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技術 可動回折格子、外部共振器型レーザモジュール、可動回折格子の製造方法

出願人 浜松ホトニクス株式会社
発明者 枝村忠孝杉山厚志道垣内龍男
出願日 2018年2月28日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-035441
公開日 2019年9月12日 (7ヶ月経過) 公開番号 2019-152687
状態 未査定
技術分野 半導体レーザ 機械的光制御・光スイッチ マイクロマシン 回折格子、ホログラム光学素子
主要キーワード 中心線周り 正弦波状断面 応力調整 反射低減膜 ホログラフィックグレーティング スタック状 中赤外領域 反り方向
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年9月12日)のものです。
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図面 (13)

課題

入射した光を精度良く回折及び反射することができる可動回折格子、そのような可動回折格子を備える外部共振器型レーザモジュール、及び、そのような可動回折格子の製造方法を提供する。

解決手段

可動回折格子10は、支持部11と、第1表面13aを有し、支持部11に揺動可能に連結された可動部13と、第1表面13aに沿うように第1表面13a上に設けられ、回折格子パターン35が形成された樹脂層17と、回折格子パターン35に沿うように樹脂層17上に設けられ、金属により形成された反射層18と、可動部13に応力を生じさせる応力調整部19と、を備える。第1表面13aは、当該応力によって凹状に湾曲させられている。

概要

背景

MEMSデバイスとして、支持部と、支持部に揺動可能に連結された可動部と、可動部上に設けられ、回折格子パターンが形成された金属膜と、を備える可動回折格子が知られている(例えば特許文献1参照)。このような可動回折格子では、例えば可動部がその共振周波数レベル高速に揺動させられる。

概要

入射した光を精度良く回折及び反射することができる可動回折格子、そのような可動回折格子を備える外部共振器型レーザモジュール、及び、そのような可動回折格子の製造方法を提供する。可動回折格子10は、支持部11と、第1表面13aを有し、支持部11に揺動可能に連結された可動部13と、第1表面13aに沿うように第1表面13a上に設けられ、回折格子パターン35が形成された樹脂層17と、回折格子パターン35に沿うように樹脂層17上に設けられ、金属により形成された反射層18と、可動部13に応力を生じさせる応力調整部19と、を備える。第1表面13aは、当該応力によって凹状に湾曲させられている。

目的

本発明は、入射した光を精度良く回折及び反射することができる可動回折格子、そのような可動回折格子を備える外部共振器型レーザモジュール、及び、そのような可動回折格子の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

支持部と、第1表面を有し、前記支持部に揺動可能に連結された可動部と、前記第1表面に沿うように前記第1表面上に設けられ、回折格子パターンが形成された樹脂層と、前記回折格子パターンに沿うように前記樹脂層上に設けられ、金属により形成された反射層と、前記可動部に応力を生じさせる応力調整部と、を備え、前記第1表面は、前記応力によって凹状に湾曲させられている、可動回折格子

請求項2

前記応力調整部は、前記第1表面と対向する第2表面上に層状に設けられている、請求項1に記載の可動回折格子。

請求項3

前記応力調整部は、前記第1表面と対向する第2表面上に設けられた第1層と、前記第1層上に設けられた第2層と、を有している、請求項1又は2に記載の可動回折格子。

請求項4

前記第1層及び前記第2層のそれぞれは、酸化膜である、請求項3に記載の可動回折格子。

請求項5

前記第1層が前記可動部に生じさせる単位厚さ当たりの応力は、前記第2層が前記可動部に生じさせる単位厚さ当たりの応力よりも大きい、請求項3又は4に記載の可動回折格子。

請求項6

前記回折格子パターンは、前記可動部が揺動する中心線に平行な方向に沿って延在する複数の溝を有するブレーズドグレーティングパターンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の可動回折格子。

請求項7

前記中心線に沿って延在し、前記支持部と前記可動部とを互いに連結するトーションバーを更に備える、請求項6に記載の可動回折格子。

請求項8

前記第1表面は、前記可動部が揺動する中心線と直交する第1断面において、凹状に湾曲させられている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の可動回折格子。

請求項9

前記第1表面は、前記第1断面と直交する第2断面において、凹状に湾曲させられている、請求項8に記載の可動回折格子。

請求項10

前記可動部は、前記第1表面と直交する方向から見た場合に、円形状を呈している、請求項1〜9のいずれか一項に記載の可動回折格子。

請求項11

前記第1表面と対向する第2表面は、前記応力調整部が生じさせる前記応力によって凸状に湾曲させられている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の可動回折格子。

請求項12

請求項1〜11のいずれか一項に記載の可動回折格子と、レーザ素子と、を備え、前記可動回折格子は、前記レーザ素子により発振された光を回折及び反射させることにより、前記光のうち特定波長の光を前記レーザ素子に帰還させる、外部共振器型レーザモジュール

請求項13

請求項1〜11のいずれか一項に記載の可動回折格子の製造方法であって、前記支持部及び前記可動部に対応する部分を含む基板を用意し、前記樹脂層及び前記反射層を形成する第1ステップと、前記第1ステップの後に、前記応力調整部を形成して前記可動部に前記応力を生じさせることにより、前記第1表面を凹状に湾曲させる第2ステップと、を備える、可動回折格子の製造方法。

請求項14

前記第2ステップでは、スパッタリングにより、前記応力調整部の少なくとも一部を形成する、請求項13に記載の可動回折格子の製造方法。

請求項15

前記基板は、半導体層及び絶縁層を有し、前記第2ステップでは、前記絶縁層の一部が残るように前記絶縁層の残部をエッチングによって除去することにより、前記応力調整部の少なくとも一部を形成する、請求項13又は14に記載の可動回折格子の製造方法。

請求項16

前記第2ステップでは、前記絶縁層をエッチングストップ層として前記半導体層をエッチングする、請求項15に記載の可動回折格子の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスとして構成される可動回折格子、当該可動回折格子を備える外部共振器型レーザモジュール、及び、当該可動回折格子の製造方法に関する。

