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技術 液体洗浄剤組成物、及び粉末洗浄剤組成物

出願人 菱江化学株式会社レック株式会社
発明者 杉山和範北村秀一千代澤陽一石井和規
出願日 2018年3月5日 (2年11ヶ月経過) 出願番号 2018-038456
公開日 2019年9月12日 (1年5ヶ月経過) 公開番号 2019-151757
状態 未査定
技術分野 農薬・動植物の保存 洗浄性組成物
主要キーワード 汚れ箇所 タレ落ち ジェミニ型 重曹粉末 江戸時代 除菌性 三次元骨格構造 天然系抗菌剤
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課題

環境に対する影響が少なく、短時間で優れた抗菌効果をもたらす、液体洗浄剤組成物、及び粉末洗浄剤組成物を提供する。

解決手段

洗浄剤成分として炭酸水素ナトリウム、及び抗菌剤(A)として化合物名1,4-ビス(3,3’-(1-デシルピリジニウムメチルオキシ)ブタンジブロマイドを含む液体洗浄剤組成物であって、該液体洗浄剤組成物中の炭酸水素ナトリウムの含有量が1〜6質量%であり、抗菌剤(A)の含有量が30質量ppm以上である、液体洗浄剤組成物。

概要

背景

従来から、汚れ性状により洗浄剤主成分として、界面活性剤無機アルカリ系洗浄剤、又は有機酸系洗浄剤がそれぞれ使用されている。尚、「洗剤」という用語は、界面活性剤を主成分とする場合に主に使用され、洗浄効果を発揮する成分を意味する洗浄剤と区別して使用される場合があるので、本明細書において、洗浄効果を発揮できる成分に「洗浄剤」という用語を使用する。
上記無機アルカリ系洗浄剤の主成分として、炭酸水素ナトリウム化学式:NaHCO3、別名として、重炭酸曹達重曹等があるが、以下、本明細書において重曹ということがある。)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、過炭酸ナトリウム(2Na2CO3・3H2O2)、セスキ炭酸ナトリウム(Na2CO3・NaHCO3)が知られている。これらの無機アルカリ系洗浄剤は、界面活性剤を含む洗剤と比較して、一般に衣類等の洗浄力には劣るものの、すすぎが容易で特有の洗浄効果も発揮できる特徴を有しているので、家庭内キッチン洗浄洗濯、油の汚れ落としコゲ落とし等への使用が知られている。日本国内では江戸時代や、物資不足した第二次大戦中に、植物灰の灰汁(あく)から該灰汁の主成分である炭酸カリウム(K2CO3)を抽出して洗浄剤成分として洗濯に使用していた経緯がある。

重曹は他の無機アルカリ系洗浄剤と比較した特徴は、その水溶液pH値が多少低い点と、水溶液への溶解度が相当に低い点等が挙げられる。
無機アルカリ系洗浄剤の成分として使用される際、20℃において炭酸ナトリウムと炭酸カリウムの水溶液pHはそれぞれ約11.2〜11.6程度、過炭酸ナトリウムの水溶液pHは10〜11程度、セスキ炭酸ナトリウムの水溶液pHは9.6〜10程度であるのに対し、20℃における重曹水溶液のpHは、濃度1〜50g/水1リットル(L)でpH8.4〜8.0程度と相対的に弱いアルカリ性である。従って、重曹の水溶液は他の無機アルカリ系洗浄剤と比較してpHがより弱アルカリ性であるので取扱いが容易である。重曹は、自然界に存在する天然素材で、河川や海への環境負荷が低いことから、30年〜40年ほど前から自然環境への意識の高まりにより、家庭内で、洗浄効果、消臭効果に着目したいろいろな使用方法が工夫されてきている。

一般に、アルカリ性洗浄剤は、皮脂タンパク質汚れ油汚れ等を落とすことができる。衣類に付着する皮脂は通常その大半がトリグリセリド遊離脂肪酸成分で占められている。この皮脂汚れをアルカリ性洗浄剤で洗浄すると皮脂はケン化されてグリセリンと石ケンになり、衣類から脱離して水相に溶解する。また、衣類に付着する、血液等の汚れ、肉と等の食品汚れタンパク質成分からなっているが、該タンパク質は多くのL−アミノ酸鎖状に多数連結してできた高分子化合物である。この汚れの高分子化合物はアルカリ性洗浄剤によりその連結が切断されるか又は弱められて、衣類の繊維から脱離して洗い流される。重曹は炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウムと比較して弱アルカリ性であるので、軽い汚れ落としには使用できるが、汚れがひどい場合には炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、又は界面活性剤を使用するのが望ましい。

重曹の特徴は、上記pHが比較的低い他に、他のアルカリ系洗浄剤と比較して水への溶解度が比較的低い点、粒子状態ではその表面が比較的柔らかく、被洗浄物の表面を傷つけづらい点、重曹微粒子研磨作用を発揮できる点等を利用し、重曹を比較的少量の水に溶いてペースト状にして、被洗浄物の汚れ部分の表面に張り付け、その後スポンジブラシ等で擦ることにより頑固な油汚れ等を取り除くことが可能になる。また、重曹を洗浄剤、研磨剤等に使用する場合、粉体状であると被洗浄物の表面に密着しづらいのでペースト状にすると被洗浄物の表面に付着し易くなる。
従って、重曹を洗浄剤等に利用する場合、重曹粉末を水溶液に完全に溶解した重曹水、又は重曹を少量の水と混合して得られる重曹ペーストのいずれかとして、その用途に合わせて使い分けすることが可能である。

下記特許文献1には、重曹を軟水に添加して得られる洗浄剤、下記特許文献2には、重曹に汚れを分解する酵素助剤を配合した衣料用洗浄組成物、下記特許文献3には、重曹にショ糖を添加した洗剤がそれぞれ開示されている。

