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技術 バリア性積層フィルムおよび包装体

出願人 三井化学東セロ株式会社
発明者 丸子展弘小田川健二
出願日 2018年3月1日 (2年0ヶ月経過) 出願番号 2018-036701
公開日 2019年9月12日 (6ヶ月経過) 公開番号 2019-150993
状態 未査定
技術分野 積層体(2) 被包材
主要キーワード 繊維状無機物 スペクトル品質 断面観察像 バインダ相 繊維状アルミナ ポリウレタン系接着剤層 医療器材 有機EL用基板
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年9月12日)のものです。
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図面 (2)

課題

解決手段

本発明のバリア性積層フィルム100は、基材層(A)と、繊維状無機物粒子およびバインダ相を含む無機物層(B)と、を備えるバリア性積層フィルムであって、上記繊維状無機物粒子の平均長径をX1[nm]とし、平均短径をX2[nm]としたとき、X1/X2で示されるアスペクト比が100以上1000以下である。

概要

背景

バリア性フィルムとして、無機物粒子およびバインダ相を含む無機物層基材層上に形成したバリア性積層フィルムが知られている。無機物粒子およびバインダ相を含む無機物層は、蒸着法やスパッタリング法等のドライコーティング法ではなく、基材層上にコーティング液を塗布して形成するようなウェットコーティング法によって形成することができる。そのため、このようなバリア性積層フィルムは生産性に優れるため、製造コスト下げることができたり、製造設備を簡略化できたりするという利点を有している。
このようなバリア性積層フィルムに関する技術としては、例えば、特許文献1(国際公開第2011/122036号)に記載のものが挙げられる。

特許文献1には、基材(X)と、基材(X)に積層された層(Y)とを有する複合構造体であって、層(Y)は反応生成物(R)を含み、反応生成物(R)は、少なくとも金属酸化物(A)とリン化合物(B)とが反応してなる反応生成物であり、800〜1400cm−1の範囲における上記層(Y)の赤外線吸収スペクトルにおいて赤外線吸収が最大となる波数(n1)が1080〜1130cm−1の範囲にある、複合構造体が開示されている。

概要

バリア性能耐久性に優れたバリア性積層フィルムを提供する。本発明のバリア性積層フィルム100は、基材層(A)と、繊維状無機物粒子およびバインダ相を含む無機物層(B)と、を備えるバリア性積層フィルムであって、上記繊維状無機物粒子の平均長径をX1[nm]とし、平均短径をX2[nm]としたとき、X1/X2で示されるアスペクト比が100以上1000以下である。

目的

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、バリア性能の耐久性に優れたバリア性積層フィルムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

基材層(A)と、繊維状無機物粒子およびバインダ相を含む無機物層(B)と、を備えるバリア性積層フィルムであって、前記繊維状無機物粒子の平均長径をX1[nm]とし、平均短径をX2[nm]としたとき、X1/X2で示されるアスペクト比が100以上1000以下であるバリア性積層フィルム。

請求項2

請求項1に記載のバリア性積層フィルムにおいて、前記繊維状無機物粒子の平均長径X1が1000nm以上5000nm以下であるバリア性積層フィルム。

請求項3

請求項1または2に記載のバリア性積層フィルムにおいて線源としてCuKα線を用いたX線回折により得られる前記無機物層(B)のX線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=10°〜18°の範囲内に回折ピークが観察されるバリア性積層フィルム。

請求項4

請求項1乃至3のいずれか一項に記載のバリア性積層フィルムにおいて、前記繊維状無機物粒子が、酸化アルミニウム酸化ジルコニウム酸化スズ酸化チタン酸化亜鉛および酸化ケイ素からなる群から選択される一種または二種以上の無機物を含む、バリア性積層フィルム。

請求項5

請求項4に記載のバリア性積層フィルムにおいて、前記繊維状無機物粒子が酸化アルミニウムを含むバリア性積層フィルム。

請求項6

請求項1乃至5のいずれか一項に記載のバリア性積層フィルムにおいて、前記バインダ相がリン化合物およびホウ素化合物からなる群から選択される少なくとも一種の無機化合物により形成されているバリア性積層フィルム。

請求項7

請求項1乃至6のいずれか一項に記載のバリア性積層フィルムにおいて、前記繊維状無機物粒子と前記バインダ相とは共有結合しているバリア性積層フィルム。

請求項8

請求項1乃至7のいずれか一項に記載のバリア性積層フィルムにおいて、前記無機物層(B)に含まれるアルミニウム元素ジルコニウム元素スズ元素チタン元素亜鉛元素およびケイ素元素の合計含有量をY1[モル]とし、前記無機物層(B)に含まれるリン元素およびホウ素元素の合計含有量をY2[モル]としたとき、Y1/Y2が0.8以上3.0以下であるバリア性積層フィルム。

請求項9

請求項1乃至8のいずれか一項に記載のバリア性積層フィルムにおいて、全反射測定法による前記無機物層(B)の赤外線吸収スペクトルにおいて、吸収帯1080cm−1以上1130cm−1以下の範囲に吸収ピークを有するバリア性積層フィルム。

請求項10

請求項1乃至9のいずれか一項に記載のバリア性積層フィルムにおいて、前記基材層(A)と前記無機物層(B)との間に前記無機物層(B)以外の無機物層(C)を有さないバリア性積層フィルム。

請求項11

請求項1乃至10のいずれか一項に記載のバリア性積層フィルムにおいて、波長600nmでの平行光線透過率が50%以上であるバリア性積層フィルム。

請求項12

請求項1乃至11のいずれか一項に記載のバリア性積層フィルムにおいて、40℃、90%RHでの水蒸気透過度が10.0g/(m2・24h)以下であるバリア性積層フィルム。

請求項13

請求項1乃至12のいずれか一項に記載のバリア性積層フィルムにおいて、包装用フィルムであるバリア性積層フィルム。

請求項14

請求項1乃至13のいずれか一項に記載のバリア性積層フィルムを含む包装体

技術分野

0001

本発明は、バリア性積層フィルムおよび包装体に関する。

背景技術

0002

バリア性フィルムとして、無機物粒子およびバインダ相を含む無機物層基材層上に形成したバリア性積層フィルムが知られている。無機物粒子およびバインダ相を含む無機物層は、蒸着法やスパッタリング法等のドライコーティング法ではなく、基材層上にコーティング液を塗布して形成するようなウェットコーティング法によって形成することができる。そのため、このようなバリア性積層フィルムは生産性に優れるため、製造コスト下げることができたり、製造設備を簡略化できたりするという利点を有している。
このようなバリア性積層フィルムに関する技術としては、例えば、特許文献1(国際公開第2011/122036号)に記載のものが挙げられる。

