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図面 (5)

課題

多剤耐性菌に対して有効な抗生物質を提供する。

解決手段

式(1)で示される化合物又はその塩。

化1】

概要

背景

医療現場におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus;以下、「MRSA」と略称する)の蔓延は、感染防御能が低下した患者等に重篤病態を引き起こす懸念があり、臨床的に重大な問題となっている。また、MRSAに有効なバンコマイシンに対して耐性を獲得したバンコマイシン耐性腸球菌(Vancomycin-resistant Enterococcus ;以下、「VRE」と略称する)も出現し、感染症治療に用いられる抗菌薬の多くがVREに対して無効という現状がある。

このため、MRSA、VREのような多剤耐性菌に対して有用な生理活性物質を産生する能力をもった微生物の探索が広く行われている。例えば、リソバクター(Lysobacter)属に属する微生物の培養液中から精製した抗生物質は、MRSAとVREの双方に抗菌活性を示すことが報告されている(特許文献1を参照)。

概要

多剤耐性菌に対して有効な抗生物質を提供する。式(1)で示される化合物又はその塩。なし

目的

本発明は、多剤耐性菌に対して有効な化合物を得ることを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

式(1)で示される化合物又はその塩。

請求項2

請求項1に記載の化合物(1)を有効成分として含有する抗菌剤

請求項3

受託番号NITEP−02560のストレプトマイセスハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)HOK021株と、細胞壁ミコール酸を含有する微生物を混合して培養し、前記培養物から回収される二次代謝産物

請求項4

前記細胞壁にミコール酸を含有する微生物がツカムレラ属に属する請求項3に記載の二次代謝産物。

請求項5

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌及びバンコマイシン耐性腸球菌に対して抗菌作用を有する請求項3又は請求項4に記載の二次代謝産物。

技術分野

0001

本発明は、特に、抗生物質として有効な新規化合物などに関する。

背景技術

0002

医療現場におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus;以下、「MRSA」と略称する)の蔓延は、感染防御能が低下した患者等に重篤病態を引き起こす懸念があり、臨床的に重大な問題となっている。また、MRSAに有効なバンコマイシンに対して耐性を獲得したバンコマイシン耐性腸球菌(Vancomycin-resistant Enterococcus ;以下、「VRE」と略称する)も出現し、感染症治療に用いられる抗菌薬の多くがVREに対して無効という現状がある。

0003

このため、MRSA、VREのような多剤耐性菌に対して有用な生理活性物質を産生する能力をもった微生物の探索が広く行われている。例えば、リソバクター(Lysobacter)属に属する微生物の培養液中から精製した抗生物質は、MRSAとVREの双方に抗菌活性を示すことが報告されている(特許文献1を参照)。

先行技術

0004

特開2012−5480号公報

発明が解決しようとする課題

0005

多剤耐性菌に対して有効な生理活性物質のスクリーニングには、単離された放線菌等の菌株純粋培養株を使用するのが一般的である。
一方、本発明者は、放線菌とミコール酸含有菌を共培養混合培養)することで、放線菌の二次代謝産物生産能力活性化され、純粋培養では産生されない抗菌性を示す二次代謝産物を得ることができることを見出した。このような混合培養の手法を用いて、放線菌の潜在的な二次代謝誘導することにより、従来の純粋培養では産生できない新規抗生物質を得ることが期待される。

0006

本発明は、多剤耐性菌に対して有効な化合物を得ることを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者は、ミコール酸含有菌と被検菌を混合培養することで、純粋培養では得られない新規の生理活性物質が産生されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、以下の発明を包含する。

発明の効果

0008

本発明により、既知の抗生物質とは異なる化学構造を有し、MRSA、VRE等の多剤耐性菌に対して抗菌作用を示す新規な化合物が提供される。ここで、「抗菌作用」とは、細菌の生育もしくは増殖を阻害する作用、または細菌を死滅させる作用のことを言う。

図面の簡単な説明

0009

化合物(1)の化学構造である。
化合物(1)のNMRデータである。
化合物(1)のCOSY相関及びROESY相関を示す図である。
化合物(1)のHMBC相関を示す図である。
化合物(1)の部分構造のHMBC相関を示す図である。

