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技術 半導体装置の製造方法

出願人 富士電機株式会社
発明者 松山秀昭上野勝典高島信也田中亮福島悠太中川清和
出願日 2018年3月1日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2018-036316
公開日 2019年9月12日 (3ヶ月経過) 公開番号 2019-153627
状態 未査定
技術分野 絶縁膜の形成 CVD 絶縁ゲート型電界効果トランジスタ
主要キーワード 酸化ガリウム層 取出し角 分子層数 電荷反転 実測スペクトル 被処理層 前処理期間 電離状態
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年9月12日)のものです。
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図面 (11)

課題

MOS構造を有する半導体装置においては、SiO2層等の絶縁層GaN層との間に形成される遷移層であって、主として酸化ガリウムを有する遷移層の厚さを低減する。

解決手段

窒化ガリウム系半導体層を有する半導体装置の製造方法であって、少なくとも金属含有ガスを窒化ガリウム系半導体層上に供給するべく、予め定められた時間、少なくとも金属含有ガスを反応チャンバへ導入する段階と、導入する段階の後に、反応チャンバ内において酸素含有ガスから酸素ラジカルを発生させて、窒化ガリウム系半導体層上において酸素ラジカルと金属含有ガスとを反応させることにより絶縁層を形成する段階とを備える。

概要

背景

概要

MOS構造を有する半導体装置においては、SiO2層等の絶縁層GaN層との間に形成される遷移層であって、主として酸化ガリウムを有する遷移層の厚さを低減する。窒化ガリウム系半導体層を有する半導体装置の製造方法であって、少なくとも金属含有ガスを窒化ガリウム系半導体層上に供給するべく、予め定められた時間、少なくとも金属含有ガスを反応チャンバへ導入する段階と、導入する段階の後に、反応チャンバ内において酸素含有ガスから酸素ラジカルを発生させて、窒化ガリウム系半導体層上において酸素ラジカルと金属含有ガスとを反応させることにより絶縁層を形成する段階とを備える。

目的

本発明の第1の態様においては、窒化ガリウム系半導体層を有する半導体装置の製造方法を提供する

効果

実績

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請求項1

窒化ガリウム系半導体層を有する半導体装置の製造方法であって、少なくとも金属含有ガスを前記窒化ガリウム系半導体層上に供給するべく、予め定められた時間、前記少なくとも金属含有ガスを反応チャンバへ導入する段階と、前記導入する段階の後に、前記反応チャンバ内において酸素含有ガスから酸素ラジカルを発生させて、前記窒化ガリウム系半導体層上において前記酸素ラジカルと前記金属含有ガスとを反応させることにより絶縁層を形成する段階とを備える、半導体装置の製造方法。

請求項2

前記導入する段階においては、前記予め定められた時間において前記金属含有ガスを供給するが、前記酸素含有ガスは供給せず、前記絶縁層を形成する段階において、前記酸素含有ガスを供給する請求項1に記載の半導体装置の製造方法。

請求項3

前記導入する段階は、前記予め定められた時間が経過する前に、前記酸素含有ガスを供給することを含む請求項1に記載の半導体装置の製造方法。

請求項4

前記半導体装置は、前記窒化ガリウム系半導体層と前記絶縁層との間にガリウム酸化物層を有し、前記ガリウム酸化物層の厚さは、1nm以下である請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。

請求項5

前記導入する段階においては、前記金属含有ガスの供給量を1.5Pa・min以上で前記反応チャンバへ導入する請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。

請求項6

前記予め定められた時間は、20秒以上である請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。

請求項7

前記絶縁層を形成する段階において、前記窒化ガリウム系半導体層の温度は300℃以下である請求項1から6のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。

請求項8

前記絶縁層は、酸化シリコンおよび酸化アルミニウムのいずれかを含む請求項1から7のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。

請求項9

前記絶縁層が酸化シリコンである場合に、前記金属含有ガスは、モノシランジシランおよびオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)のいずれかを含み、前記絶縁層が酸化アルミニウムである場合に、前記金属含有ガスは、トリメチルアルミニウム(TMA)およびトリエチルアルミニウム(TEA)のいずれかを含む請求項8に記載の半導体装置の製造方法。

請求項10

前記酸素含有ガスは、酸素ガスオゾンガスおよび水蒸気のいずれかを含み、前記導入する段階において前記予め定められた時間が経過する前に前記酸素含有ガスを供給する場合には、前記酸素含有ガスは、酸素ガスおよび水蒸気のいずれかを含む請求項1から9のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。

請求項11

前記絶縁層の厚さは1nm以上である請求項1から10のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。

請求項12

前記絶縁層を形成する段階の後に、前記絶縁層上に電極層を形成する段階をさらに備え、前記絶縁層は、前記窒化ガリウム系半導体層と、前記絶縁層と、前記電極層とを有するMOS構造に用いられるゲート絶縁層である請求項1から11のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、半導体装置の製造方法に関する。

0002

窒化ガリウム(以下、GaN)層の表面の自然酸化膜を除去するべく、非プラズマ状態アンモニアガスGaN層を曝した後に、SiO2層を形成することが知られている(例えば、特許文献1)。また、被処理試料表面へのダメージを低減するべく、マイクロ波プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、Al2O3膜とSiO2膜との二層構造を有するゲート絶縁膜を形成することが知られている(例えば、特許文献2)。
先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2006−114802号公報
[特許文献2] 特開2012−156245号公報

発明が解決しようとする課題

0003

MOS構造を有する半導体装置においては、SiO2層等の絶縁層とGaN層との間に形成される遷移層であって、主として酸化ガリウムを有する遷移層の厚さを低減することが望ましい。

課題を解決するための手段

0004

本発明の第1の態様においては、窒化ガリウム系半導体層を有する半導体装置の製造方法を提供する。半導体装置の製造方法は、少なくとも金属含有ガスを窒化ガリウム系半導体層上に供給するべく、予め定められた時間、少なくとも金属含有ガスを反応チャンバへ導入する段階と、絶縁層を形成する段階とを備えてよい。絶縁層を形成する段階は、少なくとも金属含有ガスを反応チャンバへ導入する段階の後であってよい。絶縁層を形成する段階においては、反応チャンバ内において酸素含有ガスから酸素ラジカルを発生させて、窒化ガリウム系半導体層上において酸素ラジカルと金属含有ガスとを反応させることにより絶縁層を形成してよい。

0005

少なくとも金属含有ガスを反応チャンバへ導入する段階においては、予め定められた時間において金属含有ガスを供給するが、酸素含有ガスは供給しなくてよい。そして、絶縁層を形成する段階において、酸素含有ガスを供給してよい。