0003

特許文献1には、基材(X)と、基材(X)に積層された層(Y)とを有する複合構造体であって、層(Y)は反応生成物(R)を含み、反応生成物(R)は、少なくとも金属酸化物(A)とリン化合物(B)とが反応してなる反応生成物であり、800〜1400cm−1の範囲における上記層(Y)の赤外線吸収スペクトルにおいて赤外線吸収が最大となる波数(n1)が1080〜1130cm−1の範囲にある、複合構造体が開示されている。

先行技術

0004

国際公開第2011/122036号

発明が解決しようとする課題

0005

バリア性フィルムの各種特性について要求される技術水準はますます高くなっている。
こうした開発環境踏まえ、本発明者らが検討したところ、特許文献1に記載されているような無機物層を備えるバリア性積層フィルムは、例えば外部から応力がかかった際にバリア性が低下しやすいことが明らかになった。すなわち、従来の無機物層を備えるバリア性積層フィルムは、バリア性能耐久性の点で改善の余地を有していることが判明した。

0006

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、バリア性能の耐久性に優れたバリア性積層フィルムを提供するものである。

課題を解決するための手段

0007

本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、バリア性層として、アスペクト比が特定の範囲にある繊維状無機物粒子を含む無機物層を用いることによって、バリア性能の耐久性を向上できるという知見を得て、本発明を完成させた。

0008

すなわち、本発明によれば、以下に示すバリア性積層フィルムおよび包装体が提供される。

0009

[1]
基材層(A)と、繊維状無機物粒子およびバインダ相を含む無機物層(B)と、を備えるバリア性積層フィルムであって、
上記繊維状無機物粒子の平均長径をX1[nm]とし、平均短径をX2[nm]としたとき、X1/X2で示されるアスペクト比が100以上1000以下であるバリア性積層フィルム。
[2]
上記[1]に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
上記繊維状無機物粒子の平均長径X1が1000nm以上5000nm以下であるバリア性積層フィルム。
[3]
上記[1]または[2]に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
線源としてCuKα線を用いたX線回折により得られる上記無機物層(B)のX線回折スペクトルにおいて、
回折角2θ=10°〜18°の範囲内に回折ピークが観察されるバリア性積層フィルム。
[4]
上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載のバリア性積層フィルムにおいて、
上記繊維状無機物粒子が、酸化アルミニウム酸化ジルコニウム酸化スズ酸化チタン酸化亜鉛および酸化ケイ素からなる群から選択される一種または二種以上の無機物を含む、バリア性積層フィルム。
[5]
上記[4]に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
上記繊維状無機物粒子が酸化アルミニウムを含むバリア性積層フィルム。
[6]
上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載のバリア性積層フィルムにおいて、
上記バインダ相がリン化合物およびホウ素化合物からなる群から選択される少なくとも一種の無機化合物により形成されているバリア性積層フィルム。
[7]
上記[1]乃至[6]のいずれか一つに記載のバリア性積層フィルムにおいて、
上記繊維状無機物粒子と上記バインダ相とは共有結合しているバリア性積層フィルム。
[8]
上記[1]乃至[7]のいずれか一つに記載のバリア性積層フィルムにおいて、
上記無機物層(B)に含まれるアルミニウム元素ジルコニウム元素スズ元素チタン元素亜鉛元素およびケイ素元素の合計含有量をY1[モル]とし、
上記無機物層(B)に含まれるリン元素およびホウ素元素の合計含有量をY2[モル]としたとき、Y1/Y2が0.8以上3.0以下であるバリア性積層フィルム。
[9]
上記[1]乃至[8]のいずれか一つに記載のバリア性積層フィルムにおいて、
全反射測定法による上記無機物層(B)の赤外線吸収スペクトルにおいて、
吸収帯1080cm−1以上1130cm−1以下の範囲に吸収ピークを有するバリア性積層フィルム。
[10]
上記[1]乃至[9]のいずれか一つに記載のバリア性積層フィルムにおいて、
上記基材層(A)と上記無機物層(B)との間に上記無機物層(B)以外の無機物層(C)を有さないバリア性積層フィルム。
[11]
上記[1]乃至[10]のいずれか一つに記載のバリア性積層フィルムにおいて、
波長600nmでの平行光線透過率が50%以上であるバリア性積層フィルム。
[12]
上記[1]乃至[11]のいずれか一つに記載のバリア性積層フィルムにおいて、
40℃、90%RHでの水蒸気透過度が10.0g/(m2・24h)以下であるバリア性積層フィルム。
[13]
上記[1]乃至[12]のいずれか一つに記載のバリア性積層フィルムにおいて、
包装用フィルムであるバリア性積層フィルム。
[14]
上記[1]乃至[13]のいずれか一つに記載のバリア性積層フィルムを含む包装体。

発明の効果

0010

本発明によれば、バリア性能の耐久性に優れたバリア性積層フィルムを提供することができる。

図面の簡単な説明

0011

本発明に係る実施形態のバリア性積層フィルムの構造の一例を模式的に示した断面図である。

0012

以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。なお、文中の数字の間にある「〜」は特に断りがなければ、以上から以下を表す。

0013

<バリア性積層フィルム>
図1は、本発明に係る実施形態のバリア性積層フィルム100の構造の一例を模式的に示した断面図である。
バリア性積層フィルム100は、基材層(A)と、繊維状無機物粒子およびバインダ相を含む無機物層(B)と、を備えるバリア性積層フィルムであって、上記繊維状無機物粒子の平均長径をX1[nm]とし、平均短径をX2[nm]としたとき、X1/X2で示されるアスペクト比が100以上1000以下である。

