図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
図1に示すように、光時間領域反射測定法は光パルスを測定対象の片端から入射し測定対象内で生じる反射光および後方散乱光が入射端まで戻ってきた際のパワーを時間軸上で観測することで、測定対象の長手方向の損失分布を把握する技術である。光ファイバケーブルは数km以上の長距離にわたって敷設されることから遠隔での監視が必要であり、通信波長帯(OバンドからUバンド)を試験波長として利用した光時間領域反射測定法により、遠隔でその状態、特に損失分布を把握することで監視がなされている。つまり、損失値あるいはその変化と、それらの発生距離を検知できるため、光ファイバの一端からどの程度の距離で損失イベントが発生したかを知ることができる。
光ファイバケーブルは長距離にわたって敷設されるため、複数の光ファイバケーブルを接続することでルートを構成している。接続作業はマンホール内で実施され、光ファイバ心線を保護する役割を持つ光ファイバケーブルの外被をむき、光ファイバ心線を露出させて接続作業を実施する。光ファイバケーブルの接続点は、保護部材である外被を剥くことから強度や信頼性が低下するため、図2に示すようにクロージャと呼ばれる箱の中に接続作業後に収容される。また、接続作業を容易にするために、光ファイバ心線はある程度の余裕(余長)を確保するように光ファイバケーブル内から引き出されるため、接続点をクロージャに収容する際には、光ファイバ心線の余長も急峻な曲げが生じないように円形状または楕円形状にまとめられてクロージャ内に収容される。
図3に示すように光ファイバケーブルは地下区間に敷設されることがあり、このような区間では、マンホール部への雨水の流入などを原因として、クロージャ内に水が浸入し、光ファイバの機械的信頼性が低下することがある。そこで、クロージャ内の浸水有無を検知するために、非特許文献1に示すような浸水検知モジュールが利用されている。浸水検知モジュールは光ファイバ心線に取り付けられ、浸水が発生すると内部部材が膨張して光ファイバに曲げを加えることで損失を発生させる。この損失を光時間領域反射測定で検知することで、クロージャへの浸水を把握できる。
概要
測定結果から得られる情報とDBに格納されている情報とを紐付けし、光ファイバケーブルの損失発生箇所を正確に特定できる光ファイバケーブル監視方法および光ファイバケーブル監視システムを提供することを目的とする。本発明に係る光ファイバケーブル監視方法は、感度の異なる2種類の光ファイバ計測手法を用いる。高感度な計測手法でそれぞれのクロージャの光ファイバケーブル上の位置を取得し、クロージャの並び順から地理的位置情報と光ファイバ上の位置とを紐付ける。このため、作業者は、低感度な計測手法でクロージャの異常を検知した時に、異常点の光ファイバケーブル上の位置に紐づけられているクロージャの現実の位置(地理的位置情報)を認知することができる。
目的
本発明は、上記課題を解決すべく、測定結果から得られる情報とDBに格納されている情報とを紐付けし、光ファイバケーブルの損失発生箇所を正確に特定できる光ファイバケーブル監視方法および光ファイバケーブル監視システムを提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
光ファイバケーブルの長手方向に並ぶ複数の特定点を監視する光ファイバケーブル監視方法であって、測定光を伝搬させて前記光ファイバケーブルの距離に対する情報を取得する光計測で、前記特定点の前記光ファイバケーブル上における距離情報を取得する距離情報取得手順と、予め取得している前記特定点の並び順及び地理的位置情報を用い、前記特定点の並び順から前記地理的位置情報と前記特定点の距離情報とを前記特定点毎に紐付ける紐付け手順と、監視光を伝搬させて前記光ファイバケーブルの距離に対する情報を取得する、前記光計測より感度が低い光監視で、前記光ファイバケーブルで発生する異常点の前記光ファイバケーブル上における距離情報を検出する異常検出手順と、前記紐付け手順で紐付けられた前記地理的位置情報と前記特定点の距離情報とを用い、前記異常検出手順で検出した前記異常点の距離情報から前記異常点に対応する前記特定点の前記地理的位置情報を取得する位置取得手順と、を行うことを特徴とする光ファイバケーブル監視方法。
請求項2
前記距離情報取得手順の前記光計測は、前記光ファイバケーブルのカットオフ波長以下の光パルスを前記測定光とし、検出する損失の発生点を前記特定点とみなす光時間領域反射測定であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバケーブル監視方法。
