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課題

海水中の極微量の放射性セシウムを簡便に効率よく濃縮でき、かつ海水中の放射性セシウム濃度を迅速に測定することが可能なモニタリング方法を提供する。

解決手段

セシウム吸着材として、プルシアンブルー型金属シアノ錯体ナノ微粒子化して溶媒に分散させたスラリーを用いることにより、従来のカラムカートリッジなどを用いずに、放射性セシウムを吸着した吸着材を、凝結凝集剤の添加によって分離し、放射線検出器による測定に供することで、海水中のごく微量の放射性セシウムを効率的にモニタリングできる。

概要

背景

原子力発電所事故の際には、放射性物質が環境に飛散する恐れがある。中でも、放射性であるセシウム134とセシウム137遠距離まで飛散することが知られており、その対策が課題となる。実際、2011年3月11日の福島第1原発の事故において、ある程度距離が離れた地域で時間が経った後に問題となったのは、この二つの物質である。
このような環境汚染の際に、作物の生育に関与する環境水汚染の状況を把握することは重要である。

そのため、従来、海水河川湖沼ため池水路または湧き水などの環境水に含まれる極微量放射性セシウムモニタリングにおいては、環境水から採種した採取したサンプル液に含まれている放射性物質を濃縮し、濃縮した放射性物質の濃度を測定することが行われている。

放射性物質の濃縮方法の基本的な方法として、大量の溶液蒸発濃縮してセシウムの濃度を高めた液を、測定する手法が知られている。
しかしながら、蒸発濃縮法は、真水、もしくは河川水湖沼水程度であれば、時間やコストを度外視して対応可能としても、対象が海水、もしくは様々なイオン高濃度で含む液である場合、蒸発濃縮は析出物の処理が問題となる。
また、従来の蒸発濃縮では、真水でも100倍濃縮、海水であれば析出物のことを考えてせいぜい10倍濃縮が限界である。しかし、近年の海水中の放射性セシウムの量は〜1mBq/L程度と極希薄であり、これを半導体検出器で効率的に測定するためには1000倍以上の濃縮が必要となる。

現在、希薄なセシウム溶液を吸着剤を用いて濃縮する海水分析法も知られている。
その一つとして、セシウムに対する選択的吸着性の高いリンモリブデン酸アンモニウムAMP)を用いる方法がある。しかしAMP法は基本的には、リンモリブデン酸アンモニウムとセシウムの共沈物生成に時間がかかり、対象水のpH調整などの前処理や共沈物のろ過分離などの煩雑な手間がかかるため、採水現場で簡便にできる方法ではなく、ラボに大量の海水を運搬して行なう手間のかかる手法である。

他の方法として、放射性セシウムを特異的に吸着するプルシアンブルーフェロシアン化鉄)等のプルシアンブルー型金属錯体吸着材として用い、これを採水現場で通水吸着させて濃度を高める方法がある。
例えば、特許文献1、非特許文献1では、ポンプで汲み上げた環境水を、プルシアン錯体化合物担持させた不織布を内部にセットしたカラムに一定速度で一定時間通水させ、該不織布状で濃縮された水中の放射性セシウム量を、ゲルマニウム半導体検出器NaIシンチレーター等の放射線測定器(以下、単に「放射線検出器」という。)を用いて測定することにより、現場で、環境水中の放射性セシウムを簡便にモニタリングする方法が記載されている。
また、特許文献2、3では、同様の、ポンプで汲み上げた環境水を吸着材に通水吸着させて、環境水中の放射性セシウム量を測定する方法において、プルシアンブルー型錯体微粒子エチレン酢酸ビニル共重合体によって不織布などの多孔質基材に担持させた放射性吸着材を備えるカートリッジを用いることが記載されている。

上記のカラムやカートリッジを用いた放射性セシウムのモニタリング方法では、カラムから回収した不織布又はカートリッジから回収した放射性物質吸着材(以下、これらを「回収した不織布等」という。)を放射線検出器に供することにより行われる。
具体的には、例えば、
(1)SS分及び環境水中に溶解している放射性物質の濃度を測定する場合には、回収した不織布等をそのまま検出器で測定する方法、
(2)環境水中に溶解している放射性物質の濃度のみを測定する場合には、回収した不織布等を水洗浄超音波洗浄により、回収した不織布等からSS分を除去した上で、放射線検出器で測定する方法、
等から適宜選択して用いられる。
なお、環境水中に溶解している放射性セシウム濃度は、不織布等に吸着された放射性セシウムにおける放射線の量(Bq)を、カラムないしカーリッジに供した水の量(L)で徐して算出した濃度(Bq/L)から算定される。

概要

海水中の極微量の放射性セシウムを簡便に効率よく濃縮でき、かつ海水中の放射性セシウム濃度を迅速に測定することが可能なモニタリング方法を提供する。セシウム吸着材として、プルシアンブルー型金属シアノ錯体ナノ微粒子化して溶媒に分散させたスラリーを用いることにより、従来のカラムやカートリッジなどを用いずに、放射性セシウムを吸着した吸着材を、凝結凝集剤の添加によって分離し、放射線検出器による測定に供することで、海水中のごく微量の放射性セシウムを効率的にモニタリングできる。

