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技術 酸化亜鉛薄膜形成用組成物及び酸化亜鉛薄膜の製造方法

出願人 東ソー・ファインケム株式会社
発明者 竹元裕仁二子石師青木雅裕
出願日 2018年2月28日 (2年4ヶ月経過) 出願番号 2018-035780
公開日 2019年9月12日 (9ヶ月経過) 公開番号 2019-152702
状態 未査定
技術分野 積層体(2) 重金属無機化合物(I) 塗料、除去剤
主要キーワード 樹脂性基材 プロファイリングシステム 遮断率 紫外線遮断膜 基準表面 紫外可視光 増大率 液滴塗布法
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年9月12日)のものです。
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図面 (1)

課題

成膜時の基材温度が200℃未満であるスプレー塗布法などの液滴塗布法によって、紫外線吸収能を有し、可視光透過性も優れ、かつ膜厚が1μm以下の酸化亜鉛薄膜を提供すること、及びその手段を提供すること。

解決手段

下記一般式(1)で示される有機亜鉛化合物有機金属化合物とを含有し、前記有機金属化合物に含まれる金属元素は、酸化物バンドギャップが3.2eVよりも小さい金属元素である、200℃未満の基材温度において液滴塗布法で酸化亜鉛膜を形成するために用いる組成物。この組成物を、200℃未満の基材温度において液滴塗布して酸化亜鉛膜を形成することを含む、酸化亜鉛膜の製造方法。R1−Zn−R1(1)(式中、R1は炭素数1〜7の直鎖または分岐したアルキル基である)

概要

背景

可視光領域で高い透過率を有する紫外線吸収膜は、半導体ディスプレイ照明自動車窓ガラス家具包装容器などに幅広く用いられている。

可視光領域で高い透過率を有し、かつ紫外線吸収能も有し、紫外線遮断膜として用いられる物として酸化亜鉛膜が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1において酸化亜鉛膜は、CVD法又は真空蒸着法で形成される。

紫外線吸収を目的とした透明酸化亜鉛膜は、種々の用途において加工性、軽量化等の観点から、基材としてプラスチック薄板ガラス等の高い温度で加熱することができない基材、さらには様々な形状の基材への応用が検討されている。そのため、酸化亜鉛膜の形成時には、それらの基材が変形または破損しないために、耐熱温度またはヒートショックにより破損しない比較的低温で実施される必要がある。

特許文献2には、有機亜鉛化合物として例えば、ジエチル亜鉛電子供与性溶媒に溶解した溶液を用いて、スプレー塗布と同時に基板を300℃以下に加熱することで酸化亜鉛薄膜を形成する方法が記載されている。実施例においては基板温度60℃での成膜例及び基板加熱無しでの成膜例の記載がある。

概要

成膜時の基材温度が200℃未満であるスプレー塗布法などの液滴塗布法によって、紫外線吸収能を有し、可視光透過性も優れ、かつ膜厚が1μm以下の酸化亜鉛薄膜を提供すること、及びその手段を提供すること。下記一般式(1)で示される有機亜鉛化合物と有機金属化合物とを含有し、前記有機金属化合物に含まれる金属元素は、酸化物バンドギャップが3.2eVよりも小さい金属元素である、200℃未満の基材温度において液滴塗布法で酸化亜鉛膜を形成するために用いる組成物。この組成物を、200℃未満の基材温度において液滴塗布して酸化亜鉛膜を形成することを含む、酸化亜鉛膜の製造方法。R1−Zn−R1(1)(式中、R1は炭素数1〜7の直鎖または分岐したアルキル基である)なし

目的

特開2008-105313号公報
特許第5288464号公報
特開平07-182939号公報






特許文献2は、可視光領域において光透過性に優れた酸化亜鉛薄膜を形成する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

下記一般式(1)で示される有機亜鉛化合物有機金属化合物とを含有し、前記有機金属化合物に含まれる金属元素は、酸化物バンドギャップが3.2eVよりも小さい金属元素である、200℃未満の基材温度において液滴塗布法酸化亜鉛膜を形成するために用いる組成物。R1−Zn−R1(1)(式中、R1は炭素数1〜7の直鎖または分岐したアルキル基である)

