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図面 (5)

課題

摩擦係合装置クラッチ)の外径が大きい場合や回転数が高くなる場合でも、回転に伴う遠心力で摩擦係合要素に供給されるオイルの勢いが過剰となることを防止する。

解決手段

ピストン58が係合位置に向けて移動すると、リターンスプリング62を介して作用するピストン58の押圧力キャンセラスプリングカバー70が弾性変形し、キャンセラスプリングカバー70の当接部74がクラッチハブ52の被当接部64に当接することで、これら当接部74と被当接部64との間に設けた第1冷却油路91の開閉部67が閉鎖されるように構成した。これにより、クラッチ50の係合動作に伴って摩擦係合部55に供給するオイルが流通する第1冷却油路91を閉鎖することができる。

概要

背景

従来、エンジンにより駆動されるオイルポンプから吐出されるオイルによって、被潤滑部の潤滑及び被冷却部の冷却を行うと共に、クラッチ摩擦係合装置)に油圧を供給することが行われている。例えば、変速機トランスミッション)には、冷却油路潤滑油路及びクラッチ油路が形成されていて、各油路内にオイルが供給されることで、変速機を構成する各部の潤滑や冷却が行われる。こうした変速機の具体的な例として、特許文献1には、ミッションケースボールベアリングを介して回転軸が回転自在に支持されていると共に、回転軸の外周にギヤラジアルニードルベアリング及び一対のスラストニードルベアリングを介して回転自在に支持されている変速機が示されている。

そして、この変速機に設けられている、ギヤを回転軸に結合可能な湿式多板型の油圧クラッチ(摩擦係合装置)では、クラッチハブに複数の油孔径方向に貫通して設けられていて、回転に伴う遠心力により、この油孔を通してオイルが摩擦係合要素セパレータプレート及びフリクションディスク)に供給され、摩擦係合要素が冷却されると共に、クラッチガイド及びクラッチハブに対する摩擦係合要素のスプライン嵌合部を潤滑することができる。

概要

摩擦係合装置(クラッチ)の外径が大きい場合や回転数が高くなる場合でも、回転に伴う遠心力で摩擦係合要素に供給されるオイルの勢いが過剰となることを防止する。ピストン58が係合位置に向けて移動すると、リターンスプリング62を介して作用するピストン58の押圧力キャンセラスプリングカバー70が弾性変形し、キャンセラスプリングカバー70の当接部74がクラッチハブ52の被当接部64に当接することで、これら当接部74と被当接部64との間に設けた第1冷却油路91の開閉部67が閉鎖されるように構成した。これにより、クラッチ50の係合動作に伴って摩擦係合部55に供給するオイルが流通する第1冷却油路91を閉鎖することができる。

目的

本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、摩擦係合装置(クラッチ)の外径が大きい場合や回転数が高くなる場合でも、摩擦係合要素に供給されるオイルの勢いが過剰となることを防止できる摩擦係合装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

回転軸に固設された第1回転体と、前記回転軸に対して回転自在に支持された第2回転体と、前記第1回転体及び前記第2回転体間に配置された複数の摩擦材を有する摩擦係合要素と、油室油圧で前記摩擦係合要素を相互に係合させる係合位置へ移動する押圧部材と、前記押圧部材と前記第2回転体との間に設置された弾性変形が可能な弾性部材と、前記押圧部材と弾性部材との間に介在することで、前記押圧部材を前記摩擦係合要素の係合を解除する係合解除位置に向けて付勢する付勢部材と、前記第2回転体と前記弾性部材の間に形成されて、前記摩擦係合要素に供給するオイル流通させる第1油路と、を備え、前記押圧部材が前記係合位置に向けて移動すると、前記付勢部材を介して作用する前記押圧部材の押圧力で弾性部材が弾性変形し、前記弾性部材の当接部が前記第2回転体の被当接部に当接することで、前記当接部と前記被当接部との間に設けた前記第1油路の開閉部が閉鎖されるように構成したことを特徴とする摩擦係合装置

請求項2

前記第1油路に設けた分岐部から分岐して前記摩擦係合要素と異なる他の被冷却要素に前記オイルを供給する第2冷却油路を備え、前記分岐部は、前記第1油路における前記開閉部よりもオイルの流れ方向の上流側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の摩擦係合装置。