請求項3
前記距離情報取得手順の前記光計測は、前記測定光によるブリルアン散乱からブリルアン周波数シフト量の長手方向分布を測定し、前記長手方向分布の特異点を前記特定点とみなす光時間領域反射測定であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバケーブル監視方法。
請求項4
前記距離情報取得手順の前記光計測は、パルス光のポンプ光と連続光のプローブ光を前記測定光とし、前記ポンプ光と前記プローブ光との周波数差を変化させて前記プローブ光が受けたブリルアン利得の周波数特性の長手方向分布を測定し、前記長手方向分布の特異点を前記特定点とみなすブリルアン光時間領域解析測定であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバケーブル監視方法。
請求項5
前記距離情報取得手順で、全ての前記特定点の距離情報を取得することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光ファイバケーブル監視方法。
請求項6
前記異常検出手順で、前記異常点の距離情報を取得した後、前記距離情報取得手順で、前記光ファイバケーブルの前記測定光の入射端から少なくとも前記異常点までの前記特定点の距離情報を取得することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光ファイバケーブル監視方法。
請求項7
光ファイバケーブルの長手方向に並ぶ複数の特定点を監視する光ファイバケーブル監視システムであって、測定光を伝搬させて前記光ファイバケーブルの距離に対する情報を取得する光計測で、前記特定点の前記光ファイバケーブル上における距離情報を取得する距離情報取得手段と、予め取得している前記特定点の並び順及び地理的位置情報を用い、前記特定点の並び順から前記地理的位置情報と前記特定点の距離情報とを前記特定点毎に紐付ける紐付け手段と、監視光を伝搬させて前記光ファイバケーブルの距離に対する情報を取得する、前記光計測より感度が低い光監視で、前記光ファイバケーブルで発生する異常点の前記光ファイバケーブル上における距離情報を検出する異常検出手段と、前記紐付け手段が紐付けた前記地理的位置情報と前記特定点の距離情報とを用い、前記異常検出手段が検出した前記異常点の距離情報から前記異常点に対応する前記特定点の前記地理的位置情報を取得する位置取得手段と、を備えることを特徴とする光ファイバケーブル監視システム。
技術分野
背景技術
0002
図1に示すように、光時間領域反射測定法は光パルスを測定対象の片端から入射し測定対象内で生じる反射光および後方散乱光が入射端まで戻ってきた際のパワーを時間軸上で観測することで、測定対象の長手方向の損失分布を把握する技術である。光ファイバケーブルは数km以上の長距離にわたって敷設されることから遠隔での監視が必要であり、通信波長帯(OバンドからUバンド)を試験波長として利用した光時間領域反射測定法により、遠隔でその状態、特に損失分布を把握することで監視がなされている。つまり、損失値あるいはその変化と、それらの発生距離を検知できるため、光ファイバの一端からどの程度の距離で損失イベントが発生したかを知ることができる。
0003
光ファイバケーブルは長距離にわたって敷設されるため、複数の光ファイバケーブルを接続することでルートを構成している。接続作業はマンホール内で実施され、光ファイバ心線を保護する役割を持つ光ファイバケーブルの外被をむき、光ファイバ心線を露出させて接続作業を実施する。光ファイバケーブルの接続点は、保護部材である外被を剥くことから強度や信頼性が低下するため、図2に示すようにクロージャと呼ばれる箱の中に接続作業後に収容される。また、接続作業を容易にするために、光ファイバ心線はある程度の余裕(余長)を確保するように光ファイバケーブル内から引き出されるため、接続点をクロージャに収容する際には、光ファイバ心線の余長も急峻な曲げが生じないように円形状または楕円形状にまとめられてクロージャ内に収容される。
0004
図3に示すように光ファイバケーブルは地下区間に敷設されることがあり、このような区間では、マンホール部への雨水の流入などを原因として、クロージャ内に水が浸入し、光ファイバの機械的信頼性が低下することがある。そこで、クロージャ内の浸水有無を検知するために、非特許文献1に示すような浸水検知モジュールが利用されている。浸水検知モジュールは光ファイバ心線に取り付けられ、浸水が発生すると内部部材が膨張して光ファイバに曲げを加えることで損失を発生させる。この損失を光時間領域反射測定で検知することで、クロージャへの浸水を把握できる。
