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技術 シリコン単結晶の酸素濃度推定方法、およびシリコン単結晶の製造方法

出願人 株式会社SUMCO
発明者 松隈伸高橋和義関敏紀金大基横山竜介
出願日 2018年2月28日 (2年7ヶ月経過) 出願番号 2018-035829
公開日 2019年9月12日 (1年1ヶ月経過) 公開番号 2019-151499
状態 未査定
技術分野 結晶、結晶のための後処理
主要キーワード 対流パターン ネック長 温度測定位置 肩部形成 熱遮蔽体 整流筒 固形原料 抵抗加熱ヒーター
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題

高い精度でシリコン単結晶中の酸素濃度推定することのできるシリコン単結晶の酸素濃度推定方法の提供。

解決手段

シリコン単結晶の酸素濃度推定方法において、シリコン単結晶は、引き上げ装置結晶引き上げ軸および水平磁場印加方向を含む面に対して、非面対称構造となるホットゾーン形状を有する引き上げ装置により引き上げられ、シリコン単結晶のネック工程および肩部形成工程の少なくともいずれかにおいて、ホットゾーン形状の非面対称構造となる位置におけるシリコン融液表面温度計測する工程S3と、計測されたシリコン融液の表面温度と、予め準備されたシリコン融液の表面温度およびシリコン単結晶中の酸素濃度の関係とに基づいて、引き上げられたシリコン単結晶の直胴部における酸素濃度を推定する工程S5と、を実施する。

概要

背景

シリコン単結晶の製造にはチョクラルスキー法(以下、CZ法という)と呼ばれる方法が使われる。たとえば、減圧活性(Ar)ガス雰囲気中で、石英るつぼ内に収容された原料多結晶シリコン抵抗加熱ヒーターなどの加熱手段で溶融する。
溶融後融点付近となっているシリコン融液表面種結晶シード)を漬け(シード融液接触工程)、種結晶がシリコン融液となじむ程度に液温を調節し、なじんだら種結晶内の転位を除去するためにシードを上方に引上げながら直径5mm前後のシード絞りを行う(ネック工程)。

シード絞りを行うネック工程後、製品径となるように液温と引上速度を調節しながら円錐状に結晶径を拡大させる(肩部形成工程)。結晶径が製品径に達したら、製品となる部位を鉛直方向に一定長さ育成し(直胴部形成工程)、その後結晶径を円錐状に減径させ(テール工程)、直径が十分小さくなったところで融液から切り離して終了となる。
このようなCZ法では、引き上げ時のシリコン単結晶の温度分布推定し、良質な品質のシリコン単結晶を製造することが要望されている。

このため、特許文献1には、シリコン融液の中心軸方向の温度分布を2種類以上測定し、加熱条件を変更して測定された2種類以上の中心軸方向の温度分布と、各加熱条件における三次元対流を含んだ総合伝熱解析で得られるシリコン融液の中心軸方向の温度分布とが一致するように、乱流パラメータを調整したうえで、シリコン単結晶の温度を総合伝熱解析により推定する技術が開示されている。

概要

高い精度でシリコン単結晶中の酸素濃度を推定することのできるシリコン単結晶の酸素濃度推定方法の提供。シリコン単結晶の酸素濃度推定方法において、シリコン単結晶は、引き上げ装置結晶引き上げ軸および水平磁場印加方向を含む面に対して、非面対称構造となるホットゾーン形状を有する引き上げ装置により引き上げられ、シリコン単結晶のネック工程および肩部形成工程の少なくともいずれかにおいて、ホットゾーン形状の非面対称構造となる位置におけるシリコン融液の表面温度計測する工程S3と、計測されたシリコン融液の表面温度と、予め準備されたシリコン融液の表面温度およびシリコン単結晶中の酸素濃度の関係とに基づいて、引き上げられたシリコン単結晶の直胴部における酸素濃度を推定する工程S5と、を実施する。

目的

本発明の目的は、シリコン融液内の対流のパターンを把握することができ、高い精度でシリコン単結晶中の酸素濃度を推定することのできるシリコン単結晶の酸素濃度推定方法、およびシリコン単結晶の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

