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課題
解決手段
概要
背景
鋼の連続鋳造を行う際には、鋳型内の溶鋼湯面上に連続鋳造用モールドフラックス(以下、「モールドフラックス」と記載する場合がある)が添加される。このモールドフラックスは、鋳型内の溶鋼表面において溶融して鋳型壁と凝固殻との間に流入する。
そして、モールドフラックスは、鋳型壁と凝固殻との間でフラックスフィルムを形成し、鋳型と凝固殻の間で潤滑作用を奏する。
また、このフラックスフィルム中の結晶化を促進すると、輻射伝熱の抑制により、フラックスフィルム中の伝熱抵抗が増大し、鋳型内の溶鋼が緩冷却化されることになり、凝固により生成する凝固殻の厚みを均一に成長させることが可能となる。これにより、鋳片の表面割れを抑制することができる。
上述のモールドフラックスは、一般的にSiO2、CaO,アルカリ金属酸化物、Fを主成分としており、この組成中に生じる主な結晶相はcuspidine(Ca4Si2O7F2)である。このcuspidine(Ca4Si2O7F2)の結晶化を促進させることが、凝固殻の均一成長及び鋳片表面割れの防止に有効となる。ここで、cuspidine(Ca4Si2O7F2)の結晶化を促進させるためには、CaO、SiO2等の濃度を適正化する必要がある。
ここで、例えば特許文献1−3には、フラックスフィルム中の結晶化を促進するために組成を規定したモールドフラックスが提案されている。
概要
フラックスフィルム中の結晶化を促進させることができるとともに、溶鋼の清浄度の低下を抑制することができ、鋳片表面割れおよび介在物に起因する圧延時のスリバー疵の発生を抑制することが可能な連続鋳造用モールドフラックスを提供する。質量比で、CaOを25%以上60%以下の範囲内、SiO2を15%以上45%以下の範囲内、アルカリ金属酸化物の一種以上を0%以上20%以下の範囲内、Fを5%以上25%以下の範囲内で含有し、その他の成分の合計濃度が2%以上10%以下の範囲内とされ、含まれるSiO2、CaO、アルカリ金属酸化物、Fの含有量が、所定の式を満足するとともに、アルカリ金属酸化物であるNa2O及びK2Oの含有量が、それぞれ1.0%未満とされている。なし
目的
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、モールドフィルム中の結晶化を促進させることができるとともに、溶鋼の清浄度の低下を抑制することができ、鋳片表面割れおよび介在物に起因する圧延時のスリバー疵の発生を抑制することが可能な連続鋳造用モールドフラックス、及び、鋼の連続鋳造方法を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
請求項1
質量比で、CaOを25%以上60%以下の範囲内、SiO2を15%以上45%以下の範囲内、アルカリ金属酸化物の一種以上を0%以上20%以下の範囲内、Fを5%以上25%以下の範囲内で含有し、その他の成分の合計濃度が2%以上10%以下の範囲内とされ、含まれる各元素又は各化合物Mの含有量(質量%)をWMと表記した場合において、SiO2、CaO、アルカリ金属酸化物、Fの含有量が、以下の(1)〜(3)式を満足し、Na2O及びK2Oが、それぞれ単独の濃度で1.0%未満とされていることを特徴とする連続鋳造用モールドフラックス。(1)式:0.90≦f(1)=(CaO)h/(SiO2)h≦1.90(2)式:0.10≦f(2)=(CaF2)h/{(CaO)h+(SiO2)h+(CaF2)h}≦0.40(3)式:0.00≦f(3)={(アルカリ金属の弗化物)h+(Al2O3)h}/{(CaO)h+(SiO2)h+(アルカリ金属の弗化物)h+(Al2O3)h}≦0.40ここで、(SiO2)h=WSiO2(Al2O3)h=WAl2O3(CaF2)h=(WF−WLi2O×1.27−WNa2O×0.613−WK2O×0.403)×2.05(CaO)h=(WCaO−(CaF2)h×0.718)(アルカリ金属の弗化物)h=WLi2O×1.74+WNa2O×1.35+WK2O×1.23
請求項2
技術分野
0001
本発明は、鋼を連続鋳造する際に鋳型内に供給される連続鋳造用モールドフラックス、及びこの連続鋳造用モールドフラックスを用いた鋼の連続鋳造方法に関するものである。
背景技術
0002
