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技術 繊維構造体及び圧力容器

出願人 株式会社豊田自動織機
発明者 安江雅彦
出願日 2018年3月6日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-039678
公開日 2019年9月12日 (9ヶ月経過) 公開番号 2019-151072
状態 未査定
技術分野 プラスチック等の注型成形、圧縮成形 ガス貯蔵容器;ガスの充填・放出 織物 型の被覆による成形、強化プラスチック成形
主要キーワード 強化繊維糸 開口動作 複数回巻き 繊維強化複合材 すだれ織 含浸硬化 経糸ビーム 低公害車
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (12)

課題

耐圧性の低下を抑制できる繊維構造体及び圧力容器を提供すること。

解決手段

高圧タンク10において、強化繊維シート19は、ライナ12の軸方向に延在し当該ライナ12への巻き始めとなる始端部19aを有する。ライナ12は、軸方向及び径方向に延在する突き合わせ面12aと、突き合わせ面12aに連続し、ライナ12の外周面における半径と異なる半径を有する円弧状の巻き付け面12bと、を備える。突き合わせ面12aの高さは、強化繊維シート19の厚さに合致している。突き合わせ面12aに強化繊維シート19の始端部19aが突き合わされるとともに、巻き付け面12bに強化繊維シート19の一部が巻き付けられている。

概要

背景

圧縮天然ガス(CNG)、液化天然ガスLNG)等を収容する圧力容器(所謂、高圧タンク)は、一般にスチールアルミニウム合金等の金属製のため重量が重い。近年、天然ガス燃料とする自動車低公害車として注目されており、より低公害のものとして、燃料電池動力源とする自動車も注目されている。燃料電池の燃料として水素ガス燃料タンクに収容する自動車もあるが、燃料タンクとなる圧力容器の重量が重く燃費が悪くなる。この不都合を解消するため、ガスバリア性を有するライナ内殻)の外側を耐圧性繊維強化複合材層で覆った圧力容器が提案されている。

圧力容器において、一般に、ライナは円筒状の胴体部中心軸線の延びる方向(以下、軸方向とする)の両端側に曲面状のドーム部を有する形状である。圧力容器内には数十MPaの圧力になるようにガス充填されるが、繊維強化複合材層により、ライナが補強されている。このような圧力容器は、例えば、特許文献1に開示されるように、1枚の強化繊維シートを、胴体部の軸芯に対して直交する方向から胴体部の外周面複数回巻き付け、強化繊維シートとマトリックス樹脂とが複合化されて製造される。

概要

耐圧性の低下を抑制できる繊維構造体及び圧力容器を提供すること。高圧タンク10において、強化繊維シート19は、ライナ12の軸方向に延在し当該ライナ12への巻き始めとなる始端部19aを有する。ライナ12は、軸方向及び径方向に延在する突き合わせ面12aと、突き合わせ面12aに連続し、ライナ12の外周面における半径と異なる半径を有する円弧状の巻き付け面12bと、を備える。突き合わせ面12aの高さは、強化繊維シート19の厚さに合致している。突き合わせ面12aに強化繊維シート19の始端部19aが突き合わされるとともに、巻き付け面12bに強化繊維シート19の一部が巻き付けられている。

目的

本発明の目的は、耐圧性の低下を抑制できる繊維構造体及び圧力容器を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

円筒状の胴体部と、前記胴体部の軸方向の少なくとも一端に連続するドーム部と、を備えるライナを有するとともに、前記ライナの周方向に沿って当該ライナの外周面巻き付けられ、前記ライナを外側から覆う強化繊維シートを有し、前記強化繊維シートは、前記ライナの周方向及び軸方向の少なくとも一方に糸主軸方向が延びるように前記胴体部に配列された強化繊維糸を含む繊維構造体であって、前記強化繊維シートは、前記ライナの軸方向に延在し当該ライナへの巻き始めとなる始端部を有し、前記ライナは、少なくとも前記胴体部の軸方向及び径方向に延在する突き合わせ面と、前記突き合わせ面に連続し、前記胴体部の外周面における半径と異なる半径を有する円弧状の巻き付け面と、を備え、前記胴体部の径方向に沿った前記突き合わせ面の高さは、前記強化繊維シートの厚さに合致し、前記突き合わせ面に前記強化繊維シートの始端部が突き合わされるとともに、前記巻き付け面に前記強化繊維シートの一部が巻き付けられていることを特徴とする繊維構造体。