石英ルツボ内シリコン融液水平磁場印加して、前記シリコン融液から引き上げられたシリコン単結晶内の酸素濃度推定するシリコン単結晶の酸素濃度推定方法であって、前記シリコン単結晶は、前記引き上げ装置結晶引き上げ軸および前記水平磁場の印加方向を含む面に対して、非面対称構造となるホットゾーン形状を有する引き上げ装置により引き上げられ、前記シリコン単結晶のネック工程および肩部形成工程の少なくともいずれかにおいて、前記ホットゾーン形状の非面対称構造となる位置における前記シリコン融液の表面温度計測する工程と、計測された前記シリコン融液の表面温度と、予め準備された前記シリコン融液の表面温度および前記シリコン単結晶中の酸素濃度の関係とに基づいて、引き上げられたシリコン単結晶の直胴部における酸素濃度を推定する工程と、を実施することを特徴とするシリコン単結晶の酸素濃度推定方法。

請求項2

請求項1に記載のシリコン単結晶の酸素濃度推定方法において、前記ホットゾーン形状の非面対称構造は、前記シリコン融液の表面から離間して配置される熱遮蔽体の一部に切欠部を形成することを特徴とするシリコン単結晶の酸素濃度推定方法。

請求項3

請求項1に記載のシリコン単結晶の酸素濃度推定方法において、前記ホットゾーン形状の非面対称構造は、前記シリコン融液の表面から離間して配置される熱遮蔽体の一部の高さを変更することを特徴とするシリコン単結晶の酸素濃度推定方法。

請求項4

石英ルツボ内のシリコン融液に水平磁場を印加して、前記シリコン融液からシリコン単結晶を引き上げるシリコン単結晶の製造方法であって、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の酸素濃度推定方法を実施し、推定された前記シリコン単結晶の酸素濃度に基づいて、前記引き上げ装置を構成する石英ルツボ回転数不活性ガスの流量、および炉内圧力の少なくともいずれかを調整して、前記シリコン単結晶の引き上げを行うことを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、シリコン単結晶酸素濃度推定方法、およびシリコン単結晶の製造方法に関する。

背景技術

0002

シリコン単結晶の製造にはチョクラルスキー法(以下、CZ法という)と呼ばれる方法が使われる。たとえば、減圧活性(Ar)ガス雰囲気中で、石英るつぼ内に収容された原料多結晶シリコン抵抗加熱ヒーターなどの加熱手段で溶融する。
溶融後融点付近となっているシリコン融液表面種結晶シード)を漬け(シード融液接触工程)、種結晶がシリコン融液となじむ程度に液温を調節し、なじんだら種結晶内の転位を除去するためにシードを上方に引上げながら直径5mm前後のシード絞りを行う(ネック工程)。

0003

シード絞りを行うネック工程後、製品径となるように液温と引上速度を調節しながら円錐状に結晶径を拡大させる(肩部形成工程)。結晶径が製品径に達したら、製品となる部位を鉛直方向に一定長さ育成し(直胴部形成工程)、その後結晶径を円錐状に減径させ(テール工程)、直径が十分小さくなったところで融液から切り離して終了となる。
このようなCZ法では、引き上げ時のシリコン単結晶の温度分布推定し、良質な品質のシリコン単結晶を製造することが要望されている。

0004

このため、特許文献1には、シリコン融液の中心軸方向の温度分布を2種類以上測定し、加熱条件を変更して測定された2種類以上の中心軸方向の温度分布と、各加熱条件における三次元対流を含んだ総合伝熱解析で得られるシリコン融液の中心軸方向の温度分布とが一致するように、乱流パラメータを調整したうえで、シリコン単結晶の温度を総合伝熱解析により推定する技術が開示されている。

先行技術

0005

特開2016−98147号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、前記特許文献1に記載の技術によりシリコン単結晶の温度を総合伝熱解析により推定しても、実際のシリコン単結晶の引き上げ時には、いくつかの対流のパターンがあるため、推定精度を向上することができないという問題がある。