鋼の連続鋳造を行う際には、鋳型内の溶鋼湯面上に連続鋳造用モールドフラックス(以下、「モールドフラックス」と記載する場合がある)が添加される。このモールドフラックスは、鋳型内の溶鋼表面において溶融して鋳型壁と凝固殻との間に流入する。
そして、モールドフラックスは、鋳型壁と凝固殻との間でフラックスフィルムを形成し、鋳型と凝固殻の間で潤滑作用を奏する。
また、このフラックスフィルム中の結晶化を促進すると、輻射伝熱の抑制により、フラックスフィルム中の伝熱抵抗が増大し、鋳型内の溶鋼が緩冷却化されることになり、凝固により生成する凝固殻の厚みを均一に成長させることが可能となる。これにより、鋳片の表面割れを抑制することができる。
0003
上述のモールドフラックスは、一般的にSiO2、CaO,アルカリ金属酸化物、Fを主成分としており、この組成中に生じる主な結晶相はcuspidine(Ca4Si2O7F2)である。このcuspidine(Ca4Si2O7F2)の結晶化を促進させることが、凝固殻の均一成長及び鋳片表面割れの防止に有効となる。ここで、cuspidine(Ca4Si2O7F2)の結晶化を促進させるためには、CaO、SiO2等の濃度を適正化する必要がある。
ここで、例えば特許文献1−3には、フラックスフィルム中の結晶化を促進するために組成を規定したモールドフラックスが提案されている。
先行技術
0004
特開2006−247712号公報
特開2006−289383号公報
特開2017−013082号公報
発明が解決しようとする課題
0005
ところで、モールドフラックスに含まれるアルカリ金属酸化物は、溶鋼中のAlと酸化還元反応し、鋳型内の溶鋼表面にAl2O3の非金属介在物を生成させるおそれがある。また、酸化還元反応が起こっている界面は張力が低下するため、溶鋼表面上の溶融フラックスが溶鋼中に巻き込まれやすくなる。溶鋼中に巻き込まれた溶融フラックスは、非金属介在物となる。このため、溶鋼の清浄度が低下し、介在物に起因して圧延時にスリバー疵が発生しやすくなるといった問題があった。
上述した特許文献1−3に記載されたモールドフラックスにおいては、溶鋼中の非金属介在物については何ら考慮されていないため、溶鋼の清浄度を向上させることはできなかった。
0006
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、モールドフィルム中の結晶化を促進させることができるとともに、溶鋼の清浄度の低下を抑制することができ、鋳片表面割れおよび介在物に起因する圧延時のスリバー疵の発生を抑制することが可能な連続鋳造用モールドフラックス、及び、鋼の連続鋳造方法を提供することを目的としている。
課題を解決するための手段
0007
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、モールドフラックスに主に含まれるアルカリ金属酸化物であるLi2O、Na2O、K2Oを比較すると、Na2O、K2Oは、Li2Oに比べて、溶鋼中のAlと酸化還元反応しやすく、溶鋼の清浄度が低下するとの知見を得た。
また、溶融したモールドフラックス中において、Fイオンはアルカリ金属酸化物イオンとの親和性が強いため、Fはアルカリ金属とフッ化物を構成していると考えられ、過剰なFがCaとフッ化物を構成していると考えられる。このため、モールドフラックス組成をCaO−SiO2−CaF2−(LiF+NaF+KF)系の組成であると考えることが適切であるとの知見を得た。
0008
本発明は、上述の知見に基づいてなされたものであって、本発明に係る連続鋳造用モールドフラックスは、質量比で、CaOを25%以上60%以下の範囲内、SiO2を15%以上45%以下の範囲内、アルカリ金属酸化物の一種以上を0%以上20%以下の範囲内、Fを5%以上25%以下の範囲内で含有し、その他の成分の合計濃度が2%以上10%以下の範囲内とされ、含まれる各元素又は各化合物Mの含有量(質量%)をWMと表記した場合において、SiO2、CaO、アルカリ金属酸化物、Fの含有量が、以下の(1)〜(3)式を満足し、アルカリ金属酸化物であるNa2O及びK2Oの含有量が、それぞれ1.0%未満とされていることを特徴としている。
(1)式:0.90≦f(1)=(CaO)h/(SiO2)h≦1.90
(2)式:0.10≦f(2)=(CaF2)h/{(CaO)h+(SiO2)h+(CaF2)h}≦0.40
(3)式:0.00≦f(3)={(アルカリ金属の弗化物)h+(Al2O3)h}/{(CaO)h+(SiO2)h+(アルカリ金属の弗化物)h+(Al2O3)h}≦0.40
