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技術 アルファエノラーゼに特異的な抗体及びその使用

出願人 ディヴェロップメントセンターフォーバイオテクノロジーナショナルヘルスリサーチインスティチューツ
発明者 ツァイ,シー−チョンヤン,ター−トゥンツェン,シー−チーライ,ジアン−シュンウー,チア−チェンリン,ポー−インツァイ,ヤー−ウェイファン,シャオ−ヤンロ,イン−ユンウー,チャン−シュンツァイ,シェン−ユーシー,ネン−ヤオリュー,コー−ジゥンチェン,リー−ツォン
出願日 2018年3月16日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2018-050021
公開日 2019年9月19日 (3ヶ月経過) 公開番号 2019-154414
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 生物学的材料の調査,分析 微生物、その培養処理 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 化合物または医薬の治療活性 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード 位置ウィンドウ 最大生産速度 特性関係 無料公開 品質分布 解離経路 最小部分 構造関係
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図面 (20)

課題

多発性硬化症(MS)、関節炎リウマチ(RA)、がんの潜在的標的でもあるヒトアルファエノラーゼタンパク質(ENO1)のプラスミノーゲンへの結合を阻害することにより、プラスミノーゲン活性化を阻害する方法の提供。

解決手段

ヒトENO1(ジェンバンク:AAH506421.1)上のエピトープに結合する抗体又はその抗原結合断片。ENO1タンパク質関係疾患又は障害処置し、がん浸潤を阻害し、がんを診断するための方法。

概要

背景

[0002]多発性硬化症(MS)は神経系の慢性炎症性疾患である。多発性硬化症では、神経線維ミエリン鞘破壊される、すなわち、神経線維は自己抗体により脱髄される。多発性硬化症の症状は比較的非特異的であり、例えば、疲労、しびれ歩行及び協調運動の問題、腸/膀胱機能障害認知障害並びに疼痛再発寛解である。今まで、原因と病態生理の理解は不十分であり、遺伝的背景ビタミンD欠乏及び地理により引き起こされる可能性がある。MS病理の理解における初期では、ミエリン特異的CD4+Tリンパ球は血液から脳及び脊椎遊走し、抗原提示細胞(脳内のミクログリアを含む)により提示される抗原ペプチドに結合し、クローン的に拡大し、オリゴデンドロサイト攻撃して損傷を与え、ミエリンを破壊すると考えられている。最近の仮説によれば、ミエリンCD+4T細胞はMSの初期のみに関与していることが示唆されている。CNSにおいてMCP−1により誘導される循環単球が、中期及び後期疾患進行の原因である。そのリガンドがMCP−1であるケモカイン受容体CCR2が欠損しているマウス実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)に耐性である。CCRC2ノックアウトマウスがEAE誘導CCRC2+マウス由来の異なる量の単球を輸血されると、レシピエントマウス臨床スコアドナーEAEマウス由来の輸血された単球の量に比例する。この結果から、単球がEAE疾患進行に極めて重要であることが示唆される。

[0003]関節炎リウマチ(RA)は、患者の関節を冒す慢性炎症性疾患である。RAの症状は、関節での疼痛、腫脹凝り、及び変形を含む。患者は常に熱が出て疲労感を覚える。RAの原因は完全に理解されてはいない。この疾患は患者の結合組織に対する自己抗体から始まり、続いて、単球、マクロファージ及び好中球を含む白血球侵入する。次に、リンパ球が関節の骨及び軟部組織侵食浸潤する。

[0004]両方の疾患(MS及びRA)では、文献のデータは、炎症性血中単球及びマクロファージが両方の免疫疾患の進行に関与していることを支持している。

[0005]腫瘍単一細胞の異常な制御されない増殖から生じ、形質転換細胞クローンを生み出す。がん腫瘍細胞自律成長及び遠隔部位への転移能力を特徴とする。

[0006]腫瘍細胞は、免疫系が認識することが可能である独特抗原発現することがある。腫瘍関連抗原は、突然変異がん遺伝子、突然変異正常細胞タンパク質、異常に発現した細胞タンパク質、異常な細胞表面タンパク質、及び発癌性ウイルスタンパク質を含むがこれらに限定されない。免疫系はこれらの腫瘍関連抗原を非自己と見なし、抗体を産生して、健康な細胞は温存しつつ、これらの外来抗原担持腫瘍細胞を根絶することが可能である。したがって、免疫原性腫瘍関連抗原の同定は、がんの処置での臨床的予後診断的又は治療的適用のための標的として使用することができる。

[0007]ある特定の悪性腫瘍は、胸壁の間の間隙にある過剰な体液である胸膜滲出により同定することができる。肺癌乳癌、及びリンパ腫はすべての悪性胸膜滲出のうち約75%を引き起こす。悪性胸膜滲出では、侵入したリンパ球、及び腫瘍細胞が濃縮されていることがある。腫瘍関連免疫複合体又は抗p53、抗核、及び抗c−Myc抗体などの自己抗体が滲出液中に見出されており、予後不良に関連付けられている。サイトケラチン19断片、神経特異的エノラーゼ(ENO2)、扁平上皮癌抗原、及び可溶性HLA−I、等を含むいくつかの肺腫瘍関連抗原も、悪性滲出液中で同定されている。

[0008]アルファエノラーゼ(エノラーゼ1、ENO1)は多機能タンパク質であり、最初は解糖経路の重要な酵素として発見された。正常な状態下では、ENO−1はサイトゾルで発現する。しかし、ENO1はプラスミノーゲン受容体として多くのがん細胞の細胞表面で並びに好中球、リンパ球及び単球などの活性化された造血細胞上でも発現することが見出される。プラスミノーゲン受容体タンパク質上方調節されると、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化系(uPAS)のカスケード応答を誘導することが可能になり、その結果、細胞外マトリックスが分解されることが分かっている。結果として、プラスミノーゲン受容体タンパク質の上方調節により、がん細胞の転移及び免疫細胞の侵入が増加する。炎症性刺激物、例えば、LPSは、翻訳後修飾及び細胞表面への移行によりヒト血中単球及びU937単球細胞上でのENO1細胞表面発現を上方調節する。

[0009]ENO1の移行はMAPキナーゼシグナル伝達経路により調節されていると考えられている。これは、細胞表面でのENO1の発現の増加は炎症性疾患に重要な役割を果たしている可能性があることを意味する。ENO1に対する自己抗体は、エリテマトーデス全身性硬化症ベーチェット病潰瘍性、及びクローン病を含む変わりやすい自己免疫及び炎症性疾患に見出されてきた。ENO1は、そのプラスミノーゲン受容体活性を経て、単球及びマクロファージの浸潤活性を増加させることによりRA患者の疾患進行で重要な役割を果たしていることは知られてきた。

[00010]要約して言えば、プラスミノーゲン受容体としての細胞表面でのその上方調節されたENO1発現が浸潤活性を増加させている単球は、MS、RA、及び関係する免疫障害の疾患進行に極めて重要である。したがって、単球の細胞表面のENO1を標的とすることは、MS、RA、クローン病、潰瘍性大腸炎、及び全身性エリテマトーデスなどの炎症性疾患、又は慢性閉塞性肺疾患COPD)、喘息アレルギー乾癬1型糖尿病アテローム性動脈硬化症及び骨粗鬆症などの関係する免疫障害を処置する優れた潜在力を有する。

[00011]ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子系(uPAS)は、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、そのコグネイト受容体(uPAR)並びに2つの特異的阻害剤、プラスミノーゲン活性化阻害剤1(PAI−1)及びプラスミノーゲン活性化阻害剤2(PAI−2)からなる。ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子はプラスミノーゲン酵素前駆体を活性セリンプロテアーゼであるプラスミンに変換する。プラスミンは、基底膜(BM)及び細胞外マトリックス(ECM)リモデリングなどのいくつかの組織リモデリング過程に関与しており、このリモデリングは腫瘍進行及び転移に必要とされる。さらに、uPASは新生物進化に関与して、腫瘍血管新生悪性細胞増殖、癒着及び遊走、内部血管新生、並びに転移部位での成長に影響を及ぼしている可能性があることが明らかにされている。

[00012]詳細には、プラスミノーゲンの活性化により細胞外マトリックスの分解が可能になり、それにより今度は細胞がんの転移及び免疫細胞の侵入の増加につながりうる。言い換えると、プラスミノーゲン受容体としてのがん細胞表面でのENO1発現によりがん細胞の浸潤活性の増加が可能になる。したがって、ENO1はがん治療の潜在的標的でもある。

概要

多発性硬化症(MS)、関節炎リウマチ(RA)、がんの潜在的標的でもあるヒトアルファエノラーゼタンパク質(ENO1)のプラスミノーゲンへの結合を阻害することにより、プラスミノーゲン活性化を阻害する方法の提供。ヒトENO1(ジェンバンク:AAH506421.1)上のエピトープに結合する抗体又はその抗原結合断片。ENO1タンパク質関係疾患又は障害を処置し、がん浸潤を阻害し、がんを診断するための方法。なし

目的

[00096]典型的には、VHドメインはVLドメインと対になって抗体抗原結合部位を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

ヒトENO1上のエピトープに結合しENO1プラスミノーゲン受容体活性阻害する抗体又はその抗原結合断片であって、前記エピトープが、ヒトENO1の296FDDDWGAWQKFTASAGIQVVGDLTVTPKRIAKAVNEKS336(配列番号39)の配列からなる領域に位置している、抗体又はその抗原結合断片。

請求項2

前記エピトープが、ヒトENO1の296FDQDDWGAWQKFTA309(配列番号40)又は326KRIAKAVNEKS336(配列番号41)の配列からなる領域に位置している、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項3

10nM又はそれよりも少ない解離定数(KD)で前記エピトープに結合する、請求項1又は2に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項4

前記抗体がポリクローナル抗体モノクローナル抗体ヒト化抗体又は完全ヒト抗体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項5

(i)LCDR1(RASENIYSYLT;配列番号6)、LCDR2(NAKTLPE;配列番号7)及びLCDR3(QHHYGTPYT;配列番号8)を含む軽鎖可変領域(VL)、並びに(ii)HCDR1(GYTFTSCVMN;配列番号3)、HCDR2(YINPYNDGTKYNEKFKG;配列番号4)及びHCDR3(EGFYYGNFDN;配列番号5)を含む重鎖可変領域(VH)を含む、ヒトENO1に結合する抗体又はその抗原結合断片。

請求項6

前記VLが、配列番号2又は9のアミノ酸残基1〜110を含む、請求項5に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項7

前記VHが、配列番号1、10又は11のアミノ酸残基1〜120を含む、請求項5に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項8

(i)LCDR1(RASENIYSYLT;配列番号6)、LCDR2(NAKTLPE;配列番号7)及びLCDR3(QHHYGTPYT;配列番号8)を含む軽鎖可変領域(VL)、並びに(ii)HCDR1(GYTFTS−Xaa−VMN、Xaaはシステイン以外の任意のアミノ酸である;配列番号50)、HCDR2(YINPYNDGTKYNEKFKG;配列番号4)及びHCDR3(EGFYYGNFDN;配列番号5)を含む重鎖可変領域(VH)を含む、ヒトENO1に結合する抗体又はその抗原結合断片。

請求項9

前記Xaaがセリン又はアラニンである、請求項8に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項10

前記VLが、配列番号2又は9のアミノ酸残基1〜110を含む、請求項8又は9に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項11

前記VHが、配列番号1、10又は51のアミノ酸残基1〜120を含む、請求項8又は9に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項12

請求項1〜11のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片をコードする単離された核酸分子

請求項13

請求項12に記載の単離された核酸を含む発現ベクター

請求項14

請求項13に記載の発現ベクターを含む宿主細胞

請求項15

前記細胞CHO細胞である、請求項13に記載の宿主細胞。

請求項16

請求項1〜11のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を含む医薬組成物、及び薬学的に許容される担体

請求項17

ENO1タンパク質関係疾患又は障害に罹っている非ヒト対象処置するための方法であって、請求項1〜11のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を前記非ヒト対象に投与するステップを含む方法。

請求項18

前記ENO1タンパク質関係疾患又は障害が新生物疾患である、請求項17に記載の方法。

請求項19

前記新生物疾患が肺がん乳がん膵臓がん肝臓がん結腸直腸がん、又は前立腺がんである、請求項18に記載の方法。

請求項20

前記ENO1タンパク質関係疾患又は障害が炎症性疾患又は免疫障害である、請求項17に記載の方法。

請求項21

請求項22

ENO1タンパク質関係疾患又は障害を処置するための薬物の製造における請求項1〜11のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片の使用。

請求項23

前記ENO1タンパク質関係疾患又は障害が新生物疾患である、請求項22に記載の使用。

請求項24

前記新生物疾患が肺がん、乳がん、膵臓がん、肝臓がん、結腸直腸がん、又は前立腺がんである、請求項23に記載の使用。

請求項25

前記ENO1タンパク質関係疾患又は障害が炎症性疾患又は免疫障害である、請求項22に記載の使用。

請求項26

前記炎症性疾患又は免疫障害が、多発性硬化症、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、アレルギー、乾癬、1型糖尿病、アテローム性動脈硬化症又は骨粗鬆症である、請求項25に記載の使用。

請求項27

それを必要とする非ヒト対象においてがん浸潤を阻害するための方法であって、請求項1〜11のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を前記非ヒト対象に投与するステップを含む方法。

請求項28

それを必要とする対象においてがん浸潤を阻害するための薬物の製造における請求項1〜11のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片の使用。

請求項29

がんの診断のための方法であって、前記方法が、検査対象由来試料を請求項1〜11のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片と反応させて、結合の程度を判定するステップを含み、基準値よりも大きな結合の前記程度ががん状態を示す、方法。

技術分野

0001

[0001]本発明は、ヒトアルファエノラーゼタンパク質(ENO1)に特異的に結合する抗体に関する。本発明は、抗ENO1抗体を対象に投与することにより炎症性疾患若しくは免疫障害処置する、又は腫瘍成長及び転移を抑止するための方法にも関する。

背景技術

0002

[0002]多発性硬化症(MS)は神経系の慢性炎症性疾患である。多発性硬化症では、神経線維ミエリン鞘破壊される、すなわち、神経線維は自己抗体により脱髄される。多発性硬化症の症状は比較的非特異的であり、例えば、疲労、しびれ歩行及び協調運動の問題、腸/膀胱機能障害認知障害並びに疼痛再発寛解である。今まで、原因と病態生理の理解は不十分であり、遺伝的背景ビタミンD欠乏及び地理により引き起こされる可能性がある。MS病理の理解における初期では、ミエリン特異的CD4+Tリンパ球は血液から脳及び脊椎遊走し、抗原提示細胞(脳内のミクログリアを含む)により提示される抗原ペプチドに結合し、クローン的に拡大し、オリゴデンドロサイト攻撃して損傷を与え、ミエリンを破壊すると考えられている。最近の仮説によれば、ミエリンCD+4T細胞はMSの初期のみに関与していることが示唆されている。CNSにおいてMCP−1により誘導される循環単球が、中期及び後期疾患進行の原因である。そのリガンドがMCP−1であるケモカイン受容体CCR2が欠損しているマウス実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)に耐性である。CCRC2ノックアウトマウスがEAE誘導CCRC2+マウス由来の異なる量の単球を輸血されると、レシピエントマウス臨床スコアドナーEAEマウス由来の輸血された単球の量に比例する。この結果から、単球がEAE疾患進行に極めて重要であることが示唆される。

0003

[0003]関節炎リウマチ(RA)は、患者の関節を冒す慢性炎症性疾患である。RAの症状は、関節での疼痛、腫脹凝り、及び変形を含む。患者は常に熱が出て疲労感を覚える。RAの原因は完全に理解されてはいない。この疾患は患者の結合組織に対する自己抗体から始まり、続いて、単球、マクロファージ及び好中球を含む白血球侵入する。次に、リンパ球が関節の骨及び軟部組織侵食浸潤する。