請求項3

前記弾性部材は、前記押圧部材と前記弾性部材との間に形成された前記付勢部材の収容室区画する部材であり、前記押圧部材と前記弾性部材との隙間には、前記収容室をシールするためのシール部材が介在していることを特徴とする請求項1又は2に記載の摩擦係合装置。

請求項4

前記弾性部材に設けられて前記第2回転体に向けて突出する突起状のストッパー部と、前記第2回転体に設けられて前記ストッパー部を当接させる受部とを備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の摩擦係合装置。

請求項5

前記弾性部材は、前記回転軸又は前記第1回転体に固定された根元部に対して外径側が撓み変形するように構成されており、前記ストッパー部は、前記当接部よりも前記根元部に近い位置に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の摩擦係合装置。

請求項6

前記付勢部材は、内径側の端部が前記押圧部材と当接し、外径側の端部が前記弾性部材と当接する皿バネであることを特徴とする請求項5に記載の摩擦係合装置。

請求項7

前記押圧部材の押圧力が前記付勢部材を介して前記弾性部材に作用する際、前記当接部が前記被当接部に当接し、その後、前記ストッパー部が前記受部に当接するように構成したことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の摩擦係合装置。

技術分野

0001

本発明は、摩擦係合要素を備えるクラッチなどの摩擦係合装置に関し、詳細には、摩擦係合要素に潤滑又は冷却用オイルを供給する油路を備えた摩擦係合装置に関する。

背景技術

0002

従来、エンジンにより駆動されるオイルポンプから吐出されるオイルによって、被潤滑部の潤滑及び被冷却部の冷却を行うと共に、クラッチ(摩擦係合装置)に油圧を供給することが行われている。例えば、変速機トランスミッション)には、冷却油路潤滑油路及びクラッチ油路が形成されていて、各油路内にオイルが供給されることで、変速機を構成する各部の潤滑や冷却が行われる。こうした変速機の具体的な例として、特許文献1には、ミッションケースボールベアリングを介して回転軸が回転自在に支持されていると共に、回転軸の外周にギヤラジアルニードルベアリング及び一対のスラストニードルベアリングを介して回転自在に支持されている変速機が示されている。

0003

そして、この変速機に設けられている、ギヤを回転軸に結合可能な湿式多板型の油圧クラッチ(摩擦係合装置)では、クラッチハブに複数の油孔径方向に貫通して設けられていて、回転に伴う遠心力により、この油孔を通してオイルが摩擦係合要素(セパレータプレート及びフリクションディスク)に供給され、摩擦係合要素が冷却されると共に、クラッチガイド及びクラッチハブに対する摩擦係合要素のスプライン嵌合部を潤滑することができる。

先行技術

0004

特開2016−148349号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ところで、従来のクラッチでは、クラッチの外径が大きく、回転数が高くなると、遠心力によるオイルの供給の勢いが過剰となるおそれがる。特にクラッチの外径が非常に大きな場合や、回転数が非常に高い場合には、摩擦係合要素に供給されるオイルの勢いが非常に強くなることで、ときには、フリクションディスクの表面に設けた摩擦材剥離などのダメージが生じるおそれがある。

0006

本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、摩擦係合装置(クラッチ)の外径が大きい場合や回転数が高くなる場合でも、摩擦係合要素に供給されるオイルの勢いが過剰となることを防止できる摩擦係合装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

上記課題を解決するため、本発明に係る摩擦係合装置(50)は、回転軸(2)に固設された第1回転体(51)と、前記回転軸(2)に対して回転自在に支持された第2回転体(52,21)と、前記第1回転体(51)及び前記第2回転体(52,21)間に配置された複数の摩擦材(53,54)を有する摩擦係合要素(55)と、油室(59)の油圧で前記摩擦係合要素(55)を相互に係合させる係合位置へ移動する押圧部材(58)と、前記押圧部材(58)と前記第2回転体(52,21)との間に設置された弾性変形が可能な弾性部材(70)と、前記押圧部材(58)と弾性部材(70)との間に介在することで、前記押圧部材(58)を前記摩擦係合要素(55)の係合を解除する係合解除位置に向けて付勢する付勢部材(62)と、前記第2回転体(52,21)と前記弾性部材(70)の間に形成されて、前記摩擦係合要素(55)に供給するオイルを流通させる第1油路(91)と、を備え、前記押圧部材(58)が前記係合位置に向けて移動すると、前記付勢部材(62)を介して作用する前記押圧部材(58)の押圧力で弾性部材(70)が弾性変形し、前記弾性部材(70)の当接部(74)が前記第2回転体(52)の被当接部(64)に当接することで、前記当接部(74)と前記被当接部(64)との間に設けた前記第1油路(91)の開閉部(67)が閉鎖されるように構成したことを特徴とする。

