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技術 電力増幅器の調整方法および調整システム

出願人 日本電信電話株式会社
発明者 鈴木義規須崎皓平山下史洋
出願日 2018年3月2日 (2年1ヶ月経過) 出願番号 2018-037425
公開日 2019年9月12日 (7ヶ月経過) 公開番号 2019-153904
状態 特許登録済
技術分野 増幅器一般
主要キーワード 電力総和 次数毎 ディバイド 改良物 評価時間 相互変調歪成分 補償対象 隣接キャリア
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

等電力2波の信号を用いてリニアライザを調整し、マルチキャリアの信号に対する非線形の影響を従来と比べて低減できる電力増幅器調整方法および調整システムを提供することを目的とする。

解決手段

電力増幅器が有する非線形性により生じる相互変調歪を低減するリニアライザを含む電力増幅器の調整方法であって、信号発生器により生成された2つの信号を電力増幅器に入力し、電力増幅器から出力される2つの信号の第1相互変調歪の電力を第1相互変調歪の次数毎に測定し、測定した各次数の第1相互変調歪の電力を用いて、複数の信号による第2相互変調歪の電力の総量を算出し、複数の信号による第2相互変調歪の電力の総量が最小または所定値以下となるように、リニアライザを調整する。

概要

背景

衛星通信は、広範なサービスエリアカバーでき、災害に強いという特徴を有する。このため、衛星通信は、地上回線の使用が困難な洋上やデジタルディバイド地域、災害時等における通信環境構築に広く利用されている。しかしながら、衛星通信は、36000km上空静止軌道上の通信衛星中継するため、伝搬損失が非常に大きく、基地局の通信性能の向上が求められる。特に、点在する各ユーザのVSAT(Very Small Aperture Terminal)等の通信端末からのデータを集約する基地局においては、扱う通信容量が大きいため、大きな送信電力が求められる。

また、基地局は、1つの電力増幅器を用いてデータを含む複数の信号を増幅し、送信電力を大きくする場合、電力増幅器の非線形性の影響により相互変調歪IM: Intermodulation)が発生する。

非線形の影響を小さくするには、例えば、電力増幅器の出力を絞る、すなわちバックオフさせることで、電力増幅器の線形領域で運用する方法がある。しかしながら、非線形の影響を許容範囲内に抑えるためのバックオフが、例えば6dBとする場合、基地局が有する電力増幅器の飽和出力は、運用出力の4倍(6dB)必要となる。この電力増幅器の運用出力の増大は、消費電力の増大、開発費や製品費等のコストアップ要因となる。

そこで、非線形の影響を低減(線形化)し、より小さなバックオフで所定の歪特性満足させるリニアライザを有した電力増幅器の技術が提案されている(非特許文献1参照)。そして、非線形を低減する方法には、補償対象となる主増幅器の相互変調歪を検出するひずみ検出回路と、検出した相互変調歪を補助増幅器で増幅した後、主増幅器の出力に等振幅逆相注入するひずみ除去回路とを用いて、相互変調歪を除去するフィードフォワードがある。また、非線形を低減する別の方法には、電力増幅器の逆特性を有するプリディストータを電力増幅器の前に配置することで相互変調歪を除去するプリディストーションがある。

概要

等電力2波の信号を用いてリニアライザを調整し、マルチキャリアの信号に対する非線形の影響を従来と比べて低減できる電力増幅器の調整方法および調整システムを提供することを目的とする。 電力増幅器が有する非線形性により生じる相互変調歪を低減するリニアライザを含む電力増幅器の調整方法であって、信号発生器により生成された2つの信号を電力増幅器に入力し、電力増幅器から出力される2つの信号の第1相互変調歪の電力を第1相互変調歪の次数毎に測定し、測定した各次数の第1相互変調歪の電力を用いて、複数の信号による第2相互変調歪の電力の総量を算出し、複数の信号による第2相互変調歪の電力の総量が最小または所定値以下となるように、リニアライザを調整する。

