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技術 鉄鋼スラグの処理方法及び鉄鋼スラグの再利用品製造方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 中井由枝藤井勇輔井上陽太郎菊池直樹
出願日 2019年2月25日 (1年1ヶ月経過) 出願番号 2019-031160
公開日 2019年9月12日 (6ヶ月経過) 公開番号 2019-151547
状態 未査定
技術分野 セメント、コンクリート、人造石、その養生 固体廃棄物の処理
主要キーワード 混合場所 ホウ素溶出量 環境項目 鉄鋼スラグ中 建材試験センター ピット中 ペーパースラッジ灰 輸送用容器
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年9月12日)のものです。
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図面 (5)

課題

鉄鋼スラグからのホウ素の溶出量を効果的に低減し得る溶出防止剤として、カルシウムアルミネートを含有する物質を用いることを前提とし、鉄鋼スラグからのホウ素の溶出量を所望の基準以下に抑制するために必要な物質の量を算出可能とする鉄鋼スラグの処理方法を提供する。

解決手段

ホウ素を含有する鉄鋼スラグに、カルシウムアルミネートを含有する物質を混合する。鉄鋼スラグに対する前記物質の質量比を表す混合割合と混合物からのホウ素の溶出量との予め求められた関係から、目標の溶出量以下とする混合割合を決定する。次いで、処理対象となる鉄鋼スラグに前記物質を、決定した混合割合以上混合する。

概要

背景

鉄鋼スラグは、鉄鋼製造過程で発生する副産物である。また、フェロマンガンフェロシリコンなどの合金鉄製造時にも、鉄鋼スラグと成分が概ね同じ合金鉄スラグが生じる。近年、地球環境に関する関心が高まり、従来の大量生産大量消費及び大量廃棄社会からゼロエミッション社会への転換が重要視されている。特に銑鋼一貫製鉄所発生量が多い鉄鋼スラグや合金鉄スラグなどの減量化、再生利用及び中間処理技術開発が続けられている。

鉄鋼スラグは、路盤材セメント原料などへの再利用が期待されるものの、環境を汚染する物質が鉄鋼スラグから雨水などに溶出する可能性がある。鉄鋼スラグは、生成過程で1200〜1600℃の高温で加熱されるので、有機化合物や水銀、ヒ素カドニウムなどの低融点重金属をほとんど含まない。よって、鉄鋼スラグの溶出試験で低融点の重金属は検出されない。しかしながら、その他の物質は溶出する可能性がある。例えば、(財)建材試験センター規格「JSTMII8001:2008(土工製鋼スラグ砕石)」では、環境項目として鉛、六価クロムセレンフッ素ホウ素の5物質が規定されている。それらの溶出基準土壌の汚染に係る環境基準(平成3年環境告示第46号)(以下、「土壌環境基準」という)と同程度である。5物質のうち、セレンやフッ素などの溶出抑制方法は例えば特許文献1や2に提案されている。

特許文献3には、カルシウムアルミネート硫酸アルミニウム及びアルカリ金属リン酸塩を組み合わせた溶出防止剤を用いて、石灰灰、下水汚泥焼却灰ペーパースラッジ灰、製鋼スラグ、ゴミ焼却灰等の焼却灰からのフッ素、ホウ素、ヒ素及びセレン溶出量を土壌環境基準以下に低減する方法が提案されている。

概要

鉄鋼スラグからのホウ素の溶出量を効果的に低減し得る溶出防止剤として、カルシウムアルミネートを含有する物質を用いることを前提とし、鉄鋼スラグからのホウ素の溶出量を所望の基準以下に抑制するために必要な物質の量を算出可能とする鉄鋼スラグの処理方法を提供する。ホウ素を含有する鉄鋼スラグに、カルシウムアルミネートを含有する物質を混合する。鉄鋼スラグに対する前記物質の質量比を表す混合割合と混合物からのホウ素の溶出量との予め求められた関係から、目標の溶出量以下とする混合割合を決定する。次いで、処理対象となる鉄鋼スラグに前記物質を、決定した混合割合以上混合する。