請求項2

前記巻き付け面は、前記胴体部の外周面に対し0度より大きく2度以下の角度を有する請求項1に記載の繊維構造体。

請求項3

前記ライナは、前記突き合わせ面及び前記巻き付け面を前記ドーム部にも備える請求項1又は請求項2に記載の繊維構造体。

請求項4

前記強化繊維シートは織物製であり、前記ライナの周方向へ糸主軸方向が延びるように前記胴体部及び前記ドーム部に配列された第1の糸と、前記第1の糸と前記織物を形成する第2の糸と、を有し、前記第2の糸は、前記胴体部の軸方向へ糸主軸方向が延びるように配列されるとともに、前記ドーム部に配列された部分の糸主軸方向が前記ドーム部の軸方向へ延びるように配列されている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の繊維構造体。

請求項5

前記突き合わせ面及び前記巻き付け面は、前記ライナに形成されている請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の繊維構造体。

請求項6

前記突き合わせ面及び前記巻き付け面は、前記ライナにスペーサ一体化して設けられている請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の繊維構造体。

請求項7

ライナを外側から覆う強化繊維シートを備える繊維構造体を有し、マトリックス樹脂と前記繊維構造体が複合化されている圧力容器であって、前記繊維構造体が請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の繊維構造体であることを特徴とする圧力容器。

技術分野

0001

本発明は、ライナを外側から覆う強化繊維シートを有する繊維構造体、及び圧力容器に関する。

背景技術

0002

圧縮天然ガス(CNG)、液化天然ガスLNG)等を収容する圧力容器(所謂、高圧タンク)は、一般にスチールアルミニウム合金等の金属製のため重量が重い。近年、天然ガス燃料とする自動車低公害車として注目されており、より低公害のものとして、燃料電池動力源とする自動車も注目されている。燃料電池の燃料として水素ガス燃料タンクに収容する自動車もあるが、燃料タンクとなる圧力容器の重量が重く燃費が悪くなる。この不都合を解消するため、ガスバリア性を有するライナ(内殻)の外側を耐圧性繊維強化複合材層で覆った圧力容器が提案されている。

0003

圧力容器において、一般に、ライナは円筒状の胴体部中心軸線の延びる方向(以下、軸方向とする)の両端側に曲面状のドーム部を有する形状である。圧力容器内には数十MPaの圧力になるようにガス充填されるが、繊維強化複合材層により、ライナが補強されている。このような圧力容器は、例えば、特許文献1に開示されるように、1枚の強化繊維シートを、胴体部の軸芯に対して直交する方向から胴体部の外周面複数回巻き付け、強化繊維シートとマトリックス樹脂とが複合化されて製造される。

先行技術

0004

特開2017−141947号公報

発明が解決しようとする課題

0005

強化繊維シートは、その周方向の一端部の始端部を、胴体部への巻き始めとして胴体部に巻き付けられ、強化繊維シートの始端部には、強化繊維シートが複数回に亘って巻き重ねられる。このため、強化繊維シートによって形成された繊維層には、始端部の高さを原因とした段差が形成されている。よって、繊維層には段差を原因として繊維の歪みが形成され、圧力容器の繊維強化複合材層の耐圧性が低下してしまう。

0006

本発明の目的は、耐圧性の低下を抑制できる繊維構造体及び圧力容器を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

上記問題点を解決するための繊維構造体は、円筒状の胴体部と、前記胴体部の軸方向の少なくとも一端に連続するドーム部と、を備えるライナを有するとともに、前記ライナの周方向に沿って当該ライナの外周面に巻き付けられ、前記ライナを外側から覆う強化繊維シートを有し、前記強化繊維シートは、前記ライナの周方向及び軸方向の少なくとも一方に糸主軸方向が延びるように前記胴体部に配列された強化繊維糸を含む繊維構造体であって、前記強化繊維シートは、前記ライナの軸方向に延在し当該ライナへの巻き始めとなる始端部を有し、前記ライナは、少なくとも前記胴体部の軸方向及び径方向に延在する突き合わせ面と、前記突き合わせ面に連続し、前記胴体部の外周面における半径と異なる半径を有する円弧状の巻き付け面と、を備え、前記胴体部の径方向に沿った前記突き合わせ面の高さは、前記強化繊維シートの厚さに合致し、前記突き合わせ面に前記強化繊維シートの始端部が突き合わされるとともに、前記巻き付け面に前記強化繊維シートの一部が巻き付けられていることを要旨とする。