0004

[0004]両方の疾患(MS及びRA)では、文献のデータは、炎症性血中単球及びマクロファージが両方の免疫疾患の進行に関与していることを支持している。

0005

[0005]腫瘍単一細胞の異常な制御されない増殖から生じ、形質転換細胞クローンを生み出す。がん腫瘍細胞自律成長及び遠隔部位への転移能力を特徴とする。

0006

[0006]腫瘍細胞は、免疫系が認識することが可能である独特抗原発現することがある。腫瘍関連抗原は、突然変異がん遺伝子、突然変異正常細胞タンパク質、異常に発現した細胞タンパク質、異常な細胞表面タンパク質、及び発癌性ウイルスタンパク質を含むがこれらに限定されない。免疫系はこれらの腫瘍関連抗原を非自己と見なし、抗体を産生して、健康な細胞は温存しつつ、これらの外来抗原担持腫瘍細胞を根絶することが可能である。したがって、免疫原性腫瘍関連抗原の同定は、がんの処置での臨床的予後診断的又は治療的適用のための標的として使用することができる。

0007

[0007]ある特定の悪性腫瘍は、胸壁の間の間隙にある過剰な体液である胸膜滲出により同定することができる。肺癌乳癌、及びリンパ腫はすべての悪性胸膜滲出のうち約75%を引き起こす。悪性胸膜滲出では、侵入したリンパ球、及び腫瘍細胞が濃縮されていることがある。腫瘍関連免疫複合体又は抗p53、抗核、及び抗c−Myc抗体などの自己抗体が滲出液中に見出されており、予後不良に関連付けられている。サイトケラチン19断片、神経特異的エノラーゼ(ENO2)、扁平上皮癌抗原、及び可溶性HLA−I、等を含むいくつかの肺腫瘍関連抗原も、悪性滲出液中で同定されている。

0008

[0008]アルファエノラーゼ(エノラーゼ1、ENO1)は多機能タンパク質であり、最初は解糖経路の重要な酵素として発見された。正常な状態下では、ENO−1はサイトゾルで発現する。しかし、ENO1はプラスミノーゲン受容体として多くのがん細胞の細胞表面で並びに好中球、リンパ球及び単球などの活性化された造血細胞上でも発現することが見出される。プラスミノーゲン受容体タンパク質上方調節されると、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化系(uPAS)のカスケード応答を誘導することが可能になり、その結果、細胞外マトリックスが分解されることが分かっている。結果として、プラスミノーゲン受容体タンパク質の上方調節により、がん細胞の転移及び免疫細胞の侵入が増加する。炎症性刺激物、例えば、LPSは、翻訳後修飾及び細胞表面への移行によりヒト血中単球及びU937単球細胞上でのENO1細胞表面発現を上方調節する。

0009

[0009]ENO1の移行はMAPキナーゼシグナル伝達経路により調節されていると考えられている。これは、細胞表面でのENO1の発現の増加は炎症性疾患に重要な役割を果たしている可能性があることを意味する。ENO1に対する自己抗体は、エリテマトーデス全身性硬化症ベーチェット病潰瘍性、及びクローン病を含む変わりやすい自己免疫及び炎症性疾患に見出されてきた。ENO1は、そのプラスミノーゲン受容体活性を経て、単球及びマクロファージの浸潤活性を増加させることによりRA患者の疾患進行で重要な役割を果たしていることは知られてきた。

0010

[00010]要約して言えば、プラスミノーゲン受容体としての細胞表面でのその上方調節されたENO1発現が浸潤活性を増加させている単球は、MS、RA、及び関係する免疫障害の疾患進行に極めて重要である。したがって、単球の細胞表面のENO1を標的とすることは、MS、RA、クローン病、潰瘍性大腸炎、及び全身性エリテマトーデスなどの炎症性疾患、又は慢性閉塞性肺疾患COPD)、喘息アレルギー乾癬1型糖尿病アテローム性動脈硬化症及び骨粗鬆症などの関係する免疫障害を処置する優れた潜在力を有する。

0011

[00011]ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子系(uPAS)は、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)、そのコグネイト受容体(uPAR)並びに2つの特異的阻害剤、プラスミノーゲン活性化阻害剤1(PAI−1)及びプラスミノーゲン活性化阻害剤2(PAI−2)からなる。ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子はプラスミノーゲン酵素前駆体を活性セリンプロテアーゼであるプラスミンに変換する。プラスミンは、基底膜(BM)及び細胞外マトリックス(ECM)リモデリングなどのいくつかの組織リモデリング過程に関与しており、このリモデリングは腫瘍進行及び転移に必要とされる。さらに、uPASは新生物進化に関与して、腫瘍血管新生悪性細胞増殖、癒着及び遊走、内部血管新生、並びに転移部位での成長に影響を及ぼしている可能性があることが明らかにされている。

0012

[00012]詳細には、プラスミノーゲンの活性化により細胞外マトリックスの分解が可能になり、それにより今度は細胞がんの転移及び免疫細胞の侵入の増加につながりうる。言い換えると、プラスミノーゲン受容体としてのがん細胞表面でのENO1発現によりがん細胞の浸潤活性の増加が可能になる。したがって、ENO1はがん治療の潜在的標的でもある。

課題を解決するための手段

0013

[00013]本発明の実施形態は、ヒトENO1に特異的に結合し、それによってリガンド(例えば、プラスミノーゲン)がENO1に結合するのを阻害する、抗体又はその抗原結合断片に関する。ENO1へのプラスミノーゲンの結合を阻害することにより、本発明の抗体はプラスミノーゲン活性化を阻害することが可能である。

0014

[00014]本発明の実施形態に従えば、抗体又はその抗原結合断片はヒトENO1上のエピトープに結合しENO1プラスミノーゲン受容体活性を阻害することが可能であり、エピトープは、ヒトENO1の296FDDDWGAWQKFTASAGIQVVGDLTVTPKRIAKAVNEKS336(配列番号39)の配列からなる領域に位置していることがある。本発明の上記実施形態のいずれかに従えば、抗体又はその結合断片はヒトENO1上のエピトープに結合しENO1プラスミノーゲン受容体活性を阻害することが可能であり、エピトープは、ヒトENO1の296FDQDDWGAWQKFTA309(配列番号40)又は326KRIAKAVNEKS336(配列番号41)の配列からなる領域に位置していることがある。本発明のある特定の実施形態に従えば、抗体はヒト化抗体又は完全ヒト抗体でもよい。

0015

[00015]本発明の一部の実施形態に従えば、ヒトENO1タンパク質に結合できる抗体又はその抗原結合断片は、(i)LCDR1(RASENIYSYLT;配列番号6)、LCDR2(NAKTLPE;配列番号7)及びLCDR3(QHHYGTPYT;配列番号8)を含む軽鎖可変領域(VL)、並びに(ii)HCDR1(GYTFTSCVMN;配列番号3)、HCDR2(YINPYNDGTKYNEKFKG;配列番号4)及びHCDR3(EGFYYGNFDN;配列番号5)を含む重鎖可変領域(VH)を含む。

0016

[00016]本発明の一部の実施形態に従えば、ヒトENO1タンパク質に結合できる抗体は、配列番号2若しくは9のアミノ酸残基1〜110を含むVL及び/又は配列番号1、10若しくは11のアミノ酸残基1〜120を含むVHを含む。

0017

[00017]本発明の一部の実施形態に従えば、ヒトENO1タンパク質に結合できる抗体又はその抗原結合断片は、(i)LCDR1(RASENIYSYLT;配列番号6)、LCDR2(NAKTLPE;配列番号7)及びLCDR3(QHHYGTPYT;配列番号8)を含む軽鎖可変領域(VL)、並びに(ii)HCDR1(GYTFTS−Xaa−VMN;配列番号50)、HCDR2(YINPYNDGTKYNEKFKG;配列番号4)及びHCDR3(EGFYYGNFDN;配列番号5)を含む重鎖可変領域(VH)を含む。

0018

[00018]本発明の一部の実施形態に従えば、ヒトENO1タンパク質に結合できる抗体は、配列番号1、配列番号2若しくは9に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び/又は配列番号1、10若しくは51に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。

0019

[00019]本発明の他の実施形態は、本明細書に記載される抗体、若しくはその抗原結合断片のいずれかをコードする単離された核酸分子、抗体、若しくはその抗原結合断片をコードする単離された核酸分子を有するベクター、又はそのような核酸分子のいずれかで形質転換された宿主細胞に関する。

0020

[00020]本発明の他の実施形態は、ヒトENO1タンパク質に結合できる抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を含む医薬組成物、及び薬学的に許容される担体に関する。

0021

[00021]本発明のなおさらなる実施形態は、ENO1タンパク質関係疾患又は障害に罹っている対象(例えば、ヒト又は非ヒト動物)を効果的に処置するための方法に関する。方法は、それを必要とする対象を選択するステップと、ENO1タンパク質に特異的に結合する抗体(ヒト化又は完全ヒト抗体でもよい)又はその断片の治療有効量を対象に投与するステップとを含むことができる。

0022

[00022]本発明のある特定の実施形態に従えば、ヒトENO1タンパク質関係疾患又は障害は、ヒトENO1タンパク質の異常な活性化又は発現から生じるいかなる状態でもよい。そのような疾患の例は、ヒトENO1タンパク質がそのリガンドと異常な相互作用をして、それによって細胞接着又は細胞シグナル伝達特性を変化させる場合を含む。細胞接着又は細胞シグナル伝達特性のこのような変化は、新生物疾患及び/又は炎症性若しくは免疫疾患をもたらすことがある。

0023

[00023]例えば、ヒトENO1タンパク質関係疾患は、多発性硬化症、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデスなどの炎症性疾患若しくは免疫障害、又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、アレルギー、乾癬、1型糖尿病、アテローム性動脈硬化症及び骨粗鬆症などの相対免疫障害、又は肺がん乳がん膵臓がん肝臓がん結腸直腸がん、及び前立腺がんなどの新生物疾患でもよい。

0024

[00024]本発明の一部の実施形態は、患者又は患者試料中のヒトENO1タンパク質のレベルアッセイするための方法に関する。本発明の方法は、ヒト化抗ENO1抗体を患者由来生体試料に接触させるステップと、上記抗体と上記試料中のヒトENO1タンパク質の間の結合のレベルを検出するステップとを含む。さらに具体的な実施形態では、生体試料は血液又は血漿又は組織試料である。

