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技術 プロセスカートリッジ及び画像形成装置

出願人 キヤノン株式会社
発明者 中村延博西田孟奥田篤石塚由香渡部博之下澤秀春
出願日 2018年2月28日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2018-035738
公開日 2019年9月12日 (3ヶ月経過) 公開番号 2019-152700
状態 未査定
技術分野 電子写真における感光体 電子写真におけるクリーニング・その他
主要キーワード 面内変角 アルミニウム製支持体 金属アルコキシド基 加速電圧値 制限スリット 共重合ユニット ランプ強度 弾性変形率
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年9月12日)のものです。
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課題

長期使用における黒点黒スジの発生を抑制する画像形成装置を提供すること。

解決手段

本発明にかかる画像形成装置は、支持体と、感光層と、保護層と、をこの順に有する電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、前記転写手段により前記トナー像が前記電子写真感光体から転写された後の電子写真感光体上に残留したトナークリーニングブレードクリーニングするクリーニング手段と、を備えた画像形成装置であって、電子写真感光体の表面に炭素数が16以上18以下の脂肪酸金属塩を供給する脂肪酸金属塩供給手段を有し、保護層がトリフェニルアミン構造アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基、及び特定の構造を有する。

概要

背景

画像形成装置に搭載される電子写真感光体は、画質耐久性向上のために、これまで幅広い検討がなされてきた。
電子写真感光体(以下、単に「感光体」とも称する。)の耐摩耗性機械的耐久性)を向上させる方法として、感光体の表面にラジカル重合性樹脂を用い、耐摩耗性を向上する方法が検討されている。また、感光体の表面に潤滑剤を供給して耐摩耗性を改善する方法が検討されている。一方、耐摩耗性を向上させると、感光体の表面のクリーニングが難しくなり、黒点黒スジといった画像不良が問題となる場合がある。これは、感光体の表面の放電劣化部やそこに付着したトナーを、ブレードなどのクリーニング手段によって、感光体の表面を削り取りながら除去することが難しくなることが原因と考えられている。

特許文献1には、トリアリールアミン構造を有するモノマーと、ウレタン基及びアクリル基を有するモノマーを重合して得られる保護層で耐摩耗性を向上させた電子写真感光体を有する画像形成装置が記載されている。また、特許文献2には、感光体の表面に潤滑剤を供給し、その潤滑剤の皮膜を形成することでクリーニング性が向上し、画質安定性と耐摩耗性を改善した画像形成装置が記載されている。

概要

長期使用における黒点や黒スジの発生を抑制する画像形成装置を提供すること。本発明にかかる画像形成装置は、支持体と、感光層と、保護層と、をこの順に有する電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、前記転写手段により前記トナー像が前記電子写真感光体から転写された後の電子写真感光体上に残留したトナーをクリーニングブレードでクリーニングするクリーニング手段と、を備えた画像形成装置であって、電子写真感光体の表面に炭素数が16以上18以下の脂肪酸金属塩を供給する脂肪酸金属塩供給手段を有し、保護層がトリフェニルアミン構造アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基、及び特定の構造を有する。

目的

本発明の目的は、長期使用における黒点や黒スジの発生を抑制する画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

支持体と、感光層と、保護層と、をこの順に有する電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電する帯電手段と、前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナー現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を前記電子写真感光体から転写材転写する転写手段と、前記転写手段により前記トナー像が前記電子写真感光体から転写された後の電子写真感光体上に残留したトナーをクリーニングブレードクリーニングするクリーニング手段と、を備えた画像形成装置であって、前記電子写真感光体の表面に炭素数が16以上18以下の脂肪酸金属塩を供給する脂肪酸金属塩供給手段を有し、前記保護層がトリフェニルアミン構造アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基、及び下記一般式(1)又は(2)で示される構造を有し、(一般式(1)中、R1〜R12において、R1、R5、R9のうち少なくとも2つは下記一般式(3)で表される構造であり、残りの置換基水素原子又はメチル基である。)(一般式(2)中、R21〜R26において、R21、R23、R25のうち少なくとも2つは下記一般式(3)で表される構造であり、残りの置換基は水素原子又はメチル基である。)(一般式(3)中、R31は単結合又は置換基を有していてもよいメチレン基である。*は結合を有することを示す。)前記保護層における熱分解ガスクロマトグラフ質量分析により求める下記一般式(1’)又は(2’)で示される構造の含有量が前記保護層の全重量に対して10質量%以上20質量%以下であり、(一般式(1’)中、R1〜R12において、R1、R5、R9のうち少なくとも2つは下記一般式(3’)で表される構造であり、残りの置換基は水素原子又はメチル基である。)(一般式(2’)中、R21〜R26において、R21、R23、R25のうち少なくとも2つは下記一般式(3’)で表される構造であり、残りの置換基は水素原子又はメチル基である。)(一般式(3’)中、R31は単結合又は置換基を有していてもよいメチレン基である。)前記保護層における下記式(4)で表されるA値が0.020以上0.075以下であることを特徴とする画像形成装置。A=S1/S2(4)(式(4)中、S1及びS2は、内部反射エレメントとしてGeを用い、入射角として45°の測定条件を用いてフーリエ変換赤外分光全反射法により前記保護層の表面を測定して得たスペクトルピーク面積である。S1は、末端オレフィン(CH2=)面内変角振動に基づくピーク面積であり、S2は、C=O伸縮振動に基づくピーク面積である。)

請求項2

前記保護層が、下記一般式(5)で示される構造を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

請求項3

前記保護層がトリフェニルアミン構造、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基、及び一般式(1)で示される構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。

請求項4

前記保護層の純水に対する接触角が85°以上95°以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

請求項5

前記保護層のユニバーサル硬さの値HUが230以上260以下(N/mm2)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

請求項6

前記炭素数が16以上18以下の脂肪酸金属塩がステアリン酸亜鉛を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。

