒子間を流れる電流(粒子間渦電流)に起因する損失が大きく、その結果、圧粉磁心のコアロスが大きくなってしまうという問題があった。

0006

そこで、このような渦電流を抑制するために、軟磁性金属粒子の表面には絶縁被膜が形成されている。たとえば、特許文献1は、リン(P)の酸化物を含む粉末ガラス機械的摩擦により軟化させて、Fe系非晶質合金粉末の表面に絶縁コーティング層を形成することを開示している。

先行技術

0007

特開2015−132010号公報

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、絶縁コーティング層は非磁性であるため、絶縁コーティング層の厚みが大きくなると、圧粉磁心において、磁気特性に寄与する成分の割合が少なくなってしまう。その結果、所定の磁気特性、たとえば、透磁率の低下を招くという問題があった。

0009

一方、絶縁コーティング層の厚みが十分でないと、絶縁破壊が生じやすく、耐電圧性が悪化するという問題があった。

0010

本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、耐電圧性と磁気特性とを両立できる圧粉磁心、これを備える磁性部品および当該圧粉磁心に好適な軟磁性金属粉末を提供することである。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、軟磁性金属粒子の外側に形成される絶縁コーティング層の厚みを十分に確保し、かつ絶縁コーティング層の内部に磁性成分を含有させることにより、耐電圧性と磁気特性とを両立できることを見出し、本発明を完成させるに至った。

0012

すなわち、本発明の態様は、
[1]Feを含む軟磁性金属粒子を複数含む軟磁性金属粉末であって、
軟磁性金属粒子の表面は、絶縁性の被覆部により覆われており、
被覆部は、軟磁性金属微粒子を含むことを特徴とする軟磁性金属粉末である。

0013

[2]被覆部は、P、Si、BiおよびZnからなる群から選ばれる1つ以上の元素化合物を主成分として含むことを特徴とする[1]に記載の軟磁性金属粉末である。

0014

[3]軟磁性金属微粒子のアスペクト比が1:2〜1:10000であることを特徴とする[1]または[2]に記載の軟磁性金属粉末である。

0015

[4]被覆部の厚みが1nm以上100nm以下であることを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載の軟磁性金属粉末である。

0016

[5]軟磁性金属粒子が結晶質を含み、平均結晶子径が1nm以上50nm以下であることを特徴とする[1]から[4]のいずれかに記載の軟磁性金属粉末である。

0017

[6]軟磁性金属粒子が非晶質であることを特徴とする[1]から[4]のいずれかに記載の軟磁性金属粉末である。

0018

[7][1]から[6]のいずれかに記載の軟磁性金属粉末から構成される圧粉磁心である。

0019

[8][7]に記載の圧粉磁心を備える磁性部品である。

発明の効果

0020

本発明によれば、耐電圧性と磁気特性とを両立できる圧粉磁心、これを備える磁性部品および当該圧粉磁心に好適な軟磁性金属粉末を提供することができる。

図面の簡単な説明

0021

図1は、本実施形態に係る軟磁性金属粉末を構成する被覆粒子断面模式図である。
図2は、図1に示すII部分を拡大した拡大断面模式図である。
図3は、被覆部を形成するために用いる粉末被覆装置の構成を示す断面模式図である。
図4は、本発明の実施例において、被覆粒子の被覆部近傍のSTEMEELSスペクトル像である。

0022

以下、本発明を、図面に示す具体的な実施形態に基づき、以下の順序で詳細に説明する。
1.軟磁性金属粉末
1.1.軟磁性金属粒子
1.2.被覆部
1.2.1.軟磁性金属微粒子を含む被覆部
1.2.2.その他の構成
2.圧粉磁心
3.磁性部品
4.圧粉磁心の製造方法
4.1.軟磁性金属粉末の製造方法
4.2.圧粉磁心の製造方法

0023

(1.軟磁性金属粉末)
本実施形態に係る軟磁性金属粉末は、図1に示すように、軟磁性金属粒子2の表面に被覆部10が形成された被覆粒子1を複数含む。軟磁性金属粉末に含まれる粒子の個数割合を100%とした場合、被覆粒子の個数割合が90%以上であることが好ましく、95%以上であることが好ましい。なお、軟磁性金属粒子2の形状は特に制限されないが、通常、球形である。