0008

これによれば、突き合わせ面に始端部を突き合わせることで、突き合わせ面の高さを利用して、強化繊維シートの始端部の厚さを吸収できる。そして、胴体部の周方向において突き合わせ面を挟んだ強化繊維シートの周面に段差が形成されにくくなる。このため、強化繊維シートの始端部に、強化繊維シートが巻き重ねられて形成された繊維構造体であっても、始端部を原因とした歪みを抑制でき、歪みを原因とした耐圧性の低下を抑制できる。

0009

また、繊維構造体について、前記巻き付け面は、前記胴体部の外周面に対し0度より大きく2度以下の角度を有するのが好ましい。
これによれば、少なくとも胴体部において、巻き付け面と胴体部の外周面とが交わる位置は、半径が変化する位置である。このため、ライナに巻き付けられた強化繊維シートには、ライナの軸方向に延びる歪みが生じる。しかし、巻き付け面の角度を2度以下に設定することにより、強化繊維シートに歪みが生じても、繊維強化複合材における歪みを原因とした強度低下を抑えることができる。

0010

また、繊維構造体について、前記ライナは、前記突き合わせ面及び前記巻き付け面を前記ドーム部にも備えるのが好ましい。
これによれば、ライナの軸方向全体において、強化繊維シートの周面に段差が形成されにくくなる。このため、強化繊維シートの始端部に、強化繊維シートが巻き重ねられても、始端部を原因とした歪みが形成されることを抑制できる。

0011

また、繊維構造体について、前記強化繊維シートは織物製であり、前記ライナの周方向へ糸主軸方向が延びるように前記胴体部及び前記ドーム部に配列された第1の糸と、前記第1の糸と前記織物を形成する第2の糸と、を有し、前記第2の糸は、前記胴体部の軸方向へ糸主軸方向が延びるように配列されるとともに、前記ドーム部に配列された部分の糸主軸方向が前記ドーム部の軸方向へ延びるように配列されているのが好ましい。

0012

これによれば、第1の糸の糸主軸方向はライナの周方向へ延び、ライナを径方向に補強できる。また、第2の糸の糸主軸方向はライナにおける胴体部及びドーム部の軸方向に延びる。第2の糸の糸主軸方向が、胴体部及びドーム部の軸方向に傾斜して配列される場合よりもライナを軸方向に補強できる。

0013

また、繊維構造体について、前記突き合わせ面及び前記巻き付け面は、前記ライナに形成されていてもよい。
これによれば、突き合わせ面及び巻き付け面をライナとは別部品で設ける場合と比べて、突き合わせ面及び巻き付け面を所望する場所に配置できる。

0014

また、繊維構造体について、前記突き合わせ面及び前記巻き付け面は、前記ライナにスペーサ一体化して設けられていてもよい。
これによれば、ライナの強度変化を抑制できる。

0015

上記問題点を解決するための圧力容器は、ライナを外側から覆う強化繊維シートを備える繊維構造体を有し、マトリックス樹脂と前記繊維構造体が複合化されている圧力容器であって、前記繊維構造体が請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の繊維構造体であることを要旨とする。

0016

これによれば、突き合わせ面に始端部を突き合わせることで、突き合わせ面の高さを利用して、強化繊維シートの始端部の厚さを吸収できる。そして、胴体部の周方向において突き合わせ面を挟んで両側に位置した強化繊維シートの周面に段差が形成されにくくなる。このため、強化繊維シートの始端部に、強化繊維シートが巻き重ねられて形成された繊維構造体であっても、始端部を原因とした歪みを抑制できる。よって、マトリックス樹脂と繊維構造体とが複合化された圧力容器において、歪みを原因とした耐圧性の低下を抑制できる。