0014

前述したように、本発明者らの検討によれば、無機物粒子およびバインダ相を含む無機物層を、基材層上に形成したバリア性積層フィルムは、例えば外部から応力がかかった際にバリア性が低下しやすいことが明らかになった。すなわち、従来の無機物層を備えるバリア性積層フィルムは、バリア性能の耐久性の点で改善の余地を有していることが判明した。
そこで、本発明者は鋭意検討した結果、バリア性層として、X1/X2で示されるアスペクト比が上記範囲にある繊維状無機物粒子を含む無機物層(B)を用いることによって、バリア性能の耐久性を向上できることを見出した。
すなわち、本実施形態に係るバリア性積層フィルム100において、X1/X2で示されるアスペクト比を上記範囲内とすることにより、バリア性能の耐久性を効果的に向上させることができる。
X1/X2で示されるアスペクト比を上記範囲内とすることにより、バリア性能の耐久性を良好にできる理由は明らかではないが、X1/X2で示されるアスペクト比が上記範囲内であると、繊維状無機物粒子が緻密に配向して、無機物層(B)の構造がより緻密になり、その結果、水や気体が通る孔が小さくなり、バリア性が向上すると考えられる。また、繊維状無機物粒子が緻密に配向するため、繊維状無機物粒子間の相互作用が高まり、外的応力に対する無機物層(B)の追従性が向上すると考えられる。
以上から、本実施形態に係るバリア性積層フィルム100において、X1/X2で示されるアスペクト比を上記範囲内とすることにより、バリア性能の耐久性を効果的に向上させることができると考えられる。

0015

ここで、繊維状無機物粒子の平均長径X1および平均短径X2は、透過型電子顕微鏡TEM)により無機物層(B)の断面を観察することにより測定することができる。
例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)によって得られた無機物層(B)の断面観察像において、各無機物粒子の最長軸における最大長さを長径とし、それと垂直な軸における最大長さを短径とし、断面観察像において任意に選択した10個の粒子の長径および短径をそれぞれ平均することにより、平均長径X1および平均短径X2をそれぞれ求めることができる。

0016

本実施形態に係るバリア性積層フィルム100は、水蒸気バリア性をさらに向上させる観点から、温度40℃、湿度90%RHの条件で測定される、水蒸気透過度が10.0g/(m2・24h)以下であることが好ましく、5.0g/(m2・24h)以下であることがより好ましく、2.0g/(m2・24h)以下であることがさらに好ましく、1.0g/(m2・24h)以下であることがさらにより好ましく、0.5g/(m2・24h)以下であることが特に好ましい。
上記水蒸気透過度は、例えば、無機物層(B)の構成材料や、製造条件、厚み等を適切に調節することにより制御することが可能である。

0017

本実施形態に係るバリア性積層フィルム100において、波長600nmでの平行光線透過率が50%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。こうすることで、バリア性積層フィルム100に透明性を付与することができ、本実施形態に係るバリア性積層フィルム100を用いて包装体等を形成した際に、内容物の視認性を向上させることができる。

0018

以下、バリア性積層フィルム100を構成する各層について説明する。

0019

[基材層(A)]
基材層(A)は、例えば、熱硬化性樹脂熱可塑性樹脂、紙等の有機質材料により形成されており、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂を含むことが好ましい。

0020

熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂不飽和ポリエステル樹脂フェノール樹脂ユリアメラミン樹脂ポリウレタン樹脂シリコーン樹脂ポリイミド等の公知の熱硬化性樹脂が挙げられる。

0021

熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィンポリエチレンポリプロピレンポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ(1−ブテン)等)、ポリエステルポリエチレンテレフタレートポリブチレンテレフタレートポリエチレンナフタレート等)、ポリアミドナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等)、ポリ塩化ビニルポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、エチレン酢酸ビニル共重合体もしくはその鹸化物ポリビニルアルコールポリアクリロニトリルポリカーボネートポリスチレンアイオノマーフッ素樹脂あるいはこれらの混合物等の公知の熱可塑性樹脂が挙げられる。
これらの中でも、透明性を良好にする観点から、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、およびポリイミドから選択される一種または二種以上が好ましく、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートから選択される少なくとも一種がより好ましい。
また、熱可塑性樹脂により構成された基材層(A)は、バリア性積層フィルム100の用途に応じて、単層であっても、二層以上であってもよい。

0022

また、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂により構成されたフィルムを少なくとも一方向、好ましくは二軸方向に延伸して基材層(A)としてもよい。

0023

基材層(A)としては、透明性、剛性および耐熱性に優れる観点から、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドおよびポリイミドから選択される一種または二種以上の熱可塑性樹脂により構成された二軸延伸フィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートから選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂により構成された二軸延伸フィルムがより好ましい。

0024

また、基材層(A)の片面または両面に、無機物層(B)との接着性を改良するために、表面処理を行ってもよい。具体的には、コロナ処理火炎処理プラズマ処理プライマーコート処理、オゾン処理アンダーコート処理カップリング剤処理等の表面活性化処理を行ってもよい。
また、基材層(A)と無機物層(B)との層間接着性を向上させる観点から、基材層(A)と無機物層(B)との間に接着剤層を設けてもよい。接着剤層を構成する接着剤は特に限定されず、公知の接着剤を用いることができる。

0025

基材層(A)の厚さは、良好なフィルム特性を得る観点から、1μm以上1000μm以下が好ましく、1μm以上500μm以下がより好ましく、1μm以上300μm以下がさらに好ましい。

0026

[無機物層(B)]
本実施形態に係る無機物層(B)は繊維状無機物粒子およびバインダ相を含む層であり、例えば、繊維状無機物粒子の前駆体である繊維状無機酸化物ゾル(B1)と、バインダ相の前駆体である無機化合物(B2)と、を含む混合物を加熱してゾルゲル反応させることにより形成されたものである。すなわち、本実施形態に係る無機物層(B)は、例えば、繊維状無機酸化物ゾル(B1)と無機化合物(B2)との3次元架橋物を含むものである。この場合、本実施形態に係る無機物層(B)において、繊維状無機物粒子とバインダ相とは共有結合により結合している。これにより、得られるバリア性積層フィルム100のバリア性をより良好なものとすることができる。

0027

本実施形態に係る繊維状無機物粒子は、繊維状の無機物粒子であり、平均長径をX1[nm]とし、平均短径をX2[nm]としたとき、X1/X2で示されるアスペクト比が100以上1000以下である。上記アスペクト比は、バリア性能の耐久性をより良好にする観点から、好ましくは200以上、より好ましくは300以上、さらに好ましくは350以上であり、無機物層(B)の製膜性や、無機物層(B)における繊維状無機物粒子の配向性の観点から、好ましくは900以下、より好ましくは850以下、さらに好ましくは800以下である。

