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課題

高齢ドナーからの細胞または老化細胞を、老化の特徴を失った多能性細胞へとリプログラミングするための方法の提供。

解決手段

再生医療における使用のための、幼若化人工多能性幹細胞(iPSC)を含む細胞組成物であって、前記幼若化iPSCを含む細胞組成物が、下記工程:a)ヒト成人被験者から得られた細胞組成物を提供すること、及びb)前記細胞組成物を幼若化iPSCにリプログラミングするために適した条件下で前記細胞組成物を培養すること、ここで、前記適した条件は、少なくとも下記:i.Oct4、ii.Klf4、iii.Sox2、iv.c−Myc、v.Lin28、vi.およびNanogのリプログラミング因子の組み合わせの前記細胞組成物における発現を増加させることを含み、これによって得られる幼若化iPSC細胞を含む細胞組成物。

概要

背景

概要

高齢ドナーからの細胞または老化細胞を、老化の特徴を失った多能性細胞へとリプログラミングするための方法の提供。再生医療における使用のための、幼若化人工多能性幹細胞(iPSC)を含む細胞組成物であって、前記幼若化iPSCを含む細胞組成物が、下記工程:a)ヒト成人被験者から得られた細胞組成物を提供すること、及びb)前記細胞組成物を幼若化iPSCにリプログラミングするために適した条件下で前記細胞組成物を培養すること、ここで、前記適した条件は、少なくとも下記:i.Oct4、ii.Klf4、iii.Sox2、iv.c−Myc、v.Lin28、vi.およびNanogのリプログラミング因子の組み合わせの前記細胞組成物における発現を増加させることを含み、これによって得られる幼若化iPSC細胞を含む細胞組成物。なし

目的

本発明の方法の1つの顕著な利点は、それが、その老化表現型に因り多能性誘導できないと以前に考えられていた、老齢細胞または老化細胞を含む任意の体細胞からの人工多能性幹細胞の産生を可能とすることである

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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この技術が所属する分野

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請求項1

高齢ドナーからの細胞または老化細胞またはp16INK4Aもしくはp21CI老化エフェクター過剰発現している細胞を含むターゲット細胞集団から人工多能性幹細胞(iPSCs)をex vivoにおいて調製するための方法であって、前記方法は、a)高齢ドナーからの細胞または老化細胞またはp16INK4Aもしくはp21CIP老化エフェクターを過剰発現している細胞を含む前記ターゲット細胞集団を準備する工程、およびb)前記ターゲット細胞集団をiPSCsへとリプログラミングするための適切な条件下で前記ターゲット細胞集団を培養する工程、ここで前記の適切な条件は、前記のターゲット細胞集団における、少なくとも以下のリプログラミング因子:i.Octファミリー遺伝子の1つの遺伝子によってコードされるリプログラミング因子、ii.Klfファミリー遺伝子の1つの遺伝子によってコードされるリプログラミング因子、iii.Soxファミリー遺伝子の1つの遺伝子によってコードされるリプログラミング因子、iv.Mycファミリー遺伝子の1つの遺伝子によってコードされるリプログラミング因子、およびv.Lin28、vi.および場合によりNanogの組合せの発現を増加させることを含むを含む、前記方法。

請求項2

前記のリプログラミング因子の組合せが、Oct4、Klf4、Sox2、c−Myc、Lin28およびNanogを含む、請求項1の方法。

請求項3

前記ターゲット細胞集団が、a.ヒト老化細胞、例えばヒト老化線維芽細胞を含む細胞集団;b.少なくとも50成人被験者から得られたヒト細胞集団;c.より高い比率老齢細胞または老化細胞に至る加齢に伴う疾患を患う被験者から得られたヒト細胞集団のいずれかである、請求項1または2の方法。

請求項4

前記ターゲット細胞集団における老化エフェクターをサイレンシングさせる工程をさらに含まない、請求項1〜3のいずれかの方法。

請求項5

前記の老化エフェクターをサイレンシングさせるさらなる工程が、p21CIPおよび/またはp16INK4aおよび/またはp53エフェクターをサイレンシングさせることからなる、請求項4の方法。

請求項6

リプログラミング因子の発現を増加させるための前記条件が、a)前記のリプログラミング因子の組合せのコード配列を含む1つ以上の発現ベクターを、前記ターゲット細胞集団に導入する工程;またはb)前記組合せの各々のリプログラミング因子またはその前駆RNAの有効量を、前記ターゲット細胞集団に直接送達する工程を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。

請求項7

前記ターゲット細胞集団をウイルスベクターの組合せを用いてトランスフェクションする工程を含み、各ウイルスベクターは、それぞれのリプログラミング因子:Oct4、Klf4、Sox2、c−Myc、Lin28および場合によりNanogの各々のコード配列を含む、請求項6の方法。

請求項8

請求項1〜7のいずれかに定義した通りの方法に従って得ることのできる人工多能性幹細胞。

請求項9

前記の人工多能性幹細胞が、高齢ドナーの細胞または老化細胞から得られる、請求項8記載の人工多能性幹細胞。

請求項10

所望の細胞系統への請求項9のiPSCsの分化によって得られた分化細胞

請求項11

高齢ドナーからの細胞または老化細胞をin vitroにおいて幼若化するための方法であって、前記方法は、前記の老齢細胞または老化細胞における少なくとも以下のリプログラミング因子:i.Octファミリー遺伝子の1つの遺伝子によってコードされるリプログラミング因子、ii.Klfファミリー遺伝子の1つの遺伝子によってコードされるリプログラミング因子、iii.Soxファミリー遺伝子の1つの遺伝子によってコードされるリプログラミング因子、iv.Mycファミリー遺伝子の1つの遺伝子によってコードされるリプログラミング因子、およびv.Lin28、vi.および場合によりNanogの組合せの発現を増加させることによって、前記の高齢ドナーからの細胞または老化細胞を人工多能性幹細胞へとリプログラミングすることを含む、前記方法。

請求項12

以下のリプログラミング因子Oct4、Klf4、Sox2、c−Myc、Lin28および場合によりNanogの発現を増加させるための適切な条件下で前記の高齢ドナーからの細胞または老化細胞を培養することを含む、請求項11の方法。

請求項13

必要とする被験者における老化細胞または高齢ドナーからの細胞を幼若化するためにin vivoにおいて使用するための組成物であって、前記組成物は、以下のプログラミング因子Oct4、Klf4、Sox2、c−Myc、Lin28および場合によりNanogの発現を増加させるための手段を含む、前記組成物。

請求項14

前記のリプログラミング因子の発現を増加させるための前記手段が、幼若化しようとする老化細胞の細胞質への各前駆RNAの送達のための適切な手段に結合させた、適切な量のOct4前駆RNA、Klf4前駆RNA、Sox2前駆RNA、c−Myc前駆RNA、Lin28前駆RNAおよび場合によりNanog前駆RNAを含む、請求項13記載の組成物。

請求項15

必要とする高齢患者における自己移植片としての使用のための、請求項9記載の人工多能性幹細胞、または請求項10記載の分化細胞、または請求項13もしくは14の組成物。

技術分野

0001

発明の分野
本発明は、高齢ドナーからの細胞または老化細胞を、老化の特徴を失った多能性細胞へとリプログラミングするための方法に関する。特に、本発明は、高齢ドナーまたは老化細胞からのターゲット細胞集団から人工多能性幹細胞(iPSCs)をex vivoにおいて調製するための方法に関し、前記方法は、前記細胞をiPSCsへとリプログラミングするために適切な条件下で前記ターゲット細胞集団を培養する工程を含み、前記の適切な条件は、前記ターゲット細胞における、少なくとも以下のリプログラミング因子:Oct4、Klf4、Sox2、c−Myc、Lin28および場合によりNanogの組合せの発現を増加させることを含む。

0002

発明の背景
S. Yamanaka1,2による人工多能性幹細胞(iPSCs)の発見、およびiPSC技術の非常に急速な進歩は、自己再生医療における新たな活路を開き、これにより患者特異的な多能性細胞を潜在的に成人体細胞から誘導することができる。iPSCsは、種々の細胞型において、OCT4、SOX2、c−MYCおよびKLF転写因子カクテル強制発現によって、またはKLF4およびc−MYCをNANOGおよびLIN28によって置換した代替的な因子の組合せによって、再現性よく得られている3。

0003

細胞老化生理学的な加齢に関連し、そして、発ガン遺伝子活性化または複製老化と呼ばれる極めて短くなったテロメラーゼを含む、種々の形態のストレス刺激応答した安定な細胞周期停止によって特徴付けられる9,10。共通の特徴は、形態の変化を伴う、これらの細胞におけるp53/p21CIP1およびpRb/p16INK4A腫瘍サプレッサー経路活性化、老化関連β−ガラクトシダーゼ(SA−β−Gal)活性の増加、特異的SAセクレトームSASP)および老化関連ヘテロクロマチン構造(これは細胞分裂を促進する遺伝子の抑制に関与すると考えられている)の形成である。

0004

欧州特許第2096169号は、以下の6個の遺伝子(Octファミリー遺伝子、Klfファミリー遺伝子、Soxファミリー遺伝子、Mycファミリー遺伝子、Lin28およびNanog)を体細胞に導入する工程を含む、体細胞から人工多能性幹細胞を生成するためのプロセスを開示している。しかしながら、この特定のリプログラミング因子の組合せは、老化細胞または高齢ドナーからの細胞には適用されていない。

0005

細胞の老化は、p53、p16INK4Aおよびp21CIP1のアップレギュレーションに因り、リプログラミングに対する障壁であることがいくつかのグループによって近年記載されており、このことは、細胞の加齢が、この技術の重要な制約であり得ることを示唆する。従って、種々の老化エフェクターの除去が、iPSCs生成効率を向上させるための可能性ある解決策として提案されている4−8。

