図面 (/)
課題
解決手段
請求項1
請求項2
エディブルフラワーの製造方法であって、屋内栽培施設において栽培されるエディブルフラワーの栽培期間中に次亜塩素酸水を1回あたり1時間以上断続的に屋内栽培施設内に噴霧する工程を含む方法。
請求項3
請求項1または2に記載の方法であって、次亜塩素酸水を毎日噴霧する工程を含む方法。
請求項4
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法であって、次亜塩素酸水の連続噴霧及び/または断続噴霧を1日あたり2回以上行う工程を含む方法。
請求項5
エディブルフラワーの材料となる植物が、バラ科、キク科、スミレ科、ラン科、ナデシコ科、サクラソウ科、シソ科、ユリ科、ウリ科、アブラナ科、マメ科、インパチェンス科、ヒユ科、ツリフネソウ科、ゴマノハグサ科、ナス科、ヒルガオ科、キキョウ科、オオバコ科、ノウゼンハレン科、キョウチクトウ科、ヒガンバナ科、クマツヅラ科、シュウカイドウ科、及びアカネ科に属する植物からなる群から選択される植物である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
請求項6
エディブルフラワーの材料となる植物が、バラ、ミニバラ、桜、菊、カレンジュラ、シネラリア、シャスターデージー、コスモス、紅花、キンセンカ、サイネリア、ジニア、デージー、ノースポール、ヒャクニチソウ、マリーゴールド、ミニヒマワリ、メランポジウム、スミレ、パンジー、ビオラ、洋ラン、デンファレ、ナデシコ、カーネーション、プリムラ、ジュリアン、ポリアンサス、ラベンダー、サルビア、バジル、ローズマリー、チューリップ、ヒョウタン、ゴーヤ、スイートアリッサム、菜の花、スイートピー、インパチェンス、千日草、鳳仙花、トレニア、ペチュニア、アサガオ、イソトマ、キンギョソウ、ナスタチウム、ニチニチソウ、ニラ、バーベナ、ベゴニア、及びペンタスからなる群から選択される植物である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
請求項7
前記次亜塩素酸水が、pH4.0〜6.5の次亜塩素酸水である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
請求項8
前記次亜塩素酸水が、有効塩素濃度10〜60ppmの次亜塩素酸水である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
請求項9
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法で製造されたエディブルフラワー。
技術分野
背景技術
0002
エディブルフラワーの製造方法に関して、例えば、特許第5789865号に示されているように、収穫後の生花の花弁を1枚ごとに分解、洗浄、調味、乾燥する方法や、特開2000-295962号公報に示されているように食用花に酢酸を付けて冷凍する方法などが提案されている。
発明が解決しようとする課題
0003
しかしながら、このような従来の技術はいずれも花を収穫後に加工する方法であって、乾燥や凍結などの処理を行うものである。そのため、食卓に提供される際は花冠本来の形態は変化してしまっているという問題があった。
一方、収穫前の栽培方法については、食用であるために農薬の使用は控えられ、病気に強い品種を採用するなどの対応が知られているが、個々の栽培については農家が独自に編み出した方法で栽培されており、ノウハウも含まれることから一般に公開されていないのが実情である。
さらに、食卓を彩る目的で使用されるエディブルフラワーは、花冠本来の形態を保ったまま使われることが望ましく、加熱処理などの殺菌処理が行えないことから、供給段階で雑菌の少ない衛生的な花冠の供給が求められている。そこで、本発明は花冠本来の形で流通する際に衛生的なエディブルフラワーを供給することを可能とした、収穫前の栽培方法を提供することを目的とする。
また本発明は、色落ちが抑制された、賞味期限の長いエディブルフラワーを提供することも目的とする。
課題を解決するための手段
0004
