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技術 波長合波器

出願人 日本電信電話株式会社国立大学法人北海道大学
発明者 坂本泰志松井隆辻川恭三中島和秀藤澤剛齊藤晋聖
出願日 2018年3月1日 (2年7ヶ月経過) 出願番号 2018-036665
公開日 2019年9月12日 (1年1ヶ月経過) 公開番号 2019-152717
状態 未査定
技術分野 光集積回路
主要キーワード ピーク波長位置 断熱条件 伝搬シミュレーション テーパ型 方向結合器 制御困難 マッハツェンダー型干渉計 クロスポート
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

設計が容易且つ製造誤差に対する許容が大きい波長合波器を提供する。

解決手段

波長合波器は、マッハツェンダー干渉計ではなく、方向性結合器11と非対称方向性結合器12,13を備える。これらの方向性結合器は、マッハツェンダー干渉計ほど正確な設計を必要としない。近接した平行導波路の長さと各モードの実効屈折率の調整で波長合波が可能である。特に4波の場合、2波をTE波、もう2波をTM波として合波し、波長依存性の小さい断熱モード変換器を用い、FSRが小さく製造トレランスの弱いマッハツェンダー干渉計を不要とすることで、製造トレランスを向上することができる。

概要

背景

長距離伝送だけではなく、近年はLAN(Local Area Network)の高速伝送に対応するように、LANの光化が進んでいる。100Gbpsイーサネット登録商標仕様は、すでに策定されており、シングルモード光ファイバを用いて、それぞれ10km、40kmを伝送する100GBASE−LR4、100GBASE−ER4として4波の光信号を使用して、それぞれの波長で約25Gbpsの伝送を行うことで25Gbps×4=100Gbpsのデータ伝送を実現する方式が採用されている。この光源として有力とされているのが、4波分DFBレーザ変調器集積したものである(例えば、非特許文献1を参照。)。

この光源は、規格上の4波を出力するレーザを1つのチップに集積している構成になっており、それぞれバルクの部品を接続して4波分の光源とするより小型化であり、温度調整機構などの個数も減らせることから、消費電力低減という点で期待されている。

しかし、非特許文献1の構成では、4×1MMIカップラーを4波の合波器として使用している。4×1MMIカップラーは4波の合波器として使用した場合、原理損失として6dBの損失がある。つまり原理上25%の出力しか外部に取り出すことができない構成で、多くの光を無駄にしている。

そこで、この合波器を低損失なものに置き換えることが心みられている。このような箇所に用いられる合波器としてArrayed waveguide gratings (AWG)や、etched planar concave gratings (PCGs)などが知られている。しかし、4波の合波器としてはサイズが大きく、それゆえ導波路損失も増加する。

そこで、考えられるのが遅延回路を含むマッハツェンダー干渉計を用いた合波器である。4波の場合は2段のマッハツェンダー干渉計にて合波器を実現でき、またそのサイズもAWGやPCGに比べて小さくできる。2段のマッハツェンダー干渉計を用いた4波合波器、4波分のDFBレーザ、及び変調器を集積した光源も報告されている(例えば、非特許文献2を参照。)。

概要

設計が容易且つ製造誤差に対する許容が大きい波長合波器を提供する。波長合波器は、マッハツェンダー干渉計ではなく、方向性結合器11と非対称方向性結合器12,13を備える。これらの方向性結合器は、マッハツェンダー干渉計ほど正確な設計を必要としない。近接した平行導波路の長さと各モードの実効屈折率の調整で波長合波が可能である。特に4波の場合、2波をTE波、もう2波をTM波として合波し、波長依存性の小さい断熱モード変換器を用い、FSRが小さく製造トレランスの弱いマッハツェンダー干渉計を不要とすることで、製造トレランスを向上することができる。

目的

本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、設計が容易且つ製造誤差に対する許容が大きい波長合波器を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

平面型光回路波長合波器であって、複数の波長をそれぞれ異なる導波路基本モードで入力する入力部と、2つの導波路が平行して近接し、前記2つの導波路のそれぞれの波長を基本モードのまま合波する方向性結合器と、2つの導波路が平行して近接し、前記2つの導波路の一方の波長を基本モードのまま他方の波長を高次モードに変換して合波する非対称方向性結合器と、前記入力部に入力された前記複数の波長が前記方向性結合器及び前記非対称方向性結合器の少なくとも1つを経由して全て合波された合波波長のうち、高次モードの波長を基本モードに変換するモード変換器と、前記モード変換器で変換され全て基本モードとなった前記合波波長を出力する出力部と、を備える波長合波器。

請求項2

前記方向性結合器が1つ、前記非対称性方向結合器が2つ、及び前記モード変換器が1つであり、前記入力部が前記導波路に入力する波長は周波数間隔fの4つの波長(λ0、λ1、λ2及びλ3)であり、前記方向性結合器は、前記2つの導波路のそれぞれに前記入力部から波長(λ1とλ3)が入力され、波長(λ1とλ3)が合波するように前記2つの導波路が平行して近接する導波路間隔区間が調整され、第1の前記非対称性方向結合器は、前記2つの導波路の一方に前記入力部から波長λ2が入力され、前記2つの導波路の他方に前記方向性結合器で合波された波長(λ1とλ3)が入力され、波長λ2を高次モードに変換して波長(λ1とλ3)に合波し、第2の前記非対称性方向結合器は、前記2つの導波路の一方に前記入力部から波長λ0が入力され、前記2つの導波路の他方に第1の前記非対称方向性結合器で合波された波長(λ1とλ2とλ3)が入力され、波長λ0を高次モードに変換して波長(λ1とλ2とλ3)に合波し、前記モード変換器は、第2の前記非対称方向性結合器で合波された前記合波波長(λ0とλ1とλ2とλ3)のうち、高次モードである波長(λ0とλ2)を基本モードへ変換することを特徴とする請求項1に記載の波長合波器。