目的

本発明は、上記事情を鑑みたもので、鉄鋼スラグからのホウ素の溶出量を所望の基準以下に抑制するために、必要な溶出防止剤の量を算出可能とする鉄鋼スラグの処理方法及び鉄鋼スラグの再利用品製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ホウ素を含有する鉄鋼スラグに、カルシウムアルミネートを含有する物質を混合する鉄鋼スラグの処理方法であって、前記鉄鋼スラグに対する前記物質の質量比を表す混合割合と前記鉄鋼スラグからのホウ素の溶出量との予め求められた関係から、目標となるホウ素の溶出量以下とする混合割合を決定し、前記鉄鋼スラグに前記物質を、決定した混合割合以上混合する鉄鋼スラグの処理方法。

請求項2

前記関係とは、前記混合割合の自然対数値と前記溶出量との回帰直線である請求項1に記載の鉄鋼スラグの処理方法。

請求項3

前記物質は、カルシウムアルミネートを含有する脱硫用フラックス溶銑脱硫処理で発生した脱硫スラグ溶鋼脱硫処理で発生した脱硫スラグ、鋳造後に取鍋上に残留した鋳造スラグ、のうちの少なくとも1つを含む請求項1または請求項2に記載の鉄鋼スラグの処理方法。

請求項4

前記混合割合が10質量%以上となるように前記鉄鋼スラグに前記物質を混合する請求項1〜3のいずれか1項に記載の鉄鋼スラグの処理方法。

請求項5

鉄鋼スラグの再利用品製造方法であって、請求項1〜4のいずれか1項に記載の鉄鋼スラグ処理方法によって鉄鋼スラグを処理し、鉄鋼スラグの再利用品を製造する鉄鋼スラグの再利用品製造方法。

技術分野

0001

本発明は、鉄鋼スラグ処理方法に関し、特に、鉄鋼スラグからのホウ素の溶出量を抑える方法に関する。更に、本発明は、この処理方法を用いた鉄鋼スラグの再利用品製造方法に関する。

背景技術

0002

鉄鋼スラグは、鉄鋼製造過程で発生する副産物である。また、フェロマンガンフェロシリコンなどの合金鉄製造時にも、鉄鋼スラグと成分が概ね同じ合金鉄スラグが生じる。近年、地球環境に関する関心が高まり、従来の大量生産大量消費及び大量廃棄社会からゼロエミッション社会への転換が重要視されている。特に銑鋼一貫製鉄所発生量が多い鉄鋼スラグや合金鉄スラグなどの減量化、再生利用及び中間処理技術開発が続けられている。

0003

鉄鋼スラグは、路盤材セメント原料などへの再利用が期待されるものの、環境を汚染する物質が鉄鋼スラグから雨水などに溶出する可能性がある。鉄鋼スラグは、生成過程で1200〜1600℃の高温で加熱されるので、有機化合物や水銀、ヒ素カドニウムなどの低融点重金属をほとんど含まない。よって、鉄鋼スラグの溶出試験で低融点の重金属は検出されない。しかしながら、その他の物質は溶出する可能性がある。例えば、(財)建材試験センター規格「JSTMII8001:2008(土工製鋼スラグ砕石)」では、環境項目として鉛、六価クロムセレンフッ素、ホウ素の5物質が規定されている。それらの溶出基準土壌の汚染に係る環境基準(平成3年環境告示第46号)(以下、「土壌環境基準」という)と同程度である。5物質のうち、セレンやフッ素などの溶出抑制方法は例えば特許文献1や2に提案されている。

0004

特許文献3には、カルシウムアルミネート硫酸アルミニウム及びアルカリ金属リン酸塩を組み合わせた溶出防止剤を用いて、石灰灰、下水汚泥焼却灰ペーパースラッジ灰、製鋼スラグ、ゴミ焼却灰等の焼却灰からのフッ素、ホウ素、ヒ素及びセレン溶出量を土壌環境基準以下に低減する方法が提案されている。