0007

本発明の目的は、シリコン融液内の対流のパターンを把握することができ、高い精度でシリコン単結晶中の酸素濃度を推定することのできるシリコン単結晶の酸素濃度推定方法、およびシリコン単結晶の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本発明のシリコン単結晶の酸素濃度推定方法は、石英ルツボ内のシリコン融液に水平磁場印加して、前記シリコン融液から引き上げられたシリコン単結晶内の酸素濃度を推定するシリコン単結晶の酸素濃度推定方法であって、前記シリコン単結晶は、前記引き上げ装置結晶引き上げ軸および前記水平磁場の印加方向を含む面に対して、非面対称構造となるホットゾーン形状を有する引き上げ装置により引き上げられ、前記シリコン単結晶のネック工程および肩部形成工程の少なくともいずれかにおいて、前記ホットゾーン形状の非面対称構造となる位置における前記シリコン融液の表面温度計測する工程と、計測された前記シリコン融液の表面温度と、予め準備された前記シリコン融液の表面温度および前記シリコン単結晶中の酸素濃度の関係とに基づいて、引き上げられたシリコン単結晶の直胴部における酸素濃度を推定する工程と、を実施することを特徴とする。

0009

シリコン単結晶の引き上げ中、シリコン融液内には、石英ルツボの底部からシリコン融液の表面間に対流が生じている。水平磁場を印加しない状態では、この対流は、石英ルツボの上方から見て、石英ルツボの回転方向に沿って、右回り左回りで回転している。この状態で水平磁場を印加すると、右回りか左回りの回転が拘束され、石英ルツボの底部からシリコン融液の表面間の対流が、右回りか左回りの回転に固定される。
引き上げ装置の結晶引き上げ軸および水平磁場の印加方向を含む平面に対して、非面対称構造となるホットゾーン形状を有する引き上げ装置におけるシリコン融液の表面の不活性ガス流速の低い位置において、不活性ガスの流れが対流の回転方向と逆向きになれば、逆に不活性ガスの流速の高い位置においては、対流の回転方向と同じ向きになる。

0010

したがって、不活性ガスの流速の高い位置において、不活性ガスの流れが対流の回転方向と同じであれば、シリコン融液内の対流が増速されるので、底部にある酸素濃度の高い部分の撹拌が促進され、引き上げられたシリコン単結晶中の酸素濃度が高くなる。
一方、非面対称構造のホットゾーン形状におけるシリコン融液の表面の不活性ガスの流速の高い位置において、不活性ガスの流れが、対流の回転方向と逆向きになれば、対流の回転速度を相殺する方向に不活性ガスが流れるため、シリコン融液が撹拌されにくくなり、シリコン単結晶中の酸素濃度が低くなる。

0011

以上のことから、不活性ガスの流速の低い位置におけるシリコン融液の表面温度を計測することにより、シリコン融液内の対流の回転方向を知ることができるため、予め準備されたシリコン融液の表面温度およびシリコン単結晶中の酸素濃度の関係に基づいて、引き上げられたシリコン単結晶中の酸素濃度を高い精度で推定することができる。

0012

本発明では、前記ホットゾーン形状の非面対称構造は、前記シリコン融液の表面から離間して配置される熱遮蔽体の一部に切欠部を形成することが考えられる。
この発明によれば、熱遮蔽体の一部に切欠部を形成するだけで、シリコン融液の表面の不活性ガスの流速の低い部分を形成できるため、ホットゾーン形状の非面対称構造を容易に形成することができる。
また、ホットゾーン形状の非面対称構造が、切欠部により形成できれば、外部から目視で不活性ガスの流速の低い位置を把握できるため、シリコン融液の表面温度の測定を容易に行うことができる。

0013

本発明では、前記ホットゾーン形状の非面対称構造は、前記シリコン融液の表面から離間して配置される熱遮蔽体の一部の液面高さを変更することが考えられる。
ここで、熱遮蔽体の液面高さの変更は、熱遮蔽体の一部の上下寸法を厚くしたり、段差を設けたりすることにより、行うことができる。
この発明によっても、熱遮蔽体の一部の上下寸法を厚くするだけで、不活性ガスの流速の低い部分を形成できるため、ホットゾーン形状の非面対称構造を容易に形成することができる。

0014

本発明のシリコン単結晶の製造方法は、石英ルツボ内のシリコン融液に水平磁場を印加して、前記シリコン融液からシリコン単結晶を引き上げるシリコン単結晶の製造方法であって、前述したいずれかのシリコン単結晶の酸素濃度推定方法を実施し、推定された前記シリコン単結晶の酸素濃度に基づいて、前記引き上げ装置を構成する石英ルツボの回転数、不活性ガスの流量、および炉内圧力の少なくともいずれかを調整して、前記シリコン単結晶の引き上げを行うことを特徴とする。
この発明によっても、前述した作用および効果と同様の作用および効果を享受できる。