請求項3

周波数間隔fの4つの波長(短波長側からλ0、λ1、λ2及びλ3)が基本モードで入力される入力部と、2fのFSR(FreeSpectralRange)を持ち、互いの位相差が90度である2つのマッハツェンダー干渉計フィルタと、2つの導波路が平行して近接し、前記2つの導波路の一方の波長を基本モードのまま他方の波長を高次モードに変換して合波する非対称方向性結合器と、高次モードの波長を基本モードに変換するモード変換器と、を備える波長合波器であって、第1の前記マッハツェンダー干渉計フィルタは、2つの入力導波路のそれぞれに前記入力部から波長(λ1とλ3)が入力され、波長(λ1とλ3)を基本モードのまま合波し、第2の前記マッハツェンダー干渉計フィルタは、2つの入力導波路のそれぞれに前記入力部から波長(λ0とλ2)が入力され、波長(λ0とλ2)を基本モードのまま合波し、前記非対称性方向結合器は、前記2つの導波路の一方に第1の前記マッハツェンダー干渉計フィルタで合波された波長(λ1とλ3)が入力され、前記2つの導波路の他方に第2の前記マッハツェンダー干渉計フィルタで合波された波長(λ0とλ2)が入力され、波長(λ0とλ2)を高次モードに変換して波長(λ1とλ3)に合波し、前記モード変換器は、前記非対称方向性結合器で合波された前記合波波長(λ0とλ1とλ2とλ3)のうち、高次モードである波長(λ0とλ2)を基本モードへ変換することを特徴とする波長合波器。

請求項4

前記非対称性方向結合器は、前記2つの導波路のうち一方の基本モードにおける実効屈折率と前記2つの導波路のうち他方の高次モードの実効屈折率とが一致し、前記2つの導波路が平行して近接する区間が前記2つの導波路のうち一方の基本モードのパワーが前記2つの導波路のうち他方の高次モードのパワーへ移行する長さであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の波長合波器。

請求項5

前記モード変換器は、導波路幅が連続的に変化するテーパー部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の波長合波器。

請求項6

前記モード変換器は、断熱条件を満たすテーパ型シリコンリブ導波路を有することを特徴とする請求項5に記載の波長合波器。

請求項7

前記入力部は、TE0の基本モードを前記導波路に入力し、前記非対称方向性結合器は、前記他方の波長をTE1の高次モードに変換し、前記モード変換器は、TE1の高次モードをTM0の基本モードに変換することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の波長合波器。

請求項8

前記導波路がシリコン細線導波路であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の波長合波器。

請求項9

波長帯域重複しない複数の波長がそれぞれに入力される請求項1から8のいずれかに記載の複数の波長合波器と、それぞれの前記波長合波器が出力する前記合波波長をさらに合波する帯域合波器と、を備える波長合波器。

技術分野

0001

本開示は、平面型光回路波長合波器に関する。

背景技術

0002

長距離伝送だけではなく、近年はLAN(Local Area Network)の高速伝送に対応するように、LANの光化が進んでいる。100Gbpsイーサネット登録商標仕様は、すでに策定されており、シングルモード光ファイバを用いて、それぞれ10km、40kmを伝送する100GBASE−LR4、100GBASE−ER4として4波の光信号を使用して、それぞれの波長で約25Gbpsの伝送を行うことで25Gbps×4=100Gbpsのデータ伝送を実現する方式が採用されている。この光源として有力とされているのが、4波分DFBレーザ変調器集積したものである(例えば、非特許文献1を参照。)。

0003

この光源は、規格上の4波を出力するレーザを1つのチップに集積している構成になっており、それぞれバルクの部品を接続して4波分の光源とするより小型化であり、温度調整機構などの個数も減らせることから、消費電力低減という点で期待されている。

0004

しかし、非特許文献1の構成では、4×1MMIカップラーを4波の合波器として使用している。4×1MMIカップラーは4波の合波器として使用した場合、原理損失として6dBの損失がある。つまり原理上25%の出力しか外部に取り出すことができない構成で、多くの光を無駄にしている。

0005

そこで、この合波器を低損失なものに置き換えることが心みられている。このような箇所に用いられる合波器としてArrayed waveguide gratings (AWG)や、etched planar concave gratings (PCGs)などが知られている。しかし、4波の合波器としてはサイズが大きく、それゆえ導波路損失も増加する。

0006

そこで、考えられるのが遅延回路を含むマッハツェンダー干渉計を用いた合波器である。4波の場合は2段のマッハツェンダー干渉計にて合波器を実現でき、またそのサイズもAWGやPCGに比べて小さくできる。2段のマッハツェンダー干渉計を用いた4波合波器、4波分のDFBレーザ、及び変調器を集積した光源も報告されている(例えば、非特許文献2を参照。)。

先行技術

0007

T. Fujisawa et al,“1.3− m 4 25−Gb/s Monolithically Integrated Light Source for Metro Area 100−Gb/s Ethernet”,IEEE PHOTONICS TECHNOLOGYLETERS, VOL. 23, NO. 6, MARCH 15, 2011.
T. Fujisawa, S. Kanazawa, Y. Ueda, W. Kobayashi, K. Takahata, A. Ohki, T. Itoh, M. Kotoku, and H. Ishii, “Low−loss cascaded Mach−Zehnder multiplexer integrated 25−Gbit/s×4−lane EADFBlaser array for future CFP4 100GbE transmitter”, IEEE Journal of Quantum Electronics, vol.49, no.12, pp.1001−1007, Dec. 2013.