0006

これに代えて、少なくとも金属含有ガスを反応チャンバへ導入する段階は、予め定められた時間が経過する前に、酸素含有ガスを供給することを含んでもよい。

0007

半導体装置は、窒化ガリウム系半導体層と絶縁層との間にガリウム酸化物層を有してよい。ガリウム酸化物層の厚さは、1nm以下であってよい。

0008

少なくとも金属含有ガスを反応チャンバへ導入する段階においては、金属含有ガスの供給量を1.5Pa・min以上で反応チャンバへ導入してよい。

0009

予め定められた時間は、20秒以上であってよい。

0010

絶縁層を形成する段階において、窒化ガリウム系半導体層の温度は300℃以下であってよい。

0011

絶縁層は、酸化シリコンおよび酸化アルミニウムのいずれかを含んでよい。

0012

絶縁層が酸化シリコンである場合に、金属含有ガスは、モノシランジシランおよびオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)のいずれかを含んでよい。また、絶縁層が酸化アルミニウムである場合に、金属含有ガスは、トリメチルアルミニウム(TMA)およびトリエチルアルミニウム(TEA)のいずれかを含んでよい。

0013

酸素含有ガスは、酸素ガスオゾンガスおよび水蒸気のいずれかを含んでよい。また。少なくとも金属含有ガスを反応チャンバへ導入する段階において予め定められた時間が経過する前に酸素含有ガスを供給する場合には、酸素含有ガスは、酸素ガスおよび水蒸気のいずれかを含んでよい。

0014

絶縁層の厚さは1nm以上であってよい。

0015

本発明の第2の態様においては、半導体装置の製造方法を提供する。半導体装置の製造方法は、絶縁層を形成する段階の後に、絶縁層上に電極層を形成する段階をさらに備えてよい。絶縁層は、MOS構造に用いられるゲート絶縁層であってよい。MOS構造は、窒化ガリウム系半導体層と、絶縁層と、電極層とを有してよい。

0016

なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群サブコンビネーションもまた、発明となりうる。

図面の簡単な説明

0017

第1実施形態における横型MOSFET100の断面図である。
横型MOSFET100の製造方法を示すフローチャートである。
横型MOSFET100の製造方法の各工程を示す図である。
プラズマCVD装置200の概要を示す図である。
酸素ガス導入期間とTEOSガス導入期間とを説明する図である。
試料No.1のXPS分析結果を示す図である。
試料No.2のXPS分析結果を示す図である。
試料No.3のXPS分析結果を示す図である。
試料No.6のXPS分析結果を示す図である。
試料No.7のXPS分析結果を示す図である。

実施例

0018

以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。

0019

図1は、第1実施形態における横型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)100の断面図である。図1は、横型MOSFET100の一部をX‐Z平面で切断した断面である。本例において、X軸とY軸とは互いに垂直な方向であり、Z軸方向はX‐Y平面に垂直な方向である。X、YおよびZ軸は、いわゆる右手系を成す。GaN系半導体50の上面52および下面54は、X‐Y平面に平行であってよい。

0020

本例においては、Z軸の正方向を「上」と称し、Z軸の負方向を「下」と称する場合がある。ただし、「上」および「下」は、必ずしも地面に対する鉛直方向を意味しない。つまり、「上」および「下」の方向は、重力方向に限定されない。「上」および「下」は、基板、層、領域および膜等における相対的な位置関係を特定する便宜的な表現に過ぎない。

0021

横型MOSFET100は、X‐Y平面の大きさが10mm×10mmのGaN系半導体50のチップを用いて形成されてよい。横型MOSFET100は、GaN系半導体装置の一例である。図1に示す断面は、横型MOSFET100の単位構造であってよい。当該単位構造は、Y軸方向に延在し、かつ、X軸方向に繰り返し設けられてよい。複数の単位構造は、X‐Y平面視において略矩形形状を構成するよう配置されてよい。複数の単位構造が設けられた領域を活性領域と称してよい。活性領域の周囲には、活性領域における電界集中を防ぐ機能を有するエッジ終端構造が設けられてよい。エッジ終端構造は、ガードリング構造フィールドプレート構造およびJTE(Junction Termination Extension)構造の一以上を含んでよい。

0022

本例において、GaN系半導体50を構成する基板および層の各々はGaN半導体である。ただし、これら基板および層の各々は、アルミニウム(Al)元素およびインジウム(In)元素の一以上の元素をさらに含んでもよい。つまり、GaN系半導体50を構成する基板および層の各々は、Al元素およびIn元素を微量に含んだ混晶半導体、即ちAlxInyGa1−x−yN(0≦x<1、0≦y<1)であってもよい。ただし、本例において、GaN系半導体50を構成する基板および層の各々は、AlxInyGa1−x−yNにおいてx=y=0としたGaN半導体である。

0023

本例のGaN系半導体50は、n+型のGaN基板10と、n型のGaN層20と、p型のGaN層30とを有する。GaN基板10は、いわゆるc面GaN基板であってよい。GaN基板10のc軸方向は、Z軸方向と平行であってよい。また、GaN基板10は、貫通転位密度が1E+7cm−2未満の低転位自立基板であってよい。なお、Eは10の冪を意味し、例えば1E+7は107を意味する。本例のGaN基板10は、350μmのZ軸方向の長さ(即ち、厚さ)を有するn+型の基板である。本例では、GaN基板10の下面をGaN系半導体50の下面54と称する。

0024

n型のGaN層20は、GaN基板10に接してGaN基板10上に設けられたエピタキシャル層であってよい。本例のGaN層20は、1μmの厚さを有し、n型不純物として2E+16cm−3のSi元素を含む。

0025

p型のGaN層30は、GaN層20に接してGaN層20上に設けられたエピタキシャル層であってよい。本例のGaN層30は、4μmの厚さを有し、p型不純物として1E+17cm−3のMgを含む。なお、GaN層30は、GaN系半導体層の一例である。本例では、GaN層30の上面をGaN系半導体50の上面52と称する。

0026

本例において、nまたはpは、それぞれ電子または正孔多数キャリアであることを意味する。nまたはpの右肩に記載した+または−について、+はそれが記載されていないものよりもキャリア濃度が高く、−はそれが記載されていないものよりもキャリア濃度が低いことを意味する。本例においては、GaN層20をn型とし且つGaN層30をp型とする。ただし、他の実施形態においては、GaN層20をp型とし且つGaN層30をn型としてもよい。