目的

本発明は、等電力2波の信号を用いてリニアライザを調整し、マルチキャリアの信号に対する非線形の影響を従来と比べて低減できる電力増幅器の調整方法および調整システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

電力増幅器が有する非線形性により生じる相互変調歪を低減するリニアライザを含む前記電力増幅器の調整方法であって、信号発生器により生成された2つの信号を前記電力増幅器に入力し、前記電力増幅器から出力される前記2つの信号の第1相互変調歪の電力を前記第1相互変調歪の次数毎に測定し、測定した各次数の前記第1相互変調歪の電力を用いて、前記複数の信号による第2相互変調歪の電力の総量を算出し、前記複数の信号による第2相互変調歪の電力の総量が最小または所定値以下となるように、前記リニアライザを調整することを特徴とする電力増幅器の調整方法。

請求項2

請求項1に記載の電力増幅器の調整方法において、前記リニアライザを調整する処理は、前記複数の信号における2つの信号の組み合わせによる前記第1相互変調歪のうち、前記第1相互変調歪の次数が低いほど前記第1相互変調歪の電力が小さくなるように、前記リニアライザを調整することを特徴とする電力増幅器の調整方法。

請求項3

請求項1または請求項2に記載の電力増幅器の調整方法において、前記2つの信号を前記電力増幅器に入力する処理は、前記電力増幅器が増幅する前記複数の信号の数に応じて、前記信号発生器が生成する前記2つの信号の電力を調整することを特徴とする電力増幅器の調整方法。

請求項4

電力増幅器が有する非線形性により生じる相互変調歪を低減するリニアライザを含む前記電力増幅器を調整する調整システムであって、2つの信号を生成する信号発生器と、前記電力増幅器から出力される前記2つの信号の第1相互変調歪の電力を前記第1相互変調歪の次数毎に測定する測定装置と、測定した各次数の前記第1相互変調歪の電力を用いて、前記複数の信号による第2相互変調歪の電力の総量を算出する算出部と、前記複数の信号による第2相互変調歪の電力の総量が最小または所定値以下となるように、前記リニアライザを調整する制御部とを含む制御装置と、を備えることを特徴とする調整システム。

請求項5

請求項4に記載の調整システムにおいて、前記制御部は、前記複数の信号における2つの信号の組み合わせによる前記第1相互変調歪のうち、前記第1相互変調歪の次数が低いほど前記第1相互変調歪の電力が小さくなるように、前記リニアライザを調整することを特徴とする調整システム。

請求項6

請求項4または請求項5に記載の調整システムにおいて、前記制御部は、前記電力増幅器が増幅する前記複数の信号の数に応じて、前記信号発生器が生成する前記2つの信号の電力を調整することを特徴とする調整システム。

技術分野

0001

本発明は、リニアライザを有する電力増幅器調整方法および調整システムに関する。

背景技術

0002

衛星通信は、広範なサービスエリアカバーでき、災害に強いという特徴を有する。このため、衛星通信は、地上回線の使用が困難な洋上やデジタルディバイド地域、災害時等における通信環境構築に広く利用されている。しかしながら、衛星通信は、36000km上空静止軌道上の通信衛星中継するため、伝搬損失が非常に大きく、基地局の通信性能の向上が求められる。特に、点在する各ユーザのVSAT(Very Small Aperture Terminal)等の通信端末からのデータを集約する基地局においては、扱う通信容量が大きいため、大きな送信電力が求められる。

0003

また、基地局は、1つの電力増幅器を用いてデータを含む複数の信号を増幅し、送信電力を大きくする場合、電力増幅器の非線形性の影響により相互変調歪IM: Intermodulation)が発生する。

0004

非線形の影響を小さくするには、例えば、電力増幅器の出力を絞る、すなわちバックオフさせることで、電力増幅器の線形領域で運用する方法がある。しかしながら、非線形の影響を許容範囲内に抑えるためのバックオフが、例えば6dBとする場合、基地局が有する電力増幅器の飽和出力は、運用出力の4倍(6dB)必要となる。この電力増幅器の運用出力の増大は、消費電力の増大、開発費や製品費等のコストアップ要因となる。