0028

本実施形態に係る繊維状無機物粒子の平均長径X1は、バリア性能の耐久性をより良好にする観点から、好ましくは1000nm以上、より好ましくは1100nm以上、さらに好ましくは1200nm以上であり、無機物層(B)の製膜性や、無機物層(B)における繊維状無機物粒子の配向性の観点から、好ましくは5000nm以下、より好ましくは4500nm以下、さらに好ましくは4000nm以下、特に好ましくは3500nm以下である。

0029

本実施形態に係る繊維状無機物粒子を構成する無機物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化ケイ素等からなる群から選択される一種または二種以上の無機物が挙げられる。繊維状無機物粒子を構成する無機物は1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。これらの中でも、繊維状無機物粒子の製造をより容易にできる点や、得られるバリア性積層フィルム100のバリア性をより良好にすることができる点等から、繊維状無機物粒子を構成する無機物は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化ジルコニウムからなる群から選択される一種または二種以上であることが好ましく、酸化アルミニウムであることがより好ましい。
また、本実施形態に係る無機物層(B)中に含まれる繊維状無機物粒子の表面には、他の無機物粒子の表面に結合した無機物が結合されていてもよい。

0030

繊維状無機物粒子の前駆体である繊維状無機酸化物ゾル(B1)としては、例えば、加水分解可能な特性基が結合した金属原子(M)を含有する化合物(B1−1)の加水分解縮合物等が挙げられる。
繊維状無機酸化物ゾル(B1)を構成する金属原子(M)としては、原子価が2価以上(例えば、2〜4価)の金属原子を挙げることができ、具体的には、マグネシウムカルシウム等の周期表第2族の金属;亜鉛等の周期表第12族の金属;アルミニウム等の周期表第13族の金属;ケイ素等の周期表第14族の金属;チタンジルコニウム等の遷移金属等を挙げることができる。ケイ素は半金属分類される場合があるが、本実施形態ではケイ素を金属に含めるものとする。
繊維状無機酸化物ゾル(B1)を構成する金属原子(M)は1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。これらの中でも、繊維状無機酸化物ゾル(B1)の製造をより容易にできる点や、得られるバリア性積層フィルム100のバリア性をより良好にすることができる点等から、繊維状無機酸化物ゾル(B1)を構成する金属原子(M)は、アルミニウム、チタン、亜鉛およびジルコニウムからなる群から選択される一種または二種以上であることが好ましく、アルミニウムであることがより好ましい。

0031

繊維状無機酸化物ゾル(B1)は、例えば、液相合成法気相合成法固体粉砕法等の方法により製造することができる。得られる繊維状無機酸化物ゾル(B1)の形状や大きさの制御性製造効率等を考慮すると、液相合成法により製造されたものが好ましい。

0032

液相合成法を用いると、加水分解可能な特性基(官能基)が結合した金属原子(M)を含有する化合物(B1−1)を加水分解縮合させることで、化合物(B1−1)の加水分解縮合物として繊維状無機酸化物ゾル(B1)を合成することができる。
本実施形態において、化合物(B1−1)には、化合物(B1−1)の部分加水分解物、化合物(B1−1)の完全加水分解物、化合物(B1−1)の部分加水分解縮合物、化合物(B1−1)の完全加水分解物の一部が縮合したもの、およびこれらのうちの2種以上の混合物等も含まれる。
上記加水分解可能な特性基の種類としては特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I等)、アルコキシ基アシロキシ基ジアシルメチル基ニトロ基等が挙げられる。これらの中でも、反応の制御性に優れることから、ハロゲン原子またはアルコキシ基が好ましく、アルコキシ基がより好ましい。

0033

化合物(B1−1)としては、例えば、塩化アルミニウムアルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリノルマルプロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリノルマルブトキシド、アルミニウムトリs−ブトキシド、アルミニウムトリt−ブトキシド、アルミニウムトリアセテート、アルミニウムアセチルアセトネート硝酸アルミニウム等のアルミニウム化合物チタンテトライソプロポキシドチタンテトラノルマルブトキシドチタンテトラ(2−エチルヘキソキシド)、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンアセチルアセトネート等のチタン化合物ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシドジルコニウムテトラアセチルアセトネート等のジルコニウム化合物等が挙げられる。
これらの中でも、化合物(B1−1)としては、アルミニウムトリイソプロポキシドおよびアルミニウムトリs−ブトキシドから選択される少なくとも一種の化合物が好ましい。化合物(B1−1)は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。

0034

化合物(B1−1)を加水分解することによって、化合物(B1−1)が有する加水分解可能な特性基の少なくとも一部を水酸基置換することができる。そして、化合物(B1−1)の加水分解物が縮合することによって、金属原子(M)が酸素原子(O)を介して結合された化合物が形成される。次いで、この縮合を繰り返すことによって、繊維状無機酸化物ゾル(B1)が得られる。なお、繊維状無機酸化物ゾル(B1)の表面には、通常は水酸基が存在する。

0035

本実施形態に係るバインダ相は繊維状無機物粒子間に存在し、繊維状無機物粒子同士を結合させる相である。
本実施形態に係るバインダ相は、例えば、リン化合物およびホウ素化合物からなる群から選択される少なくとも一種の無機化合物(B2)により形成されている。

0036

無機化合物(B2)は、繊維状無機酸化物ゾル(B1)と反応可能な部位を一つまたは二つ以上有する。無機化合物(B2)としては、例えば、リン化合物、ホウ素化合物等を挙げることができる。
無機化合物(B2)としては、例えば、ハロゲン原子または酸素原子がリン原子ホウ素原子直接結合した構造を有するものを用いることができる。このような無機化合物(B2)を用いることにより、繊維状無機酸化物ゾル(B1)の表面に存在する水酸基と加水分解縮合することで結合することができる。

0037

リン化合物としては、例えば、リン酸ポリリン酸亜リン酸ホスホン酸およびそれらの誘導体等が挙げられる。
ホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸、ポリホウ酸、亜ホウ酸、メタホウ酸四ホウ酸およびそれらの誘導体等が挙げられる。
これらの無機化合物(B2)は1種類を単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。これらの無機化合物(B2)の中でも、後述するコーティング液(B)を用いて無機物層(B)を形成する場合におけるコーティング液(B)の安定性と、得られるバリア性積層フィルム100のバリア性とのバランスがより優れることから、リン酸またはホウ酸が好ましく、リン酸がより好ましい。