0024

また、本実施形態に係る軟磁性金属粉末の平均粒子径(D50)は、用途および材質に応じて選択すればよい。本実施形態では、平均粒子径(D50)は、0.3〜100μmの範囲内であることが好ましい。軟磁性金属粉末の平均粒子径を上記の範囲内とすることにより、十分な成形性あるいは所定の磁気特性を維持することが容易となる。平均粒子径の測定方法としては、特に制限されないが、レーザー回折散乱法を用いることが好ましい。

0025

(1.1.軟磁性金属粒子)
本実施形態では、軟磁性金属粒子の材質は、Feを含み軟磁性を示す材料であれば特に制限されない。本実施形態に係る軟磁性金属粉末が奏する効果は、主として、後述する被覆部に起因するものであり、軟磁性金属粒子の材質の寄与は小さいからである。

0026

Feを含み軟磁性を示す材料としては、純鉄Fe系合金、Fe−Si系合金、Fe−Al系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Si−Al系合金、Fe−Si−Cr系合金、Fe−Ni−Si−Co系合金、Fe系アモルファス合金、Fe系ナノ結晶合金等が例示される。

0027

Fe系アモルファス合金は、合金を構成する原子の配列がランダムであり、合金全体として結晶性を有していない非晶質合金である。Fe系アモルファス合金としては、たとえば、Fe−Si−B系、Fe−Si−B−Cr−C系等が例示される。

0028

Fe系ナノ結晶合金は、Fe系アモルファス合金、または、初期微結晶が非晶質中に存在するナノヘテロ構造を有するFe系合金を熱処理することにより、非晶質中にナノメートルオーダー微結晶析出した合金である。

0029

本実施形態では、Fe系ナノ結晶合金から構成される軟磁性金属粒子における平均結晶子径が1nm以上50nm以下であることが好ましく、5nm以上30nm以下であることがより好ましい。平均結晶子径が上記の範囲内であることにより、軟磁性金属粒子に被覆部を形成する際に、当該粒子に応力が掛かっても、保磁力の増加を抑制することができる。

0030

Fe系ナノ結晶合金としては、たとえば、Fe−Nb−B系、Fe−Si−Nb−B−Cu系、Fe−Si−P−B−Cu系等が例示される。

0031

また、本実施形態では、軟磁性金属粉末は、材質が同じ軟磁性金属粒子のみを含んでいてもよいし、材質が異なる軟磁性金属粒子が混在していてもよい。たとえば、軟磁性金属粉末は、複数のFe系合金粒子と、複数のFe−Si系合金粒子との混合物であってもよい。

0032

なお、異なる材質とは、金属または合金を構成する元素が異なる場合、構成する元素が同じであってもその組成が異なる場合、結晶系が異なる場合等が例示される。

0033

(1.2.被覆部)
被覆部10は、図1に示すように、軟磁性金属粒子2の表面を覆うように形成されている。本実施形態では、表面が物質により被覆されているとは、当該物質が表面に接触して接触した部分を覆うように固定されている形態をいう。また、軟磁性金属粒子または被覆部の表面を被覆する被覆部は、粒子の表面の少なくとも一部を覆っていればよいが、表面の全部を覆っていることが好ましい。さらに、被覆部は粒子の表面を連続的に覆っていてもよいし、断続的に覆っていてもよい。

0034

(1.2.1.軟磁性金属微粒子を含む被覆部)
被覆部10は、軟磁性金属粉末を構成する軟磁性金属粒子同士を絶縁できるような構成であれば、特に制限されない。本実施形態では、被覆部10は、P、Si、BiおよびZnからなる群から選ばれる1つ以上の元素の化合物を含んでいることが好ましい。また、当該化合物は酸化物であることがより好ましく、酸化物ガラスであることが特に好ましい。

0035

また、P、Si、BiおよびZnからなる群から選ばれる1つ以上の元素の化合物は、被覆部10において、主成分として含まれていることが好ましい。「P、Si、BiおよびZnからなる群から選ばれる1つ以上の元素の酸化物を主成分として含む」とは、被覆部10に含まれる元素のうち、酸素を除いた元素の合計量を100質量%とした場合に、P、Si、BiおよびZnからなる群から選ばれる1つ以上の元素の合計量が最も多いことを意味する。また、本実施形態では、これらの元素の合計量は50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。

0036

酸化物ガラスとしては特に限定されず、たとえば、リン酸塩(P2O5)系ガラスビスマス酸塩(Bi2O3)系ガラス、ホウケイ酸塩(B2O3−SiO2)系ガラス等が例示される。

0037

P2O5系ガラスとしては、P2O5が50wt%以上含まれるガラスが好ましく、P2O5−ZnO−R2O−Al2O3系ガラス等が例示される。なお、「R」はアルカリ金属を示す。