請求項7

前記保護層が、シロキサン構造、又はフルオロ基を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

請求項8

支持体と、感光層と、保護層と、をこの順に有する電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電する帯電手段と、前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像が前記電子写真感光体から転写された後の電子写真感光体上に残留したトナーをクリーニングブレードでクリーニングするクリーニング手段と、を備えた画像形成装置であって、前記電子写真感光体の表面に炭素数が16以上18以下の脂肪酸金属塩を供給する脂肪酸金属塩供給手段を有し、前記保護層がトリフェニルアミン構造、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基、及び下記一般式(1)又は(2)で示される構造を有し、(一般式(1)中、R1〜R12において、R1、R5、R9のうち少なくとも2つは下記一般式(3)で表される構造であり、残りの置換基は水素原子又はメチル基である。)(一般式(2)中、R21、R23、R25のうち少なくとも2つは下記一般式(3)で表される構造であり、残りの置換基は水素原子又はメチル基である。)(一般式(3)中、R31は単結合又は置換基を有していてもよいメチレン基である。*は結合を有することを示す。)前記保護層における熱分解ガスクロマトグラフ質量分析により求める下記一般式(1’)又は(2’)で示される構造の含有量が前記保護層の全重量に対して10質量%以上20質量%以下であり、(一般式(1’)中、R1〜R12において、R1、R5、R9のうち少なくとも2つは下記一般式(3’)で表される構造であり、残りの置換基は水素原子又はメチル基である。)(一般式(2’)中、R21〜R26において、R21、R23、R25のうち少なくとも2つは下記一般式(3’)で表される構造であり、残りの置換基は水素原子又はメチル基である。)(一般式(3’)中、R31は単結合又は置換基を有していてもよいメチレン基である。)前記保護層における下記式(4)で表されるA値が0.020以上0.075以下であることを特徴とするプロセスカートリッジ。A=S1/S2(4)(式(4)中、S1及びS2は、内部反射エレメントとしてGeを用い、入射角として45°の測定条件を用いてフーリエ変換赤外分光全反射法により前記保護層の表面を測定して得たスペクトルのピーク面積である。S1は、末端オレフィン(CH2=)面内変角振動に基づくピーク面積であり、S2は、C=O伸縮振動に基づくピーク面積である。)

請求項9

前記保護層が、下記一般式(5)で示される構造を有することを特徴とする請求項8に記載のプロセスカートリッジ。

請求項10

前記保護層がトリフェニルアミン構造、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基、及び一般式(1)で示される構造を有することを特徴とする請求項8又は9に記載のプロセスカートリッジ。

請求項11

前記保護層の純水に対する接触角が85°以上95°以下であることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。

請求項12

前記保護層のユニバーサル硬さの値HUが230以上260以下(N/mm2)であることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。

請求項13

前記炭素数が16以上18以下の脂肪酸金属塩がステアリン酸亜鉛を含有することを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。

請求項14

前記保護層が、シロキサン構造、又はフルオロ基を有することを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。

技術分野

0001

本発明は電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。

背景技術

0002

画像形成装置に搭載される電子写真感光体は、画質耐久性向上のために、これまで幅広い検討がなされてきた。
電子写真感光体(以下、単に「感光体」とも称する。)の耐摩耗性機械的耐久性)を向上させる方法として、感光体の表面にラジカル重合性樹脂を用い、耐摩耗性を向上する方法が検討されている。また、感光体の表面に潤滑剤を供給して耐摩耗性を改善する方法が検討されている。一方、耐摩耗性を向上させると、感光体の表面のクリーニングが難しくなり、黒点黒スジといった画像不良が問題となる場合がある。これは、感光体の表面の放電劣化部やそこに付着したトナーを、ブレードなどのクリーニング手段によって、感光体の表面を削り取りながら除去することが難しくなることが原因と考えられている。

0003

特許文献1には、トリアリールアミン構造を有するモノマーと、ウレタン基及びアクリル基を有するモノマーを重合して得られる保護層で耐摩耗性を向上させた電子写真感光体を有する画像形成装置が記載されている。また、特許文献2には、感光体の表面に潤滑剤を供給し、その潤滑剤の皮膜を形成することでクリーニング性が向上し、画質安定性と耐摩耗性を改善した画像形成装置が記載されている。

先行技術

0004

米国特許出願公開第2014/186758号明細書
特開2013−20012号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明者らの検討によると、特許文献1及び2に記載の画像形成装置では、長期使用における黒点や黒スジの発生に改善の余地があることが分かった。

0006

したがって、本発明の目的は、長期使用における黒点や黒スジの発生を抑制する画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかる画像形成装置は、支持体と、感光層と、保護層と、をこの順に有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電する帯電手段と、
前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
前記静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を前記電子写真感光体から転写材転写する転写手段と、
前記転写手段により前記トナー像が前記電子写真感光体から転写された後の電子写真感光体上に残留したトナーをクリーニングブレードでクリーニングするクリーニング手段と、
を備えた画像形成装置であって、
前記電子写真感光体の表面に炭素数が16以上18以下の脂肪酸金属塩を供給する脂肪酸金属塩供給手段を有し、
前記保護層がトリフェニルアミン構造アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基、及び下記一般式(1)又は(2)で示される構造を有し、



(一般式(1)中、R1〜R12において、R1、R5、及びR9のうち少なくとも2つは下記一般式(3)で表される構造であり、残りの置換基水素原子又はメチル基である。)



(一般式(2)中、R21〜R26において、R21、R23、及びR25のうち少なくとも2つは下記一般式(3)で表される構造であり、残りの置換基は水素原子又はメチル基である。)



(一般式(3)中、R31は単結合又は置換基を有していてもよいメチレン基である。*は結合を有することを示す。)
前記保護層における熱分解ガスクロマトグラフ質量分析により求める下記一般式(1’)又は(2’)で示される構造の含有量が前記保護層の全重量に対して10質量%以上20質量%以下であり、



(一般式(1’)中、R1〜R12において、R1、R5、及びR9のうち少なくとも2つは下記一般式(3’)で表される構造であり、残りの置換基は水素原子又はメチル基である。)



(一般式(2’)中、R21〜R26において、R21、R23、及びR25のうち少なくとも2つは下記一般式(3’)で表される構造であり、残りの置換基は水素原子又はメチル基である。)



(一般式(3’)中、R31は単結合又は置換基を有していてもよいメチレン基である。)
前記保護層における下記式(4)で表されるA値が0.020以上0.075以下であることを特徴とする。
A=S1/S2 (4)
(式(4)中、S1及びS2は、内部反射エレメントとしてGeを用い、入射角として45°の測定条件を用いてフーリエ変換赤外分光全反射法により前記保護層の表面を測定して得たスペクトルピーク面積である。S1は、末端オレフィン(CH2=)面内変角振動に基づくピーク面積であり、S2は、C=O伸縮振動に基づくピーク面積である。)

発明の効果

0008

本発明によれば、長期使用における黒点や黒スジの発生を抑制する画像形成装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