0038

上記したように、本実施形態に係る無機物層(B)は繊維状無機物粒子およびバインダ相を含む層であり、例えば、繊維状無機酸化物ゾル(B1)と無機化合物(B2)との3次元架橋物を含むものである。
すなわち、本実施形態に係る無機物層(B)は、例えば、繊維状無機物粒子の前駆体である繊維状無機酸化物ゾル(B1)と、バインダ相の前駆体である無機化合物(B2)と、を含むコーティング液(B)を基材層(A)上に塗布し、次いで、加熱することによって、繊維状無機酸化物ゾル(B1)と無機化合物(B2)とをゾルゲル反応させることにより形成することができる。

0039

本実施形態に係るバリア性積層フィルム100において、無機物層(B)に含まれるアルミニウム元素、ジルコニウム元素、スズ元素、チタン元素、亜鉛元素およびケイ素元素の合計含有量をY1[モル]とし、無機物層(B)に含まれるリン元素およびホウ素元素の合計含有量をY2[モル]としたとき、Y1/Y2は、バリア性積層フィルム100の水蒸気バリア性をより一層良好にする観点から、好ましくは0.8以上3.0以下であり、より好ましくは1.0以上2.5以下である。
ここで、無機物層(B)に含まれるアルミニウム元素、ジルコニウム元素、スズ元素、チタン元素、亜鉛元素およびケイ素元素は、例えば繊維状無機酸化物ゾル(B1)由来元素であり、無機物層(B)に含まれるリン元素およびホウ素元素は、例えば無機化合物(B2)由来の元素である。
Y1/Y2が上記範囲内であると、繊維状無機酸化物ゾル(B1)と無機化合物(B2)との割合が適度となり、繊維状無機酸化物ゾル(B1)または無機化合物(B2)が過剰となることを抑制でき、その結果、未反応の水酸基の量を減らすことができる。これにより、無機物層(B)表面に存在する水酸基の量を減らすことができるため、本実施形態に係るバリア性積層フィルム100の水蒸気バリア性を向上させることができる。

0040

本実施形態に係るバリア性積層フィルム100は、バリア性積層フィルム100の水蒸気バリア性をより一層良好にする観点から、全反射測定法による無機物層(B)の赤外線吸収スペクトルにおいて、吸収帯1080cm−1以上1130cm−1以下の範囲に吸収ピークを有することが好ましい。
ここで、吸収帯1080cm−1以上1130cm−1以下の範囲内に吸収ピークが観察されることは、繊維状無機酸化物ゾル(B1)とリン化合物とが反応して、繊維状無機酸化物ゾル(B1)を構成する金属原子(M)とリン化合物に由来するリン原子(P)とが酸素原子(O)を介して結合したM−O−Pで表される結合が生成していることを表している。
ここで、全反射測定法による赤外線吸収スペクトルの測定は、例えば、日本分光社製FT/IR−300装置を用い、多重反射測定ユニットATRPRO410−M(プリズム:Germanium結晶入射角度45度、多重反射回数=5)を装着し、室温で、分解能2cm−1、積算回数64回の条件で行うことができる。ATRユニットは、1回反射方式より、無機物層(B)の吸収スペクトル品質を高められる点で、多重反射方式の方が好ましい。

0041

本実施形態に係るバリア性積層フィルム100は、線源としてCuKα線を用いたX線回折により得られる無機物層(B)のX線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=10°〜18°の範囲内に回折ピークが観察されることが好ましい。これにより、本実施形態に係るバリア性積層フィルム100の水蒸気バリア性をより一層向上できたり、外部から応力がかかった際のバリア性の低下をより一層抑制することができたりする。
回折角2θ=10°〜18°の範囲内に回折ピークが観察されることにより、バリア性能の耐久性をより一層良好にできる理由は明らかではないが、回折角2θ=10°〜18°の範囲内に観察される回折ピークは020面のピークと推察され、このピークが観察される場合、繊維状無機物粒子が020面を揃えるように緻密に配向しているからだと考えられる。すなわち、無機物層(B)における回折角2θ=10°〜18°の範囲内の回折ピークの有無は、繊維状無機物粒子の配向度合の指標を表していると考えられる。
そのため、回折角2θ=10°〜18°の範囲内に回折ピークが観察される場合、無機物層(B)の構造はより緻密になっており、その結果、水が通る孔が小さくなり、水蒸気バリア性が向上すると考えられる。
本実施形態に係る無機物層(B)の回折角2θ=10°〜18°の範囲内の回折ピークは、例えば繊維状無機物粒子の平均長径や、X1/X2で示されるアスペクト比を前述した範囲に調整すること等により発生させることが可能である。

0042

ここで、線源としてCuKα線を用いたX線回折スペクトルの測定は、例えば、本実施形態に係るバリア性積層フィルム100をガラス板に固定し、X線回折装置リガク社製、製品名:MultiFlex 2kW)を用いて粉末X線回折分析法により求めることができる。

0043

本実施形態において無機物層(B)の厚さ(本実施形態に係るバリア性積層フィルム100が2層以上の無機物層(B)を有する場合には各無機物層(B)の厚さの合計)は、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡による観察画像により求めることができる。
無機物層(B)の厚みは、バリア性積層フィルム100のバリア性および基材層(A)と無機物層(B)との層間の接着性をより良好にする観点から、0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、0.2μm以上であることがさらに好ましく、経済的であるという観点や、無機物層(B)の寸法変化を抑制できたり、無機物層(B)の柔軟性や追従性を向上できたりする観点から、5.0μm以下であることが好ましく、4.0μm以下であることがより好ましく、2.0μm以下であることがさらに好ましく、1.0μm以下であることがさらにより好ましく、0.9μm以下であることが特に好ましい。