請求項2

前記有機金属化合物の金属元素が、チタン、鉄、銅またはバナジウムである請求項1に記載の組成物。

請求項3

前記有機金属化合物は、アルコキシド基またはアミノ基を配位子として含有する、請求項1又は2記載の組成物。

請求項4

前記有機金属化合物の含有量は、前記有機亜鉛化合物に含まれる亜鉛及び有機金属化合物に含まれる金属元素の合計に対する有機金属化合物に含まれる金属元素の百分率(at%)が0.01〜10の範囲である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。

請求項5

前記有機亜鉛化合物がジエチル亜鉛である請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。

請求項6

有機溶媒をさらに含有する請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。

請求項7

前記有機溶媒が、炭化水素系溶媒又は電子供与性有機溶媒である請求項6に記載の組成物。

請求項8

下記一般式(1)で示される有機亜鉛化合物を含有する塗布液を200℃未満の基材温度で液滴塗布することで形成される酸化亜鉛膜のUV−A遮断率を高める方法であって、前記塗布液に有機金属化合物を含有させ、かつ前記有機金属化合物に含まれる金属元素は、酸化物のバンドギャップが3.2eVよりも小さい金属元素である、前記方法。R1−Zn−R1(1)(式中、R1は炭素数1〜7の直鎖または分岐したアルキル基である)

請求項9

同じ基材温度で形成された有機金属化合物を含有しない塗布液を用いて形成された酸化亜鉛膜のUV−A遮断率を100としたときに、有機金属化合物を含有させた塗布液を用いて形成された酸化亜鉛膜のUV−A遮断率が104以上に増大する、請求項8に記載の方法。

請求項10

同じ基材温度で形成された有機金属化合物を含有しない塗布液を用いて形成された酸化亜鉛膜の可視光領域透過率を100としたときに、有機金属化合物を含有させた塗布液を用いて形成された酸化亜鉛膜の可視光領域透過率が80以上である、請求項8又は9に記載の方法。

請求項11

請求項1〜7のいずれかに記載の組成物を、200℃未満の基材温度において液滴塗布して酸化亜鉛膜を形成することを含む、酸化亜鉛膜の製造方法。

請求項12

前記液滴塗布は水が存在する雰囲気で行う、請求項11に記載の製造方法。

請求項13

同じ基材温度で形成された有機金属化合物を含有しない塗布液を用いて形成された酸化亜鉛膜のUV−A遮断率を100としたときに、UV−A遮断率が104以上の酸化亜鉛膜を得る、請求項11又は12に記載の製造方法。

請求項14

同じ基材温度で形成された有機金属化合物を含有しない塗布液を用いて形成された酸化亜鉛膜の可視光領域透過率を100としたときに、可視光領域透過率が80以上である酸化亜鉛膜を得る、請求項11〜13のいずれかに記載の製造方法。

請求項15

形成される酸化亜鉛膜は膜厚が1μm以下である、請求項11〜14のいずれかに記載の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、紫外線吸収性能が向上した酸化亜鉛薄膜の製造を可能にする、比較的低温で行われる液滴塗布法用の組成物、及びそれを用いた紫外線吸収性能が向上した酸化亜鉛薄膜の製造方法に関する。

背景技術

0002

可視光領域で高い透過率を有する紫外線吸収膜は、半導体ディスプレイ照明自動車窓ガラス家具包装容器などに幅広く用いられている。

0003

可視光領域で高い透過率を有し、かつ紫外線吸収能も有し、紫外線遮断膜として用いられる物として酸化亜鉛膜が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1において酸化亜鉛膜は、CVD法又は真空蒸着法で形成される。

0004

紫外線吸収を目的とした透明酸化亜鉛膜は、種々の用途において加工性、軽量化等の観点から、基材としてプラスチック薄板ガラス等の高い温度で加熱することができない基材、さらには様々な形状の基材への応用が検討されている。そのため、酸化亜鉛膜の形成時には、それらの基材が変形または破損しないために、耐熱温度またはヒートショックにより破損しない比較的低温で実施される必要がある。

0005

特許文献2には、有機亜鉛化合物として例えば、ジエチル亜鉛電子供与性溶媒に溶解した溶液を用いて、スプレー塗布と同時に基板を300℃以下に加熱することで酸化亜鉛薄膜を形成する方法が記載されている。実施例においては基板温度60℃での成膜例及び基板加熱無しでの成膜例の記載がある。