発明が解決しようとする課題

0008

しかし、マッハツェンダー干渉計フィルタ多段に組み合わせて合波器を構成する場合、それぞれのピーク波長絶対波長位置についての制御性に2つの困難さがある。この困難さを説明するために、まず、マッハツェンダー干渉計フィルターの動作について説明する。

0009

[マッハツェンダー干渉計フィルターの動作]
従来の2段のマッハツェンダー干渉計を用いた4波合波器の動作を説明する。数値、材料は例であり、他でも無論構わない。本例では、SOI(Silicon on Insulator)基板上に形成したSi細線導波路からなる、1.3μm波長帯でλ0=1295.5nm、λ1=1300.0nm、λ2=1304.5nm、λ3=1309nmの4波を合波するフィルターについて説明する。なお、この4波は100ギガビットイーサネット(登録商標)で用いられる4つの波長に対応し、各波長の間隔が周波数で800GHzとなっている。

0010

図1は、1つのマッハツェンダー干渉計を示した図である。マッハツェンダー干渉計は、2つの入力導波路、2つの3dBカップラー、3dBカップラー間を接続するアーム導波路、及び2つの出力導波路からなる。アーム導波路は、2つの導波路で構成され、両導波路を通過してくる光に位相差を付けるための遅延回路が形成されている。

0011

マッハツェンダー干渉計フィルタ1は、遅延回路を構成するSi細線導波路の厚さが210nm、幅が300nm、遅延量(下側アームの長さと上側アームの長さの差)ΔL1が21μmとする。入力1から白色光ブロードな光)を入力した場合、出力に現れるスペクトルを計算によって求めたものが図2である。出力1が実線で出力2が破線で示される。

0012

出力1は、λ3の1.309μm波長でONつまり光が通過し、λ1の1.300μm付近で光が遮断される特性である。出力2は、それらが反転する。白色光を出力1から入力した場合で説明したが、光の相反性から入力1から波長1.300μmの光を、入力2から波長1.309μmの光を入力すると出力1に両光が合波され出力される。なお、このフィルタのFSR(Free Spectral Range)は3200GHzとなっている。

0013

一方、λ0とλ2を合波するマッハツェンダー干渉計フィルタ2は、Si細線導波路の厚さと幅についてはマッハツェンダー干渉計フィルタ1と同じであるが、遅延量として90度分位相差を遅延回路に付与する必要があるので、遅延量をΔL2=21.15μmとする。図3は、この遅延量で、入力1から白色光を入力した場合、出力に現れるスペクトルを計算によって求めたものである。図3も出力1が実線で出力2が破線で示される。このフィルタのFSRも3200GHzとなっている。

0014

マッハツェンダー干渉計フィルタ3は、Si細線導波路の厚さと幅についてはマッハツェンダー干渉計フィルタ1と同じであるが、遅延量をマッハツェンダー干渉計フィルタ1の倍であるΔL3=42μmに設定する。図4はマッハツェンダー干渉計フィルタ3の特性である。図4も出力1が実線で出力2が破線で示される。このフィルタのFSRは前述のフィルタの半分である1600GHzとなっている。このフィルタは、入力導波路の一方にλ0とλ2の合波波長、他方にλ1とλ3の合波波長を入力することで、λ0、λ1、λ2、及びλ3が合波した光を出力する。

0015

図5は、2段のマッハツェンダー干渉計型4波合波器を説明する図である。つまり、図5のようにマッハツェンダー干渉計フィルタ1とマッハツェンダー干渉計フィルタ2を並列させ、それぞれの出力をマッハツェンダー干渉計フィルタ3に入力する構成とすれば、入力導波路に入力されたλ0、λ1、λ2、及びλ3の波長を1つの出力導波路に合波することができる。

0016

しかし、このようなマッハツェンダー干渉計型合波器を製造することは非常に難しい。マッハツェンダー干渉計フィルタの特性は、導波路幅wと遅延量ΔLに非常に敏感であり、設計と製造を困難にしている。その困難性を以下に説明する。

0017

図6は、Si細線導波路の設計値幅が300nmである図1のマッハツェンダー干渉計フィルタにおいて、1.300μmのピーク波長の位置ずれΔλと導波路幅の変化Δwとの依存性を説明する図である。なお、この依存性はFSRが3200GHzでも1600GHzでもほとんど変わらない。図6から、導波路幅が5nm程度ずれると、ピーク波長位置が6nm程度ずれることがわかる。この依存性は、図4に示す特性のマッハツェンダー干渉計3(FSR=1600GHz)にとっては特に厳しい。なぜなら、マッハツェンダー干渉計3は、ピーク波長が800GHz(約5nm)ずれると、出力がちょうど反転することになり、図5のマッハツェンダー干渉計型合波器の2段目のフィルタとして適さなくなるからである。

0018

また、図7は、FSRが3200GHzのマッハツェンダー干渉計フィルタ1のピーク波長の位置ずれΔλと遅延量の変化ΔLとの依存性を説明する図である。ここで、遅延量が21μmのときのピーク波長の位置を0としている。図7から、100nm単位の非常に小さな遅延量の変化でピーク波長位置が大きく変化することがわかる。例えば、遅延量が0.6μm変化すると、約18nm(ほぼ3200GHz)変化して、元のスペクトルに戻る。図7から、マッハツェンダー干渉計フィルタ1とマッハツェンダー干渉計フィルタ2との間で、位相がちょうど90度ずれるように遅延量を制御することも難しいことがわかる。

0019

上記のように、マッハツェンダー干渉計フィルタの特性は、導波路幅wと遅延量ΔLに非常に敏感であり、設計の段階で導波路幅wを固定したとしても、マッハツェンダー干渉計フィルタ1とマッハツェンダー干渉計フィルタ2との間で90度位相差を保つためΔLを微細に調整する必要があり設計を煩雑にする。仮にマッハツェンダー干渉計フィルタ1とマッハツェンダー干渉計フィルタ2との間で90度位相差を保つことができ、絶対波長位置があっていたとしても、そこからさらに、マッハツェンダー干渉計フィルタ3のピーク波長の位置を合わせる必要がある。上で示したように、マッハツェンダー干渉計フィルタ3のFSRはマッハツェンダー干渉計フィルタ1、2の半分であり、さらにΔLを微細に調整する必要があり設計を煩雑にする。

0020

また製造の段階では、製造誤差があり、設計値の遅延量ΔLと導波路幅wを実現することは非常に困難である。製造誤差により遅延量ΔLと導波路幅wにずれが発生すれば、フィルタのピーク波長の位置が大きく変わり(特に、マッハツェンダー干渉計フィルタ3はFSRがマッハツェンダー干渉計フィルタ1、2の半分であるため製造誤差の影響は大きい。)、フィルタを組み合わせても所望の合波器として用いることができなくなる。

