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技術 シリコン融液の対流パターン推定方法、シリコン単結晶の酸素濃度推定方法、シリコン単結晶の製造方法、および、シリコン単結晶の引き上げ装置

出願人 株式会社SUMCO
発明者 杉村渉横山竜介藤原俊幸小野敏昭
出願日 2018年2月28日 (2年4ヶ月経過) 出願番号 2018-035830
公開日 2019年9月12日 (9ヶ月経過) 公開番号 2019-151500
状態 未査定
技術分野 結晶、結晶のための後処理
主要キーワード 対流パターン 色放射温度計 X座標 熱遮蔽体 固形原料 直交断面 無次元数 接触式温度計
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年9月12日)のものです。
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図面 (11)

課題

解決手段

回転している石英ルツボ内のシリコン融液に対し、石英ルツボを挟んで配置された一対の磁性体を用いて強度が0.2テスラ以上の水平磁場印加する工程S2と、水平磁場が印加されたシリコン融液に種結晶を着液する前に、シリコン融液の表面のうち、鉛直上方から見たときに表面の中心を通りかつ水平磁場の中心の磁力線と平行でない第1の仮想線上に位置する第1の計測点および第2の計測点の温度を計測する工程S3と、計測された第1の計測点および第2の計測点の温度に基づいて、シリコン融液内の水平磁場の印加方向に直交する平面における対流の方向を推定する工程S4とを備えているシリコン融液の対流パターン推定方法。

概要

背景

シリコン単結晶の製造にはチョクラルスキー法(以下、CZ法という)と呼ばれる方法が使われる。このようなCZ法を用いた製造方法において、シリコン融液表面温度を正確に計測することで、シリコン単結晶の品質を向上させることが行われている(例えば、特許文献1〜3参照)。

特許文献1には、種結晶の着液前において、シリコン融液の表面温度を高精度に計測することで、有転位化が発生していないシリコン単結晶を製造することが開示されている。
特許文献2には、ルツボの壁面やヒーターなどからの輻射光迷光)を除去する迷光除去板を設けることで、シリコン単結晶の育成中に、迷光の影響を除去したシリコン融液の表面温度を高精度に計測できることが開示されている。
特許文献3には、シリコン融液の輻射光とシリコン融液表面反射した迷光とに基づく温度を計測する放射温度計と、迷光に基づく温度を計測する2色放射温度計とを設けることで、シリコン単結晶の育成中に、迷光の影響を除去したシリコン融液の表面温度を高精度に計測できることが開示されている。

概要

引き上げ前にシリコン単結晶の酸素濃度を適切に推定できるシリコン融液の対流パターン推定方法の提供。回転している石英ルツボ内のシリコン融液に対し、石英ルツボを挟んで配置された一対の磁性体を用いて強度が0.2テスラ以上の水平磁場印加する工程S2と、水平磁場が印加されたシリコン融液に種結晶を着液する前に、シリコン融液の表面のうち、鉛直上方から見たときに表面の中心を通りかつ水平磁場の中心の磁力線と平行でない第1の仮想線上に位置する第1の計測点および第2の計測点の温度を計測する工程S3と、計測された第1の計測点および第2の計測点の温度に基づいて、シリコン融液内の水平磁場の印加方向に直交する平面における対流の方向を推定する工程S4とを備えているシリコン融液の対流パターン推定方法。

目的

本発明の目的は、引き上げ前にシリコン単結晶の酸素濃度を適切に推定できるシリコン融液の対流パターン推定方法、シリコン単結晶の酸素濃度推定方法、シリコン単結晶の製造方法、および、シリコン単結晶の引き上げ装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

シリコン単結晶の製造に用いるシリコン融液対流パターン推定方法であって、回転している石英ルツボ内のシリコン融液に対し、強度が0.2テスラ以上の水平磁場印加する工程と、前記水平磁場が印加されたシリコン融液に種結晶を着液する前に、前記シリコン融液の表面のうち、鉛直上方から見たときに前記表面の中心を通りかつ前記水平磁場の中心の磁力線と平行でない第1の仮想線上に位置する第1の計測点および第2の計測点の温度を計測する工程と、計測された前記第1の計測点および前記第2の計測点の温度に基づいて、前記シリコン融液内の前記水平磁場の印加方向に直交する平面における対流の方向を推定する工程とを備えていることを特徴とするシリコン融液の対流パターン推定方法。

請求項2

請求項1に記載のシリコン融液の対流パターン推定方法において、前記第1の計測点および前記第2の計測点は、鉛直上方から見たときに前記表面の中心を通りかつ前記水平磁場の中心の磁力線と平行な第2の仮想線を挟んだ両側に位置することを特徴とするシリコン融液の対流パターン推定方法。

請求項3

請求項1または請求項2に記載のシリコン融液の対流パターン推定方法において、前記第1の計測点は、前記シリコン融液の表面の中心を原点、鉛直上方をZ軸の正方向、前記水平磁場の印加方向をY軸の正方向とした右手系のXYZ直交座標系において、前記第2の計測点よりもX軸の負方向側に位置し、前記対流の方向を推定する工程は、前記第1の計測点の温度が前記第2の計測点の温度よりも高い場合、前記Y軸の負方向側から見たときの前記対流の方向が右回りに固定されたと推定し、前記第2の計測点の温度よりも低い場合、前記対流の方向が左回りに固定されたと推定することを特徴とするシリコン融液の対流パターン推定方法。

請求項4

請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリコン融液の対流パターン推定方法において、前記シリコン融液の表面の中心から前記第1の計測点までの距離をR1、前記表面の中心から前記第2の計測点までの距離をR2、前記石英ルツボ内径半径をRCとした場合、以下の式(1)を満たす前記第1の計測点、および、式(2)を満たす前記第2の計測点を計測することを特徴とするシリコン融液の対流パターン推定方法。0.375≦R1/RC<1…(1)0.375≦R2/RC<1…(2)

請求項5

請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシリコン融液の対流パターン推定方法を実施する工程と、予め準備された前記対流の方向およびシリコン単結晶の酸素濃度の関係と、前記対流パターン推定方法で推定された前記対流の方向とに基づいて、引き上げられたシリコン単結晶の直胴部における酸素濃度を推定する工程とを実施することを特徴とするシリコン単結晶の酸素濃度推定方法。

請求項6

請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシリコン融液の対流パターン推定方法を実施する工程と、シリコン単結晶を引き上げる工程とを含み、前記シリコン単結晶を引き上げる工程は、前記推定された対流の方向が予め決められた方向でない場合、前記水平磁場の強度を0.01テスラ未満に下げた後、前記水平磁場を0.2テスラ以上に上げてから、前記第1の計測点および前記第2の計測点の温度を計測し、前記推定された対流の方向が予め決められた方向である場合、前記水平磁場の強度を0.2テスラ以上に維持したまま、予め決められた引き上げ条件に基づいて、前記シリコン単結晶を引き上げることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。

請求項7

請求項5に記載のシリコン単結晶の酸素濃度推定方法を実施する工程と、シリコン単結晶を引き上げる工程とを含み、前記シリコン単結晶を引き上げる工程は、前記水平磁場の強度を0.2テスラ以上に維持したまま、前記推定された酸素濃度に基づいて、引き上げ装置チャンバ内に流す不活性ガスの流量、前記チャンバの炉内圧力、および、前記石英ルツボの回転数の少なくともいずれかを調整して、前記シリコン単結晶を引き上げることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。

請求項8

石英ルツボと、前記石英ルツボを挟んで配置され、前記石英ルツボ内のシリコン融液に対して水平磁場を印加する磁場印加部と、前記シリコン融液の表面のうち、前記表面の中心を通りかつ前記水平磁場の中心の磁力線と平行でない第1の仮想線上に位置する第1の計測点および第2の計測点の温度を計測する温度計測部とを備えていることを特徴とするシリコン単結晶の引き上げ装置。