0027

GaN半導体に対するn型不純物は、Si(シリコン)、Ge(ゲルマニウム)、およびO(酸素)の一種類以上の元素であってよい。本例においては、n型不純物としてSi元素を用いる。また、GaN半導体に対するp型不純物は、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Be(ベリリウム)およびZn(亜鉛)の一種類以上の元素であってよい。本例においては、p型不純物としてMg元素を用いる。

0028

GaN層30は、X軸方向において互いに離間する一対のn+型GaN領域32を有する。本例において、n+型GaN領域32の上部は上面52に露出する。n+型GaN領域32は、上面52からGaN層30の底部よりも浅い所定の深さ位置まで設けられてよい。n+型GaN領域32は、上面52から0.1μmの深さ位置まで設けられてよい。

0029

本例の横型MOSFET100は、ゲート電極層40と、ガリウム酸化物層42と、ゲート絶縁層44と、ソース電極層46と、ドレイン電極層48とをさらに有する。ゲート電極層40、ゲート絶縁層44およびGaN層30は、MOS(Metal Oxide Semiconductor)構造を構成してよい。

0030

MOS構造は、ゲート絶縁層44とGaN層30との間において、ガリウム酸化物層42を有してよい。ガリウム酸化物層42は、ゲート絶縁層44とGaN層30との界面に位置する遷移層でもある。ガリウム酸化物層42は、例えば、GaN層30の上面52が酸化されることにより形成される。ガリウム酸化物層42の組成式は、GaOXであってよい。GaOXは、Ga元素の原子数およびO元素の原子数の比率が1:1であるGaOと、当該比率が1:2であるGaO2と、当該比率が2:3であるGa2O3との少なくともいずれかを含んでよい。なお、ガリウム酸化物層42は、GaおよびOに加えて、他の元素(Si、Al、N、CおよびH等のいずれか一種類以上の元素)を含んでもよい。

0031

ガリウム酸化物層42の厚さは1nm(即ち、10Å)以下であってよい。また、ガリウム酸化物層42の厚さは、GaNの1原子層の厚さ以上であってもよい。本例のGaN層30(六方晶)におけるc軸はZ軸と平行であるので、1原子層の厚さは約2.5Åである。それゆえ、ガリウム酸化物層42の厚さは、約5Å以上であってよく、6Å以上であってよく、7Å以上であってよく、8Å以上であってよく、9Å以上であってもよい。

0032

ガリウム酸化物層42(遷移層)は、ゲート絶縁層44およびp型のGaN層30の一部を各々侵食することにより形成されると考えられる。ガリウム酸化物層42の厚さが大きくなるほど、GaN層30の上部(即ち、GaN層30における上面52近傍の領域)がp型特性を失い、ゲート電極層40からの電界に応答しなくなると考えられる。それゆえ、ガリウム酸化物層42の厚さは、小さい方が望ましい。ガリウム酸化物層42の厚さが1nm以下であれば、横型MOSFET100における電界効果移動度を100cm2/V・sまたはこれよりも高くすることができる。

0033

電界効果移動度に影響を及ぼすパラメータとして、(1)GaN層30の上面52における物理的な凹凸に起因するラフネス散乱、(2)GaN層30における結晶格子格子振動に起因するフォノン散乱、(3)GaN層30中のイオン化不純物およびゲート絶縁層44中の固定電荷に起因するクーロン散乱、ならびに、(4)GaN層30とゲート絶縁層44との界面にトラップされた電荷に起因する界面電荷散乱が考えられる。本願においては、上述の(1)から(4)のいずれが支配的であるかは必ずしも明らかではないものの、ガリウム酸化物層42の厚さを小さくすることによりGaN層30における非応答領域を低減することにより、電界効果移動度を大きくするものである。

0034

ガリウム酸化物層42の厚さは、例えば、XPS(X‐ray Photoelectron Spectroscopy、即ち、光電子分光)分析から決定することができる。詳細は後述の式(1)および(2)を参照されたい。ガリウム酸化物層42の厚さはTEM(Transmission Electron Microscope)観察やEDX(Energy dispersive X−ray spectrometry)分析からも測定できるが、1nm以下の非常に薄い層においてはXPS分析の方が厚さの大小関係を正確に特定することができる。

0035

本例のゲート絶縁層44は、GaN層30に接してGaN層30上に設けられる。より具体的には、ゲート絶縁層44は、一対のn+型GaN領域32の間に位置するチャネル形成領域34の上部と、チャネル形成領域34に隣接するn+型GaN領域32の一部の上部とに設けられる。なお、ゲート絶縁層44は、後述する製造方法で形成された絶縁層の一例である。ゲート絶縁層44の厚さは1nm以上200nm以下であってよい。本例のゲート絶縁層44の厚さは100nmであるが、ゲート絶縁層44の厚さは10nmであってもよい。後述するように、本明細書は、ゲート絶縁層44を1nm以上形成する場合に、GaN層30とゲート絶縁層44との間の界面遷移層の厚さを低減する有益な方法を提示する。

0036

ゲート絶縁層44は、酸化シリコン層および酸化アルミニウム層の少なくともいずれかを含んでよい。ゲート絶縁層44は、酸化シリコン(SiO2)層の単層であってよく、酸化アルミニウム(Al2O3)層の単層であってもよい。これに代えて、ゲート絶縁層44は、酸化アルミニウム層と、少なくとも一部が酸化アルミニウム層上に位置する酸化シリコン層とを含んでもよい。なお、酸化シリコン層は、酸化アルミニウム層よりもバンドギャップが広く、耐圧特性に優れるので有利である。製造工程においても、酸化シリコン層は、酸化アルミニウムに比べてウェットエッチングがし易い点が有利である。

0037

ゲート絶縁層44は、対向する一対のn+型GaN領域32の間のX軸方向の長さより長くてよい。ゲート電極層40は、ゲート絶縁層44上においてゲート絶縁層44に接してよい。ゲート電極層40は、X軸方向においてソース電極層46およびドレイン電極層48から離間してよい。ソース電極層46およびドレイン電極層48の各々は、上面52においてn+型GaN領域32およびGaN層30に接してよい。ゲート電極層40、ソース電極層46およびドレイン電極層48の各々は、厚み200nm程度のアルミニウム電極であってよい。