先行技術

0006

特開2008-105313号公報
特許第5288464号公報
特開平07-182939号公報

発明が解決しようとする課題

0007

特許文献2は、可視光領域において光透過性に優れた酸化亜鉛薄膜を形成する方法を提供することを目的とする発明を開示する物であり、形成された酸化亜鉛薄膜の紫外線吸収性については言及していない。尚、特許文献2に記載の方法で1回のスプレー塗布で形成された酸化亜鉛薄膜の膜厚は数百nmであり、極めて薄い膜である。

0008

本発明者らは、特許文献2に記載の方法で製造された酸化亜鉛薄膜が紫外線遮断膜として利用できないか検討した。その結果、成膜時の基材温度が200℃を下回ると、形成される薄膜の紫外線吸収能が大きく低下することを見出した。

0009

一方、基材の耐熱性との関係では、基材温度は低いほど好ましく、例えば、160℃以下で、紫外線遮断膜として利用でき、かつ可視光透過性も優れた膜厚が数百nm程度である酸化亜鉛薄膜が得られれば、利用価値は高いと本発明者は考えた。

0010

本発明は上記の課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、成膜時の基材温度が200℃未満であるスプレー塗布法などの液滴塗布法によって、紫外線、特に315nm〜380nmのUV−A領域の吸収能を有し、可視光透過性も優れ、かつ膜厚が1μm以下の酸化亜鉛薄膜を提供すること、及びその手段を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

本発発明者らは先の課題を解決すべく鋭意検討した結果、有機亜鉛化合物を含有する塗布液に、酸化亜鉛より酸化物バンドギャップが小さい金属元素を含む有機化合物を添加することにより、基材温度が200℃未満である液滴塗布法によって、上記金属元素を含まない塗布液を用いた場合に比べて、紫外線吸収性能が向上した酸化亜鉛薄膜を形成することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。

0012

本発明は、以下の通りである。
[1]
下記一般式(1)で示される有機亜鉛化合物と有機金属化合物とを含有し、前記有機金属化合物に含まれる金属元素は、酸化物のバンドギャップが3.2eVよりも小さい金属元素である、200℃未満の基材温度において液滴塗布法で酸化亜鉛膜を形成するために用いる組成物。
R1−Zn−R1 (1)
(式中、R1は炭素数1〜7の直鎖または分岐したアルキル基である)
[2]
前記有機金属化合物の金属元素が、チタン、鉄、銅またはバナジウムである[1]に記載の組成物。
[3]
前記有機金属化合物は、アルコキシド基またはアミノ基を配位子として含有する、[1]又は[2]記載の組成物。
[4]
前記有機金属化合物の含有量は、前記有機亜鉛化合物に含まれる亜鉛及び有機金属化合物に含まれる金属元素の合計に対する有機金属化合物に含まれる金属元素の百分率(at%)が0.01〜10の範囲である、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]
前記有機亜鉛化合物がジエチル亜鉛である[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]
有機溶媒をさらに含有する[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]
前記有機溶媒が、炭化水素系溶媒又は電子供与性有機溶媒である[6]に記載の組成物。
[8]
下記一般式(1)で示される有機亜鉛化合物を含有する塗布液を200℃未満の基材温度で液滴塗布することで形成される酸化亜鉛膜のUV−A遮断率を高める方法であって、前記塗布液に有機金属化合物を含有させ、かつ前記有機金属化合物に含まれる金属元素は、酸化物のバンドギャップが3.2eVよりも小さい金属元素である、前記方法。
R1−Zn−R1 (1)
(式中、R1は炭素数1〜7の直鎖または分岐したアルキル基である)
[9]
同じ基材温度で形成された有機金属化合物を含有しない塗布液を用いて形成された酸化亜鉛膜のUV−A遮断率を100としたときに、有機金属化合物を含有させた塗布液を用いて形成された酸化亜鉛膜のUV−A遮断率が104以上に増大する、[8]に記載の方法。
[10]
同じ基材温度で形成された有機金属化合物を含有しない塗布液を用いて形成された酸化亜鉛膜の可視光領域透過率を100としたときに、有機金属化合物を含有させた塗布液を用いて形成された酸化亜鉛膜の可視光領域透過率が80以上である、[8]又は[9]に記載の方法。
[11]
[1]〜[7]のいずれかに記載の組成物を、200℃未満の基材温度において液滴塗布して酸化亜鉛膜を形成することを含む、酸化亜鉛膜の製造方法。
[12]
前記液滴塗布は水が存在する雰囲気で行う、[11]に記載の製造方法。
[13]
同じ基材温度で形成された有機金属化合物を含有しない塗布液を用いて形成された酸化亜鉛膜のUV−A遮断率を100としたときに、UV−A遮断率が104以上の酸化亜鉛膜を得る、[11]又は[12]に記載の製造方法。
[14]
同じ基材温度で形成された有機金属化合物を含有しない塗布液を用いて形成された酸化亜鉛膜の可視光領域透過率を100としたときに、可視光領域透過率が80以上である酸化亜鉛膜を得る、[11]〜[13]のいずれかに記載の製造方法。
[15]
形成される酸化亜鉛膜は膜厚が1μm以下である、[11]〜[14]のいずれかに記載の製造方法。