請求項9

請求項8に記載のシリコン単結晶の引き上げ装置において、前記第1の計測点および前記第2の計測点は、前記表面の中心を通りかつ前記水平磁場の中心の磁力線と平行な第2の仮想線を挟んだ両側に位置することを特徴とするシリコン単結晶の引き上げ装置。

請求項10

請求項8または請求項9に記載のシリコン単結晶の引き上げ装置において、前記温度計測部は、前記シリコン融液の表面の中心から前記第1の計測点までの距離をR1、前記表面の中心から前記第2の計測点までの距離をR2、前記石英ルツボの内径の半径をRCとした場合、以下の式(3)を満たす前記第1の計測点、および、式(4)を満たす前記第2の計測点を計測することを特徴とするシリコン単結晶の引き上げ装置。0.375≦R1/RC<1…(3)0.375≦R2/RC<1…(4)

請求項11

請求項8から請求項10のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の引き上げ装置において、前記温度計測部は、前記石英ルツボが設置されたチャンバ内部に設置され、前記第1の計測点および前記第2の計測点からのそれぞれの輻射光反射する一対の反射部と、前記チャンバ外部に設置され、前記一対の反射部でそれぞれ反射された輻射光を受光して、前記第1の計測点および前記第2の計測点の温度を計測する一対の放射温度計とを備えていることを特徴とするシリコン単結晶の引き上げ装置。

請求項12

請求項11に記載のシリコン単結晶の引き上げ装置において、前記一対の反射部は、当該反射部の下端から前記シリコン融液の表面までの距離が600mm以上5000mm以下となる位置に設置されていることを特徴とするシリコン単結晶の引き上げ装置。

請求項13

請求項11または請求項12に記載のシリコン単結晶の引き上げ装置において、前記一対の反射部は、それぞれ反射面を有し、前記反射面は、水平面に対する角度が40°以上50°以下となるように設置されていることを特徴とするシリコン単結晶の引き上げ装置。

請求項14

請求項8から請求項13のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の引き上げ装置において、前記温度計測部で計測された前記第1の計測点および前記第2の計測点の温度に基づいて、前記シリコン融液内の前記水平磁場の印加方向に直交する平面における対流の方向を推定する対流パターン推定部を備えていることを特徴とするシリコン単結晶の引き上げ装置。

請求項15

請求項14に記載のシリコン単結晶の引き上げ装置において、前記対流パターン推定部で推定された対流の方向が予め決められた方向でない場合、前記水平磁場の強度を0.01テスラ未満に下げた後、前記水平磁場を0.2テスラ以上に上げて、前記温度計測部で前記第1の計測点および前記第2の計測点の温度を計測させ、前記予め決められた方向である場合、前記水平磁場の強度を0.2テスラ以上に維持したまま、予め決められた引き上げ条件に基づいて、前記シリコン単結晶を引き上げる引き上げ制御部を備えていることを特徴とするシリコン単結晶の引き上げ装置。

請求項16

請求項14に記載のシリコン単結晶の引き上げ装置において、前記対流の方向およびシリコン単結晶の酸素濃度の関係を記憶する記憶部と、前記対流パターン推定部で推定された前記対流の方向と前記記憶部に記憶された関係とに基づいて、引き上げられたシリコン単結晶の直胴部における酸素濃度を推定する酸素濃度推定部と、前記水平磁場の強度を0.2テスラ以上に維持したまま、前記酸素濃度推定部で推定された酸素濃度に基づいて、チャンバ内に流す不活性ガスの流量、前記チャンバの炉内圧力、および、前記石英ルツボの回転数の少なくともいずれかを調整して、前記シリコン単結晶を引き上げる引き上げ制御部とを備えていることを特徴とするシリコン単結晶の引き上げ装置。

技術分野

0001

本発明は、シリコン融液対流パターン推定方法シリコン単結晶酸素濃度推定方法、シリコン単結晶の製造方法、および、シリコン単結晶の引き上げ装置に関する。

背景技術

0002

シリコン単結晶の製造にはチョクラルスキー法(以下、CZ法という)と呼ばれる方法が使われる。このようなCZ法を用いた製造方法において、シリコン融液の表面温度を正確に計測することで、シリコン単結晶の品質を向上させることが行われている(例えば、特許文献1〜3参照)。

0003

特許文献1には、種結晶の着液前において、シリコン融液の表面温度を高精度に計測することで、有転位化が発生していないシリコン単結晶を製造することが開示されている。
特許文献2には、ルツボの壁面やヒーターなどからの輻射光迷光)を除去する迷光除去板を設けることで、シリコン単結晶の育成中に、迷光の影響を除去したシリコン融液の表面温度を高精度に計測できることが開示されている。
特許文献3には、シリコン融液の輻射光とシリコン融液表面反射した迷光とに基づく温度を計測する放射温度計と、迷光に基づく温度を計測する2色放射温度計とを設けることで、シリコン単結晶の育成中に、迷光の影響を除去したシリコン融液の表面温度を高精度に計測できることが開示されている。

先行技術

0004

特開2012−148938号公報
特開平9−263486号公報
特開平6−129911号公報

発明が解決しようとする課題

0005

シリコン単結晶の製造方法として、シリコン融液に水平方向の磁場を印加するMCZ(磁場印加チョクラスキー)法が知られている。
MCZ法においても、特許文献1〜3のような方法を用いてシリコン単結晶の品質を向上させることが考えられるが、所望の酸素濃度とならない場合があると言う別の問題が発生した。

0006

本発明の目的は、引き上げ前にシリコン単結晶の酸素濃度を適切に推定できるシリコン融液の対流パターン推定方法、シリコン単結晶の酸素濃度推定方法、シリコン単結晶の製造方法、および、シリコン単結晶の引き上げ装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

本発明のシリコン融液の対流パターン推定方法は、シリコン単結晶の製造に用いるシリコン融液の対流パターン推定方法であって、回転している石英ルツボ内のシリコン融液に対し、強度が0.2テスラ以上の水平磁場を印加する工程と、前記水平磁場が印加されたシリコン融液に種結晶を着液する前に、前記シリコン融液の表面のうち、鉛直上方から見たときに前記表面の中心を通りかつ前記水平磁場の中心の磁力線と平行でない第1の仮想線上に位置する第1の計測点および第2の計測点の温度を計測する工程と、計測された前記第1の計測点および前記第2の計測点の温度に基づいて、前記シリコン融液内の前記水平磁場の印加方向に直交する平面における対流の方向を推定する工程とを備えていることを特徴とする。

0008

水平磁場を印加していないシリコン融液には、当該シリコン融液の外側部分から上昇し中央部分で下降する下降流が生じている。この状態で石英ルツボを回転させると、下降流は、回転中心からずれた位置に移動し、石英ルツボの上方から見て、石英ルツボの回転方向に回転する。この状態で強度が0.01テスラ以上の水平磁場を印加すると、上方から見たときの下降流の回転が拘束される。その後、さらに磁場強度を上げると、シリコン融液の表面の中心を原点、上方をZ軸の正方向、水平磁場の印加方向をY軸の正方向とした右手系のXYZ直交座標系において、Y軸の負方向側から見たときのシリコン融液内の水平磁場の印加方向に直交する平面(以下、「磁場直交断面」という)における下降流の右側と左側における上昇方向の対流の大きさが変化する。そして、0.2テスラになると、シリコン融液内における印加方向のいずれの位置においても、いずれか一方の対流が消え去り、右回り左回りの対流のみが残る。磁場直交断面において対流が右回りに固定された場合、シリコン融液は、左側が右側よりも高温になる。また、対流が左回りに固定された場合、シリコン融液は、右側が左側よりも高温になる。