0008

本発明に係る摩擦係合装置によれば、押圧部材が係合位置に向けて移動すると、付勢部材を介して作用する押圧部材の押圧力で弾性部材が弾性変形し、弾性部材の当接部が第2回転体の被当接部に当接することで第1油路の開閉部が閉鎖されるように構成した。これにより、摩擦係合装置の係合動作に伴って摩擦係合要素に供給するオイルが流通する第1油路を閉鎖することができる。したがって、摩擦係合装置の外径が大きい場合や回転数が高くなる場合でも、第1回転体又は第2回転体の回転に伴う遠心力で摩擦係合要素に供給されるオイルの勢いが過剰となることを防止できる。

0009

また、本発明に係る摩擦係合装置では、前記第1油路(91)に設けた分岐部(93)から分岐して前記摩擦係合要素(55)と異なる他の被冷却要素(45)に前記オイルを供給する第2冷却油路(92)を備え、前記分岐部(93)は、前記第1油路(91)における前記開閉部(67)よりもオイルの流れ方向の上流側に設けられていてもよい。

0010

この構成によれば、摩擦係合装置の係合時に摩擦係合要素へのオイルの流路を閉鎖することで、それまで第1油路で摩擦係合要素に供給されていたオイルの供給に代えて、第2油路で他の被冷却要素にオイルを供給することができる。したがって、摩擦係合要素に供給されるオイルの勢いが過剰となることを防止すると共に、オイルを他の被冷却要素に供給することでオイルの有効利用を図ることができる。

0011

すなわち、摩擦係合装置の係合時には、第1、第2回転体が高速回転しうる状態となるため、従来技術のように摩擦係合要素にオイルを供給する場合には、摩擦係合装置の外径が大きく、回転数が高くなると、遠心力によるオイルの供給の勢いが過剰となることで摩擦係合要素にダメージを与えるおそれがある。その一方で、摩擦係合装置の係合時には、摩擦係合部での摩擦による発熱が生じなくなるため、積極的な冷却は不要となる。

0012

そこで、本発明の摩擦係合装置では、摩擦係合要素の積極的な冷却が不要となる係合時にオイルの流路を閉鎖することで、上述したように摩擦係合要素に供給されていたオイルの供給を停止する。これにより、摩擦係合要素にオイルが勢い良く供給されることを防止できる。また、オイルを他の被冷却要素に供給することで、オイルの有効利用を図ることができる。

0013

また、本発明に係る摩擦係合装置では、前記弾性部材(70)は、前記押圧部材(58)と前記弾性部材(70)との間に形成された前記付勢部材(62)の収容室(77)を区画する部材であり、前記押圧部材(58)と前記弾性部材(70)との隙間には、前記収容室(77)をシールするためのシール部材(94)が介在している構成であってよい。

0014

また、本発明に係る摩擦係合装置では、前記弾性部材(70)に設けられて前記第2回転体(21)に向けて突出する突起状のストッパー部(75)と、前記第2回転体(21)に設けられて前記ストッパー部(75)を当接させる受部(65)とを備えるとよい。またこの場合、前記弾性部材(70)は、前記回転軸(2)又は前記第1回転体(51)に固定された根元部(70a)に対して外径側が撓み変形するように構成されており、前記ストッパー部(75)は、前記当接部(74)よりも前記根元部(70a)に近い位置に設けられてもよい。また、前記付勢部材(62)は、内径側の端部(62a)が前記押圧部材(58)と当接し、外径側の端部(62b)が前記弾性部材(70)と当接する皿バネ(62)であってもよい。さらに、前記押圧部材(58)の押圧力が前記付勢部材(62)を介して前記弾性部材(70)に作用する際、前記当接部(74)が前記被当接部(64)に当接し、その後、前記ストッパー部(75)が前記受部(65)に当接するように構成してもよい。