0009

本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジを説明する概略図である。

0010

本発明は、
支持体と、感光層と、保護層と、をこの順に有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電する帯電手段と、
前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
前記静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を前記電子写真感光体から転写材に転写する転写手段と、
前記転写手段により前記トナー像が前記電子写真感光体から転写された後の電子写真感光体上に残留したトナーをクリーニングブレードでクリーニングするクリーニング手段と、
を備えた画像形成装置であって、
前記電子写真感光体の表面に炭素数が16以上18以下の脂肪酸金属塩を供給する脂肪酸金属塩供給手段を有し、
前記保護層がトリフェニルアミン構造、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基、及び下記一般式(1)又は(2)で示される構造を有し、



(一般式(1)中、R1〜R12において、R1、R5、及びR9のうち少なくとも2つは下記一般式(3)で表される構造であり、残りの置換基は水素原子又はメチル基である。)



(一般式(2)中、R21〜R26において、R21、R23、及びR25のうち少なくとも2つは下記一般式(3)で表される構造であり、残りの置換基は水素原子又はメチル基である。)



(一般式(3)中、R31は単結合又は置換基を有していてもよいメチレン基である。*は結合を有することを示す。)
前記保護層における熱分解ガスクロマトグラフ質量分析により求める下記一般式(1’)又は(2’)で示される構造の含有量が前記保護層の全重量に対して10質量%以上20質量%以下であり、



(一般式(1’)中、R1〜R12において、R1、R5、及びR9のうち少なくとも2つは下記一般式(3’)で表される構造であり、残りの置換基は水素原子又はメチル基である。)



(一般式(2’)中、R21〜R26において、R21、R23、及びR25のうち少なくとも2つは下記一般式(3’)で表される構造であり、残りの置換基は水素原子又はメチル基である。)



(一般式(3’)中、R31は単結合又は置換基を有していてもよいメチレン基である。)
前記保護層における下記式(4)で表されるA値が0.020以上0.075以下であることを特徴とする。
A=S1/S2 (4)
(式(4)中、S1及びS2は、内部反射エレメントとしてGeを用い、入射角として45°の測定条件を用いてフーリエ変換赤外分光全反射法により前記保護層の表面を測定して得たスペクトルのピーク面積である。S1は、末端オレフィン(CH2=)面内変角振動に基づくピーク面積であり、S2は、C=O伸縮振動に基づくピーク面積である。)

0011

本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジが、黒点や黒スジの発生の抑制に優れる理由について、本発明者らは、以下のように推測している。
まず、従来技術について説明する。感光体の帯電時に感光体の表面への放電によって、感光体の表面の放電劣化や放電生成物の発生といった現象が起きる。これらの現象は、クリーニングブレードで感光体の表面のトナーを除去する際に影響を与える。感光体の表面の放電劣化が起きると、その活性化された表面にトナーや紙粉などの付着物が強固に付着しやすくなる。また、放電生成物が感光体の表面に堆積すると、クリーニングブレードと感光体の表面との摩擦が大きくなり、クリーニングブレードの挙動不安定化し、放電生成物や付着物を除去しにくくなる。このような部分が感光体の表面にあると、トナーが除去しきれずに残り、黒点や黒スジ状となって画像に現れる場合がある。

0012

ラジカル重合体の樹脂などを用いた保護層を設けて耐摩耗性を向上させた感光体では、感光体の表面を削りながら放電劣化部や放電生成物を除去することが難しいため、黒点や黒スジの画像不良が発生しやすい。これに対して、感光体の表面の摩耗量やクリーニングブレードの調整により、トナーの除去を行っているが、放電劣化や放電生成物の発生自体を抑えることは困難であるため、黒点や黒スジの問題を十分に解決するに至っていない。

0013

また、感光体の表面に潤滑剤を塗布して、感光体の表面に潤滑剤の皮膜を形成することでクリーニング性を向上し、画質安定性を高める方法が知られている。また、潤滑剤の機能は、潤滑性によるクリーニング性の向上のほかに、皮膜を形成することで、トナーや放電生成物の付着力を低減する機能や、放電劣化から保護する機能も有している。しかし、電子写真プロセスにおいて潤滑剤は感光体の表面から徐々に失われ、また、感光体の表面の放電劣化の代わりに潤滑剤が劣化するため、その機能は低下していく。そのため、長期間にわたって使用した際には、感光体の表面に供給された潤滑剤が十分でない箇所が発生するなど、その機能が十分に果たせない場合がある。特に、低温低湿下では放電が不安定になり、局所的に強い放電が発生し、放電生成物の発生や放電劣化が部分的に強く発生しやすい。このように、従来では特に低温低湿下で長期間にわたって使用した場合の黒点や黒スジの問題を十分に解決することができていなかった。

0014

初期から長期間の使用を通して、潤滑剤を正常に機能させて黒点や黒スジを抑制するためには、常に十分な量の潤滑剤の皮膜が形成されていること、及び劣化した潤滑剤が新しい潤滑剤に速やかに置き換わることが重要だと考えられる。この観点に着目して検討した結果、感光体の表面と潤滑剤の親和性を制御することが重要であることが分かった。すなわち、親和性が不十分だと、感光体の表面上で潤滑剤の欠乏部が生じてしまい、また、親和性が高すぎると劣化した潤滑剤と新しい潤滑剤との置き換わりが効率的に行われない。一般的に、極性部分同士又は非極性部分同士は親和性が良いことが知られている。本発明では、感光体の表面と潤滑剤に極性部分と非極性部分の両方を持たせて適度な親和性とし、初期から長期間の使用を通して黒点や黒スジを抑制することが可能となったと推測している。

0015

本発明では、感光体の表面に皮膜を形成させる潤滑剤として、炭素数が16以上18以下の脂肪酸金属塩を用いる。脂肪酸金属塩は、脂肪鎖からなる非極性部分と、金属と結合する極性部分を有する。これに対し、本発明に係る電子写真感光体は、感光体の表面となる保護層に、一般式(1)又は(2)で示される構造である非極性部分及び一般式(3)で示される構造である極性部分をもっている。これにより、主に炭素骨格からなる非極性部分と、比較的極性が強い部分の両方をもつことになる。

0016

そして、保護層における熱分解ガスクロマトグラフ質量分析(以下、「熱分解GCMS」と称する。)により求める一般式(1’)又は(2’)で示される構造の含有量が保護層の全重量に対して10質量%以上20質量%以下である必要がある。この範囲であると一般式(3)で示される構造が保護層中に適度な存在量となる。この範囲外であると、感光体の表面と炭素数が16以上18以下の脂肪酸金属塩とが適度な親和性を有さない。