前記課題を解決するために検討を行った結果、屋内栽培施設において、次亜塩素酸水を噴霧することで収穫後のエディブルフラワーの菌数を低減できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明に係るエディブルフラワーの製造方法は、屋内栽培施設において栽培されたエディブルフラワーの衛生性向上をもたらす栽培方法であって、栽培期間中に、次亜塩素酸水を1日あたり連続で1時間以上屋内栽培施設内に噴霧する工程を含む、方法である。
0005
前記次亜塩素酸水は、pH4.0〜6.5、有効塩素濃度10〜60ppmの次亜塩素酸水であることが好ましい。
発明の効果
0006
本発明によれば、菌数の少ない衛生的なエディブルフラワーを提供できる。また本発明によれば、色落ちが抑制された、賞味期限の長いエディブルフラワーを提供することができる。
図面の簡単な説明
0007
本発明のエディブルフラワーの製造方法の一実施形態を模式的に示す図である。
0008
本発明は屋内栽培施設において、菌数の少ない衛生的なエディブルフラワーの提供方法である。本明細書において「屋内栽培施設」とは、風雨を遮断するための建築資材を備え、好ましくはエディブルフラワーの栽培に適した温度と採光条件とを備えた施設を意味する。
本明細書において「衛生的なエディブルフラワー」とは、花冠収穫後の菌数(カビ数または一般生菌数)が、本栽培法を用いなかった場合に比較して半分以下のエディブルフラワーであることを意味する。
0009
本発明はエディブルフラワーの栽培期間中に、次亜塩素酸水を1日あたり1時間以上連続で屋内栽培施設内に噴霧する工程を含む。ここで言う連続とは、絶えず噴霧することの他、例えば10秒噴霧して5秒停止することを繰り返すような数秒から数十秒単位で設定された間欠噴霧も含まれる。すなわちここで言う連続とは、断続的な意味も含まれる。
エディブルフラワーの材料となる植物は、屋内栽培施設にて栽培される植物であれば特に種類は限定されないが、バラ科、キク科、スミレ科、ラン科、ナデシコ科、サクラソウ科、シソ科、ユリ科、ウリ科、アブラナ科、マメ科、インパチェンス科、ヒユ科、ツリフネソウ科、ゴマノハグサ科、ナス科、ヒルガオ科、キキョウ科、オオバコ科、ノウゼンハレン科、キョウチクトウ科、ヒガンバナ科、クマツヅラ科、シュウカイドウ科、及びアカネ科に属する植物からなる群から選択される植物であることが好ましい。
バラ科に属する植物としては、バラ、ミニバラ、桜が好ましい。キク科に属する植物としては、菊、カレンジュラ、シネラリア、シャスターデージー、コスモス、紅花、キンセンカ、サイネリア、ジニア、デージー、ノースポール、ヒャクニチソウ、マリーゴールド、ミニヒマワリ、メランポジウムが好ましい。スミレ科に属する植物としては、スミレ、パンジー、ビオラが好ましい。ラン科に属する植物としては、洋ラン、デンファレが好ましい。ナデシコ科に属する植物としては、ナデシコ、カーネーションが好ましい。サクラソウ科に属する植物としては、プリムラ、ジュリアン、ポリアンサスが好ましい。シソ科に属する植物としては、ラベンダー、サルビア、バジル、ローズマリーが好ましい。ユリ科に属するとしては、チューリップが好ましい。ウリ科に属する植物としては、ヒョウタン、ゴーヤが好ましい。アブラナ科に属する植物としては、スイートアリッサム、菜の花が好ましい。マメ科に属する植物としては、スイートピーが好ましい。インパチェンス科に属する植物としては、インパチェンスが好ましい。ヒユ科に属する植物としては、千日草が好ましい。ツリフネソウ科に属する植物としては、鳳仙花が好ましい。ゴマノハグサ科に属する植物としては、トレニアが好ましい。ナス科に属する植物としてはペチュニアが好ましい。ヒルガオ科に属する植物としては、アサガオが好ましい。キキョウ科に属する植物としては、イソトマが好ましい。オオバコ科に属する植物としては、キンギョソウが好ましい。ノウゼンハレン科に属する植物としては、ナスタチウムが好ましい。キョウチクトウ科に属する植物としては、ニチニチソウが好ましい。ヒガンバナ科に属する植物としては、ニラが好ましい。クマツヅラ科に属する植物としては、バーベナが好ましい。シュウカイドウ科に属する植物としては、ベゴニアが好ましい。アカネ科に属する植物としては、ペンタスが好ましい。