0015

これらの構成によれば、弾性部材の当接部が第2回転体の被当接部に当接したときには、ストッパー部はまだ受部には当接していない。その状態から押圧部材がさらに係合位置へ向けて移動することで、押圧部材の押圧力が付勢部材を介して弾性部材に更に作用すると、弾性部材の当接部と根元部との間の部分が撓み変形することで、ストッパー部が受部に当接する。あるいは、弾性部材の当接部が第2回転体の被当接部に当接した状態で、外部から振動揺動などの外乱要素が入力することで弾性部材に撓み変形が生じた場合にも、ストッパー部が受部に当接する場合がある。そして、ストッパー部が受部に当接した後は、さらに押圧部材の押圧力が付勢部材を介して弾性部材に作用したり、振動や揺動などの外乱要素が更に入力したとしても、ストッパー部が受部に当接していることによって、弾性部材のそれ以上の撓み変形を抑制することができる。

0016

上記のストッパー部の当接によって、弾性部材の当接部が過度に変形することを防止できるので、弾性部材に過剰な撓み変形が生じるおそれがない。これにより、弾性部材の変位を少なく抑えることができるので、シール部材による付勢部材の収容室のシール機能を安定させることができる。

0017

このように弾性部材の当接部が第2回転体の被当接部に当触した状態において更に振動等の外乱が加わると、弾性部材が更に変位する。このとき、ストッパー部が第2回転体の受部に接触することで、弾性部材の更なる変位が抑制され、弾性部材の変形やシール部材によるシール機能の低下を抑制することができる。

発明の効果

0018

本発明にかかる摩擦係合装置によれば、摩擦係合装置(クラッチ)の外径が大きい場合や回転数が高くなる場合でも、回転に伴う遠心力で摩擦係合要素に供給されるオイルの勢いが過剰となることを防止できる。

図面の簡単な説明

0019

本発明の一実施形態に係るクラッチ(摩擦係合装置)を備える動力伝達装置の一部を示す断面図である。
図1のX部分の拡大図である。
クラッチの非締結時の状態を示す図である。
クラッチの締結時の状態を示す図である。

実施例

0020

以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るクラッチ(摩擦係合装置)を備える動力伝達装置の一部を示す断面図である。また、図2は、図1のX部分の拡大図である。図1に示す動力伝達装置1は、車両に搭載されたエンジンやモータ電気モータ)など駆動源(図示せず)の駆動力の回転を変速して駆動輪(図示せず)に伝達するための機構であり、ケーシング5内に設置された回転軸2と、回転軸2の外径側に配置した遊星歯車機構10と、遊星歯車機構10の外径側に設置したブレーキ(摩擦係合装置)40と、回転軸2の軸方向におけるブレーキ40に隣接する位置に設けたクラッチ(摩擦係合装置)50とを備える。なお、以下の説明では、軸方向というときは、回転軸2の軸方向を示すものとする。また、左側、右側というときは、各図に示す左側、右側を示すものとする。

0021

遊星歯車機構10は、サンギヤ11とプラネタリキャリアキャリア)15とリングギヤ20とを備える。サンギヤ11は、回転軸2の一端(右端)の外周面に形成されている。キャリア15には、複数のピニオンシャフト16と該ピニオンシャフト16に軸受19を介して回転自在に支持されたピニオンギヤ17とが設けられている。リングギヤ20は、外周面に複数の外歯22を有するブレーキハブ(ブレーキインナー)41が形成されており、軸方向の一方の端部には、クラッチ50のクラッチハブ(クラッチインナー)52が一体に取り付けられている。リングギヤ20及びクラッチハブ52は、それらの内径側に設置したリングギヤハブ(第2回転体)21に支持されている。リングギヤハブ21は、その面が径方向に延びる略円形平板状の部材である。