0017

さらに、一般式(1’)又は(2’)で示される構造の含有量が上記範囲内であるときに、赤外分光全反射法を用いて保護層の表面を測定して得られる末端オレフィン(CH2=)面内変角振動に基づくピーク面積S1と、C=O伸縮振動に基づくピーク面積S2の比率A値(=S1/S2)を、0.020〜0.075の範囲内に制御することが必要であることが分かった。

0018

比率A値(=S1/S2)について説明する。本発明に係る電子写真感光体の保護層にはアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が含有される。(CH2=)はアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基の重合前の残基由来であり、重合度合を反映する。また、(C=O)はアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基および一般式(3)で示される構造である極性部分由来である。そのため、比率A値(=S1/S2)は重合体を含む保護層の表面における未重合のアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基の数を表す数値となる。本発明においては、A値が0.020以上0.075以下であると、保護層表面に適度にウレタン結合部が存在し、炭素数が16以上18以下の脂肪酸金属塩と適度な親和性となって、黒点や黒スジの発生を抑制できていると推測している。より好ましくは0.050以上0.065以下である。0.020未満であると、重合した保護層の表面側にウレタン結合部が出づらく、親和性が不十分になる部分ができてしまう。0.075を超えると、ウレタン結合部は表面に出やすくなるが、劣化した潤滑剤のかきとりがされにくくなり、黒点や黒スジの抑制が不十分になってしまうと推測している。

0019

次に一般式(1)及び一般式(2)で示される構造について説明する。
一般式(1)の具体例を構造式(1−1)〜(1−3)に示す。

0020

一般式(2)の具体例を構造式(2−1)〜(2−5)に示す。

0021

芳香環を有する一般式(2)で示される構造よりも脂環式基を有する一般式(1)で示される構造の方が放電による影響を受けにくく、好ましい。

0022

アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基、及び一般式(1)又は(2)で示される構造を有する化合物としてウレタンアクリレートを使用することができる。本発明で使用可能なウレタンアクリレートとしては、市販材料を用いても良く、公知の方法で合成した化合物を用いても良い。例えば、イソシアネート基を有する化合物と、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基及びヒドロキシル基を有する化合物を反応させる方法が挙げられる。反応条件としては、50〜80℃の条件下において、触媒として既存の有機スズ触媒(例えばジブチルスズジラウレート)を使用し、溶媒としてメチルエチルケトン酢酸エチルを使用する方法が挙げられる。

0023

イソシアネート基を有する化合物や、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基及びヒドロキシル基を有する化合物も、市販材料を用いても良く、公知の方法で合成した化合物を用いても良い。

0024

例えば、以下の構造式(L−1)で示されるウレタンアクリレートの合成例を示す。構造式(A−1)で表されるイソホロンジイソシアネート(東京化成工業社製)1モルと構造式(A−2)で表される2−ヒドロキシエチルアクリエート(商品名:ライトエステルOA共栄社化学社製)2モルとを80℃、RH30%の条件下で付加させることによってウレタンアクリレートを得ることができる。触媒としてはジブチルスズジラウレートを使用し、溶媒としてはメチルエチルケトンを使用することができる。

0025

なお、一般式(3)で表される構造において、*は結合を有する部分であり、感光体の表面と脂肪酸金属塩が適度な親和性を有するような、任意の構造と結合することができる。本発明において、一般式(3)で表される構造はウレタン構造であることが好ましく、*で示される結合を有する部分は酸素原子を介して一般式(3)で表される構造に結合する部分であることが好ましい。

0026

ウレタンアクリレートの具体例を構造式(L−2)〜(L−7)に示す。

0027

次に、保護層に含有されるトリフェニルアミン構造について説明する。保護層は電化輸送能が必要であるため、本発明では、感光体の保護層にトリフェニルアミン構造を存在させている。トリフェニルアミン構造は保護層の全重量に対して20質量%以上含まれていることが電化輸送能の点で好ましい。トリフェニルアミン構造をもつ化合物は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有していてもよい。アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有するトリフェニルアミン構造を有する合物の具体例を、構造式(OCL−1)〜(OCL−3)に示す。

0028

保護層中に一般式(5)の構造を含有することが好ましい。同一の構造を有する材料成分同士は凝集しやすい場合があり、保護層中において、極性の大きなウレタン結合同士、その他の非極性同士が凝集しやすい場合がある。そのため、保護層中に一般式(5)の構造を含有すると、嵩高さによって、同一成分の凝集による偏在を抑制して、表面の親和性がより均一となりやすいため好ましい。また、架橋点の増加により保護層の硬度が増加し、劣化した脂肪酸金属塩のクリーニングブレードによるかきとりが容易になり好ましい。

0029

本発明において、電子写真感光体の保護層のユニバーサル硬さの値HUは、230以上260以下(N/mm2)であると好ましい。この範囲内であると、劣化した脂肪酸金属塩が、クリーニングブレードにより、容易にかきとれるため好ましい。

0030

ユニバーサル硬さの値HUの測定方法は、フィッシャー硬度計(商品名:H100VP−HCU、フィッシャー社製)を用いて、温度23℃湿度50%RHの環境下にて測定する。まず、対面角136°のビッカース四角ダイヤモンド圧子を使用し、測定対象の保護層表面に圧子を押し込み、7秒かけて2mNまで荷重をかける。その後、7秒かけて徐々に荷重を減少させ、荷重が0mNになるまでの押し込み深さを連続的に測定した結果からユニバーサル硬さの値HUが求められる。

0031

本発明において、電子写真感光体の保護層の純水に対する接触角は、85°以上95°以下であることが好ましい。この範囲内にすることにより、保護層表面と脂肪酸金属塩の親和性が適度になる。

0032

また、保護層が純水に対する接触角85°以上95°以下から外れない範囲で、シロキサン構造又はフルオロ基を有すると、劣化した脂肪酸金属塩がさらに容易にかきとれるため、好ましい。

0033

本発明に係る電子写真感光体の保護層中の構造は一般的な分析手法解析可能である。例えば、固体13C−NMR測定質量分析測定、熱分解GCMS、赤外分光分析による特性吸収測定などの測定方法により確認することができる。