0021

上述したように、マッハツェンダー干渉計フィルタのピーク波長の絶対波長位置は、導波路幅wと遅延量ΔLの2つのパラメータで制御される。この2つのパラメータは、波長間隔FSRに対しては感度が低く、大きく変動しないが、絶対波長位置に対しては敏感であり、このパラメータが微小に変動すると絶対波長位置が大きく変わる。例えば、4波合波器は、3つのマッハツェンダー干渉計フィルタで構成され、全てのフィルタのピーク波長の絶対波長位置を正確に所望の波長に一致させる必要があるが、そのピーク波長の位置制御は非常に困難である。つまり、マッハツェンダー干渉計フィルタを多段に組み合わせて合波器を構成する場合、マッハツェンダー干渉計の設計が煩雑という課題、及び製造時の製造誤差に対する許容が小さいという課題がある。

0022

本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、設計が容易且つ製造誤差に対する許容が大きい波長合波器を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0023

上記目的を達成するために、本発明に係る波長合波器は、波長の伝搬モードを変換して合波する方向性結合器を備えることで設計が煩雑で製造誤差許容の小さいマッハツェンダー干渉計を使用しないこととした。

0024

具体的には、本発明に係る波長合波器は、平面型光回路の波長合波器であって、
複数の波長をそれぞれ異なる導波路に基本モードで入力する入力部と、
2つの導波路が平行して近接し、前記2つの導波路のそれぞれの波長を基本モードのまま合波する方向性結合器と、
2つの導波路が平行して近接し、前記2つの導波路の一方の波長を基本モードのまま他方の波長を高次モードに変換して合波する非対称方向性結合器と、
記入力部に入力された前記複数の波長が前記方向性結合器及び前記非対称方向性結合器の少なくとも1つを経由して全て合波された合波波長のうち、高次モードの波長を基本モードに変換するモード変換器と、
前記モード変換器で変換され全て基本モードとなった前記合波波長を出力する出力部と、
を備える。

0025

本発明に係る波長合波器は、マッハツェンダー干渉計ではなく、方向性結合器と非対称方向性結合器を備える。これらの方向性結合器は、マッハツェンダー干渉計ほど正確な設計を必要としない。近接した平行導波路の長さと各モードの実効屈折率の調整で波長合波が可能である。従って、本発明は、設計が容易且つ製造誤差に対する許容が大きい波長合波器を提供することができる。

0026

本発明に係る波長合波器の前記非対称性方向結合器は、
前記2つの導波路のうち一方の基本モードにおける実効屈折率と前記2つの導波路のうち他方の高次モードの実効屈折率とが一致し、
前記2つの導波路が平行して近接する区間が前記2つの導波路のうち一方の基本モードのパワーが前記2つの導波路のうち他方の高次モードのパワーへ移行する長さであることを特徴とする。

0027

本発明に係る波長合波器の前記モード変換器は、導波路幅が連続的に変化するテーパー部を有することを特徴とする。波長合波器の出力を基本モードとすることで、シングルモードファイバ伝送媒体とする規格の光ネットワークに対応することができる。例えば、前記モード変換器は、断熱条件を満たすテーパ型シリコンリブ導波路を有することができる。

0028

ここで、本発明に係る波長合波器の前記入力部は、TE0の基本モードを前記導波路に入力し、
前記非対称方向性結合器は、前記他方の波長をTE1の高次モードに変換し、
前記モード変換器は、TE1の高次モードをTM0の基本モードに変換することを特徴とする。

0029

4波長合波器の構成は、前記方向性結合器が1つ、前記非対称性方向結合器が2つ、及び前記モード変換器が1つであり、
前記入力部が前記導波路に入力する波長は周波数間隔fの4つの波長(λ0、λ1、λ2及びλ3)であり、
前記方向性結合器は、前記2つの導波路のそれぞれに前記入力部から波長(λ1とλ3)が入力され、波長(λ1とλ3)が合波するように前記2つの導波路が平行して近接する導波路間隔と区間が調整され、
第1の前記非対称性方向結合器は、前記2つの導波路の一方に前記入力部から波長λ2が入力され、前記2つの導波路の他方に前記方向性結合器で合波された波長(λ1とλ3)が入力され、波長λ2を高次モードに変換して波長(λ1とλ3)に合波し、
第2の前記非対称性方向結合器は、前記2つの導波路の一方に前記入力部から波長λ0が入力され、前記2つの導波路の他方に第1の前記非対称方向性結合器で合波された波長(λ1とλ2とλ3)が入力され、波長λ0を高次モードに変換して波長(λ1とλ2とλ3)に合波し、
前記モード変換器は、第2の前記非対称方向性結合器で合波された前記合波波長(λ0とλ1とλ2とλ3)のうち、高次モードである波長(λ0とλ2)を基本モードへ変換することを特徴とする。

0030

4波長合波器の他の構成は、
周波数間隔fの4つの波長(短波長側からλ0、λ1、λ2及びλ3)が基本モードで入力される入力部と、
2fのFSR(Free Spectral Range)を持ち、互いの位相差が90度である2つのマッハツェンダー干渉計フィルタと、
2つの導波路が平行して近接し、前記2つの導波路の一方の波長を基本モードのまま他方の波長を高次モードに変換して合波する非対称方向性結合器と、
高次モードの波長を基本モードに変換するモード変換器と、
を備える波長合波器であって、
第1の前記マッハツェンダー干渉計フィルタは、2つの入力導波路のそれぞれに前記入力部から波長(λ1とλ3)が入力され、波長(λ1とλ3)を基本モードのまま合波し、
第2の前記マッハツェンダー干渉計フィルタは、2つの入力導波路のそれぞれに前記入力部から波長(λ0とλ2)が入力され、波長(λ0とλ2)を基本モードのまま合波し、
前記非対称性方向結合器は、前記2つの導波路の一方に第1の前記マッハツェンダー干渉計フィルタで合波された波長(λ1とλ3)が入力され、前記2つの導波路の他方に第2の前記マッハツェンダー干渉計フィルタで合波された波長(λ0とλ2)が入力され、波長(λ0とλ2)を高次モードに変換して波長(λ1とλ3)に合波し、
前記モード変換器は、前記非対称方向性結合器で合波された前記合波波長(λ0とλ1とλ2とλ3)のうち、高次モードである波長(λ0とλ2)を基本モードへ変換することを特徴とする。