一方、重曹は抗菌性を有していないことから、主成分として重曹が含まれる洗浄剤組成物に、保管時及び使用時にグラム陰性菌グラム陽性菌等に対する抗菌性を付与するために、抗菌剤を含有させることが望ましい。
尚、「抗菌」という用語は、一般に菌の増殖を抑制、あるいは阻害するという意味に使用され、「殺菌」いう用語は一般に、菌を殺す、又は増殖を抑止するに意味使用されていることから、抗菌剤は殺菌剤と多少異なる意味合いもあるが、ほぼ同義語として扱われる場合も多い。しかし、「殺菌」という表現は、薬事法で洗剤や漂白剤などの「雑貨品」については使用できないことになっていることから、本明細書において、主として「抗菌」という用語を使用する。また、「除菌」は、一般に限られた空間中の微生物の数を減らし、清浄度を高める意味に使用されており、食品衛生法省令では「ろ過等により、原水等に由来して当該食品中に存在し、かつ、発育し得る微生物を除去することをいう」と規定されている。

抗菌剤は、一般に無機系抗菌剤有機系抗菌剤の二種類に分類される。無機系抗菌剤としては銀、銅、亜鉛化合物等の金属イオン静菌作用を利用したもので、これらの中で効果に優れる銀イオンが主として使用されている。一方、有機系抗菌剤は更に天然系抗菌剤と合成系抗菌剤とに分けられ、天然系抗菌剤としては、カテキンカラシ等の植物由来キチンキトサン等の動物・魚由来のものが知られている。合成系抗菌剤としては、ビグアナイド系第四級アンモニウム塩系、ピリジニウム系ピリジン系キノリン系、ジスルフィド系、オキサゾリン系、トリアゾール系、ヒダントイン系、ピリチオン系、モルフォリン系、ジフェニルエーテル系が知られている。

下記特許文献4には、洗浄剤成分である炭酸水素ナトリウムに無機系抗菌剤である銀、銅、亜鉛イオン等を担持させた無機物系担体を配合した洗浄剤組成物が開示され、下記特許文献5には、重炭酸塩を含む洗浄剤成分に、無機系抗菌剤である金属イオンを担持させた無機物系担体と有機系抗菌剤であるカテキン類とを含有させた抗菌性洗浄剤が開示されている。
下記特許文献6には、アニオン界面活性剤に抗菌剤として、トリクロサンベンザルコニウム塩、又はベンゼトニウム塩を含有する水性毛髪洗浄剤が開示されている。下記特許文献7には、界面活性剤と4種のビニル単量体から得られる共重合体に、殺菌・抗菌効果を有する機能性成分として、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムヒノキチオールトリクロロカルバニリドから選ばれる少なくとも一種を含有する衣料用液体洗浄剤組成物が開示されている。

下記特許文献8には、アミノ酸系界面活性剤又はアルキルエーテルカルボキシレートからなる界面活性剤と溶剤に、トリクロサン及びイソプロピルメチルフェノールを含有させた殺菌洗浄剤組成物が開示されている。
下記特許文献9の実施例には、洗浄剤成分として界面活性剤を含む洗剤組成物中に、分子末端に2個のピリジン環又はキノリン環を有し、かつこれらの環の窒素原子が第4級アンモニウム基となっている4種の抗菌剤(該抗菌剤の中の1つに、化学名:1,4-ビス(3,3’-(1-デシルピリジニウムメチルオキシ)ブタンジブロマイド(以下、DPMBBと略記することがある)が含まれている)が試験液中でそれぞれ1質量%(1万質量ppm)の濃度になるように配合されていると、大腸菌に対して、殺菌力を発揮したことが開示されている。下記特許文献10には、上記DPMBBが各種ウィルス不活性化防除に有効であることが開示されている。

下記非特許文献1には、合成系殺菌剤として、製剤化の際に問題となる低い水溶性、低い熱安定性紫外線による分解性などの欠点を解消できる、ジェミニ型抗菌剤であるDPMBBを見出したことが開示されている。
下記非特許文献2には、種々の抗菌剤について、化学的性状、抗菌活性、毒性及び用途について解説され、上記DPMBBが(i)医環境殺菌剤、(ii)塗料の抗菌・抗カビ剤、(iii)医用光学機器消毒剤、(iv)冷却水除菌剤及び繊維の抗菌・抗カビ抗ウィルス剤として使用できることが開示されている。

概要

環境に対する影響が少なく、短時間で優れた抗菌効果をもたらす、液体洗浄剤組成物、及び粉末洗浄剤組成物を提供する。洗浄剤成分として炭酸水素ナトリウム、及び抗菌剤(A)として化合物名1,4-ビス(3,3’-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイドを含む液体洗浄剤組成物であって、該液体洗浄剤組成物中の炭酸水素ナトリウムの含有量が1〜6質量%であり、抗菌剤(A)の含有量が30質量ppm以上である、液体洗浄剤組成物。なし

目的

本発明は、環境に対する影響が少ない重曹を洗浄剤成分とし、洗浄後のすすぎが容易で、かつ人体に対する安全性が高く、無刺激で、比較的短時間で優れた抗菌効果を発揮できる、液体洗浄剤組成物、及び粉末洗浄剤組成物を提供する

効果

実績

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請求項1

洗浄剤成分として炭酸水素ナトリウム、及び下記式で表される抗菌剤(A)が水溶液に溶解している液体洗浄剤組成物であって、該液体洗浄剤組成物中の炭酸水素ナトリウムの含有量が1.0〜6.0質量%であり、抗菌剤(A)の含有量が30質量ppm以上である、ことを特徴とする液体洗浄剤組成物。

請求項2

前記液体洗浄剤組成物中の炭酸水素ナトリウムの含有量が1.5〜5.0質量%である、請求項1に記載の液体洗浄剤組成物。

請求項3

前記液体洗浄剤組成物中の抗菌剤(A)の含有量が45〜150質量ppmである、請求項1又は2に記載の液体洗浄剤組成物。

請求項4

前記洗浄剤成分である炭酸水素ナトリウムの含有量が1.5〜5.0質量%で、抗菌剤(A)の含有量が45〜150質量ppmである液体洗浄剤組成物中における、5分間での除菌率([(初期生菌数—5分後の生菌数)/初期生菌数]×100(%))が大腸菌では99%以上、黄色ブドウ球菌は97%以上である、請求項1から3のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物。

請求項5

前記液体洗浄剤組成物中に更に起泡剤又は増粘剤が含有されている、請求項1から4のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物。

請求項6

洗浄剤成分である炭酸水素ナトリウム微粒子中に、下記式で表される抗菌剤(A)の微粒子が分散して存在している粉末洗浄剤組成物であって、該粉末洗浄剤組成物中の抗菌剤(A)微粒子の含有量が0.10質量%以上である、ことを特徴とする粉末洗浄剤組成物。

