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技術 導電性カーボンナノチューブ複合膜

出願人 国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明者 和知敦史周英阿澄玲子
出願日 2018年2月28日 (2年7ヶ月経過) 出願番号 2018-035737
公開日 2019年9月12日 (1年1ヶ月経過) 公開番号 2019-151496
状態 未査定
技術分野 電線ケーブルの製造(1) 炭素・炭素化合物 非絶縁導体
主要キーワード 光焼成 フレキシブル電極 シート抵抗変化 紫外光照射下 色パルス CNT薄膜 非導電性物質 CNT繊維
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

シート抵抗が比較的低いCNT複合膜やその製造方法を提供する。

解決手段

本発明のカーボンナノチューブ複合膜は、水またはアルコールに可溶なハロゲン化物と主要成分としてのカーボンナノチューブを含むことを特徴とする。本発明のカーボンナノチューブ複合膜の製造方法は、カーボンナノチューブを主要成分とする膜に水またはアルコールに可溶なハロゲン化物を添加し、これに熱焼成または光焼成を施すことを含むことを特徴とする。前記ハロゲン化物は、ハロゲン化アンモニウムなどである。

概要

背景

カーボンナノチューブ(以下、「CNT」ということがある。)は、様々な新機能を発揮しうる新素材として大きな注目を集め世界中で活発研究開発が行われている。今後、産業上の様々な用途に有効に使用するためには、CNTを簡便な方法で均質薄膜又は厚膜成形することが必須の課題である。また、この膜を導電膜電極として活用する場合には、膜に十分な導電性を付与する必要がある。

CNTを簡便、ローコストで膜にするために、元来不溶性であるCNTを、界面活性剤などの溶液に分散し、塗布製膜する方法が提案されている(非特許文献1)。また、たとえばゼラチンセルロース誘導体マトリックス高分子として用いることで(特許文献1)、複数のCNTが相互に分離した良好な状態で分散したCNT含有薄膜が提案されており、かつ、製膜後にこれらの非導電性材料を除去してCNT導電膜を作製する方法が種々知られている(非特許文献2、特許文献2)。

また、化学気相成長法CVD法)により生成したCNTを直接基板に吹き付けることにより、CNT薄膜を作製する方法も知られている(非特許文献3)。

非導電性物質を除去するなどしてCNT含有率を高めたCNT薄膜はそのままでも導電性を示すが、膜内でのキャリア濃度を高めて導電性をさらに向上させるため、種々の酸化剤を膜内に導入する方法、たとえば、密閉した容器に入れたCNT膜をI2蒸気さらす方法などが知られている。

また、濃硝酸(HNO3)などの溶液にCNTを浸漬する、または熱した濃硝酸の蒸気にさらすなどの方法により、CNT膜のドーピングを行う方法が提案されている。

さらに、CNT膜にヨウ化銅(CuI)などを導入した後、光焼成によりシート抵抗を低減する方法も知られている(特許文献3)。

概要

シート抵抗が比較的低いCNT複合膜やその製造方法を提供する。 本発明のカーボンナノチューブ複合膜は、水またはアルコールに可溶なハロゲン化物と主要成分としてのカーボンナノチューブを含むことを特徴とする。本発明のカーボンナノチューブ複合膜の製造方法は、カーボンナノチューブを主要成分とする膜に水またはアルコールに可溶なハロゲン化物を添加し、これに熱焼成または光焼成を施すことを含むことを特徴とする。前記ハロゲン化物は、ハロゲン化アンモニウムなどである。なし

目的

今後、産業上の様々な用途に有効に使用するためには、CNTを簡便な方法で均質な薄膜又は厚膜に成形することが必須の課題である

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

水またはアルコールに可溶なハロゲン化物と主要成分としてのカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ複合膜

