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技術 インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法

出願人 キヤノン株式会社
発明者 海老根大
出願日 2018年3月6日 (2年1ヶ月経過) 出願番号 2018-039207
公開日 2019年9月12日 (7ヶ月経過) 公開番号 2019-151780
状態 未査定
技術分野 インキ、鉛筆の芯、クレヨン インクジェット(インク供給、その他)
主要キーワード 銀イオン担持ゼオライト ゼオラム アザフタロシアニン 標準用 含浸状態 銀担持 測定器具 原子吸光光度法
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (2)

課題

イソチアゾリン系化合物のみでは効果が低い微生物バイオフィルムに対しても良好な抑制作用を有する、抗菌性に優れたインクジェット用の水性インク、並びにこの水性インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法を提供する。

解決手段

色材、第1抗菌剤、及び第2抗菌剤を含有するインクジェット用の水性インクである。第1抗菌剤が、イソチアゾリン系化合物であり、第2抗菌剤が、銀イオンであり、銀イオンを、銀イオン及び銀イオンを担持するゼオライトを含む銀イオン担持ゼオライトの状態で含有する。また、この水性インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法である。

概要

背景

インクジェット用の水性インクの主成分は水であるとともに、色材などのその他の成分は有機化合物であるため、菌類などの微生物が発生しやすい。菌類などの微生物が発生すると、インク劣化して粘度などの物性が変化したり、インクの構成成分の析出凝集により異物が発生したりして、吐出特性が低下する。このような課題に対し、インクに抗菌剤などの成分を配合し、微生物の発生を抑制することが行われている。

抗菌剤としては様々な成分が知られている。インクジェット用の水性インクには、抗菌スペクトルが広く、それ自体がインクの吐出性能を低下させにくいことから、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンをはじめとするイソチアゾリン系化合物などの抗菌剤が汎用されている(特許文献1参照)。しかし、イソチアゾリン系化合物は微生物の生育を抑制する防腐剤として作用する化合物であるため、殺菌作用が低い。さらに、イソチアゾリン系化合物は低分子量の有機化合物であるため、水性インクに含有させた場合には加水分解や色材(顔料染料)への吸着などが生じやすく、インクを長期間保存すると抗菌性が低下しやすい。また、イソチアゾリン系化合物は真菌には作用しにくいとともに、芽胞菌や微生物が産出するバイオフィルムには作用しないため、インクの劣化を十分に抑制することができない。微生物の発生などによって生ずるこれらの課題を解決すべく、例えば、複数の抗菌剤を含有するインクが提案されている(特許文献2参照)。

概要

イソチアゾリン系化合物のみでは効果が低い微生物やバイオフィルムに対しても良好な抑制作用を有する、抗菌性に優れたインクジェット用の水性インク、並びにこの水性インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法を提供する。色材、第1抗菌剤、及び第2抗菌剤を含有するインクジェット用の水性インクである。第1抗菌剤が、イソチアゾリン系化合物であり、第2抗菌剤が、銀イオンであり、銀イオンを、銀イオン及び銀イオンを担持するゼオライトを含む銀イオン担持ゼオライトの状態で含有する。また、この水性インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法である。なし

目的

本発明の目的は、イソチアゾリン系化合物のみでは効果が低い微生物やバイオフィルムに対しても良好な抑制作用を有する、抗菌性に優れたインクジェット用の水性インクを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

色材、第1抗菌剤、及び第2抗菌剤を含有するインクジェット用の水性インクであって、前記第1抗菌剤が、イソチアゾリン系化合物であり、前記第2抗菌剤が、銀イオンであり、前記銀イオンを、前記銀イオン及び前記銀イオンを担持するゼオライトを含む銀イオン担持ゼオライトの状態で含有することを特徴とする水性インク。

請求項2

前記ゼオライトが、A型ゼオライトである請求項1に記載の水性インク。

請求項3

さらに、前記銀イオン担持ゼオライトを分散させる分散剤を含有する請求項1又は2に記載の水性インク。

請求項4

前記色材が、顔料である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性インク。

請求項5

前記銀イオン担持ゼオライト中の前記銀イオンの含有量(質量%)が、銀イオン担持ゼオライト全質量を基準として、1.0質量%以上10.0質量%以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性インク。

