図面 (/)

技術 ガラス板及びそれを用いたガラス樹脂複合体

出願人 日本電気硝子株式会社
発明者 細田洋平岩尾克
出願日 2018年3月2日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-037239
公開日 2019年9月12日 (9ヶ月経過) 公開番号 2019-151516
状態 未査定
技術分野 積層体(2) ガラスの接着 ガラスの再成形、後処理、切断、輸送等 ガラス組成物(第三版) ガラスの表面処理
主要キーワード 衝撃緩和性 平面歪 ガラス樹脂 曲面加工性 衝撃抵抗 複合一体化 分散領域 試験片寸法
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年9月12日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (2)

課題

曲面加工性に優れると共に、厚みや結晶化度が小さくても、飛散片の衝突エネルギーを有効に減衰し得るガラス板を創案する。

解決手段

本発明のガラス板は、樹脂板複合一体化して、ガラス樹脂複合体を作製するためのガラス板であって、破壊靱性K1Cが0.8MPa・m0.5以上であることを特徴とする。

概要

背景

自動車等のフロントガラスには、一般的に、複数枚ソーダライムガラス板有機樹脂中間層で複合一体化した合わせガラスが使用されており、軽量化を目的として、複数枚のソーダライムガラス板と樹脂板とを有機樹脂中間層で複合一体化したガラス樹脂複合体が用いられることもある(特許文献1〜4参照)。

自動車等のフロントガラスに使用されるソーダライムガラス板は、走行中の飛び石等の飛散片の先端形状を変形させて、その衝撃抵抗を増大させることで、飛散片の衝突エネルギー減衰する機能を有している。

しかし、ソーダライムガラス板は、飛散片の衝撃抵抗を増大させる効果が十分であるとは言えない。現状、ソーダライムガラス板の板厚を大きくするか、積層枚数を多くして、飛散片の衝撃抵抗を高めているが、これに伴い、フロントガラスの厚みや質量の増大を招いている。

そこで、飛散片の衝撃抵抗を高めるために、ソーダライムガラス板の代わりに結晶化ガラス板を用いることが検討されている。例えば、主結晶としてβ−石英固溶体(Li2O・Al2O3・nSiO2[但し、n≧2])等のLi2O−Al2O3−SiO2系結晶を析出してなる結晶化ガラス板が検討されている。

概要

曲面加工性に優れると共に、厚みや結晶化度が小さくても、飛散片の衝突エネルギーを有効に減衰し得るガラス板を創案する。本発明のガラス板は、樹脂板と複合一体化して、ガラス樹脂複合体を作製するためのガラス板であって、破壊靱性K1Cが0.8MPa・m0.5以上であることを特徴とする。

目的

そこで、本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その技術的課題は、曲面加工性に優れると共に、厚みや結晶化度が小さくても、飛散片の衝突エネルギーを有効に減衰し得るガラス板を創案することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

樹脂板複合一体化して、ガラス樹脂複合体を作製するためのガラス板であって、破壊靱性K1Cが0.8MPa・m0.5以上であることを特徴とするガラス板。

請求項2

ガラス組成として、モル%で、SiO240〜80%、Al2O35〜30%、B2O30〜15%、P2O50〜15%、Li2O+Na2O+K2O0超〜20%、MgO3〜35%、CaO+SrO+BaO0〜15%を含有することを特徴とする請求項1に記載のガラス板。

請求項3

ヤング率が80GPa以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス板。

請求項4

表面にイオン交換による圧縮応力層を有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のガラス板。

請求項5

結晶化度が30%以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のガラス板。

請求項6

板厚が3〜15mmであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のガラス板。

請求項7

次元的に湾曲した曲面形状を有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のガラス板。

請求項8

少なくとも複数枚のガラス板と樹脂板とを備えるガラス樹脂複合体であって、複数枚のガラス板の内、少なくとも一枚のガラス板が、請求項1〜7の何れかに記載のガラス板であることを特徴とするガラス樹脂複合体。

技術分野

0001

本発明は、ガラス板及びそれを用いたガラス樹脂複合体に関し、特に自動車フロントガラスドアガラスに好適なガラス板及びそれを用いたガラス樹脂複合体に関する。

背景技術

0002

自動車等のフロントガラスには、一般的に、複数枚ソーダライムガラス板有機樹脂中間層で複合一体化した合わせガラスが使用されており、軽量化を目的として、複数枚のソーダライムガラス板と樹脂板とを有機樹脂中間層で複合一体化したガラス樹脂複合体が用いられることもある(特許文献1〜4参照)。