0034

本発明で用いる脂肪酸金属塩は、炭素数が16以上18以下である必要がある。脂肪酸金属塩を構成する高級脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸ヘプタデカン酸ステアリン酸などが挙げられる。また、脂肪酸金属塩を構成する金属としては、亜鉛アルミニウムカルシウムマグネシウム、鉄、リチウムなどが挙げられる。より具体的には、脂肪酸金属塩としては、パルミチン酸リチウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸バリウム等のパルミチン酸金属塩ステアリン酸リチウムステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウムステアリン酸カルシウムステアリン酸バリウムステアリン酸亜鉛等のステアリン酸金属塩等を挙げることができる。これら脂肪酸金属塩の中でもステアリン酸亜鉛が好ましい。また、脂肪酸金属塩は、単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。さらに、劈開性を有する無機滑剤と併用してもよい。無機滑剤としては、例えば、窒化ホウ素二硫化モリブデン二硫化タングステンタルクカオリンモンモリロナイトフッ化カルシウムマイカなどが挙げられる。

0035

脂肪酸金属塩の供給方法としては、電子写真感光体の表面に脂肪酸金属塩を供給する供給手段を備える画像形成装置又はプロセスカートリッジに電子写真感光体を搭載し供給手段により脂肪酸金属塩を供給する方法が挙げられる。また、脂肪酸金属塩を含む現像剤を収容した現像手段を備える画像形成装置又はプロセスカートリッジに電子写真感光体を搭載し現像剤により脂肪酸金属塩を供給してする方法が挙げられる。例えば、脂肪酸金属塩として、脂肪酸金属塩を有するトナーを現像剤として用いることができる。脂肪酸金属塩を有するトナーとは、例えば、トナー粒子に脂肪酸金属塩が外添されたトナーである。

0036

以上のメカニズムのように、各構成が相乗的に効果を及ぼし合うことによって、本発明の効果を達成することが可能となる。

0037

[電子写真感光体]
本発明に係る電子写真感光体は、支持体と、感光層と、保護層とを有することを特徴とする。
本発明に係る電子写真感光体を製造する方法としては、後述する各層の塗布液を調製し、所望の層の順番に塗布して、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布スプレー塗布インクジェット塗布ロール塗布、ダイ塗布、ブレード塗布、カーテン塗布ワイヤーバー塗布、リング塗布などが挙げられる。これらの中でも、効率性及び生産性の観点から、浸漬塗布が好ましい。
以下、各層について説明する。

0038

<支持体>
本発明において、電子写真感光体は、支持体を有する。本発明において、支持体は導電性を有する導電性支持体であることが好ましい。また、支持体の形状としては、円筒状、ベルト状、シート状などが挙げられる。中でも、円筒状支持体であることが好ましい。また、支持体の表面に、陽極酸化などの電気化学的な処理や、ブラスト処理切削処理などを施してもよい。
支持体の材質としては、金属、樹脂、ガラスなどが好ましい。
金属としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金、ステンレスや、これらの合金などが挙げられる。中でも、アルミニウムを用いたアルミニウム製支持体であることが好ましい。
また、樹脂やガラスには、導電性材料を混合又は被覆するなどの処理によって、導電性を付与してもよい。

0039

導電層
本発明において、支持体の上に、導電層を設けてもよい。導電層を設けることで、支持体表面の傷や凹凸隠蔽することや、支持体表面における光の反射を制御することができる。
導電層は、導電性粒子と、樹脂と、を含有することが好ましい。

0040

導電性粒子の材質としては、金属酸化物、金属、カーボンブラックなどが挙げられる。
金属酸化物としては、酸化亜鉛酸化アルミニウム酸化インジウム酸化ケイ素酸化ジルコニウム酸化スズ酸化チタン酸化マグネシウム酸化アンチモン酸化ビスマスなどが挙げられる。金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などが挙げられる。
これらの中でも、導電性粒子として、金属酸化物を用いることが好ましく、特に、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛を用いることがより好ましい。

0041

導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、金属酸化物の表面をシランカップリング剤などで処理したり、金属酸化物にリンやアルミニウムなど元素やその酸化物ドーピングしたりしてもよい。

0042

また、導電性粒子は、芯材粒子と、その粒子を被覆する被覆層とを有する積層構成としてもよい。芯材粒子としては、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛などが挙げられる。被覆層としては、酸化スズなどの金属酸化物が挙げられる。
また、導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、その体積平均粒子径が、1nm以上500nm以下であることが好ましく、3nm以上400nm以下であることがより好ましい。

0044

導電層の平均膜厚は、1μm以上50μm以下であることが好ましく、3μm以上40μm以下であることが特に好ましい。

0045

導電層は、上述の各材料及び溶剤を含有する導電層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤エーテル系溶剤エステル系溶剤芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。導電層用塗布液中で導電性粒子を分散させるための分散方法としては、ペイントシェーカーサンドミルボールミル液衝突高速分散機を用いた方法が挙げられる。

0046

下引き層
本発明において、支持体又は導電層の上に、下引き層を設けてもよい。下引き層を設けることで、層間の接着機能が高まり、電荷注入阻止機能を付与することができる。

0047

下引き層は、樹脂を含有することが好ましい。また、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として下引き層を形成してもよい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂ポリエチレンオキシド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂ポリアミド酸樹脂ポリイミド樹脂ポリアミドイミド樹脂セルロース樹脂などが挙げられる。
重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基メチロール基アルキル化メチロール基、エポキシ基金属アルコキシド基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基チオール基カルボン酸無水物基炭素炭素二重結合基などが挙げられる。

0048

また、下引き層は、電気特性を高める目的で、電子輸送物質、金属酸化物、金属、導電性高分子などをさらに含有してもよい。これらの中でも、電子輸送物質、金属酸化物を用いることが好ましい。
電子輸送物質としては、キノン化合物イミド化合物ベンズイミダゾール化合物シクロペンタジエニリデン化合物フルオレノン化合物、キサントン化合物ベンゾフェノン化合物シアノビニル化合物、ハロゲン化アリール化合物シロール化合物含ホウ素化合物などが挙げられる。電子輸送物質として、重合性官能基を有する電子輸送物質を用い、上述の重合性官能基を有するモノマーと共重合させることで、硬化膜として下引き層を形成してもよい。
金属酸化物としては、酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素などが挙げられる。金属としては、金、銀、アルミなどが挙げられる。
また、下引き層は、添加剤をさらに含有してもよい。

0049

下引き層の平均膜厚は、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.2μm以上40μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上30μm以下であることが特に好ましい。

0050

下引き層は、上述の各材料及び溶剤を含有する下引き層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥及び/又は硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。

0051

<感光層>
本発明に係る電子写真感光体の感光層は、主に、(1)積層型感光層と、(2)単層型感光層とに分類される。(1)積層型感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、を有する。(2)単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を共に含有する感光層を有する。