図面の簡単な説明

0015

本発明の第1の実施の形態に係る非面対称のホットゾーン形状を有する引き上げ装置の構造を示す模式図。
前記実施の形態における非面対称のホットゾーン形状を有する引き上げ装置の構造を示す模式平面図。
前記実施の形態におけるシリコン融液の対流の変化を示す模式図。
前記実施の形態における非面対称のホットゾーン形状を有する引き上げ装置におけるアルゴンガスの流れを示す模式図。
前記実施の形態におけるネック長さとシリコン融液の温度の関係を示すグラフ
前記実施の形態におけるシリコン単結晶の直胴長さと酸素濃度の関係を示すグラフ。
前記実施の形態におけるシリコン単結晶の酸素濃度推定方法を示すフローチャート
本発明の第2の実施の形態に係る非面対称のホットゾーン形状を有する引き上げ装置の構造を示す模式図。
本発明の実施例および比較例におけるネック長さとシリコン融液の表面温度の関係を示すグラフ。
本発明の実施例および比較例における引き上げ条件調整方法を示すグラフ。
本発明の実施例および比較例における引き上げ条件の調整方法を示すグラフ。
本発明の実施例および比較例におけるシリコン単結晶の直胴長さと酸素濃度との関係を示すグラフ。

0016

以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[1]第1の実施の形態
図1および図2には、本発明の第1の実施の形態に係るシリコン単結晶10の製造方法を適用できるシリコン単結晶の引き上げ装置1の構造の一例を表す模式図が示されている。引き上げ装置1は、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶10を引き上げる装置であり、外郭を構成するチャンバ2と、チャンバ2の中心部に配置されるルツボ3とを備える。
ルツボ3は、内側の石英ルツボ3Aと、外側の黒鉛ルツボ3Bとから構成される二重構造であり、回転および昇降が可能な支持軸4の上端部に固定されている。

0017

ルツボ3の外側には、ルツボ3を囲む抵抗加熱式ヒーター5が設けられ、その外側には、チャンバ2の内面に沿って断熱材6が設けられている。
ルツボ3の上方には、支持軸4と同軸上で逆方向または同一方向に所定の速度で回転するワイヤなどの結晶引き上げ軸7が設けられている。この結晶引き上げ軸7の下端には種結晶8が取り付けられている。

0018

熱遮蔽体12は、育成中のシリコン単結晶10に対して、ルツボ3内のシリコン融液9やヒーター5やルツボ3の側壁からの高温輻射熱遮断するとともに、結晶成長界面である固液界面の近傍に対しては、外部への熱の拡散を抑制し、単結晶中心部および単結晶外周部の引き上げ軸方向温度勾配を制御する役割を担う。
また、熱遮蔽体12は、シリコン融液9からの蒸発物を炉上方から導入した不活性ガスにより、炉外排気する整流筒としての機能もある。

0019

チャンバ2の上部には、アルゴンガス(以下、Arガスともいう)などの不活性ガスをチャンバ2内に導入するガス導入口13が設けられている。チャンバ2の下部には、図示しない真空ポンプの駆動により、チャンバ2内の気体吸引して排出する排気口14が設けられている。
ガス導入口13からチャンバ2内に導入された不活性ガスは、育成中のシリコン単結晶10と熱遮蔽体12との間を下降し、熱遮蔽体12の下端とシリコン融液9の液面との隙間を経た後、熱遮蔽体12の外側、さらにルツボ3の外側に向けて流れ、その後にルツボ3の外側を下降し、排気口14から排出される。

0020

引き上げ装置1には、水平磁場が印加される。水平磁場の磁力線は、図1において、紙面直交方向である。水平磁場の磁力線の印加方向および結晶引き上げ軸7を含む平面Sに対して、ホットゾーン形状を非面対称構造とするために、熱遮蔽体12には、左側の熱遮蔽体12の下端部に切欠部121が形成されている。
また、図1に示すように、チャンバ2の上部の切欠部121の直上には、放射温度計15が配置され、図2に示すように、切欠部121の近傍となる測定点Pにおけるシリコン融液9の表面温度を非接触で測定することができるようになっている。

0021

ガス導入口13から供給されるArガスは、シリコン融液9の表面に供給され、液面に沿って石英ルツボ3Aの外側に向かって流れる。この際、切欠部121の部分を流れるArガスの流速は、切欠部121によって隙間が大きくなっている分低くなる。一方、切欠部が形成されていない部分のArガスの流速は、隙間が小さい状態で維持される分、流速が高くなる。