0003

自動車等のフロントガラスに使用されるソーダライムガラス板は、走行中の飛び石等の飛散片の先端形状を変形させて、その衝撃抵抗を増大させることで、飛散片の衝突エネルギー減衰する機能を有している。

0004

しかし、ソーダライムガラス板は、飛散片の衝撃抵抗を増大させる効果が十分であるとは言えない。現状、ソーダライムガラス板の板厚を大きくするか、積層枚数を多くして、飛散片の衝撃抵抗を高めているが、これに伴い、フロントガラスの厚みや質量の増大を招いている。

0005

そこで、飛散片の衝撃抵抗を高めるために、ソーダライムガラス板の代わりに結晶化ガラス板を用いることが検討されている。例えば、主結晶としてβ−石英固溶体(Li2O・Al2O3・nSiO2[但し、n≧2])等のLi2O−Al2O3−SiO2系結晶を析出してなる結晶化ガラス板が検討されている。

先行技術

0006

特開2012−144217号公報
特開2004−196184号公報
特開2001−151539号公報
実開平1−8821号公報

発明が解決しようとする課題

0007

ところで、結晶化ガラス板の結晶化度を高めると、硬度が上昇して、飛散片の衝突エネルギーを減衰し得るが、析出結晶軟化変形阻害するため、曲面加工が困難になり、自動車等のフロントガラスに適用できなくなる。また、結晶化ガラス板の厚みを大きくすることでも、飛散片の衝突エネルギーを減衰し得るが、この場合、フロントガラスの質量が増大してしまい、また透明性を損なう虞がある。

0008

そこで、本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その技術的課題は、曲面加工性に優れると共に、厚みや結晶化度が小さくても、飛散片の衝突エネルギーを有効に減衰し得るガラス板を創案することである。

課題を解決するための手段

0009

本発明者等は、破壊靱性K1Cが高いガラス板をガラス樹脂複合体に用いることにより、上記技術的課題を解決し得ることを見出し、本発明として提案するものである。すなわち、本発明のガラス板は、樹脂板と複合一体化して、ガラス樹脂複合体を作製するためのガラス板であって、破壊靱性K1Cが0.8MPa・m0.5以上であることを特徴とする。ここで、「破壊靱性K1C」は、JIS R1607「ファインセラミックスの破壊靱性K1C試験方法」に基づき、予き裂導入破壊試験法(SEPB法:Single-Edge-Precracked-Beam method)を用いて測定したものである。SEPB法は、予き裂導入試験片の3点曲げ破壊試験によって試験片が破壊するまでの最大荷重を測定し、最大荷重、予き裂長さ試験片寸法及び曲げ支点間距離から平面歪み破壊靱性K1Cを求める方法である。なお、各ガラスの破壊靱性K1C値は5点の平均値より求めるものとする。

0010

本発明のガラス板は、樹脂板と複合一体化して、ガラス樹脂複合体を作製するためのガラス板である。ガラス樹脂複合体において、ガラス板は、透明性を有し、衝撃抵抗を高める材料である。樹脂板は、飛散片の衝突による衝撃を緩和し、また飛散片の衝撃によるガラス片の飛散を防止する材料である。両者を備えることにより、耐衝撃性を確保し易くなる。

0011

また、本発明のガラス板は、破壊靱性K1Cが0.8MPa・m0.5以上である。これにより、飛散片が複数回衝突した時にクラック同士が繋がり難くなり、ガラス樹脂複合体が破損し難くなる。

0012

また、本発明のガラス板は、ガラス組成として、モル%で、SiO2 40〜80%、Al2O3 5〜30%、B2O3 0〜15%、P2O5 0〜15%、Li2O+Na2O+K2O 0超〜20%、MgO 3〜35%、CaO+SrO+BaO 0〜15%を含有することが好ましい。

0013

また、本発明のガラス板は、ヤング率が80GPa以上であることが好ましい。このようにすれば、ガラス板中で衝撃波の速度が速くなるため、衝撃波の分散領域広がり、飛散片の衝突エネルギーを大きく減衰させることができる。ここで、「ヤング率」は、周知の共振法で測定した値を指す。