発明の効果

0013

本発明によれば、基材温度が200℃未満である液滴塗布法によって、上記金属元素を含まない塗布液を用いた場合に比べて、紫外線吸収性能が向上した酸化亜鉛薄膜を形成することができる。
これにより、基材としてプラスチック、薄板ガラス等の200℃以上で加熱することができない基材へ、基材温度200℃未満で、可視光領域380nm〜780nmでは高い透過率を有し、上記金属元素を含まない塗布液を用いた場合に比べて、315nm〜380nmのUV−A領域の遮蔽率が高い紫外線吸収膜を提供することができる。

図面の簡単な説明

0014

スプレー成膜装置の概略図

0015

本発明について以下にさらに詳しく説明する。

0016

酸化亜鉛薄膜製造用組成物
本発明の酸化亜鉛薄膜製造用組成物は、下記一般式(1)で示される有機亜鉛化合物と有機金属化合物とを含有し、前記有機金属化合物に含まれる金属元素は、酸化物のバンドギャップが3.2eVよりも小さい金属元素である、200℃未満の基材温度において液滴塗布法で酸化亜鉛膜を形成するために用いる組成物。
R1−Zn−R1 (1)
(式中、R1は炭素数1〜7の直鎖または分岐したアルキル基である)

0017

一般式(1)で表される化合物におけるR1のアルキル基の具体例としては、メチル基エチル基プロピル基イソプロピル基ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、2−ヘキシル基、およびヘプチル基を挙げることができ、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましく、さらにはエチル基が好ましい。

0018

酸化亜鉛のバンドギャップは3.2eVである。本発明の組成物に含有される有機金属化合物に含まれる金属元素は、酸化物のバンドギャップが3.2eVよりも小さい金属元素である。酸化物のバンドギャップは、例えば、1.5eV以上、3.2ev未満であることができる。酸化物のバンドギャップが酸化亜鉛のバンドギャップ3.2eVより小さい金属元素は、例えばチタン、タングステン、鉄、銅、バナジウム、インジウムなどが挙げられる。酸化チタンは3.0evであり、酸化タングステンは2.7eV、酸化鉄は2.2eV、酸化銅は1.7eV、酸化バナジウムは2.3eV、酸化インジウムは2.5eVである。
金属元素としては、チタンが好ましい。

0019

酸化物のバンドギャップが3.2eVより小さい金属元素を含む化合物は、例えば、配位子としてアルコキシ基またはアミノ基を有しているものが挙げられる。これらの配位子を有する化合物であれば、一般式(1)で表される有機亜鉛化合物及び、後述する有機溶媒に対して良好な溶解性を有し、溶液とすることが容易である。

0020

アルコキシ基を有する有機金属化合物は、例えば、下記一般式(2)で示される化合物であることができる。
M−(OR2)X (2)
(式中、R2は炭素数1〜8の直鎖または分岐したアルキル基であり、Mは酸化物のバンドギャップが3.2eVより小さい金属元素であり、XはMより決まる1〜8の範囲の整数である)

0021

R2は、直鎖または分岐したアルキル基である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、2−ヘキシル基、2−エチルヘキシル、およびヘプチル基を挙げることができ、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2−エチルヘキシルが好ましい。