ここで、
(SiO2)h=WSiO2
(Al2O3)h=WAl2O3
(CaF2)h=(WF−WLi2O×1.27−WNa2O×0.613−WK2O×0.403)×2.05
(CaO)h=(WCaO−(CaF2)h×0.718)
(アルカリ金属の弗化物)h=WLi2O×1.74+WNa2O×1.35+WK2O×1.23
0009
この構成の連続鋳造用モールドフラックスによれば、アルカリ金属酸化物であるNa2O及びK2Oの含有量が、それぞれ1.0%未満とされているので、溶鋼中のAlと酸化還元反応しやすいNa2O及びK2Oの含有量が少なく、溶鋼中のAlと酸化還元反応してAl2O3の非金属介在物が生成することを抑制できる。また、酸化還元反応が抑制されることで、界面の張力低下による溶融フラックスの巻き込みも抑制することができる。よって、溶鋼の清浄度の低下を抑制でき、介在物に起因する圧延時のスリバー疵の発生を抑制することができる。
0010
また、SiO2、CaO、アルカリ金属酸化物、Fの含有量が、以下の(1)〜(3)式を満足しているので、溶融したモールドフラックス中においてcuspidine(Ca4Si2O7F2)の結晶化を促進させることができ、鋳型内の溶鋼が緩冷却化されることになり、凝固により生成する凝固殻の厚みを均一に成長させることが可能となる。これにより、鋳片の表面割れを抑制することができる。なお、本発明においては、上述のように、アルカリ金属酸化物であるNa2O及びK2Oの含有量を制限しているので、アルカリ金属酸化物としてはLi2Oが主体となる。
0011
本発明に係る鋼の連続鋳造方法は、上述の連続鋳造用モールドフラックスを鋳型内に供給することを特徴としている。
この構成の鋼の連続鋳造方法においては、溶鋼に含まれるAlと連続鋳造用モールドフラックスに含まれるNa2O及びK2Oとの酸化還元反応によってAl2O3の非金属介在物が生成することを抑制できるとともに、溶融モールドフラックスの巻き込みを抑制でき、介在物の少ない鋳片を得ることができる。
また、溶融したモールドフラックス中においてcuspidine(Ca4Si2O7F2)の結晶化が促進され、鋳型内の溶鋼が緩冷却化されることになり、凝固により生成する凝固殻の厚みを均一に成長させることが可能となる。これにより、鋳片の表面割れを抑制することができる。
発明の効果
0012
上述のように、本発明によれば、フラックスフィルム中の結晶化を促進させることができるとともに、溶鋼の清浄度の低下を抑制することができ、鋳片表面割れおよび介在物に起因する圧延時のスリバー疵の発生を抑制することが可能な連続鋳造用モールドフラックス、及び、鋼の連続鋳造方法を提供することが可能となる。
0013
以下に、本発明の実施形態である連続鋳造用モールドフラックス及び鋼の連続鋳造方法について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態である連続鋳造用モールドフラックスは、質量比で、CaOを25%以上60%以下の範囲内、SiO2を15%以上45%以下の範囲内、アルカリ金属酸化物の一種以上を0%以上20%以下の範囲内、Fを5%以上25%以下の範囲内で含有し、その他の成分の合計濃度が2%以上10%以下の範囲内とされ、アルカリ金属酸化物であるNa2O及びK2Oの含有量が、それぞれ1.0%未満とされている。なお、本実施形態におけるモールドフラックスにおいては、溶融速度を調整するために。骨材としてC(炭素)が配合されることもある。
ここで、「その他の成分」とは、配合成分に含まれるFe2O3等の不純物であり、上述のように意図的に添加する「C」等は含まないものである。
0014
さらに、本実施形態である連続鋳造用モールドフラックスにおいては、連続鋳造用モールドフラックスに含まれる各元素又は各化合物Mの含有量(質量%)をWMと表記した場合において、主成分であるSiO2、CaO、アルカリ金属酸化物、Fの含有量が、以下の(1)〜(3)式を満足する。
(1)式:0.90≦f(1)=(CaO)h/(SiO2)h≦1.90
(2)式:0.10≦f(2)=(CaF2)h/{(CaO)h+(SiO2)h+(CaF2)h}≦0.40
(3)式:0.00≦f(3)={(アルカリ金属の弗化物)h+(Al2O3)h}/{(CaO)h+(SiO2)h+(アルカリ金属の弗化物)h+(Al2O3)h}≦0.40
ここで、