請求項2

前記ハロゲン化物がハロゲン化アンモニウムである請求項1に記載のカーボンナノチューブ複合膜。

請求項3

前記ハロゲン化アンモニウムは、ヨウ化アンモニウム臭化アンモニウム塩化アンモニウムアルキルアンモニウムヨウ化物塩、アルキルアンモニウム臭化物塩アルキルアンモニウム塩化物塩からなる群から選択される少なくとも一つである請求項2に記載のカーボンナノチューブ複合膜。

請求項4

ヨウ化アンモニウムとカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ複合膜であって、導電率が400 S/cm以上である請求項2に記載のカーボンナノチューブ複合膜。

請求項5

ヨウ化アンモニウムとカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ複合膜であって、波長550nmにおける基材光透過率を100パーセントとした際の、CNT複合膜の光透過率が70パーセントから95パーセントの範囲において、シート抵抗が500Ω/□以下である請求項2に記載のカーボンナノチューブ複合膜。

請求項6

周囲温度85℃、相対湿度85%の保管条件下350時間経過後のシート抵抗上昇率が100%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ複合膜。

請求項7

カーボンナノチューブを主要成分とする膜に水またはアルコールに可溶なハロゲン化物を添加し、これに熱焼成または光焼成を施すことを含むカーボンナノチューブ複合膜の製造方法。

請求項8

請求項7に記載のカーボンナノチューブ複合膜の製造方法において、熱焼成または光焼成を施した後、余分のハロゲン化物を洗い流す工程を含むカーボンナノチューブ複合膜の製造方法。

請求項9

前記ハロゲン化物がハロゲン化アンモニウムである請求項7または8に記載のカーボンナノチューブ複合膜の製造方法。

請求項10

前記ハロゲン化アンモニウムがヨウ化アンモニウムである請求項9に記載のカーボンナノチューブ複合膜の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、カーボンナノチューブ複合膜やその製造方法に関する。

背景技術

0002

カーボンナノチューブ(以下、「CNT」ということがある。)は、様々な新機能を発揮しうる新素材として大きな注目を集め世界中で活発研究開発が行われている。今後、産業上の様々な用途に有効に使用するためには、CNTを簡便な方法で均質薄膜又は厚膜成形することが必須の課題である。また、この膜を導電膜電極として活用する場合には、膜に十分な導電性を付与する必要がある。

0003

CNTを簡便、ローコストで膜にするために、元来不溶性であるCNTを、界面活性剤などの溶液に分散し、塗布製膜する方法が提案されている(非特許文献1)。また、たとえばゼラチンセルロース誘導体マトリックス高分子として用いることで(特許文献1)、複数のCNTが相互に分離した良好な状態で分散したCNT含有薄膜が提案されており、かつ、製膜後にこれらの非導電性材料を除去してCNT導電膜を作製する方法が種々知られている(非特許文献2、特許文献2)。

0004

また、化学気相成長法CVD法)により生成したCNTを直接基板に吹き付けることにより、CNT薄膜を作製する方法も知られている(非特許文献3)。

0005

非導電性物質を除去するなどしてCNT含有率を高めたCNT薄膜はそのままでも導電性を示すが、膜内でのキャリア濃度を高めて導電性をさらに向上させるため、種々の酸化剤を膜内に導入する方法、たとえば、密閉した容器に入れたCNT膜をI2蒸気さらす方法などが知られている。

0006

また、濃硝酸(HNO3)などの溶液にCNTを浸漬する、または熱した濃硝酸の蒸気にさらすなどの方法により、CNT膜のドーピングを行う方法が提案されている。

0007

さらに、CNT膜にヨウ化銅(CuI)などを導入した後、光焼成によりシート抵抗を低減する方法も知られている(特許文献3)。

0008

国際公開第2005/082775号パンフレット
特許第6164617号公報
特願2014−212191号明細書

先行技術

0009

M. J. O’Connell et al., “Band Gap Fluorescence from Individual Single-Walled Carbon Nanotubes”Science, vol. 297, pp 593-596 (2002)
Y. Kim et al. “Industrially Feasible Approach to Transparent, Flexible, and Conductive Carbon Nanotube Films: Cellulose-Assisted Film Deposition Followed by Solution and Photonic Processing”, Appl. Phys. Express, vol. 6, pp.025101-1 - 025101-4 (2013).
A. Kaskela et al., “Aerosol-Synthesized SWNTNetworks with Tunable Conductivity and Transparency by a Dry Transfer Technique” Nano Lett. 10, pp.4349-4355 (2010).