0022

このような引き上げ装置1を用いてシリコン単結晶10を製造する際、チャンバ2内を減圧下の不活性ガス雰囲気に維持した状態で、ルツボ3に充填した多結晶シリコンなどの固形原料をヒーター5の加熱により溶融させ、シリコン融液9を形成する。
ルツボ3内にシリコン融液9が形成されると、結晶引き上げ軸7を下降させて種結晶8をシリコン融液9に浸漬し、ルツボ3および結晶引き上げ軸7を所定の方向に回転させながら、結晶引き上げ軸7を徐々に引き上げ、これにより種結晶8に連なったシリコン単結晶10を育成する。

0023

[2]本発明に至る背景
本発明者らは、同一の引き上げ装置1を用い、同一の引き上げ条件で引き上げを行っても、引き上げられたシリコン単結晶10の酸素濃度が高い場合と、酸素濃度が低い場合があることを知っていた。従来、これを解消するために、引き上げ条件等を重点的に調査してきたが、確固たる解決方法が見つからなかった。

0024

その後、調査を進めていくうちに、本発明者らは、石英ルツボ3A中に固体ポリシリコン原料投入して、溶解した後、水平磁場を印加してシリコン単結晶10を引き上げる工程において、水平磁場の磁力線を軸として石英ルツボ3Aの底部からシリコン融液9の表面に向かって回転する対流があることを知見した。その対流の回転方向は、左回りが優勢となる場合と、左回りが優勢となる場合の2つの対流パターンであった。

0025

このような現象の発生は、発明者らは、以下のメカニズムによるものであると推測した。
まず、図3(A)に示すように、水平磁場を印加せず、石英ルツボ3Aを回転させない状態では、石英ルツボ3Aの外周近傍でシリコン融液9が加熱されるため、シリコン融液9の底部から表面に向かう上昇方向の対流が生じている。上昇したシリコン融液9は、シリコン融液9の表面で冷却され、石英ルツボ3Aの中心で石英ルツボ3Aの底部に戻り下降方向の対流が生じる。

0026

外周部分で上昇し、中央部分で下降する対流が生じた状態では、熱対流による不安定性により下降流の位置は無秩序に移動し、中心からずれる。
図3(A)の状態で水平磁場を印加すると、石英ルツボ3Aの上方から見たときの下降流の回転が徐々に拘束され、図3(B)に示すように、水平磁場の中心の磁力線の位置から最も離れた位置に拘束される。

0027

この状態を継続して水平磁場の強度を大きくすると、図3(C)に示すように、下降流の右側と左側における上昇方向の対流の大きさが変化し、図3(C)であれば、下降流の左側の上昇方向の対流が優勢になる。
最後に、図3(D)に示すように、下降流の右側の上昇方向の対流が消え去り、左側が上昇方向の対流、右側が下降方向の対流となり、右回りの対流となる。
一方、図3(A)の最初の下降流の位置を石英ルツボ3Aの回転方向に180度位相をずらせば、下降流は、図3(C)とは位相が180度ずれた左側の位置で拘束され、左回りの対流となる。

0028

そこで、本発明者らは、この右回り、左回りの対流と、引き上げ装置1の炉内環境非軸対称構造との組み合わせが、シリコン単結晶10の酸素濃度に違いを生じさせる原因となっているものと推測した。
以上のことから、本発明者らは、シリコン融液9の液面の表面温度を測定することにより、シリコン融液9の内部の対流の方向を把握し、引き上げ装置1の炉内環境の非面対称構造から、シリコン単結晶10の酸素濃度を高い精度で推定できるものと考えた。

0029

[3]シリコン単結晶の酸素濃度推定方法
図4には、シリコン融液9の対流の回転方向と、引き上げ装置1の非面対称のホットゾーン形状の関係が示されている。前述したように引き上げ装置1の熱遮蔽体12の一方には、切欠部121が形成されている。すなわち、引き上げ装置1は、結晶引き上げ軸7および水平磁場の印加方向を含む平面Sに対して、非面対称のホットゾーン形状を有し、非面対称のホットゾーン形状は、切欠部121によって実現される。
放射温度計15は、図4(A)、図4(B)に示すように、切欠部121が形成された部分の近傍のシリコン融液9の表面温度を測定する。