0038

ソース電極層46およびドレイン電極層48間に所定の電位差が形成され、かつ、ゲート電極層40に所定の正電位が供給されることにより、一対のn+型GaN領域32間に位置するチャネル形成領域34に電荷反転領域(即ち、チャネル)が形成されてよい。これにより、ソース電極層46からドレイン電極層48へ電子電流が流れる。ゲート電極層40に所定の正電位が供給されることを横型MOSFET100がオンするとも称する。これに対して、ゲート電極層40に所定の正電位を供給することを止めると、チャネルが消滅する。これにより、電子電流の流れは止まる、つまり、横型MOSFET100はオフする。

0039

図2は、横型MOSFET100の製造方法を示すフローチャートである。本例においては、段階S100からS150の順に(即ち、番号の若い順に)各段階を実行する。

0040

図3は、横型MOSFET100の製造方法の各工程を示す図である。段階S100は、GaN基板10上にn型のGaN層20をエピタキシャル形成し、次いで、GaN層20上にp型のGaN層30をエピタキシャル形成する段階である。GaN層20およびGaN層30のエピタキシャル層は、MOCVD(metal organic chemical vapor deposition)法により形成してよい。MOCVD法に代えて、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法により各エピタキシャル層を形成してもよい。

0041

本例においては、MOCVD法を採用する。本例においては、トリメチルガリウム((CH3)3Ga、以降においてTMGと略記する)、アンモニア(NH3)およびモノシラン(SiH4)を含む原料ガスと、窒素(N2)および水素(H2)を含む押圧ガスとをGaN基板10上に流す。このとき、GaN基板10の温度は1100℃としてよい。なお、モノシランのSi元素は、n型GaN層20におけるn型不純物として機能し得る。これにより、1μmの厚さを有し、2E+16cm−3のSi元素を含むn型のGaN層20を形成してよい。

0042

GaN層20を形成した後に、GaN層30を形成する。本例においては、TMG、アンモニアおよびビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を含む原料ガスと、窒素(N2)および水素(H2)を含む押圧ガスとをGaN基板10上に流す。このとき、GaN基板10の温度は1050℃としてよい。なお、Cp2MgのMgは、GaN層30におけるp型不純物として機能し得る。これにより、4μmの厚さを有し、1E+17cm−3のMgを含むp型GaN層30を形成してよい。

0043

GaN層20およびGaN層30を形成した後に、GaN系半導体50をMOCVD装置から取り出し、熱処理装置へ移動させてよい。GaN層30におけるp型不純物を活性化させるべく、熱処理装置においてGaN系半導体50を熱処理してよい。本例においては、酸素を含有する窒素(N2)ガス雰囲気において、GaN系半導体50を650℃で熱処理してよい。これにより、S100を終了する。

0044

段階S110は、n+型GaN領域32を形成する段階である。本例においては、塗布装置および露光装置等を用いて、n+型GaN領域32形成用の開口を有するレジストマスクを形成してよい。その後、イオン注入装置を用いて、当該レジストマスクを介してGaN層30にドーズ量3E+15[cm−2]で上面52から深さ約0.1μmまでの範囲にSiイオン注入してよい。その後、レジストマスクを除去して、保護膜としてAlN(窒化アルミニウム)膜やSiO2膜などを形成してもよい。GaN系半導体50を熱処理装置へ移動させてよい。そして、注入したSiを活性化させるべく、窒素(N2)ガス雰囲気においてGaN系半導体50を1000℃で熱処理してよい。また、熱処理後に、GaN層30およびn+型GaN領域32の上面52から酸化層を除去するために上面52を希フッ酸などでエッチングしてよい。その後、上面52を純水でリンスしてよい。

0045

段階S120は、金属含有ガスを予め定められた時間、プラズマCVD装置の反応チャンバ210へ導入する段階である。ただし、段階S120では、プラズマCVD装置のプラズマ放電を実行しない。段階S120は、プラズマCVD装置を用いながらもプラズマを発生させず、少なくとも金属含有ガスを反応チャンバ120へ導入する段階である。反応チャンバ120へ導入された金属含有ガスの一部は、GaN系半導体50の上面52に吸着してよい。

0046

金属含有ガスは、形成するゲート絶縁層44の種類に応じて定めよい。金属含有ガスの金属は、当該金属の酸化物エネルギーギャップがGaNのエネルギーギャップよりも大きい金属を意味してよい。当該金属は、SiおよびAlであってよい。

0047

ゲート絶縁層44が酸化シリコン層である場合に、金属含有ガスは、モノシラン(SiH4)、ジシラン(Si2H6)およびオルトケイ酸テトラエチル(Si(OC2H5)4、即ちTEOS)のいずれかを含んでよい。また、ゲート絶縁層44が酸化アルミニウム層である場合に、金属含有ガスは、トリメチルアルミニウム((CH3)3Al、即ちTMA)およびトリエチルアルミニウム((C2H5)3Al、即ちTEA)のいずれかを含んでよい。

0048

予め定められた時間、金属含有ガスを反応チャンバへ導入することにより、金属含有ガスをGaN層30上に供給することができる。予め定められた時間は、好ましくは20秒以上であり、60秒であってよい。本例においては、予め定められた時間は20秒であり、金属含有ガスはTEOSガスである。TOESガスをGaN層30上に供給することにより、TEOS分子はGaN層30の上面52に吸着し得る。TEOS分子は、1分子層から3分子層程度が上面52に吸着してよい。

0049

予め定められた時間の下限は、金属含有ガスの1分子層が上面52に吸着するのに要する時間であってよい。後続の工程において、上面52に接する位置で金属含有ガスが酸素プラズマ活性酸素またはラジカル酸素とも呼ばれる)により酸化されて、酸化シリコン層または酸化アルミニウム層となり得る。それゆえ、上面52から離れた位置で金属含有ガスと酸素ラジカルとが反応することにより酸化シリコン層または酸化アルミニウム層が形成されて、その後、酸化シリコン層または酸化アルミニウム層が上面52上に堆積する場合に比べて、酸素ラジカルとGaN層30の上面52との反応を低減することができる。したがって、段階S120を実行することにより、ガリウム酸化物層42(遷移層)の厚さを低減することができる。

0050

金属含有ガスの積層数が時間に対して増加するが一定の時間で飽和する場合には、予め定められた時間の上限は、積層可能な金属含有ガスの最大の分子層数(例えば、3分子層)が上面52に吸着する時間であってよい。なお、数分から数十分もの間、金属含有ガスを反応チャンバ210へ導入すると製造効率が低下するので、予め定められた時間の上限は、製造効率を考慮して決定してもよい。なお、TEOS分子同士は互いに反発し合うので、3分子層を超えるTEOS分子層は一般的に形成され難い。