背景技術

0002

MEMSデバイスとして、支持部と、支持部に揺動可能に連結された可動部と、可動部上に設けられ、回折格子パターンが形成された金属膜と、を備える可動回折格子が知られている(例えば特許文献1参照)。このような可動回折格子では、例えば可動部がその共振周波数レベル高速に揺動させられる。

先行技術

0003

特許第5351729号公報

発明が解決しようとする課題

0004

上述したような可動回折格子において、回折格子パターンの設計の自由度を向上するために、可動部上に樹脂層を設け、当該樹脂層に回折格子パターンを形成することが考えられる。しかしながら、そのような構成においては、入射した光を精度良く回折及び反射することができない場合がある。

0005

そこで、本発明は、入射した光を精度良く回折及び反射することができる可動回折格子、そのような可動回折格子を備える外部共振器型レーザモジュール、及び、そのような可動回折格子の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明の可動回折格子は、支持部と、第1表面を有し、前記支持部に揺動可能に連結された可動部と、前記第1表面に沿うように前記第1表面上に設けられ、回折格子パターンが形成された樹脂層と、前記回折格子パターンに沿うように前記樹脂層上に設けられ、金属により形成された反射層と、前記可動部に応力を生じさせる応力調整部と、を備え、前記第1表面は、前記応力によって凹状に湾曲させられている。

0007

可動部上に樹脂層が設けられる場合、樹脂層自体に生じる応力及び下地層の影響等により、樹脂層が様々に湾曲した形状となる場合がある。この場合、樹脂層上の反射層も湾曲した形状となるが、入射した光を精度良く回折及び反射することができず、例えばそのような可動回折格子が外部共振器型レーザモジュールの外部共振器として用いられた場合、回折効率が低下するおそれがある。これに対し、この可動回折格子では、可動部に応力を生じさせる応力調整部が設けられており、当該応力によって第1表面が凹状に湾曲させられている。これにより、第1表面に沿って設けられた樹脂層を確実に凹状に湾曲した形状とすることができる。その結果、入射した光を精度良く回折及び反射することができ、例えばこの可動回折格子が外部共振器型レーザモジュールの外部共振器として用いられた場合に、回折効率の低下を抑制することが可能となる。

0008

本発明の可動回折格子では、応力調整部は、第1表面と対向する第2表面上に層状に設けられていてもよい。この場合、より好適に可動部に応力を生じさせることができる。

0009

本発明の可動回折格子では、応力調整部は、第1表面と対向する第2表面上に設けられた第1層と、第1層上に設けられた第2層と、を有していてもよい。この場合、より一層好適に可動部に応力を生じさせることができる。

0010

本発明の可動回折格子では、第1層及び第2層のそれぞれは、酸化膜であってもよい。この場合、第1層上に第2層を均一に形成することができる。

0011

本発明の可動回折格子では、第1層が可動部に生じさせる単位厚さ当たりの応力は、第2層が可動部に生じさせる単位厚さ当たりの応力よりも大きくてもよい。この場合、第1層上に第2層を形成することにより、可動部に生じさせる応力の大きさを容易に且つ確実に調整することができ、その結果、第1表面を容易に且つ確実に所望の凹状に湾曲させることができる。

0012

本発明の可動回折格子では、回折格子パターンは、可動部が揺動する中心線に平行な方向に沿って延在する複数の溝を有するブレーズドグレーティングパターンであってもよい。このように構成された可動回折格子は、より好適に外部共振器型レーザモジュールに用いることができる。

0013

本発明の可動回折格子は、中心線に沿って延在し、支持部と可動部とを互いに連結するトーションバーを更に備えてもよい。このように構成された可動回折格子は、より一層好適に外部共振器型レーザモジュールに用いることができる。

0014

本発明の可動回折格子では、第1表面は、可動部が揺動する中心線と直交する第1断面において、凹状に湾曲させられていてもよい。このように構成された可動回折格子は、より一層好適に外部共振器型レーザモジュールに用いることができる。

0015

本発明の可動回折格子では、第1表面は、第1断面と直交する第2断面において、凹状に湾曲させられていてもよい。このように構成された可動回折格子は、より一層好適に外部共振器型レーザモジュールに用いることができる。

0016

本発明の可動回折格子では、可動部は、第1表面と直交する方向から見た場合に、円形状を呈していてもよい。この場合、第1表面を容易に且つ確実に所望の凹状に湾曲させることができる。

0017

本発明の可動回折格子では、第1表面と対向する第2表面は、応力調整部が生じさせる応力によって凸状に湾曲させられていてもよい。この場合、第1表面を容易に且つ確実に所望の凹状に湾曲させることができる。

0018

本発明の外部共振器型レーザモジュールは、上述した可動回折格子と、レーザ素子と、を備え、可動回折格子は、レーザ素子により発振された光を回折及び反射させることにより、光のうち特定波長の光をレーザ素子に帰還させる。この外部共振器型レーザモジュールでは、可動回折格子が外部共振器として機能することにより、特定波長の光を増幅させて外部に出力することができる。更に、可動回折格子の可動部を揺動させて格子面の向きを変化させることにより、出力光波長を高速に変化させることができる。そのため、例えば気体の濃度の分析用光源としてこの外部共振器型レーザモジュールを用いることにより、1つの光源で様々な種類の気体の分析を行うことが可能となると共に、分析にかかる時間を短縮することが可能となる。

0019

本発明の可動回折格子の製造方法は、上述した可動回折格子の製造方法であって、支持部及び可動部に対応する部分を含む基板を用意し、樹脂層及び反射層を形成する第1ステップと、第1ステップの後に、応力調整部を形成して可動部に応力を生じさせることにより、第1表面を凹状に湾曲させる第2ステップと、を備える。この可動回折格子の製造方法では、樹脂層及び反射層を形成した後に、応力調整部を形成して第1表面を凹状に湾曲させるため、第1表面を確実に所望の湾曲させることができる。

