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技術 絶縁物被覆軟磁性粉末、絶縁物被覆軟磁性粉末の製造方法、圧粉磁心、磁性素子、電子機器および移動体

出願人 セイコーエプソン株式会社
発明者 中村敦
出願日 2018年2月28日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-035894
公開日 2019年9月12日 (7ヶ月経過) 公開番号 2019-151868
状態 未査定
技術分野 粉末冶金 軟質磁性材料 一般用変成器の鉄心 コア、コイル、磁石の製造 金属質粉又はその懸濁液の製造
主要キーワード 絶縁物被覆 パワー制御ユニット 無機バインダー成分 内壁付近 磁性デバイス 各磁性素子 粉末化法 ナノ結晶質
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年9月12日)のものです。
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図面 (12)

課題

高温での熱処理に供されたとしても粉末として特性が損なわれにくい絶縁物被覆軟磁性粉末およびその製造方法、ならびに、信頼性が高い圧粉磁心磁性素子電子機器および移動体を提供すること。

解決手段

軟磁性材料を含む基部と、前記基部の表面に設けられ前記軟磁性材料が含有する元素酸化物を含む酸化膜と、を備えるコア粒子と、前記コア粒子の表面に設けられ、絶縁性を有するセラミックス粒子と、前記コア粒子の表面に設けられ、絶縁性を有するとともに、酸化リン酸化ビスマス酸化亜鉛酸化ホウ素酸化テルルおよび酸化ケイ素のうちの少なくとも1種を主成分として含むガラス材料と、を有し、前記セラミックス粒子は、前記ガラス材料の100体積%以上500体積%以下の割合で含まれていることを特徴とする絶縁物被覆軟磁性粉末。

概要

背景

近年、ノート型パソコンのようなモバイル機器の小型化・軽量化が進んでいるが、小型化と高性能化との両立を図るためには、スイッチング電源高周波数化が必要となる。現在、スイッチング電源の駆動周波数は数100kHz以上にまで高周波数化が進んでいるが、それに伴って、モバイル機器に内蔵されたチョークコイルインダクター等の磁性素子についても高周波数化への対応が必要となる。

しかしながら、これらの磁性素子の駆動周波数が高周波数化した場合、各磁性素子が備える磁心において、渦電流によるジュール損失渦電流損失)が著しく増大するという問題が発生する。このため、磁心に含まれる軟磁性粉末粒子同士を絶縁し、渦電流損失の低減を図っている。

例えば、特許文献1には、軟磁性粉末とそれを被覆する無機バインダー成分とからなり、無機バインダー成分として水ガラス10〜95重量%および絶縁酸化物粉末5〜90重量%を用いてなる圧粉磁心用磁性粉末が開示されている。このような圧粉磁心用磁性粉末は、無機バインダー成分の介在によって絶縁性が確保され、また、高温での焼鈍が可能になるため、成形歪みが除去された圧粉磁心の製造を可能にする。

概要

高温での熱処理に供されたとしても粉末として特性が損なわれにくい絶縁物被覆軟磁性粉末およびその製造方法、ならびに、信頼性が高い圧粉磁心、磁性素子、電子機器および移動体を提供すること。軟磁性材料を含む基部と、前記基部の表面に設けられ前記軟磁性材料が含有する元素酸化物を含む酸化膜と、を備えるコア粒子と、前記コア粒子の表面に設けられ、絶縁性を有するセラミックス粒子と、前記コア粒子の表面に設けられ、絶縁性を有するとともに、酸化リン酸化ビスマス酸化亜鉛酸化ホウ素酸化テルルおよび酸化ケイ素のうちの少なくとも1種を主成分として含むガラス材料と、を有し、前記セラミックス粒子は、前記ガラス材料の100体積%以上500体積%以下の割合で含まれていることを特徴とする絶縁物被覆軟磁性粉末。

目的

また、絶縁物被覆軟磁性粉末に対する結合材の割合は、作製する圧粉磁心11の目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

軟磁性材料を含む基部と、前記基部の表面に設けられ前記軟磁性材料が含有する元素酸化物を含む酸化膜と、を備えるコア粒子と、前記コア粒子の表面に設けられ、絶縁性を有するセラミックス粒子と、前記コア粒子の表面に設けられ、絶縁性を有するとともに、酸化リン酸化ビスマス酸化亜鉛酸化ホウ素酸化テルルおよび酸化ケイ素のうちの少なくとも1種を主成分として含むガラス材料と、を有し、前記セラミックス粒子は、前記ガラス材料の100体積%以上500体積%以下の割合で含まれていることを特徴とする絶縁物被覆軟磁性粉末

請求項2

前記セラミックス粒子は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素または酸化ジルコニウムを含む請求項1に記載の絶縁物被覆軟磁性粉末。

請求項3

前記酸化膜の厚さは、5nm以上200nm以下である請求項1または2に記載の絶縁物被覆軟磁性粉末。

請求項4

前記コア粒子は、水アトマイズ粉または高速回転水流アトマイズ粉である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の絶縁物被覆軟磁性粉末。

請求項5

絶縁性を有するセラミックス粒子と、絶縁性を有するガラス材料と、を混合するとともに造粒し、絶縁粒子を得る工程と、軟磁性材料を含む基部と、前記基部の表面に設けられ前記軟磁性材料が含有する元素の酸化物を含む酸化膜と、を備えるコア粒子と、前記絶縁粒子と、を混合するとともに造粒し、複合粒子を得る工程と、を有することを特徴とする絶縁物被覆軟磁性粉末の製造方法。

請求項6

請求項1ないし4のいずれか1項に記載の絶縁物被覆軟磁性粉末を含むことを特徴とする圧粉磁心

請求項7

請求項6に記載の圧粉磁心を備えることを特徴とする磁性素子

請求項8

請求項7に記載の磁性素子を備えることを特徴とする電子機器

請求項9

請求項7に記載の磁性素子を備えることを特徴とする移動体

技術分野

0001

本発明は、絶縁物被覆軟磁性粉末、絶縁物被覆軟磁性粉末の製造方法、圧粉磁心磁性素子電子機器および移動体に関するものである。

背景技術

0002

近年、ノート型パソコンのようなモバイル機器の小型化・軽量化が進んでいるが、小型化と高性能化との両立を図るためには、スイッチング電源高周波数化が必要となる。現在、スイッチング電源の駆動周波数は数100kHz以上にまで高周波数化が進んでいるが、それに伴って、モバイル機器に内蔵されたチョークコイルインダクター等の磁性素子についても高周波数化への対応が必要となる。

0003

しかしながら、これらの磁性素子の駆動周波数が高周波数化した場合、各磁性素子が備える磁心において、渦電流によるジュール損失渦電流損失)が著しく増大するという問題が発生する。このため、磁心に含まれる軟磁性粉末粒子同士を絶縁し、渦電流損失の低減を図っている。

0004

例えば、特許文献1には、軟磁性粉末とそれを被覆する無機バインダー成分とからなり、無機バインダー成分として水ガラス10〜95重量%および絶縁酸化物粉末5〜90重量%を用いてなる圧粉磁心用磁性粉末が開示されている。このような圧粉磁心用磁性粉末は、無機バインダー成分の介在によって絶縁性が確保され、また、高温での焼鈍が可能になるため、成形歪みが除去された圧粉磁心の製造を可能にする。

先行技術

0005

特開2001−307914号公報

発明が解決しようとする課題

0006

ところが、近年、1000℃を超えるような特に高温での熱処理を施すことにより、軟磁性粉末に残留する歪みをより確実に除去することが求められている。これにより、ヒステリシス損失の低減が図られることとなる。

0007

しかしながら、特許文献1に記載されているような高温での焼成を可能にした軟磁性金属粒子粉末であっても、1000℃を超えるような特に高温での熱処理では、金属粒子同士の間で凝集が進むことがある。このような凝集が生じると、粉末としての特性が損なわれるため、軟磁性金属粒子粉末の成形性が低下する。このため、圧粉成形されたとき、十分な充填性が得られず、圧粉磁心の磁気特性が低下することとなる。

