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技術 臨界サンプリングされたフィルタバンクにおけるモデル・ベースの予測

出願人 ドルビー・インターナショナル・アーベー
発明者 ヴィレモーズ,ラルス
出願日 2019年5月17日 (11ヶ月経過) 出願番号 2019-093724
公開日 2019年9月12日 (7ヶ月経過) 公開番号 2019-152875
状態 特許登録済
技術分野 音声の分析・合成
主要キーワード 未知係数 目標サンプル 中心目 モデル成分 エイリアス周波数 差分ユニット 正弦波振幅 緩和パラメータ
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図面 (10)

課題

臨界サンプリングされたフィルタバンクにおけるモデルベース予測を提供する。

解決手段

オーディオ信号の第一のサブバンド信号は、オーディオ信号からそれぞれ複数のサブバンドにおける複数のサブバンド信号を提供する複数の分解フィルタを有する分解フィルタバンク(612)を使って決定される。信号モデルのモデル・パラメータ(613)を決定し、第一のサブバンド信号から導出された第一の復号されたサブバンド信号の、前のサンプル(614)に適用されるべき予測係数を、前記信号モデルに基づき、モデル・パラメータ(613)と分解フィルタバンク(612)に基づいて決定する。前のサンプル(614)の時間スロットは第一のサンプル(615)の時間スロットより前に行われ、予測係数を前のサンプル(614)に適用することによって第一のサンプル(615)の推定値を決定する。

概要

背景

オーディオ信号の源符号化のためのシステムにおいて適用される二つの重要な信号処理ツールがある。すなわち、臨界サンプリングされたフィルタバンクおよび線形予測である。臨界サンプリングされたフィルタバンク(たとえば修正離散コサイン変換(MDCT)ベースの変換)は、知覚的な非重要性および信号冗長性活用できる時間‐周波数表現への直接アクセスを可能にする。線形予測はオーディオ信号、特に発話信号の効率的な源モデル化を可能にする。二つのツールの組み合わせ、すなわちフィルタバンクのサブバンドにおける予測の利用は主として、高ビットレートオーディオ符号化のために使われてきた。低ビットレートの符号化については、サブバンドにおける予測に伴う課題は、予測の記述のためのコスト(すなわちビットレート)を低く保つことである。もう一つの課題は、サブバンド予測器によって得られる予測誤差信号の結果的なノイズ造形(noise shaping)を制御することである。

ビット効率のよい仕方でサブバンド予測器の記述をエンコードする課題については、可能な道筋は、オーディオ信号の以前に復号された部分から予測器を推定し、それにより予測器記述のコストを完全に回避することである。予測器がオーディオ信号の以前に復号された部分から決定できれば、エンコーダからデコーダに予測器記述を伝送する必要なく、予測器は、エンコーダおよびデコーダにおいて決定できる。この方式は、後方適応予測方式と称される。しかしながら、後方適応予測方式は典型的には、エンコードされるオーディオ信号のビットレートが減少すると、著しく劣化する。サブバンド予測器の効率的なエンコードに向けた代替的または追加的な道筋は、より自然な予測器記述、たとえばエンコードされるべきオーディオ信号の内在的な構造を活用する記述を同定することである。たとえば、低ビットレートの発話符号化は典型的には、(短期相関を活用する)短期予測器および(発話信号の根底にあるピッチに起因する長期の相関を活用する)長時間予測器のコンパクト表現に基づく前方適応方式を適用する。

予測誤差信号のノイズ造形を制御する課題については、予測器のノイズ造形はサブバンド内ではよく制御されうるものの、エンコーダの最終的な出力オーディオ信号は典型的にはエイリアスアーチファクトを呈する(実質的に平坦スペクトル・ノイズ形状を示すオーディオ信号を除いて)ことが観察される。

サブバンド予測器の重要な事例は、重複窓(overlappingwindows)をもつフィルタバンクにおける長期予測の実装である。長期予測器は典型的には、周期的およびほぼ周期的なオーディオ信号(たとえば内在的なピッチを示す発話信号)における冗長性を活用し、単一のまたは少数予測パラメータで記述されうる。長期予測器は、オーディオ信号の周期性を反映する遅延によって連続時間において定義されうる。この遅延がフィルタバンク窓の長さに比べて大きいとき、長期予測器は、シフトまたは端数遅延(fractional delay)によって、離散時間領域において実装されることができ、サブバンド領域における因果的な予測器(causal predictor)に変換し戻されてもよい。そのような長期予測器は、典型的にはエイリアス・アーチファクトは示さないが、時間領域からサブバンド領域への変換のための追加的なフィルタバンク演算の必要性によって生じる計算量の著しいペナルティーがある。さらに、時間領域において遅延を決定し、該遅延をサブバンド予測器に変換するアプローチは、エンコードされるべきオーディオ信号の周期がフィルタバンク窓サイズ匹敵するまたはそれより小さい場合には適用可能ではない。

概要

臨界サンプリングされたフィルタバンクにおけるモデル・ベースの予測を提供する。オーディオ信号の第一のサブバンド信号は、オーディオ信号からそれぞれ複数のサブバンドにおける複数のサブバンド信号を提供する複数の分解フィルタを有する分解フィルタバンク(612)を使って決定される。信号モデルのモデル・パラメータ(613)を決定し、第一のサブバンド信号から導出された第一の復号されたサブバンド信号の、前のサンプル(614)に適用されるべき予測係数を、前記信号モデルに基づき、モデル・パラメータ(613)と分解フィルタバンク(612)に基づいて決定する。前のサンプル(614)の時間スロットは第一のサンプル(615)の時間スロットより前に行われ、予測係数を前のサンプル(614)に適用することによって第一のサンプル(615)の推定値を決定する。b

目的

もう一つの課題は、サブバンド予測器によって得られる予測誤差信号の結果的なノイズ造形(noise shaping)を制御することである

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

サブバンド信号サンプルの推定値を前記サブバンド信号の二つ以上の前のサンプルから決定する方法であって、前記サブバンド信号は、オーディオ信号サブバンド領域表現の複数のサブバンドの一つに対応し、当該方法は:・モデルパラメータを含む信号モデル・データを決定する段階と;・前記サブバンド信号の第一の前のサンプルに適用されるべき第一の予測係数を決定する段階であって、前記第一の予測係数は、前記モデル・パラメータに応答して第一の解析関数を使って決定される、段階と;・前記サブバンド信号の第二の前のサンプルに適用されるべき第二の予測係数を決定する段階であって、前記第二の前のサンプルの時間スロットは前記第一の前のサンプルの時間スロットの直前であり、前記第二の予測係数は、前記モデル・パラメータに応答して第二の解析関数を使って決定される、段階と;・前記第一の予測係数を前記第一の前のサンプルに適用し、前記第二の予測係数を前記第二の前のサンプルに適用することによって前記サンプルの推定値を決定する段階とを含み、前記第一の解析関数と前記第二の解析関数は異なる、方法。

請求項2

サブバンド信号のサンプルの推定値を前記サブバンド信号の二つ以上の前のサンプルから決定するよう構成されたシステムであって、前記サブバンド信号は、オーディオ信号のサブバンド領域表現の複数のサブバンドの一つに対応し、当該システムは:予測器計算器と、サブバンド予測器とを有しており、前記予測器計算器は、モデル・パラメータを含む信号モデル・データを決定する段階と;前記サブバンド信号の第一の前のサンプルに適用されるべき第一の予測係数を決定する段階であって、前記第一の予測係数は、前記モデル・パラメータに応答して第一の解析関数を使って決定される、段階と;前記サブバンド信号の第二の前のサンプルに適用されるべき第二の予測係数を決定する段階であって、前記第二の前のサンプルの時間スロットは前記第一の前のサンプルの時間スロットの直前であり、前記第二の予測係数は、前記モデル・パラメータに応答して第二の解析関数を使って決定される、段階とを実行するよう構成されており、前記サブバンド予測器は、前記第一の予測係数を前記第一の前のサンプルに適用し、前記第二の予測係数を前記第二の前のサンプルに適用することによって前記第一のサンプルの推定値を決定するよう構成されており、前記第一の解析関数と前記第二の解析関数は異なる、システム。

請求項3

コンピュータに請求項1記載の方法を実行させるためのコンピュータ・プログラム

技術分野

0001

本稿はオーディオ源符号化システムに関する。詳細には、本稿は、フィルタバンクとの組み合わせで線形予測を利用するオーディオ源符号化システムに関する。

背景技術

0002

オーディオ信号の源符号化のためのシステムにおいて適用される二つの重要な信号処理ツールがある。すなわち、臨界サンプリングされたフィルタバンクおよび線形予測である。臨界サンプリングされたフィルタバンク(たとえば修正離散コサイン変換(MDCT)ベースの変換)は、知覚的な非重要性および信号冗長性活用できる時間‐周波数表現への直接アクセスを可能にする。線形予測はオーディオ信号、特に発話信号の効率的な源モデル化を可能にする。二つのツールの組み合わせ、すなわちフィルタバンクのサブバンドにおける予測の利用は主として、高ビットレートオーディオ符号化のために使われてきた。低ビットレートの符号化については、サブバンドにおける予測に伴う課題は、予測の記述のためのコスト(すなわちビットレート)を低く保つことである。もう一つの課題は、サブバンド予測器によって得られる予測誤差信号の結果的なノイズ造形(noise shaping)を制御することである。

0003

ビット効率のよい仕方でサブバンド予測器の記述をエンコードする課題については、可能な道筋は、オーディオ信号の以前に復号された部分から予測器を推定し、それにより予測器記述のコストを完全に回避することである。予測器がオーディオ信号の以前に復号された部分から決定できれば、エンコーダからデコーダに予測器記述を伝送する必要なく、予測器は、エンコーダおよびデコーダにおいて決定できる。この方式は、後方適応予測方式と称される。しかしながら、後方適応予測方式は典型的には、エンコードされるオーディオ信号のビットレートが減少すると、著しく劣化する。サブバンド予測器の効率的なエンコードに向けた代替的または追加的な道筋は、より自然な予測器記述、たとえばエンコードされるべきオーディオ信号の内在的な構造を活用する記述を同定することである。たとえば、低ビットレートの発話符号化は典型的には、(短期相関を活用する)短期予測器および(発話信号の根底にあるピッチに起因する長期の相関を活用する)長時間予測器のコンパクト表現に基づく前方適応方式を適用する。

0004

予測誤差信号のノイズ造形を制御する課題については、予測器のノイズ造形はサブバンド内ではよく制御されうるものの、エンコーダの最終的な出力オーディオ信号は典型的にはエイリアスアーチファクトを呈する(実質的に平坦スペクトル・ノイズ形状を示すオーディオ信号を除いて)ことが観察される。

0005

サブバンド予測器の重要な事例は、重複窓(overlappingwindows)をもつフィルタバンクにおける長期予測の実装である。長期予測器は典型的には、周期的およびほぼ周期的なオーディオ信号(たとえば内在的なピッチを示す発話信号)における冗長性を活用し、単一のまたは少数予測パラメータで記述されうる。長期予測器は、オーディオ信号の周期性を反映する遅延によって連続時間において定義されうる。この遅延がフィルタバンク窓の長さに比べて大きいとき、長期予測器は、シフトまたは端数遅延(fractional delay)によって、離散時間領域において実装されることができ、サブバンド領域における因果的な予測器(causal predictor)に変換し戻されてもよい。そのような長期予測器は、典型的にはエイリアス・アーチファクトは示さないが、時間領域からサブバンド領域への変換のための追加的なフィルタバンク演算の必要性によって生じる計算量の著しいペナルティーがある。さらに、時間領域において遅延を決定し、該遅延をサブバンド予測器に変換するアプローチは、エンコードされるべきオーディオ信号の周期がフィルタバンク窓サイズ匹敵するまたはそれより小さい場合には適用可能ではない。

発明が解決しようとする課題

0006

本稿は、サブバンド予測の上述した欠点に対処する。特に、本稿は、サブバンド予測器のビットレート効率のよい記述を許容するおよび/またはサブバンド予測器によって生じるエイリアス・アーチファクトの低減を許容する方法およびシステムを記述する。特に、本稿に記載される方法およびシステムは、エイリアシング・アーチファクトの低減したレベルを引き起こす、サブバンド予測を使った低ビットレートのオーディオ符号化器の実装を可能にする。

課題を解決するための手段

0007

本稿は、臨界サンプリングされたフィルタバンクのサブバンド領域における予測を用いるオーディオ源符号化の品質を改善する方法およびシステムを記述する。本方法およびシステムは、サブバンド予測器の、信号モデルに基づくコンパクトな記述を利用してもよい。代替的または追加的に、本方法およびシステムは、サブバンド領域において直接的に予測器の効率的な実装を利用してもよい。代替的または追加的に、本方法およびシステムは、エイリアス・アーチファクトの軽減を許容するために、本稿に記述されるサブバンド横断予測器項を利用してもよい。

0008

本稿で概説されるように、サブバンド予測器のコンパクトな記述は、正弦波周波数周期的信号の周期、硬いひも振動について遭遇されるようなわずかに非調和的なスペクトルおよび/またはポリフォニック信号についての多数のピッチを含んでいてもよい。長期予測器の場合について、周期的信号モデルは、フィルタバンクの窓サイズより短いおよび/または長い値を含むある範囲のラグパラメータ(または遅延)について、高品質の因果的な予測器を提供することが示される。これは、周期的信号モデルが、効率的な仕方で長期のサブバンド予測器を実装するために使用されうることを意味する。正弦波モデル・ベースの予測から任意の遅延の近似へのシームレス遷移が提供される。サブバンド領域における予測器の直接的な実装は、生成される量子化歪みの知覚的な特性への明示的なアクセスを可能にする。さらに、サブバンド領域における予測器の実装は、予測利得および予測のパラメータへの依存性といった数値的な属性へのアクセスを可能にする。たとえば、信号モデル・ベースの解析は、予測利得が、考えられているサブバンドの部分集合においてのみ有意であることを明らかにすることがあり、伝送のために選ばれたパラメータの関数としての予測器係数の変動が、効率的なエンコード・アルゴリズムのほかパラメータ・フォーマットの設計においても助けとなることがある。さらに、時間領域およびサブバンド領域の両方で動作するアルゴリズムの使用に依拠する予測器実装に比べ、計算量が著しく軽減されうる。特に、本稿に記載される方法およびシステムは、時間領域で予測器(たとえば長期遅延)を決定して適用する必要なしに、サブバンド領域で直接的にサブバンド予測を実装するために使用されてもよい。