先行技術

0005

特開2013−234111号公報
特開2009−67646号公報
特開2014−133865号公報

発明が解決しようとする課題

0006

特許文献3には、フッ素、ホウ素、ヒ素及びセレンの溶出防止剤として、カルシウムアルミネート、硫酸アルミニウム及びアルカリ金属リン酸塩を組み合わせた組成物を使用すること、また、カルシウムアルミネート、硫酸アルミニウム及びアルカリ金属リン酸塩に加えて、還元成分及び/または消石灰を組み合わせた組成物を使用することが記載されている。しかし、このような高価な薬剤を使用する溶出防止剤の使用はコストの増大を招くばかりではなく、アルカリ金属塩による塩害を招くおそれもある。すなわち、特許文献3では、路盤材や盛土などの土木工事用材料に再利用されるスラグの処理に適した溶出防止剤及びそれを用いた鉄鋼スラグの処理方法は提案されていない。また、特許文献3では、ホウ素を含有する鉄鋼スラグを処理する場合において、ホウ素の溶出量を効果的に抑えるために、必要な溶出防止剤の量を算出する方法は記載されていない。

0007

鉄鋼スラグには、溶銑原料に含まれる成分によっては、ホウ素が多量に含まれる場合がある。ホウ素の溶出量を効果的に抑えるために必要な溶出防止剤の量を算出せずに、選択した溶出防止剤で鉄鋼スラグを処理して、鉄鋼スラグを再利用すると、その鉄鋼スラグから、土壌環境基準の規定値を超えるホウ素が溶出する可能性がある。よって、鉄鋼スラグの再利用性を向上させるためには、ホウ素を含有する鉄鋼スラグを処理する場合において、ホウ素の溶出量を効果的に抑えるために、必要な溶出防止剤の量を算出する処理方法が希求されている。

0008

本発明は、上記事情を鑑みたもので、鉄鋼スラグからのホウ素の溶出量を所望の基準以下に抑制するために、必要な溶出防止剤の量を算出可能とする鉄鋼スラグの処理方法及び鉄鋼スラグの再利用品製造方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、課題を解決するために鋭意検討した結果、ホウ素を含有する鉄鋼スラグとカルシウムアルミネート成分を含有する物質とを混合することにより、前記鉄鋼スラグを含む混合物からのホウ素の溶出量を効果的に低減できることを見出し、且つ、前記鉄鋼スラグに対する前記物質の質量比を表す混合割合と前記鉄鋼スラグからのホウ素の溶出量とには所定の関係が成立することを見出して、本発明の完成に至った。すなわち、本発明は次の通りである。
(1)ホウ素を含有する鉄鋼スラグに、カルシウムアルミネートを含有する物質を混合する鉄鋼スラグの処理方法であって、前記鉄鋼スラグに対する前記物質の質量比を表す混合割合と前記鉄鋼スラグからのホウ素の溶出量との予め求められた関係から、目標となるホウ素の溶出量以下とする混合割合を決定し、前記鉄鋼スラグに前記物質を、決定した混合割合以上混合する鉄鋼スラグの処理方法。
(2)前記関係とは、前記混合割合の自然対数値と前記溶出量との回帰直線である(1)に記載の鉄鋼スラグの処理方法。
(3)前記物質は、カルシウムアルミネートを含有する脱硫用フラックス溶銑脱硫処理で発生した脱硫スラグ溶鋼脱硫処理で発生した脱硫スラグ、鋳造後に取鍋上に残留した鋳造スラグ、のうちの少なくとも1つを含む(1)または(2)に記載の鉄鋼スラグの処理方法。
(4)前記混合割合が10質量%以上となるように前記鉄鋼スラグに前記物質を混合する(1)〜(3)いずれか1項に記載の鉄鋼スラグの処理方法。
(5)鉄鋼スラグの再利用品製造方法であって、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の鉄鋼スラグ処理方法によって鉄鋼スラグを処理し、鉄鋼スラグの再利用品を製造する鉄鋼スラグの再利用品製造方法。

