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図面 (2)

課題

イソチアゾリン系化合物のみでは効果が低い微生物バイオフィルムに対しても良好な抑制作用を有する、抗菌性に優れたインクジェット用の水性インク、並びにこの水性インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法を提供する。

解決手段

色材、第1抗菌剤、及び第2抗菌剤を含有するインクジェット用の水性インクである。第1抗菌剤が、イソチアゾリン系化合物であり、第2抗菌剤が、ニトリル系化合物である。また、この水性インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法である。

概要

背景

インクジェット用の水性インクの主成分は水であるとともに、色材などのその他の成分は有機化合物であるため、菌類などの微生物が発生しやすい。菌類などの微生物が発生すると、インク劣化して粘度などの物性が変化したり、インクの構成成分の析出凝集により異物が発生したりして、吐出特性が低下する。このような課題に対し、インクに抗菌剤などの成分を配合し、微生物の発生を抑制することが行われている。

抗菌剤としては様々な成分が知られている。インクジェット用の水性インクには、抗菌スペクトルが広く、それ自体がインクの吐出性能を低下させにくいことから、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンをはじめとするイソチアゾリン系化合物などの抗菌剤が汎用されている(特許文献1参照)。しかし、イソチアゾリン系化合物は微生物の生育を抑制する防腐剤として作用する化合物であるため、殺菌作用が低い。また、イソチアゾリン系化合物は真菌には作用しにくいとともに、芽胞菌や微生物が産出するバイオフィルムには作用しないため、インクの劣化を十分に抑制することができない。微生物の発生などによって生ずるこれらの課題を解決すべく、例えば、複数の抗菌剤を含有するインクが提案されている(特許文献2参照)。

概要

イソチアゾリン系化合物のみでは効果が低い微生物やバイオフィルムに対しても良好な抑制作用を有する、抗菌性に優れたインクジェット用の水性インク、並びにこの水性インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法を提供する。色材、第1抗菌剤、及び第2抗菌剤を含有するインクジェット用の水性インクである。第1抗菌剤が、イソチアゾリン系化合物であり、第2抗菌剤が、ニトリル系化合物である。また、この水性インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法である。なし

目的

本発明の目的は、イソチアゾリン系化合物のみでは効果が低い微生物やバイオフィルムに対しても良好な抑制作用を有する、抗菌性に優れたインクジェット用の水性インクを提供する

効果

実績

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請求項1

色材、第1抗菌剤、及び第2抗菌剤を含有するインクジェット用の水性インクであって、前記第1抗菌剤が、イソチアゾリン系化合物であり、前記第2抗菌剤が、ニトリル系化合物であることを特徴とする水性インク。

請求項2

前記第1抗菌剤及び前記第2抗菌剤の合計含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.10質量%以上0.53質量%以下である請求項1に記載の水性インク。

請求項3

前記色材が、顔料であり、サーマル方式記録ヘッドから吐出して用いられる請求項1又は2に記載の水性インク。

請求項4

前記ニトリル系化合物に由来するシアノ基の含有量が、前記顔料の含有量に対する質量比率で、0.30質量%以上2.05質量%以下である請求項3に記載の水性インク。

請求項5

インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、前記インクが、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。

請求項6

インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記インクが、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。

技術分野

0001

本発明は、インクインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。

背景技術

0002

インクジェット用の水性インクの主成分は水であるとともに、色材などのその他の成分は有機化合物であるため、菌類などの微生物が発生しやすい。菌類などの微生物が発生すると、インクが劣化して粘度などの物性が変化したり、インクの構成成分の析出凝集により異物が発生したりして、吐出特性が低下する。このような課題に対し、インクに抗菌剤などの成分を配合し、微生物の発生を抑制することが行われている。