発明が解決しようとする課題

0010

本発明者は、上述のような従来のCNTドーピング技術について検討したが、次のような問題点などが存在することを認識した。
(ア)密閉した容器に入れたCNT膜をI2蒸気にさらす方法などでは、I2蒸気がCNT膜に導入されるのを待つ必要があり、時間とコストがかかる。また、ドーピング当初は過剰なI2がCNT膜内に導入されCNT膜の透過率が低くなるうえ、使用時にI2が徐々に揮発して失われるため、導電率が不安定である。
(イ)濃硝酸を用いる方法は、危険な濃硝酸を大量に使用する必要があるうえに、使用時に硝酸が徐々に揮発して失われるため、導電率が不安定である。
(ウ)CuIを導入する方法は、ハロゲン化銅溶剤溶けないため、過剰に導入されたCuIを除去することが困難である。また、CNT膜の用途によっては、金属イオンが入らないほうがよい場合もある。
(エ)危険な溶剤や試薬を使用せずCNT膜を簡便にドーピングでき、かつ、ドーピング後の導電率が安定に維持できるCNT複合膜、およびそのような複合膜を作製するための製造方法を開発できれば、CNTの柔軟性を利用して、フレキシブルな導電膜や導電シートを作製することができる。たとえば、これが薄膜の場合には、タッチパネルなどの透明電極や、有機ELや有機太陽電池の電極などに利用でき、また電磁波吸収シートなどとして利用することが可能となる。さらに、これが厚膜の場合には、金属膜金属箔を凌ぐようなフレキシブルな電極や配線として利用することができる。以上のように、その産業的利用価値は極めて大きいが、そのような要請応えるCNT複合膜がまだ開発されていない。

0011

本発明は、上述のような従来技術や該従来技術に対する本発明者の上記認識などを背景としてなされたものであって、シート抵抗が比較的低いCNT複合膜やその製造方法を提供することを課題とするものである。

課題を解決するための手段

0012

本発明者は、上記課題の下での試験・研究過程で、CNT膜に水またはアルコールに可溶なハロゲン化アンモニウム等のハロゲン化物を添加し、これに熱焼成または光焼成を施すことによりハロゲン化物とカーボンナノチューブを含み、シート抵抗が比較的低いCNT複合膜が得られることを知見した。

0013

本発明は、上記のような知見に基づくものであり、本件では、以下のような発明が提供される。
[1]水またはアルコールに可溶なハロゲン化物と主要成分としてのカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ複合膜。
[2]前記ハロゲン化物がハロゲン化アンモニウムである[1]に記載のカーボンナノチューブ複合膜。
[3]前記ハロゲン化アンモニウムは、ヨウ化アンモニウム臭化アンモニウム塩化アンモニウムアルキルアンモニウムヨウ化物塩、アルキルアンモニウム臭化物塩アルキルアンモニウム塩化物塩からなる群から選択される少なくとも一つである[2]に記載のカーボンナノチューブ複合膜。
[4]ヨウ化アンモニウムとカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ複合膜であって、導電率が400 S/cm以上である[2]に記載のカーボンナノチューブ複合膜。
[5]ヨウ化アンモニウムとカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ複合膜であって、波長550nmにおける基材光透過率を100パーセントとした際の、CNT複合膜の光透過率が70パーセントから95パーセントの範囲において、シート抵抗が500Ω/□以下である[2]に記載のカーボンナノチューブ複合膜。
[6]周囲温度85℃、相対湿度85%の保管条件下350時間経過後のシート抵抗上昇率が100%以下である[1]〜[5]のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ複合膜。
[7]カーボンナノチューブを主要成分とする膜に水またはアルコールに可溶なハロゲン化物を添加し、これに熱焼成または光焼成を施すことを含むカーボンナノチューブ複合膜の製造方法。
[8][7]に記載のカーボンナノチューブ複合膜の製造方法において、熱焼成または光焼成を施した後、余分のハロゲン化物を洗い流す工程を含むカーボンナノチューブ複合膜の製造方法。
[9]前記ハロゲン化物がハロゲン化アンモニウムである[7]または[8]に記載のカーボンナノチューブ複合膜の製造方法。
[10]前記ハロゲン化アンモニウムがヨウ化アンモニウムである[9]に記載のカーボンナノチューブ複合膜の製造方法。