発明の効果

0010

本発明によれば、鉄鋼スラグからのホウ素の溶出量を効果的に低減し得る溶出防止剤として、カルシウムアルミネートを含有する物質を用いることを前提として、鉄鋼スラグからのホウ素の溶出量を所望の基準以下に抑制するために、必要な物質の量を算出することが可能となる。これにより、鉄鋼スラグを処理する溶出防止剤の量を定めて、ホウ素の溶出量が環境基準を満たす鉄鋼スラグを再利用しやすくなる。このため、鉄鋼スラグを路盤材やセメント原料として再利用することがより容易になる。

図面の簡単な説明

0011

混合割合Ws[質量%]と混合物からのホウ素の溶出量B[mg/l]との関係を示すグラフである。
図1に示すグラフ中データの混合割合Ws[質量%]の自然対数値とホウ素の溶出量B[mg/l]との関係を示すグラフである。
実施例2における混合割合Ws[質量%]とホウ素の溶出量B[mg/l]との関係を示すグラフである。
図3に示すグラフ中データの混合割合Ws[質量%]の自然対数値とホウ素の溶出量B[mg/l]との関係を示すグラフである。

0012

本発明の鉄鋼スラグの処理方法は、カルシウムアルミネートを含有する物質と鉄鋼スラグとを混合して、鉄鋼スラグ中のホウ素をカルシウムアルミネートに吸収させるものである。これにより、鉄鋼スラグと物質との混合物を水に浸した場合であっても、混合物中の鉄鋼スラグからのホウ素の溶出量を低減できる。鉄鋼スラグ中のホウ素がカルシウムアルミニウムネートの構造内に取り込まれて、鉄鋼スラグからホウ素が溶出し難くなると予想される。

0013

CaOとAl2O3との化合物をカルシウムアルミネートと呼び、CaOとAl2O3の存在比によって、CaO・6Al2O3、CaO・2Al2O3、CaO・Al2O3、12CaO・7Al2O3、3CaO・Al2O3などがカルシウムアルミネートに含まれる。CaOとAl2O3との存在状態は、後述するXRD測定で確認できる。これらのうち、本発明で使用するカルシウムアルミネート成分を含有する物質は、12CaO・7Al2O3のカルシウムアルミネートを含有することが望ましい。12CaO・7Al2O3は四面体構造を有し、その構造体の内部にホウ素を閉じ込めることにより物質内にホウ素を閉じ込めホウ素の溶出を抑制することができるからである。

0014

[カルシウムアルミネートを含有する物質と鉄鋼スラグとの混合工程]
製鉄所でスラグは、高温時は固液共存状態であり、冷却後は塊状や粉状態となる。本発明は、カルシウムアルミネートを含有する物質と鉄鋼スラグともに塊状・粉状態であることを想定するものとし、製鉄所で行われる混合工程の例を以下に説明する。

0015

処理対象の鉄鋼スラグをスラグ輸送用容器に入れ、該容器スラグ処理場に搬送し、三方側壁で囲まれたピットに鉄鋼スラグを容器から移し替え収納する。スラグ輸送用容器の数杯分の鉄鋼スラグを1基のピットに収納して構わない。ピットの容量を有効に使用するために、及び/または、鉄鋼スラグの混合作業を円滑に行えるようにするために、収容後に鉄鋼スラグを平坦にすることが望ましい。

0016

次いで、カルシウムアルミネートを含有する物質を所定量ピットに収納し、重機撹拌混合する。ピットに収納された鉄鋼スラグと前記物質との混合物は大気で冷却されるものの、鉄鋼スラグや混合物の冷却や粉塵発生防止のために、ピット中の鉄鋼スラグや混合物に水を散布してもよい。

0017

スラグ処理場のピット内に収納される鉄鋼スラグに、カルシウムアルミネートを含有する物質を添加してから、両方を混合する方法を説明したが、両方をスラグ輸送容器内に格納して、該容器をスラグ処理場に搬送した後に、容器内で両方を撹拌混合してもよい。例えば、カルシウムアルミネートを含有する物質を予め収納した輸送容器に鉄鋼スラグを入れて、輸送容器内で攪拌混合する。この際、鉄鋼スラグを先に格納してもよい。