0003

抗菌剤としては様々な成分が知られている。インクジェット用の水性インクには、抗菌スペクトルが広く、それ自体がインクの吐出性能を低下させにくいことから、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンをはじめとするイソチアゾリン系化合物などの抗菌剤が汎用されている(特許文献1参照)。しかし、イソチアゾリン系化合物は微生物の生育を抑制する防腐剤として作用する化合物であるため、殺菌作用が低い。また、イソチアゾリン系化合物は真菌には作用しにくいとともに、芽胞菌や微生物が産出するバイオフィルムには作用しないため、インクの劣化を十分に抑制することができない。微生物の発生などによって生ずるこれらの課題を解決すべく、例えば、複数の抗菌剤を含有するインクが提案されている(特許文献2参照)。

先行技術

0004

特開昭62−265371号公報
特開2000−226545号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかし、特許文献2で提案された、イソチアゾリン系化合物と、フェノール系殺菌剤ピリジン系防黴剤とを併用したインクであっても、芽胞菌や、バイオフィルムで包含された微生物の発生を抑制するには不十分であった。さらに、黄色ブドウ球菌大腸菌緑膿菌への抗菌性も不十分であった。

0006

したがって、本発明の目的は、イソチアゾリン系化合物のみでは効果が低い微生物やバイオフィルムに対しても良好な抑制作用を有する、抗菌性に優れたインクジェット用の水性インクを提供することにある。また、本発明の目的は、この水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、色材、第1抗菌剤、及び第2抗菌剤を含有するインクジェット用の水性インクであって、前記第1抗菌剤が、イソチアゾリン系化合物であり、前記第2抗菌剤が、ニトリル系化合物であることを特徴とする水性インクが提供される。

発明の効果

0008

本発明によれば、イソチアゾリン系化合物のみでは効果が低い微生物やバイオフィルムに対しても良好な抑制作用を有する、抗菌性に優れたインクジェット用の水性インクを提供することができる。また、本発明によれば、この水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0009

本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。

0010

以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオン解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。

0011

本発明者は、汎用の抗菌剤である1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(イソチアゾリン系化合物)を含有するインクを保存して、微生物が発生及び増殖する過程について確認した。その結果、インクを短期間保存した時点において、黄色ブドウ球菌は抗菌剤の作用により増殖していない一方で、抗菌剤が効かない真菌が増殖したことがわかった。インクをさらに長期間保存したところ、真菌だけでなく、抗菌剤が有効であるはずの黄色ブドウ球菌も増殖した。本発明者は、増殖した黄色ブドウ球菌を単離し、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの水溶液に添加して試料を調製した。そして、液体培地ガラス片を入れたシャーレに調製した試料を滴下し、撹拌しながら37℃で5日間保管した。保管後に取り出したガラス片を解析したところ、ガラス片上にバイオフィルムが形成されていることがわかった。以上の結果から、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの存在下であっても、黄色ブドウ球菌は、形成されたバイオフィルムに内包される状態で生存していたと推測される。そして、時間経過により1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの作用が弱まった時点でバイオフィルムから黄色ブドウ球菌が放出され、液体中で活性化したと考えられる。

0012

本発明者は、各種の抗菌剤についてさらに検討した。ここで、本発明における「抗菌剤」とは、微生物を死滅させうる物質又は微生物の増殖を抑制しうる物質を意味する。具体的には、防腐剤、殺菌剤除菌剤、又は防黴剤と呼ばれる化合物が「抗菌剤」の概念に含まれる。抗菌剤として用いうる化合物としては、イソチアゾリン系化合物の他に、フェノール系化合物オキサゾリン系化合物ピリジン系化合物イミダゾール系化合物チアゾール系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、グラミシジン系化合物、アルデヒド系化合物、ニトリル系化合物、及び銀イオン系化合物などを挙げることができる。

0013

検討の結果、上記の抗菌剤のなかでも、ニトリル系化合物をイソチアゾリン系化合物と併用することが有用であることを見出した。ニトリル系化合物は殺菌作用が強く、緑膿菌などによるバイオフィルムの形成を抑制する作用を示す。さらに、防腐剤としての作用を示すイソチアゾリン系化合物とは異なり、ニトリル系化合物は殺菌剤としての作用を示す。このため、ニトリル系化合物とイソチアゾリン系化合物を併用することで、抗菌性に優れたインクとすることができる。さらには、これらの化合物を併用することで、耐性菌の発生を有効に抑制することが期待される。