0005

そこで、非線形の影響を低減(線形化)し、より小さなバックオフで所定の歪特性満足させるリニアライザを有した電力増幅器の技術が提案されている(非特許文献1参照)。そして、非線形を低減する方法には、補償対象となる主増幅器の相互変調歪を検出するひずみ検出回路と、検出した相互変調歪を補助増幅器で増幅した後、主増幅器の出力に等振幅逆相注入するひずみ除去回路とを用いて、相互変調歪を除去するフィードフォワードがある。また、非線形を低減する別の方法には、電力増幅器の逆特性を有するプリディストータを電力増幅器の前に配置することで相互変調歪を除去するプリディストーションがある。

先行技術

0006

“電力増幅器の線形化技術”,電子情報通信学会「知識ベース」,4群−1編−10章−4,2010年11月(http://www.ieice-hbkb.org/portal/)

発明が解決しようとする課題

0007

従来では、等電力2波の無変調波をリニアライザに入力し、3次以上の奇数次数全ての相互変調歪の電力総和が所定のレベル以下、もしくは3次の相互変調歪(IM3)や5次の相互変調歪(IM5)等の各々の歪の電力が所定のレベル以下となるように、リニアライザを調整する。例えば、フィードフォワードの場合には、ひずみ検出回路およびひずみ除去回路における減衰量および位相量と、補助増幅器の増幅率とを調整することで、リニアライザを調整する。

0008

しかしながら、衛星通信に用いる電力増幅器は、10波や15波等のマルチキャリアの信号を増幅するため、等電力2波によるリニアライザの調整では、マルチキャリアの信号に対してリニアライザが最適に調整されているか否か不明である。

0009

このため、出荷時等にリニアライザを最適な状態に調整するには、運用時に使用するマルチキャリアの信号を発生する信号発生器を用いる必要がある。しかしながら、マルチキャリアの信号の信号発生器は、等電力2波を発生する信号発生器と比べて高価である。また、マルチキャリアの信号生成のための信号発生器の設定に多大な稼働およびコスト等が発生し、生成する信号の帯域が広がるに従い設定のための稼働およびコスト等が増大するという問題がある。また、リニアライザに入力するマルチキャリアの信号の諸元が異なる場合、信号発生器の設定を見直しが発生するため、非線形の影響の評価時間が増大してしまう。

0010

本発明は、等電力2波の信号を用いてリニアライザを調整し、マルチキャリアの信号に対する非線形の影響を従来と比べて低減できる電力増幅器の調整方法および調整システムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

第1の発明は、電力増幅器が有する非線形性により生じる相互変調歪を低減するリニアライザを含む電力増幅器の調整方法であって、信号発生器により生成された2つの信号を電力増幅器に入力し、電力増幅器から出力される2つの信号の第1相互変調歪の電力を第1相互変調歪の次数毎に測定し、測定した各次数の第1相互変調歪の電力を用いて、複数の信号による第2相互変調歪の電力の総量を算出し、複数の信号による第2相互変調歪の電力の総量が最小または所定値以下となるように、リニアライザを調整することを特徴とする。

0012

第2の発明は、第1の発明において、リニアライザを調整する処理は、複数の信号における2つの信号の組み合わせによる第1相互変調歪のうち、第1相互変調歪の次数が低いほど第1相互変調歪の電力を小さくなるように、リニアライザを調整することを特徴とする。

0013

第3の発明は、第1の発明または第2の発明において、2つの信号を電力増幅器に入力する処理は、電力増幅器が増幅する複数の信号の数に応じて、信号発生器が生成する2つの信号の電力を調整することを特徴とする。