0009

サブバンド予測器におけるサブバンド横断項の使用は、(バンド内予測のみに依拠する)バンド内予測器に比べて著しく改善された周波数領域ノイズ造形(noise shaping)属性を可能にする。これを行なうことにより、エイリアシング・アーチファクトが軽減されることができ、それにより比較的低ビットレートのオーディオ符号化システムのためにサブバンド予測の使用を可能にする。

0010

ある側面によれば、オーディオ信号の第一のサブバンドの第一のサンプルを推定する方法が記述される。オーディオ信号の前記第一のサブバンドは、前記オーディオ信号からそれぞれ複数のサブバンドにおける複数のサブバンド信号を提供する複数の分解フィルタを有する分解フィルタバンクを使って決定されたものであってもよい。時間領域オーディオ信号は分解フィルタバンクに提出され、それにより複数のサブバンドにおける複数のサブバンド信号を与えてもよい。前記複数のサブバンドのそれぞれは典型的には前記オーディオ信号の異なる周波数範囲カバーし、それにより前記オーディオ信号の異なる周波数成分へのアクセスを提供する。前記複数のサブバンドは等しいまたは一様なサブバンド間隔を有していてもよい。前記第一のサブバンドは、分解フィルタバンクによって提供される前記複数のサブバンドの一つに対応する。

0011

分解フィルタバンクは、さまざまな属性を有していてもよい。複数の合成フィルタを有する合成フィルタバンクは、同様のまたは同じ属性を有していてもよい。分解フィルタバンクおよび分解フィルタについて記述される属性は、合成フィルタバンクおよび合成フィルタの属性にも適用可能である。典型的には、分解フィルタバンクおよび合成フィルタバンクの組み合わせは、オーディオ信号の完璧な再構成を許容する。分解フィルタバンクの分解フィルタは互いに対してシフト不変であってもよい。代替的または追加的に、分解フィルタバンクの分解フィルタは、共通の窓関数を有していてもよい。特に、分解フィルタバンクの分解フィルタは、共通の窓関数の異なる変調をされたバージョンを有していてもよい。ある実施形態では、共通の窓関数は、コサイン関数を使って変調され、それによりコサイン変調された分解フィルタバンクを与える。特に、分解フィルタバンクはMDCT、QMFおよび/またはELT変換の一つまたは複数を有していてもよい(またはそれに対応していてもよい)。共通の窓関数は有限継続時間Kを有していてもよい。共通の窓関数の継続時間は、サブバンド信号の相続くサンプルが、時間領域オーディオ信号の重複する諸セグメントを使って決定されるようなものであってもよい。よって、分解フィルタバンクは重複変換(overlapped transform)を含んでいてもよい。分解フィルタバンクの分解フィルタは、直交および/または正規直交基底を形成してもよい。さらなる属性として、分解フィルタバンクは、臨界サンプリングされたフィルタバンクに対応してもよい。特に、前記複数のサブバンド信号のサンプルの数は、時間領域オーディオ信号のサンプルの数に対応してもよい。

0012

本方法は、信号モデルのモデル・パラメータを決定することを含んでいてもよい。信号モデルは、複数のモデル・パラメータを使って記述されてもよい。よって、本方法は、信号モデルの前記複数のモデル・パラメータを決定することを含んでいてもよい。前記モデル・パラメータ(単数または複数)は、前記モデル・パラメータおよび予測誤差信号を含むまたは示す受領されたビットストリームから抽出されてもよい。あるいはまた、前記モデル・パラメータ(単数または複数)は、たとえば平均平方誤差アプローチを使って、前記信号モデルを前記オーディオ信号に(たとえばフレームごとに)当てはめすることによって、決定されてもよい。

0013

前記信号モデルは、一つまたは複数の正弦波モデル成分を含んでいてもよい。そのような場合、前記モデル・パラメータは前記一つまたは複数の正弦波モデル成分の前記一つまたは複数の周波数を示してもよい。例として、前記モデル・パラメータは、マルチ正弦波信号モデルの基本周波数Ωを示していてもよい。ここで、マルチ正弦波信号は、基本周波数Ωの倍数qΩに対応する周波数における正弦波モデル成分を有する。よって、マルチ正弦波信号モデルは周期的な信号成分を有していてもよく、ここで、周期的な信号成分は複数の正弦波成分を含み、前記複数の正弦波成分は基本周波数Ωの倍数である周波数をもつ。本稿において示されるように、そのような周期的な信号成分は、(たとえば長期予測器のために使用されるような)時間領域における遅延をモデル化するために使用されてもよい。信号モデルは、該信号モデルの、周期的信号モデルからのシフトおよび/または逸脱を示す一つまたは複数のモデル・パラメータを有していてもよい。前記シフトおよび/または逸脱は、前記周期的信号モデルの前記複数の正弦波成分の周波数の、基本周波数Ωのそれぞれの倍数qΩからの逸脱を示していてもよい。

0014

前記信号モデルは、複数の周期的信号成分を有していてもよい。各周期的信号成分は、一つまたは複数のモデル・パラメータを使って記述されてもよい。モデル・パラメータは複数の基本周波数Ω0、Ω1、……、ΩM-1を示していてもよい。代替的または追加的に、信号モデルは、あらかじめ決定されたおよび/または調整可能な緩和パラメータ(これは前記モデル・パラメータの一つであってもよい)によって記述されてもよい。緩和パラメータは、周期的信号成分の線スペクトルをならすまたは平滑化するよう構成されていてもよい。信号モデルおよび関連するモデル・パラメータの具体例は、本稿の実施形態のセクションにおいて記述される。

0015

前記モデル・パラメータ(単数または複数)は、平方予測誤差信号の平均値が小さくなる(たとえば最小化される)よう決定されてもよい。予測誤差信号は、第一のサンプルと第一のサンプルの推定値との間の差に基づいて決定されてもよい。特に、平方予測誤差信号の平均値が、前記第一のサブバンド信号の複数の相続く第一のサンプルに基づいて、かつ対応する複数の推定される第一のサンプルに基づいて決定されてもよい。特に、本稿では、一つまたは複数のモデル・パラメータによって記述される信号モデルを使って、前記オーディオ信号または前記オーディオ信号の少なくとも前記第一のサブバンド信号をモデル化することが提案される。モデル・パラメータは、第一の推定されたサブバンド信号を決定する線形予測器の前記一つまたは複数の予測係数を決定するために使われる。前記第一のサブバンド信号と前記第一の推定されたサブバンド信号との間の差は、予測誤差サブバンド信号を与える。前記一つまたは複数のモデル・パラメータは、平方予測誤差サブバンド信号の平均値が小さくなる(たとえば最小化される)よう決定されてもよい。

0016

本方法はさらに、前記第一のサブバンド信号から導出された第一の復号されたサブバンド信号の、前のサンプルに適用されるべき予測係数を決定することを含んでいてもよい。特に、前のサンプルは、前記第一のサブバンド信号の対応するサンプルに前記予測誤差信号(の量子化されたバージョン)を加えることによって決定されてもよい。前記第一の復号されたサブバンド信号は、前記第一のサブバンド信号と同一であってもよい(たとえば可逆エンコーダの場合)。前記前のサンプルの時間スロットは典型的には前記第一のサンプルの時間スロットより前である。特に、本方法は、一つまたは複数の前のサンプルから前記第一のサブバンド信号の前記第一のサンプルを決定するよう構成されている再帰的な(有限インパルス応答予測フィルタの一つまたは複数の予測係数を決定することを含んでいてもよい。

0017

前記一つまたは複数の予測係数は、前記信号モデルに基づき、前記モデル・パラメータに基づき、かつ前記分解フィルタバンクに基づいて決定されてもよい。特に、予測係数は、前記信号モデルおよび前記分解フィルタバンクの解析的な評価に基づいて決定されてもよい。前記信号モデルおよび前記分解フィルタバンクの前記解析的な評価は、ルックアップテーブルおよび/または解析関数の決定につながってもよい。よって、予測係数は、そのルックアップテーブルおよび/または解析関数を使って決定されてもよい。ここで、ルックアップテーブルおよび/または解析関数は、前記信号モデルに基づき、かつ前記分解フィルタバンクに基づいてあらかじめ決定されていてもよい。ルックアップテーブルおよび/または解析関数は、前記モデル・パラメータ(単数または複数)から導出されるあるパラメータの関数として前記予測係数(単数または複数)を提供してもよい。前記モデル・パラメータから導出されるパラメータは、たとえば前記モデル・パラメータであってもよく、あるいはあらかじめ決定された関数を使って前記モデル・パラメータから得られてもよい。よって、前記一つまたは複数の予測係数は、前記一つまたは複数のモデル・パラメータ(のみ)から導出される前記一つまたは複数のパラメータ(のみ)に依存して前記一つまたは複数の予測係数を与えるあらかじめ決定されたルックアップテーブルおよび/または解析関数を使って計算効率のよい仕方で決定されてもよい。よって、予測係数の決定は、単にルックアップテーブル内のエントリーみつけることに帰着されてもよい。上記で示したように、分解フィルタバンクは変調された構造を有していてもよく、あるいは変調された構造を示してもよい。そのような変調された構造の結果として、前記一つまたは複数の予測係数の絶対値が前記第一のサブバンドのインデックス番号と独立であることが観察される。これは、ルックアップテーブルおよび/または解析関数が、前記複数のサブバンドのインデックス番号に関して(符号値を除いて)シフト不変でありうることを意味する。そのような場合、前記モデル・パラメータから導出されるパラメータ、すなわち前記予測係数を決定するためにルックアップテーブルおよび/または解析関数に入力されるパラメータは、前記モデル・パラメータを、前記複数のサブバンドの内のあるサブバンドに対して相対的な仕方で表現することによって導出されてもよい。

0018

上記で概説したように、前記モデル・パラメータは、マルチ正弦波信号モデルの(たとえば周期的信号モデルの)基本周波数Ωを示してもよい。そのような場合、前記予測係数の決定は、前記第一のサブバンド内にある基本周波数Ωの倍数を決定することを含んでいてもよい。基本周波数Ωのある倍数が前記第一のサブバンド内にあれば、基本周波数Ωの前記倍数の、前記第一のサブバンドの中心周波数からの相対オフセットが決定されてもよい。特に、基本周波数Ωの前記倍数の前記相対オフセットであって前記第一のサブバンドの中心周波数に最も近いものが決定されてもよい。ルックアップテーブルおよび/または解析関数は、該ルックアップテーブルおよび/または解析関数が前記予測係数をあるサブバンドの中心周波数からの可能な相対オフセットの関数として(たとえば、規格化された周波数fの関数としておよび/または本稿で記述されるシフト・パラメータΘの関数として)与えるよう、あらかじめ決定されてもよい。よって、予測係数は、決定された相対オフセットを使ってルックアップテーブルおよび/または解析関数に基づいて決定されてもよい。あらかじめ決定されたルックアップテーブルは、限られた数の可能な相対オフセットについての限られた数のエントリーを含んでいてもよい。そのような場合、ルックアップテーブルから予測係数をさがす前に、決定された相対オフセットは、前記限られた数の可能な相対オフセットからの最も近い可能な相対オフセットに丸められてもよい。

0019

他方、基本周波数Ωのどの倍数も前記第一のサブバンド内にない、あるいはむしろ前記第一のサブバンドのまわりの拡張された周波数範囲内にない場合には、予測係数は0に設定されてもよい。そのような場合、前記第一のサンプルの推定値も0であってもよい。

0020

予測係数の決定は、前記モデル・パラメータに基づいて複数のルックアップテーブルの一つを選択することを含んでいてもよい。例として、前記モデル・パラメータは周期的信号モデルの基本周波数Ωを示していてもよい。周期的信号モデルの基本周波数Ωは周期的信号モデルの周期性Tに対応する。本稿において、比較的小さな周期性Tの場合、周期的信号モデルは単一正弦波モデルに向かって収束することが示される。さらに、本稿において、比較的大きな周期性Tの場合には、ルックアップテーブルがTの絶対値とともにゆっくり変化し、主として相対オフセットに(すなわちシフト・パラメータΘに)依存することが示される。よって、複数のルックアップテーブルは、周期性Tの複数の異なる値についてあらかじめ決定されていてもよい。モデル・パラメータ(すなわち周期性T)は、前記複数のルックアップテーブルのうちの適切なものを選択するために使われてもよく、前記複数のルックアップテーブルのうち選択されたものに基づいて、(前記相対オフセットを使って、たとえば前記シフト・パラメータΘを使って)予測係数が決定されてもよい。よって、比較的高い精度(precision)をもちうるモデル・パラメータ(たとえば周期性Tを表わすもの)が、低下した精度の一対のパラメータ(たとえば、周期性Tおよび相対オフセット)に復号されてもよい。一対のパラメータのうちの第一のパラメータ(たとえば周期性T)は特定のルックアップテーブルを選択するために使われてもよく、第二のパラメータ(たとえば相対オフセット)は選択されたルックアップテーブル内のエントリーを同定するために使われてもよい。

0021

本方法はさらに、予測係数を前のサンプルに適用することによって前記第一のサンプルの推定値を決定することを含んでいてもよい。予測係数を前のサンプルに適用することは、予測係数に前のサンプルの値を乗算し、それにより前記第一のサンプルの推定値を与えることを含んでいてもよい。典型的には、前記第一のサブバンド信号の複数の第一のサンプルは、予測係数を前のサンプルのシーケンスに適用することによって決定される。前記第一のサンプルの推定値を決定することはさらに、前記予測係数および/または前記第一のサンプルにスケーリング利得を適用することを含んでいてもよい。スケーリング利得(またはその指標)がたとえば長期予測(LTP: long term prediction)のために使用されてもよい。すなわち、スケーリング利得は異なる予測器の結果として生じてもよい(たとえば、長期予測器の結果として生じてもよい)。スケーリング利得は異なるサブバンドについては異なっていてもよい。さらに、スケーリング利得は、エンコードされたオーディオ信号の一部として伝送されてもよい。よって、モデル・パラメータによって記述される信号モデルを使うことによって、(一つまたは複数の予測係数を含む)サブバンド予測器の効率的な記述が提供される。モデル・パラメータは、サブバンド予測器の一つまたは複数の予測係数を決定するために使われてもよい。つまり、オーディオ・エンコーダは、前記一つまたは複数の予測係数の指標を送信する必要はなく、モデル・パラメータの指標を送信するだけでよい。典型的には、モデル・パラメータは、前記一つまたは複数の予測係数より効率的に(すなわち、より少数のビットを用いて)エンコードされることができる。よって、モデル・ベースの予測の使用は、低ビットレートのサブバンド・エンコードを可能にする。