目的

また、吸着材として用いられるプルシアンブルー型金属錯体は、Csイオンを選択的に吸着することができ、海水のようにNaイオン、Kイオン、Mgイオンなどの陽イオンを含む汚染水を処理する場合であっても、これらの陽イオンによる阻害作用の影響は比較的小さいことが知られているが、海水中の希薄なセシウム濃度のモニタリング方法に用いるに際しては、より一層高いセシウム吸着性能、特に高い吸着速度を有するものを用いることが望まれている

効果

実績

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牽制数
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請求項1

採取された海水中に、プルシアンブルー型金属シアノ錯体ナノ微粒子スラリーを加えて前記海水中の放射性セシウムを前記微粒子吸着させた後、凝結凝集剤を添加して前記放射性セシウムを吸着した前記微粒子を凝集沈殿させ、得られた凝集沈殿物を、分離した後、放射線検出器による測定に供することを特徴とする放射性セシウムのモニタリング方法

請求項2

前記プルシアンブルー型金属シアノ錯体が、銅−鉄プルシアンブルー型金属シアノ錯体であることを特徴とする請求項1に記載の放射性セシウムのモニタリング方法。

請求項3

前記凝結・凝集剤として、鉄系凝結剤及び高分子凝集剤を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射性セシウムのモニタリング方法。

請求項4

前記採取した海水に、非放射性セシウムを添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射性セシウムのモニタリング方法。

技術分野

0001

本発明は、海水中の希薄放射性セシウムモニタリング方法に関し、特にプルシアンブルー型錯体化合物を用いた海水中の希薄な放射性セシウムのモニタリング方法に関する。

背景技術

0002

原子力発電所事故の際には、放射性物質が環境に飛散する恐れがある。中でも、放射性であるセシウム134とセシウム137遠距離まで飛散することが知られており、その対策が課題となる。実際、2011年3月11日の福島第1原発の事故において、ある程度距離が離れた地域で時間が経った後に問題となったのは、この二つの物質である。
このような環境汚染の際に、作物の生育に関与する環境水汚染の状況を把握することは重要である。

0003

そのため、従来、海水、河川湖沼ため池水路または湧き水などの環境水に含まれる極微量放射性セシウムのモニタリングにおいては、環境水から採種した採取したサンプル液に含まれている放射性物質を濃縮し、濃縮した放射性物質の濃度を測定することが行われている。

0004

放射性物質の濃縮方法の基本的な方法として、大量の溶液蒸発濃縮してセシウムの濃度を高めた液を、測定する手法が知られている。
しかしながら、蒸発濃縮法は、真水、もしくは河川水湖沼水程度であれば、時間やコストを度外視して対応可能としても、対象が海水、もしくは様々なイオン高濃度で含む液である場合、蒸発濃縮は析出物の処理が問題となる。
また、従来の蒸発濃縮では、真水でも100倍濃縮、海水であれば析出物のことを考えてせいぜい10倍濃縮が限界である。しかし、近年の海水中の放射性セシウムの量は〜1mBq/L程度と極希薄であり、これを半導体検出器で効率的に測定するためには1000倍以上の濃縮が必要となる。

0005

現在、希薄なセシウム溶液を吸着剤を用いて濃縮する海水分析法も知られている。
その一つとして、セシウムに対する選択的吸着性の高いリンモリブデン酸アンモニウムAMP)を用いる方法がある。しかしAMP法は基本的には、リンモリブデン酸アンモニウムとセシウムの共沈物生成に時間がかかり、対象水のpH調整などの前処理や共沈物のろ過分離などの煩雑な手間がかかるため、採水現場で簡便にできる方法ではなく、ラボに大量の海水を運搬して行なう手間のかかる手法である。

0006

他の方法として、放射性セシウムを特異的に吸着するプルシアンブルーフェロシアン化鉄)等のプルシアンブルー型金属錯体吸着材として用い、これを採水現場で通水吸着させて濃度を高める方法がある。
例えば、特許文献1、非特許文献1では、ポンプで汲み上げた環境水を、プルシアン錯体化合物担持させた不織布を内部にセットしたカラムに一定速度で一定時間通水させ、該不織布状で濃縮された水中の放射性セシウム量を、ゲルマニウム半導体検出器NaIシンチレーター等の放射線測定器(以下、単に「放射線検出器」という。)を用いて測定することにより、現場で、環境水中の放射性セシウムを簡便にモニタリングする方法が記載されている。
また、特許文献2、3では、同様の、ポンプで汲み上げた環境水を吸着材に通水吸着させて、環境水中の放射性セシウム量を測定する方法において、プルシアンブルー型錯体微粒子エチレン酢酸ビニル共重合体によって不織布などの多孔質基材に担持させた放射性吸着材を備えるカートリッジを用いることが記載されている。