請求項7

前記粉末洗浄剤組成物中の抗菌剤(A)微粒子の含有量が0.13〜0.50質量%である、請求項6に記載の粉末洗浄剤組成物。

請求項8

前記粉末洗浄剤組成物中に更に起泡剤又は増粘剤が含有されている、請求項6又は7に記載の粉末洗浄剤組成物。

技術分野

0001

本発明は、炭酸水素ナトリウム洗浄剤成分とする、抗菌性を発揮可能な液体洗浄剤組成物、及び粉末洗浄剤組成物に関する。

背景技術

0002

従来から、汚れ性状により洗浄剤主成分として、界面活性剤無機アルカリ系洗浄剤、又は有機酸系洗浄剤がそれぞれ使用されている。尚、「洗剤」という用語は、界面活性剤を主成分とする場合に主に使用され、洗浄効果を発揮する成分を意味する洗浄剤と区別して使用される場合があるので、本明細書において、洗浄効果を発揮できる成分に「洗浄剤」という用語を使用する。
上記無機アルカリ系洗浄剤の主成分として、炭酸水素ナトリウム(化学式:NaHCO3、別名として、重炭酸曹達重曹等があるが、以下、本明細書において重曹ということがある。)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、過炭酸ナトリウム(2Na2CO3・3H2O2)、セスキ炭酸ナトリウム(Na2CO3・NaHCO3)が知られている。これらの無機アルカリ系洗浄剤は、界面活性剤を含む洗剤と比較して、一般に衣類等の洗浄力には劣るものの、すすぎが容易で特有の洗浄効果も発揮できる特徴を有しているので、家庭内キッチン洗浄洗濯、油の汚れ落としコゲ落とし等への使用が知られている。日本国内では江戸時代や、物資不足した第二次大戦中に、植物灰の灰汁(あく)から該灰汁の主成分である炭酸カリウム(K2CO3)を抽出して洗浄剤成分として洗濯に使用していた経緯がある。

0003

重曹は他の無機アルカリ系洗浄剤と比較した特徴は、その水溶液pH値が多少低い点と、水溶液への溶解度が相当に低い点等が挙げられる。
無機アルカリ系洗浄剤の成分として使用される際、20℃において炭酸ナトリウムと炭酸カリウムの水溶液pHはそれぞれ約11.2〜11.6程度、過炭酸ナトリウムの水溶液pHは10〜11程度、セスキ炭酸ナトリウムの水溶液pHは9.6〜10程度であるのに対し、20℃における重曹水溶液のpHは、濃度1〜50g/水1リットル(L)でpH8.4〜8.0程度と相対的に弱いアルカリ性である。従って、重曹の水溶液は他の無機アルカリ系洗浄剤と比較してpHがより弱アルカリ性であるので取扱いが容易である。重曹は、自然界に存在する天然素材で、河川や海への環境負荷が低いことから、30年〜40年ほど前から自然環境への意識の高まりにより、家庭内で、洗浄効果、消臭効果に着目したいろいろな使用方法が工夫されてきている。

0004

一般に、アルカリ性洗浄剤は、皮脂タンパク質汚れ油汚れ等を落とすことができる。衣類に付着する皮脂は通常その大半がトリグリセリド遊離脂肪酸成分で占められている。この皮脂汚れをアルカリ性洗浄剤で洗浄すると皮脂はケン化されてグリセリンと石ケンになり、衣類から脱離して水相に溶解する。また、衣類に付着する、血液等の汚れ、肉と等の食品汚れタンパク質成分からなっているが、該タンパク質は多くのL−アミノ酸鎖状に多数連結してできた高分子化合物である。この汚れの高分子化合物はアルカリ性洗浄剤によりその連結が切断されるか又は弱められて、衣類の繊維から脱離して洗い流される。重曹は炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウムと比較して弱アルカリ性であるので、軽い汚れ落としには使用できるが、汚れがひどい場合には炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、又は界面活性剤を使用するのが望ましい。

0005

重曹の特徴は、上記pHが比較的低い他に、他のアルカリ系洗浄剤と比較して水への溶解度が比較的低い点、粒子状態ではその表面が比較的柔らかく、被洗浄物の表面を傷つけづらい点、重曹微粒子研磨作用を発揮できる点等を利用し、重曹を比較的少量の水に溶いてペースト状にして、被洗浄物の汚れ部分の表面に張り付け、その後スポンジブラシ等で擦ることにより頑固な油汚れ等を取り除くことが可能になる。また、重曹を洗浄剤、研磨剤等に使用する場合、粉体状であると被洗浄物の表面に密着しづらいのでペースト状にすると被洗浄物の表面に付着し易くなる。
従って、重曹を洗浄剤等に利用する場合、重曹粉末を水溶液に完全に溶解した重曹水、又は重曹を少量の水と混合して得られる重曹ペーストのいずれかとして、その用途に合わせて使い分けすることが可能である。

0006

下記特許文献1には、重曹を軟水に添加して得られる洗浄剤、下記特許文献2には、重曹に汚れを分解する酵素助剤を配合した衣料用洗浄組成物、下記特許文献3には、重曹にショ糖を添加した洗剤がそれぞれ開示されている。

0007

一方、重曹は抗菌性を有していないことから、主成分として重曹が含まれる洗浄剤組成物に、保管時及び使用時にグラム陰性菌グラム陽性菌等に対する抗菌性を付与するために、抗菌剤を含有させることが望ましい。
尚、「抗菌」という用語は、一般に菌の増殖を抑制、あるいは阻害するという意味に使用され、「殺菌」いう用語は一般に、菌を殺す、又は増殖を抑止するに意味使用されていることから、抗菌剤は殺菌剤と多少異なる意味合いもあるが、ほぼ同義語として扱われる場合も多い。しかし、「殺菌」という表現は、薬事法で洗剤や漂白剤などの「雑貨品」については使用できないことになっていることから、本明細書において、主として「抗菌」という用語を使用する。また、「除菌」は、一般に限られた空間中の微生物の数を減らし、清浄度を高める意味に使用されており、食品衛生法省令では「ろ過等により、原水等に由来して当該食品中に存在し、かつ、発育し得る微生物を除去することをいう」と規定されている。

