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技術 植物の病原菌感染抑制剤

出願人 国立大学法人神戸大学コスモ石油株式会社
発明者 金丸研吾齊藤優
出願日 2018年3月2日 (2年0ヶ月経過) 出願番号 2018-037114
公開日 2019年9月12日 (6ヶ月経過) 公開番号 2019-151577
状態 未査定
技術分野 農薬・動植物の保存
主要キーワード 化学反応溶液 かいよう アミノカルボン酸系キレート剤 樹木類 トリエチレンテトラアミンヘキサ酢酸 感染抑制作用 乾腐病 接触感染
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年9月12日)のものです。
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図面 (1)

課題

植物の病原菌感染抑制剤を提供すること。

解決手段

一般式(1) H2NCH2CH(OH)CH2CH2COOR1 (1)(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。)で表される5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩を有効成分とする植物の病原菌感染抑制剤。

概要

背景

近年、地球規模で進行しつつある人口増加気候変動、更には食料需給構造の変化に伴い、食料不足加速することが危惧されている。農作物生産においては、病害虫雑草により、農作物の生育が阻害されて収量が減少する、品質が低下する等の大きな損失被害を被っており、農作物を安定して生産、供給するために、病害防除が重要な課題となっている。

従来、病害防除には、主に化学合成農薬が使用されてきた。化学合成農薬の多くは、病害の原因となる植物病原菌への殺菌又は抗菌作用により、直接的に影響を及ぼして、植物病原菌の感染拡大を防止する。化学合成農薬の使用は、農作物の収量増加や農作業の効率化につながるという側面がある一方、同一種類の化学合成農薬の連用による耐性菌出現や、農作物、土壌、水に農薬残留し、生体に悪影響を及ぼすこと等が懸念される。そのため、化学合成農薬の使用を減らした又は該農薬を使用しない農作物生産や、植物自身が有する植物病原菌に対する抑制機構を有効に利用して病原菌感染による農作物被害を防ぐことが求められている。

5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸及びその誘導体は、医薬品の製造中間体として用いられることが知られており(特許文献1、2)、植物の成長促進剤として用いられることも知られている(特許文献3)が、植物への病原菌感染の抑制に関する作用については何ら知られていない。

概要

植物の病原菌感染抑制剤を提供すること。一般式(1) H2NCH2CH(OH)CH2CH2COOR1 (1)(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。)で表される5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩を有効成分とする植物の病原菌感染抑制剤。なし

目的

本発明は、新たな植物の病原菌感染抑制剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

一般式(1)H2NCH2CH(OH)CH2CH2COOR1(1)(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。)で表される5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩を有効成分とする植物の病原菌感染抑制剤

請求項2

5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩を0.0001〜10000ppm含有する請求項1記載の植物の病原菌感染抑制剤。

請求項3

植物が穀物類又は野菜類である請求項1又は2記載の植物の病原菌感染抑制剤。

請求項4

一般式(1)H2NCH2CH(OH)CH2CH2COOR1(1)(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。)で表される5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩を施用する、植物の病原菌感染抑制方法

技術分野

0001

本発明は新規な植物の病原菌感染抑制剤に関する。

背景技術

0002

近年、地球規模で進行しつつある人口増加気候変動、更には食料需給構造の変化に伴い、食料不足加速することが危惧されている。農作物生産においては、病害虫雑草により、農作物の生育が阻害されて収量が減少する、品質が低下する等の大きな損失被害を被っており、農作物を安定して生産、供給するために、病害防除が重要な課題となっている。

0003

従来、病害防除には、主に化学合成農薬が使用されてきた。化学合成農薬の多くは、病害の原因となる植物病原菌への殺菌又は抗菌作用により、直接的に影響を及ぼして、植物病原菌の感染拡大を防止する。化学合成農薬の使用は、農作物の収量増加や農作業の効率化につながるという側面がある一方、同一種類の化学合成農薬の連用による耐性菌出現や、農作物、土壌、水に農薬残留し、生体に悪影響を及ぼすこと等が懸念される。そのため、化学合成農薬の使用を減らした又は該農薬を使用しない農作物生産や、植物自身が有する植物病原菌に対する抑制機構を有効に利用して病原菌感染による農作物被害を防ぐことが求められている。