0022

本方法はさらに、複数の予測マスクサポート・サブバンドにおける複数の前のサンプルを示す予測マスクを決定することを含んでいてもよい。前記複数の予測マスク・サポート・サブバンドは前記複数のサブバンドのうちの、前記第一のサブバンドとは異なる少なくとも一つを含んでいてもよい。よって、サブバンド予測器は、前記第一のサブバンド信号のサンプルを、前記複数のサブバンド信号のうちからの前記第一のサブバンド信号とは異なる一つまたは複数の他のサブバンド信号のサンプルから、推定するよう構成されていてもよい。予測マスクは、前記第一のサブバンド信号の前記第一のサンプルを推定するために使われる前記複数の前のサンプルの配置(たとえば、前記第一のサンプルの時間スロットに関する時間ラグおよび/または前記第一のサブバンドの前記インデックス番号に関するサブバンド・インデックス・ラグ)を定義していてもよい。

0023

本方法は、前記複数の前のサンプルに適用されるべき複数の予測係数を決定することにおいて進行してもよい。前記複数の予測係数は、前記信号モデルに基づき、前記モデル・パラメータに基づき、かつ前記分解フィルタバンクに基づいて、(たとえば上記および本稿において概説されるモデル・ベースの予測方式を使って)決定されてもよい。よって、前記複数の予測係数は、一つまたは複数のモデル・パラメータを使って決定されてもよい。換言すれば、限られた数のモデル・パラメータが前記複数の予測係数を決定するために十分でありうる。つまり、モデル・ベースのサブバンド予測を使うことにより、サブバンド横断予測がビットレート効率のよい仕方で実装されうる。

0024

本方法は、前記複数の予測係数をそれぞれ前記複数の前のサンプルに適用することによって前記第一のサンプルの推定値を決定することを含んでいてもよい。前記第一のサンプルの推定値の決定は、典型的には、前記複数の前のサンプルに、前記複数のそれぞれの予測係数によって重みをかけたものの和を決定することを含む。

0025

上記で概説したように、モデル・パラメータは周期性Tを示していてもよい。前記一つまたは複数の予測係数を決定するために使われる前記複数のルックアップテーブルは、周期性Tの種々の値についてのルックアップテーブルを含んでいてもよい。特に、前記複数のルックアップテーブルは、所定のきざみサイズΔTでの[Tmin,Tmax]の範囲内の周期性Tの種々の値について、ルックアップテーブルを含んでいてもよい。本稿で概説されるように、Tminは0.25の範囲にあってもよく、Tmaxは2.5の範囲にあってもよい。Tminは、T<Tminについてはオーディオ信号が単一の正弦波モデル成分を有する信号モデルを使ってモデル化できるよう、選択されてもよい。Tmaxは、T>Tmaxについては周期性TmaxないしTmax+1についてのルックアップテーブルが実質的に周期性Tmax−1ないしTmaxについてのルックアップテーブルに対応するよう、選択されてもよい。同じことは、一般にn≧0について、周期性Tmax+nないしTmax+n+1についても典型的には当てはまる

0026

本方法は、選択されたルックアップテーブルを、モデル・パラメータによって示される周期性Tについてのルックアップテーブルとして決定することを含んでいてもよい。前記一つまたは複数の予測係数を含むまたは示すルックアップテーブルを選択したのち、ルックアップ・パラメータが、選択されたルックアップテーブル内の適切な一つまたは複数のエントリーを同定するために使用されてもよい。それらのエントリーがそれぞれ前記一つまたは複数の予測係数を示す。ルックアップ・パラメータは、シフト・パラメータΘに対応してもよく、あるいはそれから導出されてもよい。

0027

本方法は、周期性T>Tmaxを示すモデル・パラメータについては、Tから整数値を減算することにより残差周期性Trを決定することを含んでいてもよい。ここで、残差周期性Trは[Tmax−1,Tmax]の範囲内にはいるようにする。すると、予測係数を決定するためのルックアップテーブルは、残差周期性Trについてのルックアップテーブルとして決定されてもよい。

0028

本方法は、周期性T<Tminを示すモデル・パラメータについては、周期性Tminについてのルックアップテーブルとして、前記一つまたは複数の予測係数を決定するためのルックアップテーブルを選択することを含んでいてもよい。さらに、前記一つまたは複数の予測係数を提供する選択されたルックアップテーブルの前記一つまたは複数のエントリーを同定するためのルックアップ・パラメータ(たとえばシフト・パラメータΘ)は、比Tmin/Tに応じてスケーリングされてもよい。次いで、前記一つまたは複数の予測係数は、選択されたルックアップテーブルおよびスケーリングされたルックアップ・パラメータを使って決定されてもよい。特に、前記一つまたは複数の予測係数は、スケーリングされたルックアップ・パラメータに対応する選択されたルックアップテーブルの前記一つまたは複数のエントリーに基づいて決定されてもよい。

0029

よって、ルックアップテーブルの数はあらかじめ決定された範囲[Tmin,Tmax]に制限されてもよい。それにより、オーディオ・エンコーダ/デコーダのメモリ要件が制限される。それにもかかわらず、予測係数はあらかじめ決定された諸ルックアップテーブルを使って周期性Tのあらゆる可能な値について決定されてもよい。それにより、オーディオ・エンコーダ/デコーダの計算効率のよい実装が可能にされる。

0030

あるさらなる側面によれば、オーディオ信号の第一のサブバンド信号の第一のサンプルを推定する方法が記述される。上記で概説されたように、オーディオ信号の前記第一のサブバンドは、前記オーディオ信号からそれぞれ複数のサブバンドにおける複数のサブバンド信号を提供する複数の分解フィルタを有する分解フィルタバンクを使って決定されてもよい。上記で述べた特徴は下記の方法にも適用可能である。

0031

本方法は、複数の予測マスク・サポート・サブバンドにおける複数の前のサンプルを示す予測マスクを決定することを含んでいてもよい。前記複数の予測マスク・サポート・サブバンドは前記複数のサブバンドのうちの、前記第一のサブバンドとは異なる少なくとも一つを含んでいてもよい。特に、前記複数の予測マスク・サポート・サブバンドは前記第一のサブバンドを含んでいてもよく、および/または前記複数の予測マスク・サポート・サブバンドは前記第一のサブバンドにすぐ隣接する前記複数のサブバンドのうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。

0032

本方法はさらに、前記複数の前のサンプルに適用されるべき複数の予測係数を決定することを含んでいてもよい。前記複数の前のサンプルは、典型的には前記オーディオ信号の前記複数のサブバンド信号から導出される。特に、前記複数の前のサンプルは、典型的には、複数の復号されたサブバンド信号のサンプルに対応する。前記複数の予測係数は、前記第一のサブバンドとは異なるサブバンドの一つまたは複数のサンプルをも考慮に入れる再帰的な(有限インパルス応答)予測フィルタの予測係数に対応してもよい。前記第一のサンプルの推定値は、前記複数の予測係数を前記複数の前のサンプルにそれぞれ適用することによって決定されてもよい。よって、本方法は、他の(たとえば隣接する)サブバンドからの一つまたは複数のサンプルを使ってサブバンド予測を可能にする。こうすることにより、サブバンド予測ベースの符号化器によって引き起こされるエイリアシング・アーチファクトが軽減されうる。

0033

本方法はさらに、信号モデルのモデル・パラメータを決定することを含んでいてもよい。前記複数の予測係数は、前記信号モデルに基づき、前記モデル・パラメータに基づき、かつ前記分解フィルタバンクに基づいて決定されてもよい。よって、前記複数の予測係数は、本稿に記載されるモデル・ベースの予測を使って決定されうる。特に、前記複数の予測係数はルックアップテーブルおよび/または解析関数を使って決定されてもよい。ルックアップテーブルおよび/または解析関数は、前記信号モデルに基づき、かつ前記分解フィルタバンクに基づいてあからじめ決定されていてもよい。さらに、ルックアップテーブルおよび/または解析関数は、前記モデル・パラメータから導出されるパラメータ(のみ)の関数として前記複数の予測係数を提供してもよい。よって、前記モデル・パラメータは、ルックアップテーブルおよび/または解析関数を使って前記複数の予測係数を直接与えてもよい。よって、前記モデル・パラメータは、サブバンド横断予測器の係数を効率的に記述するために使用されうる。

0034

あるさらなる側面によれば、オーディオ信号をエンコードする方法が記述される。本方法は、複数の分解フィルタを有する分解フィルタバンクを使って前記オーディオ信号から複数のサブバンド信号を決定することを含んでいてもよい。本方法は、本稿に記載される予測方法の任意のものを使って前記複数のサブバンド信号のサンプルを推定することにおいて進み、それにより複数の推定されたサブバンド信号を与えてもよい。さらに、複数の予測誤差サブバンド信号のサンプルが前記複数のサブバンド信号の対応するサンプルおよび前記複数の推定されたサブバンド信号のサンプルに基づいて決定されてもよい。本方法は、前記複数の予測誤差サブバンド信号を量子化することおよびエンコードされたオーディオ信号を生成することにおいて進んでもよい。エンコードされたオーディオ信号は、前記複数の量子化された予測誤差サブバンド信号を示してもよい(たとえば含んでいてもよい)。さらに、エンコードされた信号は、前記複数の推定されたサブバンド信号のサンプルを推定するために使われた一つまたは複数のパラメータを示していてもよい(たとえば含んでいてもよい)。たとえば、その後前記複数の推定されたサブバンドのサンプルを推定するために使われる一つまたは複数の予測係数を決定するために使われた一つまたは複数のモデル・パラメータを示していてもよい。

0035

もう一つの側面によれば、エンコードされたオーディオ信号をデコードする方法が記述される。エンコードされたオーディオ信号は典型的には、量子化された予測誤差サブバンド信号と、複数の推定されたサブバンド信号のサンプルを推定するために使われるべき一つまたは複数のパラメータとを示す。本方法は、前記複数の量子化された予測誤差サブバンド信号を量子化解除して、複数の量子化解除された予測誤差サブバンド信号を与えることを含んでいてもよい。

0036

さらに、本方法は、本稿に記載される予測方法のうちの任意のものを使って前記複数の推定されたサブバンド信号のサンプルを推定することを含んでいてもよい。複数のデコードされたサブバンド信号のサンプルが前記複数の推定されたサブバンド信号の対応するサンプルに基づき、かつ前記複数の量子化解除された予測誤差サブバンド信号のサンプルに基づいて決定されてもよい。デコードされたオーディオ信号は、複数の合成フィルタを含む合成フィルタバンクを使って前記複数のデコードされたサブバンド信号から決定されてもよい。

0037

あるさらなる側面によれば、オーディオ信号の第一のサブバンド信号の一つまたは複数の第一のサンプルを推定するよう構成されたシステムが記載される。オーディオ信号の前記第一のサブバンド信号は、複数のそれぞれのサブバンドにおいて前記オーディオ信号から複数のサブバンド信号を提供する複数の分解フィルタを有する分解フィルタバンクを使って決定されてもよい。本システムは、信号モデルのモデル・パラメータを決定するよう構成された予測器計算器を有していてもよい。さらに、予測器計算器は、前記第一のサブバンド信号から導出された第一のデコードされたサブバンド信号の一つまたは複数の前のサンプルに適用されるべき一つまたは複数の予測係数を決定するよう構成されていてもよい。よって、予測器計算器は、再帰的な予測フィルタの、特に再帰的なサブバンド予測フィルタの一つまたは複数の予測係数を決定するよう構成されていてもよい。前記一つまたは複数の予測係数は、前記信号モデルに基づき、前記モデル・パラメータに基づき、かつ前記分解フィルタバンクに基づいて、(たとえば本稿において記述されるモデル・ベースの予測方法を使って)決定されてもよい。前記一つまたは複数の前のサンプルの時間スロットは典型的には前記一つまたは複数の第一のサンプルの時間スロットより前である。本システムはさらに、前記一つまたは複数の予測係数を前記一つまたは複数の前のサンプルに適用することによって前記一つまたは複数の第一のサンプルの推定値を決定するよう構成されたサブバンド予測器を有していてもよい。

0038

もう一つの側面によれば、オーディオ信号の第一のサブバンド信号の一つまたは複数の第一のサンプルを推定するよう構成されたシステムが記述される。前記第一のサブバンド信号は複数のサブバンドのうちの第一のサブバンドに対応する。前記第一のサブバンド信号は典型的には、それぞれ前記複数のサブバンドについて複数のサブバンド信号を提供する複数の分解フィルタを有する分解フィルタバンクを使って決定される。本システムは、複数の予測マスク・サポート・サブバンドにおいて複数の前のサンプルを示す予測マスクを決定するよう構成された予測器計算器を有する。前記複数の予測マスク・サポート・サブバンドは前記複数のサブバンドのうち、前記第一のサブバンドとは異なる少なくとも一つを含む。前記予測器計算器はさらに、前記複数の前のサンプルに適用されるべき複数の予測係数(または再帰的な予測フィルタ)を決定するよう構成されている。さらに、本システムは、前記複数の予測係数を前記複数の前のサンプルにそれぞれ適用することによって前記一つまたは複数の第一のサンプルの推定値を決定するよう構成されたサブバンド予測器を有する。

0039

もう一つの側面によれば、オーディオ信号をエンコードするよう構成されたオーディオ・エンコーダが記述される。本オーディオ・エンコーダは、複数の分解フィルタを使って前記オーディオ信号から複数のサブバンド信号を決定するよう構成された分解フィルタバンクを有する。さらに、本オーディオ・エンコーダは、前記複数のサブバンド信号のサンプルを推定し、それにより複数の推定されたサブバンド信号を与えるよう構成されている、本稿に記載される予測器計算器およびサブバンド予測器を有する。さらに、本エンコーダは、複数の予測誤差サブバンド信号のサンプルを、前記複数のサブバンド信号および前記複数の推定されたサブバンド信号の対応するサンプルに基づいて決定するよう構成された差分ユニットを有していてもよい。前記複数の予測誤差サブバンド信号を量子化するために量子化ユニットが使われてもよい。さらに、ビットストリーム生成ユニットが、エンコードされたオーディオ信号を生成するよう構成されていてもよい。エンコードされたオーディオ信号は、前記複数の量子化された予測誤差サブバンド信号と、前記複数の推定されたサブバンド信号のサンプルを推定するために使われた一つまたは複数のパラメータ(たとえば一つまたは複数のモデル・パラメータ)とを示す。