0008

抗菌剤は、一般に無機系抗菌剤有機系抗菌剤の二種類に分類される。無機系抗菌剤としては銀、銅、亜鉛化合物等の金属イオン静菌作用を利用したもので、これらの中で効果に優れる銀イオンが主として使用されている。一方、有機系抗菌剤は更に天然系抗菌剤と合成系抗菌剤とに分けられ、天然系抗菌剤としては、カテキンカラシ等の植物由来キチンキトサン等の動物・魚由来のものが知られている。合成系抗菌剤としては、ビグアナイド系第四級アンモニウム塩系、ピリジニウム系ピリジン系キノリン系、ジスルフィド系、オキサゾリン系、トリアゾール系、ヒダントイン系、ピリチオン系、モルフォリン系、ジフェニルエーテル系が知られている。

0009

下記特許文献4には、洗浄剤成分である炭酸水素ナトリウムに無機系抗菌剤である銀、銅、亜鉛イオン等を担持させた無機物系担体を配合した洗浄剤組成物が開示され、下記特許文献5には、重炭酸塩を含む洗浄剤成分に、無機系抗菌剤である金属イオンを担持させた無機物系担体と有機系抗菌剤であるカテキン類とを含有させた抗菌性洗浄剤が開示されている。
下記特許文献6には、アニオン界面活性剤に抗菌剤として、トリクロサンベンザルコニウム塩、又はベンゼトニウム塩を含有する水性毛髪洗浄剤が開示されている。下記特許文献7には、界面活性剤と4種のビニル単量体から得られる共重合体に、殺菌・抗菌効果を有する機能性成分として、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムヒノキチオールトリクロロカルバニリドから選ばれる少なくとも一種を含有する衣料用液体洗浄剤組成物が開示されている。

0010

下記特許文献8には、アミノ酸系界面活性剤又はアルキルエーテルカルボキシレートからなる界面活性剤と溶剤に、トリクロサン及びイソプロピルメチルフェノールを含有させた殺菌洗浄剤組成物が開示されている。
下記特許文献9の実施例には、洗浄剤成分として界面活性剤を含む洗剤組成物中に、分子末端に2個のピリジン環又はキノリン環を有し、かつこれらの環の窒素原子が第4級アンモニウム基となっている4種の抗菌剤(該抗菌剤の中の1つに、化学名:1,4-ビス(3,3’-(1-デシルピリジニウムメチルオキシ)ブタンジブロマイド(以下、DPMBBと略記することがある)が含まれている)が試験液中でそれぞれ1質量%(1万質量ppm)の濃度になるように配合されていると、大腸菌に対して、殺菌力を発揮したことが開示されている。下記特許文献10には、上記DPMBBが各種ウィルス不活性化防除に有効であることが開示されている。

0011

下記非特許文献1には、合成系殺菌剤として、製剤化の際に問題となる低い水溶性、低い熱安定性紫外線による分解性などの欠点を解消できる、ジェミニ型抗菌剤であるDPMBBを見出したことが開示されている。
下記非特許文献2には、種々の抗菌剤について、化学的性状、抗菌活性、毒性及び用途について解説され、上記DPMBBが(i)医環境殺菌剤、(ii)塗料の抗菌・抗カビ剤、(iii)医用光学機器消毒剤、(iv)冷却水除菌剤及び繊維の抗菌・抗カビ抗ウィルス剤として使用できることが開示されている。

0012

特開平11−256192号公報
特開平09−087678号公報
特開2005−171132号公報
特開2002−348231号公報
特開2014−005358号公報
特開2010−235522号公報
特開2011−190368号公報
特開2014−114408号公報
特開2006−022140号公報
特許第5108334号公報

先行技術

0013

高麗紀著、「やさしい微生物制御基礎[20]、薬剤微生物制御 その3」J. Antibact. Antifung. Agents Vol.45. No.10, pp.493-502 (2017)
高麗寛紀著、「やさしい微生物制御の基礎[17]、化学的微生物制御 その3」J. Antibact. Antifung. Agents Vol.45. No.4, pp.199-209 (2017)

発明が解決しようとする課題

0014

上記特許文献1から特許文献3のいずれにも、除菌性、または抗菌性を有する洗浄剤は開示されていない。上記特許文献4、5には洗浄剤に金属イオン、金属イオンとカテキンをそれぞれ抗菌剤に用いることが開示されているが、開示された金属イオン系抗菌剤は、金属イオンが担体である、ゼオライト等の三次元骨格構造体内で安定化しているので、洗浄剤水溶液中での均一分散性を考慮する必要があり、天然系の有機系抗菌剤はそれ自体では抗菌性が十分でない場合がある。上記特許文献6〜8には界面活性剤を主成分とする洗浄剤溶液が開示されているが、無機アルカリ系洗浄剤である、重曹を主成分とする液体洗浄剤組成物に有効な合成系抗菌剤は開示されていない。

0015

上記特許文献9には界面活性剤を主成分とする洗剤中に上記DPMBBが比較的高濃度(1万質量ppm)に配合されていると抗菌性が発揮することが開示されている。また、上記特許文献10には上記DPMBBが水溶液又は水乳化体として抗菌活性を発揮できることが開示されている。従って、上記特許文献1〜10のいずれにおいても、無機アルカリ系洗浄剤成分である重曹を主成分とする液体洗浄剤組成物に、極めて低濃度の配合量で、かつ短時間で優れた抗菌効果を発揮する抗菌剤は未だ開示されていない。

0016

また、上記非特許文献1には、DPMBBが細菌と真菌に対して静菌活性と殺菌活性を示すこと、非特許文献2には、DPMBBを(i)医環境殺菌剤、(ii)塗料の抗菌・抗カビ剤、(iii)医用光学機器の消毒剤、(iv)冷却水、除菌剤及び繊維の抗菌・抗カビ・抗ウィルス剤として使用できることが開示されているが、非特許文献1、2のいずれにも、無機アルカリ系洗浄剤成分である重曹を主成分とする液体洗浄剤組成物に極めて低濃度の配合量でも短時間で優れた抗菌効果を発揮する抗菌剤については開示されていない。

0017

本発明は、環境に対する影響が少ない重曹を洗浄剤成分とし、洗浄後のすすぎが容易で、かつ人体に対する安全性が高く、無刺激で、比較的短時間で優れた抗菌効果を発揮できる、液体洗浄剤組成物、及び粉末洗浄剤組成物を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0018