0018

他には、精錬処理においてカルシウムアルミネートを含有するスラグ(物質)が生成した処理容器上に鉄鋼スラグを添加した後に、精錬処理された溶銑(溶鋼)を除滓することで、溶銑上のスラグをスラグ輸送容器に収容してから、このスラグを攪拌混合してもよい。また、両方を高温状態で混合してもよいが、冷却後に混合してもよい。

0019

上記の通り、製鉄所での混合工程の例を説明したが、本発明は、特段混合条件があるわけではなく、カルシウムアルミネートを含有する物質とホウ素を含有する鉄鋼スラグとを混合するだけよい。

0020

[本発明に関する物質及びスラグの成分やホウ素の溶出量の測定方法
該測定方法について説明する。
(I)ホウ素の溶出量の測定方法
平成3年環境庁告示第46号付表に定める方法によって検液を作成した後、作成した検液中ホウ素濃度をICP発光分光分析法(JIS K0102:2008 47.3)によって測定可能である。この分析法を用いて、ホウ素を含有する鉄鋼スラグを2mm以下にい分け、篩下のスラグ100gに対して、検液に溶出するホウ素の溶出量[mg/l]の測定を行う。これにより、鉄鋼スラグ単体からのホウ素溶出量及び鉄鋼スラグとカルシウムアルミネートを含有する物質との混合物からのホウ素溶出量を測定可能である。
(II)物質の成分含有量の測定方法
XRD測定により、カルシウムアルミネートを含有する物質中に存在する化合物の形態を確認し、成分分析から得られたCaO及びAl2O3の量がXRDで得られた化合物を形成していると仮定してカルシウムアルミネート量を算出できる。ここで、XRD測定は粉末X線回折装置で可能である。粉末X線回折装置としては、例えば、株式会社リガク製のSmartLabなどが挙げられる。

0021

なお、カルシウムアルミネートを含有する物質としては、カルシウムアルミネートを含有する脱硫用フラックス、溶銑脱硫処理で発生した脱硫スラグ、溶鋼脱硫処理で発生した脱硫スラグ、鋳造後に取鍋上に残留した鋳造スラグの他、製銑または製鋼工程で生成されるスラグも使用可能である。例えば、スラグを採取して粗粉砕を行い、ガラスビード法(試料融剤である無水四ホウ酸ナトリウムとともに1050℃で約10分間程度溶融し、急冷ガラス化させる)により成型し、蛍光X線分析装置を用いてスラグ中の成分の含有量を測定可能である。

0022

[カルシウムアルミネートを含有する物質の鉄鋼スラグへの混合割合の実験的な決定方法
鉄鋼スラグに前記物質を混合した場合における、鉄鋼スラグに対する物質の質量比を表す混合割合と混合物からのホウ素の溶出量との関係を求められていれば、該関係から、目標の溶出量以下とする混合割合を決定可能である。

0023

本発明者らは、カルシウムアルミネートを含有する物質と鉄鋼スラグとを混合して、混合物を水に浸した場合であっても、混合物からのホウ素の溶出量を低減できることを発見した。その過程で、本発明者らは、ホウ素の溶出量が相異なる鉄鋼スラグを複数準備し、該鉄鋼スラグに前記物質を混合して、混合物からのホウ素の溶出量B[mg/l]を測定する実験を行った。実験では、鉄鋼スラグに対する前記物質の質量比を表す混合割合Ws[質量%]を変更していき、混合物からのホウ素の溶出量Bを測定していった。