0022

ブレーキ40は、ケース固定部材)5の内周面に形成した円筒状のブレーキドラム42と、ブレーキドラム42の内周に係合する円形環状の平板からなる複数のブレーキプレート(摩擦材)44と、リングギヤ20の外周面に形成されてブレーキドラム42の内径側で同心状に配置されて相対回転可能なブレーキハブ41と、ブレーキハブ41の外周に係合する円形環状の平板からなる複数のブレーキディスク(摩擦材)43とを備える。ブレーキプレート44とブレーキディスク43は、軸方向で交互に重ね合わされて配列されており、それらで摩擦係合部45を構成している。ブレーキプレート44とブレーキディスク43の積層方向における一方の端部(左側の端部)には、エンドプレート46が設置されている。エンドプレート46の左側(摩擦係合部45と反対側)に隣接する位置には、エンドプレート46の移動を規制する規制部材47が設置されている。

0023

また、図示は省略するが、ブレーキドラム42内には、ピストン(押圧部材)が収容されている。ピストンは、軸方向に沿って相対移動可能に設置されている。ピストンとケーシング5との隙間には、シリンダ室画成されている。シリンダ室には、油路を介して作動油が導入されるようになっている。ピストンはリターンスプリング付勢力で摩擦係合部45から離れる側に付勢されている。

0024

上記のブレーキ40では、シリンダ室に供給される作動油の油圧でピストンを駆動してブレーキプレート44及びブレーキディスク43を相互に係合させることで、ブレーキ40が締結する。これにより、リングギヤ20(ブレーキハブ41)の回転が停止する。すなわち、リングギヤ20がケーシング5に固定された状態になる。

0025

クラッチ50は、回転軸2に固設されて該回転軸2と一体に回転する有底円筒状のクラッチガイド(第1回転体)51と、クラッチガイド51の内周に係合する円形環状の平板からなる複数のクラッチプレート(摩擦材)54と、リングギヤ20及びリングギヤハブ21と一体に設けられてクラッチガイド51の内径側に同心状に配置されて相対回転可能なクラッチハブ(第2回転体)52と、クラッチハブ52の外周に係合する円形環状の平板からなる複数のクラッチディスク(摩擦材)53とを備える。クラッチプレート54とクラッチディスク53は、軸方向で交互に重ね合わされて配列されており、それらで摩擦係合部(摩擦係合要素)55を構成している。クラッチプレート54とクラッチディスク53の積層方向における一方の端部(右側の端部)には、エンドプレート56が設置されている。エンドプレート56の右側(摩擦係合部55と反対側)に隣接する位置には、エンドプレート56の移動を規制する規制部材57が設置されている。

0026

クラッチガイド51内には、ピストン(押圧部材)58が収容されている。ピストン58は、クラッチガイド51のボス部51cの外周に摺動可能に取り付けられている。ピストン58とクラッチガイド51との間には、油室59が画成されている。ピストン58はリターンスプリング62の付勢力で摩擦係合部55から離れる側に付勢されている。油室59へのオイルの供給は、回転軸2に形成された油路85及びクラッチガイド51のボス部51cに形成された油路51dを通じて行われる。

0027

ピストン58とクラッチハブ52及びリングギヤハブ21との間には、キャンセラスプリングカバー(弾性部材)70が設けられている。キャンセラスプリングカバー70は、回転軸2の外周面からリングギヤハブ21に沿って外径側に延びる略円板状の本体部71と、該本体部71の先端部(外径端)が屈曲してクラッチハブ52に沿って軸方向でピストン58及びクラッチガイド51側に向かって延びる略円筒状の筒状部72とを一体に有している。

0028

キャンセラスプリングカバー70は、弾性を有する金属製の材料で形成されており、リターンスプリング62から軸方向への荷重を受けると、根元部70aを支点として外径側(先端側)の部分が軸方向に撓むように構成されている。キャンセラスプリングカバー70の弾性力(付勢力)によって、油室59内のオイルに作用する遠心力でピストンが58が係合位置へ移動することを抑制するキャンセラ効果(遠心油圧キャンセル機能)を得ることができる。

0029

ピストン58とキャンセラスプリングカバー70とクラッチガイド51のボス部51cとで区画された空間であるスプリング収容室キャンセラ油室)77には、皿バネであるリターンスプリング(付勢部材)62が収納されている。リターンスプリング62は、内径側の端部62aがピストン58と当接し、外径側の端部62bがキャンセラスプリングカバー70と当接している。ピストン58は、リターンスプリング62の付勢力(弾発力)によりクラッチ50の係合(締結)を解除する係合解除方向に付勢されている。また、スプリング収容室77には、回転軸2に形成した油路88及び及びクラッチガイド51のボス部51cに形成された油路51fを通じてオイルが供給されるようになっている。これら油路88及び油路51fでスプリング収容室77に供給されたオイルの圧力で油室59内のオイルに作用する遠心力に対抗することによってもキャンセラ効果を得ることができる。

