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技術 放射性セシウムの安定貯蔵方法

出願人 国立研究開発法人物質・材料研究機構
発明者 桜井健次岩元めぐみ
出願日 2018年3月1日 (1年11ヶ月経過) 出願番号 2018-036118
公開日 2019年9月12日 (5ヶ月経過) 公開番号 2019-152467
状態 未査定
技術分野 汚染除去及び汚染物処理 珪酸塩及びセ゛オライト、モレキュラーシーブ
主要キーワード 核爆発 内部容器内 熱交換機構 ポルサイト ファン形状 ブルドン管 耐熱煉瓦 ピーク毎
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題

放射性セシウムポルサイトとして安定かつ確実に貯蔵できる放射性セシウムの除去方法を提供すること。

解決手段

モンモリロナイトアルミシリコンモル比大略1:2で含む原料として使用し、エチレングリコール溶媒とし、処理したい量のセシウムに応じて適当量水酸化ナトリウム等のアルカリ塩を追加したうえで、圧力容器内に密閉し、高々300〜400℃程度の加熱を行って、10〜20MPa程度の内圧を得て、短時間で溶解と反応が完了し(実験室規模実験では5〜30時間程度)、ポルサイト結晶単相が得られる。

概要

背景

放射性セシウムは、例えば原子炉内部で生成されるもので、通常は原子炉内部に密閉されている。しかし、災害や核実験核爆発等によって、環境中に放射性セシウムが漏洩し、拡散する場合がある。
大気中に粒子状物質として飛散した場合は、広範な地域に飛来し、その除染が求められる場合があるが、それらを大量の土壌とともに収集し、別の場所に移動させたとしても、その安定貯蔵が肝要であり、雨水などとともに地中浸透するなどして再び環境に流出する危険性を解決する必要がある。

さらに、原子力発電所内では、原子炉で発生した熱を伝達し水蒸気を用いて発電させるために大量の冷却水があり、その冷却水が放射性セシウムに汚染される場合、あるいは事故時に緊急に炉心を冷却する必要から導入された大量の冷却水が放射性セシウムに汚染される場合などがあり、その処理と安定貯蔵法が重要な課題である。

現在、山林農地住宅地などに飛散した放射性セシウムについては、空間線量率を測定して、放射能の存在がわかったものは、その近傍の土壌等をまるごと収集し、容器に入れて別の場所に移動、集積する処置がとられている。あまりにも大量であるため、減容が課題になっており、その方法として、さまざまなものが提案されている。例えば、高エネルギーボールミルを用いるもの(特許文献1参照)、電気炉を用いるもの(特許文献2参照)などが知られている。
収集した廃棄物の総量に対し、そこに含まれるセシウムの絶対量が少ないため、これらの技術もしくは、類する技術により、ある種の濃縮にあたる操作を行うことはおそらく不可避である。そこで、その次の段階が問題になる。そのようにして、ある程度、放射性セシウムを回収したとして、再び脱離し、環境に再拡散することを避けるための安定貯蔵が必要である。

原子力発電所内の汚染水については、水のなかにあるという形態上からも、環境への流出リスクはさらに高いと考えられ、加えて汚染水のまま貯蔵を続けることも現実的に困難であることから、放射性セシウムの安定貯蔵の技術はきわめて重要である。

上述のような放射性セシウムを原料として、無機化合物を合成することによって安定貯蔵を行うというきわめて興味深い提案が防衛大の横森によってなされている(非特許文献1参照)。これは、ベントナイト等の天然ゼオライトを主な原料とし、化学試薬アルミニウム塩水酸化トリムを加え、水熱法により、安定なセシウム含有無機化合物であるポルサイト(CsAlSi2O6・nH2O)を得ようとしたものである。おそらく、実際に得ることに成功はしていると思われるが、繰り返し再現性に乏しいという課題があった。

概要

放射性セシウムをポルサイトとして安定かつ確実に貯蔵できる放射性セシウムの除去方法を提供すること。モンモリロナイトアルミシリコンモル比大略1:2で含む原料として使用し、エチレングリコール溶媒とし、処理したい量のセシウムに応じて適当量水酸化ナトリウム等のアルカリ塩を追加したうえで、圧力容器内に密閉し、高々300〜400℃程度の加熱を行って、10〜20MPa程度の内圧を得て、短時間で溶解と反応が完了し(実験室規模の実験では5〜30時間程度)、ポルサイト結晶単相が得られる。