(SiO2)h=WSiO2
(Al2O3)h=WAl2O3
(CaF2)h=(WF−WLi2O×1.27−WNa2O×0.613−WK2O×0.403)×2.05
(CaO)h=(WCaO−(CaF2)h×0.718)
(アルカリ金属の弗化物)h=WLi2O×1.74+WNa2O×1.35+WK2O×1.23
0015
ここで、上述の(1)式は、連続鋳造用モールドフラックスの組成におけるCaO/SiO2の濃度比を、cuspidine(Ca4Si2O7F2)における質量濃度比に近似するように規定したものである。すなわち、cuspidine(Ca4Si2O7F2)の組成におけるCaO/SiO2の質量濃度比が(56×3)/(60×2)=1.4であることから、モールドフラックスの組成におけるCaO/SiO2の濃度比を、1.4を中央値とした上記範囲内に規定しているのである。
(2)式及び(3)式についても、(1)式と同様に、連続鋳造用モールドフラックスの組成が、cuspidine(Ca4Si2O7F2)の組成に近似するようにそれぞれ規定したものである。
0016
なお、上述の(1)〜(3)式で用いられる(CaO)h,(アルカリ金属の弗化物)h及び(CaF2)hについて、Li2O,Na2O,K2Oの質量濃度を用いて規定している理由を以下に示す。
連続鋳造用モールドフラックスが溶融した状態の構造は、一般的にイオンの集合体であると考えられる。すなわち、CaF2やCaO等の化合物原料を配合してモールドフラックスを製造しても、溶融状態では、Ca2+,F−,O2−の各イオンになっていると考えられる。
0017
イオン集合体の状態におけるイオン間の親和性を考慮すると、Fイオンは、Caイオンよりも、Liイオン、Naイオン及びKイオンに対して、より強い親和性を有しているため、モールドフラックスが溶融した状態では、CaF2とLi2O、Na2O及びK2Oとが反応し、CaOが生成することになる。
したがって、弗化物の状態を定量的に把握する場合には、以下の2点を考慮することで精度が向上することになる。
<1>モールドフラックス中のFは、Li,Na,Kと優先的に化合する。
<2> Li,Na,Kと化合した後に残存したFがCaと化合する。
以上のことから、上述の(1)〜(3)式においては、Li2O,Na2O,K2Oの質量濃度を用いて、それぞれの化合物の質量濃度を規定している。
0018
そして、本実施形態である連続鋳造用モールドフラックスにおいては、アルカリ金属酸化物であるNa2O及びK2Oの含有量がそれぞれ1.0%未満に制限されており、アルカリ金属酸化物として主にLi2Oを含有している。
Na2O、K2Oは、Li2Oに比べて、溶鋼中のAlと酸化還元反応しやすく、Al2O3の非金属介在物が生成しやすくなる。また、酸化還元反応によって界面の張力が低下し、溶融フラックスが巻き込まれやすくなる。
このため、本実施形態である連続鋳造用モールドフラックスにおいては、Na2O及びK2Oの含有量を、質量比でそれぞれ1.0%未満に制限している。なお、Na2O及びK2Oの含有量は、質量比でそれぞれ0.5%未満とすることが好ましい。
0019
そして、本実施形態である鋼の連続鋳造方法においては、上述した本実施形態である連続鋳造用モールドフラックスを用いる。なお、本実施形態で対象となる鋼は、亜包晶鋼である。
ここで、鋳型内の溶鋼の上に形成されるモールドフラックスの溶融層厚さが5mm以上20mm以下の範囲内となるように、本実施形態である連続鋳造用モールドフラックスを添加する。
0020
以上のような構成とされた本実施形態である連続鋳造用モールドフラックス及び鋼の連続鋳造方法によれば、アルカリ金属酸化物であるNa2O及びK2Oの含有量が、それぞれ1.0%未満とされているので、溶鋼中のAlと酸化還元反応しやすいNa2O及びK2Oの含有量が少なく、溶鋼中のAlと酸化還元反応してAl2O3の非金属介在物が生成することを抑制できる。また、酸化還元反応が抑制されることで、界面の張力低下による溶融フラックスの巻き込みも抑制することができる。よって、溶鋼の清浄度の低下を抑制でき、介在物に起因する圧延時のスリバー疵の発生を抑制することができる。
0021
また、実施形態である連続鋳造用モールドフラックスにおいては、SiO2、CaO、アルカリ金属酸化物、Fの含有量が、以下の(1)〜(3)式を満足しているので、溶融したモールドフラックス中においてcuspidine(Ca4Si2O7F2)の結晶化を促進させることができ、鋳型内の溶鋼が緩冷却化されることになり、凝固により生成する凝固殻の厚みを均一に成長させることが可能となる。これにより、鋳片の表面割れを抑制することができる。