0004

5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸及びその誘導体は、医薬品の製造中間体として用いられることが知られており(特許文献1、2)、植物の成長促進剤として用いられることも知られている(特許文献3)が、植物への病原菌感染の抑制に関する作用については何ら知られていない。

先行技術

0005

特開2002−284750号公報
特開2003−88393号公報
国際公開第2014/136863号

発明が解決しようとする課題

0006

従って、本発明は、新たな植物の病原菌感染抑制剤を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、かかる現状に鑑み鋭意研究を行ったところ、5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はその塩を植物に施用すれば、植物への病原菌感染を抑制できることを見出し、本発明を完成した。

0008

すなわち、本発明は下記一般式(1)

0009

H2NCH2CH(OH)CH2CH2COOR1 (1)

0010

(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。)
で表される5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩を有効成分とする植物の病原菌感染抑制剤を提供するものである。

0011

また、本発明は、上記一般式(1)で表される5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩を施用する、植物の病原菌感染抑制方法を提供するものである。

発明の効果

0012

本発明によれば、植物への病原菌感染を抑制することができ、植物の収穫量の増加、品質の向上が可能となる。

図面の簡単な説明

0013

5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸投与又は非投与のシロイヌナズナ菌核病菌接触感染させた場合の葉の写真である。

0014

本発明の植物の病原菌感染抑制剤の有効成分は、5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体(前記一般式(1))又はそれらの塩である。

0015

一般式(1)中、R1は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。該炭化水素基の炭素数は1〜6であることが好ましい。

0016

R1としての炭化水素基は、例えば炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数2〜10の不飽和脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、炭素数4〜10の脂環式脂肪族炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素数7〜10の芳香族−脂肪族炭化水素基等である。好ましい炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基である。

0017

上記飽和脂肪族炭化水素基の例としては、例えば、メチルエチル、n−プロピルイソプロピルn−ブチルイソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチルネオペンチル、tert−ペンチル、2−メチルブチルn−ヘキシルイソヘキシル、3−メチルペンチルエチルブチル、n−ヘプチル、2−メチルヘキシル、n−オクチル、イソオクチル、tert−オクチル、2−エチルヘキシル、3−メチルヘプチル、n−ノニル、イソノニル、1−メチルオクチル、エチルヘプチル、n−デシル、及び1−メチルノニルなどが挙げられ、好ましい飽和脂肪族炭化水素基としてメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、及びn−ヘキシルなどの炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基が挙げられる。

0018

上記不飽和脂肪族炭化水素基の適当な具体例としては、例えばビニルアリル、イソプロペニル、2−ブテニル、2−メチルアリル、1,1−ジメチルアリル、3−メチル−2−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、4−ペンテニル、n−ヘキセニル、n−オクテニル、n−ノネニル、及びn−デセニルなどが挙げられ、好ましい不飽和脂肪族炭化水素基としてビニル、アリル、イソプロペニル、2−ブテニル、2−メチルアリル、1,1−ジメチルアリル、3−メチル−2−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、4−ペンテニル、及びn−ヘキセニルなどの炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖アルケニル基が挙げられる。

0019

上記脂環式炭化水素基の適当な具体例としては、例えばシクロプロピルシクロブチルシクロペンチルシクロヘキシルシクロヘプチルシクロオクチル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、4−エチルシクロヘキシル、2−メチルシクロオクチル、シクロプロペニルシクロブテニル、シクロペンテニルシクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロオクテニル、4−メチルシクロヘキセニル、4−エチルシクロヘキセニルなどが挙げられ、好ましい脂環式炭化水素基としてシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、及びシクロヘキセニルなどの炭素数3〜6のシクロアルキル又はシクロアルケニル基が挙げられる。