図面の簡単な説明

0025

ハイブリドーマアサイト(acites)から単離されたEN10 mAbによるENO1結合からのELISA結果を示す図である。硫酸アンモニウム精製、プロテインAカラム精製、及びSDS−PAGE精製は実施例1に記載の通りに実施した。これらのデータは、抗ヒトENO1抗体EN10 mAbのKDを示している。
EN10 mAbのU937線維素溶解性アッセイの結果を示す図である。ヒトU937リンパ腫細胞株でのLPSによるENO1発現の誘導及びプラスミン活性アッセイは実施例2に記載の通りに実施した。これらの結果は、EN10 mAbが誘導性ENO1タンパク質のプラスミノーゲン受容体活性を軽減することを証明している。
細胞の表面ENO1発現がLPSにより誘導された後、ハイブリドーマから単離されたEN10 mAbの異なる濃度で処置されたU937細胞の浸潤活性の結果を示す図である。詳細な手順は実施例3に記載される通りに実施した。これらのデータは、EN10 mAbがU937細胞の浸潤活性を用量依存的様式で阻害することを明らかにしている。
EN10 mAbがLPSで処置されたU937細胞上で細胞表面ENO1を認識することを示す図である。詳細な手順は実施例4に記載される通りに実施した。ヒストグラムは、細胞がLPSを投与された後、ENO1がU937の表面で高発現することを示している。
EN10 mAbの可変重鎖領域アミノ酸配列(配列番号1)を示す図である。フレームワーク領域(FR1、FR2、FR3、及びFR4)及びCDR(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)が示されている。EN10 mAbのクローニングは実施例5に記載される通りに実施した。
EN10 mAbの可変軽鎖領域アミノ酸配列(配列番号2)を示す図である。フレームワーク領域(FR1、FR2、FR3、及びFR4)及びCDR(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)が示されている。EN10 mAbのクローニングは実施例5に記載される通りに実施した。
humENO10 mAb 4D5のVL(配列番号9)及びVH(配列番号10)配列のヒト化のために行われた配列分析を示す図である。Kabat方式に従った残基番号付けの下に示している最初のラインでは、マスクアンダーリング付きで示されており、Kabat CDRはラインの下で示されている。ヒトEN10 mAb 4D5のVL及びVHのフレームワーク決定は実施例6に記載される通りに実施した。
humENO10 mAb 4D5のVL(配列番号9)及びVH(配列番号10)配列のヒト化のために行われた配列分析を示す図である。Kabat方式に従った残基番号付けの下に示している最初のラインでは、マスクはアンダーリング付きで示されており、Kabat CDRはラインの下で示されている。ヒトEN10 mAb 4D5のVL及びVHのフレームワーク決定は実施例6に記載される通りに実施した。
ヒトENO10mAbIMGTのVL(配列番号9)及びVH(配列番号11)配列のヒト化のために行われた配列分析を示す図である。Kabat方式に従った残基番号付けの下に示している最初のラインでは、マスクはアンダーリング付きで示されており、Kabat CDRは下線で示されている。ヒトEN10 mAb IMGTのVL及びVHのフレームワーク決定は実施例6に記載される通りに実施した。
ヒトENO10mAb IMGTのVL(配列番号9)及びVH(配列番号11)配列のヒト化のために行われた配列分析を示す図である。Kabat方式に従った残基番号付けの下に示している最初のラインでは、マスクはアンダーリング付きで示されており、Kabat CDRは下線で示されている。ヒトEN10 mAb IMGTのVL及びVHのフレームワーク決定は実施例6に記載される通りに実施した。
EN10 mAbのマウスヒトキメラ及びヒト化版を作製するための発現ベクターを示す図である。抗体の異なるEN10 mAb版の精製のための詳細な手順は実施例7に記載されている。
EN10 mAbの結合親和性及び速度定数を決定するために、キメラEN10、humEN10 mAb 4D5及びhumEN10 mAb IMGT抗体を使用して得られる結果を示す図である。キメラ抗体発現、精製及びKD分析の詳細な手順は実施例7に記載されている通りに実施した。humEN10 mAb IMGTの結果KDはマウスヒトキメラEN10 mAbのKDに対して有意ではない。
図8A及び8BはそれぞれhumEN10 mAb 4D5及びhumEN10 mAb IMGT抗体のU937線維素溶解性アッセイの結果を示す図である。ヒトU937リンパ腫細胞株におけるLPSによるENO1発現の誘導及びプラスミン活性アッセイは実施例2に記載される通りに実施した。データは、EN10 mAbと同じくhumEN10 mAb 4D5とhumEN10 mAb IMGTの両方が誘導性ENO1タンパク質のプラスミノーゲン受容体活性を軽減することを明らかにしている。
図8A及び8BはそれぞれhumEN10 mAb 4D5及びhumEN10 mAb IMGT抗体のU937線維素溶解性アッセイの結果を示す図である。ヒトU937リンパ腫細胞株におけるLPSによるENO1発現の誘導及びプラスミン活性アッセイは実施例2に記載される通りに実施した。データは、EN10 mAbと同じくhumEN10 mAb 4D5とhumEN10 mAb IMGTの両方が誘導性ENO1タンパク質のプラスミノーゲン受容体活性を軽減することを明らかにしている。
細胞の表面ENO1発現がLPSにより誘導された後、それぞれ異なる濃度のhumEN10 mAb 4D5及びhumEN10 mAb IMGT抗体で処置されたU937細胞の浸潤活性の結果を示す図である。詳細な手順は実施例9に記載されている通りに実施した。これらのデータは、ヒト化後、humEN10 mAb 4D5及びhumEN10 mAb IMGT抗体がU937細胞の浸潤活性を用量依存的様式で阻害する活性を有することを明らかにしている。
細胞の表面ENO1発現がLPSにより誘導された後、それぞれ異なる濃度のhumEN10 mAb 4D5及びhumEN10 mAb IMGT抗体で処置されたU937細胞の浸潤活性の結果を示す図である。詳細な手順は実施例9に記載されている通りに実施した。これらのデータは、ヒト化後、humEN10 mAb 4D5及びhumEN10 mAb IMGT抗体がU937細胞の浸潤活性を用量依存的様式で阻害する活性を有することを明らかにしている。
マトリックスタンパク質へのCL1−5肺癌細胞接着活性を示す図である。接着アッセイは実施例10に記載される通りに実施した。これらのデータは、CL1−5細胞がコラーゲン及びフィブロネクチンへのより高い接着活性を有することを明らかにしている。
humEN10 mAb 4D5で処置されたフィブロネクチンからのCL1−5細胞解離の阻害の結果を示す図である。細胞関連接着アッセイは実施例10に記載の通りに実施した。これらのデータは、humEN10 mAb 4D5がフィブロネクチンからのCL1−5の細胞解離活性を用量依存的様式で阻害することを明らかにしている。
humEN10 mAb 4D5で処置したコラーゲンからのCL1−5細胞解離の阻害の結果を示す図である。細胞関連接着アッセイは実施例10に記載の通りに実施した。これらのデータは、humEN10 mAb 4D5がコラーゲンからのCL1−5の細胞解離活性を用量依存的様式で阻害することを明らかにしている。
humEN10 mAb 4D5及びhumEN10 mAb IMGT抗体の抗体依存細胞媒介細胞傷害性効果を示す図である。ヒト化抗体の投与及びCL1−5の肺がん細胞株細胞溶解効果は実施例11に記載の通りに実施した。データは、両方のヒト化EN10抗体が新しいADCC活性を作り出すことを明らかにしている。
humEN10 mAb 4D5及びhumEN10 mAb IMGT抗体の抗体依存細胞媒介細胞傷害性効果を示す図である。ヒト化抗体の投与及びCL1−5の肺がん細胞株の細胞溶解効果は実施例11に記載の通りに実施した。データは、両方のヒト化EN10抗体が新しいADCC活性を作り出すことを明らかにしている。
humEN10 mAb 4D5及びhumEN10 mAb IMGT抗体の阻害効果を示す図である。humEN10 mAb 4D5及びhumEN10 mAb IMGTの投与並びに抗体処置による腫瘍成長の遅延は実施例12に記載の通りに実施した。データは、両方のヒト化EN10 mAbの週あたり2度の投与がCL1−5異種移植片マウスモデルで有効性を有することを明らかにしている。
CHOS細胞株において発現させるhumEN10 mAb IMGTのVL(配列番号14及び15)及びVH(配列番号16及び17)配列のコドン最適化のために行われた配列分析を示す図である。詳細な手順は実施例13に記載される通りに実施した。
CHOS細胞株において発現させるhumEN10 mAb IMGTのVL(配列番号14及び15)及びVH(配列番号16及び17)配列のコドン最適化のために行われた配列分析を示す図である。詳細な手順は実施例13に記載される通りに実施した。
CHOS安定細胞株におけるhumEN10 IMGTのヒト化抗体の作製のための発現ベクターを描いている。詳細な手順は実施例13に記載される通りに実施した。
5日目及び14日目でhumEN10 IMGT mAb抗体を発現した上位15のCHOS安定クローンの生産力を示す図である。詳細な手順は実施例13に記載される通りに実施した。生産速度は5日目では155ミニグラム力価〜91.3ミニグラム/リットル及び15日目では358.7ミニグラム/力価〜247.5ミニグラム/リットルの範囲である。
humEN10 IMGT mAb抗体を発現した上位6のCHOS安定クローンの生産力を示す図である。詳細な手順は実施例13に記載される通りに実施した。本発明者らのデータは、コドン最適化及び単一コロニー選択後、これら上位6クローンの生産速度は1g/L/15日に近いことを明らかにしている。
humEN10 mAb IMGT抗体を発現した上位6の安定クローンから単離された抗体のSDS PAGEを示す図である。詳細な手順は実施例13に記載される通りに実施した。本発明者らのデータは、これらのクローンがすべて無傷のhumEN10 mAb IMGTを発現することを明らかにしている。
3バッチのhumEN10 mAb IMGT抗体のサイズ排除HPLC及び質量スペクトル分析を示す図である。詳細な手順は実施例14に記載される通りに実施した。本発明者らのデータは、クローン6C6が3ロット中でシステイニル化抗体の割合が異なるhumEN10 mAb IMGTを発現することを明らかにしている。
3バッチの脱グリコシル化したhumEN10 mAb IMGT抗体のサイズ排除HPLC及び質量スペクトル分析を示す図である。詳細な手順は実施例14に記載される通りに実施した。本発明者らのデータは、クローン6C6がシステイニル化抗体の割合が異なるhumEN10 mAb IMGTを発現することを明らかにしている。3バッチの脱グリコシル化したhumEN10 mAb IMGT抗体のグルタチオン付加及びシステイニル化の詳細な組成を表IIIに示す。
重鎖HCDR1の可変領域のそれぞれアラニン32及びセリン32の結合親和性及び速度定数を決定するために、humEN10 mAb IMGT、EN10.4及びEN10.5抗体を使用して得られる結果を描いている。抗体発現、精製及びKD分析の詳細な手順は実施例15に記載される通りに実施した。その結果は、humEN10 mAb IMGTのKD値がEN10.4及びEN10.5 mAbのKD値と有意差がないことを明らかにしている。
mAb EN10.5.抗体を発現した上位20のCHOS安定クローンの生産力を示す図である。詳細な手順は実施例16に記載される通りに実施した。本発明者らのデータは、HCDR1(配列番号3)のアミノ酸番号32でのセリン突然変異及び単一コロニー選択後、これら上位20クローンの生産速度は344g/L/14日を超えていることを明らかにしている。
2バッチのEN10.5抗体のサイズ排除HPLC及び質量スペクトル分析の結果を示す図である。詳細な手順は実施例17に記載される通りに実施した。本発明者らのデータは、クローンEN10.5がシステイニル化抗体のないhumEN10 mAb IMGTを発現することを明らかにしている。
2バッチの脱グリコシル化したEN10.5抗体のサイズ排除HPLC及び質量スペクトル分析の結果を示す図である。詳細な手順は実施例17に記載される通りに実施した。本発明者らのデータは、クローンEN10.5がシステイニル化抗体のないhumEN10 mAb IMGTを発現することを明らかにしている。
ENO1の欠失突然変異体のEN10 mAb結合活性を示している。EN10 mAbの結合エピトープはヒトENO1タンパク質のアミノ残基番号293と434の間に位置している。EN10 mAbの結合領域を決定するためのENO1の大きな部分の欠失は実施例18に記載される通りに実施した。
大腸菌(E.coli)から精製したENO1の6つのC末端欠失突然変異タンパク質の12%SDS PAGEを示す図である。ENO1欠失突然変異体の精製のための詳細な手順は実施例18に記載されている。
ENO1の6つのC末端欠失突然変異体のEN10 mAb結合活性を示す図である。EN10mAbの結合エピトープはヒトENO1タンパク質のアミノ残基番号296と336の間に位置している。EN10 mAbの結合領域を決定するためのENO1の大きな部分の欠失は実施例18に記載される通りに実施した。
ヒトENO1のアミノ番号296と336の間の結晶構造及び表面露出アミノ酸残基を描いている。構造予測は実施例19に記載した。
大腸菌で精製されたENO1の6つのアラニンスキャニング突然変異タンパク質の12%SDS PAGEを示す図である。ENO1突然変異タンパク質の精製のための詳細な手順は実施例19に記載されている。
EN10.5 mAbに対する6つのアラニンスキャニング突然変異体のENO1結合ELISA及びKD値を示す図である。結果は、ヒトENO1のアミノ残基番号296と336の間に位置するAsp299及びArg327のアミノ酸配列がEN10 mAb結合に関与していることを示唆している。アラニンスキャニングは実施例19に記載の通りに実施した。

0026

[00058]別の方法で定義されていなければ、本明細書で使用される科学及び専門用語は当業者が一般に理解している意味を有するものとする。さらに、文脈から別の方法で要求されなければ、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。一般に、本明細書に記載される細胞及び組織培養分子生物学、並びにタンパク質及びオリゴ又はポリヌクレオチド化学及びハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法並びにその技法は、当技術分野で周知であり一般に使用されている命名法及び技法である。

0027

[00059]組換えDNAオリゴヌクレオチド合成、並びに組織培養及び形質転換(例えば、エレクトロポレーションリポフェクション)には標準技法が使用される。酵素反応及び精製技法は、製造業者仕様書に従って、又は当技術分野で一般に成し遂げられている通りに、又は本明細書に記載される通りに実施される。前述の技法及び手順は一般的には、当技術分野で周知である従来の方法に従って、並びに本明細書全体を通じて引用され考察されている種々の一般的及びより具体的な参考文献に記載されている通りに実施される。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(2001年))を参照されたい。前記文献は参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、並びに医薬品及び製薬化学と関連して利用される命名法並びにその実験手順及び技法は当技術分野で周知であり一般に使用されている命名法並びに実験手順及び技法である。化学合成化学分析、医薬品調製、製剤、及び送達、並びに患者の処置には標準技法が使用される。

0028

[00060]本開示に従って利用されるように、以下の用語は、別の方法で指示されなければ、以下の意味を有すると理解されることとする。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、2つの特定の特徴又は成分のそれぞれの、もう一方と一緒の又はなしでの、具体的開示と解釈されるべきである。例えば、「A及び/又はB」は(i)A、(ii)B並びに(iii)A及びBのそれぞれの具体的開示と、それぞれが本明細書で個々に提示されているかのように解釈されるべきである。

0029

[00061]アンタゴニストは、ポリペプチド核酸炭水化物、脂質、小分子量化合物オリゴヌクレオチドオリゴペプチド干渉RNA(RNAi)、アンチセンス組換えタンパク質、抗体、又はそれらのコンジュゲート若しくは融合タンパク質でもよい。RNAiの概説については、Milhavet O、Gary D S、Mattson M P.(Pharmacol Rev.2003年12月;55巻(4号):629〜48頁 Review.)を参照されたい、及びアンチセンスアプローチについては、Opalinska J B、Gewirtz A M.(Sci STKE.2003年10月 28巻;2003(206):pe47)を参照されたい。

0030

[00062]ヒトENO1プラスミノーゲン受容体は当業者には公知である(国立衛生研究所のウェブサイトジェンバンク:AAH50642.1を参照)。この受容体はプラスミノーゲン受容体であり、ヒトにおいて2つの異なるスプライシングバリアント、ENO1及びMyc結合タンパク質で存在する。ENO1はヒトENO1、アルファエノラーゼ、又はENO−1遺伝子としても知られている。

0031

[00063]いくつかの他の種由来のENO1の対応するオルソログも知られており、例えば、ヒトENO1から開始する配列検索により当業者が容易に判定することが可能である。本発明の実施形態に従えば、用語「ENO1」とはヒトと動物(例えば、ペット及び家畜)の両方のENO1タンパク質のことである。

0032

[00064]本明細書で使用されるように、用語「抗体」とは一般に及び広く、免疫グロブリン、自己抗体、モノクローナル抗体、及びポリクローナル抗体、並びにその活性断片のことである。断片は、それがコグネイト抗原に結合するという点で活性であってもよく、又は生物学的に機能的であるという点で活性であってもよい。本発明の抗体は、当技術分野で公知の技法を使用して、キメラでも、ヒト化でも、又はヒトでもよい。抗体の断片は、抗体Fab断片、F(ab’)2、切断された抗体由来のFv断片若しくはFc断片、scFv−Fc断片、ミニボディダイアボディ又はscFvを含むことができるがこれらに限定されない。

0033

[00065]本明細書で使用されるように、用語「抗体」とは一般に及び広く、免疫グロブリン、自己抗体、モノクローナル抗体、及びポリクローナル抗体、並びにその活性断片のことである。断片は、それがコグネイト抗原に結合するという点で活性であってもよく、又は生物学的に機能的であるという点で活性であってもよい。本発明の抗体は、当技術分野で公知の技法を使用して、キメラでも、ヒト化でも、又はヒトでもよい。

0034

[00066]本明細書で使用されるように、用語「モノクローナル抗体」とは、一般的にハイブリドーマにより産生される化学的及び免疫学的に均一である抗体のことである。A Laboratory Manual、Harlow and Lane編、Cold Spring Harbor、N.Y.(1988年)を参照されたい。

0035

[00067]本明細書で使用されるように、用語「ポリクローナル抗体」とは、同じ抗原に応答して抗体合成プラズマ細胞Bリンパ球)の1つよりも多いクローンにより産生される抗体のことである。ポリクローナル抗体は一般に、動物が抗原で免疫された後に動物により産生される。

0036

[00068]本明細書で使用されるように、用語「キメラ抗体」とは、1つよりも多い供給源由来の配列を含有する抗体のことである。例えば、そのような抗体は、非ヒト供給源に由来し、その後ヒト配列を導入することにより改変される配列を含有していてもよい。

0037

[00069]本明細書で使用されるように、用語「ヒト化抗体」とは、非ヒト抗体最小部分がその他の点ではヒト抗体に導入されている抗体のことである。

0038

[00070]本明細書で使用されるように、用語「ヒト抗体」とは、タンパク質の実質的にすべての部分がヒトでは実質的に非免疫原性であり、配列変化又は変異がごくわずかである抗体のことである。

0039

[00071]本明細書で使用されるように、用語「アルファエノラーゼ特異的抗体」とは、哺乳動物ENO1に対して高度な特異性を有するが、ENO2にもENO3にも特異性のない抗体のことである。

0040

[00072]抗体などの標的に向けられる結合剤(targeted binding agent)に言及する場合の用語「中和する」は、標的抗原の活性を取り除く、又は著しく減少させる上記標的に向けられる結合剤の能力に関する。したがって、「中和」ENO1抗体はENO1の活性を取り除く、又は著しく減少させることができる。中和ENO1抗体は、例えば、プラスミノーゲンへのENO1の結合を遮断することにより作用することができる。この結合を遮断することにより、プラスミノーゲン媒介細胞解離は著しく、又は完全に取り除かれる。理想的には、ENO1に対する中和抗体は細胞接着を増強する。

0041

[00073]本明細書で使用される用語「単離されたポリヌクレオチド」は、その天然に存在する環境から単離されているポリヌクレオチドを意味するものとする。そのようなポリヌクレオチドはゲノムcDNA、又は合成でもよい。単離されたポリヌクレオチドは好ましくは、天然であればそれが会合しているポリヌクレオチドのすべて又は部分と会合していない。単離されたポリヌクレオチドは、それが天然であれば連結されていない別のポリヌクレオチドに作動可能に連結されていてもよい。さらに、単離されたポリヌクレオチドは好ましくは、もっと大きな配列の一部として天然には存在していない。

0042

[00074]本明細書で言及される用語「単離されたタンパク質」はその天然に存在する環境から単離されているタンパク質を意味する。そのようなタンパク質は、ゲノムDNA、cDNA、組換えDNA、組換えRNA、若しくは合成起源又はそれらのいくつかの組合せ由来でもよく、その起源、又は由来の源によって「単離されたタンパク質」は(1)天然で見出されるタンパク質と会合していない、(2)同じ源由来の他のタンパク質がない、例えば、マウスタンパク質がない、(3)異なる種由来の細胞で発現する、又は(4)天然には存在しない。

0043

[00075]用語「ポリペプチド」は、本明細書では天然のタンパク質、断片、又はポリペプチド配列類似物を指す総称用語として使用される。したがって、天然のタンパク質、断片、又は類似物はポリペプチド属の種である。本発明に従った好ましいポリペプチドは、ヒト重鎖免疫グロブリン分子及びヒトカッパ軽鎖免疫グロブリン分子、並びに重鎖免疫グロブリン分子とカッパ又はラムダ軽鎖免疫グロブリン分子などの軽鎖免疫グロブリン分子を含む組合せ、及び逆もまた同じにより形成される抗体分子、並びにその断片及び類似物を含む。本発明に従った好ましいポリペプチドは、ヒト重鎖免疫グロブリン分子又はその断片のみも含むことができる。

0044

[00076]本明細書で使用され、物体に適用される用語「天然に存在する」とは、物体を天然において見出すことができるという事実のことである。例えば、生物(ウイルスを含む)中に存在し天然の源から単離することが可能であり、実験室において又は他の方法でヒトにより意図的に改変されていないポリペプチド又はポリヌクレオチドは、天然に存在するポリペプチド又はポリヌクレオチドである。