発明の効果

0014

本発明によれば、シート抵抗が比較的低いCNT複合膜やその製造方法が提供される。

図面の簡単な説明

0015

本発明の一実施形態に係るCNT複合膜の製造方法を説明する模式図である。
本発明の実施例や比較例に係るCNT複合膜の製造工程の各段階におけるシート抵抗値の変化を示す図である。下図は、ドーピング前のCNT薄膜のシート抵抗を1とした際の相対値を示す。
本発明の実施例に係るCNT複合膜の製造工程の各段階における、透過光の波長に対する透過率を示す図である。右図は、左図の部分拡大図である。
本発明の実施例に係るCNT複合膜の製造工程の各段階における、ラマンスペクトルを示す図である。
本発明の実施例に係るCNT複合膜の製造工程の各段階における、XPSスペクトルを示す図である。
本発明の実施例に係るCNT複合膜の製造工程の各段階における、原子間力顕微鏡像を示す。
上図は、本発明の実施例に係るCNT複合膜の製造工程の各段階におけるシート抵抗値と、波長が550 nmにおける(a)工程CNT膜の光透過率(基材の光透過率を100%としたときの相対値)の関係を示す図である。下図は、用いたNH4Iエタノール溶液の濃度と、(a)工程CNT膜または(b)〜(d)工程CNT複合膜のシート抵抗値の関係を示す図である。
本発明の実施例に係るCNT複合膜の製造工程の各段階における膜を、周囲温度85℃、相対湿度85%の条件下で保管した際のシート抵抗の時間変化を示す図である。
本発明の実施例に係る(d)工程CNT複合膜の、強度100 mW/cm2の紫外光照射下における耐久性試験の結果を(a)工程CNT膜に対比して示した図である。

0016

以下、本発明に係るカーボンナノチューブ複合膜(以下、「CNT複合膜」ということがある。)について説明する。なお、本発明のCNT複合膜は、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態及び後述する実施例で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味として使用される。

0017

本発明のCNT複合膜は、水またはアルコールに可溶なハロゲン化物と主要成分としてのCNTを含むものである。
水またはアルコールに可溶なハロゲン化物としては、NaI、KI等のハロゲン化金属、ハロゲン化アンモニウムなどが挙げられるが、好適には、ハロゲン化アンモニウムである。

0018

前記ハロゲン化アンモニウムとしては、ヨウ化アンモニウム、臭化アンモニウム、塩化アンモニウム、アルキルアンモニウムヨウ化物塩、アルキルアンモニウム臭化物塩、アルキルアンモニウム塩化物塩が挙げられる。それらは、1種で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。

0019

CNTは、種類によらず、単層カーボンナノチューブ(SWNT)でも二層カーボンナノチューブDWNT)、多層カーボンナノチューブ(MWNT)でもよいし、それらの混合物であっても良い。また、金属性半導体性の一方の成分が主要成分となるように選別や精製したものであっても良い。CNTは、本発明のCNT複合膜の主要成分(90wt%以上、好ましくは95wt%以上、より好ましくは98%以上)である。