0051

段階S120において、流量0.5sccm(standard cubic centimeters per minute)以上の金属含有ガスを反応チャンバ210へ導入してよく、2.0sccm金属含有ガスを反応チャンバ210へ導入してよい。金属含有ガスの流量は、反応チャンバ210内圧が約270Pa(後述のXPS分析のために作成した試料においても同じ)における流量であってよい。相対的に低い0.5sccmの場合でも、ガリウム酸化物層42の厚さを低減する効果を得ることができる。また、相対的に高い2.0sccmの場合、0.5sccmに比べて、ガリウム酸化物層42の厚さをより低減することができるので、効果的である。

0052

TOESガスの流量0.5sccmおよび2.0sccmに対応する分圧は、それぞれ1.5Paおよび6Paである。TOESガスを反応チャンバ210へ導入する時間は、60秒間または20秒間であってよい。このように、所定時間TEOSガスをGaN層30上に供給することで、GaN層30上にTEOS分子が吸着し得る。例えば、TOES供給量が1.5Pa・min(=1.5Pa・1min)以上の場合、TEOS分子はGaN層30上に吸着する。製造時間を考慮して、TOES供給量を1.5Pa・min以上、さらに好ましくは2Pa・min(=6Pa・20sec)以上、6Pa・min(=6Pa・1min)としてもよい。

0053

段階S120において、GaN層30の温度は、室温以上好ましくは300℃以下である。本例においては、GaN層30の温度は、300℃とする。GaN層30の温度が300℃を超えると(例えば、400℃の場合)金属含有ガスが上面52に吸着しにくくなるので、ガリウム酸化物層42の厚さが増加する傾向にある。金属含有ガスが上面52に吸着することを可能とするべく、GaN層30の温度は300℃以下であることが望ましい。なお、GaN層30とGaN基板10との温度は、同じ温度と見なすことができる。それゆえ、GaN層30の温度を制御することは、GaN基板10の温度を制御することと見なしてよい。

0054

本例(以降において、第1例と称する場合がある)の段階S120においては、予め定められた時間において金属含有ガスを供給するが、酸素含有ガスは供給しない。これに対して、第1例の変形例である第2例に係る段階S120においては、予め定められた時間が経過する前に、酸素含有ガスを反応チャンバ210へ導入することを開始してもよい。予め定められた時間が経過する前に酸素含有ガスを導入することにより、後述の段階S130において安定した電離状態の酸素プラズマ(酸素ラジカル)を形成しやすいという利点がある。酸素含有ガスは、酸素(O2)ガス、オゾン(O3)ガスおよび水蒸気(H2O)のいずれかを含んでよい。ただし、酸素含有ガスがオゾン(O3)ガスである場合、酸素含有ガスは既に活性(ラジカル)であるので、予め定められた時間が経過する前に導入しない。

0055

第2例に係る段階S120において、酸素含有ガスを反応チャンバ210へ導入する場合に、金属含有ガスの分子層と上面52との間に、酸素含有ガスの分子が吸着してよい。ただし、この場合、酸素含有ガスはオゾン(O3)ガス以外の酸素含有ガス(例えば、酸素ガスおよび水蒸気)である。ラジカル状態ではない酸素含有ガスはGaN層30の上面52を酸化しない。また、それゆえに、酸素含有ガスを反応チャンバ210へ導入しても、ガリウム酸化物層42の厚さは増加しない。吸着した酸素含有ガスは、その後の段階S130において、上面52から脱離してよい。

0056

段階S130は、酸素ラジカルと金属含有ガスとを反応させることによりゲート絶縁層44を形成する段階である。なお、段階S130においては、主に、上面52に吸着した金属含有ガスと活性化した酸素含有ガスとを反応させることにより、ゲート絶縁層44を形成することができる。

0057

段階S130は、段階S120における予め定められた時間の経過後に実行してよい。本例の段階S130では、反応チャンバ210に酸素含有ガスを供給し、反応チャンバ210内において酸素含有ガスから酸素ラジカルを発生させる。そして、GaN層30上において酸素ラジカルと金属含有ガスとを反応させることによりゲート絶縁層44を形成する。本例においては、上面52に吸着した金属含有ガスと酸素ラジカルとが反応するため、酸素ラジカルによる上面52(即ち、GaN層30の表面)の酸化を抑制することができる。それゆえ、反応により形成された酸化シリコン層または酸化アルミニウム層を上面52に堆積させる場合に比べて、ガリウム酸化物層42をより薄くすることができる。

0058

なお、第1例および第2例の変形例である第3例に係る段階S130においては、酸素ラジカルを発生するときに金属含有ガスと酸素含有ガスとを反応チャンバ210へ導入することを開始してもよい。第3例においても、GaN層30の上面52を酸素ラジカルに暴露した後に金属含有ガスと酸素含有ガスに由来する酸素ラジカルとを反応させる場合に比べて、ガリウム酸化物層42の厚さを低減させる一定の効果を得ることができる。

0059

段階S140は、ガリウム酸化物層42およびゲート絶縁層44を部分的に削除する段階である。S140においては、ソース電極層46およびドレイン電極層48に対応する領域に開口を有するレジストマスクを用いてガリウム酸化物層42およびゲート絶縁層44をエッチングにより部分的に除去する。

0060

段階S150は、ゲート電極層40、ソース電極層46およびドレイン電極層48を形成する段階である。本例においては、200nmの厚さを有するAl電極層を蒸着する。次いで、適宜エッチングすることによりゲート絶縁層44上にゲート電極層40を形成する。その後、ゲート電極層40を覆う様に、層間絶縁膜(不図示)を形成してよい。また、層間絶縁膜に、ソース電極層46およびドレイン電極層48に対応する開口を形成してよい。ソース電極層46として、下から順にチタン(Ti)層およびAl層積層形成してよい。ドレイン電極層48もTi層およびAl層の積層構造であってよい。

0061

図4は、プラズマCVD装置200の概要を示す図である。プラズマCVD装置200は、反応チャンバ210、温度調節部230、排気ポンプ240、マイクロ波発生器250、導波路252、および、プラズマ発生チャンバ254を有する。プラズマCVD装置200において、酸素含有ガスをプラズマ化することで酸素ラジカルを発生させ、原料ガスと反応させることで酸化膜を形成することができる。なお、酸素含有ガスとしてオゾンガスを用いる場合には、マイクロ波発生器250を使用せずに、導入口256からオゾンガスを反応チャンバ210へ直接導入してよい。