目的

さらに、原子力発電所内では、原子炉で発生した熱を伝達し水蒸気を用いて発電させるために大量の冷却水があり、その冷却水が放射性セシウムに汚染される場合、あるいは事故時に緊急に炉心を冷却する必要から導入された大量の冷却水が放射性セシウムに汚染される場合などがあり、その処理と安定貯蔵法が重要な課題である

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

エチレングリコール溶媒とする処理液を調整する工程と、モンモリロナイトとともに放射性セシウム含有物質を当該処理液に投入して混和する工程と、加熱温度300〜400℃、圧力10〜20MPaで当該処理液のポルサイト無機結晶結晶化処理をする工程と、を備え、当該ポルサイト無機結晶により前記放射性セシウムの安定貯蔵を行う方法。

請求項2

前記放射性セシウム含有物質は土壌植物由来組成物、または塩分を実質的に含有しない淡水に含まれることを特徴とする請求項1に記載のセシウムの安定貯蔵を行う方法。

請求項3

前記放射性セシウム含有物質を含有する汚染水は、あらかじめ放射性セシウムを濃縮してあることを特徴とする請求項1に記載のセシウムの安定貯蔵を行う方法。

請求項4

前記モンモリロナイトは、アルミニウム(Al)とケイ素(Si)のモル比を1:1.5〜1:2.8の範囲で含む粉末原料であることを特徴とする請求項1に記載のセシウムの安定貯蔵を行う方法。

請求項5

前記処理液は、処理液のpHが6〜10の範囲となるように、処理したい量のセシウムに応じて適当量水酸化ナトリウム等のアルカリ塩を追加してあることを特徴とする請求項1乃至4に記載のセシウムの安定貯蔵を行う方法。

請求項6

前記アルカリ塩は水酸化ナトリウム、塩化カルシウムの何れかを含むことを特徴とする請求項5に記載のセシウムの安定貯蔵を行う方法。

技術分野

0001

本発明は、放射性セシウムの安定貯蔵方法に関する。

背景技術

0002

放射性セシウムは、例えば原子炉内部で生成されるもので、通常は原子炉内部に密閉されている。しかし、災害や核実験核爆発等によって、環境中に放射性セシウムが漏洩し、拡散する場合がある。
大気中に粒子状物質として飛散した場合は、広範な地域に飛来し、その除染が求められる場合があるが、それらを大量の土壌とともに収集し、別の場所に移動させたとしても、その安定貯蔵が肝要であり、雨水などとともに地中浸透するなどして再び環境に流出する危険性を解決する必要がある。

0003

さらに、原子力発電所内では、原子炉で発生した熱を伝達し水蒸気を用いて発電させるために大量の冷却水があり、その冷却水が放射性セシウムに汚染される場合、あるいは事故時に緊急に炉心を冷却する必要から導入された大量の冷却水が放射性セシウムに汚染される場合などがあり、その処理と安定貯蔵法が重要な課題である。

0004

現在、山林農地住宅地などに飛散した放射性セシウムについては、空間線量率を測定して、放射能の存在がわかったものは、その近傍の土壌等をまるごと収集し、容器に入れて別の場所に移動、集積する処置がとられている。あまりにも大量であるため、減容が課題になっており、その方法として、さまざまなものが提案されている。例えば、高エネルギーボールミルを用いるもの(特許文献1参照)、電気炉を用いるもの(特許文献2参照)などが知られている。
収集した廃棄物の総量に対し、そこに含まれるセシウムの絶対量が少ないため、これらの技術もしくは、類する技術により、ある種の濃縮にあたる操作を行うことはおそらく不可避である。そこで、その次の段階が問題になる。そのようにして、ある程度、放射性セシウムを回収したとして、再び脱離し、環境に再拡散することを避けるための安定貯蔵が必要である。

0005

原子力発電所内の汚染水については、水のなかにあるという形態上からも、環境への流出リスクはさらに高いと考えられ、加えて汚染水のまま貯蔵を続けることも現実的に困難であることから、放射性セシウムの安定貯蔵の技術はきわめて重要である。

0006

上述のような放射性セシウムを原料として、無機化合物を合成することによって安定貯蔵を行うというきわめて興味深い提案が防衛大の横森によってなされている(非特許文献1参照)。これは、ベントナイト等の天然ゼオライトを主な原料とし、化学試薬アルミニウム塩水酸化トリムを加え、水熱法により、安定なセシウム含有無機化合物であるポルサイト(CsAlSi2O6・nH2O)を得ようとしたものである。おそらく、実際に得ることに成功はしていると思われるが、繰り返し再現性に乏しいという課題があった。