発明の効果

0017

本発明によれば、耐圧性の低下を抑制できる。

図面の簡単な説明

0018

高圧タンクを模式的に示す断面図。
繊維構造体を模式的に示す正面図。
ライナを模式的に示す斜視図。
突き合わせ面及び巻き付け面を拡大して示す部分断面図。
強化繊維シートを示す拡大図。
(a)は胴体部を覆う強化繊維シートを示す拡大断面図、(b)はドーム部を覆う強化繊維シートを示す拡大断面図。
始端部と突き合わせ面とを突き合わせた部分を拡大して示す部分断面図。
織機による繊維構造体の製造方法を模式的に示す図。
(a)は緯糸緯入れした状態を模式的に示す図、(b)は筬打ち動作後の状態を模式的に示す図、(c)はライナに強化繊維シートを巻き取った状態を模式的に示す図。
スペーサによって形成された突き合わせ面及び巻き付け面を示す断面図。
突き合わせ面及び巻き付け面の別例を示す断面図。

実施例

0019

以下、繊維構造体、及び圧力容器を、高圧タンクが備える繊維構造体、及び高圧タンクに具体化した一実施形態を図1図10に従って説明する。
図1又は図2に示すように、圧力容器としての高圧タンク10は、細長中空状のライナ12と、ライナ12の外側を覆う強化繊維シート19と、を有する繊維構造体21とマトリックス樹脂Maとを複合化させて構成されている。高圧タンク10は、マトリックス樹脂Maと強化繊維シート19とが複合化された繊維強化複合材層11によってライナ12を補強し、高圧タンク10の耐圧性(機械的強度)を確保している。

0020

ライナ12は、樹脂製であり、細長中空状である。ライナ12の中心軸線Lの延びる方向を軸方向とする。ライナ12は、円筒状の胴体部13を備える。胴体部13の中心軸線はライナ12の中心軸線Lと一致する。ライナ12は、胴体部13の軸方向Y両端にドーム部14を有する。ドーム部14の軸方向は、ライナ12の軸方向と一致する。ライナ12は、各ドーム部14から軸方向Yに沿って外側に突出した口金部15を備える。各口金部15は金属製(例えばステンレス製)である。各口金部15は、ライナ12内の空間と連通する孔部16を備える。ライナ12の軸方向Y一端側の口金部15の孔部16にはバルブ17が装着され、ライナ12の軸方向Y他端側の口金部15の孔部16には螺子18が螺合されている。

0021

図3又は図4に示すように、ライナ12は、ライナ12の軸方向全体、すなわち胴体部13及び両ドーム部14の軸方向全体に延在する突き合わせ面12aを備える。突き合わせ面12aは、ライナ12と一体成形されている。突き合わせ面12aは、ライナ12の径方向に沿って、ライナ12の外周面から延在する。ライナ12の外周面とは、ライナ12の半径をとした円Cに沿う面である。ライナ12の径方向に沿った断面視では、突き合わせ面12aは、その断面を形成した部分での外周面に沿う円Cよりも径方向に沿って外側に突出するようにライナ12の外周面から延在する。

0022

突き合わせ面12aにおいて、ライナ12の外周面(円C)からの高さHは、後に詳述する強化繊維シート19の厚さと同じである。なお、突き合わせ面12aは、設計上の中央値を狙って製造されるが、製造誤差等によって中央値からずれる。この中央値からのずれ量は公差として設定されている。よって、突き合わせ面12aの高さは、設計上の中央値、及び中央値に公差を加味した値を含む。

0023

また、ライナ12は、突き合わせ面12aに連続する巻き付け面12bを備える。巻き付け面12bはライナ12と一体成形されている。巻き付け面12bは、ライナ12の軸方向全体、すなわち胴体部13及び両ドーム部14の軸方向全体に延在する。ライナ12の径方向に沿った断面視では、巻き付け面12bは円弧状である。巻き付け面12bは、その断面を形成した部分での外周面に沿う円Cよりも径方向外側に膨出している。巻き付け面12bの半径は、円Cの半径と異なり、本実施形態では、円Cの半径よりも大きい。そして、巻き付け面12bの半径は、ライナ12の周方向に沿って突き合わせ面12aから離れるに従い、徐々に小さくなっていく。