0014

<インク>
本発明のインクは、色材、第1抗菌剤、及び第2抗菌剤を含有するインクジェット用の水性インクである。そして、第1抗菌剤はイソチアゾリン系化合物であり、第2抗菌剤はニトリル系化合物である。以下、インクを構成する各成分、インクの物性について説明する。

0015

(抗菌剤)
本発明のインクに用いる抗菌剤は、第1抗菌剤であるイソチアゾリン系化合物と、第2抗菌剤であるニトリル系化合物である。インク中の第1抗菌剤の含有量(質量%)は、第2抗菌剤の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.25倍以上4.00倍以下であることが好ましい。インク中の第1抗菌剤及び第2抗菌剤の合計含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上0.53質量%以下であることが好ましい。

0016

インクには、第1抗菌剤及び第2抗菌剤以外の抗菌剤(その他の抗菌剤)を含有させることができる。その他の抗菌剤としては、フェノール系化合物、オキサゾリン系化合物、ピリジン系化合物、イミダゾール系化合物、チアゾール系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、グラミシジン系化合物、アルデヒド系化合物、銀イオン系化合物などを挙げることができる。

0017

〔第1抗菌剤:イソチアゾリン系化合物〕
イソチアゾリン系化合物は、チオール基の代謝阻害作用によって微生物の増殖を抑制する抗菌剤である。イソチアゾリン系化合物としては、例えば、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3オン、N−(n−ブチル)−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンなどを挙げることができる。1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンは、インクジェット用のインクの防腐剤として汎用されている。1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンは、例えば、プロキセルシリーズアビシア製、CRL、BDN、GXL、XL.2、TN、LVなど)として市販されている。

0018

インク中の第1抗菌剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.01質量%以上0.50質量%以下であることが好ましい。

0019

〔第2抗菌剤:ニトリル系化合物〕
抗菌剤として用いられるニトリル系化合物は、高い殺菌作用を示すだけでなく、即効性にも優れている。ニトリル系化合物の殺菌メカニズム細胞原形質破壊である。このため、バイオフィルムの形成を抑制することができる。したがって、ニトリル系化合物とイソチアゾリン系化合物を併用することで、幅広い抗菌スペクトルを有するインクとすることができる。

0020

ニトリル系化合物としては、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、2,2−ジブロモ−3−ニトリルプロピオンアミド、2−ブロモ−2ブロモメチルグルタロニトリルなどを挙げることができる。

0021

インク中の第2抗菌剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.01質量%以上5.00質量%以下であることが好ましく、0.40質量%以上4.20質量%以下であることがさらに好ましい。

0022

(色材)
色材としては、染料及び顔料のいずれをも用いることができる。なかでも、色材として顔料を含有するインクを用いることが好ましい。顔料を用いることで、光学濃度の高い画像を記録することができる。なかでも、色材が顔料である場合には、サーマル方式記録ヘッドから吐出して用いられるインクとして好適である。顔料を色材として用いたインクをサーマル方式の記録ヘッドから吐出すると、より光学濃度の高い画像を記録することができる。ニトリル系化合物中のシアノ基は、サーマル方式により生ずる熱によってカルボン酸基へと加水分解されやすい。そして、生成したカルボン酸基が、顔料分散性に寄与する官能基カウンターイオンを奪って顔料の凝集が促進され、画像の光学濃度が高まると考えられる。

0023

インク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上15.00質量%以下であることが好ましく、1.00質量%以上10.00質量%以下であることがさらに好ましい。

0024

染料としては、直接染料酸性染料塩基性染料分散染料食用染料などを挙げることができる。なかでも、アニオン性基を有する染料を用いることが好ましい。染料骨格の具体例としては、アゾ、トリフェニルメタンフタロシアニンアザフタロシアニンキサンテンアントラピリドンなどを挙げることができる。