0020

本発明のCNT複合膜は、水またはアルコールに可溶なハロゲン化物とCNTの2成分であることが好ましいが、シート抵抗を大きく増加させない範囲で(例えば、5wt%以下、好ましくは2wt%以下、より好ましくは1wt%以下)他の成分や不純物を含むことも許容される。

0021

本発明のCNT複合膜は、適宜の基材上に支持、保持、または、接合されていても良い。そのような基材としては、限定するものではないが、ガラス、金属、プラスチックスセラミックス回路基板などが挙げられる。

0022

本発明のCNT複合膜は、CNTを主要成分とするCNT膜に水またはアルコールに可溶なハロゲン化アンモニウム等のハロゲン化物を添加し、これに熱焼成または光焼成を施すことにより製造することができる(図1参照)。
CNT膜の作製方法はどのような方法でもよいが、例えば、非特許文献2、特許文献2のようにセルロース系の分散剤を用いて製膜後に光焼成ないし熱焼成を行って非導電性の分散剤を除去する方法も用いることができる。また、非特許文献3のように、CVDで作製したSWNTを直接基板に噴霧して作製することもできる。透明性が必要な場合には、必要な透明性に応じて膜厚を調整することが望ましい。

0023

水またはアルコールに可溶なハロゲン化物は、CNT膜への添加に際し、水又はアルコールに溶解した溶液とすることが望ましいが、用いるハロゲン化物に対する十分な溶解性を示し、かつ、作製プロセスを妨げない程度の良好な揮発性を発揮するものであれば、アルコール以外の有機溶媒であっても良い。溶液におけるハロゲン化物の濃度は、0.1〜10wt%、好ましくは1〜5wt%である。後述の実施例から明らかなように、前記濃度が高い方がCNT複合膜のシート抵抗が低下する傾向は見られるが、光焼成後や余分なドーパントを洗い流した後のCNT複合膜のシート抵抗は、前記濃度が3〜5wt%程度以上ではほぼ変化しないようになるので、前記濃度をそれ以上に高める必要性はあまり無い。

0024

ハロゲン化物が添加されたCNT複合膜は、適宜乾燥した後、熱焼成または光焼成を施す。
熱焼成は、大気雰囲気、ないし窒素などの不活性雰囲気下、あるいは真空下で、200℃〜800℃で1分〜1時間程度熱処理することにより行うことができる。
光焼成は、CNTが吸収した光が熱に変換され、この熱によりハロゲン化物が焼成され活性化される。そのため、CNTが吸収する波長の光であればよく、紫外光から赤外光までを任意に用いることができる。また、光はレーザーなどのコヒーレント光でも、インコヒーレントな光でもよく、さらに、パルス光でも連続光でもよく、CNTが光を吸収し十分に熱せられ、ハロゲン化物を活性化できる温度に達する条件であればよい。たとえばキセノンフラッシュランプを用いた白色パルス光を0.1〜50 J/cm2の照射強度で、100-3000マイクロ秒のパルス光を1回〜30回照射することにより行うことができる。

0025

熱焼成または光焼成を施した後のCNT複合膜は、各種の用途等の必要に応じて、余分なドーパントを洗い流すことができる。このような余分なドーパント洗い流しには、水やアルコール、またはアルコールと同等の溶解度を示す有機溶媒を用い、浸漬等の適宜の処理により行うことができる。このような洗い流しにより、CNT複合膜は、シート抵抗をそれほど増大させることなく透過率を向上することができる。

0026

本発明のCNT複合膜は、基板の種類を選ばず、また、膜厚の制御が自在であるうえに、大面積化も可能であり、かつ、安全、簡便で低コストに製造可能であるために、多様な用途に供することが期待される。具体的には、ITOに代わる透明導電膜材料電磁波遮蔽フィルムフレキシブル電極材料などとして期待される。

0027

次に、本発明を実施例に基づいて、さらに詳述する。なお、以下の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、これに制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想に基づく変形、実施態様、他の例は、本発明に全て含まれるものである。