請求項6

前記第1抗菌剤の含有量(質量%)が、前記第2抗菌剤の含有量(質量%)に対する質量比率で、5.0倍以上80.0倍以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水性インク。

請求項7

前記第1抗菌剤及び前記第2抗菌剤の合計含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.50質量%以上1.50質量%以下である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水性インク。

請求項8

インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、前記インクが、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。

請求項9

インクをインクジェット方式記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記インクが、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。

技術分野

0001

本発明は、インクインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。

背景技術

0002

インクジェット用の水性インクの主成分は水であるとともに、色材などのその他の成分は有機化合物であるため、菌類などの微生物が発生しやすい。菌類などの微生物が発生すると、インクが劣化して粘度などの物性が変化したり、インクの構成成分の析出凝集により異物が発生したりして、吐出特性が低下する。このような課題に対し、インクに抗菌剤などの成分を配合し、微生物の発生を抑制することが行われている。

0003

抗菌剤としては様々な成分が知られている。インクジェット用の水性インクには、抗菌スペクトルが広く、それ自体がインクの吐出性能を低下させにくいことから、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンをはじめとするイソチアゾリン系化合物などの抗菌剤が汎用されている(特許文献1参照)。しかし、イソチアゾリン系化合物は微生物の生育を抑制する防腐剤として作用する化合物であるため、殺菌作用が低い。さらに、イソチアゾリン系化合物は低分子量の有機化合物であるため、水性インクに含有させた場合には加水分解や色材(顔料染料)への吸着などが生じやすく、インクを長期間保存すると抗菌性が低下しやすい。また、イソチアゾリン系化合物は真菌には作用しにくいとともに、芽胞菌や微生物が産出するバイオフィルムには作用しないため、インクの劣化を十分に抑制することができない。微生物の発生などによって生ずるこれらの課題を解決すべく、例えば、複数の抗菌剤を含有するインクが提案されている(特許文献2参照)。

先行技術

0004

特開昭62−265371号公報
特表2009−519207号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかし、特許文献2で提案されているように、イソチアゾリン系化合物と、銀を担持した二酸化チタンとを併用するだけでは、芽胞菌や、バイオフィルムに包含された微生物に対する効果は必ずしも十分であるとは言えなかった。さらには、黄色ブドウ球菌大腸菌、及び緑膿菌に対する抗菌性についても十分であるとは言えなかった。また、特許文献2で提案された銀を担持した二酸化チタンを水性インクに添加したところ、色材が塩析して凝集しやすくなり、インクの保存安定性が低下することがわかった。

0006

したがって、本発明の目的は、イソチアゾリン系化合物のみでは効果が低い微生物やバイオフィルムに対しても良好な抑制作用を有する、抗菌性に優れたインクジェット用の水性インクを提供することにある。また、本発明の目的は、この水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、色材、第1抗菌剤、及び第2抗菌剤を含有するインクジェット用の水性インクであって、前記第1抗菌剤が、イソチアゾリン系化合物であり、前記第2抗菌剤が、銀イオンであり、前記銀イオンを、前記銀イオン及び前記銀イオンを担持するゼオライトを含む銀イオン担持ゼオライトの状態で含有することを特徴とする水性インクが提供される。

発明の効果

0008

本発明によれば、イソチアゾリン系化合物のみでは効果が低い微生物やバイオフィルムに対しても良好な抑制作用を有する、抗菌性に優れたインクジェット用の水性インクを提供することができる。また、本発明によれば、この水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0009

本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。

0010

以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオン解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用のインクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。