0024

径方向に沿う断面視において、ライナ12の外周面に沿う円Cと、巻き付け面12bに沿う円弧とが交わる位置を交差部Pとする。交差部Pは、ライナ12の軸方向全体に延在する。そして、巻き付け面12bは、交差部Pと、突き合わせ面12aの突出方向の先端とを繋ぐ。巻き付け面12bは、ライナ12の外周面の円Cに対し、巻き付け面12bが0度より大きく2度以下の角度で傾くように形成されている。本実施形態では、巻き付け面12bは、ライナ12の外周面の円Cに対し2度傾くように形成されている。

0025

図5に示すように、強化繊維シート19は、強化繊維束ね繊維束である。強化繊維としては、有機繊維無機繊維を使用してもよいし、異なる種類の有機繊維、異なる種類の無機繊維、又は有機繊維と無機繊維を混繊した混繊繊維を使用してもよい。有機繊維の種類としては、アラミド繊維ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、超高分子量ポリエチレン繊維等が挙げられ、無機繊維の種類としては、炭素繊維ガラス繊維セラミック繊維等が挙げられる。本実施形態では、強化繊維として炭素繊維を使用した。

0026

強化繊維シート19は、第1の糸としての複数本経糸22と、第2の糸としての複数本の緯糸23とを平織りして製織された織物24を積層した構造である。経糸22と緯糸23は互いに直交して配列されている。図2に示すように、複数本の経糸22は、ライナ12の軸方向Yへ互いに平行な状態で胴体部13及び各ドーム部14に配列されている。各経糸22の糸主軸方向X1は、胴体部13及びドーム部14においてライナ12の周方向へ直線的に延びている。また、経糸22の糸主軸方向X1に対し、ライナ12の径方向が直交している。

0027

複数本の緯糸23は、ライナ12の周方向へ互いに平行な状態で配列されている。各緯糸23において、胴体部13の外周面に沿って、ライナ12の軸方向へ直線的に延びる部分が胴体用糸部23aとなる。各緯糸23において、ドーム部14の外周面に沿って、ライナ12の軸方向へ延びる部分がドーム部用糸部23bとなる。ドーム部用糸部23bは、ライナ12の軸方向に沿って胴体用糸部23aの両端に連続する。緯糸23において、ドーム部用糸部23bの糸主軸方向X2は、ライナ12の軸方向へ延びる一方、ドーム部14の曲面に沿って湾曲している。また、緯糸23において、胴体用糸部23aの糸主軸方向X2は、ライナ12における胴体部13の軸方向へ延びる。

0028

経糸22と緯糸23は直交して配列され、経糸22の糸主軸方向X1の延びる方向をライナ12の周方向に一致させることで、ライナ12の径方向を補強し、緯糸23の糸主軸方向X2をライナ12の軸方向に一致させることで、ライナ12の軸方向を補強している。

0029

図6(a)に示すように、胴体部13では、緯糸23が扁平状であり、厚さが薄く、幅広な形状である。図6(b)に示すように、ドーム部14では、緯糸23は、胴体用糸部23aよりも厚さが厚く、幅狭な形状であり、胴体部13から口金部15に向かってドーム部14が縮径するほど、緯糸23の厚さが厚く、幅狭になっている。一方、経糸22は、胴体部13及びドーム部14で厚さ及び幅は同じである。繊維構造体21において、ライナ12の周方向への緯糸23の本数は胴体部13とドーム部14とで同じである。

0030

上記構成の強化繊維シート19は、長尺帯状である。強化繊維シート19は、長手方向がライナ12の周方向へ延びるようにライナ12の外周面に巻き付けられている。このため、上記したように、複数本の経糸22は、ライナ12の軸方向Yへ互いに平行な状態で胴体部13及び各ドーム部14に配列され、各経糸22の糸主軸方向X1は、胴体部13及びドーム部14においてライナ12の周方向へ直線的に延びている。また、複数本の緯糸23は、ライナ12の周方向へ互いに平行な状態で配列されている。

0031

図5に示すように、強化繊維シート19は、周方向の一端部に始端部19aを備える。始端部19aは、ライナ12に対し、強化繊維シート19を巻き付けるときの、巻き始めとなる端部である。始端部19aは、ライナ12の軸方向全体に亘って延在する。始端部19aは、ライナ12の軸方向と一致する強化繊維シート19の短手方向に並んだ複数本の経糸22の糸主軸方向X1の先端面によって形成されている。このため、始端部19aは、経糸22の厚さを有し、始端部19aの厚さは、強化繊維シート19の厚さである。そして、上記したライナ12の突き合わせ面12aの高さHは、始端部19aの厚さに合致している。