先行技術
0005
渡邉他,“小規模ビル用ファイバセレクタを用いた光線路試験システム”,NTT技術ジャーナル, 2008.12
中村他、“1μm帯モード検出OTDRを用いたファイバ曲げの高感度検知”,電子情報通信学会 信学技報, OFT2014−18, 2014
Ohno et al., “Industrial applications of the BOTDR optical fiber strain sensor”, Optical Fiber Technology, vol. 7, pp. 45−64, 2001
Horiguchi et al., “BOTDA−nondestructive measurement of single−mode optical fiber attenuation characteristics using brillouin interaction: Theory”, Journal of lightwave technology, vol. 7, no. 8, pp. 1170−1176, 1989
発明が解決しようとする課題
0006
浸水を検知した後に復旧作業のために当該クロージャの設置地点へ向かう必要がある。この際に、図4に示すように、光時間領域反射測定の波形から損失発生地点までの距離を確認し、クロージャまでの距離情報を格納したデータベース(DB)と照合して、当該クロージャが設置されている地点を特定することになる。しかし、測定結果から得られる損失発生地点までの距離情報とDBに格納されたクロージャまでの距離情報とが一致しない場合がある。
0007
これは、光時間領域反射測定の結果から得られる損失発生地点までの距離情報が光ファイバ心線そのものの長さ、つまり実長であるのに対し、DBに格納されたクロージャまでの距離情報は当該光ケーブルルートの水平距離、すなわち亘長であるためである。通信設備ビル内で縦系の配線がなされていた場合はその分実長の方が長くなることがある。また、ケーブルの取り回しのために確保されているケーブル余長や接続点での光ファイバ心線の余長の累積、ケーブルの蛇行によっても、実長と亘長には差異が生じることになる。
0008
結果として、測定で得られた損失発生距離と同じ距離情報を持ったクロージャがDB上に存在しないような事態や、隣接する別のクロージャの距離情報と同じ値になってしまい損失発生地点を誤認識してしまうような事態が生じる。前者の場合、当該クロージャ位置を特定できないまま現場に向かい、一つずつ被疑となるクロージャを点検していく必要があり極めて長い時間を要する。後者においても、誤ったクロージャであると現場で初めて気づくため、手戻りが発生して効率的でない。また、クロージャはマンホール内に設置されているため、その作業には道路使用許可の取得やガードマンの配置など多大な稼働を要するため、前述したような総当り的な特定作業や手戻りは多大なコストを発生させる。
0009
これは、測定結果から得られる情報は実長であることに対し、DBに格納されている亘長であって、情報内容が本質的に異なることで生じる。このように、従来は、損失増加が発生した地点とDBに格納されているクロージャの情報とを正しく紐づけできておらず、光ファイバケーブルの損失発生箇所を正確に特定できず、非効率的且つ非経済的な作業が発生するという課題があった。
0010
そこで、本発明は、上記課題を解決すべく、測定結果から得られる情報とDBに格納されている情報とを紐付けし、光ファイバケーブルの損失発生箇所を正確に特定できる光ファイバケーブル監視方法および光ファイバケーブル監視システムを提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0011
上記目的を達成するために、本発明に係る光ファイバケーブル監視方法は、予め光ファイバケーブル上でのクロージャの位置を取得し、クロージャの並び順からDBに格納されている情報と測定結果から得られる情報(光ファイバケーブル上の位置)とを紐付けることとした。
0012
具体的には、本発明に係る光ファイバケーブル監視方法は、光ファイバケーブルの長手方向に並ぶ複数の特定点を監視する光ファイバケーブル監視方法であって、