0009

シリコン単結晶の引き上げ装置は、対称構造で設計されるものの、厳密に見た場合、構成部材が対称構造になっていないため、チャンバ内の熱環境も非対称となる。
例えば、磁場直交断面において石英ルツボの左側が右側よりも高温となるような熱環境の引き上げ装置において、対流が右回りで固定されると、右回りの対流ではシリコン融液の左側が高温になるため、熱環境との相乗効果でシリコン融液左側がより高温になる。一方、対流が左回りで固定されると、右回りの場合のような熱環境との相乗効果が発生せず、シリコン融液左側があまり高温にならない。
シリコン融液の温度が高いほど石英ルツボから溶出する酸素の量が多くなるため、上記のような熱環境の引き上げ装置を用いてシリコン単結晶を引き上げる場合には、対流を左回りで固定した場合よりも右回りで固定した場合の方が、シリコン単結晶に取り込まれる酸素量が多くなり、直胴部の酸素濃度も高くなる。

0010

本発明によれば、鉛直上方から見たときにシリコン融液表面の中心を通りかつ水平磁場の中心の磁力線と平行でない第1の仮想線上に位置する第1の計測点および第2の計測点の温度を計測することで、つまりY軸の負方向側から見たときに左右に並ぶ第1の計測点および第2の計測点の温度を計測することで、例えば左側が右側よりも高温の場合には、対流が右回りで固定され、逆の計測結果の場合は、対流が左回りで固定されたと推定できる。
このように、シリコン単結晶の酸素濃度に影響を与えるシリコン融液の対流の方向を推定することで、シリコン単結晶の引き上げ前に、シリコン単結晶の酸素濃度を推定することができる。

0011

本発明のシリコン融液の対流パターン推定方法において、前記第1の計測点および前記第2の計測点は、鉛直上方から見たときに前記表面の中心を通りかつ前記水平磁場の中心の磁力線と平行な第2の仮想線を挟んだ両側に位置することが好ましい。
本発明によれば、第1,第2の計測点の温度差を大きくすることができ、対流の方向を高精度に推定できる。

0012

本発明のシリコン融液の対流パターン推定方法において、前記第1の計測点は、前記シリコン融液の表面の中心を原点、鉛直上方をZ軸の正方向、前記水平磁場の印加方向をY軸の正方向とした右手系のXYZ直交座標系において、前記第2の計測点よりもX軸の負方向側に位置し、前記対流の方向を推定する工程は、前記第1の計測点の温度が前記第2の計測点の温度よりも高い場合、前記Y軸の負方向側から見たときの前記対流の方向が右回りに固定されたと推定し、前記第2の計測点の温度よりも低い場合、前記対流の方向が左回りに固定されたと推定することが好ましい。

0013

本発明のシリコン融液の対流パターン推定方法において、前記シリコン融液の表面の中心から前記第1の計測点までの距離をR1、前記表面の中心から前記第2の計測点までの距離をR2、前記石英ルツボの内径半径をRCとした場合、以下の式(1)を満たす前記第1の計測点、および、式(2)を満たす前記第2の計測点を計測することが好ましい。
0.375≦R1/RC<1 … (1)
0.375≦R2/RC<1 … (2)
本発明によれば、第1,第2の計測点の温度差を大きくすることができ、対流の方向を高精度に推定できる。

0014

本発明のシリコン単結晶の酸素濃度推定方法は、前述したシリコン融液の対流パターン推定方法を実施する工程と、予め準備された前記対流の方向およびシリコン単結晶の酸素濃度の関係と、前記対流パターン推定方法で推定された前記対流の方向とに基づいて、引き上げられたシリコン単結晶の直胴部における酸素濃度を推定する工程とを実施することを特徴とする。

0015

本発明によれば、対流の方向およびシリコン単結晶の酸素濃度の関係、つまり所定の熱環境の引き上げ装置においては、例えば対流を左回りで固定した場合よりも右回りで固定した場合の方が、直胴部の酸素濃度が高くなるという関係と、第1,第2の計測点の計測結果に基づき推定された対流の方向とに基づいて、その後に引き上げるシリコン単結晶の酸素濃度を適切に推定できる。

0016

本発明のシリコン単結晶の製造方法は、前述したシリコン融液の対流パターン推定方法を実施する工程と、シリコン単結晶を引き上げる工程とを含み、前記シリコン単結晶を引き上げる工程は、前記推定された対流の方向が予め決められた方向でない場合、前記水平磁場の強度を0.01テスラ未満に下げた後、前記水平磁場を0.2テスラ以上に上げてから、前記第1の計測点および前記第2の計測点の温度を計測し、前記推定された対流の方向が予め決められた方向である場合、前記水平磁場の強度を0.2テスラ以上に維持したまま、予め決められた引き上げ条件に基づいて、前記シリコン単結晶を引き上げることを特徴とする。

0017

本発明によれば、推定された対流の方向が予め決められた方向の場合のみ、予め決められた引き上げ条件でシリコン単結晶を引き上げるため、引き上げ条件を大きく変更することなく、所望の酸素濃度のシリコン単結晶を得られ、シリコン単結晶ごとの酸素濃度のばらつきも抑制できる。

0018

本発明のシリコン単結晶の製造方法は、前述したシリコン単結晶の酸素濃度推定方法を実施する工程と、シリコン単結晶を引き上げる工程とを含み、前記シリコン単結晶を引き上げる工程は、前記水平磁場の強度を0.2テスラ以上に維持したまま、前記推定された酸素濃度に基づいて、引き上げ装置のチャンバ内に流す不活性ガスの流量、前記チャンバの炉内圧力、および、前記石英ルツボの回転数の少なくともいずれかを調整して、前記シリコン単結晶を引き上げることを特徴とする。

0019

本発明によれば、推定した酸素濃度に基づいて、不活性ガスの流量、チャンバの炉内圧力、あるいは、石英ルツボの回転数を制御することによって、所望の酸素濃度のシリコン単結晶を製造できる。したがって、所望の酸素濃度のシリコン単結晶を得られ、シリコン単結晶ごとの酸素濃度のばらつきを抑制できる上、シリコン単結晶の製造効率の向上を図れる。

0020

本発明のシリコン単結晶の引き上げ装置は、石英ルツボと、前記石英ルツボを挟んで配置され、前記石英ルツボ内のシリコン融液に対して水平磁場を印加する磁場印加部と、前記シリコン融液の表面のうち、前記表面の中心を通りかつ前記水平磁場の中心の磁力線と平行でない第1の仮想線上に位置する第1の計測点および第2の計測点の温度を計測する温度計測部とを備えていることを特徴とする。

0021

本発明のシリコン単結晶の引き上げ装置において、前記第1の計測点および前記第2の計測点は、前記表面の中心を通りかつ前記水平磁場の中心の磁力線と平行な第2の仮想線を挟んだ両側に位置することが好ましい。

0022

本発明のシリコン単結晶の引き上げ装置において、前記温度計測部は、前記シリコン融液の表面の中心から前記第1の計測点までの距離をR1、前記表面の中心から前記第2の計測点までの距離をR2、前記石英ルツボの内径の半径をRCとした場合、前述の式(1)を満たす前記第1の計測点、および、前述の式(2)を満たす前記第2の計測点を計測することが好ましい。

0023

本発明のシリコン単結晶の引き上げ装置において、前記温度計測部は、前記石英ルツボが設置されたチャンバ内部に設置され、前記第1の計測点および前記第2の計測点からのそれぞれの輻射光を反射する一対の反射部と、前記チャンバ外部に設置され、前記一対の反射部でそれぞれ反射された輻射光を受光して、前記第1の計測点および前記第2の計測点の温度を計測する一対の放射温度計とを備えていることが好ましい。
本発明によれば、放射温度計をチャンバ外部に設置することで、長寿命化を図れる。