0008

そこで、高温での熱処理に供されたとしても粉末として特性が損なわれにくい絶縁物被覆軟磁性粉末が求められている。

課題を解決するための手段

0009

本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することができる。

0010

本発明の適用例に係る絶縁物被覆軟磁性粉末は、軟磁性材料を含む基部と、前記基部の表面に設けられ前記軟磁性材料が含有する元素酸化物を含む酸化膜と、を備えるコア粒子と、
前記コア粒子の表面に設けられ、絶縁性を有するセラミックス粒子と、
前記コア粒子の表面に設けられ、絶縁性を有するとともに、酸化リン酸化ビスマス酸化亜鉛酸化ホウ素酸化テルルおよび酸化ケイ素のうちの少なくとも1種を主成分として含むガラス材料と、
を有し、
前記セラミックス粒子は、前記ガラス材料の100体積%以上500体積%以下の割合で含まれていることを特徴とする。

図面の簡単な説明

0011

本発明の絶縁物被覆軟磁性粉末の実施形態の一粒子を示す断面図である。
実施形態に係る絶縁物被覆軟磁性粉末の製造方法に用いられる粉末被覆装置の構成を示す縦断面図である。
実施形態に係る絶縁物被覆軟磁性粉末の製造方法に用いられる粉末被覆装置の構成を示す縦断面図である。
実施形態に係る絶縁物被覆軟磁性粉末の製造方法に用いられる粉末被覆装置の構成を示す縦断面図である。
実施形態に係る絶縁物被覆軟磁性粉末の製造方法に用いられる粉末被覆装置の構成を示す縦断面図である。
第1実施形態に係る磁性素子を適用したチョークコイルを示す模式図(平面図)である。
第2実施形態に係る磁性素子を適用したチョークコイルを示す模式図(透過斜視図)である。
実施形態に係る磁性素子を備える電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
実施形態に係る磁性素子を備える電子機器を適用したスマートフォンの構成を示す平面図である。
実施形態に係る磁性素子を備える電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
実施形態に係る磁性素子を備える移動体を適用した自動車を示す斜視図である。

0012

以下、本発明の絶縁物被覆軟磁性粉末、絶縁物被覆軟磁性粉末の製造方法、圧粉磁心、磁性素子、電子機器および移動体について、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。

0013

[絶縁物被覆軟磁性粉末]
まず、本実施形態に係る絶縁物被覆軟磁性粉末について説明する。

0014

図1は、本発明の絶縁物被覆軟磁性粉末の実施形態の一粒子を示す断面図である。なお、以下の説明では、絶縁物被覆軟磁性粉末の一粒子を「絶縁物被覆軟磁性粒子」ともいう。

0015

図1に示す絶縁物被覆軟磁性粒子1は、軟磁性材料を含む基部2aと基部2aの表面に設けられた酸化膜2bとを備えるコア粒子2と、コア粒子2の表面に設けられた絶縁性を有するセラミックス粒子3と、コア粒子2の表面に設けられた絶縁性を有するとともに、酸化リン、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化テルルおよび酸化ケイ素のうちの少なくとも1種を主成分として含むガラス材料4と、を有している。そして、酸化膜2bは、前記軟磁性材料が含有する元素の酸化物を含む。また、セラミックス粒子3は、ガラス材料4の100体積%以上500体積%以下の割合で含まれている。

0016

このような絶縁物被覆軟磁性粒子1では、コア粒子2の表面にセラミックス粒子3が設けられていることにより、粒子間の絶縁性が確保されている。このため、このような絶縁物被覆軟磁性粒子1を所定の形状に成形することにより、渦電流損失が小さい磁性素子を実現可能な圧粉磁心を製造することができる。

0017

特に、絶縁物被覆軟磁性粒子1の表面にセラミックス粒子3が存在していることにより、コア粒子2同士の接触がより確実に抑制される。これにより、コア粒子2同士の間の絶縁抵抗が確保され、渦電流損失の低減を図ることができる。

0018

また、このような絶縁物被覆軟磁性粒子1は、例えば1000℃という高温の熱処理に供された場合でも、粉末としての特性が損なわれにくいものとなる。すなわち、絶縁物被覆軟磁性粒子1は、高温の熱処理に供されたとしても凝集、固着等を生じにくく、流動性といった粉末特性が良好なものとなる。その結果、絶縁物被覆軟磁性粒子1は、磁気特性が良好な圧粉体を製造可能なものとなる。

0019

[絶縁物被覆軟磁性粉末の製造方法]
次に、図1に示す絶縁物被覆軟磁性粒子1を製造する方法(実施形態に係る絶縁物被覆軟磁性粉末の製造方法)について説明する。

0020

絶縁物被覆軟磁性粒子1の製造方法は、絶縁性を有するセラミックス粒子3と、絶縁性を有するとともに、酸化リン、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化テルルおよび酸化ケイ素のうちの少なくとも1種を主成分として含むガラス材料4と、を混合するとともに造粒し、絶縁粒子5を得る工程と、軟磁性材料を含む基部2aと、基部2aの表面に設けられ軟磁性材料が含有する元素の酸化物を含む酸化膜2bと、を備えるコア粒子2と、絶縁粒子5と、を混合するとともに造粒し、複合粒子を得る工程と、を有する。以下、各工程について順次説明する。

0021

図2ないし図5は、それぞれ実施形態に係る絶縁物被覆軟磁性粉末の製造方法に用いられる粉末被覆装置の構成を示す縦断面図である。

0022

[1]
[1−1]まず、コア粒子2、セラミックス粒子3およびガラス材料4を用意する(図2参照)。

0023

コア粒子2は、軟磁性材料を含む粒子である。
本実施形態に係るコア粒子2は、軟磁性材料を含む基部2aと、基部2aの表面に設けられ前述した軟磁性材料が含有する元素の酸化物を含む酸化膜2bと、を備えている。

0024

このようなコア粒子2では、基部2aに比べて導電性が低い酸化膜2bが設けられているため、コア粒子2自体においても、コア粒子2同士の間の絶縁抵抗を高めている。これにより、絶縁物被覆軟磁性粒子1を圧粉してなる圧粉体において、渦電流損失のさらなる低減が図られる。

0025

基部2aに含まれる軟磁性材料としては、例えば、純鉄ケイ素鋼(Fe−Si系合金)、パーマロイ(Fe−Ni系合金)、パーメンジュール(Fe−Co系合金)、センダストのようなFe−Si−Al系合金、Fe−Cr−Si系合金、Fe−Cr−Al系合金等の各種Fe系合金の他、各種Ni系合金、各種Co系合金等が挙げられる。このうち、透磁率磁束密度等の磁気特性や、コスト等の生産性の観点から、各種Fe系合金が好ましく用いられる。

0026

また、軟磁性材料の結晶性は、特に限定されず、結晶質であっても、非晶質(アモルファス)であっても、微結晶質ナノ結晶質)であってもよい。

0027

なお、基部2aでは、軟磁性材料が主材料であることが好ましく、その他に不純物が含まれていてもよい。

0028

一方、酸化膜2bに含まれる酸化物は、基部2aに含まれる軟磁性材料が含有する元素の酸化物である。したがって、基部2aに含まれる軟磁性材料が例えばFe−Cr−Si系合金である場合、酸化膜2bは、酸化鉄酸化クロムおよび酸化ケイ素のうちの少なくとも1種を含んでいればよい。また、Fe−Cr−Si系合金が、Fe、CrおよびSiという主要元素以外の元素(その他の元素)を含んでいる場合もあるが、その場合は、主要元素の酸化物に代えてその他の元素の酸化物を含んでいてもよく、主要元素の酸化物とその他の元素の酸化物の双方を含んでいてもよい。

0029

酸化膜2bに含まれる酸化物としては、例えば、酸化鉄、酸化クロム、酸化ニッケル酸化コバルト酸化マンガン、酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化リン、酸化アルミニウム酸化マグネシウム酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン酸化バナジウム酸化セリウム等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上が含まれる。