0006

国際公開公報第2011/016588号は、Oct3/4、Sox2、Klf4、L−mycおよびLin28からなるリプログラミング因子のカクテルと共にp53の機能的阻害剤を使用することを示唆する。p53shRNAがp53の機能的阻害剤として使用された。

0007

本発明者らは、今回、6個の因子OCT4、NANOG、SOX2、KLF4、c−MYCおよびLIN28の特定の組合せの使用は、老化細胞のリプログラミングに関連した当技術分野における技術的偏見に反して、老化エフェクターを消失させる必要性なく、増殖性の百寿者の線維芽細胞および老化線維芽細胞の両方をヒトiPSCsへと効率的にリプログラミングすることを可能とすることを示した。

0008

さらに、本発明者らは、このリプログラミングは、ヒト胚性幹細胞(hESCs)に観察されるようなテロメアサイズ、遺伝子発現プロファイル酸化ストレスおよびミトコンドリア代謝を回復させることを示した。驚くべきことに、老齢細胞および老化細胞から誘導されたiPSCsは、検出可能な細胞老化表現型の特徴を保持せず、そしてhESCsと区別できない。最後に、線維芽細胞へと再分化したiPSCsは、高まった増殖能、および幼若増殖性線維芽細胞に等価である遺伝子発現プロファイルを示し、このことは、本発明によるリプログラミング戦略が、細胞老化表現型の特徴を消し、幼若化した細胞を産生するための新規な方法を規定することを実証する。

0009

出願人の知る限りでは、本発明は、高齢ドナーからの細胞または老化細胞を用いてiPSCsを産生するための方法の初めての記載であり、それ故、本発明は、特に、自己再生医療において非常に有用であり得、これにより患者特異的な多能性細胞を、潜在的には、成人で老齢のまたは老化した体細胞から誘導することができ、そしてまた研究分野において数多くの適用を見出す。さらに、本発明は、in vitroまたはin vivoのいずれかにおいて、老化細胞または高齢ドナーからの細胞を幼若化するための一般的な方法として有用である。

0010

発明の要約
本発明の第1の局面は、高齢ドナーからの細胞または老化細胞またはp16INK4Aもしくはp21CIP老化エフェクターを過剰発現している細胞を含むターゲット細胞集団から、人工多能性幹細胞(iPSCs)をex vivoにおいて調製するための方法に関し、前記方法は、
a)高齢ドナーからの細胞または老化細胞またはp16INK4Aもしくはp21CIP老化エフェクターを過剰発現している細胞を含む前記ターゲット細胞集団を準備する工程、および
b)前記ターゲット細胞集団をiPSCsへとリプログラミングするための適切な条件下で前記ターゲット細胞集団を培養する工程、ここで前記の適切な条件は、前記ターゲット細胞集団において、少なくとも以下のリプログラミング因子:
i.Octファミリー遺伝子の1つの遺伝子によってコードされるリプログラミング因子、
ii.Klfファミリー遺伝子の1つの遺伝子によってコードされるリプログラミング因子、
iii.Soxファミリー遺伝子の1つの遺伝子によってコードされるリプログラミング因子、
iv.Mycファミリー遺伝子の1つの遺伝子によってコードされるリプログラミング因子、および
v.Lin28、
vi.および場合によりNanog
の組合せの発現を増加させることを含む
を含む。

0011

好ましい態様において、前記の適切な条件は、前記ターゲット細胞集団において、以下のリプログラミング因子:Oct4、Klf4、Sox2、c−Myc(またはL−myc)、Lin28および場合によりNanogの発現を増加させることを含む。関連した態様において、前記の適切な条件は、前記ターゲット細胞集団において、以下のリプログラミング因子:Oct4、Klf4、Sox2、c−Myc(またはL−myc)、Lin28およびNanogの発現を増加させることを含む。

0012

本発明者らは、老化の特徴を、本発明の方法によって完全に消すことができることを示した。従って、有利には、ターゲット細胞集団は、高齢ドナーからの成人体細胞または老化細胞、例えば老化線維芽細胞を含む細胞集団から、あるいは、早老症候群のような加齢または老化に関連した生理機能を有する任意の種類の細胞から選択され得る。1つの特定の態様において、ターゲット細胞集団は、例えば再生自己細胞療法を必要としている、少なくとも50(明白に年齢に制限はなく、101歳のドナーの細胞集団が、この戦略を用いて効率的にリプログラミングされた)、例えば少なくとも60、70、80、90または100歳の成人被験者から得られたヒト細胞集団である。

0013

有利には、前記方法は、p21CIP1および/またはp16INK4aおよびまたはp53などの、老化エフェクターを直接的にサイレンシングする工程を全く含まなくてもよい。特に、前記方法は、p53shRNAなどのp53の機能的阻害剤の使用を全く含まなくてもよい。

0014

1つの態様において、上に列挙したリプログラミング因子の発現を増加させるための条件は、前記ターゲット細胞集団に、
(a)前記リプログラミング因子のコード配列を含む1つ以上の発現ベクターを導入すること;または
(b)有効量の各リプログラミング因子またはその前駆RNAを直接的に送達すること
のいずれかを含む。

0015

1つの特定の態様において、本発明の方法は、前記ターゲット細胞集団を、ウイルスベクターの組合せを用いてトランスフェクションする工程を含み、各ウイルスベクターは、各リプログラミング因子、Oct4、Klf4、Sox2、c−Myc(またはL−myc)、Lin28および場合によりNanogのコード配列を含む。

0016

本発明はさらに、上記された方法によって得ることのできる人工多能性幹細胞、特に、前記方法によって得ることのできる、そして老齢細胞または老化細胞から得られた人工多能性幹細胞に関する。

0017

本発明はさらに、高齢ドナーからの細胞または老化細胞における、少なくとも以下のリプログラミング因子:
i.Octファミリー遺伝子の1つの遺伝子によってコードされるリプログラミング因子、
ii.Klfファミリー遺伝子の1つの遺伝子によってコードされるリプログラミング因子、
iii.Soxファミリー遺伝子の1つの遺伝子によってコードされるリプログラミング因子、
iv.Mycファミリー遺伝子の1つの遺伝子によってコードされるリプログラミング因子、
v.Lin28、
vi.および場合によりNanog
の組合せの発現を増加させることによって、前記の高齢ドナーからの細胞または老化細胞を人工多能性幹細胞へとリプログラミングすることを含む、前記の高齢ドナーからの細胞または老化細胞をin vitroにおいて幼若化するための方法に関する。

0018

本発明はさらに、必要とする被験者における高齢ドナーからの細胞または老化細胞を幼若化するためにin vivoにおいて使用するための組成物に関し、前記組成物は、以下のリプログラミング因子Oct4、Klf4、Sox2、c−Myc、Lin28および場合によりNanogの前記の老齢細胞または老化細胞への発現を増加させるための手段を含む。

0019

1つの態様において、前記リプログラミング因子の発現を増加させるための前記手段は、Oct4タンパク質、Klf4タンパク質、Sox2タンパク質、c−Mycタンパク質、Lin28タンパク質および場合によりNanogタンパク質の組合せを含み、各タンパク質は、幼若化しようとする細胞の核への前記タンパク質の送達のための適切な手段に結合している。

0020

あるいは、前記リプログラミング因子の発現を増加させるための前記手段は、Oct4前駆RNA、Klf4前駆RNA、Sox2前駆RNA、c−Myc前駆RNA、Lin28前駆RNAおよび場合によりNanog前駆RNAの組合せを含み得、各前駆RNAは、幼若化しようとする細胞の細胞質への各前駆RNAの送達のための適切な手段に結合している。

0021

上記したような本発明の組成物は、有利には、局所適用に適し得る。

0022

発明の詳細な説明
本発明の第1の局面は、高齢ドナーからの細胞または老化細胞またはp16INK4Aもしくはp21CIP老化エフェクターを過剰発現している細胞を含むターゲット細胞集団から、人工多能性幹細胞(iPSCs)をex vivoにおいて調製するための方法に関し、前記方法は、
a)高齢ドナーからの細胞または老化細胞またはp16INK4Aもしくはp21CIP老化エフェクターを過剰発現している細胞を含む前記ターゲット細胞集団を準備する工程、および
b)前記ターゲット細胞集団をiPSCsへとリプログラミングするための適切な条件下で前記ターゲット細胞集団を培養する工程、ここで前記の適切な条件は、前記ターゲット細胞集団における、少なくとも以下のリプログラミング因子:
i.Octファミリー遺伝子の1つの遺伝子によってコードされるリプログラミング因子、
ii.Klfファミリー遺伝子の1つの遺伝子によってコードされるリプログラミング因子、
iii.Soxファミリー遺伝子の1つの遺伝子によってコードされるリプログラミング因子、
iv.Mycファミリー遺伝子の1つの遺伝子によってコードされるリプログラミング因子、および
v.Lin28、および、場合により
vi.Nanog
の組合せの発現を増加させることを含む。

0023

本明細書において使用する「多能性」という用語は、三胚葉内胚葉中胚葉および外胚葉)に由来する細胞系統に関連した特徴をまとめて示す細胞型へと適切な条件下において分化を受けることのできる子孫を生じる能力を有する細胞を指す。多能性幹細胞は、出生前出生後または成人の生命体組織に寄与することができる。8〜12週令のSCIDマウスにおいて奇形腫を形成する能力などの、標準的な技術として公認の試験を使用して、細胞集団の多能性を確立することができる。しかしながら、種々の多能性幹細胞の特徴の同定を使用して、多能性細胞を同定することもできる。

0024

より具体的には、ヒト多能性幹細胞は、以下の非制限的なリストSSEA−3、SSEA−4、TRA−I−60、TRA−I−81、TRA−2−49/6E、ALP、Sox2、E−カドヘリンUTF−I、Oct4、Lin28、Rex1およびNanogからのマーカーの少なくともいくつか、および場合により全てを発現し得る。