0024

本発明のシリコン単結晶の引き上げ装置において、前記一対の反射部は、当該反射部の下端から前記シリコン融液の表面までの距離が600mm以上5000mm以下となる位置に設置されていることが好ましい。
本発明によれば、シリコン融液の表面から600mm以上離れた位置に反射部を設置することで、シリコン融液の熱による反射部の摩耗や、シリコン融液から発生するSiOガスに起因する反射面の曇りを抑制できる。また、シリコン融液の表面から5000mm以下の位置に反射部を設置することで、チャンバ内の多重反射による外乱光が反射部に入射することを抑制でき、放射温度計による計測を高精度に行える。

0025

本発明のシリコン単結晶の引き上げ装置において、前記一対の反射部は、それぞれ反射面を有し、前記反射面は、水平面に対する角度が40°以上50°以下となるように設置されていることが好ましい。
本発明によれば、チャンバ内の多重反射による外乱光が反射部に入射することを抑制でき、放射温度計による計測を高精度に行える。
なお、水平面とは、重力方向に直交する面を意味する。

0026

本発明のシリコン単結晶の引き上げ装置において、前記温度計測部で計測された前記第1の計測点および前記第2の計測点の温度に基づいて、前記シリコン融液内の前記水平磁場の印加方向に直交する平面における対流の方向を推定する対流パターン推定部を備えていることが好ましい。

0027

本発明のシリコン単結晶の引き上げ装置において、前記対流パターン推定部で推定された対流の方向が予め決められた方向でない場合、前記水平磁場の強度を0.01テスラ未満に下げた後、前記水平磁場を0.2テスラ以上に上げて、前記温度計測部で前記第1の計測点および前記第2の計測点の温度を計測させ、前記予め決められた方向である場合、前記水平磁場の強度を0.2テスラ以上に維持したまま、予め決められた引き上げ条件に基づいて、前記シリコン単結晶を引き上げる引き上げ制御部を備えていることが好ましい。

0028

本発明のシリコン単結晶の引き上げ装置において、前記対流の方向およびシリコン単結晶の酸素濃度の関係を記憶する記憶部と、前記対流パターン推定部で推定された前記対流の方向と前記記憶部に記憶された関係とに基づいて、引き上げられたシリコン単結晶の直胴部における酸素濃度を推定する酸素濃度推定部と、前記水平磁場の強度を0.2テスラ以上に維持したまま、前記酸素濃度推定部で推定された酸素濃度に基づいて、チャンバ内に流す不活性ガスの流量、前記チャンバの炉内圧力、および、前記石英ルツボの回転数の少なくともいずれかを調整して、前記シリコン単結晶を引き上げる引き上げ制御部とを備えていることが好ましい。

図面の簡単な説明

0029

本発明の第1の実施の形態に係る引き上げ装置の構造を示す模式図。
前記第1の実施の形態および本発明の第2の実施の形態における水平磁場の印加状態および第1,第2の計測点の位置を示す模式図。
前記第1,第2の実施の形態における温度計測部の配置状態を示す模式図。
前記第1の実施の形態における引き上げ装置の要部のブロック図。
前記第1,第2の実施の形態における水平磁場の印加方向とシリコン融液の対流の方向との関係を示す模式図であり、(A)は右回りの対流、(B)は左回りの対流を表す。
前記第1,第2の実施の形態におけるシリコン融液の対流の変化を示す模式図。
前記第1の実施の形態におけるシリコン単結晶の製造方法を示すフローチャート
前記第2の実施の形態における引き上げ装置の要部のブロック図。
前記第2の実施の形態におけるシリコン単結晶の製造方法を示すフローチャート。
本発明の実施例の実験4におけるシリコン単結晶の直胴長さと酸素濃度との関係を示すグラフ

0030

以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[1]第1の実施の形態
図1には、本発明の第1の実施の形態に係るシリコン単結晶10の製造方法を適用できるシリコン単結晶の引き上げ装置1の構造の一例を表す模式図が示されている。引き上げ装置1は、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶10を引き上げる装置であり、外郭を構成するチャンバ2と、チャンバ2の中心部に配置されるルツボ3とを備える。
ルツボ3は、内側の石英ルツボ3Aと、外側の黒鉛ルツボ3Bとから構成される二重構造であり、回転および昇降が可能な支持軸4の上端部に固定されている。

0031

ルツボ3の外側には、ルツボ3を囲む抵抗加熱式のヒーター5が設けられ、その外側には、チャンバ2の内面に沿って断熱材6が設けられている。
ルツボ3の上方には、支持軸4と同軸上で逆方向または同一方向に所定の速度で回転するワイヤなどの引き上げ軸7が設けられている。この引き上げ軸7の下端には種結晶8が取り付けられている。

0032

チャンバ2内には、ルツボ3内のシリコン融液9の上方で育成中のシリコン単結晶10を囲む筒状の熱遮蔽体11が配置されている。
熱遮蔽体11は、育成中のシリコン単結晶10に対して、ルツボ3内のシリコン融液9やヒーター5やルツボ3の側壁からの高温の輻射熱遮断するとともに、結晶成長界面である固液界面の近傍に対しては、外部への熱の拡散を抑制し、単結晶中心部および単結晶外周部の引き上げ軸方向温度勾配を制御する役割を担う。

0033

チャンバ2の上部には、アルゴンガスなどの不活性ガスをチャンバ2内に導入するガス導入口12が設けられている。チャンバ2の下部には、図示しない真空ポンプの駆動により、チャンバ2内の気体吸引して排出する排気口13が設けられている。
ガス導入口12からチャンバ2内に導入された不活性ガスは、育成中のシリコン単結晶10と熱遮蔽体11との間を下降し、熱遮蔽体11の下端とシリコン融液9の液面との隙間を経た後、熱遮蔽体11の外側、さらにルツボ3の外側に向けて流れ、その後にルツボ3の外側を下降し、排気口13から排出される。

0034

また、引き上げ装置1は、図2に示すような磁場印加部14と、温度計測部15とを備える。
磁場印加部14は、それぞれ電磁コイルで構成された第1の磁性体14Aおよび第2の磁性体14Bを備える。第1,第2の磁性体14A,14Bは、チャンバ2の外側においてルツボ3を挟んで対向するように設けられている。磁場印加部14は、中心の磁力線14Cが石英ルツボ3Aの中心軸3Cを通り、かつ、当該中心の磁力線14Cの向きが図2における上方向(図1における紙面手前から奥に向かう方向)となるように、水平磁場を印加することが好ましい。中心の磁力線14Cの高さ位置については特に限定されず、シリコン単結晶10の品質に合わせて、シリコン融液9の内部にしてもよいし外部にしてもよい。

0035

温度計測部15は、図1図3に示すように、シリコン融液9の表面9Aのうち、鉛直上方から見たときに、当該表面9Aの中心9Bを通りかつ水平磁場の中心の磁力線14Cと平行でない第1の仮想線9C上に位置する第1の計測点P1および第2の計測点P2の温度を計測する。
第1の計測点P1は、中心9Bを原点、鉛直上方をZ軸の正方向(図1の上方向、図2の紙面手前方向)、水平磁場の印加方向をY軸の正方向(図1の紙面奥方向、図2の上方向)とした右手系のXYZ直交座標系において、第2の計測点P2よりもX軸の負方向側(図2の左側)に位置している。また、第1の計測点P1および第2の計測点P2は、鉛直上方から見たときに、中心9Bを通りかつ水平磁場の中心の磁力線14Cと平行な第2の仮想線9Fを挟んだ両側に位置することが好ましい。第1の実施の形態では、第1の仮想線9Cは、第2の仮想線9Fと直交している。
温度計測部15は、シリコン融液9の表面9Aの中心9Bから第1の計測点P1までの距離をR1、中心9Bから第2の計測点P2までの距離をR2、石英ルツボ3Aの内径の半径をRCとした場合、以下の式(3)を満たす第1の計測点P1、および、以下の式(4)を満たす第2の計測点P2を計測することが好ましい。
0.375≦R1/RC<1 … (3)
0.375≦R2/RC<1 … (4)