0038

Bi2O3系ガラスとしては、Bi2O3が50wt%以上含まれるガラスが好ましく、Bi2O3−ZnO−B2O3−SiO2系ガラス等が例示される。

0039

B2O3−SiO2系ガラスとしては、B2O3が10wt%以上含まれ、SiO2が10wt%以上含まれるガラスが好ましく、BaO−ZnO−B2O3−SiO2−Al2O3系ガラス等が例示される。

0040

このような被覆部を有していることにより、被覆粒子は高い絶縁性を示すので、被覆粒子を含む軟磁性金属粉末から構成される圧粉磁心の抵抗率が向上する。

0041

本実施形態では、図2に示すように、被覆部10の内部に、軟磁性金属微粒子20が存在している。被覆粒子1において、最外層である被覆部10の内部に、軟磁性を示す微粒子が存在することにより、被覆部の厚みを大きくした場合、すなわち、絶縁性を高めた場合であっても、透磁率の低下を抑制できる。したがって、耐電圧性と磁気特性とを両立することができる。

0042

また、軟磁性金属微粒子20は、短径方向SDが被覆粒子1の周方向CDよりも径方向RDに近く、長径方向LDが被覆粒子の径方向RDより周方向CDに近いことが好ましい。このような形態で存在することにより、本実施形態に係る軟磁性金属粉末が圧粉成形される際に、各被覆粒子に圧力が掛かっても、軟磁性金属微粒子20が圧力を分散することができるので、軟磁性金属微粒子20が存在していても被覆部10の破壊が抑制され、絶縁性を維持することができる。

0043

また、軟磁性金属微粒子20の短径と長径とから算出されるアスペクト比(短径:長径)は、1:2〜1:10000であることが好ましい。また、アスペクト比は、1:2以上であることがより好ましく、1:10以上であることがさらに好ましい。一方、1:1000以下であることがより好ましく、1:100以下であることがさらに好ましい。軟磁性金属微粒子20の形状に異方性を持たせることにより、軟磁性金属微粒子20を通る磁束が1点に集中せず、面上に分散することになるため、粉末接点での磁気飽和を抑制でき直流重畳特性が良好となる。なお、軟磁性金属微粒子20の長径は、軟磁性金属微粒子20が被覆部10の内部に存在していれば、特に制限されないが、たとえば、10nm以上1000nm以下である。

0044

軟磁性金属微粒子20の材質としては、軟磁性を示す金属であれば特に制限されない。具体的には、Fe、Fe−Co系合金、Fe−Ni−Cr系合金等が例示される。また、被覆部10が形成される軟磁性金属粒子2の材質と同じであってもよいし、異なっていてもよい。

0045

本実施形態では、軟磁性金属粉末に含まれる被覆粒子1の個数割合を100%とした場合に、被覆部10の内部に軟磁性金属微粒子2が存在する被覆粒子1の個数割合は、特に制限されないが、たとえば、50%以上100%以下であることが好ましい。

0046

被覆部に含まれる成分は、走査型透過電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope:STEM)等の透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)を用いたエネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:EDS)による元素分析電子エネルギー損失分光法(Electron Energy Loss Spectroscopy:EELS)による元素分析、TEM画像の高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT解析等により得られる格子定数等の情報から同定することができる。

0047

被覆部10の厚みは、上記の効果が得られる限りにおいて特に制限されない。本実施形態では、5nm以上200nm以下であることが好ましい。また、150nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。

0048

(1.2.2.その他の構成)
被覆部10に、P、Si、BiおよびZnからなる群から選ばれる1つ以上の元素の化合物が含まれている場合、軟磁性金属粒子2と被覆部10との間に、別の被覆部(被覆部A)が形成されていてもよい。このような被覆部Aとしては、たとえば、Feの酸化物を主成分として含んでいることが好ましい。また、Feの酸化物は緻密な酸化物であることが好ましい。

0049

また、被覆部10に、Pの化合物が含まれている場合には、軟磁性金属粒子2と被覆部10との間に、別の被覆部(被覆部B)が形成されていてもよい。このような被覆部Bとしては、たとえば、Cu、W、MoおよびCrからなる群から選ばれる1つ以上の元素を含んでいることが好ましい。すなわち、これらの元素が金属単体として存在していることが好ましい。

0050

軟磁性金属粒子2と被覆部10との間に、上記の被覆部A、または、被覆部Bが形成されている場合、軟磁性金属粒子2を構成するFeが被覆部10に移動して、被覆部10内の成分と反応することを抑制することができる。その結果、耐電圧性と磁気特性とを両立できることに加えて、圧粉磁心の耐熱性を向上させることができる。