0025

本明細書において使用する「人工多能性幹細胞」という用語は、非多能性細胞から人工的に誘導された多能性幹細胞を指す。非多能性細胞は、多能性幹細胞よりも自己再生能力および分化能力がより低い細胞であり得る。より低い効力の細胞は、体性幹細胞、組織特異的前駆細胞初代細胞または二次細胞であり得るが、それらに限定されない。本発明の方法の1つの顕著な利点は、それが、その老化表現型に因り多能性を誘導できないと以前に考えられていた、老齢細胞または老化細胞を含む任意の体細胞からの人工多能性幹細胞の産生を可能とすることである。

0026

「リプログラミング」という用語は、ターゲット細胞における少数の因子(またはリプログラミング因子)の発現によって引き起こされた、ターゲット細胞の運命を異なる細胞型の運命へと変化させるプロセスを指す。例えば、Oct3/4、Sox2、c−mycおよびKlf4を異所的に発現させることによって線維芽細胞を人工多能性幹細胞へとリプログラミングするための方法が、TakahashiおよびYamanaka, 20061によって記載されている。

0027

従って、「リプログラミング因子」は因子であり、例えばそれは、ターゲット細胞をリプログラミングするために使用することのできる転写因子であり得る。「リプログラミング因子」という用語はさらに、リプログラミング能力に関して因子の機能を模倣した任意の類似分子を含む。

0028

本発明の方法における使用のためのターゲット細胞集団
本発明の方法における使用のためのターゲット細胞集団は、有利には、高齢ドナーからの細胞または老化細胞またはp16INK4Aもしくはp21CIP老化エフェクターを過剰発現している細胞のいずれかを含む細胞集団である。これらの細胞は、動物凍結組織の生命体から得ることができる。

0029

「老化細胞」という用語は、テロメア摩耗に因る複製消耗によって、またはDNA損傷化学療法薬もしくは異常な発ガン遺伝子の発現などのストレスに応答して誘発される、一般的に細胞周期のG1移行期中またはいくつかの場合ではG2において、細胞周期停止を示す細胞を指す。この停止は、主に、p53の活性化およびサイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤p16INK4aおよびp21CIP1のアップレギュレーションを通して行なわれる(Collado et al. 2007, Cell, 130: 223-233)。

0030

「老化細胞」は、以下の特徴:
− p53/p21CIP1およびpRb/p16INK4A腫瘍サプレッサー経路(以後、老化エフェクターと呼ぶ)の活性化、
− G1において不可逆的に停止した細胞、
−テロメアサイズの短縮、
−老化関連β−ガラクトシダーゼ活性(SA β−Gal)の発現、
− 老化関連ヘテロクロマチン構造(SAHF)としての特異的なクロマチンの修飾、
− 特異的セクレトーム、
− 減少/変化した全ミトコンドリア活性
の少なくとも1つ以上によって特徴付けられ得る。

0031

G1における不可逆的な細胞停止は、Matsuura et al25に記載されそして以下に簡潔に要約されているようにFACSによって評価され得る:

0032

細胞周期を分析するために、トリプシン処理した細胞を、少なくとも15分間4℃で冷70%EtOHを用いて固定する。固定した細胞を遠心分離にかけ、そしてPBS再懸濁し、その後、ヨウ化プロピジウム(10μg/ml)とRNaseA(250μg/ml)を用いて30分間の間に染色し、そして例えばFacsCalibur II (BD Biosciences)を使用してフローサイトメトリーによって分析する。

0033

テロメアサイズの短縮は、例えば以下の実施例に記載したような、例えばサザンブロット分析によって平均の末端制限酵素断片(TRF)長を評価することによって特徴付けられ得る。

0034

老化関連β−ガラクトシダーゼ活性(SA β−Gal)の発現を検出するための方法は、Matsuura et al25に記載され、そして以下に簡潔に要約されている:

0035

細胞培養液を記載の通りに染色する(Dimri et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 1995 Sep 26;92(20):9363-7)。簡潔に言うと、細胞を、リン酸緩衝食塩水(PBS)を用いて洗浄し、そして室温で3分間かけて1%パラホルムアルデヒドを用いて固定し、その後、PBSを用いて5分間かけて各々室温で3回洗浄する。染色を、40mMリン酸ナトリウム二塩基性)、40mMクエン酸、150mM NaCl、2mM MgCl2、5mMフェロシアン化カリウム、5mMフェリシアン化カリウム、1mg/mlX−gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−b−D−ガラクトシド、Pierce Chemical Co., Rockford,IL)を含むpH6の溶液を使用してCO2の濃縮されていないインキュベーター中で37℃で一晩かけて行なう。シアン化物塩およびX−galを、PBSおよびジメチルホルムアミド中の新たに作製した100倍ストック液からそれぞれ加える。その後、細胞を、PBSを用いて5分間かけて各々室温で3回洗浄し、その後、顕微鏡検査および写真撮影を行なった。

0036

間接的な免疫蛍光法による老化関連ヘテロクロマチン構造(SAHF)の発現を検出するための方法が、以下の実施例に記載されている。

0037

全ミトコンドリア活性を、プロトン勾配によって生じる膜電位差を測定することによって評価することができる。カチオン性ダイJC−1を使用してこのパラメーターを測定するための方法は、例えば以下の実施例に記載されている。

0038

高齢ドナーからの細胞は、老化細胞の特定の特徴、特に
−腫瘍サプレッサーp16INK4aおよびp21CIP1(以後、老化エフェクターと呼ぶ)のアップレギュレーション、
− 低下した増殖能、
ゲノム全体におけるCpGの低メチル化
− 無計画なヘテロクロマチン化
を示す多くの増殖細胞を含む。

0039

腫瘍サプレッサーp16INK4aおよびp21CIP1のアップレギュレーションは、タンパク質の発現および/またはmRNAの発現を測定するための当技術分野における通常の技術、例えばウェスタンブロット、ノザンブロットまたはリアルタイムPCRを使用して観察することができる。p16INK4aおよびp21CIP1の有意により高度な発現が、対照(非老化)細胞、例えば胚性幹細胞と比較して、試験細胞において観察された場合に、アップレギュレーションが観察される。

0040

本発明者らは、高齢ドナー(70歳を超える)からの増殖性細胞および老化細胞が、例えば遺伝子の発現または代謝の点において、幼若ドナーの細胞とは異なるサインを有することを示した。前記方法に従って得られたiPSCsは、胚性幹細胞により近いサインを有し、そして慣用的な4個のリプログラミング因子OCT4、SOX2、c−MYCおよびKLF4のカクテルを用いて得られたiPSCsとはその点で区別される。

0041

出願人の知る限りでは、少なくとも5個、好ましくは6個の特定のリプログラミング因子の組合せの使用を含む本発明の方法は、老化細胞または高齢ドナーの細胞から人工多能性幹細胞を生成するために当技術分野において記載された唯一の方法である。従って、本発明の方法は、特に、高い比率で老化細胞を含みやすい細胞集団に対して有用である。

0042

本発明の方法の1つの好ましい態様において、前記ターゲット細胞集団は、以下の老化表現型の特徴:
−腫瘍サプレッサーp16INK4aおよびp21CIP1(以後、老化エフェクターと呼ぶ)のアップレギュレーション、
− G1において不可逆的に停止した細胞、
−老化関連β−ガラクトシダーゼ活性(SA β−Gal)の発現、
− 老化関連ヘテロクロマチン構造(SAHF)の発現、
− 変化した全ミトコンドリア活性
の少なくとも1つ以上(または全て)を示す、少なくとも10%、20%、30%、40%または少なくとも50%の細胞を含む。

0043

別の特定の態様において、前記ターゲット細胞集団は、少なくとも50歳、例えば少なくとも60、70、80、90または少なくとも100歳である成人被験者から得られた、真皮細胞または線維芽細胞などの細胞である。

0044

このようなターゲット細胞集団を、哺乳動物種から、好ましくはげ歯類霊長類またはヒト種から、より好ましくはヒト種から得ることができる。

0045

ターゲット細胞集団を、種々の組織から、好ましくは自己再生処置の必要な高齢ヒト患者から得ることができる。

0046

種々の組織から試料を得るための方法および初代細胞を確立するための方法は当技術分野において周知である(例えばJonesおよびWise, MethodsMol Biol. 1997参照)。

0047

1つの特定の態様において、前記ターゲット細胞集団は、血液、骨髄脂肪組織、皮膚、髪、皮膚付属器内臓、例えば心臓、腸または肝臓間葉組織筋肉、骨、軟骨または骨格組織に由来する初代細胞から得られる。

0048

iPSCsの幼若化または生成における使用のためのリプログラミング因子の組合せ
本発明の1つの必要不可欠な特徴は、ターゲット細胞集団からの多能性幹細胞の幼若化または誘導における使用のための以下のリプログラミング因子:
i.Octファミリー遺伝子の1つの遺伝子、好ましくはOct4によってコードされるリプログラミング因子、
ii.Klfファミリー遺伝子の1つの遺伝子、好ましくはKlf4によってコードされるリプログラミング因子、
iii.Soxファミリー遺伝子の1つの遺伝子、好ましくはSox2によってコードされるリプログラミング因子、
iv.Mycファミリー遺伝子の1つの遺伝子、好ましくはc−Mycによってコードされるリプログラミング因子、
v.Lin28、および場合により
vi.Nanog
の組合せの使用である。

0049

老化細胞または高齢ドナーからの細胞などのターゲット細胞集団からの多能性幹細胞の幼若化または誘導における使用のためのリプログラミング因子の組合せは、例えば、5個のリプログラミング因子Oct4、Klf4、Sox2、c−Myc(またはL−myc)およびLin28、または6個のリプログラミング因子Oct4、Klf4、Sox2、c−Myc(またはL−myc)、Lin28およびNanogの組合せを含み得る。1つの好ましい態様において、p53の機能的阻害剤は全く使用されない。