0007

特許第6164631号公報
特許第6050818号公報

先行技術

0008

"Final storage of radioactive cesium by pollucite hydrothermal synthesis" , Yoshinobu Yokomori, et. al., Scientific Reports 4, 4195 (2014)
粘土科学 48巻 158-198(2010)

発明が解決しようとする課題

0009

このような現状に鑑み、放射性セシウムをポルサイトとして安定かつ確実に貯蔵できる技術が望まれており、この貯蔵技術では更に繰り返し再現性にも優れている必要がある。
本発明は上述した課題を解決したもので、放射性セシウムをポルサイトとして安定かつ確実に貯蔵できる放射性セシウムの安定貯蔵方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

(1) 本発明の放射性セシウムの安定貯蔵方法は、エチレングリコール溶媒とする処理液を調整する工程と、モンモリロナイトとともに放射性セシウム含有物質を当該処理液に投入して混和する工程と、加熱温度300〜400℃程度、圧力10〜20MPaで当該処理液のポルサイト無機結晶結晶化処理をする工程とを備え、当該ポルサイト無機結晶により前記放射性セシウムの安定貯蔵を行う方法である。

0011

反応温度は、好ましくは300〜400℃であり、特に好ましくは320〜380℃であり、最も好ましくは340〜360℃である。低温側300℃では、時間をかけてもあまり良い結果は得られず、ぎりぎりの限界である。320℃ではなんとか使え、350℃は非常に良好である。400℃を超えると、汎用耐熱圧力容器(耐圧20MPa)が使用できなくなる。

0012

(2) 本発明の放射性セシウムの安定貯蔵方法において、好ましくは、前記放射性セシウム含有物質が土壌、植物由来組成物、または塩分を実質的に含有しない淡水に含まれるとよい。
(3) 本発明の放射性セシウムの安定貯蔵方法において、好ましくは、前記放射性セシウム含有物質を含有する汚染水は、あらかじめ放射性セシウムを濃縮してあるとよい。

0013

(4) 本発明の放射性セシウムの安定貯蔵方法において、好ましくは、前記モンモリロナイトは、アルミニウム(Al)とケイ素(Si)のモル比を1:1.5〜1:2.8の範囲で含む粉末原料であるとよい。
アルミニウム(Al)とケイ素(Si)のモル比が1:1.5未満では、ケイ素の量が少なく、放射性セシウムをポルサイトとして分離・貯蔵するのに必要なポルサイト原料の利用効率が低くなる。アルミニウム(Al)とケイ素(Si)のモル比が1:2.8超では、アルミニウムの量が少なく、放射性セシウムをポルサイトとして分離・貯蔵するのに必要なポルサイト原料の利用効率が低くなる。

0014

(5) 本発明の放射性セシウムの安定貯蔵方法において、好ましくは、前記処理液は、処理液のpHが6〜10の範囲となるように、処理したい量のセシウムに応じて適当量水酸化ナトリウム等のアルカリ塩を追加してあるとよい。
処理液のpHが6未満では、pH7の中性と比較して酸性が強くなり、処理液の廃液処理中和剤の投入が必要になる。処理液のpHが10超では、処理液が強アルカリ性となり、放射性セシウムをポルサイトとして分離・貯蔵する際に、処理液の廃液処理が高価になる。
(6) 本発明の放射性セシウムの安定貯蔵方法において、好ましくは、前記アルカリ塩は水酸化ナトリウム、塩化カルシウムの何れかを含むとよい。

発明の効果

0015

本発明の放射性セシウムの安定貯蔵方法によれば、放射性セシウムをポルサイトとして安定かつ確実に環境中から分離して貯蔵できる。
また、必要な原材料は、エチレングリコールとモンモリロナイトという汎用品であり、入手が容易である。
さらに、セシウムはポルサイト無機結晶の結晶化の際に必要な加熱温度は300〜400℃であり、一般論として、できるだけ低い温度で処理し、電力消費下げたいというニーズは強くあり、本発明は350℃できわめてよい繰り返し再現性を得ている点、優れた点である。

図面の簡単な説明

0016

本発明者らが用いた圧力容器概念構成図である。
本発明の一実施の形態で得られたポルサイトのX線回折図形を示すである。
本発明の一実施の形態で得られたポルサイトのエネルギー分散X線分析を示す図で、横軸X線エネルギーとし、各元素特性X線ピーク毎に示してある。