0028

なお、以下の実施例においては、改良直噴熱分解合成(eDIPS)法により合成した単層CNTを用いた。また、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)は日本曹達製のものを用いた。 その他の試薬は和光純薬製特級試薬を用いた。

0029

最初に、実施例や比較例に用いた測定方法・装置について記載する。

0030

表面抵抗
CNT導電膜の表面抵抗率四探針法抵抗率測定装置(ロレスター、三菱化学(株)製)により室温、大気中で測定した。

0031

紫外可視近赤外透過スペクトル
紫外−可視−近赤外透過スペクトルは、V-670紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社製)で測定した。以下、特に断らない限り、透過率は、基材の光透過率を100%としたときの波長が550nmにおける相対値である。

0032

<ラマンスペクトル>
ラマンスペクトルは、RamanStation 400 spectrometer(PerkinElmer社製)を用い、励起波長785 nmにて測定した。

0033

<X線光電子分光>
X線光電子スペクトルは、PHI 5000 VersaProbe(ULVAC社製)を用い、X線源としてAl Kα線(1486.6eV)を用いて入射角度45°で測定した。また、Carbon 1s(284.8eV)のピーク位置を結合エネルギーの基準とした。

0034

<原子間力顕微鏡>
原子間力顕微鏡は、SPA300およびSPI3800(セイコーインスツルメンツ社製)を組み合わせて測定した。

0035

<加速試験>
加速試験は、アドバンテック社製の恒温恒湿槽(THR030FA)を用いて、大気中、85℃、相対湿度85%にて一定時間試料を保管した後、シート抵抗を測定した。

0036

(実施例1)
HPCの5%エタノール溶液に、250ppmとなるようにCNT粉末を加え、超音波処理で分散させた後、超遠心処理を1時間行って、上澄み液CNT分散液試料とした。

0037

(a)ドーピング前のCNT膜の調製工程(As-prepared)
得られたCNT分散液を、ドクターブレードを用いて製膜し、CNTとHPCの混合膜を得た。このとき波長550nmにおける膜の光透過率(基材の光透過率を100パーセントとしたときの相対値)が80%前後となるように膜厚を調整した。この膜に、キセノンフラッシュランプ(NavaCentrix社製PulseForge 1300)を用いて高強度白色光を照射し、HPCを熱分解して除去し、さらに膜を2-プロパノールに1時間浸漬して残ったHPCを洗い流すことによってさらに取り除き、ドーピング前のCNT膜を得た。

0038

(b)NH4Iの含まれたCNT複合膜の調製工程(NH4I coating)
上記(a)工程で得られたCNT膜をヨウ化アンモニウム(NH4I)の濃度が5wt%のエタノール溶液に浸漬した後、取り出して乾燥し、ドーパントとしてのNH4Iが含まれたCNT複合膜を得た。

0039

(c)CNT複合膜に含まれるドーパントの活性工程(NH4Iの含まれたCNT複合膜の光焼成工程)(Photonic curing)
上記(b)工程で得られたNH4Iの含まれたCNT複合膜に、キセノンフラッシュランプ(NavaCentrix 社製PulseForge 1300)を用いて高強度白色パルス光(パルス幅約500マイクロ秒)を約1J/cm2の照射強度で3回照射し、ドーパントを活性化した。

0040

(d)余分なNH4Iを洗い流したCNT複合膜の調製工程(Dippingwith ethanol)
上記(c)工程で得られた光焼成したCNT複合膜をエタノールに浸漬し、複合膜中に残った余分なNH4Iを洗い流したCNT複合膜を得た。

0041

(実施例2)
上記実施例1の(b)工程において、ヨウ化アンモニウム(NH4I)の濃度が5wt%のエタノール溶液の替りに、NaIの濃度が1wt%のエタノール溶液、 または、KIの濃度が4wt%のエタノール溶液を用いた以外は上記(b)、(c)工程と同様にして、ドーパントとしてのNaIまたはKIが含まれた各(b)、(c)工程後のCNT複合膜を得た。