0020

本発明の可動回折格子の製造方法においては、第2ステップでは、スパッタリングにより、応力調整部の少なくとも一部を形成してもよい。この場合、高密度な応力調整部を形成することができ、より好適に可動部に応力を生じさせることができる。更に、スパッタリングは低い温度で行なうことができるため、応力調整部の形成が樹脂層に与える影響を低減することができる。

0021

本発明の可動回折格子の製造方法では、基板は、半導体層及び絶縁層を有し、第2ステップでは、絶縁層の一部が残るように絶縁層の残部をエッチングによって除去することにより、応力調整部の少なくとも一部を形成してもよい。この場合、基板が有する絶縁層の一部を残すことにより、応力調整部を形成することができる。

0022

本発明の可動回折格子の製造方法では、第2ステップでは、絶縁層をエッチングストップ層として半導体層をエッチングしてもよい。この場合、絶縁層をエッチングストップ層として機能させることにより、半導体層を好適にエッチングすることができる。更に、エッチングストップ層として機能する絶縁層の一部を残すことにより、応力調整部を形成することができる。

発明の効果

0023

本発明によれば、入射した光を精度良く回折及び反射することができる可動回折格子、そのような可動回折格子を備える外部共振器型レーザモジュール、及び、そのような可動回折格子の製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0024

実施形態に係る外部共振器型レーザモジュールの構成図である。
図1に示される可動回折格子の回路構成図である。
図2のIII−III線に沿っての断面図である。
回折格子パターンを示す図である。
実施例及び各比較例における第1表面の形状を示すグラフである。
図2の可動回折格子の製造方法を説明する図である。
図2の可動回折格子の製造方法を説明する図である。
図2の可動回折格子の製造方法を説明する図である。
(a)及び(b)は、図2の可動回折格子の製造方法を説明する図である。
(a)及び(b)は、図2の可動回折格子の製造方法を説明する図である。
(a)及び(b)は、図2の可動回折格子の製造方法を説明する図である。
(a)及び(b)は、図2の可動回折格子の製造方法を説明する図である。

実施例

0025

以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
[外部共振器型レーザモジュールの構成]

0026

図1に示されるように、外部共振器型レーザモジュール1は、量子カスケードレーザ素子2、反射低減膜3、レンズ4、レンズ5及び可動回折格子10を備えている。

0027

量子カスケードレーザ素子2は、互いに対向する第1端面2a及び第2端面2bを有し、中赤外領域広帯域(例えば、4μm以上16μm以下)の光を第1端面2a及び第2端面2bのそれぞれから出射する。量子カスケードレーザ素子2は、中心波長が互いに異なる複数の活性層スタック状に積層された構造を有しており、上記のような広帯域の光を出射することができる。量子カスケードレーザ素子2は、単一の活性層からなる構造を有していてもよく、この場合でも上記のような広帯域の光を出射することができる。

0028

第1端面2aには、第1端面2aの反射率を低減する反射低減膜3が設けられており、第1端面2aは、量子カスケードレーザ素子2内を進行して第1端面2aに入射した光を透過させる。第2端面2bは、量子カスケードレーザ素子2内を進行して第2端面2bに入射した光の一部を反射し、残部を透過させる。本実施形態では第2端面2bは外部に露出しているが、第2端面2bには、第2端面2bの反射率を低減する反射低減膜が設けられていてもよい。

0029

レンズ4は、第1端面2aから出射される光をコリメートする。レンズ5は、第2端面2bから出射される光をコリメートする。レンズ5によりコリメートされた光は、出力光として外部共振器型レーザモジュール1の外部に出力される。

0030

可動回折格子10には、レンズ4によりコリメートされた光が入射される。可動回折格子10は、この入射光を回折及び反射させることにより、当該入射光のうち特定波長の光を量子カスケードレーザ素子2の第1端面2aに帰還させる。すなわち、可動回折格子10及び第2端面2bは、リトロー型の外部共振器を構成している。これにより、外部共振器型レーザモジュール1は、特定波長の光を増幅させて外部に出力することができる。

0031

更に、可動回折格子10では、後述するように、格子面の向きを高速に変化させることができる。これにより、可動回折格子10から量子カスケードレーザ素子2の第1端面2aに帰還する光の波長が可変となっており、ひいては外部共振器型レーザモジュール1の出力光の波長が可変となっている。このような外部共振器型レーザモジュール1は、例えば、中赤外領域の波長の光の吸収に基づく各種の気体の濃度の分析に用いられる。
[可動回折格子の構成]

0032

図2及び図3を参照しつつ、可動回折格子10について更に説明する。可動回折格子10は、支持部11、一対のトーションバー12、可動部13、コイル14、磁界発生部15、絶縁層16、樹脂層17、反射層18及び応力調整部19を備えている。可動回折格子10は、中心線X周りに可動部13を揺動させるMEMSデバイスとして構成されている。図2及び図3では、可動部13、絶縁層16、樹脂層17、反射層18及び応力調整部19が模式的に平坦に表されているが、後述するように、実際には、これらの部材は凹状に湾曲している。

0033

支持部11は、平面視において(可動部13の第1表面13aと直交する方向から見た場合に)矩形状を呈する平板状の枠体である。支持部11は、一対のトーションバー12を介して可動部13等を支持している。一対のトーションバー12は、中心線X上における可動部13の両側にそれぞれ配置されている。各トーションバー12は、中心線Xに沿って延在しており、可動部13が中心線X周りに揺動可能となるように、支持部11と可動部13とを互いに連結している。

0034

可動部13は、平面視において円形状を呈する板状の部材であり、支持部11の内側に位置している。可動部13は、互いに対向する第1表面13a及び第2表面13bを有している。可動部13は、上述したように、トーションバー12を介して支持部11に揺動可能に連結されている。支持部11、トーションバー12及び可動部13は、1つの基板50に作り込まれることにより、一体に形成されている。