0031

本波長合波器は、2波をTE波、もう2波をTM波として合波し、波長依存性の小さい断熱モード変換器を用い、FSRが小さく製造トレランスの弱い上記マッハツェンダー干渉計フィルタ3を不要とすることで、製造トレランスを向上することができる。

0032

例えば、本発明に係る波長合波器の前記導波路がシリコン細線導波路である。

0033

なお、8波長合波器は、波長帯域重複しない複数の波長がそれぞれに入力される複数の前記波長合波器と、それぞれの前記波長合波器が出力する前記合波波長をさらに合波する帯域合波器と、を備える構成とすればよい。

発明の効果

0034

本発明は、設計が容易且つ製造誤差に対する許容が大きい波長合波器を提供することができる。

図面の簡単な説明

0035

マッハツェンダー干渉計を説明する図である。
マッハツェンダー干渉計の透過スペクトルを説明する図である。
マッハツェンダー干渉計の透過スペクトルを説明する図である。
マッハツェンダー干渉計の透過スペクトルを説明する図である。
多段マッハツェンダー干渉計型波長合波器を説明する構造図である。
マッハツェンダー干渉計のピーク波長の導波路幅依存性を説明する図である。
マッハツェンダー干渉計のピーク波長の遅延量依存性を説明する図である。
本発明に係る波長合波器を説明する構造図である。
本発明に係る波長合波器の導波路断面を説明する図である。
本発明に係る波長合波器の導波路断面を説明する図である。
本発明に係る波長合波器の方向性結合器を説明する図である。
本発明に係る波長合波器の方向性結合器の透過スペクトルを説明する図である。
本発明に係る波長合波器の方向性結合器の透過スペクトルを説明する図である。
本発明に係る波長合波器の非対称方向性結合器を説明する図である。
本発明に係る波長合波器の非対称方向性結合器の透過スペクトルを説明する図である。
本発明に係る波長合波器の非対称方向性結合器の透過スペクトルを説明する図である。
本発明に係る波長合波器の非対称方向性結合器を説明する図である。
本発明に係る波長合波器の非対称方向性結合器の透過スペクトルを説明する図である。
本発明に係る波長合波器の非対称方向性結合器の透過スペクトルを説明する図である。
本発明に係る波長合波器のモード変換器を説明する図である。
本発明に係る波長合波器のモード変換器において、シリコン細線リブ導波路の実効屈折率の導波路幅依存性を説明する図である。
本発明に係る波長合波器のモード変換器の断熱モード変換部のビーム伝搬シミュレーションの結果を説明する図である。
本発明に係る波長合波器を説明する構造図である。
本発明に係る波長合波器を説明する構造図である。
8波の波長間隔を説明する図である。

実施例

0036

添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。

0037

(実施形態1)
図8は、本実施形態の波長合波器301を説明する図である。波長合波器301は平面型光回路の波長合波器であって、
複数の波長をそれぞれ異なる導波路に基本モードで入力する入力部10と、
2つの導波路が平行して近接し、前記2つの導波路のそれぞれの波長を基本モードのまま合波する方向性結合器11と、
2つの導波路が平行して近接し、前記2つの導波路の一方の波長を基本モードのまま他方の波長を高次モードに変換して合波する非対称方向性結合器(12、13)と、
入力部10に入力された前記複数の波長が方向性結合器11及び非対称方向性結合器(12、13)の少なくとも1つを経由して全て合波された合波波長のうち、高次モードの波長を基本モードに変換するモード変換器14と、
モード変換器14で変換され全て基本モードとなった前記合波波長を出力する出力部15と、
を備える。

0038

波長合波器301は、例えば、100ギガビットイーサネット(登録商標)用4波長合波器である。波長間隔が800GHzである、λ0=1295.5nm、λ1=1300.0nm、λ2=1304.5nm、λ3=1309nmの光を1本の導波路に合波するものである。入力部10の4本の入力導波路か4つの波長(λ0〜λ3)が入力される。ここで、TE0は、導波路のTE偏光に対する基本(0次)モードを示す。光通信の光源に用いられる半導体レーザの出力は、通常、このTE0モードとなっている。

0039

波長合波器301は、SOI基板上に作成されたシリコン細線導波路を導波路として用いる。導波路の高さは210nmとし、そのまわりを純粋石英クラッドとして覆っている埋め込み型導波路である。図9(A)は当該シリコン細線導波路の断面図、図9(B)はそのTE0モードの界分布図9(C)はその第1高次モードであるTE1モードの界分布である。

0040

波長合波器301の製造方法を説明する。所望のシリコン層の厚さを有するSOI基板に、フォトリソグラフィーにより、コア層パターニングする。その後、ドライエッチングにより、シリコン層をエッチングし、シリコン細線導波路を形成する。その際、図20で説明するシリコン細線リブ導波路を形成する場合、別途フォトリソグラフィーによりパターニングを行い、シリコン層の途中までエッチングし、リブ導波路を形成する。最後に、上部クラッドとなる純粋石英(SiO2)を堆積させ、図9(A)に示すような断面構造をもつ導波路を形成する。図10はシリコン細線リブ導波路の断面構造である。

0041

波長合波器301の動作について説明する。まず、入力部10から入力された波長λ1とλ3をフィルタ11によって合波する。このフィルタ11には、図1に示したようなマッハツェンダー型干渉計を用いてもよいが、波長合波器301では、図11に示すような方向性結合器を用いる。方向性結合器は、図11のように2本の導波路を近接させた結合部を持つ。この方向性結合器は、入力光波長に応じて結合部の長さLcを適当に設定することで波長の方路切り替えることができ、図11のように波長合分波器として用いることができる。