0014

また、本発明のガラス板は、表面にイオン交換による圧縮応力層を有することが好ましい。

0015

また、本発明のガラス板は、結晶化度が30%以下であることが好ましい。ここで、「結晶化度」は、粉末法によりXRDを測定することにより、非晶質の質量に相当するハロー面積と、結晶の質量に相当するピークの面積とをそれぞれ算出した後、[ピークの面積]×100/[ピークの面積+ハローの面積](%)の式により求めた値を指す。

0016

また、本発明のガラス板は、板厚が3〜15mmであることが好ましい。

0017

また、本発明のガラス板は、3次元的に湾曲した曲面形状を有することが好ましい。このようにすれば、自動車のフロントガラス等に適用し易くなる。

0018

本発明のガラス樹脂複合体は、少なくとも複数枚のガラス板と樹脂板とを備えるガラス樹脂複合体であって、複数枚のガラス板の内、少なくとも一枚のガラス板が、上記のガラス板であることが好ましい。

0019

図1は、ガラス樹脂複合体の一例を説明するための概略図である。ガラス樹脂複合体10は、外側から順に、ガラス板11と、ガラス板12と、樹脂板13と、を有しており、これらは3次元的に湾曲した曲面形状を有しており、図示しない有機樹脂中間層により複合一体化されている。ガラス板11、12は、ガラス組成として、モル%で、SiO2 40〜80%、Al2O3 5〜30%、B2O3 0〜15%、P2O5 0〜15%、Li2O+Na2O+K2O 0超〜20%、MgO 3〜35%、CaO+SrO+BaO 0〜15%を含有しており、樹脂板13は、ポリカーボネートである。

図面の簡単な説明

0020

ガラス樹脂複合体の一例を説明するための概略図である。

0021

本発明のガラス板は、ガラス組成として、モル%で、SiO2 40〜80%、Al2O3 5〜30%、B2O3 0〜15%、P2O5 0〜15%、Li2O+Na2O+K2O 0超〜20%、MgO 3〜35%、CaO+SrO+BaO 0〜15%を含有する。上記のように各成分の含有範囲規制した理由を下記に示す。なお、各成分の含有範囲の説明において、%表示はモル%を指すものとする。

0022

SiO2は、ガラスのネットワークを形成する成分である。SiO2の含有量は、好ましくは40〜80%、42〜75%、特に45〜70%である。SiO2の含有量が少な過ぎると、ガラス化し難くなり、また耐候性が低下し易くなる。一方、SiO2の含有量が多過ぎると、溶融性成形性が低下し易くなり、また熱膨張係数が低くなり過ぎて、ガラス板と樹脂板の膨張不整合によって樹脂板が変形し易くなる。

0023

Al2O3は、破壊靱性K1Cや耐候性を高める成分である。Al2O3の含有量は、好ましくは5〜30%、9〜25%、15〜24%、特に18〜23%である。Al2O3の含有量が少な過ぎると、上記効果を享受し難くなる。一方、Al2O3の含有量が多過ぎると、溶融性、成形性、耐失透性が低下し易くなる。

0024

B2O3+P2O5の含有量は、好ましくは0〜25%、0超〜15%、1〜10%、特に2〜8%である。B2O3+P2O5の含有量が少な過ぎると、溶融性、成形性、曲面加工性が低下し易くなる。B2O3+P2O5の含有量が多過ぎると、耐候性が低下し易くなる。なお、「B2O3+P2O5」は、B2O3とP2O5の合量である。

0025

B2O3は、破壊靱性K1C、溶融性、成形性、曲面加工性を高める成分である。B2O3の含有量は、好ましくは0〜15%、1〜12%、特に2〜10%である。B2O3の含有量が多過ぎると、ヤング率、耐候性が低下し易くなる。

0026

P2O5は、溶融性、成形性、曲面加工性を高める成分である。P2O5の含有量は、好ましくは0〜15%、1〜12%、特に2〜10%である。P2O5の含有量が多過ぎると、耐候性が低下し易くなる。