0017

用語の定義
『除染』とは、生活する空間において受ける放射線の量を減らすために、放射性物質を取りのぞいたり、土で覆ったりすることであり、取り除く(除去)、さえぎる(遮へい)、遠ざける、の3類型がある。
『取り除く(除去)』は放射性物質が付着した表土削り取り枝葉落ち葉の除去、建物表面の洗浄等により、放射性物質を生活圏から取り除くことをいう。
『さえぎる(遮へい)』は、放射性物質を土やコンクリートなどで覆うことで、放射線を遮ることができるので、結果として空間線量被ばく線量を下げることができる。
『遠ざける』は、放射線の強さは、放射性物質から離れるほど、弱くなる。このため、放射性物質を人から遠ざければ、人への被ばく線量を下げることができる。また、放射性物質のそばにいる時間を短くすることも「遠ざける」ことになる。
『安定貯蔵』とは、除去された放射性物質を、中間処分場最終処分場永続的に保管するのに適した性状にして、貯蔵することをいう。

0018

次に、本発明の適用対象となる放射性物質の除去が必要となる物質の類型に応じて、説明する。
1.土壌など固形物質の廃棄物(環境に飛散したものを回収)に放射性セシウムを処理する場合
なんらかの減容処理がなされ、その後、高濃度固体粉末など)や溶液水溶液など)となったものを、本発明の除去処理に供するのがよい。水溶液の場合は、各種の濃縮操作を行なうことが有望である。

0019

2.汚染水(原子炉内のタンクなど)を処理する場合
放射線の観点では高線量でも、化学物質としてはきわめて低濃度であるので、濃縮操作を行なうことが前提になる。また本当の海水では難しいと思われるので(液中のセシウムに比べ、ナトリウム塩素は2桁くらい多い)、実際には淡水化処理を行うことが必要になる。

0020

続いて、本発明の発明特定事項を構成するポルサイトと溶媒としてのエチレングリコールについて説明する。併せてNaOH添加、pHの効果にも触れる。
3.ポルサイトについて
本発明では、最終生成物がポルサイト(Cs2Al2Si4O12 2H2O、天然のポルサイトではCsサイトには適当にNaも置換されて入る)であり、そのアルミニウム(Al)とケイ素(Si)のモル比が1:2であることに注意する必要がある。すなわち、アルミニウム(Al)とケイ素(Si)のモル比がおよそ1:2の組成、例えば1:1.5〜1:2.8の範囲、さらに好ましくは1:1.8〜1:2.4の範囲であるものが、本発明の放射性セシウムの安定貯蔵方法の処理を行う原料物質として好ましい。

0021

4.溶媒としてエチレングリコールを用いる点、
エチレングリコールを溶媒に選ぶと、扱いやすい温度域(300℃〜400℃、今回の実施例の200cc容積の条件では350℃近傍)で好都合の圧力を得て、モンモリロナイトとセシウムを溶媒のなかに溶かし、セシウム:アルミニウム:シリコンのモル比がほぼ1:1:2を均一に混合させることができる。
次に、エチレングリコールを代替する溶媒は、例えば水である。ところが、少なくともモンモリロナイトのような物質を原料に用いる限り、それほどよい結果を安定的に得ることは難しいという難点がある。

0022

実際の処理では、セシウム塩固体粉末で添加するといったことはなく、「濃縮処理を行った汚染水」のかたちでくるものと想定される。そのため、実際の反応では、溶媒はエチレングリコールだけでなく、少量であっても、その際に加えた水の影響を受ける。本発明では、その影響も考察し、さらに、それが海水である場合も一部検討を加えているが、基本、この発明では「大量のエチレングリコール溶媒に、若干の水が入る」というモデルを前提としている。

0023

5.NaOH添加、pHの効果について
モンモリロナイトを原料物質にし、また溶媒にエチレングリコールを選ぶという2点の重要さに比較すれば、NaOH添加、pH調整は、ポルサイトの収率を向上させるのに有利とする補助剤位置付けになる。
塩化セシウム試薬を使った都合があり、NaOHを添加し、pHを8程度までとしているが、pHをもっと増して(例えばpH10とか)、強アルカリ性にするとか、pHを酸性側にする(例えばpH5.5とか)、というのは、放射性セシウムの安定貯蔵方法として原理的には決定的要因になるものではない。しかし、処理液の廃液処理においては、現実的には差異生む蓋然性がある。
また、「濃縮処理を行った汚染水」を処理する場合には、pHが最初から酸性という蓋然性は少ないので、その場合には、NaOH添加は不要になる可能性が濃厚である。本発明で実施している濃縮人工海水+塩化セシウム試薬+エチレングリコール+モンモリロナイトの場合には、依然、NaOH添加によるpH調整を行うのが望ましい状況にある。