0051

(2.圧粉磁心)
本実施形態に係る圧粉磁心は、上述した軟磁性金属粉末から構成され、所定の形状を有するように形成されていれば特に制限されない。本実施形態では、軟磁性金属粉末と結合剤としての樹脂とを含み、当該軟磁性金属粉末を構成する軟磁性金属粒子同士が樹脂を介して結合することにより所定の形状に固定されている。また、当該圧粉磁心は、上述した軟磁性金属粉末と他の磁性粉末との混合粉末から構成され、所定の形状に形成されていてもよい。

0052

(3.磁性部品)
本実施形態に係る磁性部品は、上記の圧粉磁心を備えるものであれば特に制限されない。たとえば、所定形状の圧粉磁心内部に、ワイヤ巻回された空芯コイル埋設された磁性部品であってもよいし、所定形状の圧粉磁心の表面にワイヤが所定の巻き数だけ巻回されてなる磁性部品であってもよい。本実施形態に係る磁性部品は、電源回路に用いられるパワーインダクタに好適である。

0053

(4.圧粉磁心の製造方法)
続いて、上記の磁性部品が備える圧粉磁心を製造する方法について説明する。まず、圧粉磁心を構成する軟磁性金属粉末を製造する方法について説明する。

0054

(4.1.軟磁性金属粉末の製造方法)
本実施形態では、被覆部が形成される前の軟磁性金属粉末は、公知の軟磁性金属粉末の製造方法と同様の方法を用いて得ることができる。具体的には、ガスアトマイズ法水アトマイズ法回転ディスク法等を用いて製造することができる。また、単ロール法により得られる薄帯機械的に粉砕して製造してもよい。これらの中では、所望の磁気特性を有する軟磁性金属粉末が得られやすいという観点から、ガスアトマイズ法を用いることが好ましい。

0055

ガスアトマイズ法では、まず、軟磁性金属粉末を構成する軟磁性金属の原料が溶解した溶湯を得る。軟磁性金属に含まれる各金属元素の原料(純金属等)を準備し、最終的に得られる軟磁性金属の組成となるように量し、当該原料を溶解する。なお、金属元素の原料を溶解する方法は特に制限されないが、たとえば、アトマイズ装置チャンバー内で真空引きした後に高周波加熱にて溶解させる方法が例示される。溶解時の温度は、各金属元素の融点を考慮して決定すればよいが、たとえば1200〜1500℃とすることができる。

0056

得られた溶湯をルツボ底部に設けられたノズルを通じて線状の連続的な流体としてチャンバー内に供給し、供給された溶湯に高圧ガスを吹き付けて、溶湯を液滴化するとともに、急冷して微細な粉末を得る。ガス噴射温度、チャンバー内の圧力等は、軟磁性金属の組成に応じて決定すればよい。また、粒子径については分級気流分級等をすることにより粒度調整が可能である。

0057

続いて、得られる軟磁性金属粒子に対して被覆部を形成する。被覆部を形成する方法としては、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。軟磁性金属粒子に対して湿式処理を行って被覆部を形成してもよいし、乾式処理を行って被覆部を形成してもよい。

0058

本実施形態では、メカノケミカルを利用したコーティング方法リン酸塩処理法ゾルゲル法等により形成することができる。メカノケミカルを利用したコーティング方法では、たとえば、図3に示す粉末被覆装置100を用いる。軟磁性金属粉末と、被覆部を構成する材質(P、Si、Bi、Znの化合物等)の粉末状コーティング材と軟磁性金属微粒子との混合粉末を、粉末被覆装置の容器101内に投入する。投入後、容器101を回転させることにより、軟磁性金属粉末と混合粉末との混合物50が、グラインダー102と容器101の内壁との間で圧縮され摩擦が生じて熱が発生する。この発生した摩擦熱により、粉末状コーティング材が軟化し、軟磁性金属微粒子をその内部に包含しつつ、圧縮作用により軟磁性金属粒子の表面に固着して、軟磁性金属微粒子を内部に含む被覆部を形成することができる。

0059

メカノケミカルを利用したコーティング方法では、容器の回転速度、グラインダーと容器の内壁との間の距離等を調整することにより、発生する摩擦熱を制御して、軟磁性金属粉末と混合粉末との混合物の温度を制御することができる。本実施形態では、当該温度は、50℃以上150℃以下であることが好ましい。このような温度範囲とすることにより、被覆部が軟磁性金属粒子の表面を覆うように形成しやすくなる。