0036

R1/RCの値と、R2/RCの値とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1の仮想線9Cは、表面9Aの中心9Bを通ってもよいし、通らなくてもよいし、第2の仮想線9Fと直交していなくてもよい。

0037

温度計測部15は、一対の反射部15Aと、一対の放射温度計15Bとを備える。
反射部15Aは、チャンバ2内部に設置されている。反射部15Aは、図3に示すように、その下端からシリコン融液9の表面9Aまでの距離(高さ)Kが600mm以上5000mm以下となるように設置されていることが好ましい。また、反射部15Aは、反射面15Cと水平面Fとのなす角度θfが40°以上50°以下となるように設置されていることが好ましい。このような構成によって、第1,第2の計測点P1,P2から、重力方向の反対方向にそれぞれ出射する輻射光Lの入射角θ1および反射角θ2の和が、80°以上100°以下となる。反射部15Aとしては、耐熱性の観点から、一面を鏡面研磨して反射面15Cとしたシリコンミラーを用いることが好ましい。
放射温度計15Bは、チャンバ2外部に設置されている。放射温度計15Bは、チャンバ2に設けられた石英窓2Aを介して入射される輻射光Lを受光して、第1,第2の計測点P1,P2の温度を非接触で計測する。

0038

また、引き上げ装置1は、図4に示すように、制御装置20と、記憶部21とを備える。
制御装置20は、対流パターン推定部20Aと、引き上げ制御部20Bとを備える。
対流パターン推定部20Aは、温度計測部15での計測結果に基づいて、図2におけるY軸の負方向側(図2の下側)から見たときのシリコン融液9の磁場直交断面(水平磁場の印加方向に直交する平面)における対流90(図5(A),(B)参照)の方向を推定する。
引き上げ制御部20Bは、対流パターン推定部20Aでの対流90の方向の推定結果に基づいて、シリコン単結晶10を引き上げる。

0039

[2]本発明に至る背景
本発明者らは、同一の引き上げ装置1を用い、同一の引き上げ条件で引き上げを行っても、引き上げられたシリコン単結晶10の酸素濃度が高い場合と、酸素濃度が低い場合があることを知っていた。従来、これを解消するために、引き上げ条件等を重点的に調査してきたが、確固たる解決方法が見つからなかった。

0040

その後、調査を進めていくうちに、本発明者らは、石英ルツボ3A中に固体多結晶シリコン原料投入して、溶解した後、水平磁場を印加すると、磁場直交断面(第2の磁性体14B側(図1の紙面手前側)から見たときの断面)において、水平磁場の磁力線を軸として石英ルツボ3Aの底部からシリコン融液9の表面9Aに向かって回転する対流90があることを知見した。その対流90の回転方向は、図5(A)に示すように、右回りが優勢となる場合と、図5(B)に示すように、左回りが優勢となる場合の2つの対流パターンであった。

0041

このような現象の発生は、発明者らは、以下のメカニズムによるものであると推測した。
まず、水平磁場を印加せず、石英ルツボ3Aを回転させない状態では、石英ルツボ3Aの外周近傍でシリコン融液9が加熱されるため、シリコン融液9の底部から表面9Aに向かう上昇方向の対流が生じている。上昇したシリコン融液9は、シリコン融液9の表面9Aで冷却され、石英ルツボ3Aの中心で石英ルツボ3Aの底部に戻り下降方向の対流が生じる。

0042

外周部分で上昇し、中央部分で下降する対流が生じた状態では、熱対流による不安定性により下降流の位置は無秩序に移動し、中心からずれる。このような下降流は、シリコン融液9の表面9Aにおける下降流に対応する部分の温度が最も低く、表面9Aの外側に向かうにしたがって温度が徐々に高くなる温度分布によって発生する。例えば、図6(A)の状態では、中心が石英ルツボ3Aの回転中心からずれた第1の領域A1の温度が最も低く、その外側に位置する第2の領域A2、第3の領域A3、第4の領域A4、第5の領域A5の順に温度が高くなっている。

0043

そして、図6(A)の状態で、中心の磁力線14Cが石英ルツボ3Aの中心軸3Cを通る水平磁場を印加すると、石英ルツボ3Aの上方から見たときの下降流の回転が徐々に拘束され、図6(B)に示すように、水平磁場の中心の磁力線14Cの位置からオフセットした位置に拘束される。
なお、下降流の回転が拘束されるのは、シリコン融液9に作用する水平磁場の強度が特定強度よりも大きくなってからと考えられる。このため、下降流の回転は、水平磁場の印加開始直後には拘束されず、印加開始から所定時間経過後に拘束される。

0044

一般に磁場印加によるシリコン融液9内部の流動変化は、以下の式(5)で得られる無次元数であるMagnetic Number Mで表されることが報告されている(Jpn. J. Appl. Phys., Vol.33(1994) Part.2 No.4A, pp.L487-490)。

0045

0046

式(5)において、σはシリコン融液9の電気伝導度、B0は印加した磁束密度、hはシリコン融液9の深さ、ρはシリコン融液9の密度、v0は無磁場でのシリコン融液9の平均流速である。
本実施の形態において、下降流の回転が拘束される水平磁場の特定強度の最小値は、0.01テスラであることがわかった。0.01テスラでのMagnetic Numberは1.904である。本実施の形態とは異なるシリコン融液9の量や石英ルツボ3Aの径においても、Magnetic Numberが1.904となる磁場強度(磁束密度)から、磁場による下降流の拘束効果制動効果)が発生すると考えられる。

0047

図6(B)に示す状態から水平磁場の強度をさらに大きくすると、図6(C)に示すように、下降流の右側と左側における上昇方向の対流の大きさが変化し、図6(C)であれば、下降流の左側の上昇方向の対流が優勢になる。
最後に、磁場強度が0.2テスラになると、図6(D)に示すように、下降流の右側の上昇方向の対流が消え去り、左側が上昇方向の対流、右側が下降方向の対流となり、右回りの対流90となる。右回りの対流90の状態では、図5(A)に示すように、磁場直交断面において、シリコン融液9における右側領域9Dから左側領域9Eに向かうにしたがって、温度が徐々に高くなっている。
一方、図6(A)の最初の下降流の位置を石英ルツボ3Aの回転方向に180°ずらせば、下降流は、図6(C)とは位相が180°ずれた左側の位置で拘束され、左回りの対流90となる。左回りの対流90の状態では、図5(B)に示すように、シリコン融液9における右側領域9Dから左側領域9Eに向かうにしたがって、温度が徐々に低くなっている。
このような右回りや左回りのシリコン融液9の対流90は、水平磁場の強度を0.2テスラ未満にしない限り、維持される。

0048

また、引き上げ装置1は、対称構造で設計されるものの、実際には、対称構造とはなっていないため、熱環境も非対称となる。熱環境が非対称となる原因は、チャンバ2、ルツボ3、ヒーター5、熱遮蔽体11などの部材の形状が非対称であったり、チャンバ2内の各種部材の設置位置が非対称であったりすることが例示できる。
例えば、引き上げ装置1は、磁場直交断面において、石英ルツボ3Aの左側が右側よりも高温となるような第1の熱環境や、左側が右側よりも低温となるような第2の熱環境となる場合がある。