0022

アミノ基を有する有機金属化合物は、例えば、下記一般式(3)で示される化合物であることができる。
M−(NR3)X (3)
(式中、R3は炭素数1〜4の直鎖または分岐したアルキル基であり、Mは酸化物のバンドギャップが3.2eVより小さい金属元素であり、XはMより決まる1〜8の範囲の整数である)
R3のアルキル基の具体例は、R2のアルキル基の具体例と同様である。

0023

有機金属化合物の具体例を以下に示す。

0024

酸化物のバンドギャップが3.2eVより小さい金属元素を含む化合物の添加量は、一般式(1)で示される有機亜鉛化合物の亜鉛元素及び有機金属化合物に含まれる金属元素の合計に対する有機金属化合物に含まれる金属元素の百分率(at%)が0.01〜10の範囲であることが本発明の効果を得るという観点から好ましい。この百分率(at%)は、好ましくは、0.1〜8の範囲である。

0025

上記百分率が10at%を超えるように有機金属化合物を添加すると、膜形成後の膜中に亜鉛元素以外の元素量が増加してしまい、酸化亜鉛の結晶性が悪化することにより、UV−A領域の遮蔽率が減少する傾向がある。

0026

本発明の組成物は、有機溶媒をさらに含むことができる。有機溶媒としては、一般式(1)で表される有機亜鉛化合物及び有機金属化合物に対して溶解性を有するものであればよい。例えば、電子供与性有機溶媒や炭化水素化合物を上げることができる。電子供与性有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、又は1,3−ジメチルイミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン等の環状アミドジエチルエーテルテトラヒドロフランジイソプロピルエーテルジオキサン、ジ−n−ブチルエーテルジアルキルエチレングリコール、ジアルキルジエチレングリコール、ジアルキルトリエチレングリコール等のエーテル、グライムジグライムトリグライム溶媒等を挙げることができる。

0028

有機溶媒は、電子供与性溶媒、炭化水素化合物またはそれらの混合物であることができる。

0029

(酸化亜鉛膜のUV−A遮断率を高める方法)
本発明は、前記一般式(1)で示される有機亜鉛化合物を含有する塗布液を200℃未満の基材温度で液滴塗布することで形成される酸化亜鉛膜のUV−A遮断率を高める方法を包含する。この方法においては、前記塗布液に有機金属化合物を含有させ、かつ前記有機金属化合物に含まれる金属元素は、酸化物のバンドギャップが3.2eVよりも小さい金属元素である。

0030

本発明の方法では、同じ基材温度で形成された有機金属化合物を含有しない塗布液を用いて形成された酸化亜鉛膜のUV−A遮断率を100としたときに、有機金属化合物を含有させた塗布液を用いて形成された酸化亜鉛膜のUV−A遮断率が105以上に増大することができる。形成された酸化亜鉛膜のUV−A遮断率の増大率は、用いる基材温度及び添加する有機金属化合物の種類及び量等により変動する。これらの条件を調整することで、形成された酸化亜鉛膜のUV−A遮断率を110以上に増大することもできる。

0031

さらに本発明の方法では、同じ基材温度で形成された有機金属化合物を含有しない塗布液を用いて形成された酸化亜鉛膜の可視光領域透過率を100としたときに、有機金属化合物を含有させた塗布液を用いて形成された酸化亜鉛膜の可視光領域透過率を80以上とすることができる。即ち、可視光領域透過率が高い酸化亜鉛膜とすることができる。形成された酸化亜鉛膜の可視光領域透過率は、100に近いほど好ましい。

0032

(酸化亜鉛薄膜の製造方法)
本発明は、酸化亜鉛膜の製造方法を包含する。本発明の製造方法は、前記本発明の組成物を、200℃未満の基材温度において液滴塗布して酸化亜鉛膜を形成することを含む。

0033

基材に、酸化亜鉛膜形成用組成物を塗布する方法としては、基材に一定の膜厚の酸化亜鉛膜が形成できる方法であれば良く、例えば、大気圧化で気相成長できる塗布方法である液滴塗布法が好ましく、液滴塗布法としては、例えば、スプレー塗布法、ミストCVD法が好ましい。スプレー塗布法は、塗布液をノズルからスプレーする方法であり、例えば、特許文献2に記載の方法を挙げることができる。ミストCVD法は、塗布液を超音波式ミスト発生装置等によりミスト化し、このミストを基材表面に供給する方法であり、例えば、特許文献3に記載の方法を挙げることができる。