0024

本発明者らは、横森らの先行発明(非特許文献1参照)を確認するための追実験を行う過程で、横森らが採用しなかったエチレングリコールを溶媒に選び、かつ、アルミニウム(Al)とケイ素(Si)のモル比がおよそ1:2であることに注目して、原料物質(山形西大江月布産のモンモリロナイトで、粘土学会標準物質JCSS3101)を選定した。そして、内容積200mlの圧力容器に固体粉末の塩化セシウムを投入して約350℃で処理すれば、ポルサイト(Cs2Al2Si4O12 2H2O、ただし、CsサイトにはNaも,Alサイトには原料物質の成分であるFeも置換されてはいる)の結晶粉末が安定的に合成されることを見出した。このモンモリロナイトを原料物質に用いるグリコサーマル法によるポルサイト結晶合成技術は、直ちに放射性セシウムの安定貯蔵方法として応用することが可能である。

0025

図1は本発明者らが用いた圧力容器の概念構成図である。図において、加熱部1は、例えば電熱線が用いられるが、高温流体高温ガスとの熱交換機構を用いていても良い。加熱部1は、外部に対する熱輻射の影響を低減する為、例えば耐熱煉瓦耐熱セラミックス被覆されているとよい。内部容器(外側)2は、加熱部1と接触する壁面である。内部容器(内側)3は、収容する溶媒と接触する壁面である。内部容器2、3は、圧力容器として20MPa程度の耐圧容器が望ましく、例えば鋼製円筒形容器が用いられる。溶媒4は、例えばエチレングリコールであり、処理したいセシウムを含有している液体である。符号5は、モンモリロナイトおよび処理したいセシウム含有の固体である。ガス導入出バルブ6、7は、内部容器内の圧力を高めたり、あるいは空気圧に戻す際に使用する。圧力計8は、内部容器2、3の内部圧力を測定するもので、例えばブルドン管のような圧力センサとして通常用いられる汎用圧力計でよい。攪拌機9は溶媒4とモンモリロナイトおよび処理したいセシウム含有の固体5を掻き混ぜるのに使用するもので、ファン形状羽根攪拌する。

0026

このように構成された装置においては、内容積が200mlの筒状の容器に溶媒と原料物質、処理したいセシウムを含む物質などを投入し、密閉状態としたうえで、ヒーターによって加熱する。その結果、圧力が上昇し、この装置では、最大20MPaまで上昇させることができる。

0027

低い温度で合成ができれば、そのほうが応用上好ましいが、この発明の発明者らの検討では、350℃前後で安定的にポルサイト結晶が得られ、320℃程度であれば反応時間を延長すれば何とか実用的な合成ができ、300℃はほぼ下限とみられることがわかっている。350℃よりもわざわざ高温側に設定する利点は感じられないが、その場合には、圧力が高くなり、例えば400℃もしくは、それ以下でも、耐圧の上限に達する可能性がある。

0028

こうした圧力、温度の条件は、圧力容器の内容積(図1の装置では、実験用であるため200mlと極小容量となっているが、実際の処理プラントでは例えば1〜20m3とする)によって制約されているものであるので、放射性セシウムの安定貯蔵方法として応用のための汚染水処理を行う際の設計に際し、厳密に検討する必要がある。その結果、350℃よりも低い温度で同等の効果を得られる可能性がある。350℃より高温側ではおそらく容易であろう。本発明の技術では、最低でも350℃で処理することができる。

0029

表1は、実施例に対応する合成条件を示している。合成条件は、モンモリロナイトの量(g)、塩化セシウムの量(g)、エチレングリコールの量(g)、固体粉末の水酸化ナトリウムの添加量(g)を示すと共に、反応条件として反応温度(℃)、加熱時間(H)、最大圧力(MPa)を示している。
実施例1を典型とし、実施例2〜6は、ほぼ同等と見なせる合成ができている。これに対し、参考例1〜3は合成ができておらず、原料がそのまま未反応となった例になる。ここで、実施例6と参考例3は、少量の人工海水を添加した場合である。本技術を、セシウムを含む汚染水に適用する場合は、事前の濃縮等の処理を十分に行っておくことで、良い効果を得ることができる。