0052

(1)積層型感光層
積層型感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層と、を有する。

0053

(1−1)電荷発生層
電荷発生層は、電荷発生物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。

0054

電荷発生物質としては、アゾ顔料ペリレン顔料多環キノン顔料インジゴ顔料フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン顔料クロロガリウムフタロシアニン顔料ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。

0055

樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂ポリ酢酸ビニル樹脂ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。
また、電荷発生層は、酸化防止剤紫外線吸収剤などの添加剤をさらに含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物ヒンダードアミン化合物硫黄化合物リン化合物、ベンゾフェノン化合物、などが挙げられる。

0056

電荷発生層の平均膜厚は、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.4μm以下であることがより好ましい。

0057

電荷発生層は、上述の各材料及び溶剤を含有する電荷発生層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。

0058

(1−2)電荷輸送層
電荷輸送層は、電荷輸送物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。

0059

電荷輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物複素環化合物ヒドラゾン化合物スチリル化合物エナミン化合物ベンジジン化合物トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。

0060

樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂としては、特にポリアリレート樹脂が好ましい。
電荷輸送物質と樹脂との含有量比質量比)は、4:10〜20:10が好ましく、5:10〜12:10がより好ましい。

0061

また、電荷輸送層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤レベリング剤滑り性付与剤耐摩耗性向上剤などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子ポリスチレン樹脂粒子ポリエチレン樹脂粒子シリカ粒子アルミナ粒子窒化ホウ素粒子などが挙げられる。

0062

電荷輸送層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、8μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることが特に好ましい。

0063

電荷輸送層は、上述の各材料及び溶剤を含有する電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤又は芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。

0064

(2)単層型感光層
単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂及び溶剤を含有する感光層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂としては、上記「(1)積層型感光層」における材料の例示と同様である。

0065

<保護層>
本発明に係る電子写真感光体は、感光層の上に保護層を有する。保護層は、トリフェニルアミン構造及びアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を含むモノマー、並びに一般式(1)又は(2)で示される構造及びアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を含むモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として形成してもよい。また、組成物は、トリフェニルアミン構造、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基、及び一般式(1)又は(2)で示される構造を有するモノマーの他にも重合性官能基を有するモノマーを含んでいてもよい。重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーとして、電荷輸送能を有する材料を用いてもよい。

0066

保護層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤、などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。

0067

保護層は、導電性粒子及び/又は電荷輸送物質と、樹脂とを含有してもよい。
導電性粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物の粒子が挙げられる。
電荷輸送物質としては、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましい。

0068

保護層は、上述の各材料及び溶剤を含有する保護層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥及び/又は硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、スルホキシド系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。

0069

保護層用塗布液の塗膜を硬化させる手段としては、熱、紫外線又は電子線等の放射線によって硬化させる方法が挙げられる。保護層の強度、電子写真感光体の耐久性を維持するためには、紫外線又は電子線を用いて硬化させることが好ましい。電子線を用いる場合、電子線の加速電圧は、重合効率を損なわずに電子線による材料特性劣化を抑制できる観点から、120kV以下であることが好ましい。A値の調整は、加速電圧値照射時間を変化させて保護層用塗布液の塗膜の表面での電子線吸収線量を変化させることにより調整できる。また、酸素による重合阻害作用を抑制するため、不活性ガス雰囲気で電子線を照射した後、不活性ガス雰囲気で加熱することで硬化が促進できる。そのため、酸素濃度電子線照射後過熱の有無でもA値の調整は可能である。不活性ガスとしては、例えば、窒素アルゴンヘリウムが挙げられる。

0070

保護層の平均膜厚は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることが好ましい。

0071

[プロセスカートリッジ、画像形成装置]
本発明のプロセスカートリッジは、これまで述べてきた電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、及びクリーニング手段及び脂肪酸金属塩供給手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であることを特徴とする。

0072

また、本発明の画像形成装置は、これまで述べてきた電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段及び脂肪酸金属塩供給手段を有することを特徴とする。

0073

図1に、電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する画像形成装置の概略構成の一例を示す。
円筒状の電子写真感光体1は、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、帯電手段3により、正又は負の所定電位に帯電される。なお、図1においては、ローラ型帯電部材によるローラ帯電方式を示しているが、コロナ帯電方式近接帯電方式注入帯電方式などの帯電方式を採用してもよい。帯電された電子写真感光体1の表面には、露光手段(不図示)から露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容されたトナーで現像され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により、転写材7に転写される。トナー像が転写された転写材7は、定着手段8へ搬送され、トナー像の定着処理を受け、画像形成装置の外へプリントアウトされる。画像形成装置は、転写後の電子写真感光体1の表面に残ったトナーなどの付着物を除去するための、クリーニング手段9を有していてもよい。クリーニング手段はウレタン樹脂を有するクリーニングブレードであることが好ましい。また、クリーニング手段9を別途設けず、上記付着物を現像手段5などで除去する、所謂、クリーナーレスシステムを用いてもよい。画像形成装置は、電子写真感光体1の表面を、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理する除電機構を有していてもよい。図1においては脂肪酸金属塩供給手段13はクリーニング手段9の回転上流側に設けているが別の位置に設けてもよい。脂肪酸金属塩として、脂肪酸金属塩を有するトナーを現像剤として用いる場合、脂肪酸金属塩供給手段13を設けずに、現像手段5を脂肪酸金属塩供給手段13として用いてもよい。また、本発明のプロセスカートリッジ11を画像形成装置本体に着脱するために、レールなどの案内手段12を設けてもよい。

0074

本発明の画像形成装置は、レーザービームプリンターLEDプリンター、複写機ファクシミリ、及び、これらの複合機とすることができる。

0075

以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。

0076

<電子写真感光体の製造>
〔実施例1〕
直径24mm、長さ257mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を支持体(導電性支持体)とした。
次に、金属酸化物粒子としての酸素欠損型酸化スズ(SnO2)で被覆されている酸化チタン(TiO2)粒子(平均一次粒子径230nm)214部、結着材料としてのフェノール樹脂(フェノール樹脂のモノマー/オリゴマー)(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分:60質量%)132部、及び、溶剤としての1−メトキシ2−プロパノール98部を、直径0.8mmのガラスビーズ450部を用いたサンドミルに入れ、回転数を2000rpm、分散処理時間を4.5時間、冷却水設定温度を18℃の条件で分散処理を行い、分散液を得た。この分散液からメッシュ(目開き:150μm)でガラスビーズを取り除いた。ガラスビーズを取り除いた後の分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して10質量%になるように、表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンスマテリアルズ(株)製、平均粒径2μm)を分散液に添加し、また、分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して0.01質量%になるように、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)を分散液に添加した。次に、分散液中の金属酸化物粒子と結着材料と表面粗し付与材の合計質量(すなわち、固形分の質量)が分散液の質量に対して67質量%になるように、メタノールと1−メトキシ−2−プロパノールの混合溶剤(質量比1:1)を分散液に添加し、攪拌することによって、導電層用塗布液を調製した。この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、これを1時間140℃で加熱することによって、膜厚が30μmの導電層を形成した。