0040

あるさらなる側面によれば、エンコードされたオーディオ信号をデコードするよう構成されたオーディオ・デコーダが記述される。エンコードされたオーディオ信号は、前記複数の量子化された予測誤差サブバンド信号と、複数の推定されたサブバンド信号のサンプルを推定するために使われた一つまたは複数のパラメータとを示す(たとえば含む)。本オーディオ・デコーダは、前記複数の量子化された予測誤差サブバンド信号を量子化解除して、それにより複数の量子化解除された予測誤差サブバンド信号を与えるよう構成された逆量子化器を有していてもよい。さらに、本デコーダは、前記複数の推定されたサブバンド信号のサンプルを推定するよう構成されている、本稿に記載される予測器計算器およびサブバンド予測器を有する。加算ユニットが、複数のデコードされたサブバンド信号のサンプルを、前記複数の推定されたサブバンド信号の対応するサンプルに基づき、かつ前記複数の量子化解除された予測誤差サブバンド信号のサンプルに基づいて決定するために使われてもよい。さらに、複数の合成フィルタ使って、前記複数のデコードされたサブバンド信号から、デコードされたオーディオ信号を決定するために、合成フィルタバンクが使われてもよい。

0041

あるさらなる側面によれば、ソフトウェアプログラムが記述される。前記ソフトウェア・プログラムは、プロセッサ上での実行のために、プロセッサ上で実行されたときに本稿で概説される方法段階を実行するよう適応されていてもよい。

0042

もう一つの側面によれば、記憶媒体が記述される。記憶媒体は、プロセッサ上での実行のために、プロセッサ上で実行されたときに本稿で概説される方法段階を実行するよう適応されているソフトウェア・プログラムを含んでいてもよい。

0043

あるさらなる側面によれば、コンピュータ・プログラム・プロダクトが記述される。前記コンピュータ・プログラムは、コンピュータ上で実行されたときに本稿で概説される方法段階を実行するための実行可能命令を含んでいてもよい。

0044

本特許出願において概説される好ましい実施形態を含む方法およびシステムは単独でまたは本稿で開示される他の方法およびシステムとの組み合わせにおいて使われもよいことを注意しておくべきである。さらに、本特許出願において概説される方法およびシステムのすべての側面は任意に組み合わされてもよい。特に、請求項の特徴は任意の仕方で互いに組み合わされてもよい。

図面の簡単な説明

0045

本発明は、付属の図面を参照して、本発明の範囲や精神を限定しない例解用の例によって、以下に記述される。
フィルタバンク領域において(すなわちサブバンド領域において)線形予測を適用する例示的なオーディオ・デコーダのブロック図である。
時間周波数格子における例示的な予測マスクを示す図である。
正弦波モデル・ベースの予測器計算器についての例示的な表形式にされたデータを示す図である。
バンド内サブバンド予測から帰結する例示的なノイズ造形を示す図である。
バンド横断サブバンド予測から帰結する例示的なノイズ造形を示す図である。
周期的なモデル・ベースの予測器計算について前記表形式にされたデータの根底にある例示的な二次元量子化格子を描いた図である
信号周期性の異なる範囲について異なる予測マスクを使うことを示す図である。
モデル・ベースのサブバンド予測を使う例示的なエンコード方法フローチャートである。
モデル・ベースのサブバンド予測を使う例示的なデコード方法のフローチャートである。

実施例

0046

以下に記載される実施形態は単に臨界サンプリングされたフィルタバンクにおけるモデル・ベースの予測のための本発明の原理を単に例解するものである。本稿に記載される構成および詳細の修正および変形が当業者に明白となるであろうことは理解される。したがって、本稿における実施形態の記述および説明によって提示される個別的詳細によってではなく、付属の特許請求項の範囲によってのみ限定されることが意図である。

0047

図1は、フィルタバンク領域(サブバンド領域とも称される)において線形予測を適用する例示的なオーディオ・デコーダ100のブロック図を描いている。オーディオ・デコーダ100は、予測誤差信号(残差信号とも称される)に関する情報および可能性としてはもとの入力オーディオ信号から前記予測誤差信号を決定するために対応するエンコーダにおいて使われた予測器の記述に関する情報を含むビットストリームを受領する。予測誤差信号に関する情報は、入力オーディオ信号のサブバンドに関係していてもよく、予測器の記述に関する情報は一つまたは複数のサブバンド予測器に関係していてもよい。

0048

受領されたビットストリーム情報を与えられて、逆量子化器101は、予測誤差サブバンド信号のサンプル111を出力してもよい。これらのサンプルはサブバンド予測器103の出力112に加えられてもよく、和113がサブバンド・バッファ104に渡されてもよい。サブバンド・バッファ114は、デコードされたオーディオ信号のサブバンドの、前にデコードされたサンプル113の記録を維持する。サブバンド予測器103の出力は、推定されたサブバンド信号112と称されてもよい。デコードされたオーディオ信号のサブバンドのデコードされたサンプルは、合成フィルタバンク102に提出されてもよい。合成フィルタバンク102はサブバンド・サンプルを時間領域に変換し、それによりデコードされたオーディオ信号の時間領域サンプル114を与える。

0049

別の言い方をすると、デコーダ100はサブバンド領域で動作してもよい。特に、デコーダ100は、サブバンド予測器103を使って複数の推定されたサブバンド信号112を決定してもよい。さらに、デコーダ100は、逆量子化器101を使って複数の残差サブバンド信号111を決定してもよい。前記複数の推定されたサブバンド信号112および前記複数の残差サブバンド信号111のそれぞれの対は加算されて、対応する複数のデコードされたサブバンド信号113を与えてもよい。前記複数のデコードされたサブバンド信号113は、合成フィルタバンク102に提出されて、時間領域のデコードされたオーディオ信号114を与えてもよい。

0050

サブバンド予測器103のある実施形態では、所与の推定されたサブバンド信号112の所与のサンプルは、前記所与の推定されたサブバンド信号112の前記所与のサンプルとは異なる時間および異なる周波数(すなわち異なるサブバンド)に対応するバッファ104内のサブバンド・サンプルの線形結合によって得られてもよい。換言すれば、第一の時点における、第一のサブバンド内の推定されたサブバンド信号112のサンプルは、(第一の時点とは異なる)第二の時点に関係し、(第一のサブバンドとは異なる)第二のサブバンドに関係するデコードされたサブバンド信号113の一つまたは複数のサンプルに基づいて決定されてもよい。予測係数の収集およびその時間および周波数マスクへの添付(attachment)が予測器103を定義してもよく、この情報はデコーダ100の予測器計算器105によって与えられてもよい。予測器計算器105は、受領されたビットストリームに含まれる信号モデル・データの変換によって、予測器103を定義する情報を出力する。予測器103の出力のスケーリングを修正する追加的な利得が送信されてもよい。予測器計算器105のある実施形態では、信号モデル・データは、効率的にパラメータ化された線スペクトルの形で提供される。ここで、パラメータ化された線スペクトルにおける各線またはパラメータ化された線スペクトルにおける一連の線の群が、予測器係数の表形式にされた値をポイントするために使われる。よって、受領されたビットストリーム内で与えられる信号モデル・データは、あらかじめ決定されたルックアップテーブル内のエントリーを同定するために使われてもよい。ルックアップテーブルからのエントリーは、予測器103によって使われるべき予測器係数(予測係数とも称される)のための一つまたは複数の値を与える。テーブル探索のために適用される方法は、複雑さとメモリ要求との間のトレードオフに依存しうる。たとえば、最近傍型の探索は最も低い複雑さを達成するために使われてもよく、一方、補間探索法が、より小さなテーブル・サイズで同様のパフォーマンスを提供してもよい。

0051

上記で示したように、受領されたビットストリームは一つまたは複数の明示的に伝達された利得(または明示的に伝達された利得の指標)を含んでいてもよい。利得は、予測器演算の一部としてまたは予測器演算後に適用されてもよい。前記一つまたは複数の明示的に伝達された利得は、異なるサブバンドについては異なっていてもよい。明示的に伝達された追加的な利得(の指標)は、予測器103の予測係数を決定するために使われる一つまたは複数のモデル・パラメータに加えて提供される。よって、追加的な利得は、予測器103の予測係数をスケーリングするために使われてもよい。

0052

図2は、時間周波数格子における例示的な予測マスク支集合〔予測マスク・サポート〕を示している。予測マスク支持集合は、コサイン変調されたフィルタバンク(たとえばMDCTフィルタバンク)のような一様な時間周波数分解能をもつフィルタバンクにおいて動作する予測器103のために使われてもよい。記法は描画201によって例解されており、目標暗い影を付けたサブバンド・サンプル211は、明るい影を付けたサブバンド・サンプル212に基づく予測の出力である。描画202〜205では、明るい影を付けたサブバンド・サンプルの集合が予測器マスク支持集合を示している。源サブバンド・サンプル212および目標サブバンド・サンプル211の組み合わせは、予測マスク201と称される。目標サブバンド・サンプルの近傍においてサブバンド・サンプルを配置するために、時間周波数格子が使用されてもよい。時間スロット・インデックスは左から右に向かって増加し、サブバンド周波数インデックスは下から上に向かって増加する。図2は、予測マスクおよび予測器マスク支持集合の例示的な場合を示しており、さまざまな他の予測マスクおよび予測器マスク支持集合が使用されうることを注意しておくべきである。例示的な予測マスクは次のようなものである。

0053

・予測マスク202は、時点k−1およびk−2における二つの前のデコードされたサブバンド・サンプル222からの、時点kにおける推定されたサブバンド・サンプル221のバンド内予測を定義する。

0054

・予測マスク203は、時点k−1におけるサブバンドn−1、n、n+1内の三つの前のデコードされたサブバンド・サンプル232に基づく、時点kにおけるサブバンドn内の推定されたサブバンド・サンプル231のバンド横断予測を定義する。

0055

・予測マスク204は、時点k−1におけるサブバンドn−1、n、n+1内の三つの前のデコードされたサブバンド・サンプル242に基づく、時点kにおける三つの異なるサブバンドn−1、n、n+1内の三つの推定されたサブバンド・サンプル241のバンド横断予測を定義する。バンド横断予測は、各推定されたサブバンド・サンプル241がサブバンドn−1、n、n+1内の三つの前のデコードされたサブバンド・サンプル242のすべてに基づいて決定されうるように実行されてもよい。

0056

・予測マスク205は、時点k−2、k−3、k−4、k−5におけるサブバンドn−1、n、n+1内の12個の前のデコードされたサブバンド・サンプル252に基づく、時点kにおけるサブバンドn内の推定されたサブバンド・サンプル251のバンド横断予測を定義する。

0057

図3は、コサイン変調されたフィルタバンクにおいて動作する正弦波モデル・ベースの予測器計算器105のための表形式にされたデータを示している。予測マスク支持集合は描画204のものである。所与の周波数パラメータについて、最も近いサブバンド中心周波数をもつサブバンドが、中心目標サブバンドとして選択されてもよい。周波数パラメータと中心目標サブバンドの中心周波数との間の差が、フィルタバンクの周波数間隔の単位(ビン)で計算されてもよい。これは、−0.5から0.5の間の値を与え、その値は、表形式にされたデータ中の最も近い利用可能なエントリーに丸められてもよく、図3の九つのグラフ301の横軸によって描かれている。これは、目標サブバンドおよびその二つの隣接サブバンドの、サブバンド・バッファ104内の前記複数のデコードされたサブバンド信号113の最も最近の値に適用されるべき係数の3×3行列を生成する。結果として得られる3×1ベクトルは、所与の周波数パラメータについて、サブバンド予測器103のこれら三つのサブバンドへの寄与をなす。プロセスは、信号モデルにおけるすべての正弦波成分について、加法的な仕方で繰り返されてもよい。

0058

別の言い方をすれば、図3は、サブバンド予測器のモデル・ベースの記述の例を示している。入力オーディオ信号が基本周波数Ω0、Ω0、……、ΩM-1における一つまたは複数の正弦波成分を含むことが想定されている。一つまたは複数の正弦波成分のそれぞれについて、あらかじめ決定された予測マスク(たとえば予測マスク204)を使うサブバンド予測器が決定されてもよい。入力オーディオ信号の基本周波数Ωは、フィルタバンクのサブバンドの一つの中にあることがある。このサブバンドは、この特定の基本周波数Ωについての中心サブバンドと称されてもよい。基本周波数Ωは、中心サブバンドの中心周波数に対して−0.5から0.5の範囲の値として表現されてもよい。オーディオ・エンコーダは、基本周波数Ωに関する情報をデコーダ100に伝送してもよい。デコーダ100の予測器計算器105は、基本周波数Ωの相対周波数値303についての係数値302を決定することによって予測係数の3×3行列を決定するために、図3の3×3行列を使ってもよい。これは、予測マスク204を使うサブバンド予測器103についての係数が、特定の基本周波数Ωに関する受領された情報のみを使って決定できることを意味する。換言すれば、たとえば複数の正弦波成分の一つのモデルを使って入力オーディオ信号をモデル化することによって、サブバンド予測器のビットレート効率のよい記述が提供されることができる。

0059

図4は、コサイン変調されたフィルタバンクにおけるバンド内サブバンド予測から帰結する例示的なノイズ造形を示している。バンド内サブバンド予測を実行するために使われた信号モデルは、ランダムガウシアン白色ノイズによって駆動される二階微分方程式によって記述されるような、ピークのある共鳴をもつ二次の自己回帰確率過程である。曲線401は、該過程を実現したものについての測定された絶対値スペクトルを示している。この例については、図2の予測マスク202が適用されている。すなわち、予測器計算器105は、同じサブバンド内のみの前のサブバンド・サンプル222に基づいて所与の目標サブバンド221についてのサブバンド予測器103を与える。逆量子化器101をガウシアン白色ノイズ生成器で置き換えると、合成された絶対値スペクトル402が得られる。見て取れるように、この合成においては、強いエイリアス・アーチファクトが現われている。合成されたスペクトル402が、もとのスペクトル401と一致しないピークをもつからである。

0060

図5は、バンド横断サブバンド予測から帰結する例示的なノイズ造形を示している。予測マスク203が適用されるという事実のほかは、設定は図4と同じである。よって、計算器105は、目標サブバンドおよびその二つの隣接サブバンド内の前のサブバンド・サンプル232に基づいて、所与の目標サブバンド231についてのサブバンド予測器103を与える。図5から見て取れるように、合成された信号のスペクトル502は実質的にもとの信号のスペクトル501と一致する。すなわち、バンド横断サブバンド予測を使うとき、エイリアス問題は実質的に抑制される。よって、図4および図5は、バンド横断サブバンド予測を使うとき、すなわち、一つまたは複数の隣接サブバンドの前のサブバンド・サンプルに基づいてサブバンド・サンプルを予測するとき、サブバンド予測によって引き起こされるエイリアシング・アーチファクトが軽減できることを示している。結果として、サブバンド予測は、に聞こえるエイリアシング・アーチファクトを引き起こすリスクなしに、低ビットレートのオーディオ・エンコーダのコンテキストにおいても適用されうる。バンド横断サブバンド予測の使用は典型的には予測係数の数を増すが、図3のコンテキストにおいて示されるように、入力オーディオ信号についてのモデルの使用(たとえば、正弦波モデルまたは周期的モデルの使用)は、サブバンド予測器の効率的な記述を許容し、それにより低ビットレートのオーディオ符号化器についてバンド横断サブバンド予測の使用を可能にする。