0030

固体のポリシリコンを溶解した後、磁場を印加して、シリコン単結晶10を引き上げる工程において、切欠部121が形成された熱遮蔽体12をシリコン単結晶10の近傍に設置すると、切欠部121により炉内のガス流量が不均一となる。アルゴンガスは、熱遮蔽体12の切欠部121において、流量が増加し、流速が速くなる。
シリコン単結晶10の引き上げ中のシリコン融液9の表層部は、該表層からの酸素蒸発によって低酸素濃度の領域9Aになっていると考えられる。

0031

図4(A)の場合、シリコン融液9の対流が右回りであり、低酸素濃度の領域9Aがシリコン単結晶10に接近する流れに対して、切欠部121により流量および流速が大きいアルゴンガスの流れが逆行しているため、シリコン単結晶10は、低酸素濃度の領域9Aを取り込みにくくなり、高酸素濃度となる。
一方、図4(B)の場合、シリコン融液9の滞留が左回りであり、低酸素濃度の領域9Aがシリコン単結晶に接近する流れに対して、切欠部121により流量および流速が大きいアルゴンガスの流れが順方向となるため、シリコン単結晶10は低酸素濃度の領域9Aを取り込みやすくなり、低酸素濃度となる。

0032

シリコン単結晶10のネック(NECK)工程において、シリコン融液9の対流が、右回り、左回りの相違による放射温度計15で測定されたシリコン融液9の表面温度は、図5に示すように、明らかに差異が生じることが確認された。図5における符号4Aは、図4(A)の右回りの場合であり、図5における符号4Bは、図4(B)の左回りの場合である。これにより、シリコン融液9の表面温度を計測することにより、シリコン融液9の対流が右回りであるか、左回りであるかを判別できることが確認された。

0033

次に、ネック工程で測定したシリコン融液9の表面温度から引き上げられたシリコン単結晶10の直胴部の酸素濃度を、FTIR(Fourier Transform Infrared Spectroscopy)で測定したところ、図6に示すように、直胴部の酸素濃度に差異が生じることが確認された。図6における符号5Aは、図4(A)の右回りの場合であり、図6における符号5Bは、図4(B)の左回りの場合である。

0034

したがって、図5および図6の関係を利用すれば、ネック工程において、シリコン融液9の表面の温度を測定することにより、引き上げられたシリコン単結晶10の直胴部の酸素濃度を高精度に推定できることが確認された。なお、本実施の形態では、ネック工程においてシリコン融液9の表面温度を測定していたが、本発明はこれに限られない。たとえば、シリコン単結晶10の肩部形成工程において、切欠部121の近傍のシリコン融液9の表面温度を測定してもよい。要するに、放射温度計15により、切欠部121近傍のシリコン融液9の表面温度を測定できるのであれば、本発明を適用することができる。

0035

[4]シリコン単結晶の製造方法
次に、本実施の形態におけるシリコン単結晶の製造方法を図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
前述したシリコン単結晶の引き上げ装置1において、種結晶8をシリコン融液9に漬けて、シリコン単結晶10の引き上げを開始する(工程S1)。
種結晶8がシリコン融液9になじんだら種結晶8を上方に引き上げながら、シード絞りを行い、ネック工程を開始する(工程S2)。

0036

ネック工程の開始とともに、放射温度計15により、熱遮蔽体12の切欠部121の近傍のシリコン融液9の表面温度測定を行う(工程S3)。
シリコン融液9の表面の温度測定は、ネック工程の間継続してネック工程が終了するまで実施する(工程S4)。
シリコン融液9の温度測定が終了したら、予め準備された図5および図6のグラフに基づいて、シリコン単結晶10中の酸素濃度を推定する(工程S5)。

0037

引き上げるシリコン単結晶10中の酸素濃度が推定されたら、酸素濃度が製品規格内となるように、シリコン単結晶10の直胴部における引き上げ条件を調整する(工程S6)。引き上げ条件は、具体的には、ルツボ3の回転数、アルゴンガス流量、炉内圧力を調整することにより、行われる。
引き上げ条件の調整が終了したら、シリコン単結晶10の直胴部の引き上げを行う(工程S7)。