0020

上記脂環式−脂肪族炭化水素基の適当な具体例としては、例えばシクロプロピルエチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘプチルメチル、シクロオクチルエチル、3−メチルシクロヘキシルプロピル、4−メチルシクロヘキシルエチル、4−エチルシクロヘキシルエチル、シクロプロペニルブチル、シクロブテニルエチル、シクロペンテニルエチル、シクロヘキセニルメチル、シクロヘプテニルメチル、シクロオクテニルエチル、及び4−メチルシクロヘキセニルプロピルなどが挙げられ、好ましい脂環式−脂肪族炭化水素基としてシクロプロピルエチル、シクロブチルエチルなどの炭素数4〜6のシクロアルキル−アルキル基が挙げられる。

0021

上記芳香族炭化水素基の適当な具体例としては、例えばフェニルナフチルなどのアリール基;4−メチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,4,5−トリメチルフェニル、2−エチルフェニル、n−ブチルフェニル、及びtert−ブチルフェニルなどのアルキル置換フェニル基などが挙げられ、好ましい芳香族炭化水素基としてフェニルが挙げられる。

0022

上記芳香族−脂肪族炭化水素基の具体的な例としては、例えばベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチルなどの炭素数7〜10のフェニルアルキル基が挙げられる。

0023

一般式(1)の化合物の塩としては、例えば塩酸塩臭化水素酸塩ヨウ化水素酸塩、リン酸塩、メチルリン酸エチルリン酸亜リン酸塩次亜リン酸塩硝酸塩硫酸塩、酢酸塩プロピオン酸塩トルエンスルホン酸塩コハク酸塩シュウ酸塩乳酸塩酒石酸塩グリコール酸塩メタンスルホン酸塩酪酸塩吉草酸塩クエン酸塩フマル酸塩マレイン酸塩リンゴ酸塩等の酸付加塩、及びナトリウム塩カリウム塩カルシウム塩等の金属塩アンモニウム塩アルキルアンモニウム塩等が挙げられる。なお、これらの塩は使用時において水溶液又は粉体として用いられる。
以上詳述した5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩は、水和物又は溶媒和物を形成していてもよく、またいずれかを単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。また、光学活性体を使用してもよく、ラセミ体を使用してもよい。

0024

5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩は、化学合成微生物による生産、酵素による生産のいずれの方法によっても製造することができ、例えば、特許文献1、2等に記載の方法に準じて製造することができる。上記のようにして製造された5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、それらの精製前の化学反応溶液発酵液は、有害な物質を含まない限り、分離精製することなくそのまま用いることができる。また市販品なども使用することができる。

0025

5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩は、優れた植物の病原菌感染抑制作用を有する。特に、植物における病原菌の感染拡大の抑制効果に優れ、植物の収穫量を増加させ、品質を向上させる作用を有する。ここで、「感染抑制」には、感染防御感染抵抗性増強が含まれる。

0026

本発明の植物の病原菌感染抑制剤の適用対象となる植物としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、イネ、オオムギコムギヒエトウモロコシアワ等の穀物類カボチャカブキャベツダイコンハクサイホウレンソウコマツナミツバアスパラガスブロッコリーニラセロリレタス、シュンギク、キョウナチンゲンサイピーマントマトナスキュウリオクラ等の野菜類ミカンリンゴカキウメナシブドウモモイチゴスイカメロン等の果実類キクガーベラパンジーランシャクヤクチューリップ等の花卉類;サツキ、クヌギ、スギヒノキ、ナラ、ブナ等の樹木類アズキインゲンダイズラッカセイソラマメエンドウ等の豆類コウライシバベントグラスノシバ等の類;ジャガイモサツマイモサトイモヤマイモタロイモ等のイモ類ネギワケギタマネギラッキョウ等のネギ類ニンジン、ダイコン、ハツカダイコン、カブ、ゴボウ等の根菜類を上げることができる。これらのうち、穀物類及び野菜類が好ましく、イネ、キャベツ、ダイコン、ハクサイ、ブロッコリー、トマト、ナス及びキュウリがより好ましい。