0030

0031

モンモリロナイトは、例えば山形県西村山郡大江町月布で産出されているものを用いるとよい。モンモリロナイトは、不純物も含めたアルミニウム(Al)とケイ素(Si)の化学組成比がおよそ1:2のものを選んでいる点が重要ポイントである。処理したいセシウムの量にあわせて、そのモンモリロナイトの投入量がきまる。
この実施例では、日本粘土学会標準試料JCSS−3101(モンモリロナイト(月布)) を用いている。
産地:山形県西村山郡大江町月布
性状:原鉱石を粉砕濃集処理したもの
不純物:ごく微量の石英
化学組成は、非特許文献2で開示されており、SiO2、Al2O3の重量が夫々54.0%、19.9%と出ている。計算すると、アルミニウム(Al)とケイ素(Si)のモル比は1:2.3である。天然のものだから、おそらくある程度のばらつきが予想され、この分析にも種々の誤差はあることが予想される。しかし、アルミニウム(Al)とケイ素(Si)のモル比はおよそ1:2という比であることは確実である。

0032

図2は、本発明の一実施の形態で得られたポルサイトと、比較例であるモンモリロナイトのX線回折図形を示す図である。
モンモリロナイトは、積層構造を反映し、角度2θが8°の位置に現れる001反射頭に、約14°に002反射、約20°に003反射、約28°に004反射と、高次回折も含めたピークが得られている。こうしたX線回折図形は、粘土鉱物特有であり、浅い角度に積層の層間距離に対応したピークが現れる。
これに対して、今回の処理によって得られた生成物は、そのような粘土鉱物の特徴とは全く異なり、無機化合物の結晶のX線回折図形となっている。2θが24°の位置でX線強度が1200カウント、26°で2300カウント、31°で1100カウント、37°で800カウントのピークが得られており、 これらは、それぞれ、ポルサイト結晶(CsAlSi2O6・nH2O、a=b=1.3634nm、c=1.3699nm)のミラー指数で、213反射、004反射、332反射、440反射に対応している。

0033

図3は、本発明の一実施の形態で得られたポルサイトのエネルギー分散型X線分析を示す図で、横軸はX線エネルギーとし、各元素の特性X線をピーク毎に示してある。
X線エネルギーが2.5〜3.0keVの領域はロジウム(Rh)の散乱光に対応している。X線エネルギーが4.2keVの領域のピークは、セシウムLα線に対応するもので、4200カウントになっている。X線エネルギーが4.6keVの領域のピークは、セシウムLβ1線に対応するもので、3000カウントになっている。X線エネルギーが5.0keVの領域のピークは、セシウムLβ2線に対応するもので、1000カウントになっている。X線エネルギーが6.5keVの領域のピークは、鉄Kα線に対応するもので、1200カウントになっている。X線回折図形で結晶構造が確認されたことに加え、蛍
X線スペクトルで、最終生成物に確かにセシウムが貯蔵されていることを示
したものである。

0034

なお、上記の実施例においては、溶媒としてエチレングリコール、pH調整剤としてNaOH、セシウム安定貯蔵用結晶組成剤としてモンモリロナイトの場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、当業者として、放射性セシウムの安定貯蔵用に自明な均等物質を用いても良い。

実施例

0035

また、本発明者らの実施例は、固体粉末の塩化セシウム試薬を用いて行ったものであるが、放射性セシウムの安定貯蔵方法として応用に用いる際には、なんらかの前処理を行って高濃度セシウム含有固体、もしくは高濃度の汚染水(できるだけ塩分を含有しない淡水)を処理の対象とし、これらを処理することによって放射性セシウムを含有するポルサイト結晶を得ることとなる。

0036

本発明の放射性セシウムの安定貯蔵を行う方法は、ポルサイト(CsAlSi2O6・nH2O)としてセシウムを安定かつ確実に環境中から分離して貯蔵できる、除去された放射性物質を、中間処分場や最終処分場で永続的に保管するのに適した性状に改変する用途に用いて好適である。

0037

1 加熱部
2内部容器(外側)
3 内部容器(内側)
4溶媒(エチレングリコール)および処理したいセシウム含有の液体
5モンモリロナイトおよび処理したいセシウム含有の固体
6、7ガス導入出バルブ
8圧力計
9 攪拌機

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