0077

次に構造式(E−1)で示される電子輸送物質4部、ブロックイソシアネート(商品名:デュラネートSBN−70D、旭化成ケミカルズ(株)製)5.5部、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックKS−5Z、積水化学工業(株)製)0.3部、及び触媒としてのヘキサン酸亜鉛(II)(三津和化学薬品(株)製)0.05部を、テトラヒドロフラン50部と1−メトキシ−2−プロパノール50部の混合溶媒に溶解して下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、これを30分間170℃で加熱することによって、膜厚が0.7μmの下引き層を形成した。

0078

次に、CuKα特性X線回折より得られるチャートにおいて、7.5°及び28.4°の位置にピークを有する結晶形ヒドロキシガリウムフタロシアニン10部とポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業社製)5部をシクロヘキサノン200部に添加し、直径0.9mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で6時間分散し、これにシクロヘキサノン150部と酢酸エチル350部をさらに加えて希釈して電荷発生層用塗布液を得た。得られた塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、95℃で10分間乾燥することにより、膜厚が0.20μmの電荷発生層を形成した。なお、X線回折の測定は、次の条件で行ったものである。

0079

粉末X線回折測定
使用測定機:理学電気(株)製、X線回折装置RINT−TTRII
X線管球:Cu
管電圧:50KV
管電流:300mA
スキャン方法:2θ/θスキャン
スキャン速度:4.0°/min
サンプリング間隔:0.02°
スタート角度(2θ):5.0°
ストップ角度(2θ):40.0°
アタッチメント標準試料ホルダー
フィルター:不使用
インシデントモノクロ:使用
カウンターモノクロメーター:不使用
発散スリット開放
発散制限スリット:10.00mm
散乱スリット:開放
受光スリット:開放
平板モノクロメーター:使用
カウンター:シンチレーションカウンター

0080

次に、構造式(C−1)で示される電荷輸送物質(正孔輸送性物質)6部、構造式(C−2)で示される電荷輸送物質(正孔輸送性物質)3部、構造式(C−3)で示される電荷輸送物質(正孔輸送性物質)1部、ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)10部、及び、構造式(C−4)と構造式(C−5)で示される共重合ユニットを有するポリカーボネート樹脂0.02部(x/y=9/1、Mv=20000)、o−キシレン25部、安息香酸メチル25部、及びジメトキシメタン25部の混合溶剤に溶解させることによって電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、塗膜を30分間120℃で乾燥させることによって、膜厚が12μmの電荷輸送層を形成した。

0081

次に、構造式(OCL−1)で示される化合物10.0部、構造式(L−1)で示される化合物2.5部を、2−プロパノール72部とテトラヒドロフラン8部の混合溶剤と混合し、撹拌した。このようにして、保護層用塗布液を調製した。この保護層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を6分間50℃で乾燥させた。その後、窒素雰囲気下にて、加速電圧70kV、ビーム電流4.0mAの条件で支持体(被照射体)を300rpmの速度で回転させながら、1.4秒間電子線を塗膜に照射した。電子線照射時の酸素濃度は200ppmであった。次に、大気中において塗膜の温度が25℃になるまで自然冷却した後、塗膜の温度が120℃になる条件で1時間加熱処理を行い、膜厚3μmの保護層を形成した。このようにして、保護層を有する、円筒状(ドラム状)の実施例1の感光体を製造した。

0082

〔実施例2〜29、比較例1〜14〕
実施例1において、構造式(OCL−1)で示される化合物の種類と量、構造式(L−1)で示される化合物の種類と量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作成した。なお、電子線照射条件を以下の表2に記載する。

0083

〔実施例30〕
構造式(OCL−1)で示される化合物10.0部、構造式(L−1)で示される化合物10.2部及びシロキサン変性アクリル化合物0.2部(BYK−3550、ビックケミー・ジャパン(株)製)を、2−プロパノール72部とテトラヒドロフラン8部の混合溶剤と混合し、撹拌した。このようにして、保護層用塗布液を調製した。
この保護層用塗布液を用いて、実施例1と同様に、実施例30の感光体を製造した。なお、電子線照射条件を以下の表2に記載する。

0084

〔実施例31〕
実施例30において、シロキサン変性アクリル化合物0.2部(BYK−3550、ビックケミー・ジャパン(株)製)を、フッ素原子含有樹脂0.2部(商品名:GF−400、東亜合成(株)製)に変更する以外は実施例30と同様にして、実施例31の感光体を作製した。

0085

0086

0087

分析
作製した実施例1〜31の感光体と比較例1〜14の感光体を使用して、以下の条件で分析した。
得られた感光体の表面を剃刀そぎ落とし、保護層を剥離した。最初にこの保護層をクロロホルムに浸した。クロロホルムに不溶の保護層を取り出し乾燥させた後に、下記手順で熱分解GCMSによる測定を行った。TMAHメチル化剤試料熱分解装置(商品名:JPS−700、日本分析工業株式会社製)で加熱分解し、GCMS(商品名:ISQ(FOCUS GC)、Thermo Fischer Scientic社製)に試料を導入し、分析を実施した。また、TMAHメチル化剤を使用しない場合でも同様の分析を実施した。この測定で、トリフェニルアミン構造、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を検出した。また、TMAHメチル化剤を使用しない分析において、市販の標品を用いて検量線を引くことで保護層の全重量に対する一般式(1’)又は(2’)で示される構造の含有量を求めた。

0088

また、弾性変形率はフィッシャー硬度計(商品名:H100VP−HCU、フィッシャー社製)を用いて、温度23℃湿度50%RHの環境下にて測定した。圧子として対面角136°のビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を使用し、測定対象の保護層表面に該ダイヤモンド圧子を押し込み、7秒かけて2mNまで荷重をかけた。その後、7秒かけて徐々に減少させて荷重が0mNになるまでの押し込み深さを連続的に測定した。その結果からユニバーサル硬さの値HUを求めた。