0014

第4の発明は、電力増幅器が有する非線形性により生じる相互変調歪を低減するリニアライザを含む電力増幅器を調整する調整システムであって、2つの信号を生成する信号発生器と、電力増幅器から出力される2つの信号の第1相互変調歪の電力を第1相互変調歪の次数毎に測定する測定装置と、測定した各次数の第1相互変調歪の電力を用いて、複数の信号による第2相互変調歪の電力の総量を算出する算出部と、複数の信号による第2相互変調歪の電力の総量が最小または所定値以下となるように、リニアライザを調整する制御部とを含む制御装置と、を備えることを特徴とする。

0015

第5の発明は、第4の発明において、制御部は、複数の信号における2つの信号の組み合わせによる第1相互変調歪のうち、第1相互変調歪の次数が低いほど第1相互変調歪の電力を小さくなるように、リニアライザを調整することを特徴とする。

0016

第6の発明は、第4の発明または第5の発明において、制御部は、電力増幅器が増幅する複数の信号の数に応じて、信号発生器が生成する2つの信号の電力を調整することを特徴とする。

発明の効果

0017

本発明は、等電力2波の信号を用いてリニアライザを調整し、マルチキャリアの信号に対する非線形の影響を従来と比べて低減できる。

図面の簡単な説明

0018

調整システムの一実施形態を示す図である。
図1に示した電力増幅器が信号発生器により受信した等電力2波の信号を増幅した場合の出力結果の一例を示す図である。
図1に示した電力増幅器が10キャリアのマルチキャリアの信号を増幅した場合の出力結果の一例を示す図である。
図1に示した調整システムにおける調整処理の一例を示す図である。
変調方式PSKでのキャリア数に対するPAPRと、等電力2波の信号のPAPRとの差分の一例を示す図である。

実施例

0019

以下、図面を用いて実施形態について説明する。

0020

図1は、調整システムの一実施形態を示す。

0021

図1に示した調整システムSYSは、リニアライザ110を含む電力増幅器100を調整するために、信号発生器200、測定装置300および制御装置400を有する。

0022

電力増幅器100は、例えば、衛星通信の基地局に配置され、基地局が送信すべきマルチキャリアの信号に対して、電力増幅器100が有する非線形性により生じる相互変調歪を低減するリニアライザ110による低減処理を実行する。電力増幅器100は、低減処理したマルチキャリアの信号を設定された増幅率で増幅し、増幅したマルチキャリアの信号を基地局に含まれる送信装置等に出力する。

0023

一方、電力増幅器100は、リニアライザ110の動作を調整する場合、信号発生器200により発生される等電力2波の信号を入力し、2つの入力信号に対して、リニアライザ110による低減処理を実行する。電力増幅器100は、低減処理した2つの入力信号を設定された増幅率で増幅し、増幅した信号を測定装置300に出力する。

0024

なお、電力増幅器100は、衛星通信のマルチキャリアの信号を増幅するとしたが、移動体通信等のマルチキャリアの信号に適用されてもよい。また、リニアライザ110は、フィードフォワードまたはプリディストーション等により低減処理を実行する。電力増幅器100の非線形性により発生する相互変調歪については、図2および図3で説明する。

0025

信号発生器200は、例えば、制御装置400の制御指示に基づいて、無変調の等電力2波の信号を生成し、生成した信号を電力増幅器100に出力する。なお、信号発生器200が生成する等電力2波の信号は、電力増幅器100が増幅するマルチキャリアの信号の周波数帯域周波数を有することが好ましい。

0026

測定装置300は、スペクトルアナライザ等であり、制御装置400の制御指示に基づいて、リニアライザ110の調整時に電力増幅器100から出力される信号をモニタし、モニタした信号に含まれる相互変調歪の電力を、相互変調歪の次数毎に測定する。測定装置300は、測定した各次数の相互変調歪の電力を含む情報を、制御装置400に出力する。

0027

制御装置400は、プロセッサ等の制御部410と、ハードディスク装置等の記憶装置とを含むコンピュータ装置である。制御部410が制御装置400の記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、制御装置400は、電力増幅器100、信号発生器200および測定装置300を制御する。また、制御部410は、プログラムを実行することで、算出部420として動作する。