実施例

0010

以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の化合物は、



で表される構造を有する。

0011

化合物(1)は、ミコール酸含有菌と被検菌を複合(混合)して培養し、その培養液中から単離される二次代謝産物として得ることができる。以下、化合物(1)を、PTM904と称する。

0012

ミコール酸含有菌は、細胞壁にミコール酸を含有する微生物であって、被検菌の二次代謝産物生産を誘導する能力を有する。本発明で使用されるミコール酸含有菌は、例えば、ツカムレラ(Tsukamurella)属に属する微生物である。

0013

被検菌は、例えば、国内(北海道富良野市)の土壌試料から分離され、本発明者がHOK021株と命名した放線菌である。HOK021株の16S rDNA塩基配列は、ストレプトマイセス(Streptomyces)属のそれに対して高い相同性相合率99.6%)を示した。よって、HOK021株は、ストレプトマイセス(Streptomyces)属に属する微生物である。
実施例1の被検菌として用いたStreptomyces hygroscopicus HOK021株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに、受託番号NITEP−02560として寄託されている(受託日:2017年10月17日)。

0014

ミコール酸含有菌と被検菌の混合培養は、被検菌を単独で培養する場合に好適な培養条件下で行うことができ、通常、好気的条件下で行われる。培地の種類や培養条件(培地栄養源、培養時間、温度、pH等)は、一般の微生物による抗生物質の製造において通常使用される場合に準じ、また、ミコール酸含有菌や被検菌の性質を考慮して適宜決定される。ミコール酸含有菌と被検菌は、いずれも生菌の状態で混合培養される。

0015

PTM904は、ミコール酸含有菌と被検菌を混合培養した培養物から回収され、単離精製されて得られる。
単離精製方法としては、微生物からの二次代謝産物を取得するのに通常用いられる方法を採用することができる。例えば、培養物の培養後、濾過遠心分離等の公知の手法によって菌体上清とを分離し、上清を有機溶媒等で溶媒抽出した後、種々の分離方法で単離精製して、PTM904を採取することができる。あるいは培養物を遠心操作あるいはフィルター濾過することにより、回収した菌体ペレットを適切な方法で破砕し、適切な溶媒等を用いて抽出し精製することでPTM904を回収することも可能である。分離方法としては、ODSカラム等の逆相カラムクロマトグラフィー、逆相カラムクロマトグラフィーを用いたHPLCによる分取等を行うことができる。さらに、結晶化、減圧濃縮凍結乾燥等の手段を単独で、または適宜組み合わせて用いることができる。最終的に目的とするPTM904が得られる方法であれば、いかなる単離精製方法であるかを問わない。

0016

被検菌のStreptomyces hygroscopicus HOK021株とミコール酸含有菌とを混合培養し、その培養物から回収される二次代謝産物としては、抗菌性物質であるのが好ましく、PTM904の他、既知化合物であるプラテンマイシン(Platensimycin)、エンテロバクチン(Enterobactin)、ENT447(N,N'-bis(2,3-dihydroxybenzoyl)-O-(α-aminoacryloyl)-O-serylserine)などが挙げられ、これらを単独で、または複数を組み合わせて用いることができる。

0017

上述した二次代謝産物のうち、プラテンシマイシンは、フリカの土壌に存在する放線菌の一種であるストレプトマイセス・プラテンシス(Streptomyces platensis)から純粋培養で単離されたものである。
プラテンシマイシンは、細菌の脂肪酸合成を行う酵素FabF)を阻害することで抗生作用を示し、耐性菌が出現しにくく、MRSA、VREにも有効である。また、プラテンシマイシンは、MRSA、VREを含むグラム陽性菌に対して広範な抗菌スペクトルを示すことが報告されている。プラテンシマイシンの抗生物質としての重要性に鑑み、後述する抗菌作用の評価試験においては、PTM904とプラテンシマイシンのそれぞれのMIC(最少発育阻止濃度)を測定するものとする。

0018

PTM904は、公知の化学合成法を利用して合成されるものであってもよい。もっとも、微生物の培養によってPTM904を得る方法は、特別な金属触媒試薬等を必要とせず、化学合成法に比べて有利な点が多い。PTM904は、構造中に不斉炭素原子を有し、立体異性が生じるが、ここではいずれの立体異性体も含まれ、またラセミ体であってもよい。

0019

PTM904は、フリー体に限らず、塩として存在するものであってもよい。PTM904の塩としては、薬理学的に許容される塩であれば特に限定されず、PTM904は、無機酸や有機酸から誘導される塩として存在し得る。