0060

なお、粉末状コーティング材と軟磁性金属微粒子との混合粉末100wt%に対する軟磁性金属微粒子の割合は、0.00001〜0.5wt%程度とすることが好ましい。

0061

(4.2.圧粉磁心の製造方法)
圧粉磁心は、上記の軟磁性金属粉末を用いて製造する。具体的な製造方法としては、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。まず、被覆部を形成した軟磁性金属粒子を含む軟磁性金属粉末と、結合剤としての公知の樹脂とを混合し、混合物を得る。また、必要に応じて、得られた混合物を造粒粉としてもよい。そして、混合物または造粒粉を金型内充填して圧縮成形し、作製すべき圧粉磁心の形状を有する成形体を得る。得られた成形体に対して、たとえば50〜200℃で熱処理を行うことにより、樹脂が硬化し軟磁性金属粒子が樹脂を介して固定された所定形状の圧粉磁心が得られる。得られた圧粉磁心に、ワイヤを所定回数だけ巻回することにより、インダクタ等の磁性部品が得られる。

0062

また、上記の混合物または造粒粉と、ワイヤを所定回数だけ巻回して形成された空心コイルとを、金型内に充填して圧縮成形しコイルが内部に埋設された成形体を得てもよい。得られた成形体に対して、熱処理を行うことにより、コイルが埋設された所定形状の圧粉磁心が得られる。このような圧粉磁心は、その内部にコイルが埋設されているので、インダクタ等の磁性部品として機能する。

0063

以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の態様で改変しても良い。

0064

以下、実施例を用いて、発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0065

実験例1〜66)
まず、表1および2に示す組成を有する軟磁性金属から構成され、平均粒子径D50が表1および2に示す値である軟磁性金属粒子からなる粉末を準備した。準備した粉末を、表1および2に示す組成を有する粉末ガラス(コーティング材)と表1および2に示す組成およびサイズを有する軟磁性金属微粒子とともに、粉体被覆装置の容器内に投入し、粉末ガラスを軟磁性金属粒子の表面にコーティングして、被覆部を形成することにより、軟磁性金属粉末が得られた。

0066

粉末ガラスの添加量は、当該粉末100wt%に対して、0.5wt%とした。また、軟磁性金属微粒子の添加量は、当該粉末100wt%に対して0.01wt%とした。

0067

また、本実施例では、リン酸塩系ガラスとしてのP2O5−ZnO−R2O−Al2O3系粉末ガラスにおいて、P2O5が50wt%、ZnOが12wt%、R2Oが20wt%、Al2O3が6wt%であり、残部が副成分であった。

0068

なお、本発明者らは、P2O5が60wt%、ZnOが20wt%、R2Oが10wt%、Al2O3が5wt%であり、残部が副成分である組成を有するガラス、P2O5が60wt%、ZnOが20wt%、R2Oが10wt%、Al2O3が5wt%であり、残部が副成分である組成を有するガラス等についても同様の実験を行い、後述する結果と同様の結果が得られることを確認している。

0069

また、本実施例では、ビスマス酸塩系ガラスとしてのBi2O3−ZnO−B2O3−SiO2系粉末ガラスにおいて、Bi2O3が80wt%、ZnOが10wt%、B2O3が5wt%、SiO2が5wt%であった。ビスマス酸塩系ガラスとして他の組成を有するガラスについても同様の実験を行い、後述する結果と同様の結果が得られることを確認している。

0070

また、本実施例では、ホウケイ酸塩系ガラスとしてのBaO−ZnO−B2O3−SiO2−Al2O3系粉末ガラスにおいて、BaOが8wt%、ZnOが23wt%、B2O3が19wt%、SiO2が16wt%、Al2O3が6wt%であり、残部が副成分であった。ホウケイ酸塩系ガラスとして他の組成を有するガラスについても同様の実験を行い、後述する結果と同様の結果が得られることを確認している。

0071

作製した軟磁性金属粉末のうち、実験例18の試料に対して、STEMにより、被覆粒子の被覆部近傍の明視野像を得た。得られた明視野像を図4に示す。また、図4に示す明視野像においてEELSのスペクトル分析を行い、元素マッピングをおこなった。図4に示す明視野像および元素マッピングの結果より、被覆部の内部には、組成がFeでありアスペクト比が1:10である軟磁性金属微粒子が存在していることが確認できた。