0045

[00077]本明細書で使用される用語「作動可能に連結された」とは、成分をその意図された様式で機能させる関係にあるように記載された成分の位置のことである。例えば、コード配列に「作動可能に連結された」制御配列は、制御配列と適合する条件下でコード配列の発現が達成されるように連結されている。

0046

[00078]本明細書で言及されている用語「ポリヌクレオチド」は、リボヌクレオチドであれデオキシリボヌクレオチドであれ、又はどちらかのタイプのヌクレオチドの改変された形態であれ、又はRNA−DNAヘテロ二重鎖であれ、少なくとも10塩基長のヌクレオチドの重合形態を意味する。この用語はDNAの一本及び二本鎖形態を含む。

0047

[00079]本明細書で言及されている用語「オリゴヌクレオチド」は、天然に存在する及び天然には存在しない連鎖により互いに連結された天然に存在する及び改変されたヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドは長さが200塩基又はそれよりも少ない塩基を一般に含むポリヌクレオチドのサブセットである。オリゴヌクレオチドは10〜60塩基長であることが好ましく、もっとも好ましくは、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20〜40塩基長である。オリゴヌクレオチドは、例えば、プローブでは、通常、一本鎖であるが、オリゴヌクレオチドは、例えば、遺伝子突然変異体の構築で使用するために二本鎖でもよい。オリゴヌクレオチドはセンス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドでも可能である。

0048

[00080]本明細書で言及されている用語「天然に存在するヌクレオチド」は、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドを含む。本明細書で言及されている用語「改変されたヌクレオチド」は、改変された又は置換された糖基を有するヌクレオチド及び同類の物を含む。本明細書で言及されている用語「オリゴヌクレオチド連鎖」は、ホスホロチオエートホスホジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホロアニラデート、ホスホロアミデート、及び同類の物などのオリゴヌクレオチド連鎖を含む。例えば、LaPlancheら、Nucl.AcidsRes.14巻:9081頁(1986年);Stecら、J.Am.Chem.Soc.106巻:6077頁(1984年);Steinら、Nucl.Acids Res.16巻:3209頁(1988年);Zonら、Anti−Cancer Drug Design 6巻:539頁(1991年);Zonら、Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach、87〜108頁(F.Eckstein、Ed.、Oxford University Press、Oxford England(1991年));Stecら、米国特許第5,151,510号;Uhlmann and Peyman Chemical Reviews 90巻:543頁(1990年)を参照されたい。前記文献の開示はこれにより参照により組み込まれる。オリゴヌクレオチドは、所望の場合、検出のための標識を含むことが可能である。

0049

[00081]用語「CDR領域」又は「CDR」は、Kabatら、1991年(Kabat、E.A.ら、(1991年)Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版.US Department of Health and Human Services、Public Service、NIH、Washington)及び後の版により定義される免疫グロブリンの重鎖又は軽鎖超可変領域を示すことを意図されている。抗体は典型的には3つの重鎖CDR及び3つの軽鎖CDRを含有する。用語CDR(単数又は複数)は、場合により、抗体が認識する抗原又はエピトープに対する抗体の親和性により結合の原因であるアミノ酸残基の大多数を含有するこれらの領域のうちの1つ又はこれらの領域のうちのいくつか若しくはさらに全体を示すために、ここで使用される。

0050

[00082]6つの短いCDR配列の間で、重鎖の第3のCDR(HCDR3)はより大きなサイズ可変性(本質的にそのCDRを生じる遺伝子の配置の機序に起因するより大きな多様性)を有する。第3のCDRはわずか2アミノ酸の場合もあるが、知られているもっとも長いサイズは26である。CDR長は特定の根底にあるフレームワークによって順応されることが可能な長さに従って変化することもある。機能的には、HCDR3は抗体の特異性の決定において一部役割を果たしている(Segalら、PNAS、71巻:4298〜4302頁、1974年、Amitら、Science、233巻:747〜753頁、1986年、Chothiaら、J.Mol.Biol.、196巻:901〜917頁、1987年、Chothiaら、Nature、342巻:877〜883頁、1989年、Catonら、J.Immunol.、144巻:1965〜1968頁、1990年、Sharonら、PNAS、87巻:4814〜4817頁、1990年、Sharonら、J.Immunol、144巻:4863〜4869頁、1990年、Kabatら、J.Immunol.、147巻:1709〜1719頁、1991年)。

0051

[00083]本明細書で言及される用語「CDRのセット」はCDR1、CDR2及びCDR3を含む。したがって、HCDRのセットとはHCDR1、HCDR2及びHCDR3(LCDRとは可変重鎖CDRのことである)のことであり、LCDRのセットとはLCDR1、LCDR2及びLCDR3(LCDRとは可変軽鎖CDRのことである)のことである。別の方法で述べられていなければ、「CDRのセット」はHCDR及びLCDRを含む。

0052

[00084]2つのアミノ酸配列は、その配列間に部分的又は完全な同一性があれば「相同」である。例えば、85%相同性とは、2つの配列を最大適合のために整列させた場合、アミノ酸のうちの85%が同一であることを意味する。適合を最大にするのにギャップ(適合させている2つの配列のどちらかで)が認められ、5又はそれよりも少ないギャップ長が好ましく、2又はそれよりも少ないがさらに好ましい。代わりに及び好ましくは、2つのタンパク質配列(又は少なくとも約30アミノ酸長のタンパク質配列に由来するポリペプチド配列)は、変異データマトリックス及び6又はそれよりも大きいギャップペナルティーを用いてプログラムALIGNを使用してそのタンパク質配列が5よりも大きいアライメントスコア標準偏差単位で)を有する場合、この相同という用語が本明細書で使用される意味での、相同である。Dayhoff、M.O.、in Atlas of Protein Sequence and Structure、101〜110頁(5巻、National Biomedical Research Foundation(1972年))and Supplement 2 to this volume、1〜10頁を参照されたい。2つの配列又はその部分はより好ましくは、ALIGNプログラムを使用して最適に整列された場合、そのアミノ酸が50%よりも多く又はこれに等しく同一であるならば相同である。2つのオルソロガス配列内に異なる領域の相同性が存在可能であることは認識されるべきである。例えば、マウス及びヒトオルソログの機能部位非機能的領域よりも高度な相同性を有することがある。

0053

[00085]用語「と一致する」は、ポリヌクレオチド配列基準ポリヌクレオチド配列のすべてに若しくは部分に相同である(すなわち、同一であるが、厳密には進化的に関係があるわけではない)こと、又はポリペプチド配列が基準ポリペプチド配列と同一であることを意味するのに本明細書では使用される。

0054

[00086]これとは対照的に、用語「に相補的な」は、相補的配列が基準ポリヌクレオチド配列のすべてに若しくは部分に相同であることを意味するのに本明細書では使用される。説明すると、ヌクレオチド配列TATAC」は基準配列「TATAC」に一致しており、基準配列「GTATA」に相補的である。

0055

[00087]用語「配列同一性」は、2つのポリヌクレオチド又はアミノ酸配列が比較ウィンドウにわたって同一である(すなわち、ヌクレオチドごとに又は残基ごとに)ことを意味する。用語「配列同一性の割合」は、2つの最適に整列された配列を比較ウィンドウにわたって比較し、同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、U、又はI)又はアミノ酸残基が両方の配列に存在する位置の数を決定して適合する位置の数を得て、適合した位置の数を比較ウィンドウの位置の総数(すなわち、ウィンドウサイズ)で割り、その結果に100を掛けて配列同一性の割合を得ることにより計算される。

0056

[00088]本明細書で使用される用語「実質的な同一性」又は「実質的に同一の」は、ポリヌクレオチド又はアミノ酸配列の特徴を表し、その特徴において、ポリヌクレオチド又はアミノ酸は、少なくとも18ヌクレオチド(6アミノ酸)位置の比較ウィンドウにわたって、多くの場合少なくとも24〜48ヌクレオチド(8〜16アミノ酸)位置ウィンドウにわたって、基準配列と比べた場合、少なくとも85パーセント配列同一性、好ましくは、少なくとも90〜95パーセント配列同一性、さらに好ましくは少なくとも99パーセント配列同一性を有する配列を含み、配列同一性の割合は、欠失又は付加を含むことがある配列であって、比較ウィンドウにわたって合計すると基準配列のうちの20パーセント又はそれよりも少ない配列と基準配列を比べることにより計算される。基準配列はもっと大きな配列のサブセットでもよい。

0057

[00089]本明細書で使用されるように、20の通常のアミノ酸及びその略号は従来の使用に従う。Immunology−−A Synthesis(第2版、E.S.Golub and D.R.Gren、Eds.、Sinauer Associates、Sunderland、Mass.(1991年))を参照されたい。前記文献は参照により本明細書に組み込まれる。20の通常のアミノ酸の立体異性体(例えば、D−アミノ酸)、α,α−二置換アミノ酸などの非天然アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸、及び他の非通常型アミノ酸も、本発明のポリペプチドに適した成分になることができる。非通常型アミノ酸の例は、4−ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、ε−N,N,N−トリメチルリジン、ε−N−アセチルリジン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリンN−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリジン、σ−N−メチルアルギニン、並びに他の類似するアミノ酸及びイミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプロリン)を含む。本明細書で使用されるポリペプチド表示法では、標準的な使用と慣例に従えば、左手方向がアミノ末端方向であり、右手方向がカルボキシ末端方向である。

0058

[00090]同様に、別の方法で明記されていなければ、一本鎖ポリヌクレオチド配列の左手側の端は5’端であり;二本鎖ポリヌクレオチド配列の左手方向は5’方向と呼ばれる。新生RNA転写物の5’から3’方向の付加は転写方向と呼ばれ;RNAと同じ配列を有しRNA転写物の5’端の5’側であるDNA鎖上の配列領域は「上流配列」と呼ばれ;RNAと同じ配列を有しRNA転写物の3’端の3’側であるDNA鎖上の配列領域は「下流配列」と呼ばれる。

0059

[00091]ポリペプチドに適用されるように、用語「実質的な同一性」は、2つのペプチド配列が、デフォルトギャップ重みを使用するプログラムGAP又はBESTFITによるなどして最適に整列された場合、少なくとも80パーセントの配列同一性、好ましくは、少なくとも90パーセントの配列同一性、さらに好ましくは、少なくとも95パーセントの配列同一性、及びもっとも好ましくは、少なくとも99パーセントの配列同一性を共有することを意味する。同一ではない残基位置保存的アミノ酸置換によって異なることが好ましい。保存的アミノ酸置換とは、類似する側鎖を有する残基の互換性のことである。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸のグループグリシン、アラニン、バリンロイシン、及びイソロイシンであり;脂肪族−ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸のグループはセリン及びスレオニンであり;アミド含有側鎖を有するアミノ酸のグループはアスパラギン及びグルタミンであり;芳香族側鎖を有するアミノ酸のグループはフェニルアラニンチロシン、及びトリプトファンであり、塩基性側鎖を有するアミノ酸のグループはリシンアルギニン、及びヒスチジンであり;並びに硫黄含有側鎖を有するアミノ酸のグループはシステイン及びメチオニンである。好ましい保存的アミノ酸置換グループは、バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リシン−アルギニン、アラニン−バリン、グルタミン酸−アスパラギン酸、及びアスパラギン−グルタミンである。

0060

[00092]本明細書で考察されるように、アミノ酸配列の変動が本明細書に記載される抗体又は免疫グロブリン分子に少なくとも約75%、さらに好ましくは、少なくとも80%、90%、95%、及びもっとも好ましくは、約99%配列同一性を維持しているならば、抗体又は免疫グロブリン分子のアミノ酸配列のわずかな変動が本発明により包含されていると想定されている。特に、保存的アミノ酸置換が想定されている。保存的置換は関連する側鎖を有するアミノ酸のファミリー内で行われる置換である。遺伝的にコードされたアミノ酸は一般に:(1)酸性=アスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性=リシン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性=アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;及び(4)非電荷極性=グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシンのファミリーに分けられる。さらに好ましいファミリーは:セリン及びスレオニンは脂肪族ヒドロキシファミリーであり;アスパラギン及びグルタミンはアミド含有ファミリーであり;アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシンは脂肪族ファミリーであり;並びにフェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンは芳香族ファミリーである。例えば、特に置換がフレームワーク部位内のアミノ酸を含まなければ、ロイシンとイソロイシン又はバリンとの、アスパラギン酸とグルタミン酸との、スレオニンとセリンとの単離された置換、又はアミノ酸と構造的に関係するアミノ酸との類似する置換であれば得られる分子の結合機能又は特性に大きな影響を及ぼさないと予測するのは合理的である。

0061

[00093]アミノ酸変化が機能的ペプチドをもたらすかどうかは、ポリペプチド誘導体の特定の活性をアッセイすることにより容易に判定することが可能である。アッセイは本明細書で詳細に説明される。抗体又は免疫グロブリン分子の断片又は類似物は当業者であれば容易に調製することが可能である。断片又は類似物の好ましいアミノ−及びカルボキシル末端機能的ドメイン境界近くに存在する。構造的及び機能的ドメインは、ヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列データ公開の又は所有配列データベースと比較することにより同定することが可能である。コンピュータ化比較方法を使用して、既知の構造及び/若しくは機能の他のタンパク質に存在する配列モチーフ又は予測されるタンパク質立体構造ドメインを同定することが好ましい。既知の三次元構造に折り畳まれているタンパク質配列を同定する方法は公知である。Bowieら、(1991年)Science 253巻:164頁。したがって、前述の例は、当業者であれば、本明細書に記載される抗体に従って構造的及び機能的ドメインを定義するのに使用することができる配列モチーフ及び構造的立体構造を認識可能であることを示している。

0062

[00094]本発明のさらなる態様は、配列1、添付の配列表に示される抗体、本明細書に記載される抗体のうちのいずれかのVHドメインに、又は配列1に示されるHCDR(例えば、HCDR1、HCDR2、又はHCDR3)に少なくとも約60、70、80、85、90、95、98又は約99%のアミノ酸配列同一性を有するVHドメインを含むターゲティング結合剤又は抗体分子である。ターゲティング結合剤又は抗体分子は、任意選択で、配列2、添付の配列表に示される抗体、本明細書に記載される抗体のうちのいずれかのVLドメインに、又は配列2に示されるLCDR(例えば、LCDR1、LCDR2、又はLCDR3)に少なくとも約60、70、80、85、90、95、98又は約99%のアミノ酸配列同一性を有するVLドメインも含むことができる。2つのアミノ酸配列の%同一性を計算するのに使用することが可能であるアルゴリズムは、例えば、デフォルトパラメータを用いて、例えば、BLAST(Altschulら、(1990年)J.Mol.Biol.215巻:405〜410頁)、FASTA(Pearson and Lipman(1988年)PNAS USA 85巻:2444〜2448頁)、又はSmith−Watermanアルゴリズム(Smith and Waterman(1981年)J.Mol.Biol.147巻:195〜197頁)を含む。一部の実施形態では、上述のアミノ酸配列同一性を共有するターゲティング結合剤又は抗体は、参照する抗体と実質的に同じ活性を示している。例えば、実質的に同じ活性は、参照抗体の活性とは約50%、40%、30%、20%、10%、5%、2%、1%以下又はそれよりも少なく異なっていた少なくとも1つの活性を含む。

0063

[00095]抗原結合部位は一般に、可変重(VH)及び可変軽(VL)免疫グロブリンドメインにより形成されており、抗原結合界面相補性決定領域(CDR)と呼ばれる6つの表面ポリペプチドループで形成されている。フレームワーク領域(FR)に加え、それぞれのVH(HCDR1、HCDR2、HCDR3)及びそれぞれのVL(LCDR1、LCDR2、LCDR3)には3つのCDRがある。

0064

[00096]典型的には、VHドメインはVLドメインと対になって抗体抗原結合部位を提供するが、VH又はVLドメインは単独でも抗原に結合するのに使用することができる。VHドメイン(例えば、配列1由来)はVLドメイン(例えば、配列2由来)と対になることができ、その結果、VHとVLドメインの両方を含む抗体抗原結合部位が形成される。本明細書で開示されるもう一方のVHとVLドメインについて類似の実施形態が提供される。他の実施形態では、配列1のVH鎖は異種のVLドメインと対にされる。軽鎖乱交雑は当技術分野では十分に確立している。さらに、本明細書で開示されるもう一方のVHとVLドメインについては本発明により類似の実施形態が提供される。したがって、親の又は配列2の抗体鎖のいずれかのVHは、親の又は配列1、及び2の抗体のいずれか又は他の抗体のVLと対にすることができる。