0027

Li2O、Na2O及びK2Oは、高温粘度を低下させて、溶融性、成形性、曲面加工性を高める成分である。Li2O、Na2O及びK2Oの合量は、好ましくは0超〜20%、1〜15%、特に5〜12%である。Li2O及びK2Oのそれぞれの含有量は、好ましくは0〜15%、0〜3%、特に0〜1%未満である。Na2Oの含有量は、好ましくは0超〜15%、1〜12%、特に3〜10%である。Li2O、Na2O及びK2Oの含有量がそれぞれ多過ぎると、破壊靱性K1C、ヤング率、耐候性が低下し易くなり、更にLi2Oの含有量が多過ぎると、曲面加工時にガラスが失透し易くなる。

0028

モル比(Li2O+Na2O+K2O)/(B2O3+P2O5)は、好ましくは0〜1.5、0超〜1.5、0.1〜1.2、0.5〜1.1、特に0.9〜1.0である。モル比(Li2O+Na2O+K2O)/(B2O3+P2O5)が小さ過ぎると、曲面加工性が低下し易くなる。一方、モル比(Li2O+Na2O+K2O)/(B2O3+P2O5)が大き過ぎると、破壊靱性K1C及び/又はヤング率が低下し易くなる。なお、「(Li2O+Na2O+K2O)/(B2O3+P2O5)」は、Li2O、Na2O及びK2Oの合量をB2O3とP2O5の合量で割った値を指す。

0029

MgOは、破壊靱性K1Cやヤング率を大幅に高める成分であり、また高温粘度を低下させて、溶融性、成形性、曲面加工性を高める成分である。MgOの含有量は、好ましくは3〜35%、8〜33%、12〜32%、特に15〜30%である。MgOの含有量が少な過ぎると、上記効果を享受し難くなる。一方、MgOの含有量が多過ぎると、耐失透性が低下し易くなる。

0030

CaO、SrO及びBaOは、高温粘度を低下させて、溶融性、成形性、曲面加工性を高める成分である。CaO、SrO及びBaOの合量は、好ましくは0〜15%、0〜5%、特に0〜1%未満である。CaO、SrO及びBaOのそれぞれの含有量は、好ましくは0〜12%、0〜5%、0〜2%、特に0〜1%未満である。CaO、SrO及びBaOの含有量が多過ぎると、破壊靱性K1C、耐失透性、ヤング率等が低下し易くなる。

0031

破壊靭性K1Cとヤング率を高める観点から、モル比MgO/(MgO+CaO+SrO+BaO)は、好ましくは0.5以上、0.7以上、0.8以上、特に0.9以上である。なお、「MgO/(MgO+CaO+SrO+BaO)」は、MgOの含有量をMgO、CaO、SrO及びBaOの合量で割った値である。

0032

上記成分以外にも、例えば以下の成分を添加してもよい。

0033

TiO2は、耐候性を高める成分であるが、ガラスを着色させる成分である。よって、TiO2の含有量は、好ましくは0〜0.5%、特に0〜0.1%未満である。

0034

ZrO2は、破壊靱性K1C、ヤング率、耐候性を高める成分であるが、耐失透性を低下させる成分である。よって、ZrO2の含有量は、好ましくは0〜0.5%、特に0〜0.1%未満である。

0035

清澄剤として、SnO2、Cl、SO3、CeO2の群(好ましくはSnO2、SO3の群)から選択された一種又は二種以上を0.05〜0.5%添加してもよい。

0036

Fe2O3は、ガラス原料不純物として不可避的に混入する成分であり、着色成分である。よって、Fe2O3の含有量は、好ましくは0.5%以下、特に0.01〜0.07%である。

0037

V2O5、Cr2O3、CoO3及びNiOは、着色成分である。よって、V2O5、Cr2O3、CoO3及びNiOのそれぞれの含有量は、好ましくは0.1%以下、特に0.01%未満である。

0038

Y2O3、Nd2O3、La2O3等の希土類酸化物は、破壊靱性K1Cやヤング率を高める成分である。しかし、原料自体のコストが高く、また多量に添加すると、耐失透性が低下し易くなる。よって、希土類酸化物の合量は、好ましくは3%以下、1%以下、0.5%以下、特に0.1%以下である。

0039

環境的配慮から、ガラス組成として、実質的にAs2O3、Sb2O3、PbO、Bi2O3及びFを含有しないことが好ましい。ここで、「実質的に〜を含有しない」とは、ガラス成分として積極的に明示の成分を添加しないものの、不純物として混入する場合を許容する趣旨であり、具体的には、明示の成分の含有量が0.05%未満であることを指す。