0020

本発明の抗菌剤は、PTM904をそのまま用いてもよいが、使用し易い製剤に加工されるのが好ましい。例えば、経口投与のための製剤としては、錠剤カプセル剤細粒剤粉末剤顆粒剤口腔内崩壊錠液剤シロップ剤等が挙げられ、非経口投与のための製剤としては、注射剤点滴剤坐薬吸入剤経皮吸収剤経粘膜吸収剤、点鼻剤点耳剤軟膏クリーム等が挙げられる。これらの製剤には、それぞれの製剤の種類に応じて、慣用補助剤担体成分を含ませることができる。また、これらの製剤は、その剤形に応じて、混和混練造粒打錠コーティング滅菌処理乳化等の慣用の方法で製造され得る。
また、医療用ガーゼなどに付着させて創部等の感染症を防ぐための被覆材として使用される場合も想定される。

0021

<実施例1>
1.PTM904の製造
[HOK021の分離]
京大学大学院農学生命科学研究科付属演習林(北海道演習林、北海道富良野市)において採取した土壌から希釈フェノール法及びISP4培地(培地成分:1% Soluble starch, 0.1% K2HPO4, 0.1% MgSO4, 0.1% NaCl, 0.2% (NH4)2SO4, 0.2% CaCO3, 0.0001% FeSO4, 0.0001% MnCl2, 0.0001% ZnSO4, 2.0% agar.)を用いて放線菌を分離した。分離放線菌HOK021株の部分16S rDNA配列PCRにより増幅し、サンガー法により塩基配列を決定したところ、基準株であるStreptomyces hygroscopicus subsp. glebosus(遺伝子登録番号AB184479)と99.6%(1463/1469)の相同性を示した。HOK021株をStreptomyces hygroscopicus HOK021株と命名した。

0022

[HOK021とTP−B0596の培養]
Streptomyces hygroscopicus HOK021株の胞子液グリセロールストック(−80℃保存)をISP2寒天培地(培地成分:0.4% Yeast extract, 1% Malt extract, 0.4% glucose, 2.0% agar.)に植菌し、30℃で5日間静置培養を行った。ミコール酸含有菌であるTsukamurella pulmonis TP−B0596の菌体グリセロールストック(−80℃保存)をISP2寒天培地に植菌し、30℃で3日間静置培養を行った。K−1型フラスコに100mlのV−22培地(培地成分:1% Soluble starch, 0.5% Glucose, 0.3% NZ-case, 0.2% Yeast extract, 0.1% Tryptone, 0.1% K2HPO4, 0.05% MgSO4, 0.3% CaCO3(pH 7))を入れた培地に、寒天培地に生育したHOK021株菌体を植菌し、3日間(30℃、200rpm)前培養を行った。K−1型フラスコに100mlのV−22培地を入れた培地に、寒天培地に生育したTP−B0596株菌体を植菌し、2日間(30℃、200rpm)前培養を行った。HOK021株の前培養液を3ml、TP−B0596株の前培養液1mlを、K−1型フラスコに100mlのA−3M培地(培地成分:2% Soluble starch, 2% Glycerol, 1.5% Pharmamedia, 0.5% Glucose, 0.3% Yeast extract, 1% Diaion(登録商標)HP-20(pH 7))を入れた培地に同時に植菌し、その後8日間(30℃、200rpm)本培養を行った。

0023

[PTM904の抽出]
本培養液(合計3.6L)を等量の酢酸エチル(3.6L、Wako特級試薬)を用いて一回目撹拌抽出(約1時間)を行い、遠心分離によって酢酸エチル相水相を分離し、酢酸エチル相を回収した。残った水相に対し、さらに等量の酢酸エチル(3.6L)を用いて二回目の撹拌抽出(約1時間)を行い、遠心分離によって酢酸エチル相と水相を分離し、酢酸エチル相を回収した。回収した一回目と二回目の酢酸エチル相を合わせ、エバポレーターによる減圧下、酢酸エチルを留去し、約2.9gのクルード抽出物を得た。