0042

方向性結合器11の場合、導波路1からλ3を入力し、導波路2からλ1の光を入力し、両方の光が導波路2から出射するようにLcを設定する。このとき、導波路1から導波路2へ出射する場合をクロスポート透過、同じ導波路から同じ導波路に出射する場合をバーポート透過と呼ぶことにする。方向性結合器11は、その透過スペクトルが図12のようになるようにLcが設計され、FSRが3200GHzのフィルタとして機能させる。

0043

図13は、方向性結合器11の透過スペクトルの計算値である。実線がバーポート透過、破線がクロスポート透過を示している。構造パラメータは、導波路1、2の導波路幅が300nm、二つの導波路の間のギャップが200nm、結合部の長さLcが240μmである。方向性結合器11は、図12のように、FSR=18nm(3200GHz)であり、λ1の光がバーポートに出力され、λ3の光がクロスポートに出力され、図11に示した動作をすることがわかる。

0044

次に、方向性結合器11で合波されたλ1とλ3に、入力部10に入力されたλ2を非対称方向性結合器12によって合波する。図14に非対称方向性結合器12の構造図を示す。幅w1のシリコン細線導波路1、幅w2のシリコン細線導波路2からなり、導波路1からλ2の光を入射し、導波路2へと結合させる。非対称方向性結合器では、二つの導波路の幅が異なるため、同じモード同士では結合が生じないが、適切な設計によって、導波路1の基本モードと導波路2の第1高次モードであるTE1モード(図9(C)に示す断面界分布)を結合させることができる。ここで適切な設計は、2つの導波路のうち一方の基本モードにおける実効屈折率と2つの導波路のうち他方の高次モードの実効屈折率とが一致し、2つの導波路が平行して近接する区間が2つの導波路のうち一方の基本モードのパワーが2つの導波路のうち他方の高次モードのパワーへ移行する長さであることとすればよい。

0045

非対称方向性結合器12は、導波路1から入射された波長λ2のTE0モードを導波路2のTE1モードへ結合し、導波路2に入射されたTE0モードのλ1とλ3の光を導波路1へ結合せず、そのまま導波路2から出射する。このため、非対称方向性結合器12でλ1、λ2、λ3の3波の光の合波が実現できる。なお、λ1とλ3の光は、導波路2にTE0モードとして入射されるため、導波路1へは原理的に結合しない。

0046

このとき、適切な設計においては、非対称方向性結合器12の導波路1のTE0モードから導波路2のTE1モードへの透過スペクトルは広い帯域でほぼ100%である(図15)。つまり、非対称方向性結合器12でλ1、λ2及びλ3を合波させるときには、絶対波長位置及びFSRを考慮する必要がない。

0047

図16は、非対称方向性結合器12の導波路1のTE0モードから導波路2のTE1モードへのクロスポート透過スペクトルを示す図である。構造パラメータは、w1=300nm、w2=629nm、二つの導波路間のギャップ200nmである。所望の波長帯において、ほぼ100%の透過率が得られているのがわかる。このようなフラット波長特性を持つ素子は、導波路幅の製造誤差に対する許容が大きい。

0048

つまり、λ1とλ3の光にλ2の光を合波する合波素子(非対称方向性結合器12)は、図1のようなマッハツェンダー干渉計と比べて、ピーク波長の絶対位置を考慮する必要が無く、設計が容易化されるとともに、製造誤差に対する許容が大きいことがわかる。

0049

続いて、対称方向性結合器12で合波されたλ1、λ2及びλ3に、入力部10に入力されたλ0を非対称方向性結合器13によって合波する。図17に非対称方向性結合器13の構造図を示す。非対称方向性結合器13も、結合部の長さLcを適切に設計することにより、方向性結合器11のようなあるFSRをもったフィルタ特性をもたせることができる。

0050

非対称方向性結合器13の場合、導波路1からλ0を入力し、導波路2からλ1、λ2、及びλ3の光を入力し、4つの光、全てが導波路2から出射するようにする。ここで、λ1とλ3の光は、TE0モードで伝搬してきているので、非対称方向性結合器13で導波路1へ結合せず、そのまま導波路2から出射される。λ2の光は、導波路1から出射されないよう、図17に示すように、λ2の光はTE1モードとして導波路2に入射され、導波路2からTE1モードのまま出射される。そして、λ0の光は導波路1からTE0モードとして入射され、導波路2からTE1モードとして出射される。このように、非対称方向性結合器13を動作させるために、導波路2から光を入射した場合のバーポート透過スペクトルを図18のように設計し、FSRが3200GHzのフィルタとして機能させる。

0051

図19は、非対称方向性結合器13の透過スペクトルの計算値である。実線がバーポート透過、破線がクロスポート透過を示している。構造パラメータは、w1=300nm、w2=629nm、二つの導波路の間のギャップが200nm、結合部の長さLc=275μmである。非対称方向性結合器13は、図18のように、FSR=18nm(3200GHz)であり、λ2の光がバーポートに出力され、λ0の光がクロスポートに出力され、図17に示した動作をすることがわかる。

0052

非対称方向性結合器13で、λ0、λ1、λ2、及びλ3の4つの光が1本の導波路に合波されたが、λ0とλ2の光はTE1モードとして合波されている。100ギガビットイーサネット(登録商標)の規格の一つである100GBASE−LR4においては、伝送媒体はシングルモードファイバであり、TE1モードはシングルモードファイバ内を安定に伝搬しない。従って、λ0とλ2の光については、TE1モードから基本モードに変換する必要がある。

0053

波長合波器301は、モード変換部14で、λ0とλ2の光をTE1モードからTM0モードへと変換する。図20にモード変換部14の構造図を示す。モード変換部14は、入力シリコン細線導波路21、出力シリコン細線導波路22、テーパ部23、及びリブ導波路24を備える。P−P’の断面が図10である。すなわち、リブ導波路24は図10の厚みtの部分であり、入力シリコン細線導波路21又はテーパ部23が厚みhの部分である。