0024

本発明者らは、実験の結果から、鉄鋼スラグに混合する前記物質の量の増加に伴って、混合物からのホウ素の溶出量が指数関数的に減少する傾向があることを観察した。鉄鋼スラグに対する前記物質の質量比を表す混合割合Wsと混合物からのホウ素の溶出量Bとの関係を図1のグラフに示す。図1のグラフから、混合割合Wsが0のときにホウ素の溶出量が20[mg/l]である鉄鋼スラグに、その質量に対する物質の質量比である混合割合Wsが10質量%となるように、カルシウムアルミネートを含有する物質を混合した場合、混合物からのホウ素の溶出量Bは、9.5[mg/l]となっている。また、混合割合Wsが20質量%となるように物質を混合した場合、ホウ素の溶出量Bは、5.5[mg/l]となっている。

0025

混合割合Wsを10質量%とすると、ホウ素の溶出量の減少量は10.5(=20−9.5)[mg/l]であるが、混合割合Wsを20質量%としても、減少量は14.5(=20−5.5)[mg/l]である。すなわち、鉄鋼スラグに混合する物質の量の増加に伴って、ホウ素の溶出量の減少幅は小さくなっていくことが図1から読み取れる。このことから、鉄鋼スラグに混合する前記物質の量の増加に伴って、混合物からのホウ素の溶出量が指数関数的に減少する傾向があることが推察される。

0026

次に、図1に示すグラフ中データの混合割合Wsの自然対数値とホウ素の溶出量Bとの関係を示すグラフを図2に示す。なお、このグラフでは、混合割合Wsの自然対数値を表示してあるので、Wsが0のデータは値を表示できず省略してある。図2のグラフから、Wsの自然対数値の増加に伴って、ホウ素の溶出量Bが直線的に減少していくことがわかる。混合割合Wsが0のときにホウ素の溶出量が20[mg/l]である鉄鋼スラグに、混合割合Wsを変更しながら、カルシウムアルミネートを含有する物質を混合した場合の▲で示す複数点から、混合割合Wsとホウ素の溶出量Bとの関係を示す検量線導出することができ、この検量線から、目標とするホウ素の溶出量以下とする混合割合Wsを求めることができる。

0027

図2の例では、検量線を表す式(B=−4.1ln(Ws)+17.5)が最小二乗法で導出できている。この式から、土壌環境基準を満たす1.0[mg/l]を目標とする溶出量Bとすると、ln(Ws)が4.1と求まる。この値となるWsは58.8質量%となる。よって、混合割合Wsが0のときにホウ素の溶出量が20[mg/l]である鉄鋼スラグの質量を100gとしたときに、カルシウムアルミネートを含有する物質を鉄鋼スラグに58.8g以上混合すれば、混合物(該混合物に含まれる鉄鋼スラグ)からのホウ素の溶出量が環境基準を満たすことが期待できる。

0028

図2の例では検量線の式を最小二乗法から導出したが、手書きで検量線を描いて、式を導出してもよい。また、図1に示すグラフから、直線ではなく指数関数で最小二乗法による近似を行って式を導出してもよい。すなわち、混合割合Wsとホウ素の溶出量Bとの予め求まる関係とは、混合割合Wsの自然対数値と溶出量Bとの回帰直線である。

0029

以上の通りに求めた関係から、目標となるホウ素の溶出量以下とする混合割合を決定し、
鉄鋼スラグに物質を、決定した混合割合以上混合することが可能となる。なお、混合する主体と前述の関係を求める主体とは必ずしも同じである必要はない。すなわち、混合する主体以外の者がその関係を予め求めておき、混合する主体は、他者に用意された関係を使用することも可能である。

0030

カルシウムアルミネートを含有する物質としては、銑鋼一貫製鉄所で得られる製鋼スラグや排滓物を用いることができ、該物質は、カルシウムアルミネートを含有する脱硫用フラックス、溶銑脱硫処理で発生した脱硫スラグ、溶鋼脱硫処理で発生した脱硫スラグ、鋳造後に取鍋上に残留した鋳造スラグのうちの少なくも1つであることが好ましい。これらは、精錬処理において添加したフラックス脱酸剤に起因してカルシウムアルミネートを少なくとも45質量%程度含有する。よって、これらは、成分分析せずともカルシウムアルミネートを多量に含有する。