0024

[PTM904の精製(1)]
最初に、移動相アセトニトリル(Wako特級試薬)とmilli-Q(登録商標)水を用いた中圧ODSカラムを使用し、クルード抽出物の粗精製を行った。クルード抽出物約0.6gをDMSOにより0.1g/ml濃度に溶解し、20%アセトニトリル溶媒に置換したODSカラム(4i.d.×24cm、約300ml)に添加した。20%アセトニトリル溶媒、40%アセトニトリル溶媒、60%アセトニトリル溶媒、80%アセトニトリル溶媒、100%アセトニトリル溶媒、それぞれ300mlを用いて溶出した。分取した60%アセトニトリル溶媒の後半150mlに目的のPTM904を含む画分を得た。エバポレーターを用いてアセトニトリルを留去し、残った水相を−80℃ディープフリーザー中で凍結させ、凍結乾燥により残った水相を留去し、46.7mgの粗精製物を得た。

0025

[PTM904の精製(2)]
次に、移動相にアセトニトリル(Wako特級試薬)と10mM酢酸アンモニウム緩衝液を用いたフェニルエチル基カラムを使用し、HPLC精製を行った。粗精製物46.7mgをDMSOにより約25 mg/ml 濃度に溶解し、30%アセトニトリル溶媒に置換したCOSMOSIL(登録商標)5PE−MSカラム(5μm、10i.d.×250mm、ナカライ)に、一回に20μLずつ注入した。流速4.2 ml/min、アイクラティックで溶出し、保持時間8.5分に溶出したピークを分取し、目的のPTM904を含む画分を得た。エバポレーターを用いてアセトニトリルを留去し、残った緩衝液相を−80℃ディープフリーザー中で凍結させ、凍結乾燥により残った水相を留去し、4.2mgの精製物を得た。

0026

[PTM904の精製(3)]
次に、移動相にアセトニトリル(Wako特級試薬)と0.1%ギ酸緩衝液を用いたC18カラムを使用し、精製物からPTM904のHPLC精製を行った。精製物4.2mgをDMSO約0.5mlに溶解し、55%アセトニトリル溶媒に置換したC18−AR−IIカラム(5μm、10i.d.×250mm、ナカライ)に、一回に20μLずつ注入した。流速3.0ml/min、アイソクラティックで溶出し、保持時間7.6分に溶出したピークを分取し、目的のPTM904を含む画分を得た。エバポレーターを用いてアセトニトリル及び緩衝液相を留去し、3.4mgの精製物を得た。

0027

PTM904を含むピークは、HOK021とTP−B0596のそれぞれの単独純粋培養では確認されなかった。つまり、PTM904は、HOK021とTP−B0596の混合培養によって初めて確認されたものである。また、上記HOK021とTP−B0596の本培養液には、PTM904以外の二次代謝産物として、プラテンシマイシン(Platensimycin)、エンテロバクチン(Enterobactin)、ENT447(N,N'-bis(2,3-dihydroxybenzoyl)-O-(α-aminoacryloyl)-O-serylserine)が含まれていた。

0028

2.PTM904の構造解析
上述により単離されたPTM904の物理化学的特性を、以下に示す。
(A)外観:淡黄色粉末
(B)分子量:903.9
(C)分子式:C44H45N3O16S
(D)HR QTOFESI MS(ポジティブ):実測値904.2616 [M+H]+
計算値904.2593 (for C44H46N3O16S+)
(E)HR QTOF ESI MS(ネガティブ):実測値902.2512 [M-H]-

0029

上述により単離されたPTM904のNMRデータを、図2に示す。なお、図2中の「位置」欄の数字は、PTM904を構成する炭素位置番号を示す(図1を参照、IUPAC命名法に従うものではない)。化学シフト(δH、δC)は、ppmで表現され、1H−NMRは500MHz、13C−NMRは125MHzでそれぞれ分析され、重溶媒として、ピリジン−d5を用いた。

0030

質量分析データとNMRデータにより、本化合物の分子式を、C44H45N3O16Sと決定した。13C−NMRスペクトルによって本化合物の44個の炭素シグナルが確認された。13C−NMRスペクトル及び1H−NMRスペクトルは、芳香環カルボキシル基アミド結合チオエステル結合等の存在を示唆した。

0031

HH−COSY(Proton-Proton Correlation Spectroscopy)により、図3太線で示すプロトン間つながりが認められた。HMBC(Heteronuclear Multiple Bond Coherence)により、図4の矢印で示すプロトンカーボン間の相関が認められた。また、ROESY(Rotating Overhauser Enhancement and exchange Spectroscopy)により、図3の矢印で示す結合的に近いプロトン間の相関が認められた。ここで、N−H水素近接するC−H水素との相関が認められた。