本発明者らは、重曹を洗浄剤成分とする洗浄剤組成物中に下記化学式で表される抗菌剤が微量含有されていると、弱アルカリ性水溶液中においても比較的短時間で優れた抗菌効果が発揮されることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の(1)〜(8)に記載の発明を要旨とする。

0019

(1)洗浄剤成分として炭酸水素ナトリウム、及び下記式で表される抗菌剤(A)が水溶液に溶解している液体洗浄剤組成物であって、
液体洗浄剤組成物中の炭酸水素ナトリウムの含有量が1.0〜6.0質量%であり、抗菌剤(A)の含有量が30質量ppm以上である、ことを特徴とする液体洗浄剤組成物(以下、第1の実施形態ということがある)。

0020

0021

(2)前記液体洗浄剤組成物中の炭酸水素ナトリウムの含有量が1.5〜5.0質量%である、前記(1)に記載の液体洗浄剤組成物。
(3)前記液体洗浄剤組成物中の抗菌剤(A)の含有量が45〜150質量ppmである、前記(1)又は(2)に記載の液体洗浄剤組成物。
(4)前記洗浄剤成分である炭酸水素ナトリウムの含有量が1.5〜5.0質量%で、抗菌剤(A)の含有量が45〜150質量ppmである液体洗浄剤組成物中における、5分間での除菌率([(初期生菌数—5分後の生菌数)/初期生菌数]×100(%))が大腸菌では99%以上、黄色ブドウ球菌は97%以上である、前記(1)から(3)のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物。
(5)前記液体洗浄剤組成物中に更に起泡剤又は増粘剤が含有されている、前記(1)から(4)のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物。

0022

(6)洗浄剤成分である炭酸水素ナトリウム微粒子中に、下記式で表される抗菌剤(A)の微粒子が分散して存在している粉末洗浄剤組成物であって、該粉末洗浄剤組成物中の抗菌剤(A)微粒子の含有量が0.10質量%以上である、ことを特徴とする粉末洗浄剤組成物(以下、第2の実施形態ということがある)。

0023

(7)前記粉末洗浄剤組成物中の抗菌剤(A)微粒子の含有量が0.13〜0.50質量%である、前記(6)に記載の粉末洗浄剤組成物。
(8)前記粉末洗浄剤組成物中に更に起泡剤又は増粘剤が含有されている、前記(6)又は(7)に記載の粉末洗浄剤組成物。

発明の効果

0024

本発明の液体洗浄剤組成物、及び粉末洗浄剤組成物は、洗浄力を発揮する成分として環境に対する影響が少ない弱アルカリ性の重曹を使用するので、取扱いに優れ、洗浄後のすすぎが極めて容易である。また、本発明の液体洗浄剤組成物、及び粉末洗浄剤組成物に、抗菌剤として分子内に2個のピリジニウム塩を有するジェミニ型ピリジニウム系抗菌剤であるDPMBBを含有させることにより、比較的微量でも短時間で優れた抗菌効果を発揮することが可能である。
また、上記非特許文献1に記載されている通り、ジェミニ型ピリジニウム系抗菌剤であるDPMBBは、水溶性、熱安定性及び持続性に優れているので、抗菌剤としてDPMBBを含有する、本発明の液体洗浄剤組成物、及び粉末洗浄剤組成物も、取扱いが容易であり、熱安定性及び持続性に優れていることが期待できる。

0025

以下に、本発明の〔1〕液体洗浄剤組成物(第1の実施形態)、及び〔2〕粉末洗浄剤組成物(第2の実施形態)について説明する。
〔1〕液体洗浄剤組成物(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態である液体洗浄剤組成物は、洗浄剤成分として炭酸水素ナトリウム、及び下記式で表される抗菌剤(A)が水溶液に溶解している液体洗浄剤組成物であって、該液体洗浄剤組成物中の炭酸水素ナトリウムの含有量が1.0〜6.0質量%であり、抗菌剤(A)の含有量が30質量ppm以上である、ことを特徴とする。

0026

0027

(1)炭酸水素ナトリウム(重曹)について
重曹は分子式NaHCO3で、通常のグレードとして食用薬用工業用の3種に分類されており、食品衛生法(食品添加物に適用)、薬事法(局方に適用)、飼料添加物規格でそれぞれ定められたグレードがある。
重曹の水溶液は、他のアルカリ系洗浄剤の炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウムと比較してより弱いアルカリ性であり、具体的には、20℃において、水1リットル(L)中の重曹濃度が1gでpH8.4、5gでpH8.4、10gでpH8.3、15gでpH8.2、20gでpH8.2、30gで8.1、40gで8.1と無機ナトリウム系洗浄剤の中で、最もアルカリ性の低い物質である。このように弱アルカリ性で、水溶液のpHは排水基準海域:5.0〜9.0以内、海域以外:5.8〜8.6以内)の範囲内であるので、そのまま排水として排出することができる。

0028

重曹は河川又は海水中に排出されても環境負荷が極めて少ないので、重曹、酢、石けん等身近にある安全な素材を使って掃除、洗濯当をする、いわゆるナチュラルクリーニングの材料としても、重曹は使用されている。
重曹の特徴は、上記pHの他に、他の無機アルカリ系洗浄剤と比較して水への溶解度が比較的低く、水100g中での溶解度が温度0℃で6.9g、15℃で8.8g、60℃で16.4gである(化学大事典、共立出版株式会社発行、発行年月:1964年3月、参照)。このように重曹の水への溶解度は比較的低いので、重曹を洗浄剤成分として使用する場合、液体洗浄剤組成物中の重曹の含有量は1.0〜6.0質量%である。洗浄効果を考慮すると該含有量が1.0質量%以上であり、1.5質量%以上が好ましい。一方、0℃における重曹の水への溶解度を考慮すると6.0質量%以下であり、使用温度を考慮すると5.0質量%以下が好ましい。

0029

重曹は加熱すると熱分解を起こして、炭酸ガスと水を放出し炭酸ソーダになる。重曹を水に溶解し重曹水では70℃以上で、重曹粉末では270℃以上でこの熱分解反応が顕著に生ずる。重曹を洗浄剤成分として使用する、本発明の液体洗浄剤組成物はそのアルカリ性を考慮すると、酸性の汚れ、や、脂肪酸又は脂肪酸塩を含む油成分の汚れ落としに有効であり、また酸性の臭いを中和する消臭効果等を有する。