0072

次に、得られた軟磁性金属粉末を用いて圧粉磁心を作製した。熱硬化樹脂であるエポキシ樹脂および硬化剤であるイミド樹脂を秤量し、アセトンに加えて溶液化し、その溶液と軟磁性金属粉末とを混合した。混合後、アセトンを揮発させて得られた顆粒を、355μmのメッシュ整粒した。これを外径11mm、内径6.5mmのトロイダル形状金型に充填し、成形圧3.0t/cm2で加圧し圧粉磁心の成形体を得た。得られた圧粉磁心の成形体を180℃で1時間樹脂を硬化させ圧粉磁心を得た。

0073

なお、エポキシ樹脂およびイミド樹脂の総量は、圧粉磁心に占める軟磁性金属粉末の充填率に応じて調整した。充填率は、圧粉磁心の透磁率(μ0)が27〜28となるように調整した。

0074

作製した圧粉磁心の試料に対して、透磁率(μ0)および透磁率(μ8k)を測定した。また、測定されたμ0に対するμ8kの比を算出した。この比は、直流電流が圧粉磁心に印加された場合の透磁率の低下率を示している。したがって、この比は直流重畳特性を示しており、この比が1に近いほど、直流重畳特性が良好であることを示す。結果を表1および2に示す。

0075

0076

0077

表1および2より、被覆部内部に所定のアスペクト比を有する軟磁性金属微粒子が存在することにより、透磁率及び直流重畳特性が向上することが確認できた。したがって、換言すれば、透磁率および直流重畳特性等の磁気特性を維持しつつ、粒子間の絶縁性を確実に確保することができる。

0078

(実験例67〜108)
粉末に対して、被覆部の厚みおよび軟磁性金属微粒子の有無を表3に示す構成とした以外は、実験例1〜66と同様にして、軟磁性金属粉末を作製した。作製した軟磁性金属粉末を用いて、粉末100wt%に対する樹脂量を3wt%とした以外は、実験例1〜66と同様にして、圧粉磁心の試料を作製した。作製した圧粉磁心について、実験例1〜66と同様にして、透磁率(μ0)を評価した。

0079

さらに、圧粉磁心の試料の上下にソースメーターを用いて電圧を印加し、1mAの電流が流れた電圧値耐電圧とした。本実施例では、軟磁性金属粉末の組成、平均粒子径(D50)、および、圧粉磁心を形成する際に用いた樹脂量が同じ試料のうち、比較例となる試料の耐電圧よりも高い耐電圧を示す試料を良好とした。樹脂量の違いにより耐電圧が変化するためである。結果を表3に示す。

0080

0081

表3より、被覆部の厚みを所定の範囲内とすることにより、絶縁性と耐電圧性とを両立できることが確認できた。また、被覆部内部に所定のアスペクト比を有する軟磁性金属微粒子が存在することにより、被覆部の厚みが大きい場合であっても、直流重畳特性が低下しないことが確認できた。

0082

(実験例109〜136)
表4に示す組成を有する軟磁性金属から構成され、平均粒子径D50が表4に示す値である軟磁性金属粒子からなる粉末を準備し、実験例1〜66と同様にして、表4に示す組成を有するコーティング材を用いて被覆部を形成した。なお、粉末100wt%に対して、当該粉末の平均粒子径(D50)が3μm以下である場合には3wt%、5μm以上10μm以下である場合には1wt%、20μm以上である場合には0.5wt%に設定した。所定の厚みを形成するために必要な粉末ガラス量は、被覆部が形成される軟磁性金属粉末の粒子径により異なるからである。

0083

本実施例では、被覆部を形成する前の粉末と、被覆部を形成した後の粉末と、に対して、保磁力を測定した。保磁力は、φ6mm×5mmのプラスチックケースに20mgの粉末を入れ、パラフィン融解凝固させて固定したものを、東特殊鋼製保磁力計(K-HC1000型)を用いて測定した。測定磁界は150kA/mとした。また、被覆部が形成される前後の保磁力の比を算出した。結果を表4に示す。

0084

また、被覆部を形成する前の粉末に対して、X線回折を行い、平均結晶子径を算出した。結果を表4に示す。なお、実験例116〜120の試料はアモルファス系であるので、結晶子径の測定は行わなかった。

0085

実施例

0086

表4より、平均結晶子径が上述した範囲内である場合には、被覆部の形成前後で保磁力はそれほど増加しないことが確認できた。

0087

1…被覆粒子
2…軟磁性金属粒子
10…被覆部
20…軟磁性金属微粒子

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