0025

顔料としては、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドンイソインドリノンイミダゾロンジケトピロロピロールジオキサジンなどの有機顔料を挙げることができる。顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いる樹脂分散タイプの顔料、及び顔料の粒子表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散顔料)などを用いることができる。樹脂分散タイプの顔料としては、高分子分散剤を使用した樹脂分散型顔料、顔料の粒子の表面を樹脂で被覆したマイクロカプセル型顔料、及び顔料の粒子の表面に高分子を含む有機基化学的に結合した樹脂結合型顔料などがある。なお、分散方法の異なる顔料を併用することもできる。

0026

インク中のニトリル系化合物に由来するシアノ基の含有量は、顔料の含有量に対する質量比率で、0.30質量%以上2.05質量%以下であることが好ましく、0.30質量%以上2.00質量%以下であることがさらに好ましい。顔料の含有量に対する、ニトリル系化合物に由来するシアノ基の含有量の質量比率を上記の範囲とすることで、より光学濃度の高い画像を記録することができる。

0027

水性媒体
本発明のインクは水性媒体として少なくとも水を含有する、水性のインクである。インクには、水及び水溶性有機溶剤混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水イオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.00質量%以上95.00質量%以下であることが好ましい。

0028

水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に限定はなく、アルコール多価アルコールポリグリコールグリコールエーテル含窒素極性溶媒含硫黄極性溶媒などを用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.00質量%以上50.00質量%以下であることが好ましい。

0029

(その他の添加剤
本発明のインクには、必要に応じて、界面活性剤pH調整剤酸化防止剤還元防止剤蒸発促進剤、及びキレート化剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。界面活性剤としては、アニオン性カチオン性ノニオン性などの界面活性剤を挙げることができる。インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上2.00質量%以下であることが好ましい。

0030

(インクの物性)
本発明のインクは、インクジェット方式に適用するインクジェット用のインクである。したがって、その物性値を適切に制御することが好ましい。具体的には、25℃におけるインクの表面張力は、20mN/m以上50mN/m以下であることが好ましい。また、25℃におけるインクの粘度は、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましい。25℃におけるインクのpHは、5.0以上10.0以下であることが好ましい。

0031

<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。

0032

<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。

0033

図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。

0034

以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。

0035

顔料分散液の調製>
(顔料分散液1)
水5.5gに濃硫酸5.0gを溶かして得た溶液を5℃に冷却した状態とし、この状態で4−アミノフタル酸0.84gを加えた。この溶液の入った容器アイスバスに入れて溶液を撹拌し、液温を10℃以下に保った状態で、5℃の水9.0gに亜硝酸カリウム2.2gを溶かして得た溶液を加えた。15分撹拌後、カーボンブラック(商品名「ブラックパールズ1100」、キャボット製)6.0gを撹拌下で加え、さらに15分間撹拌してスラリーを得た。得られたスラリーをろ紙(商品名「標準用濾紙No.2」、アドバンテック製)でろ過して粒子を得た。得られた粒子を十分に水冷した後、110℃のオーブンで乾燥させた。イオン交換法によりカリウムイオンアンモニウムイオン置換した後、顔料の含有量が16.0%となるように調整して、顔料分散液1を得た。顔料分散液1中の顔料は、粒子表面に−C6H3−(COONH4)2基が結合した自己分散顔料である。

0036

(顔料分散液2)
顔料(カーボンブラック)16.0部、樹脂分散剤の水溶液40.0部、及び純水44.0部を混合した。樹脂分散剤の水溶液としては、酸価100mgKOH/gのスチレンアクリル酸共重合体を、その酸価に対して等モル量の水酸化カリウム中和し、イオン交換水に溶解させた、樹脂(固形分)の含有量が10.0%の水溶液を用いた。混合物バッチ式縦型サンドミルアイメックス製)に入れ、0.3mm径ジルコニアビーズ150.0部を充填し、水冷しながら5時間分散した。その後、遠心分離により粗大粒子を除去して、顔料の含有量が16.0%、樹脂(固形分)の含有量が4.0%である顔料分散液2を得た。