0011

本発明者は、汎用の抗菌剤(1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン〔イソチアゾリン系化合物〕)を含有するインクを調製し、これを保存することで、微生物が発生し、増殖する過程について確認した。その結果、インクを調製してから短期間の時点では黄色ブドウ球菌は抗菌剤の作用により増殖していなかったが、抗菌剤が効かない真菌は増殖していた。その後さらに長期間保存すると、真菌だけでなく、抗菌剤が有効であるはずの黄色ブドウ球菌も増殖していることがわかった。この黄色ブドウ球菌を単離し、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの水溶液に添加し、試料を調製した。液体培地ガラス片を入れたシャーレにこの試料を滴下し、撹拌しながら、37℃で5日間保管した。その後、ガラス片を取り出して、解析したところ、ガラス片上にバイオフィルムが形成されていた。この結果から、黄色ブドウ球菌は、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの存在下であっても、形成されたバイオフィルムに内包される状態で生存していたと推測される。そして、時間の経過とともに、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの作用が弱まった時点で、バイオフィルムから放出されて、液体中で活性化したと考えられる。

0012

そこで、本発明者は、各種の抗菌剤について検討した。ここで、本発明における抗菌剤とは、微生物を死滅させうる物質又は微生物の増殖を抑制しうる物質を意味する。具体的には、一般に、防腐剤、殺菌剤除菌剤防黴剤と呼ばれるような化合物がこの定義に含まれる。抗菌剤として用いうる化合物としては、イソチアゾリン系化合物の他に、フェノール系、オキサゾリン系、ピリジン系イミダゾール系、チアゾール系、4級アンモニウム塩系、グラミシジン系、アルデヒド系ニトリル系、銀イオン系などの各種の化合物が挙げられる。

0013

検討の結果、(i)上記の抗菌剤のなかでも、銀イオンをイソチアゾリン系化合物と併用すること;及び(ii)銀イオンを銀イオン担持ゼオライトの状態でインクに含有させること;が有用であることを見出した。銀イオンは、その抗菌作用遅効性である一方で、真菌や芽胞菌を殺菌可能であるとともに、バイオフィルムの形成を抑制する作用を示す。さらに、防腐剤としての作用を示すイソチアゾリン系化合物とは異なり、銀イオンは殺菌剤としての作用を示す。このため、銀イオン(銀イオン担持ゼオライト)とイソチアゾリン系化合物を併用することで、抗菌性に優れたインクとすることができる。さらには、これらの化合物を併用することで、耐性菌の発生を有効に抑制することが期待される。

0014

銀イオン担持ゼオライトをインクに含有させると、銀イオンがインク中に徐々に放出されるため、長期間にわたって高い抗菌性を維持することができる。さらに、銀イオン担持ゼオライトは、ゼオライトの結晶骨格に銀イオンが化学的に結合したものであるために、他の銀担持無機系化合物を含有させる場合に比べて、銀イオンによる色材の塩析が極めて起こりにくい。このため、銀イオン担持ゼオライトとイソチアゾリン系化合物とを併用することで、抗菌性だけでなく、インクの保存安定性をも向上させることができる。本明細書における「担持」には、金属や金属塩微粒子がゼオライトなどの無機系化合物(担体)に付着している状態や、無機系化合物の結晶骨格に金属イオンとして保持されている状態も包含される。

0015

<インク>
本発明のインクは、色材、第1抗菌剤、及び第2抗菌剤を含有するインクジェット用の水性インクである。第1抗菌剤はイソチアゾリン系化合物であり、第2抗菌剤は銀イオンである。そして、本発明のインクは、銀イオンを、銀イオン及び銀イオンを担持するゼオライトを含む銀イオン担持ゼオライトの状態で含有する。以下、インクを構成する各成分、インクの物性について説明する。

0016

(抗菌剤)
本発明のインクに用いる抗菌剤は、第1抗菌剤であるイソチアゾリン系化合物と、第2抗菌剤である銀イオンである。銀イオンは銀イオン担持ゼオライトの状態でインク中に存在する。インク中の第1抗菌剤の含有量(質量%)は、第2抗菌剤の含有量(質量%)に対する質量比率で、5.0倍以上80.0倍以下であることが好ましい。インク中の第1抗菌剤及び第2抗菌剤の合計含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.50質量%以上1.50質量%以下であることが好ましい。