0028

算出部420は、測定装置300により測定された等電力2波の信号による各次数の相互変調歪の電力を用いて、マルチキャリアの信号における周波数毎の相互変調歪の電力の総量を算出する。そして、制御部410は、算出部420により算出された相互変調歪の電力の総量が最小または所定値以下となるように、リニアライザ110における減衰量、位相量や増幅率等のパラメータを調整する。制御部410および算出部420の動作については、図2から図4で説明する。

0029

図2は、図1に示した電力増幅器100が信号発生器200により受信した等電力2波の信号を増幅した場合の出力結果の一例を示す。図2縦軸は電力を示し、図2横軸は周波数を示す。また、図2では、信号発生器200が生成した等電力2波の信号(例えば、周波数f1、f2および電力α)それぞれを実線の矢印で示す。また、図2では、相互変調歪の信号を破線の矢印で示す。なお、各相互変調歪の周波数fIMkは、等電力2波の信号の周波数f1、f2と式(1)のように関係付けられる。
fIMk=|m×f1−n×f2| …(1)
m、nは、自然数であり、m+n(=k)は、相互変調歪の次数を示す。すなわち、2f1−f2は、低周波数側の3次の相互変調歪(IM3)の周波数fIM3を示し、3f1−2f2は、低周波数側の5次の相互変調歪(IM5)の周波数fIM5を示し、4f1−3f2は、低周波数側の7次の相互変調歪(IM7)の周波数fIM7を示す。また、2f2−f1は、高周波数側の3次の相互変調歪の周波数fIM3を示し、3f2−2f1は、高周波数側の5次の相互変調歪の周波数fIM5を示し、4f2−3f1は、高周波数側の7次の相互変調歪の周波数fIM7を示す。

0030

また、次数kの相互変調歪の電力PIMkは、式(2)のように関係付けられる。
PIMk∝Pk×(P1mP2n)1/2 …(2)
P1、P2は、周波数f1、f2の等電力2波の信号の電力を示し、電力αである。Pkは、周波数f1、f2の等電力2波の信号の電力と、次数kおよび相互変調歪への変換係数を示す。

0031

図3は、図1に示した電力増幅器100が10キャリアのマルチキャリアの信号を増幅した場合の出力結果の一例を示す。図3の縦軸は電力を示し、図3の横軸は周波数を示す。また、図3では、マルチキャリアの信号(例えば、周波数fm1−fm10および電力α)それぞれを実線の矢印で示す。また、図3では、周波数fLiおよび周波数fHiに発生するマルチキャリアの信号による相互変調歪の信号を破線の矢印で示す(iは、正の整数)。なお、マルチキャリアの信号は、互いに等しい周波数間隔で周波数fm1−fm10に分布し、同じ変調方式および同じ電力αの信号形式とする。この場合、周波数fLiおよび周波数fHiの周波数間隔は、マルチキャリアの信号の周波数間隔と等しくなる。

0032

図3に示したマルチキャリアの信号のうち、例えば、周波数fm1、fm2の2つの信号は、図2に示した等電力2波の信号とする場合、低周波数側の周波数fL1に3次の相互変調歪を発生させる。また、マルチキャリアの信号の周波数fm1−fm10が等しい周波数間隔で分布することにより、低周波数側の周波数fL1には、周波数fm2と周波数fm4、周波数fm3と周波数fm6、周波数fm4と周波数fm8、および周波数fm5と周波数fm10の組み合わせの2つの信号による3次の相互変調歪が発生する。また、低周波数側の周波数fL1には、周波数fm2と周波数fm3、周波数fm4と周波数fm6、および周波数fm6と周波数fm9の組み合わせの2つの信号による5次の相互変調歪が発生する。さらに、低周波数側の周波数fL1には、周波数fm3と周波数fm4、および周波数fm6と周波数fm8の組み合わせの2つの信号による7次の相互変調歪が発生する。すなわち、低周波数側の周波数fL1には、10個の組み合わせの2つの信号による相互変調歪の電力が重畳する。