0030

ピストン58におけるキャンセラスプリングカバー70の筒状部72との接触部位には、シールリング(シール部材)94が設けられている。シールリング94は、弾性を有する環状のゴム材又は合成樹脂材などで形成されており、これらピストン58とキャンセラスプリングカバー70の筒状部72との隙間をシールしている。このシールリング94によって、第1冷却油路91からクラッチハブ52に供給されたオイルがスプリング収容室77に流入することを防止するようになっている。

0031

また、キャンセラスプリングカバー70の根元部70aとリングギヤハブ21との径方向の隙間及び軸方向の隙間にはそれぞれベアリング81,82が介在しており、これらキャンセラスプリングカバー70とリングギヤハブ20は相対回転可能に支持されている。なお、キャンセラスプリングカバー70とプラネタリキャリア(キャリア)15との軸方向の隙間にはベアリング83が介在しており、これらキャンセラスプリングカバー70とプラネタリキャリア15も相対回転可能に支持されている。

0032

また、クラッチ50は、クラッチハブ52及びリングギヤハブ20とキャンセラスプリングカバー70との間に形成された第1冷却油路91を備える。この第1冷却油路91は、回転軸2の軸心から供給されたオイルをクラッチハブ52の回転に伴う遠心力で摩擦係合部55に供給するための油路である。また、ブレーキ40は、第1冷却油路91から分岐してブレーキ40の摩擦係合部45(クラッチ50の摩擦係合部55とは異なる他の被冷却要素)にオイルを供給する第2冷却油路92を備える。第1冷却油路91へのオイルの供給は回転軸2に形成された油路86及びキャンセラスプリングカバー70の根元部70aに形成された油路87を通じて行われる。

0033

第1冷却油路91から供給されたオイルはクラッチハブ52の油孔52aを通って摩擦係合部55に供給され、クラッチハブ52及びクラッチガイド51に対する摩擦係合部55のスプライン嵌合部を潤滑すると共に、係合時の摩擦により発熱する摩擦係合部55を冷却することができる。

0034

そして、キャンセラスプリングカバー70の本体部71の外径端の近傍に設けた当接部74と、クラッチハブ52の対向する位置に設けた被当接部64との間は、第1冷却油路91の下流側(摩擦係合部55側)への流路を開閉する開閉部67となっている。後述するように、リターンスプリング62の付勢力でキャンセラスプリングカバー70がクラッチハブ52に向けて撓むことで本体部71の当接部74がクラッチハブ52の被当接部64に当接すると、それによって第1冷却油路91の開閉部67が塞がれるようになっている。

0035

また、キャンセラスプリングカバー70の本体部71における当接部74よりも内径側の位置には、軸方向でクラッチハブ52に向けて突出する突起状のストッパー部75が形成されている。ストッパー部75は、上記のようにリターンスプリング62の付勢力でキャンセラスプリングカバー70がクラッチハブ52に向けて撓むことで、対向する位置に設けたリングギヤハブ21の受部65に当接する。ここでは、キャンセラスプリングカバー70の当接部74がクラッチハブ52の被当接部64に当接した後、キャンセラスプリングカバー70に更なる撓み変形が生じるとストッパー部75が受部65に当接するように構成されている。

0036

第2冷却油路92は、第1冷却油路91に設けた分岐部93から分岐している油路であり、ブレーキ40の摩擦係合部45にオイルを供給する油路である。第1冷却油路91における第2冷却油路92を分岐させる分岐部93は、開閉部67よりも上流側(油路86,87に近い側)の位置に設けらている。したがって、第2冷却油路92は、後述するように第1冷却油路91の開閉部67がキャンセラスプリングカバー70により閉鎖された状態でも開放状態を保ち、油路85から供給されるオイルをブレーキ40の摩擦係合部45に供給することができる。

0037

次に、上述した構成を有するクラッチ50の動作について説明する。ここでは、回転軸2及びクラッチガイド51が回転している状態でクラッチ50を締結状態非締結状態とした場合について説明する。