0062

本例の反応チャンバ210は、内部にAlからなるペデスタル212を有する。GaN系半導体50はペデスタル212上において静電吸着を利用して固定されてよい。ペデスタル212内部にはヒーター220が設けられてよい。温度調節部230はヒーター220の温度を100℃から450℃に制御してよい。本例では、段階S120およびS130において、GaN系半導体50が300℃となるように、ヒーター220の温度を調節する。排気ポンプ240は、反応チャンバ210内の気体排気口214から吸引してよい。排気ポンプ240は、反応チャンバ210内の気圧を200Paから300Paに制御してよい。

0063

マイクロ波発生器250は、導波路252を介してプラズマ発生チャンバ254に接続してよい。マイクロ波発生器250は、導入口256からプラズマ発生チャンバ254に導入されるO2(酸素)をプラズマ化して酸素ラジカルを発生させる。図4に示す様に、酸素ラジカルは反応チャンバ210の内部へ進んでよい。

0064

導入口216から反応チャンバ210へは、金属含有ガスが導入されてよい。これにより、上述の段階S130で述べたように、金属含有ガスと酸素ラジカルとを反応させることができる。本例において、金属含有ガスはTEOSガスであるので、形成される絶縁層は酸化シリコン層である。ただし、金属含有ガスとしてTMA等のAl含有ガスを用いる場合には、絶縁層として酸化アルミニウム層を形成することができる。

0065

本例のプラズマCVD装置200は、マイクロ波放電により酸素プラズマを発生させるリモートプラズマ方式の成膜装置である。しかしながら、プラズマCVD装置200は、当該マイクロ波放電に代えて、平行平板放電高周波放電直流放電および表面波放電のいずれかの方式を用いてもよい。マイクロ波放電はガスの分解効率が良いが、平行平板放電や高周波放電は、被処理体が大面積である場合に特に有利である。リモートプラズマ方式では、プラズマ発生場所と成膜場所とが離間しているので、酸素プラズマによるGaN層30の上面52へのダメージを低減することができる。表面波放電方式も放電が電極表面に局在するためダメージを低減することができる。

0066

図5は、酸素ガス導入期間とTEOSガス導入期間とを説明する図である。横軸は時間を示し、縦軸はガスの種類を示す。時刻T1は、金属含有ガスを反応チャンバ210へ導入することを開始する時刻である。時刻T2は、酸素含有ガスから酸素プラズマを発生させて反応チャンバ210へ酸素プラズマを導入する時刻である。時刻T3は、ゲート絶縁層44の形成を終了する時刻である。

0067

なお、酸化シリコン層の通常の成膜例(通常の成膜例)では、プラズマが安定した後に成膜を行うため、酸素プラズマを発生させた後に金属含有ガスを導入する。それゆえ、時刻T1は、時刻T2よりも後である。これに対して、本例(第1例)において、時刻T1は、時刻T2よりも前である。

0068

第1例においては、時刻T1から時刻T2まで金属含有ガスを反応チャンバ210へ導入し続ける。つまり、時刻T1から時刻T2までは、GaN系半導体50の上面52に金属含有ガスを供給する前処理期間である。そして、不活性ガスによるパージ等を行うことなく、時刻T2以降も金属含有ガスを反応チャンバ210へ導入し続ける。また、時刻T2において、放電開始と同時に酸素含有ガスを反応チャンバ210へ導入する。それゆえ、本例は、前駆体ガス被処理層の表面に吸着させた後に反応チャンバ内の前駆体ガスを排気する原子層堆積法(ALD)とは異なる。本例において、時刻T1から時刻T2までが、金属含有ガスを反応チャンバ210へ導入する予め定められた時間である。また、時刻T2から時刻T3までがゲート絶縁層44を形成する時間である。

0069

ところで、上述した第2例においては、予め定められた時間が経過する前に、オゾンガス以外の酸素含有ガスを反応チャンバ210へ導入することを開始する。第2例においては、時刻T1後時刻T2前の時刻Txに、酸素含有ガスを反応チャンバ210へ導入することを開始する(図5中において破線で示す)。これにより、時刻T2においてプラズマ放電が安定化する点が有利である。ただし、時刻Txに酸素含有ガスを導入しても、酸素プラズマの発生は時刻T2に開始するので、ゲート絶縁層44を形成する時間は時刻T2から時刻T3までである。

0070

また、上述した第3例においては、金属含有ガスの導入および酸素ラジカルの導入が同じタイミングで実行される。つまり、時刻T1と時刻T2とが同時である。第1例および第2例に比べて劣るが、第3例においても、ガリウム酸化物層42の厚さを低減させる一定の効果を得ることができる。

0071

本例においては、プレーナーゲート型の横型MOSFET100の例を述べた。しかしながら、段階S120およびS130を経てゲート絶縁層44を形成することを、プレーナーゲート型の縦型MOSFETおよびトレンチゲート型の縦型MOSFETに適用してよいのは勿論である。

0072

図6Aから図6Eは、複数の試料に対してXPS(X‐ray Photoelectron Spectroscopy、即ち、光電子分光)分析を行った実験結果を示す図である。複数の試料(試料No.3〜10)は、GaN層30と、ガリウム酸化物層42と、ゲート絶縁層44に対応する酸化シリコン層とを有する。ただし、試料No.1と試料No.2は、GaN層30と、ガリウム酸化物層42とを有するが、酸化シリコン層を有しない。試料No.1は、GaN層30をエピタキシャル成長させた後、意図的な処理を施していない試料である。試料No.2は、上述した通常の成膜例による酸化シリコン層の成膜前(即ち、成膜前に酸素プラズマ処理を施したもの)に対応する試料である。試料No.3は、上述した通常の成膜例による酸化シリコン層の成膜後に対応する試料である。試料No.4、試料No.6および試料No.9は、上述した第3例に対応する試料である。試料No.5、試料No.7、試料No.8および試料No.10は、上述した第2例に対応する試料である。試料No.1〜10についての各条件を表1に示す。なお、試料No.3〜10において、前処理段階酸化シリコン層形成段階とでは、TEOS流量を同じとした。

0073

0074

XPS分析を可能とするべく、酸化シリコン層の厚さは1nmとした。ただし、対照実験としての試料No.1およびNo.2は、酸化シリコン層を設けなかった(酸化シリコン層の厚さ=0nm)。本実験においては、GaN層30とゲート絶縁層44との間の界面領域X線照射した。X線としてはAlKα線を用いた。また、検出器光電子を取り込む方向と、積層構造を有する試料の水平面とが成す角度を45度とした。