測定光を伝搬させて前記光ファイバケーブルの距離に対する情報を取得する光計測で、前記特定点の前記光ファイバケーブル上における距離情報を取得する距離情報取得手順と、
予め取得している前記特定点の並び順及び地理的位置情報を用い、前記特定点の並び順から前記地理的位置情報と前記特定点の距離情報とを前記特定点毎に紐付ける紐付け手順と、
監視光を伝搬させて前記光ファイバケーブルの距離に対する情報を取得する、前記光計測より感度が低い光監視で、前記光ファイバケーブルで発生する異常点の前記光ファイバケーブル上における距離情報を検出する異常検出手順と、
前記紐付け手順で紐付けられた前記地理的位置情報と前記特定点の距離情報とを用い、前記異常検出手順で検出した前記異常点の距離情報から前記異常点に対応する前記特定点の前記地理的位置情報を取得する位置取得手順と、
を行うことを特徴とする。
0013
また、本発明に係る光ファイバケーブル監視システムは、光ファイバケーブルの長手方向に並ぶ複数の特定点を監視する光ファイバケーブル監視システムであって、
測定光を伝搬させて前記光ファイバケーブルの距離に対する情報を取得する光計測で、前記特定点の前記光ファイバケーブル上における距離情報を取得する距離情報取得手段と、
予め取得している前記特定点の並び順及び地理的位置情報を用い、前記特定点の並び順から前記地理的位置情報と前記特定点の距離情報とを前記特定点毎に紐付ける紐付け手段と、
監視光を伝搬させて前記光ファイバケーブルの距離に対する情報を取得する、前記光計測より感度が低い光監視で、前記光ファイバケーブルで発生する異常点の前記光ファイバケーブル上における距離情報を検出する異常検出手段と、
前記紐付け手段が紐付けた前記地理的位置情報と前記特定点の距離情報とを用い、前記異常検出手段が検出した前記異常点の距離情報から前記異常点に対応する前記特定点の前記地理的位置情報を取得する位置取得手段と、
を備えることを特徴とする。
0014
本発明は、感度の異なる2種類の光ファイバ計測手法を用いる。高感度な計測手法でそれぞれのクロージャの光ファイバケーブル上の位置を取得し、クロージャの並び順から地理的位置情報(DBに格納されている情報)と光ファイバ上の位置とを紐付ける。このため、作業者は、低感度な計測手法でクロージャの異常(光ファイバケーブル上の位置)を検知した時に、異常点の光ファイバケーブル上の位置に紐づけられているクロージャの現実の位置(地理的位置情報)を認知することができる。
0015
従って、本発明は、測定結果から得られる情報とDBに格納されている情報とを紐付けし、光ファイバケーブルの損失発生箇所を正確に特定できる光ファイバケーブル監視方法および光ファイバケーブル監視システムを提供することができる。
0016
高感度な計測手法の第1の例として、前記距離情報取得手順の前記光計測は、前記光ファイバケーブルのカットオフ波長以下の光パルスを前記測定光とし、検出する損失の発生点を前記特定点とみなす光時間領域反射測定が挙げられる。
0017
高感度な計測手法の第2の例として、前記距離情報取得手順の前記光計測は、前記測定光によるブリルアン散乱からブリルアン周波数シフト量の長手方向分布を測定し、前記長手方向分布の特異点を前記特定点とみなす光時間領域反射測定が挙げられる。
0018
高感度な計測手法の第3の例として、前記距離情報取得手順の前記光計測は、パルス光のポンプ光と連続光のプローブ光を前記測定光とし、前記ポンプ光と前記プローブ光との周波数差を変化させて前記プローブ光が受けたブリルアン利得の周波数特性の長手方向分布を測定し、前記長手方向分布の特異点を前記特定点とみなすブリルアン光時間領域解析測定が挙げられる。
0019
本発明に係る光ファイバケーブル監視方法は、予め、前記距離情報取得手順で、全ての前記特定点の距離情報を取得するとしてもよい。
0020
また、本発明に係る光ファイバケーブル監視方法は、前記異常検出手順で、前記異常点の距離情報を取得した後、前記距離情報取得手順で、前記光ファイバケーブルの前記測定光の入射端から少なくとも前記異常点までの前記特定点の距離情報を取得するとしてもよい。
発明の効果
0021
本発明は、測定結果から得られる情報とDBに格納されている情報とを紐付けし、光ファイバケーブルの損失発生箇所を正確に特定できる光ファイバケーブル監視方法および光ファイバケーブル監視システムを提供することができる。
図面の簡単な説明
0022
光時間領域反射測定法の概要を示す図である。
光ファイバケーブルの接続点と余長を収容したクロージャの概略を示す図である。
マンホールとクロージャの配置例を示す図である。