0027

本発明の植物の病原菌感染抑制剤の適用対象となる植物病原菌としては、宿主範囲の広い多犯性の病原菌及び宿主範囲の狭い単犯性の病原菌のいずれもが含まれ、細菌であっても真菌であってもよいが、好ましくは真菌、さらに好ましくは糸状菌である。このような植物病原菌としては、例えば、穀物類に対しては、いもち病、立枯病、ばか苗病等の病原菌;野菜類に対しては、菌核病灰色かび病、葉かび病、うどんこ病、褐病、灰色かび病、べと病黄化えそ病、斑点細菌病萎黄病萎凋病根腐病、ニラ乾腐病、トマト萎凋病、カボチャ立枯病等の病原菌;果実類に対しては、かいよう病、腐らん病、モニリア病、つる割病、イチゴ萎黄病等の病原菌;花卉類に対しては、腐敗病等の病原菌;樹木類に対しては、ペスタロチア病、枝枯病、いもち病等の病原菌;豆類に対しては、豆類炭そ病、菌核病、炭そ病等の病原菌;芝類に対しては、葉腐病、菌核病、冠さび病ダラースポット病、褐点病等の病原菌;イモ類に対しては、菌核病、疫病疫病等の病原菌;ネギ類に対しては、灰色かび病、白色疫病等の病原菌;根菜類に対しては、黒条病黒根病、根腐病等の病原菌が挙げられ、菌核病菌、フザリウム、いもち病菌及び斑点細菌病菌が好ましく、菌核病菌がさらに好ましい。

0028

本発明において、植物の病原菌感染抑制剤は、5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩が含まれていればよいが、これら以外に、必要により糖類、含窒素化合物酸類アルコール類ビタミン類微量要素、金属塩、キレート剤等を配合することができる。

0032

アルコール類としては、例えばメタノールエタノールプロパノールブタノールペンタノールヘキサノールグリセロールなどが挙げられる。

0033

ビタミン類としては、例えばニコチン酸アミドビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB5、ビタミンC、ビタミンB13、ビタミンB1、ビタミンB3、ビタミンB2、ビタミンK3、ビタミンAビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンK1、α−トコフェロールβ−トコフェロールγ−トコフェロール、σ−トコフェロール、p−ヒドロキシ安息香酸ビオチン葉酸ニコチン酸パントテン酸、α−リポニック酸等を挙げることができる。

0034

微量要素としては、例えばホウ素、マンガン亜鉛、銅、鉄、モリブデン塩素などが挙げられる。

0035

金属塩としては、例えばカルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。

0037

本発明の植物の病原菌感染抑制剤は、茎葉散布処理、土壌散布又は潅注処理、水耕潅注処理のいずれの方法で施用しても良い。また、植物の定植前又挿し木を行う前等に、病原菌感染抑制剤を吸収処理させても良い。施用時期としては、病害が発生する前に施用でき、好ましくは定植の24〜100時間前、さらに好ましくは48〜72時間前に施用すればよい。

0038

本剤を茎葉散布処理にて施用する場合、前記5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩を終濃度で0.0001〜10000ppm、好ましくは0.001〜5000ppm、より好ましくは0.01〜1000ppmの濃度で含有する溶液を投与するのが好ましい。単子葉植物など葉面薬剤が付着しにくい植物に対しては展着剤を用いることができるが、その種類及び使用量については、特に制限されない。