0030

(2)抗菌剤(A)について
本発明の液体洗浄剤組成物に使用する抗菌剤は、上記式で表される抗菌剤(A)(化合物名:1,4-ビス(3,3’-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイド(DPMBB))であり、該液体洗浄剤組成物中に30質量ppm以上含まれる。

0031

重曹は抗菌性を有していないことから、重曹を主成分とする洗浄剤組成物に、使用時及び保管時にグラム陰性菌、グラム陽性菌等に対する抗菌性を付与して、洗浄効果と抗菌効果を併せ持つ液体洗浄剤組成物とすることが望ましい。
抗菌剤は、上記の通り、無機系抗菌剤と有機系抗菌剤の二種類に分類でき、有機系抗菌剤は天然系抗菌剤と合成系抗菌剤とに分けられる。これらの有機系抗菌剤は、微生物の生合成阻害、細胞構造破壊生体物質(DNA、RNA等)損傷等の抗菌作用を発揮することが知られている。

0032

本発明の液体洗浄剤組成物に使用する抗菌剤は、微量でも優れた抗菌効果を有し、無刺激で、かつ短時間で優れた抗菌効果を発揮できることが望ましい。上記の通り、有機系の天然系抗菌剤は高い抗菌性は期待しづらく、有機の合成系抗菌剤を、重曹を洗浄剤の主成分とする液体洗浄剤組成物に使用して上記要求を満足するものはこれまで知られていなかった。

0033

本発明者らは、重曹を洗浄剤の主成分とする液体洗浄剤組成物に含有させる抗菌剤として、ピリジニウム系抗菌剤である上記式に示す抗菌剤(A)を使用すると、比較的微量でも短時間で優れた抗菌効果を発揮できること見出した。
抗菌剤(A)は、温度依存性、及び共存物質等の環境因子の影響が少なく熱安定性、加工性、無刺激で人体に対する安全性、持続性等に優れ、耐性菌発現することなく、抗菌スペクトル性(殺菌可能な微生物の範囲)にも優れ、無刺激であるので(非特許文献1参照)、抗菌剤(A)が含有された本発明の液体洗浄剤組成物中においても同様の効果を発揮することが期待できる。

0034

尚、本出願人は先の出願(特願2016−197157)で上記式に示す抗菌剤(A)は洗浄剤成分としてセスキ炭酸ナトリウムよりも弱いアルカリ性水溶液中では抗菌剤(A)の抗菌効果を十分に発揮できることを見出すことができなかったが、本発明において抗菌剤(A)の含有量を10質量ppmから30質量ppm以上とすることにより、上記抗菌効果を顕著に向上できることを見出した。本発明の液体洗浄剤組成物中の抗菌剤(A)の濃度が30質量ppm以上になると、5分間程度の比較的短時間でも相当の抗菌作用が発現するようになり、時間の経過と共に更に除菌率が向上することが期待される。

0035

抗菌剤(A)は、白色結晶性粉末で、水に対する溶解度は20℃で589g/100g水と非常に高く、非特許文献2には、経口急性毒性は、LD50が300mg/kg(ラット)で、変異原性陰性皮膚感作性は陰性であると記載されている。

0036

尚、ピリジニウム系抗菌剤で抗菌作用を有するものとして、他に下記の3種が知られているが、いずれも水に微溶であることから本発明の液体洗浄剤組成物に抗菌剤として使用することはできない。
(i)セチルピリジニウムクロライド(別名:CPC)
(ii) 4,4’-(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1-デシルピリジニウムブロマイド(別名:TMBDB)
(iii)N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルボニル-1-デシルピリジニウムブロマイド)(別名:HBCDB)

0037

本発明の液体洗浄剤組成物中の抗菌剤(A)の含有量は、30質量ppm以上、好ましくは45質量ppm以上で優れた抗菌効果を発揮する。一方、該抗菌剤の含有量の上限は抗菌効果からは特に限定されるものではないが、経済性等を考慮すると500質量ppm以下が好ましく、200質量ppm以下がより好ましく、実用上150質量ppm以下が更に好ましい。
また、洗浄剤成分である重曹の含有量が1.5〜5.0質量%で、抗菌剤(A)の含有量が45〜150質量ppmである液体洗浄剤組成物中において、1ミリリットル(mL)当たりの初期生菌数が3×10+6〜6×10+6程度のときに、5分間での除菌率([(初期生菌数—5分後の生菌数)/初期生菌数]×100(%))が大腸菌では99%以上、黄色ブドウ球菌は97%以上とすることが可能である。また、抗菌剤(A)は、長期間の使用でも耐性菌が発現しないことが確認されている(特許文献9、表1参照)。

0038

(3)増粘剤又は起泡剤の配合
本発明の液体洗浄剤組成物中には、傾斜面や垂直面から該液体洗浄剤組成物がタレ落ちするのを抑制して洗浄効果を高める等のために、増粘剤又は起泡剤を含有させることができる。増粘剤とは、液体洗浄剤組成物の粘度を高め、タレ落ちを防いで洗浄効果を高める作用を発揮できる添加剤であり、一方、起泡剤とは液体溶けて、泡を生じ易くさせると共に、生成した泡を安定に保つ物質で、ガスを発生させることにより発泡させるいわゆる発泡剤(気泡剤)とは一般には区別されている。

0039

本発明の液体洗浄剤組成物に増粘剤又は起泡剤を含有させる場合には、その含有量は該組成物中で0.02〜2.0質量%であることが望ましい。増粘剤又は起泡剤の含有量が前記0.02質量%以上で必要な増粘性又は起泡性が発揮され、一方、前記2.0質量%を超えても更なる増粘性又は起泡性の向上効果は期待できない。
増粘剤は起泡性をも有している場合が多いので、増粘剤と起泡剤の例示は共通する場合が多いことから、増粘剤又は起泡剤を有する添加剤として、グリセリン脂肪酸エステルモノグリセライドポリグリセリン脂肪酸エステルプロピレングリコール脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類カルボキシメチルセルロースナトリウムCMC)、カラギナンキサンタンガムグァーガムタマリンドガムペクチンローカストビーンガム加工デンプン等の多糖類が挙げられる。