0040

本発明のガラス板は、以下の特性を有することが好ましい。

0041

破壊靱性K1Cは、好ましくは0.8MPa・m0.5以上、0.9MPa・m0.5以上、1.0MPa・m0.5以上、特に好ましくは1.1〜2.5MPa・m0.5である。破壊靭性K1Cが低過ぎると、ガラス板に傷が付き易くなり、その傷によってガラス板の耐衝撃性や透明性が低下し易くなる。

0042

ヤング率は、好ましくは80GPa以上、85GPa以上、90GPa以上、特に95〜150GPaである。ヤング率が低過ぎると、飛散片の衝突による衝撃波の速度が遅くなるため、衝撃波が狭い領域にしか広がらず、飛散片の衝突エネルギーを減衰し難くなる。

0043

ガラス転移点は、好ましくは820℃未満、800℃以下、790℃以下、特に780℃以下である。ガラス転移点が高過ぎると、曲面加工性が低下し易くなる。

0044

800℃における粘度は、好ましくは1012.0dPa・s以下、1011.5dPa・s以下、1011.0dPa・s以下、特に1010.5dPa・s以下である。800℃における粘度が高過ぎると、曲面加工性が低下し易くなる。

0045

結晶化度は、好ましくは30%以下、10%以下、5%以下、1%以下、特に0%、つまり非晶質である。結晶化度が高過ぎると、曲面加工性が低下し易くなる。

0046

本発明のガラス板において、板厚は、好ましくは15mm以下、12mm以下、10mm以下、特に8mm以下であり、好ましくは1.5mm以上、3mm以上、4mm以上、5mm以上、6mm以上、特に7mm以上である。ガラス板の板厚が小さ過ぎると、耐衝撃性を確保し難くなる。一方、ガラス板の板厚が大き過ぎると、フロントガラスを薄型化し難くなり、視認性が低下し易くなる。またフロントガラスの質量が増大して、自動車等の燃費が高騰してしまう。

0047

本発明のガラス板は、イオン交換処理の有無は問わないが、イオン交換処理を行うと、表面に圧縮応力層が形成されるため、破壊靱性K1Cを高めることができる。よって、本発明のガラス板は、表面にイオン交換による圧縮応力層を有することが好ましい。イオン交換処理の条件は、特に限定されず、ガラスの粘度特性、厚み、内部の引っ張り応力、寸法変化等を考慮して最適な条件を選択すればよい。特に、KNO3溶融塩中のKイオンをガラス中のNa成分とイオン交換すると、圧縮応力層を効率良く形成することができる。イオン交換処理の際、イオン交換溶液の温度は400〜450℃が好ましく、イオン交換時間は2〜6時間が好ましい。このようにすれば、表面に圧縮応力層を効率良く形成することができる。また、NaNO3溶融塩、KNO3とNaNO3混合溶融塩中のNaイオンをガラス中のLi成分とイオン交換してもよい。

0048

圧縮応力層の圧縮応力値は300MPa以上、400MPa以上、500MPa以上、600MPa以上、特に700MPa以上が好ましい。圧縮応力値が大きい程、破壊靱性K1Cが高くなる。一方、表面に極端に大きな圧縮応力が形成されると、内在する引っ張り応力が極端に高くなり、またイオン交換処理前後の寸法変化が大きくなる虞がある。このため、圧縮応力層の圧縮応力値は1800MPa以下、1650MPa以下、特に1500MPa以下が好ましい。なお、イオン交換時間を短くしたり、イオン交換溶液の温度を下げれば、圧縮応力値が大きくなる傾向がある。

0049

圧縮応力層の応力深さは、好ましくは15μm以上、20μm以上、25μm以上、30μm以上、特に35μm以上である。応力深さが大きい程、機械的強度バラツキが小さくなる。一方、応力深さが大きい程、内在する引っ張り応力が高くなり、またイオン交換処理前後で寸法変化が大きくなる虞がある。更に、応力深さが大き過ぎると、圧縮応力値が低下する傾向がある。よって、応力深さは、好ましくは60μm以下、50μm以下、特に45μm以下である。なお、イオン交換時間を長くしたり、イオン交換溶液の温度を上げれば、応力深さが大きくなる傾向がある。