0032

図7に示すように、繊維構造体21は、上記構成のライナ12と強化繊維シート19とを有する。繊維構造体21において、始端部19aは、ライナ12の突き合わせ面12aに突き合わされている。すなわち、始端部19aを構成する各経糸22の先端面は、突き合わせ面12aに突き合わされている。始端部19aが突き合わせ面12aに突き合わされた強化繊維シート19は、ライナ12の外周面の円Cに沿って巻き付けられた後、一部が巻き付け面12bに巻き付けられている。ライナ12の外周面及び巻き付け面12bに巻き付けられた強化繊維シート19の層に対し、強化繊維シート19が複数層に亘って巻き重ねられている。

0033

繊維構造体21において、突き合わせ面12aに始端部19aが突き合わされていることで、始端部19aの厚さと巻き付け面12bの高さが合わせられ、ライナ12の外周面に巻き付けられた強化繊維シート19の外周面と、巻き付け面12bとの間に大きな段差は形成されていない。このため、繊維構造体21において、始端部19aに巻き重ねられた部位には、始端部19aの高さを原因とした歪みが僅かに形成されているだけである。

0034

次に、高圧タンク10の製造方法を説明する。
高圧タンク10を製造する際は、経糸22と緯糸23を平織りしつつ、製職された織物24をライナ12に巻き付けていく。

0035

図8に示すように、織物24の製織は、例えば、経糸22のうち、上下に分かれて配列された経糸22a,22bの開口を行う2枚の綜絖枠31a,31bを備えた平織織機で行う。平織織機は、一方の経糸22aを供給する経糸ビーム32と、他方の経糸22bを供給する経糸ビーム33とが上下に配置された構造を有する。一方の経糸ビーム32から送り出される経糸22aは一方の綜絖枠31aにより開口動作が行われ、他方の経糸ビーム33から送り出される経糸22bは他方の綜絖枠31bにより開口動作が行われるようになっている。なお、綜絖枠31a,31bの目は図において黒丸で示されている。筬34は綜絖枠31a,31bと織り前35との間に配置されている。緯糸23は経糸22a,22bの開口に対して緯入れ機構(図示せず)により緯入れ(挿入)されるようになっている。経糸22a,22bの送り出し方向において、織り前35よりも先にはライナ12が回転可能に支持されている。ライナ12は、中心軸線Lを回転中心として回転する。

0036

上記の平織織機で強化繊維シート19を製織する場合、図8の拡大図及び図9(a)に示すように、経糸ビーム32,33から引き出された複数本の経糸22a,22bの端部を、始端部19aとして突き合わせ面12aに突き合わせる。始端部19aを形成する経糸22a,22bの厚さが、突き合わせ面12aに吸収され、始端部19aを形成する経糸22a,22bと、巻き付け面12bとが同じ高さに位置する。そして、始端部19aを、例えば接着剤によってライナ12の外周面に固定する。なお、接着剤は、強化繊維シート19にマトリックス樹脂Maを含浸硬化させる際の加熱によって溶融する材質が好ましいが、溶融しない材質の接着剤を用いてもよい。

0037

図9(a)に示すように、経糸22a,22bは、ライナ12の軸方向Yに沿って胴体部13及びドーム部14に配列されるとともに、始端部19aがライナ12の軸方向全体に亘って延在するようにライナ12に固定される。

0038

ライナ12を回転させない状態で、綜絖枠31a,31bを交互に上下方向に移動させることにより、一方の綜絖枠31aと、他方の綜絖枠31bとが逆方向に移動される。そして、経糸22a,22bは隣接するもの同士で交互に上下に開き、その都度形成される経糸開口37に対して、緯糸23が緯入れ(挿入)される。緯入れされる緯糸23は扁平状である。

0039

そして、緯糸23が緯入れされて、筬34の筬打ち動作が行われ、綜絖枠31a,31bが逆方向に移動されて開口状態が変更されて、次の緯入れ動作が行われる。これらの動作が繰り返されて経糸22と緯糸23とが平織りされた織物24の一部が製織されるとともに、ライナ12に織物24の一部が一体化された状態が形成される。