0037

<インクの調製>
表1−1及び1−2の上段に示す各成分(単位:%)を混合して十分に撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)で加圧ろ過して、各インクを調製した。表1−1及び1−2中の「アセチレノールE100」は、川研ファインケミカル製の界面活性剤(アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物)の商品名である。表1−1及び1−2の下段には、インクの特性を示した。

0038

0039

0040

<評価>
(抗菌性:評価1)
上記で得られたインクの抗菌性を評価した。(1)総細菌数測定器具(商品名「サンアイバイオチェッカーTTC」、三石油製)と、(2)寒天培地(商品名「SCDLP寒天培地『ダイゴ』」、和光純薬工業製)の2つに、調製後1時間経過したインク1mLをそれぞれ塗布して試料とした。(2)の寒天培地は添加された抗菌剤を不活化して微生物の増殖を可能にする特性を有するものであり、抗菌剤を含有する組成物中の生菌数を測定するために利用した。試料を37℃の環境下に5日間放置した後、コロニーの有無を確認した。結果を表2に示す。表2中、1〜4個のコロニーが検出された場合には「微検出」、5個以上のコロニーが検出された場合には「検出」、としてそれぞれ表記した。また、「ND」は、微生物が検出されなかったことを意味する。

0041

0042

(抗菌性:評価2)
上記で得られたインクの抗菌性を評価した。(1)総細菌数測定器具(商品名「サンアイバイオチェッカーTTC」、三愛石油製)と、(2)液体培地の2つに、調製したインク1.0gをそれぞれ滴下して試料とした。(2)液体培地としては、商品名「SCD寒天培地『ダイゴ』」(和光純薬工業製)の構成成分から寒天を除去したもの9.0gを用いた。試料をポリテトラフルオロエチレン製の容器に入れて密閉し、1ヶ月間放置した後、クリーンベンチ内で開封して均一化のために1時間撹拌してから再度1ヶ月間放置する、というサイクルを5ヶ月間繰り返した。その後、上記の評価1と同様の手順で寒天培地に試料1mLを塗布して37℃の環境下に5日間放置し、コロニーの有無を確認した。結果を表3に示す。表3中、1〜4個のコロニーが検出された場合には「微検出」、5個以上のコロニーが検出された場合には「検出」、としてそれぞれ表記した。また、「ND」は、微生物が検出されなかったことを意味する。

0043

0044

評価1及び2のコロニーの形状を比較したところ、評価2の比較例1〜6で検出されたコロニーを形成していた菌は、評価1で確認した菌と同種であることが判明した。

0045

(光学濃度)
表4に示す種類のインクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS MG5230」、キヤノン製)にセットした。但し、インク10を充填したカートリッジについては、記録ヘッドをピエゾ方式のものに置き換えたインクジェット記録装置にセットした。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域に28ngのインクを付与して記録したベタ画像を「記録デューティが100%である」と定義する。上記のインクジェット記録装置を用いて、記録媒体(普通紙、商品名「PBPAPERGF−500」、キヤノン製)に、記録デューティが100%である5cm×5cmのベタ画像を記録した。分光光度計(商品名「Spectrolino」、Gretag Macbeth製)を使用し、光源:D50、視野:2°の条件で記録したベタ画像の光学濃度を測定し、以下に示す評価基準にしたがって画像の光学濃度を評価した。評価結果を表4に示す。本発明においては、以下に示す評価基準で「AA」、「A+」、「A−」、及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。
AA:光学濃度が1.45以上であった。
A+:光学濃度が1.40以上1.45未満であった。
A−:光学濃度が1.35以上1.40未満であった。
B:光学濃度が1.30以上1.35未満であった。
C:光学濃度が1.30未満であった。

実施例

0046

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