0054

リブ導波路24は、細線リブ変換テーパ部25、断熱モード変換部26、及び幅広のシリコンリブ導波路27を有する。リブ導波路24への光の入力はシリコン細線導波路21であり、細線リブ変換テーパ部25を介して幅広のシリコンリブ導波路27へと接続される。そこから、断熱モード変換部26で幅広のシリコンリブ導波路27の導波路幅を断熱的に幅を狭めていく。光がリブ導波路24を通過することで、TE0モードは変換されず、TE1モードはTM0モードへと変換される。最後に、リブ導波路24を経由した光は出力シリコン細線導波路22に出力される。

0055

モード変換器14のモード変換の原理を説明する。図21は、リブ導波路24におけるTE0モード(実線)、TM0モード(破線)、及びTE1モード(一点鎖線)の実効屈折率の導波路幅依存性を説明する図である。本説明では、h=140nm、t=70nmとしている。図21より、導波路幅が0.6μm付近でTE1モードとTM0モードが結合し、モードの反交差が生じているのがわかる。

0056

ここで、一点鎖線に着目すると、導波路幅が0.6μmより大きいところでは、TE1ライクなモード、0.6μmより小さいところではTM0ライクなモードとなっている。例えば、導波路幅0.8μmのリブ導波路にTE1モードを入力し、その導波路幅を断熱的に小さくしていくと、0.6μm付近を境にモード変換が生じ、例えば導波路幅0.4μmまで減少させると、出力はTM0モードとなる。この断熱的モード変換は、その原理から、波長にはほとんど依存せず、また、導波路パラメータの製造誤差にもほとんど影響されない。

0057

図22は、ビーム伝搬シミュレーションによって算出した、断熱モード変換部26の磁界分布を説明する図である。ここに、断熱モード変換部26について入力側(入力シリコン細線導波路21側)のリブ導波路幅を800nm、出力側(出力シリコン細線導波路22側)のリブ導波路幅を400nm、長さLconvを100umとした。Hy成分を主成分として持つ、導波路のx方向に山2つのTE1モードは断熱変換により、Hxを主成分として持つ、導波路のx方向に山一つのTM0モードへと変換されていることがわかる。なお、磁界が他より強い部分を「山」と呼んでいる。また、x方向とは図10及び図20に記載されるx方向である。

0058

なお、リブ導波路24へTE0モードが入力された場合には、図21から明らかなように、他のモードとの混合は生じていないので、TE0モードのまま出射される。言い換えれば、TE0モードはリブ導波路24でまったく影響を受けない。

0059

つまり、非対称方向性結合器13で合波された4つの光に関して、λ1とλ3の光はTE0モードとしてモード変換器14に入射されるのでTE0モードのまま出射され、λ0とλ2の光はTE1モードとしてモード変換器14に入射されるのでTM0モードへ変換されて出射される。

0060

以上の説明のように、波長合波器301は、4つの基本モードの光(λ0(TE0)、λ1(TE0)、λ2(TE0)、λ3(TE0))のうち2波(λ0とλ2)を高次モードへ変換して他の基本モードの2波に合波し、高次モードの2波を再び基本モード(TMモード)へ変換することで、λ0(TM0)、λ1(TE0)、λ2(TM0)、λ3(TE0)の合波光を出力する。

0061

より詳細には、波長合波器301は、方向性結合器11が1つ、非対称性方向結合器(12、13)が2つ、及びモード変換器14が1つであり、
入力部10が導波路に入力する波長は周波数間隔fの4つの波長(λ0、λ1、λ2及びλ3)であり、
方向性結合器11は、2つの導波路のそれぞれに入力部10から波長(λ1とλ3)が入力され、波長(λ1とλ3)が合波するように2つの導波路が平行して近接する導波路間隔と区間が調整され、
非対称性方向結合器12は、2つの導波路の一方に入力部10から波長λ2が入力され、2つの導波路の他方に方向性結合器11で合波された波長(λ1とλ3)が入力され、波長λ2を高次モードに変換して波長(λ1とλ3)に合波し、
非対称性方向結合器13は、2つの導波路の一方に入力部10から波長λ0が入力され、2つの導波路の他方に非対称方向性結合器12で合波された波長(λ1とλ2とλ3)が入力され、波長λ0を高次モードに変換して波長(λ1とλ2とλ3)に合波し、
モード変換器14は、非対称方向性結合器13で合波された合波波長(λ0とλ1とλ2とλ3)のうち、高次モードである波長(λ0とλ2)を基本モードへ変換することを特徴とする。
ここで、入力部10は、TE0の基本モードを導波路に入力し、非対称方向性結合器(12、13)は、波長λ0とλ2をTE1の高次モードに変換し、モード変換器14は、TE1の高次モードをTM0の基本モードに変換する。

0062

(効果)
波長合波器301は、図5の多段型マッハツェンダー合波器に比べ、以下の利点を有する。まず、構成から明らかなように、波長合波器301は、多段型マッハツェンダー合波器で必要であった、1600GHzのFSRをもつマッハツェンダー干渉計3を不要とする。多段型マッハツェンダー合波器では、図4で詳説したように、このマッハツェンダー干渉計3がもっとも製造誤差許容が小さい部分であり、波長合波器の製造を困難とする主原因であった。

0063

一方、波長合波器301は、FSR=1600GHzのフィルタの代替として、非対称方向性結合器と断熱モード変換部を備える。この二つの素子は、上で説明したように、波長依存性が小さいため製造誤差許容が大きく、ピーク波長の絶対位置などを考慮して設計する必要もない。よって、波長合波器301は、波長合波器の設計と製造を容易にする。

0064

また、FSR=3200GHzの二つのフィルタに関しても、多段型マッハツェンダー合波器では図2図4で説明したように、二つのフィルタの位相差が90度になるように正確に設定する必要があり、そのために遅延回路の長さを100nm単位で制御する必要があった(図7)。しかし、波長合波器301は、制御困難な遅延回路を備えておらず、二つのフィルタ(非対称方向性結合器)がそれぞれ適切に設計されていればよく、設計や製造が容易である。