0007

上記のカラムやカートリッジを用いた放射性セシウムのモニタリング方法では、カラムから回収した不織布又はカートリッジから回収した放射性物質吸着材(以下、これらを「回収した不織布等」という。)を放射線検出器に供することにより行われる。
具体的には、例えば、
(1)SS分及び環境水中に溶解している放射性物質の濃度を測定する場合には、回収した不織布等をそのまま検出器で測定する方法、
(2)環境水中に溶解している放射性物質の濃度のみを測定する場合には、回収した不織布等を水洗浄超音波洗浄により、回収した不織布等からSS分を除去した上で、放射線検出器で測定する方法、
等から適宜選択して用いられる。
なお、環境水中に溶解している放射性セシウム濃度は、不織布等に吸着された放射性セシウムにおける放射線の量(Bq)を、カラムないしカーリッジに供した水の量(L)で徐して算出した濃度(Bq/L)から算定される。

0008

特開2013-246049号公報
特開2015−179036号公報
特開2016−133324号公報

先行技術

0009

保高徹生、川本徹、川辺能成、佐利夫、佐藤人、中公人「プルシアンブルー不織布を用いた灌漑用水中の低濃度放射性セシウムモニタリング技術の開発」文部科学省による放射性物質の分布状況等に関する調査研究(河川水・井戸水における放射性物質の移行調査)の結果について(確認日:2012/04/05)

発明が解決しようとする課題

0010

しかしながら、海水における希薄な放射性セシウムのモニタリングにおいて、上記特許文献1〜3及び非特許文献1に記載された方法を適用すると、以下の様な問題がある。
その1つは、上記特許文献1〜3及び非特許文献1に記載された方法では、カラムやカートリッジから回収された不織布等をそのまま、或いは水洗浄や超音波洗浄によりSS分を除去した上で、放射線検出器による測定に供する際に、その測定感度は放射線検出器の試料室内の放射性物質の量に依存するが、一般的な検出器の試料室容量は決まっている。すなわち、放射線検出器による測定をおこなう場合、外部からの放射線の影響を排除する必要があることから、鉛やタングステンなどの重金属遮蔽された試料室内に、U8容器(容量約100mL)又はマリネリ容器(容量約2L)に試料を収めて測定がおこなわれる。そのため、収容可能な試料体積に制限があり、試料に含まれる放射性物質濃度が薄ければ、測定効率が悪くなるという問題である。

0011

また、吸着材として用いられるプルシアンブルー型金属錯体は、Csイオンを選択的に吸着することができ、海水のようにNaイオン、Kイオン、Mgイオンなどの陽イオンを含む汚染水を処理する場合であっても、これらの陽イオンによる阻害作用の影響は比較的小さいことが知られているが、海水中の希薄なセシウム濃度のモニタリング方法に用いるに際しては、より一層高いセシウム吸着性能、特に高い吸着速度を有するものを用いることが望まれている。

0012

さらに、プルシアンブルー型金属錯体にはフェロシアン化イオン、もしくはフェリシアン化イオンが含まれており、それらが溶出する場合がある。フェロ/フェリシアン化イオンの毒性は低いことが知られているうえ、モニタリング対象が海水である場合、海水中に含まれるカチオンにより、真水の場合よりも幾らか抑制されるが、シアン成分が溶出してしまうということは問題になりかねない。

0013

本発明は、こうした現状を鑑みてなされたものであって、従来方法におけるこれらの問題を解決し、原子力発電所や関連施設の事故等、不特定の理由により拡散された、海水中の極微量の放射性セシウムを簡便に効率よく濃縮でき、かつ海水中の放射性セシウム濃度を迅速に測定することが可能なモニタリング方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、海水中の放射性セシウム濃度のモニタリング方法において、セシウム吸着材として用いるプルシアンブルー型金属錯体のシアン成分の溶出を抑制することが可能な方法を提供することをもう1つの目的とするものである。

課題を解決するための手段

0014

本発明者は、前記課題を解決するために種々の検討を行った結果、セシウム吸着材としてプルシアンブルー型金属シアノ錯体ナノ微粒子溶媒に分散させたスラリー(以下、「ナノ微粒子スラリー」ということもある。)を用いることにより、放射性セシウムを吸着した吸着材を、従来のカラムやカートリッジなどを用いずに、凝結凝集剤の添加(凝集沈殿法)によって分離することで、海水中のごく微量の放射性セシウムを効率的にモニタリングできることを見いだし、本発明を完成するに至った。
また、セシウム吸着材として用いるプルシアンブルー型金属シアノ錯体の組成を最適化することにより、短時間で放射性セシウムを吸着することが可能となることも判明した。
さらに、微量な放射性セシウムを含有する海水へ、非放射性セシウム塩を添加することにより、セシウム吸着材として用いるプルシアンブルー型金属錯体のシアン成分の溶出を抑制することが可能であるという知見も得た。