0050

内部の引っ張り応力値は、好ましくは75MPa以下、60MPa以下、50MPa以下、40MPa以下、35MPa以下、特に30MPa以下である。内部の引っ張り応力値が高過ぎると、ガラス板が自己破壊し易くなる。一方、内部の引っ張り応力値が低過ぎると、ガラス板の機械的強度を確保し難くなる。内部の引っ張り応力値は、好ましくは1MPa以上、5MPa以上、15MPa以上、特に20MPa以上である。なお、内部の引っ張り応力は下記の数式1で計算可能である。

0051

[数1]
内部の引っ張り応力値=(圧縮応力値×応力深さ)/(板厚−2×応力深さ)

0052

本発明のガラス樹脂複合体は、ガラス板と樹脂板とを備え、少なくとも一枚のガラス板が、上記のガラス板である。本発明のガラス樹脂複合体において、ガラス板は複数枚であることが好ましい。なお、ガラス樹脂複合体中に複数のガラス板を有する場合、本発明のガラス板以外のガラス板(例えば、ソーダライムガラス板)を含んでいてもよいが、本発明の効果を的確に享受する観点から、全てのガラス板が本発明のガラス板であることが好ましい。

0053

本発明のガラス樹脂複合体において、樹脂板は複数枚でもよいが、視認性を高める観点から、1枚であることが好ましい。樹脂板は、アクリル、ポリカーボネート等の種々の樹脂使用可能であるが、透明性、衝撃緩和性、軽量化の観点から、ポリカーボネートが特に好ましい。

0054

樹脂板の板厚は、好ましくは10mm以下、8mm以下、7mm以下、6mm以下、特に5mm以下であり、好ましくは0.5mm以上、0.7mm以上、1mm以上、2mm以上、特に3mm以上である。樹脂板の板厚が小さ過ぎると、飛散片が衝突した時にその衝撃を緩和し難くなる。一方、樹脂板の板厚が大き過ぎると、フロントガラスを薄型化し難くなり、またフロントガラスの視認性が低下し易くなる。

0055

本発明のガラス樹脂複合体において、ガラス板同士、ガラス板と樹脂板は、有機樹脂中間層により複合一体化されていることが好ましい。有機樹脂中間層の厚みは、好ましくは0.1〜2mm、0.3〜1.5mm、0.5〜1.2mm、特に0.6〜0.9mmである。有機樹脂中間層の厚みが小さ過ぎると、飛散片が衝突した時に、衝撃波のエネルギーが室内側に伝搬し易くなる。一方、有機樹脂中間層の厚みが大き過ぎると、フロントガラスの視認性が低下し易くなる。

0056

有機樹脂中間層の熱膨張係数は、ガラス板の熱膨張係数以上、且つ樹脂板の熱膨張係数以下であることが好ましい。このようにすれば、フロントガラスが直射日光で加熱された時に、ガラス板と樹脂板が分離、変形し難くなる。なお、「熱膨張係数」は、0〜300℃の温度範囲における平均線熱膨張係数を指す。

0057

有機樹脂中間層として、種々の有機樹脂が使用可能であり、例えば、ポリエチレン(PE)、エチレン酢酸ビニル共重合体EVA)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、メタクリル樹脂(PMA)、ポリ塩化ビニルPVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、セルロースアセテート(CA)、ジアリルフタレート樹脂(DAP)、ユリア樹脂(UP)、メラミン樹脂MF)、不飽和ポリエステル(UP)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルホルマール(PVF)、ポリビニルアルコール(PVAL)、酢酸ビニル樹脂(PVAc)、アイオノマー(IO)、ポリメチルペンテンTPX)、塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスフォン(PSF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、メタクリルスチレン共重合樹脂(MS)、ポリアレート(PAR)、ポリアリルスルフォンPASF)、ポリブタジエン(BR)、ポリエーテルスルフォン(PESF)、又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が使用可能である。その中でも、透明性と固着性の観点から、EVA、PVBが好適であり、特にPVBは遮音性を付与し得るため好ましい。