0042

(比較例1)
上記実施例1の(b)工程において、ヨウ化アンモニウム(NH4I)溶液への浸漬、取り出し乾燥の替りに、CNT膜にCrまたはAuを蒸着した以外は(b)工程と同様にし、CrまたはAuの含まれたCNT複合膜を得た。
上記で得られたCrまたはAuの含まれたCNT複合膜について、上記(c)と同様の高強度白色光の照射によるドーパントの活性化工程で処理し、ドーパントとしてのCrまたはAuが含まれた各(b)、(c)工程後の比較例のCNT複合膜を得た。

0043

(シート抵抗に及ぼすドーパントの種類の影響について)
実施例1、2、および、比較例1における上記(a)〜(c)の各工程後におけるCNT膜又はCNT複合膜のシート抵抗値を図2上図に示す。ドーピング前の(a)工程CNT膜のシート抵抗は、製膜された膜厚によりばらつきが存在するので、(a)工程後のシート抵抗値を1とした場合の各(b)、(c)工程後におけるシート抵抗変化図2下図に示す。
ドーパントとしてCrやAuを導入した比較例のCNT複合膜の場合、顕著なドーピング効果は見られなかったが、ドーパントとして水またはアルコールに可溶なヨウ化物を用いた場合には、ドーパントの活性化によりシート抵抗値が低下することが見られた。NaIやKIの金属ヨウ化物では、光焼成によるシート抵抗の低下の程度は比較的小さかった。一方、ヨウ化物としてNH4Iを用いた場合では、上記(b)工程のようにNH4Iを添加してもシート抵抗にあまり変化はないが、上記(c)工程のようにドーパントを活性化したCNT薄膜では、シート抵抗値が約10分の1に低下している。さらに、上記(d)工程で余分なNH4Iを洗い流したCNT薄膜でも、シート抵抗値がもとに戻ることはなく、低い値を維持することが判明した(後述の図7参照)。

0044

(各工程後におけるCNT-NH4I複合膜の透過スペクトルについて)
実施例1の(b)〜(d)の各工程後のCNT-NH4I複合膜について調べた透過スペクトルを(a)工程後のCNT膜の透過スペクトルと対比して図3に示す。
ドーパントとしてのNH4Iのエタノール溶液に浸漬すると、NH4Iの粒子がCNT膜内に残るため透過率が下がるが、光焼成を行うことによって近赤外領域半導体CNTに由来する吸収が消失した。また、エタノールで余分なNH4Iを洗い流すことによって透過率がもとのCNT膜と同じ程度の透過率に回復した。
以上の結果から、もとのCNT膜の透過率を損なうことなく、シート抵抗を約1/10に低減させた透明導電膜を作製することができた。

0045

(各工程後におけるCNT-NH4I複合膜のラマンスペクトルについて)
実施例1の各工程後のCNT複合膜のラマンスペクトルをCNT膜と対比して図4に示す。Gバンド(1595cm-1)、およびG’バンド(2582cm-1)が、光焼成を施すことによりそれぞれ1597cm-1および2591cm-1にシフトしており、ドーパントからCNTへの電荷移動が示された。

0046

(各工程後におけるCNT-NH4I複合膜のXPSスペクトルについて)
実施例1の各工程後のCNT複合膜の光電子分光(XPS)を測定した際のスペクトル変化をCNT膜と対比して図5に示す。また、表1は、その際のそれぞれの元素に由来するピークの強度の比を示す。実施例1のCNT-NH4I複合膜は、(b)工程の光焼成、および(d)工程のエタノール洗浄の後にも、窒素(N)およびヨウ素(I)のピークが消失せず、また、その強度比も大きく変化していないことから、NH4Iの組成を保ったままドーピング効果を示しているものと考えられる。