0050

本明細書において使用するp53の機能的阻害剤は、(a)p53タンパク質の機能または(b)p53遺伝子の発現のいずれかを阻害することのできる任意の物質である。このような物質は、例えば、国際公開公報第2011/016588号に記載されている。最も具体的には、本発明の方法は、p53に対するsiRNAまたはshRNAをターゲット細胞集団(例えば老化細胞)に発現させるための手段の使用を全く含まない。

0051

本明細書において使用する「Octファミリー」という用語は、多能性の維持に非常に重要な役割を果たす、オクタマー(「Oct」)転写因子のファミリーを指す。Oct3/4としても知られるPOU5F1(POUドメインクラス5、転写因子1)はOctファミリーの1つの代表である。卵割球および胚性幹細胞などのOct−3/4+細胞においてOct3/4が無いことにより自発的な栄養膜の分化が起こり、従ってOct−3/4の存在は、胚性幹細胞の多能性および分化能をもたらす。例示的なOct3/4タンパク質は、マウスOct3/4遺伝子(GenbankアクセッションナンバーNM_013633)およびヒトOct3/4遺伝子(GenbankアクセッションナンバーNM_002701)によってコードされるタンパク質である。

0052

従って「Oct3/4」、「Oct4」、「OCT4」、「Oct4タンパク質」、「OCT4タンパク質」などという用語は、天然形のオクトマー4転写因子のいずれか、またはOct4転写因子活性(例えば、当技術分野において公知の方法によって測定されるような野生型Oct4と比べて少なくとも50%、80%、90%または100%以内の活性)を維持したその変異体を指す。いくつかの態様において、前記変異体は、天然Oct4ポリペプチドと比べてその全配列におよび少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する。他の態様において、Oct4タンパク質は、GenbankリファレンスDW77327.1によって同定されたようなタンパク質である。

0053

本明細書において使用する「Soxファミリー」という用語は、Oct−3/4と類似した多能性の維持に関連したSox遺伝子を指すが、それは、多能性幹細胞に専ら発現されているOct−3/4とは対照的に多能性および単能性幹細胞に関連している。Sox2は誘導のために使用された最初の遺伝子であったが1,3、Soxファミリーの他の遺伝子も、誘導プロセスにおいて同様に作動することが判明した。Sox1は、Sox2と類似した効率でiPSCsをもたらし、そして遺伝子Sox3、Sox15およびSox18もまたiPSCsを生じる。

0054

例示的なSox2タンパク質は、マウスSox2遺伝子(GenbankアクセッションナンバーNM_011443)およびヒトSox2遺伝子(GenbankアクセッションナンバーNM_003106)によってコードされるタンパク質である。

0055

従って、本明細書において言及したような「Sox2」、「SOX2」、「Sox2タンパク質」、「SOX2タンパク質」などという用語は、天然形のSox2転写因子のいずれか、またはSox2転写因子活性(例えば、当技術分野において公知の方法によって測定されるような野生型Sox2と比べて少なくとも50%、80%、90%または100%以内の活性)を維持したその変異体を含む。いくつかの態様において、前記変異体は、天然Sox2ポリペプチドと比べてその全配列におよび少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する。他の態様において、Sox2タンパク質は、NCBIリファレンスNP_003097.1によって同定されたようなタンパク質である。

0056

本明細書において使用する「Klfファミリー」という用語は、マウスiPSCsの生成のための因子として最初に同定されたKlf遺伝子を指し、そしてまた、ヒトiPSCsの生成のための因子であることが実証された。例示的なKlf4タンパク質は、マウスklf4遺伝子(GenbankアクセッションナンバーNM_010637)およびヒトklf4遺伝子(GenbankアクセッションナンバーNM_004235)によってコードされるタンパク質である。

0057

従って、本明細書において言及されるような「KLF4」、「KLF4タンパク質」などという用語は、天然形のKLF4転写因子のいずれか、またはKLF転写因子活性(例えば、当技術分野において公知の方法によって測定されるような野生型KLF4と比べて少なくとも50%、80%、90%または100%以内の活性)を維持したその変異体を含む。いくつかの態様において、前記変異体は、天然KLF4ポリペプチドと比べてその全配列におよび少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する。他の態様において、KLF4タンパク質は、NCBIリファレンスNP_004226.3によって同定されるようなタンパク質である。

0058

本明細書において使用するようなMycファミリーの因子は、ガンに関与しているmycガン原遺伝子によってコードされる因子を指す。c−Mycは、マウスiPSCsおよびヒトiPSCsの生成に関与する因子であることが示された。例示的なc−Mycタンパク質は、マウスc−myc遺伝子(GenbankアクセッションナンバーNM_010849)およびヒトc−myc遺伝子(GenbankアクセッションナンバーNM_002467)によってコードされるタンパク質である。N−MycまたはL−mycはまた、c−Mycを置きかえる可能なリプログラミング因子としても使用された。

0059

従って、本明細書において言及したような「c−Myc」、「C−MYC」、「c−Mycタンパク質」、「C−MYCタンパク質」などという用語は、天然形のcMyc転写因子のいずれか、またはcMyc転写因子活性(例えば、当技術分野において公知の方法によって測定されるような野生型cMycと比べて少なくとも50%、80%、90%または100%以内の活性)を維持したその変異体を含む。いくつかの態様において、前記変異体は、天然c−Mycポリペプチドと比べてその全配列におよび少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する。他の態様において、c−Mycタンパク質は、NCBIリファレンスNP_002458.2によって同定されるようなタンパク質である。

0060

「Nanog」または「nanog」という用語は、未分化胚性幹細胞の自己再生に決定的に関与する転写因子を指す。ヒトにおいて、このタンパク質はNANOG遺伝子によってコードされている。例示的なnanogは、マウス遺伝子(GenbankアクセッションナンバーXM_132755)およびヒトNanog遺伝子(GenbankアクセッションナンバーNM_024865)によってコードされるタンパク質である。

0061

従って、本明細書において言及したような「Nanog」または「nanog」などという用語は、天然形のNanog転写因子のいずれか、またはNanog転写因子活性(例えば、当技術分野において公知の方法によって測定されるような野生型Nanogと比べて少なくとも50%、80%、90%または100%以内の活性)を維持したその変異体を含む。いくつかの態様において、前記変異体は、天然Nanogポリペプチドと比べてその全配列におよび少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する。他の態様において、Nanogタンパク質は、NCBIリファレンスNP_079141によって同定されるようなタンパク質である。

0062

「Lin28」または「Lin−28ホモログA」という用語は、ヒトにおいてLIN28遺伝子によってコードされるタンパク質である。それは、未分化ヒト胚性幹細胞のマーカーであり、そしてIGF−2(インシュリン様成長因子2)mRNAに結合しそしてその翻訳を増強する細胞質mRNA結合タンパク質をコードする。Lin28はまた、let−7pre−miRNAに結合し、そしてマウス胚性幹細胞において成熟let−7マイクロRNAの産生を遮断することが示された。Yu et al.は、それはiPSCs生成における一因子であるが、必須ではないことを実証した3。例示的なLin28は、マウス遺伝子(GenbankアクセッションナンバーNM_145833)およびヒトLin28遺伝子(GenbankアクセッションナンバーNM_024674)によってコードされるタンパク質である。

0063

従って、本明細書において言及したような「Lin28」または「Lin28ホモログA」などという用語は、天然形のLin28転写因子のいずれか、またはLin28転写因子活性(例えば、当技術分野において公知の方法によって測定されるような野生型Lin28と比べて少なくとも50%、80%、90%または100%以内の活性)を維持したその変異体を含む。いくつかの態様において、前記変異体は、天然Lin28ポリペプチドと比べてその全配列におよび少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する。他の態様において、Lin28タンパク質は、NCBIリファレンスNP_078950によって同定されるようなタンパク質である。

0064

本明細書において使用する2つのアミノ酸配列間の同一率は、配列によって共有される同一位置の数の関数(すなわち同一%=同一位置の数/位置の総数×100)であり、これには、2つの配列の最適なアラインメントのために導入されることが必要である、ギャップの数および各ギャップの長さが考慮される。配列の比較および2つの配列間の同一率の決定は、以下に記載したような数学アルゴリズムを使用して達成できる。

0065

2つのアミノ酸配列間の同一率は、PAM120残基質量表、ギャップ長ペナルティー=12およびギャップペナルティー=4を使用し、ALIGNプログラムバージョン2.0)に組み込まれたE. MeyersおよびW. Miller (Comput. Appl. Biosci., 4:11-17, 1988)のアルゴリズムを使用して決定することができる。

0066

業者は、マウス、ラットウシウマヒツジブタヤギラクダカモシカおよびイヌなどの他の哺乳動物起源とする他の対応するリプログラミング因子を選択してもよい。有利には、当業者は、本発明の方法において出発材料として使用したターゲット細胞と同じ種に由来する対応するリプログラミング因子を選択することができる。

0067

当業者はまた、上の1つ以上のリプログラミング因子の類似体を選択することができる。本明細書において使用する「類似体」という用語は、異なる構造を有するが、iPSCsの生成における使用のためのリプログラミング因子と同じ結果を与え、従って、人工多能性幹細胞の生成のための方法において前記リプログラミング因子を置き換えることができる。

0068

例えば、このようなリプログラミング因子の類似体は、Wenlin LiおよびSheng Ding、Trendsin Pharmacological Sciences、第31巻、第1号、2010年1月、36〜45頁またはFeng et al. Cell Stem Cell.2009年4月3日;4(4):301-12 (特に、Feng et al., 2009の表1および2に開示された類似体を参照)に記載されている。

0069

リプログラミング因子の発現を増加させるための条件
リプログラミング因子の発現を増加させるための当技術分野において利用可能な任意の条件を(ただし、このような条件が、前記ターゲット細胞を人工多能性幹細胞へとリプログラミングするための適切な量のリプログラミング因子の存在をもたらす限り)、本発明の方法に使用することができる。