0030

このうち、酸化膜2bは、ガラス形成成分またはガラス安定化成分を含むことが好ましい。これにより、酸化膜2bは、例えばセラミックス粒子3が酸化物を含む場合、セラミックス粒子3が酸化膜2bに固着するのを促進するように作用する。すなわち、ガラス形成成分またはガラス安定化成分が、セラミックス粒子3に含まれる酸化物との間でガラス化する等の相互作用を生じ、セラミックス粒子3が酸化膜2bに対してより強固に固着するのを促進する。その結果、セラミックス粒子3はコア粒子2の表面から脱落しにくくなり、絶縁性が低下しにくく信頼性の高い絶縁物被覆軟磁性粒子1が得られる。

0031

また、ガラス化により、例えば高温と低温とが繰り返されるような環境下においても、コア粒子2とセラミックス粒子3との間に隙間が生じにくくなる。このため、例えば隙間に水分等が浸入してしまうことによる絶縁性の低下を抑制することができる。したがって、かかる観点においても高温耐性が良好な絶縁物被覆軟磁性粒子1が得られる。

0032

ガラス形成成分としては、例えば、酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化リン等が挙げられる。

0033

一方、ガラス安定化成分としては、例えば、酸化アルミニウム等が挙げられる。
このような酸化物の中でも、酸化膜2bは、酸化ケイ素を含むことが好ましい。酸化ケイ素はガラス形成成分であることから、セラミックス粒子3やガラス材料4に含まれる酸化物とともにガラス化する等の相互作用を生じやすい。このため、セラミックス粒子3やガラス材料4は酸化膜2bに対してより強固に固着し、絶縁性が低下しにくく信頼性の高い絶縁物被覆軟磁性粒子1が得られる。

0034

なお、酸化膜2bの有無は、コア粒子2の表面から中心に向かう方向(以下、「深さ方向」という。)における酸素原子濃度分布に応じて特定することができる。すなわち、コア粒子2の深さ方向における酸素原子の濃度分布を取得したとき、その分布に応じて酸化膜2bの有無を評価することができる。

0035

このような濃度分布は、例えばスパッタリングを併用したオージェ電子分光法による深さ方向分析によって取得することができる。この分析では、コア粒子2の表面にイオン衝突させ、原子層を徐々に剥がしながらコア粒子2に電子線を照射し、コア粒子2から放出されるオージェ電子運動エネルギーに基づいて原子の同定、定量を行う。このため、スパッタリングに要した時間をスパッタリングによって剥がされた原子層の厚さに換算することによって、コア粒子2の表面からの深さと組成比との関係を求めることができる。

0036

そして、コア粒子2の表面から深さ300nmの位置は、表面から十分に深いとみなすことができるため、その位置における酸素濃度をコア粒子2の内部の酸素濃度とみなすことができる。

0037

そうすると、コア粒子2の表面から深さ方向における酸素濃度分布から、内部の酸素濃度に対する相対量を算出することにより、酸化膜2bの厚さを算出することができる。具体的には、コア粒子2は、その製造過程において表面から内部に向かって酸化が進行するが、前述した分析で得られた酸素濃度が、前述した内部の酸素濃度の±50%の範囲内であれば、その分析対象の箇所には酸化膜2bが存在しないとみなすことができる。一方、前述した分析で得られた酸素濃度が、前述した内部の酸素濃度の+50%よりも高ければ、その分析対象の箇所には酸化膜2bが存在しているとみなすことができる。

0038

したがって、このような評価を繰り返すことにより、酸化膜2bの厚さを求めることができる。そして、酸化膜2bは、基部2aの表面全体に設けられている必要はなく、基部2aが露出している部分があってもよい。

0039

また、酸化膜2bに含まれる酸化物の種類は、例えばX線光電子分光法等により特定することができる。

0040

このようにして測定された酸化膜2bの厚さは、5nm以上200nm以下であるのが好ましく、10nm以上100nm以下であるのがより好ましい。これにより、コア粒子2はそれ自体も絶縁性を有するものとなる。このため、セラミックス粒子3およびガラス材料4と相まって、より絶縁性の高い絶縁物被覆軟磁性粒子1が得られる。

0041

また、このような厚さの酸化膜2bによれば、酸化膜2bとセラミックス粒子3との固着強度および酸化膜2bとガラス材料4との固着強度をより高めることができる。これにより、セラミックス粒子3やガラス材料4がコア粒子2の表面からより脱落しにくくなり、絶縁物被覆軟磁性粒子1の信頼性のさらなる向上を図ることができる。

0042

なお、酸化膜2bの厚さが前記下限値を下回ると、酸化膜2bの厚さが薄いため、絶縁物被覆軟磁性粒子1の粒子同士の絶縁性が低下したり、セラミックス粒子3やガラス材料4が酸化膜2bから脱落しやすくなったりするおそれがある。一方、酸化膜2bの厚さが前記上限値を上回ると、酸化膜2bの厚さが厚くなりすぎるため、相対的に基部2aの体積が減少することとなり、絶縁物被覆軟磁性粒子1を圧粉してなる圧粉体の磁気特性が低下するおそれがある。

0043

このようなコア粒子2は、いかなる方法で製造されたものでもよいが、例えば、アトマイズ法(例えば、水アトマイズ法ガスアトマイズ法高速回転水流アトマイズ法等)、還元法、カルボニル法粉砕法等の各種粉末化法により製造されたものとされる。

0044

このうち、コア粒子2には、水アトマイズ法または高速回転水流アトマイズ法で製造されたもの(水アトマイズ粉または高速回転水流アトマイズ粉)が好ましく用いられる。水アトマイズ法および高速回転水流アトマイズ法によれば、極めて微小な粉末を効率よく製造することができる。また、得られる粉末の各粒子の形状が真球に近くなるため、コア粒子2の転動容易性が向上し、セラミックス粒子3やガラス材料4を固着しやすくなるといった効果が生じる。さらに、水アトマイズ法および高速回転水流アトマイズ法では、溶融金属と水との接触を利用して粉末化するため、コア粒子2の表面に適度な膜厚の酸化膜2bが形成される。その結果、適度な膜厚の酸化膜2bを備えるコア粒子2を効率よく製造することができる。

0045

なお、酸化膜2bの厚さは、コア粒子2の製造時、例えば溶融金属の冷却速度によって調整可能である。具体的には、冷却速度が遅くなるようにすることで、酸化膜2bを厚くすることができる。

0046

一方、セラミックス粒子3は、セラミックス材料を含む粒子である。
セラミックス材料としては、例えば、酸化アルミニウム(例えばAl2O3)、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化鉄、酸化カリウム酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化クロム、窒化ホウ素窒化ケイ素炭化ケイ素等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を含む材料が用いられる。

0047

このうち、セラミックス粒子3は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素または酸化ジルコニウムを含むことが好ましい。これらは、硬度および軟化点融点)が比較的高い。このため、このようなセラミックス粒子3を有する絶縁物被覆軟磁性粒子1は、圧縮荷重を受けたときでもセラミックス粒子3の粒子形状が維持されやすい。このため、圧粉されたときでも粒子間の絶縁性が低下しにくく、高圧での圧粉成形が可能で、磁気特性が良好な圧粉体を製造可能な絶縁物被覆軟磁性粒子1が得られる。また、このようなセラミックス粒子3を有する絶縁物被覆軟磁性粒子1は、耐熱性に富んだものとなる。このため、高温での熱処理に供されたとしても、流動度のような粉末特性が低下しにくい絶縁物被覆軟磁性粒子1を実現することができる。

0048

また、絶縁性材料には、硬度が比較的高い材料が好ましく用いられる。具体的には、モース硬度が6以上の材料が好ましく、6.5以上9.5以下の材料がより好ましい。このような絶縁性材料によれば、圧縮荷重を受けたときでもセラミックス粒子3の粒子形状が維持されやすい。このため、圧粉されたときでも粒子間の絶縁性が低下しにくく、高圧での圧粉成形が可能で、磁気特性が良好な圧粉体を製造可能な絶縁物被覆軟磁性粒子1が得られる。