0065

[00097]抗原結合部位は、H及び/又はLCDRの開示されたセット内に20もの、16、10、9又はこれよりも少ない、例えば、1、2、3、4、又は5アミノ酸付加、置換、欠失、及び/又は挿入のある親抗体又は配列1及び2の抗体のいずれかのH及び/又はL CDRのセットを含んでもよい。そのような改変は、CDRのセット内のいかなる残基でも潜在的に行うことができる。

0066

[00098]好ましいアミノ酸置換は:(1)タンパク質分解に対する感受性を減少する、(2)酸化に対する感受性を減少する、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変更する、(4)結合親和性を変更する、及び(4)そのような類似物の他の物理化学的又は機能的特性を与える又は改変する置換である。類似物は、天然に存在するペプチド配列以外の配列の種々の突然変異タンパク質を含むことが可能である。例えば、単一の又は複数のアミノ酸置換(好ましくは保存的アミノ酸置換)は天然に存在する配列において(好ましくは、ポリペプチドのうち分子間接触を形成するドメイン(複数可)の外側の部分において)行ってもよい。保存的アミノ酸置換は、親配列構造的特徴を実質的に変化させるべきではない(例えば、置換アミノ酸は親配列に存在するヘリックスを壊す、又は親配列を特徴付ける他のタイプの二次構造を破壊する傾向を持つべきではない)。当技術分野において認識されているポリペプチド二次及び三次構造の例はProteins、Structures and Molecular Principles(Creighton編、W.H.Freeman and Company、New York(1984年));Introduction to Protein Structure(C.Branden and J.Tooze編、Garland Publishing、New York、N.Y.(1991年));及びThorntonら、Nature 354巻:105頁(1991年)に記載されている。前記文献はそれぞれが参照により本明細書に組み込まれる。

0067

[00099]本発明のさらなる態様は、配列1、添付の配列表に収載される若しくは本明細書に記載される抗体のうちのいずれかのVHドメインに、又は配列1に示されるHCDR(例えば、HCDR1、HCDR2、又はHCDR3)に少なくとも約60、70、80、85、90、95、98又は約99%のアミノ酸配列同一性を有するVHドメインを含む抗体分子である。抗体分子は、任意選択で、配列2、添付の配列表に示される若しくは本明細書に記載される抗体のうちのいずれかのVLドメインに、又は配列2に示されるLCDR(例えば、LCDR1、LCDR2、又はLCDR3)に少なくとも60、70、80、85、90、95、98又は約99%のアミノ酸配列同一性を有するVLドメインも含むことができる。2つのアミノ酸配列の%同一性を計算するのに使用することが可能であるアルゴリズムは、例えば、デフォルトパラメータを用いて、例えば、BLAST(Altschulら、(1990年)J.Mol.Biol.215巻:405〜410頁)、FASTA(Pearson and Lipman (1988年)PNAS USA 85巻:2444〜2448頁)、又はSmith−Watermanアルゴリズム(Smith and Waterman(1981年)J.Mol.Biol.147巻:195〜197頁)を含む。

0068

[000100]本発明のさらなる態様は、配列1に収載される抗体のうちのいずれかのVHドメインに、又は配列1に示されるHCDR(例えば、HCDR1、HCDR2、又はHCDR3)に少なくとも約60、70、80、85、90、95、98又は約99%のアミノ酸配列同一性を有するVHドメインを含む抗体分子である。抗体分子は、任意選択で、配列2、添付の配列表に示される若しくは本明細書に記載される抗体のうちのいずれかのVLドメインに、又は配列2に示されるLCDR(例えば、LCDR1、LCDR2、又はLCDR3)に少なくとも60、70、80、85、90、95、98又は99%のアミノ酸配列同一性を有するVLドメインも含むことができる。

0069

[000101]アミノ酸配列が本明細書に提示されており、ヒトENO1タンパク質に対するターゲティング剤及び抗体において用いることが可能な変異体を含む、本発明のVH及びVLドメイン並びにCDRの変異体は、配列変化又は突然変異の方法及び所望の特徴のある抗原ターゲティングを求めてスクリーニングすることにより得ることが可能である。所望の特徴の例は、抗原に特異的である既知の抗体と比べて抗原に対する増加した結合親和性;その活性が既知である場合、抗原に特異的である既知の抗体と比べて抗原活性の増加した中和;特定のモル比での抗原に対する既知の抗体又はリガンドとの特定の競合能力;複合体を免疫沈降する能力;特定のエピトープに結合する能力;直鎖状エピトープ、例えば、本明細書に記載されるペプチド結合スキャンを使用して、例えば、直鎖状及び/又は制約立体構造でスクリーニングされるペプチドを使用して同定されるペプチド配列;非連続残基で形成される立体構造エピトープ;ヒトENO1タンパク質又は下流分子の新しい生物活性を調節する能力を含むがこれらに限定されない。そのような方法も本明細書に提供されている。

0070

[000102]本発明のさらなる態様は、アミノ酸配列が、ヒトENO1タンパク質上の、配列9又は10に収載され、少なくとも約60、70、80、85、90、又は約92%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むエピトープペプチドに結合し、ヒトENO1タンパク質疾患又は障害を処置するのに使用することが可能である結合剤を含む、標的に向けられる結合剤(すなわち、抗体)に関する。ヒトENO1タンパク質関係疾患又は障害は、ヒトENO1タンパク質の異常な活性化又は発現に起因して生じるいかなる状態でも可能である。一例では、ヒトENO1タンパク質関係疾患は、非小細胞肺がん肝細胞肝臓)癌、胃がん、乳がん、膵管癌などの新生物疾患である。

0071

[000103]本明細書で開示される抗体分子の変異体を作製し本発明で使用してもよい。多変量データ解析法を構造/特性−活性関係に適用する計算化学の先導に従って(Woldら、Multivariate data analysis in chemistry.Chemometrics−Mathematics and Statistics in Chemistry(Ed.:B.Kowalski)、D.Reidel Publishing Company、Dordrecht、Holland、1984年)、抗体の定量的活性−特性関係は、統計的回帰パターン認識及び分類などの周知の数学的技法を使用して導くことが可能である(Normanら、Applied Regression Analysis.Wiley−Interscience;第3版(1998年4月);Kandel、Abraham&Backer、Eric.Computer−Assisted Reasoning in Cluster Analysis.Prentice Hall PTR、(1995年5月11日);Krzanowski、Wojtek.Principles of Multivariate Analysis:A User’s Perspective(Oxford Statistical Science Series、No22(Paper)).Oxford University Press;(2000年12月);Witten、Ian H.&Frank、Eibe.Data Mining:Practical Machine Learning Tools and Techniques with Java Implementations.Morgan Kaufmann;(1999年10月11日);Denison David G.T.(Editor)、Christopher C.Holmes、Bani K.Mallick、Adrian F.M.Smith.Bayesian Methodsfor Nonlinear Classification and Regression(Wiley Series in Probability and Statistics).John Wiley&Sons;(2002年7月);Ghose、Amp K.&Viswanadhan、Vellarkad N.Combinatorial Library Design and Evaluation Principles、Software、Tools、and Applications in Drug Discovery)。抗体の特性は、抗体配列、機能的及び三次元構造の経験的及び理論的モデル(例えば、見込みのある接触残基の分析又は計算された物理化学的特性)から導くことが可能であり、これらの特性は単独で及び組み合わせて考慮することが可能である。

0072

[000104]VHドメイン及びVLドメインで構成された抗体抗原結合部位は典型的には、3つは軽鎖可変ドメイン(VL)由来及び3つは重鎖可変ドメイン(VH)由来である、ポリペプチドの6つのループにより形成される。既知の原子構造の抗体の分析により、抗体結合部位の配列と三次元構造の間の関係は解明されてきた。これらの関係は、VHドメインにおける第3の領域(ループ)を除いて、結合部位ループは少数の主鎖立体構造:カノニカル構造のうちの1つを有することを意味する。特定のループで形成されるカノニカル構造は、そのサイズ及びループとフレームワーク領域の両方において重要な部位でのある特定の残基の存在によって決定されることが明らかにされている。

0073

[000105]配列−構造関係についての本研究は、そのCDRループの三次元構造を維持し、したがって、結合特異性を維持するのに重要である、配列は既知であるが三次元構造は分かっていない抗体中の残基の予測に使用することが可能である。これらの予測は、リード最適化実験からの出力の予測と比較することにより後援することが可能である。構造的アプローチでは、WAMなどの任意の無料公開の又は市販のパッケージを使用して抗体分子のモデルを創造することが可能である。次に、Insight II(Accelrys,Inc.)又はDeep Viewなどのタンパク質可視化及び分析ソフトウェアパッケージを使用して、CDR中のそれぞれの位置での考えうる置換を評価してもよい。次に、この情報を使用して、活性に対して最小の又は有益な効果を及ぼす可能性のある置換を行ってもよい。

0074

[000106]CDR、抗体VH若しくはVLドメイン及び/又は結合剤のアミノ酸配列内で置換を行うのに必要な技法は一般に当技術分野で利用可能である。活性に対して最小の又は有益な効果を及ぼすと予想されることも又はされないこともある置換を有する変異配列を作製し、結合する及び/若しくは中和する能力について並びに/又は他の任意の所望の特性について試験してもよい。

0075

[000107]考察されるように、その配列が本明細書において具体的に開示されているVH及びVLドメインのいずれかの可変ドメインアミノ酸配列変異体を本発明に従って用いてもよい。

0076

[000108]本明細書で使用される用語「ポリペプチド断片」とは、アミノ末端及び/又はカルボキシ末端欠失を有するが、残りのアミノ酸配列は、例えば、完全長cDNA配列から推定される天然に存在する配列の対応する位置に同一であるポリペプチドのことである。断片は典型的には、少なくとも約5、6、8又は10アミノ酸長、好ましくは少なくとも約14アミノ酸長、さらに好ましくは少なくとも約20アミノ酸長、通常は少なくとも約50アミノ酸長、及びさらにより好ましくは少なくとも70アミノ酸長である。本明細書で使用される用語「類似物」とは、推定されるアミノ酸配列の部分に実質的な同一性を有する少なくとも約25アミノ酸のセグメントで構成され、以下の特性:(1)適切な結合条件下でのヒトENO1タンパク質への特異的結合、(2)適切なリガンド/ENO1タンパク質結合を遮断する能力、又は(3)ENO1タンパク質活性を阻害する能力のうちの少なくとも1つを有するポリペプチドのことである。典型的には、ポリペプチド類似物は、天然に存在する配列に関して保存的アミノ酸置換(又は付加又は欠失)を含む。類似物は典型的には、少なくとも20アミノ酸長、好ましくは少なくとも50アミノ酸長又はそれよりも長く、多くの場合、完全長の天然に存在するポリペプチドと同じ長さが可能である。

0077

[000109]本明細書で使用されるように、用語「抗体」とは、内部表面形状を有する三次元結合スペース及び抗原の抗原決定基の特徴に相補的である電荷分布を有するポリペプチド鎖フォールディングから形成される少なくとも1つの結合ドメインで構成されているポリペプチド又はポリペプチドのグループのことである。抗体は典型的には、2つの同一の対になったポリペプチド鎖を含み、それぞれの対が1つの「軽」及び1つの「重」鎖を有する四量体形態を有する。それぞれの軽/重鎖対の可変領域は抗体結合部位を形成する。

0078

[000110]本明細書で使用されるように、「標的に向けられる結合剤」は、標的部位優先的に結合する薬剤、例えば、抗体、又はその結合断片である。一実施形態では、標的に向けられる結合剤は1つの標的部位のみに特異的である。他の実施形態では、標的に向けられる結合剤は1つよりも多い標的部位に特異的である。一実施形態では、標的に向けられる結合剤はモノクローナル抗体でもよく、標的部位はエピトープでもよい。下に記載されるように、標的に向けられる結合剤は、抗体の少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むことができ、上記ドメインは異種タンパク質内に融合している又は含有されている。

0079

[000111]抗体の「結合断片」は組換えDNA技法により、又は無傷の抗体の酵素的若しくは化学的切断により作製される。結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、及び一本鎖抗体を含む。「二重特異性」又は「二機能性」抗体以外の抗体は、同一であるその結合部位のそれぞれを有すると理解されている。抗体は、過剰な抗体が対抗受容体に結合している受容体の量を少なくとも約20%、40%、60%又は80%、及びさらに通常では約85%よりも多く減少させる(in vitro競合結合アッセイで測定した場合)とき、対抗受容体への受容体の接着を実質的に阻害する。

0080

[000112]抗体は、単独であれ又は既知の技法により提供される他のアミノ酸配列と組み合わせてであれ、オリゴクローナル、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体、多特異的抗体二重特異的抗体触媒抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、抗イディオタイプ抗体及び可溶性又は結合形態で標識することが可能な抗体、並びにその断片、変異体又は誘導体でもよい。抗体はいかなる種由来でもよい。用語抗体は本発明の抗体の結合断片も含み;例となる断片はFv、Fab、Fab’、一本鎖抗体(svFc)、二量体可変領域(ダイアボディ)及びジスルフィド安定化可変領域(dsFv)を含む。

0081

[000113]全抗体の断片は抗原に結合するという機能を果たすことが可能であることが明らかにされている。結合断片の例は(Ward,E.S.ら、(1989年)Nature 341巻、544〜546頁)VL、VH、CL及びCH1ドメインからなるFab断片;(McCaffertyら、(1990年)Nature、348巻、552〜554頁)VH及びCH1ドメインからなるFd断片;(Holtら、(2003年)Trendsin Biotechnology 21巻、484〜490頁)単一抗体のVL及びVHドメインからなるFv断片;(iv)dAb断片(Ward,E.S.ら、Nature 341巻、544〜546頁(1989年)、McCaffertyら、(1990年)Nature、348巻、552〜554頁、Holtら、(2003年)Trends in Biotechnology 21巻、484〜490頁]これはVH又はVLドメインからなる;(v)単離されたCDR領域;(vi)F(ab’)2断片、2つの連結されたFab断片を含む二価断片;(vii)単一鎖Fv分子(scFv)、VHドメインとVLドメインが、2つのドメインに会合して抗原結合部位を形成させるペプチドリンカーにより連結されている(Birdら、(1988年)Science、242巻、423〜426頁、Hustonら、(1988年)PNAS USA、85巻、5879〜5883頁);(viii)二重特異性単一鎖Fv二量体(国際出願PCT/US92/09965)及び(ix)「ダイアボディ」、遺伝子融合により構築される多価又は多特異性断片(国際公開第94/13804号;Holliger,P.(1993年)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90巻 6444〜6448頁)である。Fv、scFv又はダイアボディ分子はVHとVLドメインを連結するジスルフィド架橋の組込みにより安定化させてもよい(Reiter,Y.ら、Nature Biotech、14巻、1239〜1245頁、1996年)。CH3ドメインに結合されたscFvを含むミニボディを作ってもよい(Hu,S.ら、(1996年)Cancer Res.、56巻、3055〜3061頁)。結合断片の他の例は、抗体ヒンジ領域由来の1つ又は複数のシステインを含む、重鎖CH1ドメインのカルボキシル末端での2,3の残基の付加によりFab断片とは異なっているFab’、及びFab’断片であって定常ドメインシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を帯びるFab’−SHである。

0082

[000114]用語「エピトープ」は、免疫グロブリン又はT細胞受容体に特異的に結合することができるいかなるタンパク質決定基も含む。エピトープ決定基は通常、アミノ酸又は糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面基からなり、特定の三次元構造的特徴並びに特定の電荷特徴を有することがあるが、必ずしもそうではない。抗体は、解離定数が≦1マイクロM、好ましくは≦100nM、及びもっとも好ましくは≦10nMである場合、抗原に特異的に結合すると言われる。