0049

第1の熱環境の場合、磁場直交断面で対流90が右回りで固定されると、第1の熱環境との相乗効果でシリコン融液9の左側領域9Eがより高温になるため、以下の表1に示すように、石英ルツボ3Aから溶出する酸素の量が多くなる。一方で、対流90が左回りで固定されると、右回りの場合のような第1の熱環境との相乗効果が発生せず、左側領域9Eがあまり高温にならないため、石英ルツボ3Aから溶出する酸素の量が右回りの場合と比べて多くならない。
したがって、第1の熱環境の場合、対流90が右回りの場合には、シリコン単結晶10の酸素濃度が高くなり、左回りの場合には、酸素濃度が高くならない(低くなる)関係があると推測した。

0050

0051

また、第2の熱環境の場合、対流90が左回りで固定されると、シリコン融液9の右側領域9Dがより高温になるため、以下の表2に示すように、石英ルツボ3Aから溶出する酸素の量が多くなる。一方で、対流90が右回りで固定されると、左回りの場合のように右側領域9Dが高温にならないため、石英ルツボ3Aから溶出する酸素の量が多くならない。
したがって、第2の熱環境の場合、対流90が左回りの場合には、シリコン単結晶10の酸素濃度が高くなり、右回りと推定した場合には、酸素濃度が低くなる関係があると推測した。

0052

0053

以上のことから、本発明者らは、シリコン融液9の表面9Aにおける第1,第2の計測点P1,P2の温度を計測することにより、シリコン融液9の対流90の方向を把握し、引き上げ装置1の炉内環境非対称構造から、シリコン単結晶10の酸素濃度を高い精度で推定できるものと考えた。

0054

[3]シリコン単結晶の製造方法
次に、第1の実施の形態におけるシリコン単結晶の製造方法を図7に示すフローチャートに基づいて説明する。

0055

まず、引き上げ装置1の熱環境が上述の第1の熱環境、または、第2の熱環境であることを把握しておく。
また、シリコン融液9の対流90の方向が右回りまたは左回りの場合に、シリコン単結晶10の酸素濃度が所望の値となるような引き上げ条件(例えば、不活性ガスの流量、チャンバ2の炉内圧力、石英ルツボ3Aの回転数など)を事前決定条件として予め決めておき、記憶部21に記憶させる。
例えば、以下の表3に示すように、第1の熱環境において、対流90の方向が右回りの場合に、酸素濃度が濃度Aとなるような引き上げ条件Aを事前決定条件として記憶させる。なお、事前決定条件の酸素濃度は、直胴部の長手方向の複数箇所の酸素濃度の値であってもよいし、前記複数箇所の平均値であってもよい。

0056

0057

そして、シリコン単結晶10の製造を開始する。
まず、引き上げ制御部20Bは、図7に示すように、チャンバ2内を減圧下の不活性ガス雰囲気に維持した状態で、ルツボ3を回転させるとともに、ルツボ3に充填した多結晶シリコンなどの固形原料をヒーター5の加熱により溶融させ、シリコン融液9を生成する(ステップS1)。次に、引き上げ制御部20Bは、磁場印加部14を制御して、シリコン融液9への強度が0.2テスラ以上0.6テスラ以下の水平磁場の印加を開始する(ステップS2)。この水平磁場の印加によって、シリコン融液9に、図5(A)に示すような磁場直交断面で右回りの対流90、または、図5(B)に示すような左回りの対流90が発生する。

0058

図5(A)または図5(B)に示すように対流90の方向が固定された後、温度計測部15は、第1,第2の計測点P1,P2の温度を計測する(ステップS3)。なお、対流90の方向が固定されたことは、例えば、水平磁場の印加開始からの経過時間に基づいて判断することができる。
そして、対流パターン推定部20Aは、第1の計測点P1の温度が第2の計測点P2の温度よりも高い場合、磁場直交断面で右回りの対流90が発生していると推定し、第1の計測点P1の温度が第2の計測点P2の温度よりも低い場合、磁場直交断面で左回りの対流90が発生していると推定する(ステップS4)。

0059

この後、引き上げ制御部20Bは、第1,第2の計測点P1,P2の温度に基づく対流90の方向の推定結果が、事前決定条件で予め決められた方向か否かを判断する(ステップS5)。
例えば、引き上げ装置1が第1の熱環境であり、事前決定条件が、右回りの対流90のときに所望の酸素濃度が得られる条件の場合、第1,第2の計測点P1,P2の温度に基づく対流90の方向の推定結果が右回りか否かを判断する。
そして、引き上げ制御部20Bは、予め決められた方向の対流90が発生している場合、水平磁場の印加を継続したままシリコン融液9に種結晶8を着液し、事前決定条件に基づいて、所望の酸素濃度の直胴部を有するシリコン単結晶10を引き上げる(ステップS6)。

0060

一方、引き上げ制御部20Bは、予め決められた方向の対流90が発生していない場合、水平磁場の印加を一旦停止させる(ステップS7)。そして、引き上げ制御部20Bは、ステップS2の処理を行い、水平磁場を再印加する。このように水平磁場の印加を一旦停止して、磁場強度を0テスラにすることによって、図6(D)に示す状態から、図6(A)に示す状態に戻り、下降流の中心が石英ルツボ3Aと同じ方向に回転し始める。そして、所定のタイミングで0.2テスラ以上水平磁場を再印加すると、図6(B)〜(D)に示すような現象が発生して、再印加前と異なるまたは同じ方向の対流90が発生する。なお、ステップS7において、水平磁場の強度を0超0.01テスラ未満にしてもよい。
この後、予め決定された方向の対流90が発生するまで、ステップS3〜S5,S7の処理を繰り返し、予め決定された方向の対流90が発生したら、ステップS6の処理を行ってシリコン単結晶10を引き上げる。
例えば、表3に示す引き上げ条件Aを事前決定条件として用いる場合、対流90の方向が右回りと推定されるまで、ステップS3〜S5,S7の処理を繰り返し、右回りと推定されたら、引き上げ条件Aでシリコン単結晶10を引き上げることで、直胴部の酸素濃度を濃度Aにすることができる。

0061

以上のステップS1〜S7の処理が本発明のシリコン単結晶の製造方法に対応し、ステップS1〜S4の処理が本発明のシリコン融液の対流パターン推定方法に対応する。
なお、ステップS2,S4の水平磁場の印加の開始や停止処理、ステップS6における引き上げ処理は、作業者の操作によって行ってもよいし、ステップS5における判断処理は、作業者が行ってもよい。

0062

[4]第1の実施の形態の作用および効果
このような第1の実施の形態によれば、シリコン融液9の第1,第2の計測点P1,P2の温度を計測するだけで、シリコン単結晶10の酸素濃度に影響を与えるシリコン融液9の対流90の方向を推定することができる。したがって、シリコン単結晶10の引き上げ前に、引き上げられたシリコン単結晶10の酸素濃度を推定することができる。

0063

式(3),(4)の関係を満たす第1,第2の計測点P1,P2の温度を計測するため、これらの温度差を大きくすることができ、シリコン融液9の対流90の方向を高精度に推定できる。

0064

推定された対流90の方向が事前決定条件で決められた方向の場合のみ、予め決められた引き上げ条件でシリコン単結晶10を引き上げるため、引き上げ条件を大きく変更することなく、所望の酸素濃度のシリコン単結晶10を得られ、シリコン単結晶10ごとの酸素濃度のばらつきも抑制できる。

0065

チャンバ2内部の反射部15Aからの反射光を、チャンバ2外部の放射温度計15Bで受光することで、第1,第2の計測点P1,P2の温度を計測するため、放射温度計15Bの熱による劣化を抑制でき、長寿命化を図れる。