0040

(4)本発明の液体洗浄剤組成物
本発明の液体洗浄剤組成物に使用する抗菌剤(A)は、前記の通り水への溶解性に優れているので、重曹と抗菌剤(A)を所定量水溶液中にそれぞれ添加するか、又は重曹微粒子中に抗菌剤(A)粒子所定割合配合されている、後述する粉末洗浄剤組成物(第2の実施形態)を所定量水溶液中に添加して、よく撹拌することにより本発明の液体洗浄剤組成物を調製することができる。重曹を洗浄剤等に利用する場合、重曹粉末をそのまま、重曹を水溶液に溶解して均一水溶液とした重曹水、又は重曹を少量の水と混合して得られる重曹ペーストのいずれかで、その用途に合わせて使い分けすることができる。

0041

本発明の液体洗浄剤組成物は、洗浄効果の他、消臭効果も有していて、また比較的短時間でグラム陰性菌である大腸菌や、グラム陽性菌である黄色ブドウ球菌等の細菌に対して優れた抗菌効果を発揮することができ、人体に対する安全性も高く、無刺激である。重曹を洗浄剤成分とする洗浄剤組成物は、環境と安全性への意識からその使用用途は増え続けることが予想される。

0042

本発明の液体洗浄剤組成物中に、上記の通り増粘剤又は起泡剤が配合されていると、タレ落ちを抑制して洗浄効果を高めることが可能になる。また、本発明の液体洗浄剤組成物は、常温では比較的安定であるが、保存時の温度が70℃を超えると、重曹が分解して炭酸ガスが発生するおそれがあるので、常温に近い温度で保存することが望ましい。

0043

〔2〕粉末洗浄剤組成物(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態である、粉末洗浄剤組成物は、洗浄剤成分である炭酸水素ナトリウム微粒子中に、下記式で表される抗菌剤(A)の微粒子が分散して存在している粉末洗浄剤組成物であって、該粉末洗浄剤組成物中の抗菌剤(A)微粒子の含有量が0.10質量%以上である、ことを特徴とする。

0044

0045

上記第2の実施形態に係る粉末洗浄剤組成物(以下、単に、粉末洗浄剤組成物ということがある)は、水に溶解して、上記第1の実施形態に記載した液体洗浄剤組成物として、また比較的少量の水を添加してペースト状物を調製して、洗浄剤、研磨剤等として使用することも可能である。

0046

(1)炭酸水素ナトリウム(重曹)微粒子について
本発明の粉末洗浄剤組成物に含有する洗浄剤成分である重曹は、第1の実施形態に記載した液体洗浄剤組成物に含有する洗浄剤成分の重曹として記載した通りである。
重曹には、通常のグレードとして医薬品、食品添加物、及び工業用の3種類があり、このうち医薬品と食品添加物は衛生管理されていて、工業用の重曹が掃除用の重曹に使用されている。口に入れたり、入浴剤として使用する場合には、日本薬局方や食品添加物を使用するのが安全である。重曹微粒子の平均粒子径は、使用目的により任意に選択することは可能であるが、通常50〜350μm程度が好ましく、70〜250μm程度がより好ましい。尚、前記平均粒子径は、レーザー回折散乱法、振盪法等により測定することができる。

0047

(2)抗菌剤(A)について
本発明の粉末洗浄剤組成物中に使用する抗菌剤としては、優れた抗菌性を有していて、微量で、かつ比較的短時間で抗菌効果を発揮できること、人体に対する安全性が高く、無刺激であることなどが必要とされる。

0048

本発明者らは、重曹を洗浄剤の主成分とする洗浄剤組成物に含有させる抗菌剤として、ピリジニウム系抗菌剤である上記式に示す抗菌剤(A)(化合物名:1,4-ビス(3,3’-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイド(DPMBB))を使用すると、比較的微量でも短時間で優れた抗菌効果を発揮できること見出した。
上記抗菌剤(A)は、融点は77〜79℃の常温で白色ないし淡褐色の固体で、水溶性に優れている。抗菌剤(A)は、温度依存性、及び共存物質等の環境因子の影響が少なく熱安定性、加工性、無刺激で人体に対する安全性、持続性、耐性菌発現性等に優れ(非特許文献1参照)、無刺激であるので、該抗菌剤(A)を含有する本発明の粉末洗浄剤組成物もこのような効果を有することが期待できる。

0049

分子末端に2個のピリジン環又はキノリン環を有し、かつこれらの環の窒素原子が第4級アンモニウム基となっている化合物の中には、抗菌剤、抗ウィルス性としての機能を有するものも知られているが(非特許文献2参照)、これらの中でも抗菌剤(A)は水溶性に優れていて、本発明の粉末洗浄剤組成物に含有されていると、極めて微量でも、抗菌効果の評価に広く使用されている大腸菌、黄色ブドウ球菌に対し優れた抗菌性を示す。

0050

本発明の粉末洗浄剤組成物は、上記実施形態1の液体洗浄剤組成物の原料的な位置付けにもなることから、該粉末洗浄剤組成物中の抗菌剤(A)の含有量は、上記実施形態1における液体洗浄剤組成物から水を除いて得られる、重曹と抗菌剤(A)の割合を基準として決めることができる。すなわち、本発明の粉末洗浄剤組成物中の抗菌剤(A)の含有量は、上記実施形態1における液体洗浄剤組成物中の重曹濃度を3質量%を基準として対応させると、0.10質量%以上であり、好ましくは0.13質量%以上である。一方、該抗菌剤(A)の含有量の上限は好ましくは0.50質量%以下である。抗菌剤(A)は特許文献1において、長期間使用しても耐性菌が発現しないことが記載されている。
尚、粉末洗浄剤組成物に使用する抗菌剤(A)微粒子は、本発明の粉末洗浄剤組成物中でミクロンサイズの粒子径でほぼ均一に分散しうる範囲のものであれば特に制限はない。