0038

図3は、クラッチ50の非締結時の状態を示す図である。図3に示すクラッチ50の非締結時には、油室59に供給されるオイルよるピストン58への付勢は行われず、ピストン58はリターンスプリング62の弾発力によりクラッチガイド51の側壁部51a側に押圧され、クラッチ50の摩擦係合部55の係合を解除する係合解除位置にある。したがって、回転軸2及びクラッチガイド51のみが回転し、クラッチハブ52は回転せず停止している。

0039

この状態では、リターンスプリング62が変形していないことで、リターンスプリング62の弾発力がキャンセラスプリングカバー70に及ばない。したがって、キャンセラスプリングカバー70の当接部74はクラッチハブ52の被当接部64から離間しており、第1冷却油路91の開閉部67が開かれた状態解放された状態)となっている。

0040

第1冷却油路91の開閉部67が開かれていることで、回転軸2の油路86から第1冷却油路91へと流入したオイルは、開閉部67を通過してクラッチハブ52へと到達する。

0041

そして、クラッチハブ52の回転が停止していることで、クラッチハブ52に到達したオイルは、重力によりクラッチガイド51へと滴り落ちる。そして、滴り落ちたオイルは、クラッチガイド51の回転に伴い拡散し、摩擦係合部55に行き渡る。こうして摩擦係合部55の潤滑と冷却が行われる。

0042

図4は、クラッチ50の締結時の状態を示す図である。クラッチ50では、油室59に供給される作動油の油圧でピストン58を駆動してクラッチプレート54及びクラッチディスク53を相互に係合させることで、クラッチ50が締結する。これにより、リングギヤ20及びクラッチハブ52とクラッチガイド51に連結された回転部品(図示せず)とが一体に回転するようになる。すなわち、図4に示すクラッチ50の締結時では、回転軸2から油路85を通じて油室59へとオイルが流入し、油室59の油圧でピストン58の付勢が行われる。これによりピストン58は、摩擦係合部55を係合させる係合位置に移動し、摩擦係合部55同士の係合が行われる。したがって、クラッチハブ52はクラッチガイド51と共に回転軸2の回転に従動して回転する。

0043

また、ピストン58が係合位置へと移動すると、ピストン58の押圧力がリターンスプリング62を介してキャンセラスプリングカバー70に作用し、キャンセラスプリングカバー70に撓み変形が生じる。これにより、キャンセラスプリングカバー70の当接部74がクラッチハブ52の被当接部64に当接することで、第1冷却油路91の開閉部67が閉鎖される。開閉部67が閉鎖されることで、第1冷却油路91を流れるオイルが分岐部93から第2冷却油路92に流入する。第2冷却油路92に流入したオイルがブレーキ40の摩擦係合部45に供給される。

0044

また、キャンセラスプリングカバー70の当接部74がクラッチハブ52の被当接部64に当接したときには、ストッパー部75はまだ受部65には当接していない。その状態からピストン58がさらに係合位置へ向けて移動することで、ピストン58の押圧力がリターンスプリング62を介してキャンセラスプリングカバー70にさらに作用すると、キャンセラスプリングカバー70の本体部71における当接部74と根元部70aとの間の部分が撓み変形することで、ストッパー部75が受部65に当接する。あるいは、キャンセラスプリングカバー70の当接部74がクラッチハブ52の被当接部64に当接した状態で、外部から振動や揺動などの外乱要素が入力することでキャンセラスプリングカバー70に撓み変形が生じた場合にも、ストッパー部75が受部65に当接する場合がある。そして、ストッパー部75が受部65に当接した後は、さらにピストン58の押圧力がリターンスプリング62を介してキャンセラスプリングカバー70に作用したり、振動や揺動などの外乱要素が更に入力したとしても、ストッパー部75が受部65に当接していることによって、キャンセラスプリングカバー70のそれ以上の撓み変形を抑制することができる。

0045

上記のストッパー部75の当接によって、キャンセラスプリングカバー70の当接部74が潰れるなど過度に変形することを防止できるので、キャンセラスプリングカバー70に過剰な撓み変形が生じるおそれがない。これにより、筒状部72の変位を少なく抑えることができるので、シールリング94によるピストン58とキャンセラスプリングカバー70の筒状部72との隙間のシール機能(スプリング収容室77のシール機能)を安定させることができる。