0049

さらに、このようなモース硬度を有する絶縁性材料は、比較的軟化点が高いため、耐熱性に富んだものとなる。このため、高温での熱処理に供されたとしても、流動度のような粉末特性が低下しにくい絶縁物被覆軟磁性粒子1を実現することができる。

0050

セラミックス粒子3の平均粒径は、特に限定されないが、1nm以上500nm以下であるのが好ましく、5nm以上300nm以下であるのがより好ましく、8nm以上100nm以下であるのがさらに好ましい。セラミックス粒子3の平均粒径を前記範囲内に設定することにより、後述する工程においてコア粒子2に対してセラミックス粒子3を密着させる際に、セラミックス粒子3に対して必要かつ十分な大きさの圧力を加えることができる。その結果、コア粒子2に対してセラミックス粒子3を良好に密着させることができる。

0051

なお、セラミックス粒子3の平均粒径は、レーザー回折方式粒度分布測定装置により、質量基準累積分布において小径側から累積50%になるときの粒径である。

0052

また、セラミックス粒子3の平均粒径は、コア粒子2の平均粒径の0.1%以上20%以下程度であるのが好ましく、0.3%以上10%以下程度であるのがより好ましい。セラミックス粒子3の平均粒径が前記範囲内であれば、絶縁物被覆軟磁性粒子1は、十分な絶縁性を有するとともに、この絶縁物被覆軟磁性粒子1の集合物加圧・成形して圧粉磁心を製造した場合には、圧粉磁心におけるコア粒子2の占有率の著しい低下が防止される。その結果、渦電流損失が小さく、かつ、透磁率や磁束密度等の磁気特性に優れた圧粉磁心を製造可能な絶縁物被覆軟磁性粒子1が得られる。

0053

なお、コア粒子2の平均粒径は、1μm以上50μm以下であるのが好ましく、2μm以上30μm以下であるのがより好ましく、3μm以上15μm以下であるのがさらに好ましい。コア粒子2の平均粒径が前記範囲内であれば、絶縁物被覆軟磁性粒子1は、渦電流損失が小さく、かつ、透磁率や磁束密度等の磁気特性に優れた圧粉磁心を製造可能な絶縁物被覆軟磁性粒子1が得られる。

0054

また、セラミックス粒子3の添加量は、コア粒子2の0.1質量%以上5質量%以下であるのが好ましく、0.3質量%以上3質量%以下であるのがより好ましい。セラミックス粒子3の添加量が前記範囲内であれば、絶縁物被覆軟磁性粒子1は、十分な絶縁性を有するとともに、この絶縁物被覆軟磁性粒子1の集合物を加圧・成形して圧粉磁心を製造した場合には、圧粉磁心におけるコア粒子2の占有率の著しい低下が防止される。その結果、渦電流損失が小さく、かつ、透磁率や磁束密度等の磁気特性に優れた圧粉磁心を製造可能な絶縁物被覆軟磁性粒子1が得られる。

0055

なお、セラミックス粒子3には、必要に応じて表面処理を施すようにしてもよい。表面処理としては、例えば疎水処理が挙げられる。疎水処理を施すことにより、セラミックス粒子3に水分が吸着するのを抑制することができる。このため、水分によるコア粒子2の劣化等を抑制することができる。また、絶縁物被覆軟磁性粒子1の凝集を抑制するという効果もある。

0056

疎水処理の例としては、例えばトリメチルシリル化アリール化(例えばフェニル化)等が挙げられる。トリメチルシリル化には、例えばトリメチルクロロシランのようなトリメチルシリル化剤等が用いられる。また、アリール化には、例えばハロゲン化アリールのようなアリール化剤が用いられる。

0057

また、ガラス材料4は、酸化リン(P2O5)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ホウ素(B2O3)、酸化テルル(TeO2)および酸化ケイ素(SiO2)のうちの少なくとも1種を主成分として含む。このようなガラス材料4は、耐熱性が良好で、かつ、比較的柔軟性に富んでいる。このため、ガラス材料4は、コア粒子2とセラミックス粒子3との間に介在し、両者を固定化することに寄与する。その結果、コア粒子2の表面に対しセラミックス粒子3をより強固に密着させることができる。

0058

ガラス材料4は、上記主成分の他に、任意のガラス成分を含んでいてもよい。かかるガラス成分としては、例えば、B2O3、SiO2、Al2O3、ZnO、SnO、PbO、Li2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrO、BaO、Gd2O3、Y2O3、La2O3、Yb2O3等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上が用いられる。

0059

なお、主成分とは、ガラス材料4のうち、質量比含有率が最も大きい成分のことをいう。また、本明細書では、例えばP2O5を主成分とするガラス材料のことを「P2O5系ガラス」ともいう。

0060

また、ガラス材料4の軟化点は、650℃以下であるのが好ましく、250℃以上600℃以下であるのがより好ましく、300℃以上500℃以下であるのがさらに好ましい。ガラス材料4の軟化点が前記範囲内であることにより、高温での熱処理に供されたとしても、ガラス材料4の著しい変形が抑制される。これにより、高温での熱処理に供されたとしても、流動度のような粉末特性が低下しにくい絶縁物被覆軟磁性粒子1を実現することができる。

0061

なお、ガラス材料4の軟化点は、JIS R 3103−1:2001に規定された軟化点の測定方法により測定される。

0062

また、コア粒子2の表面には、セラミックス粒子3やガラス材料4の他に、シリコン材料等の非導電性無機材料が添加されていてもよい。その場合の添加量は、例えば絶縁物被覆軟磁性粒子1の10質量%以下程度とされる。

0063

ここで、セラミックス粒子3は、ガラス材料4の100体積%以上500体積%以下の割合で含まれている。

0064

セラミックス粒子3は、ガラス材料4に比べて硬度が高く、かつ、軟化点(融点)も高い。このため、ガラス材料4の体積に対するセラミックス粒子3の体積の割合が前記範囲内であることにより、例えば1000℃という高温での熱処理に供されたとしても、凝集等が生じにくく、粉末としての特性が損なわれにくい絶縁物被覆軟磁性粒子1が得られる。

0065

一方、ガラス材料4は、絶縁物被覆軟磁性粒子1の絶縁性を高めるだけでなく、セラミックス粒子3をコア粒子2の表面に固定する役割も果たす。このとき、セラミックス粒子3との間で混合比が最適化されることにより、セラミックス粒子3の前述した高温耐性という機能と、セラミックス粒子3の脱落を抑制するという機能と、の両立を図ることができる。これにより、高温での熱処理に供することが可能であり、かつ、粉末特性を損なわないことから、磁気特性が良好な圧粉体を製造可能な絶縁物被覆軟磁性粒子1が得られる。

0066

なお、ガラス材料4の体積に対するセラミックス粒子3の体積の割合が前記下限値を下回ると、相対的にセラミックス粒子3の比率が小さくなるため、高温での熱処理に供された際、絶縁物被覆軟磁性粒子1に凝集等の不具合が生じるおそれがある。一方、前記上限値を上回ると、相対的にガラス材料4の比率が小さくなるため、圧粉成形等の際にコア粒子2の表面からセラミックス粒子3が脱落するおそれがある。

0067

なお、ガラス材料4に対するセラミックス粒子3の割合は、125体積%以上450体積%以下であるのが好ましく、150体積%以上400体積%以下であるのがより好ましい。

0068

また、絶縁物被覆軟磁性粒子1におけるガラス材料4に対するセラミックス粒子3の体積割合は、絶縁物被覆軟磁性粒子1の断面において測定された、ガラス材料4に対するセラミックス粒子3の面積割合代替することができる。

0069

なお、セラミックス粒子3やガラス材料4とともに、セラミックス粒子3やガラス材料4以外の絶縁性を有する粒子が一緒に用いられてもよい。

0070

セラミックス粒子3やガラス材料4以外の絶縁性を有する粒子としては、例えば、シリコン材料のような非導電性無機材料が挙げられる。

0071

なお、セラミックス粒子3やガラス材料4以外の絶縁性を有する粒子の添加量は、セラミックス粒子3およびガラス材料4の合計の50質量%以下であるのが好ましく、30質量%以下であるのがより好ましい。