本発明の課題を説明する図である。
本発明に係る光ファイバケーブル監視システムを説明する構成図である。
光ファイバケーブルを敷設した光通信システムの例を示す図である。
本発明に係る光ファイバケーブル監視方法を説明する図である。
本発明に係る光ファイバケーブル監視方法で紐付けられた情報の例を示す図である。
本発明に係る光ファイバケーブル監視方法を説明する図である。
実施例
0023
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
0024
(実施形態1)
図5は、本実施形態の光ファイバケーブル監視システムを説明する図である。本光ファイバケーブル監視システムは、光ファイバケーブルの長手方向に並ぶ複数の特定点を監視する光ファイバケーブル監視システムであって、
測定光を伝搬させて前記光ファイバケーブルの距離に対する情報を取得する光計測で、前記特定点の前記光ファイバケーブル上における距離情報を取得する距離情報取得手段と、
予め取得している前記特定点の並び順及び地理的位置情報を用い、前記特定点の並び順から前記地理的位置情報と前記特定点の距離情報とを前記特定点毎に紐付ける紐付け手段と、
監視光を伝搬させて前記光ファイバケーブルの距離に対する情報を取得する、前記光計測より感度が低い光監視で、前記光ファイバケーブルで発生する異常点の前記光ファイバケーブル上における距離情報を検出する異常検出手段と、
前記紐付け手段が紐付けた前記地理的位置情報と前記特定点の距離情報とを用い、前記異常検出手段が検出した前記異常点の距離情報から前記異常点に対応する前記特定点の前記地理的位置情報を取得する位置取得手段と、
を備えることを特徴とする。
0025
ここで、光計測機能11は前記距離情報取得手段、データベース機能12は前記紐付け手段、光時間領域反射測定機能13は前記異常検出手段、照合機能14は前記位置取得手段に相当する。光計測機能11は得られた各クロージャまでの実長情報a1を出力する。データベース機能12はクロージャ距離情報(亘長)と地理的位置情報を格納しており、実長情報a1を随時受信してデータベースに加える。光時間領域反射測定機能13は通信波長帯を用いて光ファイバケーブルの長手方向で発生する損失(クロージャの浸水)を測定し、その位置を特定する。そして、光時間領域反射測定機能13は測定結果から得られる浸水位置の実長情報a2を出力する。また、データベース機能12はデータベースに格納されたクロージャ距離情報(実長,亘長)及び地理的位置情報a3を出力する。照合機能14は情報a2と情報a3とを突き合わせ、浸水しているクロージャの地理的位置情報a4を出力する。
0026
本光ファイバケーブル監視システムは、次のような光ファイバケーブル監視方法を行う。当該光ファイバケーブル監視方法は、光ファイバケーブルの長手方向に並ぶ複数の特定点を監視する光ファイバケーブル監視方法であって、
測定光を伝搬させて前記光ファイバケーブルの距離に対する情報を取得する光計測で、前記特定点の前記光ファイバケーブル上における距離情報を取得する距離情報取得手順と、
予め取得している前記特定点の並び順及び地理的位置情報を用い、前記特定点の並び順から前記地理的位置情報と前記特定点の距離情報とを前記特定点毎に紐付ける紐付け手順と、
監視光を伝搬させて前記光ファイバケーブルの距離に対する情報を取得する、前記光計測より感度が低い光監視で、前記光ファイバケーブルで発生する異常点の前記光ファイバケーブル上における距離情報を検出する異常検出手順と、
前記紐付け手順で紐付けられた前記地理的位置情報と前記特定点の距離情報とを用い、前記異常検出手順で検出した前記異常点の距離情報から前記異常点に対応する前記特定点の前記地理的位置情報を取得する位置取得手順と、
を行うことを特徴とする。
0027
まず、図6に示すように光計測機能11により監視対象となる光ファイバケーブル100に配置された全てのクロージャの設置距離を把握するための光計測を通信設備ビル150から実施する。クロージャには接続点および緩やかな曲げを伴う光ファイバ心線余長の収容部が存在するが、それらは通常の通信波長帯(OバンドからUバンドまで)では大きな光損失が発生しないように施工がなされている。このため、光時間領域反射測定機能13が行う上記通信波長帯を利用した光時間領域反射測定法では測定波形上に明確な変化が生じず、クロージャの距離を特定することはできない。そこで、クロージャ内に存在する上記の接続点や緩やかな曲げを別の方法で検知する。
0028