0035

基板50は、半導体層51,52と、半導体層51,52の間に介在する絶縁層53と、を有している。基板50は、例えばSOI基板である。この場合、半導体層51,52はシリコン(Si)からなり、絶縁層53はシリコン酸化膜(SiO2)からなる。絶縁層53は、例えば、シリコンの熱酸化により形成されたシリコン酸化膜である。半導体層51の厚さは、例えば60μm程度である。半導体層52の厚さは、例えば400μm程度である。絶縁層53の厚さは、例えば1μm程度である。

0036

支持部11は、半導体層51,52及び絶縁層53により構成されている。トーションバー12及び可動部13のそれぞれは、半導体層51により構成されている。トーションバー12及び可動部13上に位置する絶縁層53は、後述するように、応力調整部19の第1層41を構成している。

0037

コイル14は、可動部13の第1表面13aに形成された溝21内に埋め込まれている。溝21の内面には、例えばシリコン酸化膜からなる絶縁層22が設けられている。コイル14は、例えば、絶縁層22上に銅(Cu)をメッキすることにより形成される。コイル14は、平面視において渦巻き状に複数周回巻回されている。

0038

コイル14の外側端部には、配線23の一端が電気的に接続されている。コイル14の内側端部には、配線24の一端が電気的に接続されている。配線23の他端は、支持部11に設けられた電極26Aと電気的に接続されている。配線24の他端は、配線25を介して、支持部11に設けられた電極26Bと電気的に接続されている。各電極26A,26Bは、制御回路等と電気的に接続されている。

0039

配線23は、支持部11、一方のトーションバー12、及び可動部13の表面にわたって形成された溝27内に埋め込まれている。溝27は、コイル14と配線23との接続部分において溝21と繋がっている。配線24は、絶縁層16内に設けられており、コイル14の上方を通ってコイル14と立体的に交差している。配線25は、支持部11、他方のトーションバー12、及び可動部13の表面にわたって形成された溝28内に埋め込まれている。配線23,25は、コイル14と同様に、それぞれ、絶縁層31,32を介して溝27,28内に配置されている。

0040

磁界発生部15は、コイル14に磁界を作用させる。磁界発生部15は、例えば永久磁石等により構成されている。磁界発生部15は、例えば樹脂製の配線基板上に永久磁石が配置されてなり、当該配線基板上に支持部11が配置されている。一対のトーションバー12、及び可動部13は、当該配線基板から離間するように配置されている。磁界発生部15は、支持部11における中心線Xと平行な一対の辺部と対向する一対の部分15a,15aを有している。磁界発生部15における磁極の配列は、例えばハルバッハ配列である。

0041

コイル14及び磁界発生部15は、可動部13を揺動させる駆動部を構成している。可動回折格子10では、コイル14に電流が流れると、磁界発生部15で生じる磁界により、コイル14内を流れる電子に所定の方向にローレンツ力が生じる。これにより、コイル14は所定方向に力を受ける。このため、コイル14に流れる電流の向き又は大きさ等を制御することで、可動部13を中心線X周りに揺動させることができる。更に、可動部13の共振周波数に対応する周波数の電流をコイル14に流すことで、可動部13を共振周波数レベルで高速に揺動させることができる。

0042

図3に示されるように、絶縁層16は、コイル14及び配線23,25を覆うように、支持部11、一対のトーションバー12、及び可動部13の表面上にわたって設けられている。すなわち、絶縁層16は、可動部13の第1表面13a上に設けられている。絶縁層16は、例えばシリコン酸化膜である。各電極26A,26Bは、支持部11上に位置する絶縁層16に設けられている。

0043

絶縁層16には、開口16a〜16dが設けられている。配線23と電極26Aとは、開口16aを介して互いに電気的に接続されている。配線24とコイル14とは、開口16bを介して互いに電気的に接続されている。配線24と配線25とは、開口16cを介して互いに電気的に接続されている。配線25と電極26Bとは、開口16dを介して互いに電気的に接続されている。

0044

樹脂層17は、可動部13上に位置する絶縁層16上に設けられている。すなわち、樹脂層17は、絶縁層16を介して可動部13の第1表面13a上に設けられている。樹脂層17は、第1表面13aに沿うように、第1表面13a上に設けられている。樹脂層17は、例えば、平面視において可動部13と重なる領域の全面に配置されている。樹脂層17は、基板50を構成する材料よりも熱伝導率が低い材料により構成されていることが好ましい。樹脂層17を構成する材料としては、例えば、CELVENUSLU1303HA(DAICEL社製)等の紫外線硬化樹脂が挙げられる。樹脂層17における絶縁層16とは反対側の表面には、回折格子パターン35が形成されている。

0045

図4は、中心線Xに平行な方向から見た場合の回折格子パターン35を示す図である。図4に示されるように、回折格子パターン35は、例えば、鋸歯状断面のブレーズドグレーティングパターンであり、中心線Xに平行な方向に沿って延在する複数の溝35aを有している。複数の溝35aは、中心線Xと直交する方向に沿って並んでいる。

0046

本実施形態のように可動回折格子10がリトロー型の外部共振器として用いられる場合、入射光L1が入射する方向とは反対の方向に回折光L2が反射される。回折格子パターン35では、格子面の法線方向Nに対する溝35aの角度であるブレーズド角θは、回折次数m、入射光の波長λ、及び溝間隔dを用いて、下記の式(1)で表される。なお、リトロー型の場合、回折次数mは値1である。
sinθ=mλ/2d …(1)

0047

一例として、例えば、量子カスケードレーザ素子2の発振波長が4μm〜16μmであり、溝間隔dが4μm〜10μm(すなわち、溝密度が100本/mm〜250本/mm)である場合、ブレーズド角θは、20度〜50度である。この場合、溝深さhは、3μm〜6μmである。