0015

本発明はこれらの知見に基づいてなされたものであって、以下の発明が提供される。
〈1〉採取された海水中に、プルシアンブルー型金属シアノ錯体のナノ微粒子スラリーを加えて前記海水中の放射性セシウムを前記微粒子に吸着させた後、凝結・凝集剤を添加して前記放射性セシウムを吸着した前記微粒子を凝集沈殿させ、得られた凝集沈殿物を、分離した後、放射線検出器による測定に供することを特徴とする放射性セシウムのモニタリング方法。
〈2〉前記プルシアンブルー型金属シアノ錯体が、銅−鉄プルシアンブルー型金属シアノ錯体であることを特徴とする〈1〉に記載の放射性セシウムのモニタリング方法。
〈3〉前記凝結・凝集剤として、鉄系凝結剤及び高分子凝集剤を用いることを特徴とする〈1〉又は〈2〉に記載の放射性セシウムのモニタリング方法。
〈4〉前記採取した海水に、非放射性セシウムを添加することを特徴とする〈1〉〜〈3〉のいずれかに記載の放射性セシウムのモニタリング方法。

発明の効果

0016

本発明によれば、吸着材として、放射性セシウムの高い吸着性能を有するプルシアンブルー型金属シアノ錯体のナノ微粒子スラリーを用いることで、放射性セシウムの吸着が高い効率をもって行われる結果、凝結・凝集剤の添加により生成した凝集沈殿物の容積がきわめて小さくなり、高度の減容が可能となり、放射線検出器での効率よい測定が可能となるものである。また、本発明において、特に吸着材として放射性セシウムの吸着速度が高い銅−鉄シアノ錯体を用いることにより、採取した海水中への放射性セシウムの再溶解をなくすことが可能となるため、放射性セシウム濃度が極希薄な海水であっても、凝結・凝集剤の添加により得られた凝集沈殿物を放射線検出器による測定に供するだけで、正確な放射性セシウムのモニタリングが可能となるものである。

図面の簡単な説明

0017

本発明の実施形態の1例を示す模式図
鉄/銅比の異なる組成の銅−鉄シアノ錯体のセシウム吸着率の違いを示す図
銅−鉄シアノ錯体(鉄/銅=0.75)の、液固比10,000の条件下でのセシウム吸着に伴う海水中のセシウム濃度変化を示す図。
凝結・凝集剤添加後のフロック形成の様子を撮影した写真

0018

従来、プルシアンブルー型金属シアノ錯体は、一般に、水に不溶性粉末物質であることから、そのまま水に添加して放射性セシウムを吸着させた後、凝集・凝結剤などで凝集沈殿させてろ過することにより容易に回収することができるため、もっぱら高濃度汚染水の除染への適用が検討されている。
本発明においては、この凝結・凝集剤による分離回収方法を、海水中の希薄な放射性セシウムのモニタリング方法に適用するものである。

0019

すなわち、本発明では、プルシアンブルー型金属シアノ錯体を、セシウムイオン吸着材料として用い、その形態としては、プルシアンブルー型金属シアノ錯体のナノ微粒子を溶媒に分散させたスラリー状態で使用するとともに、セシウムを吸着・濃縮させた後のナノ微粒子を、凝結・凝集剤の添加により分離し、得られた凝集沈殿物の放射線セシウム濃度を放射線検出器により測定する。

0020

図1は、本発明の実施形態の1例を示す模式図である。
該図に示すように、本発明の海水中の放射性セシウムのモニタリング方法の好ましい実施形態では、採取された海水中に、プルシアンブルー型金属シアノ錯体をナノ微粒子化したスラリーを加えて振とう機により振とうし、前記海水中の放射性セシウムを前記微粒子に吸着させた後、凝結・凝集剤を添加し振とうした後、前記放射性セシウムを吸着した前記微粒子を凝集沈殿させ、得られた凝集沈殿物を分離した後に放射線検出器による測定に供する。

0021

先に記載のとおり、放射線検出器による測定では、吸着後の吸着材の量を、試料容器の容量の範囲に納める必要があり、それがネックとなり、吸着性能の低いゼオライト等の吸着材を用いたのでは、そこまで濃縮することが難しかった。
本発明では、吸着材として、放射性セシウムの高い吸着性能を有するプルシアンブルー型金属シアノ錯体を用いることで、放射性セシウムの吸着が高い効率をもって行われる結果、凝結・凝集剤の添加により生成した凝集沈殿物の容積がきわめて小さくなり、高度の減容が可能となり、放射線検出器での効率よい測定が可能となるものである。
また、本発明では、吸着材として、放射性セシウムの吸着速度が高い銅−鉄シアノ錯体を用いることにより、採取した海水中への放射性セシウムの再溶解をなくすことが可能とるため、放射性セシウム濃度が極希薄な海水であっても、凝結・凝集剤の添加により得られた凝集沈殿物を放射線検出器による測定に供するだけで、正確な放射性セシウムのモニタリングが可能となるものである。
以下、順に詳しく説明する。