0066

反射部15Aの下端からシリコン融液9の表面9Aまでの距離Kを600mm以上としているため、シリコン融液9の熱による反射部15Aの摩耗を抑制できる。また、距離Kを5000mm以下としているため、チャンバ2内の多重反射による外乱光が反射部15Aに入射することを抑制でき、放射温度計15Bによる計測を高精度に行える。

0067

反射部15Aを輻射光Lの入射角反射角との和が80°以上100°以下となるように設置しているため、チャンバ2内の多重反射による外乱光が反射部15Aに入射することを抑制でき、放射温度計15Bによる計測をより高精度に行える。

0068

[5]第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分等については、同一符号を付してその説明を省略する。
前述した第1の実施の形態との相違点は、制御装置30の構成と、シリコン単結晶の製造方法である。

0069

図8に示すように、制御装置30は、対流パターン推定部20Aと、酸素濃度推定部30Aと、引き上げ制御部30Bとを備える。
酸素濃度推定部30Aは、対流パターン推定部20Aでの対流90の方向の推定結果に基づいて、シリコン単結晶10の酸素濃度を推定する。
引き上げ制御部30Bは、酸素濃度推定部30Aでの酸素濃度の推定結果に基づいて、シリコン単結晶10を引き上げる。

0070

[6]シリコン単結晶の製造方法
次に、第2の実施の形態におけるシリコン単結晶の製造方法を図9に示すフローチャートに基づいて説明する。

0071

まず、引き上げ装置1の熱環境が上述の第1の熱環境、または、第2の熱環境であることを把握しておく。
また、シリコン融液9の対流90が右回りまたは左回りの場合に、シリコン単結晶10の酸素濃度が所望の値となるような引き上げ条件を事前決定条件として記憶部31に記憶させるとともに、事前決定条件に対応する対流90の方向と逆方向の状態において、事前決定条件で引き上げたときの酸素濃度が、前記所望の値よりも大きくなるか小さくなるかに関する情報を記憶部31に記憶させる。すなわち、対流90の方向と酸素濃度との関係を記憶部31に記憶させる。
例えば、以下の表4に示すように、第1の熱環境において、対流90の方向が右回りの場合に、酸素濃度が濃度Aとなるような引き上げ条件Aを事前決定条件として記憶させ、対流90の方向が左回りの状態で引き上げ条件Aで引き上げた場合、酸素濃度が濃度Aよりも低い濃度Bとなるという情報を記憶させる。なお、事前決定条件の酸素濃度は、直胴部の長手方向の複数箇所の酸素濃度の値であってもよいし、前記複数箇所の平均値であってもよい。

0072

0073

そして、シリコン単結晶10の製造を開始する。
まず、引き上げ制御部30B、温度計測部15、対流パターン推定部20Aは、図9に示すように、ステップS1〜S4の処理を行う。
次に、引き上げ制御部30Bは、対流パターン推定部20Aにおける対流90の方向の推定結果と、記憶部31に記憶された情報とに基づいて、これから引き上げられるシリコン単結晶10の酸素濃度を推定する(ステップS15)。
例えば、引き上げ装置1が第1の熱環境であり、事前決定条件が、右回りの対流90のときに所望の酸素濃度が得られる条件の場合、右回りの対流90であると推定されたときには、シリコン単結晶10の酸素濃度が所望の酸素濃度になると推定する。一方、左回りの対流90のときに事前決定条件で引き上げたときの酸素濃度が、前記所望の値よりも小さくなるという情報が記憶部31に記憶されている場合であって、左回りの対流90であると推定されたときには、シリコン単結晶10の酸素濃度が所望の酸素濃度よりも低くなると推定する。

0074

次に、引き上げ制御部30Bは、引き上げ条件の最終設定を行う(ステップS16)。引き上げ制御部30Bは、ステップS15において、事前決定条件で引き上げたときに、所望の酸素濃度になると推定された場合、事前決定条件を最終的な引き上げ条件として設定する。一方、引き上げ制御部30Bは、事前決定条件で引き上げたときに、所望の酸素濃度にならないと推定された場合、事前決定条件を最終的な引き上げ条件として設定せずに、所望の酸素濃度となるような引き上げ条件を最終的な引き上げ条件として設定する。
この後、引き上げ制御部30Bは、最終設定された引き上げ条件に基づいて、所望の酸素濃度の直胴部を有するシリコン単結晶10を引き上げる(ステップS17)。

0075

例えば、表4に示す引き上げ条件Aを事前決定条件として用いる場合、対流90の方向が右回りと推定されたら、引き上げ条件Aでシリコン単結晶10を引き上げることで、直胴部の酸素濃度を濃度Aにすることができる。また、対流90の方向が左回りと推定されたら、引き上げ条件Aとは異なる条件であって、酸素濃度が濃度Aとなるような引き上げ条件を最終的な引き上げ条件として設定し、この設定した引き上げ条件でシリコン単結晶10を引き上げることで、直胴部の酸素濃度を濃度Aにすることができる。例えば、引き上げ条件Aに対して、チャンバ2内に流す不活性ガスの流量、チャンバ2の炉内圧力、および、石英ルツボ3Aの回転数の少なくともいずれかを調整することで、直胴部の酸素濃度を濃度Aにすることができる。

0076

以上のステップS1〜S4,S15〜S17の処理が本発明のシリコン単結晶の製造方法に対応し、ステップS1〜S4の処理が本発明のシリコン融液の対流パターン推定方法に対応し、ステップS1〜S4,S15の処理が本発明のシリコン単結晶の酸素濃度推定方法に対応する。
なお、ステップS15の酸素濃度の推定処理やステップS16の引き上げ条件の最終設定は、作業者が行ってもよいし、ステップS17における引き上げ処理は、作業者の操作によって行ってもよい。

0077

[7]第2の実施の形態の作用および効果
このような第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏することができる。
推定した酸素濃度に基づいて、不活性ガスの流量、チャンバの炉内圧力、あるいは、石英ルツボの回転数を制御することによって、所望の酸素濃度のシリコン単結晶10を製造する。したがって、所望の酸素濃度のシリコン単結晶10を得られ、シリコン単結晶10ごとの酸素濃度のばらつきを抑制できる上、シリコン単結晶10の製造効率の向上を図れる。

0078

[8]変形例
なお、本発明は上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の改良ならびに設計の変更などが可能である。
例えば、第1,第2の計測点に加えて、さらに1つ以上の計測点を計測し、これら3箇所以上の計測結果に基づいて、対流90の方向を推定してもよい。
第1,第2の計測点P1,P2は、第2の仮想線9Fと直交するまたは直交しない第1の仮想線9C上に位置していれば、両方とも、第2の仮想線9Fに対して右側または左側に位置していてもよい。例えば、第2の仮想線9Fに対して右側に第1,第2の計測点P1,P2が位置していても、図2に示す右手系のXYZ直交座標系におけるX座標の位置が両者で異なるため、第1の計測点P1のX座標が第2の計測点P2よりも小さく(第1の計測点P1が第2の計測点P2の左側に位置し)、かつ、対流90が右回りに固定されている場合には、第1の計測点P1の温度が第2の計測点P2よりも高くなり、右回りに固定されたと推定できる。
第2の磁性体14B側(図1の紙面手前側)から見たときの平面を磁場直交断面として例示したが、第1の磁性体14A側(図1の紙面奥側(図2のY軸の正方向側))から見たときの平面を磁場直交断面として対流90の方向の推定処理などを行ってもよい。