0075

GaN層30は、主としてGa‐N結合を有する。これに対して、ガリウム酸化物層42は主としてGa‐O結合を有する。Ga原子の2p軌道により放出される光電子はGa‐N結合とGa‐O結合で異なるエネルギーケミカルシフトを生じる。図6Aから図6Eにおいては、Ga原子の2p軌道の結合エネルギー(横軸)に対応する強度(縦軸)の関係であるスペクトルを測定した。図6Aから図6Eにおいて、横軸は結合エネルギー(binding energy)[eV]であり、縦軸は強度(c/s、即ちcounts per second)である。なお、本明細書においては、Ga原子の2p軌道をGa2pと記載する場合がある。

0076

本実験の実測値は、ガリウム酸化物層42とGaN層30を含む界面領域をXPS分析することにより得られたものである。実測値は、Ga‐N結合成分とGa‐O結合成分とを含む。純粋なGa‐N結合の強度ピークに対応するエネルギーは、例えばゲート絶縁層44を設けないGaN層30をXPS分析することにより、予め得ることができる。また、純粋なGa‐O結合の強度ピークに対応するエネルギーも、GaN層30の酸化表面をXPS分析することにより予め得ることができる。本実験において、Ga‐N結合の強度ピークに対応するエネルギーは1117.4eVであり、Ga‐O結合の強度ピークに対応するエネルギーは1118.2eVであった。

0077

本実験においては、各々予め得られたGa‐N結合およびGa‐O結合のエネルギーに対応する強度ピークの波形を用いて、Ga2pの実測値の波形を分解した。波形を分解した結果、Ga‐N結合の波形のピーク値がGa‐O結合の波形のピーク値よりも高い場合、界面領域においてガリウム酸化物層42の厚さ、量および体積の少なくともいずれかが相対的に少ないことを意味する。これに対して、波形を分解した結果、Ga‐O結合の波形のピーク値がGa‐N結合の波形のピーク値よりも高い場合、界面領域においてガリウム酸化物層42が相対的に多いことを意味する。

0078

Ga‐O結合成分とGa‐N結合成分の強度比IOX/IGaNより、以下の式(1)を用いてガリウム酸化物層42の厚さdを算出した。なお、式(1)において、「×」は積を意味する。
d=λOX×cosθ
×ln[(λGaNNGaN)/(λOXNOX)×(IOX/IGaN)+1]・・・(1)
ここで、θは光電子取出し角、NGaNおよびNOXはそれぞれGaN層およびGa酸化層中のGa原子密度である。λGaNおよびλOXはそれぞれGaN層およびGa酸化層中のGa2p電子の脱出深さであり、[非特許文献1]に記載の半経験式より算出した。化合物に対しては電子の脱出深さλ(nm)は、Eを光電子のエネルギー(eV)、aを単原子層の厚さ(nm)として以下の式(2)で表される。
λ(nm)=538aE−2+0.72(a3/2E1/2)・・(2)
[非特許文献1]:大西孝治・堀池靖浩・吉原一紘、固体表面分析I、第1刷、講談社、1995年4月20日、第28頁。

0079

図6Aは、試料No.1のXPS分析結果を示す図である。試料No.1は、段階S100においてGaN層30を形成しただけであり、酸化シリコン層等の絶縁層を形成しなかった試料である(酸化シリコン層の厚さ=0nm)。また、試料No.1においては、GaN層30形成後に上面52上に金属含有ガスまたは酸素含有ガスを流していない(「前処理」=なし)。つまり、図6Aは、エピタキシャル層形成段階(S100)後のGaN層30の上面52をXPS分析した結果である。試料No.1において、酸化ガリウム層の厚さdは0.1nmであった。試料No.1における酸化ガリウム層は、いわゆる自然酸化膜であると考えられる。

0080

図6Aにおいて、最も高い強度ピークを有する曲線は、Ga原子の2p軌道を測定した実測スペクトルである。図6A中「Ga‐N成分」ピークはGa‐N結合由来の波形であり、図6A中「Ga‐O成分」ピークはGa‐O結合由来の波形である。二番目に高い強度ピークを有する曲線(破線)は、Ga‐O結合の成分とGa‐N結合の成分とを合わせたものである(図6A中のGa‐O+Ga‐N成分)。図6Aにおいて、Ga‐N結合の波形(図6A中のGa‐N成分)のピークは、Ga‐O結合の波形(図6A中のGa‐O成分)のピークよりも圧倒的に高かった。つまり、試料No.1においてGa‐O成分はGa‐N成分に比べて極めて少なかった。

0081

図6Bは、試料No.2のXPS分析結果を示す図である。試料No.2においては、GaN層30形成後に上面52上に金属含有ガスまたは酸素含有ガスを流しておらず、上面52上に酸化シリコン層を形成してもいない(酸化シリコン層の厚さ=0nm)。ただし、試料No.2においては、段階S100においてGaN層30を形成した後に、上面52に酸素ラジカルを照射した(表1において、「前処理」=酸素プラズマ)。なお、酸素ラジカルを照射するときに、GaN基板10の温度は300℃とした。これは通常の成膜例の前処理段階に対応する。試料No.2において、酸化ガリウム層の厚さdは1.5nmと厚い酸化ガリウム層が形成された。

0082

図6Bにおいても、最も高い強度ピークを有する曲線は、Ga原子の2p軌道を測定した実測スペクトルである。二番目に高い強度ピークを有する曲線(破線)は、Ga‐O+Ga‐N成分である。また、三番目に高い強度ピークを有する曲線はGa‐O成分であり、四番目に高い強度ピークを有する曲線はGa‐N成分である。図6Bに示す様に、酸素ラジカルで上面52を処理することにより、試料No.1に比べて酸化ガリウム層が著しく成長した。

0083

図6Cは、試料No.3のXPS分析結果を示す図である。試料No.3においては、GaN層30形成後に上面52上に酸素ラジカルの照射を開始し、その後遅れて、TEOSガスの導入を開始した(表1において、「前処理」=酸素プラズマ、「TEOS流量」=0.5sccm)。なお、この状況は、図5を用いて説明すると、時刻T1が時刻T2の後になったことに相当する。これにより、上面52上に1nm厚さの酸化シリコン層を形成した。試料No.3においては、GaN基板10の温度は300℃とした。

0084

図6Cにおいても、最も高い強度ピークを有する曲線は、Ga原子の2p軌道を測定した実測スペクトルである。二番目に高い強度ピークを有する曲線(破線)は、Ga‐O+Ga‐N成分である。また、三番目に高い強度ピークを有する曲線はGa‐O成分であり、四番目に高い強度ピークを有する曲線はGa‐N成分である。通常の成膜例に対応する試料No.3における酸化ガリウム層の厚さdは、試料No.1〜10の中で最も大きかった。試料No.3において、酸化ガリウム層の厚さdは2.0nmであった。なお、試料No.3の電界効果移動度のピーク値は、50cm2/V・sであった。