上記の通り、エディブルフラワーの材料となる花冠は屋内栽培施設にて栽培される花であれば特に種類は限定されないが、バラ、トレニア、プリムラ、パンジー、スイートピー、菊、菜の花がより好ましい。
0010
本発明において噴霧に用いる次亜塩素酸水とは、塩酸または塩化ナトリウム水溶液を電気分解して得られる次亜塩素酸(HClO)を主成分とする水溶液である。次亜塩素酸水は市販の電解水製造装置(森永乳業(株)製ピュアスター)を用いて製造することが可能である。次亜塩素酸水は、「微酸性次亜塩素酸水」、「微酸性電解水」、「微酸性電解水」、「微酸性次亜塩素酸水溶液」、「微酸性電解次亜塩素酸水」とも表記することが可能である。
次亜塩素酸水のpHは4.0〜6.5が好ましい。
次亜塩素酸水の有効塩素濃度は10〜60ppm(質量基準)が好ましく、30〜40ppmがより好ましい。該有効塩素濃度は、「日本食品添加物協会発行『第8版食品添加物公定書厚生労働省復刻版』第375ページ第10〜13行、2007年8月31日」に記載されている方法によって測定することができる。このpH及び有効塩素濃度の範囲内であれば、エディブルフラワーの菌数を低減することができる。
なお、2014年3月28日付で日本・農林水産省より各都道府県知事宛に発行された書面、25消安第5776号・環水大土発第1403281号によれば、特定農薬として指定された資材である、2〜6%の塩酸を無隔膜電解槽(森永乳業(株)製ピュアスターがこれに相当する)で得られた次亜塩素酸水として、pH6.5以下、有効塩素濃度10〜60ppmであることが指定されている。
0011
次亜塩素酸水の噴霧は、朝、昼、夜を問わず行うことが可能である。次亜塩素酸水の噴霧は毎日行うことが好ましく、1回あたりの噴霧は1時間以上連続で行うことが好ましい。1日あたりの噴霧回数は2回以上であることがより好ましい。この噴霧条件であれば、エディブルフラワーの菌数を低減することができる。
屋内栽培施設内に噴霧する方法は、液体を飛沫にして散布することが可能な方法であれば特に限定されないが、例えば固定ノズルによる細霧設備、スプリンクラー、シャワー、霧発生器等を用いて噴霧することが可能である。
0012
図1は本発明のエディブルフラワーの製造方法に好適に用いられる栽培システムの一実施形態の模式図である。
本実施形態のエディブルフラワーの製造方法は、電解水製造装置1、屋内栽培施設H(以下、「ハウス」ともいう。)内の天井部に設けられた噴霧ノズル5と、次亜塩素酸水を噴霧ノズル5に供給する送液管4を備えている。本実施形態では、電解水製造装置1で製造された次亜塩素酸水が、貯水タンク2に貯められ、送液ポンプ3によって送液管4に送られ、噴霧ノズル5からハウス内に霧状に噴霧される。
0013
<実施例1>
実施例1では、次亜塩素酸の噴霧によるバラ花冠の菌数低減効果を確認するために、図1に示す構成を有するバラ栽培ハウス内で、栽培期間中に次亜塩素酸水を噴霧した。
電解水製造装置1として森永乳業(株)製ピュアスターを用い、次亜塩素酸水(有効塩素濃度20ppm、pH6.0)を生成し、ハウス内のタンクに貯水してから使用した。
栽培期間中のバラ栽培ハウス内にて、ハウス天井部に設置した細霧設備により毎日朝2時間、夕方1時間連続噴霧し、バラの花冠を摘み取りストマッカー法によりポテトデキストロースアガー培地を用いてカビ数を、標準寒天培地を用いて一般生菌数を求めた。対照として、次亜塩素酸水を噴霧していないハウスからも花冠を摘み取り同様の方法でカビ数と一般生菌数を求めた。実施例1の結果を表1に示す。
0014
実施例
0015
表1の結果に示されるように、次亜塩素酸水を噴霧していない慣行区ハウスでは花冠1gあたりカビ数で3桁、一般生菌数で3〜4桁であるのに対して、次亜塩素酸水を噴霧した試験区ではカビ数で2桁、一般生菌数で2桁以下であり、次亜塩素酸水を噴霧することによりカビ数で約10分の1、一般生菌数で約100分の1以下に菌数が減少したことが示された。
0016
1電解水製造装置
2貯水タンク
3 送液ポンプ
4 送液管
5噴霧ノズル
H 屋内栽培施設