0058

有機樹脂中間層中に着色剤を添加してもよく、赤外線紫外線等の特定波長光線を吸収する吸収剤を添加してもよい。

0059

有機樹脂中間層には、上記有機樹脂を複数種類組み合わせたものを用いてもよい。例えば、ガラス板と樹脂板の複合一体化に2層の有機樹脂中間層を用いると、ガラス板と樹脂板が異なる有機樹脂で固着されるため、フロントガラスの反りを低減し易くなる。

0060

ガラス樹脂複合体の総板厚は、好ましくは55mm以下、45mm以下、40mm以下であり、好ましくは4mm以上、5mm以上、7mm以上、特に10mm以上である。ガラス樹脂複合体の総板厚が小さ過ぎると、フロントガラスの耐衝撃性が低下し易くなる。一方、ガラス樹脂複合体の総板厚が大き過ぎると、フロントガラスの質量が大きくなり、またフロントガラスの視認性が低下し易くなる。

0061

以下のようにして、ガラス板及びガラス樹脂複合体を作製することができる。

0062

まず所定のガラス組成になるように調合したガラス原料を連続溶融炉投入して、1500〜1700℃で加熱溶融し、清澄攪拌した後、成形装置に供給して板状に成形し、徐冷することにより、ガラス板を作製することができる。

0063

ガラス板を成形する方法として、フロート法を採用することが好ましい。フロート法は、ガラス板を安価に作製し得る方法である。

0064

フロート法以外にも、オーバーフローダウンドロー法を採用してもよい。オーバーフローダウンドロー法は、表面が未研磨の状態で、薄いガラス板を大量に作製し得る方法である。なお、表面が未研磨であると、ガラス板の製造コストを低廉化することができる。

0065

ガラス板は、必要に応じて、面取り加工されていることが好ましい。その場合、#800のメタルボンド砥石等により、C面取り加工を行うことが好ましい。このようにすれば、端面強度を高めることができる。必要に応じて、ガラス板の端面をエッチングして、端面に存在するクラックソースを低減することも好ましい。

0066

次に、得られたガラス板について、必要に応じて、曲面加工を行う。曲面加工の方法として、種々の方法を採用することができる。特に、金型によりガラス板を1枚ずつ或いは積層してプレス成形する方法が好ましく、より具体的には、所定の形状の金型でガラス板を挟み込んだ状態で熱処理炉を通過させることが好ましい。このようにすれば、曲面形状の寸法精度を高めることができる。また、所定形状の金型上にガラス板を1枚ずつ或いは積層して配置した後、ガラス板の一部又は全体を熱処理することにより、金型の形状に沿って、ガラス板を自重で軟化変形させる方法も好ましい。このようにすれば、曲面加工の効率を高めることができる。

0067

次に、ガラス板(好ましくは複数枚のガラス板)と樹脂板とを有機樹脂中間層で複合一体化して、ガラス樹脂複合体を作製することができる。複合一体化の方法として、ガラス板同士又はガラス板と樹脂板の間に有機樹脂を注入した後に有機樹脂を硬化させる方法、ガラス板同士又はガラス板と樹脂板の間に有機樹脂シートを配置した後に加圧加熱処理熱圧着)する方法等が挙げられる。前者の方法は、ガラス板と樹脂板の膨張不整合による樹脂板の変形を抑制することができる。後者の方法の方は、複合一体化が容易である。

0068

また、複合一体化した後に、最外層のガラス板の外表面に、ハードコート膜赤外線反射膜熱線反射膜等の機能膜を形成してもよい。また複合一体化する前に、最外層のガラス板の内表面に、ハードコート膜、赤外線反射膜、熱線反射膜等の機能膜を形成してもよい。

0069

以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例は単なる例示である。本発明は以下の実施例に何ら限定されない。

0070

表1は、本発明の実施例(試料No.1〜5)と比較例(試料No.6〜7)を示している。なお、表中で「N.A.」は、未測定であることを意味する。

0071

0072

次のようにしてガラス板を作製した。表1に記載のガラスが得られるように、ガラス原料を調合した。次に、調合済みのガラスバッチを連続溶融炉に投入し、1600℃で20時間溶融した後、清澄、攪拌して、均質溶融ガラスを得た上で、板厚8.0mmの板状に成形した。得られたガラス板について、破壊靭性K1C、ヤング率、ガラス転移温度、800℃における粘度(logη800℃)及び結晶化度を評価した。なお、試料No.1〜7に係るガラス板は、Fe2O3の混入不純量が0.05モル%であり、V2O5、Cr2O3、CoO3及びNiOの混入不純物量がそれぞれ0.01モル%未満であった。