0044

(無機物層(B)の形成方法
本実施形態に係る無機物層(B)は、例えば、繊維状無機物粒子の前駆体である繊維状無機酸化物ゾル(B1)と、バインダ相の前駆体である無機化合物(B2)と、を含むコーティング液(B)を基材層(A)上に塗布し、次いで、加熱することによって、コーティング液(B)をゾルゲル反応させることにより形成することができる。
無機物層(B)の形成方法は、例えば、以下の工程(1)、工程(2)および工程(3)を含む。
工程(1):繊維状無機酸化物ゾル(B1)と、繊維状無機酸化物ゾル(B1)と反応可能な部位を含有し、かつ、バインダ相の前駆体である少なくとも1種の無機化合物(B2)と、溶媒とを混合することによって、繊維状無機酸化物ゾル(B1)、無機化合物(B2)および溶媒を含むコーティング液(B)を調製する工程
工程(2):基材層(A)上にコーティング液(B)を塗布することによって、基材層(A)上に無機物層(B)の前駆体層を形成する工程
工程(3):無機物層(B)の前駆体層を熱処理することによって、基材層(A)上に無機物層(B)を形成する工程
以下、各工程について説明する。

0045

(工程(1))
はじめに、繊維状無機酸化物ゾル(B1)と、繊維状無機酸化物ゾル(B1)と反応可能な部位を含有し、かつ、バインダ相の前駆体である少なくとも1種の無機化合物(B2)と、溶媒とを混合することによって、繊維状無機酸化物ゾル(B1)、無機化合物(B2)および溶媒を含むコーティング液(B)を調製する。

0047

コーティング液(B)は、必要に応じて、無機酸や有機酸等の酸化合物をさらに含んでもよい。このような酸化合物としては、例えば、酢酸塩酸硝酸トリフルオロ酢酸トリクロロ酢酸等が挙げられる。これらの酸化合物は一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
コーティング液(B)が酸化合物を含むと、繊維状無機酸化物ゾル(B1)と無機化合物(B2)との反応が抑制され、コーティング液(B)中での反応物沈澱凝集を抑制することができる。そのため、コーティング液(B)が酸化合物を含むことによって、得られるバリア性積層フィルム100の外観を向上させることができる。
コーティング液(B)中の酸化合物の含有量は、コーティング液(B)の全体を100質量%としたとき、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上2.0質量%以下であることがより好ましい。

0048

コーティング液(B)は、塗工性をより一層良好にするために、重合体(B3)をさらに含んでもよい。重合体(B3)としては、例えば、水酸基、カルボキシル基カルボン酸無水物基およびカルボン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する重合体等が挙げられる。
本実施形態に係る無機物層(B)において、重合体(B3)は上記官能基によって繊維状無機酸化物ゾル(B1)および無機化合物(B2)の一方または両方と直接的にまたは間接的に結合していてもよい。

0049

重合体(B3)としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル部分けん化物ポリエチレングリコールポリヒドロキシエチル(メタアクリレートでんぷん等の多糖類、多糖類から誘導される多糖類誘導体ポリアクリル酸ポリメタクリル酸、ポリ(アクリル酸メタクリル酸)、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、ポリ(アクリル酸/メタクリル酸)の塩、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン無水マレイン酸交互共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体けん化物等が挙げられる。
重合体(B3)としては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、多糖類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸およびポリメタクリル酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体であることが好ましい。

0050

バリア性をより向上させるために、無機物層(B)中の重合体(B3)の含有量は、無機物層(B)の全体を100質量%としたとき、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、0.1質量%以下であることが特に好ましい。
また、コーティング液(B)の塗工性をより一層良好にするために、無機物層(B)中の重合体(B3)の含有量は、無機物層(B)の全体を100質量%としたとき、0.001質量%以上であることが好ましく、0.005質量%以上であることがより好ましく、0.010質量%以上であることがさらに好ましい。
重合体(B3)は、無機物層(B)中の他の成分と反応していてもよいし、反応していなくてもよい。なお、本実施形態では、重合体(B3)が他の成分と反応している場合も、重合体(B3)と表記する。例えば、重合体(B3)が、繊維状無機酸化物ゾル(B1)および/または無機化合物(B2)と結合している場合も、重合体(B3)と表記する。この場合、無機物層(B)中の重合体(B3)の含有量は、繊維状無機酸化物ゾル(B1)および/または無機化合物(B2)と結合する前の重合体(B3)の質量を無機物層(B)の質量で除して算出する。

0051

コーティング液(B)の保存安定性や塗工性の観点から、コーティング液(B)の固形分濃度は、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、2質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。
また、コーティング液(B)の保存安定性や塗工性の観点から、コーティング液(B)のpHは0.5〜6.0の範囲にあることが好ましく、0.5〜5.0の範囲にあることがより好ましく、0.5〜4.0の範囲にあることがさらに好ましい。
コーティング液(B)のpHは公知の方法で調整することができ、例えば、酸性化合物塩基性化合物を添加することによって調整することができる。酸性化合物としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、酪酸および硫酸アンモニウム等が挙げられる。塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム水酸化カリウムアンモニアトリメチルアミンピリジン炭酸ナトリウムおよび酢酸ナトリウム等が挙げられる。

0052

(工程(2))
次いで、基材層(A)上にコーティング液(B)を塗布することによって、基材層(A)上に無機物層(B)の前駆体層を形成する。
コーティング液(B)は、基材層(A)の少なくとも一方の面の上に直接塗布してもよい。また、コーティング液(B)を塗布する前に、基材層(A)の表面を公知のアンカーコーティング剤で処理したり、基材層(A)の表面に公知の接着剤を塗布したりして、基材層(A)の表面に接着剤層を形成しておいてもよい。

0053

また、コーティング液(B)は、必要に応じて、脱気および/または脱泡処理してもよい。脱気および/または脱泡処理の方法としては、例えば、真空引き、加熱、遠心、超音波等が挙げられる。

0054

コーティング液(B)を基材層(A)上に塗布する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、メイヤーバーコーターエアーナイフコーター、ダイレクトグラビアコーターグラビアオフセットアークグラビアコーター、グラビアリバースおよびジェットノズル方式等のグラビアコーター、トップフィードリバースコーターボトムフィードリバースコーターおよびノズルフィードリバースコーター等のリバースロールコーター、5本ロールコーターリップコーターバーコーター、バーリバースコーター、ダイコーターアプリケーター等の種々公知の塗工機を用いて塗工する方法が挙げられる。

0055

次いで、必要に応じて、コーティング液(B)中の溶媒を除去することによって、無機物層(B)の前駆体層を形成することができる。溶媒を除去する方法は特に限定されず、公知の乾燥方法を適用することができる。