0017

インクには、第1抗菌剤及び第2抗菌剤以外の抗菌剤(その他の抗菌剤)を含有させることができる。その他の抗菌剤としては、フェノール系化合物オキサゾリン系化合物ピリジン系化合物イミダゾール系化合物チアゾール系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、グラミシジン系化合物、アルデヒド系化合物ニトリル系化合物などを挙げることができる。

0018

〔第1抗菌剤:イソチアゾリン系化合物〕
イソチアゾリン系化合物は、チオール基の代謝阻害作用によって微生物の増殖を抑制する抗菌剤である。イソチアゾリン系化合物としては、例えば、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3オン、N−(n−ブチル)−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンなどを挙げることができる。1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンは、インクジェット用のインクの防腐剤として汎用されている。1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンは、例えば、プロキセルシリーズアビシア製、CRL、BDN、GXL、XL.2、TN、LVなど)として市販されている。

0019

インク中の第1抗菌剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.01質量%以上0.50質量%以下であることが好ましい。

0020

〔第2抗菌剤:銀イオン〕
抗菌剤として用いられる銀担持酸化チタンなどの銀担持無機系化合物は、銀イオンの作用で真菌や芽胞菌に対する高い殺菌効果を示すとともに、バイオフィルムの形成を抑制するといった特性を有する。但し、一般的な銀担持無機化合物を水性インクに含有させると銀イオンが容易に放出されて色材が塩析し、インクの保存安定性が低下する傾向にある。これに対して、銀イオン担持ゼオライト中の銀イオンはゼオライトの結晶骨格に化学的に結合し、銀イオンの状態で安定に保持されている。このため、水性インクに銀イオン担持ゼオライトを含有させると、銀イオンが系中に徐々に放出されるので、高い殺菌効果を維持した状態でインクの保存安定性を向上させることができる。さらに、銀イオン担持ゼオライトをイソチアゾリン系化合物(第1抗菌剤)と併用することで、幅広い抗菌スペクトルを有するインクとすることができる。

0021

銀イオンを担持するゼオライトはA型(LTA)であることが、銀イオンとの親和性が高いために好ましい。銀イオン担持ゼオライトは、例えば、所望の結晶構造を有するゼオライトを水に加えて懸濁した状態で、硝酸銀塩化銀をさらに加えて撹拌処理することで調製することができる。硝酸銀や塩化銀の量を調整することで、得られる銀イオン担持ゼオライトに担持される銀イオンの量を制御することができる。銀イオン担持ゼオライトは、樹脂などの分散剤によってインク中に分散されていることが好ましい。すなわち、本発明のインクは、銀イオン担持ゼオライトを分散させる樹脂などの分散剤をさらに含有することが好ましい。

0022

銀イオン担持ゼオライト中の銀イオンの含有量(質量%)は、銀イオン担持ゼオライト全質量を基準として、1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。インク中の第2抗菌剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.01質量%以上0.15質量%以下であることが好ましい。

0023

(色材)
色材としては、染料及び顔料のいずれをも用いることができる。なかでも、色材として顔料を用いることが好ましい。一般に、顔料は、その分散方式によらずに、染料と比べて単位質量当たりのイオン性基の量が少ない。このため、色材として顔料を用いると塩析による凝集が生じにくくなり、インクの保存安定性を向上させることができる。インク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上15.00質量%以下であることが好ましく、1.00質量%以上10.00質量%以下であることがさらに好ましい。

0024

染料としては、直接染料酸性染料塩基性染料分散染料食用染料などを挙げることができる。なかでも、アニオン性基を有する染料を用いることが好ましい。染料骨格の具体例としては、アゾ、トリフェニルメタンフタロシアニンアザフタロシアニンキサンテンアントラピリドンなどを挙げることができる。

0025

顔料としては、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドンイソインドリノンイミダゾロンジケトピロロピロールジオキサジンなどの有機顔料を挙げることができる。顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いる樹脂分散タイプの顔料、及び顔料の粒子表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散顔料)などを用いることができる。樹脂分散タイプの顔料としては、高分子分散剤を使用した樹脂分散型顔料、顔料の粒子の表面を樹脂で被覆したマイクロカプセル型顔料、及び顔料の粒子の表面に高分子を含む有機基が化学的に結合した樹脂結合型顔料などがある。なお、分散方法の異なる顔料を併用することもできる。