0034

基材に、本発明の組成物を塗布する際は、基材の温度は200℃未満であれば特に限定されない。また、基材は加熱せず室温であっても良い。但し、基材の温度が高い方が、得られる酸化亜鉛の結晶性は高くなり、密度も高くなり、紫外線吸収能も高まることから例えば、80℃以上、200℃未満の範囲とする。但し、耐熱性を考慮しつつ、紫外線吸収能も高めるという観点からは、90〜160℃の範囲であることが好ましい。
液滴塗布をする雰囲気温度は、酸化亜鉛膜の生成がスムーズであるという観点からは、好ましくは10〜30℃の範囲である。

0035

基材に、酸化亜鉛膜形成用組成物を塗布する際は、雰囲気は特に限定されないが、大気圧、加圧下または減圧下で行うことができる。ただし、酸化亜鉛膜の酸素源である水が存在する雰囲気下で行うことが好ましい。加圧下とは、圧力が101.3〜202.6kPaの範囲の場合である。尚、本発明の方法における液滴塗布は、減圧下でも実施できるが、減圧下で実施するメリットはなく、大気圧で実施するのが、装置上も簡便であり好ましい。

0036

基材表面への塗布は、「水が存在する雰囲気」で行うことが好ましく、「水が存在する雰囲気」とは、例えば、相対湿度10〜90%の水を含有した空気の雰囲気であることができる。空気の雰囲気で行う代わり窒素と水を混合させた混合ガスの雰囲気下で行ってもよい。相対湿度は、酸化亜鉛薄膜の生成がスムーズであるという観点からは、より好ましくは30〜70%である。

0037

本発明の製造方法では、同じ基材温度で形成された有機金属化合物を含有しない塗布液を用いて形成された酸化亜鉛膜のUV−A遮断率を100としたときに、UV−A遮断率が105以上の酸化亜鉛膜を得ることが好ましく、より好ましくは、UV−A遮断率が110以上の酸化亜鉛膜を得ることである。

0038

さらに、本発明の製造法により形成される酸化亜鉛膜は、紫外線領域UV−Aの遮蔽率が70%以上である酸化亜鉛膜であることが好ましい。紫外線領域UV−Aの遮蔽率とは、以下のように定義され、かつ測定される。紫外線領域UV−Aとの遮蔽率とはJIS−7079記載の通り、315nm〜380nmの範囲の光線の透過率の平均を100から減算した数値であり、紫外可視光光度計により測定される。

0039

本発明の製造方法では、同じ基材温度で形成された有機金属化合物を含有しない塗布液を用いて形成された酸化亜鉛膜の可視光領域透過率を100としたときに、可視光領域透過率が80以上である酸化亜鉛膜を得ることが好ましく、より好ましくは可視光領域透過率が80以上である酸化亜鉛膜を得ることである。酸化亜鉛膜の可視光透過率は、基材温度、塗布液に含まれる有機金属化合物及び種類と量などにより、適宜調整することができる。

0040

本発明の製造方法により形成される酸化亜鉛薄膜は、可視光線に対して80%以上の平均透過率を有するものが好ましく、より好ましくは可視光線に対して85%以上の平均透過率を有する。尚、「可視光線に対する平均透過率」とは、以下のように定義され、かつ測定される。可視光線に対する平均透過率とは、JIS−7079記載の通り、380〜780nmの範囲の光線の透過率の平均であり、紫外可視分光光度計により測定される。

0041

本発明において、酸化亜鉛膜を形成するための基材は、材質、形状、寸法等に特に制限はないが、例えば、ガラス、金属、セラミックス等の無機物、プラスチック等の樹脂性基材や紙、木材等の有機物およびこれらの複合物が例示できる。

0042

本発明の製造方法で形成される酸化亜鉛膜の膜厚は、1μm以下であることが好ましく膜厚は、塗布液の組成及び基材単位面積当たりの塗布量などにより、調整することができる。