0056

(工程(3))
次いで、無機物層(B)の前駆体層を熱処理することによって、基材層(A)上に無機物層(B)を形成する。
無機物層(B)の前駆体層の熱処理方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、熱風乾燥熱ロール乾燥、マイクロ波照射高周波照射赤外線照射UV照射等を用いて熱処理する方法が挙げられる。
無機物層(B)の前駆体層に対して熱処理をおこなうことにより、繊維状無機物粒子の前駆体である繊維状無機酸化物ゾル(B1)と、バインダ相の前駆体である無機化合物(B2)と、のゾルゲル反応を進めることができる。
熱処理の温度条件としては130〜220℃の範囲が好ましく、熱処理の時間条件としては1秒間〜12時間の範囲で温度条件に応じて選択することが好ましい。熱処理の温度が低ければ長い時間処理する必要があり、熱処理の温度が高ければ短い時間処理すればよい。熱処理の時間は、1秒〜1時間であることが好ましく、1秒〜15分であることがより好ましい。

0057

[無機物層(B)以外の無機物層(C)]
本実施形態に係るバリア性積層フィルム100において、水蒸気バリア性や酸素バリア性等のバリア性をさらに向上させる観点から、基材層(A)と無機物層(B)との間に無機物層(B)以外の無機物層(C)をさらに備えてもよい。しかし、本実施形態に係るバリア性積層フィルム100は、無機物層(B)以外の無機物層(C)をさらに備えなくてもバリア性に優れているため、製造コストを下げたり、製造設備を簡略化したりする観点から、本実施形態に係るバリア性積層フィルム100は基材層(A)と無機物層(B)との間に無機物層(B)以外の無機物層(C)を有さないことが好ましい。

0058

無機物層(C)を構成する無機物は、例えば、バリア性を有する薄膜を形成できる金属、金属酸化物、金属窒化物金属弗化物金属酸窒化物等が挙げられる。
無機物層(C)を構成する無機物としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムバリウム等の周期表2A族元素;チタン、ジルコニウム、ルテニウムハフニウムタンタル等の周期表遷移元素;亜鉛等の周期表2B族元素;アルミニウム、ガリウムインジウムタリウム等の周期表3A族元素;ケイ素、ゲルマニウム、錫等の周期表4A族元素;セレンテルル等の周期表6A族元素等の単体酸化物、窒化物弗化物、または酸窒化物等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
なお、ここでは、周期表の族名は旧CAS式で示している。

0059

さらに、上記無機物の中でも、バリア性やコスト等のバランスに優れていることから、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素窒化ケイ素、酸化アルミニウムおよびアルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上の無機物が好ましい。
なお、酸化ケイ素には、二酸化ケイ素の他、一酸化ケイ素亜酸化ケイ素等が含有されていてもよい。

0060

無機物層(C)は上記無機物により構成されている。無機物層(C)は単層の無機物層から構成されていてもよいし、複数の無機物層から構成されていてもよい。また、無機物層(C)が複数の無機物層から構成されている場合には同一種類の無機物層から構成されていてもよいし、異なった種類の無機物層から構成されていてもよい。

0061

無機物層(C)の厚さは、バリア性、密着性および取扱い性等のバランスの観点から、好ましくは1nm以上500nm以下、より好ましくは2nm以上300nm以下、さらに好ましくは5nm以上150nm以下である。
本実施形態において、無機物層(C)の厚さは、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡による観察画像により求めることができる。

0062

無機物層(C)の形成方法は特に限定されず、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法およびプラズマ気相成長法CVD法)等の真空プロセス等により基材層(A)の片面または両面に無機物層(C)を形成することができる。

0063

熱融着層
本実施形態に係るバリア性積層フィルム100は、ヒートシール性を付与するために、少なくとも片面に熱融着層を設けてもよい。
熱融着層としては、例えば、エチレン、プロピレンブテン−1ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1等のα−オレフィン単独重合体若しくは共重合体高圧法低密度ポリエチレン線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE);高密度ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリプロピレンランダム共重合体低結晶性あるいは非晶性のエチレン・プロピレンランダム共重合体;エチレン・ブテン−1ランダム共重合体;プロピレン・ブテン−1ランダム共重合体;等から選択される一種または二種以上のポリオレフィンを含む樹脂組成物により構成される層;エチレン・酢酸ビニル共重合体EVA)を含む樹脂組成物により構成される層;EVAおよびポリオレフィンを含む樹脂組成物により構成される層等が挙げられる。

0064

<用途>
本実施形態に係るバリア性積層フィルム100は、水蒸気バリア性や酸素バリア性に優れていることから、例えば、食品農薬化学薬品医薬品等薬品医療器材機械部品、精密材料等の産業資材日常雑貨衣料等を包装するための包装用フィルム等として好適に使用することができる。
また、本実施形態に係るバリア性積層フィルム100は、例えば、真空断熱パネル用フィルム、エレクトロルミネセンス素子太陽電池および電子デバイス等を封止するための封止用フィルムLCD用基板フィルム、有機EL用基板フィルム、電子ペーパー用基板フィルムPDP用フィルム、LED用フィルム、ICタグ用フィルム、太陽電池用バックシート太陽電池用保護フィルム光通信用部材、電子機器用フレキシブルフィルム燃料電池用隔膜燃料電池用封止フィルム、各種機能性フィルム等としても用いることができる。
本実施形態に係るバリア性積層フィルム100は、水蒸気バリア性に優れていることから、包装用フィルムとして特に好適に用いることができる。

0065

また、本実施形態に係るバリア性積層フィルム100は包装体を構成するフィルムとして好適に用いることもできる。本実施形態に係る包装体は、例えば、内容物を収容することを目的として使用される包装袋自体または当該袋に内容物を収容したものである。また、本実施形態に係る包装袋は用途に応じその一部にバリア性積層フィルム100を使用してもよいし、包装袋全体にバリア性積層フィルム100を使用してもよい。
本実施形態に係るバリア性積層フィルム100を含む包装体は水蒸気バリア性に優れていることから、食品用包装体として好適に用いることができる。