0046

このようにキャンセラスプリングカバー70の当接部74がクラッチハブ52の被当接部64に当触した状態において、更に振動等の外乱が加わると、キャンセラスプリングカバー70が更に変位する。このとき、ストッパー部75がクラッチハブ52の受部65に接触することで、キャンセラスプリングカバー70の更なる変位が抑制され、キャンセラスプリングカバー70の変形や、キャンセラスプリングカバー70によるシール機能の低下を抑制することができる。

0047

また、本実施形態では、リターンスプリング62は、内径側の端部62aがピストン58と当接し、外径側の端部62bがキャンセラスプリングカバー70と当接する皿バネである。このように、リターンスプリング(皿バネ)62の外径側の端部62bがキャンセラスプリングカバー70と当接していることにより、第1冷却油路91の閉鎖時にキャンセラスプリングカバー70の外径側をリターンスプリング62で押圧することができる。したがって、リターンスプリング62の内径側の端部をキャンセラスプリングカバーに当接させている構成と比較して、キャンセラスプリングカバー70をより効果的に変位させることができるので、キャンセラスプリングカバー70による第1冷却油路91の開閉をよりスムーズに行うことができるようになる。

0048

以上説明したように、本実施形態のクラッチ50によれば、ピストン58が係合位置に向けて移動すると、リターンスプリング62を介して作用するピストン58の押圧力でキャンセラスプリングカバー70が弾性変形し、キャンセラスプリングカバー70の当接部74がクラッチハブ52の被当接部64に当接することで、これら当接部74と被当接部64との間に設けた第1冷却油路91の開閉部67が閉鎖されるように構成したことで、クラッチ50の係合動作に伴って摩擦係合部55に供給するオイルが流通する第1冷却油路91を閉鎖することができる。したがって、クラッチ50の外径が大きい場合や回転数が高くなる場合でも、クラッチハブ52の回転に伴い摩擦係合部55に供給されるオイルの勢いが過剰となることを防止できる。

0049

また、クラッチ50の係合時に、摩擦係合部55へのオイルの流路を閉鎖することで、それまで第1冷却油路91で摩擦係合部55に供給されていたオイルの供給に代えて、第2冷却油路92で他の被冷却要素であるブレーキ40の摩擦係合部45にオイルを供給することができる。したがって、クラッチ50の摩擦係合部55に供給されるオイルの勢いが過剰となることを防止すると共に、オイルを他の被冷却要素に供給することで、オイルの有効利用を図ることができる。また、本実施形態のクラッチ50では、このオイルの流路の変更を、ポンプ等の特別な構成を用いることなく、簡易な構成により実現している。

0050

以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明の第2回転体であるクラッチハブ52とリングギヤハブ21が別部材である場合を示したが、これに限らず、本発明の第2回転体は、一体に形成された部材(一部材)であってもよい。

0051

1動力伝達装置
2回転軸
5ケーシング
10遊星歯車機構
11サンギヤ
15キャリア(プラネタリキャリア)
16ピニオンシャフト
17ピニオンギヤ
19軸受
20リングギヤ
21リングギヤハブ(第2回転体)
22外歯
40ブレーキ
41ブレーキハブ
42ブレーキドラム
43ブレーキディスク(摩擦材)
44ブレーキプレート(摩擦材)
45摩擦係合部(摩擦係合要素)
46エンドプレート
47規制部材
50クラッチ(摩擦係合装置)
51クラッチガイド(第1回転体)
51a側壁部
51cボス部
52クラッチハブ(第2回転体)
52a油孔
53クラッチディスク(摩擦材)
54クラッチプレート(摩擦材)
55 摩擦係合部(摩擦係合要素)
56 エンドプレート
57 規制部材
58ピストン(押圧部材)
59油室
62リターンスプリング(付勢部材)
62a 端部
62b 端部
64 被当接部
65 受部
67開閉部
70キャンセラスプリングカバー(弾性部材)
70a根元部
71 本体部
72 筒状部
74 当接部
75ストッパー部
77スプリング収容室
81,82,83ベアリング
85,86,87油路
91 第1冷却油路(第1油路)
92 第2冷却油路(第2油路)
93分岐部
94シールリング(シール部材)

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