0022

[吸着材]
プルシアンブルー(フェロシアン化鉄)等のプルシアンブルー型金属シアノ錯体は、内部に空隙を持つ構造をしており、その空隙に溶存態の放射性セシウム(Cs)を選択的に吸着することができ、海水のようにナトリウム(Na)イオン、カリウム(K)イオン、マグネシウム(Mg)イオンなどの陽イオンが共存している環境下であっても、これらの陽イオンによる阻害作用の影響は比較して小さいことが知られている。

0023

このプルシアンブルー型金属シアノ錯体は、組成が、AxMA[MB(CN)6]y・zH2Oで示される錯体化合物であり、一般的に結晶構造立方晶であるが、三方晶正方晶などをとるものもあり、放射性セシウムを吸着する能力があればその結晶構造に制限はない。

0024

上記組成中、Aは、水素アンモニウムリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムからなる群より選ばれる一種または二種以上の陽イオンを表わす。
また、MAは、バナジウムクロムマンガン、鉄、ルテニウムコバルトロジウムニッケルパラジウム白金、銅、銀、亜鉛ランタンユーロピウムガドリニウムルテチウムバリウムストロンチウム、及びカルシウムからなる群より選ばれる一種または二種以上の金属原子を表し、MBは、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ニッケル、白金、及び銅からなる群より選ばれる一種または二種以上の金属原子を表す。
さらに、xは0〜3、yは0.1〜1.5、zは0〜6の数値を表す。

0025

本発明において用いる吸着材は、プルシアンブルー型金属シアノ錯体であれば、特に限定されないが、高いセシウム選択性及び高い吸着速度を有する点で、特に、前記金属MAが銅(Cu)であり、前記金属MBが鉄(Fe)である、銅−鉄シアノ錯体が好ましい。
さらに、上記組成式におけるFe/Cu比が、0.5〜1.0、より好ましくは0.6〜0.75である、銅−鉄シアノ錯体が好ましい。
また、上記組成式におけるAとしては、特に、カリウムイオン又はナトリウムイオンがより好ましい。

0026

本発明において用いられる前記プルシアンブルー型金属錯体をナノ粒子化したスラリーは、採取した放射性セシウムを含む水溶液に分散させた時に、プルシアンブルー型金属錯体が水溶液中に均一に分散していることが好ましく、その点から、十分に微細粒子状であることが好ましい。その粒径は、粒子が溶媒中に分散していれば特に限定されないが、平均一次粒径で、100nm以下が好ましく、50nm以下が特に好ましい。

0027

また、分散性向上のための表面修飾は必ずしも必要ではないが、放射性セシウムを含む水溶液へのスラリー投入後、セシウムを一定量吸着するまでは、充分に分散していることが好ましい。特に海水などのイオンを多く含む液に対しては、投入時点で凝結が起こりやすく、充分な吸着が望めないことがある。
よって、溶媒への分散性の向上や、吸着能の改善などを目的として、他の化合物を添加してもよい。例えば有機溶媒アルコール、水への分散性を向上させるために特開2006−256954号公報、国際公開第WO2007/020945号パンフレット、国際公開第WO2008/081923号パンフレット、国際出願第PCT/JP2007/075265号明細書に記載のアミノ基を有する材料を添加することが挙げられる。また、特に水への分散性を向上させることを目的とする場合には国際公開第WO2008/081923号パンフレットに挙げられるヘキサシアノ金錯体イオンを添加してもよい。さらには、Joge M.Domingues−Veraら,「インオーガニックケミストリー(Inorg.Chem.)」,Vol.42,2003年,p6983に挙げられるフェリチンの添加や、特開平1−219723号公報に挙げられる水溶性高分子などを添加してもよい。

0028

[プルシアンブルー型金属錯体のナノ微粒子の製造方法]
本発明に用いられるプルシアンブルー型金属錯体のナノ微粒子は、少なくとも金属MAを含む原料液と、金属MBを含む原料液の2つ、またはそれ以上の原料液を混合することにより製造される。
混合に用いる装置の形状としては、流入口が二つ以上あり、流出口が一つ以上あればよく、第1の溶液と第2の溶液が内部で混合できればよい。
具体的な例として、特開2015−101513号公報記載のY字管の形状をしたマイクロミキサー等を混合装置として用いることができる。

0029

[吸着材の添加による放射性セシウムの吸着]
本発明においては、プルシアンブルー型金属シアノ錯体のナノ微粒子を、溶媒に分散させてスラリー状態とし、得られたスラリーを、採取した海水中に添加する。或いは、上記の製造方法で得られる反応混合液(スラリー)をそのまま用いて、採取した海水中に添加することもできる。
採取した海水にプルシアンブルー型金属シアノ錯体のナノ微粒子スラリーを添加した後は、振とう機により振とうして、放射性セシウムを吸着させる。振とうの条件は特に限定されないが、例えば、300〜600rpmの回転数で、1〜5分程度振とうすることが好ましい。