0070

リプログラミング因子の発現を増加させるための種々の方法が当技術分野において記載されている。総説については、Hanna JH, Saha K, Jaenisch R. Cell.2010年11月12日; 143(4):508-25;または、Sheng Ding. Trendsin Pharmacological Sciences、第31巻、第1号、2010年1月、36〜45頁;およびFeng et al. Cell Stem Cell.2009年4月3日;4(4):301-12を参照されたい。

0071

好ましい態様において、以下の代替手段をリプログラミング因子の発現を増加させるために使用し得る:
(i)前記リプログラミング因子をコードする遺伝子の内因性発現を増強させること、
(ii)制御配列作動可能に連結された前記リプログラミング因子のコード配列を含む発現ベクターをターゲット細胞集団に導入することによって、前記リプログラミング因子の異所性発現を可能とすること、または
(iii)細胞に、適切な量の前記リプログラミング因子またはその前駆RNAを送達すること。

0072

別の態様において、リプログラミング因子の組合せのコード配列、例えば、Oct4コード配列、Sox2コード配列、Klf4コード配列、c−Mycコード配列、Lin28コード配列および場合によりNanogコード配列、および/またはOct4、Sox2、Klf4、c−Myc、Lin28および場合によりNanogの対応するネイティブなコード配列に対して少なくとも60%、70%、80%、90%もしくは95%の同一性を有するコード配列を含む、1つ以上の発現ベクターを使用する。

0073

本明細書において使用する「コード配列」という用語は、転写されるとコードされた産物を生じるヌクレオチド配列に関する。本発明によるコード配列の転写は、適切なプロモーターに関連して容易に行なうことができる。好ましくは、コード配列は、転写されるとリプログラミング因子を生じる遺伝子のcDNA配列に対応する。

0074

2つのヌクレオチド配列間の同一率は、デフォルトとしてワード長(W)=11、期待値(E)=10、M=5、N=4および両鎖の比較を使用して、核酸配列のためのBLASTNプログラムなどの例えばアルゴリズムを使用して決定され得る。

0075

リプログラミング因子の異所性発現のための発現ベクターは、例えば、プラスミドベクターコスミドベクター細菌人工染色体(BAC)ベクタートランスポゾンベースとしたベクター(PiggyBacなど)またはウイルスベクターであり得る。

0076

1つの特定の態様において、前記リプログラミング因子の発現を増加させるために使用された発現ベクターはウイルスベクターである。このようなウイルスベクターの例としては、レトロウイルス、例えばHIVヒト免疫不全ウイルス)、MLV(マウス白血病ウイルス)、ASLV(トリ肉腫白血症ウイルス)、SNV(脾臓壊死ウイルス)、RSVラウス肉腫ウイルス)、MMTV(マウス乳ガンウイルス)など、レンチウイルスアデノ随伴ウイルスおよび単純ヘルペスウイルスを起源とするベクターが挙げられるが、それらに限定されない。

0077

リプログラミング因子をコードする発現ベクターに基づいた人工多能性幹細胞を生成するための方法は、当技術分野において記載されており、例えば、国際公開公報第2007/69666号、欧州特許第2096169−A1号または国際公開公報第2010/042490号を参照されたい。

0078

典型的には、本発明の方法において使用されるような任意のリプログラミング因子のコード配列、例えばOct4コード配列、Sox2コード配列、Klf4コード配列、c−Mycコード配列、Nanogコード配列および/またはLin28コード配列は、ターゲット細胞集団におけるコード配列の発現を奏功することのできる、例えばプロモーターなどの制御配列に作動可能に連結されていてもよい。このような発現ベクターはさらに、その発現を制御する調節エレメント、例えばプロモーター、開始コドン終止コドンポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを含み得る。プロモーターは構成性であってもまたは誘導性であってもよい。ベクターは自己複製性であっても、または宿主細胞のDNAに組み込まれていてもよい。

0079

あるいは、異所性発現のためのベクターはウイルスベクターであり、そしてウイルス粒子は、老齢細胞または老化細胞を含む前記ターゲット細胞集団に前記リプログラミング因子のコード配列を導入するために産生および使用される。「ウイルス粒子」という用語は、ウイルス構造タンパク質と前記リプログラミング因子をコードする配列とを含む粒子を指すことを意味する。

0080

ウイルス粒子は、前記のリプログラミング因子の組合せのヌクレオチドコード配列を有するウイルスベクターを用いてパッケージング細胞形質転換またはトランスフェクションすることによって調製され得る。以下の実施例において、ウイルス粒子はレンチウイルスから調製される。

0081

その後、ターゲット細胞集団を、上記したような発現ベクターを使用してトランスフェクションすることができる。

0082

「トランスフェクション」または「トランスフェクションする」という用語は、核酸分子を細胞に導入するプロセスを指す。核酸分子は、完全タンパク質またはその機能的部分をコードする遺伝子配列であり得る。任意の適切なトランスフェクション法が、本明細書に記載された方法において有用である。

0083

コード配列およびその制御配列を直接ターゲット細胞のゲノムに組み込むことは、発ガン遺伝子または腫瘍サプレッサー遺伝子突然変異のそれぞれ活性化または不活性化を引き起こす可能性がある。特定の適用、特に医学的適用のために、ターゲット細胞のあらゆる遺伝子的改変を回避することが必要とされ得る。

0084

第3の態様において、リプログラミング因子、例えばOct4、Sox2、Flk4、c−Myc、NanogおよびLin28、または対応するコードDNAもしくはRNAは、宿主DNAに外来性遺伝子材料が組み込まれることなく、すなわち、細胞のゲノムにヌクレオチド配列が導入されることなく、ターゲット細胞に導入される。

0085

プラスミドベクターなどの発現ベクターを、ネイキッドなDNAの形態で、リプログラミング因子の異所性発現のために前記細胞に送達することができる。あるいは、化学的に改変されたまたは改変されていないのいずれかである前記リプログラミング因子をコードするRNAを細胞に導入することによりそれらをリプログラミングすることができる(例えば、Warren L, et al, 2010, Cell Stem Cell.11月5日;7(5):618-30参照)。

0086

他の発現ベクターが、例えば、国際公開公報第2009115295号に記載されている。

0087

これらの核酸を、例えば、哺乳動物細胞における慣用的なトランスフェクションプロトコールを使用して、例えばリポソームまたはカチオン性ポリマー活用してターゲット細胞に送達することができる。

0088

特に、ターゲット細胞に核酸分子を導入するために送達システムとしてウイルスDNAまたはウイルス粒子を使用しない適切なトランスフェクション法を、本明細書に記載された方法において使用し得る。例示的なトランスフェクション法としては、リン酸カルシウムトランスフェクション法、リポソームトランスフェクション法、ヌクレオフェクションソノポレーション法、熱ショックを通したトランスフェクション法、マグネトフェクション法および電気穿孔法が挙げられるがそれらに限定されない。いくつかの態様において、核酸分子を、当技術分野において周知の標準的な手順に従って電気穿孔法を使用してターゲット細胞に導入する。

0089

あるいは、リプログラミング因子タンパク質、またはターゲット細胞のリプログラミングに関してインタクトなタンパク質と類似した特性を示すそのフラグメントを、ペネトラチンまたはTAT由来ペプチドを含むがそれらに限定されない細胞透過性ペプチドなどの化学的担体を活用して、前記ターゲット細胞に送達することができる。

0090

iPSCsの生成効率を改善するための方法もまた当技術分野において記載されている。特に、本発明の方法において、種々の生成効率改善剤の導入および/または添加を実施し得る。iPSCsの生成効率を改善するための物質の例としては、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えばバルプロ酸トリコスタチンA、乳酸ナトリウム、MC1293およびM344など)、並びに核酸発現阻害剤、例えばHDACに対するsiRNAsおよびshRNA、並びにG9aヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤、並びに核酸発現系阻害剤、例えばG9aに対するsiRNAおよびshRNAが挙げられるがそれらに限定されない(Feng et al., 2009、前記も参照)。

0091

1つの特定の態様において、本発明による方法は、老化エフェクターの直接的なサイレンシングの工程、および特にp53エフェクターの直接的なサイレンシングの工程を全く含まない。

0092

「直接的なサイレンシング」によって、対象となる遺伝子、例えばp53遺伝子の発現に対して直接的に作用する物質を使用することを意味し、上流の因子に対して作用する物質の使用は意味しない。遺伝子をサイレンシングするための1つの方法は、抑制しようとする遺伝子配列に対して直接的に指向されるsiRNAまたはshRNAの使用である。

0093

本発明の方法から得ることのできるiPSCsを含む組成物
本発明はさらに、上記したような方法から得ることのできるiPSCsおよび薬学的に許容されるビヒクルを含む細胞ベースの組成物(以後、「iPSCs組成物」と呼ぶ)に関する。顕著には、本発明によるiPSCsは、高齢ドナーからの細胞または老化細胞から誘導されているが、老化表現型の特徴を全く有さない。

0094

これらのiPSCs組成物は、典型的には、ヘリカーゼの異常によって引き起こされる疾患(ウェルナー症候群コケイン症候群、ロトムンド・トムソン症候群およびブルーム症候群および色素性乾皮症および裂毛症を含む)または他の疾患(ハッチソンギルフォード・プロジェリア症候群またはウィデマン・ラウテントラウヒ症候群を含む)などの加齢に伴う疾患を患う患者から得られたiPSCsを含み得る。

0095

本発明の方法から得ることのできるiPSCsの分化によって得られた細胞の組成物およびその使用
本発明の方法から得られた、特に高齢ドナーの細胞から得られたiPSCsは、有利には、in vitroにおいて分化条件下で培養されることにより、筋肉、軟骨、骨、真皮組織、心臓もしくは血管組織、または他の対象となる組織などの分化細胞を生成し得る。