0072

[1−2]次に、セラミックス粒子3およびガラス材料4を混合するとともに造粒する。これにより、絶縁粒子5を得る。

0073

絶縁粒子5の製造にあたっては、セラミックス粒子3とガラス材料4とを混合するプロセスと、混合物を造粒するプロセスと、を個別に行うようにしてもよく、同時に行うようにしてもよい。

0074

また、絶縁粒子5の製造方法は、湿式法であっても、乾式法であってもよい。
湿式法では、セラミックス粒子3やガラス材料4を含むスラリーを調製し、任意の造粒方法によってスラリーを乾燥させつつ造粒する。これにより、絶縁粒子5を製造することができる。

0075

一方、乾式法では、セラミックス粒子3とガラス材料4とを互いに高い圧力で押し付け合うことにより造粒する。これにより、水分あるいは液体を用いることなく絶縁粒子5を製造することができるため、セラミックス粒子3とガラス材料4との間に水分等が介在するおそれがなく、絶縁物被覆軟磁性粒子1の長期耐久性を高めることができる。

0076

以下、乾式法についてさらに説明する。
乾式法では、セラミックス粒子3およびガラス材料4に対して機械的な圧縮摩擦作用とを生じさせる装置が用いられる。かかる装置としては、例えば、ハンマーミルディスクミルローラーミルボールミル遊星ミルジェットミル等の各種粉砕機や、オングミル(登録商標)、高速楕円混合機ミックスマラー(登録商標)、ヤコブソンミルメカノフュージョン(登録商標)、ハイブリダイゼーション(登録商標)等の各種摩擦混合機等が挙げられるが、ここでは、一例として、容器110と、その内側で容器の内壁に沿って回転するチップ140とを有する図2および図3に示す粉末被覆装置101(摩擦混合機)について説明する。

0077

粉末被覆装置101は、円筒状をなす容器110と、径方向に沿って容器110内に設けられた棒状のアーム120と、を有している。

0078

容器110は、ステンレス鋼等の金属材料で構成され、その内部に投入されたセラミックス粒子3およびガラス材料4の混合物に対して、機械的な圧縮と摩擦作用とを与える。

0079

ガラス材料4は、いかなる形態であってもよく、例えば、粉末状、顆粒状、塊状等のいずれであってもよい。

0080

また、アーム120の長手方向の中心には回転軸130が挿通されており、アーム120は、この回転軸130を回転中心として回転自在に設けられている。なお、回転軸130は、容器110の中心軸と一致するように設けられている。

0081

また、アーム120の一方の端部には、チップ140が設けられている。このチップ140は、凸状の湾曲面とこれに対向する平面とを有する形状をなしており、湾曲面が容器110の内壁に臨み、かつこの湾曲面と容器110との離間距離が所定の長さになるよう設定されている。これにより、チップ140は、アーム120の回転に伴って容器110の内壁と一定の距離を維持しつつ、内壁に沿って回転する。

0082

また、アーム120の他方の端部には、スクレーパー150が設けられている。このスクレーパー150は、板状の部材であり、チップ140と同様、スクレーパー150と容器110との離間距離が所定の長さになるよう設定される。これにより、スクレーパー150は、アーム120の回転に伴って容器110の内壁付近を掻き取ることができるようになっている。

0083

なお、回転軸130は、容器110の外部に設けられた図示しない回転駆動装置に接続されており、これによりアーム120を回転させることができる。

0084

また、容器110は、粉末被覆装置101の駆動中、封止状態を維持することができ、内部を減圧真空)状態または各種ガス置換した状態を維持することができる。なお、好ましくは、容器110中は窒素アルゴン等の不活性ガスで置換される。これにより、造粒中のセラミックス粒子3やガラス材料4の酸化や変性を抑制することができる。

0085

次に、粉末被覆装置101を用いて絶縁粒子5を製造する方法について説明する。
まず、セラミックス粒子3やガラス材料4を容器110内に投入する。次いで、容器110を封止し、アーム120を回転させる。

0086

ここで、図2は、チップ140が上方に位置し、スクレーパー150が下方に位置するときの粉末被覆装置101の状態を示しており、一方、図3は、チップ140が下方に位置し、スクレーパー150が上方に位置するときの粉末被覆装置101の状態を示している。

0087

セラミックス粒子3およびガラス材料4は、スクレーパー150により図2に示すように掻き取られる。これにより、セラミックス粒子3およびガラス材料4は、アーム120の回転とともに上方に持ち上げられ、その後落下することで撹拌される。

0088

一方、図3に示すように、チップ140が降下すると、チップ140と容器110との隙間に、セラミックス粒子3やガラス材料4が侵入し、これらはアーム120の回転とともにチップ140から圧縮作用と摩擦作用とを受ける。

0089

これらの撹拌と圧縮摩擦作用とが高速で繰り返されることにより、セラミックス粒子3の表面にガラス材料4が固着する。その結果、これらが造粒され、セラミックス粒子3とガラス材料4とが混在してなる絶縁粒子5が得られる。

0090

アーム120の回転数は、容器110内に投入される粉末の量に応じて若干異なるものの、1分間に300〜1200回程度とするのが好ましい。

0091

また、チップ140が粉末を圧縮する際の押圧力は、チップ140の大きさによって異なるが、一例として30〜500N程度であるのが好ましい。

0092

[2]次に、コア粒子2に対して絶縁粒子5を機械的に固着させる。これにより、絶縁物被覆軟磁性粒子1が得られる。

0093

この機械的な固着は、コア粒子2の表面に絶縁粒子5を高い圧力で押し付けることで生じる。具体的には、絶縁物被覆軟磁性粒子1は、図4および図5に示すような粉末被覆装置101を用いて上述した機械的な固着を生じさせることで製造される。

0094

コア粒子2および絶縁粒子5に対して機械的な圧縮と摩擦作用とを生じさせる装置として、ハンマーミル、ディスクミル、ローラーミル、ボールミル、遊星ミル、ジェットミル等の各種粉砕機や、オングミル(登録商標)、高速楕円型混合機、ミックスマラー(登録商標)、ヤコブソンミル、メカノフュージョン(登録商標)、ハイブリダイゼーション(登録商標)等の各種摩擦混合機等が挙げられるが、ここでは、一例として、容器110と、その内側で容器の内壁に沿って回転するチップ140とを有する図4および図5に示す粉末被覆装置101(摩擦混合機)について説明する。

0095

粉末被覆装置101は、円筒状をなす容器110と、径方向に沿って容器110内に設けられた棒状のアーム120と、を有している。

0096

容器110は、ステンレス鋼等の金属材料で構成され、その内部に投入されたコア粒子2および絶縁粒子5の混合物に対して、機械的な圧縮と摩擦作用とを与える。

0097

また、アーム120の長手方向の中心には回転軸130が挿通されており、アーム120は、この回転軸130を回転中心として回転自在に設けられている。なお、回転軸130は、容器110の中心軸と一致するように設けられている。

0098

また、アーム120の一方の端部には、チップ140が設けられている。このチップ140は、凸状の湾曲面とこれに対向する平面とを有する形状をなしており、湾曲面が容器110の内壁に臨み、かつこの湾曲面と容器110との離間距離が所定の長さになるよう設定されている。これにより、チップ140は、アーム120の回転に伴って容器110の内壁と一定の距離を維持しつつ、内壁に沿って回転する。

0099

また、アーム120の他方の端部には、スクレーパー150が設けられている。このスクレーパー150は、板状の部材であり、チップ140と同様、スクレーパー150と容器110との離間距離が所定の長さになるよう設定される。これにより、スクレーパー150は、アーム120の回転に伴って容器110の内壁付近を掻き取ることができるようになっている。