0033

なお、図3では、例えば、周波数fm3と周波数fm4との2つの信号による周波数fm2に発生する3次の相互変調歪と、周波数fm1の信号とによる相互変調歪、すなわち周波数fm1−fm10の各々で発生する次数kの相互変調歪と、周波数fm1−fm10の各々の信号との相互変調歪は、式(2)に示す変換を2回受け、かつ式(2)の変換係数Pkが−20dBより小さいため、無視している。

0034

0035

表1は、キャリア数が10の場合の低周波数側の周波数fLiに重畳する3次、5次および7次の相互変調歪(IM3、IM5、IM7)の各々を発生させる2つの信号の組み合わせの数を示す。表1に示すように、次数kが大きくなるに従い、組み合わせの数、すなわち相互変調歪成分の数が減少することを示す。なお、表1は、低周波数側の周波数fLiにおける組み合わせ数を示したが、高周波数側の周波数fHiについても同様である。

0036

0037

表2は、キャリア数が15の場合の低周波数側の周波数fLiに重畳する3次、5次または7次の相互変調歪(IM3、IM5、IM7)を発生させる2つの信号の組み合わせ数を示す。表2では、表1の場合と同様に、次数kが大きくなるに従い、組み合わせの数、すなわち相互変調歪成分の数が減少することを示す。なお、表2は、低周波数側の周波数fLiにおける組み合わせ数を示したが、高周波数側の周波数fHiについても同様である。

0038

図4は、図1に示した調整システムSYSにおける調整処理の一例を示す。図4に示した処理は、制御部410が、制御装置400の記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。すなわち、図4に示した処理は、電力増幅器の調整方法の一実施形態である。

0039

テップS100では、制御部410は、制御装置400の記憶装置に予め記憶された初期の減衰量、位相量または増幅率等のパラメータの値を、リニアライザ110に設定する。なお、電力増幅器100によって調整可能なリニアライザ110のパラメータは、減衰量、位相量または増幅率等全ての場合や、減衰量や位相量のみの場合等のように異なる。このため、制御部410は、記憶装置に記憶されたパラメータのうち、調整可能なパラメータの初期値をリニアライザ110に設定する。

0040

ステップS110では、制御部410は、無変調の等電力2波の信号を信号発生器200に生成させる。そして、制御部410は、信号発生器200より生成された等電力2波の信号を電力増幅器100に入力させる。そして、電力増幅器100は、等電力2波の入力信号を増幅し、増幅した信号を測定装置300に出力する。

0041

なお、信号発生器200は、市販品等の場合、1MHz等の周波数間隔に設定されることがあるが、入力信号の隣接キャリアとの周波数間隔としてもよい。また、信号発生器200が生成する等電力2波の信号は、マルチキャリアの信号のうち、周波数fm1と周波数fm2等の組み合わせの信号でもよい。

0042

ステップS120では、測定装置300は、ステップS110で増幅された信号に含まれる各次数kの相互変調歪の電力を測定する。測定装置300は、測定した各次数kの相互変調歪の電力を含む情報を、制御装置400に出力する。

0043

ステップS130では、算出部420は、ステップS120で測定された等電力2波の信号による各次数kの相互変調歪の電力を用いて、図3に示したマルチキャリアの信号による周波数fLiおよび周波数fHiにおける相互変調歪の電力を算出する。図3および表1に示すように、例えば、低周波数側の周波数fL1には、周波数fm1と周波数fm2、周波数fm2と周波数fm4、周波数fm3と周波数fm6、周波数fm4と周波数fm8、および周波数fm5と周波数fm10の5つの組み合わせの2つの信号による3次の相互変調歪が発生する。また、低周波数側の周波数fL1には、周波数fm2と周波数fm3、周波数fm4と周波数fm6、および周波数fm6と周波数fm9の3つの組み合わせの2つの信号による5次の相互変調歪が発生する。また、低周波数側の周波数fL1には、周波数fm3と周波数fm4、および周波数fm6と周波数fm8の2つの組み合わせの2つの信号による7次の相互変調歪が発生する。