0026

水性媒体
本発明のインクは水性媒体として少なくとも水を含有する、水性のインクである。インクには、水及び水溶性有機溶剤混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水イオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.00質量%以上95.00質量%以下であることが好ましい。

0027

水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に限定はなく、アルコール多価アルコールポリグリコールグリコールエーテル含窒素極性溶媒含硫黄極性溶媒などを用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.00質量%以上50.00質量%以下であることが好ましい。

0028

(その他の添加剤
本発明のインクには、必要に応じて、界面活性剤pH調整剤酸化防止剤還元防止剤蒸発促進剤、及びキレート化剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。界面活性剤としては、アニオン性カチオン性ノニオン性などの界面活性剤を挙げることができる。インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上2.00質量%以下であることが好ましい。

0029

(インクの物性)
本発明のインクは、インクジェット方式に適用するインクジェット用のインクである。したがって、その物性値を適切に制御することが好ましい。具体的には、25℃におけるインクの表面張力は、20mN/m以上50mN/m以下であることが好ましい。また、25℃におけるインクの粘度は、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましい。25℃におけるインクのpHは、5.0以上10.0以下であることが好ましい。

0030

<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。

0031

<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。

0032

図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。

0033

以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。

0034

顔料分散液の調製>
(顔料分散液1)
水5.5gに濃硫酸5.0gを溶かして得た溶液を5℃に冷却した状態とし、この状態で4−アミノフタル酸0.84gを加えた。この溶液の入った容器アイスバスに入れて溶液を撹拌し、液温を10℃以下に保った状態で、5℃の水9.0gに亜硝酸カリウム2.2gを溶かして得た溶液を加えた。15分撹拌後、カーボンブラック(商品名「ブラックパールズ1100」、キャボット製)6.0gを撹拌下で加え、さらに15分間撹拌してスラリーを得た。得られたスラリーをろ紙(商品名「標準用濾紙No.2」、アドバンテック製)でろ過して粒子を得た。得られた粒子を十分に水冷した後、110℃のオーブンで乾燥させた。イオン交換法によりカリウムイオンアンモニウムイオン置換した後、顔料の含有量が16.0%となるように調整して、顔料分散液1を得た。顔料分散液1中の顔料は、粒子表面に−C6H3−(COONH4)2基が結合した自己分散顔料である。

0035

(顔料分散液2)
顔料(カーボンブラック)16.0部、樹脂分散剤の水溶液40.0部、及び純水44.0部を混合した。樹脂分散剤の水溶液としては、酸価100mgKOH/gのスチレンアクリル酸共重合体を、その酸価に対して等モル量の水酸化カリウム中和し、イオン交換水に溶解させた、樹脂(固形分)の含有量が10.0%の水溶液を用いた。混合物バッチ式縦型サンドミルアイメックス製)に入れ、0.3mm径ジルコニアビーズ150.0部を充填し、水冷しながら5時間分散した。その後、遠心分離により粗大粒子を除去して、顔料の含有量が16.0%、樹脂(固形分)の含有量が4.0%である顔料分散液2を得た。

0036

(顔料分散液3)
顔料をC.I.ピグメントブルー15:3に変えたこと以外は顔料分散液2の調製と同様の手順で、顔料の含有量が16.0%、樹脂(固形分)の含有量が4.0%である顔料分散液3を得た。

0037

(顔料分散液4)
顔料をC.I.ピグメントレッド122に変えたこと以外は顔料分散液2の調製と同様の手順で、顔料の含有量が16.0%、樹脂(固形分)の含有量が4.0%である顔料分散液4を得た。

0038

(顔料分散液5)
顔料をC.I.ピグメンイエロー74に変えたこと以外は顔料分散液2の調製と同様の手順で、顔料の含有量が16.0%、樹脂(固形分)の含有量が4.0%である顔料分散液5を得た。