0047

0048

(各工程後におけるCNT-NH4I複合膜のAFM像について)
実施例1の各工程後のCNT膜(a)およびCNT複合膜(b)〜(d)の原子間力顕微鏡(AFM)像を図6に示す。(b)工程においてNH4IをCNT膜中に導入することにより、CNT繊維がNH4I粒子におおわれるが、(c)工程の光焼成、および、(d)工程のエタノール洗浄を経ると、CNT繊維が明瞭に観察され、余分のNH4Iは除去されたことがわかる。

0049

(実施例3)
実施例1の(a)工程において、透過率を種々の値に変更した以外は上記(a)〜(d)工程と同様にして得られた各工程後のCNT-NH4I複合膜又はCNT膜について、シート抵抗を調べた。その結果を図7上図に示す。どの透過率のCNT薄膜でも、NH4Iと複合化し、キセノンフラッシュランプで光焼成を行うことで、シート抵抗が低減した。一方、余分なドーパントを洗い流すためにエタノールで洗浄してもシート抵抗の上昇があまりみられなかった。
今回の実験で用いたeDIPS-SWNTの場合、透過率90パーセント前後のCNT膜の膜厚は約25nm程度であるので、シート抵抗が300Ω/□であれば、約1300S/cmであり、CNT膜としては高い導電率を有した複合膜であることがわかった。

0050

(実施例4)
実施例1の(a)工程において、NH4I溶液の濃度を種々の値に変更した以外は上記(a)〜(d)工程と同様にして、各工程後のCNT-NH4I複合膜又はCNT膜について、シート抵抗を調べた。その結果を図7下図に示す。作製に用いるNH4I溶液の濃度の調整により、得られたCNT-NH4I複合膜のシート抵抗を調整できることが示された。

0051

(実施例5)
実施例1の各工程後のCNT膜(a)およびCNT複合膜(b)〜(d)を、周囲温度85℃、相対湿度85%の環境下に一定時間保管した後、シート抵抗を測定した際のシート抵抗の変化を図8に示す。工程(d)でエタノールで洗浄した後のCNT複合膜では、作製直後のシート抵抗が180Ω/□であったものが50時間後に250Ω/□となったが、350時間後にも280Ω/□のシート抵抗値を維持しており、シート抵抗の上昇率はわずか55パーセントであった。このように実施例1や実施例3などのように作製したCNT-NH4I複合膜は、85℃、相対湿度85%の環境においても低いシート抵抗を維持することができ、安定な導電性膜であることが示された。

実施例

0052

(実施例6)
実施例1の各工程後のCNT膜(a)およびCNT複合膜(d)を、波長365 nmの紫外光を100 mW/cm2の強度で照射した際の耐久性試験の結果を図9に示す。高強度の紫外光を長時間照射してもシート抵抗にほとんど変化がなく、耐久性の高い導電膜を作製できたことが示された。

0053

本発明のCNT複合膜は、CNT膜を製膜後、ハロゲン化アンモニウムなどのハロゲン化物を溶解した水やエタノールなどの安全な溶液に浸漬し、光焼成や熱焼成を行うだけで製造できる。また、ドーパントとしてのハロゲン化物の量を自在に調整することが可能であり、種々のシート抵抗のものを得ることもできる。また、光焼成をプロセスに用いた場合においては、光の照射した箇所のドーパントのみが活性化され導電率が高くなるため、導電率のパターニングを行うこともできる。
本発明のCNT複合膜は、シート抵抗が比較的低いし、長期的に安定な導電性を示す耐久性にも優れている。特に、ドーパントとしてヨウ化アンモニウム等のハロゲン化アンモニウムを含むCNT複合膜は、それらの性質が特に優れている。
本発明のCNT複合膜は、導電性の高い厚膜や、曲げ性や透明性の良好な薄膜のように、種々の厚さを有することができるので、種々の用途の導電膜や透明導電膜、電磁波遮蔽フィルム、フレキシブル電極材料などとして利用することが期待される。

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