0061

以下では、臨界サンプリングされたフィルタバンクにおけるモデル・ベースの予測の原理の記述が図1〜図6を参照して、適切な数学的用語を加えつつ概説される。

0062

線形予測の根底にある可能な信号モデルは、平均の弱く定常的な確率過程x(t)のものであり、その統計は自己相関関数r(τ)=E{x(t)x(t−τ)}によって決定される。ここで考察される臨界サンプリングされたフィルタバンクのよいモデルとして、{wα:α∈A}は正規直交基底をなす実数値合成波形wα(t)の集合であるとする。換言すれば、フィルタバンクは波形{wα:α∈A}によって表現されてもよい。時間領域信号s(t)のサブバンド・サンプルは内積



によって得られ、信号は



によって復元される。過程x(t)のサブバンド・サンプル〈x,wα〉はランダム変数であり、その共変行列Rαβは次式のようにして自己相関関数r(τ)によって決定される。

0063

ここで、Wαβ(τ)は二つの合成波形の相互相関である。

0064

ある集合からのサブバンド・サンプル〈x,wα〉またはデコードされたサブバンド・サンプル{〈x,wβ〉:β∈B}の線形予測は、次式によって定義される。

0065

式(5)において、集合Bは源サブバンド・サンプルを定義する。すなわち、集合Bは予測マスク支持集合を定義する。平方予測誤差の平均値は次式によって与えられる。

0066

最小平均平方誤差(MSE)解は、予測係数cβについての次の正規方程式解くことによって得られる。

0067

予測係数が式(7)を満たすとき、式(6)の右辺はRαα−ΣβRαβcβに帰着する。正規方程式(7)は、たとえばレヴィンソン・ダービン(Levinson-Durbin)アルゴリズムを使って、効率的な仕方で解くことができる。

0068

本稿では、予測器計算器105において予測係数{cβ:β∈B}を導出できるもとになる、信号モデルのパラメトリックな表現を伝送することが提案される。たとえば、信号モデルは、該信号モデルの自己相関関数r(τ)のパラメトリックな表現を提供してもよい。デコーダ100は、受領されたパラメトリック表現を使って自己相関関数r(τ)を導出してもよく、正規方程式(7)のために必要とされる共変行列の要素を導出するために、自己相関関数r(τ)を合成波形相互相関Wαβ(τ)と組み合わせてもよい。次いで、該方程式は、予測係数を得るために解くことができる。

0069

別の言い方をすれば、エンコードされるべき入力オーディオ信号は、限られた数のモデル・パラメータを使って記述できる過程x(t)によってモデル化されうる。特に、モデル化する過程x(t)は、その自己相関関数r(τ)=E{x(t)x(t−τ)}が限られた数のパラメータを使って記述できるようなものであってもよい。自己相関関数r(τ)を記述するための限られた数のパラメータはデコーダ100に伝送されてもよい。デコーダ100の予測器計算器105は、受領されたパラメータから自己相関関数r(τ)を決定してもよく、正規方程式(7)を決定できるもとになるサブバンド信号の共変行列Rαβを決定するために式(3)を使ってもよい。次いで、正規方程式(7)は、予測器計算器105によって解くことができ、それにより予測係数cβを与える。

0070

以下では、上記のモデル・ベースの予測方式を効率的な仕方で適用するために使用されうる例示的な信号モデルが記述される。以下に記述される信号モデルは、典型的には、オーディオ信号を符号化するために、たとえば発話信号を符号化するために典型的には非常に重要である。

0071

信号モデルの例は正弦波過程



によって与えられる。ここで、ランダム変数a,bは相関しておらず、平均0、分散1をもつ。この正弦波過程の自己相関関数は



によって与えられる。

0072

そのような正弦波過程の一般化は、(角)周波数の集合Sをもつ、すなわち複数の異なる(角)周波数ξをもつマルチ正弦モデルである。

0073

すべてのランダム変数aξ,bξは対ごとに相関しておらず、平均0、分散1をもつとすると、このマルチ正弦過程は次の自己相関関数をもつ。

0074

マルチ正弦過程のパワースペクトル密度PSD: power spectral density)(これは自己相関関数のフーリエ変換に対応する)は次の線スペクトルである。

0075

数値的な考察により、方程式過程の上記自己相関関数をもつ純粋なマルチ正弦過程を、自己相関関数



をもつ緩和されたマルチ正弦過程で置き換えることができる。ここで、ε>0は比較的小さな緩和パラメータである。後者のモデルは、インパルス関数のない厳密に正のPSDを与える。

0076

マルチ正弦モデルの周波数の集合Sのコンパクトな記述の例は次のとおり。
1.単一の基本周波数Ω:S={Ων:ν=1,2,…}
2.M個の基本周波数Ω0、Ω1、…、ΩM-1:S={Ωkν:ν=1,2,…, k=0,1,…,M−1}
3.シングルサイドのバンド・シフトされた基本周波数Ω,θ:S={Ω(ν+θ):ν=1,2,…}
4.やや非調和的なモデル:Ω,a:S={Ων・(1+aν2)1/2: ν=1,2,…} ここで、aがモデルの非調和成分を記述する。

0077

このように、式(12)によって与えられるPSDを示す(可能性としては緩和された)マルチ正弦モデルは、上記に挙げた例示的な記述の一つを使って効率的な仕方で記述されうる。例として、式(12)の線スペクトルの周波数の完全な集合Sは、単一の基本周波数Ωのみを使って記述されてもよい。エンコードされるべき入力オーディオ信号が単一の基本周波数Ωを示すマルチ正弦モデルを使ってよく記述できるなら、モデル・ベースの予測器は、サブバンド予測器103によって使われる予測係数の数によらず(すなわち、予測マスク202、203、204、205によらず)、単一のパラメータによって(すなわち、基本周波数Ωによって)記述されてもよい。

0078

周波数の集合Sを記述する事例1は、周期T=2π/Ωをもつ入力オーディオ信号をモデル化する過程x(t)を与える。分散1/2をもつ零周波数(DC)寄与を式(11)に含め、その結果が因子2/Tによる再スケーリングを受けると、周期的モデル過程x(t)の自己相関関数は



と書ける。

0079

緩和因子の定義ρ=exp(−Tε)を用いると、周期的モデルの緩和されたバージョンの自己相関関数は次式によって与えられる。

0080

式(14)は、白色ノイズz(t)を入力される単一の遅延ループによって定義される過程、すなわちモデル過程



の自己相関関数にも対応する。これは、単一の基本周波数Ωを示す周期的過程は時間領域におけるT=2π/Ωである遅延に対応することを意味する。

0081

上述したグローバルな信号モデルは典型的には、正弦波振幅パラメータaξ,bξの分散が1との仮定のため、平坦な大スケールパワースペクトルをもつ。しかしながら、信号モデルは典型的には、臨界サンプリングされたフィルタバンクのサブバンドの部分集合について局所的に考えられるだけである。そこではフィルタバンクが全体的なスペクトルの造形に関与する。換言すれば、サブバンド幅に比べて遅い変動をもつスペクトル形状をもつ信号については、平坦なパワースペクトル・モデルが信号に対する良好なマッチを与え、よってモデル・ベースの予測器は十分なレベルの予測利得を提供する。より一般に、PSDモデルは、自己回帰(AR: autoregressive)または自己回帰移動平均(ARMA: autoregressive moving average)過程の標準的なパラメータ化を用いて記述できる。これは、記述的なモデル・パラメータの増大を可能性のある代償として、モデル・ベースの予測のパフォーマンスを高めるであろう。

0082

確率論的信号モデルについての定常の仮定を放棄することによってもう一つの変形が得られる。その場合、自己相関関数は二つの変数の関数r(t,s)=E{x(t)x(s)}になる。たとえば、関連する非定常正弦波モデルは振幅(AM)および周波数変調FM)を含みうる。

0083

さらに、より決定論的な信号が用いられてもよい。以下の例のいくつかで見られるように、予測はいくつかの場合には0になる誤差をもつことがある。そのような場合、確率的なアプローチは回避することができる。予測がモデル空間内のすべての信号について完璧であるときは、考えられているモデル空間上での確率測度によって予測パフォーマンスの平均値を実行する必要はない。

0084

以下では、変調されたフィルタバンクに関するさまざまな側面が記述される。特に、共変行列の決定に影響があり、それによりサブバンド予測器の予測係数を決定するための効率的な手段を提供する諸側面が記述される。変調されたフィルタバンクは、合成波形の二次元のインデックス・セットα=(n,k)として記述されてもよい。ここで、n=0,1,…はサブバンド・インデックス(周波数帯域)であり、k∈Zはサブバンド・サンプル・インデックス(時間スロット)である。提示の簡単のため、合成波形は連続時間において与えられ、単位時間ストライドに規格化されていると想定される。

0085

wn,k(t)=un(t−k) (16)
ここで、コサイン変調されたフィルタバンクの場合、



である。窓関数v(t)は実数値であり、偶であると想定される。変調規則軽微な変化は別として、これは時間きざみ1/LでのサンプリングでL個のサブバンドをもつ、MDCT(Modified Discrete Cosine Transforms[修正離散コサイン変換])、QMF(Quadrature Mirror Filter[直交ミラーフィルタ])およびELT(Extended Lapped Transforms[拡張重複変換])といった一連のきわめて重要な事例をカバーする。この窓は、継続時間または長さが有限であり、区間[−K/2,K/2]に含まれる支持集合をもつとされる。ここで、Kは重複変換の重複因子であり、Kは窓関数の長さを示す。

0086

シフト不変な構造のため、合成波形の相互相関関数(式(4)で定義される)は次のように書けることがわかる。

0087

すなわち、定義Un,m(τ)=Wn,0,m,0(τ)を用いて、Wn,k,m,l(τ)=Un,m(τ−l+k)である。変調構造(17)は次のようにさらに展開することを許容する。

0088

ここで、カーネル関数κνは、フィルタバンク窓のウィグナー・ヴィル(Wigner-Ville)分布の周波数変数におけるフィルタバンク・サブバンド・ステップを用いたサンプリングを表わす。

0089

このカーネルは、窓関数v(t)についての上述した想定のため、νおよびτの両方において実であり、偶である。そのフーリエ変換は、シフトされた窓応答の積である。

0090

式(20)および(21)から、カーネルκν(τ)は|τ|>Kについては0になり、フィルタバンク窓v(t)の典型的な選択については|ν|の関数として急速な減衰をもつことが見て取れる。結果として、ν=n+m+1に関わる式(19)の第二項は、最も低い諸サブバンドについて以外は、しばしば無視できる。

0091

所与の信号モデルの自己相関関数r(τ)について、上述した公式は、式(3)によって与えられるサブバンド・サンプル共変行列の定義に挿入されることができる。定義



を用いて、Rn,k,m,l=Rn,m[k−l]を得ることができる。

0092

所与の信号モデルのパワースペクトル密度P(ω)(これは自己相関関数r(τ)のフーリエ変換に対応する)の関数として、



であることがわかる。ここで^付きのUn,m(ω)はUn,m(τ)のフーリエ変換であり、n,mはサブバンド・インデックスを同定し、λは時間スロット・ラグ(λ=k−l)を表わす。式(23)の表現は次のように書き直せる。

0093

重要な観察は、式(24)の第一項は本質的には周波数シフトに対して不変属性をもつということである。式(24)の第二項が無視され、P(ω)が整数νかけるサブバンド間隔πによりP(ω−πν)にシフトされたら、共変において対応するシフトが見出されるRn,m[λ]=±Rn-ν,m-ν[λ]。ここで、符号は時間ラグλの(整数)値に依存する。これは、一般のフィルタバンクの場合に比べ、変調構造をもつフィルタバンクを使うことの利点を反映する。

0094

式(24)は、根底にある信号モデルのPSDを知っているときにサブバンド・サンプル共変行列の行列係数を決定する効率的な手段を提供する。例として、(角)周波数ξにおける単一の正弦波を含む信号モデルx(t)を利用する正弦波モデル・ベースの予測方式の場合、PSDはP(ω)=(1/2)(δ(ω−ξ)+δ(ω+ξ))によって与えられる。P(ω)を式(24)に代入すると四つの項が与えられるが、そのうち三つは、n+m+1が大きいという想定のもとで無視できる。残りの項は次のようになる。

0095

式(25)は、サブバンド共変行列Rn,mを決定する効率的な手段を提供する。サブバンド・サンプル〈x,wp,0〉は、考えられる周波数によって著しく影響されると想定される、まわりのサブバンド・サンプルの集合{〈x,wn,k〉:(n,k)∈B}によって信頼できる仕方で予測されることができる。絶対周波数ξは、サブバンドの中心周波数π(p+(1/2))に対して相対的な形で、ξ=π(p+(1/2)+f)として表現できる。ここで、pは周波数ξを含むサブバンドのサブバンド・インデックスであり、fは−0.5から+0.5の間の値を取り、サブバンドpの中心周波数に対する周波数ξの位置を示す規格化された周波数パラメータである。サブバンド共変行列Rn,mを決定してしまうと、サンプル・インデックスkにおけるサブバンドn内のサブバンド・サンプルを推定するためにサンプル・インデックスlにおけるサブバンドm内のサブバンド・サンプルに適用される予測器係数cm[l]は、正規方程式(7)を解くことによって見出される。正規方程式(7)は今の場合については次のように書ける。

0096

式(26)において、集合Bはたとえば図2に示される予測マスク支持集合を記述する。換言すれば、集合Bは、目標サンプルを予測するために使われるサブバンドmおよびサンプル・インデックスlを同定する。

0097

以下では、(図2に示されるような)種々の予測マスク支持集合についての正規方程式(26)の解が例示的な仕方で与えられる。因果的な(causal)二次のバンド内予測器の例は、予測マスク支持集合B={(p,−1),(p,−2)}を選択することによって得られる。この予測マスク支持集合は、図2の予測マスク202に対応する。この2タップ予測のための正規方程式(26)は、式(25)の近似を使って、次のようになる。