0030

吸着材の添加量については、より少ない吸着材に海水中のセシウムを吸着させる、つまり吸着液と吸着材の液固比を大きくすることにより、容積に制限のある検出器の試料室内により多くの放射性物質を集めることができ、測定効率を高めることが可能となる。海水中のセシウムの1,000倍以上の濃縮を実現するには、液固比としては1,000以上が必要であり、中でも海水中に含まれるセシウム量(250〜300ppt)の濃度における吸着材の吸着容量の観点から、液固比が数十万程度までは可能であるが、迅速かつ確実なセシウムの吸着の観点から、液固比が1,000〜数万程度が好ましい。
本発明では、吸着材として銅−鉄シアノ錯体を用いるにより、例えば、液固比10,000(液体100mLに対して吸着材10mg)という条件下では、10ppb(0.01ppm)以下の希薄濃度のCsを99%以上吸着することができる。

0031

[凝結・凝集剤の添加による分離・回収]
本発明においては、前記のセシウムを吸着した吸着材を海水から分離・回収するため、吸着材を凝結させる凝結剤及び/又は凝集させる凝集剤(凝集・凝結剤)を投入して沈澱させて、放射性セシウムをほとんど含まない溶液と、放射性セシウムを含む沈殿物とに分離する。

0032

凝結・凝集剤としては、吸着材であるプルシアンブルー型金属錯体を凝集沈殿できるものであれば特に限定されず、プルシアンブルー型金属錯体の凝結・凝集剤として既に知られている、硫酸アルミニウムポリ塩化アルミニウム等のアルミ系凝集剤や、硫酸第二鉄塩化第二鉄ポリ硫酸第二鉄硫酸第一鉄等の鉄系凝集剤等の無機系凝集剤、或いは、アミノアルキルメタアクリレート級塩(共)重合体等のカチオン系高分子凝集剤アクリルアミドアクリル酸ソーダ共重合体等のアニオン系高分子凝集剤ポリアクリルアミド等の非イオン系高分子凝集剤等の高分子有機系凝集剤等を用いることができる。

0033

なかでも、鉄系凝結剤と高分子凝集剤を併用することが好ましい。プルシアンブルー型金属錯体を凝結させる鉄系凝結剤の添加により分散性を落とし、さらにそれを凝集させる高分子凝集剤を添加することで、海水のような高濃度のイオンを含む溶液に対しても、充分に大きなフロックを形成することができ、沈降したフロックの濾別は特殊なフィルターではなく、例えば100μm程度のメッシュ網を用いても、吸着材と液の分離が容易にできる。この場合、鉄系凝結剤の添加後に、高分子凝集剤を添加しても、或いは、鉄系凝結剤と高分子凝集剤を同時に添加してもよい。

0034

添加する鉄系凝結剤と高分子凝集剤の量は、それぞれ凝集沈殿対象物である吸着材の5〜20質量%、1〜20質量%程度となることが好ましい。凝結剤、凝集剤の量が少なければフロックの形成が不十分となり、多ければ液の粘性が上がって、凝集物の沈降や濾別が難しくなる。

0035

[非放射性セシウムの添加]
本方式によるCs濃縮は、ナノ粒子化された銅−鉄シアノ錯体(CuHCF)を用いるため吸着性能に優れる一方で、フェロシアン/フェリシアン化イオンの溶出の可能性が危惧される。これはナノ粒子状態を安定化するために、CuHCF塩はマイナスチャージを帯びており、このため極性溶媒である水中で安定に分散していること、一方でマイナスチャージしているため、マイナスイオンとしてフェロシアン/フェリシアン化イオンを放出しやすい環境にあるためと考えられる。そこで凝結・凝集の際に、元々の海水中に含まれるセシウムの吸着に影響しない程度の極微量の非放射性セシウムイオンを、添加・吸着させることでCuHCF塩が安定化し、フェロシアン/フェリシアン化イオンの溶出が抑えられる。この際加えるセシウムイオンは硝酸塩塩化物硫酸塩などいずれの塩でも構わないが、セシウムイオンの添加量としては、液固比や対象溶液中の金属イオン濃度にも依るが、例えば液固比10,000で海水の場合は、シアンの一律排水基準を十分にクリアする観点から、海水中に元々含まれるセシウムとは別に、20ppb以上の濃度となるよう添加することが好ましく、さらにシアンイオン溶出抑制を図り、かつCuHCFのセシウム吸着容量の観点から、50〜1,000ppb程度がより好ましい。液固比が1,000の場合は、その10倍の添加量が好ましいということになる。