0079

次に、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。

0080

[実験1:反射部の設置高さの最適化]
〔実験例1〕
まず、図1に示すような引き上げ装置において、シリコン融液9の表面を基準にした高さKが500mm、反射面15Cと水平面Fとのなす角度θfが45°、第1の計測点P1がR1/RC=345/800=0.43の関係を満たすように、反射部15Aとしてのシリコンミラーを設置した。そして、シリコン融液9を生成し、第1の計測点P1の温度を放射温度計15Bで計測した。
また、チャンバ2内に常備された接触式温度計シース熱電対)を第1の測定点P1に接触させ、その計測結果を真値とした。
そして、以下の式(6)に基づいて計測誤差を求めた。
計測誤差=1−(計測値/真値) … (6)

0081

〔実験例2〜9〕
高さKを以下の表5に示すような位置にしたこと以外は、実験例1と同じ条件で第1の計測点P1の温度を計測し、計測誤差を求めた。

0082

〔評価〕
表5に示すように、高さKが600mm以上5000mm以下の実験例2〜6では、計測誤差が0となった(判定OK)が、600mm未満の実験例1および5000mm超の実験例7〜9では、0を超えた(判定NG)。
高さKが600mm未満の場合、以下の2つの理由で計測誤差が発生したと考えられる。1つ目の理由は、熱磨耗によるシリコンミラーの反射係数の変化である。2つ目の理由は、シリコン融液9の表面から発生するSiOガスがシリコンミラーに付着し、この付着したSiOガスが冷却により固化して反射面をらせることである。その結果、正しい輝度が測定できず誤差が生じたと考えられる。
また、高さKが5000mm超の場合、模擬的なシリコン融液表面から反射部15Aまでの距離が長いため、チャンバ2内の多重反射による外乱光が反射部15Aに入射してしまい、計測誤差が発生したと考えられる。
以上のことから、高さKが600mm以上5000mm以下となる位置に反射部15Aを設置することで、シリコン融液の温度を高精度に計測できることが確認でき、この計測結果に基づいて、シリコン融液9の対流90の方向を高精度に推定できることが確認できた。

0083

0084

[実験2:シリコン融液表面における第1,第2の計測点の最適化]
〔実験例10〕
実験1の引き上げ装置において、高さKが3000mm、反射面15Cと水平面Fとのなす角度θfが45°、第1,第2の計測点P1,P2がR1/RC=0.1、R2/RC=0.1の関係をそれぞれ満たすように、一対の反射部15A(シリコンミラー)を設置した。
そして、所定量のシリコン融液9を生成し、第1,第2の計測点P1,P2の温度を放射温度計15Bで計測し、これらの温度差を求めた。

0085

〔実験例11〜15〕
R1/RC、R2/RCが以下の表6の関係を満たすように、第1,第2の計測点P1,P2を設定したこと以外は、実験例10と同じ条件で温度を計測し、温度差を求めた。

0086

〔評価〕
第1,第2の計測点P1,P2の温度差が8℃以上のときに、シリコン融液9の対流90の方向を高精度に推定できるとした場合、実験例10〜12では温度差が8℃未満であり対流90の方向を高精度に推定できず、実験例13〜15では8℃以上であり高精度に推定できると言える。
以上のことから、前述の式(3),(4)を満たす第1,第2の計測点P1,P2を計測することで、対流90の方向を高精度に推定できることが確認できた。

0087

0088

[実験3:反射面の反射角度の最適化]
〔実験例16〕
実験1の引き上げ装置において、高さKが3000mm、反射面15Cと水平面Fとのなす角度θfが30°、第1の計測点P1がR1/RC=0.43の関係を満たすように、反射部15A(シリコンミラー)を設置した。そして、所定量のシリコン融液9を生成し、第1の計測点P1の温度を放射温度計15Bで計測した。また、第1の計測点P1の近傍に白金熱電対を浸漬して、その温度を第1の計測点の真値として計測した。
そして、前述の式(6)に基づいて計測誤差を求めた。

0089

〔実験例17〜26〕
反射面15Cと水平面Fとのなす角度θfが以下の表6に示す値となるように、反射面15Cの姿勢を調整したこと以外は、実験例16と同じ条件で温度を計測し、計測誤差を求めた。

0090

〔評価〕
表7に示すように、角度θfが40°以上50°以下の実験例19〜23では、計測誤差が0となった(判定OK)が、40°未満の実験例16〜18および50°超の実験例24〜26では、0を超えた(判定NG)。
角度θfが40°未満および50°超の場合、シリコン融液9の表面9Aから反射部15Aまでの距離が長いため、チャンバ2内の多重反射による外乱光が反射部15Aに入射してしまい、計測誤差が発生したと考えられる。
以上のことから、反射面15Cと水平面Fとのなす角度θfが40°以上50°以下となるように反射部15Aを設置することで、シリコン融液の温度を高精度に計測できることが確認でき、この計測結果に基づいて、シリコン融液9の対流90の方向を高精度に推定できることが確認できた。

0091

0092

[実験4:シリコン融液の対流方向と酸素濃度との関係]
図1に示すような引き上げ装置において、高さKが3000mm、反射面15Cと水平面Fとのなす角度θfが45°、第1(第2)の計測点P1,P2がR1/RC=0.43,R2/RC=0.43の関係を満たすように、反射部15Aを設置した。
そして、所定量のシリコン融液9を生成した後、任意のタイミングでシリコン融液9に水平磁場を印加し、対流90の方向を推定することなくシリコン単結晶を引き上げた。

0093

前述の方法で合計7本のシリコン単結晶(実験例27〜33のシリコン単結晶)を引き上げ、各シリコン単結晶の酸素濃度を以下の方法で求めた。
まず、シリコン単結晶の複数の位置からシリコンウェーハ切り出し、ドナーキラー処理を施した。ドナーキラー処理では、ボートに載置されたシリコンウェーハを、炉内温度が650℃、100%窒素雰囲気横型炉内に20mm/分の速度で搬入した。そして、横型炉内で30分間の熱処理を行い、ボートを20mm/分の速度で搬出し、湿外で冷却した。

0094

次に、ドナーキラー処理が施されたシリコンウェーハの酸素濃度を、FTIR(Fourier Transform Infrared Spectrometer:フーリエ変換赤外分光光度計)を用いて、ASTMF−121(1979)により酸素濃度を測定した。
各シリコン単結晶の長手方向の酸素濃度分布図10に示す。なお、図10横軸は、直胴部全体の長さを1としたときの位置を表し、縦軸は所定の酸素濃度を1としたときの酸素濃度を表す。

実施例

0095

図10に示すように、実験例27〜29では、直胴部ほぼ全体の酸素濃度が1を超え(所定値を超え)になり、実験例30〜33では、1未満(所定値未満)であることが確認できた。つまり、例えば実験例27〜29の酸素濃度を目標値とした場合、製品歩留まりは50%程度にしかならないことが確認できた。
このような酸素濃度の差が出る理由は、シリコン単結晶引き上げ時のシリコン融液9の対流90の方向が、実験例27〜29と、30〜33とで異なったためと考えられる。
したがって、本発明のシリコン融液の対流パターン推定方法を用いて、シリコン融液の対流90の方向を推定し、この推定した方向に基づく適切な引き上げ条件を用いることで、所望の酸素濃度のシリコン単結晶を得られ、シリコン単結晶ごとの酸素濃度のばらつきも抑制できると考えられる。

0096

1…引き上げ装置、2…チャンバ、3A…石英ルツボ、8…種結晶、9…シリコン融液、10…シリコン単結晶、14…磁場印加部、14C…磁力線、15…温度計測部、15A…反射部、15B…放射温度計、15C…反射面、20A…対流パターン推定部、20B,30B…引き上げ制御部、30A…酸素濃度推定部、90…対流、P1,P2…第1,第2の計測点。

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