その実現手段として、例えば非特許文献2にある高次のモードを利用した光時間領域反射測定法を用いる。つまり、前記距離情報取得手順の前記光計測は、前記光ファイバケーブルのカットオフ波長以下の光パルスを前記測定光とし、検出する損失の発生点を前記特定点とみなす光時間領域反射測定である。この方法は、測定波長を測定対象となる光ファイバケーブルのカットオフ波長以下にすることで、接続損失と曲げ損失に対して極めて高感度な高次モードを光ファイバ中に発生させその挙動を測定でき、従来の通信波長帯を用いた光時間領域反射測定では検知できない接続点や曲げを検知することが可能である。具体的には、光ファイバケーブル100を光時間領域反射測定機能13から光計測機能11に接続変更し、測定を行う。
0029
図7は、光計測機能11が行う高次モードを利用した光時間領域反射測定法によるクロージャまでの距離(実長)測定結果例である。実長で160m、300m、360mの距離で損失を検知している。これらはクロージャ内の接続損失および余長収容に伴う曲げに起因したものであるため、その距離にクロージャが設置されているとみなせる。
0030
一般的に、曲げ損失は波長が長いほど大きくなる。このため、高次のモードを利用した光時間領域反射測定で用いる試験波長として、クロージャ内のファイバ余長収容時に許容される最大の曲げ半径よりも大きい曲げ半径に対して高感度性を有する(損失発生が大きくなる)ような波長を選択した場合、光ファイバケーブルルート上に存在する光ファイバケーブルの取り回しなどによって生じるクロージャ部以外の曲げ部120を誤って検知してしまう懸念がある。
0031
従って、光計測機能11が出力する試験波長は、高次モード動作させるために測定対象となる光ファイバまたは光ファイバケーブルのカットオフ波長以下であり、かつ、クロージャ内のファイバ余長収容時に許容される最大の曲げ半径以下に対して高感度性、すなわち損失発生する波長(曲げ部120で損失を発生させない波長)を選定することが望ましい。
0032
図8は、データベース機能12が記憶するデータベースを説明する図である。データベース機能12は、予め入力された各クロージャまでの距離情報(亘長)及び地理的位置情報の他に、光計測機能11が測定した各クロージャまでの実長情報をデータベースに蓄積する。このDBのクロージャの距離情報(亘長)から、光ファイバケーブル上における通信設備ビルからのクロージャ設置順がわかる。この例においては、A、B、Cの順でクロージャが設置されていることになる。
0033
従って、図7の第一の損失位置はクロージャAにあたり、実長は160mとなる。同様にクロージャB、Cはそれぞれ300m、360mとなる。データベース機能12は、このように判別した各クロージャまでの実長情報をDBに蓄積する。このように、データベース機能12は、光計測機能11によって検知された光ファイバケーブル上の全てのクロージャの実長を把握し、亘長情報から既知であるクロージャの設置順に基づいて、DB上の各クロージャの距離情報として実長の情報を加える。
0034
クロージャに浸水が発生する前に、前記距離情報取得手順で、全ての前記特定点(クロージャ)の距離情報を取得しておくとよい。
0035
ここで、例えば、図9のように浸水がクロージャBに発生したことを想定する。光時間領域反射測定機能13は、300mの距離において損失、すなわち浸水を検知する。照合機能14は、光時間領域反射測定機能13が検知した損失発生箇所の距離情報(実長)とデータベース機能12が蓄積する実長を含むDBの情報と照合比較し、浸水発生したクロージャがBであると特定する。DBにはGPS情報や番地情報などによりクロージャBの設置位置情報も予め格納されているので、作業者は、浸水が発生したクロージャの設置位置を間違いなく特定でき、迅速、正確に当該地点へ向かい作業することができる。
0036
(実施形態2)
本実施形態では、前記距離情報取得手順の前記光計測が、前記測定光によるブリルアン散乱からブリルアン周波数シフト量の長手方向分布を測定し、前記長手方向分布の特異点を前記特定点とみなす光時間領域反射測定である場合を説明する。
0037
光計測機能11は、光時間領域反射測定によりブリルアン散乱光を観測し(非特許文献3)、情報a1を得てもよい。クロージャ内部にある光ファイバの余長収容部に発生するひずみや、接続点前後で光ファイバが異なることによるブリルアン散乱特性の違いにより、ブリルアン散乱光の周波数がシフトする。従って、このブリルアン周波数シフト量の長手方向分布を測定することで、変化が生じた地点にはクロージャが設置されているとみなすことができ、クロージャの各々までの距離、すなわち実長を把握できる。