0039

<ゼオライトに担持された銀イオンの水分散液の調製>
(銀イオン担持ゼオライトの水分散液1)
A型ゼオライト(商品名「ゼオラム」、東ソー製)20.0部に水100.0部を加えて懸濁させた後、硝酸銀水溶液を加えて室温で24時間撹拌した。吸引ろ過して固層を分離し、純水で十分に洗浄した後、100℃で24時間乾燥させた。乾燥物粉砕機粉砕し、さらに100℃で12時間乾燥させて、銀イオン担持ゼオライトを得た。原子吸光光度法により測定した銀イオン担持ゼオライトの銀イオンの含有量は、5.0%であった。得られた銀イオン担持ゼオライト16.0部、樹脂分散剤の水溶液40.0部、及び純水44.0部を混合して混合物を得た。樹脂分散剤の水溶液としては、酸価100mgKOH/gのスチレン−アクリル酸共重合体を酸価と等モルの水酸化カリウムで中和してイオン交換水に溶解させた、樹脂(固形分)の含有量が10.0%の水溶液を用いた。得られた混合物をバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に入れ、0.3mm径のジルコニアビーズ150.0部を充填した。水冷しながら5時間分散した後、遠心分離して粗大粒子を除去してから濃縮した。これにより、銀イオン担持ゼオライト(銀イオンの含有量:5.0%)の含有量が20.0%である銀イオン担持ゼオライトの水分散液1を得た。

0040

(銀イオン担持ゼオライトの水分散液2)
A型ゼオライト(商品名「ゼオラム」、東ソー製)をX型ゼオライト(商品名「ゼオラム」、東ソー製)に変えた。このこと以外は前述の水分散液1の調製と同様の手順で、銀イオン担持ゼオライト(銀イオンの含有量:5.0%)の含有量が20.0%である銀イオン担持ゼオライトの水分散液2を得た。

0041

(銀イオン担持ゼオライトの水分散液3)
A型ゼオライト(商品名「ゼオラム」、東ソー製)をY型ゼオライト(商品名「HSZ」、東ソー製)に変えた。このこと以外は前述の水分散液1の調製と同様の手順で、銀イオン担持ゼオライト(銀イオンの含有量:5.0%)の含有量が20.0%である銀イオン担持ゼオライトの水分散液3を得た。

0042

(銀イオン担持ゼオライトの水分散液4)
A型ゼオライト(商品名「ゼオラム」、東ソー製)20.0部に水100.0部を加えて懸濁させた後、硝酸銀水溶液を加えて室温で24時間撹拌した。吸引ろ過して固層を分離し、純水で十分に洗浄した後、100℃で24時間乾燥させた。乾燥物を粉砕機で粉砕し、さらに100℃で12時間乾燥させて、銀イオン担持ゼオライトを得た。原子吸光光度法により測定した銀イオン担持ゼオライトの銀イオンの含有量は、5.0%であった。得られた銀イオン担持ゼオライトを水で希釈し、銀イオン担持ゼオライト(銀イオンの含有量:5.0%)の含有量が20.0%である銀イオン担持ゼオライトの水分散液4を得た。

0043

(銀イオン担持ゼオライトの水分散液5)
A型ゼオライトに作用させる硝酸銀水溶液の量を変えたこと以外は、前述の水分散液1の調製と同様の手順で、銀イオン担持ゼオライト(銀イオンの含有量:0.9%)の含有量が20.0%である銀イオン担持ゼオライトの水分散液5を得た。

0044

(銀イオン担持ゼオライトの水分散液6)
A型ゼオライトに作用させる硝酸銀水溶液の量を変えたこと以外は、前述の水分散液1の調製と同様の手順で、銀イオン担持ゼオライト(銀イオンの含有量:1.0%)の含有量が20.0%である銀イオン担持ゼオライトの水分散液6を得た。

0045

(銀イオン担持ゼオライトの水分散液7)
A型ゼオライトに作用させる硝酸銀水溶液の量を変えたこと以外は、前述の水分散液1の調製と同様の手順で、銀イオン担持ゼオライト(銀イオンの含有量:10.0%)の含有量が20.0%である銀イオン担持ゼオライトの水分散液7を得た。