0083

[000115]用語「薬剤」は、化学化合物、化学化合物の混合物生体巨大分子、又は生体材料から作られる抽出物を意味するために本明細書では使用される。

0084

[000116]ENO1ポリペプチドに関して「活性な」又は「活性」とは天然のENO1ポリペプチドの生物学的又は免疫学的活性を有するENO1ポリペプチドの部分のことである。「生物学的な」は、本明細書で使用される場合、天然のENO1ポリペプチドの活性から生じる生物学的機能のことである。好ましいENO1生物学的活性は、例えば、ENO1誘導されるプラスミノーゲン活性を含む。

0085

[000117]「対象」は、本明細書で使用される場合、いかなる動物のことでもある。対象はヒト又は非ヒト哺乳動物であることが好ましい。対象はヒトであることが好ましい。

0086

[000118]抗体を酵素パパイン消化すると、抗原結合活性はないが結晶化する能力はある、「Fab」断片及び「Fc」断片としても知られる2つの同一の抗原結合断片が得られる。抗体を酵素ペプシンで消化すると、抗体分子の2つのアームが連結されたままであり2つの抗原結合部位を含むF(ab’)2断片が得られる。F(ab’)2断片は抗原と架橋する能力を有する。

0087

[000119]「Fv」は、本明細書で使用される場合、抗体のうち抗原認識と抗原結合部位の両方を保持する最小断片のことである。「Fab」は、本明細書で使用される場合、抗体のうち軽鎖の定常ドメイン及び重鎖のCH1ドメインを含む断片のことである。用語「mAb」とはモノクローナル抗体のことである。

0088

[000120]本明細書で使用される用語「医薬剤」又は「医薬品」とは、患者に適切に投与された場合、所望の治療効果を誘導することができる化学化合物又は組成物のことである。本明細書の他の化学用語は、The McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(Parker,S.編、McGraw−Hill、San Francisco(1985年))により例証されるように、当技術分野の従来の使用法に従って使用される(参照により本明細書に組み込まれる)。

0089

[000121]本明細書で使用されるように、「実質的に純粋な」は、対象種が、存在する優勢な種である(すなわち、モル濃度基準では、対象種が組成物中の他のどの個々の種よりも豊富である)ことを意味し、好ましくは、実質的に精製された部分は、対象種が、存在するすべての巨大分子種の少なくとも約50%(モル濃度基準で)を構成する組成物である。一般には、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在するすべての巨大分子種の約80パーセント以上、さらに好ましくは、約85%、90%、95%、及び99%以上を構成する。もっとも好ましくは、対象種は組成物が単一の巨大分子種から本質的になる本質的な均一性混入物種は従来の検出方法では組成物中で検出することはできない)まで精製されている。

0090

[000122]用語「患者」はヒト及び動物対象を含む。

0091

[000123]本明細書で使用されるように、用語「モニターする」とは、がん細胞中のENO1タンパク質の量を決定することによりがんの発生を検出する及び/又は観察する過程のことである。

0092

[000124]本明細書で使用される用語「処置する」又は「処置」とは、症状の重症度及び/若しくは頻度の減少をもたらし、症状及び/若しくはその根底にある原因を取り除き、並びに/又は損傷の改善若しくは修復を促進するように、有害な状態、障害、又は疾患で苦しんでいる臨床的に症候性の個体に薬剤又は製剤を投与することである。用語「予防する」又は「予防」とは、特定の有害な状態、障害、又は疾患に罹りやすい臨床的に症候性の個体に薬剤又は製剤を投与することであり、したがって、症状及び/又はその根底にある原因の発生を予防することに関する。当業者であれば理解しているように、予防又は予防することは、状態の絶対的(完全な)遮断又は回避を達成する必要はない。むしろ、予防は、予防されるべき疾患又は状態の実質的な(例えば、約50%を超える)減少又は回避を達成することでもよい。本明細書で別の方法で明確に又は黙示的に示されなければ、用語「処置」(又は「処置する」)が考えうる予防に言及せずに使用される場合、予防も同様に包含されることが意図されている。

0093

[000125]用語「薬学的に許容される」とは、生物学的に又は他の点で望ましくないわけではない物質のことであり、例えば、その物質は、望ましくないいかなる生物学的効果も引き起こしたり、剤形製剤のその他の成分いずれとも有害な様式で相互作用したりしないで、本発明の製剤に組み込まれることができる。しかし、用語「薬学的に許容される」が医薬品賦形剤を指すのに使用される場合、その賦形剤は毒性及び製造試験の必要基準を満たしていること並びに/又はその賦形剤は米国食品医薬品局が準備している不活性成分手引きに含まれていることが意味されている。以下にさらに詳細に説明されているように、「薬学的に活性な」誘導体又は類似物での「薬学的に活性な」(又は単に「活性な」)とは、誘導体又は類似物が親薬剤と同じ種類の薬理活性を有することである。

0094

[000126]活性薬剤の「有効」量又は「治療有効」量とは、非毒性であるが有益な効果を与えるのに十分な量の薬剤を意味する。「効果的」である活性薬剤の量は、個体の年齢及び全身状態、特定の活性な薬剤(単数又は複数)、並びに同類の物に応じて、対象により異なる。別の方法で示されていなければ、本明細書で使用される用語「治療有効」量は、すなわち、有害な状態の処置に有効な量に加えて、有害な状態の予防及び/又は有害な状態の寛解に有効な量を包含することが意図されている。

0095

[000127]本発明は、ヒトENO1に特異的に結合し、それによってリガンド(例えば、プラスミノーゲン)がENO1に結合するのを阻害する抗体又はその抗原結合断片を開示する。ENO1へのプラスミノーゲンの結合を阻害することにより、本発明の抗体はプラスミノーゲン活性化を阻害することが可能である。本発明の一部の実施形態では、抗体はポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体又は完全ヒト抗体である。

0096

[000128]本発明の一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片はヒトENO1上のエピトープに結合してENO1プラスミノーゲン受容体活性を阻害し、エピトープは、ヒトENO1の296FDQDDWGAWQKFTASAGIQVVGDDLTVTNPKRIAKAVNEKS336(配列番号39)の配列からなる領域に位置している。

0097

[000129]本発明の一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、ヒトENO1の296FDQDDWGAWQKFTA309(配列番号40)又は326KRIAKAVNEKS336(配列番号41)の配列からなる領域に位置しているエピトープに結合する。

0098

[000130]本発明の一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片はヒトENO1に非常に高親和性(すなわち、低解離定数(KD))で結合する。例えば、ENO1に約10−5、10−6、10−7、10−8、10−9、10−10、若しくは約10−11、又はそれらの間の任意の範囲若しくは値未満のKDで結合することができるヒト化抗体。親和性及び/又は結合活性測定は、本明細書に記載される通りに又は当技術分野で公知の技法に従って、ELISA及び/又はBIACOREを使用して実施することが可能である。好ましい実施形態では、ENO1に対する抗体又はその抗原結合断片のKD値は10nM又はそれよりも少ない、さらに好ましくは1.0nM又はそれよりも低い。

0099

[000131]一部の実施形態では、本発明は、ヒトENO1に結合し、(i)LCDR1(RASENIYSYLT;配列番号6)、LCDR2(NAKTLPE;配列番号7)及びLCDR3(QHHYGTPYT;配列番号8)を含む軽鎖可変領域(VL)、並びに(ii)HCDR1(GYTFTSCVMN;配列番号3)、HCDR2(YINPYNDGTKYNEKFKG;配列番号4)及びHCDR3(EGFYYGNFDN;配列番号5)を含む重鎖可変領域(VH)を含む、抗体又はその抗原結合断片に関する。

0100

[000132]本発明の一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号2若しくは9のアミノ酸残基1〜110を含むVL、及び/又は配列番号1、10若しくは11のアミノ酸残基1〜120を含むVHを含む。

0101

[000133]一部の実施形態では、本発明は、ヒトENO1タンパク質に結合し、(i)LCDR1(RASENIYSYLT;配列番号6)、LCDR2(NAKTLPE;配列番号7)及びLCDR3(QHHYGTPYT;配列番号8)を含む軽鎖可変領域(VL)、並びに(ii)HCDR1(GYTFTS−Xaa−VMN、Xaaはシステイン以外の任意のアミノ酸である;配列番号50)、HCDR2(YINPYNDGTKYNEKFKG;配列番号4)及びHCDR3(EGFYYGNFDN;配列番号5)を含む重鎖可変領域(VH)を含む、抗体又はその抗原結合断片に関する。好ましい実施形態では、Xaaはセリン又はアラニンである。

0102

[000134]本発明の一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号2若しくは9のアミノ酸残基1〜110を含むVL、又は配列番号1、10若しくは51のアミノ酸残基1〜120を含むVHを含む。

0103

[000135]本発明のさらなる実施形態は、哺乳動物をヒトENO1タンパク質、その断片、及びその1つ又は複数のオルソロガス配列又はその断片で免疫化することによりヒトENO1に対する高親和性抗体を産生するための方法に関する場合がある。例えば、免疫化は、ENO1タンパク質の注射により実行することが可能である。適切な抗体の同定も、ハイブリドーマ上清を対応する分子(抗原)を用いてスクリーニングすることにより可能である。同定後、抗体は当業者に公知である方法により産生することが可能である。

0104

[000136]本発明の一部の実施形態は、本明細書に記載される抗体をコードする単離された核酸分子に関する。抗ENO1抗体をコードする単離された核酸分子を有するベクター又はベクターのいずれかで形質転換された宿主細胞も開示される。

0105

[000137]さらに、本発明の一部の実施形態は、核酸分子が発現する条件下で宿主細胞を培養して抗体を産生し、続いて抗体を回収することにより抗ENO1抗体を産生するための方法に関する。本発明の実施形態は、抗体産生のために宿主細胞内にトランスフェクトされた場合に抗体又はその断片の収率を増加するために最適化された核酸配列を含む、本発明の抗体又は抗体の断片をコードするいかなる核酸分子でも含んでいてよいことは了解されるべきである。結合剤及びアプタマーの産生を含む、適切なポリクローナルモノクローナル及び組換え抗体の産生のための方法は当業者には公知である(例えば、Jorg Knablein(editor)、Modern Biopharmaceuticals、2巻、635頁参照)。下記の実施例も参照されたい。

0106

[000138]別の態様では、本発明は、組成物、例えば、医薬組成物、特に、ワクチンを特色とする。組成物は、本明細書に記載される治療有効量の抗体、又はその抗原結合断片、及び薬学的に許容される担体を含むことが可能である。

0107

[000139]薬学的に許容される担体は一般に、用いられる投与量及び濃度でレシピエント無毒であり、リン酸クエン酸、及び他の有機酸などのバッファーアスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤保存剤オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム塩化ヘキサメトニウム塩化ベンザルコニウム塩化ベンゼトニウムフェノールブチル又はベンジルアルコールなどの;メチル又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベンカテコールレゾルシノールシクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミンゼラチン、若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、若しくはリシンなどのアミノ酸;グルコースマンノース、若しくはデキストリンを含む単糖二糖、及び他の炭化水素EDTAなどのキレート剤スクロースマンニトールトレハロース若しくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン金属複合体(例えば、亜鉛タンパク質複合体);並びに/又はポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン界面活性剤を含むがこれらに限定されない。

0108

[000140]組成物は種々の形態でもよい。これらの形態は、例えば、液体溶液(例えば、注射及び不溶性溶液)、分散液又は懸濁液、リポソーム及び坐薬などの、液体半固体及び固体剤形を含む。好ましい形態は、意図される投与様式及び治療適用に依拠する。いくつかの典型的な組成物は、非経口投与(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)のために意図された注射又は不溶解性溶液の形態である。一部の実施形態では、組成物は静脈内注入又は注射により投与される。他の実施形態では、組成物は筋肉内又は皮下注射により投与される。

0109

[000141]抗体又はその抗原結合断片の治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別、及び体重、並びに個体において所望の応答を誘発する抗体又はその抗原結合断片の能力などの要因に従って変化してもよい。治療有効量は、免疫コンジュゲートの任意の毒性又は有害効果よりも治療的に有益な効果がまさる治療有効量でもある。「治療有効投与量」は当業者に公知のアッセイにより評価することが可能である。

0110

[000142]本発明の一部の実施形態は、ENO1タンパク質関係疾患又は障害に罹っている対象を処置するための方法であって、本明細書に記載される抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を対象に投与することを含む方法に関する。

0111

[000143]Baeの研究(J.Immunology、189巻:365〜372頁(2013年))によれば、RA患者のPBMCをENO1に対する抗体で処置すると、ENO1プラスミノーゲン受容体活性が刺激され、PBMC由来の単球及びマクロファージがp38MAPK及びNF−κ経路を介してTNFα、IL1−α/β、IFN−γ及びPGE2などの炎症促進性メディエーターをより大量に産生することが示されている。この所見とは対照的に、本発明の発明者らは驚くべきことに、ENO1に対する抗体を投与すると関節リウマチの臨床的改善をもたらすことが可能であることを見出した。すなわち、Baeらが選んだ抗体エピトープとは異なる抗体エピトープを用いて、活性化するのではなくENO1活性に対抗する抗体を投与することにより、炎症性疾患又は免疫障害(関節リウマチなどの)臨床的改善を達成することが可能であることが見出された。同様に、多発性硬化症の臨床的改善をもたらすことが可能であることが見出された。これらの所見は、すべてのENO1抗体が免疫疾患に治療効果があるわけではなく、この効果はエピトープ依存性であることを示唆している。

0112

[000144]さらに、驚くべきことに、動物モデルでは疾患の開始中だけでなく、疾患の明確な臨床症状が既に存在する時でも処置が可能であることが見出された。これにより、とりわけ、ヒト診療において必要とされる比較的遅い治療介入が可能になる。したがって、本発明は、多発性硬化症、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、若しくは全身性エリトマトーデスなどの炎症性疾患若しくは免疫障害、又は免疫障害の処置のために、本明細書に記載される抗体又はその抗原結合断片を対象(例えば、ヒト又は非ヒト動物)に投与するための方法に関する場合がある。

0113

[000145]本発明の一部の実施形態では、ENO1へのプラスミノーゲンの結合を阻害することにより、本発明の抗体又はその抗原結合断片はプラスミノーゲン活性化を阻害し、細胞外マトリックスの分解を減少させ、それにより今度は細胞外マトリックスからのがん細胞の解離を妨げる又は減少させる。これにより、がん細胞の細胞外マトリックスでのウロキナーゼプラスミノーゲン活性化系(uPAS)が阻害される。したがって、本発明の抗体又はその抗原結合断片を使用すれば腫瘍成長及び転移を阻害することが可能になる。これを達成することが可能である機序は、その受容体ENO1へのリガンド(プラスミノーゲンなどの)の結合を阻害すること、又は受容体ENO1とそのリガンドの間の相互作用を抑止し、それによってENO1の効果的な濃度を減少すること、を含むことがあるがこれらに限定されない。

0114

[000146]「ENO1」の疾患関係異常活性化又は発現は、任意の異常な、望ましくない又は病理的細胞接着、例えば、腫瘍関係細胞接着でもよい。細胞接着関係疾患は、白血病又はリンパ腫などの非固形腫瘍、並びにメラノーマ、非小細胞肺がん、肝細胞(肝臓)癌、、頭頸部、肝臓系、腹部乳房卵巣、肺、肺、子宮外陰部結腸直腸、及び膵臓などの固形腫瘍も含むがこれらに限定されない。したがって、本発明は、対象(例えば、ヒト又は非ヒト動物)において肺がん、乳がん、膵臓がん、肝臓がん、結腸直腸がん、又は前立腺がんなどの新生物疾患を処置するために、本明細書に記載される抗体又はその抗原結合断片を対象(例えば、ヒト又は非ヒト動物)に投与するための方法に関する場合がある。

0115

[000147]本発明のさらなる実施形態は、対象(例えば、ヒト又は非ヒト動物)においてENO1関係疾患又は障害を処置するための薬物の調製における本明細書に記載される抗体又はその抗原結合断片の使用に関する。

0116

[000148]本発明の一部の実施形態に従えば、本明細書に記載される抗体又はその抗原結合断片を使用してがん細胞の浸潤活性を阻害してもよい。例えば、本発明の抗体は、わずか50マイクログラム/ml又はそれよりも少ない抗体濃度で、U937ヒトリンパ腫細胞の浸潤活性の40%、50%、60%、又は70%よりも多くを阻害することが可能である。