0051

(3)粉末洗浄剤組成物
(i)製造方法
重曹は分解開始温度が70℃の固体(結晶粉末)で、一方、上記除菌剤(A)の融点は77〜79℃であるので、これらの分解温度及び融点以下の温度条件下で、重曹微粒子に上記除菌剤(A)を所定量添加して、充分に混合することにより、本発明の粉末洗浄剤組成物を得ることができる。
重曹粒子吸湿性があり、湿気を吸って固まることがあるので、本発明の粉末洗浄剤組成物を包装材中に保存する場合、直射日光を避けて、常温下に密閉容器で保存することが好ましい。また、保存時の温度が70℃を超えると、重曹が分解して炭酸ガスが発生するおそれがあるので、常温に近い温度で保存することが望ましい。

0052

(ii)使用方法等
換気扇、IHI、ガスコンロ周りトースター等に付着したベトベト状の油汚れを取り除くためには、これらの被洗浄物の汚れ箇所に粉末洗浄剤組成物を直接ふりかけ、その後しばらく放置すれば汚れをより落とし易くなる。排水溝の洗浄には、排水溝に粉末洗浄剤組成物を直接振り入れてその後、熱湯をかけると炭酸ガスが発生して排水溝の詰まりを除き易くなる。

0053

また、本発明の粉末洗浄剤組成物は研磨効果も発揮できるので、汚れ落としをする際に、該粉末洗浄剤組成物を直接振りかけて放置後、スポンジか歯ブラシで擦るか、湿らせたスポンジや歯ブラシに該粉末洗浄剤組成物を付着して擦ると、穏やかな研磨効果も発揮され、汚れを表面から引きはがし、水に溶解した重曹の洗浄効果でよごれを落とし易くなる。重曹微粒子はその表面が柔らかいので、研磨の際に比較的キズを付けずに汚れをおとすことができる他に、磨き上げる効果を発揮できる場合もある。

0054

以下に本発明を実施例と比較例により具体的に説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。本実施例、比較例で使用した試料試験菌液調製方法を以下に記載する。
(1)試料
(イ)液体洗浄剤組成物の原料
洗浄効果を発揮する洗浄剤成分(以下、本実施例、比較例において洗浄剤ということがある)として、平均粒子径230μm(篩振盪法による測定値)の炭酸水素ナトリウム(重曹)を使用した。

0055

(ロ)抗菌剤
抗菌剤として、前記化学式の抗菌剤(化学名:1,4-ビス(3,3’-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ)ブタンジブロマイド(DPMBB)、タマ化学工業(株)製、商品名:ハイジェニア登録商標))を使用した。

0056

(ハ)試験菌
抗菌効果の評価に広く使用されている下記の2種類の試験菌を用いた。
(i)大腸菌(Escherichia coli NBRC 3972)
(ii)黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC 13276)

0057

(2)試験菌液の調製
細菌は普通寒天培地接種し、35℃で24時間培養した。培養後、滅菌生理食戦水を用いて108/ミリリットル(mL)に調製したものを試験菌液とした。
尚、下記の実施例、比較例において、サンプル数(n)は3としたが、測定値のバラツキを考慮して測定誤差が大きいと認められるものは除いて表1、2に示した。また、除菌率の値は本来、有効数字2桁であるが、比較のために、表1、2においては有効数字3桁で示した。

0058

[実施例1〜4]
(1)検体の作製
液体洗浄剤組成物中の重曹濃度が3質量%、上記抗菌剤の濃度が実施例1、2、3、4において、それぞれ30、45、60、150質量ppmとなる検体を作製した。
(2)試験菌液の接種および培養
検体10mLに、上記大腸菌、黄色ブドウ球菌がそれぞれ含まれる試験菌液をそれぞれ0.1mLずつ接種して、25℃で5分間培養した。
(3)生菌数測定
接種5分後に、試験試料の10倍希釈系列を、減菌生理食塩水を用いて作製し、これら希釈液を細菌SCDL寒天培養地に接種し、35℃で48時間培養した。培養後、形成されたコロニーカウントし、生菌数を換算した。菌体抗菌試験結果を表1に示した。

0059

[実施例5、6]
実施例5、6において、液体洗浄剤組成物中の重曹濃度がそれぞれ1.5、5.0質量%、上記抗菌剤の濃度が共に60質量ppmとなる検体を作製した。
上記実施例1〜4に記載したと同様に、試験菌液の接種および培養し、生菌数測定を行った。菌体の抗菌試験結果を表1に示した。

0060

[比較例1]
(1)検体の作製
重曹濃度が1質量%の水溶液に、上記抗菌剤(A)を添加しなかった以外は、上記実施例1〜4と同様に検体を作製した。
(2)試験菌液の接種および培養
検体10mLに、上記大腸菌、黄色ブドウ球菌が含まれる試験菌液を0.1mL接種して、25℃で5分間培養した。
(3)生菌数測定
接種5分後に、試験試料の10倍希釈系列を、減菌生理食塩水を用いて作製し、得られた希釈液を細菌SCDLP寒天培養地に接種し、35℃で48時間培養した。培養後、形成されたコロニーをカウントし、生菌数を換算した。検体の抗菌試験結果を表2に示した。

0061

[比較例2]
(1)検体の作製
重曹濃度が1質量%の水溶液に、上記抗菌剤(A)添加量を20質量ppmとした以外は、上記実施例1〜4と同様に検体を作製した。
(2)試験菌液の接種および培養
検体10mLに、上記大腸菌、黄色ブドウ球菌が含まれる試験菌液を0.1mL接種して、25℃で5分間培養した。
(3)生菌数測定
接種5分後に、試験試料の10倍希釈系列を、減菌生理食塩水を用いて作製し、得られた希釈液を細菌SCDLP寒天培養地に接種し、35℃で48時間培養した。培養後、形成されたコロニーをカウントし、生菌数を換算した。検体の抗菌試験結果を表2に示した。

0062

[比較例3]
(1)検体の作製
クエン酸濃度が3.0質量%の水溶液に、上記抗菌剤(A)添加量を60質量ppmとした以外は、上記実施例1〜4と同様に検体を作製した。
(2)試験菌液の接種および培養
検体10mLに、上記大腸菌、黄色ブドウ球菌が含まれる試験菌液を0.1mL接種して、25℃で5分間培養した。
(3)生菌数測定
接種5分後に、試験試料の10倍希釈系列を、減菌生理食塩水を用いて作製し、得られた希釈液を細菌SCDLP寒天培養地に接種し、35℃で48時間培養した。培養後、形成されたコロニーをカウントし、生菌数を換算した。検体の抗菌試験結果を表2に示した。

0063

実施例

0064

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