0031

図1からすると、混合割合Wsが10質量%となるように、鉄鋼スラグにカルシウムアルミネートを含有する物質を混合した場合、混合物からのホウ素の溶出量Bを相当抑えることができる。製鋼スラグや排滓物を前記物質に用いる場合、これらがカルシウムアルミネートを多量に含有しているので、混合割合Wsが10質量%以上となるように鉄鋼スラグに製鋼スラグや排滓物を混合するだけで、鉄鋼スラグ(混合物)からのホウ素の溶出量Bを相当量抑えることが期待できる。

0032

なお、カルシウムアルミネートを含有する物質として製鋼スラグや排滓物を好適に用いることができものの、本発明で用いる前記物質はこれらに限定されるものではない。

0033

以上の説明では、ホウ素を含有する物質として鉄鋼スラグを挙げてきたが、類似した成分を有するスラグにもまた、カルシウムアルミネートを含有する物質を混合しても、そのスラグからのホウ素の溶出量を抑えることが可能である。よって、鉄鋼スラグは、フェロマンガンやフェロシリコンなどの合金鉄製造時に生じるスラグや、ごみ溶融スラグ、ごみや汚泥の焼却灰などを含む。

0034

以上の鉄鋼スラグ処理方法によって鉄鋼スラグを処理することで、路盤材やセメント原料などの、鉄鋼スラグの再利用品を製造できる。

0035

前述の実験で準備したものとは異なる、製鉄所で発生した鉄鋼スラグを複数種類準備するとともに、カルシウムアルミネートを含有する物質として、製鉄所で生じる製鋼スラグを複数種類準備した。鉄鋼スラグに対する前記物質の質量比を表す混合割合と鉄鋼スラグからのホウ素の溶出量との関係を求めておいた。目標とするホウ素の溶出量を1.0[mg/l]とし、その混合割合を求めた。

0036

まず、該製鋼スラグを鉄鋼スラグと混合して得られた混合物からのホウ素の溶出量Bが、混合していない状態の鉄鋼スラグのホウ素の溶出量Bより減少しているかを確認した(比較例1〜3及び発明例1〜16)。

0037

準備した鉄鋼スラグを成分分析した結果、複数種の鉄鋼スラグの成分は、CaO:25〜65質量%、SiO2:15〜45質量%、Al2O3:5〜20質量%、B:0.05〜0.3質量%であった。カルシウムアルミネートを含有する物質を混合していない状態の鉄鋼スラグ、及び、鉄鋼スラグと製鋼スラグとの混合物のホウ素の溶出量はICP発光分光分析法(JIS K0102:2008 47.3)で測定した。準備した製鋼スラグのカルシウムアルミネートの含有量は、粉末X線回折装置で測定した。ガラスビード法で成型したスラグに蛍光X線分析装置を用いて、スラグの成分分析を行った。

0038

スラグ輸送用容器あるいはスラグ処理場のピットで、鉄鋼スラグ単体のみ攪拌するか、または、鉄鋼スラグと製鋼スラグとを混合した。攪拌・混合の際には散水を行った例もあるが、行わなかった例もある。発明例全てで、鉄鋼スラグに対する製鋼スラグの質量比を表す混合割合を10質量%とした。混合割合を10質量%とすれば、目標とするホウ素の溶出量を1.0[mg/l]未満となることが、予め求めていた関係からわかっていた。

0039

比較例1〜3及び発明例1〜16の条件及びホウ素の溶出量Bを表1に示す。

0040

0041

比較例1〜3は、製鋼スラグを鉄鋼スラグと混合していない例であり、鉄鋼スラグのみを攪拌したところで、鉄鋼スラグからのホウ素の溶出量は変わらない。一方で、発明例1〜16は、製鋼スラグを鉄鋼スラグと混合した例である。混合場所や混合時の混合物の温度や散水の有無に拘らず、製鋼スラグを鉄鋼スラグと混合して得られた混合物からのホウ素の溶出量Bが、目標とするホウ素の溶出量を1.0[mg/l]未満を満たしていることがわかる。