0098

式(27)の解は、cp[−1]=2cos(ξ), cp[−2]=−1によって与えられ、これは周波数ξ=π(p+(1/2)+f)が



となるように選ばれるのでない限り、一意的である。式(6)による平方予測誤差の平均値が0になることがわかる。結果として、正弦波予測は、式(25)の近似の限りにおいて完璧である。周波数シフトに対する不変属性はここでは、定義ξ=π(p+(1/2)+f)を使うと、予測係数cp[−1]が、規格化された周波数fを用いてcp[−1]=−2(−1)psin(πf)と書き直すことができるという事実によって示される。これは、予測係数は特定のサブバンド内の規格化された周波数fにのみ依存することを意味する。しかしながら、予測係数の絶対値はサブバンド・インデックスpとは独立である。

0099

図4について上記で論じたように、バンド内予測はノイズ造形におけるエイリアス・アーチファクトに関するある種の欠点を有する。次の例は、図5に示される改善された挙動に関する。本稿で教示されるところの因果的なバンド横断予測は、予測マスク支持集合B={(p−1,−1),(p,−1),(p+1,−1)}を選択することによって得られる。これは二つではなく一つだけの先行する時間スロットを必要とし、第一の例の古典的な予測マスク202より少ないエイリアス周波数寄与をもつノイズ造形を実行する。予測マスク支持集合B={(p−1,−1),(p,−1),(p+1,−1)}は図2の予測マスク203に対応する。式(25)の近似に基づく正規方程式(26)は、この場合、三つの未知係数cm[−1]、m=p−1,p,p+1についての二つの方程式に帰着する。

0100

式(28)のどの解も、式(6)に基づく平方予測誤差の平均値0につながることがわかる。式(28)の無限個の解の間で一つの解を選択するための可能な戦略は、予測係数の平方の和を最小にすることである。これは、次式で与えられる係数につながる。

0101

公式(29)から、予測係数は、目標サブバンドpの中点に対する規格化された周波数fに依存し、さらに目標サブバンドpのパリティーに依存するのみであることが明らかである。

0102

図2の予測マスク204によって示されるように、m=p−1,p,p+1について三つのサブバンド・サンプル〈x,wm,0〉を予測するために同じ予測マスク支持集合B={(p−1,−1),(p,−1),(p+1,−1)}を使うことにより、3×3の予測行列が得られる。正規方程式における曖昧さを避けるためのより自然な戦略を導入すると、つまり、



に対応する緩和された正弦波モデルr(τ)=exp(−ε|τ|)cos(ξτ)を挿入することにより、数値計算により図3の3×3の予測行列要素が得られる。予測行列要素は、正弦波窓関数v(t)=cos(πt/2)をもつ重複K=2の場合において奇数サブバンドpの場合に、規格化された周波数f∈[−1/2,1/2]の関数として示されている。

0103

よって、エンコードされるべき入力オーディオ信号の根底にある特性を記述するために、信号モデルx(t)が使用されてもよいことが示された。自己相関関数r(τ)を記述するパラメータがデコーダ100に伝送され、それによりデコーダ100が、伝送されたパラメータおよび信号モデルx(t)の知識から予測器を計算できるようにしてもよい。変調されたフィルタバンクについて、信号モデルのサブバンド共変行列を決定するためのおよび予測器係数を決定する正規方程式を解くための効率的な手段が導出できることが示された。特に、結果として得られる予測器係数がサブバンド・シフトに対して不変であり、典型的には特定のサブバンドに対する規格化された周波数にのみ依存することが示された。結果として、予測器係数が決定されるサブバンド・インデックスpとは(パリティー値を除いて)独立な、規格化された周波数fを知っての予測器係数の決定を許容する、あらかじめ決定されたルックアップテーブル(たとえば図3に示されるようなもの)が提供されることができる。

0104

下記では、たとえば単一の基本周波数Ωを使う周期的モデル・ベースの予測がさらに詳細に記述される。そのような周期的モデルの自己相関関数r(τ)は式(13)によって与えられる。等価なPSDまたは線スペクトルは



によって与えられる。

0105

周期的モデルの周期Tが十分小さい、たとえばT≦1であるとき、基本周波数Ω=2π/Tは十分大きく、予測されるべき目標サブバンド・サンプルのサブバンドpの中心周波数π(p+(1/2))に最も近い部分周波数ξ=qΩを使って上記で導出されたような正弦波モデルの適用を許容する。これは、小さな周期T、すなわちフィルタバンクの時間ストライドに対して小さい周期をもつ周期的信号が、上記の正弦波モデルを使ってよくモデル化され、予測されることができるということを意味する。

0106

周期Tがフィルタバンク窓v(t)の継続時間Kに比べて十分大きいときは、予測器はTによる遅延の近似に帰着する。示されるように、この予測器の係数は、式(19)によって与えられる波形相互相関関数から直接読まれることができる。

0107

式(13)に基づくモデルを式(22)に代入すると、次のようになる。

0108

重要な観察は、T≧2Kであれば、|τ|>KについてはUn,m(τ)=0であるから、各λについて式(31)の0でない項は高々一つであるということである。時間スロット直径D=|J|≦T−Kをもつ予測マスク支持集合B=I×Jを選ぶことによって、(n,k),(m,l)∈Bが|k−l|≦T−Kを含意し、よって式(31)の前記単一の項はq=0についての項であることが観察される。よって、Rn,m[k−l]=Un,m(k−l)となり、これは直交波形の内積であり、n=mかつk=lでない限り0になる。全体として、正規方程式(7)は次のようになる。

0109

予測マスク支持集合は、



を中心としてそのまわりに選ばれてもよく、その場合、式(32)の右辺はq=−1からのその単一の寄与をもつ。その場合、係数は次式によって与えられる。

0110

ここで、式(19)からの明示的な表現が代入されることができる。この場合についての予測マスク支持集合の幾何構造は、図2の予測マスク205の予測マスク支持集合の見え方をもつことができる。式(6)によって与えられる平方予測誤差の平均値は、近似する波形の補集合



によって張られる空間上へのup(t+T)の投影の平方ノルムに等しい。

0111

上記に鑑み、本稿によって、ほぼTに等しい時間直径をもつ(p,−T)を中心とした好適な予測マスク支持集合Bを使うことによって、(サブバンドpおよび時間インデックス0からの)サブバンド・サンプル〈x,wp,0〉が予測できることが教示される。正規方程式はTおよびpの各値について解かれてもよい。換言すれば、入力オーディオ信号の各周期性Tについて、各サブバンドpについて、所与の予測マスク支持集合Bについての予測係数は、正規方程式(33)を使って決定されてもよい。

0112

多数のサブバンドpおよび周期Tの広い範囲があると、すべての予測器係数を直接的に表にすることは実際的ではない。だが、正弦波モデルと同様に、フィルタバンクの変調構造は、周波数シフトに関する不変属性を通じて、必要なテーブル・サイズの著しい削減を提供する。典型的には、周波数π(p+(1/2))+(q+θ)Ω、q∈Zの集合のうちの正の周波数の部分集合S(θ)によって定義される、サブバンドpの中心のまわりの、すなわちπ(p+(1/2))を中心としてそのまわりの、シフト・パラメータ−1/2<θ≦1/2をもつシフトされた調和モデルを調べれば十分であろう。

0113

実際、Tおよび十分大きなサブバンド・インデックスpを与えられると、式(30)に基づく周期的モデルは、シフト・パラメータθの好適な選択により、式(34)に基づくシフトされたモデルによってよい近似で復元されることができる。n=p+νおよびm=p+μとして式(34)を式(24)に代入して(ここで、νおよびμは予測マスク支持集合のサブバンドpのまわりのサブバンド・インデックスを定義する)、フーリエ解析に基づいて操作すると、共変行列について次の式が得られる。

0114

見て取れるように、式(35)は、目標サブバンド・インデックスpには因子(−1)pλを通じてのみ依存する。大きな周期Tおよび小さな時間的ラグλの場合、l=0についての項のみが式(35)に寄与し、ここでもまた共変行列が恒等行列であることびわかる。すると、(p,−T)のまわりの好適な予測マスク支持集合Bについての正規方程式(26)の右辺は、予測係数を直接



として与える。これは、シフトθ=−π(p+(1/2))/Ωの正準的な選択を用いて、式(19)ないし(33)の第一項の寄与を復元する。

0115

式(36)は、時間インデックスkにおけるサブバンド(p+ν)についての予測係数cp+ν[k]を決定することを許容する。ここで、予測されるべきサンプルは時間インデックス0におけるサブバンドpからのサンプルである。式(36)から見て取れるように、予測係数cp+ν[k]は、目標サブバンド・インデックスpには、予測係数の符号に影響する因子(−1)pkを通じてのみ依存する。しかしながら、予測係数の絶対値は、目標サブバンド・インデックスpとは独立である。他方、予測係数cp+ν[k]は周期性Tおよびシフト・パラメータθに依存する。さらに、予測係数cp+ν[k]はνおよびkに、すなわち目標サブバンドpにおける目標サンプルを予測するために使われる予測マスク支持集合Bに依存する。

0116

本稿では、あらかじめ決定された予測マスク支持集合Bについての一組の予測係数cp+ν[k]を探索することを許容するルックアップテーブルを提供することが提案される。所与の予測マスク支持集合Bについて、ルックアップテーブルは、周期Tの値およびシフト・パラメータθの値のあらかじめ決定された集合について、予測係数cp+ν[k]の集合を与える。ルックアップテーブル・エントリーの数を制限するために、周期Tのあらかじめ決定された値の数およびシフト・パラメータθのあらかじめ決定された値の数は制限されるべきである。式(36)から見て取れるように、周期性Tおよびシフト・パラメータθのあらかじめ決定された値についての好適な量子化きざみサイズは、周期性Tに依存するべきである。特に、(窓関数の継続時間Kに対して)比較的大きな周期性Tについては、周期性Tおよびシフト・パラメータθについての比較的大きな量子化きざみが使われてもよい。逆に、0に近づく比較的小さな周期性Tについては、一つの正弦波寄与のみが考慮に入れられる必要があり、よって周期性Tはその重要性を失う。他方、式(29)に基づく正弦波予測についての公式は、規格化された絶対的な周波数シフトf=Ωθ/π=(1/2)θ/Tがゆっくり変化することを要求するので、シフト・パラメータθについての量子化きざみサイズは周期性Tに基づいてスケーリングされるべきである。

0117

全体として、本稿では、固定したきざみサイズをもつ周期性Tの一様な量子化を使うことが提案される。しかしながら、シフト・パラメータθは、min(T,A)に比例するきざみサイズをもって一様な仕方で量子化されてもよく、ここで、Aの値はフィルタ窓関数の詳細に依存する。さらに、T<2については、シフト・パラメータθの範囲は、絶対的な周波数シフトfに対する制限を反映して、何らかの定数Cについて|θ|≦min(CT,1/2)に制限されてもよい。

0118

図6aは、A=2についての(T,θ)平面における結果的な量子化格子の例を示している。0.25≦T≦1.5の範囲の中間的な範囲においてのみ、完全な二次元依存性が考慮される。一方、関心のある残りの範囲については、式(29)および式(36)によって与えられるような本質的には一次元のパラメータ化が使用されることができる。特に、0に近づく周期性T(たとえばT<0.25)については、周期的なモデル・ベースの予測は実質的に正弦波モデル・ベースの予測に対応し、予測係数は公式(29)を使って決定されてもよい。他方、窓継続時間Kを実質的に超える周期性T(たとえばT>1.5)については、周期的モデル・ベースの予測を使う予測係数cp+ν[k]の集合は、式(36)を使って決定されてもよい。この式は、代入θ=φ+(1/4)Tνによって再解釈することができる。

0119

となることがわかる。表においてパラメータθに与えられた役割をφに与えることによって、等価な(T,φ)平面において本質的に分離可能な構造が得られる。サブバンドおよび時間スロット・インデックスに依存する符号の変化を除いて、Tへの依存性は第一のゆっくり変化する因子に含まれ、φへの依存性は式(37)における1周期的な第二の因子に含まれる。

0120

修正されたオフセット・パラメータφを、源および目標ビンの中点の中点から測った、基本周波数の単位での調和系列(harmonic series)のシフトとして解釈できる。周期性Tのすべての値についてこの修正されたパラメータ化(T,φ)を維持することが有利である。φおよびνの同時符号変化に対して明白な式(37)における対称性が一般的に成立し、テーブル・サイズを削減するために活用されうるからである。

0121

上記で示したように、図6aは、コサイン変調されたフィルタバンクにおける周期的モデル・ベースの予測器計算についての表形式にされたデータの根底にある二次元量子化格子を描いている。信号モデルは、フィルタバンク時間きざみの単位で測った、周期T 602をもつ信号のものである。等価だが、モデルは、周期Tに対応する基本周波数の、部分音(partial)としても知られる整数倍の周波数線を含む。各目標サブバンドについて、シフト・パラメータθ601は、最も近い部分音の、基本周波数Ωの単位で測った中心周波数までの距離を示す。シフト・パラメータθ 601は−0.5から0.5の間の値をもつ。図6aの黒い十字603は、周期的モデルに基づく高い予測利得をもつ予測器を表にするための量子化点の適切な密度を示す。大きな周期T(たとえばT>2)について、格子は一様である。周期Tが短くなるにつれて、典型的にはシフト・パラメータθにおける増大した密度が必要とされる。しかしながら、線604の外側の領域では、距離θはフィルタバンクの1周波数ビンより大きい。よって、この領域におけるたいていの格子点は無視できる。ポリゴン605は、完全に表にすることために十分である領域を画定する。線604のやや外側の傾いた線に加えて、T=0.25およびT=1.5における境界が導入される。これは、小さな周期602が別個の正弦波として扱われることができ、大きな周期602についての予測器は主としてシフト・パラメータθ(または修正されたシフト・パラメータφ)に依存する本質的に一次元のテーブルによって近似されることができるという事実によって可能にされる。図6aに示される実施形態については、予測マスク支持集合は典型的には大きな周期Tについての図2の予測マスク205と同様である。