0100

なお、回転軸130は、容器110の外部に設けられた図示しない回転駆動装置に接続されており、これによりアーム120を回転させることができる。

0101

また、容器110は、粉末被覆装置101の駆動中、封止状態を維持することができ、内部を減圧(真空)状態または各種ガスで置換した状態を維持することができる。なお、好ましくは、容器110中は窒素、アルゴン等の不活性ガスで置換される。

0102

次に、粉末被覆装置101を用いて絶縁物被覆軟磁性粒子1を製造する方法について説明する。

0103

まず、コア粒子2と絶縁粒子5とを容器110内に投入する。次いで、容器110を封止し、アーム120を回転させる。

0104

ここで、図4は、チップ140が上方に位置し、スクレーパー150が下方に位置するときの粉末被覆装置101の状態を示しており、一方、図5は、チップ140が下方に位置し、スクレーパー150が上方に位置するときの粉末被覆装置101の状態を示している。

0105

コア粒子2および絶縁粒子5は、スクレーパー150により図4に示すように掻き取られる。これにより、コア粒子2および絶縁粒子5は、アーム120の回転とともに上方に持ち上げられ、その後落下することで撹拌される。

0106

一方、図5に示すように、チップ140が降下すると、チップ140と容器110との隙間に、コア粒子2および絶縁粒子5が侵入し、これらはアーム120の回転とともにチップ140から圧縮作用と摩擦作用とを受ける。

0107

これらの撹拌と圧縮摩擦作用とが高速で繰り返されることにより、コア粒子2の表面に絶縁粒子5が固着する。

0108

アーム120の回転数は、容器110内に投入される粉末の量に応じて若干異なるものの、1分間に300〜1200回程度とするのが好ましい。

0109

また、チップ140が粉末を圧縮する際の押圧力は、チップ140の大きさによって異なるが、一例として30〜500N程度であるのが好ましい。

0110

また、上述したような絶縁粒子5の固着は、水溶液を用いた塗布法と異なり、乾燥下で行うことができ、しかも不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。このため、プロセス中にコア粒子2と絶縁粒子5との間に水分等が介在するおそれがなくなり、絶縁物被覆軟磁性粒子1の長期耐久性を高めることができる。

0111

なお、このようにして得られた絶縁物被覆軟磁性粒子1に対し、必要に応じて、分級を行ってもよい。分級の方法としては、例えば、ふるい分け分級、慣性分級、遠心分級のような乾式分級沈降分級のような湿式分級等が挙げられる。

0112

また、上記の説明では、あらかじめセラミックス粒子3とガラス材料4とを混合するとともに造粒した後、コア粒子2の表面に固着させているが、本発明はこれに限定されず、例えばあらかじめ造粒することなく、コア粒子2、セラミックス粒子3およびガラス材料4を同時に混合しつつ造粒するようにしてもよい。

0113

また、絶縁物被覆軟磁性粒子1の集合物である粉末は、容器に充填したときの体積抵抗率が1[kΩ・cm]以上500[kΩ・cm]以下であるのが好ましく、5[kΩ・cm]以上300[kΩ・cm]以下であるのがより好ましく、10[kΩ・cm]以上200[kΩ・cm]以下であるのがさらに好ましい。このような体積抵抗率は、追加の絶縁材料を用いることなく実現されたものであるため、絶縁物被覆軟磁性粒子1同士の間の絶縁性そのものに基づくものである。したがって、このような体積抵抗率を実現する絶縁物被覆軟磁性粒子1を用いれば、絶縁物被覆軟磁性粒子1同士の間が十分に絶縁されるので、追加の絶縁材料の使用量を削減することができ、その分、圧粉磁心等における絶縁物被覆軟磁性粒子1の比率を最大化することができる。その結果、高い磁気特性と低損失とを高度に両立させた圧粉磁心を実現することができる。

0114

なお、上記の体積抵抗率は、以下のようにして測定された値である。
まず、測定対象の絶縁物被覆軟磁性粉末0.8gをアルミナ製の円筒に充填する。そして、円筒の上下に真ちゅう製の電極を配置する。

0115

次いで、デジタルフォースゲージを用いて上下の電極間を10MPaの圧力で加圧しつつ、デジタルマルチメーターを用いて上下の電極間の電気抵抗を測定する。

0116

そして、下記の計算式に、測定された電気抵抗、加圧時の電極間距離、および、円筒の内部の横断面積代入することにより、体積抵抗率を算出する。

0117

体積抵抗率[kΩ・cm]=電気抵抗[kΩ]×筒の内部の横断面積[cm2]/電極間距離[cm]

0118

なお、円筒の内部の横断面積は、円筒の内径を2r[cm]としたとき、πr2[cm2]で求めることができる。

0119

以上のようにして得られた絶縁物被覆軟磁性粒子1に対し、必要に応じて熱処理を施す。熱処理を施すことにより、前述したように、絶縁物被覆軟磁性粒子1に残留する歪みを除去する(焼鈍する)ことができる。これにより、例えば保磁力等の磁気特性が良好な圧粉磁心を実現することができる。

0120

熱処理の温度は、軟磁性材料の種類に応じて適宜設定されるが、600℃以上1200℃以下であるのが好ましく、800℃以上1100℃以下であるのがより好ましい。熱処理の温度を前記範囲内に設定することにより、絶縁物被覆軟磁性粒子1に残留する歪みをより短時間でより確実に除去することができる。これにより、透磁率や保磁力等の磁気特性が良好な圧粉体を効率よく製造することができる。

0121

また、圧粉成形前にこのような温度で熱処理を施すことにより、その後に圧粉成形されたときでも、歪みが発生しにくい、あるいは、歪みが発生したとしても簡単な熱処理によって除去されやすいという利点を有する絶縁物被覆軟磁性粒子1が得られる。

0122

一方、熱処理の時間は、熱処理の温度に応じて適宜設定されるものの、30分以上10時間以下であるのが好ましく、1時間以上6時間以下であるのがより好ましい。熱処理の時間を前記範囲内に設定することにより、絶縁物被覆軟磁性粒子1に残留する歪みを十分に除去することができる。

0123

また、熱処理の雰囲気は、特に限定されず、酸素、空気等を含む酸化性雰囲気水素アンモニア分解ガス等を含む還元性雰囲気、窒素、アルゴン等を含む不活性雰囲気、任意の気体を減圧する減圧雰囲気等が挙げられるが、還元性雰囲気、不活性雰囲気または減圧雰囲気であるのが好ましく、還元性雰囲気であるのがより好ましい。これにより、コア粒子2の酸化膜2bの膜厚が増加するのを抑えつつ、焼鈍処理することができる。その結果、磁気特性が良好で、かつ、セラミックス粒子3の密着強度が高い絶縁物被覆軟磁性粒子1が得られる。

0124

[圧粉磁心および磁性素子]
次に、本実施形態に係る圧粉磁心および本実施形態に係る磁性素子について説明する。

0125

本実施形態に係る磁性素子は、チョークコイル、インダクター、ノイズフィルターリアクトルトランスモーターアクチュエーターアンテナ電磁波吸収体電磁弁発電機のように、磁心を備えた各種磁性素子に適用可能である。また、本実施形態に係る圧粉磁心は、これらの磁性素子が備える磁心に適用可能である。

0126

以下、磁性素子の一例として、2種類のチョークコイルを代表に説明する。
<第1実施形態>
まず、第1実施形態に係る磁性素子を適用したチョークコイルについて説明する。

0127

図6は、第1実施形態に係る磁性素子を適用したチョークコイルを示す模式図(平面図)である。

0128

図6に示すチョークコイル10は、リング状(トロイダル形状)の圧粉磁心11と、この圧粉磁心11に巻き回された導線12と、を有する。このようなチョークコイル10は、一般に、トロイダルコイルと称される。