0036

以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより限定
して解釈されるものではない。

0037

(調製例1)
<銅−鉄シアノ錯体の調製>
Fe/Cu比が0.67である銅−鉄シアノ錯体を以下の通りに調製した。
硫酸銅五水和物149.6gを純水で1000mLになるように溶解し、銅イオンが0.6モル/Lの水溶液を調整した。また、フェロシアン化カリウム三水和物169.0gを純水で1000mLになるように溶解させ、フェロシアン化物イオンが0.4モル/Lの水溶液を調整した。双方の液の流量をそれぞれ100mL/分に調整し、フロー方式により合成した。ここでは、Y字型のマイクロミキサー(VICI社製マイクロボリュームコネクター「1/16 Y PEEK,製品番号 MY1XCPK」の流路部分と「1/16 Y SUS,製品番号MY1XCS6」の接続部分をつなぎあわせたもの)を用いた。
得られた混合液(スラリー)は、そのまま、採取された海水中に混合して、放射性セシウム吸着に用いることができるが、合成された粒子サイズ等の情報を得るため、その一部について以下のようにして洗浄乾固をおこなった。

0038

スラリー液を16000rpm10分間の遠心分離を行い、得られた沈殿物を純水洗浄後、真空乾燥することで赤褐色粉末PCu1(0.67)を得た。
得られた粉末PCu1(0.67)について、X線回折装置で評価したところ、データベース中にK0.67Cu[Fe(CN)6]0.67ピーク位置と一致した。
また、得られた粉末PCu1の平均一次粒径を粉末X線回折ピーク幅からシェラーの式で算出したところ、約32nmであった。シェラーの式は以下のように表される式である。
d=K×λ/(β×cosθ)
(d:一次粒径、K:シェラー定数(0.94)、λ:X線波長、θ:ピークの回折角)
さらに、粉末PCu1(0.67)の組成を次の方法で評価した。粉末PCu1(0.67)10mgを塩酸4mL、硝酸2mLに添加し、マイクロ波分解装置(パーキンエルマー社、Multiwave3000)によりマイクロ波分解を行った後、ICP−MS(パーキンエルマー社、NEXION300D)によりK、Cu、Feの定量を行った。C及びNは軽元素分析法、H2Oは熱重量測定により定量した。結果として、PCu1(0.67)の組成はK0.67Cu[Fe(CN)6]0.67・3.2H2Oと決定した。

0039

(調製例2)
組成比を変えた銅−鉄シアノ錯体の調製>
調製例1と同様の製法において、硫酸銅水溶液とフェロシアン化カリウム濃度を表1の通りに変更し、銅−鉄シアノ錯体の粉末PCu2〜PCu4を得た。
それぞれのFe/Cu比、及び平均1次粒径を表1に示す。

0040

0041

(実施例1:セシウム吸着材の性能評価
本実施例では、前記調整例1、2で得られた、Fe/Cu比が異なる4種(Fe/Cu=0.5、Fe/CU=0.6、Fe/Cu=0.68、及びFe/Cu=0.75)の銅−鉄シアノ錯体ナノ粒子を含む混合液(スラリー)を用い、さらに対照用として、関東化学(株)から市販されている鉄−鉄シアノ錯体(kk -FeHCF:K1.0Fe[Fe(CN)6]1.0・3.0H2O、粒径10〜20nm前後)及び銅−シアノ錯体(kk-CuHCF:K0.67Cu[Fe(CN)6]0.67・3.1H2O、粒径40〜50nm前後)の粉末を水に分散させたスラリーを用いて、次のとおり、吸着材としての性能を評価した。

0042

セシウムイオンを10ppb含む塩化セシウム溶液100mLに、各粒子のスラリー1280mg(固形量として100mg、液固比1000)をそれぞれ添加して、溶液を振とう機で600rpmの条件で振とうし、振とう1分後及び振とう180分後の液中セシウムイオン濃度を、誘導結合プラズマ質量分析装置(NexION300D,Perkin Elmer社)を用いて測定し、吸着率(%)を算出した。
セシウムの吸着率は、Cs吸着率(%)=[(初期液中Cs濃度−吸着後の液中のCs濃度)/初期液中Cs濃度]×100(%)として算出した。

0043

結果を、図2に示す。
図2に示すとおり、180分後の吸着量はいずれも97〜99%と大きな差はないが、1分後の吸着量はFe/Cu比率が0.75となる組成において、最も高くなった。

0044

(実施例2:吸着性能に対する塩の影響)
塩を多く含む海水の場合、セシウムの吸着性能に影響を及ぼす場合がある。
そこで、本実施例では、実施例1における塩化セシウム溶液に塩化ナトリウム及び塩化カリウムを添加して、ナトリウム濃度が10,000ppm、カリウム濃度が400ppmを含む水溶液とし、これにFe/Cu比が0.75の銅−シアノ錯体ナノ微粒子のスラリーを用いて、実施例1と同様にして、セシウム吸着率を測定した。
その結果、銅−鉄シアノ錯体(Fe/Cu=0.75)は、液固比1,000(液体100mLに対して吸着材100mg)という吸着材の少なさにもかかわらず、ナトリウムイオン濃度が10,000ppm、カリウムイオン濃度が400ppmを超える水溶液中においても、10ppb(0.01ppm)以下のセシウムを優先的に、投入後5分以内に99%以上吸着することがわかった。