0048

図3に示されるように、反射層18は、回折格子パターン35を覆うように樹脂層17上に設けられている。反射層18は、例えば、樹脂層17における絶縁層16とは反対側の表面の全面に配置されている。反射層18は、例えばチタン及び金等の金属材料により構成されている。反射層18は、回折格子パターン35の形状に沿って形成されており、この部分が反射型グレーティングとして機能する。

0049

応力調整部19は、可動部13の第2表面13b上に層状に設けられており、可動部13に応力(曲げ応力)を生じさせている。応力調整部19は、第2表面13b上に設けられた第1層41と、第1層41上に設けられた第2層42と、を有している。第1層41及び第2層42のそれぞれは、シリコン酸化膜である。第1層41の厚さは、例えば、0.5μm以上2μm以下である。第2層42の厚さは、例えば、0.1μm以上3μm以下である。

0050

第1層41は、一対のトーションバー12、及び可動部13上に位置する絶縁層53により構成されている。すなわち、第1層41は、第2表面13bの全面に配置されている。第1層41は、第2表面13b上から、各トーションバー12の表面上にわたって延在している。第2層42は、第1層41の全面に配置されている。第2層42は、平面視において一対のトーションバー12、及び可動部13と重なるように設けられている。
[可動部等の形状]

0051

可動部13の第1表面13aは、応力調整部19が可動部13に生じさせている応力によって凹状に湾曲させられている(反らされている)。第1表面13aは、例えば、その全体が椀状に滑らかに湾曲した形状を呈している。すなわち、第1表面13aは、中心線Xと直交する第1断面、及び第1断面と直交する第2断面の双方において、凹状に湾曲させられている。第2表面13bは、応力調整部19が可動部13に生じさせている応力によって凸状に湾曲させられている。第2表面13bは、例えば、中心線Xと直交する第1断面、及び第1断面と直交する第2断面の双方において、凸状に湾曲させられている。

0052

可動部13は、応力調整部19が可動部13に生じさせている応力によって、第1表面13aから第2表面13bに向かう方向(以下、反り方向Dともいう)に向かって凹むように凹状に湾曲させられている。これにより、可動部13上に設けられた絶縁層16、樹脂層17、反射層18及び応力調整部19についても同様に、反り方向Dに向かって凹むように凹状に湾曲している。

0053

図5は、実施例、第1比較例及び第2比較例における第1表面13aの形状を示すグラフである。実施例は、上記実施形態の可動回折格子10に対応する。実施例では、応力調整部19の第1層41の厚さを1μm又はそれよりも僅かに小さい厚さとし、第2層42の厚さを1.5μmとした。第1比較例では、第2層42を設けなかった。第2比較例では、第2層42の厚さを0.5μmとした。第1比較例及び第2比較例のその他の構成は、実施例と同様とした。図5では、中心線Xと直交する第1断面における面内位置(mm)と高さ(μm)との関係が示されている。

0054

図5に示されるように、第1比較例では、第1表面13aは凸状に湾曲していた。第1比較例では、第1表面13aは、第1比較例よりも平坦に近い形状となったが、中央部において凸状に湾曲していた。一方、実施例では、第1表面13aは凹状に湾曲していた。

0055

第1比較例と第2比較例との比較から分かるように、応力調整部19の第2層42を設けることにより、第1表面13aが凹状に湾曲するように、可動部13に応力を生じさせることができる。更に、実施例と第2比較例との比較から分かるように、応力調整部19の第2層42の厚さを増加させることにより、当該応力を増加させることができる。実施例(上記実施形態)では、第1層41が可動部13に生じさせる単位厚さ当たりの応力は、第2層42が可動部13に生じさせる単位厚さ当たりの応力よりも大きい。第1層41が可動部13に生じさせる応力の総量は、第2層42が可動部13に生じさせる応力の総量よりも大きい。

0056

第1比較例及び第2比較例において第1表面13aが凸状に湾曲していたのは、次の理由による。すなわち、可動部13、絶縁層16、樹脂層17及び反射層18は互いに異なる材料により構成されており、しかも、可動部13及び絶縁層16には金属材料からなるコイル14及び配線24等が設けられているため、製造時に可動部13に生じる応力のコントロールは困難である。また、シリコン酸化膜からなる絶縁層16に生じる応力のコントロールも困難である。更に、樹脂層17に生じる応力は、下地層、塗布条件及び硬化条件等により変化する。そのため、製造時に生じる応力にはばらつきが存在し、例えば樹脂層17(第1表面13a)を平坦に形成しようとしても、樹脂層17が様々に湾曲した形状となる場合がある。
[作用及び効果]

0057

上述したように、可動部13上に樹脂層17が設けられる場合、樹脂層17自体に生じる応力及び下地層の影響等により、樹脂層17が様々に湾曲した形状となる場合がある。この場合、樹脂層17上の反射層18も湾曲した形状となるが、入射した光を精度良く回折及び反射することができず、例えばそのような可動回折格子が外部共振器型レーザモジュール1の外部共振器として用いられた場合、回折効率が低下するおそれがある。これに対し、可動回折格子10では、可動部13に応力を生じさせる応力調整部19が設けられており、当該応力によって第1表面13aが凹状に湾曲させられている。これにより、第1表面13aに沿って設けられた樹脂層17を確実に凹状に湾曲した形状とすることができる。その結果、入射した光を精度良く回折及び反射することができ、例えば可動回折格子10が外部共振器型レーザモジュール1の外部共振器として用いられた場合に、回折効率の低下を抑制することが可能となる。より詳細には、例えば樹脂層17が凸状に湾曲している場合、反射光が広がるため、回折効率が低下する。これに対し、可動回折格子10では、樹脂層17が凹状に湾曲しているため、反射光が広がるのを抑制することができ、回折効率の低下を抑制することができる。更に、可動回折格子10では、樹脂層17が凹状に湾曲しているため、樹脂層17の形状のばらつき(例えば曲率のばらつき)が分光特性に与える影響を低減することができる。