0129

圧粉磁心11は、前述した絶縁物被覆軟磁性粒子1を含む絶縁物被覆軟磁性粉末と結合材バインダー)と有機溶媒とを混合し、得られた混合物を成形型に供給するとともに、加圧・成形して得られたものである。すなわち、圧粉磁心11は、本実施形態に係る絶縁物被覆軟磁性粉末を含む。このような圧粉磁心11は、粒子間の絶縁性および耐熱性が良好であることから、高温下においても渦電流損失の少ないものとなる。また、高温での熱処理を経ることによって、絶縁物被覆軟磁性粉末の保磁力を低下させることが可能であるため、ヒステリシス損失の低減が図られる。その結果、圧粉磁心11の低損失化(磁気特性の向上)が図られることとなり、圧粉磁心11を電子機器等に搭載したとき、電子機器等の消費電力を低減したり高性能化を図ったりすることができ、電子機器等の高温下での信頼性向上に貢献することができる。

0130

また、前述したように、磁性素子の一例であるチョークコイル10は、圧粉磁心11を備えている。これにより、チョークコイル10は、高性能化および低鉄損化が図られたものとなる。その結果、チョークコイル10を電子機器等に搭載したとき、電子機器等の消費電力を低減したり高性能化を図ったりすることができ、電子機器等の高温下での信頼性向上に貢献することができる。

0131

圧粉磁心11の作製に用いられる結合材の構成材料としては、例えば、シリコーン系樹脂エポキシ系樹脂フェノール系樹脂ポリアミド系樹脂ポリイミド系樹脂ポリフェニレンサルファイド系樹脂等の有機材料リン酸マグネシウムリン酸カルシウムリン酸亜鉛リン酸マンガンリン酸カドミウムのようなリン酸塩ケイ酸ナトリウムのようなケイ酸塩(水ガラス)等の無機材料等が挙げられるが、特に、熱硬化性ポリイミドまたはエポキシ系樹脂が好ましい。これらの樹脂材料は、加熱されることによって容易に硬化するとともに、耐熱性に優れたものである。したがって、圧粉磁心11の製造容易性および耐熱性を高めることができる。

0132

なお、結合材は、必要に応じて用いられればよく、省略されてもよい。その場合であっても、絶縁物被覆軟磁性粉末では、粒子間の絶縁が図られているため、粒子間の導通に伴う損失の発生を抑制することができる。

0133

また、絶縁物被覆軟磁性粉末に対する結合材の割合は、作製する圧粉磁心11の目的とする飽和磁束密度機械的特性許容される渦電流損失等に応じて若干異なるが、0.5質量%以上5質量%以下程度であるのが好ましく、1質量%以上3質量%以下程度であるのがより好ましい。これにより、絶縁物被覆軟磁性粉末の各粒子同士を十分に結着させつつ、飽和磁束密度や透磁率といった磁気特性に優れた圧粉磁心11を得ることができる。

0134

また、有機溶媒としては、結合材を溶解し得るものであれば特に限定されないが、例えば、トルエンイソプロピルアルコールアセトンメチルエチルケトンクロロホルム酢酸エチル等の各種溶媒が挙げられる。

0135

なお、前記混合物中には、必要に応じて、任意の目的で各種添加剤を添加するようにしてもよい。

0136

一方、導線12の構成材料としては、導電性の高い材料が挙げられ、例えば、Cu、Al、Ag、Au、Ni等を含む金属材料が挙げられる。

0137

なお、導線12の表面に、絶縁性を有する表面層を備えているのが好ましい。これにより、圧粉磁心11と導線12との短絡を確実に防止することができる。かかる表面層の構成材料としては、例えば、各種樹脂材料等が挙げられる。

0138

次に、チョークコイル10の製造方法について説明する。
まず、絶縁物被覆軟磁性粉末と、結合材と、各種添加剤と、有機溶媒とを混合し、混合物を得る。

0139

次いで、混合物を乾燥させて塊状の乾燥体を得た後、この乾燥体を粉砕することにより、造粒粉末を形成する。

0140

次に、この造粒粉末を、作製すべき圧粉磁心の形状に成形し、成形体を得る。
この場合の成形方法としては、特に限定されないが、例えば、プレス成形押出成形射出成形等の方法が挙げられる。なお、この成形体の形状寸法は、以後の成形体を加熱した際の収縮分を見込んで決定される。また、プレス成形の場合の成形圧力は、1t/cm2(98MPa)以上10t/cm2(981MPa)以下程度とされる。

0141

次に、得られた成形体を加熱することにより、結合材を硬化させ、圧粉磁心11を得る。このとき、加熱温度は、結合材の組成等に応じて若干異なるものの、結合材が有機材料で構成されている場合、好ましくは100℃以上500℃以下程度とされ、より好ましくは120℃以上250℃以下程度とされる。また、加熱時間は、加熱温度に応じて異なるものの、0.5時間以上5時間以下程度とされる。

0142

以上により、本実施形態に係る絶縁物被覆軟磁性粉末を加圧・成形してなる圧粉磁心11、および、かかる圧粉磁心11の外周面に沿って導線12を巻き回してなるチョークコイル10が得られる。

0143

なお、圧粉磁心11の形状は、図6に示すリング状に限定されず、例えばリングの一部が欠損した形状であってもよく、棒状であってもよい。

0144

また、圧粉磁心11には、必要に応じて、前述した実施形態に係る絶縁物被覆軟磁性粉末以外の軟磁性粉末を含んでいてもよい。その場合、実施形態に係る絶縁物被覆軟磁性粉末と他の軟磁性粉末との混合比は、特に限定されず、任意に設定される。また、他の軟磁性粉末として2種類以上が用いられてもよい。

0145

<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る磁性素子を適用したチョークコイルについて説明する。
図7は、第2実施形態に係る磁性素子を適用したチョークコイルを示す模式図(透過斜視図)である。

0146

以下、第2実施形態を適用したチョークコイルについて説明するが、以下の説明では、第1実施形態を適用したチョークコイルとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。

0147

図7に示すチョークコイル20は、コイル状に成形された導線22を、圧粉磁心21の内部に埋設してなるものである。すなわち、チョークコイル20は、導線22を圧粉磁心21でモールドしてなる。

0148

このような形態のチョークコイル20は、比較的小型のものが容易に得られる。そして、このような小型のチョークコイル20を製造するにあたって、飽和磁束密度および透磁率が大きく、かつ、損失の小さい圧粉磁心21を用いることにより、小型であるにもかかわらず、大電流に対応可能な低損失・低発熱のチョークコイル20が得られる。

0149

また、導線22が圧粉磁心21の内部に埋設されているため、導線22と圧粉磁心21との間に隙間が生じ難い。このため、圧粉磁心21の磁歪による振動を抑制し、この振動に伴う騒音の発生を抑制することもできる。

0150

以上のようなチョークコイル20を製造する場合、まず、成形型のキャビティー内に導線22を配置するとともに、キャビティー内を絶縁物被覆軟磁性粉末を含む造粒粉末で充填する。すなわち、導線22を包含するように、造粒粉末を充填する。

0151

次に、導線22とともに、造粒粉末を加圧して成形体を得る。
次いで、前記第1実施形態と同様に、この成形体に熱処理を施す。これにより、結合材を硬化させ、圧粉磁心21およびチョークコイル20が得られる。

0152

なお、圧粉磁心21は、必要に応じて、前述した実施形態に係る絶縁物被覆軟磁性粉末以外の軟磁性粉末を含んでいてもよい。その場合、実施形態に係る絶縁物被覆軟磁性粉末と他の軟磁性粉末との混合比は、特に限定されず、任意に設定される。また、他の軟磁性粉末として2種類以上が用いられてもよい。

0153

[電子機器]
次に、本実施形態に係る磁性素子を備える電子機器(本実施形態に係る電子機器)について、図8図10に基づき、詳細に説明する。

0154

図8は、実施形態に係る磁性素子を備える電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部100を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、例えばスイッチング電源用のチョークコイルやインダクター、モーター等の磁性素子1000が内蔵されている。

0155

図9は、実施形態に係る磁性素子を備える電子機器を適用したスマートフォンの構成を示す平面図である。この図において、スマートフォン1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部100が配置されている。このようなスマートフォン1200には、例えばインダクター、ノイズフィルター、モーター等の磁性素子1000が内蔵されている。