0122

図6bは、比較的大きな周期Tの場合および比較的小さな周期Tの場合における周期的モデル・ベースの予測を示している。上の図から、大きな周期Tについては、すなわち比較的小さな基本周波数Ω 613については、フィルタバンクの窓関数612は周期的信号のPSDの比較的多数の線またはディラック・パルス616を捕捉することが見て取れる。ディラック・パルス616は、q∈Zとして、周波数610 ω=qΩに位置している。フィルタバンクのサブバンドの中心周波数は、p∈Zとして、周波数ω=π(p+(1/2))に位置している。所与のサブバンドpについては、所与のサブバンドの中心周波数ω=π(p+(1/2))に最も近い周波数ω=qΩをもつパルス616の周波数位置は、相対的な形で、−0.5から+0.5の範囲のシフト・パラメータΘを用いて、qΩ=π(p+(1/2))+ΘΩとして記述されうる。よって、項ΘΩは中心周波数ω=π(p+(1/2))から調和モデルの直近の周波数成分616までの(周波数における)距離を反映する。このことは、中心周波数617がω=π(p+(1/2))であり、距離618 ΘΩが比較的大きな周期Tの場合について示されている図6bの上の図に示されている。シフト・パラメータΘが、サブバンドpの中心の観点から見た調和〔ハーモニック〕系列全体を記述することを許容することが見て取れる。

0123

図6bの下の図は、比較的小さな周期Tについての、すなわち比較的大きな基本周波数Ω 623、特に窓612の幅より大きい基本周波数623についての場合を示している。そのような場合、窓関数612は周期的信号の単一のパルス626を含むのみでありうることが見て取れる。そのため、該信号は、窓612内の正弦波信号と見てもよい。これは、比較的小さな周期Tについては、周期的モデル・ベースの予測方式が正弦波モデル・ベースの予測方式に向かって収束することを意味する。

0124

図6bはまた、それぞれ周期的モデル・ベースの予測方式のためおよび正弦波モデル・ベースの予測方式のために使用されうる例示的な予測マスク611、621をも示している。周期的モデル・ベースの予測方式のために使用される予測マスク611は図2の予測マスク205に対応してもよく、目標サブバンド・サンプル615を推定するための予測マスク支持集合614を含んでいてもよい。正弦波モデル・ベースの予測方式について使われる予測マスク621は図2の予測マスク203に対応してもよく、目標サブバンド・サンプル625を推定するための予測マスク支持集合624を含んでいてもよい。

0125

図7aは、(たとえば単一の基本周波数Ωを含む)周期的モデルを使うモデル・ベースのサブバンド予測に関わる例示的なエンコード方法700を示している。入力オーディオ信号のフレームが考慮される。このフレームについて、周期性Tまたは基本周波数Ωが決定されてもよい(ステップ701)。オーディオ・エンコーダは、図1に示されるデコーダ100の諸要素を有していてもよい。特に、オーディオ・エンコーダは予測器計算器105およびサブバンド予測器103を含んでいてもよい。周期性Tまたは基本周波数Ωは、式(6)に基づく平方予測誤差サブバンド信号111の平均値が低減される(たとえば最小化される)ように決定されてもよい。例として、オーディオ・エンコーダは、種々の基本周波数Ωを使って予測誤差サブバンド信号111を決定し、平方予測誤差サブバンド信号111の平均値が低減される(たとえば最小化される)ような基本周波数Ωを決定する力づくのアプローチを適用してもよい。本方法は、結果として得られる予測誤差サブバンド信号111を量子化することにおいて進む(ステップ702)。さらに、本方法は、決定された基本周波数Ωおよび量子化された予測誤差サブバンド信号111を示す情報を含むビットストリームを生成するステップ703を含む。

0126

ステップ701において基本周波数Ωを決定するとき、オーディオ・エンコーダは、特定の基本周波数Ωについて予測係数を決定するために、式(36)および/または(29)を利用してもよい。可能な基本周波数Ωの集合は、決定された基本周波数Ωを示す情報の伝送のために利用可能なビット数によって制限されうる。

0127

オーディオ符号化システムは、あらかじめ決定されたモデル(たとえば単一の基本周波数Ωを含む周期的モデルまたは本稿において与えられているモデルの他の任意のもの)および/またはあらかじめ決定された予測マスク202、203、204、205を使ってもよいことを注意しておくべきである。他方、オーディオ符号化システムは、オーディオ・エンコーダがエンコードされるべきオーディオ信号についての適切なモデルおよび/または適切な予測マスクを決定できるようにすることによって、さらなる自由度を与えられてもよい。選択されたモデルおよび/または選択された予測マスクに関する情報は、その後ビットストリーム中にエンコードされ、対応するデコーダ100に与えられる。

0128

図7bは、モデル・ベースの予測を使ってエンコードされたオーディオ信号をデコードする例示的な方法710を示している。デコーダはエンコーダによって使われた信号モデルおよび予測マスクを(受領されたビットストリームを介してまたはあらかじめ決定されている設定のために)知っていることが想定される。さらに、例解の目的のために、周期的予測モデルが使われたと想定される。デコーダ100は、受領されたビットストリームから基本周波数Ωに関する情報を抽出する(ステップ711)。基本周波数Ωに関する情報を使って、デコーダ100は周期性Tを決定してもよい。基本周波数Ωおよび/または周期性Tは、種々のサブバンド予測器についての予測係数の組を決定するために使われてもよい(ステップ712)。サブバンド予測器は、推定されたサブバンド信号を決定するために使用されてもよく(ステップ713)、それらの推定されたサブバンド信号は量子化解除された予測誤差サブバンド信号111と組み合わされてデコードされたサブバンド信号113を与える(ステップ714)。デコードされたサブバンド信号113は合成フィルタバンク102を使ってフィルタリングされ(ステップ715)、それによりデコードされた時間領域オーディオ信号114を与える。

0129

予測器計算器105は、基本周波数Ωに関する受領された情報に基づいてサブバンド予測器103の予測係数を決定するために式(36)および/または(29)を使ってもよい(ステップ712)。これは、図6aおよび図3に示されるようなルックアップテーブルを使って効率的な仕方で実行されうる。例として、予測器計算器105は周期性Tを決定して、周期性があらかじめ決定されたより低い閾値(たとえばT=0.25)より下にあるかどうかを判定してもよい。もしそうであれば、正弦波モデル・ベースの予測方式が使われる。つまり、受領された基本周波数Ωに基づいて、q∈Zとして、基本周波数の倍数ω=qΩを有するサブバンドpが決定される。次いで、関係ξ=π(p+(1/2)+f)を使って、規格化された周波数fが決定される。ここで周波数ξはサブバンドp内にある倍数ω=qΩに対応する。次いで、予測器計算器105は式(29)またはあらかじめ計算されたルックアップテーブルを使って、(たとえば図2の予測マスク203または図6bの予測マスク621を使って)予測係数の組を決定してもよい。

0130

各サブバンドについて予測係数の異なる組が決定されてもよいことを注意しておくべきである。しかしながら、正弦波モデル・ベースの予測方式の場合、予測係数の組は典型的には、q∈Zとして、基本周波数の倍数ω=qΩによって著しく影響されるサブバンドpについてのみ決定される。他のサブバンドについては、予測係数は決定されない。つまり、そのような他のサブバンドについての推定されたサブバンド信号112は0である。デコーダ100(および同じ予測器計算器105を使うエンコーダ)の計算量を軽減するために、予測器計算器105は、TおよびΘについての値に応じて予測係数の組を与える、あらかじめ決定されたルックアップテーブルを利用してもよい。特に、予測器計算器105は、Tの複数の異なる値について複数のルックアップテーブルを利用してもよい。複数のルックアップテーブルのそれぞれは、シフト・パラメータΘの複数の異なる値について予測係数の異なる組を提供する。

0131

実際的な実装では、複数のルックアップテーブルが、周期パラメータTの種々の値について提供されてもよい。例として、ルックアップテーブルは、(図6aに示されるように)0.25および2.5の範囲におけるTの値について提供されてもよい。ルックアップテーブルは、異なる周期パラメータTのあらかじめ決定された粒度またはきざみサイズについて提供されてもよい。ある例示的な実装では、規格化された周期パラメータTについてのきざみサイズは1/16であり、T=8/32からT=80/32までについて量子化された予測係数についての異なるルックアップテーブルが提供される。よって、合計37個の異なるルックアップテーブルが提供されてもよい。各テーブルはシフト・パラメータΘの関数としてまたは修正されたシフト・パラメータφの関数として量子化された予測係数を提供してもよい。

0132

きざみサイズの半分だけ増大させた範囲、すなわち[9/32,81/32]について、T=8/32からT=80/32についてのルックアップテーブルが使用されてもよい。ルックアップテーブルが定義されている利用可能な周期性とは異なる所与の周期性について、最も近い利用可能な周期性についてのルックアップテーブルが使われてもよい。上記で概説されたように、長い周期Tについては(たとえばルックアップテーブルが定義されている周期を超える周期Tについては)式(36)が使われてもよい。あるいはまた、ルックアップテーブルが定義された周期を超える周期Tについて、たとえば周期T>81/32について、周期Tは整数遅延Tiおよび残差遅延Trに分離されてもよい。ここで、T=Ti+Trとなるようにする。分離は、残差遅延Trが、式(36)が適用可能であり、ルックアップテーブルが利用可能である、たとえば上記の例については区間[1.5,2.5]または[49/32,81/32]内にあるようなものであってもよい。そうすることにより、予測係数は、残差遅延Trについてのルックアップテーブルを使って決定でき、サブバンド予測器103は整数遅延Tiによって遅延されたサブバンド・バッファ104に対して作用してもよい。たとえば、周期がT=3.7であれば、整数遅延はTi=2であって、それに残差遅延Tr=1.7が続いてもよい。予測器は、信号バッファ上でTr=1.7についての係数に基づいて適用されてもよい。信号バッファは、(追加的な)Ti=2によって遅延される。

0133

上記の分離アプローチは、抽出機は遅延を[1.5,2.5]または[49/32,81/32]の範囲内のTによって近似するという合理的な想定に依拠している。式(36)を使うことに比べたこの分離手順の利点は、予測係数が計算効率のよいテーブル探索動作に基づいて決定できるということである。

0134

上記で概説したように、短い周期(T<0.25)については、予測係数を決定するために式(29)が使用されてもよい。あるいはまた、(計算量を減らすために)(すでに利用可能な)ルックアップテーブルを利用することが有益であることがある。修正されたシフト・パラメータφは、Δφ=T/32のサンプリングきざみサイズを用いて、範囲|φ|<Tに制限されることが観察される(T<0.25およびC=1について、A=1/2)。

0135

本稿では、Tl/Tをもつ修正されたシフト・パラメータφのスケーリングによって、最低の周期T=0.25についてのルックアップテーブルを再利用することが提案される。ここで、Tlはルックアップテーブルが利用可能である最低の(lowest)周期に対応する(たとえばTl=0.25)。例として、T=0.1およびφ=0.07を用いると、T=0.25についてのテーブルが、再スケーリングされたシフト・パラメータφ=(0.25/0.1)・0.07=0.175を用いて問い合わせされてもよい。そうすることにより、短い周期(たとえばT<0.25)についての予測係数も、テーブル探索動作を使って、計算効率のよい仕方で決定されることができる。さらに、ルックアップテーブルの数が減らされることができるので、予測器についてのメモリ要求が軽減されることができる。

0136

本稿では、モデル・ベースのサブバンド予測方式が記述されている。モデル・ベースのサブバンド予測方式は、サブバンド予測器の効率的な記述、すなわち比較的少数のビットを必要とするだけの記述を可能にする。サブバンド予測器についての効率的な記述の結果として、エイリアシング・アーチファクトの軽減につながるサブバンド横断予測方式が使用できる。全体として、これは、サブバンド予測を使った低ビットレートのオーディオ符号化器の提供を許容する。