0045

(実施例3:液固比10,000の場合の吸着性能)
より少ない吸着材に海水中のセシウムを吸着させる、つまり吸着液と吸着材の液固比を大きくすることにより、容積に制限のある検出器の試料室内により多くの放射性物質を集めることができる。
そこで、前記銅−鉄シアノ錯体(Fe/Cu=0.75)のナノ微粒子スラリーによる吸着を、液固比10,000(液体100mLに対して吸着材10mg)という条件でおこなった。
その結果、液中セシウム濃度の時間変化図3に示す。
図3に示すとおり、液固比を10,000まで上げても、吸着の結果は液固比1,000の結果とあまり変わらず、10ppb(0.01ppm)以下の希薄濃度のCsを優先的に、投入後5分以内に97%以上を吸着し、30分程度で吸着率は99%程度に至り、定常状態となった。

0046

(実施例4:凝結・凝集剤による凝集)
セシウム10ppbを含む1Lの人工海水の吸着液に、前記銅−鉄シアノ錯体(Fe/Cu=0.75)のナノ微粒子スラリーを、液固比10,000となるよう添加後、振とう機により600rpmで1分間振とうし、セシウムを吸着させた。
続けて、鉄系凝結剤として、硫酸第一鉄七水和物、及び高分子凝集剤として、両性高分子凝集剤(ニッシンフロック、B-2133)の水溶液をそれぞれの濃度が10ppm及び5ppmとなるように添加(銅−鉄シアノ錯体の添加量のそれぞれ10質量%、5質量%に相当)し、200rpmで1分振とうし、その後30分間静置して、セシウムを吸着した銅−鉄シアノ錯体を凝集沈殿させた。

0047

なお、用いた人口海水(八洲薬品株式会社製造、株式会社BizScience販売金属腐食試験用アクアマリン)の組成は、以下の塩を純水20Lに溶かし、0.13N水酸化ナトリウム水溶液でpHを8.2に調整したものである。
塩化マグネシウム六水和物(22.30g)
塩化カルシウム二水和物(30.70g)
塩化ストロンチウム六水和物(0.35g)
塩化カリウム(13.89g)
炭酸水素ナトリウム(4.02g)
臭化カリウム(2.01g)
ホウ酸(0.54g)
フッ化ナトリウム(0.06g)
塩化ナトリウム(490.68g)
硫酸ナトリウム無水)(81.88g)

0048

図4は、凝結・凝集剤の添加後のフロック形成の様子を撮影した写真である。凝結・凝集剤添加後すぐにフロックの形成が始まり、30分ほどで沈降した。これを適切な目開きのメッシュフィルターに通すことで固液分離をおこなった。
上記の条件の場合、形成したフロックは充分に大きく、目開き100μmのポリプロピレン製メッシュフィルターに、3cm×3cmの穴を開けたアルミホイル張り付け有効面積を規定したもので、1Lの固液分離は10分程度で終了した。さらにこのフロック形成、沈降過程分液ロート中でおこない、最下部沈降層0.2L程度を炉別するだけであれば、固液分離は2分以内に終了した。

0049

(実施例5:シアン溶出の抑制)
本実施例では、元々安定セシウムを300ppt前後含有する人工海水へ、さらに微量のセシウムを添加することによる、シアノイオン溶出抑制効果について、以下の実験をおこなった。
安定セシウムを300ppt前後含有する人工海水に、添加するセシウム量が20ppb、50ppb、100ppb、500ppb、1,000ppb、10,000ppbとなるように添加した。対照試料として、セシウムを添加しないものも準備した。
これらの人口海水に、前記銅−鉄シアノ錯体(Fe/Cu=0.75)のナノ微粒子スラリーを、液固比10,000(液体100mLに対して吸着材10mg)となるように加え、セシウムを吸着後、鉄イオン系の凝結剤(硫酸第一鉄七水和物)と、高分子凝集剤(ニッシンフロック、B-2133)をそれぞれ10ppm、5ppm添加し、銅−鉄シアノ錯体を凝集沈殿させた。

0050

メッシュフィルターで固液分離した後の液をさらに0.45μmのメンブレンフィルターでろ過した液中のシアノイオン濃度を、ラムダ9000((株)共立理化学研究所)および対応する検出試薬(全シアン(低濃度))を用いた簡易比色分析により測定した(表2参照)。
表2に示すとおり、添加なし、20ppb、50ppb、100ppb、500ppb、1,000ppb、10,000ppbのセシウム添加試料について、溶出シアノイオン濃度はそれぞれ0.980ppm、0.116ppm、0.076ppm、0.067ppm、0.012ppm、0.010ppm、定量下限以下(0.005ppm以下)となった。
この結果から明らかように、海水中に元々含まれるセシウムとは別に、20ppb以上、好ましくは100〜1000ppb程度の濃度となるようにセシウムを加えることにより、溶出シアンを抑制することが可能となる。

実施例

0051

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