0073

破壊靱性K1Cは、JIS R1607「ファインセラミックスの破壊靱性K1C試験方法」に基づき、SEPB法を用いて測定したものである。なお、各ガラスの破壊靱性値は5点の平均値より求めた。

0074

ヤング率は、周知の共振法で測定した値である。

0075

ガラス転移温度は、ディラトメーターを用いて測定した値である。

0076

800℃における粘度(logη800℃)は、歪点徐冷点軟化点の温度から得られる温度−粘度曲線内挿値から求めたものである。なお、歪点と徐冷点は、ASTMC336の方法に基づいて測定した値である。また軟化点は、ASTM C338の方法に基づいて測定した値である。

0077

結晶化度は、粉末法によりXRDを測定することにより、非晶質の質量に相当するハローの面積と、結晶の質量に相当するピークの面積とをそれぞれ算出した後、[ピークの面積]×100/[ピークの面積+ハローの面積](%)の式により求めた値である。なお、結晶化度が0%である場合は、非晶質ガラスであることを意味する。

0078

表1から分かるように、試料No.1〜5は、破壊靭性K1Cが0.8MPa・m0.5以上、ヤング率が91GPa以上、800℃における粘度が1011dPa・s以下である。よって、試料No.1〜5は、樹脂板と複合一体化して、ガラス樹脂複合体を作製するためのガラス板として好適であると考えられる。一方、試料No.6、7は、破壊靭性K1Cが0.7MPa・m0.5以下であるため、耐衝撃性が低いと考えられる。

0079

次に、試料No.1に係るガラス板を所定の形状の金型で挟み込んだ状態で熱処理炉を通過させることにより、板幅方向の全体が円弧状に湾曲し、且つ長さ方向の全体が円弧状に湾曲した形状に曲面加工した。その後、曲面加工後のガラス板の端面について#800のメタルボンド砥石によりC面取り加工及び研磨加工を行った。

0080

続いて、ガラス板と同様の曲面形状を有するポリカーボネート板(板厚4.0mm)を用意した。

実施例

0081

最後に、外側(大気側)から、試料No.1に係るガラス板(外層のガラス板)、厚み0.8mmのポリビニルブチラール(PVB)、試料No.1に係るガラス板(内層のガラス板)、厚み0.8mmのポリビニルブチラール(PVB)、ポリカーボネート板の順になるように積層し、この積層体オートクレーブ処理により複合一体化して、試料No.1に係るガラス樹脂複合体を得た。試料No.2〜5についても、同様の実験を行い、試料No.2〜5に係るガラス樹脂複合体を得た。

0082

本発明のガラス板は、樹脂板と複合一体化して、ガラス樹脂複合体を作製するためのガラス板として好適であり、そのガラス樹脂複合体は、自動車、鉄道航空機等のフロントガラス、ドアガラスに好適であり、それ以外にも、高層ビル等の建築物窓ガラスにも好適である。

0083

10ガラス樹脂複合体
11ガラス板
12 ガラス板
13 樹脂板

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 東洋インキSCホールディングス株式会社の「 電磁波シールドシート、および電子部品搭載基板」が 公開されました。( 2020/04/09)

    【課題】クッション密着性が良好であり、電子部品の搭載により形成された段差部に確実に追従変形するとともに該段差部内において基板に形成されたグランドパターンとの接続が確実に行われ、高い接続信頼性によって長... 詳細

  • セーレン株式会社の「 積層シート及びインサート成形体」が 公開されました。( 2020/04/09)

    【課題】インサート成形時のゲート流れを抑制可能な積層シート及びインサート成形体を提供する。【解決手段】積層シート1は、第一層3と、第二層5と、第三層7を含む。第一層は、光透過性を有する、樹脂製の層であ... 詳細

  • 住友化学株式会社の「 光学フィルム」が 公開されました。( 2020/04/09)

    【課題】広角方向の視認性に優れた光学フィルムを提供する。【解決手段】ポリイミド系樹脂及びポリアミド系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含み、式(1):0≦Ts≦0.35(1)、[式(1... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