0039

本剤を土壌散布若しくは潅注処理または水耕潅注処理にて施用する場合、5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩を終濃度で0.0001〜1000ppm、好ましくは0.001〜500ppm、より好ましくは0.01〜100ppmの濃度で含有せしめ、これを10アール当たり10〜100000L、特に50〜80000L用いるのが好ましい。

0040

本剤を用いて定植前又は挿し木を行う前等に吸収処理させる場合、5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩をつけ込んで吸収させればよく、つけ込む液の5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸、その誘導体又はそれらの塩の濃度は終濃度にて0.0001〜1000ppm、好ましくは0.001〜500ppm、より好ましくは0.01〜100ppmであることが望ましい。つけ込み時間は1秒〜1週間、特に1分〜1日間が望ましい。

0041

処理は1回でも十分な効果は得られるが、複数回処理することにより、更に効果を高めることもできる。この場合には、先の各方法を組合せることもできる。

0042

本発明の植物の病原菌感染抑制剤により、植物病原菌による病害を抑制できる理由としては、例えば、以下のように考えられる。
本発明の植物の病原菌感染抑制剤を植物に処理すると、植物細胞内の遺伝子発現パターンが変化し、特に感染防御に直接的に働くタンパク質をコードする複数の遺伝子の発現量が増加し、植物自身の防御機能が高くなることで、病原菌の感染を防除し、植物病原菌による感染被害の拡大に抵抗できると考えられる。
病原菌に対する植物の抵抗性機構の一つとして、広範な病原菌に共通して存在する分子パターン(microbial−associated molecular pattern:MAMP)を認識することで誘導される防御応答(MAMP−triggered immunity:MTI)が知られている。後記実施例に示すように、本発明の植物の病原菌感染抑制剤を処理した植物では、MTIの早期遺伝子発現を誘導する主要3転写因子構造遺伝子であるWRKY18、33及び40の発現量が増加することが明らかとなった。また、広範な抗菌活性をもつジャスモン酸誘導性ディフェンシンの構造遺伝子であるPDF1.2や、抗シュードモナス活性を有するナトリウム利尿ペプチドの構造遺伝子であるPNP−Aの発現量が増加することも明らかとなった。ここで、ディフェンシンは、植物が産生する抗菌性タンパク質一種であり、糸状菌等(例えば、いもち病菌)に有効であることが知られている。これらの遺伝子発現の変化により、植物の防御応答が早期に誘導され、植物病原菌による感染の抑制につながっていると考えられる。

0043

次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、これらは単に例示の目的で掲げられるものであって、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。

0044

実施例1 5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸の病原菌感染抑制効果(1)
(1)5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸(HAVA)水溶液の調製
5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸(HAVA)を純水に溶解し、100mM HAVA水溶液を調製した。

0045

(2)菌核病菌の培養
菌核病菌(Sclerotinia sclerotiorum)は、キャベツやハクサイといったアブラナ科作物の他、トマト、ナス、キュウリなど多くの作物に感染する多犯性の真菌である。
菌核病菌は、Potato Dextrose Agarプレート植菌し、18℃で5日間培養した。培養後、菌核病菌をストローゲルごと丸く切り抜き、以下の試験に用いた。

0046

(3)シロイヌナズナの培養
シロイヌナズナをJiffy−7(株式会社サカタタネ製)に播種し、春化処理後、16時間明(70〜100μE)、8時間暗の周期で、23℃にて4週間生育させた。4週目に根からHAVA水溶液を終濃度が50μM又は100μMとなるように投与し、72時間生育させた。対照には、HAVAを含まない純水を投与し(HAVA非投与)、同様に72時間生育させた。その後、(2)で調製した菌核病菌を、ゲル上の菌塊が葉に直接接するようにゲルを裏返してシロイヌナズナの成熟葉に乗せ、高湿度状態で23℃、24時間感染培養させた。培養後、感染葉を、菌塊を乗せたまま切り取り写真撮影した。