0156

図10は、実施形態に係る磁性素子を備える電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子により光電変換して撮像信号画像信号)を生成する。

0157

ディジタルスチルカメラ1300におけるケースボディー)1302の背面には、表示部100が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて撮像した画像を表示する構成になっており、表示部100は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。

0158

撮影者が表示部100に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。このようなディジタルスチルカメラ1300にも、例えばインダクター、ノイズフィルター等の磁性素子1000が内蔵されている。

0159

このような電子機器は、前述した磁性素子を備えている。このため、高温下においても優れた信頼性を有している。

0160

なお、本実施形態に係る電子機器は、図8のパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、図9のスマートフォン、図10のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、携帯電話タブレット端末ウェアラブル端末時計インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビビデオカメラビデオテープレコーダーカーナビゲーション装置ページャー電子手帳通信機能付も含む)、電子辞書電卓電子ゲーム機器、ワードプロセッサーワークステーションテレビ電話防犯用テレビモニター、電子双眼鏡POS端末医療機器(例えば電子体温計血圧計血糖計、心電図計測装置超音波診断装置電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器計器類(例えば、車両、航空機船舶の計器類)、移動体制御機器類(例えば、自動車駆動用制御機器等)、フライトシミュレーター等に適用することができる。

0161

[移動体]
次に、本実施形態に係る磁性素子を備える移動体(本実施形態に係る移動体)について、図9に基づき説明する。

0162

図11は、実施形態に係る磁性素子を備える移動体を適用した自動車を示す斜視図である。

0163

この図において、自動車1500には、磁性素子1000が内蔵されている。具体的には、磁性素子1000は、例えば、カーナビゲーションシステムアンチロックブレーキシステム(ABS)、エンジン制御ユニットハイブリッド自動車電気自動車パワー制御ユニット車体姿勢制御システム自動運転システムのような電子制御ユニット駆動用モータージェネレーターエアコンユニットバッテリー等の各種自動車部品に内蔵される。

0164

このような移動体は、前述した磁性素子を備えている。このため、高温下においても優れた信頼性を有している。

0165

なお、本実施形態に係る移動体は、図11に示す自動車の他にも、例えば、二輪車自転車、航空機、ヘリコプタードローン、船舶、潜水艦鉄道車両ロケット宇宙船等にも適用することができる。

0166

以上、本発明について好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。
また、本発明においては、上述した実施形態に任意の構成物が付加されていてもよい。

0167

また、前記実施形態では、本発明の絶縁物被覆軟磁性粉末の用途例として圧粉磁心を挙げて説明したが、用途例はこれに限定されず、例えば磁気遮蔽シート磁気ヘッド等の圧粉体を含む磁性デバイスであってもよい。

0168

また、圧粉磁心や磁性素子の形状も、図示したものに限定されず、いかなる形状であってもよい。

0169

次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.絶縁物被覆軟磁性粉末の製造

0170

(実施例1)
まず、水アトマイズ法により製造されたFe−Cr−Al系合金の金属粉末(コア粒子)を用意した。この金属粉末は、CrおよびAlを含むFe基合金軟磁性粉末である。なお、この金属粉末の平均粒径は10μmであった。

0171

一方、窒化ホウ素(BN)のセラミックス粉末(セラミックス粒子)を用意した。この粉末の平均粒径は50nmであった。

0172

また、P2O5系ガラス粉末(ガラス材料)を用意した。この粉末の平均粒径は3.0μmであった。

0173

次に、これら金属粉末とセラミックス粉末を摩擦混合機に投入し、機械的な圧縮摩擦作用を生じさせた。これにより、セラミックス粉末を金属粒子の表面に固着させた。

0174

次に、セラミックス粉末を固着させた金属粉末に対し、熱処理を施した。これにより、絶縁物被覆軟磁性粉末を得た。なお、熱処理は、水素雰囲気下において、温度1000℃で4時間加熱することにより行った。

0175

(実施例2〜16)
製造条件を表1、表2または表3に示すように変更した以外は、それぞれ実施例1と同様にして絶縁物被覆軟磁性粉末を得た。

0176

(比較例1〜3)
ガスアトマイズ法により製造されたFe−Cr−Al系合金の金属粉末を用いるようにした以外は、実施例1、9、10と同様にして絶縁物被覆軟磁性粉末を得た。

0177

なお、使用した金属粉末について酸化膜の有無を確認したところ、酸化膜の存在が認められなかった。

0178

(比較例4、5)
セラミックス粉末を省略するとともに製造条件を表2に示すようにした以外は、それぞれ実施例1と同様にして絶縁物被覆軟磁性粉末を得た。このとき、絶縁物被覆軟磁性粉末におけるガラス粉末の添加量は、0.76質量%、2.24質量%とした。

0179

(比較例6〜8)
製造条件を表2または表3に示すように変更した以外は、それぞれ実施例1と同様にして絶縁物被覆軟磁性粉末を得た。

0180

(参考例)
絶縁層の形成を省略した以外は、実施例1と同様にして絶縁物被覆軟磁性粉末を得た。

0181

2.絶縁物被覆軟磁性粉末の評価
2.1 絶縁物被覆軟磁性粉末の透磁率の測定
各実施例、各比較例および参考例で得られた絶縁物被覆軟磁性粉末の圧粉体について、それぞれの透磁率を以下の測定条件に基づいて測定した。

0182

<透磁率の測定条件>
測定装置インピーダンスアナライザーHELETT PACKARD 4194A)
測定周波数:100kHz
巻線巻き数:7回
・巻線の線径:0.5mm
測定結果を表1〜3に示す。

0183

2.2絶縁物被覆軟磁性粉末の絶縁破壊電圧の測定
各実施例、各比較例および参考例で得られた絶縁物被覆軟磁性粉末2gを内径8mmのアルミナ製の円筒型容器に充填した。そして、容器の上下に真ちゅう製の電極を配置した。

0184

次に、デジタルフォースゲージを用いて上下の電極間に40kg/cm2の圧力を加えた。

0185

次に、荷重を加えたまま、常温(25℃)下において、上下の電極間に電圧50Vを2秒間印加し、デジタルマルチメーターを用いて電極間の電気抵抗を測定した。

0186

次に、電圧を100Vに昇圧した後、2秒間印加し、再び電極間の電気抵抗を測定した。

0187

以後、電圧を200V、250V、300V・・・のように50Vずつ昇圧させながら、電極間の電気抵抗を繰り返し測定した。そして、絶縁破壊が発生するまで昇圧および測定を繰り返した。

0188

なお、電圧を1000Vまで昇圧しても絶縁破壊が発生しなかった場合、その時点で測定を終了した。

0189

以上の測定を、それぞれ粉末を新しいものに変えながら3回ずつ測定し、最も小さい測定値を表1〜3に示す。

0190

0191

0192

実施例

0193

表1〜3から明らかなように、各実施例の絶縁物被覆軟磁性粉末は、各比較例および参考例の絶縁物被覆軟磁性粉末に比べて、圧粉体の透磁率および絶縁破壊電圧の双方が良好であることが認められた。

0194

1…絶縁物被覆軟磁性粒子、2…コア粒子、2a…基部、2b…酸化膜、3…セラミックス粒子、4…ガラス材料、5…絶縁粒子、10…チョークコイル、11…圧粉磁心、12…導線、20…チョークコイル、21…圧粉磁心、22…導線、100…表示部、101…粉末被覆装置、110…容器、120…アーム、130…回転軸、140…チップ、150…スクレーパー、1000…磁性素子、1100…パーソナルコンピューター、1102…キーボード、1104…本体部、1106…表示ユニット、1200…スマートフォン、1202…操作ボタン、1204…受話口、1206…送話口、1300…ディジタルスチルカメラ、1302…ケース、1304…受光ユニット、1306…シャッターボタン、1308…メモリー、1312…ビデオ信号出力端子、1314…入出力端子、1430…テレビモニター、1440…パーソナルコンピューター、1500…自動車

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