0065

波長合波器301は、λ1とλ3の光を方向性結合器11、λ0とλ2の光を非対称方向性結合器13で合波するように設計しているが、λ0とλ2の光を方向性結合器11、λ1とλ3の光を非対称方向性結合器13で合波するように設計してもよい。
また、波長合波器301では、シリコン細線導波路を導波構造として用いている例を説明したが、他の材料や導波路でも構わない。そして、波長合波器301では、100ギガビットサネット(登録商標)への応用を想定し、1.3ミクロン帯の4波を合波する例を説明したが、他の波長帯でもかまわない。その場合、方向性結合器の結合部の長さLcと非対称方向性結合器の結合部の長さLcとを波長帯に合わせる。
なお、本実施形態では、波長合波器の部分のみを説明したが、実際には、この波長合波器が形成された平面型光回路に光源が搭載される場合がある。

0066

(実施形態2)
本実施形態では、実施形態1の波長合波器301と構造が異なる波長合波器302を説明する。図23は、100ギガビットイーサネット(登録商標)用4波長合波器である波長合波器302の模式図である。波長合波器302は、周波数間隔fの4つの波長(短波長側からλ0、λ1、λ2及びλ3)が基本モードで入力される入力部10と、
2fのFSR(Free Spectral Range)を持ち、互いの位相差が90度である2つのマッハツェンダー干渉計フィルタ(1、2)と、
2つの導波路が平行して近接し、前記2つの導波路の一方の波長を基本モードのまま他方の波長を高次モードに変換して合波する非対称方向性結合器12と、
高次モードの波長を基本モードに変換するモード変換器14と、
を備える波長合波器であって、
マッハツェンダー干渉計フィルタ1は、2つの入力導波路のそれぞれに入力部10から波長(λ1とλ3)が入力され、波長(λ1とλ3)を基本モードのまま合波し、
マッハツェンダー干渉計フィルタ2は、2つの入力導波路のそれぞれに前記入力部から波長(λ0とλ2)が入力され、波長(λ0とλ2)を基本モードのまま合波し、
非対称性方向結合器12は、前記2つの導波路の一方にマッハツェンダー干渉計フィルタ1で合波された波長(λ1とλ3)が入力され、前記2つの導波路の他方にマッハツェンダー干渉計フィルタ2で合波された波長(λ0とλ2)が入力され、波長(λ0とλ2)を高次モードに変換して波長(λ1とλ3)に合波し、
モード変換器14は、非対称方向性結合器12で合波された前記合波波長(λ0とλ1とλ2とλ3)のうち、高次モードである波長(λ0とλ2)を基本モードへ変換することを特徴とする。

0067

波長合波器302は、図5で説明した2段型マッハツェンダー干渉計合波器と同様に、互いの位相が90度異なる、FSRが3200GHzのマッハツェンダー干渉計フィルタ1とマッハツェンダー干渉計フィルタ2を備える。波長合波器302は、λ1とλ3の光をマッハツェンダー干渉計フィルタ1で、λ0とλ2の光をマッハツェンダー干渉計フィルタ2で、それぞれTE光として合波する。その後、波長合波器302は、非対称方向性結合器12で、λ0とλ2の合波光をTE1モードとしてλ1とλ3の合波光に合波する。実施形態1で詳説したように、非対称方向性結合器12の特性は波長依存性が小さく、ピーク波長の絶対位置を調整する必要がない。最後に、波長合波器302は、断熱モード変換部14で、λ0とλ2の光をTE1モードからTM0モードへと変換し、λ0からλ3の4波を合波する。

0068

つまり、波長合波器302は、図3のFSRが1600GHzのマッハツェンダー干渉計フィルタ3を、設計が容易で製造誤差に対する許容が大きい非対称方向性結合器12と断熱モード変換部14の組み合わせに置き換えている。このため、波長合波器302は、製造誤差許容が大きく、ピーク波長の絶対位置などを考慮して設計する必要もない。よって、波長合波器302は、波長合波器の設計と製造を容易にする。

0069

(実施形態3)
図24は、本実施形態の波長合分波器303を説明する図である。波長合分波器303は、波長帯域が重複しない複数の波長がそれぞれに入力される実施形態1や2で説明した2つの波長合波器(301又は302)と、それぞれの波長合波器が出力する合波波長をさらに合波する帯域合波器35と、を備える。

0070

波長合分波器303は、例えば、400ギガビットイーサネット(登録商標)用8波長合波器である。400ギガビットイーサネット(登録商標)は、図25に示すように、100ギガビットイーサネット(登録商標)で用いる800GHz間隔の4波長(λ0〜λ3)に、λ0より4000GHz短波長側の光から800GHz間隔の4波(λ4〜λ7)を加える、8波のWDM方式が検討されている。この場合、λ0とλ7の間には1波長分の間隔が空くことになる。

0071

まず、λ0〜λ3の4つの光を合波する波長合合波器は、実施形態1又は2で説明した波長合波器301又は302をそのまま用いることができる。また、λ4〜λ7の光を合波する波長合合波器についても、波長合波器301又は302と同じ構成を採用できるが、波長に応じて結合部Lcを設定する必要がある。帯域合波部35は、例えば、λ0より長波長側の光を透過させ、λ0より短波長側の光を反射させるようなエッジフィルタである。2つの波長合波器(301又は302)から出射された合成光は、帯域合波部35で合波される。

0072

(効果)
上より、本発明は、設計が容易且つ製造誤差に対する許容が大きい波長合波器を提供することができる。

0073

本発明に係る波長合波器は、実施形態で説明した4波長合波器に限らず、3波波長合波器や5波以上の多波長合波器に適用することができる。

0074

10:入力部
11、11−1、11−2:方向性結合器
12、13:非対称方向性結合器
14:モード変換器
15:出力部
21:入力シリコン細線導波路
22:出力シリコン細線導波路
23:テーパ部
24:リブ導波路
25:細線リブ変換テーパ部
26:断熱モード変換部
27:幅広のシリコンリブ導波路
35:帯域合波器(エッジフィルタ)
301、302、303:波長合波器

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