0047

(4)結果
結果を図1に示す。HAVA非投与の葉では、ゲルの下及び周囲の葉が広く色に変色して腐敗しており、菌核病菌が葉に感染し、感染がゲルの周囲に拡大していた。一方、50μM HAVA投与の葉では、ゲルの下及び周囲の葉がわずかに茶色くなっているだけで、非投与の葉に比べて、菌核病菌の感染範囲が明らかに抑制されており、100μM HAVA投与の葉では、菌核病菌の感染範囲がさらに抑制され、感染面積で50%の抑制が認められた。菌核病菌自体が死滅しているわけではないことから、本試験でみられたHAVAの効果は、病原菌に対する抗菌作用によるものではなく、病原菌の感染抑制作用によるものであることが示唆された。また、菌核病菌接触後24時間程度でも、HAVAの投与と非投与で菌核病菌の感染範囲に明らかな差があったことから、本試験でみられたHAVAの効果は、成長促進作用によるものではなく、病原菌の感染抑制作用によるものであることが示唆された。

0048

実施例2 5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸の病原菌感染抑制効果(2)
Jiffy−7を純水、1μMHAVA水溶液、又は10μM HAVA水溶液で膨潤させ、そこに、シロイヌナズナの種子を播種した。Jiffy−7ごと、シロイヌナズナの種子を春化処理し、16時間明(70〜100μE)、8時間暗の周期で、23℃にて、枯れないように3日か4日に1回井水補給しながら生育させた。生育2週間後及び7週間後に、シロイヌナズナの生育状況を観察した。その結果、純水で膨潤させ井水を補給したポットで生育させた場合には、環境から感染したフザリウムが表面で成長しているのが確認され、同菌の感染に伴い、シロイヌナズナの生育は著しく阻害された。一方、1μM又は10μM HAVA水溶液で膨潤させたポットで生育させた場合には、2週間後及び7週間後のいずれにおいても、HAVA非投与の場合と比較して生育阻害はみられず、シロイヌナズナは問題なく生育することが観察された。以上の結果から、HAVA投与された植物が菌感染からの防御・抵抗性を獲得していることが明らかとなった。

0049

実施例3 5−アミノ−4−ヒドロキシペンタン酸により誘導される遺伝子の解析
(1)遺伝子発現解析
シロイヌナズナにHAVA水溶液(0.5、5又は50μM)を投与した。投与4時間後及び3日後に、シロイヌナズナを回収し、常法に従って総RNAを抽出、cDNAを合成し、マイクロアレイを用いて遺伝子発現解析を行った。発現上昇度と頻度絞り込み、HAVA投与により発現が活性化された140遺伝子を抽出した。
抽出した140遺伝子について、0.5μM HAVA投与、投与4時間後のサンプルを用い、常法に従いqRTPCRを行った。その結果、31遺伝子の発現量が非投与の場合に比べて2倍以上上昇していたことが明らかとなった。このうち、病原応答遺伝子として報告されている7遺伝子を0.5μM HAVA投与時の発現強度順に以下の表1に示す。

0050

実施例

0051

WRKY18、33及び40は、サリチル酸シグナリングに一部依存する免疫センサー系(microbial−associated molecular pattern (MAMP)−triggered immunity:MTI)の早期遺伝子発現を誘導する主要3転写因子の構造遺伝子である。PDF1.2及びPNP−Aは、それぞれ、広範囲な抗菌活性をもつジャスモン酸誘導性ディフェンシンと抗シュードモナス活性をもつナトリウム利尿ペプチドの構造遺伝子である。以上の結果より、HAVAは、植物における複数の病原応答システムを誘導することで植物の防御機能を高め、病原菌の感染を抑制すると考えられる。

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    【課題】雑草に対する優れた防除効果を発揮する除草剤組成物を提供すること。【解決手段】エチル[3−[2−クロロ−4−フルオロ−5−(1−メチル−6−トリフルオロメチル−2,4−ジオキソ−1,2,3,4−... 詳細

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