0044

例えば、算出部420は、ステップS120で測定された低周波数側の周波数fIM3の3次の相互変調歪の電力に対して、周波数fm1、fm2の各信号の電力に応じた係数乗算等し、周波数fm1と周波数fm2との2つの信号による周波数fL1での3次の相互変調歪の電力を算出する。同様に、算出部420は、周波数fm2と周波数fm4等の他の組み合わせの2つの信号による低周波数側の周波数fL1における3次、5次または7次の相互変調歪の電力をそれぞれ算出する。そして、算出部420は、算出した全ての組み合わせの2つの信号による3次、5次および7次の相互変調歪の電力を加算することで、低周波数側の周波数fL1における相互変調歪の電力を算出する。

0045

また、算出部420は、表1に示した低周波数側の周波数fL2における10個の組み合わせの2つの信号による3次、5次および7次の相互変調歪の電力それぞれを、低周波数側の周波数fL1の場合と同様に算出する。そして、算出部420は、算出した全ての組み合わせの2つの信号による3次、5次および7次の相互変調歪の電力を加算し、低周波数側の周波数fL2における相互変調歪の電力とする。また、算出部420は、低周波数側の周波数fL3における9つの組み合わせそれぞれの2つの信号による3次、5次および7次の相互変調歪の電力それぞれを算出する。算出部420は、算出した全ての組み合わせの2つの信号による3次、5次および7次の相互変調歪の電力を加算し、低周波数側の周波数fL3における相互変調歪の電力とする。

0046

なお、算出部420は、ステップS120で測定された等電力2波の各次数kの相互変調歪の電力を用いて、高周波数側の周波数fH1、fH2、fH3における相互変調歪の電力を、低周波数側の場合と同様に算出する。

0047

そして、算出部420は、算出した周波数fL1−fL3、fH1−fH3における相互変調歪の電力を加算し、マルチキャリアの信号における相互変調歪の電力の総量を算出する。これにより、算出部420は、信号発生器200を用いて全ての組み合わせの2つの信号を電力増幅器100に入力し、全ての次数の相互変調歪の電力を測定することなく相互変調歪の電力の総量を算出できる。

0048

なお、周波数fm1−fm10のマルチキャリアの信号は互いに等しい電力αを有するとしたが、互いに異なる電力を有してもよい。この場合、算出部420は、相互変調歪の次数kと各キャリアの信号の電力とに応じて、各次数kの相互変調歪の電力を算出することが好ましい。

0049

ステップS140では、制御部410は、ステップS130で算出された相互変調歪の電力の総量が、最小または所定値以下か否かを判定する。相互変調歪の電力の総量が最小または所定値以下である場合、調整システムSYSは、調整処理を終了する。一方、相互変調歪の電力の総量が最小でない、または所定値より大きい場合、調整システムSYSの処理は、ステップS150調整処理に移る。

0050

なお、所定値は、衛星通信に要求される通信品質等に基づいて適宜決定されることが好ましい。

0051

ステップS150では、制御部410は、ステップS130で算出された相互変調歪の電力の総量が最小または所定値以下となるように、最急降下法等の最適化処理に基づいてリニアライザ110の減衰量、位相量または増幅率等のパラメータを更新し、リニアライザ110に設定する。

0052

そして、調整システムSYSは、ステップS150で更新されたパラメータによるステップS110からステップS140の処理を実行する。

0053

図1から図4に示した実施形態では、制御装置400は、衛星通信に使用するマルチキャリアの信号のうち、2キャリアに対応する等電力2波の無変調信号を信号発生器200に生成させ、生成した等電力2波の信号を電力増幅器100に入力させる。測定装置300は、電力増幅器100により増幅された等電力2波の信号による次数kの相互変調歪の電力を測定する。そして、制御装置400は、測定された等電力2波の無変調信号による次数kの相互変調歪の電力を用いて、マルチキャリアの信号のうち2キャリアの信号の組み合わせによる各次数kの相互変調歪の電力を、周波数fLiおよび周波数fHiの各々において算出する。これにより、制御装置400は、マルチキャリアの信号による相互変調歪の電力の総量を算出できる。そして、調整システムSYSは、等電力2波の無変調信号を用いて、マルチキャリアの信号に対する非線形の影響を低減するように、従来と比べて最適にリニアライザ110を調整できる。