0038
(実施形態3)
本実施形態では、前記距離情報取得手順の前記光計測が、パルス光のポンプ光と連続光のプローブ光を前記測定光とし、前記ポンプ光と前記プローブ光との周波数差を変化させて前記プローブ光が受けたブリルアン利得の周波数特性の長手方向分布を測定し、前記長手方向分布の特異点を前記特定点とみなすブリルアン光時間領域解析測定である場合を説明する。
0039
光計測機能11は、ブリルアン光時間領域解析(非特許文献4)により情報a1を得てもよい。クロージャ内部にある光ファイバの余長収容部に発生するひずみや、接続点前後で光ファイバが異なることにより、長手方向でブリルアン利得の周波数特性が変化する。従って、このブリルアン利得の周波数特性の長手方向分布を測定することで、変化が生じた地点にはクロージャが設置されているとみなすことができ、クロージャの各々までの距離、すなわち実長を把握できる。
0040
(実施形態4)
本実施形態では、前記異常検出手順で、前記異常点の距離情報を取得した後、前記距離情報取得手順で、前記光ファイバケーブルの前記測定光の入射端から少なくとも前記異常点までの前記特定点の距離情報を取得する場合を説明する。
0041
光計測機能11によるクロージャの設置距離(実長)の把握は、通信波長帯を利用した光時間領域反射測定機能13で浸水を検知した後に実施してもよい。この場合、少なくとも浸水検知地点までに設置されているクロージャの設置距離情報を得ればよい。これにより浸水を検知した地点には光ファイバケーブル上で何番目のクロージャが設置されているかが明らかとなるため、データベース上のクロージャ情報と紐づけることができ、浸水したクロージャの位置を正確に特定できる。
0042
(他の実施形態)
なお、本発明は、上記実施形態例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態例に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種種の発明を形成できる。例えば、実施形態例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施形態例に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
0043
[付記]
以下は、本実施形態の光ファイバケーブル監視方法を説明したものである。
[課題]
通常の光ファイバケーブルの点検などで行われる時間領域反射測定の結果から得られる損失発生地点までの距離情報は光ファイバ心線そのものの長さであるが、設備DBに格納されたクロージャまでの距離情報は当該光ケーブルルートの水平距離であり、浸水したクロージャを誤認することがある。
0044
そこで、本光ファイバケーブル監視方法は、
光ファイバケーブル内の光ファイバ同士を接続している接続点と接続作業に必要な光ファイバの余長とを収容しているクロージャが、光ファイバケーブルルート上に複数個設置されており、
OからUバンド帯にふくまれる波長を試験光波長とした第一の光時間領域反射測定により光ファイバケーブルの長手方向の損失分布を把握することで前記クロージャの地点で生じる損失を監視する光ファイバケーブル監視方法において、
前記クロージャが設置されている位置情報を予め把握しておき、
光ファイバケーブルルート上に設置されている前記クロージャの並び順を予め把握しておき、
光計測により前記光ファイバケーブルルート上に設置されているクロージャまでの実長としての距離情報、すなわち当該クロージャまでの光ファイバの長さを把握し、
前記第一の光時間領域反射測定法による監視において損失が検出されている損失分布波形と前記光計測により得られたクロージャの実長距離情報とを照合し、前記損失が検出された地点が当該ルート上で何番目のクロージャに相当するかをカウントし、
前記予め把握してあった当該光ファイバルート上に設置されているクロージャの並び順および各クロージャの設置位置情報と照合して前記損失が発生したクロージャの設置位置を特定する
ことを特徴としている。
0045
本光ファイバケーブル監視方法を用いることにより、通信設備ビルから光計測を実施するだけでクロージャの位置を簡便に、正確に把握することができ、効率的、経済的な作業が可能になる。
0046
11:光計測機能
12:データベース機能
13:光時間領域反射測定機能
14:照合機能
100:光ファイバケーブル
120:曲げ部
150:通信設備ビル