0089

次に、フーリエ変換赤外分光全反射法を用いて感光体の表面の赤外分光スペクトルを以下の条件で測定し、A値を求めた。S1は1413cm−1〜1400cm−1のピーク面積、S2は1770cm−1〜1700cm−1のピーク面積とした。
(測定条件)
装置: FT/IR−420(日本分光(株)製)
付属装置ATR装置
IRE(内部反射エレメント):Ge
入射角:45度
積算回数:320回
これらの分析結果を表1に記載する。

0090

<評価>
実施例1〜25、30、及び31で作製した感光体と比較例1〜8及び14で作製した感光体を使用して、以下の条件で黒点及び黒スジを評価した。
画像形成装置には、ヒューレットパッカード社製のレーザービームプリンター、商品名HP LaserJet Enterprise Color M553dnの改造機を使用した。改造点としては、プロセスカートリッジに脂肪酸金属塩の供給部材を取り付けた。脂肪酸金属塩はステアリン酸亜鉛を使用した。取り付け位置はクリーニングブレードよりも、感光体の回転方向上流側に設けた。また、帯電ローラへの印加電圧の調節及び測定、像露光光量の調節及び測定ができるように改造した。
最初に画像形成装置及び感光体を、温度15℃、湿度10%RHの環境に24時間以上放置した後に、実施例及び比較例の感光体を画像形成装置のシアン色のカートリッジに装着した。
次に、印加電圧を感光体の帯電電位Vdが−700Vとなるように設定した。次に、A4サイズ普通紙でシアン単色にてベタ画像の出力を行い、分光濃度計(商品名:X−Rite504、X−Rite(株)製)にて紙上の濃度が1.45となるように像露光光量を設定した。

0091

次に、画像の評価を行った。通紙耐久試験では、印字率1%の文字画像レター紙、シアン単色にて間欠モードプリント操作を行い10000枚出力した。その後、本レーザビームプリンター用のトナーを補給し、さらに10000枚の画像出力(合計20000枚)を行った。
そして、10000枚画像出力終了時、20000枚画像出力終了時に各1枚の画像評価用サンプル(ハーフトーン画像ベタ白画像)を出力した。出力画像の黒点、黒スジを目視し、下記の基準で評価した。用いた脂肪酸金属塩及び結果を表3に示す。

0092

評価ランクは以下の通りとした。
ランク5:黒点、黒スジの数が0個
ランク4:黒ポチが1〜2個かつ黒スジの数が0個
ランク3:黒ポチが3個かつ黒スジが0個
ランク2:黒ポチが4〜6個又は黒スジが1個
ランク1:黒ポチが7個以上又は黒スジが2個以上

0093

0094

<実施例26の感光体の評価>
脂肪酸金属塩の種類をパルミチン酸亜鉛に変更した以外は実施例1の感光体と同様に評価した。用いた脂肪酸金属塩及び結果を表3に示す。

0095

<実施例27の感光体の評価>
脂肪酸金属塩の種類をステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の2種類に変更した以外は実施例1の感光体と同様に評価した。用いた脂肪酸金属塩及び結果を表3に示す。

0096

<実施例28の感光体の評価>
脂肪酸金属塩の種類をステアリン酸カルシウムに変更した以外は実施例1の感光体と同様に評価した。用いた脂肪酸金属塩及び結果を表3に示す。

0097

<実施例29の感光体の評価>
脂肪酸金属塩の供給部材を取り外し、本レーザービームプリンター用のトナーを、トナー粒子の重量に対してステアリン酸亜鉛を追加で0.2質量%外添したトナーに変更した以外は実施例1の感光体と同様に評価した。用いた脂肪酸金属塩及び結果を表3に示す。

0098

<比較例9の感光体の評価>
脂肪酸金属塩の種類をラウリン酸亜鉛に変更した以外は実施例1の感光体と同様に評価した。結果を表3に示す。

0099

<比較例10〜13の感光体の評価>
脂肪酸金属塩の供給部材を取り外した以外は実施例1の感光体と同様に評価した。用いた脂肪酸金属塩及び結果を表3に示す。

0100

〔実施例32〕
構造式(OCL−1)で示される化合物10.0部、構造式(L−1)で示される化合物13.6部、構造式(7)で示される1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1部を、2−プロパノール72部とテトラヒドロフラン8部の混合溶剤と混合し、撹拌した。このようにして、保護層用塗布液を調製した。



この保護層用塗布液を、実施例1と同様にして電荷輸送層までを形成した感光体の電荷輸送層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を6分間50℃で乾燥させた。その後、無電極ランプバルブ(ヘレウス株式会社製)を用い、ランプ強度0.6W/cm2の条件で支持体(被照射体)を300Rpmの速度で回転させながら、紫外線を10秒間塗膜に照射した。次に、塗膜の温度が25℃になるまで自然冷却した後、塗膜の温度が120℃になる条件で1時間加熱処理を行い、膜厚3μmの保護層を形成した。このようにして感光体を作製した。

0101

〔実施例33〕
ランプ強度を0.4W/cm2、照射時間を3秒に変更する以外は、実施例32と同様にして実施例33の感光体を作製した。

0102

〔比較例15〕
ラジカル重合性モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:KAYARADTMPTA日本化薬製)9部、構造式(OCL−4)で示される重合性官能基を有する電荷輸送化合物9部及び重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)2部をテトラヒドロフラン100部に溶解させることによって、保護層用塗布液を調整した。この保護層用塗布液を、実施例1と同様にして電荷輸送層までを形成した感光体の電荷輸送層上にスプレー塗布し、照射強度0.6W/cm2のメタルハライドランプを用いて50秒間光を塗膜に照射した。その後、30分130℃乾燥を行い、膜厚5μmである保護層を形成し、比較例15の感光体を作成した。

0103

〔比較例16〕
実施例32において、ランプ強度を0.3W/cm2、照射時間を2秒に変更する以外は、実施例32と同様にして感光体を作製した。

0104

紫外線照射条件
実施例32及び33で作製した感光体並びに比較例15及び16で作製した感光体の紫外線照射条件を以下の表4に記載する。

0105

0106

<分析>
実施例32及び33で作製した感光体、並びに比較例15及び16で作製した感光体を、実施例1の感光体と同様に分析した。分析結果を表5に記載する。

0107

0108

<評価>
作製した実施例32及び33の感光体並びに比較例15及び16の感光体を、実施例1の感光体と同様に評価した。用いた脂肪酸金属塩及び結果を表6に示す。

実施例

0109

0110

1電子写真感光体
2 軸
3帯電手段
4露光光
5現像手段
6転写手段
7転写材
8定着手段
9クリーニング手段
10前露光光
11プロセスカートリッジ
12 案内手段
13脂肪酸金属塩供給手段

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