0058

可動回折格子10では、応力調整部19が、第2表面13b上に層状に設けられている。これにより、一層好適に可動部13に応力を生じさせることができる。

0059

可動回折格子10では、応力調整部19が、第2表面13b上に設けられた第1層41と、第1層41上に設けられた第2層42と、を有している。これにより、より一層好適に可動部13に応力を生じさせることができる。

0060

可動回折格子10では、第1層41及び第2層42のそれぞれが酸化膜である。これにより、第1層41上に第2層42を均一に形成することができる。

0061

可動回折格子10では、第1層41が可動部13に生じさせる応力が、第2層42が可動部13に生じさせる応力よりも大きい。これにより、第1層41上に第2層42を形成することにより、可動部13に生じさせる応力の大きさを容易に且つ確実に調整することができ、その結果、第1表面13aを容易に確実に所望の凹状に湾曲させることができる。

0062

可動回折格子10では、回折格子パターン35が、可動部13が揺動する中心線Xに平行な方向に沿って延在する複数の溝35aを有するブレーズドグレーティングパターンである。これにより、可動部13を揺動させることで、可動回折格子10から量子カスケードレーザ素子2に帰還する光の波長を可変とすることができる。

0063

可動回折格子10は、中心線Xに沿って延在し、支持部11と可動部13とを互いに連結するトーションバー12を備えている。これにより、可動部13を揺動させることで、可動回折格子10から量子カスケードレーザ素子2に帰還する光の波長を可変とすることができる。

0064

可動回折格子10では、第1表面13aは、中心線Xと直交する第1断面において、凹状に湾曲させられている。これにより、反射光が広がるのを一層確実に抑制することができる。

0065

可動回折格子10では、第1表面13aは、第1断面、及び第1断面と直交する第2断面の双方において、凹状に湾曲させられている。これにより、反射光が広がるのをより一層確実に抑制することができる。

0066

可動回折格子10では、可動部13が平面視において円形状を呈していてもよい。これにより、第1表面13aを容易に且つ確実に所望の凹状に湾曲させることができる。すなわち、可動部13が平面視において円形状を呈している場合、第1表面13aを第1断面及び第2断面の双方において容易に且つ確実に凹状に湾曲させることができる。

0067

可動回折格子10では、第2表面13bは、応力調整部19が生じさせる応力によって凸状に湾曲させられている。これにより、第1表面13aを容易に且つ確実に所望の凹状に湾曲させることができる。

0068

可動回折格子10では、コイル14が可動部13に埋め込まれている。これにより、可動部13を薄型化することができ、高速且つ大きな振れ角で可動部13を揺動させることができる。更に、コイル14が可動部13に埋め込まれているため、例えばコイル14が可動部13上に設けられる場合と比べてコイル14の厚さを確保することができ、コイル14の低抵抗化を図ることもできる。コイル14が低抵抗化されると、コイル14での発熱が抑制されるため、コイル14からの伝熱による反射層18の変形を抑制することが可能となる。

0069

可動回折格子10では、樹脂層17に回折格子パターン35が形成されており、回折格子パターン35に沿うように樹脂層17上に反射層18が設けられている。これにより、可動部13と反射層18との間に樹脂層17が配置されているため、コイル14から反射層18への伝熱を抑制すると共に、可動部13における反射層18とは反対側の表面(第2表面13b)からの放熱を促進することができる。その結果、コイル14からの伝熱による反射層18の変形を一層抑制することができ、熱変形による光学的特性の低下を抑制することができる。

0070

可動回折格子10では、回折格子パターン35が、中赤外領域の波長の光を回折させるブレーズドグレーティングパターンである。これにより、高い回折効率が得られる。更に、中赤外領域の波長用ブレーズドグレーティングは、中赤外領域よりも短波長用のものと比べて溝35aが深いため、反射層18の変形が回折効率に与える影響を低減することができる。

0071

可動回折格子10では、樹脂層17が紫外線硬化樹脂により構成されているので、例えば樹脂層17が熱硬化樹脂により構成されている場合と比べて、コイル14から反射層18への伝熱を一層抑制すると共に、可動部13における反射層18とは反対側の表面からの放熱を一層促進することができる。更に、樹脂層17は経年劣化し難く、耐久性に優れるため、可動回折格子10の信頼性が高められている。

0072

外部共振器型レーザモジュール1では、可動回折格子10が外部共振器として機能することにより、特定波長の光を増幅させて外部に出力することができる。更に、可動回折格子10の可動部13を揺動させて格子面の向きを変化させることにより、出力光の波長を高速に変化させることができる。そのため、例えば気体の濃度の分析用の光源として外部共振器型レーザモジュール1を用いることにより、1つの光源で様々な種類の気体の分析を行うことが可能となると共に、分析にかかる時間を短縮することが可能となる。
[可動回折格子の製造方法]

0073

次に、図6図12を参照しつつ、可動回折格子10の製造方法の一例を説明する。まず、図6図8に示されるように、支持部11、一対のトーションバー12、及び可動部13に対応する部分Rを含むウェハ40を用意し、絶縁層16、樹脂層17及び反射層18を形成する(第1ステップ)。図6図8では、中心線Xと直交する第1断面が示されている。

0074

ウェハ40は、例えばSOI基板であり、互いに隣接するように配置された複数の部分Rを含んでいる。この場合、以下で説明する各加工ステップが各部分Rについて同時に行われる。そして、加工完了後のウェハ40が部分R同士の境界ダイシングライン)に沿ってエッチングされることにより、ウェハ40から分離された基板50が得られる。このエッチングは、例えば、可動部13を周囲から分離させるためのエッチングと同時に行なわれる。以下では、1つの部分Rに着目して説明する。