0085

上述の第3例に対応する試料No.4は、「前処理」の条件のみが試料No.3と異なる。試料No.4においては、酸化ガリウム層の厚さdが試料No.3の約半分である1.1nmとなった。このことから、酸素プラズマを単独でGaN層30の上面に照射しないことが、酸化ガリウム層の厚さdを低減する上で有効であると言える。

0086

また、上述の第2例に対応する試料No.5は、「前処理」の条件が0.5sccmで1分間TEOSガスを反応チャンバ210内に導入した。係る点が、試料No.3と異なる。試料No.4においては、酸化ガリウム層の厚さdが0.8nmとなった。このことから、GaN系半導体50の上面52に金属含有ガスを吸着させる前処理を行うことが、酸化ガリウム層の厚さdを低減する上で有効であると言える。

0087

図6Dは、試料No.6のXPS分析結果を示す図である。上述の第3例に対応する試料No.6においては、GaN層30形成後に、TEOSガスおよび酸素ガスを反応チャンバ210に導入すると同時に、プラズマ放電を実行した(表1において、「前処理」=なし、プラズマ放電時の「TEOS流量」=2.0sccm)。つまり、試料No.6においては、TEOSガスと酸素プラズマとを同時に上面52上に導入した。この状況は、図5を用いて説明すると、時刻T1と時刻T2とが同時であることに相当する。これにより、上面52上に1nm厚さの酸化シリコン層を形成した。試料No.6においては、GaN基板10の温度は300℃とし、TEOSの流量は2.0sccmとした。試料No.6において、酸化ガリウム層の厚さdは0.9nmであった。

0088

図6Dにおいても、最も高い強度ピークを有する曲線は、Ga原子の2p軌道を測定した実測スペクトルである。また、二番目に高い強度ピークを有する曲線(破線)は、Ga‐O+Ga‐N成分である。しかし、三番目に高い強度ピークを有する曲線はGa‐N成分であり、四番目に高い強度ピークを有する曲線はGa‐O成分である。試料No.6の結果からも、酸素プラズマにより前処理を行わないことが、酸化ガリウム層の厚さdを低減する上で有効であると言える。なお、試料No.6の電界効果移動度のピーク値は、100cm2/V・sであった。試料No.3と比較すると、酸化ガリウム層の厚さdが移動度を向上させるうえで有効であると言える。

0089

図6Eは、試料No.7のXPS分析結果を示す図である。上述の第2例に対応する試料No.7においては、GaN層30形成後にTEOSガスを20秒間反応チャンバ210に導入し、その後、酸素ガスをプラズマ放電した(「前処理」=2.0sccmで20秒間TEOSガスを反応チャンバ210内に導入)。試料No.7は、図5を用いて説明すると、時刻T1後に20秒経て時刻T2に至り、時刻T2から時刻T3まで酸化シリコン層を形成したことに相当する。つまり、試料No.7は、図2および図3において説明した例に対応する。試料No.7においても、上面52上に1nm厚さの酸化シリコン層を形成した。

0090

試料No.7において、GaN基板10の温度は300℃とした。試料No.7において、酸化ガリウム層の厚さdは、試料No.1〜10の中で最も小さかった。試料No.7において、酸化ガリウム層の厚さdは0.5nmであった。試料No.10との比較から、GaN基板10の温度が低い方が、酸化ガリウム層の厚さdを低減する上で有効であると言える。

0091

図6Eにおいても、最も高い強度ピークを有する曲線は、Ga原子の2p軌道を測定した実測スペクトルである。また、二番目に高い強度ピークを有する曲線(破線)は、Ga‐O+Ga‐N成分である。ただし、三番目に高い強度ピークを有する曲線はGa‐N成分であり、四番目に高い強度ピークを有する曲線はGa‐O成分である。試料No.7において、Ga‐N成分のピークに対するGa‐O成分のピークの比は、試料No.6に比べて高い。この結果からも、酸素プラズマを照射する前にTEOSガスを導入する利点が明らかとなった。なお、試料No.7の電界効果移動度のピーク値は、120cm2/V・sであった。試料No.3および6よりも移動度を向上させることができた。

0092

上述の第2例に対応する試料No.8は、「前処理」においてTEOSガスを流す時間が、試料No.7と異なる。試料No.8における酸化ガリウム層の厚さdは、試料No.7と同様に、試料No.1〜10の中で最も小さい0.5nmであった。

0093

上述の第3例に対応する試料No.9は、「前処理」においてTEOSガスを流さなかった。また、GaN基板10の温度は400℃とした。係る点が、試料No.7および8と異なる。試料No.4、と試料No.6および9との対比からわかるように、酸化シリコン層形成時のTEOS流量が高い方が、ガリウム酸化物層42の厚さdが小さい。

0094

上述の第2例に対応する試料No.10は、「前処理」において2.0sccmでTEOSガスを流した。係る点が、試料No.9と異なる。試料No.10のガリウム酸化物層42の厚さdが、試料No.9に比べて小さくなったことからも、酸素プラズマを照射する前にTEOSガスを導入する利点が明らかとなった。なお、本実験において、上述の第1例に対応する試料は作成しなかった。しかしながら、第1例に対応する試料におけるガリウム酸化物層42の厚さdは、第2例に対応する試料におけるガリウム酸化物層42の厚さdと同等、または、これよりも小さくすることができると考えられる。それゆえ、第1例に対応する試料は、第2例に対応する試料と同等以上の有利な効果を享受することができると合理的に考えられる。

0095

以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。

0096

特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システムプログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須であることを意味するものではない。

0097

10・・GaN基板、20・・GaN層、30・・GaN層、32・・n+型GaN領域、34・・チャネル形成領域、40・・ゲート電極層、42・・ガリウム酸化物層、44・・ゲート絶縁層、46・・ソース電極層、48・・ドレイン電極層、50・・GaN系半導体、52・・上面、54・・下面、100・・横型MOSFET、200・・プラズマCVD装置、210・・反応チャンバ、212・・ペデスタル、214・・排気口、216・・導入口、220・・ヒーター、230・・温度調節部、240・・排気ポンプ、250・・マイクロ波発生器、252・・導波路、254・・プラズマ発生チャンバ、256・・導入口

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