0040

図9(b)に示すように、緯糸23は筬34の筬打ち動作により始端部19aに向けて送り込まれる。筬34は、ライナ12の軸方向へ直線状に延びる部材である。このため、緯糸23が筬打ち動作されたとき、ドーム部14は胴体部13と比べて直径が小さいことから、ドーム部14に配列される緯糸23は、胴体部13に配列された部分より押し潰され、厚さが厚くなるように変形する。その結果、直径の異なる胴体部13とドーム部14であっても、緯糸23の変形により、緯糸23は互いに平行な状態でライナ12の周方向に配列されていく。

0041

その後、図9(c)に示すように、ライナ12を中心軸線Lを回転中心に回転させて織物24をライナ12に巻き取らせつつ、続けて、上記と同様に織物24の製織を行う。その結果、ドーム部14及び胴体部13の全体を覆う状態で織物24、すなわち強化繊維シート19がライナ12に巻き付けられていく。そして、織物24が所要する積層数となるまで巻き付けられることで、ライナ12の外周面に強化繊維シート19を備える繊維構造体21が製造される。

0042

上記のように構成された繊維構造体21は、マトリックス樹脂Maを含浸硬化させることにより、強化繊維シート19から繊維強化複合材層11が形成され、ライナ12の外側が繊維強化複合材層11で覆われた高圧タンク10が製造される。マトリックス樹脂Maの含浸硬化は、例えば、RTM(レジントランスファーモールディング)法で行なわれる。

0043

次に、高圧タンク10の作用を説明する。
高圧タンク10は、例えば燃料電池自動車の燃料電池の水素源として使用される。高圧タンク10は図示しない配管がバルブ17に連結された状態で使用され、水素ガスの充填時には充填用の配管から水素ガスが高圧タンク10に充填される。高圧タンク10内には例えば数十MPaの圧力になるように水素ガスが充填される。

0044

高圧タンク10に水素ガスが充填されると高圧タンク10内の圧力が高くなり、ライナ12が内側から押圧される。ライナ12には軸方向Y及び径方向への力が大きく作用し、内圧応力が発生する。この実施形態では、緯糸23により、ライナ12は軸方向へ補強され、経糸22により、ライナ12は径方向に補強されており、高圧タンク10の変形が抑止される。

0045

上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)高圧タンク10は、ライナ12の外周面から径方向外側に延在する突き合わせ面12aを備え、突き合わせ面12aの高さHは、強化繊維シート19の始端部19aの厚さと合致する。このため、突き合わせ面12aに強化繊維シート19の始端部19aを突き合わせることで、始端部19aの厚さを吸収して、ライナ12の周方向において突き合わせ面12aを挟んで両側に位置した巻き付け面12bと強化繊維シート19の周面との間に段差が形成されにくくなる。このため、強化繊維シート19の始端部19aに、強化繊維シート19が巻き重ねられて形成された繊維構造体21であっても、始端部19aを原因とした歪みを抑制できる。その結果として、繊維構造体21の歪みを原因とした高圧タンク10の耐圧性の低下を抑制できる。

0046

(2)ライナ12において、巻き付け面12bとライナ12の外周面に沿う円Cとが交わる位置は、半径が変化する位置である。このため、ライナ12に巻き付けられた強化繊維シート19には、ライナ12の軸方向に延びる歪みが生じる。しかし、巻き付け面12bは、ライナ12の外周面の円Cに対し2度傾くように形成されている。このため、強化繊維シート19に歪みが生じても、その歪みを原因とした強度低下を抑えることができる。

0047

(3)ライナ12は、突き合わせ面12a及び巻き付け面12bを胴体部13及び両方のドーム部14にも備える。このため、ライナ12の軸方向全体において、ライナ12の周方向において突き合わせ面12aを挟んで両側に位置した巻き付け面12bと強化繊維シート19の周面との間に段差が形成されにくくなる。

0048

(4)高圧タンク10を構成する繊維構造体21において、緯糸23の糸主軸方向X2が胴体部13及びドーム部14の軸方向Yへ延びる。このため、緯糸23によりライナ12を軸方向に補強できる。

0049

(5)緯糸23の糸主軸方向X2は、ライナ12のドーム部14の曲面に沿って軸方向Yへ延びる。このため、ドーム部14で緯糸23が軸方向Yに対し傾斜することがなく、ドーム部14であっても軸方向に補強できる。