0075

第1ステップでは、まず、エッチングにより、部分Rの表面に溝21,27,28を形成する。続いて、溝21,27,28の内面を熱酸化することにより、溝21,27,28の内面上に絶縁層22,31,32を形成する。続いて、スパッタリングにより、溝21,27,28内の絶縁層22,31,32上にシード層を形成する。続いて、メッキにより、溝21,27,28内に埋め込まれるようにコイル14及び配線23,25を形成する。続いて、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により、コイル14及び配線23,25の表面をウェハ40の表面と面一となるように平坦化する。

0076

続いて、図7に示されるように、可動部13の第1表面13a上に絶縁層16を形成する。この工程では、まず、CVD(Chemical Vapor Deposition)により、支持部11、一対のトーションバー12、及び可動部13の表面上に絶縁層16の厚さ方向の一部を形成する。続いて、エッチングにより、開口16a〜16dに相当するコンタクトホールを当該絶縁層16の一部に形成する。続いて、スパッタリングにより、当該絶縁層16の一部上に配線24を形成する。続いて、CVDにより、当該絶縁層16の一部上に絶縁層16の残りの一部を形成する。続いて、エッチングにより、開口16a,16dに相当するコンタクトホールを絶縁層16に形成する。続いて、スパッタリングにより、絶縁層16上に電極26A,26Bを形成する。以上の工程により、電極26A,26B及び配線24が設けられた絶縁層16が形成される。

0077

続いて、紫外線硬化性を有する樹脂材料を絶縁層16上に配置する(図8)。この工程では、まず、スピンコートにより、絶縁層16の表面のうち、平面視において可動部13を含む領域上に、樹脂材料の層を一様に形成する。すなわち、この時点では、樹脂材料は、平面視において可動部13の外側に位置する部分を有している。

0078

続いて、回折格子パターン35に対応する転写パターンを有するモールドを用いて樹脂材料に転写パターンを転写することにより、回折格子パターン35が形成された樹脂層17を形成する。この工程においては、例えば、紫外線透過性を有するモールドを樹脂材料に密着させた状態で、モールドを介して樹脂材料に紫外線照射することにより、回折格子パターン35を樹脂材料に形成する。このモールドは、例えば次の工程により作製される。まず、(311)面等の高指数面シリコン基板異方性エッチングによって傾斜したブレーズド型の回折格子パターン35を形成することにより、マスターを作製する。続いて、このマスターを用いて、回折格子パターン35に対応する転写パターンを有する紫外線透過樹脂製のモールドを複製する。これらの工程により上記モールドが得られる。

0079

続いて、例えばスパッタリング又は蒸着等により、回折格子パターン35に沿うように樹脂層17上に反射層18を形成する。続いて、エッチングによって樹脂材料をパターニングすることにより、樹脂材料のうち平面視において可動部13における第1表面13aよりも外側に位置する部分(樹脂層17以外の部分)を除去する。以上の工程により、図8に示されるように、絶縁層16上に樹脂層17及び反射層18が形成される。

0080

続いて、図9図12に示されるように、応力調整部19を形成して可動部13に応力を生じさせることにより、第1表面13aを凹状に湾曲させる(第2ステップ)。図9図12の(a)では、中心線Xと直交する第1断面が示されており、図9図12の(b)では、第1断面と直交する第2断面が示されている。

0081

第2ステップでは、まず、図9(a)及び図9(b)に示されるように、エッチングにより、絶縁層16のうち、支持部11、一対のトーションバー12、及び可動部13上に位置する部分以外を除去する。続いて、図10(a)及び図10(b)に示されるように、絶縁層53をエッチングストップ層として半導体層51をエッチングすることにより、半導体層51のうち、支持部11、一対のトーションバー12、及び可動部13を構成する部分以外を除去する。これにより、絶縁層53の一部が露出する。続いて、エッチングにより、絶縁層53の当該一部を除去する。

0082

続いて、図11(a)及び図11(b)に示されるように、絶縁層53をエッチングストップ層として半導体層52をエッチングすることにより、半導体層52のうち、支持部11を構成する部分以外を除去する。これにより、一対のトーションバー12、及び可動部13上に位置する絶縁層53が残され、応力調整部19の第1層41が形成される。すなわち、第2ステップでは、絶縁層53の一部が残るように絶縁層53の残部をエッチングによって除去することにより、第1層41を形成する。

0083

上述したように、半導体層52のエッチングと同時に、ダイシングラインに沿ってウェハ40がエッチングされる。これにより、ウェハ40から分離された基板50が得られる。続いて、図12(a)及び図12(b)に示されるように、スパッタリングにより、第1層41上に第2層42を形成する。第1層41及び第2層42を形成することにより、可動部13に応力が生じ、第1表面13aが凹状に湾曲させられる。以上の工程により、可動回折格子10が得られる。
[作用及び効果]

0084

以上説明した可動回折格子10の製造方法では、樹脂層17及び反射層18を形成した後に、応力調整部19を形成して第1表面13aを凹状に湾曲させるため、第1表面13aを確実に所望の凹状に湾曲させることができる。

0085

可動回折格子10の製造方法では、スパッタリングにより、応力調整部19の第2層42を形成する。これにより、高密度な第2層42を形成することができ、より好適に可動部13に応力を生じさせることができる。更に、スパッタリングは低い温度で行なうことができるため、第2層42の形成が樹脂層17に与える影響を低減することができる。

0086

可動回折格子10の製造方法では、絶縁層53の一部が残るように絶縁層53の残部をエッチングによって除去することにより、応力調整部19の第1層41を形成する。これにより、基板50が有する絶縁層53の一部を残すことにより、第1層41を形成することができる。

0087

可動回折格子10の製造方法では、絶縁層53をエッチングストップ層として半導体層51,52をエッチングする。これにより、絶縁層53をエッチングストップ層として機能させることにより、半導体層51,52を好適にエッチングすることができる。更に、エッチングストップ層として機能する絶縁層53の一部を残すことにより、応力調整部19の第1層41を形成することができる。