0042

製鉄所で発生した鉄鋼スラグを複数種類準備するとともに、カルシウムアルミネートを含有する物質として、鋳造滓A、鋳造滓B、溶銑脱硫スラグ、溶鋼脱硫スラグを準備した。前記4種のカルシウムアルミネート含有物質のうちいずれか1種を鉄鋼スラグと混合して、鉄鋼スラグの質量に対するスラグの質量比である混合割合Wsと得られた混合物からのホウ素の溶出量Bとの関係を調査した。(発明例17〜41)。

0043

準備した鉄鋼スラグを成分分析した結果、鉄鋼スラグの成分は、全て、CaO:22〜54質量%、SiO2:15〜45質量%、Al2O3:10〜40質量%、B:0.05〜0.3質量%であった。カルシウムアルミネート含有物質を混合していない状態の鉄鋼スラグ、及び、鉄鋼スラグとカルシウムアルミネート含有物質との混合物のホウ素の溶出量はICP発光分光分析法(JIS K0102:2008 47.3)で測定した。カルシウムアルミネート含有物質の成分分析は、ガラスビード法で成型したスラグに蛍光X線分析装置を用いて行った。

0044

スラグ輸送用容器あるいはスラグ処理場のピットで、鉄鋼スラグとカルシウムアルミネート含有物質とを混合した。攪拌・混合の際には散水を行った例もあるが、行わなかった例もある。発明例17〜41のカルシウムアルミネート含有物質の混合量とホウ素の溶出量Bを表2に示す。

0045

0046

カルシウムアルミネートを含有する物質として、鋳造滓A、鋳造滓B、溶銑脱硫スラグ、溶鋼脱硫スラグを用いた場合、前記カルシウムアルミネート含有物質の混合割合を増加させた場合、得られた混合物からのホウ素の溶出量Bが減少していくことがわかった。それぞれのカルシウムアルミネート含有物質別に、当該物質の混合割合と得られた混合物からのホウ素の溶出量Bの関係を図3に示す。また、混合割合Wsの自然対数値とホウ素の溶出量Bとの関係を示すグラフを図4に示す。図4のグラフから、Wsの自然対数値の増加に伴って、ホウ素の溶出量Bが直線的に減少していくことがわかる。

0047

カルシウムアルミネート含有物質が鋳造滓Aの場合、検量線を表す式(B=−2.4ln(Ws)+10.9)が最小二乗法で導出できている。この式から、土壌環境基準を満たす1.0[mg/l]を目標とする溶出量Bとすると、B=1.0となる混合割合Wsは67質量%となる。よって、混合割合Wsが0のときにホウ素の溶出量が11[mg/l]である鉄鋼スラグの質量を100gとしたときに、鋳造滓Aを鉄鋼スラグに67g以上混合すれば、混合物(該混合物に含まれる鉄鋼スラグ)からのホウ素の溶出量が環境基準を満たすことがわかる。

0048

同様に、カルシウムアルミネート含有物質が溶鋼脱硫スラグの場合、検量線を表す式(B=−3.9ln(Ws)+13.6)が最小二乗法で導出でき、土壌環境基準を満たす1.0[mg/l]を目標とする溶出量Bとすると、B=1.0となる混合割合Wsは27質量%となる。よって、混合割合Wsが0のときにホウ素の溶出量が14[mg/l]である鉄鋼スラグの質量を100gとしたときに、鋳造滓Aを鉄鋼スラグに27g以上混合すれば、混合物(該混合物に含まれる鉄鋼スラグ)からのホウ素の溶出量が環境基準を満たすことがわかる。

実施例

0049

このようにカルシウムアルミネートを含有する物質が何であれ、混合割合Wsと溶出量Bの実績値から、混合割合Wsとホウ素の溶出量Bとの関係を示す検量線を導出することができ、この検量線から、目標とするホウ素の溶出量以下とする混合割合Wsを求めることができる。

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