0050

(6)突き合わせ面12a及び巻き付け面12bは、ライナ12の成形時に一体成形される。このため、突き合わせ面12a及び巻き付け面12bをライナ12とは別部品で設ける場合と比べて、突き合わせ面12a及び巻き付け面12bを所望する場所に配置できる。

0051

(7)ライナ12の外側に強化繊維シート19を備える繊維構造体21を製造する方法として、フィラメントワインディングがある。しかし、この方法では、糸を1本ずつライナ12に巻いていくため、生産性が低い。本実施形態では、経糸22と緯糸23で織物24を製織しつつ、織物24をライナ12に巻き付けていくため、フィラメントワインディングと比べると、生産性を高めることができる。

0052

なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
図10に示すように、ライナ12とは別体のスペーサ38をライナ12の外周面に一体化し、そのスペーサ38によって突き合わせ面12a及び巻き付け面12bを設けてもよい。これによれば、ライナ12の厚さが変化する場所はないため、ライナ12の強度変化を抑制できる。

0053

図11に示すように、ライナ12の外周面の一部を、円Cから円弧状に凹ませて、円弧状に凹ませた部位に巻き付け面12bを形成するとともに、巻き付け面12bと、円Cとの境界できた段差面に突き合わせ面12aを形成してもよい。この場合、巻き付け面12bの半径は、ライナ12の外周面に沿う円Cの半径よりも小さくなる。

0054

○強化繊維シート19の始端部19aは、複数本の経糸22の先端部で形成したが、これに限らない。例えば、すだれ織りによって強化繊維シート19を製織する場合は、ライナ12の軸方向に延在する糸によって始端部19aを形成する。

0055

○ 突き合わせ面12a及び巻き付け面12bは、ライナ12の胴体部13のみに設けられていてもよい。
○強化繊維シート19は、ライナ12の軸方向に延びる糸のみで形成されていてもよい。

0056

○強化繊維シート19は織物24ではなく、繊維基材に樹脂が予め含浸されたプリプレグであってもよい。この場合、プリプレグ製の強化繊維シート19をライナ12に巻き付けて繊維構造体21を製造した後、繊維構造体21を加熱して、樹脂を硬化させることで、繊維構造体21とマトリックス樹脂Maが複合化して繊維強化複合材層11が形成されるとともに、高圧タンク10が製造される。

0057

○ 実施形態では、強化繊維シート19は、平織りして製織された織物24を積層して構成したが、これに限らない。例えば、強化繊維シート19は、第1の糸としての複数本の経糸22と、第2の糸としての複数本の緯糸23とを朱子織り又は綾織りして製織された織物を積層した構造であってもよい。

0058

○ 実施形態では、第1の糸を経糸22とし、第2の糸を緯糸23としたが、第1の糸を緯糸23とし、第2の糸を経糸22としてもよい。
○ライナ12は、胴体部13の軸方向Yの一端側にドーム部14が連続し、胴体部13の軸方向Yの他端側には平坦面な底壁が連続した形状であってもよい。この場合、口金部15はドーム部14の存在する軸方向Y一端側のみに存在する。

0059

○ライナ12全体をアルミニウム製とする代わりにアルミニウム合金製としたり、口金部15の材質をステンレスとは異なる金属で形成したりしてもよい。
○ ライナ12は、別体である胴体部13とドーム部14とを溶接して一体化したものでもよい。

0060

○高圧タンク10は燃料電池搭載電気自動車の水素源として搭載されて使用するものに限らず、例えば、水素エンジンの水素源やヒートポンプ等に適用してもよい。また、家庭用電源の燃料電池の水素源として使用してもよい。

0061

○圧力容器として水素貯蔵する高圧タンクに限らず、例えば窒素、圧縮天然ガス等の他のガスを貯蔵す圧力容器に適用してもよい。

0062

10…圧力容器としての高圧タンク、12…ライナ、12a…突き合わせ面、12b…巻き付け面、13…胴体部、14…ドーム部、19…強化繊維シート、19a…始端部、21…繊維構造体、22…第1の糸としての経糸、23…第2の糸としての緯糸、24…織物、38…スペーサ。

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