0022
なお、CaOの含有量は45%以上55%以下の範囲内とすることが好ましく、SiO2の含有量は20%以上35%以下の範囲内とすることが好ましく、アルカリ金属酸化物の一種以上の含有量を合計で0.1%以上10%以下の範囲内とすることが好ましく、Fの含有量を5%以上15%以下の範囲内とすることが好ましい。
また、モールドフラックスの組成をさらにcuspidineの組成に近似させるためには、f(1)が、1.10≦f(1)≦1.70の範囲であることが好ましく、f(2)が、0.15≦f(2)≦0.30の範囲であることが好ましく、f(3)が、0.02≦f(3)≦0.20の範囲であることが好ましい。
0023
以上、本発明の実施形態である連続鋳造用モールドフラックス及び鋼の連続鋳造方法について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
0024
以下に、本発明の効果を確認すべく実施した実験結果について説明する。
表1に示す組成の亜包晶鋼を、垂直曲げ型連続鋳造機(以下、連鋳機)により鋳造して、熱間圧延用素材のスラブを製造した。連鋳機は2つのストランドから構成され、各ストランドの鋳型は、厚みを250mm、幅を1450mm、長さ1100mmとした。
鋳型には、電磁ブレーキを適用した。電磁ブレーキのためのコイル鉄芯の中心を幅中央および、溶鋼表面の高さから下方600mmの高さに配置した。この電磁ブレーキの強度を4000Gとした。
0025
溶鋼を鋳型内へ供給する浸漬ノズルには、円筒二孔型を用いて、その二孔の吐出角度を45°とした。また、溶鋼表面から吐出孔上端までの距離を310mmとした。
引き抜き時の潤滑性を得るために鋳型を振動させており、鋳型振動のストロークを6mmとした。
鋳造中、溶鋼表面の高さを鋳型上端から80mmの位置に一定に制御しながら溶鋼を供給し、鋳造速度は設定値を1.3m/minとした。
そして、連続鋳造用モールドフラックスとして、表2に示すものを用いた。
0026
1回の鋳造あたりに取鍋1杯320tonの溶鋼を供して、長さ7000mmのスラブを各ストランドから8本、合計16本鋳造した。そして、ストランドごとに、連続鋳造用モールドフラックスを使い分け、鋳造結果を比較した。
0027
スラブ品質は、スラブの表面割れの個数によって評価した。スラブの表面割れは、スラブの両短辺面および両長辺面に生じる個数を目視により計測した。16本のスラブで割れ個数を計測し、スラブ1本当たりの割れ個数を算出した。
0028
また、鋳型の溶鋼表面から下方300mmの位置において、両短辺面の各1か所および、両長辺面の各3か所、全8個所において鋳型銅板中に埋設した熱電対により、鋳造中の鋳型温度を計測し、8個所全部の平均値を評価した。評価結果を表3に示す。
0030
0031
0032
0033
本発明の実施例1〜6は、いずれも鋳片表面割れの発生はなかった。スリバー疵の発生率は0.3%以下であった。また、鋳型温度も比較的低く、鋳型内において緩冷却化されていることが確認された。
0034
これに対して、Na2Oの含有量が7.5%とされた比較例1、及び、K2Oの含有量が12.5%とされた比較例2では、鋳片表面割れの発生はなかったが、スリバー疵の発生率が0.4%となった。Na2O及び、K2Oが溶鋼中のAlと酸化反応し、非金属介在物が生成するとともに溶融モールドフラックスの巻き込みが発生し、溶鋼の清浄度が低下したためと推測される。
0035
(1)〜(3)式を満足しない比較例3〜7では、鋳片表面割れが発生した。モールドフィルム中における結晶化が不十分だったためと推測される。
なお、比較例4においては、鋳型温度変動が大きく、ブレイクアウト予知システムが鋳造中に1回作動した。
また、比較例6,7においては、鋳造後の浸漬ノズルの外観を観察した結果、モールドフラックスの溶融層と接する部分の溶損が大きく、多連鋳が困難であると判断された。
実施例
0036
以上のことから、本発明によれば、結晶化を促進させることができるとともに、溶鋼の清浄度の低下を抑制することができ、鋳片表面割れおよび介在物に起因する圧延時のスリバー疵の発生を抑制することが可能な連続鋳造用モールドフラックス、及び、鋼の連続鋳造方法を提供可能であることが確認された。