0032

トリシクロ環橋かけ環構造エノン構造を有する図5に示す部分構造は、HH−COSY、HMBC、ROESYの各スペクトル解析により、その結合様式及び立体配置を決定した。
以上の解析結果により、PTM904の構造を式(1)に示すごとく決定した。

0033

3.PTM904の抗菌作用
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(以下、MRSAと称する)、バンコマイシン耐性腸球菌(以下、VREと称する)に対する抗菌作用の測定として、まず、ディスク拡散法による薬剤感受性試験ハロー試験)を行った。

0034

PTM904をDMSOで溶解し、その検液2mlを直径8mmのペーパーディスクにしみ込ませた。こうしてPTM904をそれぞれ10μg、1μg含ませたペーパーディスクを、菌液を塗布した培地上に置き、30℃で16〜20時間培養した。その後、発育阻止円径(ペーパーディスクの中心を通る直径(mm))を測定した。結果を表1に示す。なお、表中の「−」は、発育阻止円なしを意味する。

0035

0036

PTM904は、MRSA、VREのような多剤耐性グラム陽性菌に対して抗菌作用を示した。特に、PTM904は、VREに対して濃度依存的に顕著な生育阻害を示すことが明らかになった。

0037

また、同様のディスク拡散法によって他の菌株に対するPTM904の抗菌作用を試験したところ、PTM904は、Klebsiella pneumoniae DHA(+)およびAAC(6’)-Ib(+)、K. pneumoniae DHA(+)およびarmA(+)、Acinetobacter faecalis vanB(+). などのグラム陰性菌に対して発育阻止円形成を認めなかった。このため、PTM904は、Staphylococcus属やEnterococcus属などの特定の多剤耐性菌の生育を選択的に抑制または阻止する作用を有していることが示唆された。したがって、PTM904を有効成分として含む抗菌剤を感染症治療に用いることにより、腸内等の正常な細菌叢を乱すことなく治療効果を発揮させることが期待される。

0038

次に、微量液体希釈法により、各種菌株に対するプラテンシマイシン(PTM)及びPTM904のMIC(最少発育阻止濃度)を測定した。測定条件を以下に示す。
(A)使用株:表2に記載
(B)薬剤:プラテンシマイシン(PTM)及びPTM904
(C)培地:CAMHB(注1)及びID−CAMHB(注2)
(D)培養条件:37℃、20時間、暗所好気条件下静置
(E)培養開始時点の菌数:5(2〜8)×105CFU/ml
(F)判定基準目視で2mm以上の沈殿物の観察(CLSI基準)

0039

(注1)CAMHBは、陽イオン調整ミュラーヒントン培地(Cation-adjusted Muller-Hinton broth)[Mueller II Broth Cation-Adjusted 500g BBL212322]である。
(注2)ID−CAMHBは、鉄制限下の陽イオン調整ミュラーヒントン培地(Iron-depleted Cation-adjusted Mueller Hinton Broth)である。具体的には、ID−CAMHBは、上記CAMHB100ml当たり樹脂キレクス(登録商標)100樹脂♯1422842)を5g入れ、1時間撹拌後、樹脂をフィルタリングで除去し、滅菌した培地である。
MIC測定結果を表2に示す。

0040

0041

表2に示すとおり、PTM904は、グラム陽性菌に対するMICがグラム陰性菌に対するMICより小さく、特にMRSA、VREに対して良好な抗菌作用を有することが明らかになった。
また、フリーな鉄が足りない体内に近い環境である鉄制限下の培地(ID−CAMHB)では、PTMは4〜16倍効きにくくなるのに比べ、PTM904は効きにくくなる度合いが少なかった。さらに、MRSAに関しては、PTMより効きが良くなることも確認できた。
例えば、PTM904を含む薬剤をガーゼなどに吸収させ、創部やカテーテル刺入部位被覆することにより、VREやMRSAの増殖を抑制し、手術部位感染やカテーテル感染を防止することができると考えられる。

0042

本発明の新規化合物は、新たな抗生物質を提供することができるという産業上の利用可能性を有している。

0043

NITEP−02560

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