0137

いくつかの態様を記載しておく。
〔態様1〕
オーディオ信号の第一のサブバンド内の第一のサブバンド信号の第一のサンプル(615)を推定する方法であって、前記オーディオ信号の前記第一のサブバンド信号は、前記オーディオ信号からそれぞれ複数のサブバンドにおける複数のサブバンド信号を提供する複数の分解フィルタを有する分解フィルタバンク(612)を使って決定され、当該方法は:
・信号モデルのモデル・パラメータ(613)を決定する段階と;
・前記第一のサブバンド信号から導出された第一の復号されたサブバンド信号の、前のサンプル(614)に適用されるべき予測係数を、前記信号モデルに基づき、前記モデル・パラメータ(613)に基づき、かつ前記分解フィルタバンク(612)に基づいて決定する段階であって、前記前のサンプル(614)の時間スロットは前記第一のサンプル(615)の時間スロットより前である、段階と;
・前記予測係数を前記前のサンプル(614)に適用することによって前記第一のサンプル(615)の推定値を決定する段階とを含む、
方法。
〔態様2〕
・前記信号モデルが、一つまたは複数の正弦波モデル成分を含み、
・前記モデル・パラメータが前記一つまたは複数の正弦波モデル成分の周波数を示す、
態様1記載の方法。
〔態様3〕
前記モデル・パラメータが、マルチ正弦波信号モデルの基本周波数Ωを示す、態様2記載の方法。
〔態様4〕
・前記マルチ正弦波信号モデルが周期的信号成分を有し、
・前記周期的信号成分が複数の正弦波成分を含み、
・前記複数の正弦波成分が前記基本周波数Ωの倍数である周波数をもつ、
態様3記載の方法。
〔態様5〕
当該方法が前記信号モデルの複数のモデル・パラメータ(613)を含む、態様1ないし4のうちいずれか一項記載の方法。
〔態様6〕
・前記信号モデルが、複数の周期的信号成分を有しており、
・前記複数のモデル・パラメータは前記複数の周期的信号成分の複数の基本周波数Ω0、Ω1、……、ΩM-1を示す、
態様5記載の方法。
〔態様7〕
前記複数の信号モデル・パラメータの一つまたは複数は、周期的信号モデルからの前記信号モデルのシフトおよび/または逸脱を示す、態様5または6記載の方法。
〔態様8〕
前記モデル・パラメータを決定する段階が、前記モデル・パラメータおよび予測誤差信号を示す受領されたビットストリームから前記モデル・パラメータを抽出することを含む、態様1ないし7のうちいずれか一項記載の方法。
〔態様9〕
・前記モデル・パラメータを決定する段階が、平方された予測誤差信号の平均値が小さくなるよう前記モデル・パラメータを決定することを含み、
・前記予測誤差信号は、前記第一のサンプルと前記第一のサンプルの前記推定値との間の差に基づいて決定される、
態様1ないし7のうちいずれか一項記載の方法。
〔態様10〕
前記平方予測誤差信号の前記平均値が、前記第一のサブバンド信号の複数の相続く第一のサンプルに基づいて決定される、態様9記載の方法。
〔態様11〕
・前記予測係数を決定する段階が、ルックアップテーブルまたは解析関数を使って前記予測係数を決定することを含み、
・前記ルックアップテーブルまたは前記解析関数は、前記モデル・パラメータから導出されるあるパラメータの関数として前記予測係数を与え、
・前記ルックアップテーブルまたは前記解析関数は前記信号モデルに基づき、かつ前記分解フィルタバンクに基づいてあらかじめ決定される、
態様1ないし10のうちいずれか一項記載の方法。
〔態様12〕
・前記分解フィルタバンクが変調された構造を有し、
・前記予測係数の絶対値が前記第一のサブバンドのインデックス番号と独立である、
態様11記載の方法。
〔態様13〕
・前記モデル・パラメータが、マルチ正弦波信号モデルの基本周波数Ωを示し、
・前記予測係数を決定する段階が、前記第一のサブバンド内にある前記基本周波数Ωの倍数を決定することを含む、
態様11または12記載の方法。
〔態様14〕
前記予測係数を決定する段階が、
・前記基本周波数Ωの倍数が前記第一のサブバンド内にある場合、前記基本周波数Ωの前記倍数の、前記第一のサブバンドの中心周波数からの相対オフセットを決定し、
・前記基本周波数Ωのどの倍数も前記第一のサブバンド内にない場合、前記予測係数を0に設定することを含む、
態様13記載の方法。
〔態様15〕
・前記ルックアップテーブルまたは前記解析関数は、前記予測係数をあるサブバンドの中心周波数からの可能な相対オフセットの関数として与え、
・前記予測係数を決定する段階は、前記予測係数を、決定された相対オフセットを使って前記ルックアップテーブルまたは前記解析関数に基づいて決定することを含む、
態様14記載の方法。
〔態様16〕
・前記ルックアップテーブルは、限られた数の可能な相対オフセットについての限られた数のエントリーを含み、
・前記予測係数を決定する段階は、決定された相対オフセットを、前記限られた数の可能な相対オフセットからの最も近い可能な相対オフセットに丸めることを含む、
態様15記載の方法。
〔態様17〕
前記予測係数を決定する段階は、
・前記モデル・パラメータに基づいて複数のルックアップテーブルのうちの一つを選択し、
・前記予測係数を、前記複数のルックアップテーブルのうちの選択された一つに基づいて決定することを含む、
態様13ないし16のうちいずれか一項記載の方法。
〔態様18〕
・前記モデル・パラメータが周期性Tを示し、
・前記複数のルックアップテーブルが、周期性Tの異なる値についてのルックアップテーブルを含み、
・当該方法が、選択されたルックアップテーブルを、前記モデル・パラメータによって示される周期性Tについてのルックアップテーブルとして決定することを含む、
態様17記載の方法。
〔態様19〕
・前記複数のルックアップテーブルは、[Tmin,Tmax]の範囲内の所定のきざみサイズΔTでの周期性Tの異なる値についてのルックアップテーブルを含み、
・Tminは、T<Tminについては前記オーディオ信号が単一の正弦波モデル成分を有する信号モデルを使ってモデル化できるようなものである、および/または
・Tmaxは、T>Tmaxについては周期性TmaxないしTmax+1についてのルックアップテーブルが実質的に周期性Tmax−1ないしTmaxについてのルックアップテーブルに対応するようなものである、
態様18記載の方法。
〔態様20〕
周期性T>Tmaxを示すモデル・パラメータについて、
・残差周期性Trが[Tmax−1,Tmax]の範囲内にはいるようにTからある整数値を減算することにより、残差周期性Trを決定する段階と;
・前記予測係数を決定するためのルックアップテーブルを、残差周期性Trについてのルックアップテーブルとして決定する段階とをさらに含む、
態様19記載の方法。
〔態様21〕
周期性T<Tminを示すモデル・パラメータについて、
・前記予測係数を決定するためのルックアップテーブルを、周期性Tminについてのルックアップテーブルとして選択する段階と;
・前記予測係数を与える選択されたルックアップテーブルのエントリーを同定するためのルックアップ・パラメータを、比Tmin/Tを使ってスケーリングする段階と;
・前記予測係数を、選択されたルックアップテーブルおよびスケーリングされたルックアップ・パラメータを使って決定する段階とをさらに含む、
態様19ないし20のうちいずれか一項記載の方法。
〔態様22〕
・複数の予測マスク・サポート・サブバンドにおける複数の前のサンプルを示す予測マスク(203、205)を決定する段階であって、前記複数の予測マスク・サポート・サブバンドは前記複数のサブバンドのうちの、前記第一のサブバンドとは異なる少なくとも一つを含む、段階と;
・前記複数の前のサンプルに適用されるべき複数の予測係数を、前記信号モデルに基づき、前記モデル・パラメータに基づき、かつ前記分解フィルタバンクに基づいて決定する段階と;
・前記複数の予測係数を前記複数の前のサンプルにそれぞれ適用することによって前記第一のサンプルの推定値を決定する段階とをさらに含む、
態様1ないし21のうちいずれか一項記載の方法。
〔態様23〕
前記第一のサンプルの推定値を決定する段階が、前記複数のそれぞれの予測係数によって重みをかけられた前記複数の前のサンプルの和を決定することを含む、態様22記載の方法。
〔態様24〕
・前記複数のサブバンドが等しいサブバンド間隔をもち、
・前記第一のサブバンドが前記複数のサブバンドのうちの一つである、
態様1ないし23のうちいずれか一項記載の方法。
〔態様25〕
・前記分解フィルタバンクの前記分解フィルタは互いにシフト不変である;および/または
・前記分解フィルタバンクの前記分解フィルタは共通の窓関数を含む;および/または
・前記分解フィルタバンクの前記分解フィルタは前記共通の窓関数の異なる変調をされたバージョンを含む;および/または
・前記共通の窓関数はコサイン関数を使って変調される;および/または
・前記共通の窓関数は有限の継続時間Kをもつ;および/または
・前記分解フィルタバンクの前記分解フィルタは直交基底をなす;および/または
・前記分解フィルタバンクの前記分解フィルタは正規直交基底をなす;および/または
・前記分解フィルタバンクはコサイン変調されたフィルタバンクを含む;および/または
・前記分解フィルタバンクは臨界サンプリングされたフィルタバンクである;および/または
・前記分解フィルタバンクは重複変換を含む;および/または
・前記分解フィルタバンクは、MDCT、QMF、ELT変換のうちの一つまたは複数を含む;および/または
・前記分解フィルタバンクは変調構造を含む、
態様1ないし24のうちいずれか一項記載の方法。
〔態様26〕
オーディオ信号の第一のサブバンド内の第一のサブバンド信号の第一のサンプルを推定する方法であって、前記オーディオ信号の前記第一のサブバンド信号は、前記オーディオ信号からそれぞれ複数のサブバンドにおける複数のサブバンド信号を提供する複数の分解フィルタを有する分解フィルタバンクを使って決定され、当該方法は:
・複数の予測マスク・サポート・サブバンドにおける複数の前のサンプルを示す予測マスク(203、205)を決定する段階であって、前記複数の予測マスク・サポート・サブバンドは前記複数のサブバンドのうちの、前記第一のサブバンドとは異なる少なくとも一つを含む、段階と;
・前記複数の前のサンプルに適用されるべき複数の予測係数を決定する段階と;
・前記複数の予測係数を前記複数の前のサンプルにそれぞれ適用することによって前記第一のサンプルの推定値を決定する段階とを含む、
方法。
〔態様27〕
前記複数の予測マスク・サポート・サブバンドは、
・前記第一のサブバンドを含む;および/または
・前記第一のサブバンドに直接隣接する前記複数のサブバンドのうちの一つまたは複数を含む、
態様26記載の方法。
〔態様28〕
・当該方法がさらに、信号モデルのモデル・パラメータを決定する段階を含み;
・前記複数の予測係数を決定する段階が、前記複数の予測係数を、前記信号モデルに基づき、前記モデル・パラメータに基づき、かつ前記分解フィルタバンクに基づいて決定することを含む、
態様26または27記載の方法。
〔態様29〕
・前記複数の予測係数を決定する段階が、ルックアップテーブルまたは解析関数を使って前記複数の予測係数を決定することを含み、
・前記ルックアップテーブルまたは前記解析関数は、前記モデル・パラメータから導出されるあるパラメータの関数として前記複数の予測係数を与え、
・前記ルックアップテーブルまたは前記解析関数は前記信号モデルに基づき、かつ前記分解フィルタバンクに基づいてあらかじめ決定される、
態様28記載の方法。
〔態様30〕
・オーディオ信号をエンコードする方法であって、
・複数の分解フィルタを有する分解フィルタバンクを使って前記オーディオ信号から複数のサブバンド信号を決定する段階と;
・態様1ないし29のうちいずれか一項記載の方法を使って前記複数のサブバンド信号のサンプルを推定し、それにより複数の推定されたサブバンド信号を与える段階と;
・複数の予測誤差サブバンド信号のサンプルを、前記複数のサブバンド信号の対応するサンプルおよび前記複数の推定されたサブバンド信号のサンプルに基づいて決定する段階と;
・前記複数の予測誤差サブバンド信号を量子化する段階と;
・前記複数の量子化された予測誤差サブバンド信号を示し、前記複数の推定されたサブバンド信号のサンプルを推定するために使われた一つまたは複数のパラメータを示す
エンコードされたオーディオ信号を生成する段階とを含む、
方法。
〔態様31〕
エンコードされたオーディオ信号をデコードする方法であって、前記エンコードされたオーディオ信号は、複数の量子化された予測誤差サブバンド信号と、複数の推定されたサブバンド信号のサンプルを推定するために使われるべき一つまたは複数のパラメータとを示し、当該方法は、
・前記複数の量子化された予測誤差サブバンド信号を量子化解除して、複数の量子化解除された予測誤差サブバンド信号を与える段階と:
・態様1ないし29のうちいずれか一項記載の方法を使って前記複数の推定されたサブバンド信号のサンプルを推定する段階と;
・複数のデコードされたサブバンド信号のサンプルを、前記複数の推定されたサブバンド信号の対応するサンプルおよび前記複数の量子化解除された予測誤差サブバンド信号のサンプルに基づいて決定する段階と;
・複数の合成フィルタを含む合成フィルタバンクを使って、前記複数のデコードされたサブバンド信号から、デコードされたオーディオ信号を決定する段階とを含む、
方法。
〔態様32〕
オーディオ信号の第一のサブバンド信号の一つまたは複数の第一のサンプルを推定するよう構成されたシステム(103、105)であって、前記オーディオ信号の前記第一のサブバンド信号は、前記オーディオ信号から複数のサブバンド信号を提供する複数の分解フィルタを有する分解フィルタバンクを使って決定され、当該システムは、
・信号モデルのモデル・パラメータを決定するよう構成され、前記第一のサブバンド信号から導出された第一のデコードされたサブバンド信号の一つまたは複数の前のサンプルに適用されるべき一つまたは複数の予測係数を決定するよう構成されている予測器計算器であって、前記一つまたは複数の予測係数は、前記信号モデルに基づき、前記モデル・パラメータに基づき、かつ前記分解フィルタバンクに基づいて決定され、前記一つまたは複数の前のサンプルの時間スロットは前記一つまたは複数の第一のサンプルの時間スロットより前である、予測器計算器と;
・前記一つまたは複数の予測係数を前記一つまたは複数の前のサンプルに適用することによって前記一つまたは複数の第一のサンプルの推定値を決定するよう構成されたサブバンド予測器を有する、
システム。
〔態様33〕
オーディオ信号の第一のサブバンド信号の一つまたは複数の第一のサンプルを推定するよう構成されたシステム(103、105)であって、前記第一のサブバンド信号は第一のサブバンドに対応し、前記第一のサブバンド信号は、それぞれ前記複数のサブバンド内の複数のサブバンド信号を提供する複数の分解フィルタを有する分解フィルタバンクを使って決定され、当該システムは、
・複数の予測マスク・サポート・サブバンドにおいて複数の前のサンプルを示す予測マスク(203、205)を決定するよう構成された予測器計算器であって、前記複数の予測マスク・サポート・サブバンドは前記複数のサブバンドのうち、前記第一のサブバンドとは異なる少なくとも一つを含み、前記予測器計算器はさらに、前記複数の前のサンプルに適用されるべき複数の予測係数を決定するよう構成されている、予測器計算器と;
・前記複数の予測係数を前記複数の前のサンプルにそれぞれ適用することによって前記一つまたは複数の第一のサンプルの推定値を決定するよう構成されたサブバンド予測器とを有する、
システム。
〔態様34〕
オーディオ信号をエンコードするよう構成されたオーディオ・エンコーダであって、
・複数の分解フィルタを使って前記オーディオ信号から複数のサブバンド信号を決定するよう構成された分解フィルタバンクと;
・前記複数のサブバンド信号のサンプルを推定し、それにより複数の推定されたサブバンド信号を与えるよう構成されている、態様32ないし33のうちいずれか一項記載のシステムと;
・複数の予測誤差サブバンド信号のサンプルを、前記複数のサブバンド信号および前記複数の推定されたサブバンド信号の対応するサンプルに基づいて決定するよう構成された差分ユニットと;
・前記複数の予測誤差サブバンド信号を量子化するよう構成された量子化ユニットと;
・前記複数の量子化された予測誤差サブバンド信号と、前記複数の推定されたサブバンド信号のサンプルを推定するために使われた一つまたは複数のパラメータとを示すエンコードされたオーディオ信号を生成するよう構成されたビットストリーム生成ユニットとを有する、
オーディオ・エンコーダ。
〔態様35〕
エンコードされたオーディオ信号をデコードするよう構成されたオーディオ・デコーダであって、前記エンコードされたオーディオ信号は、前記複数の量子化された予測誤差サブバンド信号と、複数の推定されたサブバンド信号のサンプルを推定するために使われた一つまたは複数のパラメータとを示し、当該オーディオ・デコーダは、
・前記複数の量子化された予測誤差サブバンド信号を量子化解除して、それにより複数の量子化解除された予測誤差サブバンド信号を与えるよう構成された逆量子化器と;
・前記複数の推定されたサブバンド信号のサンプルを推定するよう構成されている、態様32または33記載のシステムと;
・前記複数の推定されたサブバンド信号の対応するサンプルに基づき、かつ前記複数の量子化解除された予測誤差サブバンド信号のサンプルに基づいて、複数のデコードされたサブバンド信号のサンプルを決定するよう構成されている加算ユニットと;
・複数の合成フィルタ使って、前記複数のデコードされたサブバンド信号から、デコードされたオーディオ信号を決定するよう構成された合成フィルタバンクとを有する、
オーディオ・デコーダ。

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