0088

可動回折格子10の製造方法では、高精度な回折格子パターン35を容易に形成することができる。すなわち、例えば、絶縁層16に回折格子パターン35を形成することも考えられるが、回折格子パターン35のようなμmオーダーパターンを、シリコン酸化膜により構成された絶縁層16に精度良く形成することは極めて困難である。また、数μmの厚さのシリコン酸化膜を精度良く成膜すること自体も困難である。これらのことは、本実施形態のように回折格子パターン35が中赤外領域の波長の光を回折するものであり、回折格子パターン35の溝35aが深い場合に特に顕著となる。これに対し、この可動回折格子10の製造方法では、回折格子パターン35に対応する転写パターンを有するモールドを用いて樹脂材料に転写パターンを転写することにより、回折格子パターン35が形成された樹脂層17を形成するため、高精度な回折格子パターン35を容易に形成することができ、回折格子パターン35の設計の自由度を向上することができる。

0089

以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られない。応力調整部19は、第1表面13aが凹状に湾曲するように可動部13に応力を生じさせることができればよく、任意に構成されてよい。例えば、応力調整部19は、可動部13における第2表面13b側の部分が部分的に肉抜きされることにより形成された梁部を含んでいてもよい。応力調整部19は、可動部13における第2表面13b側の部分にイオン打ち込みにより形成されたイオン打ち込み部を含んでいてもよい。応力調整部19の少なくとも一部は、窒化物酸化物フッ化物又は金属等により構成されてもよい。

0090

上記実施形態では、応力調整部19の第1層41がトーションバー12上及び可動部13上に設けられていたが、第1層41は、可動部13上のみに設けられてもよい。第1層41は、可動部13の第2表面13bの全面ではなく、第2表面13bの一部に配置されてもよい。第2層42は、第1層41の全面ではなく、第1層41の一部に配置されてもよい。第1層41及び第2層42の一方のみが設けられてもよい。第1層41が省略される場合、基板50は必ずしもSOI基板である必要はなく、シリコン基板であってもよい。応力調整部19上に他の層が設けられてもよいし、応力調整部19と第2表面13bとの間に他の層が設けられてもよい。すなわち、応力調整部19は、他の層を介して第2表面13b上に設けられてもよい。応力調整部19は、省略されてもよい。この場合、第1表面13aは、可動部13に生じている応力によって凹状に湾曲させられていてもよいし、可動部13に生じている応力によらずに凹状に湾曲していてもよい。

0091

上記実施形態において、中心線X(第1中心線)周りに揺動する可動部13(第1可動部)に加えて、第1中心線と直交する第2中心線周りに揺動する第2可動部が設けられてもよい。この場合、第2可動部は、枠状に形成され、第1可動部を囲むように配置される。第1可動部は、一対の第1トーションバーを介して第2可動部に揺動可能に連結される。第2可動部は、一対の第2トーションバーを介して支持部11に揺動可能に連結される。第2可動部には、第2可動部を駆動させるためのコイルが設けられる。このような構成によれば、第1中心線周りに第1可動部を揺動させるだけでなく、第2中心線周りに第2可動部を揺動させることで、第2中心線周りに第1可動部を揺動させることもできる。また、第1可動部にコイルが設けられず、第2可動部(支持部)のみにコイルが設けられてもよい。この場合、第2可動部上のコイルの駆動力によって第1可動部が揺動させられてもよい。

0092

上記実施形態では、電磁駆動式の可動回折格子10が例示されたが、可動回折格子10は、圧電駆動式又は静電駆動式等であってもよい。例えば、可動部13を駆動する駆動部は、可動部13に設けられた圧電膜圧電素子)により構成されてもよいし、支持部11に設けられた固定櫛歯電極と可動部13に設けられた可動櫛歯電極とにより構成されてもよい。

0093

上記実施形態において、第1表面13aは、第1断面及び第2断面の一方のみにおいて凹状に湾曲していてもよい。この場合、第1断面及び第2断面の他方における第1表面13aの形状は例えば平坦であってもよい。平面視における可動部13の形状は、矩形状、楕円形状、菱形状等の任意の形状であってよい。

0094

コイル14は、可動部13の第1表面13aに埋め込まれず、第1表面13a上に設けられてもよい。或いは、コイル14は、第2表面13bに埋め込まれてもよいし、第2表面13b上に設けられてもよい。回折格子パターン35は、必ずしも中赤外領域の波長の光を回折させるものでなくてもよく、任意の波長の光を回折させるものであってよい。回折格子パターン35は、矩形状断面のバイナリグレーティング正弦波状断面ホログラフィックグレーティング等であってもよい。

0095

上述した可動回折格子10の製造方法において、第1層41を構成する絶縁層53の一部が残るように絶縁層53をエッチングする工程は、上述した例に限られず、工程の一部が省略されてもよいし、工程の順序が変更されてもよい。例えば、半導体層51のエッチングの直後には絶縁層53における露出した一部を除去せず、半導体層52のエッチングの後に、絶縁層53の当該一部を除去してもよい。或いは、半導体層52をエッチングした後に半導体層51をエッチングし、その後に、第1層41を構成する絶縁層53の一部が残るように絶縁層53の残部をエッチングにより除去してもよい。上述した可動回折格子10の製造方法では、エッチング以外の方法によりウェハ40から基板50が分離されてもよい。例えば、レーザ光の照射によってダイシングラインに沿ってウェハ40の内部に改質領域を形成し、テープエキスパンド等によって改質領域からウェハ40の厚さ方向に亀裂を伸展させることにより、ウェハ40が切断されてもよい。

0096

1…外部共振器型レーザモジュール、2…量子カスケードレーザ素子、10…可動回折格子、11…支持部、12…トーションバー、13…可動部、13a…第1表面、13b…第2表面、17…樹脂層、18…反射層、19…応力調整部、35…回折格子パターン、35a…溝、41…第1層、42…第2層、50…基板、51,52…半導体層、53…絶縁層、R…部分、X…中心線。

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