0043

以下、実施例、合成例、参考例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

0044

実施例、比較例及び参考例における酸化亜鉛膜の形成については、図1に示すスプレー成膜装置を用いた。図中、1は塗布液を充填したスプレーボトル、2は基板ホルダ、3スプレーノズル、4はコンプレッサ、5は基板を示す。スプレー塗布は、基板を基板ホルダ2に設置し、必要によりヒーターを用いて所定の温度まで加熱し、その後、大気中(大気圧下、空気中)で、基板の上方に配置したスプレーノズル3から圧縮した不活性ガスと塗布液を同時供給し、塗布液を霧化噴霧させることにより基板上に酸化亜鉛薄膜を形成した。酸化亜鉛薄膜は、スプレー塗布することで、追加の加熱等することなしに形成した。

0045

実施例、比較例及び参考例における酸化亜鉛膜の構造は、X線回折測定(XRD)、膜厚測定及び可視光透過測定において同定を行った。

0046

X線回折測定(XRD)にはPANalytical社製X’pert PROMRDを使用した。X線源には1.8kWのCuKα線源(8048eV)を用いた。X線MirrorによりX線を平行化し、約1°の角度で試料入射させ2θ軸を操作する斜入射X線回折測定を行った。試料からの回折X線コリメーターで平行化し、プロポーショナルカウンタで検出した。

0047

可視光透過測定はSHIMADZU社製UV−2450Vを使用した。測定方法は、積分球ユニットを用いて透過率測定を行った。また、測定は波長200nmから波長800nmの範囲で行った。
取得した、積分球透過スペクトルを用いて吸収係数を算出し、算出された吸収係数から吸収エネルギー(バンドギャップ)を求めた。吸収エネルギーを波長に変換することにより吸収端波長を算出した。
取得した、積分球スペクトルを用いて可視光領域(580nm)の透過率を取得した。積分球スペクトルを用いて紫外領域UV−A(315nm〜380nm)の遮蔽率を求めた。遮蔽率の算出には以下の式を用いた。
紫外線領域UV−A遮蔽率=100−紫外領域UV−Aの平均透過率

0048

膜厚はブルカー社製Dektak触針プロファイリングシステムを使用した。ダイヤモンド触針の下で、精密な基準表面上に対してサンプルステージを直線的に移動させることにより、試料表面の段差を測定することにより膜厚を測定した。

0049

(実施例1)
溶液の調整は窒素ガス雰囲気で行い、溶媒は全て脱水及び脱気して使用した。キシレン80.01gにジエチル亜鉛4.22gを加え、その後、ジエチル亜鉛の亜鉛元素及び有機金属化合物に含まれるチタン元素の合計に対して有機金属化合物に含まれるチタン元素が3at%になるように、チタン(IV)イソプロポキシド0.25gを添加した。十分に撹拌を行うことで塗布液を得た。
上記で得た塗布液を図1のスプレー成膜装置のスプレーボトルに充填した。5cm×5cmのCORNING社製EAGLEXGを基板ホルダに設置し、100℃に加熱した後、大気圧化、25℃、相対湿度50%と水が存在する空気中で、スプレーノズルより塗布液を1ml/min、キャリアガスの窒素を8L/minに設定し、8分間噴霧した。スプレーノズルはATOMAX社製アトマックスノズルAM6型を用いた。スプレーノズルより吐出する液滴の大きさは、3〜20μmの範囲であり、かつスプレーノズルと基板との距離を20cmとして行い、酸化亜鉛膜を取得した。膜厚は136nmであった。
取得した酸化亜鉛膜の透過スペクトルを測定し、可視光領域の平均透過率及び、吸収端の測定をおこなった。可視光領域(580nm)の透過率、UV−A遮蔽率の測定結果を表2〜4に示す。

0050

(実施例2)
チタン(IV)イソプロポキシドの添加量を0.43g(ジエチル亜鉛の亜鉛元素及び有機金属化合物に含まれるチタン元素の合計に対して有機金属化合物に含まれるチタン元素を4at%)に変更した以外は実施例1と同様にし、酸化亜鉛膜を取得した。膜厚は153nmであった。取得した酸化亜鉛膜の透過スペクトルを測定し、可視光領域の平均透過率及び、吸収端の測定をおこなった。可視光領域(580nm)の透過率、UV−A遮蔽率の測定結果を表2〜4に示す。
XRD測定により膜構造の同定を行ったが、酸化亜鉛の回折ピークのみ確認することができ、チタンに由来する回折ピークは確認されなかった。