0046

(銀イオン担持ゼオライトの水分散液8)
A型ゼオライトに作用させる硝酸銀水溶液の量を変えたこと以外は、前述の水分散液1の調製と同様の手順で、銀イオン担持ゼオライト(銀イオンの含有量:10.1%)の含有量が20.0%である銀イオン担持ゼオライトの水分散液8を得た。

0047

<インクの調製>
表1−1〜1−3の上段に示す各成分(単位:%)を混合して十分に撹拌した後、ポアサイズ5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)で加圧ろ過して、各インクを調製した。表1−1〜1−3中の「アセチレノールE100」は、川研ファインケミカル製の界面活性剤(アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物)の商品名である。表1−1〜1−3の下段には、インクの特性を示した。インク25は、特許文献1の実施例の記載内容を参考にして調製した。インク26は、特開平7−331151号公報の実施例の記載内容を参考にして調製した。

0048

0049

0050

0051

<評価>
本発明においては、以下に示す各項目評価基準で「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」及び「D」を許容できないレベルとした。評価結果を表2に示す。

0052

(抗菌性:評価1)
上記で得られたインクの抗菌性を評価した。(1)微生物簡易測定器具(商品名「サンアイバイオチェッカーFC」、三石油製)と、(2)寒天培地(商品名「SCDLP寒天培地『ダイゴ』」、和光純薬工業製)の2つに、調製後1時間経過したインク1mLをそれぞれ塗布して試料とした。(1)は、黄色ブドウ球菌、大腸菌群、真菌(酵母)、及びこれら以外の菌(総細菌)の数を検出する器具である。(2)の寒天培地は添加された抗菌剤を不活化して微生物の増殖を可能にする特性を有するものであり、抗菌剤を含有する組成物中の生菌数を測定するために利用した。試料を37℃の環境下に5日間放置した後、コロニーの有無を確認し、以下に示す評価基準にしたがって抗菌性(評価1)を評価した。
A:いずれの培地でもコロニーが検出されなかった。
B:1つ又は2つの培地でコロニーが検出された。
C:3つ又は4つの培地でコロニーが検出された。
D:すべての培地でコロニーが検出された。

0053

(抗菌性:評価2)
上記で得られたインクの抗菌性を評価した。(1)微生物簡易測定器具(商品名「サンアイバイオチェッカーFC」、三愛石油製)と、(2)液体培地の2つに、調製したインク1.0gをそれぞれ滴下して試料とした。(2)液体培地としては、商品名「SCD寒天培地『ダイゴ』」(和光純薬工業製)の構成成分から寒天を除去したもの9.0gを用いた。試料をポリテトラフルオロエチレン製の容器に入れて密閉し、1ヶ月間放置した後、クリーンベンチ内で開封して均一化のために1時間撹拌してから再度1ヶ月間放置する、というサイクルを3ヶ月間繰り返した。その後、上記の評価1と同様の手順で寒天培地に試料1mLを塗布して37℃の環境下に5日間放置した。そして、コロニーの有無を確認し、上記の評価1の場合と同一の評価基準にしたがって抗菌性(評価2)を評価した。

0054

(保存安定性)
上記で得られたインクの粘度(保存前のインクの粘度)を測定した。粘度を測定したインクを密閉容器に入れ、70℃の恒温槽中に2週間載置した後、25℃に戻して粘度(保存後のインクの粘度)を測定した。インクの粘度はE型粘度計(商品名「RE−80L形」、東機産業製)を使用して測定した。そして、「粘度比」=「保存後のインクの粘度」/「保存前のインクの粘度」、の式にしたがって粘度比を算出し、以下に示す評価基準にしたがってインクの保存安定性を評価した。
A:粘度比が1.1以下であった。
B:粘度比が1.1を超えて1.2以下であった。
C:粘度比が1.2を超えて1.3以下であった。
D:粘度比が1.3を超えていた。

実施例

0055

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