0117

[000149]本発明の一部の実施形態に従えば、本明細書に記載される抗体又はその抗原結合断片は細胞外マトリックス分解を阻害し、それによって細胞外マトリックスからのがん細胞解離を阻害する。例えば、本発明の抗体は、わずか50マイクログラム/ml又はそれよりも少ない抗体濃度で、コラーゲン又はフィブロネクチンからのCL1−5細胞のプラスミノーゲン媒介解離の40%、50%、又は60%よりも多くを阻害することが可能である。

0118

[000150]本発明の一部の実施形態はがん発症をモニターするための方法に関する。方法は、ENO1の増加レベルががんの重症度と相関している試料(例えば、がん細胞)中のアルファエノラーゼタンパク質(ENO1)の量を決定するステップを含んでいてよい。本発明の実施形態に従って、量はENO1タンパク質への本明細書に記載される抗体又はその抗原結合断片の結合を測定することにより決定することができる。

0119

[000151]本発明の一部の実施形態はがんを検出するための方法に関する。そのような方法は、低レベルのENO1特異的抗体が悪性腫瘍の存在を示している、血清試料中のENO1特異的抗体の量を決定するステップを含んでいてもよい。

0120

[000152]ENO1の量を決定するための方法は、ENO1タンパク質とENO1特異的抗体の結合を測定すること、ウェスタンブロッティングフローサイトメトリー免疫組織化学(IHC)、RTPCR、及び/又はマイクロアレイ分析を含むがこれらに限定されない。

0121

[000153]以下の実施例は本発明のある特定の実施形態を説明するために提示されるが、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。

0122

実施例1
EN10 mAb抗体のENO1結合ELISA
[000154]抗ヒトENO1抗体EN10 mAbのENO1結合親和性を評価するため、10%ウシ胎仔血清FCS)を含有するRPMIでハイブリドーマを生育させた。1週間の培養後、1×106細胞を収集し、PBS洗浄し、200μlのRPMI培地再懸濁し、IP注射により重症複合免疫不全症(SCID)マウスに注射した。3週間後、マウスの腹水を収集し、15mlまで希釈した。抗体は40%の硫酸アンモニウム及びプロテインAカラム(Montage抗体精製キットMillipore)によりさらに精製した。精製された抗体は、製造業者(Millipore)が提供するプロトコルに従って、Amicon Ultra−15遠心フィルタデバイスで濃縮した。抗体の純度は12%SDS PAGEにより分析した。

0123

[000155]400ngのヒトENO1タンパク質で96ウェルELISAプレート被覆し、プレートはPBSでさらに洗浄した。1×10−12〜1×10−8Mの段階希釈のEN10 mAbをプレートに添加し、プレートは37℃で1時間インキュベートした。ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)にコンジュゲートしたヤギ抗マウスIgGを添加した。1時間後、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)を添加して、OD405を読み取った。すべての研究を3回繰り返した。データは平均±SDとして示した。抗体のOD読み取り及び濃度を使用し、Sigmaplotを使用して複数の散布図を作成した。KD値は4パラメータロジスティックフィットにより予測した。

0124

[000156]この実験の結果は図1に示されている。抗体EN10 mAbは、マウスあたり20.4mg〜4.6mgの生産性を有していた。EN10 mAb抗体のKD値は2.03±0.12×10−10M(N=3)であった。この結果は、EN10 mAb抗体がヒトENO1タンパク質を認識することが可能であり、約2.03±0.12×10−10M(N=3)のKD値を有する好ましい親和性を有することを示唆している。

0125

実施例2
[000157]がん細胞のENO1プラスミノーゲン受容体活性を阻害するEN10 mAbの能力を評価するために、ヒトリンパ腫U937細胞株を10%のFCSを含有するRPMIで生育させた。細胞は10マイクログラム/mlのLPSで6時間処置して、細胞表面でのENO1タンパク質発現を誘導した。次に、PBS中1.5×106細胞/mlをそれぞれ1マイクログラム/mlのヒトLys−プラスミノーゲン及び10マイクログラム/mlのEN10 mAbと一緒に1時間プレインキュベートした。試料はPBSで2度洗浄し、3nMの組織特異的プラスミノーゲン活性化因子及び0.5mMの発色基質S−2251を添加した。37℃で1時間のインキュベーション後、OD405を読み取った。すべての研究を3回繰り返し、アンタゴニスト活性を分析した。データは平均±SDとして示した。T検定を使用してそれぞれの群を比較した。P値<0.05は統計的に有意であると見なした。

0126

[000158]この実験の結果は図2に示されている。EN10 mAbは高ENO1プラスミノーゲン受容体アンタゴニスト活性を有し、LPS誘導特異的ENO1活性の100%阻害を達成することが可能である。したがって、EN10 mAbは標的臓器へのがん細胞の遊出を阻害する良好な潜在力を有する。

0127

実施例3
[000159]実施例2の結果は、EN10 mAbがENO1プラスミノーゲン受容体活性を阻害することが可能であることを示唆している。ENO1プラスミノーゲン受容体活性の阻害により、LPS刺激ヒトU937リンパ腫細胞株でのプラスミノーゲン活性化及び遊出活性が阻害されることがある。

0128

[000160]ENO1プラスミノーゲン受容体活性を損なえば、がん細胞の浸潤活性を軽減するのかどうかを評価するために、ヒトリンパ腫U937細胞株を10%のFCSを含有するRPMIで生育させた。細胞は10マイクログラム/mlのLPSで6時間処置して、細胞表面でのENO1タンパク質発現を誘導した。5〜50マイクログラム/mlのEN10 mAbと混合した後、2×104細胞を15マイクロモルのLys−プラスミノーゲンを含有する2チャンバーアッセイシステムの最上部チャンバーに播種し、下のチャンバーに10%FBS及び10nMのMCP−1を含有する培地と一緒に24時間インキュベートした。抗マウスIgGは陰性対照群として使用した。2つのチャンバーは、マトリゲルで被覆されたミクロポアフィルター(8マイクロメートル細孔サイズ)で隔てられた。インキュベーション期間後、下のチャンバーの細胞は顕微鏡下血計数器により計数した。すべての研究を3回繰り返した。データは平均±SDとして示した。T検定を使用してそれぞれの群を比較した。P値<0.05は統計的に有意であると見なした。

0129

[000161]結果は図3に示されている。LPS処置U937細胞を5〜50マイクログラム/mlのEN10 mAbで処置すると、U937の浸潤活性は対照IgGの90.2±2%〜49.1±1%(N=3)であった。これらの結果は、EN10 mAbが、ENO1プラスミノーゲン受容体活性を用量依存的様式で損なうことにより活性化されたU937の浸潤能力を軽減することが可能であることを示している。リンパ腫の表面のENO1タンパク質を標的とすることにより、EN10 mAbを使用して細胞が罹患部位に入るのを阻害することが実行可能である。

0130

実施例4
EN10 mAbはLPSにより刺激されたU937リンパ腫細胞株の表面ENO1を認識する
[000162]ヒトU937リンパ腫細胞を10%のFCSを含有するRPMIで生育させた。細胞は10マイクログラム/mlのLPSで6時間処置して、細胞表面でのENO1タンパク質発現を誘導した。フローサイトメトリー分析では、無傷のホールセルをEN10 mAb(1対300希釈)で又はなしで染色し、FITCコンジュゲートヤギ抗血清(Jackson Lab)を用いて可視化し、FACScanフローサイトメーター(Becton Dickinson)で分析した。ENO1発現は得られた蛍光強度により測定した。

0131

[000163]これらの実験の結果は図4に示されている。U937をLPS及びEN10 mAbと一緒にインキュベートすると、細胞をLPSなしでEN10 mAbと一緒にインキュベートした場合と比べるとヒストグラムが右に移動する。この結果は、U937細胞が、細胞をJPSで処置するとその細胞表面におけるENO1の発現が増加することを示している。これらのデータは、EN10 mAbがリンパ腫細胞上で、LSP誘導された表面ENO1を認識するという考えを支持している。

0132

実施例5
抗体EN10 mAbをコードする遺伝子のクローニングは下記の方法に従って実施した
(1)抗体遺伝子のcDNAクローニング及び調製
[000164]ハイブリドーマは10%のFCSを含有するRPMI培地(Gibco社製)で培養した。細胞数が約10×106/mlに到達後、細胞は遠心分離により収集され、次に、TRIzol(登録商標)(Invitrogen社製)が添加して、使用説明書に従って全RNAを抽出した。抗体cDNAの可変領域のクローニングは、マウスIgプライマーセット(Novagen社製)を添付の使用説明書に従って使用して実施した。

0133

(a)第1鎖cDNAの合成はSuperScript(登録商標)III第1鎖合成システム(Invitrogen社製)の使用説明書に従って実施した
[000165]第1鎖cDNAは鋳型として5マイクログラムの全RNAを使用して調製した。全ハイブリドーマRNAを5マイクログラム、50ng/マイクロLのランダムプライマーを1マイクロL、及び10mM dNTPを1マイクロL混合し、DEPC処理水を200マイクロLのPCRチューブ中10マイクロLに添加した。反応混合物は65℃で5分間インキュベートし、次に、少なくとも1分間上に置いた。2マイクロLの10×RTバッファー、4マイクロLの25mM MgCl2、2マイクロLのDTT、1マイクロLの4ユニットRNaseUT(商標)、及び1マイクロLの200ユニットSuperScript(登録商標)III RTを含有する10マイクロLのcDNA合成混合物を添加し、穏やかに混合し、短時間の遠心分離により収集した。反応チューブは25℃で10分間、続いて50℃で50分間インキュベートした。反応は85℃で5分間終結させ、氷上で冷却した。チューブは短時間遠心分離して反応生成物を収集し、1マイクロLのRNase Hを添加して37℃で20分間インキュベートした。

0134

(b)重鎖遺伝子及び軽鎖遺伝子のPCRによる増幅
[000166]5マイクロLのcDNA、5マイクロLの10×反応バッファー、1マイクロLの10mM dNTP混合物、1マイクロLの2.5ユニットTaqポリメラーゼ、並びにプライマーセットにより提供される1マイクロLのフォワードプライマー及び1マイクロLのリバースプライマー2の組成を有する反応溶液再蒸留水を用いて最終体積50マイクロLに調製し、PCRにかけた。

0135

[000167]抗体の軽鎖及び重鎖の増幅では、94℃で10分間のサイクルを使用し、次に、94℃で1分間、52℃で1分間、及び72℃で1分間のサイクルを35回繰り返し、反応は72℃でさらに10分間インキュベートした。反応溶液は2%アガロースゲル電気泳動にかけて反応生成物を分析した。正確な分子量、重鎖で約463bp、軽鎖で451bpを有する生成物は、添付の使用説明書に従ってサブクローニングするためpCR2.1−TOPOベクター(Invitrogen社製)にライゲートした。次に、M13フォワード(5’−GTAAACAACGACGGCGAG−3’(配列番号12))及びM13リバース(5’−CAGGAAACAGCTATGAC−3’(配列番号13))プライマーを使用してヌクレオチド配列を決定した。配列情報に基づいて、抗体配列はExPASY−翻訳ツールによりタンパク質配列に翻訳された。EN10 mAbの得られた配列は相補性決定領域(CDR)を有する重鎖アミノ酸配列及び軽鎖配列を含み、この配列はKabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、NIH Publication 91−3242、Bethesda Md.(1991年)、1〜3巻より発表された方法により決定された。

0136

[000168]図5AはEN10 mAbの可変重鎖領域アミノ酸配列(配列番号1)を描いている。フレームワーク領域(FR1、FR2、FR3、及びFR4)及びCDR(HCDR1(配列番号3)、HCDR2(配列番号4)、及びHCDR3(配列番号5))が示されている。

0137

[000169]図5BはEN10 mAbの可変軽鎖領域アミノ酸配列(配列番号2)を描いている。フレームワーク領域(FR1、FR2、FR3、及びFR4)及びCDR(LCDR1(配列番号6)、LCDR2(配列番号7)、及びLCDR3(配列番号8))が示されている。

0138

実施例6
EN10 mAbのヒト化
ヒトV領域フレームワーク配列の選択
[000170]マウスモノクローナル抗体EN10 mAbを親抗体として使用して、Kabat定義に従ったEN10 mAbCDR配列は図5A及び5B(配列番号1及び配列番号2)に記載されている。

0139

[000171]humEN10 mAb 4D5では、ヒトアクセプターフレームワークデータベースから、又はクリニックで確認されているフレームワークを利用して選択された。VHサブグループIII、IGHV3−66*04(配列番号10)及びVLκサブグループI、IGKV1−39*01(配列番号9)(図6A−1及び6A−2)におけるヒト重及び軽鎖フレームワーク配列はクリニックで確認されており多くのヒト化抗体で使用され成功を収めている。

0140

[000172]humEN10 mAbIMGTでは、EN10 mAbフレームワーク領域ともっとも高度な相同性を有するヒト生殖系列VL及びVH配列はIMGTデータベースから同定された(International immunogenetics Information System(登録商標))。相同性検索はBLAST又は類似の方法を用いて実施することができる。問い合わせ配列として使用されるEN10 mAb可変領域配列は、米国特許出願公開第14/142,186号などの文献から入手可能である。

0141

[000173]VHサブグループIII(VH3)におけるヒト重鎖フレームワーク配列は多くのヒト化抗体で使用され成功を収めており、VLκサブグループII(Vκ2)のヒト軽鎖フレームワーク配列も良好な候補であることが明らかにされている。したがって、VHIII及びVκ2サブグループのフレームワーク配列はそれぞれVH及びVLフレームワークについての検索のために選択された。これらの検索により、EN10 mAbにおける対応する重鎖及び軽鎖フレームワーク配列にもっとも相同であるVH及びVL配列として、それぞれIGHV3−72*01及びIGKV2D−29*02が同定された。

0142

[000174]図6B−1及び6B−2に示されるように、IGHV3−72*01重鎖フレームワーク領域の配列はEN10 mAb中の重鎖フレームワーク領域の配列とは19アミノ酸(箱で囲った残基)異なっており、この19残基は23.45%(フレームワーク領域中19/81全残基)変動に相当する。図6B−1及び6B−2に示される軽鎖フレームワークでは、IGKV2D−29*02の配列はEN10 mAb中の配列とは10アミノ酸(箱で囲った残基)異なっており、この10残基は13.16%(フレームワーク領域中10/76全残基)変動に相当する。

0143

[000175]フレームワーク領域にこの程度の変動を有していても、EN10 mAb由来のCDR配列をIGHV3−72*01及びIGKV2D−29*02配列中に移植することにより作製されるscFv(HH12)はENO1に対して比較的良好な親和性を有する(KD=2.3×10−10M)(下の表1参照)。これらの結果は、フレームワーク領域がCDR領域立体構造に影響を与えずに比較的高度な変動を許容可能であることを示唆している。

0144

[000176]軽鎖と重鎖配列のこれら2つの対(hum 4D5とhumIMGT)はヒトENO1に対するヒト化抗体の構築のための例として使用されることになる。

0145

実施例7
ヒト化抗体の結合親和性分析
[000177]マウス抗体をヒト化した後の親和性変化を確かめるため、IMGT及び4D5版のヒト化軽鎖及びヒト化重鎖の可変領域はそれぞれヌクレオチド合成法により直接作製された。図7Aに示されるように、マウス可変領域、IMGT及び4D5可変領域のヒト化版並びにヒトFcキメラ抗体発現ベクターpTCAE8−ENO1は宿主細胞に導入されて組換え抗体発現細胞を調製した。発現のための宿主細胞として、FreeStyle293細胞(Invitrogen社製)を使用した。ベクターは内含の使用説明書に従ってリポフェクタミン2000(Invitrogen社製)により宿主細胞内に導入された。約2.5マイクログラムの抗体発現ベクターを制限酵素により直線化し、遺伝子を4×106細胞内に導入し、細胞は6ウェル培養プレートに播種した。発現ベクターの選択マーカーに対応する薬剤を添加し、細胞は連続して培養して安定なプールを形成した。