0038

[5]第1の実施の形態の作用および効果
このような本実施の形態によれば、シリコン融液9の表面の温度を放射温度計15により測定するだけで、引き上げられたシリコン単結晶10の酸素濃度を推定することができる。すなわち、シリコン単結晶10の引き上げ開始後、ネック工程、肩部形成工程の間に温度測定を行い、引き上げられたシリコン単結晶10の酸素濃度を高い精度で推定することができる。
したがって、シリコン単結晶10の直胴部の引き上げまでに、引き上げ条件を調整して、酸素濃度が製品規格内となるシリコン単結晶10の引き上げを行うことができる。
シリコン単結晶の引き上げ装置1における非面対称のホットゾーン形状を、熱遮蔽体12に切欠部121を形成することにより実現しているため、放射温度計15によるシリコン融液9の表面の温度測定位置視認し易くなり、シリコン融液9の表面の温度測定を容易に行うことができる。

0039

[6]第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分等については、同一符号を付してその説明を省略する。
前述した第1の実施の形態では、シリコン単結晶の引き上げ装置1の非面対称のホットゾーン形状は、熱遮蔽体12に切欠部121を形成することにより行っていた。
これに対して、本実施の形態では、図8に示すように、シリコン単結晶の引き上げ装置1Aの非面対称のホットゾーン形状を、熱遮蔽体12の下部の一部に厚肉部122として変更することにより、実現している点が相違する。

0040

厚肉部122では、熱遮蔽体12の他の部分よりも、厚肉部122の下端と、シリコン融液9の液面との間隔が小さくなっている。この部分の間隔を小さくすると、厚肉部122を形成していない反対側のアルゴンガスの流量および流速が増し、シリコン融液9の表面の低酸素濃度の領域9Aがシリコン単結晶10に接近する方向に逆行する流れとなり、シリコン単結晶10は、低酸素濃度の領域9Aを取り込みにくくなり、高酸素濃度となる。
したがって、このような本実施の形態によっても、前述した作用および効果と同様の作用および効果を享受できる。

0041

次に、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
第1の実施の形態に係るシリコン単結晶の引き上げ装置1により、3本のシリコン単結晶10の引き上げを行った。ネック工程において、放射温度計15により、切欠部121の近傍のシリコン融液9の表面の温度を測定したところ、図9に示す結果となった。
図9に示すように、実験例Aでは、ネック工程の間、シリコン融液9の表面の温度は、高い値を示していた。一方、実験例Bおよび実験例Cでは、ネック工程の間、シリコン融液9の表面の温度は、低い値を示していた。

0042

実験例Aは、図4(A)に示すように、シリコン融液9の対流が右回りであり、シリコン単結晶10の酸素濃度が高くなると推定された。
一方、実験例B、実験例Cは、図4(B)に示すように、シリコン融液9の対流が左回りであり、シリコン単結晶10の酸素濃度が低くなると推定された。そこで、実験例Bでは、図10に示すように、炉内圧を実験例A、実験例Cよりも高く設定して引き上げを行った。また、実験例Bでは、図11に示すように、ルツボ回転数も実験例A、実験例Cよりも高く設定して引き上げを行った。

0043

引き上げられたシリコン単結晶10の酸素濃度を測定したところ、図12に示す結果となった。
実験例Aは、推定した通り、酸素濃度が高くなっていた。実験例Cは、推定した通り、酸素濃度が低くなっていた。
実験例Bは、炉内圧、ルツボ回転数を調整することにより、実験例Cの場合よりも、酸素濃度が向上することが確認された。

実施例

0044

以上のことから、非面対称構造のシリコン単結晶の引き上げ装置1において、切欠部121の近傍のシリコン融液9の表面の温度を放射温度計15で測定することにより、引き上げられたシリコン単結晶10の酸素濃度を推定することができることが確認された。
また、推定後、炉内圧、ルツボ回転数等の引き上げ条件を調整することにより、引き上げられたシリコン単結晶10の酸素濃度を調整することができることが確認された。

0045

1…引き上げ装置、1A…引き上げ装置、2…チャンバ、3…ルツボ、3A…石英ルツボ、3B…黒鉛ルツボ、4…支持軸、5…ヒーター、6…断熱材、7…結晶引き上げ軸、8…種結晶、9…シリコン融液、10…シリコン単結晶、12…熱遮蔽体、13…ガス導入口、14…排気口、15…放射温度計、121…切欠部、122…厚肉部、P…測定点、S…結晶引き上げ軸および水平磁場の印加方向を含む面。

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