0096

従って、本発明は、分化細胞を含む組成物を調製するための方法に関し、前記方法は、
(a)高齢ドナーのターゲット細胞から、本発明の方法から得られたiPS細胞を含む組成物を準備する工程;および
(b)iPS細胞を含む前記組成物を、所望の細胞系統へのその分化のための適切な条件下で培養する工程
を含む。

0097

当業者は、人工多能性幹細胞、ES細胞または間葉系幹細胞などの幹細胞を、所望の細胞系統へと分化するための公知のプロトコールを使用し得る。

0098

本発明の別の局面は、iPSCの分化から誘導された前記細胞系統を含む前記組成物の使用に関し、以後これを本発明の分化細胞と呼ぶ。

0099

本発明の分化細胞は、例えば70歳を超えるドナーなどの高齢ドナーの細胞から誘導されているが、老化表現型の出現前に、例えばテロメアサイズ、遺伝子発現プロファイル、代謝および細胞周期の数に関して、幼若化表現型を有するという特殊性を有する。従って、本発明の分化細胞は、多種多様な適用、特に、研究分野または治療分野において使用され得る。

0100

1つの主要な適用分野は、細胞療法または再生医療である。これらのiPSCsまたは分化細胞組成物はまた、上記したような加齢に伴う疾患の細胞モデルを生成するのに有用であり得る。

0101

例えば、遺伝子異常を患う患者から得られた線維芽細胞などの初代細胞を、当技術分野において公知の方法に従って培養および遺伝子的に修正し、そして続いて、本発明の方法に従ってiPSCsへとリプログラミングおよび幼若化し、そして患者、例えば細胞ドナーと同じ患者への再投与のために(自己処置)適切な細胞系統へと分化させ得る。

0102

同様に、再生医療を使用して、iPSCsまたはその誘導体(本発明の適切な前駆体または細胞系統または分化細胞を含む)を含む組成物をin vivoにおいて直接移植することによって、損傷を受けた組織をin vivoにおいて再生することによって、機能不全の組織、損傷を受けた組織または衰えている組織から生じたあらゆる疾病を潜在的に治癒することができる。好ましくは、このような損傷を受けた組織は、加齢に伴う疾患から損傷を受けた組織または50、60、70、80、90もしくは100歳を超える高齢患者からの組織である。

0103

1つの局面において、本発明のiPS細胞または分化細胞は、ガン疾患炎症疾患および自己免疫疾患、筋肉および骨格疾患、神経疾患糖尿病および他の代謝疾患を含むがそれらに限定されない、特定の疾患またはこのような疾患に関連した処置に因り、再生療法の必要な加齢に伴う疾患を患う患者または高齢患者の自己再生療法に有用であり得る。

0104

それ故、1つの局面において、本発明は、哺乳動物、例えばヒト患者、好ましくは50、60、70、80、90または100歳を超える高齢患者に、最も好ましくは自己移植片として(すなわち前記細胞は患者の細胞と同じ遺伝子型を有する)移植するための細胞療法製品としての使用のための本発明のiPSCs組成物または分化細胞に関する。

0105

別の特定の態様において、本発明のiPSCs組成物または分化細胞は、関節または軟骨、筋肉または骨の損傷の処置のために使用される。

0106

別の特定の態様において、本発明のiPSCs組成物または分化細胞はまた、有利には、再生医療(細胞ベースの療法)または研究における使用のための、真皮組織、例えば皮膚組織の産生のために使用され得る。

0107

別の特定の態様において、本発明のiPSCs組成物または分化細胞はまた、有利には、医薬品業界における適用をスクリーニングするための、健康な患者または疾病を有する患者からの真皮細胞、筋肉細胞または骨格細胞(これらに限定されないが)の産生のために使用され得る。このようなスクリーニング試験は、臨床適用を有する新規な薬物を探索するために、または毒性試験のために使用することができる。

0108

別の特定の態様において、本発明のiPSCs組成物または分化細胞はまた、心臓組織または血管組織を再生するために使用され得る。

0109

別の特定の態様において、本発明のiPSCs組成物または分化細胞はまた、例えば神経変性疾患を患う患者における、脳組織または神経組織の再生のために使用され得る。

0110

ターゲット細胞を幼若化するための方法
別の局面において、本発明は、高齢ドナーからの細胞または老化細胞を幼若化するための方法に関する。

0111

特に、本発明は、高齢ドナーからの細胞または老化細胞をin vitroにおいて幼若化するための方法に関し、前記方法は、前記ターゲット細胞における少なくとも以下のリプログラミング因子:
(i)Octファミリー遺伝子の1つの遺伝子、例えばOct4によってコードされるリプログラミング因子、
(ii)Klfファミリー遺伝子の1つの遺伝子、例えばKlf4によってコードされるリプログラミング因子、
(iii)Soxファミリー遺伝子の1つの遺伝子、例えばSox2によってコードされるリプログラミング因子、
(iv)Mycファミリー遺伝子の1つの遺伝子、例えばc−mycまたはL−mycによってコードされるリプログラミング因子、および
(v)Lin28、
(vi)および場合によりNanog
の発現を増加させることによって、前記ターゲット細胞を人工多能性幹細胞へとリプログラミングすることを含む。

0112

「幼若化する」という用語は、細胞老化表現型に関与するエピジェネティックな改変を消すプロセスを指す。細胞老化表現型は、とりわけ、以下のマーカー:
− p53/p21CIP1およびpRb/p16INK4A腫瘍サプレッサー経路(以後、老化エフェクターと呼ぶ)の活性化、
− G1において不可逆的に停止した細胞、
−テロメアサイズの短縮、
−老化関連β−ガラクトシダーゼ活性(SA β−Gal)の発現、
− 老化関連ヘテロクロマチン構造(SAHF)としての特異的なクロマチンの修飾、
− 特異的セクレトーム、
− 減少/変化した全ミトコンドリア活性
によって特徴付けられ得る。

0113

幼若化のプロセスは、これらの老化表現型マーカーの1つまたは全てが、幼若化プロセスに因り、老齢細胞型または老化細胞型において減少または抑制されている場合に観察される。

0114

1つの好ましい態様において、高齢ドナーからの細胞または老化細胞をin vitroにおいて幼若化するための方法は、高齢ドナーからの前記細胞または老化細胞を、以下のOct4、Klf4、Sox2、c−Myc、Lin28および場合によりNanogからなるリプログラミング因子の組合せの発現を増加させるための適切な条件下で培養することを含む。

0115

リプログラミング因子の組合せは、それを必要とする被験者の組織をin vivoにおいて幼若化するために使用され得る。従って、本発明はさらに、それを必要とする被験者における老化細胞または老齢細胞の幼若化のためのin vivoにおいての使用のための組成物に関し、前記組成物は、以下のOct4、Klf4、Sox2、c−Myc、Lin28および場合によりNanogからなるリプログラミング因子の組合せの発現を増加させるための手段を含む。

0116

いくつかの態様において、前記リプログラミング因子の発現を増加させるための前記手段は、適切な量のOct4タンパク質、Klf4タンパク質、Sox2タンパク質、c−Mycタンパク質、Lin28タンパク質および場合によりNanogタンパク質を含み、各タンパク質は、幼若化しようとする老化細胞の核への前記タンパク質の送達のための適切な手段に結合している。

0117

細胞へのタンパク質の送達のための手段としては、化学的担体、例えば細胞透過性ペプチド、例えばペネトラチンまたはTAT由来ペプチドが挙げられるがそれらに限定されない。

0118

他の態様において、前記リプログラミング因子の発現を増加させるための前記手段は、幼若化しようとする老化細胞の細胞質への各前駆RNAの送達のための適切な手段に結合させた、適切な量のOct4前駆RNA、Klf4前駆RNA、Sox2前駆RNA、c−Myc前駆RNA、Lin28前駆RNAおよび場合によりNanog前駆RNAを含む。

0119

上記したようなこれらの組成物は、特に、局所適用のために、例えば皮膚または真皮への適用のために、例えば皮膚疾患の処置のために適している。

0120

本発明はさらに、以下の実施例によって説明される。しかしながら、これらの実施例は、いずれにしても、本発明の範囲を制限するものと捉えるべきではない。

0121

実施例:
方法
高齢ドナーからの細胞は、Coriell Institute for Medical Research (NJ, USA)から入手した。複製老化細胞を、細胞周期増殖停止までの十分な細胞培養によって得、FACSによって評価し、そして老化関連β−ガラクトシダーゼ活性が以前に記載されているように検出された25。

0122

H9およびH1ヒト胚性幹細胞を、WiCell Research Institute (WI, USA)から入手した。hESCsおよびiPSCsはいずれも、20%ノックアウト血清代替品、0.1mM非必須アミノ酸、2mM L−グルタミン(全てInvitrogen製)、0.1mM β−メルカプトエタノールおよび10ng/mlの塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF、Peprotech)の補充されたKODMEM培養培地(hESC培地)中の、または以前に記載されたような26既知組成のmTeSR培地(Stemcell Technologies)を含むマトリゲル上のフィーダーフリー培養液(BD Biosciences)中のマイトマイシンCで処理したOF−1マウス胚線維芽細胞(MEF)上で標準的なhESC手順を使用して維持した。