0051

(実施例3)
チタン(IV)イソプロポキシドの添加量を0.67g(ジエチル亜鉛の亜鉛元素及び有機金属化合物に含まれるチタン元素の合計に対して有機金属化合物に含まれるチタン元素を6at%)に変更した以外は実施例1と同様にし、酸化亜鉛膜を取得した。膜厚は119nmであった。取得した酸化亜鉛膜の透過スペクトルを測定し、可視光領域の平均透過率及び、吸収端の測定をおこなった。可視光領域(580nm)の透過率、UV−A遮蔽率の測定結果を表2〜4に示す。

0052

(実施例4)
チタン(IV)イソプロポキシドをチタン(IV)エトキシドにした以外は実施例2と同様にし、酸化亜鉛膜を取得した。膜厚は128nmであった。
取得した酸化亜鉛膜の透過スペクトルを測定し、可視光領域の平均透過率及び、吸収端の測定をおこなった。可視光領域(580nm)の透過率、UV−A遮蔽率の測定結果を表2〜4に示す。

0053

(実施例5)
チタン(IV)イソプロポキシドをチタン(IV)テトラキス(2−エチルヘキシルオキシド)にした以外は実施例2と同様にし、酸化亜鉛膜を取得した。
取得した酸化亜鉛膜の透過スペクトルを測定し、可視光領域の平均透過率及び、吸収端の測定をおこなった。可視光領域(580nm)の透過率、UV−A遮蔽率の測定結果を表2に示す。

0054

(実施例6)
チタン(IV)イソプロポキシドをテトラキス(ジメチルアミノ)チタン(IV)にした以外は実施例2と同様にし、酸化亜鉛膜を取得した。膜厚は90nmであった。
取得した酸化亜鉛膜の透過スペクトルを測定し、可視光領域の平均透過率及び、吸収端の測定をおこなった。可視光領域(580nm)の透過率、UV−A遮蔽率の測定結果を表2〜4に示す。
XRD測定により膜構造の同定を行ったが、酸化亜鉛の回折ピークのみ確認することができ、チタンに由来する回折ピークは確認されなかった。

0055

(実施例7)
チタン(IV)イソプロポキシドをテトラキス(ジメチルアミノ)チタン(IV)にし、基板の加熱温度を150℃にした以外は実施例2と同様にし、酸化亜鉛膜を取得した。膜厚は74nmであった。
取得した酸化亜鉛膜の透過スペクトルを測定し、可視光領域の平均透過率及び、吸収端の測定をおこなった。可視光領域(580nm)の透過率、UV−A遮蔽率の測定結果を表2〜4に示す。

0056

(比較例1)
溶液の調整は窒素ガス雰囲気で行い、溶媒は全て脱水及び脱気して使用した。キシレン162.52gにジエチル亜鉛8.76gを加えた。十分に撹拌を行うことで塗布液を得た。
上記で得た塗布液を図1のスプレー成膜装置のスプレーボトルに充填した。5cm×5cmのCORNING社製EAGLEXGを基板ホルダに設置し、100℃に加熱した後、大気圧化、25℃、相対湿度50%と水が存在する空気中で、スプレーノズルより塗布液を1ml/min、キャリアガスの窒素を8L/minに設定し、8分間噴霧した。スプレーノズルはATOMAX社製アトマックスノズルAM6型を用いた。スプレーノズルより吐出する液滴の大きさは、3〜20μmの範囲であり、かつスプレーノズルと基板との距離を20cmとして行い、酸化亜鉛膜を取得した。膜厚は170nmであった。
取得した酸化亜鉛膜の透過スペクトルを測定し、可視光領域の平均透過率及び、吸収端の測定をおこなった。可視光領域(580nm)の透過率、UV−A遮蔽率の測定結果を表2〜4に示す。

0057

(比較例2)
基板の加熱温度を150℃に変更した以外は比較例1と同様にし、酸化亜鉛膜を取得した。膜厚は199nmであった。
取得した酸化亜鉛膜の透過スペクトルを測定し、可視光領域の平均透過率及び、吸収端の測定をおこなった。可視光領域(580nm)の透過率、UV−A遮蔽率の測定結果を表2〜4に示す。

0058

0059

実施例

0060

0061

本発明は、紫外線吸収膜などとして有用な酸化亜鉛薄膜の製造分野に有用である。

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