0146

[000178]ヒトIgG抗体を含有する培養上清は下記の方法により調製された。抗体産生細胞はFreeStyle(商標)293発現培地(GIBCO)において順化された。細胞は組織培養フラスコで培養され、培養上清は細胞の生存可能率が90%のときに収集された。収集された上清は10マイクロメーター及び0.2マイクロメーターフィルター(Millpore社製)を通して濾過して汚染物質を取り除いた。抗体を含有する培養上清は、プロテインA(Millpore社製)、吸収バッファーとしてPBS、及び溶出バッファーとして20mMのクエン酸ナトリウムバッファー(pH3.0)を使用して親和性精製した。溶出画分は、50mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)を添加することにより約pH6に調整した。調製された抗体溶液は、透析膜(10,000MWカット、Spectrum Laboratories社製)を使用してPBSと交換し、0.22マイクロメーターの細孔サイズを有する膜フィルター(Millpore社製)を通して濾過減菌化して精製された抗体を得た。精製された抗体の濃度は、280nmでの吸光度を測定し、測定した値を1mg/mlに相当する1.45最適密度に基づいて換算することにより決定した。

0147

[000179]個々の抗体間の結合反応速度の差を知るため、BIAcore2000(BIAcore,Inc.、Piscataway、N.J.)を用いた表面プラズモン共鳴(SPR)を以前記載された通りに使用した(Karlsson&Falt、(1997年)J.Immunol Methods200巻:121〜133頁)。カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIAcore,Inc.)を供給業者説明書に従ってN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドハイドロクロライド(EDC)及びN−ヒロロキシサクシニミド(NHS)を用いて活性化した。キメラEN10 mAbは、流速20マイクロL/分で注射する前に、10mMの酢酸ナトリウム、pH4.8で5マイクログラム/mlに希釈し、おおよそ100応答単位(RU)の結合タンパク質を達成し、続いて未反応基を遮断するために1Mのエタノールアミンを注射した。反応速度の測定では、ENO1の2倍段階希釈液(0.3125nM〜40nM)を製造業者(BIAcore,Inc.、Piscataway、N.J.)が提供するHBS−P Biacoreランニングバッファー中、25℃、流速25マイクロL/分で注射し、EN10 mAb上での結合応答は空のフローセル上での応答を引くことにより補正した。会合速度(kon又はka)及び解離速度(koff又はkd)は簡単な1対1のラングミュア結合モデルを使用して計算し、kon及びkoffの分離フィッティングを使用した(BIAcore(商標)評価ソフトウェア3.2版)。

0148

[000180]結果は図7B及び表IIに示されている。ENO1に結合するキメラEN10 mAbのkon及びkoffは、それぞれ3.57×105及び8.271×10−5であり、KDは2.311±0.003×10−10モル/Lである。ENO1に結合するhumEN10 mAbIMGTのkon及びkoffは、それぞれ5.311E+5及び1.162E−4であり、KDは2.188E−10モル/Lである。4D5ヒト化版では、kon及びkoffは、それぞれ3.511E+5及び1.755E−4であり、KDは4.997±0.003×10−10モル/Lである。

0149

[000181]図7Bから、結果は、ヒト化EN10抗体のすべてがヒトENO1タンパク質を認識することが可能であり、ヒト化後、IMGT版の親和性はマウスキメラ抗体の親和性に類似しており、KD値が約2.03±0.12×10−10M(N=3)の好ましい親和性を有することを示唆している。

0150

実施例8
HumEN10 mAb 4D5及びHumEN10 mAbIMGT抗体はU937のLPSにより誘導されるプラスミノーゲン受容体活性を阻害する
[000182]がん細胞のENO1プラスミノーゲン受容体活性を阻害するhumEN10 mAb 4D5 mAb及びhumEN10 mAb IMGTの能力を評価するため、ヒトリンパ腫U937細胞株を10%のFCSを含有するRPMIで生育させた。細胞は10マイクログラム/mlのLPSで6時間処置して、細胞表面でのENO1タンパク質発現を誘導した。次に、PBS中1.5×106細胞/mlをそれぞれ1マイクログラム/mlのヒトLys−プラスミノーゲン並びに異なる濃度のhumEN10 mAb 4D5及びhumEN10 mAb IMGTと一緒に1時間プレインキュベートした。試料はPBSで2度洗浄し、3nMの組織特異的プラスミノーゲン活性化因子及び0.5mMの発色基質S−2251を添加した。37℃で1時間のインキュベーション後、OD405を読み取った。すべての研究を3回繰り返し、アンタゴニスト活性を分析した。データは平均±SDとして示した。T検定を使用してそれぞれの群を比較した。P値<0.05は統計的に有意であると見なした。

0151

[000183]この実験の結果は図8A及び図8Bに示されている。親抗体EN10 mAbと同じく、50マイクログラムのhumEN10 mAb 4D5とhumEN10 mAbIMGTの両方が高ENO1プラスミノーゲン受容体アンタゴニスト活性を有し、それぞれLPS誘導特異的ENO1活性の50及び56%阻害を達成することが可能であり、阻害割合は用量依存的である。したがって、両方のヒト化抗体は、標的臓器へのがん細胞の遊出を阻害するのに良好な潜在能力を有する。

0152

実施例9
HumEN10 mAb 4D5及びHumEN10 mAbIMGT抗体はU937の浸潤活性を阻害する
[000184]実施例8の結果として、humEN10 mAb 45D及びEN10 mAb IMGT抗体を投与すればU937の誘導性ENO1プラスミノーゲン受容体活性は減少する。これにより、その親抗体のように、がん細胞の浸潤活性が阻害されることがある。

0153

[000185]humEN10 mAb 4D5及びEN10 mAbIMGTの抗浸潤活性を評価するため、3×106のマウス脳内皮bEnd.3細胞を、Cytoselect(商標)24ウェル細胞遊走及び浸潤アッセイキットの上のチャンバー上の10%ウシ胎仔血清を含有するRPMI−1640培地において24時間マトリックスゲルで前被覆した。上のチャンバーはPBSで2度洗浄した。2%及び10%のウシ胎仔血清を含有するRPMI培地をそれぞれ上及び下のチャンバーに添加した。それぞれ10、50、及び100マイクログラム/mlのhumEN10 mAb 4D5及びhumEN10 mAb IMGTと混合した後、U937の2×104細胞を2チャンバーアッセイシステムの最上部チャンバーに播種し、24時間インキュベートした。抗ヒトIgGは陰性対照として使用した。2つのチャンバーはマトリゲルで被覆されたマイクロポアフィルター(8μm細孔サイズ)により分離されていた。インキュベーション期間後、下のチャンバー中の細胞数は顕微鏡下血球計数器により計算された。すべての研究を3回繰り返した。データは平均±SDとして示した。T検定を使用してそれぞれの群間の活性を比較した。P値<0.05は統計的に有意であると見なされる。結果は図9A及び9Bに示されている。Wangらの研究と同じく、tPAはU937のバックグランド浸潤を刺激した(図8A及び8B)。U937の浸潤活性は、細胞が1mlあたり50マイクログラムのhumEN10 mAb 4D5及びEN10 mAb IMGT抗体で処置された場合、それぞれ約41.8±11%(N=3)及び33±11%(N=3)阻害された(図9A及び9B)。これらの結果は実施例4の結果に類似している。両方のヒト化抗体がU937の浸潤活性を阻害する能力を有する。

0154

実施例10
ヒト化EN10 mAbはコラーゲン及びフィブロネクチンからのCL1−5細胞の解離を阻害する
[000186]ENO1プラスミノーゲン受容体−プラスミンと細胞外基質の間のシグナル伝達経路を評価するため、それぞれ1mg/mlのゼラチン、100マイクログラム/mlのフィブリノーゲン、10マイクログラム/mlのコラーゲン、及び10マイクログラム/mlのフィブロネクチンを非処理ELISAプレート上に一晩被覆した。CL1−5細胞(4×104細胞)をプレート上に播種し、50マイクログラム/mlのhumEN10 mAb 4D5を10%のFCSを含有する200μLのDMEMに添加した。細胞は37℃で24時間インキュベートし、次にPBSで2度洗浄した。10%のWSTを添加し、反応混合物は37℃で4時間インキュベートした。プレートの相対的細胞数はOD450の読み取りにより推定した。それぞれの研究を3回繰り返した。データは平均±SDとして示している。T検定を使用してそれぞれの群間の活性を比較した。P値<0.05は統計的に有意であると見なされる。

0155

[000187]これらの実験の結果は図10Aに示されている。これらのデータは、フィブロネクチン及びコラーゲン被覆プレート上のOD450読み取りが2.45±0.37(N=3)及び1.83±0.44(N=3)であることを示している。この読み取りは、バックグランド読み取りとは有意差のないゼラチン及びフィブリノーゲンプレートの読みよりもはるかに高い。humEN10 mAb 4D5処置群非処置群の間には有意差はない。これらの結果は、CL1−5細胞がフィブロネクチン及びコラーゲンへの結合に有利に働き、細胞が培地で下流プロテアーゼ、例えば、プラスミノーゲン及びtPAなしでインキュベートされた場合、humEN10 mAb 4D5のアンタゴニスト活性は細胞会合経路に関与しないことを示唆している。図10Aのデータは、ENO1プラスミノーゲン受容体活性が細胞外マトリックスとの細胞会合に関与していないことも示唆している。

0156

[000188]本発明者らは、ENO1が細胞外マトリックスからの細胞解離に関与しているかどうかをさらに試験した。それぞれ1マイクログラム/mlのフィブロネクチン及び10マイクログラム/mlのコラーゲンを非処理ELISAプレート上に一晩被覆した。CL1−5細胞(4×104細胞)をプレート上に播種し、それぞれ0、6.25、12.5、25、及び50マイクログラム/mlのhumEN10 mAb 4D5を10%のFCSを含有する200マイクロLのDMEMに添加した。さらに、10マイクログラム/mLのGlu−プラスミノーゲン及び2nMのtPAを添加した。細胞は37℃で24時間インキュベートし、PBSで2度洗浄した。次に、10%のWSTを添加し、反応混合物は37℃で4時間インキュベートした。プレートの相対的細胞数はOD450の読み取りにより推定した。それぞれの研究を3回繰り返した。データは平均±SDとして示されている。T検定を使用してそれぞれの群間の活性を比較した。P値<0.05は統計的に有意であると見なされる。

0157

[000189]これらの実験の結果は図10B及び図10Cに示されている。データは、培地がENO1受容体下流プロテアーゼプラスミノーゲン及びtPAを含有する場合、細胞数が両方の細胞外マトリックスでの処置されたhumEN10 mAb 4D5の濃度に正比例することを示している。両方の細胞外マトリックス研究において50マイクログラムのhumEN10 mAb 4D5処置群と対照IgG群の間には有意差がある(P<0.05)。これらの結果は、ENO1が、おそらくプラスミン及びtPAプロテアーゼ活性を増強することにより、細胞外マトリックスからのCL1−5細胞の解離経路に関与していることを示唆している。HumEN10 mAb 4D5は、ENO1のアンタゴニストとして機能して、ENO1の受容体活性を遮断して、プラスミン及びtPA活性化を阻害し、したがって、細胞外マトリックスからのCL1−5細胞の解離活性及び浸潤を阻害する。

0158

実施例11
ヒト化ENO1抗体は肺がん細胞株に対してADCC抗体依存性細胞傷害)効果を示す
[000190]抗成長阻害に加えて、ハーセプチンのADCCはその抗腫瘍効果に非常に重要であることは公知である。humEN10 mAb 4D5及びhumEN10 mAbIMGT抗体はハーセプチンの同じFc断片を有しているので、理屈の上では両方の抗体はADCC活性を有すると本発明者らは考えた。

0159

[000191]がん細胞に対するhumEN10 mAb 4D5及びHumEN10 mAbIMGT抗体のADCC効果を試験するため、2×104のヒト肺CL1−5がん細胞を96ELISAプレートで生育させた。一晩のインキュベーション後、異なる濃度のhumEN10 mAb 4D5、humEN10 mAb IMGT及び対照IgG1抗体を添加した。DCBのIRBガイドラインに従って、5人のボランティアからの新鮮血液試料を収集した。PBMC(末梢血単核細胞)は、血液:PBS:FICOLL=1:1:1溶液により、30分間の3000rpm遠心分離下で調製した。得られたPBMCを収集しPBSで2度洗浄した。PBMCは5%のFBSを含有するRPMI1640培地に懸濁させ、2.5×107細胞/mLの濃度まで希釈した。次に、50マイクロリットルのPBMCをCL1−5含有ELISAプレートに添加した。細胞は3000rpmで5分間回転させ、37℃で4時間インキュベートした。試料はPBSで2度洗浄し、製造業者から提供されるプロトコルに従ってADCC検出キットを添加し、室温で30分間インキュベートした。プレートでの細胞溶解の割合は、OD530/590の読み取りにより推定した。それぞれの研究を3回繰り返した。データは平均±SDとして示している。

0160

[000192]これらの実験の結果は図11A及び11Bに示されている。細胞が、40:1及び15:1のエフェクター/標的比を用いて研究において異なる濃度の対照ヒトIgG抗体で処置された場合、細胞溶解割合は著しい増加を示していない。40:1のエフェクター/標的比を用いて研究では、1×10−9MのhumEN10 mAb 4D5抗体で処置された細胞は、同じ濃度のヒトIgGで処置された細胞と比べた場合、有意な溶解差を示し始めた。humEN10 mAb 4D5とhumEN10 mAbIMGT抗体の両方が、細胞が10−6Mの抗体で処置された場合、約42%最大溶解活性を示した。低いエフェクター/標的比(15:1)を用いた研究では、humEN10 mAb 4D5とhumEN10 mAb IMGT抗体群の両方が1×10−8Mで著しい溶解を示し始め、10−6Mで最大溶解に達した。humEN10 mAb 4D5及びhumEN10 mAb IMGT抗体のADCCEC50はそれぞれ約8×10−9M及び1×10−8Mであると推定される。ヒト化EN10抗体の両方がADCC活性を有する。本発明者らの結果は、抗浸潤活性に加えて、humEN10 mAb 4D5及びhumEN10 mAb IMGT抗体が抗がん剤としてADCC活性を提供することが可能であることを示唆している。

0161

実施例12
腫瘍成長に対するヒト化EN10抗体の阻害効果
[000193]ヒト化EN10抗体はKDが約2.311±0.003×10−10モル/Lの良好な親和性及びさらなる開発の潜在力を有する。ヒト化EN10抗体の治療効果を評価するため、CL1−5マウス異種移植片モデルを実施した。CL1−5F4肺腺癌細胞(1×106細胞/マウス;5マウス/群)を0日目に皮下接種した。治療手順は、腫瘍接種の2日後に、10mpk(mg/Kg)のアイソタイプ対照(CTL)、humEN10 mAb 4D5又はhumEN10 mAbIMGT抗体を1週あたり2回投与することにより実施した。それぞれのマウスの腫瘍量及び体重は毎週測定した。データは個々の群についての平均±SDとして表されている。

0162

[000194]結果は図12に示されている。2日後、対照、humEN10 mAb及びhumEN10 mAbIMGT群の間で有意な腫瘍サイズ差はない。23日後、対照群のマウスの腫瘍は指数関数的に成長し始め、humEN10 mAb 4D5及びhumEN10 mAb IMGT処置マウスでは著しい腫瘍成長はない。30日後、対照群マウスの平均腫瘍サイズは1600±200mm3(N=5)であり、10mpkのhumEN10 mAb 4D5及びhumEN10 mAb IMGTで処置されたマウスでは、平均腫瘍サイズはそれぞれ505±24mm3(N=5)及び330±11mm3(N=5)である。humEN10 mAb 4D5とhumEN10 mAb IMGTの両方の処置群の平均腫瘍サイズは対照群と比べた場合著しく小さく、P値はそれぞれ0.004及び0.003である。humEN10 mAb 4D5とhumEN10 mAb IMGT処置群の間には有意な腫瘍サイズ差はない。この結果は、humEN10 mAb 4D5及びhumEN10 mAb IMGTがマウス異種移植片モデルではCL1−5細胞に対して腫瘍成長阻害活性を有し、EN10 mAbががん治療のための試薬として良好な有効性を有することを示している。

0163

実施例13
CHO細胞コドン最適化
[000195]上の実施例から、ENO1モノクローナル抗体は治療抗体として開発の潜在力を有すると本発明者らは結論付ける。

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