0123

ヒトiPSCsの生成のために、ヒトOCT4、SOX2、NANOGおよびLIN28遺伝子のcDNAを含むレンチウイルスベクターをAddgeneから入手し、そしてこれは以前にYu et al3によって記載された。KLF4およびc−MYC cDNAを、Takahashi et al.2,3によって記載されたベクターと同じベクター骨格サブクローニングした。293T細胞株(Invitrogen)を使用して、導入遺伝子を発現するレンチウイルスを産生した。ヒト初代線維芽細胞を、形質導入の1日前に35mmの皿あたり2×105個の細胞で播種した。6個の各々のレンチウイルスを含む等量の上清を混合し、線維芽細胞皿に移し、そして一晩かけてインキュベーションした。形質導入から24時間後、レンチウイルスを含む培地を第2の上清と交換した。形質導入から6日後、線維芽細胞をトリプシン処理によって収集し、そして100mm皿のMEFフィーダー層上に再播種した。次の日、培地を、10ng/mlのbFGFの補充されたhESCs培地と交換した。培地を隔日で交換した。形質導入から40日後に30個のコロニーを拾い上げ、そして35mm皿の、10ng/mlのbFGFの補充された2mlのhESCs培地を含むフィーダー層上に移した。

0124

結果
74歳のドナーの増殖性ヒト二倍体線維芽細胞(以後74P)を、連続継代によって複製老化へと誘導した(74S)。細胞老化を、18回の継代後に(集団倍加数51)、FACS分析、SA−β−Gal活性の増加、CDK阻害剤p16INK4Aおよびp21CIP1のアップレギュレーションおよびSAHFsの形成によって評価した。また、これらの老化細胞は、検出可能な細胞数の増加を全く伴うことなく、培養液中で2か月を超えて維持され、これにより細胞周期停止の頑強性が確認された。本発明者らは最初に、LIN28を含む遺伝子のセット(OCT4、NANOG、SOX2、LIN28)の過剰発現によって、これらの老化線維芽細胞からiPSCsを生成することを試みて、4個のリプログラミング因子OCT4、SOX2、KLF4、c−MYCのセットを用いて公表されそして老化迂回のために非効率として最初に記載された以前の実験結果と比較した。これらの全てのリプログラミング因子の遺伝子が、個々のレンチウイルスによって形質導入された。40日後、本発明者らは、iPSCsに似たhESCコロニーの新たな増殖または形成を全く観察しなかった。これは、感染した細胞集団において検出可能な内因性多能性遺伝子の発現がないことによって確認され、一方で定量RT−PCRは効率的なウイルス形質導入を実証した。これらの結果は、LIN28を含むリプログラミング因子のセットは、OCT4、SOX2、KLF4、c−MYCの組合せを用いて以前に記載されたように、複製老化状態逆行させることによりiPSCsを生成することはできないことを実証する。

0125

興味深いことに、NANOGの過剰発現は、主に細胞分裂速度非依存的にリプログラミングを加速させると記載され、そしてLIN28の過剰発現は、p53/p21CIP1経路の阻害と同じように細胞分裂速度を高め、結果として、加速されたiPSCsの産生速度がもたらされた13、14。それ故、本発明者らは、個々のレンチウイルス粒子によって導入された6個のリプログラミング因子OCT4、NANOG、SOX2、KLF4、LIN28およびc−MYCの組合せに基づいたリプログラミング効率向上のために最適化されたプロトコールを使用して、老化誘導原のさらなる一過的または永久的な阻害を伴うことなく、老化障壁は克服され得ると仮定した。

0126

本発明者らの仮説を試験するために、74P細胞および74S細胞を、6個の各遺伝子を有する個々のレンチウイルスの混合液を用いて2回感染させた。感染から1週間後、本発明者らは、感染老化線維芽細胞(74S inf)におけるSAHFsの消失を観察し、これによりリプログラミングの最初の工程が明らかとなった。その後、細胞をhESCs培地中のマウス線維芽細胞フィーダー上に蒔き、そして18〜20日後、感染老化細胞における増殖が回復した。hESCsに似たコロニーが、感染から35〜40日後に出現した。iPSCに似たコロニーが老化線維芽細胞(74S)から産生され、平均リプログラミング効率は0.015〜0.03%であり、これは同じ条件下で感染させた増殖性線維芽細胞(74P)と類似していた。本発明者らは、74歳のドナーの増殖性線維芽細胞(iPSC 74P)および老化線維芽細胞(iPSC 74S)から6個のコロニーを無作為に選択し、そしてさらに、その後通常のhESCsフィーダーまたはフィーダーフリー培養条件のいずれかにおいて成功裏に増殖した3個のコロニーを特徴付けた。幹細胞マーカーの発現のための長期培養および評価は、今では35回を超える継代におよび増殖しているこれらの細胞の成功裏の維持およびリプログラミングを確認した。免疫細胞化学分析は、ヒト多能性幹細胞を特徴付ける細胞表面マーカーSSEA−4およびTRA−1−60の継続した存在を実証した。定量RT−PCR分析は、iPSCsが、Thomson Laboratory (iPSCIMR90 TH Cl 43)で生成されそして平行して増殖されたH1およびH9hESC系またはIMR90クローン4iPSC系と同じレベルで内因性OCT4、SOX2、NANOGおよびREX1多能性マーカー遺伝子再発現したが、親線維芽細胞では転写物は全く検出されなかったことを示した。内因性遺伝子のこの再活性化を実証するために、本発明者らは、OCT4プロモーターおよびNANOGプロモーターにおける1つの記載されたCpGリッチ領域におけるCpGジヌクレオチドDNAメチル化状態を調べた。バイサルファイトゲノムシークエンス分析は、OCT4プロモーターおよびNANOGプロモーターの両方が、hESC H9のメチル化状態と比べた場合、以前に公表されたiPSC IMR90 TH Cl 43と同じくらい効率的に、老化細胞(iPSC 74S Cl F)または増殖性細胞(iPSC 74P Cl H)に由来するいずれのiPSCsにおいても脱メチル化され、一方、親線維芽細胞における同じ領域は高度にメチル化されていたことを示した。

0127

あらゆる細胞型特異的作用を排除するために、本発明者らは、連続継代によって複製老化を誘発させたIMR90ヒト胚線維芽細胞を使用して同じプロトコールを繰り返した。74歳のドナーの線維芽細胞と同じように、本発明者らは、以前に記載された両方の4個の因子のセットを使用してiPSCsを生成することに成功しなかったが、一方、本発明者らは6個の因子の組合せを用いて増殖性IMR90線維芽細胞または老化IMR90線維芽細胞から類似したリプログラミング効率を得た。

0128

次に本発明者らはiPSC 74Pクローンと比べてiPSC 74Sの分化能を評価することによって本発明者らが生成したiPSCsの多能性状態を評価した。全てのiPSCsは、それぞれSMA、MAP2およびFOXA2に対する特異的な抗体を用いた免疫染色を使用して実証されたように、3つの初期胚系統、すなわち内胚葉、外胚葉および中胚葉へと分化することができた。本発明者らは、老化IMR90線維芽細胞を用いて類似した結果を得た。要するに、これらの結果は、6個の転写因子、すなわちOCT4、NANOG、SOX2、KLF4、LIN28およびc−MYCの組合せは、iPSCsの生成へと至る、細胞老化状態を逆行させるための成功裏なリプログラミング戦略であることを示す。

0129

加齢中に、老化細胞の数はヒト体内において増加し、そして組織の恒常性を損なうと考えられている。しかしながら、p16INK4Aおよびp21CIP1の増加した発現は、高齢ドナーからの増殖細胞において起こり、そして進行的にその増殖能を減少させると考えられている15。百寿者の増殖細胞が多能性に向かって効率的にリプログラミングされ得るかどうか、そしてそれらが細胞老化表現型のいくつかの特定のマーカーを保持しているかどうかは、未解決の問題である。この特定の論点を調べるために、本発明者らは、6個の因子を組み合わせて使用することによって、リプログラミング実験のために92、94、96および101歳のドナーの線維芽細胞を使用した。老化細胞に対する本発明者らの以前の実験によって示唆されるように、本発明者らは老化線維芽細胞を用いて得られたのと類似した効率で、全ての高齢ドナーの線維芽細胞からiPSCsを生成することができた。生成された全てのiPSCクローンは、各々の親線維芽細胞系の2つのクローンについて提示されているような、内因性多能性遺伝子OCT4、SOX2、NANOGおよびREX1を再発現し、これはまた、OCT4プロモーター領域およびNANOGプロモーター領域におけるCpGの脱メチル化によっても確認された。興味深いことに、本発明者らはまた、高齢ドナーからの親線維芽細胞におけるNANOGプロモーターの部分的脱メチル化を観察し、これは高齢者においてすでに記載16されているゲノムの全体的な脱メチル化に一致し、これもまたリプログラミングにおいて寄与効果を有し得る。さらに、本発明者らは多能性細胞表面マーカーSSEA−4およびTRA−1−60の再発現を検出し、そして最後に、本発明者らは、それぞれSMA抗体、MAP2抗体およびFOXA2抗体を用いて免疫染色することによって判断したところ、内胚葉、外胚葉および中胚葉の派生物へと分化するその能力を実証した。

0130

これらの結果は、成功裏に多能性状態を元通りにしそして百寿者の線維芽細胞からの自己再生を行なうための本発明者らのリプログラミング手順の効率を実証し、従って、細胞の加齢および頻繁に伴う老化表現型は、多能性に向けてのリプログラミングに対する制約ではない。

0131

本発明者らは高齢ドナーおよび老化線維芽細胞を使用してiPSCsの生成に成功したが、最も重要な問題は、多能性状態の誘導が細胞老化表現型の主なマーカーを消し得るかどうかを解明することであった。本発明者らは以前にリプログラミングがSAHFの消失を誘導することを示し、老化細胞のゲノム構成可塑性を実証した。その後、本発明者らは本発明者らのiPSCsにおける加齢および老化の他の特徴を分析し、そして74歳のドナーからの複製老化線維芽細胞から生成したiPSCsは、イムノブロット分析によって示されるように、その以前の老化状態から遺伝されたp21CIP1およびp16INK4Aの増加した発現を保持していないことを見出した。類似した結果が、IMR90複製老化線維芽細胞を用いても得られた。さらに、百寿者から生成された全てのiPSCsはまた、hESC系と同じように、p21CIP1タンパク質およびp16INK4Aタンパク質のダウンレギュレーションされた発現を有する。これらの結果は、本発明者らが、p21CIP1およびp16INK4Aの発現を、hESCsに見られる低いレベルまでリセットすることができたことを示す。