0054

なお、制御部410は、電力増幅器100が増幅するマルチキャリアの信号の数に応じて、信号発生器200が生成する等電力2波の信号の電力を調整することが好ましい。これは、リニアライザ110の調整に用いられる等電力2波の信号の電力は、互いに異なる周波数の2つの正弦波のため、時間に応じて変動する。この特性を評価する指標として、ピーク電力対平均電力比(PAPR:Peak to Average Power Ratio)がある。

0055

図5は、変調方式QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)でのキャリア数に対するPAPR(99%値)と、等電力2波の信号のPAPR(99%値)との差分の一例を示す。図5に示すように、キャリア数に応じて電力の瞬時値が異なり、等電力2波の信号の場合と比べて大きなPAPRを示す。すなわち、電力増幅器100には、マルチキャリアの信号が入力する場合、瞬間的に等電力2波の信号より高い電力で入力されることを示す。このため、調整システムSYSは、等電力2波の信号を用いてリニアライザ110を調整するにあたり、例えば、電力増幅器100が増幅するマルチキャリアの信号が5キャリア以上の場合、信号発生器200が生成する等電力2波の信号の電力を3dB程度高くして、電力増幅器100に入力するのがよい。

0056

また、図1に示した調整システムSYSは、マルチキャリアの信号による相互変調歪の電力の総量が一定の条件(例えば、−25.2dB、等レベルの場合各−30dB)の場合、周波数fL1−fL3、fH1−fH3の各々において重畳する各組み合わせの2つの信号による3次、5次および7次の相互変調歪それぞれの電力を次数kが低いほど小さくなるように、リニアライザ110を調整してもよい。

0057

0058

表3は、例えば、キャリア数が15のマルチキャリアの信号において、低周波数側の周波数fL1における3次、5次および7次の相互変調歪の電力に対し6つのパターンでリニアライザ110を調整した場合の相互変調歪の電力の総量の改善量の一例を示す。なお、表3は、低周波数側の周波数fL1の場合を示すが、他の周波数fLi、fHiの相互変調歪についても同様である。

0059

“パターン0”は、マルチキャリアの信号による相互変調歪の電力の総量が−25.2dBで、かつ3次、5次および7次の相互変調歪の各電力を−30.0dBの等レベルにした等電力の場合を示す。“パターン1”から“パターン6”は、マルチキャリアの信号による相互変調歪の電力の総量が−25.2dBで、3次、5次および7次の相互変調歪の各電力を、例えば、−27.7dB、−30.7dBおよび−33.7dBの組み合わせのいずれかで調整した場合を示す。なお、“パターン1”は、3次、5次および7次の相互変調歪の各電力を、従来のように次数kが大きくなるに従い、例えば3dBずつ小さく調整した場合を示す。

0060

改善量は、“パターン0”を基準にして各パターンとの差分を示す。すなわち、表3に示すように、“パターン1”の従来のように次数kが大きくなるに従い3dBずつ小さく調整した場合、改善量は、“パターン0”と比べて−0.69dB劣化している。一方、“パターン6”のように、3次、5次および7次の相互変調歪それぞれの電力を次数kが低いほど小さく調整した場合、改善量は、“パターン0”と比べて0.82dBで最も良化している。これは、表2および表3に示すように、次数kが低いほど相互変調歪の数が大きいため、調整システムSYSは、“パターン6”のように次数kが低い相互変調歪の電力ほど低減するようにリニアライザ110を調整することで、従来の“パターン1”と比べて、マルチキャリアの信号における相互変調歪の電力の総量を、1.5dB程度改善できる。

0061

以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。

0062

100…電力増幅器;110…リニアライザ;200…信号発生器;300…測定装置;400…制御装置;410…制御部;420…算出部;SYS…調整システム

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