0066

以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。

0067

以下、本実施形態を、実施例・比較例を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。

0068

評価方法
(1)水蒸気透過度の測定
厚さ70μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学セロ社製、商品名:RXC−22)の片面に、接着剤(ポリウレタン系接着剤(三井化学社製、商品名:タケラックA525S):9質量部、イソシアネート系硬化剤(三井化学社製、商品名:タケネートA50):1質量部および酢酸エチル:7.5質量部)を乾燥後の厚みが3μmになるように塗布し、次いで、乾燥することによりポリウレタン系接着剤層を形成した。次いで、実施例および比較例で得られたバリア性積層フィルムの無機物層(B)面と無延伸ポリプロピレンフィルムのポリウレタン系接着剤層とが接するようにして、バリア性積層フィルムと無延伸ポリプロピレンフィルムとを貼り合わせ(ドライラミネート)、多層フィルムを得た。多層フィルムは、接着剤層を硬化させるため、40℃、5日間エージングを施した。
得られた多層フィルムについて、無延伸ポリプロピレンフィルムが内面になるように折り返し、2方をヒートシールし、袋状にした。その後、内容物として塩化カルシウムを入れた。次いで、もう1方をヒートシールして、内表面積が0.01m2の袋をそれぞれ作製した。次いで、得られた袋を40℃、湿度90%RHの条件で300時間それぞれ保管した。保管前後の塩化カルシウムの重量を測定し、その差から水蒸気透過度(g/(m2・24h))をそれぞれ算出した。

0069

(2)引張り後の水蒸気透過度の測定
引張試験機を用いて、実施例および比較例で得られたバリア性積層フィルムをチャック間距離150mm、サンプル幅120mm、チャック幅100mm、引張り速度50mm/分の条件で、2%、3%および5%引張り、2%、3%および5%引張り後のバリア性積層フィルムをそれぞれ得た。次いで、2%、3%および5%引張り後のバリア性積層フィルムの水蒸気透過度をそれぞれ測定した。

0070

(3)全反射測定法による無機物層(B)の赤外線吸収スペクトルの測定
全反射赤外線吸収スペクトルの測定(ATR法)は日本分光社製FT/IR−300装置を用い、スペクトル品質を向上させるため多重反射測定ユニットATR PRO410−M(プリズム:Germanium結晶、入射角度45度、多重反射回数=5)を装着し、室温で、分解能2cm−1、積算回数64回の条件で測定した。得られた吸収スペクトルから吸収帯1080cm−1以上1130cm−1以下の範囲における吸収ピークの有無を調べた。

0071

(4)X線回折分析
X線回折装置(リガク社製、製品名:MultiFlex 2kW)を用いて、X線回折分析法により、実施例および比較例で得られたバリア性積層フィルムにおける無機物層(B)のX線回折スペクトルをそれぞれ求めた。ここで、バリア性積層フィルムをガラス板に固定した状態で、無機物層(B)のX線回折スペクトルを測定した。なお、線源としてCuKα線を用いた。

0072

(5)光線透過率
平行光線を用いた分光光度計日立ハイテクノロジー製、型番U−3010)を用いて、実施例および比較例で得られたバリア性積層フィルムの波長600nmでの平行光線透過を測定した。

0073

[実施例1]
(コーティング液(B)の調製)
無機物層(B)の形成には、繊維状アルミナゾル(川研ファインケミカル社製(表1では川研社と略する)、繊維状、商品名:アルミゾルF−1000)、リン酸および硝酸を用いた。ここで、Al元素/P元素/N元素=1.15/1.0/1.0(モル比)となるように各成分を配合した。
具体的な配合手順は、以下の通りである。
85質量%のリン酸水溶液0.378gに対して精製水9.14g、60質量%の硝酸水溶液0.344g、5質量%のポリビニルアルコール(クラポバールPVA124TM)水溶液0.049gおよびメタノール3.27gをそれぞれ加えて均一になるように撹拌溶液[A]を得た。次いで、溶液[A]を激しく撹拌した状態で4.8質量%の繊維状アルミナゾル液(川研ファインケミカル社製、商品名:アルミナゾルF−1000TM)4.00gをゆっくり滴下し、滴下終了後からさらに30分間撹拌した。撹拌終了後アスピレータを用いて脱気することにより、pH0.85のコーティング液(B1)を得た。

0074

(バリア性積層フィルムの作製)
基材層として、12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムユニチカ社製、商品名:エンブレットPET12)を用い、PET12のコロナ面にコーティング液(B1)を塗工し、110℃で5分間乾燥させ、無機物層(B)の前駆体層を形成した。次いで、200℃で10分間の熱処理を実施し、厚さ0.45μmの無機物層(B)を形成し、バリア性積層フィルムを得た。
ここで、表1における無機物層(B)中の無機物粒子の平均長径X1および平均短径X2は、アルミナゾルの平均長径および平均短径をそれぞれ採用した。アルミナゾルの平均長径および平均短径は、アルミナゾルの希薄溶液を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察することにより測定した。
具体的には、アルミナゾルの最長軸における最大長さを長径とし、それと垂直な軸における最大長さを短径とし、TEM観察において任意に選択した10個のアルミナゾルの長径および短径をそれぞれ平均することにより、アルミナゾルの平均長径および平均短径をそれぞれ求めた。
ここで、本発明者らは、本実施例・比較例における無機物層(B)を形成する工程において、アスペクト比が大きく変化するようなアルミナゾルの粒成長は起きないことを確認した。すなわち、本実施例・比較例で用いたアルミナゾルは、上記の無機物層(B)の形成条件であれば、無機物粒子となった後もアスペクト比は大きく変化しない。そのため、表1では、無機物粒子の平均長径X1および平均短径X2として、アルミナゾルの平均長径および平均短径をそれぞれ採用した。
得られたバリア性積層フィルムの評価結果を表1に示す。

0075

<実施例2〜3および比較例1〜6>
リン元素の含有量Y2[モル]に対するアルミニウム元素の含有量Y1[モル]の比Y1/Y2が表1の値になるように各原料の比率を調整し、かつ、使用した無機酸化物ゾルを表1に示すものに変更した以外は実施例1と同様にしてバリア性積層フィルムをそれぞれ作製し、各評価をそれぞれおこなった。得られたバリア性積層フィルムの評価結果を表1に示す。

0076

実施例

0077

X1/X2で示される繊維状無機物粒子のアスペクト比が100以上1000以下である繊維状無機物粒子を用いた実施例のバリア性積層フィルムは、初期(引張り前)の水蒸気バリア性および引張り後の水蒸気バリア性に優れていた。すなわち、実施例のバリア性積層フィルムは、バリア性能の耐久性に優れていることが分かった。これに対し、比較例のバリア性積層フィルムはバリア性能の耐久性に劣っていた。

0078

100バリア性積層フィルム
A基材層
B 無機物層

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