0132

高齢ドナーからの増殖性線維芽細胞は、通常、不均一なサイズのテロメアによって特徴付けられ、その平均長は、親から遺伝されたサイズおよび生涯期間の間に起こる種々の分裂回数に依存するが、増殖能とは必ずしも相関しない。しかしながら、複製老化は、常に、短いテロメアに関連している。短いテロメアは損傷されたDNAとして認識され、DNA損傷応答シグナリングカスケードの活性化および老化関連細胞周期停止のトリガーが起こる。iPSCsは一般的に、親分化細胞と比べて増加したテロメアサイズを示すが17、本発明者らは老化細胞または百寿者の細胞から得られたiPSCsが、増加した長さのテロメアを示すかどうかを疑った。この問題に取り組むために、本発明者らは、増殖細胞と比べて、複製老化細胞から得られたiPSCsの平均の末端制限酵素断片(TRF)長を調べるためにサザンブロット分析を使用した。本発明者らは、74歳のドナーからの増殖細胞または老化細胞の両方からのiPSCsのテロメア長は、H9 hESCにおいて観察されたものと等しいサイズまで増加することを見出した。集団倍加数50の後に複製老化に入る親線維芽細胞とは異なり(胚線維芽細胞IMR90については倍加数60〜63)、本発明者らは、全てのiPSC系を連続的に培養することができ、これは集団倍加数が110を超えた後も依然として安定であった。同様に、テロメアDNA長は、リプログラミング後に、老化IMR90胚線維芽細胞または増殖性IMR90胚線維芽細胞から誘導されたiPSCsにおいて増加していた。百寿者のテロメアは、老化線維芽細胞よりもサイズが短縮されていたが、本発明者らはそのサイズをhESCsと同じ長さまでリセットすることができた。興味深いことに、いくつかのiPSCクローンにおいては、本発明者らはH9 hESCに見られるよりも長い上限サイズを見出し、このことは多能性細胞におけるテロメアサイズが、遺伝された最大サイズを有さないことを示唆する。それはまた、再生医療における細胞ベース療法に適した、分化細胞の増殖能の向上したiPSC生成におけるいくつかのさらなる開発の可能性を示唆する。

0133

まとめると、これらのデータは、本発明者らのリプログラミングプロトコールが、生成されたiPSCsにおける老化および加齢の最も一般的な特徴を消去することを強調する。

0134

老化および老齢から誘導されたiPSCsの多能性をさらに評価するために、本発明者らは、老齢増殖性線維芽細胞および老化線維芽細胞からの3つのiPSCクローン、すなわちiPSC 74P Cl H、iPSC 74S Cl FおよびiPSC 96 Cl 1を選択した。本発明者らは最初に、マウスにおける奇形腫の形成によって最終分化へと進行し、これにより3つの胚系統の組織化された器官様の構造の出現に至る、これらのクローンの全能力を確認した。DNAフィンガープリント分析(ショートタンデムリピート、STR)も実施することにより、iPSCクローンが、その対応する親線維芽細胞から誘導されたことを確認した。本発明者らはまた、リプログラミングに使用した6個の導入遺伝子がほぼ完全にダウンレギュレーションされたことを確認した。

0135

その後、本発明者らは、3個の選択されたクローンおよびその親対応物トランスクリプトーム分析を実施し、本発明者らは、一覧(18)として構築されたhESCsおよびiPSCsのデータセットと比較した。本発明者らは最初に、特定の多能性遺伝子が、一覧(19)のhESCsおよびiPSCsと同じレベルで本発明者らのiPSCsにおいて発現されたことを確認した。その後、本発明者らは、いくつかのhESCs、iPSCsおよび生後線維芽細胞と組み合わせた、本発明者らの3つのiPSCクローンおよびその親線維芽細胞の階層的クラスタリングを実施した。顕著には、本発明者らは、増殖性線維芽細胞、老化線維芽細胞および老齢線維芽細胞は、生後線維芽細胞と比べて一緒クラスタリングすることを見出し、このことはそれらが一般的な共通した加齢サインを共有することを示唆する。さらに、6個の因子の感染を使用して得られた増殖性線維芽細胞および老化老齢線維芽細胞から誘導されたiPSCsは、4個の因子の感染から誘導された以前に記載されたiPSCsよりもhESCsに有意により類似している。

0136

酸化ストレスおよびミトコンドリア機能不全は、老化および加齢において十分に記載されており20,21、本発明者らは老化細胞および老齢細胞のこれらの機能が特異的にリプログラミングされるかどうかを疑った。トランスクリプトーム分析は、以前に記載されているように22、両方のプロセスに関与する遺伝子を本発明者らが研究することを可能とした。ここでも、この特定の遺伝子のサブセットを含むトランスクリプトームのクラスタリングは、これらの変化した機能に関連した発現プロファイルの全体的な改変が、幼若増殖性胚線維芽細胞または生後線維芽細胞と比べた場合、老齢線維芽細胞および老化線維芽細胞に特異的であり、そして本発明者らの誘導されたiPSCsは、これらの機能を胚様状態にリセットすることを示した。次に、本発明者らは、プロトン勾配によって生じた(?Ym)膜電位差を測定することによって、hESCsと比較して、誘導されたiPSCsにおける全ミトコンドリア活性を評価し、これは健康なミトコンドリア機能指標である。この目的のために、本発明者らはカチオン性ダイJC−1を使用し、そして共焦点顕微鏡およびフローサイトメトリー分析によってその2つの形態の蛍光強度比を定量した。以前に示されているように、赤/緑の比は老化と共に減少し20,21、そしてまた、加齢と関連しているようである。顕著には、本発明者らはhESCsに見られるのと同じレベルにまで増加したiPSCsにおける比を見出し、これにより、リプログラミングが、年月を経た線維芽細胞および老化線維芽細胞から誘導されたiPSCsのミトコンドリア活性を回復したことが確認された。類似の結果が、増殖性IMR90線維芽細胞または老化IMR90線維芽細胞からのiPSCsを用いて得られた。さらに、本発明者らは、電子顕微鏡によって、H1 hESCと比較して、iPSCsにおけるミトコンドリアの分布および形態に差異を観察しなかった。ミトコンドリア特性の分析は、遺伝子発現プログラムのリセットにおいて核リプログラミングがどのように、細胞小器官(その機能不全は細胞の加齢に関与する)の損なわれた機能の回復を通して健康な細胞生理機能へと幼若化し得るかを示す。

0137

最後に、線維芽細胞分化アッセイを使用して23,24、本発明者らは、これらの細胞が早まって老化に進入しなかったことを実証した。実際に、74P、Sおよび96iPSCsから誘導された線維芽細胞は、集団倍加数10の後にSA−β−Gal活性を示さず、そして幼若増殖性線維芽細胞と等しい増殖速度を示した。本発明者らのリプログラミング戦略が、老化誘導経路における突然変異と全く関連していないという可能性を排除するために、本発明者らは、再分化した線維芽細胞が複製老化に再進入する能力を実証した。十分な培養後、これらの細胞は老化し、これは細胞周期停止に関連した増加したSA−β−Gal活性、p16INK4Aおよびp21CIP1の再増加した発現、並びに再短縮されたテロメアサイズによって示された。より興味深いことには、複製老化をトリガーするに必要とされる集団倍加(PD)数は増加した。74歳の親線維芽細胞はPD51の後に複製老化に進入したが、iPSC 74S Cl Fから再分化した線維芽細胞はPD58の後にのみ複製老化に進入した。この再度獲得された増殖能は、PD12で感染させた、74歳の増殖性親線維芽細胞PD60から誘導されたiPSC74P Cl Hと類似している。これらの細胞は、複製老化による消耗の前に集団倍加能PD39を示した。96歳の線維芽細胞の増殖能の同じようなリセットが観察され、そしてこれはテロメアの延長によって説明された。本発明者らは、老化状態を克服した本発明者らのリプログラミング戦略が、細胞の寿命をも増加させることができたと結論付ける。親線維芽細胞を、線維芽細胞における生後のおよび分化したH1 hESCsと比較した、階層的クラスタリングによるトランスクリプトーム分析は、最終的に、年月を経たドナーの線維芽細胞および老化線維芽細胞から生成された本発明者らのiPSCsからの初期の再分化した線維芽細胞の全遺伝子発現プロファイルは親線維芽細胞とは明確に異なり、そしてH1hESC系から誘導された胚線維芽細胞に近いことを実証した。この結果はまた、酸化ストレスおよびミトコンドリア活性に関連した遺伝子発現プロファイルによって確認され、これにより本発明者らの老齢細胞および老化細胞の幼若化した生理機能が確認された。

0138

総合すれば、本発明者らの結果は、複製老化細胞および百寿者に由来する細胞を、特定の遺伝子の組合せを使用してiPSCsへとリプログラミングすることが可能であることを示し、このことは、加齢および老化は、多能性に向けてのリプログラミングに対する障壁ではないことを実証する。それはまた、基本的な細胞リプログラミングの本発明者らの理解を向上させ、そして細胞加齢プロセス(これも同様に明白にリプログラミングを受けやすい)に関与するエピジェネティックな改変の過小評価された重要性を強調する。しかし最も重要なことには、本発明者らはまた、適切なリプログラミング戦略を使用して、細胞生理機能を幼若化することが可能であることを実証し、このことは、老化表現型の主要な局面の可逆性の可能性を示唆する。これらの結果はまた、加齢に伴う疾病モデルの開発の可能性を促進し、そして加齢に伴ういくつかの病態を消すための新たな治療的な細胞ベースの戦略の開発を支持する。

0139

0140

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